(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る算出装置、算出方法及び算出プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る算出装置、算出方法及び算出プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.算出処理の概要〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る算出処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る算出処理の一例を示す図である。
図1では、本願に係る算出装置に対応する広告装置100によって、ユーザに配信される情報コンテンツに関する算出処理が行われる例を示す。なお、実施形態では、情報コンテンツの一例として、ネットワークを介して配信される広告コンテンツを例に挙げて説明する。
【0012】
図1に示す広告装置100は、広告主から広告コンテンツの入稿を受け付け、ユーザから広告配信の要求を受け付けた場合に、広告主から受け付けた広告コンテンツを配信するサーバ装置である。このとき、広告装置100は、ユーザに関する情報(以下、「ユーザ情報」と表記する)を利用して、配信対象先であるユーザと、配信される広告コンテンツとの適切なマッチング処理を実行する。言い換えれば、広告装置100は、特定のユーザに配信されることで広告効果が高くなると想定される広告コンテンツを抽出し、抽出された広告コンテンツを当該ユーザに配信する、いわゆるターゲティング配信を行う。広告配信を依頼する広告主(例えば、商品等を扱う企業)は、広告装置100を利用することにより、広告配信を契機としてユーザから何らかの成果を得ることのできる可能性が高い広告コンテンツや、クリック率が高くなると想定される広告コンテンツ、すなわち、広告効果の高い広告コンテンツの配信を実現する。
【0013】
なお、ユーザ情報とは、一般ユーザによって操作される情報処理端末であるユーザ端末10(
図1での図示は省略する)がウェブサイトにアクセスした際のログ(log)データや、ログデータから導出される各種情報をいう。すなわち、ユーザ情報は、ユーザがアクセスしたウェブサイトの識別情報や、アクセスした日時や、ウェブページにおいてバナー広告をクリックしたことを示す情報や、ショッピングページにおいて商品を購買した履歴など、ネットワーク上のユーザの種々の行動履歴を含む。以下では、このようなネットワーク上のユーザの行動履歴を、ユーザの行動情報と表記する場合がある。また、ユーザ情報には、特定のウェブサイトへの会員登録や、ウェブサイトへのアクセス履歴や、ショッピングサイトでの購入履歴等から導かれるユーザの属性情報(例えば、ユーザの年齢、性別、居住地、嗜好、年収など)が含まれる。
【0014】
例えば、広告装置100は、ウェブサイトにアクセスしたユーザ端末10が広告コンテンツの配信要求を送信した場合に、当該ユーザ端末10からユーザ情報を取得し、ユーザ情報にマッチングする広告を配信する。この場合、広告装置100は、広告コンテンツに予め設定されたターゲティング情報に基づいて、ユーザ端末10に広告コンテンツを抽出する。ターゲティング情報は、どのようなユーザ層に対して広告コンテンツを配信させたいかといった要望に応じて、例えば、広告装置100に入稿される際に広告主によって設定される。
【0015】
ここで、ネットワークを介して配信される広告コンテンツは、種々のデバイスで宣伝効果を発揮するために、同一の広告主が入稿する広告コンテンツであっても宣伝内容が異なっていたり、配信体系が異なっていたりする。また、例えばノートパソコンを頻繁に使用するユーザ層と、スマートフォンやタブレット端末を頻繁に使用するユーザ層など、デバイスごとにユーザ層が異なっている場合もある。そのため、広告コンテンツは、宣伝内容や配信対象となるデバイス等に応じて、それぞれのユーザ層に対応するようにターゲティング設定されることが望ましい。すなわち、同じ商品を宣伝するための広告コンテンツであっても、それぞれの広告コンテンツには、異なるターゲティング設定がなされた方が広告効果を発揮しやすい場合がある。
【0016】
しかしながら、広告コンテンツの配信されるデバイスが多岐にわたったり、広告主が入稿する広告コンテンツの数が多くなったりすると、一つ一つの広告コンテンツに対して適切にターゲティング設定を行うことが困難になるという問題がある。また、入稿時点で過度にターゲティング設定を行うと、その広告コンテンツが広告主側で想定していた以外の層に対して広告効果がある場合などには、その広告コンテンツが本来的に有する広告効果を発揮させることができない場合がある。
【0017】
そこで、実施形態に係る広告装置100は、以下に説明する算出処理によって、どのような属性を有するユーザにどのくらいの割合で広告コンテンツを配信すべきかを算出し、算出した値に基づいて広告コンテンツの配信を行う。言い換えれば、広告装置100は、広告コンテンツのターゲティングに関する最適化を行う。これにより、広告装置100は、入稿時に広告主が詳細なターゲティング設定を行わなくとも、広告効果が高くなると想定されるユーザに広告コンテンツを配信できる。以下、
図1を用いて、広告装置100による広告コンテンツに関する算出処理の一例を流れに沿って説明する。
【0018】
図1において、広告主CL11は、スマートフォン向けに広告を出すことを所望しているとする。すなわち、広告主CL11は、広告コンテンツの配信対象デバイスが「スマートフォン」であるというターゲティングの要望を有している。この場合、広告主CL11は、広告主端末20を介して、配信対象デバイスを「スマートフォン」にするといった自身が望む最低限のターゲティングとともに、広告装置100に広告コンテンツを入稿する(ステップS11)。
【0019】
広告装置100は、広告主CL11から広告コンテンツの入稿を受け付ける。そして、広告装置100は、広告コンテンツが配信される対象となるユーザのユーザ情報に基づいて、広告コンテンツを配信するユーザ群(セグメント(segment))を設定する(ステップS12)。ユーザ群とは、ユーザ情報によって分類されるユーザの群を示す。
【0020】
例えば、ユーザ群は、性別や年齢、居住地等のユーザの属性情報に基づいて分類される。
図1の例では、広告装置100は、ユーザ群U11〜U15を設定するものとする。例えば、ユーザ群U11は、男性であり、20歳代のユーザが属する。同様に、ユーザ群U12は、男性であり、40歳代のユーザが属する。ユーザ群U13は、男性であり、60歳代のユーザが属する。また、ユーザ群U14は、女性であり、20歳代のユーザが属する。ユーザ群U15は、女性であり、40歳代のユーザが属する。なお、
図1では説明を簡単にするため広告装置100がユーザ群U11〜U15という5つのユーザ群を設定したものとするが、実際には広告装置100は5つより多くのユーザ群を設定してもよい。
【0021】
また、広告装置100は、広告コンテンツに関してユーザ群を設定するとともに、初期設定として、各ユーザ群に広告コンテンツが配信される割合である配信率を設定する。
図1の例では、広告装置100は、初期設定として、広告コンテンツが配信される予定総数の1割の配信数を達成するまでは、設定した各ユーザ群に対して同数の広告コンテンツが配信されるように設定する。具体的には、広告装置100は、広告コンテンツが配信される予定総数が「100000」回(インプレッション)である場合には、「10000」回の配信が達成される迄に、各ユーザ群に同数の広告コンテンツが配信されるように設定する。
【0022】
続いて、広告装置100は、ウェブページなど、広告コンテンツを表示するための媒体を閲覧可能なユーザ端末10を操作するユーザから、広告配信の要求を受け付ける。例えば、広告装置100は、ウェブページを取得したユーザ端末10から送信される広告配信の要求であって、取得されたウェブページに設けられている広告枠で表示するための広告コンテンツの配信の要求を受け付ける。
【0023】
そして、広告コンテンツの配信の要求を受け付けた広告装置100は、初期設定(
図1の例では、各ユーザ群に対して同数の広告コンテンツが配信されるような設定)で一定数(
図1の例では、「10000」回)だけ配信を行う(ステップS13)。なお、以下の説明において、このように広告コンテンツの初期設定で所定の条件を満たすまで行う配信を「初期配信」と表記する場合がある。
【0024】
図1の例において、広告装置100は、初期配信では、設定した全てのユーザ群に略同数の広告コンテンツの配信が行われるように配信を調整する。例えば、広告装置100は、ユーザ群U11〜U15の全てのユーザ群に「2000」回ずつ広告コンテンツが配信されるように調整を行う。この間、広告装置100は、配信要求を送信してきた各ユーザの情報を取得する。なお、広告装置100は、全てのユーザ群に「2000」回ずつ広告コンテンツが早く配信されるよう、各ユーザ群に配信される広告コンテンツの配信率を適宜調整してもよい。
【0025】
そして、広告装置100は、広告コンテンツの各々の配信に関して、ユーザの反応を取得する(ステップS14)。ユーザの反応とは、例えば広告コンテンツに対するユーザの行動情報であり、広告コンテンツがユーザから選択(クリック)された数もしくは率や、広告コンテンツを契機としてコンバージョン(conversion)に至った数もしくは率である。また、広告コンテンツがブランディングを目的とする動画コンテンツ等である場合には、広告装置100は、広告コンテンツがユーザから視聴された数(ユーザ端末10に表示された数)もしくは時間長等を取得してもよい。
【0026】
そして、広告装置100は、初期配信を経て、各ユーザ群に配信すべき配信数が達成された際に、各ユーザ群から取得したユーザの反応(すなわちユーザの行動情報)に基づいて、各ユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を示す配信割合を算出する(ステップS15)。
【0027】
詳しくは後述するが、広告装置100は、例えば、ユーザの反応を示す指標値であるCTRを利用して、各ユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を算出する。すなわち、広告装置100は、ユーザ群ごとのCTRを測定し、測定したCTRに応じた配信割合を算出する。
【0028】
例えば、広告装置100は、初期配信で広告コンテンツが配信された全てのユーザにおけるCTRと比較して、ユーザ群U11のCTRが高い場合には、その数値に応じて、ユーザ群U11に関する配信割合を他のユーザ群よりも高く算出する。一方、広告装置100は、全てのユーザにおけるCTRに対して、ユーザ群U13のCTRが低い場合には、その数値に応じて、ユーザ群U13に関する配信割合を他のユーザ群よりも低く算出する。このように、広告装置100は、初期配信が完了した時点において取得されたユーザの反応に基づいて、初期配信以降の各ユーザ群の配信割合を算出する。いわば、広告装置100による算出処理は、各ユーザ群が広告コンテンツに対してどのくらい反応したかを示す指標値に基づき各ユーザ群を評価し、評価に基づいて配信割合を算出するものといえる。
【0029】
図1に示すように、広告装置100は、ユーザ群U11について配信割合を初期設定に対して増加させたものとする。また、広告装置100は、ユーザ群U13及びユーザ群U15について配信割合を初期設定に対して減少させたものとする。また、広告装置100は、ユーザ群U12及びユーザ群U14については、配信割合を初期設定からほぼ変更させていないものとする。
【0030】
そして、広告装置100は、算出した配信割合に基づいて、広告コンテンツの配信を継続する。広告装置100は、広告コンテンツの配信を継続する限り、ユーザの反応を取得し続ける(ステップS16)。そして、広告装置100は、例えば、さらに一定数の配信を終えた時点で再び配信割合を算出し、新たに算出した配信割合による広告コンテンツの配信を継続する。すなわち、広告装置100は、配信と算出と評価を繰り返すことにより、広告コンテンツに関するターゲティングを最適化することができる。
【0031】
このように、実施形態に係る広告装置100は、ユーザの属性情報に基づいて、広告コンテンツの配信対象となる複数のユーザ群を設定する。また、広告装置100は、設定されたユーザ群ごとに、ユーザが利用するユーザ端末10へ配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。さらに、広告装置100は、取得された行動情報に基づいて、各々のユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を算出する。
【0032】
すなわち、実施形態に係る広告装置100は、広告主が望む最低限のターゲティングのなされた広告コンテンツについて、それ以上のターゲティングの設定を受け付けることを要さない。そして、広告装置100は、実際に広告コンテンツを配信した際のユーザの反応に基づいて、各ユーザ群に対する配信割合を算出する。これにより、広告装置100は、初期設定において詳細なターゲティングを行わずとも、自ずと広告効果の高いユーザ群に広告コンテンツが配信され易くなるような処理を行うことができる。
【0033】
このように、広告装置100は、各広告コンテンツに対してターゲティング設定をするという広告主の負担を軽減させることができる。また、広告装置100は、実際の配信を通じて広告コンテンツを配信するユーザ群を絞り込んでいくため、予め広告主が想定していたユーザ群とは異なるユーザ群に広告コンテンツが配信される機会を与えることができる。これにより、広告装置100は、広告主が想定していた以外のユーザ群であって、広告効果の高いユーザ群に広告コンテンツを配信できるので、効果的に配信対象の拡大を図ることができる。結果として、広告装置100は、広告コンテンツが効果的に配信されるよう運用しつつ、広告コンテンツの広告主の負担を軽減させることができる。
【0034】
なお、
図1では、ステップS14において、実際に配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を広告装置100が取得する例を示した。この場合、広告装置100は、ウェブビーコン(web beacon)等によって実現される通知機能を利用して、ユーザの行動情報を取得してもよい。
【0035】
すなわち、広告コンテンツが表示されるウェブページには、ウェブビーコン等によって実現される、ユーザ情報に関する通知機能が埋め込まれる場合がある。例えば、ウェブビーコンは、ウェブページにアクセスしたユーザ端末10を広告装置100内に格納される透明な画像又は非常に小さな画像(「クリアGIF」と呼ばれることもある)にアクセスさせる機能を有する。これにより、広告装置100は、ユーザ端末10からユーザ情報を受信し、取得することができる。例えば、広告装置100は、ウェブビーコンによって実現される機能により、ユーザがユーザ端末10上において、広告コンテンツをクリックし、広告コンテンツのリンク先のページ(以下、「ランディングページ」、あるいは「LP」と表記する場合がある)を閲覧した情報などを受信することができる。なお、広告装置100は、ランディングページを提供する所定のウェブサーバから、ユーザ端末10によるアクセス情報などを受信してもよい。このように、広告装置100は、広告コンテンツを配信したユーザ端末10を追跡することにより、ユーザ端末10に関する情報を取得することができる。
【0036】
〔2.算出処理システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る広告装置100が含まれる算出処理システムの構成について説明する。
図2は、実施形態に係る算出処理システム1の構成例を示す図である。
図2に例示するように、実施形態に係る算出処理システム1には、ユーザ端末10と、広告主端末20と、ウェブサーバ30と、広告装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示した算出処理システム1には、複数台のユーザ端末10や、複数台の広告主端末20や、複数台のウェブサーバ30が含まれてもよい。
【0037】
ユーザ端末10は、例えば、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、スマートフォン等の携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。例えば、ユーザ端末10は、ウェブサーバ30にアクセスすることで、ウェブサーバ30から提供されるウェブサイトからウェブページを取得し、取得したウェブページを表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)に表示する。
【0038】
広告主端末20は、広告装置100に広告配信を依頼する広告主によって利用される情報処理装置である。広告主端末20は、広告主による操作に従って、広告装置100に広告コンテンツを入稿する。また、広告主端末20は、適切な配信対象に広告コンテンツを配信させるために、配信先となるターゲティング設定がされた広告コンテンツを入稿する。例えば、広告主端末20は、広告コンテンツの配信先となるデバイスが指定された広告コンテンツを広告装置100に入稿する。
【0039】
なお、広告主は、広告主端末20を用いて、広告装置100に広告コンテンツを入稿せずに、かかる入稿等を代理店に依頼する場合もある。この場合、広告装置100に広告コンテンツを入稿等するのは代理店となる。以下では、「広告主」といった表記は、広告主だけでなく代理店を含む概念であり、「広告主端末」といった表記は、広告主端末だけでなく代理店によって利用される代理店装置を含む概念であるものとする。
【0040】
ウェブサーバ30は、ユーザ端末10からアクセスされた場合に、各種ウェブページを提供するサーバ装置である。ウェブサーバ30は、例えば、ニュースサイト、天気予報サイト、ショッピングサイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、ウェブブログなどに関する各種ウェブページを提供する。
【0041】
なお、ウェブサーバ30によって配信されるウェブページには、広告コンテンツを表示するための広告枠が含まれる。そして、広告枠を含むウェブページには、広告枠に表示する広告コンテンツを取得するための広告取得命令が含まれる。例えば、ウェブページを形成するHTML(HyperText Markup Language)ファイル等には、広告装置100のURL等が広告取得命令として記述される。この場合、ユーザ端末10は、HTMLファイル等に記述されているURLにアクセスすることで、広告装置100から広告コンテンツの配信を受ける。
【0042】
広告装置100は、上述のように、広告配信の要求を行ったユーザに対して広告コンテンツを配信するとともに、当該広告コンテンツに関するユーザの行動情報を取得し、行動情報に基づいて広告コンテンツの各ユーザ群への配信割合を算出するサーバ装置である。
【0043】
また、上述のように、広告装置100は、広告コンテンツの配信にあたって、ユーザ端末10を識別し、広告コンテンツを配信するユーザ端末10を特定する。例えば、ユーザの識別は、ユーザ端末10のウェブブラウザと広告装置100との間でやり取りされるクッキー(Cookie)にユーザ識別情報を含めることによって行うことができる。ただし、ユーザを識別する手法は上記に限られない。例えば、ユーザ端末10に専用のプログラムを設定し、かかる専用プログラムからユーザ識別情報を広告装置100に送信させてもよい。また、広告装置100は、各ウェブサイトに登録されているユーザ情報(例えば、ユーザの属性情報)と、広告配信要求を送信したユーザ端末10のクッキーとを照合することにより、各ユーザのユーザ情報を取得してもよい。
【0044】
〔3.広告装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る広告装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る広告装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、広告装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、広告装置100は、広告装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0045】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末10や、広告主端末20や、ウェブサーバ30との間で情報の送受信を行う。
【0046】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、広告情報記憶部121と、ユーザ情報記憶部122と、配信情報記憶部123とを有する。
【0047】
(広告情報記憶部121について)
広告情報記憶部121は、広告主端末20から入稿された広告コンテンツに関する情報を記憶する。また、広告情報記憶部121は、入稿された広告コンテンツに対応付けて、広告主から設定される配信先のユーザに関する条件の指定(いわゆるターゲティング設定)などを記憶する。ここで、
図4に、実施形態に係る広告情報記憶部121の一例を示す。
図4に示した例では、広告情報記憶部121は、「広告主ID」、「広告コンテンツID」、「初期設定情報」といった項目を有する。また、「初期設定情報」の項目は、さらに「指定配信数」、「デバイス」といった項目を有する。
【0048】
「広告主ID」は、広告主又は広告主端末20を識別するための識別情報を示す。「広告コンテンツID」は、広告主から広告装置100に入稿される広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。
【0049】
なお、以下では、
図4に示した広告主IDや広告コンテンツID等に記憶されている識別情報を、広告主及び広告コンテンツの参照符号として用いる場合がある。例えば、広告主ID「CL11」によって識別される広告主を「広告主CL11」と、また、広告コンテンツID「C01」によって識別される広告コンテンツを「広告コンテンツC01」と表記する場合がある。
【0050】
「初期設定情報」は、広告主が広告コンテンツを入稿する時点における、広告コンテンツの配信に関する設定情報を示す。例えば、初期設定情報には、広告主が所望する広告コンテンツの配信数や、広告主が入稿時点で所望するターゲティング設定等が含まれる。
【0051】
「指定配信数」は、広告コンテンツ毎に広告主から指定された配信数を示す。すなわち、広告コンテンツがインプレッション数保証型(広告コンテンツがユーザに配信される数を指定する入稿手法)により広告主から入稿される場合、広告コンテンツには、予め広告主が所望する配信数が指定される。例えば、広告コンテンツの指定配信数が「100000」回であれば、当該広告コンテンツは、種々のユーザ端末10に対して100000回だけ配信される。「デバイス」は、広告主が広告コンテンツの配信を所望するデバイスの種別を示す。なお、
図4での図示は省略しているが、広告主は、デバイスの他にも、ユーザの属性情報等をターゲティングとして設定してもよい。
【0052】
すなわち、
図4では、広告主ID「CL11」によって識別される広告主CL11が、広告コンテンツID「C01」や「C02」で識別される、広告コンテンツC01や広告コンテンツC02を入稿している例を示している。また、広告コンテンツC01には、初期設定情報として、指定配信数が「100000」回であり、配信対象とするデバイスが「スマートフォン」であるという情報が含まれていることを示している。
【0053】
なお、実際にユーザ端末10に配信される広告コンテンツのデータは、広告装置100とは別に備えられた所定の広告配信サーバに記憶されてもよい。この場合、広告装置100は、広告情報記憶部121に記憶された広告コンテンツIDに基づいて、外部の広告配信サーバに記憶された広告コンテンツを特定する。そして、広告装置100は、広告配信サーバに対して、特定された広告コンテンツをユーザ端末10に対して配信するよう制御する。
【0054】
(ユーザ情報記憶部122について)
ユーザ情報記憶部122は、広告コンテンツの配信候補であるユーザ群(セグメント)であって、各々の属性情報等により区別されて設定されたユーザ群に関する情報を記憶する。
【0055】
ここで、
図5に、実施形態に係るユーザ情報記憶部122の一例を示す。
図5は、実施形態に係るユーザ情報記憶部122の一例を示す図である。
図5に示した例では、ユーザ情報記憶部122は、「ユーザ群ID」、「属性情報」といった項目を有する。また、「属性情報」には、「性別」、「年齢」といった項目が含まれる。
【0056】
「ユーザ群ID」は、ユーザ群を識別する識別情報を示す。「属性情報」は、ユーザ群に所属するユーザの属性情報を示す。「性別」は、ユーザ群に属するユーザの性別を示す。「年齢」は、ユーザ群に属するユーザの年齢を示す。なお、
図5に示すように、「年齢」の項目では、具体的な数値が示されず、「20歳代」のように年齢層が示されてもよい。
【0057】
すなわち、
図5では、ユーザ群ID「U11」によって識別されるユーザ群U11の属性情報は、性別が「男性」であり、年齢が「20歳代」であることを示している。
【0058】
なお、
図5では図示することを省略したが、ユーザ情報記憶部122には、ユーザ群を設定するために用いられる情報として、性別や年齢以外のユーザ情報が記憶されてもよい。例えば、ユーザ情報記憶部122には、ユーザ群に属するユーザの居住地や年収、ユーザの嗜好等が記憶されてもよい。また、ユーザ情報記憶部122には、ユーザ群を設定するために用いられる情報として、ウェブサイトへのアクセス履歴や、ショッピングサイトでの購入履歴などのユーザの行動情報が記憶されてもよい。この場合、広告装置100は、例えば「同じショッピングサイトで購買を行なったユーザ」を1つの群としてユーザ群を設定してもよい。さらに、ユーザ情報記憶部122には、ユーザ群として情報のみならず、各ユーザの情報が記憶されてもよい。例えば、ユーザ情報記憶部122には、ユーザ群に属する各ユーザのユーザ端末10自体を識別する情報であるデバイスIDや、クッキー等が記憶されてもよい。デバイスIDは、ユーザIDと異なり、端末装置自体に記録されている識別情報を示す。
【0059】
(配信情報記憶部123について)
配信情報記憶部123は、広告コンテンツの配信に関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係る配信情報記憶部123の一例を示す。
図6に示した例では、配信情報記憶部123は、「広告コンテンツID」、「初期設定情報」、「初期配信情報」、「現在配信情報」といった項目を有する。また、「初期設定情報」は、「ユーザ群ID」、「配信割合」といった小項目を有する。また、「初期配信情報」は、「配信数」、「全体CTR」、「CTR」といった小項目を有する。また、「現在配信情報」は、「現在配信割合」、「総配信実績数」、「配信実績数」、「現在CTR」といった小項目を有する。
【0060】
「広告コンテンツID」は、
図4に示した同一の項目に対応する。「初期設定情報」は、配信に関する所定の条件を満たすまでの間の広告コンテンツの配信に関する設定情報を示す。「ユーザ群ID」は、
図5に示した同一の項目に対応する。
【0061】
「配信割合」は、初期設定における、各ユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を示す。初期設定においては、広告装置100は、例えば各ユーザ群に対して広告コンテンツが配信される割合が略一律になるように設定する。例えば
図6では、広告装置100が、ユーザ群U11〜U15に対して、一律に20%の割合で広告コンテンツC01が配信されるように設定している例を示している。
【0062】
「初期配信情報」は、所定の条件を満たすまでに広告コンテンツが配信された際の配信情報を示す。「配信数」は、所定の条件を満たすまでに広告コンテンツが各ユーザ群に配信された回数を示す。「全体CTR」は、所定の条件を満たすまでに配信された広告コンテンツの総数におけるCTRを示す。「CTR」は、所定の条件を満たすまでに各ユーザ群に広告コンテンツが配信された際の、各ユーザ群のCTRを示す。
【0063】
「現在配信情報」は、現時点における広告コンテンツの配信情報を示す。「現在配信割合」は、現時点における各ユーザ群に対する配信割合を示す。「総配信実績数」は、現時点において広告コンテンツが配信された総数を示す。「配信実績数」は、現時点において広告コンテンツが各ユーザ群に配信された回数を示す。「現在CTR」は、現時点における各ユーザ群のCTRを示す。
【0064】
すなわち、
図6では、広告コンテンツC01の初期設定情報として、広告コンテンツC01は、ユーザ群U11〜U15までのユーザ群に配信されることが設定されており、初期配信では、それぞれのユーザ群に配信される割合は「20」%と設定されていたことを示している。また、広告コンテンツC01に関して所定の条件が満たされるまでの初期設定における配信情報として、配信数は各ユーザ群について「2000」回であり、広告コンテンツC01における全体CTRは「0.015」であり、ユーザ群U11のCTRが「0.021」であったことを示している。なお、
図6に示した例では、各ユーザ群に広告コンテンツC01が「2000」回分だけ配信されることが「所定の条件」であるが、例えば、広告コンテンツC01が全体で「10000」回分だけ配信することや、「1週間」だけユーザ群U11〜U15に対して一律に20%の割合で配信すること等が所定の条件であってもよい。
【0065】
また、広告コンテンツC01に関する現在の配信情報として、現在配信割合は、例えばユーザ群U11が「28」%であり、ユーザ群U12が「21」%であること等を示している。また、広告コンテンツC01の現時点の総配信実績数は「32000」回であり、ユーザ群U11に配信された回数は「4600」回であり、ユーザ群U12に配信された回数が「3800」回であること等を示している。また、広告コンテンツC01の現時点の現在CTRは、ユーザ群U11が「0.022」であり、ユーザ群U12が「0.015」であること等を示している。
【0066】
なお、配信情報記憶部123は、広告装置100の内部に存在せず、例えば外部に接続された所定のログ記憶サーバなどであってもよい。この場合、後述する取得部135は、ネットワークNを介して、所定のログ記憶サーバに記憶されているログを取得することができる。
【0067】
また、配信情報記憶部123には、広告コンテンツごとに、初期設定で配信する数や期間などの条件が記憶されていてもよい。例えば、広告装置100は、広告主の所望するように初期設定で配信する数や期間等の条件を設定してもよいし、広告装置100の管理者から条件の入力を受け付けてもよい。
【0068】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、広告装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(算出プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0069】
図3に示すように、制御部130は、入稿受付部131と、設定部132と、要求受付部133と、配信部134と、取得部135と、算出部136と、通知部137とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0070】
(入稿受付部131について)
入稿受付部131は、広告主端末20から広告コンテンツの入稿を受け付ける。この場合、入稿受付部131は、広告コンテンツをユーザに配信するための最低限の条件(例えば、配信対象とするデバイスなど)とともに広告コンテンツの入稿を受け付ける。なお、入稿受付部131は、広告コンテンツごとに広告主による追加のターゲティング設定を受け付けてもよい。
【0071】
また、入稿受付部131は、広告コンテンツごとの総配信数(ユーザにインプレッションさせる回数)の指定等を受け付けてもよい。そして、入稿受付部131は、入稿元の広告主を識別する広告主IDと、広告コンテンツIDとに対応付けて、入稿された広告コンテンツに関する情報を広告情報記憶部121に記憶する。
【0072】
なお、入稿受付部131は、広告コンテンツに設定される総配信数や、ターゲティング設定について、必ずしも広告コンテンツの入稿と同時に受け付けることを要しない。すなわち、入稿受付部131は、広告コンテンツの入稿の後に、総配信数やターゲティング設定を受け付けてもよいし、これらの設定の変更を受け付けてもよい。
【0073】
(設定部132について)
設定部132は、ユーザの属性情報に基づいて、広告コンテンツの配信対象となる複数のユーザ群を設定する。例えば、設定部132は、ユーザの属性情報として、ユーザの年齢、性別、及び居住地の少なくとも一つを用いてユーザ群を設定する。なお、設定部132は、
図1で示したように、ユーザの年齢や性別等を組み合わせてユーザ群を設定してもよいし、ユーザの年齢や性別等を組み合わせて設定したユーザ群にさらに属性情報を追加して、新たなユーザ群を設定してもよい。この場合、ユーザは、必ずしも1つのユーザ群に属さず、複数のユーザ群に属してもよい。すなわち、ユーザ群は、排他的に設定されずに、互いが重複するように設定されてもよい。
【0074】
また、設定部132は、ユーザの属性情報のみならず、ユーザの他の特徴情報や行動情報を用いてユーザ群の設定を行ってもよい。例えば、設定部132は、ユーザのネットワーク上の購買履歴や、ウェブサイトや情報アプリ等の閲覧履歴や、ネットワークにおいて任意の対象を検索した検索履歴や、オークション参加履歴等の少なくとも一つを用いてユーザ群を設定してもよい。これにより、設定部132は、ユーザの属性情報のみならず、ユーザの特徴をふまえた、多様なユーザ群を設定することができる。
【0075】
なお、設定部132は、ユーザ群を適宜更新するようにしてもよい。例えば、後述する算出部136によって配信割合が算出された際に、各ユーザ群のCTRに大きな相違がなく、各ユーザ群に対する配信割合が略一律に算出されたものとする。この場合、すべてのユーザ層に広告コンテンツが受け入れられているという可能性の他に、ユーザ群の設定が適切でないために、各々のユーザ群の広告コンテンツに対する反応に特異な相違がみられない可能性もある。このような場合、設定部132は、例えばユーザ群に設定していた年齢層の幅を拡大又は縮小するなどして、ユーザ群の設定を変更してもよい。
【0076】
(要求受付部133について)
要求受付部133は、広告コンテンツの配信要求を受け付ける。具体的には、要求受付部133は、ウェブページを表示するユーザ端末10から送信される要求であって、ウェブページに含まれる広告枠で表示する広告コンテンツの配信に関する要求を受け付ける。
【0077】
要求受付部133は、ユーザ端末10から送信される広告配信の要求を受け付けるとともに、ユーザ端末10を識別する情報を受け付ける。例えば、要求受付部133は、ユーザ端末10から送信されるクッキーを受け付ける。そして、要求受付部133は、受け付けた情報を後述する配信部134や取得部135へ送る。
【0078】
(配信部134について)
配信部134は、要求受付部133によって受け付けられた広告コンテンツの配信要求を送信したユーザに対応するユーザ端末10に広告コンテンツを配信する。具体的には、配信部134は、設定部132によって設定された複数のユーザ群に対して、ユーザ群ごとの配信割合に基づいて広告コンテンツを配信する。
【0079】
配信部134は、所定の条件を満たすまでは、設定部132によって設定された複数のユーザ群に対してランダムに、もしくは略一律の割合で広告コンテンツを配信するようにしてもよい。例えば、配信部134は、初期設定で各ユーザ群に対する配信数が設定されている場合には、複数のユーザ群に対してランダムに広告コンテンツを配信し、設定された配信数に達するまで配信を繰り返す。あるいは、配信部134は、初期設定で各ユーザ群に対する配信期間(例えば、1週間など)が設定されている場合には、複数のユーザ群に対して略一律の割合で広告コンテンツを配信し、設定された配信期間に達するまで配信を繰り返す。すなわち、配信部134は、各ユーザ群に対して広告コンテンツが配信される数が略同一になるように調整を行い、後述する算出部136が各ユーザ群に対する適切な配信割合を算出できるように配信を行う。
【0080】
また、配信部134は、初期設定の状態を経て、新たに算出部136によって配信割合が算出された場合には、算出された配信割合に基づいて各ユーザ群に広告コンテンツを配信する。これにより、配信部134は、より広告効果が高くなる傾向にあるユーザ群ほど、高い割合で広告コンテンツを配信することができる。
【0081】
なお、上述のように、配信部134によってユーザに配信される広告コンテンツのデータ自体は、広告装置100に係る広告情報記憶部121内に記憶されていなくてもよい。例えば、配信部134は、外部に備えられた所定の広告配信サーバに広告配信の制御命令を送信することで、広告コンテンツをユーザ端末10に配信させるよう制御してもよい。
【0082】
(取得部135について)
取得部135は、各種情報を取得する。例えば、取得部135は、ユーザに関する情報や、広告コンテンツに関する情報を取得する。具体的には、取得部135は、広告コンテンツの配信要求を送信したユーザのユーザ情報を取得する。例えば、取得部135は、ユーザ端末10から送信されるクッキーに基づいてユーザ情報を登録しているウェブサーバ30から情報の提供を受けることにより、当該ユーザのユーザ情報を取得する。より具体的には、取得部135は、ウェブサーバ30から送信されるユーザ端末10の行動履歴のログや、ユーザの登録情報などに基づいて、ユーザの属性情報を取得する。
【0083】
また、取得部135は、設定部132によって設定されたユーザ群ごとに、ユーザが利用するユーザ端末10へ配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。具体的には、取得部135は、ユーザの行動情報として、広告コンテンツに対するユーザの反応に関する情報を取得する。例えば、取得部135は、ユーザ端末10において広告コンテンツが表示された回数や表示された時間、ユーザから視聴された回数や視聴された時間、実際に配信された広告コンテンツをユーザがクリックやタッチした回数や割合等を取得する。また、取得部135は、広告コンテンツを契機として広告主に何らかの利益がもたらされた数や率、すなわちコンバージョン数やコンバージョン率を取得してもよい。
【0084】
上述のように、取得部135は、まず広告コンテンツに予め指定された総配信数のうちの所定の割合の数、もしくは所定の期間だけ(すなわち、初期設定で広告コンテンツが配信されるための条件を満たすまで)、設定部132によって設定された各ユーザ群に対してランダムに配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。あるいは、取得部135は、所定の条件を満たすまで、設定部132によって設定された各ユーザ群に対して略一律の割合で配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。
【0085】
そして、取得部135は、取得した情報を所定の記憶部に格納する。例えば、取得部135は、広告コンテンツの配信に関する情報や、配信されたユーザの行動情報、ユーザの行動情報から導出されるCTR等の広告効果に関する情報を配信情報記憶部123に格納する。
【0086】
また、取得部135は、ユーザの行動情報として、ウェブサイトへのアクセス情報であったり、検索サイトにおいて検索クエリを入力することで行う検索行動であったり、ショッピングページにおける購買行動等を取得してもよい。例えば設定部132は、取得部135によって取得された種々のユーザの行動情報に基づいてユーザ群を設定するようにしてもよい。
【0087】
(算出部136について)
算出部136は、取得部135によって取得された行動情報に基づいて、各々のユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を算出する。具体的には、算出部136は、広告コンテンツが初期設定で配信された間に取得されたユーザの行動情報、例えば広告コンテンツに対するユーザの反応に関する情報に基づいて、初期配信以後の広告コンテンツの配信における配信割合を算出する。
【0088】
一例として、算出部136は、広告コンテンツ全体の広告効果と、各ユーザ群の広告効果との比較に基づいて、ユーザ群ごとの配信割合を算出する。例えば、算出部136は、全体のCTRと比較して高いCTRを有するユーザ群に対しては、配信割合を初期設定より高く算出する。一方、算出部136は、全体のCTRと比較して低いCTRを有するユーザ群に対しては、配信割合を初期設定より低く算出する。
【0089】
また、算出部136が配信割合を算出する手法については、種々の既知の手法が利用されてもよい。例えば、算出部136は、全体のCTRとユーザ群のCTRとの比率を求め、かかる比率を現時点の配信割合に乗じて、新たな配信割合を算出してもよい。あるいは、算出部136は、最もCTRの高いユーザ群から順に予め設定された配信割合を割り振るような手法を採用してもよい。
【0090】
また、算出部136は、所定の機械学習を用いて、CTRと配信割合との相関性を入力し、算出時点における配信割合の最適解を求めるようにしてもよい。一例として、算出部136は、所定の広告コンテンツについて、分類されたユーザ群毎に、広告コンテンツがクリックされたか否かの情報を取得する。そして、算出部136は、広告コンテンツがクリックされた場合「1」とする要素を持たせ、クリックされなかった場合に「0」とする要素を持たせ、広告コンテンツのCTRの傾向を示す線形モデルを生成する。これにより、算出部136は、広告コンテンツ毎に、どのようなユーザ群にクリックされやすいかという傾向を示すことができる。このため、算出部136は、生成したモデルに従い、所定の広告コンテンツのCTRが高くなる傾向にあるユーザ群に属するユーザに対して、広告コンテンツが配信される割合が高くなるように数値を算出する。
【0091】
なお、算出部136は、初期設定から配信割合を変更した後であっても、適宜、配信割合を算出してもよい。例えば、算出部136は、広告コンテンツに設定された総配信数のうち、所定の割合の配信が完了する度に、配信割合を算出するようにしてもよい。このような処理を繰り返すことにより、算出部136は、各ユーザ群に対する配信割合の最適値を算出することができる。
【0092】
このように、算出部136は、実際にユーザに配信された広告コンテンツに関する情報に基づいて、広告コンテンツがユーザ群に配信される割合を最適化する。
【0093】
(通知部137について)
通知部137は、広告配信に関する情報を広告主に通知する。具体的には、通知部137は、広告コンテンツの配信数や、広告コンテンツがユーザからクリックされた回数などの広告効果を示す指標値を広告主に通知する。すなわち、通知部137は、広告コンテンツが所定数配信された後に、各ユーザ群に対応するCTRなどを示すレポートを作成し、広告主に結果を通知する。
【0094】
また、通知部137は、実際の配信の結果に基づき、どのようなユーザ群について訴求効果が高いのかを通知してもよい。例えば、通知部137は、初期配信において最もCTRの高いユーザ群に属するユーザの属性情報等を広告主に通知する。これにより、広告主は、自身が宣伝対象として想定していたユーザ層と、実際に広告コンテンツが訴求効果を発揮するユーザ層との情報を比較、分析することができる。
【0095】
〔4.算出処理手順〕
次に、
図7を用いて、実施形態に係る広告装置100による算出処理の手順について説明する。
図7は、実施形態に係る広告装置100による算出処理手順を示すフローチャートである。
【0096】
図7に示すように、入稿受付部131は、広告コンテンツの入稿を受け付ける(ステップS101)。設定部132は、広告コンテンツの配信対象とするユーザ群を設定する(ステップS102)。
【0097】
その後、要求受付部133は、ユーザ端末10から、広告配信の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。そして、要求受付部133は、広告配信の要求を受け付けていない場合(ステップS103;No)、受け付けるまで待機する。
【0098】
一方、広告配信の要求を受け付けた場合(ステップS103;Yes)、要求受付部133は、広告配信の要求を送信したユーザのユーザ情報を配信部134及び取得部135に送る。
【0099】
配信部134は、ユーザ情報に基づいて、当該ユーザがいずれのユーザ群に属するかを特定したうえで、広告コンテンツを配信する(ステップS104)。そして、取得部135は、広告配信の要求を送信したユーザの反応を取得する(ステップS105)。
【0100】
そして、算出部136は、初期設定された所定の条件を満たすまで広告コンテンツが配信されたか否かを判定する(ステップS106)。算出部136は、初期設定された所定の条件を満たすまで広告コンテンツが配信されていない場合(ステップS106;No)、配信割合の算出処理については待機し、再び広告配信の要求を受け付ける処理を繰り返す(ステップS103)。
【0101】
一方、初期設定された所定の条件を満たすまで広告コンテンツが配信された場合(ステップS106;Yes)、算出部136は、ユーザ群に対する配信割合を算出する(ステップS107)。算出部136は、新たに算出した配信割合を配信情報記憶部123に記憶し、一旦、算出処理を終了する。なお、
図7での図示は省略したが、算出部136は、配信割合を一度算出した後も、ユーザの反応に関する情報が一定数蓄積する度に、配信割合の算出処理を行うよう、処理を繰り返してもよい。
【0102】
〔5.変形例〕
上述した広告装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、広告装置100の他の実施形態について説明する。
【0103】
〔5−1.ユーザ群〕
設定部132は、上記の年齢や性別の属性情報や、ユーザの行動情報(購買履歴等)以外にも、種々の情報を用いてユーザ群を設定してもよい。例えば、設定部132は、ユーザが頻繁に利用するサービスにおける地位に基づいて、ユーザ群を設定してもよい。例えば、設定部132は、あるサービスにおいて設定される上級会員と、中級会員と、下級会員などの地位に基づいて、ユーザ群を設定してもよい。これにより、例えば広告主が当該サービスの管理者である場合、広告主は、広告装置100による算出処理を経て、当該サービスを宣伝する広告コンテンツのうち、各々の階級のいずれの会員に訴求効果があるのかといった効果を知得することができる。
【0104】
また、設定部132は、例えば同じ商品を購入したユーザを同じユーザ群としてまとめたり、類似するサービスを利用したユーザを同じユーザ群としてまとめたりといった、柔軟なユーザ群の設定処理を行うことができる。
【0105】
〔5−2.コンテンツの種類〕
上記実施形態では、情報コンテンツの例として、ウェブページに表示される広告コンテンツを例として示した。しかし、情報コンテンツは、ウェブページに限られず、例えば、情報アプリやゲームアプリに表示されるバナー広告等でもよい。
【0106】
〔5−3.類似コンテンツの利用〕
また、取得部135は、既にユーザに配信済のコンテンツであって、所定の広告コンテンツに類似するコンテンツである類似コンテンツに関する情報を取得してもよい。そして、算出部136は、類似コンテンツに関する情報に基づいて、各々のユーザ群に所定の広告コンテンツが配信される割合を算出してもよい。
【0107】
例えば、広告装置100は、同じカテゴリに属する広告コンテンツ(例えば、ファッションや家電など、宣伝する商品のジャンルが共通する広告コンテンツ)同士を、類似コンテンツとして設定する。そして、広告装置100は、既にユーザに配信済の類似コンテンツにおいて、ユーザ群の設定や、各ユーザ群に対して設定した配信割合の数値を、同じカテゴリに属する他の広告コンテンツに適用する。これにより、広告装置100は、予め類似コンテンツにおいて算出された配信割合や、設定したユーザ群などの情報を利用することができるため、ある広告コンテンツについて、初期設定での配信を省略して適切な配信情報を設定することができる。
【0108】
また、広告装置100は、取得部135によって取得された情報であって、実際に配信された広告コンテンツに関する情報を、かかる情報に対応するユーザ群以外のユーザ群における算出処理で利用してもよい。例えば、算出部136は、特定の広告コンテンツについて、「20歳代、男性」のユーザ群U11に対応するCTRが比較的高い数値であるという情報を取得したとする。そして、算出部136は、かかる広告コンテンツについて、「20歳代、女性」のユーザ群U14に対応するCTRの情報を有していないとする。このとき、算出部136は、「20歳代、男性」と「20歳代、女性」のユーザ群については、同年代として共通する嗜好があるものとして、「20歳代、男性」のユーザ群U11から得られた情報を「20歳代、女性」のユーザ群U14にも適用させて、配信割合の算出処理を実行してもよい。これにより、算出部136は、実際に広告コンテンツが配信された数が少ない状況であっても、ユーザの属性情報の類似性を利用することにより、最適化されたターゲティングのなされた広告コンテンツの配信を行うことができる。
【0109】
〔5−4.指標値〕
上述した実施形態において、取得部135は、広告コンテンツの広告効果を示す指標値としてCTRを取得する例を示した。しかし、取得部135は、CTRの他にも、広告効果を示す指標値を取得してもよい。
【0110】
例えば、取得部135は、広告コンテンツの配信により広告主が何らかの利益を得た(コンバージョンに至った)割合を示すCVR(Conversion Rate)を取得してもよい。また、取得部135は、広告コンテンツが動画コンテンツである場合、広告コンテンツが最後まで視聴された割合を示す完遂率を取得してもよい。また、取得部135は、ユーザのウェブサイト上での視線の動きを分析するアイトラッキングの手法により、広告コンテンツに視線を滞留させた滞留時間を取得してもよい。このように、取得部135は、広告効果を示す指標値として、種々の情報を取得することができる。
【0111】
そして、算出部136は、取得部135が取得した種々の広告効果を示す指標値に基づいて、各ユーザ群に対する配信割合を算出する。例えば、算出部136は、ユーザ群ごとの広告効果を示す指標値に基づいて、指標値が高いユーザ群に対して広告コンテンツがより配信され易くなるよう配信割合を算出する。
【0112】
このように、広告装置100は、CTRに限らず、広告効果を示す様々な指標値を取得することができる。これにより、広告装置100は、広告コンテンツの配信候補であるユーザをより詳細に分析することができるので、訴求効果の高いユーザ群を抽出しやすくなり、結果として、配信する広告コンテンツの広告効果を向上させることができる。
【0113】
〔5−5.データの取得〕
上述した実施形態に係る算出処理において、取得部135は、ユーザ端末10がウェブサーバ30の提供するウェブサイトにアクセスした場合におけるユーザ情報を取得する例を示した。しかし、取得部135は、ユーザ端末10がウェブサーバ30の提供するウェブサイトにアクセスする場合に限らず、ユーザ端末10からユーザ情報を取得することもある。この点について、以下に説明する。
【0114】
上述のように、実施形態に係る取得部135は、ウェブサーバ30の提供するウェブサイトに埋め込まれたウェブビーコンのような通知機能を利用することにより、ユーザ端末10からユーザ情報を取得してもよい。
【0115】
また、取得部135は、ユーザ端末10がアクセスしたウェブサイトが、広告装置100を管理する管理装置(例えば、広告装置100に対するフロントエンドサーバ)と同じ管理装置に管理される所定のウェブサーバから提供されている場合、取得部135は、ユーザ端末10からユーザ情報を取得することができる。すなわち、ユーザ端末10は、管理装置に管理される所定のウェブサーバが提供するウェブサイトにアクセスする際、ユーザ端末10のユーザ情報を上記管理装置に送信する。これは、ユーザ端末10が管理装置にクッキーを送信することなどにより実現される。この場合、ユーザ端末10の送信したユーザ情報は、管理装置を介して、広告装置100の備える取得部135に送信される。これにより、取得部135は、ウェブサーバ30を介することなく、ユーザ端末10のユーザ情報を取得することができる。なお、取得部135は、取得したユーザ情報については、上述したユーザ端末10から送信されるクッキー、あるいは、ユーザ端末10に予め設定されているデバイスIDを照合すること等により、ユーザ情報に係る各ユーザ端末10を識別することができる。
【0116】
なお、取得されたユーザ情報は、広告配信に利用される態様に限られず、他の様々な用途に利用されてもよい。例えば、広告装置100が取得したユーザ情報は、広告装置100が保持するユーザリスト等に基づいて、新たなユーザの獲得のためのコンテンツ配信(例えば、抽出されたユーザへのメール配信など)に利用されてもよい。
【0117】
〔5−6.広告主から受け付ける条件〕
上述した実施形態では、入稿受付部131は、広告主から、広告コンテンツを配信する対象となるデバイス等の指定を受け付ける例を示した。しかし、入稿受付部131は、さらに異なる情報の指定とともに広告コンテンツの入稿を受け付けてもよい。
【0118】
例えば、入稿受付部131は、1回あたりの広告コンテンツの配信金額や、広告コンテンツが配信されるための入札額(ビッド額)や、CPA(Cost Per Acquisition)の指定を受け付けてもよい。CPAは、広告コンテンツによってコンバージョンにつながった(新規顧客を獲得した)場合における、新規顧客の獲得人数あたりの費用を示す。CPAは、広告費用をコンバージョン数で除算することで求められ、CPAの値が低いほど、広告の効率がよいことを意味している。すなわち、広告主は、自身が達成したいCPAの値を設定するのみで、その他のターゲティング設定等を行わずとも、広告コンテンツを入稿することができる。これにより、広告装置100は、広告コンテンツが効果的に配信されるよう運用しつつ、広告主の負担を軽減させることができる。
【0119】
また、入稿受付部131は、広告コンテンツ毎に、広告コンテンツが配信され、表示される媒体(広告枠を有するコンテンツ、すなわちウェブページや情報アプリやゲームアプリなど)に関する条件を広告主から受け付けてもよい。例えば、広告主は、「ニュースサイト」に掲載を所望する広告コンテンツや、「スポーツサイト」に掲載を所望する広告コンテンツや、「ショッピングサイト」に掲載を所望する広告コンテンツなど、広告コンテンツが配信されて表示されるウェブページに関する条件を指定してもよい。
【0120】
〔5−7.ユーザ群〕
上述した実施形態において、設定部132は、広告コンテンツごとにユーザ群を設定する例を示した。しかし、設定部132は、例えば全ての広告コンテンツに共通するユーザ群や、広告主ごとに共通するユーザ群を設定してもよい。
【0121】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る広告装置100やユーザ端末10、広告主端末20、ウェブサーバ30等は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、広告装置100を例に挙げて説明する。
図8は、広告装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0122】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0123】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(
図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを通信網500を介して他の機器へ送信する。
【0124】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0125】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0126】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る広告装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0127】
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0128】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、
図3に示した取得部135と、算出部136とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部120に記憶される情報は、ネットワークNを介して、外部に備えられた記憶装置に記憶されてもよい。
【0129】
また、例えば、上記実施形態では、広告装置100が、広告コンテンツの入稿を受け付ける受付処理と、配信割合を算出する算出処理と、広告コンテンツを配信する配信処理とを行う例を示した。しかし、上述した広告装置100は、受付処理を行う受付装置と、算出処理を行う算出装置と、配信処理を行う配信装置とに分離されてもよい。この場合、受付装置は、少なくとも入稿受付部131を有する。算出装置は、少なくとも算出部136を有する。また、配信装置は、少なくとも要求受付部133と配信部134とを有する。
【0130】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0131】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る広告装置100(算出装置の一例)は、設定部132と、取得部135と、算出部136とを有する。設定部132は、ユーザの属性情報に基づいて、広告コンテンツ(情報コンテンツの一例)の配信対象となる複数のユーザ群を設定する。取得部135は、設定部132によって設定されたユーザ群ごとに、ユーザが利用する端末装置へ配信された広告コンテンツに対する当該ユーザの行動情報を取得する。算出部136は、取得部135によって取得された行動情報に基づいて、各々のユーザ群に広告コンテンツが配信される割合を算出する。
【0132】
このように、実施形態に係る広告装置100は、広告コンテンツに対してユーザ群を設定するとともに、広告コンテンツに対するユーザの行動情報に基づいて、それぞれのユーザ群に対して広告コンテンツが配信される割合である配信割合を算出する。これにより、広告装置100は、広告主が特にターゲティング設定等をせずとも、より訴求効果を発揮すると想定されるユーザに対して広告コンテンツを配信させることができる。すなわち、広告装置100は、広告コンテンツが効果的に配信されるよう運用しつつ、広告コンテンツを準備したり、広告コンテンツに関するターゲティング設定を行ったりする広告主の負担を軽減させることができる。
【0133】
また、取得部135は、広告コンテンツに予め指定された総配信数のうちの所定の割合の数、もしくは所定の期間だけ、設定部132によって設定された各ユーザ群に対してランダムに配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。
【0134】
このように、実施形態に係る広告装置100は、一定数または一定の期間においてランダムに広告コンテンツの配信を行い、その間のユーザの行動情報を取得する。これにより、広告装置100は、その間に訴求効果の高いユーザ群を抽出するとともに、訴求効果の高いユーザ群に広告コンテンツが配信されやすくするように設定を行うことができる。
【0135】
また、取得部135は、広告コンテンツに予め指定された総配信数のうちの所定の割合の数、もしくは所定の期間だけ、設定部132によって設定された各ユーザ群に対して一律の割合で配信された広告コンテンツに対するユーザの行動情報を取得する。
【0136】
このように、実施形態に係る広告装置100は、一定数または一定の期間において、各ユーザ群に一律の割合で広告コンテンツの配信を行ってもよい。これにより、広告装置100は、各ユーザ群から漏れなくユーザの行動情報を取得することができるため、どのようなユーザ群に広告コンテンツが配信されやすくするかといったことを決定するための算出処理を適切に行うことができる。
【0137】
また、取得部135は、ユーザの行動情報として、広告コンテンツに対するユーザの反応に関する情報を取得する。
【0138】
このように、実施形態に係る広告装置100は、ユーザの行動情報のうち、広告コンテンツに対するユーザの反応に関する情報を取得するようにしてもよい。これにより、広告装置100は、広告コンテンツの訴求効果を適切に判定できるため、配信割合の算出処理を適切に行うことができる。
【0139】
また、取得部135は、広告コンテンツに対するユーザの反応に関する情報として、広告コンテンツがユーザから選択された数もしくは率、広告コンテンツを契機としてコンバージョンに至った数もしくは率、又は、広告コンテンツがユーザから視聴された数もしくは時間長の少なくともいずれか一つを取得する。
【0140】
このように、実施形態に係る広告装置100は、広告コンテンツのクリック率やコンバージョン率を取得するようにしてもよい。これにより、広告装置100は、広告コンテンツの効果を的確に示す指標値に沿って算出処理を行うことができるため、算出処理の精度を向上させることができる。
【0141】
また、取得部135は、既にユーザに配信済のコンテンツであって、所定の広告コンテンツに類似するコンテンツである類似コンテンツに関する情報を取得する。算出部136は、類似コンテンツに関する情報に基づいて、各々のユーザ群に所定の広告コンテンツが配信される割合を算出する。
【0142】
このように、実施形態に係る広告装置100は、既にユーザに配信済の類似コンテンツにおいて、ユーザ群の設定や、各ユーザ群に対して設定した配信割合の数値を、同じカテゴリに属する他の広告コンテンツに適用するようにしてもよい。これにより、広告装置100は、予め類似コンテンツにおいて算出された配信割合や、設定したユーザ群などの情報を利用することができるため、ある広告コンテンツについて、初期設定での配信を省略して適切な配信情報を設定することができる。
【0143】
また、設定部132は、ユーザの属性情報として、ユーザの年齢、性別、及び居住地の少なくとも一つを用いてユーザ群を設定する。
【0144】
このように、実施形態に係る広告装置100は、ユーザの年齢等に応じてユーザを区別することで、広告コンテンツの訴求効果が高いと想定されるユーザ群を適切に設定することができる。
【0145】
また、設定部132は、ユーザのネットワーク上の購買履歴、閲覧履歴、検索履歴、及びオークション参加履歴の少なくとも一つを用いてユーザ群を設定する。
【0146】
このように、実施形態に係る広告装置100は、ユーザの行動に基づいてユーザ群を設定してもよい。これにより、広告装置100は、属性情報のみならず、似た行動をとる傾向にあるユーザ等をユーザ群として設定できるため、より多様なユーザ群に対するターゲティングを行うことができる。
【0147】
また、実施形態に係る広告装置100は、設定部132によって設定された複数のユーザ群に対して、算出部136によって算出された割合に応じて広告コンテンツを配信する配信部134をさらに備える。
【0148】
このように、実施形態に係る広告装置100は、各ユーザ群に対して算出された割合に応じて広告コンテンツを配信する。このため、広告装置100は、より訴求効果の高いユーザ群に対して、優先的に当該広告コンテンツを配信することができる。
【0149】
また、配信部134は、所定の条件を満たすまでは、設定部132によって設定された複数のユーザ群に対してランダムに、もしくは一律の割合で広告コンテンツを配信し、所定の条件が満たされた場合に、算出部136によって算出された割合に応じて広告コンテンツを配信する。
【0150】
このように、実施形態に係る広告装置100は、初期設定においてはランダムに、もしくは一律の割合で広告コンテンツを配信し、初期設定における配信を達成した後に、算出部136によって算出された割合に基づいて広告コンテンツを配信してもよい。すなわち、広告装置100は、実際の広告配信の結果に応じて算出された割合に基づいて広告コンテンツを配信することで、広告コンテンツの訴求効果を向上させることができる。
【0151】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0152】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。