特許第6870945号(P6870945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870945
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/44 20060101AFI20210426BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01Q1/44
   H01Q1/24 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-188230(P2016-188230)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-56693(P2018-56693A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】北川 智則
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正信
(72)【発明者】
【氏名】宮川 昭久
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−088692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/44
H01M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、第2の筐体とから成り、前記第2の筐体の一端が前記第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された電子機器であって、
前記第1の筐体は、
無線通信用の通信回路部および無線通信アンテナ接続用の給電点を有する回路基板と、
金属製のワイヤから成り、当該ワイヤの一端が前記給電点に接続され、当該ワイヤの一部に形成された直線部が前記ヒンジ部の回転軸を兼ねるアンテナと、
を備え
前記アンテナは、一対のワイヤで構成され、一対のワイヤが前記回路基板の中央に設けた給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、当該中央から前記ヒンジ部の回転中心線と平行になるようそれぞれ反対方向に曲げられて、延伸する形状であることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
第1の筐体と、第2の筐体とから成り、前記第2の筐体の一端が前記第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された電子機器であって、
前記第1の筐体は、
無線通信用の通信回路部および無線通信アンテナ接続用の給電点を有する回路基板と、
金属製のワイヤから成り、当該ワイヤの一端が前記給電点に接続され、当該ワイヤの一部に形成された直線部が前記ヒンジ部の回転軸を兼ねるアンテナと、
を備え、
前記回路基板には、2つの異なる給電点が設けられ、
前記アンテナは、一対のワイヤで構成され、一対のワイヤが前記回路基板の中央に設けたそれぞれの給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、当該中央から前記ヒンジ部の回転中心線と平行になるようそれぞれ反対方向に曲げられて、延伸する形状であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
第1の筐体と、第2の筐体とから成り、前記第2の筐体の一端が前記第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された電子機器であって、
前記第1の筐体は、
無線通信用の通信回路部および無線通信アンテナ接続用の給電点を有する回路基板と、
金属製のワイヤから成り、当該ワイヤの一端が前記給電点に接続され、当該ワイヤの一部に形成された直線部が前記ヒンジ部の回転軸を兼ねるアンテナと、
を備え、
前記回路基板には、端部に2つの異なる第1の給電点と第2の給電点が設けられ、
前記アンテナは、2本のワイヤで構成され、片方のワイヤが前記回路基板の前記第1の給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所に向かって延伸し、更に、前記ヒンジ部の回転中心線と平行に曲げられて延伸する形状であると共に、他方のワイヤが前記片方のワイヤとは方向が90°異なる前記回路基板の側面と平行に延伸する形状であることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信機能を有する電子機器には無線通信用のアンテナが実装されるが、無線通信用アンテナでは、通信に使用する周波数帯によって所定の長さが必ず必要となる。
また、無線通信用アンテナは近くに金属部品があるとアンテナ特性に劣化が生じるため、電子機器内での実装スペースに制限があり、機器の小型化を妨げる要因の一つとなっている。
【0003】
一方、上記した無線通信機能を有する電子機器の中には、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ(以下、単にノートPCと称する)のように、機器本体と表示筐体とから構成され、表示筐体の一端が機器本体に金属製のヒンジ部を介して回動可能に連結されたものがある。
【0004】
特許文献1では、ノートPC1の表示筐体2と機器本体4の間にアンテナ10を配置し、機器本体4内に収容配置した無線モジュール12との間の給電位置を機器本体4側に配置することにより、ヒンジ部を通してケーブルを配線する必要のない電子機器の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−11405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電子機器においては、アンテナ10が表示筐体2と機器本体4との間の接続部分を架橋する姿勢でノートPC1に取り付けられているため、表示筐体2と機器本体4との間の接続部分において、ヒンジ部6から外れた位置にアンテナ10が配置されることから、アンテナ設置のためにヒンジ部の上下幅以上のスペースを確保しなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、前記第2の筐体の一端が前記第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された電子機器であって、前記第1の筐体は、無線通信用の通信回路部および無線通信アンテナ接続用の給電点を有する回路基板と、金属製のワイヤから成り、当該ワイヤの一端が前記給電点に接続され、当該ワイヤの一部に形成された直線部が前記ヒンジ部の回転軸を兼ねるアンテナと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記した電子機器において、前記アンテナは、一対のワイヤで構成され、一対のワイヤが前記回路基板の中央に設けた給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、当該中央から前記ヒンジ部の回転中心線と平行になるようそれぞれ反対方向に曲げられて、延伸する形状であることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記した電子機器において、前記回路基板には、2つの異なる給電点が設けられ、前記アンテナは、一対のワイヤで構成され、一対のワイヤが前記回路基板の中央に設けたそれぞれの給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、当該中央から前記ヒンジ部の回転中心線と平行になるようそれぞれ反対方向に曲げられて、延伸する形状であることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記した電子機器において、前記アンテナは、一本のワイヤで構成され、当該ワイヤが前記回路基板に設けた給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所に向かって延伸し、更に、前記ヒンジ部の回転中心線と平行になるよう曲げられて延伸する形状であることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記した電子機器において、 前記回路基板には、端部に2つの異なる第1の給電点と第2の給電点が設けられ、前記アンテナは、2本のワイヤで構成され、片方のワイヤが前記回路基板の前記第1の給電点から前記第1の筐体と前記第2の筐体との連結箇所に向かって延伸し、更に、前記ヒンジ部の回転中心線と平行に曲げられて延伸する形状であると共に、他方のワイヤが前記片方のワイヤとは方向が90°異なる前記回路基板の側面と平行に延伸する形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。
図2図1において、A−A面で切断した場合の断面図である。
図3図1において、B−B面で切断した場合の断面図である。
図4】本発明の実施形態3に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。
図5図4において、C−C面で切断した場合の断面図である。
図6図4において、D−D面で切断した場合の断面図である。
図7】本発明の実施形態4に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る電子機器について説明する。
本発明の実施形態1に係る電子機器は、本体筐体と、カバー筐体とから成り、カバー筐体の一端が本体筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された電子機器であって、本体筐体は、無線通信用の通信回路部および無線通信アンテナ用の給電点を有する回路基板と、金属製のワイヤから成り、当該ワイヤの一端が前記給電点に接続され、当該ワイヤの一部に形成された直線部がヒンジ部の回転軸を兼ねるアンテナと、を備えることにより、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができるものである。
【0016】
[電子機器の構成]
本発明の実施形態1に係る電子機器の構成について、図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。図2は、図1において、A−A面で切断した場合の断面図である。また、図3は、図1において、B−B面で切断した場合の断面図である。なお、図1において、回路基板30、アンテナ40およびネジ80は、本体筐体10およびカバー筐体20の内部に取り付けられており、外観上見えないので本来破線を用いて表現すべきであるが、機器の構造を明確にするため実線で表している。また、本発明の電子機器は、従来技術と同様に、ノートPCに適用した場合について説明するが、ここで説明するノートPCに限らず、2つの筐体をヒンジ部を介して接続するものであれば適用可能である。
【0017】
本発明の実施形態1に係る電子機器1は、図1図3に示すように、本体筐体10とカバー筐体20とが後述するヒンジ部で連結された構造になっている。カバー筐体20の下端は、ヒンジ部を介して本体筐体10に対して回動自在に接続されている。カバー筐体20は、図1に示すような本体筐体10の上面を開いた状態と、図示していない本体筐体10の上面を閉じた状態と、の間で開閉自在となっている。
【0018】
本体筐体10は、図2に示すように、本体筐体(1)11と本体筐体(2)12とから構成され、それぞれ、例えばプラスチック成形加工によって形成されたものである。
本体筐体10内には、回路基板30と、無線通信用のアンテナ40とが実装されている。
【0019】
回路基板30は、図示していない無線通信用の通信回路部と、当該通信回路部に設けた無線通信アンテナ接続用の給電点31,32とを有し、本体筐体(2)12に立設された複数の固定用ボス12bにネジ80で取り付けられている。
アンテナ40は、一対のアンテナ(1)41およびアンテナ(2)42から構成され、それぞれ略L字形状のアンテナであり、例えばピアノ線などの金属製のワイヤで形成されている。また、図1に示すように、アンテナ(1)41およびアンテナ(2)42は、ワイヤの一端が回路基板30の給電点31および給電点32それぞれに接続され、給電点31および給電点32から本体筐体10とカバー筐体20との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、当該中央からヒンジ部の回転中心線と平行になるようそれぞれ反対方向に曲げられて、延伸する形状である。
【0020】
次に、本体筐体10の組み立て手順について説明する。
最初に、回路基板30を本体筐体(2)12の固定用ボス12bにネジ80で取り付ける。
アンテナ(1)41およびアンテナ(2)42は、ワイヤの一端のU字形状部分が回路基板30の通信回路部に形成された給電点31,32にそれぞれ接触するようネジ80で固定する。また、ワイヤの他端を含む直線部(回転軸部41a)が本体筐体(2)12の軸受部12aに設けた半円形溝に嵌合するよう取り付ける。
【0021】
そして、本体筐体(2)12に回路基板30とアンテナ40以外の実装部品を取り付けた後、本体筐体(2)12に本体筐体(1)11を重ね合わせ、アンテナ(1)41の回転軸部41aおよびアンテナ(2)42の回転軸部42aを本体筐体(1)11の軸受部11aの半円形溝と本体筐体(2)12の軸受部12aの半円形溝とで挟み込むようにする。
最後に、本体筐体(1)11と本体筐体(2)12の筐体同士を図示していないネジ等で固定する。
【0022】
カバー筐体20は、図3に示すように、カバー筐体(1)21とカバー筐体(2)22とから構成され、それぞれ、例えばプラスチック成形加工によって形成されたものである。
カバー筐体20内には、図示していない表示パネル等が実装される。
【0023】
次に、カバー筐体20の組み立て手順について説明する。
カバー筐体(1)21に表示パネルを含む全ての実装部品を取り付けた後、カバー筐体(1)21の軸受部21aの半円形溝とカバー筐体(2)22の軸受部22aの半円形溝とでアンテナ(1)41の回転軸部41aおよびアンテナ(2)42の回転軸部42aを挟み込むようにして重ね合わせる。
更に、カバー筐体(1)21とカバー筐体(2)22の筐体同士を図示していないネジ等で固定する。
【0024】
上記のようにして本体筐体10とカバー筐体20を組み立てることにより、カバー筐体20は、本体筐体10に対して、アンテナ(1)41の回転軸部41aおよびアンテナ(2)42の回転軸部42aを中心に回動自在に動作する。
つまり、本体筐体(1)11の軸受部11a、本体筐体(2)12の軸受部12a、カバー筐体(1)21の軸受部21aおよびカバー筐体(2)22の軸受部22a、並びに、アンテナ(1)41の回転軸部41aおよびアンテナ(2)42の回転軸部42aによってヒンジ部が形成されている。
【0025】
上述したように、本発明の実施形態1に係る電子機器によれば、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができる。
【0026】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る電子機器について説明する。
本発明の実施形態2に係る電子機器は、回路基板230が、図示していない無線通信用の異なる2つの通信回路部と、当該異なる2つの通信回路部それぞれに設けた無線通信アンテナ接続用の給電点231,232とを有し、本体筐体(2)12に立設された複数の固定用ボス12bにネジ80で取り付けられていること以外、実施形態1に係る電子機器と同様の構成である。
すなわち、アンテナ特性の異なる2種類のアンテナを並べて配置し、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりするダイバーシティを行う。
【0027】
上述したように、本発明の実施形態2に係る電子機器によれば、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができる。
また、アンテナ特性の異なる2種類のアンテナを並べて配置することにより、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりするダイバーシティを行うことができる。
【0028】
<実施形態3>
以下、本発明の実施形態3に係る電子機器について説明する。
本発明の実施形態3に係る電子機器は、アンテナが1つのL字形状のアンテナで構成されること以外、実施形態1に係る電子機器と同様の構成である。
【0029】
[電子機器の構成]
本発明の実施形態3に係る電子機器の構成について、図4図6を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態3に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。図5は、図4において、C−C面で切断した場合の断面図である。また、図6は、図4において、D−D面で切断した場合の断面図である。なお、図4において、回路基板130、アンテナ140およびネジ80は、本体筐体110およびカバー筐体120の内部に取り付けられており、外観上見えないので本来破線を用いて表現すべきであるが、機器の構造を明確にするため実線で表している。また、本発明の電子機器は、従来技術と同様に、ノートPCに適用した場合について説明するが、ここで説明するノートPCに限らず、2つの筐体をヒンジ部を介して接続するものであれば適用可能である。
【0030】
本発明の実施形態3に係る電子機器100は、図4図6に示すように、本体筐体110とカバー筐体120とが後述するヒンジ部で連結された構造になっている。カバー筐体120の下端は、ヒンジ部を介して本体筐体110に対して回動自在に接続されている。カバー筐体120は、図4に示すような本体筐体110の上面を開いた状態と、図示していない本体筐体110の上面を閉じた状態と、の間で開閉自在となっている。
【0031】
本体筐体110は、図5に示すように、本体筐体(1)111と本体筐体(2)112とから構成され、それぞれ、例えばプラスチック成形加工によって形成されたものである。
本体筐体110内には、回路基板130と、無線通信用のアンテナ140とが実装されている。
【0032】
回路基板130は、図示していない無線通信用の通信回路部と、当該通信回路部に設けた無線通信アンテナ接続用の給電点131とを有し、本体筐体(2)112に立設された複数の固定用ボス112bにネジ80で取り付けられている。
アンテナ140は、略L字形状のアンテナであり、例えばピアノ線などの金属製のワイヤで形成されている。また、図4に示すように、アンテナ(1)140は、ワイヤの一端が回路基板130の給電点131に接続され、給電点131から本体筐体110とカバー筐体120との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、ヒンジ部の回転中心線と平行になるよう曲げられて、延伸する形状である。
【0033】
次に、本体筐体110の組み立て手順について説明する。
最初に、回路基板130を本体筐体(2)112の固定用ボス112bにネジ80で取り付ける。
アンテナ(1)140は、ワイヤの一端のU字形状部分が回路基板130の通信回路部に形成された給電点131に接触するようネジ80で固定する。また、ワイヤの他端を含む直線部(回転軸部140a)が本体筐体(2)112の軸受部112aに設けた半円形溝に嵌合するよう取り付ける。
【0034】
そして、本体筐体(2)112に回路基板130とアンテナ140以外の実装部品を取り付けた後、本体筐体(2)112に本体筐体(1)111を重ね合わせ、アンテナ(1)140の回転軸部140aを本体筐体(1)111の軸受部111aの半円形溝と本体筐体(2)112の軸受部12aの半円形溝とで挟み込むようにする。
最後に、本体筐体(1)111と本体筐体(2)112の筐体同士を図示していないネジ等で固定する。
【0035】
カバー筐体120は、図6に示すように、カバー筐体(1)121とカバー筐体(2)122とから構成され、それぞれ、例えばプラスチック成形加工によって形成されたものである。
カバー筐体120内には、図示していない表示パネル等が実装される。
【0036】
次に、カバー筐体120の組み立て手順について説明する。
カバー筐体(1)121に表示パネルを含む全ての実装部品を取り付けた後、カバー筐体(1)121の軸受部121aの半円形溝とカバー筐体(2)122の軸受部122aの半円形溝とでアンテナ(1)140の回転軸部140aを挟み込むようにして重ね合わせる。
更に、カバー筐体(1)121とカバー筐体(2)122の筐体同士を図示していないネジ等で固定する。
【0037】
上記のようにして本体筐体110とカバー筐体120を組み立てることにより、カバー筐体120は、本体筐体110に対して、アンテナ(1)140の回転軸部140aを中心に回動自在に動作する。
つまり、本体筐体(1)111の軸受部111a、本体筐体(2)112の軸受部112a、カバー筐体(1)121の軸受部121aおよびカバー筐体(2)122の軸受部122a、並びに、アンテナ(1)140の回転軸部140aによってヒンジ部が形成されている。
【0038】
上述したように、本発明の実施形態3に係る電子機器によれば、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができる。
【0039】
<実施形態4>
以下、本発明の実施形態4に係る電子機器について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態4に係る電子機器の概観の一例を示す斜視図である。
本発明の実施形態4に係る電子機器は、図7に示すように、回路基板330が、図示していない無線通信用の異なる2つの通信回路部と、当該異なる2つの通信回路部それぞれに設けた無線通信アンテナ接続用の給電点331,332とを有し、本体筐体(2)112に立設された複数の固定用ボス112bにネジ80で取り付けられていること、また、アンテナ(2)141を追加したこと以外、実施形態3に係る電子機器(図4参照)と同様の構成である。
【0040】
なお、図7に示すように、アンテナ(1)140は、ワイヤの一端が回路基板330の給電点331に接続され、給電点131から本体筐体110とカバー筐体120との連結箇所の中央に向かって延伸し、更に、ヒンジ部の回転中心線と平行に曲げられて延伸する形状であると共に、アンテナ(2)141は、ワイヤの一端が回路基板330の給電点332に接続され、アンテナ(1)140とは方向が90°異なる回路基板330の側面と平行に延伸する形状である。
すなわち、アンテナ特性の異なる2種類の90°方向が異なるアンテナを配置し、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりするダイバーシティを行う。
【0041】
上述したように、本発明の実施形態4に係る電子機器によれば、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器において、アンテナの一部をヒンジ部の回転軸として使用することにより、筐体内にアンテナ実装のための専用スペースを確保する必要がなく、機器の小型化およびコスト低減を図ることができる。
また、アンテナ特性の異なる2種類の90°方向が異なるアンテナを配置することにより、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりするダイバーシティを行うことができる。
【0042】
なお、上記したそれぞれの実施形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、第1の筐体と、第2の筐体とから成り、第2の筐体の一端が第1の筐体にヒンジ部を介して回動可能に連結された無線通信機能を有する電子機器を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0044】
1:電子機器、10:本体筐体、11:本体筐体(1)、11a:軸受部、12:本体筐体(2)、12a:軸受部、12b:固定用ボス、20:カバー筐体、21:カバー筐体(1)、21a:軸受部、22:カバー筐体(2)、22a:軸受部、30:回路基板、31,32:給電点、40:アンテナ、41:アンテナ(1)、42:アンテナ(2)、80:ネジ、100:電子機器、110:本体筐体、111:本体筐体(1)、111a:軸受部、112:本体筐体(2)、112a:軸受部、112b:固定用ボス、120:カバー筐体、121:カバー筐体(1)、121a:軸受部、122:カバー筐体(2)、122a:軸受部、130:回路基板、131,132:給電点、140:アンテナ(1)、141:アンテナ(2)、230:回路基板、231,232:給電点、330:回路基板、331,332:給電点。
CL:回転中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7