(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871038
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】放電ランプ、オゾン生成装置およびオゾン生成方法
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20210426BHJP
H01J 61/76 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
H01J65/00 B
H01J61/76
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-62181(P2017-62181)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-166028(P2018-166028A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】今井 正人
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−219053(JP,A)
【文献】
特開2010−135236(JP,A)
【文献】
特開2008−153173(JP,A)
【文献】
特開2009−230957(JP,A)
【文献】
特表2010−525514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B13/00−13/36
H01J61/00−61/28
61/50−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ガスが封入された筒状の放電容器と、
前記放電容器の径方向に沿って対向し、前記放電容器の外表面に沿って配置される一対の電極とを備え、
前記一対の電極が、前記放電容器の外周面に対して軸方向に線接触または点接触していることを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記一対の電極の少なくとも一方の電極が、前記放電容器の軸方向もしくは径方向に関して偏って強い放電が生じる空間領域に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記一対の電極が、前記放電容器の外周面に対して軸方向に線接触または点接触により把持されていて、前記放電容器が交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記放電ガスが、0.1kPa〜20kPaの範囲内に定められた希ガスであり、
前記放電容器の外径が、3mm〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項5】
放電ガスが封入された筒状の放電容器と、
前記放電容器の径方向に沿って対向し、前記放電容器の外表面に沿って配置される一対の電極とを備え、
前記一対の電極が、前記放電容器の外周面に対して軸方向に線接触または点接触し、
前記放電容器内において局所的に生じた放電から放射される紫外線によりオゾンが生成されることを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項6】
前記放電容器の外表面が前記一対の電極に対して線接触している軸方向長さに応じて、オゾンが生成されることを特徴とする請求項5に記載のオゾン生成装置。
【請求項7】
放電ガスが封入された筒状の放電容器の径方向に沿って対向する一対の電極を、前記放電容器の外表面に対して軸方向に線接触するように配置させ、
前記一対の電極の間に高周波電圧を印加することで、前記放電容器の外表面が前記一対の電極に対して線接触している軸方向長さに応じて、前記放電容器内において生じた放電から放射された紫外線を前記放電容器の外部に照射してオゾンを生成することを特徴とするオゾン生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプなどの放電ランプに関し、特に、オゾン生成装置に最適なランプ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマランプでは、放電容器の外表面などに電極対を配置し、放電容器内に希ガスなどを封入する、電極間に電圧を印加させることで誘電体バリア放電が生じ、放電容器からランプ外に向けて紫外線を放射する。紫外線照射によって生じるオゾンは、殺菌能力(酸化力)があるため、脱臭装置、殺菌/除菌装置などの光源としてエキシマランプを使用することができる。
【0003】
例えば、2つのエキシマランプを容器内に配置し、第1のエキシマランプから紫外線を照射してオゾンを生成させるとともに、第2のエキシマランプから異なる波長の紫外線を照射することで、活性酸素を生成する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−316041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
殺菌、脱臭などを行う場合、殺菌、脱臭など効果が必要な範囲に応じて最小限の量(濃度)のオゾンを生成すればよい。したがって、脱臭、殺菌などの対象物によって、生成されるオゾン量(濃度)を変更できるオゾン生成装置が望まれる。しかしながら、生成されるオゾン量(濃度)を変更させるためには、複雑なランプ点滅制御回路が必要となるため、オゾン生成装置を小型化することができない。
【0006】
したがって、生成されるオゾン量(濃度)が異なるオゾン生成装置にも適用でき、簡素な構成で汎用性のある小型のエキシマランプなどの放電ランプが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放電ランプは、放電ガスが封入された筒状の放電容器と、放電容器の径方向に沿って対向し、放電容器の外表面に沿って配置される一対の電極とを備える。例えば、放電ガスが、0.1kPa〜20kPaの範囲内に定められた希ガスであり、放電容器の外径が、3mm〜10mmの範囲に定めることができる。
【0008】
本発明では、放電容器の外表面が、放電容器内において局所的に生じた放電から放射された紫外線が放電容器の外部に照射されるように、一対の電極に対して接している。ここで、「局所的に生じた放電」とは、径方向に関して、中心軸以外の放電容器との接触部分付近などに偏った放電を示す。
【0009】
例えば、一対の電極の少なくとも一方の電極が、放電容器の軸方向もしくは径方向に関して偏って強い放電が生じる空間領域に対向する位置に配置されている。また、一対の電極が、放電容器の外周面に対して軸方向に線接触または点接触により把持されるようにし、放電容器を交換可能にすることができる。
【0010】
本発明の他の態様におけるオゾン生成装置は、放電ガスが封入された筒状の放電容器を備え、放電容器の軸方向長さに応じて、放電容器内において局所的に生じた放電から放射される紫外線によるオゾンが生成される。例えば、放電容器の径方向に沿って対向する一対の電極が、放電容器の外表面に沿って配置され、放電容器の外表面が一対の電極に対して接している軸方向長さに応じて、オゾンが生成される。
【0011】
本発明の他の態様におけるオゾン生成方法は、放電ガスが封入された筒状の放電容器の径方向に沿って対向する一対の電極を、放電容器の外表面に対して接するように配置させ、一対の電極の間に高周波電圧を印加することで、一対の電極が対向する軸方向長さに応じて、放電容器内において生じた放電から放射された紫外線を放電容器の外部に照射してオゾンを生成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型のオゾン生成装置に最適なランプ構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2のラインA−A’に沿った放電ランプの概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態である放電ランプについて説明する。
【0015】
図1は、放電ランプの概略的側面図である。
図2は、放電ランプの端部側から見た概略的正面図である。
図3は、
図2のラインA−A’に沿った放電ランプの概略的断面図である。
【0016】
放電ランプ10は、内部に放電空間Sを形成し、石英ガラスなどで成形される筒状の放電容器20を備え、その両端部20T1、20T2の間に一対の電極30、40が設けられている。一対の電極30、40は、放電容器の軸方向Xに沿って放電容器20の略全体に渡って延びており、互いに極性が異なる。
図1に示すように、一対の電極30、40は同じ形状であり、径方向に対向配置されており、放電容器20と線接触している。
【0017】
放電ランプ10は、ここでは細径の放電容器を備えたエキシマランプとして構成されており、放電容器20の外径Dは、3mm〜10mmの範囲、放電容器の軸方向長さWは、10mm以上の範囲に、それぞれ設定することが可能である。
【0018】
放電容器20の放電空間Sには、キセノンガス1Torr〜150Torr(0.1kPa〜30kPa、更に好ましくは7kPa〜20kPa)が封入されている。一対の電極30、40には、直流電源部(図示せず)と接続される一対の導線(図示せず)が接続されており、一対の電極30、40間には高周波(1kHz〜500kHz、更に好ましくは1kHz〜100kHzの範囲であり、例えば60kHz)の高電圧(5kV〜10kV)が印加される。放電容器20は、一対の電極30、40により把持されているが、図示しない保持部材によって保持してもよい。
【0019】
図2に示すように、一対の電極30、40は、それぞれ平板状電極として構成されており、図示しない保持部材によって保持されている。また、一対の電極30、40は、放電容器20の外周面20Sと接触部L1、L2において線接触して、放電容器の軸方向Xを通る対称軸Yにより対称的に配置している。放電容器20と一対の電極30、40とが接触しない部分には、隙間50が形成されている。なお、
図2では、放電容器20の肉厚部分を省略しているが、肉厚については、0.2mm〜4mmの範囲(例えば1.5mm)に定めることができる。
【0020】
このような一対の電極30、40に対して電圧を印加すると、放電容器20内において誘電体バリア放電が生じ、紫外線が放電容器20の外部へ向けて放射される。接触部Lに電界が集中し、放電容器20内の接触部L付近において局所的に強い放電が生じ、放射される紫外線の照度が高い。一方、放電容器20内の一対の電極30、40の対称軸Y付近(電極30、40の間の中央付近)では、放射される紫外線の照度が低い(放電が弱い)。一対の電極30、40と放電容器20との間に形成された隙間50は、放電しない絶縁空間領域となる。また、一対の電極30、40が放電容器20と線接触しているため、気体の流入、オゾンの流出が容易となり、放電容器20の外周面付近においてオゾンが生成される。
【0021】
図3は、
図2のラインA−A’に沿った放電ランプの概略的断面図である。
【0022】
図3に示すように、一対の電極30、40の対称軸Yを通る中心軸X付近の空間領域においては、微弱な放電CCが生じる。一方、一対の電極30、40と接触している接触部L付近の空間領域では、強い放電CCが生じる。放電容器20内において、放電状態が電極30、40付近の空間領域と、電極30、40の間の中央となる対称軸Y付近の空間領域との間で相違して、放電が放電容器20の両則面側(電極側)に偏っていることにより、局所的な放電が放電容器20内において生じる。
【0023】
放電容器20内において、一対の電極30、40が対向して把持している軸方向範囲で放電が生じるので、放電容器20の軸方向長さを選択することで、放電容器20内において局所的に生じた放電から放射される紫外線の照射範囲(オゾンの生成量)が調整可能である。例えば、一対の電極30、40が対向している範囲よりも両端部20T1、20T2の長さが軸方向に短い放電容器を取付ける(把持する)ことで、紫外線の照射範囲(オゾンの生成量)は小さくなる。それに対して、放電容器を軸方向に長くすることで、紫外線の照射範囲(オゾンの生成量)を大きくすることができる。この他に、内径や外径が異なる放電容器としてもよく、放電容器に封入されたガスの種類(混合比)や量(圧力)を変更することで、オゾンの生成量(濃度)を調整してもよい。
【0024】
一対の電極30、40が放電容器20に対して線接触であるため、放電容器の交換は容易であり、仕様(形状や封入ガス圧等)が異なる放電容器と交換することで紫外線の照射範囲(オゾンの生成量)を変更することができる。
【0025】
このように本実施形態によれば、放電容器20を備えた放電ランプ10において、放電容器20が一対の電極30、40に接する軸方向長さに応じて、放電容器20内において局所的な放電が生じて、紫外線が照射される範囲を調整することができる。これにより、簡単な構成でありながら、生成されるオゾン量(濃度)を容易に変更することできる。
【0026】
なお、本実施形態においては、電極対を平板状の導電部材としているが、断面V字状や半円状の電極であってもよく、放電容器と線接触または点接触させて、紫外線の照射範囲(オゾンの生成量)を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 放電ランプ
20 放電容器
30 電極
40 電極
50 隙間(空間)