特許第6871021号(P6871021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871021電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871021
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/45 20060101AFI20210426BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20210426BHJP
   B03C 3/66 20060101ALI20210426BHJP
   F24F 1/0076 20190101ALI20210426BHJP
【FI】
   B03C3/45 A
   B03C3/40 A
   B03C3/66
   F24F1/0076
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-36893(P2017-36893)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-140363(P2018-140363A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 博則
(72)【発明者】
【氏名】和田 悠史
(72)【発明者】
【氏名】井清 久
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−207208(JP,A)
【文献】 特開2002−061862(JP,A)
【文献】 特開2014−039659(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02700451(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 − 11/00
F24F 1/0071− 1/0076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された係止部を有し、高電圧が印加される高圧電極と、
低電圧が印加される低圧電極と、
凸部を有し、前記高圧電極に高電圧を供給するための給電部と、
前記高圧電極を係止するための高圧電極係止用爪部を有し、絶縁性材料で形成されたフレーム部と、を備え、
前記給電部は、前記凸部と上記係止部の前記貫通孔との係合により、前記高圧電極に取り付けられ、
前記フレーム部は、前記低圧電極と前記高圧電極との間に配置され、前記給電部が取り付けられた前記高圧電極の前記係止部と、前記高圧電極係止用爪部とが係合することにより前記高圧電極を係止し、
上記高圧電極係止用爪部は、前記貫通孔における前記凸部が位置する側を覆う、
ことを特徴とする電気集塵ユニット。
【請求項2】
前記凸部は、前記貫通孔に圧入固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気集塵ユニットを備えた空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中の各種塵埃、粉塵または煙草の煙等を除去するために、塵埃等の粒子をコロナ放電によって荷電し、荷電した粒子を電気的に集塵する電気集塵ユニットが開発されている。このような電気集塵ユニットとしては、家屋内の空気を清浄化したいという要望に伴い、冷暖房装置等の空気調和機に内蔵されたものがある。
【0003】
電気集塵ユニットは、コロナ放電により粒子を荷電する荷電部と、荷電部で荷電粒子となった塵埃を集塵する集塵処理部とから構成されている。このうち集塵処理部は、複数の集塵電極板を有する低圧電極と、複数の非集塵電極板を有する高圧電極とを備え、塵埃の極性と同極性の非集塵電極板に対して反発する塵埃を、塵埃の極性と異極性の集塵電極板に付着させる。
【0004】
例えば、空気中の粒子を正極性に帯電させ、非集塵電極板には正極性の高電位を印加すると共に、集塵電極板には接地電位を印加するものが知られている。このような構成を採る場合には、例えば特許文献1のように、非集塵電極板と集塵電極板とを半絶縁性樹脂により形成し、金属製の給電部を非集塵電極板の支持部材に取り付けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−207208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、給電部を支持部材の外側に露出させた状態で支持部材に取り付ける構成では、電気集塵ユニットを小型化するという要請から、高圧電極と低圧電極とを近づけると、給電部と低圧電極との間で異常放電が発生する問題があった。
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、低圧電極と、給電部が取り付けられた高圧電極とを近づけて配置する場合であっても、異常放電を発生させることのない電気集塵ユニット、および電気集塵ユニットを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る電気集塵ユニットは、貫通孔が形成された係止部を有し、高電圧が印加される高圧電極と、低電圧が印加される低圧電極と、凸部を有し、前記高圧電極に高電圧を供給するための給電部と、高圧電極を係止するための高圧電極係止用爪部を有し、絶縁性材料で形成されたフレーム部と、を備え、給電部は、凸部と係止部の貫通孔との係合により、高圧電極に取り付けられ、フレーム部は、給電部が取り付けられた高圧電極の係止部と、高圧電極係止用爪部とが係合することにより高圧電極を係止し、高圧電極係止用爪部は、貫通孔における前記凸部が位置する側を覆う、ことを特徴とする。
【0009】
本明細書において、「低電圧」とは、接地電位を含む概念である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高圧電極がフレーム部に係止される際、高圧電極係止用爪部は、貫通孔における凸部が位置する側を覆う。したがって、貫通孔に、高電圧を供給する給電部の凸部が係合していても、低電圧が印加される低圧電極と、貫通孔に係合した凸部との間には、絶縁性材料で形成されたフレーム部の高圧電極係止用爪部が存在する。その結果、低圧電極と給電部との間の絶縁性を高めることができ、異常放電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る電気集塵ユニットの分解斜視図である。
図2】高圧電極を示す平面図である。
図3】高圧電極における係止部の周辺を示す部分拡大平面図である。
図4】給電部を示す平面図である。
図5】給電部における凸部の周辺を示す部分拡大斜視図である。
図6】フレーム部を示す平面図である。
図7】カバーをフレーム部に取り付ける前の状態の電気集塵ユニットの内部を示す平面図である。
図8】高圧電極に給電部を取り付けた状態における係止部の周辺を示す部分拡大平面図である。
図9図8に対応する部分拡大底面図である。
図10図6における右側の長辺部に形成された爪部の周辺を示す部分斜視図である。
図11図6における左側の長辺部に形成された爪部の周辺を示す部分斜視図である。
図12】給電部を取り付けた高圧電極をフレーム部に取り付けた状態を示す平面図である。
図13】フレーム部に取り付ける前の状態の高圧電極における係止部の周辺を示す部分拡大斜視図である。
図14】フレーム部に取り付けた後の状態の高圧電極における係止部の周辺を示す部分拡大斜視図である。
図15】本発明に係る一実施形態の空気調和機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電気集塵ユニット1を示す分解斜視図である。図1に示すように、電気集塵ユニット1は、カバー2と、放電電極3と荷電部低圧電極板40とを含む荷電部と、集塵部低圧電極41と集塵部高圧電極50とを含む集塵部4と、給電部6と、フレーム部7とを備える。
【0014】
カバー2は、熱可塑性樹脂で形成されており、矢印Y方向における下部に開口を有する箱体である。カバー2は、矢印Xで示す電気集塵ユニット1の長手方向(以下、「X方向」と称する。)に沿って延在する上板2aと、上記X方向に沿って延在する側板2bと、矢印Zで示す電気集塵ユニット1の幅方向(以下、「Z方向」と称する。)に沿って延在する側板2cとを備える。上板2aには、外部からの空気を取り込むための格子状に仕切られた複数の開口部2dが形成されている。側板2b,側板2cには、後述するフレーム部7の爪部と係合する複数の孔部2eが形成されている。カバー2は、フレーム部7に組み付けられた放電電極3、集塵部4、および給電部6を覆うようにフレーム部7に取り付けられる。荷電部低圧電極板40は、導電性樹脂により形成されており、体積抵抗値は、例えば100〜105Ω cm に設定されている。
【0015】
放電電極3は、金属製の電線であり、例えばタングステン線、メッキ線、あるいはクラッド線等が用いられる。メッキ線としては、例えば、線材の表面に、白金、ロジウム、パラジウム、またはこれらの合金を被覆したものが用いられる。放電電極3の両端には、スプリング8A,8Bが取り付けられており、放電電極3は、フレーム部7内においてスプリング8A,8Bから張力を付与されて張設される。詳しくは後述する。
【0016】
集塵部4は、導電性樹脂により形成されており、荷電部低圧電極板40と、集塵部低圧電極41と、電極支持部42とを備えている。荷電部低圧電極板40、集塵部低圧電極41、および電極支持部42は一体成形される。集塵部4に用いられる導電性樹脂の体積抵抗値は、例えば100〜105Ωcmに設定されている。荷電部低圧電極板40は、上記X方向に沿って延在し、上記Z方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。荷電部低圧電極板40によって形成される上記間隙には、張設された放電電極3が配置される。集塵部低圧電極41は、矢印Y方向において荷電部低圧電極板40の下方に位置し、荷電部低圧電極板40の配列方向とは直交する方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。電極支持部42は、一端が荷電部低圧電極板40と一体に成形され、他端には低圧端子9が取り付けられる。また、集塵部4の上記X方向の両端部には、荷電部低圧電極板40と集塵部低圧電極41との間の位置に、後述するフレーム部7の爪部7kと係合する凸部4aが設けられている。
【0017】
図2は、集塵部高圧電極50と、枠部51とを示す平面図である。図3は、枠部51における係止部51cの周辺を示す部分拡大平面図である。集塵部高圧電極50と、枠部51とは、半導電性樹脂により形成されている。集塵部高圧電極50、および枠部51は、一体成形される。集塵部高圧電極50、および枠部51に用いられる半導電性樹脂の体積抵抗値は、例えば108〜1013Ωcmに設定されている。集塵部高圧電極50は、上記X方向に所定幅の間隙を有して複数配列されている。枠部51は、上記X方向に沿って延在する一対の長辺部51aと、上記Z方向に沿って延在する短辺部51bとを有するU字形状の枠体である。枠部51の長辺部51aの複数箇所には、係止部51cが形成されている。図3に示すように、係止部51cには、矢印Y方向に貫通する貫通孔51dが設けられており、後述する給電部6の凸部6cが、係止部51cの貫通孔51dに圧入されて係合することにより、給電部6が枠部51に取り付けられる。
【0018】
図4は、給電部6を示す平面図である。図5は、給電部6における凸部6cの周辺を示す部分拡大斜視図である。給電部6は、スズ、ニッケル、またはステンレス等の表面をスズメッキしたもの、あるいはニッケルメッキにより形成されている。給電部6は、メッキせずに形成してもよい。図1および図4に示すように、給電部6は、上記X方向に沿って延在する一対の長辺部6aと、上記Z方向に沿って延在する短辺部6bとを有するU字形状に形成されており、長辺部6aには、凸部6cが複数箇所に形成されている。図5に示すように、凸部6cは、X方向からの側面視において、略L字形状を有しており、長辺部6aからZ方向に突出した短部6c1と、短部6c1に連続し、Y方向に起立した長部6c2とを備えている。凸部6cの位置は、枠部51の係止部51cの貫通孔51dの位置に対応しており、貫通孔51dに、給電部6の凸部6cを圧入することにより、矢印Y方向における枠部51の底面に給電部6を取り付けることができる。また、給電部6の短辺部6bには、2つの凸部が対向して配置された端子部6dが形成されている。給電部6を枠部51の枠部51に取り付けた際には、端子部6dの2つの凸部が、枠部51における枠部51の短辺部51bを挟むように配置されることになる。さらに、給電部6を枠部51に取り付けた後には、図1に示す集塵高圧端子10が、枠部51に取り付けられる。集塵高圧端子10は、U字形状に形成された端子部10aを備えており、枠部51の短辺部51bを挟むように配置された端子部6dの2つの凸部と、集塵高圧端子10の端子部10aとが接触するように、集塵高圧端子10が枠部51に取り付けられる。図1において集塵高圧端子10と共に示される荷電高圧端子11は、フレーム部7に取り付けられる。荷電高圧端子11には、スプリング8Aと係合する爪部11aが設けられている。
【0019】
フレーム部7は、体積抵抗値が1013Ωcm以上望ましくは1015Ωcm程度の材質から形成されており、例えばABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)が用いられる。フレーム部7は、その他にも、ACS樹脂(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル樹脂)、PET樹脂(強化ポリエチレンテレタレート)、PS(ポリスチレン)等を用いることができる。
【0020】
図6は、フレーム部7を示す平面図である。図1および図6に示すように、フレーム部7は、上記X方向に沿って延在する一対の長辺部7aと、上記Z方向に沿って延在する短辺部7bとを有する矩形状の枠部7cとを備える。長辺部7aには、長辺部7aに沿って延在すると共に、矢印Y方向に起立した側板7dが形成されている。図6においてX方向の上側に示される短辺部7bには、短辺部7bに沿って延在すると共に、矢印Y方向に起立した側板7eが形成されている。側板7eには、縁部7fが連続して形成されており、図6においてX方向の下側に示される短辺部7bには、縁部7gが連続して形成されている。縁部7fの端部には、側板7hが形成されている。側板7dの内壁には、枠部51の係止部51cと係合する高圧電極係止用爪部7iが複数箇所に形成されている。縁部7fに形成された側板7hの外壁、および側板7dの外壁には、カバー2の孔部2eと係合する爪部7jが複数箇所に形成されている。また、短辺部7bには、集塵部4の凸部4aと係合する爪部7kが形成されている。
【0021】
縁部7fには、放電電極3の支持部12が形成されている。支持部12は、半円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部12によって折り返される。縁部7gには、放電電極3の支持部13,14が形成されている。支持部13は、4分の1の円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部13によって、その張設方向を約90度変更される。支持部14は、半円筒形の外周面を有しており、フレーム部7内で張設される放電電極3は、支持部14によって折り返される。また、支持部14の近くには、スプリング8Bの係止部15が縁部7gに形成されている。
【0022】
支持部12の矢印Y方向における高さ方向上部には、図1において放電電極3の近くに示すように放電電極抑え部16が着脱可能に設けられる。支持部12,13,14を介して放電電極3が張設された後に、放電電極抑え部16を支持部12の上記上部に装着することにより、放電電極3は、放電電極抑え部16によって、支持部12から外れることなく支持部12に支持される。
【0023】
縁部7fには、低圧端子9の取り付け位置としての低圧端子取付部20と、集塵高圧端子10が取り付けられる集塵高圧端子取付部21と、荷電高圧端子11が取り付けられる荷電高圧端子取付部22とが設けられている。
【0024】
縁部7fにおいて、放電電極3の支持部12と、低圧端子9の取り付け位置としての低圧端子取付部20との間には、図6に示す平面視においてL字形状のリブ30が設けられている。
【0025】
以上のような電気集塵ユニット1において、各部の取り付けは次の順番で行う。まず、給電部6の凸部6cを、係止部51cに形成された貫通孔51dに圧入する。このように給電部6を枠部51に取り付け、係止部51cをフレーム部7の爪部7iに係合させて集塵部高圧電極50および枠部51をフレーム部7に取り付ける。
【0026】
次に、集塵高圧端子10の端子部10aを給電部6の端子部6dと接触するように枠部51の短辺部51bに取り付けると共に、集塵高圧端子10を縁部7fの集塵高圧端子取付部21に取り付ける。また、荷電高圧端子11を縁部7fの荷電高圧端子取付部22に取り付ける。
【0027】
次に、集塵部4の電極支持部42に低圧端子9を取り付けた後、集塵部4の凸部4aをフレーム部7の爪部7kに係合させ、集塵部4をフレーム部7に取り付ける。また、低圧端子9を縁部7fの低圧端子取付部20に取り付ける。次に、放電電極3の一端部にスプリング8Aの一端部を取り付けた後、放電電極3の他端部にスプリング8Bの一端部を取り付ける。その後、スプリング8Aの他端部を荷電高圧端子11の爪部11aに係合させ、放電電極3を支持部14にて折り返し、さらに放電電極3を支持部12にて折り返す。そして、放電電極3を支持部13に支持させ、スプリング8Bの他端部をフレーム部7の係止部15に係止させる。このようにして、放電電極3はフレーム部7に張設される。その後、放電電極抑え部16を支持部12に装着する。最後に、カバー2の孔部2eとフレーム部7の爪部7jとを係合させて、カバー2をフレーム部7に取り付ける。
【0028】
図7は、カバー2をフレーム部7に取り付ける前の状態の電気集塵ユニット1の内部を示す平面図である。図7に示すように、集塵部4の荷電部低圧電極板40と放電電極3とが対向している。放電電極3には、荷電高圧端子11を介して高圧の電位が供給され、荷電部低圧電極板40には、低圧端子9を介して低圧電位として接地電位が供給される。その結果、放電電極3と荷電部低圧電極板40とによりコロナ放電が発生し、このコロナ放電によって空気中の微粒子に電荷を与える機能を果たす。このように本実施形態においては、集塵部4の荷電部低圧電極板40と放電電極3との対向領域が、荷電部35として働く。
【0029】
荷電部35の下方においては、集塵部4の集塵部低圧電極41と、集塵部高圧電極50とが対向している。上述したように、集塵部低圧電極41には接地電位が供給され、集塵部高圧電極50には高圧の電位が供給される。したがって、荷電部35において正の電荷を与えられた空気中の微粒子は、高圧の電位の集塵部高圧電極50に反発し、接地電位の集塵部低圧電極41に付着することになる。このようにして、集塵が行われる。
【0030】
次に、本実施形態における係止部51cと、フレーム部7の高圧電極係止用爪部7iとの位置関係について説明する。以下の説明では、高圧電極係止用爪部7iを単に爪部7iと称する。図8は、枠部51に給電部6を取り付けた状態における係止部51cの周辺を示す部分拡大平面図である。図9は、図8に対応する部分拡大底面図である。図10は、図6における右側の長辺部7aに形成された爪部7iの周辺を示す部分斜視図である。図11は、図6における左側の長辺部7aに形成された爪部7iの周辺を示す部分斜視図である。
【0031】
図9に示すように、集塵部高圧電極50および枠部51のY方向における底面側から、給電部6の凸部6cを係止部51cの貫通孔51dに圧入すると、図8に示すように、集塵部高圧電極50および枠部51のY方向における上面側から見ると、給電部6の凸部6cが貫通孔51dから目視することができる状態となる。しかしながら、係止部51cの上面側の端面51eは、集塵部高圧電極50および枠部51をフレーム部7に取り付けた状態においては、以下のような爪部7iによって覆われる。
【0032】
図10に示すように、図6における右側の長辺部7aに形成された爪部7iは、長辺部7aに連続する支持部7i1と、支持部7i1に連続し、矢印Z方向に突出して形成された庇部7i2とを備えている。この爪部7iは、側板7dとは独立に形成されており、弾性変形により、矢印P方向に揺動可能に形成されている。
【0033】
図11に示すように、図6における左側の長辺部7aに形成された爪部7iは、図10に示す爪部7iの庇部7i2に対応する部位が、側板7dに連続して形成されている。
【0034】
以上のような爪部7iが形成されたフレーム部7に、給電部6が取り付けられた集塵部高圧電極50および枠部51を取り付ける場合には、まず、図6における左側の長辺部7aに形成された爪部7iと、係止部51cとを仮に係合させる。次に、集塵部高圧電極50および枠部51をフレーム部7に載置することにより、枠部51が、図6における左側の長辺部7aに形成された爪部7iにおける庇部7i2の斜面7i2−1と当接しながら爪部7iを押下する。その結果、爪部7iは弾性変形により図10に示す矢印P方向に揺動して広がり、枠部51が、フレーム部7の長辺部7aに当接したところで、爪部7iは弾性変形により矢印P方向とは逆方向に戻る。そして、係止部51cと爪部7iとが係合することになる。また、この状態において、図6における左側の長辺部7aに形成された爪部7iと、係止部51cとは、確実な係合状態となる。
【0035】
図12は、給電部6を取り付けた集塵部高圧電極50および枠部51をフレーム部7に取り付けた状態を示す平面図である。図12に示すように、集塵部高圧電極50および枠部51をフレーム部7に取り付けると、係止部51cの端面51eは、フレーム部7の爪部7iによって覆われ、図12に示す平面視においては、係止部51cの貫通孔51dは見えない状態となる。
【0036】
図13は、フレーム部7に取り付ける前の状態の係止部51cの周辺を示す部分拡大斜視図である。図14は、フレーム部7に取り付けた後の状態の係止部51cの周辺を示す部分拡大斜視図である。図13図14とを比較するとよく分かるように、フレーム部7に集塵部高圧電極50および枠部51を取り付けた状態においては、係止部51cの上面側、つまり集塵部4側の端面51eは、爪部7iの庇部7i2によって覆われる。したがって、図8に示すように係止部51cの貫通孔51dに圧入された給電部6の凸部6cも、爪部7iによって覆われることになる。
【0037】
以上のように、フレーム部7の爪部7iは、係止部51cと係合する係合部として働くと共に、係止部51cの矢印Y方向における上側の端面51eを覆うカバー部として働くことになる。その結果、集塵部高圧電極50および枠部51の上から集塵部4をフレーム部7に取り付けても、高圧の電位が供給される凸部6cと、接地電位が印加される集塵部4との間の絶縁性を確保することができる。したがって、本発明によれば、異常放電の発生を抑制することができる。
【0038】
また、給電部6を取り付けた集塵部高圧電極50および枠部51と、集塵部4とを近づけて取り付けることができ、給電部6と集塵部4との空間距離を小さくすることができる。したがって、電気集塵ユニット1を小型化することができる。
【0039】
また、給電部6の凸部6cを貫通孔51dに圧入することにより、給電部6を集塵部高圧電極50および枠部51に確実に固定することができる。給電部6は枠部51と確実に接触するため、高電圧を効率よく供給することが可能となる。
【0040】
以上のように、本発明の電気集塵ユニット1によれば、給電部6の凸部6cが圧入された係止部51cに、フレーム部7の爪部7iを係合させると共に、係止部51cの端面51eを爪部7iにより覆うので、異常放電の発生を抑えることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図15は、本実施形態の空気調和機100を背面側から見た斜視図である。
【0042】
図15に示すように、空気調和機100は、本体80を備える。本体80の内部には、図示を省略する室内熱交換器が収容される。本体80の底板81には図示を省略する吹出口が形成される。吹出口は室内に向けて開口される。本体80は背面で例えば室内の壁面に固定されることができる。吹出口は、本体80内の室内熱交換器で生成される冷気または暖気の気流を吹き出す。
【0043】
本体80の天板82には吸込口83が形成される。本体80内の室内熱交換器に流入する空気は吸込口83から取り込まれる。本体80には天板82の下方で室内熱交換器の前方に複数のエアフィルタアセンブリ84が着脱自在に装着される。エアフィルタアセンブリ84は水平軸線85a、85bの軸方向に横並びに並べられる。個々のエアフィルタアセンブリ84はエアフィルタ86および図示を省略するフィルタ清掃ユニットを備える。エアフィルタ86はフィルタ清掃ユニット上に支持され保持される。フィルタ清掃ユニットは支持枠87で本体80に固定される。吸込口83側の空間の空気はエアフィルタ86を通過して室内熱交換器の収容空間に進入する。
【0044】
本体80には本発明の電気集塵ユニット1が着脱自在に装着される。図15においては、電気集塵ユニット1をフレーム部7の底面側から見た状態を示している。ここでは、電気集塵ユニット1は一方のエアフィルタアセンブリ84の背後に収納される。本体80には本体80前面側から収納空間88に向かって電気集塵ユニット1の移動を案内する案内構造が形成される。案内構造は、上向きの物理的水平面89や、当該水平面89の前端に位置する稜線90で構成されることができる。稜線90は水平軸線85a、85bに平行に延びる。水平面89は下方から電気集塵ユニット1を支持し、電気集塵ユニット1の水平姿勢の維持に役立つ。稜線90は、水平面89上で水平軸線85a、85bに平行に電気集塵ユニット1の姿勢を維持する際に役立つ。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、電気集塵ユニット1を小型に構成し、空気調和機100の本体80内の限られた空間に電気集塵ユニット1を収容することができるので、全体として小型の空気調和機100を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電気集塵ユニット
3 放電電極
4 集塵部
7 フレーム部
7i 爪部
51c 係止部
100 空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15