特許第6870999号(P6870999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6870999キャリブレーション用部品供給ユニット及びその自動交換システム並びに部品実装機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870999
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】キャリブレーション用部品供給ユニット及びその自動交換システム並びに部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210426BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20210426BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H05K13/04 M
   H05K13/02 B
   H05K13/08 Q
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-14708(P2017-14708)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-125357(P2018-125357A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正裕
(72)【発明者】
【氏名】山根 宏俊
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/191833(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/188520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/02
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリブレーション用部品を載置するキャリブレーション用部品載置部を備え、
部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に前記部品実装機の実装ヘッドに交換可能に保持させたキャリブレーション用ノズルで前記キャリブレーション用部品を吸着して前記部品実装機のキャリブレーション用実装台に実装して前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を前記部品実装機の部品実装位置ずれ量として測定するのに使用されるキャリブレーション用部品供給ユニットであって、
前記キャリブレーション用部品供給ユニットは、前記部品実装機のフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットできるように構成され、
前記キャリブレーション用部品載置部は、前記キャリブレーション用部品供給ユニットの上部に交換可能に設けられている、キャリブレーション用部品供給ユニット。
【請求項2】
前記フィーダセット部への前記キャリブレーション用部品供給ユニットの取付構造は、前記フィーダの取付構造と共通化されている、請求項1に記載のキャリブレーション用部品供給ユニット。
【請求項3】
前記キャリブレーション用部品載置部は、前記部品実装機の実装ヘッドに交換可能に保持される複数種類のキャリブレーション用ノズルで吸着可能な複数種類のキャリブレーション用部品を載置できるように構成されている、請求項1又は2に記載のキャリブレーション用部品供給ユニット。
【請求項4】
キャリブレーション用部品を載置するキャリブレーション用部品載置部を備え、
部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に前記部品実装機の実装ヘッドに交換可能に保持させたキャリブレーション用ノズルで前記キャリブレーション用部品を吸着して前記部品実装機のキャリブレーション用実装台に実装して前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を前記部品実装機の部品実装位置ずれ量として測定するのに使用されるキャリブレーション用部品供給ユニットであって、
前記キャリブレーション用部品供給ユニットは、前記部品実装機のフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットできるように構成され、
前記キャリブレーション用部品供給ユニットの着脱時や移送時に前記キャリブレーション用部品載置部上のキャリブレーション用部品の脱落を防止するシャッタ機構が設けられ、
前記部品実装機側から前記シャッタ機構の駆動源に動作電源を供給し且つ前記シャッタ機構の開閉動作を制御する信号を受信するためのコネクタが設けられ、
前記キャリブレーション用部品供給ユニットを前記部品実装機のフィーダセット部にセットすることで前記コネクタが前記部品実装機側のコネクタに接続されるように構成されている、キャリブレーション用部品供給ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のキャリブレーション用部品供給ユニットを前記部品実装機のフィーダセット部にセットするキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システムであって、
前記フィーダセット部にセットする複数のフィーダと前記キャリブレーション用部品供給ユニットを収納するストック部と、
前記フィーダセット部から交換対象のフィーダを取り出して前記ストック部に回収すると共に前記ストック部から生産ジョブで指定されたフィーダを取り出して前記フィーダセット部にセットする交換ロボットとを備え、
前記交換ロボットは、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して前記フィーダセット部の空きスロットにセットすることを特徴とするキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項6】
前記交換ロボットは、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定した後に前記フィーダセット部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して回収することを特徴とする請求項5に記載のキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項7】
前記ストック部は、複数の部品実装機のフィーダセット部にセットする複数のフィーダと前記キャリブレーション用部品供給ユニットを収納し、
前記交換ロボットは、前記複数の部品実装機のフィーダセット部から交換対象のフィーダを取り出して前記ストック部に回収すると共に前記ストック部から生産ジョブで指定されたフィーダを取り出して前記複数の部品実装機のフィーダセット部にセットし、更に、前記複数の部品実装機のうちのいずれかの部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に、前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して当該部品実装機のフィーダセット部の空きスロットにセットする、請求項5又は6に記載のキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項8】
前記交換ロボットは、複数の部品実装機の部品実装位置ずれ量を順番に測定する場合に、先に部品実装位置ずれ量の測定を終了した部品実装機のフィーダセット部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して次の測定順序の部品実装機のフィーダセット部にセットして当該次の測定順序の部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定するという動作を繰り返して前記複数の部品実装機の部品実装位置ずれ量を順番に測定することを特徴とする請求項7に記載のキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項9】
前記キャリブレーション用部品供給ユニットには、前記キャリブレーション用ノズルを載置するキャリブレーション用ノズル載置部が設けられ、
前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に、当該部品実装機のフィーダセット部にセットされた前記キャリブレーション用部品供給ユニットのキャリブレーション用ノズル載置部に載置された前記キャリブレーション用ノズルを前記実装ヘッドに保持させる、請求項5乃至8のいずれかに記載のキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項10】
前記ストック部には、前記複数のフィーダと前記キャリブレーション用部品供給ユニットの他に、前記キャリブレーション用ノズルを収納したキャリブレーション用ノズル供給ユニットを収納し、
前記交換ロボットは、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットと前記キャリブレーション用ノズル供給ユニットを取り出して前記フィーダセット部の空きスロットにセットする、請求項5乃至8のいずれかに記載のキャリブレーション用部品供給ユニットの自動交換システム。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれかに記載のキャリブレーション用部品供給ユニットをフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットした部品実装機において、
前記実装ヘッドに交換可能に保持した吸着ノズルに吸着した部品をその下面側から撮像する部品撮像用カメラと、
前記部品を実装する回路基板の基準マークを上方から撮像するマーク撮像用カメラとを備え、
前記部品実装機の動作を制御する制御装置は、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に、前記実装ヘッドに保持させた前記キャリブレーション用ノズルに前記キャリブレーション用部品を吸着して、前記キャリブレーション用部品をその下面側から前記部品撮像用カメラで撮像して、その撮像画像を処理して前記キャリブレーション用ノズルに対する前記キャリブレーション用部品の吸着位置のずれ量を測定した後、前記吸着位置のずれ量を補正して前記キャリブレーション用部品を前記キャリブレーション用実装台に実装して、前記マーク撮像用カメラの視野内に前記キャリブレーション用部品と前記キャリブレーション用基準マークを収めて撮像し、その撮像画像を処理して前記キャリブレーション用基準マークに対する前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を測定する、部品実装機。
【請求項12】
キャリブレーション用部品を載置するキャリブレーション用部品載置部を備え、
部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に前記部品実装機の実装ヘッドに保持させたノズルで前記キャリブレーション用部品を吸着して前記部品実装機のキャリブレーション用実装台に実装して前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を前記部品実装機の部品実装位置ずれ量として測定するのに使用されるキャリブレーション用部品供給ユニットであって、
前記キャリブレーション用部品供給ユニットは、前記部品実装機のフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットできるように構成され、
前記キャリブレーション用部品載置部は、前記キャリブレーション用部品供給ユニットの上部に交換可能に設けられている、キャリブレーション用部品供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定するのに使用されるキャリブレーション用部品供給ユニット及びその自動交換システム並びに部品実装機に関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献(特開2008−205134号公報)に記載されているように、部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定するために、部品実装機内の空きスペースに部品実装位置ずれ量測定ユニット(精度検査用ユニット)を設置し、この部品実装位置ずれ量測定ユニットを使用して部品実装位置ずれ量を測定するようにしたものがある。この特許文献1の部品実装位置ずれ量測定ユニットは、キャリブレーション用部品(検査用チップ)を載置したキャリブレーション用部品載置部と、キャリブレーション用基準マーク(検査用基準マーク)が設けられたキャリブレーション用実装台(検査台)とを備え、部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に、実装ヘッドの吸着ノズルでキャリブレーション用部品載置部上のキャリブレーション用部品を吸着してキャリブレーション用実装台に実装して、部品実装機のカメラの視野内に前記キャリブレーション用部品と前記キャリブレーション用基準マークを収めて撮像し、その撮像画像を処理して前記キャリブレーション用基準マークに対する前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を部品実装機の部品実装位置ずれ量として測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、部品実装ラインを構成する複数の部品実装機の各々に部品実装位置ずれ量測定ユニットを設置した構成となっているため、各部品実装機の製造コストを上昇させる原因になる。しかも、部品実装機の省スペース化によって部品実装機内の空きスペースに余裕が無いために、部品実装位置ずれ量測定ユニットを部品実装機内に設置することが困難である可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、キャリブレーション用部品を載置するキャリブレーション用部品載置部を備え、部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する際に前記部品実装機の実装ヘッドに交換可能に保持させたキャリブレーション用ノズルで前記キャリブレーション用部品を吸着して前記部品実装機のキャリブレーション用実装台に実装して前記キャリブレーション用部品の実装位置のずれ量を前記部品実装機の部品実装位置ずれ量として測定するのに使用されるキャリブレーション用部品供給ユニットであって、前記キャリブレーション用部品供給ユニットは、前記部品実装機のフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットできるように構成されていることを共通の特徴とし、更に、後述する特徴を備えている。
【0006】
このキャリブレーション用部品供給ユニットは、部品実装機のフィーダセット部にフィーダと交換可能にセットするようになっているため、複数の部品実装機に対して1台のキャリブレーション用部品供給ユニットを使い回すことが可能となり、部品実装機毎にキャリブレーション用部品供給ユニットを設ける必要がなく、その分、部品実装機の製造コストを削減できる。しかも、キャリブレーション用部品供給ユニットは、部品実装機のフィーダセット部にセットするため、部品実装機内に空きスペースが無くても、セット可能であり、部品実装機の省スペース化にも対応できる。
【0007】
この場合、部品実装機のフィーダセット部へのキャリブレーション用部品供給ユニットの取付構造は、フィーダの取付構造と共通化するようにすると良い。このようにすれば、キャリブレーション用部品供給ユニットの着脱をフィーダの着脱と同様の手順で行うことができ、キャリブレーション用部品供給ユニットの着脱が容易である。
【0008】
また、キャリブレーション用部品供給ユニットのキャリブレーション用部品載置部は、部品実装機の実装ヘッドに交換可能に保持される複数種類のキャリブレーション用ノズルで吸着可能な複数種類のキャリブレーション用部品を載置できるように構成すれば良い。このようにすれば、1台の部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定するのに必要な複数種類のキャリブレーション用部品を、1台のキャリブレーション用部品供給ユニットで供給することができる。
【0009】
また、キャリブレーション用部品載置部は、キャリブレーション用部品供給ユニットの上部に交換可能に設けるようにしても良い。このようにすれば、ユーザーが所有するキャリブレーション用部品供給ユニットで供給可能なキャリブレーション用部品とは別の種類のキャリブレーション用部品が必要になったときに、当該別の種類のキャリブレーション用部品を載置するキャリブレーション用部品載置部を入手して交換するだけで対応できる。
【0010】
また、キャリブレーション用部品供給ユニットの着脱時や移送時にキャリブレーション用部品載置部上のキャリブレーション用部品の脱落を防止するシャッタ機構を設けるようにすると良い。このようにすれば、キャリブレーション用部品供給ユニットの着脱時や移送時等にキャリブレーション用部品が脱落することをシャッタ機構により確実に防止できる。
【0011】
この場合、部品実装機側から前記シャッタ機構の駆動源に動作電源を供給し且つ前記シャッタ機構の開閉動作を制御する信号を受信するためのコネクタをキャリブレーション用部品供給ユニットに設け、このキャリブレーション用部品供給ユニットを部品実装機のフィーダセット部にセットすることで前記コネクタが前記部品実装機側のコネクタに接続されるように構成すると良い。このようにすれば、キャリブレーション用部品供給ユニットを部品実装機のフィーダセット部にセットすることで、同時にキャリブレーション用部品供給ユニット側のコネクタを部品実装機側のコネクタに接続することができ、キャリブレーション用部品供給ユニットのセット後にコネクタの接続作業を行う必要がない。
以上のように構成したキャリブレーション用部品供給ユニットの交換作業は、作業者が手作業で行うようにしても良いし、自動化しても良い。
【0012】
この交換作業を自動化する自動交換システムは、部品実装機のフィーダセット部にセットする複数のフィーダとキャリブレーション用部品供給ユニットを収納するストック部と、前記フィーダセット部から交換対象のフィーダを取り出して前記ストック部に回収すると共に前記ストック部から生産ジョブで指定されたフィーダを取り出して前記フィーダセット部にセットする交換ロボットとを備え、前記交換ロボットは、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して前記フィーダセット部の空きスロットにセットするようにすると良い。このようにすれば、部品実装機のフィーダセット部とストック部との間でキャリブレーション用部品供給ユニットやフィーダを交換ロボットによって自動的に交換することができ、作業者がキャリブレーション用部品供給ユニットやフィーダの交換作業を行う必要がなく、省力化できる。
【0013】
更に、交換ロボットは、部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定した後に部品実装機のフィーダセット部からキャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して回収するようにすると良い。このようにすれば、キャリブレーション用部品供給ユニットを回収する作業も自動化することができる。
【0014】
この場合、交換ロボットとストック部は、部品実装ラインを構成する複数の部品実装機の各々に設けた構成としても良いが、複数の部品実装機に共通して使用する交換ロボットとストック部を設けた構成としても良い。具体的には、ストック部は、複数の部品実装機のフィーダセット部にセットする複数のフィーダとキャリブレーション用部品供給ユニットを収納し、交換ロボットは、前記複数の部品実装機のフィーダセット部から交換対象のフィーダを取り出して前記ストック部に回収すると共に前記ストック部から生産ジョブで指定されたフィーダを取り出して前記複数の部品実装機のフィーダセット部にセットし、更に、前記複数の部品実装機のうちのいずれかの部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に、前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して当該部品実装機のフィーダセット部の空きスロットにセットするようにしても良い。このようにすれば、部品実装ラインを構成する複数の部品実装機に対するキャリブレーション用部品供給ユニットやフィーダの交換作業を1台の交換ロボットで対応することができ、部品実装ラインの構成を簡単化して設備コストを低減できる。
【0015】
この場合も、交換ロボットは、いずれかの部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定した後に当該部品実装機のフィーダセット部からキャリブレーション用部品供給ユニットを取り出してストック部に回収するようにすると良い。
【0016】
また、複数の部品実装機の部品実装位置ずれ量を順番に測定する場合には、交換ロボットは、先に部品実装位置ずれ量の測定を終了した部品実装機のフィーダセット部からキャリブレーション用部品供給ユニットを取り出して次の測定順序の部品実装機のフィーダセット部にセットして当該次の測定順序の部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定するという動作を繰り返して前記複数の部品実装機の部品実装位置ずれ量を順番に測定するようにしても良い。このようにすれば、複数の部品実装機の部品実装位置ずれ量を順番に能率良く測定することができる。
【0017】
尚、キャリブレーション用ノズルを載置するキャリブレーション用ノズル載置部は、部品実装機内に設けても良いし、キャリブレーション用部品供給ユニットに設けても良い。
【0018】
或は、ストック部に、複数のフィーダとキャリブレーション用部品供給ユニットの他に、前記キャリブレーション用ノズルを収納したキャリブレーション用ノズル供給ユニットを収納し、前記交換ロボットは、前記部品実装機の部品実装位置ずれ量を測定する場合に前記ストック部から前記キャリブレーション用部品供給ユニットと前記キャリブレーション用ノズル供給ユニットを取り出して前記フィーダセット部の空きスロットにセットするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の一実施例の部品実装ライン全体の構成を示す斜視図である。
図2図2は交換ロボット付きの部品実装機の構成を概略的に示す斜視図である。
図3図3は自動交換システム付きの部品実装ラインの制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図4図4はカセット式のフィーダを示す斜視図である。
図5図5はキャリブレーション用部品供給ユニットを示す斜視図である。
図6図6はキャリブレーション用部品供給ユニット上部のキャリブレーション用部品載置部が交換可能であることを説明する斜視図である。
図7図7はキャリブレーション用部品を示す斜視図である。
図8図8はキャリブレーション用ノズル供給ユニットを示す斜視図である。
図9図9はキャリブレーション用ノズル供給ユニットから回転型ノズルステーションを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて一実施例を説明する。
まず、図1乃至図3に基づいて部品実装ライン10の構成を説明する。
【0021】
部品実装ライン10は、回路基板11の搬送方向(X方向)に沿って複数の部品実装機12を配列して構成されている。図2に示すように、各部品実装機12には、回路基板11を搬送する2本のコンベア13と、カセット式のフィーダ14から供給される部品を吸着して回路基板11に実装する吸着ノズル(図示せず)を保持する実装ヘッド15と、この実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるヘッド移動装置16と、吸着ノズルに吸着した部品をその下面側から撮像する部品撮像用カメラ17(図3参照)等が設けられている。ヘッド移動装置16には、回路基板11の基準マーク(図示せず)を撮像するマーク撮像用カメラ18(図3参照)が実装ヘッド15と一体的にXY方向に移動するように取り付けられている。
【0022】
その他、図3に示すように、部品実装機12の制御装置20には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置21と、制御用の各種プログラムや各種データ等を記憶するハードディスク、RAM、ROM等の記憶装置22(記憶手段)と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置23等が接続されている。各部品実装機12の制御装置20は、部品実装ライン10全体の生産を管理する生産管理コンピュータ70とネットワークで接続され、該生産管理コンピュータ70によって各部品実装機12の生産が管理される。
【0023】
部品実装ライン10の各部品実装機12は、上流側の部品実装機12から搬送されてくる回路基板11をコンベア13によって所定位置まで搬送してクランプ機構(図示せず)で該回路基板11をクランプして位置決めして、該回路基板11の基準マークをマーク撮像用カメラ18で撮像して該基準マークの位置(該回路基板11の基準位置)を認識すると共に、カセット式のフィーダ14から供給される部品を、実装ヘッド15の吸着ノズルに吸着して、その吸着位置から撮像位置へ移動させて、該部品をその下面側から部品撮像用カメラ17で撮像して該部品の吸着位置ずれ量等を判定した後、その吸着位置ずれ量を補正して該部品をコンベア13上の回路基板11に実装して部品実装基板を生産する。
【0024】
部品実装ライン10の前面側には、各部品実装機12のフィーダセット部24にセットされているカセット式のフィーダ14と、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を自動交換する自動交換システム26が設置されている。
【0025】
ここで、図4を用いてカセット式のフィーダ14の構成を説明する。
カセット式のフィーダ14のカセットケース32は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース32内には、部品供給テープ33が巻回されたテープリール34を着脱可能(交換可能)に装填するテープ装填部35が設けられている。テープ装填部35の中心には、テープリール34を回転可能に保持するリール保持軸36が設けられている。
【0026】
カセットケース32内には、テープリール34から引き出した部品供給テープ33を部品吸着位置へ送るテープ送り機構38と、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33からトップフィルム40(カバーテープとも呼ばれる)を剥離して該部品供給テープ33内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構39とが設けられている。
【0027】
テープ送り機構38は、部品吸着位置の下方付近に設けられたスプロケット42と、このスプロケット42を回転駆動するモータ43等から構成され、部品供給テープ33の片方の側縁に所定ピッチで形成されたテープ送り穴にスプロケット42の歯を噛み合わせて該スプロケット42を回転させることで、部品供給テープ33を部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0028】
トップフィルム剥離機構39は、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33を押さえて該部品供給テープ33の上面からトップフィルム40を剥離するためのテープ押え45と、該テープ押え45で剥離したトップフィルム40をテープ送り方向とは逆方向に引っ張ってカセットケース32の上部に設けられたトップフィルム回収部46内へ送り込むトップフィルム送りギア機構47と、該トップフィルム送りギア機構47を駆動するモータ48等から構成されている。
【0029】
カセットケース32のうちのテープ送り方向側の端縁部には、部品吸着位置を通過して部品が取り出された廃棄テープ33a(本実施例ではトップフィルム40が剥離されたキャリアテープのみ)を下方に案内して排出する廃棄テープ排出通路50が下方に延びるように設けられ、該廃棄テープ排出通路50の出口50aがカセットケース32のテープ送り方向側の端面の中央より下側の位置に設けられている。
【0030】
カセットケース32内には、テープ送り機構38のモータ43やトップフィルム剥離機構39のモータ48を制御する制御装置52が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース32には、部品実装機12側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。これにより、カセット式のフィーダ14を部品実装機12のフィーダセット部24にセットすることで、カセット式のフィーダ14側のコネクタが部品実装機12側のコネクタに接続されるようになっている。
【0031】
また、カセットケース32の所定位置には、フィーダID(フィーダ14の識別情報)を記録又は記憶したフィーダ識別情報記録部(図示せず)が設けられている。このフィーダ識別情報記録部としては、例えばフィーダIDをバーコード、二次元コード等で記録したコードラベルを用いても良いし、フィーダIDのデータを記憶した電子タグ(RFタグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)を用いても良い。
【0032】
次に、図5及び図6を用いてキャリブレーション用部品供給ユニット25の構成を説明する。
キャリブレーション用部品供給ユニット25は、部品実装機12のフィーダセット部24にカセット式のフィーダ14と交換可能にセットできるように構成されている。キャリブレーション用部品供給ユニット25の高さ寸法と奥行き寸法(Y方向寸法)は、カセット式のフィーダ14の高さ寸法と奥行き寸法とほぼ同じ寸法となっており、部品実装機12のフィーダセット部24へのキャリブレーション用部品供給ユニット25の取付構造がカセット式のフィーダ14の取付構造と共通化されている。キャリブレーション用部品供給ユニット25の幅寸法(X方向寸法)は、必ずしもカセット式のフィーダ14の幅寸法と同一である必要はなく、フィーダセット部24の複数のスロットに跨がる幅寸法であっても良く、要は、フィーダセット部24にセット可能な幅寸法であれば良い。
【0033】
キャリブレーション用部品供給ユニット25の上面部には、キャリブレーション用部品55(図7参照)等を載置するキャリブレーション用部品載置部56が設けられている。このキャリブレーション用部品載置部56には、部品実装機12の実装ヘッド15に交換可能に保持される複数種類のキャリブレーション用ノズルで吸着可能な複数種類のキャリブレーション用部品55等を載置できるように複数の部品収容凹部56a,56bが設けられている。例えば、一方の部品収容凹部56aには、大型又は中型のキャリブレーション用ノズルで吸着するガラス製のキャリブレーション用部品55(図7参照)を載置し、他方の部品収容凹部56bには、小型のキャリブレーション用ノズルで吸着する小型のキャリブレーション用部品(角チップ)を載置するようになっている。これにより、1台の部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定するのに必要な複数種類のキャリブレーション用部品55等を1台のキャリブレーション用部品供給ユニット25で供給できるようになっている。図7に示すように、ガラス製のキャリブレーション用部品55の下面には、リード付きICチップの外形を模した不透明の図形パターン57が形成されている。
【0034】
キャリブレーション用部品載置部56は、キャリブレーション用部品供給ユニット25の上面部に、係合手段やねじ等によって交換可能に取り付けられ、別のキャリブレーション用部品載置部58(図6参照)と交換可能となっている。別のキャリブレーション用部品載置部58にも、複数種類のキャリブレーション用部品55等を載置できるように複数の部品収容凹部58a〜58cが設けられている。これにより、ユーザーが所有するキャリブレーション用部品供給ユニット25で供給可能なキャリブレーション用部品55等とは別の種類のキャリブレーション用部品55等が必要になったときに、当該別の種類のキャリブレーション用部品55等を載置するキャリブレーション用部品載置部58を入手して交換するだけで対応できるようになっている。
【0035】
また、キャリブレーション用部品供給ユニット25の着脱時や移送時にキャリブレーション用部品載置部56,58上のキャリブレーション用部品55等の脱落を防止するために、キャリブレーション用部品載置部56,58の上面には、シャッタ板60が開閉スライド可能に設けられ、キャリブレーション用部品載置部56,58(又はキャリブレーション用部品供給ユニット25)の内部には、シャッタ板60を開閉駆動する駆動源として、モータ、シリンダ、ソレノイド等が設けられている。部品実装機12の部品実装位置ずれ量の測定時には、シャッタ機構の駆動源に通電されて、その駆動源の駆動力によりシャッタ板60が開放され、部品実装位置ずれ量の測定終了後に、シャッタ機構の駆動源への通電がオフされて、該シャッタ機構の戻しスプリング(図示せず)等によりシャッタ板60が自動的に閉鎖され、キャリブレーション用部品55等の飛び出しが防止されるようになっている。
【0036】
更に、キャリブレーション用部品供給ユニット25には、部品実装機12側からシャッタ機構の駆動源に動作電源を供給し且つ該シャッタ機構の開閉動作を制御する信号を受信するためのコネクタ(図示せず)が設けられている。これにより、キャリブレーション用部品供給ユニット25を部品実装機12のフィーダセット部24にセットすることで、キャリブレーション用部品供給ユニット25側のコネクタが部品実装機12側のコネクタに接続されるようになっている。このようにすれば、キャリブレーション用部品供給ユニット25を部品実装機12のフィーダセット部24にセットすることで、同時にキャリブレーション用部品供給ユニット25側のコネクタを部品実装機12側のコネクタに接続することができ、キャリブレーション用部品供給ユニット25のセット後にコネクタの接続作業を行う必要がない。
【0037】
また、キャリブレーション用部品供給ユニット25の所定位置には、ユニットID(キャリブレーション用部品供給ユニット25の識別情報)を記録又は記憶したユニット識別情報記録部(図示せず)が設けられ、このユニットIDによってキャリブレーション用部品供給ユニット25を識別できるようになっている。このユニット識別情報記録部としては、例えばフィーダIDをバーコード、二次元コード等で記録したコードラベルを用いても良いし、フィーダIDのデータを記憶した電子タグ(RFタグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)を用いても良い。
【0038】
次に、図8及び図9を用いてキャリブレーション用ノズル供給ユニット81の構成を説明する。
キャリブレーション用ノズル供給ユニット81は、部品実装機12のフィーダセット部24にカセット式のフィーダ14と交換可能にセットできるように構成されている。キャリブレーション用ノズル供給ユニット81の高さ寸法と奥行き寸法(Y方向寸法)は、カセット式のフィーダ14の高さ寸法と奥行き寸法とほぼ同じ寸法となっており、部品実装機12のフィーダセット部24へのキャリブレーション用ノズル供給ユニット81の取付構造がカセット式のフィーダ14の取付構造と共通化されている。キャリブレーション用ノズル供給ユニット81の幅寸法(X方向寸法)は、必ずしもカセット式のフィーダ14の幅寸法と同一である必要はなく、フィーダセット部24の複数のスロットに跨がる幅寸法であっても良く、要は、フィーダセット部24にセット可能な幅寸法であれば良い。
【0039】
キャリブレーション用ノズル供給ユニット81のカセットケース83は、カセット式のフィーダ14と同様に、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース83内には、円盤状の回転型ノズルステーション84を着脱可能(交換可能)に装填する円形凹部形状のノズルステーション装填部85が設けられ、該ノズルステーション装填部85の中心に駆動軸86(図6参照)がカセットケース83の幅方向内側に向けて設けられ、該駆動軸86に、回転型ノズルステーション84の中心部が回転伝達可能且つ着脱可能に連結されるようになっている。回転型ノズルステーション84の外周部には、部品実装機12の実装ヘッド15に交換可能に保持させる複数のキャリブレーション用ノズル87を所定ピッチで放射状に配列して着脱可能に保持するように構成されている。
【0040】
尚、回転型ノズルステーション84の外周部には、キャリブレーション用ノズル87だけでなく、通常の吸着ノズル(図示せず)やノズル位置測定用の治具ノズル(図示せず)も保持できるようになっており、通常の吸着ノズルやノズル位置測定用の治具ノズルも交換可能となっている。部品実装機12の実装ヘッド15に保持された吸着ノズルの位置を測定する場合には、ノズル位置測定用の治具ノズルを部品実装機12の実装ヘッド15に保持させて、その下方から部品撮像用カメラ17で撮像して、その撮像画像を処理して、実装ヘッド15に対するノズル位置測定用の治具ノズルの位置をノズル位置として測定する。
【0041】
一方、カセットケース83内には、回転型ノズルステーション84を回転させる回転駆動装置88が設けられている。この回転駆動装置88は、駆動源となるモータ89と、このモータ89の回転を駆動軸86に伝達するギア機構90とから構成されている。
【0042】
カセットケース83の上端面のうちの回転型ノズルステーション84の最上端(回転型ノズルステーション84の中心の真上方向)に対応する位置には、ノズル交換口91が形成され、該ノズル交換口91を通して回転型ノズルステーション84と部品実装機12の実装ヘッド15との間でキャリブレーション用ノズル87と通常の吸着ノズルとの交換を行うようになっている。カセットケース83には、ノズル交換口91を開閉するシャッタ機構92が設けられている。シャッタ機構92は、ノズル交換口91に沿ってスライド移動するシャッタ板93と、その駆動源となるモータ94と、このモータ94の回転を直線運動に変換する送りギア95と、この送りギア95とシャッタ板93との間を連結するリンク部材96とから構成されている。
【0043】
部品実装機12のフィーダセット部24にセットしたキャリブレーション用ノズル供給ユニット81内のキャリブレーション用ノズル87を部品実装機12の実装ヘッド15に保持させる場合は、該実装ヘッド15をキャリブレーション用ノズル供給ユニット81のノズル交換口91の上方へ移動させると共に、シャッタ機構92のシャッタ板93を開放動作させてノズル交換口91を開放する。そして、キャリブレーション用ノズル供給ユニット81内の回転型ノズルステーション84を適宜回転させて、今回の交換対象のキャリブレーション用ノズル87をノズル交換口91に位置させた後、該実装ヘッド15のノズルホルダ(図示せず)を下降させて該ノズル交換口33を通して該実装ヘッド15のノズルホルダに該キャリブレーション用ノズル87を保持させてから、該実装ヘッド15のノズルホルダを上昇させて該キャリブレーション用ノズル87を回転型ノズルステーション84から取り出す。
【0044】
尚、実装ヘッド15のノズルホルダに保持したキャリブレーション用ノズル87をキャリブレーション用ノズル供給ユニット81内の回転型ノズルステーション84の空きスロットに戻す場合には、回転型ノズルステーション84を適宜回転させて、回転型ノズルステーション84の空きスロットをノズル交換口33に位置させると共に、該実装ヘッド15のノズルホルダを下降させて、該実装ヘッド15のノズルホルダに保持したキャリブレーション用ノズル87を回転型ノズルステーション84の空きスロットに戻す。
【0045】
カセットケース83内には、回転駆動装置88のモータ89とシャッタ機構92のモータ94を制御する制御装置97が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース83には、部品実装機12側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。これにより、キャリブレーション用ノズル供給ユニット81を部品実装機12のフィーダセット部24にセットすることで、キャリブレーション用ノズル供給ユニット81側のコネクタが部品実装機12側のコネクタに接続されるようになっている。
【0046】
また、キャリブレーション用ノズル供給ユニット81の所定位置には、ユニットID(キャリブレーション用ノズル供給ユニット81の識別情報)を記録又は記憶したユニット識別情報記録部(図示せず)が設けられ、このユニットIDによってキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を識別できるようになっている。このユニット識別情報記録部としては、例えばフィーダIDをバーコード、二次元コード等で記録したコードラベルを用いても良いし、フィーダIDのデータを記憶した電子タグ(RFタグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)を用いても良い。
【0047】
一方、図示はしないが、部品実装機12内の所定位置には、キャリブレーション用実装台が設けられている。部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定する場合には、部品実装機12の実装ヘッド15に保持させたキャリブレーション用ノズル87で、キャリブレーション用部品供給ユニット25上のキャリブレーション用部品55を吸着して部品実装機12のキャリブレーション用実装台に実装して、その実装状態をマーク撮像用カメラ18で撮像して、その画像を処理することで、キャリブレーション用実装台上のキャリブレーション用部品55の実装位置のずれ量(キャリブレーション用実装台の基準マークに対するキャリブレーション用部品55の図形パターン57の位置ずれ量)を部品実装機12の部品実装位置ずれ量として測定する。
【0048】
次に、各部品実装機12のフィーダセット部24に対して、カセット式のフィーダ14、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を自動交換する自動交換システム26の構成を説明する。
【0049】
自動交換システム26は、各部品実装機12のフィーダセット部24にセットする複数のカセット式のフィーダ14、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を収納するストック部71と、フィーダセット部24とストック部71との間で、カセット式のフィーダ14、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を入れ替える交換ロボット72と、カセット式のフィーダ14のフィーダ識別情報記録部やキャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81の各ユニット識別情報記録部からフィーダIDやユニットIDを読み取る識別情報読取部73(図3参照)とを備えた構成となっている。
【0050】
本実施例では、ストック部71は、複数の部品実装機12のフィーダセット部24の下方に配置され、複数の部品実装機12のフィーダセット部24にセットする複数のカセット式のフィーダ14と、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を収納できるように構成されている。尚、部品実装ライン10の最上流にも、複数のカセット式のフィーダ14と、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を収納できるストック部(図示せず)が設けられている。
【0051】
交換ロボット72は、複数の部品実装機12のフィーダセット部24から交換対象のカセット式のフィーダ14を取り出してストック部71に回収すると共に、ストック部71から生産ジョブで指定されたカセット式のフィーダ14を取り出して前記複数の部品実装機12のフィーダセット部24にセットし、更に、複数の部品実装機12のうちのいずれかの部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定する場合には、ストック部71からキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を取り出して当該部品実装機12のフィーダセット部24の空きスロットにセットし、当該部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定した後に当該部品実装機12のフィーダセット部24からキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を取り出してストック部71に回収する。
【0052】
また、生産開始前に複数の部品実装機12の部品実装位置ずれ量を順番に測定する場合には、交換ロボット72は、先に部品実装位置ずれ量の測定を終了した部品実装機12のフィーダセット部24からキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を取り出して、これらを次の測定順序の部品実装機12のフィーダセット部24にセットして当該次の測定順序の部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定するという動作を繰り返して複数の部品実装機12の部品実装位置ずれ量を順番に測定する。
【0053】
複数の部品実装機12のフィーダセット部24とストック部71の前方のエリアは、フィーダセット部24とストック部71との間で、カセット式のフィーダ14と、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を入れ替えるための入替エリアとして使用され、この入替エリアに交換ロボット72が配置されている。図1に示すように、部品実装ライン10の前面には、部品実装機12の配列に沿って交換ロボット72を左右方向(X方向)に移動させるX軸レール74がX方向に延びるように設けられている。
【0054】
図3に示すように、自動交換システム26の制御装置75は、部品実装ライン10の生産管理コンピュータ70とネットワークで接続され、部品実装ライン10の生産管理コンピュータ70から送信されてくる基板種切り替え情報や部品切れ情報等の生産管理情報や部品実装位置ずれ量測定指示に従って交換ロボット72の動作を制御して、各部品実装機12のフィーダセット部24とストック部71との間で、カセット式のフィーダ14や、キャリブレーション用部品供給ユニット25及びキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を入れ替える。
【0055】
部品実装ライン10の複数の部品実装機12のうちのいずれかの部品実装機12の部品実装位置ずれ量を測定する場合には、交換ロボット72がストック部71からキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を取り出して当該部品実装機12のフィーダセット部24の空きスロットにセットし、当該部品実装機12の実装ヘッド15のノズルホルダにキャリブレーション用ノズル87を保持させて、そのキャリブレーション用ノズル87で、キャリブレーション用部品供給ユニット25上のキャリブレーション用部品55を吸着して、そのキャリブレーション用部品55をその下面側から当該部品実装機12の部品撮像用カメラ17で撮像して、その撮像画像を処理して、キャリブレーション用ノズル87に対するキャリブレーション用部品55のXY方向及びθ方向(回転方向)の吸着位置のずれ量を測定する。この後、キャリブレーション用部品55のXY方向及びθ方向の吸着位置のずれ量を補正して、キャリブレーション用部品55を部品実装機12のキャリブレーション用実装台に実装して、その実装状態をマーク撮像用カメラ18で撮像して、その画像を処理することで、キャリブレーション用実装台上のキャリブレーション用部品55のXY方向及びθ方向の実装位置のずれ量(キャリブレーション用実装台の基準マークに対するキャリブレーション用部品55の図形パターン57のXY方向及びθ方向の位置ずれ量)を部品実装機12の部品実装位置ずれ量として測定する。
【0056】
以上説明した本実施例によれば、部品実装機12のフィーダセット部24にキャリブレーション用部品供給ユニット25をフィーダ14と交換可能にセットするようにしているため、複数の部品実装機12に対して1台のキャリブレーション用部品供給ユニット25を使い回すことが可能となり、部品実装機12毎にキャリブレーション用部品供給ユニット25を設ける必要がなく、その分、部品実装機12の製造コストを削減できる。しかも、キャリブレーション用部品供給ユニット25は、部品実装機12のフィーダセット部24にセットするため、部品実装機12内に空きスペースが無くても、セット可能であり、部品実装機12の省スペース化にも対応できる。
【0057】
しかも、本実施例では、部品実装機12のフィーダセット部24へのキャリブレーション用部品供給ユニット25の取付構造を、フィーダ14の取付構造と共通化しているため、キャリブレーション用部品供給ユニット25の着脱をフィーダ14の着脱と同様の手順で行うことができ、交換ロボット72によってキャリブレーション用部品供給ユニット25をフィーダ14と同様に自動交換できる。
【0058】
更に、本実施例では、部品実装機12のフィーダセット部24にキャリブレーション用ノズル供給ユニット81をフィーダ14と交換可能にセットするようにしているため、複数の部品実装機12に対して1台のキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を使い回すことが可能となり、部品実装機12毎にキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を設ける必要がなく、その分、部品実装機12の製造コストを削減できる。しかも、キャリブレーション用ノズル供給ユニット81は、部品実装機12のフィーダセット部24にセットするため、部品実装機12内に空きスペースが無くても、セット可能であり、部品実装機12の省スペース化にも対応できる。
【0059】
但し、本発明は、キャリブレーション用ノズル87を載置したキャリブレーション用ノズル載置部(ノズルチェンジャ)を部品実装機12内に設けても良い。或は、キャリブレーション用部品供給ユニット26の上部に、キャリブレーション用部品載置部56上のキャリブレーション用部品55等を吸着するキャリブレーション用ノズル87を載置するキャリブレーション用ノズル載置部を設けた構成としても良い。
【0060】
また、本実施例では、カセット式のフィーダ14を自動交換する自動交換システム26を使用して、キャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81を自動交換するようにしたので、部品実装機12の稼働中にキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81やフィーダ14を自動交換することができ、作業者がキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81やフィーダ14の交換作業を行う必要がなく、省力化できる。
【0061】
但し、本発明は、キャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81やフィーダ14の交換作業を作業者が行うようにしても良く、この場合でも、本発明の所期の目的を達成できる。交換作業を作業者が行う場合、フィーダ14は、カセット式のフィーダに限定されず、カセット式ではない一般的なテープフィーダを用いても良い。
【0062】
また、本実施例の自動交換システム26は、部品実装ライン10を構成する複数の部品実装機12に共通して使用する交換ロボット72とストック部71を設けた構成としているため、部品実装ライン10を構成する複数の部品実装機12に対するキャリブレーション用部品供給ユニット25とキャリブレーション用ノズル供給ユニット81やフィーダ14の交換作業を1台の交換ロボット72で対応することができ、部品実装ライン10の構成を簡単化して設備コストを低減することができる。
【0063】
但し、本発明は、部品実装ライン10を構成する複数の部品実装機12の各々に交換ロボットとストック部を設けた構成としても良く、この場合でも、本発明の所期の目的を達成できる。
【0064】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、部品実装機12の構成や自動交換システム26の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
10…部品実装ライン、11…回路基板、12…部品実装機、14…カセット式のフィーダ、15…実装ヘッド、16…ヘッド移動装置、17…部品撮像用カメラ、18…マーク撮像用カメラ、20…部品実装機の制御装置、25…キャリブレーション用部品供給ユニット、26…自動交換システム、33…部品供給テープ、55…キャリブレーション用部品、56…キャリブレーション用部品載置部、56a,56b…部品収容凹部、58…キャリブレーション用部品載置部、58a,58b,58c…部品収容凹部、60…シャッタ板、70…生産管理コンピュータ、71…ストック部、72…交換ロボット、73…識別情報読取部、81…キャリブレーション用ノズル供給ユニット、87…キャリブレーション用ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9