特許第6871020号(P6871020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871020電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871020
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/41 20060101AFI20210426BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20210426BHJP
   F24F 1/0076 20190101ALI20210426BHJP
【FI】
   B03C3/41 H
   B03C3/40 A
   F24F1/0076
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-36885(P2017-36885)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-140362(P2018-140362A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 博則
(72)【発明者】
【氏名】和田 悠史
(72)【発明者】
【氏名】井清 久
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−032949(JP,U)
【文献】 特開2002−103962(JP,A)
【文献】 特開2010−058061(JP,A)
【文献】 特開2014−039659(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02700451(EP,A1)
【文献】 特開平02−164466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 − 11/00
F24F 1/0071− 1/0076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の微粒子に電荷を与えるための放電電極と、
高電圧が印加される高圧電極と、
低電圧が印加される低圧電極と、
前記放電電極、前記高圧電極、および前記低圧電極を有するフレーム部と、を備え、
前記フレーム部は、
前記フレーム部に形成される形成面と、
張設された前記放電電極を折り返すための支持部であって、前記形成面から突出する支持部と、
前記支持部の取り付け位置と前記低圧電極の取り付け位置との間に設けられ、前記形成面から突出するリブと、
を含み、
前記リブは、前記支持部の前記形成面に対する高さが、前記支持部における前記放電電極の位置よりも高い、
ことを特徴とする電気集塵ユニット。
【請求項2】
前記支持部の高さ方向上部に対して着脱可能な放電電極抑え部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気集塵ユニットを備えた空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中の各種塵埃、粉塵または煙草の煙等を除去するために、塵埃等の粒子をコロナ放電によって荷電し、荷電した粒子を電気的に集塵する電気集塵ユニットが開発されている。このような電気集塵ユニットとしては、家屋内の空気を清浄化したいという要望に伴い、冷暖房装置等の空気調和機に内蔵されたものがある。
【0003】
電気集塵ユニットは、コロナ放電により粒子を荷電する荷電部と、荷電部で荷電粒子となった塵埃を集塵する集塵部とから構成されている。このうち荷電部は、放電電極となる放電電極(イオン化線)と、この放電電極に平行に配置された平板状の対向電極とを具備し、放電電極と対向電極との間に高電圧を印加してコロナ放電により粒子を荷電している。
【0004】
上記荷電部においては、放電電極を支持する支持部が形成されており、1本の放電電極が支持部において順次折り返されて一筆書き状に張設(架設)されている。このような支持部の従来例として、例えば、特許文献1のように、ばね部材のばね力により放電電極に張力を与え、半円筒形状の外周面を有する支持部により放電電極を折り返して支持するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−58061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電気集塵ユニットを空気調和機のような家庭電気製品等に内蔵する場合には、放電電極が張設される荷電部の領域を広げつつ、電気集塵ユニット自体はできるだけ小型化したいという要望がある。そのため、高電圧が印加される高圧電極、および接地電位が印加される低圧電極を配置する電極配置部を小さくして、この電極配置部を荷電部に近接させる必要がある。
【0007】
しかしながら、放電電極が折り返される支持部と、接地電位が印加される低圧電極とが近すぎると、電流リークが発生するという問題があった。
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、荷電部を大きくしつつ、電気集塵ユニット自体を小型化する場合であっても、電流リークを発生させることのない電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る電気集塵ユニットは、空気中の微粒子に電荷を与えるための放電電極と、高電圧が印加される高圧電極と、低電圧が印加される低圧電極と、前記放電電極、前記高圧電極、および前記低圧電極を有するフレーム部と、を備え、前記フレーム部は、張設された前記放電電極を折り返すための支持部と、前記支持部の取り付け位置と前記低圧電極の取り付け位置との間に設けられたリブと、を含み、前記リブは、前記支持部の形成面に対する高さが、前記支持部における前記放電電極の位置よりも高い、ことを特徴とする。
【0010】
本明細書において、「低電圧」とは、接地電位を含む概念である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フレーム部材において、支持部と低圧電極の取り付け位置との間には、リブが備えられ、支持部の形成面に対するリブの高さは、支持部における放電電極の位置よりも高くなっている。したがって、荷電部を大きくしつつ、電気集塵ユニット自体は小さくした場合でも、高電位が印加され、支持部において折り返される放電電極の部分と、低圧電極との間に、沿面距離を確保することができ、電流リークの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る電気集塵ユニットの分解斜視図である。
図2】電気集塵ユニットのフレーム部を示す平面図である。
図3】カバーをフレーム部に取り付ける前の状態の電気集塵ユニットの内部を示す平面図である。
図4】放電電極の支持部および低圧電極取付部の周辺の部分拡大斜視図である。
図5図4から放電電極抑え部およびスプリングを省略した図である。
図6図5における放電電極の支持部および低圧電極取付部の周辺の側面図である。
図7】本発明に係る一実施形態の空気調和機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電気集塵ユニット1を示す分解斜視図である。図1に示すように、電気集塵ユニット1は、カバー2と、放電電極3と荷電部低圧電極40とを含む荷電部と、集塵部低圧電極41と集塵部高圧電極50とを含む集塵部4と、給電部6と、フレーム部7とを備える。
【0015】
カバー2は、熱可塑性樹脂で形成されており、矢印Y方向における下部に開口を有する箱体である。カバー2は、矢印Xで示す電気集塵ユニット1の長手方向(以下、「X方向」と称する。)に沿って延在する上板2aと、上記X方向に沿って延在する側板2bと、矢印Zで示す電気集塵ユニット1の幅方向(以下、「Z方向」と称する。)に沿って延在する側板2cとを備える。上板2aには、外部からの空気を取り込むための格子状に仕切られた複数の開口部2dが形成されている。側板2b,側板2cには、後述するフレーム部7の爪部と係合する複数の孔部2eが形成されている。カバー2は、フレーム部7に組み付けられた放電電極3、集塵部4、および給電部6を覆うようにフレーム部7に取り付けられる。
【0016】
放電電極3は、金属製の電線であり、例えばタングステン線、メッキ線、あるいはクラッド線等が用いられる。メッキ線としては、例えば、線材の表面に、白金、ロジウム、パラジウム、またはこれらの合金を被覆したものが用いられる。放電電極3の両端には、スプリング8A,8Bが取り付けられており、放電電極3は、フレーム部7内においてスプリング8A,8Bから張力を付与されて張設される。詳しくは後述する。荷電部低圧電極40は、導電性樹脂により形成されており、体積抵抗値は、例えば100〜105Ωcm に設定されている。
【0017】
集塵部4は、導電性樹脂により形成されており、荷電部低圧電極40と、集塵部低圧電極41と、導電路42とを備えている。荷電部低圧電極40、集塵部低圧電極41、および導電路42は一体成形される。集塵部4に用いられる導電性樹脂の体積抵抗値は、例えば100〜105Ωcmに設定されている。荷電部低圧電極40は、X方向に沿って延在し、Z方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。荷電部低圧電極40によって形成される上記間隙には、張設された放電電極3が配置される。集塵部低圧電極41は、矢印Y方向において荷電部低圧電極40の下方に位置し、荷電部低圧電極40の配列方向とは直交する方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。導電路42は、一端が荷電部低圧電極40と一体に成形され、他端には低圧端子9が取り付けられる。また、集塵部4のX方向の両端部には、荷電部低圧電極40と集塵部低圧電極41との間の位置に、後述するフレーム部7の爪部7kと係合する凸部4aが設けられている。
【0018】
集塵部高圧電極50は、半導電性樹脂により形成されており、集塵部高圧電極50、および枠部51が設けられている。集塵部高圧電極50、および枠部51は、一体成形される。集塵部高圧電極50に用いられる半導電性樹脂の体積抵抗値は、例えば108〜1013Ωcmに設定されている。集塵部高圧電極50は、X方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。枠部51は、X方向に沿って延在する一対の長辺部51aと、Z方向に沿って延在する短辺部51bとを有するU字形状の枠体である。枠部51の長辺部51aの複数箇所には、凸部51cが形成されている。凸部51cには、矢印Y方向に貫通する開口が設けられており、後述する給電部6の凸部6cが、枠部51における凸部51cの開口に圧入される。
【0019】
給電部6は、スズ、ニッケル、またはステンレス等の表面をスズメッキしたもの、あるいはニッケルメッキにより形成されている。給電部6は、メッキせずに形成してもよい。給電部6は、X方向に沿って延在する一対の長辺部6aと、Z方向に沿って延在する短辺部6bとを有するU字形状に形成されており、長辺部6aの複数箇所には、凸部6cが複数箇所に形成されている。凸部6cの位置は、枠部51における凸部51cの位置に対応しており、枠部51に形成された開口に、給電部6の凸部51cを圧入することにより、矢印Y方向における枠部51の底面に給電部6を取り付けることができる。また、給電部6の短辺部6bには、2つの凸部が対向して配置された端子部6dが形成されている。給電部6を枠部51に取り付けた際には、端子部6dの2つの凸部が、枠部51の短辺部51bを挟むように配置されることになる。さらに、給電部6を枠部51に取り付けた後には、集塵高圧端子10が枠部51に取り付けられる。集塵高圧端子10は、U字形状に形成された端子部10aを備えており、枠部51の短辺部51bを挟むように配置された端子部6dの2つの凸部と、集塵高圧端子10の端子部10aとが接触するように、集塵高圧端子10が枠部51に取り付けられる。図1において集塵高圧端子10と共に示される荷電高圧端子11は、フレーム部7に取り付けられる。荷電高圧端子11には、スプリング8Aと係合する爪部11aが設けられている。
【0020】
フレーム部7は、体積抵抗値が1013Ωcm以上望ましくは1015Ωcm程度の材質から形成されており、例えばABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)が用いられる。フレーム部7は、その他にも、ACS樹脂(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル樹脂)、PET樹脂(強化ポリエチレンテレタレート)、PS(ポリスチレン)等を用いることができる。
【0021】
図2は、フレーム部7を示す平面図である。図1および図2に示すように、フレーム部7は、X方向に沿って延在する一対の長辺部7aと、Z方向に沿って延在する短辺部7bとを有する矩形状の枠部7cとを備える。長辺部7aには、長辺部7aに沿って延在すると共に、矢印Y方向に起立した側板7dが形成されている。図2においてX方向の上側に示される短辺部7bには、短辺部7bに沿って延在すると共に、矢印Y方向に起立した側板7eが形成されている。側板7eには、縁部7fが連続して形成されており、図2においてX方向の下側に示される短辺部7bには、縁部7gが連続して形成されている。縁部7fの端部には、側板7hが形成されている。側板7dの内壁には、枠部51の凸部51cと係合する爪部7iが複数箇所に形成されている。縁部7fに形成された側板7hの外壁、および側板7dの外壁には、カバー2の孔部2eと係合する爪部7jが複数箇所に形成されている。また、短辺部7bには、集塵部4の凸部4aと係合する爪部7kが形成されている。
【0022】
縁部7fには、放電電極3の支持部12が形成されている。支持部12は、半円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部12によって折り返される。縁部7gには、放電電極3の支持部13,14が形成されている。支持部13は、4分の1の円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部13によって、その張設方向を約90度変更される。支持部14は、半円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部14によって折り返される。また、支持部14の近くには、スプリング8Bの係止部15が縁部7gに形成されている。
【0023】
支持部12の矢印Y方向における高さ方向上部には、図1において放電電極3の近くに示すように放電電極抑え部16が着脱可能に設けられる。支持部12,13,14を介して放電電極3が張設された後に、放電電極抑え部16を支持部12の上記上部に装着することにより、放電電極3は、放電電極抑え部16によって、支持部12から外れることなく支持部12に支持される。
【0024】
縁部7fには、低圧端子9の取り付け位置としての低圧端子取付部20と、集塵高圧端子10が取り付けられる集塵高圧端子取付部21と、荷電高圧端子11が取り付けられる荷電高圧端子取付部22とが設けられている。
【0025】
縁部7fにおいて、放電電極3の支持部12と、低圧端子9の取り付け位置としての低圧端子取付部20との間には、図2に示す平面視においてL字形状のリブ30が設けられている。リブ30の詳細については後述する。
【0026】
以上のような電気集塵ユニット1において、各部の取り付けは次の順番で行う。まず、給電部6を集塵部高圧電極50に取り付け、集塵部高圧電極50の凸部51cをフレーム部7の爪部7iに係合させて集塵部高圧電極50をフレーム部7に取り付ける。次に、集塵高圧端子10の端子部10aを給電部6の端子部6dと接触するように枠部51の短辺部51bに取り付けると共に、集塵高圧端子10を縁部7fの高圧端子取付部21に取り付ける。また、荷電高圧端子11を縁部7fの荷電高圧端子取付部22に取り付ける。
【0027】
次に、集塵部4の導電路42に低圧端子9を取り付けた後、集塵部4の凸部4aをフレーム部7の爪部7kに係合させ、集塵部4をフレーム部7に取り付ける。また、低圧端子9を縁部7fの低圧端子取付部20に取り付ける。次に、放電電極3の一端部にスプリング8Aの一端部を取り付けた後、放電電極3の他端部にスプリング8Bの一端部を取り付ける。その後、スプリング8Aの他端部を荷電高圧端子11の爪部11aに係合させ、放電電極3を支持部14にて折り返し、さらに放電電極3を支持部12にて折り返す。そして、放電電極3を支持部13に支持させ、スプリング8Bの他端部をフレーム部7の係止部15に係止させる。このようにして、放電電極3はフレーム部7に張設される。その後、放電電極抑え部16を支持部12に装着する。最後に、カバー2の孔部2eとフレーム部7の爪部7jとを係合させて、カバー2をフレーム部7に取り付ける。
【0028】
図3は、カバー2をフレーム部7に取り付ける前の状態の電気集塵ユニット1の内部を示す平面図である。図3に示すように、集塵部4の荷電部低圧電極40と放電電極3とが対向している。放電電極3には、荷電高圧端子11を介して高圧の電位が供給され、荷電部低圧電極40には、低圧端子9を介して低圧電位として接地電位が供給される。その結果、放電電極3と荷電部低圧電極40とによりコロナ放電が発生し、このコロナ放電によって空気中の微粒子に電荷を与える機能を果たす。このように本実施形態においては、集塵部4の荷電部低圧電極40と放電電極3との対向領域が、荷電部35として働く。
【0029】
荷電部35の下方においては、集塵部低圧電極41と、集塵部高圧電極50とが対向している。上述したように、集塵部低圧電極41には接地電位が供給され、集塵部高圧電極50には集塵高圧の電位が供給される。したがって、荷電部35において正の電荷を与えられた空気中の微粒子は、高圧の電位の集塵部高圧電極50に反発し、接地電位の集塵部低圧電極41に付着することになる。このようにして、集塵が行われる。
【0030】
次に、本実施形態のリブ30の詳細について説明する。図4は、放電電極3の支持部12および低圧端子取付部20の周辺の部分拡大斜視図である。図5は、図4から放電電極抑え部16およびスプリング8Aを省略した図である。図6は、図5における放電電極3の支持部12および低圧端子取付部20の周辺の側面図である。
【0031】
図4から図6に示すように、放電電極3の支持部12と、低圧端子9が取り付けられる低圧端子取付部20とは近接して配置されている。これは、荷電部低圧電極40と放電電極3とが対向している荷電部35を大きくしつつ、電気集塵ユニット1自体を小さくするため、縁部7fの面積を小さくし、縁部7fに低圧端子取付部20、集塵高圧端子取付部21、および荷電高圧端子取付部22を配置したためである。したがって、低圧端子取付部20に取り付けられる低圧端子9と、放電電極3の支持部12とは、近接して配置されることになる。
【0032】
このように近接して配置された支持部12と、低圧端子取付部20および低圧端子9との間には、図2における平面視がL字形状のリブ30が設けられている。図6に示すように、支持部12の形成面12aに対する高さは、リブ30は高さh1であり、支持部12は高さh2となっている。つまり、リブ30における支持部12の形成面12aに対する高さh1は、支持部12における放電電極3の位置の形成面12aに対する高さh2よりも高く設定されている。
【0033】
したがって、支持部12と低圧端子9との直線距離が近くても、支持部12と低圧端子9との間に支持部12における放電電極3の位置よりも高いリブ30を設けることにより、支持部12と低圧端子9との沿面距離を確保することができる。その結果、高圧の電位が供給される放電電極3と、低圧の接地電位が供給される低圧端子9との間に、電流リークが発生することを防止することができる。
【0034】
以上のようなリブ30を設けることができたのは、支持部12に着脱可能な放電電極抑え部16を設けたことによる。図1および図2に示す支持部14のような放電電極抑え部と支持部とが一体に形成された支持部は、次のように作製される。まず、平面が形成された一方の金型を図1および図2に示す支持部14の後方面14aに配置し、支持部14の形状に対応した凹部が形成された他方の金型を上記一方の金型に密着させる。その後、上記凹部内に材料を射出し、上記他方の金型を図2に示す矢印X方向とは逆方向に引き抜く必要がある。つまり、支持部12を、支持部14のような放電電極抑え部と支持部とが一体に形成された支持部とする場合には、凹部が形成された金型を、支持部12の位置から低圧端子取付部20側に引き抜く必要がある。したがって、支持部12の位置と低圧端子取付部20との間にリブ30を形成することができない。しかしながら、本実施形態では、支持部12に着脱可能な放電電極抑え部16を設けたので、図5に示すような放電電極抑え部16のない状態の支持部12を形成すればよい。つまり、凹部が形成された金型は、支持部12の位置から低圧端子取付部20側に引き抜くのではなく、矢印Y方向に引き抜けばよい。このように、本実施形態においては、支持部12に着脱可能な放電電極抑え部16を設けたことにより、支持部12と低圧端子取付部20との間に、支持部12よりも高いリブ30を形成することができる。
【0035】
また、本実施形態では、支持部12に着脱可能な放電電極抑え部16を設け、上述のような平面が形成された金型と、凹部が形成された金型とを用いる必要がないので、支持部12におけるバリの発生を抑制することができる。平面が形成された金型と、凹部が形成された金型とを用いる場合には、これらの金型の隙間にバリが発生してしまう。バリのように鋭利な先端を有する箇所には、電界集中が起き、放電電極を腐食するいわゆる電食が発生してしまう。その結果、放電電極が断線することがある。しかしながら、本実施形態では、支持部12の作製に以上のような平面が形成された金型と、凹部が形成された金型とを用いる必要がないので、支持部12におけるバリの発生を抑制し、バリに起因する放電電極3の断線を防止することができる。
【0036】
以上のように、本発明の電気集塵ユニット1によれば、放電電極3の支持部12と、低圧端子9が取り付けられる低圧端子取付部20との間に、支持部12よりも高いリブ30を設けたので、支持部12と低圧端子9との間の沿面距離を確保することができる。その結果、電流リークの発生を防止することができる。また、放電電極抑え部16を支持部12とは別部材とし、支持部12に着脱可能としたので、低圧端子9が取り付けられる低圧端子取付部20との間に、支持部12よりも高いリブ30を形成することができる。さらに、支持部12におけるバリの発生を抑制し、バリに起因する放電電極3の断線を防止することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図面を参照しつつ説明する。図7は、本実施形態の空気調和機100を背面側から見た斜視図である。
【0038】
図7に示すように、空気調和機100は、本体80を備える。本体80の内部には、図示を省略する室内熱交換器が収容される。本体80の底板81には図示を省略する吹出口が形成される。吹出口は室内に向けて開口される。本体80は背面で例えば室内の壁面に固定されることができる。吹出口は、本体80内の室内熱交換器で生成される冷気または暖気の気流を吹き出す。
【0039】
本体80の天板82には吸込口83が形成される。本体80内の室内熱交換器に流入する空気は吸込口83から取り込まれる。本体80には天板82の下方で室内熱交換器の前方に複数のエアフィルタアセンブリ84が着脱自在に装着される。エアフィルタアセンブリ84は水平軸線85a、85bの軸方向に横並びに並べられる。個々のエアフィルタアセンブリ84はエアフィルタ86および図示を省略するフィルタ清掃ユニットを備える。エアフィルタ86はフィルタ清掃ユニット上に支持され保持される。フィルタ清掃ユニットは支持枠87で本体80に固定される。吸込口83側の空間の空気はエアフィルタ86を通過して室内熱交換器の収容空間に進入する。
【0040】
本体80には本発明の電気集塵ユニット1が着脱自在に装着される。図7においては、電気集塵ユニット1をフレーム部7の底面側から見た状態を示している。ここでは、電気集塵ユニット1は一方のエアフィルタアセンブリ84の背後に収納される。本体80には本体80前面側から収納空間88に向かって電気集塵ユニット1の移動を案内する案内構造が形成される。案内構造は、上向きの物理的水平面89や、当該水平面89の前端に位置する稜線90で構成されることができる。稜線90は水平軸線85a、85bに平行に延びる。水平面89は下方から電気集塵ユニット1を支持し、電気集塵ユニット1の水平姿勢の維持に役立つ。稜線90は、水平面89上で水平軸線85a、85bに平行に電気集塵ユニット1の姿勢を維持する際に役立つ。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、電気集塵ユニット1を小型に構成し、空気調和機100の本体80内の限られた空間に電気集塵ユニット1を収容することができるので、全体として小型の空気調和機100を提供することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電気集塵ユニット
3 放電電極
4 集塵部
7 フレーム部
9 低圧端子
10 集塵高圧端子
12 支持部
30 リブ
100 空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7