(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、
自身の位置を検出するように構成され、前記体内式超音波プローブに取り付けられたセンサと、
前記第1の走査面の複数の位置が、前記センサの複数の位置に対する位置としてそれぞれ関連付けられた第1の情報と、前記第2の走査面の複数の位置が、前記第1の走査面の複数の位置に対する位置としてそれぞれ関連付けられた第2の情報と、を記憶する記憶部と、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、前記第1の情報、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成する生成部と、
を備えた超音波診断装置。
第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、
前記体内式超音波プローブに設けられたセンサの位置および前記第1の走査面の位置の位置関係に関する第1の情報と、前記センサの位置および前記第2の走査面の位置の位置関係に関する第2の情報と、を記憶する記憶部と、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成する生成部と、
を備え、
前記生成部は、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、前記第1の走査面に係る第1の断面画像群を生成し、
前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、前記第2の走査面に係る第2の断面画像群を生成し、
前記第1の断面画像群の少なくとも一部と第2の断面画像群の少なくとも一部とを使って、表示要求を受け付けた断面に対応する断面画像を生成し、
表示要求を受け付けた断面に対応する前記断面画像の各画素の輝度値を、前記各画素から、前記第1及び第2の断面画像群の各画素までの距離に応じて求める、
超音波診断装置。
第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、
前記体内式超音波プローブに設けられたセンサの位置および前記第1の走査面の位置の位置関係に関する第1の情報と、前記センサの位置および前記第2の走査面の位置の位置関係に関する第2の情報と、を記憶する記憶部と、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成する生成部と、
を備え、
前記生成部は、前記第1の走査面に平行な断面に対応する断面画像の表示要求を受け付けた場合、前記第1の3次元画像データから前記断面画像を生成する、
超音波診断装置。
(A)第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、(B)前記第1の走査面の複数の位置が、自身の位置を検出するように構成され、前記体内式超音波プローブに取り付けられたセンサの複数の位置に対する位置としてそれぞれ関連付けられた第1の情報と、前記第2の走査面の複数の位置が、前記第1の走査面の複数の位置に対する位置としてそれぞれ関連付けられた第2の情報と、を記憶する記憶部と、を備えた超音波診断装置を用いた超音波画像生成方法であって、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、
前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、前記第1の情報、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成する、
超音波画像生成方法。
(A)第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、(B)前記体内式超音波プローブに設けられたセンサの位置および前記第1の走査面の位置の位置関係に関する第1の情報と、前記センサの位置および前記第2の走査面の位置の位置関係に関する第2の情報と、を記憶する記憶部と、を備えた超音波診断装置を用いた超音波画像生成方法であって、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、
前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成し、
前記第1の3次元画像データ及び前記第2の3次元画像データを生成する際、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、前記第1の走査面に係る第1の断面画像群を生成し、
前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、前記第2の走査面に係る第2の断面画像群を生成し、
前記第1の断面画像群の少なくとも一部と第2の断面画像群の少なくとも一部とを使って、表示要求を受け付けた断面に対応する断面画像を生成し、
表示要求を受け付けた断面に対応する前記断面画像の各画素の輝度値を、前記各画素から、前記第1及び第2の断面画像群の各画素までの距離に応じて求める、
超音波画像生成方法。
(A)第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群と、前記第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群と、を含む体内式超音波プローブと、(B)前記体内式超音波プローブに設けられたセンサの位置および前記第1の走査面の位置の位置関係に関する第1の情報と、前記センサの位置および前記第2の走査面の位置の位置関係に関する第2の情報と、を記憶する記憶部と、を備えた超音波診断装置を用いた超音波画像生成方法であって、
前記第1の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第1の情報に基づいて、第1の3次元画像データを生成し、
前記第2の振動素子群を用いた超音波送受信により得られる前記体内式超音波プローブの出力、前記センサの出力、および前記第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成し、
前記第1の走査面に平行な断面に対応する断面画像の表示要求を受け付けた場合、前記第1の3次元画像データから前記断面画像を生成する、
超音波画像生成方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波画像生成方法について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す概略図である。
【0010】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1を示す。超音波診断装置1は、超音波プローブ11及び装置本体12を備える。
【0011】
超音波プローブ11は、体内式のマルチプレーンプローブである。マルチプレーンプローブは、2種類の走査面それぞれに沿った超音波送受信を実行可能なバイプレーンプローブや、3種類の走査面それぞれに沿った超音波送受信を実行可能なトリプレーンプローブを含む。以下、超音波プローブ11がバイプレーンプローブである場合を説明する。なお、本実施形態では、直腸から挿入して内部臓器を画像化するのに適した体内式のマルチプレーンプローブについて説明するが、体外式のマルチプレーンプローブであっても良い。
【0012】
超音波プローブ11は、第1の走査面に沿って超音波送受信を行なう第1の振動素子群(以下、「第1振動子セット」という)と、第1の走査面とは異なる第2の走査面に沿って超音波送受信を行なう第2の振動素子群(以下、「第2振動子セット」という)と、を含む。本実施形態では、第1の走査面と第2の走査面は交差関係にある場合について説明するが、平行関係にあっても良い。装置本体12による制御に従って、第1振動子セット及び第2振動子セットはそれぞれ、被検体に対して超音波の送受波を行なう。
【0013】
図2は、超音波プローブ11の構造例を示す図である。
【0014】
本実施形態では、説明のために、センサの位置を基点として超音波プローブ11のプローブ本体22の先端部の軸に沿った方向をZ´軸とし、Z´軸に直交し、Z´軸から第1振動子セット22a及び第2振動子セット22bの中心位置に向かう方向をY´軸とし、Y´軸とZ´軸に直交する方向をX´軸とするX´Y´Z´座標系を定義する。
図2の左側は、
図2の右側に示す超音波プローブ11のI−I断面(X´−Y´断面)図を示し、
図2の右側は、超音波プローブ11を側方から見た図を示す。超音波プローブ11は、ハンドル部21、プローブ本体22、センサ23、センサカバー24、及びケーブル25(25a,25b)を備える。ハンドル部21は、スキャン方式の切り替えを指示するためのスイッチ21aを備える。
【0015】
プローブ本体22は、Z´軸に直交する面上であってZ´軸を中心とする円弧方向に沿って複数の振動子が配置された第1振動子セット22aと、Z´軸に平行となるように複数の振動子が配置された第2振動子セット22bとを備える。各振動子セット22a,22bに含まれる各振動子は、電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する機能を有する。
【0016】
第1振動子セット22aは、例えばX´−Y´面に沿った方向をアジマス方向として配置された複数の振動子で構成される振動子列を含む。第1振動子セット22aは、例えば、プローブ本体22の先端部の表面形状に沿ったコンベックスアレイを形成する。以下、第1振動子セット22aがコンベックスアレイを形成する場合を例にとって説明する。
【0017】
第2振動子セット22bは、例えばZ´方向に沿った方向をアジマス方向として配置された複数の振動子で構成される振動子列を含む。第2振動子セット22bは、例えば、プローブ本体22の先端部の表面形状に沿ったリニアアレイを形成する。以下、第2振動子セット22bがリニアアレイである場合を例にとって説明する。
【0018】
一般的に、アジマス方向に沿って配置された複数の振動子で構成される振動子列がエレベーション方向に沿って1〜3列程度配置されている場合、その振動子列あるいはそれらの振動子列の正面側(音響放射面側)には、振動子列から送信された超音波をエレベーション方向に集束するためのレンズ材(図示しない)が備えられる。一方で、アジマス方向に沿って配置された振動子群で構成される振動子列がエレベーション方向に沿って十分な列数だけ配置されている場合、振動子列から送信された超音波をエレベーション方向に集束するためには、電子フォーカスが利用される。
【0019】
なお、各アレイ22a,22bの正面側にはそれぞれ、生体との音響インピーダンスのミスマッチを低減するための音響整合層(図示しない)が配置され得、各アレイ22a,22bの背面側にはそれぞれ、背面側からの反射を低減するためのバッキング材(図示しない)が配置され得る。さらに、アレイ22a,22bの各振動子は、プローブ本体22や装置本体12に設けられた種々の回路に対して電気的に接続され得る。コンベックスアレイ22a及びリニアアレイ22bは、超音波プローブ11に備えられるスイッチ回路(図示しない)を介して後述する送受信回路36に接続される。スイッチ回路は、コンベックスアレイ22aとリニアアレイ22bとの間におけるスイッチング(結線)を行なうための回路である。
【0020】
センサ23は、自身の位置P0[X,Y,Z]又はそれに対応する情報を検知し、出力する。またセンサ23は、自身の姿勢[θ
X,θ
Y,θ
Z]又はそれらに対応する情報を検知し、出力し得る。例えば、センサ23が少なくとも2箇所の位置又はそれに対応する情報を検知する場合、当該少なくとも2箇所についての検出結果からセンサ23の姿勢は検知され得る。本実施形態におけるセンサ23は、後述する磁場発生器39によって発生した磁場の大きさと方向を検知し、検知した磁場の大きさと方向に基づいて、センサの位置および姿勢を検知し、出力する。センサ23は、コンベックスアレイ22aを用いたスキャン時とリニアアレイ22bを用いたスキャン時で兼用されることが望ましい。超音波プローブ11のサイズを抑えるためである。なお、センサ23は、3次元空間における3軸の角速度を検知する3軸ジャイロセンサ、3次元空間における3軸の加速度を検知する3軸加速度センサ、3次元空間における3軸の地磁気を検知する3軸地磁気センサのうち少なくともいずれかを含む、いわゆる9軸センサであっても良い。センサ23の位置および姿勢は、超音波プローブの位置および姿勢とみなすこともできる。
【0021】
センサカバー24は、センサ23を保持することが可能であり、センサ23を保持したままプローブ本体22に着脱自在に取り付けられる。なお、センサ23とセンサカバー24がプローブ本体22を構成する一部であっても良い。
【0022】
ケーブル25aは、プローブ本体22の信号線を、後述する送受信回路36の送信回路361及び受信回路362(共に
図1に図示)に接続する。ケーブル25bは、センサ23の信号線を、処理回路31(
図1に図示)に接続する。或いは、ケーブル25bは、処理回路31に接続された外部装置(図示しない)に接続される。この外部装置に含まれる処理回路(図示しない)は、例えばセンサ23が位置そのものでなく位置に対応する情報を出力した場合、センサ23が出力した情報に基づいてセンサ23の位置を検知する。また、この外部装置含まれる処理回路は、例えばセンサ23が姿勢そのものでなく姿勢に対応する情報を出力した場合、センサ23が出力した情報に基づいてセンサ23の姿勢を検知する。或いは、この外部装置に含まれる処理回路は、例えば検知した少なくとも2箇所の位置に基づいて、センサ23の姿勢を検知する。つまり、この外部装置に含まれる処理回路は、センサ23の出力が位置そのものを出力しない場合や、姿勢そのものを出力しない場合において、センサ23からの出力に基づいて、位置や姿勢を検知する。この外部装置に含まれる処理回路は、検知した位置や姿勢を、処理回路31に出力する。なお、この外部装置に含まれる処理回路による検知は、処理回路31によって代替的に実行されても良い。
【0023】
図1の説明に戻って、装置本体12は、処理回路31、記憶部(例えば、記憶回路)32、入力部(例えば、入力回路)33、表示部(例えば、ディスプレイ)34、基準信号発生回路35、送受信回路36、エコーデータ処理回路37、画像生成回路38、及び磁場発生器(磁気トランスミッタ)39を備える。
【0024】
処理回路31は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び、プログラマブル論理デバイス等の処理回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の回路が挙げられる。
【0025】
また、処理回路31は、単一の処理回路によって構成されてもよいし、複数の処理回路の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、記憶回路32がプログラムのエレメントをそれぞれ記憶する複数の記憶回路を含み、各処理回路に対して記憶回路が設けられる。又は、記憶回路32がプログラムを記憶する1の記憶回路を含み、複数の処理回路に対して1の記憶回路が設けられる。
【0026】
記憶回路32は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。記憶回路32は、USB(Universal Serial bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk))などの可搬型メディアによって構成されてもよい。記憶回路32は、処理回路31において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータや、医用画像を記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ34への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力回路33によって行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。
【0027】
記憶回路32は、超音波プローブ11に設けられたセンサ23の位置と、コンベックスアレイ22aの走査面の位置との位置関係に関する第1の情報を記憶する。また、記憶回路32は、超音波プローブ11に設けられたセンサ23の位置と、リニアアレイ22bの走査面の位置との位置関係に関する第2の情報を記憶する。
【0028】
図3は、第1の情報及び第2の情報を説明するための図である。
【0029】
図3に示すように、超音波プローブ11に設けられたセンサ23の位置をP0と定義し、コンベックスアレイ22aの走査面位置をPaと定義し、リニアアレイ22bの走査面位置をPbと定義する。コンベックスアレイ22aの走査面位置Paは、コンベックスアレイ22aを構成する振動子群の中心位置でもよいし、コンベックススキャンのスキャン面上の部分であってもよい。同様に、リニアアレイ22bの走査面位置Pbは、リニアアレイ22bを構成する振動子群の中心位置でもよいし、リニアスキャンのスキャン面上の部分であってもよい。以下、コンベックスアレイ22aの走査面位置Paが、コンベックスアレイ22aを構成する振動子群の中心位置であり、リニアアレイ22bの走査面位置Pbが、リニアアレイ22bを構成する振動子群の中心位置である場合について説明する。
【0030】
X´Y´Z´座標系における位置P0、Pa、Pbは既知であるため、位置P0と位置Paとの距離daは既知の情報であり、位置P0と位置Pbとの距離dbは既知の情報である。また、位置P0に対する位置Paの向きは、位置P0、Paを通る直線Laに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Eaで定義可能な既知の情報であり、位置P0に対する位置Pbの向きは、位置P0、Pbを通る直線Lbに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Ebで定義可能な既知の情報である。即ち、後述するXYZ座標系における位置Pa、Pbは、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0および姿勢と、上述の情報によって一意に決まる。なお、上記は、上述のX´Y´Z´座標系の定義により、直線La、Lbに対するZ´軸を基準とした方位角Aa、Abを考慮しない場合を説明したが、座標系の定義(各軸の定義)が異なれば、方位角Aa、Abを考慮に入れる必要がある。
【0031】
本実施形態における第1の情報は、位置P0と位置Paの位置関係、言い換えれば、位置P0と位置Paの相対関係に関する。また、本実施形態における第2の情報は、位置P0と位置Pbの位置関係、言い換えれば、位置P0と位置Pbの相対関係に関する。上記の
図3を用いた説明を例に挙げると、第1の情報は、X´Y´Z´座標系を定義する情報、位置P0と位置Paの間の距離daの情報、および直線Laに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Eaの情報を含み、第2の情報は、X´Y´Z´座標系を定義する情報、位置P0と位置Pbの間の距離dbの情報、および直線Lbに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Ebの情報を含む。第1の情報は、X´Y´Z´座標系における第1の走査面の姿勢に関する情報を含んでも良く、第2の情報は、X´Y´Z´座標系における第2の走査面の姿勢に関する情報を含んでも良い。なお、上記では、極座標的に位置P0と位置Pa、位置P0と位置Pbの位置関係を決める場合について説明したが、これらの位置関係は、直交座標的に決定されてもよい。
【0032】
第1の情報は、第1の走査面の姿勢を定義可能な例えば3つの位置Pa−1、Pa−2、Pa−3それぞれと位置P0の間の距離da−1、da−2、da−3の情報と、位置Pa−1と位置P0を通る直線La−1、位置Pa−2と位置P0を通る直線La−2、および位置Pa−3と位置P0を通る直線La−3それぞれに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Ea−1、Ea−2、Ea−3の情報、直線La−1、La−2、La−3それぞれに対するZ´軸を基準とした方位角Aa−1、Aa−2、Aa−3の情報を含んでも良い。第2の情報は、第2の走査面の姿勢を定義可能な例えば3つの位置Pb−1、Pb−2、Pb−3それぞれと位置P0の間の距離db−1、db−2、db−3の情報と、位置Pb−1と位置P0を通る直線Lb−1、位置Pb−2と位置P0を通る直線Lb−2、および位置Pb−3と位置P0を通る直線Lb−3それぞれに対するZ´−X´平面を基準とした仰角Eb−1、Eb−2、Eb−3の情報、直線Lb−1、Lb−2、Lb−3それぞれに対するZ´軸を基準とした方位角Ab−1、Ab−2、Ab−3の情報を含んでも良い。あるいは、走査面の姿勢は、画像生成回路38により生成された画像の各画素位置を計算する上で、処理回路31が適宜算出しても良い。
【0033】
図1の説明に戻って、入力回路33は、入力デバイスからの信号を入力する回路である。入力デバイスは、操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウス及びトラックボール等)、キーボード、及びタッチパッド等を含む。ここでは、入力デバイス自体も入力回路33に含まれるものとする。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路33はその操作に応じた入力信号を生成して処理回路31に出力する。なお、装置本体12は、入力デバイスがディスプレイ34と一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。
【0034】
ディスプレイ34は、液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、処理回路31の制御に従って画像生成回路38によって生成された画像データを表示する。
【0035】
基準信号発生回路35は、処理回路31からの制御信号に従って、送受信回路36に対して、例えば、超音波パルスの中心周波数とほぼ等しい周波数の連続波又は矩形波を発生する。
【0036】
送受信回路36は、処理回路31からの制御信号に従って、超音波プローブ11に対して送受信を行なわせる。送受信回路36は、超音波プローブ11から送信超音波を放射させるための駆動信号を生成する送信回路361と、超音波プローブ11からの受信信号に対して整相加算を行なう受信回路362を備える。
【0037】
送信回路361は、図示しない、レートパルス発生器、送信遅延回路、及びパルサを備える。レートパルス発生器は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを、基準信号発生回路35から供給される連続波又は矩形波を分周することによって生成し、このレートパルスを送信遅延回路に供給する。送信遅延回路は、送信に使用される振動子と同数(Nチャンネル)の独立な遅延回路から構成されており、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに送信超音波を収束するための遅延時間と所定の方向に送信超音波を放射するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサに供給する。パルサは、Nチャンネルの独立な駆動回路を有し、超音波プローブ11に内蔵された振動子を駆動するための駆動パルスを前記レートパルスに基づいて生成する。
【0038】
受信回路362は、図示しないプリアンプ、A/D(Analog to Digital)変換回路、受信遅延回路、及び加算回路を備える。プリアンプは、Nチャンネルから構成され、振動子によって電気的な受信信号に変換された微小信号を増幅して十分なS/Nを確保する。プリアンプにおいて所定の大きさに増幅されたNチャンネルの受信信号は、A/D変換回路にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路に送られる。受信遅延回路は、所定の深さからの超音波反射波を集束するための集束用遅延時間と、所定方向に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換回路から出力されるNチャンネルの受信信号の各々に与える。加算回路は、受信遅延回路からの受信信号を整相加算(所定の方向から得られた受信信号の位相を合わせて加算)する。
【0039】
エコーデータ処理回路37は、処理回路31からの制御信号に従って、受信回路362から入力されたエコーデータに対して、超音波画像を生成するための処理を行なう。例えば、エコーデータ処理回路37は、対数圧縮処理及び包絡線検波処理等のBモード処理や、直交検波処理及びフィルタ処理等のドプラ(Doppler)処理などを行なう。
【0040】
画像生成回路38は、処理回路31からの制御信号に従って、エコーデータ処理回路37から入力されたデータを、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを生成する。そして、画像生成回路38は、超音波画像データに基づく超音波画像をディスプレイ34に表示させる。本実施形態における超音波画像データは、例えば被検体内の形態情報を表す形態画像データ(Bモード画像を含む)、被検体内の血流情報の分布を表すドプラ画像データ、被検体内の弾性、粘性、減衰などの組織性状を表す組織性状画像データのうち少なくとも一つを含む。また、本実施形態における超音波画像データは、2次元の画像データおよび3次元の画像データのうち少なくとも一つを含む。
【0041】
磁場発生器39は、磁場を発生させる。本実施形態におけるXYZ座標系は、磁場発生器39の位置および姿勢を基準にして定義されても、磁場発生器39の位置および姿勢に依存せずに定義されてもよい。磁場発生器39は、磁場を発生する。それに同期してセンサ23が、XYZ座標系における自身の位置P0[x,y,z]と、XYZ座標系における自身の姿勢[α,β,γ]を逐次検知する。
【0042】
続いて、本実施形態に係る超音波診断装置1の機能について説明する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る超音波診断装置1の機能を示すブロック図である。
【0044】
処理回路31がプログラムを実行することによって、超音波診断装置1は、コンベックススキャン実行機能311、位置決定機能312、位置関連付け機能313、リニアスキャン実行機能314、及びスキャン方式切り替え機能315として機能する。なお、機能311〜315がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、それら機能311〜315の一部又は全部は、超音波診断装置1にデジタル回路として設けられるものであってもよい。
【0045】
コンベックススキャン実行機能311は、基準信号発生回路35を介して、超音波プローブ11のコンベックスアレイ22aを制御してコンベックススキャンを実行させる機能である。画像生成回路38は、コンベックススキャンの間、コンベックスアレイ22aからの出力を基に、複数フレームに係る画像群を生成する。処理回路31は、画像生成回路38によって生成された複数フレームに係る画像群を逐次的にディスプレイ34に表示(ライブ表示)させる。例えば前立腺に対する穿刺治療を目的として、本実施形態における超音波プローブ11を用いる場合、上記の複数フレームに係る画像群のライブ表示は、例えば穿刺対象部位を探索するのに有効である。
図5は、コンベックスアレイ22aと、コンベックスアレイ22aを用いたコンベックススキャンにより生成される画像との関係を示す概念図である。また、
図6は、コンベックススキャン中に超音波プローブ11をZ´軸に沿ってスライドさせた場合における第1の走査面の移動、つまり、移動する第1の走査面によって形成される複数のコンベックス断面を示す図である。複数のコンベックス断面はすべて、X´Y´面に略平行である。
【0046】
図4の説明に戻って、位置決定機能312は、センサ23の出力と、記憶回路32に記憶された第1の情報とに基づいて、画像生成回路38によって生成された複数フレームに係る画像群同士の相対位置を決定する機能である。例えば、処理回路31は、第1フレーム目の画像の基となるデータを収集したタイミングにおいてセンサ23が出力した、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0及び姿勢と、記憶回路32から処理回路31が読み出した第1の情報に基づいて、XYZ座標系における第1フレーム目の画像の位置を決定し、第2フレーム目の画像の基となるデータを収集したタイミングにおいてセンサ23が出力した、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0及び姿勢と、記憶回路32から処理回路31が読み出した第1の情報に基づいて、XYZ座標系における第2フレーム目の画像の位置を決定する。
【0047】
つまり、処理回路31は、第mフレーム目の画像の基となるデータを収集したタイミングにおいてセンサ23が出力した、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0及び姿勢と、記憶回路32から処理回路31が読み出した第1の情報に基づいて、XYZ座標系における第mフレーム目の画像の位置を決定する。
【0048】
処理回路31は、位置決定機能312により、例えば第kフレーム目の画像の位置に対する他のフレームの画像の位置(第kフレーム目の画像と他のフレームの画像の相対位置)を決定し得る。
【0049】
位置関連付け機能313は、コンベックススキャンにおいて画像生成回路38によって生成された画像群のそれぞれに、位置決定機能312によって決定された画像の相対位置を関連付ける機能である。位置関連付け機能313は、コンベックススキャンで生成された画像群のそれぞれに上記相対位置を付帯させてもよいし、画像群と上記相対位置とを対応付ける対応テーブルを作成してもよい。相対位置の変わりに、或いは相対位置に加えて、XYZ座標系における位置(絶対位置)を付帯させても良い。画像群と上記絶対位置を対応付ける対応テーブルを作成しても良い。
【0050】
また、画像生成回路38は、コンベックススキャンにおいて生成された画像群を、関連付けられた相対位置に従って配列し、必要に応じて補間処理を行なうことで、ボリュームデータを3次元画像データとして生成する。また、画像生成回路38は、ボリュームデータに基づいて3次元画像を生成する。つまり、画像生成回路38は、コンベックスアレイ22aを用いた超音波送受信により得られる超音波プローブ11の出力と、センサ23の出力と、第1の情報と、に基づいて、3次元画像データ(第1の3次元画像データ)を生成することができる。画像生成回路38は、生成した3次元画像を表示する。ここで、3次元画像とは、3次元画像データに対して、ボリュームレンダリング、サーフィスレンダリング、グローバルイルミネーション等のレンダリング処理や、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理等の3次元画像処理が施されて生成された画像を意味する。
【0051】
リニアスキャン実行機能314は、基準信号発生回路35を介して、超音波プローブ11のリニアアレイ22bを制御してリニアスキャンを実行させる機能である。画像生成回路38は、リニアスキャンの間、リニアアレイ22bからの出力を基に、複数フレームに係る画像群を生成する。処理回路31は、画像生成回路38によって生成された複数フレームに係る画像群を逐次的にディスプレイ34にライブ表示させる。例えば前立腺に対する穿刺治療を目的として、本実施形態における超音波プローブ11を用いる場合、上記の複数フレームに係る画像群のライブ表示は、例えば穿刺針の位置を探索するのに有効である。
図7は、リニアアレイ22bと、リニアアレイ22bを用いたリニアスキャンにより生成される画像との関係を示す概念図である。また、
図8は、リニアスキャン中に超音波プローブ11をZ´軸中心に回転させた場合における第2の走査面の移動、つまり、移動する第2の走査面によって形成される複数のリニア断面を示す図である。複数のリニア断面は、Z´軸を中心とする回転方向において異なる回転角度をもつ。
【0052】
図4の説明に戻って、位置決定機能312は、センサ23の出力と、記憶回路32に記憶された第2の情報とに基づいて、画像生成回路38によって生成された複数フレームに係る画像群同士の相対位置を決定する機能である。例えば、処理回路31は、第1フレーム目の画像の基となるデータを収集したタイミングにおいてセンサ23が出力した、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0及び姿勢と、記憶回路32から処理回路31が読み出した第2の情報に基づいて、XYZ座標系における第1フレーム目の画像の位置を決定し、第2フレーム目の画像の基となるデータを収集したタイミングにおいてセンサ23が出力した、XYZ座標系におけるセンサ23の位置P0及び姿勢と、記憶回路32から処理回路31が読み出した第2の情報に基づいて、XYZ座標系における第2フレーム目の画像の位置を決定する。
【0053】
位置関連付け機能313は、リニアスキャンにおいて画像生成回路38によって生成された画像群のそれぞれに、位置決定機能312によって決定された画像の相対位置を関連付ける機能である。位置関連付け機能313は、リニアスキャンで生成された画像群のそれぞれに上記相対位置を付帯させてもよいし、画像群と上記相対位置とを対応付ける対応テーブルを作成してもよい。相対位置の変わりに、或いは相対位置に加えて、XYZ座標系における位置(絶対位置)を付帯させても良い。画像群と上記絶対位置を対応付ける対応テーブルを作成しても良い。
【0054】
また、画像生成回路38は、リニアスキャンにおいて生成された画像群を、関連付けられた相対位置に従って配列し、必要に応じて補間処理を行なうことで、ボリュームデータを3次元画像データとして生成する。また、画像生成回路38は、ボリュームデータに基づいて3次元画像を生成する。つまり、画像生成回路38は、リニアアレイ22bを用いた超音波送受信により得られる超音波プローブ11の出力と、センサ23の出力と、第2の情報と、に基づいて、3次元画像データ(第2の3次元画像データ)を生成することができる。画像生成回路38は、生成した3次元画像を表示する。
【0055】
図9は、3次元画像の第1の表示例を示す図である。
【0056】
図9は、Bモードによって生成された断面画像群から生成されたボリュームデータに基づく3次元画像の第1の表示例を示す。
図9に示すように、複数の3次元画像を並列表示することができる。
図9では、複数の3次元画像として、直交3断面画像(A面画像、B面画像、及びC面画像)と、レンダリング画像が示される。なお、断面画像群は、コンベックススキャンによって得られたものであっても、リニアススキャンによって得られたものであっても同等である。また、断面画像群は、Bモードによって生成されたものに限定されるものではなく、カラードプラモードや、エラストモードによって生成されたものであってもよい。
【0057】
図10は、3次元画像の第2の表示例を示す図である。
【0058】
図10は、Bモードによって生成された断面画像群から生成されたボリュームデータに基づく3次元画像の第2の表示例を示す。
図10に示すように、複数の3次元画像を並列表示することができる。
図10では、複数の3次元画像として、平行する4個のB面画像が示される。なお、断面画像群は、コンベックススキャンによって得られたものであっても、リニアススキャンによって得られたものであっても同等である。また、断面画像群は、Bモードによって生成されたものに限定されるものではなく、カラードプラモードや、エラストモードによって生成されたものであってもよい。
【0059】
図4の説明に戻って、スキャン方式切り替え機能315は、コンベックススキャン実行機能311によるコンベックススキャンの実行中に超音波プローブ11のスイッチ21aが押圧されると、スキャン方式をコンベックススキャンからリニアスキャンに切り替える機能を含む。また、スキャン方式切り替え機能315は、リニアスキャン実行機能314によるリニアスキャンの実行中に超音波プローブ11のスイッチ21aが押圧されると、スキャン方式をリニアスキャンからコンベックススキャンに切り替える機能を含む。なお、スキャン方式の切り替えは、超音波診断装置1に必須の機能ではない。
【0060】
続いて、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作について、
図4、
図11、及び
図12を用いて説明する。
【0061】
図11及び
図12は、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。
【0062】
図4及び
図11において、超音波診断装置1のコンベックススキャン実行機能311は、磁場発生器39(
図1に図示)を制御して、3次元方向の磁場の発生を開始する(ステップST1)。コンベックススキャン実行機能311は、入力回路33を介してスキャンの開始入力がなされると、超音波プローブ11のコンベックスアレイ22aを制御してコンベックススキャンを開始させる(ステップST2)。
【0063】
画像生成回路38は、コンベックススキャンの間、第1フレームに係るコンベックス断面画像を生成する(ステップST3)。画像生成回路38は、コンベックススキャンの間、第mフレームに係るコンベックス断面画像を生成する(ステップST4)。画像生成回路38は、第mフレームに係るコンベックス断面画像をディスプレイ34に表示してもよい。その場合、画像生成回路38は、第mフレームの前のフレームに係るコンベックス断面画像の表示を第mフレームに係るコンベックス断面画像に更新することにより、コンベックス断面画像をライブ表示することもできる。
【0064】
位置決定機能312は、第mフレームに係るセンサ23の出力と、記憶回路32に記憶された第1の情報とに基づいて、画像生成回路38によって生成された第1フレームに係るコンベックス断面画像に対する、第mフレームに係るコンベックス断面画像の相対位置を決定する(ステップST5)。
【0065】
位置関連付け機能313は、画像生成回路38によってコンベックススキャンで生成された第mフレームに係るコンベックス断面画像に、ステップST5によって決定された走査面の相対位置を関連付ける(ステップST6)。画像生成回路38は、コンベックススキャンの間、第1フレームから、相対位置が関連付けられた第mフレームまでのコンベックス断面画像群に基づいてボリュームデータを3次元画像データとして生成する(ステップST7)。第1フレームから第m−1フレームまでのコンベックス断面画像群に基づいて第m−1のボリュームデータが生成された後、第1フレームから第mフレームまでのコンベックス断面画像群に基づいて第mのボリュームデータが生成される場合、ステップST7では、第m−1のボリュームデータとは別に改めて第mのボリュームデータが生成される。つまり、m個のボリュームデータが生成されることになる。しかし、その場合に限定されるものではない。例えば、第m−1のボリュームデータを、第mのコンベックス断面画像で更新することで、第mのボリュームデータが生成されてもよい。つまり、1個のボリュームデータが生成されることになる。
【0066】
画像生成回路38は、ステップST7によって生成されたボリュームデータに基づいて3次元画像を生成し、3次元画像をディスプレイ34に表示する(ステップST8)。つまり、ステップST8では、複数フレームのボリュームデータに基づく3次元画像群がライブ表示される。第1フレームから第m−1フレームまでのコンベックス断面画像群に基づいて第m−1のボリュームデータが生成された後、第1フレームから第mフレームまでのコンベックス断面画像群に基づいて第mのボリュームデータが生成される場合を考える。その場合、第m−1のボリュームデータと第mのボリュームデータとのデータ範囲が異なるので、例えばライブ表示中に、3次元画像の表示範囲が変動する。また、画像生成回路38は、ステップST7によって生成されたボリュームデータや、ステップST8によって生成された3次元画像を記憶回路32に記憶させる。
【0067】
スキャン方式切り替え機能315は、コンベックススキャンの間、超音波プローブ11のスイッチ21aが押圧されたか否かに応じて、スキャン方式がリニアスキャンに切り替られたか否かを判断する(ステップST9)。ステップST9の判断にてYES、すなわち、スキャン方式がリニアスキャンに切り替られたと判断される場合、スキャン方式切り替え機能315は、コンベックススキャンを終了させ、
図12に示すステップST22に進む。
【0068】
一方、ステップST9の判断にてNO、すなわち、スキャン方式がリニアスキャンに切り替られていないと判断される場合、スキャン方式切り替え機能315は、コンベックススキャンの間、操作者から終了指示がされたか否かに応じて、スキャンを終了するか否かを判断する(ステップST10)。ステップST10の判断にてYES、すなわち、スキャンを終了すると判断される場合、コンベックススキャン実行機能311は、磁場発生器39を制御して3次元方向の磁場の発生を終了し(ステップST11)、スキャンが終了される。
【0069】
一方、ステップST10の判断にてNO、すなわち、スキャンを終了しないと判断される場合、画像生成回路38は、フレームを1つ進めて(ステップST12)、第m+1フレームに係るコンベックス断面画像を生成する(ステップST4)。
【0070】
図4及び
図12において、超音波診断装置1のリニアスキャン実行機能314は、入力回路33を介してスキャンの開始入力がなされると、超音波プローブ11のリニアアレイ22bを制御してリニアスキャンを開始させる(ステップST22)。
【0071】
画像生成回路38は、リニアスキャンの間、第1フレームに係るリニア断面画像を生成する(ステップST23)。画像生成回路38は、リニアスキャンの間、第nフレームに係るリニア断面画像を生成する(ステップST24)。nは、2以上の整数である。画像生成回路38は、第nフレームに係るリニア断面画像をディスプレイ34に表示してもよい。その場合、画像生成回路38は、第nフレームの前のフレームに係るリニア断面画像の表示を第nフレームに係るリニア断面画像に更新することにより、リニア断面画像をライブ表示することもできる。
【0072】
位置決定機能312は、第nフレームに係るセンサ23の出力と、記憶回路32に記憶された第2の情報とに基づいて、画像生成回路38によって生成された第1フレームに係るリニア断面画像に対する、第nフレームに係るリニア断面画像の相対位置を決定する(ステップST25)。
【0073】
位置関連付け機能313は、画像生成回路38によってリニアスキャンで生成された第nフレームに係るリニア断面画像に、ステップST25によって決定された走査面の相対位置を関連付ける(ステップST26)。画像生成回路38は、リニアスキャンの間、第1フレームから、相対位置が関連付けられた第nフレームに係るリニア断面画像群に基づいてボリュームデータを3次元画像データとして生成する(ステップST27)。第1フレームから第n−1フレームまでのリニア断面画像群に基づいて第n−1のボリュームデータが生成された後、第1フレームから第nフレームまでのリニア断面画像群に基づいて第nのボリュームデータが生成される場合、ステップST27では、第n−1のボリュームデータとは別に改めて第nのボリュームデータが生成される。つまり、n個のボリュームデータが生成されることになる。しかし、その場合に限定されるものではない。例えば、第n−1のボリュームデータを、第nのリニア断面画像で更新することで、第nのボリュームデータが生成されてもよい。つまり、1個のボリュームデータが生成されることになる。
【0074】
画像生成回路38は、ステップST27によって生成されたボリュームデータに基づいて3次元画像を生成し、3次元画像をディスプレイ34に表示する(ステップST28)。つまり、ステップST28では、複数フレームのボリュームデータに基づく3次元画像群がライブ表示される。第1フレームから第n−1フレームまでのリニア断面画像群に基づいて第n−1のボリュームデータが生成された後、第1フレームから第nフレームまでのリニア断面画像群に基づいて第nのボリュームデータが生成される場合を考える。その場合、第n−1のボリュームデータと第nのボリュームデータとのデータ範囲が異なるので、例えばライブ表示中に、3次元画像の表示範囲が変動する。また、画像生成回路38は、ステップST27によって生成されたボリュームデータや、ステップST28によって生成された3次元画像を記憶回路32に記憶させる。
【0075】
スキャン方式切り替え機能315は、リニアスキャンの間、超音波プローブ11のスイッチ21aが押圧されたか否かに応じて、スキャン方式がコンベックススキャンに切り替られたか否かを判断する(ステップST29)。ステップST29の判断にてYES、すなわち、スキャン方式がコンベックススキャンに切り替られたと判断される場合、スキャン方式切り替え機能315は、リニアスキャンを終了させ、
図11に示すステップST2に進む。
【0076】
一方、ステップST29の判断にてNO、すなわち、スキャン方式がコンベックススキャンに切り替られていないと判断される場合、スキャン方式切り替え機能315は、リニアスキャンの間、操作者から終了指示がされたか否かに応じて、スキャンを終了するか否かを判断する(ステップST30)。ステップST30の判断にてYES、すなわち、スキャンを終了すると判断される場合、リニアスキャン実行機能314は、磁場発生器39を制御して磁場の発生を終了し(ステップST31)、スキャンが終了される。
【0077】
一方、ステップST30の判断にてNO、すなわち、スキャンを終了しないと判断される場合、画像生成回路38は、フレームを1つ進めて(ステップST32)、第n+1フレームに係るリニア断面画像を生成する(ステップST24)。
【0078】
なお、
図11及び
図12において、先にコンベックススキャンを実行した後でリニアスキャンを実行するような動作を説明したが、先にリニアスキャンを実行した後でコンベックススキャンを実行するような動作であってもよい。また、
図11に示すステップST2によってコンベックススキャンが開始された後は、複数のコンベックス断面画像を用いたライブ表示が行なわれ、別途スイッチ切り替えが行なわれた後の第1フレームについて、ステップST3以降の動作が開始されるようにしてもよい。それは、リニアスキャンの場合も同様である。
【0079】
(第1変形例)
上記実施形態では、第2の情報がセンサの位置P0と第2の走査面Pbの位置関係に関する情報を含む場合について説明したが、前記第2の情報が前記第1の走査面の位置Paと前記第2の走査面の位置Pbの位置関係に関する情報を含む場合、第2の情報がセンサの位置P0と第2の走査面Pbの位置関係に関する情報を含まなくとも、第2の3次元画像データは生成され得る。この場合、画像生成回路38は、リニアアレイ22bを用いた超音波送受信により得られる超音波プローブ11の出力、センサ23の出力、第1の情報、および第2の情報に基づいて、第2の3次元画像データを生成する。
【0080】
(第2変形例)
図6に示す第1振動子セット22aを用いた超音波送受信(コンベックススキャン)の走査範囲と、
図8に示す第2振動子セット22bを用いた超音波送受信(リニアスキャン)の走査範囲とが重なる場合を考える。その場合、画像生成回路38(
図4に図示)は、コンベックススキャンに基づく第1の3次元画像データとリニアスキャンに基づく第2の3次元画像データとのいずれかを生成してそれに3次元画像処理を施すことで、表示要求を受け付けた任意の断面に対応する断面画像をMPR画像として生成することができる。しかし、表示要求された断面画像を生成する方法は、その場合に限定されるものではない。
【0081】
例えば、画像生成回路38は、第1フレームから第mフレームまでのコンベックス断面画像群(
図11のST7)の少なくとも一部と、第1フレームから第nフレームまでのリニア断面画像群(
図12のST27)の少なくとも一部とを使って、つまり、補間前の両方の断面画像群を選択的に使って、表示要求された断面画像を生成することができる。
その場合、画像生成回路38は、表示要求された断面画像の各画素の輝度値を、各画素から、コンベックス断面画像群の各画素やリニア断面画像群の各画素までの距離に応じて求める。表示要求された断面画像の各画素や、コンベックス断面画像群の各画素や、リニア断面画像群の各画素は、それぞれ位置情報を持っている。そこで、画像生成回路38は、表示要求された断面画像の各画素の輝度値として、各画素に最も近い、断面画像群の中の画素の輝度値を採用したり、各画素に近い、断面画像群の中の複数の画素にそれぞれ対応する複数の輝度値から算出される輝度値を採用したりすることができる。後者は、例えば、複数の輝度値から算出される単純平均値、又は、距離に応じた加重平均値である。
【0082】
以上のように、コンベックススキャンの走査範囲と、リニアスキャンの走査範囲とが重なる場合に、表示要求された断面画像の画素単位でコンベックス断面画像群及びリニア断面画像群のいずれかの情報を選択的に使用することで、表示画像を生成することができる。その結果、表示画像の劣化が抑えられる。
【0083】
(第3変形例)
画像生成回路38は、コンベックス断面画像群に基づくボリュームデータ(以下、「コンベックスボリュームデータ」という。)と、リニア断面画像群に基づくボリュームデータ(以下、「リニアボリュームデータ」という。)とのうち、表示要求を受け付けた任意の断面に応じて適切に選択されたボリュームデータに基づいて、任意の断面に対応する断面画像をMPR画像として生成することもできる。例えば、画像生成回路38は、複数のコンベックス断面(
図6に図示)に略平行な断面に対応する断面画像の表示要求を受け付けた場合、コンベックスボリュームデータから、表示要求された断面画像を生成する。又は、画像生成回路38は、複数のリニア断面(
図8に図示)のいずれかに略平行な断面に対応する断面画像の表示要求を受け付けた場合、リニアボリュームデータから、表示要求された断面画像を生成する。
【0084】
図13(A)〜(C)は、表示要求を受け付けた断面に対応する断面画像の生成例を説明するための図である。
【0085】
図13(A)は、表示要求を受け付けた断面が直交3断面である場合の、X´Y´断面C1及びY´Z´断面C2を示す。
図13(A)に示すX´Y´断面C1は、
図6に示す複数のコンベックス断面に略平行である。よって、画像生成回路38は、
図13(B)に示すように、X´Y´断面C1に対応する断面画像を、コンベックスボリュームデータから生成することができる。つまり、画像生成回路38は、表示要求されたX´Y´断面C1に対応する断面画像を、X´Y´断面C1に略平行なコンベックス断面に係るコンベックスボリュームデータから生成する。これにより、補間処理による表示画像の劣化を抑えることができる。
【0086】
図13(A)に示すY´Z´断面C2は、
図8に示す複数のリニア断面のいずれかに略平行である。よって、画像生成回路38は、
図13(C)に示すように、Y´Z´断面C2に対応する断面画像を、リニアボリュームデータから生成することができる。つまり、画像生成回路38は、表示要求されたY´Z´断面C2に対応する断面画像を、Y´Z´断面C2に略平行なリニア断面に係るリニアボリュームデータから生成する。これにより、補間処理による表示画像の劣化を抑えることができる。
【0087】
なお、画像生成回路38は、直交3断面のうち残りのZ´X´断面に対応する断面画像を、コンベックスボリュームデータ又はリニアボリュームデータに基づく断面画像、例えばMPR画像とすればよい。
【0088】
図13(A)〜(C)を用いて、表示要求を受け付けた断面が直交3断面である場合について説明した。しかし、その場合に限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、複数のリニア断面は、Z´軸を中心とする回転方向において異なる回転角度をもつ。そこで、画像生成回路38は、回転角度がリニア断面に略一致する断面に対応する断面画像の表示要求を受け付けた場合、その断面画像を、回転角度が略一致するリニア断面に係るリニアボリュームデータから生成することができる。つまり、画像生成回路38は、表示要求された断面画像を、回転角度が略一致するリニア断面に係るリニアボリュームデータから生成する。これにより、補間処理による表示画像の劣化を抑えることができる。
【0089】
以上のように、コンベックススキャンの走査範囲と、リニアスキャンの走査範囲とが重なる場合に、表示要求された断面画像を、その断面画像の断面に応じて、コンベックスボリュームデータ及びリニアボリュームデータのいずれか適切な方を使用して生成することができる。その結果、表示画像の劣化が抑えられる。
【0090】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の超音波診断装置及び超音波画像生成方法によれば、マルチプレーンプローブの各走査面で3次元画像を生成する場合において、実際と整合する3次元画像を提供できる。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。