(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両等を守るため、火災を監視する火災検知装置が設置され、防災受信盤から引き出された信号線に接続されている。
【0003】
火災検知装置はトンネル長手方向に沿って例えば25m間隔、或いは50m間隔に区分された監視エリアの境界に設置され、火災検知装置は左右の両方向に検知エリアを持ち、隣接して配置された火災検知装置により同じ監視エリアの火災を重複して監視している。
【0004】
また、火災検知装置は透光性窓を介してトンネル内で発生する火災炎からの放射線、たとえば赤外線を監視しており、炎の監視機能を維持するために、透光性窓の汚れを監視している。
【0005】
透光性窓の汚れ監視は、火災検知装置に設けた試験光源から定期的に試験光を、検知装置外部の検知出エリア側空間を経由し透光性窓に入射し受光素子で受光して、このときの受光レベルを初期無汚損時のそれと比較するなどして減光率を汚損レベルとして求め、汚損レベルが所定の閾値を超えたら汚損信号を防災受信盤に送信して汚損警報を出力している。また、汚損閾値に対しそれより低い汚損予兆閾値を設定し、汚損レベルが汚れ予兆閾値を超えた場合に汚損予兆信号を防災受信盤に送信して汚損予兆警報を出力するようにしている。
【0006】
更に、トンネル内に設置している火災検知装置は環境内を浮遊する汚損物質付着などにより時間の経過と共に透光性窓の汚れが増加することから、一定の期間毎に透光性窓の清掃を行っている。
【0007】
ここで、防災受信盤で汚損予兆警報が出力された場合の火災検知装置の汚損は、透光性窓の汚損は進んでいるが、監視エリア全部の監視が可能な状態にある。これに対し防災受信盤で汚損警報が出力された火災検知装置の汚損は、透光性窓の汚損が更に進んで、監視エリア全部の監視ができず、火災検知装置に近い監視エリアの一部しか監視できない状態にあり、隣接した火災検知装置による同一監視エリアの重複監視という監視機能が損なわれていることから、汚損警報を出した火災検知装置の清掃が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような隣接して配置された火災検知装置により同一の監視エリアを重複して監視する場合にあっては、防災
受信盤は、隣接した火災検知装置の何れか一方が汚損予兆となった場合、汚損予兆となっていない他方の火災検知装置により監視エリア全部の監視が正常に行われているにも関わらず、その監視エリアに対応して汚れ予兆警報を報知しているが、この段階での警報に対する対処は緊急度の高いものではない。特に、複数の監視エリアについて、このような緊急を要さない汚れ予兆警報が同時期に出されたような場合には、かえって本来の火災監視業務に支障を来たす恐れがある。
【0010】
本発明は、監視エリアを火災検知装置により重複監視している場合の汚損に対する防災受信盤での警報表示を最適化して、適切な監視業務を可能とする防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(防災システム)
本発明は、受信装置に監視エリアからの放射線を
、透光性窓を
介して受光することで監視エリアの火災を監視する複数の検知装置を接続した防災システムに於いて、
受信装置は、監視エリアを監視している任意の検知装置の透光性窓の汚損状況と、同じ監視エリアを監視している他の検知装置の透光性窓の汚損状況とに基づいて監視障害の状況を判定して
、判定結果に対応する処理(判定結果を報知する処理)をすることを特徴とする。
【0012】
(防災システムの別形態)
本発明の別の形態にあっては、
受信装置に複数の火災検知装置を接続した防災システムに於いて、
火災検知装置は、
透光性窓を介して監視エリアからの放射線を受光して電気信号に変換する受光部と、
受光部からの電気信号に基づいて、対応する監視エリアにおける火災の有無を判定する火災判定部と、
受光部に対応する透光性窓の汚損レベルを検出して、
汚損レベルから、前記透光性窓が所定の汚損予兆
状態であると認められる場合に
、受信装置
に汚損予兆信号を送信し、汚損レベル
から、透光性窓が汚損予兆
状態よりも汚損が進んだ所定の汚損
状態であると認められる場合に
、受信装置へ受光部の汚損を示す汚損信号を送信する汚損処理部と、
を備え
、
受信装置は、
相互に隣接して配置されて同一の監視エリアを
重複して監視する
複数の火災検知装置の汚損予兆
状態発生有無
の関係に基づいて、対応する監視エリアの監視障害予兆
と判定して
、判定結果に対応する処理をする制御部を備えたことを特徴とする。
【0013】
(汚損予兆×汚損予兆=監視障害予兆)
受信装置の制御部は、汚損予兆信号及び汚損信号に基づき、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の
全てが汚損予兆
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害予兆を判定して
、判定結果に対応する処理をする。
【0014】
(汚損×正常/汚損予兆/汚損=監視障害)
受信装置の制御部は、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の内の少なくとも
一部が汚損
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害
と判定して
、判定結果に対応する処理をする。
【0015】
(汚損予兆×汚損=監視障害予兆)
受信装置の制御部は、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の内の
一部が汚損予兆
状態で他が汚損
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害予兆
と判定して
、判定結果に対応する処理をする。
【0016】
(汚損予兆
状態と汚損
状態)
汚損予兆
状態は、当該状態における受光部により監視エリアの全部の監視を可能
である汚損レベル範囲として設定され
、
汚損
状態は、
当該状態における受光部によ
り監視エリアの一部または全部
の監視が不能である汚損レベル範囲として設定される。
【発明の効果】
【0017】
(防災システムの効果)
本発明は、受信装置に監視エリアからの放射線を
、透光性窓を
介して受光することで監視エリアの火災を監視する複数の検知装置を接続した防災システムに於いて、受信装置は、監視エリアを監視している任意の検知装置の透光性窓の汚損状況と、同じ監視エリアを監視している他の検知装置の透光性窓の汚損状況とに基づいて監視障害の状況を判定して
、判定結果に対応する処理(判定結果を報知する処理)をするようにしたため、正常(非汚損)、汚損予兆、汚損といった透光性窓の汚損の状況に応じて、システム上の監視性能上の障害状況(監視障害予兆、監視障害)を適切に評価して報知することを可能とする。
【0018】
(防災システムの他の形態による効果)
本発明の別の形態にあっては、受信装置に複数の火災検知装置を接続した防災システムに於いて、火災検知装置は、透光性窓を介して監視エリアからの放射線を受光して電気信号に変換する受光部と、受光部からの電気信号に基づいて、対応する監視エリアにおける火災の有無を判定する火災判定部と、受光部に対応する透光性窓の汚損レベルを検出して、
汚損レベルから、前記透光性窓が所定の汚損予兆
状態であると認められる場合に
、受信装置
に汚損予兆信号を送信し、汚損レベル
から、透光性窓が汚損予兆
状態よりも汚損が進んだ所定の汚損
状態であると認められる場合に
、受信装置へ受光部の汚損を示す汚損信号を送信する汚損処理部と、を備え
、受信装置は、
相互に隣接して配置されて同一の監視エリアを
重複して監視する
複数の火災検知装置の汚損予兆
状態発生有無
の関係に基づいて、対応する監視エリアの監視障害予兆
と判定して
、判定結果に対応する処理をする制御部を備えたため、同一の監視エリアを重複して監視している複数の火災検知装置の汚損予兆が例えば所定の全部数に対し所定割合未満の場合は、汚損予兆に達していない火災検知装置による監視エリア全部の監視が保証されていることから、受信装置は対応する監視エリアの監視障害予兆として報知せず、監視エリアに対する不必要な監視障害予兆の報知による対応を不要にして本来の監視業務の円滑な遂行を可能とする。
【0019】
また、同一の監視エリアを重複して監視している複数の火災検知装置の汚損予兆が例えば所定の全部数に対し所定割合に達した場合には、複数の火災検知装置による監視エリア全部の監視が保証されなくなることから、この場合には、受信装置は対応する監視エリアの監視障害予兆を報知して注意を促し、その後、同一監視エリアを監視する複数の火災検知装置の少なくとも何れかから汚損信号を受信した場合に、同一監視エリアに対する複数の火災検知装置による重複監視の機能が失われたと判断し、監視障害を報知することで、汚損に達した火災検知装置に対する清掃作業を準備して実行することで、適切な対応を可能とする。
【0020】
(汚損予兆×汚損予兆=監視障害予兆による効果)
また、受信装置の制御部は、汚損予兆信号及び汚損信号に基づき、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の
全てが汚損予兆
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害予兆を判定して
、判定結果に対応する処理をするようにしたため、トンネル長手方向等に向かって所定間隔に区分された監視エリアを重複して監視する隣接した火災検知装置の何れか一方が汚損予兆となった場合は、汚損予兆に達していない他方の火災検知装置により監視エリア全部の監視が保証されていることから、受信装置は対応する監視エリアの監視障害予兆として報知せず、監視エリアに対する不必要な監視障害予兆の報知による対応を不要にして本来の監視業務の円滑な遂行を可能とする。
【0021】
また、両方の火災検知装置による監視エリア全部の重複した監視が保証されなくなり、汚損障害となる可能性が高いことから、この場合には、受信装置は対応する監視エリアの監視障害予兆を報知して注意を促す。
【0022】
(汚損×正常/汚損予兆/予兆=監視障害による効果)
また、受信装置の制御部は、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の内の少なくとも
一部が汚損
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害
と判定して
、判定結果に対応する処理をするようにしたため、例えば、同一の監視エリアを重複して監視している火災検知装置の両方が汚損予兆に達して監視障害予兆が報知された後に、何れか一方の火災検知装置が汚損に達した場合に、同一監視エリアに対する隣接した火災検知装置による重複監視の機能が失われたと判断して監視障害を報知することで、汚損に達した火災検知装置に対する清掃作業を準備して実行する適切な対応を可能とする。
【0023】
(汚損予兆×汚損=監視障害予兆による効果)
また、受信装置の制御部は、
相互に同一の監視エリアを
重複して監視する火災検知装置の内の
一部が汚損予兆
状態で他が汚損
状態となった場合に、対応する監視エリアの監視障害予兆
と判定して
、判定結果に対応する処理をするようにしたため、一方が汚損予兆で他方が汚損となることで監視エリアは重複監視できないが、汚損予兆の火災検知装置は監視エリア全部を監視し、また、汚損予兆の火災検知装置は監視エリアの一部を重複して監視しており、このため、ただちに監視障害とせず、この段階では監視障害予兆と評価し、監視エリアの監視障害予兆を報知して注意を促すようにしても良い。
【0024】
(汚損予兆
状態と汚損
状態による効果)
また、汚損予兆
状態は、当該状態における受光部により監視エリアの全部の監視を可能
である汚損レベル範囲として設定され、汚損
状態は、
当該状態における受光部によ
り監視エリアの一部または全部の監視が
不能である汚損レベル範囲として設定されるため、同一監視エリアを重複して監視している複数の火災検知装置の一部が汚損予兆に達しても監視予兆警報を行わず、同一監視エリアを重複して監視している複数の火災検知装置の例えば全てが汚損予兆となったときに、監視エリアの監視障害予兆を報知させ、その後、同一監視エリアを重複して監視している複数の火災検知装置の一部で汚損に達した場合に、監視エリアの監視障害を報知することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[防災システムの概要]
図1はトンネルの火災監視を例にとって本発明による防災システムの概要を示した説明図である。
図1に示すように、自動車専用道路のトンネルとして、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bが構築されている。
【0027】
上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の壁面に沿って例えば50メートル間隔で火災検知装置16が設置されている。火災検知装置16は2組の検出部を備えることで、トンネル長手方向上り側および下り側の両方向に監視エリアを持ち、トンネルの長手方向に沿って、隣接して配置される火災検知装置との監視エリアが重複するように連続的に配置される。
【0028】
受信装置として機能する防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに対し電源および伝送回線12a,12bが引き出されて火災検知装置16が接続されており、火災検知装置16には固有のアドレスが所定の並び方向の順に予め設定されている。
【0029】
図2は火災検知装置により重複監視するトンネル内の監視エリアを示した説明図であり、
図1の上り線トンネル1aを例にとっている。
【0030】
図2に示すように、上り線トンネル1aのトンネル側壁に沿って例えば50メートル間隔で火災検知装置16が設置されている。これはトンネル内を長手方向に50メートル間隔の監視エリアA
1,A
2,…A
i-1,A
i,A
i+1,・・・に区分けし、境界に火災検知装置16を設置する。各監視エリアは例えば長手方向50m×短手方向20mといった大きさになる。
【0031】
火災検知装置16には、左右両側の監視エリアを個別に監視する2組の検出部が設けられている。便宜的に、火災検知装置に向かって右側を右眼検出部、左側を左眼検出部とする。例えば、監視エリアAiの両端に配置されたi番目の火災検知装置16とi+1番目の火災検知装置16は、i番目の火災検知装置16の右眼検出部により監視エリアAiを監視し、同時に、i+1番目の火災検知装置16の左眼受光部により同じ監視エリアAiを重複して監視している。
【0032】
なお、トンネル入口側の最初の監視エリアA1は、1番目の火災検知装置16の左眼検出部による単独監視となる。
【0033】
火災検知装置16は、監視エリア内で起きた火災による炎からの放射線、例えば赤外線を観測して火災を監視しており、火災を検出した場合、例えば予め設定された固有のアドレスを含む火災信号を防災受信盤10に送信する。
【0034】
また、火災検知装置16は右眼および左眼検出部に設けられた透光性窓の汚損を監視しており、汚損レベルが所定の汚損予兆閾値に達した場合に、汚損予兆信号を防災受信盤10に送信し、汚損レベルが所定の汚損閾値に達した場合に、汚損信号を防災受信盤10に送信する。
【0035】
[火災検知装置]
図3は火災検知装置の機能構成の概略を示したブロック図、
図4は火災検知装置の外観を示した説明図である。
【0036】
図3に示すように、火災検知装置16は2組の火災検出部16a,16bを備えており、それぞれ右眼検出部、左眼検出部に対応する。火災検出部16aに代表して示すように、受光センサを含む受光部38a,38b、これら各々に対応する増幅処理部40a,40b、制御部32及び伝送部34を備える。受光部38a,38bの前方には検出器カバー(
図4の筐体52)に設けた透光性窓36を配置しており、透光性窓36を介して外部の監視エリアからの光エネルギーを受光部38a,38bに入射している。
【0037】
また、透光性窓36の汚損を監視するため、試験光源部42、試験光源用
透光窓56、汚損受光部44及び増幅部46で構成する汚損
検知部45が設けられている。
【0038】
ここで、
図4に示すように、火災検知装置16は、筐体52の上部に設けられたセンサ収納部54に2組の透光性窓36が設けられ、透光性窓36内の各々に、
図3に示した火災検出部16a,16bの受光部が配置されている。また、透光性窓36の近傍の、受光部を見通せる位置に、個別の試験光源部42を収納した2組の試験光源用
透光窓56が設けられている。
【0039】
再び
図3を参照するに、火災検出部16bも火災検出部16aと同じ構成であるが、制御部32は両者に共通するユニットとして設けられ、例えばハードウェアとしてCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等が使用される。また、制御部32にはプログラムの実行により実現される機能として、火災判定部48と汚損処理部50が設けられる。
【0040】
火災検出部16aは例えば2波長式の炎検知原理により火災を監視している。受光部38aは、透光性窓36を介して入射した光エネルギーの中から、炎に特有なCO
2の共鳴放射帯である波長4.4〜4.5μmの放射線を光学波長バンドパスフィルタにより選択透過させて、受光センサにより該放射線のエネルギーを受光して光電変換したうえで、増幅処理部40aにより増幅等所定の加工を施して受光エネルギー量に対応する受光信号にして制御部32へ出力する。
【0041】
受光部38bは、透光性窓36を介して入射した光エネルギーの中から、波長5〜6μmの放射エネルギーを光学波長バンドパスフィルタにより選択透過させて、受光センサにより該放射線のエネルギーを受光して光電変換したうえで、増幅処理部40bにより増幅等所定の加工を施して受光エネルギー量に対応する受光信号にして制御部32へ出力する。
【0042】
制御部32に設けられた火災判定部48は、例えば、増幅処理部40a,40bから出力された受光信号レベルの相対比をとり、所定の閾値と比較することにより炎の有無を判定し、炎有りと判定した場合には、伝送部34に指示して、防災受信盤10からの自己アドレスに一致する呼出電文に対する応答電文に火災検出情報を設定して防災受信盤10へ送信する制御を行う。
【0043】
試験光源部42、汚損受光部44及び増幅部46で構成した汚損
検知部45は、制御部32の汚損処理部50からの指示により所定周期、例えば1日に1回の周期で試験光源部42を点滅して所定の試験光を発し、透光性窓36を介して汚損受光部44に入射しており、この試験光は汚損受光部44に設けた受光センサで電気信号に変換され、増幅部46で増幅して制御部32に、透光性窓36の汚損度に応じた汚損検出信号が出力される。上記所定周期の制御は火災検出装置内部でおこなっても良いし、防災受信盤10側で制御して電文による実施指示を受けて実施するものであっても良い。
【0044】
制御部32の汚損処理部50は、増幅部46からの汚損検出信号に基づく汚損レベルが所定の汚損予兆閾値を超えた場合に、伝送部34を介して、防災受信盤10からの自己アドレスに一致する呼出電文に対する応答電文に汚損予兆情報を設定して防災受信盤10へ送信する制御を行う。
【0045】
また、制御部32の汚損処理部50は、増幅部46からの汚損検出信号に基づく汚損レベルが、汚損予兆閾値より高い所定の汚損閾値を超えた場合に、伝送部34を介して、防災受信盤10からの自己アドレスに一致する呼出電文に対する応答電文に汚損情報を設定して防災受信盤10へ送信する制御を行う。
【0046】
ここで、制御部32の汚損処理部50は、増幅部46からの汚損検出信号に基づき汚損度合を示す透光性窓36の減光率を求め、この減光率を汚損レベルとして汚損予兆及び汚損の判定処理を行う。汚損処理部50による透光性窓36の減光率の算出は、透光性窓36に汚損がない火災監視開始時又は透光性窓36の清掃終了時の汚損検出信号のレベルを基準レベルErとして予め記憶し、増幅部46から検出レベルEの汚損検出信号が得られる毎に、減光率Dを
D=1−(E/Er)
として算出する。
【0047】
このようにして算出される減光率Dは、透光性窓36の汚損度合の増加に比例して増加する値であり、以下の説明では、減光率を汚損レベルとして説明する。
【0048】
また、汚損処理部50で汚損予兆の判定に使用する汚損予兆閾値は、透光性窓36が汚れているものの、受光部38a,38bによる監視エリアの全部の監視が引き続き可能である所定の第1の汚損レベル、例えば減光率75パーセントに設定される。
【0049】
更に、汚損処理部50で汚損の判定に使用する汚損閾値は、受光部による監視エリアの一部または全部が監視できなくなる所定の第2の汚損レベル、例えば減光率85パーセントに設定される。
【0050】
[防災受信盤]
図5は防災受信盤の機能構成の概略を示したブロック図である。
図5に示すように、防災受信盤10は制御部18を備え、制御部18は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0051】
制御部18に対しては伝送部20a,20bが設けられ、伝送部20a,20bから引き出された伝送回線12a,12bに上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに設置された火災検知装置16をそれぞれ複数台接続している。
【0052】
また、制御部18に対しスピーカ、警報表示灯等を備えた警報部22、液晶ディスプレイ、プリンタ等を備えた表示部24、各種スイッチ等を備えた操作部26、外部監視設備と通信するIG子局設備を接続するモデム28が設けられ、更に、換気設備、警報表示板設備、ラジオ再放送設備、カメラ監視設備、照明設備及び消火ポンプ設備等を接続したIO部30が設けられている。
【0053】
防災受信盤10の制御部18は、伝送部20a,20bに指示して火災検知装置16のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出電文を繰り返し送信しており、火災検知装置16は自己アドレスに一致する呼出電文を受信すると、火災、汚損予兆、汚損等の情報を含む自己の検出状態を示す応答電文を返信する。
【0054】
防災受信盤10の制御部18は、火災検知装置16からの応答電文の受信により火災を検出した場合は警報部22に指示して火災警報を出力させると共にIO部30に指示して他設備に連動制御を行なわせる。
【0055】
[防災受信盤による監視障害予兆と監視障害の報知]
防災受信盤10の制御部18は、火災検知装置16から受信した応答電文に設定された汚損予兆情報と汚損情報に基づき、隣接する火災検知装置16により重複して監視している監視エリアの監視障害予兆と監視障害を判断して報知する機能を備える。以下の説明では、汚損予兆情報が設定された応答電文を汚損予兆信号といい、汚損情報が設定された応答電文を汚損信号という。
【0056】
(監視障害予兆の報知)
防災受信盤10の制御部18は、火災検知装置16から受信した汚損予兆信号に基づき、任意の同一監視エリアを監視する複数の火災検知装置16の全部数に対し、汚損予兆にあるものの数が、所定の割合として設定された所定の閾値に達した場合に、対応する監視エリアの監視障害予兆を報知する。
【0057】
本実施形態では、
図2に示したように、同一監視エリアを隣接した火災検知装置16で重複して監視していることから、同一監視エリアを監視する複数の火災検知装置16の全部数は2であり、制御部18は、汚損予兆状態にある火災検知装置16の数が、所定の割合として設定された所定の閾値を超えた場合、例えば所定の閾値として設定された50パーセントを超えて2台の火災検知装置16が汚損予兆となった場合、対応する監視エリアの監視障害予兆を報知させる。
【0058】
例えば
図2の監視エリアAiを例にとると、監視エリアAiに隣接して配置されたi番目とi+1番目の2台の火災検知装置16について、何れか一方が汚損予兆となっても、他方の火災検知装置16が汚損予兆状態に至っていないことから、この段階で制御部18は、監視障害予兆の報知は行わない。
【0059】
これに対し監視エリアAiに隣接して配置されたi番目とi+1番目の2台の火災検知装置16の両方が汚損予兆状態となった場合には、監視エリアAiの全域を監視するという本来の機能が間もなく損なわれる可能性があることから、制御部18は監視エリアAiについて監視障害予兆を報知することになる。
【0060】
制御部18による監視障害予兆の報知は、警報部22に指示して監視障害予兆を示す音声メッセージや警報音等を出力させると共に、表示部24に指示して液晶ディスプレイに、監視エリアに対応して監視障害予兆が発生したことを表示させる。
【0061】
(監視障害の報知)
防災受信盤10の制御部18は、火災検知装置16から汚損信号を受信した場合は、状況に応じ、対応する監視エリアの監視障害を報知する。
【0062】
本実施形態では、
図2に示したように、同一監視エリアを隣接した火災検知装置16で重複して監視しており、汚損に先立ち隣接した火災検知装置16の両方が汚損予兆となることで防災受信盤10の制御部18は監視障害予兆を報知しており、その後、監視障害予兆が報知されている監視エリアに隣接した火災検知装置16の少なくとも何れか一方から汚損信号を受信した場合に、その監視エリアに対応した監視障害を報知することになる。
【0063】
(監視障害予兆と監視障害の判定条件)
図6は防災受信盤に設定された監視障害予兆と監視障害の判定条件を一覧で例示した説明図であり、
図2に示した監視エリアAiの判定条件を例にとっている。
【0064】
監視エリアAiを監視しているのはi番目の火災検出装置16の右眼側火災検出部とi+1番目の火災検出装置16の左眼火災検出部であるが、ここでは右眼、左眼を省略して説明する。
【0065】
図6に示すように、監視エリアAiに対しては、隣接してi番目とi+1番目の火災検知装置16が配置されて監視エリアAiを重複して監視している。
【0066】
モード1は隣接したこれら2台の火災検知装置16の汚損レベルが双方とも汚損予兆閾値に達しない正常な状態であり、この場合警報報知は行われない。
【0067】
モード2,3は、隣接した2台の火災検知装置16の何れか一方が汚損予兆となった場合であり、汚損予兆となっていない火災検知装置
16による監視エリアAiの全部監視が行われていることから、警報報知は行われない。
【0068】
モード4は、隣接した火災検知装置16の両方が汚損予兆となった場合であり、追って何れか一方または両方の火災検知装置16が汚損状態に移行すると、監視エリアAi全部の重複監視の機能が失われることになるので、監視エリアAiの監視障害予兆が報知される。
【0069】
モード5,6は、隣接した火災検知装置16の両方が汚損予兆となって監視障害予兆が報知された後に、何れか一方の火災検知装置16が汚損状態となった場合であり、監視エリアAiの中に重複監視できない部分が生じていることから、監視エリアAiの監視障害が報知される。
【0070】
モード7,8は、隣接した火災検知装置16の一方が正常で他方が汚損となった場合であり、正常な火災検知装置16により監視エリアAiの全部監視は行われているが、監視エリア全部の重複した監視機能が失われていることから、監視エリアAiの監視障害が報知される。
【0071】
モード9は、隣接した火災検知装置16の両方が汚損となった場合であり、監視エリアAiの中に監視できない部分が生じていることから、監視エリアAiの監視障害が報知される。
【0072】
このような監視障害予兆と監視障害の判定条件は、隣接配置された火災検知装置16により重複監視されている他の監視エリアについても同様となる。
【0073】
一方、トンネルの入口及び出口の監視エリア、例えば
図2の監視エリアA1にあっては、1番目の火災検知装置16のみの監視であり、防災受信盤10の制御部18は、火災検知装置16が汚損予想状態となった場合に、監視エリアA1の監視障害予兆を報知し、また、火災検知装置16が汚損となった場合に、監視障害を報知する。
【0074】
なお、
図6のモード5,6は、一方の火災検知装置が汚損予兆で他方の火災検知装置が汚損となっているが、この場合の警報を、図示の監視障害とせずに、監視障害予兆としても良い。このとき、汚損予兆の火災検知装置は監視エリア全部を監視しており、また、汚損予兆の火災検知装置は監視エリアの一部を重複して監視しており、このため、ただちに監視障害とせず、この段階では監視障害予兆と評価し、監視エリアの監視障害予兆を報知して注意を促すようにしても良い。その他、
図6のモード7、8を監視障害予兆として扱うなどの変形例も採用しうる。
【0075】
また、監視障害予兆をその監視エリアの汚損予兆として、監視障害をその監視エリアの汚損として警報するようにしても良い。
【0076】
(防災受信盤の制御動作)
図7は
図5の防災
受信盤10による監視制御を例示したフローチャートであり、防災受信盤10に設けられた制御部18の制御動作となる。
【0077】
図7に示すように、防災受信盤10の制御部18は、ステップS1でトンネル内に設置された火災検知装置16に対する呼出電文に対する応答電文を受信して火災の有無を監視しており、受信した応答電文から火災情報を検出すると、警報部22に指示して火災警報を出力させると共にIO部30に指示して他設備の連動制御を行なわせる。
【0078】
ステップS1の火災監視処理に続き、制御部18はステップS2で火災検知装置16からの汚損予兆信号の受信を判別するとステップS3に進み、汚損予兆信号に設定されている火災検知装置16のアドレスからその監視エリアを判定し、判定した監視エリアに対応したメモリの状態格納領域に汚損予兆を設定し、続いて、ステップS4で汚損予兆を設定した状態格納領域を重複監視している火災検出装置16の火災検出部(透光性窓36)が汚損予兆状態であるか否か、即ち、監視エリアに隣接した火災検知装置16の、対応する火災検出部の両方が汚損予兆か否か判別する。
【0079】
ここで、汚損予兆信号には汚損予兆情報として、あるいはそれとは別に、汚損予兆状態となった火災検出部(右眼、左眼)の別が付されている。汚損信号についても同様である。
【0080】
ステップS4で制御部18が当該監視エリアを重複監視している火災検出装置16の火災検出部(透光性窓36)が汚損予兆状態にあることを判別するとステップS5に進み、当該監視エリアの監視障害予兆を報知させる。
【0081】
続いて、ステップS6に進み、制御部18は火災検知装置16からの汚損信号の受信を判別すると、ステップS7に進み、対応する監視エリアの監視障害を報知させる。
【0082】
また、制御部18は、ステップS2で汚損予兆信号の受信を判別しなかった場合にもステップS6に進み、汚損信号の受信の有無を判別している。
【0083】
[本発明の変形例]
(火災検知装置)
上記の実施形態は2波長方式の火災検知装置を例にとっているが、これに限定されず、他の方式でも良い。例えば、前述した2波長に加え、例えば、3.8μm付近の波長帯域における放射線エネルギーを他の波長と同様の手法で検出し、これらの3波長帯域における各受光信号の相対比によって炎の有無を判定する3波長式の炎検出器としても良い。
【0084】
(汚損予兆と汚損の報知)
上記の実施形態は、監視エリアに隣接した火災検知装置から受信した汚損予兆信号と汚損信号に基づき、防災受信盤で、対応する監視エリアの監視障害予兆と監視障害を報知しているが、これに限定されない。例えば、監視エリアの監視障害予兆と監視障害に連携して、監視エリアに隣接配置された火災検知装置の汚損予兆と汚損を個別に報知するようにしても良い。
【0085】
(汚損以外の要因による障害状況の報知)
上記の実施形態は、正常(非汚損)、汚損予兆、汚損といった透光性窓の汚損の状況に応じて、システム上の監視性能上の障害状況(監視障害予兆、監視障害)を評価して処理する防災システムを例にとっているが、更に、火災検知装置の回路故障(無信号や無応答、回路故障など)を汚損と同じに扱うことで、システム上の監視性能上の障害状況(監視障害予兆、監視障害)を評価して処理する防災システムとしても良い。
【0086】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。