特許第6870986号(P6870986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870986
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】埋め込み型医療器具の拘束及び展開装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20210426BHJP
   A61F 2/962 20130101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61F2/958
   A61F2/962
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-555656(P2016-555656)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公表番号】特表2017-511725(P2017-511725A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015019271
(87)【国際公開番号】WO2015134917
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年2月27日
(31)【優先権主張番号】61/949,100
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/639,699
(32)【優先日】2015年3月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ダブリュ.アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ディー.シルバーマン
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−534441(JP,A)
【文献】 特表2010−526583(JP,A)
【文献】 特表2002−537026(JP,A)
【文献】 特表2002−518086(JP,A)
【文献】 特表2012−510329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/958
A61F 2/962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具展開システムであって、前記医療器具展開システムは、
拡張可能な医療器具であって、第一の末端及び第二の末端、ならびに、より大きい展開直径及び送達用のより小さい圧縮直径を有する医療器具、
より小さい圧縮医療器具を包囲しているシースであって、前記シースは、それ自体において裏返されており、ここで、前記シースの外側部分は前記シースの内側部分を包囲しており、前記シースは、第一の展開ラインを含む、シース
第二の展開ラインを含み、かつ、前記シースの外側部分が、前記医療器具の第一の末端から少なくとも第二の末端まで拘束部材を包囲するように前記シースの内側部分と外側部分との間に配置されたフィラメント状拘束部材であって、ここで、前記フィラメント状拘束部材は、編まれており、かつ、前記第二の展開ラインに引張力を課したときに解けるように構成されている、フィラメント状拘束部材、
を含み、
ここで、前記医療器具は前記シースの展開ライン及び前記フィラメント状拘束部材の第二の展開ラインに同時作動力を課すことにより、より大きい直径へと展開される、展開システム。
【請求項2】
前記拡張可能な医療器具は自己拡張性である、請求項1記載の展開システム。
【請求項3】
前記シースはチューブ状であり、そして前記シースの外側部分は前記シースの内側部分を同軸的に包囲している、請求項1記載の展開システム。
【請求項4】
前記同時作動力は2つの異なる速度での前記シース及びフィラメント拘束部材の取り外しを生じさせる、請求項1記載の展開システム。
【請求項5】
前記2つの異なる速度は可変示差速度である、請求項4記載の展開システム。
【請求項6】
前記拡張可能な医療器具は生体活性コーティングを含み、そして前記シースは前記器具の取り扱いの間にコーティングを保護するように作用する、請求項1記載の展開システム。
【請求項7】
前記生体活性コーティングは薬剤コーティングを含む、請求項6記載の展開システム。
【請求項8】
前記シースはらせん状にプリーツが付けられているシースを含む、請求項1記載の展開システム。
【請求項9】
前記拡張可能な医療器具は限定された軸方向強さを有し、そして前記シースにより提供された、増大した軸方向強さにより送達の間の損傷から保護される、請求項1記載の展開システム。
【請求項10】
前記シースとフィラメント状拘束部材との相互作用は前記拡張可能な医療器具から作動力を切り離す役割を担う、請求項1記載の展開システム。
【請求項11】
展開システムに対して埋め込み型器具を装填するための方法であって、
埋め込み型器具を提供すること、
前記埋め込み型器具を超えて延在しているセグメントを含むシース要素内に埋め込み型器具を配置すること、ここで、前記シースは、第一の展開ラインを含む
ファンネル及び第二の展開ラインを含む拘束要素を提供すること、ここで、前記フィラメント状拘束部材は、編まれており、かつ、前記第二の展開ラインに引張力を課したときに解けるように構成されている
前記シース要素のセグメントに張力を加え、前記シース要素及び埋め込み型器具を、ファンネルを通して引張り、埋め込み型器具をシース要素内及び拘束要素内で圧縮され、それにより、埋め込み型器具は圧縮状態で拘束されること、及び、
前記拘束要素が前記シース要素の層の間に配置されるように、前記拘束要素にわたって前記埋め込み型器具を超えて伸びている前記シース要素のセグメントを裏返すこと、
を含み、ここで、前記シース要素及び拘束要素は使用時に埋め込み型器具を展開するように除去されるように構成されており、前記拘束要素は展開の間に前記シース要素の層の間に配置されている間に解けるように構成されている、方法。
【請求項12】
前記ファンネルを通した前記埋め込み型器具の圧縮の後に、前記埋め込み型器具を使用の前にさらに圧縮することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
開を実施するために本質的に同時に作動させるように前記第一の展開ライン及び前記第二の展開ラインを配置すること、
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は埋め込み型医療器具の送達及び展開のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の議論
精巧な埋め込み型医療器具及びより進歩した治療装置、特に、ステント、ステントグラフト、バルーン、フィルタ、オクルーダなどの低侵襲的手順を通して送達されそして展開される医療器具及び治療装置の急速な増加に伴って、このような器具及び治療装置を効果的に拘束し、送達させ及び/又は展開するための改良された器具及び方法を見い出すことへの興味が高まっている。
【0003】
このような器具を送達させそして展開するための以前の器具及び方法の例としては、埋め込み型器具を拘束し、その後、器具を現場で制御された様式で展開するための裏返しスリーブの使用が挙げられ、例えば、Austinらの米国特許第7,285,130号明細書、Kossらの米国出願第2008−0281398号明細書及びCullyらのPCT出願WO13025470号明細書に記載されている器具である。これらの文献に記載されるとおりの裏返しスリーブの使用は多くの利点があるが、多くのこれらのスリーブに有効に取り付け、そしてそこから展開することができる器具の長さ、幾何形状、引張強さ及びその他の特性に制限がある。さらに、従来の裏返しスリーブ展開装置は体内の所望の場所における埋め込み型器具の正確かつ容易な展開に対して展開前の埋め込み型器具の十分な拘束をバランスさせることが課題となっている。
【0004】
技術的及び商業的に成功している別の従来の拘束及び送達装置はArmstrongらの米国特許第6,315,792号明細書に記載されている。この装置は展開前の埋め込み型器具を拘束する編物繊維カバーを用い、該カバーは、その後、取り外され、体内の所望の場所において器具を展開させることができる。この装置は非常にうまく機能するが、有効に拘束及び展開することができる埋め込み型器具のサイズ及びタイプに制限がある。この繊維拘束体及び他の繊維拘束体での1つの懸念は繊維カバーが特定の器具形状又は特徴にスムーズに取り付け及び/又はそこから展開することができないことである(例えば、繊維は埋め込み型器具上にある逆とげ(barb)又は他の特徴部を捕獲することがある)。
【0005】
薬剤又は他の生体活性剤によりカバーされた埋め込み型器具及び治療装置を提供することにおけるさらにより最近の注目は、このような器具を有効に拘束しそして展開することの課題をさらに増加している。薬剤コート化器具を、ファンネルを通して拘束装置中に引き込む行為は生体活性剤が装填及び取り付けプロセスの間に除去され又は移動される重大な危険性をもたらし、そのことは一旦展開された後の器具の有効性を妥協することになりうる。同様に、展開の間の拘束体と埋め込み型器具との間の相互作用も、一旦完全に展開された後の器具に生体活性剤が適切に適用された状態を維持していないことがあるという危険性を作り出す。
【発明の概要】
【0006】
本発明の要旨
本発明は単純で、正確でそして信頼できる器具展開を提供しながら、体内における送達の間に医療器具を保護する拡張可能な送達システムを提供する。この送達システムは装填力及び展開力が器具直径、長さ又は設計に直接的に関係しないように構成されており、このため、様々な送達器具形態及び製品ラインにわたって使用されうる、より有用な送達システムを提供する。
【0007】
本発明の送達システムの利点としては以下のものが挙げられる:より滑らかでより予測可能な器具送達を容易にする、より予測可能な展開力(例えば、埋め込み型器具と拘束体との間の悪い相互作用を低減することにより、引っかかり及びカテーテル移動の危険性がより少ない); 不規則な特徴形状(例えば、展開装置の滑らかな操作を妨害することがある、ホタテ、逆とげ、アンカー、尖端及びその他の特徴的形状)で器具を展開することができる能力; より小さい器具送達プロファイルで器具を作製することができる能力;展開の間のラインの「弓弦張り(bow-stringing)」を低減し又は排除するようにシース内に送達ラインを閉じ込める能力;及び、製造及び送達の間にせん断力から埋め込み型器具を保護することができる能力であって、器具に適用された様々なコーティング(例えば、薬剤又は他の生体活性材料)を損傷又は早期放出からシールドするのに特に有用である能力。
【0008】
本発明のさらなる利点は送達される器具に対して最小限の応力を付与することである。本発明において、送達される器具は装填前にカプセル化され、そして展開までカプセル化されたままである。薬物送達器具では、このことは薬剤損失及び粒子化を低減する。これは、また、器具取り付けの間の器具とツールとの接触を排除することができ、そして装填及び展開の間の表面せん断作用から器具を孤立させる。本発明はまた、装填の間の器具の張力形成を排除し、それにより、より低い埋め込み型器具の質量及びより低いプロファイルを可能にする。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、埋め込み型医療器具の展開システムが提供され、そのシステムは、より大きい展開直径(deployed diameter)及び送達用のより小さい圧縮直径(compacted diameter)を有する拡張可能な医療器具、圧縮された医療器具を包囲しているシースであって、それ自体において裏返されたシース、ここで、シースの外側部分はシースの内側部分を包囲している、及び、シースの内側部分と外側部分との間に配置されたフィラメント状拘束部材を含み、ここで、医療器具はシース及びフィラメント状拘束部材に同時作動力を加えることにより、より大きい直径へと展開される。
【0010】
本発明の別の実施形態において、展開システムに対して埋め込み型器具を装填するための方法は提供され、該方法は:埋め込み型器具を提供すること、;埋め込み型器具を超えて延在しているセグメントを含むシース要素内に埋め込み型器具を配置すること、;ファンネル及び拘束要素を提供すること、;シース要素のセグメントに張力を加え、シース要素及び埋め込み型器具を、ファンネルを通して引張り、埋め込み型器具をシース要素内及び拘束要素内で圧縮(コンパクト化)することを含み、それにより、埋め込み型器具は圧縮状態で拘束され、ここで、シース要素及び拘束要素は使用時に埋め込み型器具を展開するように除去される形態となっている。
【0011】
器具展開に関する本発明のさらなる実施形態において、医療器具展開システムは提供され、該システムは第一のシース及び第二のシースを含み、ここで、第一のシース及び第二のシースの各々は第一のシース及び第二のシースの各々に連結された引張部材に張力を加えることにより非比例的に作動され、単一のインプット力を加えることによる展開時に、インプット力は前記引張部材の間で可変的に分配される。
【0012】
本発明の追加の実施形態において、医療器具展開システムは回転遊星ローリング要素を通して係合している2つ以上のプーリーを含み、ここで、該プーリーの各々は展開ラインを収容する形態となっており、ここで、展開ラインは医療器具の展開を作動させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
添付の図面は本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、そして本明細書の一部に取り込まれそして該一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、そして記載とともに本発明の原理を説明する役割を担う。
【0014】
図1図1は本発明の送達及び展開装置において拘束されている埋め込み型器具の側面断面図である。
【0015】
図2図2は本発明の送達及び展開装置中での拘束の前の埋め込み型器具の側面図である。
【0016】
図3図3図2に示す埋め込み型器具を包囲している本発明の収縮チューブシース要素の側面図である。
【0017】
図4図4はファンネルを通して拘束部材中に引き込まれている図3に示すシース要素及び埋め込み型器具組み合わせ物の、部分的に断面として示している、側面図である。
【0018】
図5図5は半径方向に圧縮され、その後に、拘束部材中に引き込まれている図3に示すシース要素及び埋め込み型器具組み合わせ物の、部分的に断面として示している、側面図である。
【0019】
図6図6は送達カテーテルに取り付けられる前の図4又は5により示される方法により作製されたシース要素、埋め込み型器具及び拘束部材組み合わせ物の側面図である。
【0020】
図7図7は、送達カテーテルに取り付けられ、そして埋め込み型器具の展開の間にシース要素及び拘束部材の取り外しを実施するように形成された収縮ラインを有するものとして示されている、図6に示すシース要素、埋め込み型器具及び拘束部材組み合わせ物の、部分的に断面として示している、側面図である。
【0021】
図8図8は埋め込み型器具が部分的に展開されて示されている、図7に示す埋め込み型器具及び送達装置の、部分的に断面として示している、側面図である。
【0022】
図9図9〜12は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる様々な装置の模式図である。
図10図9〜12は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる様々な装置の模式図である。
図11図9〜12は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる様々な装置の模式図である。
図12図9〜12は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる様々な装置の模式図である。
【0023】
図13図13は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる差動歯車の、部分的に断面として示される、上面図である。
【0024】
図14図14は本発明で使用されうる複数の収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる差動歯車の別の実施形態の断面図である。
【0025】
図15図15はトランスファーファンネル中に引き込まれている図3に示すシース要素及び埋め込み型器具組み合わせ物の、部分的に断面として示している、側面図であり、シース要素の一部分がトランスファーファンネル上で裏返されている。
【0026】
図16図16はトランスファーチューブ上で裏返された第二のシース要素の側面断面図である。
【0027】
図17図17図15に示されている埋め込み型器具、シース要素及びトランスファーファンネル組み合わせ物、及び、図16に示されている第二のシース及びトランスファーチューブ組み合わせ物の、部分的に断面として示されている、側面図であり、それは互いに隣接して向かい合って配置されており、埋め込み型器具はトランスファーファンネルからトランスファーチューブに部分的に移送されていることが示されている。
【0028】
図18図18図17に示される移送プロセスの後の第二のシース内に取り付けられた埋め込み型器具の、部分的に断面として示されている、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示の実施形態の詳細な説明
本発明は医療器具を拘束し、送達し及び/又は展開するための改良された装置を提供する。本発明は患者内で一時的に又は永久に展開されうる広範な器具と組み合わせ使用でき、該器具としては、限定するわけではないが、ステント、ステントグラフト、バルーン、フィルタ、トラップ、オクルーダ、薬剤又は他の治療物質又は処置剤などを送達させるための器具などが挙げられる。このため、本出願において用語「医療器具」及び「埋め込み型器具」は体内に一時的又は永久に配置されるあらゆる器具を包含するように広く解釈されることが意図される。
【0030】
本発明の装置は自己拡張性器具、バルーン又は他の手段により拡張可能である器具、自己拡張性/拡張性複合器具、及び、現場で寸法を変化させることが意図されていない器具を送達させるために使用されうる。
【0031】
本発明の特定の実施形態は例示として下記に記載される。本発明の発明者が本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定することを意図しないことは当業者により理解されるべきである。
【0032】
図1は埋め込み型器具20を示し、この場合には、カテーテル22に取り付けられそして本発明の展開装置24に拘束されたステント又はステントグラフトである。展開装置24は外側層28及び内側層30を有する裏返された収縮チューブシース要素26を含む。シース要素26の外側層28及び内側層30の内部に含まれているのは拘束部材32である。展開装置24はシース26を作動させるように操作的に結合されている第一の展開ライン34及び拘束部材32を作動させるように操作的に結合されている第二の展開ライン36を含む。
【0033】
下記に詳細に説明されるとおり、シース要素26は埋め込み型器具を包囲しそして保護するように適合された薄い可撓性材料から作られている。この可撓性材料は製造プロセスの間に圧縮装置を通して拘束部材32中に埋め込み型器具20を引き入れるのを補助するための収縮チューブとしての役割を担うことができるように十分な長手方向引張強さを有するべきである。好ましくは、可撓性材料はまた、器具がインビボで最終的に展開されるまで、埋め込み型器具上で生体活性コーティング又は他の表面処理剤を保護するために十分な被覆性及び構造一体性を有するべきである。可撓性シースが潤滑性材料から作られることがさらに望ましく、該潤滑性材料は下記に記載の製造プロセスにおいて補助することができる。
【0034】
シース要素26は埋め込み型器具20に対して何らの有意な拘束を提供することを必要としない。というのは、その機能は、必要ならば、拘束部材32により主として提供されうるからである。そのため、シース要素26はある程度の半径方向での追従性を示す非常に薄くかつ可撓性である材料から製造されうる。実際、製造の間に圧縮プロセスにおいて補助するために長手方向張力下の際にシース要素26がネッキングを経験することが望ましいことがある。
【0035】
シース要素26の可撓性材料は種々の異なる材料から形成されることができ、該材料としては、限定するわけではないが、材料の連続チューブ又はシート;織物、編物又は他の布帛材料;フエルトなどの不織布材料;又は2つ以上の異なる材料の複合材が挙げられる。シース26としての使用に適する材料としては、材料のチューブ又はシートが挙げられ、該材料は、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、レーヨン、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン及び/又はポリウレタンを含むことができる。
【0036】
シース要素26は半径方向に膨張可能な材料から形成されることができ、及び/又は、様々な形態で製造されうる。例えば、その材料は半径方向に膨張可能であり、又は、半径方向にネッキング性であり、及び/又は、広範な強度又は他の特性を有することができる。さらに、器具の半径方向の追従性又は解放性を補助するためにシース要素をプリーツ付きシース又はらせん状プリーツ付きシースの形態で製造することが有利であることができる。
【0037】
図1に示されるとおり、本発明の1つの実施形態において、シース要素26はシース26と同一の材料から第一の展開ライン34を形成するようにして、図1中の点37で、トレーリング端でスプリットされている連続チューブから作られている。展開ライン34は、例えば、らせん巻き、加熱、又は、別の方法でスプリットされたチューブをスレッド構造へと細工することにより形成されうる。さらには、他の材料、例えば、ポリアミド、ポリイミド、PTFE、ePTFE、ポリエステル又は類似の材料のスレッドは単独で使用されてよく、又は、スプリットされたチューブに追加されて、より堅牢な展開ライン構造物を提供することができる。
【0038】
ステント又はステントグラフトの展開では、適切なシース要素26は厚さが約0.0015〜0.15mmであり、長手方向引張強さが約0.5〜10kgfである延伸PTFEのチューブ状シースを含むことができる。シースは拘束された器具により加えられることがある歪み(例えば、ステント尖端、フィン、アンカーなどからの力)に耐えることができる十分な靭性を有するべきである。下記に説明されるとおり、幾つかの用途では、長手方向張力がシースに課されるときに中間的な直径にネッキングすることができる能力をシースが有することが望ましいことがある。シースは適切なベース材料から形成されることができ、該材料としては、限定するわけではないが、チューブ、シート及び/又は繊維(例えば、材料の織物又は編物(weave or braid)が挙げられる。
【0039】
記載されてきたとおり、拘束部材32は埋め込み型器具20のための有効な拘束を提供する役割を担う。このため、拘束部材32は埋め込み型器具20により伝えられるいかなる膨張力にも耐える比較的に非追従性材料から形成されるべきである。拘束部材32は様々な異なる材料から形成されることができ、該材料としては、限定するわけではないが、材料の連続チューブ又はシート;織物、編物又は他の布帛材料; フエルトなどの不織布材料;又は2つ以上の異なる材料の複合材が挙げられる。さらに、Irwinらの米国特許第8,845,712号明細書に開示されるように、プリーツ付きシース又はらせん状プリーツ付きシースの形態の拘束部材32を作ることが有利であることがあり、それにより、器具の半径方向の追従性又は解放性を補助する。拘束部材32としての使用に適する材料としては、材料のチューブ、シート又は繊維が挙げられ、該材料は、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、レーヨン、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン及び/又はポリウレタンを含むことができる。
【0040】
拘束部材32はArmstrong らの米国特許第6,315,792号明細書(「Armstrongら特許」)(その全体を参照により本明細書中に取り込む)に記載されるように、フィラメント状材料から有効に形成されうる。その特許に記載の編物拘束部材は有効な器具拘束性を提供するが、展開の間に埋め込み型器具から容易にほぐれる。記載されるとおり、Armstrongらの特許の拘束体は埋め込み型器具の送達及び展開において非常に正確かつ有効であることが証明された。しかしながら、Armstrongらの特許の拘束部材32を、上記の裏返されたシース要素26と組み合わせることにより、有意な利益が実証された。もし、Armstrongらの特許に記載のフィラメント状拘束体が単独で使用されるならば、繊維は幾つかの埋め込み型器具構造体の特徴部(例えば、特定の形状のアンカー、逆とげ、ステント尖端など)に引っかかることがあることが決定され、そのことは製造の間の拘束体の取り付けを困難にし、及び/又は、展開の間に拘束体を解放することが困難になることがある。Armstrongらの特許のフィラメント状拘束部材を、裏返されたシース要素26の内部に挟むことにより、シース要素26は埋め込み型器具20上の問題となる特徴部を覆いそして孤立させる役割を担い、それにより、拘束部材32は製造の間に埋め込み型器具20上に容易に取り付けることができ、その後、展開の間に埋め込み型器具20から容易に取り外すことができる。この利点はArmstrongらの特許の装置を使用して、今やうまく展開することができる埋め込み型器具のタイプを大きく増大する。
【0041】
第二の展開ライン36は、例えば、拘束部材26がArmstrongらの特許の特定の実施形態により形成されるときに、拘束部材26と同一の材料を含むことができる。あるいは、ポリアミド、ポリイミド、PTFE、ePTFE、ポリエステル又は類似の材料のスレッドなどの他の材料を単独で使用しても、又は、より堅牢な構造体を提供するために展開ライン36に加えてもよい。
【0042】
本発明の展開装置24を製造する方法は図2〜8に示されている。図2は本発明の展開装置24中に取り付ける前のステント又はステントグラフトなどの埋め込み型器具20を示している。図3において、埋め込み型器具20はシース要素26内部に配置されている。
【0043】
図4において、図3に示すシース要素26及び埋め込み型器具20組み合わせ物はファンネル38を通して拘束部材32中に引き込まれる。記載されるとおり、シース要素26は収縮チューブとしての役割を担い、埋め込み型器具20を、ファンネル38を通して拘束部材32中に入れるのを容易にするように滑らかで均一な表面を提供する。この点において、埋め込み型器具20に適用されうるコーティングは、このようにして、ファンネル38及び拘束部材32による摩擦から保護される。さらに、ファンネル38を通して引き落とすプロセスの間にシース要素26がネッキングをどの程度経験していようが、ネッキング力は埋め込み型器具20の圧縮をさらに支援する。
【0044】
シース要素26はまた、ファンネル38を通して、拘束部材32中に埋め込み型器具20を引き入れるために必要な力から器具20を分離していることが理解されるべきである。より従来の圧縮プロセスにおいて、典型的には、埋め込み型器具20の片側末端にテザーラインを適用し、それを拘束体中にファンネルを通して引き入れる。このため、埋め込み型器具はそれを送達寸法に圧縮するために必要とされる実質的な長手方向の力に耐えることができる材料及び様式で製造されなければならない(すなわち、もし埋め込み型器具が十分に堅牢でなければ、圧縮プロセスの間にテザーラインの力の下に損傷されるであろう)。圧縮力は、より長い埋め込み型器具構造物で、より大きな圧縮比を企てるときには、有意に大きくなる。埋め込み型器具の全長さに沿って収縮力を課すために本発明のシース部材を使用することにより、従来の収縮ラインを通した圧縮を経験し、及び/又は、以前には可能であったよりもさらに大きな圧縮力を課し(そして、このようにして、さらにより大きな圧縮比を達成する)ためには脆すぎるであろう埋め込み型器具を有効に圧縮することが可能である。この点で、シース要素は圧縮及び装填プロセスの間に埋め込み型器具に対して増大された軸方向強さを提供する。
【0045】
別の圧縮プロセスを図5に示す。この実施形態において、図3に示されるシース要素26及び埋め込み型器具20組み合わせ物は半径方向押潰器具などの圧縮装置40により圧縮される。この実施形態において、シース要素26は圧縮された埋め込み型器具をより容易に圧縮装置から引き出し、そして拘束部材32中に引き込むことを容易にし、上記のすべての利点を伴う。
【0046】
図4又は図5に示されるプロセスにより、又は、他の任意の適切な手段により、図6に示すように圧縮されても、一旦、埋め込み型器具20が拘束部材32中に圧縮されると、圧縮器具20の両側から延びている余分のシース要素26が存在している。図7に示されるように、拘束された器具20は、その後、送達カテーテル22に取り付けられ、そして余分のシース要素26は、その後、拘束部材32に対して裏返され、それにより、シース要素26の内側層30と外側層28との内部の拘束部材32を挟むことができる。展開ライン34は、その後、シース要素26に取り付けられ又はシース要素26から形成されることができる。同様に、展開ライン36は、その後、拘束部材32に取り付けられ又は拘束部材32から形成されることができる(例えば、もし、拘束部材32が、Armstrongらの特許に記載されるように、編物材料から作られているならば、展開ライン36は解された拘束部材32から形成されたコードを含むことができる)。
【0047】
幾つかの用途では、シース要素26が単一の層として使用されうることは理解されるべきである。単一の層のシース要素を使用することの利点としては、減縮された送達プロファイル及び展開ラインの低減された長さを提供する機会が挙げられる。
【0048】
一旦本明細書中に記載されるように作られたら、埋め込み型器具20及び展開装置24を従来の様式で患者内の所望の治療部位に送達させることができる。しかしながら、シース要素26内での埋め込み型器具20のカプセル化は送達プロセスの間に埋め込み型器具20に対する追加の保護を提供することが理解されるべきである。記載されるように、埋め込み型器具20が薬剤又は他の生体活性コーティングを備えているときには、意図した展開部位に到達する前にコーティングが暴露されないことが望ましい。オープンメッシュ又はオープンフィラメントブレードなどの特定の拘束構造物では、薬剤コーティングは意図した展開部位に到達するずっと前に血液及び組織に必ず暴露され、そのことが器具からのコーティングの可能な磨耗及び体内の所望されない場所での生体活性材料の意図しない解放をもたらすことがある。しかしながら、本発明のシース要素26を使用すると、生体活性コーティングは拘束器具の構造がいかに開口されているかに関係なく、損傷又は早期解放に対して保護されることができる。
【0049】
拘束された器具20が一旦体内で適切に位置決めされると、器具20は2つの展開ライン34及び36を作動させることにより解放でき、ここで、拘束部材32及びシース要素26の各々は作動時に器具から引き離される。このプロセスは図8に示されており、埋め込み型器具20が展開装置24から展開し始めていることを示す。
【0050】
シース要素及び拘束部材の両方を含む展開装置を提供することの多くの利点が記載されてきたが、拘束された埋め込み型器具から同時に2つのカバーを取り外そうとするときに、1つの課題があることが決定された。シース要素26及び拘束部材32は異なる材料から形成され、そして異なる形態を含むことができるで、同一の速度で又は同様にリトラクトしないようである。さらに、構造物によって、展開ラインは線速度で作動しないことがあり、このため、各ラインの作動速度をある程度調節する必要がある。このことは2つの展開ライン34及び36を同時であるが、異なる速度で作動させようとする際に所望されない問題を医師に呈する。
【0051】
本発明の発明者はこの問題は医師が単一の展開力を展開装置24に課すことを可能にする様々な差動機構の1つを使用することにより完全に解決されうるものと決定し、その差動機構は展開ライン34及び36の各々の作動の速度を自動的に調節する。
【0052】
図9〜12は本発明で使用されうる複数収縮ラインの同時取り外しを実施するために使用されうる様々な装置を示している。図9は2つの展開ライン34及び36がその末端42及び44で互いに取り付けられ、そして各展開ライン34、36で変動リトラクション速度が即座に適用されるようにプーリー46が用いられている最も単純な形態の差動装置を示す。医師は単純に単一の展開力48をプーリーに課し、そしてシース要素及び拘束部材は同一の速度でリトラクトし、その間、2つの間の速度差はプーリー46により補正される。
【0053】
図10は引き取りの速度の差異を予め計算し、そして異なる固定比のプーリー50、52を用いて、その予め決められた速度で各展開ライン34、36を引き取る別の形態の差動装置を示す。
【0054】
図11は、展開の間に最も弛んでいることが要求される展開ライン34(すなわち、より遅く引き取られることが要求される展開ライン)に、スプリング又は他の受動変位機構54が繋げられている、なおも別の形態の差動装置を示す。このようにして、医師は均一な速度でラインを引っ張ることができるが、ラインは適切な異なる速度で有効に引き取られるであろう。
【0055】
図12はクラッチ駆動器56が使用され、それにより、駆動プーリー58は設定速度で1つの展開ライン36を巻き取り、そして駆動プーリー58及び第二のプーリー62の間の摩擦界面60はクラッチ機構を提供し、それにより、展開ライン34はより遅い速度に調節する、なおも別の形態の差動装置を示す。
【0056】
より複雑な作動機構は図13に示されている。この実施形態において、2つのプーリー64、66は提供され、各々がそれぞれ展開ライン34、36に繋がっている。プーリー傾斜ギア68a、68b及びプラネタリー傾斜ギア70a、70bは2つのプーリー64、66の間に取り付けられており、それにより、各プーリー64、66の異なる作動速度に調節する。1つの末端で固定された親指ホイールで中央シャフトを通してプラネタリーギアを作動させるための医師作動親指ホイール72は提供されており、図12に示されるクラッチ機構と同様に、プラネタリーギア70a、70bは2つのプーリー64、66の間の異なる作動速度を調節する役割を担う。傾斜ギアはそれらの適切な速度で各プーリーを作動させるように選択されうる。例えば、プーリー64及び66の回転の合計は、例えば、親指ホイール72の2×インプット回転となるように設定することができる。
【0057】
同様の差動機構は図14に示されている。この実施形態において、プーリー74及び76は各展開ライン(図示せず)に各々繋がっており、それぞれリングギア78、80に取り付けられている。プラネタリーギア82、84は各々プラネタリーギアと直接的に係合している医師作動親指ホイール86を各々備えている。
【0058】
本明細書中に記載された様々な作動機構は例示の目的のみであり、これら又は他の任意の機構が本発明の範囲内で使用されうることは理解されるべきである。例えば、図13又は14の実施形態における親指ホイールをモータ又は他の駆動機構で置き換えることを含む、これらの機構に対するさらなる様々な改良又は改善も本発明の範囲内にある。
【0059】
幾つかの用途では、送達のための埋め込み型器具の最終の圧縮及び取り付けの前に中間の圧縮された直径へと埋め込み型器具を移行させることが有利であることができる。例えば、埋め込み型器具を複数の工程で圧縮することにより、最終の器具圧縮及び送達のために、より薄くかつより堅牢性が低いシースを使用することができ、それにより、望ましい、より小さい器具送達寸法とすることができる。1つの達成方法は上記の図2〜6に示す取り付け手順を変更し、図15〜18に示されるような追加のプロセス工程を含めることである。
【0060】
図15において、図3に示すシース要素26及び埋め込み型器具20組み合わせ物をトランスファーファンネル88中に引き込み、シース要素26のセグメント90をトランスファーファンネル88上に裏返す。埋め込み型器具20のトランスファーファンネル88中への圧縮はシース26及び器具20をファンネル88中に引き込むように、セグメント90に張力92を課すことにより行うことができる。一旦、埋め込み型器具20がトランスファーファンネル80の先端94に配置されると、器具は容易に移行される。
【0061】
図16はトランスファーチューブ98上に裏返された第二のシース要素96を示す。第二のシース要素96はシース要素26の直径よりも小さい直径であるように構成されている。トランスファーチューブ98は金属もしくはプラスチックハイポチューブなどの本質的に非追従性の材料から作られる。トランスファーチューブ98はトランスファーファンネル88の先端94の直径とほぼ等しい直径を有する。トランスファーチューブ98の外側の第二のシースの部分100は下記の移行工程において第二のシースを容易に作動させるように圧縮され又は「押し潰されている」ことができる。
【0062】
埋め込み型器具20のシース要素26から第二のシース要素98への移行を行うために、図17に示すように、図15に示す埋め込み型器具20、シース要素26及びトランスファーファンネル88組み合わせ物を図16に示す第二のシース要素96及びトランスファーチューブ98組み合わせ物に隣接した向きに配置する。図17に示すように、張力92をシース要素26に課し、そして同時に張力102を第二のシース要素98に課すことにより、埋め込み型器具20はトランスファーファンネル88及びシース要素26からトランスファーチューブ98及び第二のシース要素96に移行するであろう。この移行は図17に部分的に完成されている。
【0063】
一旦、埋め込み型器具20を第二のシース要素96中に完全に移送すると、器具20及び第二のシース98は、図18に示すように、トランスファーチューブから取り出されることができる。埋め込み型器具20は今や小さい直径に閉じ込められ、図3に示されている器具及びシースよりも薄い壁厚のシース内に閉じ込められている。この段階で、組み合わされた器具及びシースは図4〜6に関して上述したようにさらに処理されてよい。
【0064】
本発明は埋め込み型器具が製造プロセスの間に1つ以上の中間直径に部分的に圧縮されうる幾つかのやり方で実施されうることが図15〜18の記載から理解されるべきである。
【0065】
説明されたとおり、本発明は従来の医療器具展開装置よりも多くの利点を提供し、その利点としては、限定することなく、以下のことが挙げられる。
(1)本発明は様々な埋め込み型器具の形態及びサイズに対して作用するように拡張可能である、単純で、正確でかつ信頼性がある器具展開を提供しながら、体内での送達の間の医療器具を保護する送達システムを提供する。
【0066】
(2)送達システムは、装填及び展開力が器具直径、長さ又は設計と直接的に関係しないように構成され、このため、様々な送達される器具の形態及び製品ラインにわたって、より普遍的な送達システムを可能にする。この点で、埋め込み型器具を拘束しそして埋め込み型器具を展開するために要求される力は埋め込み型器具の長さ及び他の特性から切り離すことができる。
【0067】
(3)埋め込み型器具の外側により一貫した表面を呈するシース要素を使用することにより、展開力は送達の間により滑らかであり、それにより、カテーテルの動きを最小限に抑制することができる(例えば、埋め込み型器具と拘束体との間の反対相互作用のために、送達力の増加は回避されうる)。同様に、本発明は不規則な特徴部(例えば、ホタテ形状、逆とげ、アンカー、尖端、及び、他のやり方で展開装置の滑らかな操作を妨害する他の特徴部)を有する器具の展開に適応することができる。
【0068】
(4)シース要素の使用は、圧縮力を器具の長手方向引張強さから切り離すことができること、及び、埋め込み型器具の外側でより滑らかかつ可能には潤滑性表面を提供し、器具の圧縮をより容易にすることができることの両方により、器具送達プロファイルを低減することを支援することができる。装填の間の器具の直接的な張力を無くすことにより、本発明はまた、より低い埋め込み型器具質量及びより低いプロファイルを可能にする。
【0069】
(5)本発明は展開の間にラインの「弓弦張り」を低減し又は無くすために、シース要素内で送達ラインを閉じ込めるような構成とされうる。
【0070】
(6)装填前に埋め込み型器具をカプセル化し、そして展開までカプセル化し続けることにより、本発明は埋め込み型器具に最小限の応力を付与する。薬剤送達器具では、このことは製造及び使用の両方において、器具の取り扱いの間の薬剤の損失及び粒子化を低減することができる。この点において、器具のカプセル化は器具の装填及びモニタリングの際に器具とツーリングとの接触を低減し又は無くすことができ、そして送達及び展開の間の表面せん断及び他の損傷から器具を分離することができる。
【0071】
様々な修飾及び変更は、本発明の特質又は範囲から逸脱することなく、本発明においてなされることができることは当業者により理解されるであろう。このため、本発明は添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内に当たる限り、本発明の修飾及び変更を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
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図18