特許第6870994号(P6870994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870994
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A61B6/03 333A
   A61B6/03 350
   A61B6/03 330Z
   A61B6/03 321Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-9632(P2017-9632)
(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-117705(P2018-117705A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】小松 英史
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−089674(JP,A)
【文献】 特開2012−152507(JP,A)
【文献】 特開2004−267601(JP,A)
【文献】 特開2003−265460(JP,A)
【文献】 特開2012−187198(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/114609(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0139215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
A61B 6/10
G01N 23/04
H04J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線源と、
前記X線源から被検体に曝射されたX線を検出するX線検出器と、
前記被検体を光学的に撮影する光学撮影部と、
前記X線源と前記X線検出器と前記光学撮影部とを保持する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持する固定部と、
前記X線検出器において検出されたX線に関する検出データと前記光学撮影部において撮影された光学画像に関する光学画像データとを、前記回転部から前記固定部へ送信する送信部と、
前記検出データと前記光学画像データとの収集状況に応じて、前記送信部が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める前記光学画像データの送信容量の割り当てを制御する送信制御部と、
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、前記検出データを収集し、かつ前記光学画像を収集する場合、前記所定の送信容量を前記検出データの送信容量として優先的に割り当て、残りの送信容量を前記光学画像データの送信容量として割り当てる請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記検出データを収集するデータ収集回路と、
前記データ収集回路と前記送信部との間に設けられ、前記データ収集回路から出力された検出データを記憶する第1記憶部と、
前記光学撮影部と前記送信部との間に設けられ、前記光学撮影部から出力された光学画像データを記憶する第2記憶部と、
をさらに具備し、
前記送信制御部は、
前記割り当てられた検出データの送信容量の割り当てに基づいて、前記第1記憶部から前記検出データを読み出して送信するよう前記送信部を制御し、
前記割り当てられた光学画像データの送信容量の割り当てに基づいて、前記第2記憶部から前記光学画像データを読み出して送信するよう前記送信部を制御する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記送信制御部からの指示により、前記光学画像データを分割して複数の送信タイミングに亘って送信する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記光学撮影部は、所定のビュー角度に到達するごとに前記被検体を撮影する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記回転部から前記固定部へ送信された前記検出データと前記光学画像データとを、前記固定部から外部装置へ転送する転送部と、
前記検出データと前記光学画像データとの収集状況に応じて、前記転送部が有する単位時間あたりの所定の転送容量に占める前記検出データの転送容量の割り当てと前記光学画像データの転送容量の割り当てとを制御する転送制御部と、
をさらに具備する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記固定部は、前記回転部に設けられた開口の中心軸が床面に対して直交するよう前記回転部を支持し、かつ前記回転部を上下方向に移動可能に支持する請求項1乃至6のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記X線源と前記X線検出器と前記光学撮影部とを保持する回転部を有する架台を覆うための覆いをさらに具備し、
前記覆いは、前記回転部に設けられた開口を形成する内周に沿って設けられるマイラ板を含み、
前記マイラ板は、前記光学撮影部の撮影視野に相当する箇所に透明部を有する請求項1乃至7のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
X線を発生するX線源と、
前記X線源から被検体に曝射されたX線を検出するX線検出器と、
前記被検体を光学的に撮影する光学撮影部と、
前記X線源と前記X線検出器と前記光学撮影部とを保持する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持する固定部と、
前記X線検出器において検出されたX線に関する検出データと前記光学撮影部において撮影された光学画像に関する光学画像データとを、前記固定部から外部装置へ転送する転送部と、
前記検出データと前記光学画像データとの収集状況に応じて、前記転送部が有する単位時間あたりの所定の転送容量に占める前記光学画像データの転送容量の割り当てを制御する転送制御部と、
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置において、穿刺等の作業中および点滴中にX線CT撮影(以降、CTスキャンと記載する。)を実行する場合、穿刺または点滴等の作業を行う術者は、CTスキャンの対象となる被検体または被検体周辺を目視で確認する。このとき、被検体の体が壁になって、術者から見た被検体の逆側の状態を把握することが困難である。特に、立位または座位状態の被検体を撮影し、関節および臓器に自重および重力がかかった状態での画像診断を可能とした立位CT装置では、被検体の体と立位CT装置の架台とが壁になって、術者から見た被検体の逆側の状態を把握することが困難である。
【0003】
そこで、被検体または被検体周辺の状態を光学的に撮影するための光学カメラを検査室に設置することが考えられる。当該光学カメラを設置することで、被検体または被検体周辺の状態を簡易的にモニタリングすることができる。しかしながら、光学カメラにより撮影された画像をX線CT装置のコンソールに伝送するための専用の伝送経路を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−089674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、術者による被検体または被検体周辺のモニタリングの負担および装置の規模の増大を軽減することができるX線コンピュータ断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線源と、前記X線源から被検体に曝射されたX線を検出するX線検出器と、前記被検体を光学的に撮影する光学撮影部と、前記X線源と前記X線検出器と前記光学撮影部とを保持する回転部と、前記回転部を回転可能に支持する固定部と、前記X線検出器において検出されたX線に関する検出データと前記光学撮影部において撮影された光学画像に関する光学画像データとを、前記回転部から前記固定部へ送信する送信部と、前記検出データと前記光学画像データとの収集状況に応じて、前記送信部が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める前記光学画像データの送信容量の割り当てを制御する送信制御部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るX線CT装置を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すX線CT装置の架台を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るX線CT装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施例1における送信回路が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの割り当てと光学画像データの割り当てとを示す図である。
図5図5は、応用例における生データと光学画像データとの合計送信容量が所定の送信容量を超える場合の単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの割り当てと光学画像データの割り当てとを示す図である。
図6図6は、変形例1に係るX線CT装置を示すブロック図である。
図7図7は、変形例2に係る立位CT装置が備える立位CT用架台を示す斜視図である。
図8図8は、変形例2に係る立位CT装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係るX線CT装置について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1を示すブロック図である。図1に示すX線CT装置1は、臥位状態の被検体に対してCTスキャンを実行するための装置である。X線CT装置1は、架台2と、CTコンソール3と、CT用寝台4とを備える。架台2は、高電圧発生器21と、X線源22と、X線検出器23と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)24と、光学カメラ25と、非接触データ伝送回路26と、架台制御回路27と、操作パネル30とを有する。
【0010】
架台2は、CT用寝台4に載置された、臥位状態の被検体Sに対してCTスキャンを実行する装置である。本実施形態において、架台2は、回転フレーム28を有する。回転フレーム28は、X線源22とX線検出器23とを撮影領域を形成する開口を挟んで保持する。回転フレーム28には、高電圧発生器21と、X線源22と、X線検出器23と、DAS24と、光学カメラ25と、非接触データ伝送回路26の一部とが搭載される。回転フレーム28は、回転駆動装置29からの動力を受けて開口の中心軸回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム28の開口には、被検体Sを載置可能な天板41が挿入される。また、架台2は、回転フレーム28の開口の中心軸を回転軸として、回転自在に回転フレーム28を支持するメインフレーム(固定フレーム)、および回転フレーム28を回転駆動させる回転駆動装置(例えば、電動機)29等を有する。
【0011】
図2は、図1に示す架台2を示す斜視図である。図2に示すように、架台2は、上記回転フレーム28および固定フレーム等を覆うための覆いを有する。覆いには、開口を形成する内周に沿って設けられるマイラ板100が含まれる。マイラ板100は、光学カメラ25の撮影視野に相当する箇所に透明部101を設ける。これにより、光学カメラ25の撮影視野を確保することができる。なお、本実施形態では光学カメラ25の撮影視野に相当する箇所に透明部101を設けるが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、マイラ板100を透明にしてもよい。
【0012】
回転駆動装置29は、架台制御回路27からの制御に従い、回転フレーム28を回転させるための動力を発生する。回転駆動装置29は、架台制御回路27からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。回転駆動装置29は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。回転駆動装置29は、例えば、メインフレームに収容する。
【0013】
ここで、上記架台2は、X線源22と、X線検出器23と、DAS24と、光学カメラ25とを設置する回転フレーム28、高電圧発生器21、高電圧発生器21に電力を供給する電源装置(例えば、商用電源)等だけでなく、CTスキャンに必要なその他の種々の装置を収容してもよい。例えば、回転フレーム28にはX線源22を冷却する冷却装置が取り付けられてもよい。また、空調のためのファンが架台2に取り付けられてもよい。
【0014】
高電圧発生器21は、架台制御回路27を介したCTコンソール3による制御に従い、スリップリング(slip ring)を介して架台2の電源装置から供給された電力から、X線源22に印加する管電圧と、X線源22に供給する管電流(フィラメント電流(Filament current))とを発生する。具体的には、高電圧発生器21は、コンバータと、インバータと、コンデンサおよび整流回路等から成る昇圧整流回路とを有する。まず、高電圧発生器21は、架台2の電源装置から供給された交流電圧をコンバータにより直流電圧に変換する。次に、高電圧発生器21は、コンバータにより変換された直流電圧をインバータにより高周波の交流電圧に変換する。さらに、高電圧発生器21は、インバータにより変換された高周波の交流電圧を昇圧整流回路により昇圧および整流して、高周波の直流電圧を発生する。高電圧発生器21は、当該高周波の直流電圧をX線源22に印加する。
【0015】
X線源22は、高電圧発生器21からの管電圧の印加および管電流の供給を受け、X線の焦点から天板41に載置された被検体Sへ照射するX線を発生する。例えば、X線源22として、X線管が用いられる。具体的に、X線管内部には陽極と陰極が収納され、X線管内部が真空に保たれている。陽極側にはターゲットマテリアルが設けられる。ターゲットマテリアルには、例えば、タングステンやモリブテンが用いられる。また、陰極側にはフィラメントが設けられる。フィラメントには、例えば、タングステンが用いられる。まず、高電圧発生器21からの管電圧の印加を受けて、陰極にあるフィラメントから熱電子を放出される。次に、放出された熱電子がターゲットマテリアルに衝突する。これにより、X線管は、X線を発生する。
【0016】
X線検出器23は、回転軸を挟んでX線源22に対峙する位置および角度で、回転フレーム28に取り付けられる。X線検出器23は、X線源22から発生され被検体Sを透過したX線を検出する。X線検出器23は、二次元湾曲面に配列された複数のX線検出素子(図示せず)を搭載する。各X線検出素子は、X線源22からのX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた波高値を有する電気信号に変換する。各X線検出素子は、例えば、シンチレータと光電変換器とを有する。シンチレータはX線を受けて蛍光を発生する。光電変換器は、発生された蛍光を電荷パルスに変換する。電荷パルスはX線の強度に応じた波高値を有する。光電変換器としては、具体的には、光電子増倍管やフォトダイオード(Photo Diode)等の光子を電気信号に変換する機器が用いられる。なお、本実施形態に係るX線検出器23としてはX線を一旦蛍光に変換してから電気信号に変換する間接検出型の検出器に限定されず、X線を直接的に電気信号に変換する直接検出型の検出器(半導体検出器)であってもよい。
【0017】
DAS24は、被検体Sにより減弱されたX線の強度を示すディジタルデータを1ビューごとに収集する。DAS24は、例えば、複数のX線検出素子の各々について設けられた積分器とアンプとA/D変換器とが並列して実装された半導体集積回路により実現される。DAS24は、架台2内においてX線検出器23に接続されている。積分器は、X線検出素子からの電気信号を所定のビュー期間に亘り積分し、積分信号を生成する。アンプは、積分器から出力された積分信号を増幅する。A/D変換器は、増幅された積分信号をA/D変換し、当該積分信号の波高値に対応するデータ値を有するディジタルデータを生成する。変換後のディジタルデータは、生データと呼ばれている。生データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、および収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のディジタル値のセットである。DAS24は、例えば、生データを非接触データ伝送回路26へ伝送する。
【0018】
光学カメラ25は、架台制御回路27による制御に従い、天板41に載置された被検体Sまたは被検体S周辺の状態を光学的に撮影する。光学カメラ25は、例えば、撮影した被検体Sまたは被検体S周辺を対象とする画像(以降、光学画像と記載する。)を非接触データ伝送回路26へ出力する。光学カメラ25は、例えば、非接触データ伝送回路26とケーブルで接続される。上記光学画像は、静止画であっても動画であってもよい。光学カメラ25は、回転フレーム28のX線源22近傍に設置する。X線源22の近傍に設置することで、光学カメラ25は、X線照射方向と略一致する方向の被検体Sを撮影することが可能になる。また、X線照射方向と略一致する方向の被検体Sを撮影することで、DAS24で収集された生データと光学カメラ25で撮影された光学画像とをビューごとに対応付けることが可能になる。また、光学カメラ25は、X線源22およびX線検出器23と共に回転フレーム28に設置するため、架台2とは別に設置するものと比較して小型なものを採用している。これにより、装置の規模が増大することを軽減することが可能になる。
【0019】
なお、本実施形態において、光学カメラ25は、X線源22近傍に設置しているが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態における光学カメラ25は、回転フレーム28における任意の位置に設置してもよい。例えば、光学カメラ25を90°、または270°等のビュー角度に設置してもよい。これにより、CT用寝台4に載置された被検体Sの開口内での状態をモニタリングすることができる。また、被検体S全体または被検体S周辺の状態をモニタリングする場合、被検体Sを俯瞰可能な位置に光学カメラ25を設置してもよい。また、光学カメラ25は、回転フレーム28に一台設置しているが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態は、例えば、光学カメラ25を必要に応じて複数設置してもよい。
【0020】
非接触データ伝送回路26は、磁気送受信手法、無線送受信手法、または光送受信手段を用いる伝送装置により実現される。非接触データ伝送回路26は、DAS24で収集された生データと、光学カメラ25により撮影された光学画像に関する光学画像データとをCTコンソール3へ伝送する。すなわち、本実施形態における非接触データ伝送回路26は、同一の伝送経路を用いて、上記生データと光学画像データとをCTコンソール3へ伝送する。非接触データ伝送回路26は、例えば、第1メモリ261と、第2メモリ262と、送信回路263と、受信回路264と、転送回路265と、送信制御回路266とを有する。第1メモリ261と、第2メモリ262と、送信回路263とは、回転フレーム28に設けられる。受信回路264と、転送回路265と、送信制御回路266とは、メインフレームに設けられる。
【0021】
第1メモリ261は、DAS24から出力された生データを記憶する。第2メモリ262は、光学カメラ25から出力された光学画像データを記憶する。
【0022】
送信回路263は、送信制御回路266による制御に従い、第1メモリ261に記憶された生データを受信回路264へ送信し、第2メモリ262に記憶された光学画像データを受信回路264へ送信する。送信回路263は、例えば、磁気送受信手法、無線送受信手法、または光送受信手法等により、生データと、光学画像データとを受信回路264へ送信する。受信回路264は、送信回路263から送信された生データと、光学画像とを受信する。受信回路264は、受信した生データと、光学画像データとを転送回路265へ出力する。
【0023】
転送回路265は、受信回路264から出力された生データと、光学画像データとをCTコンソール3へ伝送する。本実施形態における転送回路265は、例えば、CTコンソール3の通信インターフェース(IF)回路33と有線で接続される。転送回路265は、生データと、光学画像データとをCTコンソール3の通信IF回路33へ転送する。なお、転送回路265は、磁気送受信手法、無線送受信手法、または光送受信手法等により、生データと、光学画像データとをCTコンソール3の通信IF回路33へ転送してもよい。
【0024】
送信制御回路266は、架台制御回路27による制御に従い、送信回路263による受信回路264への生データと光学画像データとの送信を制御する。送信制御回路266は、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリとにより実現される。送信制御回路266のメモリは、設定プログラムを記憶する。送信制御回路266のプロセッサは、メモリに記憶された設定プログラムを読み出す。送信制御回路266のプロセッサは、読み出した設定プログラムを実行することで、設定機能267を実現する。設定機能267の実現により、送信制御回路266は、生データと光学画像データとの収集状況に応じて、送信回路263が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの送信容量の割り当てと光学画像データの送信容量の割り当てとを制御する。
【0025】
架台制御回路27は、ハードウェア資源として、CPUおよびMPU等のプロセッサと、ROMおよびRAM等のメモリとを含む。架台制御回路27のプロセッサは、CTコンソール3から出力される制御信号に応じて、架台2内に設けられる各構成の動作を統括的に制御する。
【0026】
操作パネル30は、スイッチボタン、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等により実現される。操作パネル30は、操作者(本実施形態では、穿刺および点滴等の作業を行う術者を含む)から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、架台制御回路27へ出力する。
【0027】
CTコンソール3は、CTスキャンを実行する架台2、およびCTスキャンの対象である被検体Sを載置するCT用寝台4を制御するためのコンピュータ、またはワークステーションである。本実施形態に係るCTコンソール3は、例えば、画像再構成回路31と、入力インターフェース(IF)回路32と、通信IF回路33と、表示回路34と、記憶回路35と、コンソール制御回路36とを有する。
【0028】
画像再構成回路31は、CPUおよびGPU(Graphical Processing Unit)等の所定のプロセッサと、ROMおよびRAM等の所定のメモリとにより実現される。画像再構成回路31のメモリは、前処理プログラムを記憶する。画像再構成回路31のプロセッサは、前処理プログラムを実行することで、前処理機能311を実現する。前処理機能311の実現により、画像再構成回路31は、非接触データ伝送回路26から出力された生データに対して前処理を施す。前処理には、例えば、生データに対する対数変換処理、チャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。
【0029】
また、画像再構成回路31のメモリは、再構成プログラムを記憶する。画像再構成回路31のプロセッサは、再構成プログラムを実行することで、再構成機能312を実現する。再構成機能312の実現により、画像再構成回路31は、生データのセットに基づいて、CT画像を再構成する。画像再構成回路31は、再構成されたCT画像を記憶回路35へ送信する。
【0030】
入力IF回路32は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等の入力機器によって実現される。入力IF回路32は、例えば、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、コンソール制御回路36へ出力する。なお、本実施形態において、入力IF回路32は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をコンソール制御回路36へ出力する電気信号の処理回路も入力IF回路32の例に含まれる。
【0031】
通信IF回路33は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)およびPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。本実施形態において、通信IF回路33は、架台2の転送回路265と有線で接続される。
【0032】
表示回路34は、コンソール制御回路36による制御に従い、種々のデータおよび上記医用画像等を表示する。本実施形態において、表示回路34は、例えば、光学カメラ25で撮影され、非接触データ伝送回路26を介して出力された光学画像を表示する。これにより、被検体Sと架台2との位置関係を把握し、CTコンソール3から手動、または自動での被検体Sの位置決めを実行することができる。また、操作室にいながら被検体Sまたは被検体S周辺の状態のモニタリングが可能となるため、CTスキャンの開始タイミングを図ることが容易になる。表示回路34は、表示インターフェース回路と表示機器とを有する。表示インターフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0033】
記憶回路35は、比較的大容量のデータを記憶可能なHDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等である。例えば、記憶回路35は、架台2の光学カメラ25において撮影され、通信IF回路33を介して伝送された光学画像を記憶する。記憶回路35は、HDD等の磁気ディスク以外にも、光磁気ディスクと、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクとを利用してもよい。また、記憶回路35の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0034】
コンソール制御回路36は、ハードウェア資源として、CPUおよびMPU等の所定のプロセッサと、ROMおよびRAM等の所定のメモリとにより実現される。コンソール制御回路36のプロセッサは、メモリに記憶される制御プログラムにより、CTコンソール3における各構成の動作および処理等を統括的に制御する。具体的には、コンソール制御回路36は、所定のスキャンシーケンスに従って撮影を行うよう、スリップリングを介した高電圧発生器21への電力供給を制御する。また、コンソール制御回路36は、架台制御回路27を介して回転駆動装置29を制御することで、回転フレーム28を回転させる。コンソール制御回路36は、寝台駆動装置42を制御することで天板41を移動させる。天板41の移動により天板41に載置された被検体Sが回転軸に沿って移動される。
【0035】
CT用寝台4は、被検体Sを載置する天板41と、寝台駆動装置42とを有する。天板41は、回転フレーム28の中心軸に沿って移動可能にCT用寝台4に支持される。ここで、天板41に載置された被検体Sの体軸が回転フレーム28の中心軸に一致するように、天板41が位置決めされる。
【0036】
寝台駆動装置42は、架台制御回路27を介したCTコンソール3による制御、または架台制御回路27による制御に従い、天板41を移動する。例えば、寝台駆動装置42は、天板41に載置された被検体Sの体軸が回転フレーム28の開口の中心軸に一致するよう、天板41を被検体Sに対して直交方向に移動する。また、寝台駆動装置42は、架台2を用いて実行されるCTスキャンに応じて、天板41を被検体Sの体軸方向に沿って移動する。
【0037】
ここで、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について、詳しく説明する。
【0038】
(実施例1)
実施例1では、生データと光学画像データとの収集状況に応じた、生データと光学画像データとの送信回路263から受信回路264への送信に関するX線CT装置1の動作について記載する。具体例として、光学画像データのみを送信する場合、生データのみを送信する場合、生データと光学画像データとを同時に送信する場合に分けて詳しく説明する。
【0039】
(実施例1−1)
実施例1−1では、CTスキャン実行前に、穿刺または点滴等の作業を行う術者が指定する任意のビュー角度から被検体Sまたは被検体S周辺を光学的に撮影する場合について記載する。すなわち、実施例1−1では、光学画像データのみを送信回路263から受信回路264へ送信する場合について記載する。
【0040】
まず、入力IF回路32、または操作パネル30を介した術者からの回転フレーム28の回転指示に従い、架台制御回路27は、回転フレーム28を回転するよう回転駆動装置29を制御する。次に、入力IF回路32、または操作パネル30を介した術者からの撮影指示に従い、架台制御回路27は、光学カメラ25を制御し、被検体Sまたは被検体S周辺を光学的に撮影する。
【0041】
ここで、実施例1−1における送信制御回路266の動作について図3を用いて詳しく説明する。図3は、生データと光学画像データとを送信回路263から受信回路264へ送信する場合における送信制御回路266の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS1において、送信制御回路266は、架台2により実行するCTスキャンのスキャン条件と、光学カメラ25により実行する光学撮影の撮影条件とを取得する。本実施形態におけるスキャン条件は、検査部位、検査目的、撮影範囲、スキャン方式(ヘリカルスキャンおよびノンヘリカルスキャン等)、管電流、管電圧、ビュー数、ビューレート、サンプリング期間、再構成条件、ウィンドウレベル(WL:Window Level)、ウィンドウ幅(WW:Window Width)等である。また、光学撮影の撮影条件は、画像解像度、撮影範囲、撮影ビュー間隔等である。
【0043】
実施例1−1では、光学画像のみを収集するため、送信制御回路266は、光学カメラ25により実行する光学撮影の撮影条件を取得する。具体的には、送信制御回路266は、光学撮影の撮影条件として、上記光学画像を撮影する任意のビュー角度を取得する。当該ビュー角度は、術者から見た被検体Sの逆側に対応する。
【0044】
ステップS2において、送信制御回路266は、設定機能267として、生データと光学画像データとの収集状況に応じて、送信回路263が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの送信容量の割り当てと光学画像データの送信容量の割り当てとを設定する。図4は、上記所定の送信容量に占める生データの割り当てと光学画像データの割り当てとを示す図である。図4は、例えば、1ビューごとにデータを送信する場合の上記所定の送信容量の割り当てを示している。生データは、1ビューで収集されたデータ容量を有する。光学画像データは、1つのビューに対応する1フレーム分のデータ容量を有する。図4(a)に示すように、送信制御回路266は、送信回路263が有する1ビューあたりの所定の送信容量を光学画像データの送信容量として割り当てる。また、送信制御回路266は、割り当てた光学画像データの送信容量に応じて、残りの送信容量にダミーデータ(意味のないデータ)を割り当てる。なお、当該残りの送信容量にダミーデータを割り当てず、単にデータの無い状態としてもよい。
【0045】
ここで、光学画像データの送信容量は、上記撮影条件に基づいて、光学撮影実行前に設定可能である。例えば、送信制御回路266は、取得した撮影条件に基づいて、上記光学撮影により取得される、1ビューあたりの光学画像データのデータ総量を計算する。1ビューあたりの光学画像のデータ総量は、画像解像度、撮影範囲、撮影ビュー間隔等から計算可能である。送信制御回路266は、計算した光学画像のデータ総量により、上記所定の送信容量に占める光学画像データの送信容量の割り当てを設定する。
【0046】
ステップS3において、架台制御回路27は、取得したスキャン条件に基づくCTスキャンと、取得した撮影条件に基づく光学撮影とを開始する。実施例1−1では、光学画像のみを収集するため、架台制御回路27は、取得した撮影条件に基づく光学撮影を開始する。光学撮影開始後、光学カメラ25は、撮影した光学画像をケーブルを介して第2メモリ262へ出力する。第2メモリは、光学カメラ25から出力された光学画像に関する光学画像データを記憶する。送信制御回路266は、設定した光学画像データの送信容量の割り当てに基づいて、第2メモリ262から光学画像データを読み出して送信するよう送信回路263を制御する。
【0047】
これにより、送信回路263は、第2メモリ262から光学画像データを読み出して、受信回路264へ送信することができる。
【0048】
(実施例1−2)
実施例1−2では、単に被検体Sに対してCTスキャンを実行する場合について記載する。すなわち、実施例1−2では、生データのみを送信回路263から受信回路264へ送信する場合について記載する。
【0049】
まず、入力IF回路32、または操作パネル30を介した術者からのCTスキャン実行指示に従い、コンソール制御回路36は、架台制御回路27に対してCTスキャンを開始するよう指示する。架台制御回路27は、コンソール制御回路36からの指示を受け、CTスキャンを開始する。
【0050】
ここで、実施例1−2における送信制御回路266の動作について図3を用いて詳しく説明する。ステップS1において、送信制御回路266は、架台2により実行するCTスキャンのスキャン条件を取得する。
【0051】
ステップS2において、送信制御回路266は、設定機能267として、生データと光学画像データとの収集状況に応じて、送信回路263が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの送信容量の割り当てと光学画像データの送信容量の割り当てとを設定する。図4(b)に示すように、送信制御回路266は、1ビューあたりの所定の送信容量を生データの送信容量として割り当てる。また、送信制御回路266は、割り当てた生データの送信容量に応じて、残りの送信容量にダミーデータを割り当てる。
【0052】
ここで、生データの送信容量は、上記スキャン条件に基づいて、CTスキャン実行前に設定可能である。例えば、送信制御回路266は、取得したスキャン条件に基づいて、上記CTスキャンにより取得される、1ビューあたりの生データのデータ総量を計算する。1ビューあたりの生データのデータ総量は、撮影範囲、スキャン方式、サンプリング期間、ビュー数およびX線検出器23のチャンネル数および検出器列数等から計算可能である。送信制御回路266は、計算した生データのデータ総量により、上記所定の送信容量に占める生データの送信容量の割り当てを設定する。
【0053】
ステップS3において、架台制御回路27は、取得したスキャン条件に基づくCTスキャンを開始する。CTスキャン開始後、DAS24は、収集した生データを第1メモリ261へ出力する。第1メモリは、DAS24から出力された生データを記憶する。送信制御回路266は、設定した生データの送信容量の割り当てに基づいて、第1メモリ261から生データを読み出して送信するよう送信回路263を制御する。
【0054】
これにより、送信回路263は、第1メモリ261に記憶された生データを読み出して、受信回路264へ送信することができる。
【0055】
(実施例1−3)
実施例1−3では、被検体Sまたは被検体S周辺を光学的に撮影しながらCTスキャンを実行する場合について記載する。すなわち、実施例1−3では、生データと光学画像データとを同時に送信回路263から受信回路264へ送信する場合について記載する。
【0056】
まず、実施例1−1と同様に、入力IF回路32、または操作パネル30を介した術者からの撮影指示に従い、架台制御回路27は、光学カメラ25を制御し、被検体Sまたは被検体S周辺を光学的に撮影する。また、実施例1−2と同様に、架台制御回路27は、コンソール制御回路36からの指示を受け、CTスキャンを開始する。
【0057】
ここで、実施例1−3における送信制御回路266の動作について図3を用いて詳しく説明する。ステップS1において、送信制御回路266は、CTスキャンおよび光学撮影開始前に、架台2により実行するCTスキャンのスキャン条件と、光学カメラ25により実行する光学撮影の撮影条件とを取得する。
【0058】
ステップS2において、送信制御回路266は、設定機能267として、生データと光学画像との収集状況に応じて、送信回路263が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める、生データの送信容量の割り当てと、光学画像データの送信容量の割り当てとを設定する。実施例1−3において、送信制御回路266は、上記所定の送信容量を生データの送信容量として優先的に割り当て、残りの送信容量を光学画像データの送信容量として割り当てる。例えば、送信制御回路266は、指定されたビュー角度の送信タイミングにおいて、指定されたビュー角度から被検体Sまたは被検体S周辺を撮影した光学画像が送信できるよう、上記所定の送信容量に占める、生データの送信容量の割り当てと、光学画像データの送信容量の割り当てとを設定する。
【0059】
ステップS3において、架台制御回路27は、取得したスキャン条件に基づくCTスキャンと、取得した撮影条件に基づく光学撮影とを開始する。送信制御回路266は、設定した生データの送信容量の割り当てに基づいて、第1メモリ261から生データを読み出して送信するよう送信回路263を制御する。送信制御回路266は、設定した光学画像データの送信容量の割り当てに基づいて、第2メモリ262から光学画像を読み出して送信するよう送信回路263を制御する。
【0060】
これにより、送信回路263は、第1メモリ261に記憶された生データを読み出して、受信回路264へ送信することができる。また、送信回路263は、第2メモリ262から光学画像データを読み出して、受信回路264へ送信することができる。
【0061】
上記実施例1によれば、X線CT装置1は、光学画像データのみを送信回路263から受信回路264へ送信する場合、所定の送信容量を第2メモリ262に記憶された光学画像データの送信容量として割り当てる。X線CT装置1は、生データのみを送信回路263から受信回路264へ送信する場合、所定の送信容量を第1メモリ261に記憶された生データの送信容量として割り当てる。X線CT装置1は、生データと光学画像とを同時に送信回路263から受信回路264へ送信する場合、所定の送信容量を生データの送信容量として優先的に割り当て、残りの送信容量を光学画像データの送信容量として割り当てる。
【0062】
すなわち、X線CT装置1は、生データと光学画像との収集状況に応じて、生データの送信回路263から受信回路264への送信容量と、光学画像データの送信回路263から受信回路264への送信容量とを可変することができる。また、CTスキャン開始前の入力IF回路32、または操作パネル30を介した術者からの入力指示により、光学カメラ25で撮影するビュー角度が手動で設定される。送信制御回路266は、設定されたビュー角度において光学画像を一回転ごとに撮影する。これにより、術者が指定する被検体Sの任意のビュー角度の状態を常時モニタリングすることができる。
【0063】
ここで、実施例1では、上記単位時間を1ビューとしているが、実施例1はこれに限定されない。例えば、上記単位時間を複数のビューとして、複数のビューにおいて収集された生データと光学画像データとを送信回路263から受信回路264へ送信してもよい。また、実施例1では、術者が指定する任意のビュー角度から被検体Sまたは被検体S周辺を光学的に撮影しているが、実施例1はこれに限定されない。例えば、複数のビュー角度を指定して広範囲を撮影しても、被検体Sの周囲をすべて撮影する全周撮影を行ってもよい。また、実施例1では、1つの送信タイミングにおいて、1ビューで収集された生データと光学画像データとを送信回路263から受信回路264へ送信しているが、実施例1はこれに限定されない。例えば、1つの送信タイミングにおいて、複数のビューにおいて収集された生データと光学画像データとを送信回路263から受信回路264へ複数回送信してもよい。
【0064】
なお、限られた送信容量の中で光学画像データを送信するため、例えば、画像解像度を下げることにより、光学画像データの送信容量を小さくしてもよい。また、光学カメラ25のフレームレートを下げることにより、光学画像データの送信容量を小さくしてもよい。
【0065】
(実施例1−3の応用例)
上記実施例1−3において、生データと光学画像データとを同時に送信回路263から受信回路264へ送信する場合、送信制御回路266は、上記所定の送信容量を生データの送信容量として優先的に割り当て、残りの送信容量を光学画像データの送信容量として割り当てる。図5は、応用例における生データと光学画像データとの合計送信容量が所定の送信容量を超える場合の単位時間あたりの所定の送信容量に占める生データの割り当てと光学画像データの割り当てとを示す図である。
【0066】
例えば、スキャン条件および撮影条件等の変更により、生データと光学画像データとの合計送信容量が所定の送信容量を超える場合がある。実施例1−3の応用例では、生データと光学画像データとの合計送信容量が所定の送信容量を超える場合の送信制御回路266の動作について記載する。具体例として、撮影条件の変更により、図5(a)に示す光学画像データの送信容量が実施例1−3に示す光学画像データの送信容量より大きくなり、上記合計送信容量が所定の送信容量を超える場合について記載する。なお、実施例1−3と重複する記載については、詳しい説明を省略し、必要に応じて適宜説明する。また、図5は、図4と同様に、1ビューごとにデータを送信する場合の上記所定の送信容量の割り当てを示している。また、図5(b)〜図5(d)は、時系列で並べられた1ビューごとのデータの送信タイミングを示す。すなわち、図5(b)のデータが送信された後、図5(c)のデータが送信される。また、図5(c)のデータが送信された後、図5(d)のデータが送信される。
【0067】
ステップS2において、送信制御回路266は、実施例1−3と同様に、上記所定の送信容量を生データの送信容量として優先的に割り当て、残りの送信容量を光学画像データの送信容量として割り当てる。ここで、図5(a)に示すように、上記所定の送信容量に収まるA区分の光学画像データは、送信回路263から受信回路264へ送信することができる。一方、上記所定の送信容量を超えるB区分の光学画像データは、A区分の光学画像データと同一の送信タイミングで、送信回路263から受信回路264へ送信することができない。
【0068】
送信制御回路266は、上記光学画像データを分割して複数の送信タイミングに亘って送信するよう送信回路263を制御する。例えば、上記光学画像データをA区分とB区分とに分割して複数の送信タイミングに亘って送信する。例えば、送信制御回路266は、図5(b)に示す送信タイミングでA区分の光学画像データを送信し、図5(c)に示す送信タイミングでB区分の光学画像データを送信するよう送信回路263を制御する。また、送信制御回路266は、図5(c)に示す送信タイミングにおいて、割り当てたB区分の光学画像データの送信容量に応じて、残りの送信容量にダミーデータを割り当てる。
【0069】
上記実施例1−3の応用例によれば、送信制御回路266は、光学画像データを分割して複数の送信タイミングで送信するよう送信回路263を制御する。これにより、生データと光学画像データとの合計送信容量が所定の送信容量を超える場合であっても、光学画像データを送信回路263から受信回路264へ送信することができる。
【0070】
なお、上記応用例では、上記所定の送信容量に収まるデータと上記所定の送信容量を超えるデータとで、光学画像データを分割していたが、応用例はこれに限定されない。例えば、光学画像データを半分に分割する等、任意の区分で光学画像データを分割してもよい。
【0071】
(変形例1)
上記実施形態では、非接触データ伝送回路26の送信回路263から受信回路264への生データと光学画像データとの伝送について記載したが、本実施形態はこれに限定されない。図6は、変形例1に係るX線CT装置1を示すブロック図である。図6に示すように、架台2からCTコンソール3への生データと光学画像データとの転送についても本実施形態を適用可能である。なお、図1と重複する記載については、詳しい説明を省略し、必要に応じて適宜説明する。
【0072】
図6に示す非接触データ伝送回路26は、磁気送受信手法、無線送受信手法、または光送受信手段を用いる伝送装置により実現される。非接触データ伝送回路26は、DAS24で収集された生データと、光学カメラ25により撮影された光学画像データとをCTコンソール3へ伝送する。すなわち、本実施形態における非接触データ伝送回路26は、同一の伝送経路を用いて、上記生データと光学画像データとをCTコンソール3へ伝送する。非接触データ伝送回路26は、例えば、送信回路263と、受信回路264と、転送回路265と、第1メモリ268と、第2メモリ269と、転送制御回路270とを有する。
【0073】
転送制御回路270は、架台制御回路27による制御に従い、転送回路265によるCTコンソール3への生データと光学画像データとの転送を制御する。転送制御回路270は、CPUおよびMPU等のプロセッサと、ROMおよびRAM等のメモリとにより実現される。転送制御回路270のメモリは、設定プログラムを記憶する。転送制御回路270のプロセッサは、メモリに記憶された設定プログラムを読み出す。転送制御回路270のプロセッサは、読み出した設定プログラムを実行することで、設定機能271を実現する。設定機能271の実現により、転送制御回路270は、転送回路265が有する単位時間あたりの所定の転送容量に占める生データの転送容量の割り当てと光学画像データの転送容量の割り当てとを制御する。
【0074】
具体的には、転送制御回路270は、設定した生データの転送容量の割り当てに基づいて、第1メモリ268から生データを読み出して転送するよう転送回路265を制御する。転送制御回路270は、設定した光学画像データの転送容量の割り当てに基づいて、第2メモリ269から光学画像データを読み出して転送するよう転送回路265を制御する。
【0075】
これにより、転送回路265は、設定された割り当てに基づいて、生データと、光学画像とをCTコンソール3へ転送する。
【0076】
上記変形例1によれば、X線CT装置1の転送制御回路270は、架台制御回路27による制御に従い、転送回路265によるCTコンソール3への生データと光学画像データとの転送を制御する。これにより、転送回路265は、架台2からCTコンソール3へ生データと光学画像データとを転送することができる。
【0077】
(変形例2)
上記実施形態では、臥位状態の被検体Sに対してCTスキャンを実行するためのX線CT装置1における、非接触データ伝送回路26の送信回路263から受信回路264への生データと光学画像データとの伝送について記載したが、本実施形態はこれに限定されない。図7は、変形例2に係る立位CT装置5が備える立位CT用架台6を示す斜視図である。図8は、変形例2に係る立位CT装置5を示すブロック図である。例えば、立位または座位状態の被検体Sに対してCTスキャンを実行するための立位CT用架台6を備える立位CT装置5にも本実施形態を適用可能である。なお、図1と重複する記載については、詳しい説明を省略し、必要に応じて適宜説明する。
【0078】
図8に示す立位CT用架台6は、図1に示す構成に加えて、支柱61を備える。支柱61は、架台2を床面から離反して支持する基体である。支柱61は、例えば、円柱形状や角柱形状等の柱状形状を有する。支柱61は、例えば、プラスチックや金属等の任意の物質により形成される。支柱61は、例えば、架台2の側面に取り付けられる。支柱61は、立位状態の被検体Sに対してCTスキャンを実行するため、開口の中心軸が床面に対して垂直方向を維持した状態において架台2を上下方向に移動可能に支持する。
【0079】
支柱61には架台2の垂直方向に関する上下方向の移動のための駆動装置(以降、支柱駆動装置と呼称する。)62が収容されている。支柱駆動装置62は、架台制御回路27からの制御に従い、架台2を上下方向に関して移動するための動力を発生する。具体的には、支柱駆動装置62は、架台制御回路27からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。支柱61は、支柱駆動装置62からの動力を受けて、支柱61に対して架台2を上下方向に関して移動する。支柱駆動装置62は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
【0080】
支柱61は、例えば、架台2の水平軸(回転軸ともいう。以降、チルト軸と呼称する。)回りに回転可能に架台2を支持するように構成される。この場合、支柱61と架台2とは、架台2がチルト軸回りに回転可能に回転軸等を介して接続される。
【0081】
支柱61には架台2のチルト軸に関するチルトのための駆動装置(以降、チルト駆動装置63と呼称する。)が収容されている。チルト駆動装置63は、架台制御回路27からの制御に従い、架台2をチルト軸に関して回転するための動力を発生する。具体的には、チルト駆動装置63は、架台制御回路27からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。支柱61は、チルト駆動装置63からの動力を受けて、架台2をチルト軸に関してチルトする。チルト駆動装置63は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
【0082】
従来の立位CT装置は、構造上、被検体Sと架台2との干渉を確認することが困難である。一方、上記変形例2に係る立位CT装置5は、光学カメラ25により架台2内の被検体Sの状態をモニタリングすることができるため、被検体Sと架台2との干渉状態の確認を容易に行うことができる。
【0083】
(変形例3)
上記実施形態では、例えば、操作者からの入力指示により、光学カメラ25で撮影するビュー角度が手動で設定されている。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係るX線CT装置1の光学カメラ25は、スキャンモードに応じた所定のビュー角度に到達するごとに被検体Sを撮影してもよい。
【0084】
(変形例4)
上記実施形態では、例えば、操作者からの入力指示により、光学カメラ25で撮影するビュー角度が手動で設定されている。また、スキャンモードに応じて、光学カメラ25で撮影するビュー角度が設定されている。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、穿刺画像を撮影する場合におけるビュー角度の設定は、上記手動での設定の他に、操作者情報から推定してもよい。具体的には、操作者情報と検査目的とが紐付けられた穿刺角度情報から推定してもよい。
【0085】
(総括)
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線CT装置は、X線源と、X線検出器と、光学カメラと、回転フレームと、固定フレームと、送信回路と、送信制御回路とを備える。送信回路は、X線検出器において検出されたX線に関する検出データ(生データ)と、光学カメラにおいて撮影された光学画像とを、回転フレームに設置された送信回路から固定フレームに設置された受信回路へ送信する。送信制御回路は、検出データと光学画像との収集状況に応じて、送信回路が有する単位時間あたりの所定の送信容量に占める光学画像データの送信容量の割り当てを制御する。
【0086】
上記の構成により、本実施形態に係るX線CT装置は、光学カメラを設置することで、術者の位置に関わらず、被検体または被検体周辺の状態を簡易的にモニタリングすることができる。また、光学カメラにより撮影された画像をX線CT装置のコンソールに伝送するための専用の伝送経路の設置が不要である。
【0087】
かくして、本実施形態に係るX線CT装置は、術者による被検体または被検体周辺のモニタリングの負担および装置の規模の増大を軽減することができる。
【0088】
なお、変形例1に記載する転送回路265と、転送制御回路270とは、図1に示すX線CT装置1および図7に示す立位CT装置5に搭載されていてもよい。
【0089】
なお、上記実施形態におけるX線CT装置は、いわゆる第3世代であるとした。すなわち、X線CT装置1は、X線源とX線検出器とが一体となって回転軸の周囲を皆伝する回転/回転型(Rotate/Rotate-Type)であるとした。しかしながら、本実施形態に係るX線CT装置は、それのみに限定されない。例えば、X線CT装置は、リング状に配列された多数の受光帯が固定され、X線源のみが回転軸の周囲を回転する固定/回転型(Stationary/Rotate-Type)でもよい。また、X線CT装置1は、リング状に配列された多数の受光帯が固定され、リング状に陽極が配置され、電磁偏向により電子ビームを陽極に照射させる第5世代でもよい。
【0090】
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のprocessor、circuit(circuitry)、processing circuit(circuitry)、operation circuit(circuitry)、arithmetic circuit(circuitry)、あるいは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理回路)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理回路)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…X線CT装置、2…架台、3…CTコンソール、4…CT用寝台、5…立位CT装置、6…立位CT用架台、21…高電圧発生器、22…X線源、23…X線検出器、24…データ収集回路(DAS)、25…光学カメラ、26…非接触データ伝送回路、27…架台制御回路、28…回転フレーム、29…回転駆動装置、29…回転駆動装置、30…操作パネル、31…画像再構成回路、32…入力インターフェース(IF)回路、33…通信インターフェース(IF)回路、34…表示回路、35…記憶回路、36…コンソール制御回路、41…天板、42…寝台駆動装置、61…支柱、62…支柱駆動装置、63…チルト駆動装置、100…マイラ板、101…透明部、261…第1メモリ、262…第2メモリ、263…送信回路、264…受信回路、265…転送回路、266…送信制御回路、267…設定機能、268…第1メモリ、269…第2メモリ、270…転送制御回路、271…設定機能、311…前処理機能、312…再構成機能。
図1
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図8