(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来の洗浄装置においては、水を洗浄槽内に導入し、水に洗浄剤を加えて洗浄液とし、ジェット洗浄時において常時一定量の洗浄液をノズルに供給して、ノズルから噴射させて洗浄する。洗浄後の洗浄液は洗浄槽内に貯留され、送水ポンプによってノズルに送り出される。すなわち、洗浄工程時には、洗浄液は循環して使用される。
【0006】
また、すすぎ時においても、すすぎ水を洗浄槽内に貯留し、送水ポンプからノズルに送り出される。すすぎ後のすすぎ水は洗浄槽内に貯留され、送水ポンプによってノズルに送り出される。すなわち、すすぎ工程時にも、すすぎ水は循環して使用される。
【0007】
洗浄液に含まれる血液凝固防止剤等の予備洗浄剤や、すすぎの結果すすぎ水に含まれる血液は、洗浄液やすすぎ水の泡立ちの原因となる。
洗浄液やすすぎ水に泡立ちが生じると、これを送水ポンプでノズルに送り出す際、送水ポンプの送水圧が低下し、洗浄効果やすすぎ効果が低減するという課題がある。
【0008】
また、通常の水を使用したすすぎ工程の後に、イオン成分を除去又は低減させた処理水を使用して再度すすぎを行う場合もある。これは、洗浄対象物の表面に付着している水の不純物などを除去するためである。
しかし、処理水によるすすぎ工程の際に、通常の水の不純物が洗浄槽下部に残留していると不純物が処理水に混ざってしまい、処理水による不純物除去の効率が低下するという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、洗浄効果やすすぎ効果の低減を防止し、且つ処理水による不純物除去の効率を低減させないようにする洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる洗浄装置によれば、洗浄対象物を収納する洗浄槽と、洗浄対象物に対して、前記洗浄槽内に貯留された洗浄液、水又は処理水を噴射する複数の洗浄用ノズルと、前記洗浄槽下部と各前記洗浄用ノズルとを連結して、前記洗浄槽内の洗浄液、水又は処理水を各前記洗浄用ノズルへ流通させる洗浄液流通管と、該洗浄液流通管に設けられた送水ポンプと、前記洗浄槽内に
外部からの水を供給する給水管と、前記洗浄槽内に
外部からの処理水を供給する処理水供給管と、前記給水管及び前記処理水供給管が接続され、
外部からの水又は処理水を洗浄槽内に供給する際に洗浄対象物に対して噴射して供給する供給水噴射ノズルと、
前記洗浄槽内の液体を排水する排水管と、前記排水管を開閉する排水弁と、前記供給水噴射ノズルから水又は処理水を前記洗浄槽内に噴射したときには、前記洗浄槽内の水又は処理水を前記排水管から排水させるべく、前記排水弁を開くように制御する第1制御装置と、を具備
し、前記給水管は、前記供給水噴射ノズルに接続されるノズル接続管と、前記洗浄槽の壁面に形成された給水孔に接続される壁面接続管とに分岐して設けられ、前記ノズル接続管には給水管用制御弁が設けられ、前記壁面接続管には壁面接続用制御弁が設けられ、前記給水管の水を前記供給水噴射ノズルから供給するか、前記給水孔から供給するかを前記給水管用制御弁及び前記壁面接続用制御弁の開閉によって選択可能に設けられており、前記第1制御装置は、予備洗浄工程時には、前記給水管用制御弁を開き、前記排水弁を開くように制御し、洗浄工程時には、前記壁面接続用制御弁を開け、前記給水孔から前記洗浄槽内に水を供給するように制御し、すすぎ工程のうち通常水すすぎ工程時には、前記壁面接続用制御弁を開け、前記給水孔から前記洗浄槽内に水を供給し、前記送水ポンプを駆動させて前記洗浄槽内の水を、前記洗浄液流通管を通じて各前記洗浄用ノズルへ送り込むように制御し、すすぎ工程のうち処理水すすぎ工程時には、前記排水弁を開けたまま、前記処理水供給管の処理水供給管用制御弁を開けて、処理水を前記供給水噴射ノズルから噴射するように制御することを特徴としている。
この構成を採用することによって、洗浄槽内に水又は処理水を供給する際においては、
水又は処理水を供給水噴射ノズルから噴射させて洗浄槽内に供給することができる。
このため、水を供給する場合、最初に水を洗浄対象物に対して噴射させて洗浄対象物に付着している血液等の汚れや予備洗浄剤を洗い流すことができる。
また、処理水を供給する場合、最初に処理水を洗浄対象物に噴射させて洗浄対象物に付着している通常の水を洗い流すことができる。
また、水又は処理水を洗浄槽内に供給する際に、供給水噴射ノズルから噴射させずに、給水孔から洗浄対象物に噴射させずに流入させることもできる。
また、水を噴射させて血液等の汚れや予備洗浄剤を落とし、この汚れや予備洗浄剤を含んだ水を排水するので、血液等の汚れや予備洗浄剤を希釈化し、その後の送水ポンプから洗浄液を循環させて洗浄工程を実施する際に、血液等の汚れや予備洗浄剤を原因とする泡立ちを防止することができる。
また、処理水で通常の水を洗い流して排水するので、通常の水を希釈化し、効率よく不純物の除去を実施できる。
【0013】
また、前記供給水噴射ノズルは、前記洗浄槽内の天井面に設けられ、水又は処理水を下方に向けて噴射する構成であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、洗浄槽内に収納されている洗浄対象物全体に確実に水又は処理水を噴射させることができる。
【0014】
また、前記供給水噴射ノズルは、前記洗浄槽内の天井面に設けられ、水又は処理水を下方に向けて噴射し、噴射によって回転するノズルであることを特徴としてもよい。
この構成によれば、洗浄槽内に収納されている洗浄対象物全体に均一且つ確実に水又は処理水を噴射させることができる。
【0015】
本発明にかかる洗浄装置によれば、洗浄対象物を収納する洗浄槽と、洗浄対象物に対して、前記洗浄槽内に貯留された洗浄液、水又は処理水を噴射する複数の洗浄用ノズルと、前記洗浄槽下部と各前記洗浄用ノズルとを連結して、前記洗浄槽内の洗浄液、水又は処理水を各前記洗浄用ノズルへ流通させる洗浄液流通管と、該洗浄液流通管に設けられた送水ポンプと、前記洗浄槽内に
外部からの水を供給する給水管と、前記洗浄槽内に
外部からの処理水を供給する処理水供給管と、
前記洗浄槽内の液体を排水する排水管と、前記排水管を開閉する排水弁と、前記複数の洗浄用ノズルのうち、最上部の洗浄用ノズルから水又は外部からの処理水を前記洗浄槽内に噴射したときには、前記洗浄槽内の水又は処理水を前記排水管から排水させるべく、前記排水弁を開くように制御する第2制御装置と、を具備
し、前記最上部に位置する洗浄用ノズルには、前記給水管及び前記処理水供給管が接続され、前記最上部に位置する洗浄用ノズルへ、前記給水管若しくは前記処理水供給管と接続させるか、又は前記洗浄液流通管と接続させるかを切り換える切換弁が設けられて
おり、前記給水管は、前記最上部に位置する洗浄用ノズルに接続されるノズル接続管と、前記洗浄槽の壁面に形成された給水孔に接続される壁面接続管とに分岐して設けられ、前記ノズル接続管には給水管用制御弁が設けられ、前記壁面接続管には壁面接続用制御弁が設けられ、前記給水管の水を前記最上部の洗浄用ノズルから供給するか、前記給水孔から供給するかを前記給水管用制御弁及び前記壁面接続用制御弁の開閉によって選択可能に設けられており、前記第2制御装置は、予備洗浄工程時には、前記最上部に位置する洗浄用ノズルが前記給水管に接続されるように前記切換弁を制御し、前記排水弁を開くように制御し、洗浄工程時には、前記壁面接続用制御弁を開け、前記給水孔から前記洗浄槽内に水を供給するように制御し、すすぎ工程のうち通常水すすぎ工程時には、前記壁面接続用制御弁を開け、前記給水孔から前記洗浄槽内に水を供給し、前記送水ポンプを駆動させて前記洗浄槽内の水を、前記洗浄液流通管を通じて前記最上部に位置する洗浄用ノズルへ送り込むように制御し、すすぎ工程のうち処理水すすぎ工程時には、前記処理水供給管の処理水供給管用制御弁を開け、前記最上部に位置する洗浄用ノズルが前記処理水供給管に接続されるように前記切換弁を制御し、前記排水弁を開くように制御し、前記
予備洗浄工程及び前記処理水すすぎ工程以外の工程においては、前記最上部に位置する洗浄用ノズルが前記洗浄液流通管に接続されるように前記切換弁を制御することを特徴としている。
この構成を採用することによって、洗浄槽内に水又は処理水を供給する際においては、
水又は処理水を最上部の洗浄用ノズルから噴射させて洗浄槽内に供給することができる。
このため、水を供給する場合、最初に水を洗浄対象物に対して噴射させて洗浄対象物に付着している血液等の汚れや予備洗浄剤を洗い流すことができる。
また、処理水を供給する場合、最初に処理水を洗浄対象物に噴射させて洗浄対象物に付着している通常の水を洗い流すことができる。
また、水又は処理水を洗浄槽内に供給する際に、供給水噴射ノズルから噴射させずに、給水孔から洗浄対象物に噴射させずに流入させることもできる。
また、水を噴射させて血液等の汚れや予備洗浄剤を落とし、この汚れや予備洗浄剤を含んだ水を排水するので、血液等の汚れや予備洗浄剤を希釈化し、その後の送水ポンプから洗浄液を循環させて洗浄工程を実施する際に、血液等の汚れや予備洗浄剤を原因とする泡立ちを防止することができる。
また、処理水で通常の水を洗い流して排水するので、通常の水を希釈化し、効率よく不純物の除去を実施できる。
また、最上部の洗浄用ノズルを、水又は処理水を供給する場合と、洗浄槽内に貯留された水や洗浄液を循環させる場合とで確実に切り換えて兼用して利用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄装置によれば、洗浄効果やすすぎ効果の低減を防止し、且つ処理水による不純物除去の効率を低減させないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1に本実施形態にかかる洗浄装置の配管系統図を示す。
本実施形態の洗浄装置10は、洗浄槽と乾燥槽を兼ねた1つの槽(以下、洗浄槽12と称する)を有する単槽タイプである、洗浄装置10は、筐体11内に洗浄槽12が配置されており、洗浄槽12内で洗浄対象物を洗浄する。
【0022】
洗浄対象物としては、ステンレス製又は鉄製などの医療用器材を想定している。医療用器材には、メス、鋏、鉗子等がある。本実施形態では洗浄対象物は、洗浄槽12に対して出し入れ自在であって、洗浄対象物を載置する複数段の載置部15を有するラック14に収納して洗浄するように構成される。
ただし、本発明の洗浄装置10としては必ずしもラックを設けなくてもよい。
【0023】
洗浄装置10では、洗浄対象物に対して洗浄液を噴射して洗浄するジェット洗浄を実行可能である。ジェット洗浄は、洗浄槽12内に貯留されている洗浄液を洗浄用ノズル16に送り出し、洗浄用ノズル16から洗浄液が洗浄対象物に噴射されることで実行される。
【0024】
洗浄用ノズル16は、少なくとも洗浄対象物が収納されるラック14の上下に配置されていればよい。
ラック14の上方に配置される洗浄用ノズル16aは、下向きに洗浄液を噴射し、洗浄液の噴射による力で自身が回転可能な構成である。また、ラック14の下方に配置される洗浄用ノズル16bは、上向きに洗浄液を噴射し、洗浄液の噴射による力で自身が回転可能な構成である。
【0025】
本実施形態では、ラック14の各載置部15の間にも洗浄用ノズル16cが配置されている。本実施形態におけるラック14の各載置部15の下方に位置する洗浄用ノズル16cは、上向きに洗浄液を噴射し、洗浄液の噴射による力で自身が回転可能な構成である。
【0026】
なお、本実施形態では、ラック14の各載置部15の間の洗浄用ノズル16cは、ラック14と一体に設けられているものである。本実施形態では、ラック14は4か所に載置部15を設けてあるので、そのうち上から3か所の載置部15のそれぞれの下面に洗浄用ノズル16cが設けられている。
【0027】
洗浄槽12内の内底面12aは、傾斜面となるように形成されており、傾斜面の最低部には下方に向けて凹み、洗浄槽12内の洗浄液が貯留される凹部20が形成されている。凹部20内にはヒータ22が設けられており、ヒータ22によって洗浄槽12内の洗浄液やすすぎ用の水又は処理水等を加熱することができる。
【0028】
凹部20の底面には排水管24が設けられている。排水管24の中途部には、排水管24を開閉する排水弁26が設けられている。洗浄時には、排水弁26を閉じて洗浄槽12内の洗浄液を排水させないようにして、洗浄槽12内に貯留させることができる。また、洗浄工程開始前又はすすぎ工程前に、水又は処理水を洗浄槽12内に供給する際には、所定時間排水弁26を開けて、最初に洗浄対象物表面の血液等の汚れ、予備洗浄剤、通常の水を洗い流して排水させることができる。
【0029】
凹部20において排水管24が接続されている個所よりも上部には、凹部20内の洗浄液を洗浄用ノズル16へ導入するための洗浄液流通管30の一端が接続されている。
洗浄液流通管30の他端は、洗浄槽12の側面に設けられた配管パイプ35へ連結している。配管パイプ35には、洗浄槽12内に突出する複数の導入管35aが形成されている。
複数の導入管35aのうち、最上部の導入管35aには、ラックの上方に配置される洗浄用ノズル16aが接続され、最下部の導入管35aには、ラックの下方に配置される洗浄用ノズル16bが接続される。
【0030】
また、配管パイプ35には、ラック14を構成するフレームであって内部が中空の中空フレーム17に接続するラック接続管35bが2か所に設けられている。
図1では、ラック14を構成するフレームのうち配管パイプ35側に位置するフレームが中空フレーム17であり、2つのラック接続管35bはこの中空フレーム17に接続される。
【0031】
中空フレーム17からラック14の内側に向けてラック14内の各載置部15間に位置する洗浄用ノズル16cが取り付けられており、配管パイプ35から中空フレーム17に導入された洗浄液やすすぎ用の水や処理水等が載置部15間に位置する洗浄用ノズル16cに供給される。
【0032】
洗浄液流通管30には送水ポンプ32が設けられている。送水ポンプ32が駆動することによって、凹部20内の洗浄液、すすぎ用の水や処理水等が洗浄液流通管30内を配管パイプ35方向に流通する。
【0033】
洗浄装置10の上部には、外部から水を洗浄槽12内へ供給する給水管42が配置されている。給水管42は、洗浄槽12の天井に配置された供給水噴射ノズル46に接続され、供給水噴射ノズル46から、水を洗浄槽12内に噴射させて供給させることができる。
また、外部から処理水を洗浄槽12内へ供給する処理水供給管44も供給水噴射ノズル46に接続されている。これにより、処理水も供給水噴射ノズル46から洗浄槽12内に噴射させて供給することができる。処理水としては、RO水、イオン交換水、蒸留水などのイオン成分を除去したか又は低減した水を採用することができる。
【0034】
給水管42は、洗浄装置10の上部近傍において、供給水噴射ノズル46へ接続するノズル接続管47と、洗浄槽12の壁面に形成された給水孔59に接続する壁面接続管48とに分岐している。
ノズル接続管47には、ノズル接続管47を開閉する給水管用制御弁50が設けられている。ノズル接続管47の給水管用制御弁50の下流側には、逆止弁53が設けられている。
また、壁面接続管48には、壁面接続管48を開閉する壁面接続用制御弁51が設けられている。
【0035】
処理水供給管44には、処理水供給管44を開閉する処理水供給管用制御弁52が設けられている。また、処理水供給管44の処理水供給管用制御弁52の下流側には、逆止弁54が設けられている。
【0036】
ノズル接続管47の逆止弁53よりも下流側と、処理水供給管44の逆止弁54よりも下流側とが合流した合流配管55が供給水噴射ノズル46に接続されている。
このため、水を供給水噴射ノズル46から噴射させる場合には、壁面接続用制御弁51を閉じ、給水管用制御弁50を開けることにより、給水管42を流通する水を供給水噴射ノズル46へ流すことができる。ノズル接続管47から流れる水は、処理水供給管44の逆止弁54によって、処理水供給管44へ流入しないようにできる。
【0037】
処理水を供給水噴射ノズル46から噴射させる場合には、壁面接続用制御弁51及び給水管用制御弁50を閉じ、処理水供給管用制御弁52を開けることによって、処理水供給管44を流通する処理水を供給水噴射ノズル46へ流すことができる。処理水供給管44から流れる処理水は、ノズル接続管47の逆止弁53によって、ノズル接続管47へ流入しないようにできる。
【0038】
なお、水を供給水噴射ノズル46からではなく、洗浄槽12の内壁面から流し入れる場合、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開け、ノズル接続管47の給水管用制御弁50を閉じる。これにより、給水管42を流通する水を洗浄槽12の壁面に形成された給水孔59から流し入れることができる。
【0039】
また、外部からの湯を洗浄槽12内に供給する給湯管56が洗浄装置10の上部近傍に配置されている。給湯管56には、給湯管用制御弁57が設けられており、給湯管56を開閉する。給湯管56は、洗浄槽12の壁面に形成された給水孔59に接続されており、給湯管56を流通する湯は、給水孔59から流し入れられる。
【0040】
本実施形態の供給水噴射ノズル46は、洗浄槽12内部の天井に設けられ、水又は処理水を下方に向けて噴射可能であり、噴射の勢いにより水平面内で回転可能である。
ただし、供給水噴射ノズル46としては、
図2に示すように、回転せずに天井に固定されている構成を採用してもよい。
図2に示すような供給水噴射ノズル46は、1又は複数個設けることができる。
【0041】
なお、給水管42における、ノズル接続管47の給水管用制御弁50及び壁面接続管48の壁面接続用制御弁51の上流側にはストレーナ36が設けられており、供給する水の異物を除去している。
また、給湯管56の給湯管用制御弁57の上流側にもストレーナ37が設けられており、供給する湯の異物を除去している。
【0042】
洗浄装置10には、複数の洗浄剤タンクが接続されている。洗浄剤としては、中性洗剤、アルカリ性洗剤、酸性洗剤など複数種類ある。
図1及び
図2では、例として2つの洗浄剤タンク60、61が設けられている例を示す。また、洗浄剤のほかに防錆剤等の薬剤を貯留する薬剤タンクを別途設けてもよい。
各洗浄剤タンク60、61には、それぞれ洗浄剤配管63、64が接続され、各洗浄剤配管63,64には洗浄剤を洗浄槽12内に導入するための洗浄剤導入ポンプ65、66が設けられている。
【0043】
洗浄に用いられる洗浄液は、水と洗浄剤とを洗浄槽12内で混合して作られる。洗浄液量は、洗浄対象物の量や種類に基づいて作業者が設定可能に設けるとよい。
【0044】
洗浄装置10の動作は第1制御装置70によって実行される。第1制御装置70は、CPU、ROM、RAM等のメモリを含み、メモリに記憶された動作プログラムを読み出して実行することにより所定の動作を実行する。
【0045】
次に洗浄装置の動作全体について説明する。
洗浄対象物となる医療用器材には、洗浄装置内に収容する前に、予め予備洗浄剤を塗布、噴霧又は浸漬させておく。予備洗浄剤とは血液凝固防止剤等を含み、洗浄対象物に予備洗浄剤を塗布等しておくことで、血液や脂肪等の汚れを浮かせて洗浄能力を高めることができる。
【0046】
予備洗浄剤が表面に付着した洗浄対象物は、洗浄装置10の洗浄槽12のラック14内に収容され、洗浄が実行される。
最初に予備洗浄が実行される。予備洗浄は、洗浄液を用いずに水又は湯で洗浄対象物を洗浄する工程である。
【0047】
予備洗浄を水で行う場合、第1制御装置70は給水管42のノズル接続管47を開閉する給水管用制御弁50を開く。また、第1制御装置70は、排水管24の排水弁26を開く。これにより、外部からの水が供給水噴射ノズル46に供給され、供給水噴射ノズル46から下方に位置する洗浄対象物に向けて水が噴射される。排水弁26が開いているため洗浄後の水は貯留されることなく、排水管24から排水される。
【0048】
このように、予備洗浄として、供給水噴射ノズル46から水を洗浄対象物に噴射させて行い、その洗浄後の水は貯留することなく排水するので、洗浄対象物から落ちた予備洗浄剤が含まれた水を循環させて用いることがなくなる。このため、予備洗浄剤に基づく泡立ちを防止することができる。
【0049】
予備洗浄開始から所定時間経過後、第1制御装置70は、ノズル接続管47の給水管用制御弁50を閉じて予備洗浄を終了する。
【0050】
次に、洗浄装置10は、洗浄工程を実行する。
洗浄工程においては、第1制御装置70は、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開け、供給水噴射ノズル46からではなく洗浄槽12の壁面の給水孔59から洗浄槽12内に水を供給する。このとき、洗浄槽12内に供給される水は洗浄対象物に噴射されることなく、通常の水圧で洗浄対象物に触れずに貯留されていく。
もし、洗浄工程実施の際に使用する水を供給水噴射ノズル46から供給すると、洗浄対象物表面にまだ残留している汚れや予備洗浄剤等が再度流れ落ちる可能性もあるため、洗浄工程実施前の水の供給に際しては、給水孔59を通して行うことが望ましい。
【0051】
また、第1制御装置70は、洗浄剤導入ポンプ65、66のいずれかを駆動し、洗浄工程に必要な洗浄剤も洗浄槽12内に供給する。第1制御装置70は、あらかじめ設定された所定量の洗浄剤を供給した後、洗浄剤導入ポンプ65、66の駆動を停止する。
洗浄槽12内で洗浄剤と水とが混合して洗浄液となる。
【0052】
第1制御装置70は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の水が貯留されたことを検出すると、壁面接続用制御弁51を閉じ、水の供給を停止する。なお、第1制御装置70はヒータ22をオンにして、洗浄液を所定温度に加温してもよい。
【0053】
そして、第1制御装置70は、送水ポンプ32を駆動させて洗浄槽12内の洗浄液を、洗浄液流通管30を通じて洗浄用ノズル16へ送り込む。洗浄用ノズル16から噴射された洗浄液は洗浄対象物を洗浄し、洗浄後の洗浄液は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。
【0054】
第1制御装置70は、洗浄工程開始から所定時間経過後、送水ポンプ32の駆動を停止し、排水管24の排水弁26を開き、洗浄槽12内の洗浄後の洗浄液を排水する。これにより、洗浄工程が終了する。
【0055】
洗浄工程後、すすぎ工程が行われる。
本実施形態でのすすぎ工程は、通常の水を使用する通常水すすぎ工程と処理水を使用する処理水すすぎ工程の2つの工程を有する。
まず、通常水すすぎ工程の際、第1制御装置70は、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開け、供給水噴射ノズル46からではなく洗浄槽12の壁面の給水孔59から洗浄槽12内に水を供給する。このとき、洗浄槽12内に供給される水は洗浄対象物に噴射されることなく、通常の水圧で洗浄対象物にあまり触れずに貯留されていく。
【0056】
第1制御装置70は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の水が貯留されたことを検出すると、壁面接続用制御弁51を閉じ、水の供給を停止する。なお、第1制御装置70はヒータ22をオンにして、すすぎ用の水を所定温度に加温してもよい。
【0057】
そして、第1制御装置70は、送水ポンプ32を駆動させて洗浄槽12内の水を、洗浄液流通管30を通じて洗浄用ノズル16へ送り込む。洗浄用ノズル16から噴射された水は、洗浄対象物をすすぎ、すすぎ後の水は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。
【0058】
通常水すすぎ工程開始後、所定時間経過すると、第1制御装置70は送水ポンプ32の駆動を停止し、排水管24の排水弁26を開き、すすぎ後の水を排水する。
そして、第1制御装置70は、再度、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開けて洗浄槽12内に水を所定量供給し、且つヒータ22をオンにして水を加温し、送水ポンプ32を駆動させて洗浄用ノズル16から水を噴射してすすぎを行う。
このように、通常水すすぎ工程においては、すすぎ、排水、すすぎ、排水という工程を複数回繰り返し行う。
【0059】
すすぎと排水の繰り返しが所定回数終了すると、処理水すすぎ工程に移行する。
処理水すすぎ工程では、第1制御装置70は、処理水供給管44の処理水供給管用制御弁52を開けて、処理水を供給水噴射ノズル46から噴射させる。このとき、排水管24の排水弁26は開けておく。排水弁26が開いているためすすぎ後の処理水は貯留されることなく、排水管24から排水される。
【0060】
このように、処理水すすぎ工程として、供給水噴射ノズル46から処理水を洗浄対象物に噴射させて行い、その洗浄後の処理水は貯留することなく排水するので、洗浄槽12の底部に残留した水の不純物を再度洗浄対象物に付着させることなく、不純物除去効率を上げることができる。
【0061】
処理水すすぎ工程が所定時間実行された後、第1制御装置70は排水弁26を閉じて処理水を洗浄槽12内に貯留する。貯留した処理水は、次の熱水殺菌工程で用いる。
第1制御装置70は、ヒータ22をオンにして、洗浄槽12内に貯留された処理水を加熱する。本実施形態では、加熱温度として80℃〜93℃程度になるようにヒータ22が制御される。
【0062】
第1制御装置70は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の処理水が貯留されたことを検出すると、処理水供給管用制御弁52を閉じ、処理水の供給を停止する。
【0063】
続いて、第1制御装置70は、送水ポンプ32を駆動し、所定温度に加熱された処理水(以下、単に熱水と称する場合もある)を洗浄液流通管30を通じて洗浄用ノズル16へ送り込む。洗浄用ノズル16から噴射された熱水は、洗浄対象物に噴射され、噴射された熱水は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。なお、第1制御装置70は、熱水殺菌工程中に熱水温度が低下しないように、温度センサで熱水温度を検出しつつヒータ22のオン−オフを制御する。
【0064】
熱水殺菌工程開始から所定時間経過後、第1制御装置70は送水ポンプ32の駆動を停止し、排水弁26を開けて熱水を排水し、熱水殺菌工程を終了する。
【0065】
熱水殺菌工程の終了後、第1制御装置70は、図示しない空気加温装置及び送風装置によって洗浄槽12内の空気及び/又は外部空気を加温し、加温した熱風を洗浄対象物に吹き付けて洗浄対象物を乾燥させる。
その後、第1制御装置70は、図示しない送風装置のみを駆動させて常温の空気を洗浄対象物に吹き付けて洗浄対象物を冷却する。
これで一連の洗浄工程は終了する。
【0066】
なお、上述してきた第1実施形態において、供給水噴射ノズル46によって外部からの水又は処理水を噴射させる工程としては、予備洗浄工程と処理水すすぎ工程の2工程であったが、本発明としてはこれに限定するものではなく、これら2工程のうちのいずれか1工程のみを供給水噴射ノズル46によって外部からの水又は処理水を噴射させてもよいし、他の工程で水又は処理水を噴射させてもよい。
【0067】
(第2実施形態)
次に、洗浄装置の第2実施形態について、
図3に基づいて説明する。
なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0068】
本実施形態では、供給水を噴射させるノズルとして、供給水噴射ノズルを新たに設けるのではなく、複数の洗浄用ノズル16のうち最上部の洗浄用ノズルを供給水噴射ノズルと兼用する構成を採用している。以下、このノズルについては兼用ノズル13と称する場合もある。このような構成では、供給水を噴射させるノズルを新たに設ける必要が無いので、コスト的及びスペース的に有利である。
【0069】
本実施形態では、兼用ノズル13には配管パイプ35の導入管35aが接続されておらず、兼用ノズル13には三方弁等から構成される切換弁74が接続されている。
切換弁74には、給水管42から分岐したノズル接続管47と処理水供給管44とが合流した合流配管55と、配管パイプ35の上端部から延びる接続用管路75とが接続されている。
切換弁74は、合流配管55からの水又は処理水を兼用ノズル13に供給するか、又は洗浄液流通管30を通ってきた洗浄液等を兼用ノズル13に供給するかを切り換え可能である。
【0070】
また、本実施形態では配管パイプ35は第1の実施形態よりも上下方向に短く形成されており、上記のように配管パイプ35の上端部から上方に向けて、配管パイプ35よりも小径の接続用管路75が設けられている。この接続用管路75の中途部には、逆止弁76が設けられており、外部からの水や処理水が配管パイプ35へ流出しないようにしている。
【0071】
なお、第1実施形態と比較して、外部からの給水管42、処理水供給管44、給湯管56の構成については、合流配管55の接続先が供給水噴射ノズル46から、兼用ノズル13の供給元にある切換弁74になったというだけであり、他の構成について相違はない。
【0072】
本実施形態における洗浄装置10の動作は第2制御装置80によって実行される。第2制御装置80は、CPU、ROM、RAM等のメモリを含み、メモリに記憶された動作プログラムを読み出して実行することにより所定の動作を実行する。
【0073】
第2制御装置80の動作としては、第1実施形態の第1制御装置70と比較して、切換弁74の切換制御を実行する点で相違している。
【0074】
次に洗浄装置の動作全体について説明する。
洗浄対象物となる医療用器材には、洗浄装置内に収容する前に、予め予備洗浄剤を塗布、噴霧又は浸漬させておく。洗浄対象物に予備洗浄剤を塗布等しておくことで、血液や脂肪等の汚れを浮かせて洗浄能力を高めることができる。
【0075】
予備洗浄剤が塗布等された洗浄対象物は、洗浄装置10の洗浄槽12のラック14内に収容され、洗浄が実行される。
最初に予備洗浄が実行される。予備洗浄は、洗浄液を用いずに水又は湯で洗浄対象物を洗浄する工程である。
【0076】
予備洗浄を水で行う場合、第2制御装置80は給水管42のノズル接続管47を開閉する給水管用制御弁50を開き、合流配管55と兼用ノズル13が接続されるよう切換弁74を切り換える。また、第2制御装置70は、排水管24の排水弁26を開く。これにより、外部からの水が兼用ノズル13に供給され、兼用ノズル13から下方に位置する洗浄対象物に向けて水が噴射される。排水弁26が開いているため洗浄後の水は貯留されることなく、排水管24から排水される。
【0077】
このように、予備洗浄として、兼用ノズル13から水を洗浄対象物に噴射させて行い、その洗浄後の水は貯留することなく排水するので、洗浄対象物から落ちた予備洗浄剤が含まれた水を循環させて用いることがなくなる。このため、予備洗浄剤に基づく泡立ちを防止することができる。
【0078】
予備洗浄開始から所定時間経過後、第2制御装置80は、ノズル接続管47の給水管用制御弁50を閉じて予備洗浄を終了する。
【0079】
次に、洗浄装置10は、洗浄工程を実行する。
洗浄工程においては、第2制御装置80は、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開け、兼用ノズル13からではなく洗浄槽12の壁面の給水孔59から洗浄槽12内に水を供給する。このとき、洗浄槽12内に供給される水は洗浄対象物に噴射されることなく、通常の水圧で洗浄対象物に触れずに貯留されていく。
もし、洗浄工程実施の際に使用する水を兼用ノズル13から供給すると、洗浄対象物表面にまだ残留している汚れや予備洗浄剤等が再度流れ落ちる可能性もあるため、洗浄工程実施前の水の供給に際しては、給水孔59を通して行うことが望ましい。
【0080】
また、第2制御装置80は、洗浄剤導入ポンプ65、66のいずれかを駆動し、洗浄工程に必要な洗浄剤も洗浄槽12内に供給する。第2制御装置80は、あらかじめ設定された所定量の洗浄剤を供給した後、洗浄剤導入ポンプ65、66の駆動を停止する。
洗浄槽12内で洗浄剤と水とが混合して洗浄液となる。
【0081】
第2制御装置80は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の水が貯留されたことを検出すると、壁面接続用制御弁51を閉じ、水の供給を停止する。なお、第2制御装置80はヒータ22をオンにして、洗浄液を所定温度に加温してもよい。
【0082】
そして、第2制御装置80は、兼用ノズル13と配管パイプ35の接続用管路75とが接続されるように切換弁74を切り換え、且つ送水ポンプ32を駆動させて洗浄槽12内の洗浄液を、洗浄液流通管30を通じて兼用ノズル13へ送り込む。兼用ノズル13から噴射された洗浄液は洗浄対象物を洗浄し、洗浄後の洗浄液は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。
【0083】
第2制御装置80は、洗浄工程開始から所定時間経過後、送水ポンプ32の駆動を停止し、排水管24の排水弁26を開き、洗浄槽12内の洗浄後の洗浄液を排水する。これにより、洗浄工程が終了する。
【0084】
洗浄工程後、すすぎ工程が行われる。
本実施形態においても、すすぎ工程は通常の水を使用する通常水すすぎ工程と処理水を使用する処理水すすぎ工程の2つの工程を有する。
まず、通常水すすぎ工程の際、第2制御装置80は、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開け、兼用ノズル13からではなく洗浄槽12の壁面の給水孔59から洗浄槽12内に水を供給する。このとき、洗浄槽12内に供給される水は洗浄対象物に噴射されることなく、通常の水圧で洗浄対象物に触れずに貯留されていく。
【0085】
第2制御装置80は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の水が貯留されたことを検出すると、壁面接続用制御弁51を閉じ、水の供給を停止する。なお、第2制御装置80はヒータ22をオンにして、すすぎ用の水を所定温度に加温してもよい。
【0086】
そして、第2制御装置80は、兼用ノズル13と配管パイプ35の接続用管路75とが洗浄工程から引き続き接続されるように切換弁74の切り換えをせず、且つ送水ポンプ32を駆動させて洗浄槽12内の水を、洗浄液流通管30を通じて兼用ノズル13へ送り込む。兼用ノズル13から噴射された水は、洗浄対象物をすすぎ、すすぎ後の水は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。
【0087】
通常水すすぎ工程開始後、所定時間経過すると、第2制御装置80は送水ポンプ32の駆動を停止し、排水管24の排水弁26を開き、すすぎ後の水を排水する。
そして、第2制御装置80は、再度、壁面接続管48の壁面接続用制御弁51を開けて洗浄槽12内に水を所定量供給し、ヒータ22をオンにしてすすぎ水を所定温度に加温し、送水ポンプ32を駆動させて洗浄用ノズル16から水を噴射してすすぎを行う。
このように、通常水すすぎ工程においては、すすぎ、排水、すすぎ、排水という工程を複数回繰り返し行う。
【0088】
すすぎと排水の繰り返しが所定回数終了すると、処理水すすぎ工程に移行する。
処理水すすぎ工程では、第2制御装置80は、処理水供給管44の処理水供給管用制御弁52を開け、合流配管55と兼用ノズル13が接続されるよう切換弁74を切り換えることにより、処理水を兼用ノズル13から噴射させる。このとき、排水管24の排水弁26は開けておく。排水弁26が開いているためすすぎ後の処理水は貯留されることなく、排水管24から排水される。
【0089】
このように、処理水すすぎ工程として、兼用ノズル13から処理水を洗浄対象物に噴射させて行い、その洗浄後の処理水は貯留することなく排水するので、洗浄槽12の底部に残留した水の不純物を再度洗浄対象物に付着させることなく、不純物除去効率を上げることができる。
【0090】
処理水すすぎ工程が所定時間実行された後、第2制御装置80は排水弁26を閉じて処理水を洗浄槽12内に貯留する。貯留した処理水は、次の熱水殺菌工程で用いる。
第2制御装置80は、ヒータ22をオンにして、洗浄槽12内に貯留された処理水を加熱する。本実施形態では、加熱温度として80℃〜93℃程度になるようにヒータ22が制御される。
【0091】
第2制御装置80は、図示しない水量検出センサ(圧力センサによる水頭圧に基づいてもよい)によりあらかじめ設定された所定量の処理水が貯留されたことを検出すると、処理水供給管用制御弁52を閉じ、処理水の供給を停止する。
【0092】
続いて、第2制御装置80は、兼用ノズル13と配管パイプ35の接続用管路75とが接続されるように切換弁74を切り換え、且つ送水ポンプ32を駆動し、所定温度に加熱された処理水(以下、単に熱水と称する場合もある)を洗浄液流通管30を通じて兼用ノズル13へ送り込む。兼用ノズル13から噴射された熱水は、洗浄対象物に噴射され、噴射された熱水は送水ポンプ32によって循環されて繰り返し使用される。なお、第2制御装置80は、熱水殺菌工程中に熱水温度が低下しないように、温度センサで熱水温度を検出しつつヒータ22のオン−オフを制御する。
【0093】
熱水殺菌工程開始から所定時間経過後、第2制御装置80は送水ポンプ32の駆動を停止し、排水弁26を開けて熱水を排水し、熱水殺菌工程を終了する。
【0094】
熱水殺菌工程の終了後、第2制御装置80は、図示しない空気加温装置及び送風装置によって洗浄槽12内の空気及び/又は外部空気を加温し、加温した熱風を洗浄対象物に吹き付けて洗浄対象物を乾燥させる。
その後、第2制御装置80は、図示しない送風装置のみを駆動させて常温の空気を洗浄対象物に吹き付けて洗浄対象物を冷却する。
これで一連の洗浄工程は終了する。
【0095】
なお、上述してきた第2実施形態において、兼用ノズル13によって外部からの水又は処理水を噴射させる工程としては、予備洗浄工程と処理水すすぎ工程の2工程であったが、本発明としてはこれに限定するものではなく、これら2工程のうちのいずれか1工程のみを兼用ノズル13によって外部からの水又は処理水を噴射させてもよいし、他の工程で水又は処理水を噴射させてもよい。
【0096】
(第3の実施形態)
図4に、洗浄槽12の壁面に給水孔59を設けない実施形態を示す。
なお、上述した実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0097】
本実施形態では、洗浄槽12の壁面には給水孔59が設けられておらず、処理水供給管44、給水管42及び給湯管56の3つの管は1本の合流配管55に合流する。合流配管55は、供給水噴射ノズル46に接続されている。また、給湯管56の給湯管用制御弁57の下流側には、逆止弁62が設けられている。
【0098】
このような構成によれば、処理水、水、湯のいずれも供給水噴射ノズル46から噴射させて洗浄槽12内に供給することができる。
処理水の洗浄槽12への供給は、給湯管用制御弁57及び給水管用制御弁50を閉じ、処理水供給管用制御弁52を開いて供給水噴射ノズル46から噴射させて行うことができ、水の洗浄槽12への供給は、給湯管用制御弁57及び処理水供給管用制御弁52を閉じ、給水管用制御弁50を開いて供給水噴射ノズル46から噴射させて行うことができる。
【0099】
また、湯の洗浄槽12への供給は、給湯管用制御弁57及び給水管用制御弁50を閉じ、給湯管用制御弁57を開いて供給水噴射ノズル46から噴射させて行うことができる。
ただし、湯の温度調整のために、給湯管用制御弁57及び給水管用制御弁50を所定開度に開き、処理水供給管用制御弁52を閉じることにより、水と湯を混合させて所定温度にしてから供給水噴射ノズル46から噴射させて行うことも可能である。温度設定については、第1制御装置70が、給湯管用制御弁57及び給水管用制御弁50のそれぞれの開度を調整することで実行することができる。
【0100】
図4では、
図1に示したような洗浄槽12の天井に配置されて噴射の勢いにより回転可能な供給水噴射ノズル46について図示したが、給水孔59を設けない構成としては、
図2に示すように、回転せずに天井に固定されている供給水噴射ノズル46を採用してもよい。
さらに、給水孔59を設けない構成としては、
図3に示すように、複数の洗浄用ノズル16のうち最上部の洗浄用ノズルを供給水噴射ノズルと兼用する構成を採用してもよい。