特許第6870996号(P6870996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870996
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20210426BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B06B1/04 S
   H02K33/16 A
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-13431(P2017-13431)
(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公開番号】特開2018-118231(P2018-118231A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2020年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤沼 智弘
(72)【発明者】
【氏名】大井 満
【審査官】 末續 礼子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−192995(JP,A)
【文献】 特開2004−304694(JP,A)
【文献】 特開2017−018936(JP,A)
【文献】 特開2010−022988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体およびコイルを有する静止部と、
磁石とおもりとを含み、前記静止部に対して、横方向に振動可能に支持される振動体と、
板状の第1弾性部と、
板状の第2弾性部と、
を備え、
前記第1弾性部は、第1固定部と、第2固定部と、第1連結部と、を有し、
前記第2弾性部は、第3固定部と、第4固定部と、第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、
前記第2連結部は、前記第3固定部と前記第4固定部とを連結し、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部および前記第4固定部は、横方向に延び、
前記第1固定部と前記第2固定部は、横方向と直交する縦方向に対向し、
前記第3固定部と前記第4固定部は、縦方向に対向し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記振動体の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部を有し、
前記おもりは、
横方向に延びる第1側壁部と、
縦方向に延びる第2側壁部と、
縦方向に延びる第3側壁部と、を有し、
前記第2側壁部と前記第3側壁部は、横方向に対向し、
前記第1固定部は、前記第1側壁部の横方向一方側に固定され、
前記第3固定部は、前記第1側壁部の横方向他方側に固定され、
前記第1連結部の前記平面部は、前記第2側壁部と横方向に対向し、
前記第2連結部の前記平面部は、前記第3側壁部と横方向に対向し、
前記第2固定部および前記第4固定部は、前記筐体の横方向に延びる内壁面に固定され、
前記第1連結部は、前記平面部の一端から横方向に向かうよう湾曲する第1湾曲部と、前記平面部の他端から横方向に向かうよう湾曲する第2湾曲部と、をさらに有し、
前記第1固定部は、前記第1湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2固定部は、前記第2湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2連結部は、前記平面部の一端から横方向に向かうよう湾曲する第3湾曲部と、前記平面部の他端から横方向に向かうよう湾曲する第4湾曲部と、をさらに有し、
前記第3固定部は、前記第3湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第4固定部は、前記第4湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び
前記第1連結部はさらに、
横方向および縦方向に直交する上下方向の幅が前記第1固定部および前記第2固定部よりも狭い第1幅狭部と、
前記第1幅狭部から前記第1固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第1傾斜部と、
前記第1幅狭部から前記第2固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の少なくとも一方は、前記第1幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する、振動モータ。
【請求項2】
筐体およびコイルを有する静止部と、
磁石とおもりとを含み、前記静止部に対して、横方向に振動可能に支持される振動体と、
板状の第1弾性部と、
板状の第2弾性部と、
を備え、
前記第1弾性部は、第1固定部と、第2固定部と、第1連結部と、を有し、
前記第2弾性部は、第3固定部と、第4固定部と、第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、
前記第2連結部は、前記第3固定部と前記第4固定部とを連結し、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部および前記第4固定部は、横方向に延び、
前記第1固定部と前記第2固定部は、横方向と直交する縦方向に対向し、
前記第3固定部と前記第4固定部は、縦方向に対向し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記振動体の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部を有し、
前記おもりは、
横方向に延びる第1側壁部と、
縦方向に延びる第2側壁部と、
縦方向に延びる第3側壁部と、を有し、
前記第2側壁部と前記第3側壁部は、横方向に対向し、
前記第1固定部は、前記第1側壁部の横方向一方側に固定され、
前記第3固定部は、前記第1側壁部の横方向他方側に固定され、
前記第1連結部の前記平面部は、前記第2側壁部と横方向に対向し、
前記第2連結部の前記平面部は、前記第3側壁部と横方向に対向し、
前記第2固定部および前記第4固定部は、前記筐体の横方向に延びる内壁面に固定され、
前記第1固定部は、前記平面部の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2固定部は、前記平面部の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第3固定部は、前記平面部の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第4固定部は、前記平面部の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び
前記第1連結部はさらに、
横方向および縦方向に直交する上下方向の幅が前記第1固定部および前記第2固定部よりも狭い第1幅狭部と、
前記第1幅狭部から前記第1固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第1傾斜部と、
前記第1幅狭部から前記第2固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の少なくとも一方は、前記第1幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する、 振動モータ。
【請求項3】
前記振動体の変位がゼロのときに前記第1固定部の固定箇所と前記第2固定部の固定箇所とは縦方向に対向し、
前記振動体の変位がゼロのときに前記第3固定部の固定箇所と前記第4固定部の固定箇所とは縦方向に対向する、請求項1または請求項2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記第1弾性部と前記第2弾性部とは、横方向に延びる弾性部連結体により連結される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記第1固定部と前記第3固定部の少なくともいずれかは、前記第1側壁部に溶接部により固定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記溶接部により補強板が前記第1固定部と前記第3固定部の少なくともいずれかに固定される、請求項5に記載の振動モータ。
【請求項7】
前記第2固定部と前記第4固定部の少なくともいずれかは、前記内壁面に溶接部により固定される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項8】
前記溶接部により補強板が前記第2固定部と前記第4固定部の少なくともいずれかに固定される、請求項7に記載の振動モータ。
【請求項9】
前記第2連結部は、
横方向および縦方向に直交する上下方向の幅が前記第3固定部および前記第4固定部よりも狭い第2幅狭部と、
前記第2幅狭部から前記第3固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第3傾斜部と、
前記第2幅狭部から前記第4固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第4傾斜部と、を有し、
前記第3傾斜部と前記第4傾斜部の少なくとも一方は、前記第2幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項10】
前記振動体は、横方向および縦方向に直交する上下方向に前記磁石と対向する天板部を有し、
前記天板部と前記筐体との間の隙間に、磁性流体が配置される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項11】
前記コイルと前記振動体との間の隙間に、磁性流体が配置される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の各種機器には、振動モータが備えられる。この振動モータには、横方向に振動体が振動する所謂、横リニア型の振動モータが存在する。このような従来の振動モータの一例は、特許文献1に開示される。
【0003】
特許文献1の振動モータは、おもりを含む振動体と、一対の板バネと、を有する。振動体は横方向に振動する。板バネは、平面視でV字形状をしており、互いに同じ形状である。一方の板バネは、おもりにおける横方向に直交する縦方向に対向する一方の側壁面の横方向一方側に固定される。他方の板バネは、おもりにおける他方の側壁面の横方向他方側に固定される。すなわち、平面視で、互いの板バネの固定箇所は、対角に位置する。
【0004】
また、従来の振動モータの別の一例は、特許文献2に開示される。特許文献2の振動モータは、ハウジングと、振動体と、一対の板バネと、を有する。板バネの長手方向の一端は、振動体の側壁面に固定され、他端はハウジングの周壁面に固定される。板バネと振動体との接続部と、板バネと周壁面との取付部とは、振動体の振動方向と交差する方向に位置させて、振動体を間に挟んだ一方側と他方側とに配置する。板バネにおいて接続部と取付部との間に配置される中間部は、一方側の領域から取付部が位置する他方側の領域に向かうにつれて、振動体側から周壁面側に漸近するように斜めに傾けられて形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国公開特許公報第102820760号
【特許文献2】特開2013−169544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の振動モータでは、振動体が横方向に振動する際の変位量を確保するためには、板バネのV字形状の開きを確保する必要があるので、振動モータ全体としての横方向のサイズが大きくなるという問題がある。
【0007】
また、各板バネとおもりとの固定箇所が平面視で対角の位置にあるので、振動体が平面視で斜め方向(対角の方向)に振動し易い。振動体が斜め方向に振動すると、おもりがケースにおける縦方向に対向する一対の側壁面に接触する場合がある。従って、接触を回避するためには、おもりとケースとの間にスペースを設ける必要があり、振動モータが縦方向に大型化する虞がある。
【0008】
また、上記特許文献2の振動モータでは、板バネの中間部が斜めに傾けられて形成されるので、振動モータが横方向に大型化する問題がある。また、取付部は、中間部の一端から延びる湾曲部との連結箇所から横方向に湾曲せず延びる形状であるのに対して、接続部は、中間部の他端から延びる湾曲部に対してさらに2回湾曲してから連結されるので、振動体が平面視で斜め方向に振動し易い。また、接続部と取付部における固定箇所は、振動体が振動する方向に交差する縦方向に対向していないので、その点でも振動体は平面視で斜め方向に振動し易い。振動体が斜め方向に振動すると、振動体が取付部に接触する虞があるため、板バネを縦方向にサイズを大きくする必要がある。すなわち、振動モータが縦方向に大型化する問題がある。
【0009】
上記状況に鑑み、本発明は、サイズの大型化を抑制することが可能となる振動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例示的な振動モータは、筐体およびコイルを有する静止部と、
磁石とおもりとを含み、前記静止部に対して、横方向に振動可能に支持される振動体と、
板状の第1弾性部と、
板状の第2弾性部と、
を備え、
前記第1弾性部は、第1固定部と、第2固定部と、第1連結部と、を有し、
前記第2弾性部は、第3固定部と、第4固定部と、第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、
前記第2連結部は、前記第3固定部と前記第4固定部とを連結し、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部および前記第4固定部は、横方向に延び、
前記第1固定部と前記第2固定部は、横方向と直交する縦方向に対向し、
前記第3固定部と前記第4固定部は、縦方向に対向し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記振動体の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部を有し、
前記おもりは、
横方向に延びる第1側壁部と、
縦方向に延びる第2側壁部と、
縦方向に延びる第3側壁部と、を有し、
前記第2側壁部と前記第3側壁部は、横方向に対向し、
前記第1固定部は、前記第1側壁部の横方向一方側に固定され、
前記第3固定部は、前記第1側壁部の横方向他方側に固定され、
前記第1連結部の前記平面部は、前記第2側壁部と横方向に対向し、
前記第2連結部の前記平面部は、前記第3側壁部と横方向に対向し、
前記第2固定部および前記第4固定部は、前記筐体の横方向に延びる内壁面に固定され、
前記第1連結部は、前記平面部の一端から横方向に向かうよう湾曲する第1湾曲部と、前記平面部の他端から横方向に向かうよう湾曲する第2湾曲部と、をさらに有し、
前記第1固定部は、前記第1湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2固定部は、前記第2湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2連結部は、前記平面部の一端から横方向に向かうよう湾曲する第3湾曲部と、前記平面部の他端から横方向に向かうよう湾曲する第4湾曲部と、をさらに有し、
前記第3固定部は、前記第3湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第4固定部は、前記第4湾曲部との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び
前記第1連結部はさらに、
横方向および縦方向に直交する上下方向の幅が前記第1固定部および前記第2固定部よりも狭い第1幅狭部と、
前記第1幅狭部から前記第1固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第1傾斜部と、
前記第1幅狭部から前記第2固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の少なくとも一方は、前記第1幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する、
構成としている。
【0011】
本発明の別の例示的な振動モータは、
筐体およびコイルを有する静止部と、
磁石とおもりとを含み、前記静止部に対して、横方向に振動可能に支持される振動体と、
板状の第1弾性部と、
板状の第2弾性部と、
を備え、
前記第1弾性部は、第1固定部と、第2固定部と、第1連結部と、を有し、
前記第2弾性部は、第3固定部と、第4固定部と、第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、
前記第2連結部は、前記第3固定部と前記第4固定部とを連結し、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部および前記第4固定部は、横方向に延び、
前記第1固定部と前記第2固定部は、横方向と直交する縦方向に対向し、
前記第3固定部と前記第4固定部は、縦方向に対向し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記振動体の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部を有し、
前記おもりは、
横方向に延びる第1側壁部と、
縦方向に延びる第2側壁部と、
縦方向に延びる第3側壁部と、を有し、
前記第2側壁部と前記第3側壁部は、横方向に対向し、
前記第1固定部は、前記第1側壁部の横方向一方側に固定され、
前記第3固定部は、前記第1側壁部の横方向他方側に固定され、
前記第1連結部の前記平面部は、前記第2側壁部と横方向に対向し、
前記第2連結部の前記平面部は、前記第3側壁部と横方向に対向し、
前記第2固定部および前記第4固定部は、前記筐体の横方向に延びる内壁面に固定され、
前記第1固定部は、前記平面部の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第2固定部は、前記平面部の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第3固定部は、前記平面部の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、
前記第4固定部は、前記平面部の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び
前記第1連結部はさらに、
横方向および縦方向に直交する上下方向の幅が前記第1固定部および前記第2固定部よりも狭い第1幅狭部と、
前記第1幅狭部から前記第1固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第1傾斜部と、
前記第1幅狭部から前記第2固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の少なくとも一方は、前記第1幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する、構成としている。

【発明の効果】
【0012】
例示的な本発明の振動モータによれば、サイズの大型化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る振動モータの上方から視た全体斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る振動モータにおいてカバー部を取り外した状態での斜視図である。
図3図3は、図2の状態を上方から視た平面図である。
図4図4は、振動体および弾性部材から構成される構成部を下方から視た斜視図である。
図5図5は、カバー部を下方から視た場合の平面図である。
図6図6は、本実施形態に係る振動モータを縦方向中央位置において上下方向に切断した状態での側面断面図である。
図7A図7Aは、振動体に対して弾性部材を固定する工程を説明するための上方から視た平面図である。
図7B図7Bは、図7Aをおもり41の第4側壁部414側から視た場合の側面図である。
図8A図8Aは、弾性部材を固定した振動体をカバー部に固定する工程について説明するための上方から視た平面図である。
図8B図8Bは、図8Aの状態での側面断面図である。
図9図9は、変形例に係る弾性部材の斜視図である。
図10図10は、弾性部材の変形例に係る第1連結部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の図面において、振動体が振動する方向である横方向をX方向で表す。また、横方向に対して、直交する方向である縦方向をY方向として表す。また、横方向および縦方向に直交する方向である上下方向をZ方向として表す。例えば、図1において紙面上側が上下方向(Z方向)における上側となる。但し、この方向の定義は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係および方向を示すものではない。
【0015】
<1.振動モータの全体構成>
図1は、本実施形態に係る振動モータ100の上方から視た全体斜視図である。図2は、振動モータ100においてカバー部12を取り外した状態での斜視図である。図3は、図2の状態を上方から視た平面図である。図4は、振動体4および弾性部材から構成される構成部を下方から視た斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る振動モータ100は、筐体1、基板2、コイル3、振動体4、第1弾性部材5、および第2弾性部材6を備える。筐体1は、ベース部11と、カバー部12と、を有する。
【0017】
カバー部12は、天面部120と、天面部120と連接されて下方に延びる第1側面部121〜第4側面部124を有し、天面部120と上下方向に対向する箇所が開口した略直方体形状の部材である。第1側面部121および第2側面部122は、横方向に延びて、互いに縦方向に対向する。第3側面部123および第4側面部124は、縦方向に延びて、互いに横方向に対向する。
【0018】
基板2は、FPC(フレキシブルプリント基板)で構成される。なお、基板2は、リジッド基板で構成されてもよい。基板2は、板状部材であるベース部11の上面に固定される。コイル3は、基板2の上面に取付けられる。コイル3は、例えば接着剤により接着される。なお、コイル3は基板2に接着以外の方法により固定されてもよい。
【0019】
静止部は、筐体1、基板2、およびコイル3によって構成される。つまり、振動モータ100は、筐体1およびコイル3を有する静止部を備える。
【0020】
ベース部11は、横方向に延びる第1辺部111に切欠き部11A、11Bを有し、第1辺部111に対向する第2辺部112に切欠き部11C、11Dを有する。カバー部12の第1側面部121は、下方向に突出する突出部12A、12Bを有する。カバー部12の第2側面部122は、下方向に突出する2つの突出部(不図示)を有する。突出部12A、12Bは、それぞれ切欠き部11A、11Bに嵌る。第2側面部122の突出部は、それぞれ切欠き部11C、11Dに嵌る。これにより、振動モータ100の製造時において、カバー部12のベース部11に対する縦方向の位置決めを行うことができる。
【0021】
ベース部11は、第1起立部11Eと第2起立部11Fを有する。第1起立部11Eと第2起立部11Fは、横方向において配列され、各々切り起こし加工によって形成される。カバー部12の第3側面部123の内壁面は第1起立部11Eに接触し、第4側面部124の内壁面は第2起立部11Fに接触する。これにより、振動モータ100の製造時において、カバー部12のベース部11に対する横方向の位置決めを行うことができる。
【0022】
ケース部12をベース部11に取付けた状態で、基板2の一部は縦方向に外部に筐体1からはみ出す。このはみ出した部分は、ベース部11の縦方向に突出した突出台部113の上面に配置される。突出台部113は、第1辺部111の中央部から突出する。基板2の上記はみ出した部分には、2つの端子211が設けられる。外部より端子211を介してコイル3に通電を行うことができる。
【0023】
振動体4は、おもり41と、磁石42Aと、磁石42Bと、天板部43と、を有する。おもり41は、例えばタングステン合金によって構成される。おもり41は、第1側壁部411〜第4側壁部414を有する。第1側壁部411は、横方向に延びる。第2側壁部412は、縦方向に延びる。第3側壁部413は、縦方向に延び、第2側壁部412と横方向に対向する。第4側壁部414は、横方向に延び、第1側壁部411と縦方向に対向する。
【0024】
おもり41は、上下方向に貫通する空洞部41A、41Bを有する。磁石42A、42Bは、それぞれ空洞部41A、41B内部に収容される。磁石42A、42Bは、おもり41に対して例えば接着剤によって固定される。磁石42A、42Bは、コイル3に対して上側に配置される。なお、空洞部41A、41Bは、おもり41を上下方向に貫通していなくともよく、磁石42A、42Bを収容可能な凹部であってもよい。
【0025】
天板部43は、おもり41の上面に固定される。天板部43の固定は、例えば接着剤による接着によって行われる。天板部43の少なくとも一部は、磁性体から構成され、磁石42A、42Bに対するバックヨークとして機能する。
【0026】
第1弾性部材5は、板バネである。第1弾性部材5は、第1固定部51と、第2固定部52と、第1連結部53と、を有する。第1固定部51および第2固定部52は、それぞれ横方向に延びる平面状の部分である。第1固定部51と第2固定部52とは、縦方向に対向する。第1連結部53は、第1固定部51と第2固定部52とを連結する。
【0027】
第2弾性部材6は、板バネである。第2弾性部材6は、第3固定部61と、第4固定部62と、第2連結部63と、を有する。第3固定部61および第4固定部62は、それぞれ横方向に延びる平面状の部分である。第3固定部61と第4固定部62とは、縦方向に対向する。第2連結部63は、第3固定部61と第4固定部62とを連結する。
【0028】
おもり41の第1側壁部411は、横方向一方側に第1切欠き部C1を有し、横方向他方側に第2切欠き部C2を有する。第1固定部51は、第1切欠き部C1において第1側壁部411に固定される。第3固定部61は、第2切欠き部C2において第1側壁部411に固定される。
【0029】
第1固定部51は、第1側壁部411に溶接によって固定される。なお、第1固定部51の第1側壁部411側の面と反対側の面には、第1補強板71が溶接により固定される。なお、第1固定部51は、第1側壁部411に対して接着剤によって固定されてもよい。
【0030】
第2固定部52は、カバー部12の第1側面部121の内壁面に溶接により固定される。なお、第2固定部52の第1側面部121側の面と反対側の面には、第2補強板72が溶接により固定される。なお、第2固定部52は、第1側面部121に対して接着剤によって固定されてもよい。
【0031】
おもり41の第4側壁部414は、横方向一方側に第3切欠き部C3を有し、横方向他方側に第4切欠き部C4を有する。第2固定部52の固定箇所は、第3切欠き部C3と縦方向に対向する。
【0032】
第3固定部61は、第1側壁部411に溶接によって固定される。なお、第3固定部61の第1側壁部411側の面と反対側の面には、第3補強板73が溶接により固定される。なお、第3固定部61は、第1側壁部411に対して接着剤によって固定されてもよい。
【0033】
第4固定部62は、カバー部12の第1側面部121の内壁面に溶接により固定される。なお、第4固定部62の第1側面部121側の面と反対側の面には、第4補強板74が溶接により固定される。なお、第4固定部62は、第1側面部121に対して接着剤によって固定されてもよい。第4固定部62の固定箇所は、第4切欠き部C4と縦方向に対向する。
【0034】
第1連結部53は、平面部531を有する。平面部531は、第2側壁部412と横方向に対向する。平面部531は、縦方向の両端側から向き合う方向に向かうに連れて、上下方向の幅は漸減して途中で一定となる。第1連結部53は、平面部531の一端から横方向に向かうよう湾曲する第1湾曲部532と、平面部531の他端から横方向に向かうよう湾曲する第2湾曲部533と、をさらに有する。第1固定部51は、第1湾曲部532と連結され、その連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。第2固定部52は、第2湾曲部533と連結され、その連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。
【0035】
第2連結部63は、平面部631を有する。平面部631は、第3側壁部413と横方向に対向する。平面部631は、縦方向の両端側から向き合う方向に向かうに連れて、上下方向の幅は漸減して途中で一定となる。第2連結部63は、平面部631の一端から横方向に向かうよう湾曲する第3湾曲部632と、平面部631の他端から横方向に向かうよう湾曲する第4湾曲部633と、をさらに有する。第3固定部61は、第3湾曲部632と連結され、その連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。第4固定部62は、第4湾曲部633と連結され、その連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。
【0036】
このように、振動体41は、カバー部12に対して第1弾性部材5、第2弾性部材6によって支持される。
【0037】
ここで、図5は、カバー部12を下方から視た場合の平面図である。すなわち、カバー部12の下方の開口から内部を視た状態の図である。なお、図5において、振動体4の図示は簡略化している。図5における実線で示す振動体4、および弾性部材5、6の状態は、コイル3に通電を行っておらず振動体4に磁界の作用による力が加わっていない状態を示す。すなわち、板バネである第1弾性部材5、第2弾性部材6は自然状態であり、振動体4の変位がゼロである状態である。この状態において、第1連結部53の有する平面部531、および第2連結部63の有する平面部631は、ともに縦方向に延びる状態である。また、この状態において、第1固定部51とおもり41との固定箇所と、第2固定部52とカバー部12との固定箇所とは、縦方向に対向し、第3固定部61とおもり41との固定箇所と、第4固定部62とカバー部12との固定箇所とは、縦方向に対向する。
【0038】
振動体4の変位がゼロの状態においてコイル3に通電を行うと、コイル3により生じる磁界と、磁石42A、42Bによる磁界との相互作用により、振動体4は横方向に振動する。図5において示す破線は、振動中において振動体4が横方向一方側に変位した或る位置に位置する場合の、振動体4および弾性部材の状態を示す。なお、図5の破線が振動体4が横方向一方側に最大限に変位した状態である場合、おもり41の第2側壁部412と第1連結部53との最小隙間X1、および第1連結部53とカバー部12との最小隙間X2が、ともにゼロとならないように設計が行われる。
【0039】
このように本実施形態の振動モータ100は、筐体1およびコイル3を有する静止部と、磁石42A、42Bとおもり41とを含み、前記静止部に対して、横方向に振動可能に支持される振動体4と、板状の第1弾性部5と、板状の第2弾性部6と、を備える。
【0040】
前記第1弾性部5は、第1固定部51と、第2固定部52と、第1連結部53と、を有する。前記第2弾性部6は、第3固定部61と、第4固定部62と、第2連結部63と、を有する。前記第1連結部53は、前記第1固定部51と前記第2固定部52とを連結し、前記第2連結部63は、前記第3固定部61と前記第4固定部62とを連結する。
【0041】
前記第1固定部51、前記第2固定部52、前記第3固定部61および前記第4固定部62は、横方向に延びる。前記第1固定部51と前記第2固定部52は、横方向と直交する縦方向に対向し、前記第3固定部61と前記第4固定部62は、縦方向に対向する。前記第1連結部53および前記第2連結部63は、振動体4の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部531、631を有する。
【0042】
前記おもり41は、横方向に延びる第1側壁部411と、縦方向に延びる第2側壁部412と、縦方向に延びる第3側壁部413と、を有する。前記第2側壁部412と前記第3側壁部413は、横方向に対向する。前記第1固定部51は、前記第1側壁部411の横方向一方側に固定され、前記第3固定部61は、前記第1側壁部411の横方向他方側に固定される。前記第1連結部53の前記平面部531は、前記第2側壁部412と横方向に対向し、前記第2連結部63の前記平面部631は、前記第3側壁部413と横方向に対向する。前記第2固定部52および前記第4固定部62は、前記筐体1の横方向に延びる内壁面(カバー部12の内壁面)に固定される。
【0043】
前記第1連結部53は、前記平面部531の一端から横方向に向かうよう湾曲する第1湾曲部532と、前記平面部531の他端から横方向に向かうよう湾曲する第2湾曲部533と、をさらに有する。前記第1固定部51は、前記第1湾曲部532との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、前記第2固定部52は、前記第2湾曲部533との連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。
【0044】
前記第2連結部63は、前記平面部631の一端から横方向に向かうよう湾曲する第3湾曲部632と、前記平面部631の他端から横方向に向かうよう湾曲する第4湾曲部633と、をさらに有する。前記第3固定部61は、前記第3湾曲部632との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、前記第4固定部62は、前記第4湾曲部633との連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる。
【0045】
このような構成によれば、従来のV字形状の板バネを用いる場合の確保すべき板バネの開きが不要となるので、振動モータ100の横方向の大型化を抑制することができる。また、第1連結部53および第2連結部63は、振動体4の変位がゼロのときに縦方向に延びる平面部531、631を有するので、筐体1の横方向のサイズを抑えることができる。
【0046】
また、上記のような湾曲部と固定部の構成によって、振動体4が振動する際に振動体4が斜め方向(平面視で対角方向)に変位することを抑制できる。これにより、振動モータ100の縦方向の大型化を抑制することができる。
【0047】
また、振動体4の変位がゼロのときに、第1固定部51の固定箇所と第2固定部52の固定箇所とが縦方向に対向するとともに、第3固定部61の固定箇所と第4固定部62の固定箇所とが縦方向に対向するので、振動体4が振動する際に振動体4が斜め方向(平面視で対角方向)に変位することを抑制できる。これにより、振動モータ100の縦方向の大型化を抑制することができる。
【0048】
このように本実施形態によれば、振動モータ100のサイズの大型化を抑制することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、前記第1固定部51と前記第3固定部61の少なくともいずれかは、前記第1側壁部411に溶接部により固定される。これにより、第1弾性部材5または第2弾性部材6と、おもり41との固定を強固にできる。
【0050】
また、前記溶接部により補強板71、73が前記第1固定部51と前記第3固定部61の少なくともいずれかに固定される。これにより、補強板により第1固定部51または第3固定部61による固定箇所の強度を補強するとともに、補強板により溶接する箇所の厚みを確保し、溶接を行い易くできる。
【0051】
また、前記第2固定部52と前記第4固定部62の少なくともいずれかは、前記内壁面に溶接部により固定される。これにより、第1弾性部材5または第2弾性部材6と、筐体1との固定を強固にできる。
【0052】
前記溶接部により補強板72、74が前記第2固定部52と前記第4固定部62の少なくともいずれかに固定される。これにより、補強板により第2固定部52または第4固定部62による固定箇所の強度を補強するとともに、補強板により溶接する箇所の厚みを確保し、溶接を行い易くできる。
【0053】
また、ここで、図6は、振動モータ100を縦方向中央位置において上下方向に切断した状態での側面断面図である。図6に示すように、天板部43の上面と、カバー部12の天面部120の下面との間の隙間には、粘性を有する磁性流体S1が配置される。すなわち、前記振動体4は、上下方向に磁石42A、42Bと対向する天板部43を有し、前記天板部43と前記筐体1との間の隙間に、磁性流体S1が配置される。
【0054】
これにより、磁性流体S1は、振動体4が振動する際にダンパーとしての機能を発揮する。また、磁性流体S1は磁性を有することにより、振動体4が振動しても、磁性を有する天板部43上にとどまることができる。
【0055】
また、図6に示すように、コイル3の上面と振動体4の下面との間の隙間には、粘性を有する磁性流体S2が配置される。すなわち、前記コイル3と前記振動体4との間の隙間に、磁性流体S2が配置される。
【0056】
これにより、磁性流体S2は、振動体4が振動する際にダンパーとしての機能を発揮する。また、磁性流体S2は磁性を有することにより、振動体4が振動しても、金属製のコイル3上にとどまることができる。なお、磁性流体S1、S2は、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0057】
<2.振動モータの製造工程について>
次に、本実施形態に係る振動モータ100の製造工程について説明する。特に、振動体4を弾性部材によってカバー部12に対して支持させる構成の製造工程について説明する。
【0058】
まず、振動体4に対して弾性部材を固定する工程が行われる。図7Aは、振動体4に対して弾性部材を固定する工程を説明するための上方から視た平面図である。図7Bは、図7Aをおもり41の第4側壁部414側から視た場合の側面図である。図7A図7Bに示すように、本工程では治具201が使用される。
【0059】
治具201は、柱部201A〜201Fと、基台部201Gと、を有し、各部は同一部材として構成される。柱部201A、201Bは、円柱状であり、基台部201Gの横方向一方側端部から上方に延びる。柱部201Cは、直方体状であり、柱部201A、201Bと微小な隙間を介して横方向に対向し、基台部201G上面から上方向に延びる。柱部201D、201Eは、円柱状であり、基台部201Gの横方向他方側端部から上方向に延びる。柱部201Fは、直方体状であり、柱部201D、201Eと微小な隙間を介して横方向に対向し、基台部201G上面から上方に延びる。
【0060】
このような構成の治具201を用意した上で、第1弾性部材5の第1連結部53を柱部201A、201Bと柱部201Cとよって挟み込むとともに、第2弾性部材6の第2連結部63を柱部201D、201Eと柱部201Fとよって挟み込むことで、第1弾性部材5および第2弾性部材6を治具201に保持させる。
【0061】
そして、おもり41、磁石42A、42B、および天板部43から振動体4を構成した状態で、振動体4を基台部201Gの上面に配置する。この状態で、おもり41は、柱部201Cおよび201Fによって横方向に挟まれる。
【0062】
そして、おもり41に縦方向の一方向(図7Aの白抜き矢印方向)に力をかけることで、第1側壁部411を第2固定部51および第3固定部61に押し当てる。その状態で、第1補強板71を介して溶接を行うことで第2固定部51を第1側壁部411の横方向一方側に固定するとともに、第3補強板73を介して溶接を行うことで第3固定部61を第1側壁部411の横方向他方側に固定する。なお、図7Aで示すハッチングの矢印は、溶接を行う方向を示す。
【0063】
従来のV字形状の板バネを用いた構成であると、おもりの対角の位置にそれぞれ板バネを固定する必要があるが、2つの板バネを一度におもりに固定しようとすれば、おもりに回転方向の力を加えることでおもりを板バネに押し当てる必要がある。その場合、おもりと板バネとの間に隙間ができやすい。隙間が生じた状態で固定すると、振動体の振動方向が所望の横方向からずれてしまう。
【0064】
これに対し、上述した本実施形態の方法であれば、おもり41に縦方向の一方向に力を加えることでおもり41を2つの弾性部材5、6に押し当てることができ、おもり41と弾性部材との間に隙間ができることを抑制しつつ、一度に2つの弾性部材を固定することが容易となる。従って、効率的、且つ精度の高い製造が可能となる。
【0065】
次に、弾性部材を固定した振動体4をカバー部12に固定する工程について説明する。図8Aは、上記工程を説明するための上方から視た平面図である。図8Bは、図8Aの状態での側面断面図である。図8A図8Bに示すように、本工程では治具301〜303が使用される。なお、図8Bでは、治具301が上側に位置しているが、実際の工程では治具301を重力方向の下側に位置させる。
【0066】
治具301は、基台部3011と、ボス部B1、B2を有する。ボス部B1、B2は、基台部3011の上面から突出し、横方向に配列される。ボス部B1、B2をそれぞれカバー部12の天面部120に設けられた孔部120A、120B(図1)に通して、カバー部12を基台部3011上に配置する。そして、振動体4をボス部B1、B2上に配置する。これにより、振動体4の上下方向の位置決めを行える。
【0067】
また、第1連結部53と第3側面部123との間に直方体状の治具302を挟み込みつつ、第2連結部63と第4側面部124との間に直方体状の治具303を挟み込む。これにより、振動体4および弾性部材5、6から成る構成の横方向の位置決めを行える。
【0068】
このように位置決めを行った状態で、第2固定部52および第4固定部62をケース部12の第1側面部121の内壁面に押し当てる。その状態で第2補強板72を介して溶接することで第2固定部52を上記内壁面に固定し、第3補強板74を介して溶接することで第4固定部62を上記内壁面に固定する。
【0069】
なお、上述した各治具の構成は一例であって、適宜変形した構成を用いることができる。また、必ずしもおもりに対して2つの弾性部材を一度に固定させる必要はない。
【0070】
<3.弾性部材の変形例>
弾性部材としては、先述した第1弾性部材5、第2弾性部材6を用いる他に、例えば、図9に示す弾性部材56を用いてもよい。図9は、変形例に係る弾性部材56の斜視図である。すなわち、本変形例では、2つの弾性部材ではなく、単体の弾性部材を用いる。
【0071】
弾性部材56は、板バネであり、横方向一方側に配置される第1弾性部560と、横方向他方側に配置される第2弾性部561と、第1弾性部560と第2弾性部561とを連結する弾性部連結体562と、を有する。
【0072】
第1弾性部560は、先述した第1弾性部材5に相当する部分であり、第1固定部560Aと、第2固定部560Bと、第1連結部560Cと、を有する。第1固定部560Aは、おもりの横方向一方側に固定される。第2固定部560Bは、カバー部の内壁面に固定される。
【0073】
第2弾性部561は、先述した第2弾性部材6に相当する部分であり、第3固定部561Aと、第4固定部561Bと、第2連結部561Cと、を有する。第3固定部561Aは、おもりの横方向他方側に固定される。第4固定部561Bは、カバー部の内壁面に固定される。
【0074】
弾性部連結体562は、第1固定部560Aと第3固定部561Aとを横方向に連結する。すなわち、第1弾性部560と第2弾性部561とは、横方向に延びる弾性部連結体562により連結される。
【0075】
このような構成によれば、第1弾性部560と、第2弾性部561と、弾性部連結体562は、同一部材として構成される。従って、おもりを第1弾性部560、第2弾性部561に対して固定する際に、第1弾性部560と第2弾性部651の位置決めを容易とすることができる。
【0076】
また、上述した第1弾性部材5の第1連結部53、または第1弾性部560の第1連結部560Cの形状は、図10に示すような変形例としてもよい。図10は、変形例に係る第1連結部の側面図である。
【0077】
図10に示す第1連結部は、第1幅狭部W1と、第1傾斜部SL1と、第2傾斜部SL2と、を有する。第1幅狭部W1は、上下方向の幅が第1固定部FX1(例えば第1固定部51)および第2固定部FX2(例えば第2固定部52)よりも狭い。第1傾斜部SL1は、第1幅狭部W1から第1固定部FX1に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる。第2傾斜部SL2は、第1幅狭部W1から第2固定部FX2に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる。
【0078】
第1傾斜部SL1と第2傾斜部SL2は、それぞれ第1幅狭部W1に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きくなる幅変化部WV1、WV2を有する。なお、第1傾斜部SL1と第2傾斜部SL2の少なくとも一方が幅変化部を有すればよい。
【0079】
このような幅変化部を有することにより、第1固定部FX1および第2固定部FX2にかかる応力を幅変化部へ分散させることができ、応力がかかり易い第1固定部FX1および第2固定部FX2が破断することを抑制することができる。図10に示す矢印は、応力の分散を示す。なお、幅変化部は、第1幅狭部W1に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に一定となる構成としても同様の効果が得られる。
【0080】
また、第2連結部(例えば第2弾性部材6の第2連結部63)も第1連結部と同様の形状にすることが可能である。つまり、前記第2連結部は、上下方向の幅が第3固定部および第4固定部よりも狭い第2幅狭部と、第2幅狭部から第3固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第3傾斜部と、第2幅狭部から第4固定部に向かって上下方向の幅が漸次大きくなる第4傾斜部と、を有し、第3傾斜部と第4傾斜部の少なくとも一方は、第2幅狭部に向かうに従って上下方向の幅が漸次小さくなった後に大きく、または一定となる幅変化部を有する構成としてもよい。
【0081】
このような構成によれば、第3固定部および第4固定部にかかる応力を幅変化部へ分散させることができ、第3固定部および第4固定部が破断することを抑制することができる。
【0082】
また、先述した第1弾性部材5については、第1湾曲部532と第2湾曲部533を有さず、平面部531の一端に直接的に第1固定部51が連結され、平面部531の他端に直接的に第2固定部52が連結される構成であってもよい。つまり、第1固定部51または第2固定部52と平面部531とは、振動体4の変位がゼロのときに90度の角度をなす。また、同様に、先述した第2弾性部材6については、第3湾曲部632と第4湾曲部633を有さず、平面部631の一端に直接的に第3固定部61が連結され、平面部631の他端に直接的に第4固定部62が連結される構成であってもよい。つまり、第3固定部61または第4固定部62と平面部631とは、振動体4の変位がゼロのときに90度の角度をなす。
【0083】
すなわち、前記第1固定部51は、前記平面部531の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、前記第2固定部52は、前記平面部531の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、前記第3固定部61は、前記平面部631の一端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延び、前記第4固定部62は、前記平面部631の他端との連結箇所から湾曲せずに横方向に延びる構成としてもよい。
【0084】
<4.その他>
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えばスマートフォンまたはゲームパッドなどに備えられる振動モータに利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
100・・・振動モータ、1・・・筐体、2・・・基板、3・・・コイル、4・・・振動体、41・・・おもり、411・・・第1側壁部、412・・・第2側壁部、413・・・第3側壁部、42A、42B・・・磁石、43・・・天板部、5・・・第1弾性部材、51・・・第1固定部、52・・・第2固定部、53・・・第1連結部、531・・・平面部、532・・・第1湾曲部、533・・・第2湾曲部、6・・・第2弾性部材、61・・・第3固定部、62・・・第4固定部、63・・・第2連結部、631・・・平面部、632・・・第3湾曲部、633・・・第4湾曲部、11・・・ベース部、12・・・カバー部、121・・・第1側面部、71・・・第1補強板、72・・・第2補強板、73・・・第3補強板、74・・・第4補強板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10