特許第6871053号(P6871053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871053
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】廃棄物計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/167 20060101AFI20210426BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20210426BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   G01T1/167 C
   G01T1/167 D
   G01T1/17 E
   G21F9/30 Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-93221(P2017-93221)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-189551(P2018-189551A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】名雲 靖
(72)【発明者】
【氏名】田所 孝広
(72)【発明者】
【氏名】上野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 克宜
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】畠山 修一
【審査官】 中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−068677(JP,A)
【文献】 特開2015−087300(JP,A)
【文献】 特開2015−219046(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0163988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/167
G01T 1/17
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの解体により発生した放射性廃棄物の放射能汚染量を評価した結果のデータである汚染量評価結果データを格納する汚染量評価結果データベースと、
前記放射性廃棄物の3次元の形状と大きさのデータである3次元形状データを格納する3次元形状データベースと、
前記放射性廃棄物の収納容器の中での配置を示すデータである容器内収納パターンデータを格納する容器内収納パターンデータベースと、
前記収納容器に収納された前記放射性廃棄物の放射線のエネルギスペクトルを計測する放射線計測装置と、
前記3次元形状データと前記容器内収納パターンデータとを用いて作成した解析対象物のモデルを用いて、前記収納容器に収納された前記放射性廃棄物の放射線のエネルギスペクトルを計算して求める解析装置と、
前記解析装置が求めた前記エネルギスペクトルのデータと、前記放射線計測装置が計測した前記エネルギスペクトルのデータと、前記汚染量評価結果データと、前記容器内収納パターンデータとを用い、前記解析装置が求めた前記エネルギスペクトルと前記放射線計測装置が計測した前記エネルギスペクトルとの差が小さくなるような反復計算を行って、前記収納容器内における前記放射性廃棄物の放射能濃度の分布または放射能量の分布を求める濃度分布評価装置と、
前記濃度分布評価装置が求めた、前記放射能濃度の分布または前記放射能量の分布を表示する出力装置と、
を備え
前記濃度分布評価装置は、前記放射能濃度の分布または前記放射能量の分布を、前記収納容器内における前記放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量についての拘束条件を満たすように求め、
前記拘束条件は、前記汚染量評価結果データと前記容器内収納パターンデータとから導出された、前記モデルでの放射能濃度または放射能量を基に作成される、
ことを特徴とする廃棄物計測装置。
【請求項2】
前記モデルは、複数の領域に分割され、
前記拘束条件は、互いに接続する2つの前記領域の間の放射能濃度または放射能量の大小関係である、
請求項に記載の廃棄物計測装置。
【請求項3】
前記解析装置が求めた前記エネルギスペクトルのデータと、前記放射線計測装置が計測した前記エネルギスペクトルのデータと、前記汚染量評価結果データと、前記容器内収納パターンデータとを入力する評価条件入力装置をさらに備え、
前記評価条件入力装置は、前記拘束条件を生成する、
請求項またはに記載の廃棄物計測装置。
【請求項4】
前記汚染量評価結果データは、前記プラントの解体後に除染された前記放射性廃棄物の放射能汚染量の測定結果を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の廃棄物計測装置。
【請求項5】
前記汚染量評価結果データ、前記3次元形状データ、及び前記容器内収納パターンデータを作成して格納するプラント解体計画支援システムに接続され、
前記汚染量評価結果データベース、前記3次元形状データベース、及び前記容器内収納パターンデータベースは、それぞれ、前記汚染量評価結果データ、前記3次元形状データ、及び前記容器内収納パターンデータを、前記プラント解体計画支援システムから取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の廃棄物計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物計測装置に関し、より詳しくは、放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量を測定する放射性廃棄物の計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電施設等のプラントの廃止措置においては、プラントの解体に伴い、放射化された廃棄物や放射能により汚染された廃棄物等の放射性廃棄物が発生する。これらの廃棄物については、放射能濃度のレベルに応じた処理・処分が義務付けられているため、その放射能濃度を測定する必要がある。放射能濃度の測定では、Co−60やCs−137等のガンマ線源から放射されるガンマ線が主な対象となる。
【0003】
放射性廃棄物には、配管や弁等の金属や、建屋の解体に伴い発生するコンクリート等からなるものがある。これらの廃棄物は、従来、円筒型のドラム缶に収納され、さらにドラム缶にモルタルや砂等が充填された上で、管理、または処理・処分が実施される。これらの廃棄物の管理、または処理・処分にあたっては、ドラム缶に収納された廃棄物の放射能濃度を測定し、定量化する必要がある。
【0004】
ドラム缶内の放射能濃度を測定する装置には、例えば特許文献1に記載の装置がある。この装置は、ドラム缶の回転対称性を利用して、ドラム缶を回転させながらドラム缶内の放射性廃棄物から放出されるガンマ線のエネルギスペクトルを測定し、Co−60やCs−137等の放射性核種の放射能濃度を定量化する。定量化にあたっては、測定したエネルギスペクトルから得られる散乱線強度と非散乱線強度の比率に基づいて、ドラム缶内の廃棄物自身によるガンマ線の減衰の影響を評価して考慮する。特許文献1の装置では、ドラム缶内に放射能濃度の分布や偏在がある場合でも、ドラム缶を回転しながら測定することにより、放射能濃度を平均化した値として測定することが可能である。
【0005】
近年、廃棄物の輸送や処理・処分を合理化するため、廃棄物の収納容器をドラム缶から角型の容器にすることが検討されている。角型の容器を対象に、容器内の放射能を測定する装置には、例えば特許文献2に記載の装置がある。この装置は、放射性廃棄物の質量と高さと平均密度を取得して、角型の収納容器の周囲に配置した放射線検出部の測定データから、放射性廃棄物の放射能量を評価する。
【0006】
また、最近では、放射性廃棄物の長期間にわたる管理費の削減等のために、原子力発電プラントの解体計画を支援するプラント解体計画支援装置が開発されている。特許文献3には、プラント解体計画支援装置の一例が記載されている。この装置は、原子力発電プラントの廃止措置の計画時に、解体対象物の3次元形状データ(CADデータ)を用い、プラントの解体工程で発生する放射性の廃棄物の線源強度を基に、廃棄物収納容器への廃棄物の収納パターンをシミュレーションで求め、必要な収納容器の個数を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−56025号公報
【特許文献2】特開2015−121505号公報
【特許文献3】特開2015−87300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、放射性廃棄物の管理、または処理・処分にあたっては、廃棄物収納容器に収納された廃棄物の放射能濃度を測定し、定量化する必要がある。
【0009】
廃棄物収納容器として円筒型のドラム缶を使用した場合には、ドラム缶の輸送や処分場への埋設の際にドラム缶同士の間に隙間が生じるため、空間を有効に活用できないという課題がある。このため、廃棄物の輸送や処理・処分の合理化を目的にドラム缶に替えて角型の容器を収納容器として利用することが検討されていることは、すでに述べた。
【0010】
また、原子力プラントの解体時に発生する放射性の廃棄物は、様々な形状・サイズのものが想定されるため、収納容器がドラム缶であるか角型容器であるかに関わらず、廃棄物を容器に収納すると、放射性廃棄物の密度や放射能濃度の分布・偏在が容器内に生じる可能性がある。放射性廃棄物の密度や放射能濃度の分布・偏在が存在する可能性を考慮せず、容器内の放射性廃棄物の密度や放射能濃度が一様であると仮定して放射能濃度を求めると、誤差が非常に大きくなる可能性があることは想像に難くない。
【0011】
収納容器がドラム缶の場合、特許文献1に記載の方法によれば、ドラム缶内に放射性廃棄物の密度や放射能濃度の分布・偏在がある場合でも、ドラム缶を回転しながら測定することにより、放射能濃度を平均化した値として測定することが可能である。しかし、収納容器が角型容器の場合には、ドラム缶のような回転対称性がないため、特許文献1に記載の装置を用いても、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度を精度良く評価することが難しいという課題がある。特許文献2に記載の装置は、主に角型容器を対象とした計測装置であり、収納容器内の放射性廃棄物の密度として容器内を一様とした平均密度を使用し、容器の各面から放出されるガンマ線を平均して放射性廃棄物の放射能量を算出し、評価を行う。このため、特許文献2に記載の装置でも、容器内に密度分布や放射能濃度分布がある場合にこれらの影響を考慮することが難しく、求めた放射能濃度に大きい誤差が含まれる可能性があるという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、収納容器内の放射性廃棄物に密度分布や放射能濃度分布がある場合でも、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる廃棄物計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による廃棄物計測装置は、プラントの解体により発生した放射性廃棄物の放射能汚染量を評価した結果のデータである汚染量評価結果データを格納する汚染量評価結果データベースと、前記放射性廃棄物の3次元の形状と大きさのデータである3次元形状データを格納する3次元形状データベースと、前記放射性廃棄物の収納容器の中での配置を示すデータである容器内収納パターンデータを格納する容器内収納パターンデータベースと、前記収納容器に収納された前記放射性廃棄物の放射線のエネルギスペクトルを計測する放射線計測装置と、前記3次元形状データと前記容器内収納パターンデータとを用いて作成した解析対象物のモデルを用いて、前記収納容器に収納された前記放射性廃棄物の放射線のエネルギスペクトルを計算して求める解析装置と、前記解析装置が求めた前記エネルギスペクトルのデータと、前記放射線計測装置が計測した前記エネルギスペクトルのデータと、前記汚染量評価結果データと、前記容器内収納パターンデータとを用い、前記解析装置が求めた前記エネルギスペクトルと前記放射線計測装置が計測した前記エネルギスペクトルとの差が小さくなるような反復計算を行って、前記収納容器内における前記放射性廃棄物の放射能濃度の分布または放射能量の分布を求める濃度分布評価装置と、前記濃度分布評価装置が求めた、前記放射能濃度の分布または前記放射能量の分布を表示する出力装置とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、収納容器内の放射性廃棄物に密度分布や放射能濃度分布がある場合でも、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる廃棄物計測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1による廃棄物計測装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1において、収納容器内に収納された放射性廃棄物の一例を示す図である。
図3】本発明の実施例1において、収納容器のモデルと放射性廃棄物のモデルの一例を示す図である。
図4】本発明の実施例1において、汚染量評価結果データベースに格納された汚染量評価結果データの一例を示す図である。
図5】本発明の実施例1において、解析条件入力装置が表示する解析条件入力画面の一例を示す図である。
図6】本発明の実施例1において、評価条件入力装置が表示する評価条件入力画面の一例を示す図である。
図7】本発明の実施例1において、評価条件入力装置が生成し濃度分布評価装置が使用する厳しい拘束条件を説明する図である。
図8】本発明の実施例1において、出力装置が表示する濃度評価結果表示画面の一例を示す図である。
図9】本発明の実施例2において、放射性廃棄物にプラントの解体後に除染をしたか否かが示されている汚染量評価結果データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
原子力発電施設等のプラントの解体により発生した放射性の解体廃棄物(放射性廃棄物)は、収納容器に収納される。放射性廃棄物の管理、または処理・処分にあたっては、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量を測定し、定量化する必要がある。
【0017】
本発明による廃棄物計測装置は、後述するように、汚染量評価結果データ、3次元形状データ、及び容器内収納パターンデータを用い、収納容器内の放射性廃棄物に密度分布や放射能濃度分布がある場合でも、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる。放射性廃棄物の収納容器は、形状が角型であってもドラム缶のような円筒型であってもよい。
【0018】
以下の実施例では、廃棄物計測装置が、収納容器内の放射性廃棄物の放射能濃度(放射能濃度の分布)を評価する例を説明する。放射能濃度は、放射能量を放射性廃棄物の質量で割ったものであるので、本発明による廃棄物計測装置は、収納容器内の放射性廃棄物の放射能量(放射能量の分布)を評価することもできる。なお、以下の実施例では、放射性廃棄物の放射線が、Co−60やCs−137等の放射性核種から放射されたガンマ線である場合を例に挙げて説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1による廃棄物計測装置を、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施例による廃棄物計測装置の構成を示す図である。本実施例による廃棄物計測装置は、汚染量評価結果データベース2、容器内収納パターンデータベース14、3次元形状データベース3、解析条件入力装置4、解析装置5、解析スペクトル記憶装置6、評価条件入力装置11、濃度分布評価装置12、出力装置13、放射線計測装置9、及び計測スペクトル記憶装置10を備える。また、汚染量評価結果データベース2、容器内収納パターンデータベース14、及び3次元形状データベース3は、プラント解体計画支援システム1に接続される。
【0021】
初めに、廃棄物計測装置とプラント解体計画支援システム1の構成について、簡単に説明する。なお、廃棄物計測装置は、構成要素としてプラント解体計画支援システム1を備えることもできる。
【0022】
汚染量評価結果データベース2は、汚染量評価結果データを格納するデータベース(DB)である。汚染量評価結果データは、原子力発電施設等のプラントの解体により発生した放射性廃棄物の汚染状況(放射能汚染量)を評価した結果のデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。
【0023】
容器内収納パターンデータベース14は、容器内収納パターンデータを格納するデータベースである。容器内収納パターンデータは、収納容器7内のどこにどの形状と大きさの放射性廃棄物8が配置されているかという、放射性廃棄物8の収納容器7の中での配置(収納パターン)を示すデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。容器内収納パターンデータには、収納容器7の形状と大きさについてのデータも含まれる。
【0024】
3次元形状データベース3は、3次元形状データを格納するデータベースである。3次元形状データは、原子力発電施設等のプラントの解体により発生した放射性廃棄物の3次元形状(3次元の形状と大きさ)のデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。3次元形状データは、放射性廃棄物の質量のデータを含むことができる。
【0025】
なお、本実施例では、汚染量評価結果データ、容器内収納パターンデータ、及び3次元形状データをプラント解体計画支援システム1から取得するとしているが、これらのデータは、プラント解体計画支援システム1以外から取得してもよい。
【0026】
汚染量評価結果データベース2は、評価条件入力装置11に接続される。容器内収納パターンデータベース14は、解析条件入力装置4と評価条件入力装置11に接続される。3次元形状データベース3は、解析条件入力装置4に接続される。
【0027】
解析条件入力装置4は、解析装置5に接続され、容器内収納パターンデータと3次元形状データ等のデータを入力し、これらのデータを用いて作成した解析対象物のモデル(解析体系)を解析装置5に出力する。解析対象物のモデルは、作業員が作成してもよいし、解析条件入力装置4が作成してもよい。容器内収納パターンデータと3次元形状データを用いることで、実際の体系を正確に反映した解析体系を作成することができ、解析装置5で高精度の解析を行うことができる。
【0028】
解析装置5は、解析スペクトル記憶装置6に接続され、収納容器7に収納された放射性廃棄物8から放出されたガンマ線のエネルギスペクトルを計算して求める解析を、解析対象物のモデルを用いて行い、解析結果を解析スペクトル記憶装置6に出力する。解析装置5は、解析に必要なデータを解析条件入力装置4から入力し、既存の方法でガンマ線のエネルギスペクトルを求めることができる。
【0029】
解析スペクトル記憶装置6は、評価条件入力装置11に接続され、解析装置5の解析結果を格納する。
【0030】
評価条件入力装置11は、濃度分布評価装置12に接続され、濃度分布評価装置12が行う解析に必要なデータを入力したり生成したりして、濃度分布評価装置12に出力する。
【0031】
濃度分布評価装置12は、出力装置13に接続され、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を計算して求める解析を行い、解析結果を出力装置13に出力する。濃度分布評価装置12は、解析に必要なデータを評価条件入力装置11から入力する。
【0032】
出力装置13は、濃度分布評価装置12の解析結果等の、廃棄物計測装置が実施した解析のデータや、廃棄物計測装置に入力されたデータを画面に表示する。
【0033】
放射線計測装置9は、複数の放射線検出器91と、放射線検出器91の計測データを収集する収集装置を備え、計測スペクトル記憶装置10に接続される。放射線検出器91は、放射性廃棄物8を収納した収納容器7の周囲に配置される。放射線計測装置9は、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射線(主に、Co−60やCs−137等の放射性核種から放射されたガンマ線)のエネルギスペクトルを計測し、計測データを計測スペクトル記憶装置10に出力する。
【0034】
放射線検出器91には、半導体検出器やシンチレーション検出器等を利用できる。望ましくは、計測対象である放射性核種固有のガンマ線エネルギを弁別できるよう、エネルギ分解能が高いものを利用する。但し、計測対象の核種のガンマ線エネルギを他の核種のガンマ線エネルギと弁別可能な程度のエネルギ分解能を有する検出器であれば、任意の検出器を利用できる。
【0035】
計測スペクトル記憶装置10は、評価条件入力装置11に接続され、放射線計測装置9の計測データを格納する。
【0036】
プラント解体計画支援システム1は、原子力発電施設等のプラントの解体計画を支援するシステムであり、プラントの3次元CADモデル、放射性廃棄物8の物量調査の結果、及び汚染状況調査の結果等の情報を格納し、汚染量評価結果データ、容器内収納パターンデータ、及び3次元形状データを作成して、これらのデータを格納する。放射性廃棄物8の物量調査は、プラントの解体計画時に実施し、プラントを解体する際に発生する放射性廃棄物8の物量(質量や体積)の調査である。汚染状況調査は、プラントの解体計画時に実施し、プラント内機器やプラント建屋の放射能汚染の状況を把握する調査である。プラント解体計画支援システム1には、特許文献3に記載されている装置等、既存のシステムを利用できる。
【0037】
物量調査では、プラント建設時の設計情報からわかるプラント内機器やプラント建屋の物量と、プラント運転期間内に実施された補修工事等により交換、追加、または撤去された機器等の物量を調査して、放射性廃棄物8の物量を算出する。物量調査の結果に基づき、プラント建設時の3次元CADモデルに加え、交換、または追加された機器に関しても3次元CADモデルを作成する。これらの3次元CADモデルのデータは、3次元形状データとして3次元形状データベース3に格納される。
【0038】
汚染状況調査では、プラントの運転履歴等の情報に基づき、プラント内機器やプラント建屋の放射能汚染量(放射化状況)をシミュレーションにより求める。また2次汚染については、その放射能汚染量をサンプリング測定等により求める。このようにして、収納容器7に収納される前の放射性廃棄物8の汚染量を評価した結果のデータが、汚染量評価結果データとして、プラント解体計画支援システム1に取り込まれ、汚染量評価結果データベース2に格納される。
【0039】
プラント解体計画支援システム1は、これらの調査結果とプラントの3次元CADモデルのデータ等に基づき、容器内収納パターンデータを作成する。容器内収納パターンデータは、容器内収納パターンデータベース14に格納される。
【0040】
本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8から放出されたガンマ線のエネルギスペクトルを解析と実際の計測とで得て、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を求める。濃度分布評価装置12は、解析装置5が解析で求めたエネルギスペクトルのデータと放射線計測装置9が実際に計測したエネルギスペクトルのデータとを用い、これらのエネルギスペクトルの差が小さくなるような反復計算を行って、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を求める。
【0041】
解析装置5は、解析対象物のモデル(解析体系)として、実際の計測の体系と同様の体系のモデルを用いる。すなわち、放射性廃棄物8が収納容器7に収納され、収納容器7の周囲に配置された放射線検出器91でガンマ線を計測するという体系のモデルを用いる。図1に示した、放射性廃棄物のモデル8a、収納容器のモデル7a、及び放射線検出器のモデル91aは、それぞれ放射性廃棄物8、収納容器7、及び放射線検出器91を模擬している。放射性廃棄物のモデル8aと収納容器のモデル7aは、3次元形状データベース3に格納された3次元形状データと容器内収納パターンデータベース14に格納された容器内収納パターンデータとから作成することができる。放射線検出器のモデル91aは、放射線検出器91から作成することができる。解析装置5は、放射線検出器のモデル91aの位置でのガンマ線のエネルギスペクトルを求める。
【0042】
解析条件入力装置4は、解析装置5が行う解析に必要なデータ(例えば、容器内収納パターンデータ、3次元形状データ、及び後述する線源モデル)を入力し、これらのデータを解析装置5が使用できるように変換したり、その他の必要な解析条件を生成したりする。解析装置5は、解析に必要なデータを解析条件入力装置4から入力する。
【0043】
解析装置5が実行する解析は、ガンマ線のエネルギスペクトルを計算する必要があることから、通常はモンテカルロ法に基づくシミュレーションコードが使用される。ただし、ガンマ線のエネルギスペクトルを計算可能であれば、他の手法を用いてもよい。解析装置5による解析結果は、解析スペクトル記憶装置6に格納される。解析装置5での解析は、放射線計測装置9による実測のデータが得られたときに実施してもよいが、モンテカルロ法に基づくシミュレーションは、一般的に計算時間がかかるので、実際の計測の前に予め実施しておくことが望ましい。
【0044】
濃度分布評価装置12は、評価条件入力装置11から入力したデータに基づき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価し、評価結果を出力装置13に出力する。濃度分布評価装置12についての詳細は、後述する。
【0045】
評価条件入力装置11は、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルのデータ、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータ、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ、及び容器内収納パターンデータベース14に格納された容器内収納パターンデータを入力し、これらのデータを濃度分布評価装置12が使用できるように変換したり、その他の評価条件(例えば、後述する拘束条件)を生成したりする。評価条件入力装置11は、濃度分布評価装置12での解析に必要なデータを濃度分布評価装置12に出力する。
【0046】
図2は、収納容器7内に収納された放射性廃棄物8の一例を示す図である。図3は、図2の収納容器7と放射性廃棄物8をそれぞれ模擬した収納容器のモデル7aと放射性廃棄物のモデル8aの一例を示す図である。図2図3では、収納容器7とそのモデル7aを上から見ており、放射性廃棄物8とそのモデル8aが配管である場合の例を示している。
【0047】
図2では、放射性廃棄物8として比較的単純な形状のものを示しているが、実際の放射性廃棄物8は、配管の他に、弁、ブロック、板状のもの、及び配管に付属したフランジ等からなり、複雑な形状であることが想定される。放射性廃棄物8が複雑な形状でも、容器内収納パターンデータで示された放射性廃棄物8の収納容器7内での収納パターンに基づいて、実際の放射性廃棄物8が収納容器7に収納され、放射性廃棄物のモデル8aが作成される。この結果、本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8の密度分布を含め、放射性廃棄物8の実際の収納状況に基づいて解析が可能である。
【0048】
図4は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ101の一例を示す図である。汚染量評価結果データ101は、放射性廃棄物8についてのデータであり、汚染状況調査で評価した放射性廃棄物8の放射能汚染量から求めることができる。汚染量評価結果データ101は、例えば、放射性廃棄物8について、プラント(原子力発電施設等)の系統、質量、表面積、汚染密度、汚染深さ、除染の状態、汚染区分、全ての核種の汚染濃度(放射能濃度)、及び核種ごとの汚染濃度が示されたデータである。
【0049】
プラントの系統とは、例えば原子力プラントでは、再循環系、原子炉浄化系、給水系等の系統のことである。除染の状態とは、放射性廃棄物8にプラントの解体前に除染をしたか否かを示す。「除染後」は、プラントの解体前に除染をしたことを示している。汚染区分とは、放射性廃棄物8の汚染が放射化によるものか二次汚染によるものかを示す。汚染濃度は、放射性廃棄物8にプラントの解体前に除染をした場合には、プラントの解体前に除染をした後の汚染濃度(放射能濃度)である。核種ごとの汚染濃度として、図4ではCo−60とCs−137の汚染濃度を示している。
【0050】
図5は、解析条件入力装置4が表示する解析条件入力画面61の一例を示す図である。解析条件入力画面61は、モデル表示画面63とモデル分割画面62を表示することができる。
【0051】
モデル表示画面63は、解析対象物のモデル(例えば、収納容器のモデル7aと放射性廃棄物のモデル8a)を、座標軸とともに表示する。
【0052】
モデル分割画面62は、解析対象物のモデルを複数の領域(以下、「分割小領域」と呼ぶ。)に分割するための情報を入力する画面である。解析対象物のモデルは、解析装置5での解析に必要な線源モデルである複数の分割小領域に分割される。図5では、放射性廃棄物のモデル8aを9個の分割小領域64に分割する4つの面(領域分割面1〜4)の位置が指定されている。図5において、分割小領域64は、一点鎖線で示している。なお、解析条件入力装置4は、放射性廃棄物のモデル8aの大きさと形状に応じて、放射性廃棄物のモデル8aを自動的に分割することもできる。
【0053】
また、解析条件入力画面61には、モンテカルロ法に基づくシミュレーションに必要な条件等、解析装置5が行う解析に必要なその他の条件も入力することができる。
【0054】
図6は、評価条件入力装置11が表示する評価条件入力画面71の一例を示す図である。評価条件入力画面71は、放射性廃棄物のモデル8aと相対汚染分布情報72を表示することができる。放射性廃棄物のモデル8aには、容器内収納パターンデータベース14に収納された容器内収納パターンデータが反映されている。相対汚染分布情報72は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データと容器内収納パターンデータとから導出でき、図6では放射性廃棄物のモデル8aに重ねて、放射性廃棄物のモデル8aを分割して得られた分割小領域64ごとに表示されている。相対汚染分布情報72は、放射性廃棄物のモデル8a上の汚染の分布を、相対的な汚染濃度(放射能濃度)に応じて段階的に色を付けた等値線図(コンター図)で示したものである。
【0055】
評価条件入力装置11は、評価条件入力画面71に表示された「汚染量評価結果データ読込」ボタンが押下されると、汚染量評価結果データを入力する。また、評価条件入力装置11は、計測スペクトル記憶装置10から実測のエネルギスペクトルのデータと、解析スペクトル記憶装置6から解析のエネルギスペクトルのデータを入力するが、これらのデータは、評価条件入力画面71に表示しても表示しなくてもよい。
【0056】
また、評価条件入力装置11は、評価条件入力画面71に表示された「濃度評価用拘束条件生成」ボタンが押下されると、濃度分布評価装置12が収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価するときに使用する拘束条件を、相対汚染分布情報72を基に生成する。この拘束条件は、濃度分布評価装置12が収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価するときに、評価精度を向上するために用いる計算上の制約条件である。拘束条件は、例えば、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度(または放射能量)についての条件とすることができる。濃度分布評価装置12は、拘束条件を満たす放射能濃度の分布を求める。
【0057】
拘束条件の一例として、収納容器7内での放射性廃棄物8の放射能濃度の上限値と下限値を設定することができる。例えば、上限値は、相対汚染分布情報72での最大値とし、下限値は、相対汚染分布情報72での最小値とすることができる(但し、最大値と最小値は、相対汚染分布情報72で示す相対値ではなく、汚染量評価結果データでの値とする。)。濃度分布評価装置12は、放射能濃度がこの上限値と下限値の間に収まるような分布を求める。
【0058】
拘束条件を厳しくすると、評価精度をさらに向上させることができる。上記の拘束条件より厳しい拘束条件の一例として、上記の拘束条件に加えて、放射性廃棄物のモデル8aを分割して得られた分割小領域64(図6において一点鎖線で示す領域。)について、互いに接続する2つの分割小領域64の間の放射能濃度の大小関係を規定することができる。濃度分布評価装置12は、放射能濃度が上限値と下限値の間に収まり、かつ互いに接続する2つの分割小領域64の間の放射能濃度が規定した大小関係を満たすような分布を求める。このような厳しい拘束条件を適用すると、濃度分布評価装置12は、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布をより正確に評価することができ、この結果、収納容器7全体の放射能濃度をより精度よく評価することができる。
【0059】
図7は、評価条件入力装置11が生成し濃度分布評価装置12が使用する、上述の厳しい拘束条件を説明する図である。図7には、図6に示した、9個の分割小領域64と分割小領域64ごとに表示された相対汚染分布情報72が表示されている。9個の分割小領域64には、C1〜C9のラベルが付与されている。図7には、さらに、分割小領域接続関係リスト51と拘束条件リスト52が表示されている。
【0060】
分割小領域接続関係リスト51は、分割小領域64間の空間的な接続関係、すなわち、分割小領域64のそれぞれがどの分割小領域64と接続しているかを表している。例えば、分割小領域接続関係リスト51の1行目には、分割小領域C1が分割小領域C2、C4、C5と接続していることが表されている。
【0061】
拘束条件リスト52は、評価条件入力装置11が生成した拘束条件を表すリストであり、相対汚染分布情報72と分割小領域接続関係リスト51から生成できる。拘束条件リスト52は、分割小領域64のそれぞれについて、接続する分割小領域64との間の放射能濃度の大小関係を表している。拘束条件リスト52の各行において、「+」の記号は、+の記号が付けられた分割小領域64よりも放射能濃度が高いことを、「−」の記号は、−の記号が付けられた分割小領域64よりも放射能濃度が低いことを、「=」の記号は、=の記号が付けられた分割小領域64と放射能濃度が等しいことを、それぞれ示している。例えば、拘束条件リスト52の2行目には、分割小領域C2の放射能濃度が、分割小領域C1、C4の放射能濃度より低く、分割小領域C3、C6の放射能濃度より高く、分割小領域C5の放射能濃度と等しいことが表されている。
【0062】
評価条件入力装置11は、例えば、次のようにして拘束条件リスト52を生成する。
【0063】
初めに、分割小領域C1への拘束条件を生成するとする。評価条件入力装置11は、相対汚染分布情報72と分割小領域接続関係リスト51から、拘束条件リスト52の「C1:」で始まる行(1行目)を生成する。分割小領域C1は、分割小領域接続関係リスト51からわかるように、分割小領域C2、C4、C5と接続している。分割小領域C1の放射能濃度は、相対汚染分布情報72からわかるように、分割小領域C2、C5の放射能濃度より高く、分割小領域C4の放射能濃度と等しい。そこで、評価条件入力装置11は、拘束条件リスト52の「C1:」で始まる行には、「C1:+C2,=C4,+C5」と記載する。
【0064】
評価条件入力装置11は、このような処理を全ての分割小領域C1〜C9に対して実施することで、拘束条件リスト52を生成する。なお、拘束条件リスト52で示された分割小領域64の放射能濃度の分布(例えば、「C1:+C2,=C4,+C5」という関係の放射能濃度の分布)を満たす放射能濃度は、複数のパターンが考えられる。
【0065】
評価条件入力装置11は、このようにして生成した拘束条件リスト52を、実測のエネルギスペクトルのデータ、解析のエネルギスペクトルのデータ、及びその他の計算条件データとともに、濃度分布評価装置12に出力する。
【0066】
濃度分布評価装置12は、これらの条件に基づき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を、例えば以下のように計算して求める。
【0067】
濃度分布評価装置12は、任意の1つの分割小領域64に対し、この分割小領域64の放射能量をα倍する。分割小領域64の放射能量は、放射線検出器のモデル91aの位置でのエネルギスペクトルのデータと、放射線検出器のモデル91aと分割小領域64との位置関係とから得られる。初期条件としての分割小領域64の放射能量は、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータを使用して求めるので、濃度分布評価装置12は、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータをα倍する。
【0068】
濃度分布評価装置12は、このα倍した解析のエネルギスペクトルと、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルとの差を求める。濃度分布評価装置12は、複数のαの値を用意しておき、この中からこの差が最小となるαを求める。
【0069】
濃度分布評価装置12は、αの値を変化させてαとし(αも複数の値を用意する。)、α倍した解析のエネルギスペクトルをα倍させる(すなわち、解析のエネルギスペクトルをα*α倍させる。)。濃度分布評価装置12は、α*α倍した解析のエネルギスペクトルと、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルとの差を求め、複数のαの値の中からこの差が最小となるαを求める。
【0070】
濃度分布評価装置12は、α倍した解析のエネルギスペクトルとα*α倍した解析のエネルギスペクトルとから、分割小領域64の放射能量をそれぞれ求め、これらの放射能量の差が予め定めた閾値より小さいか判断する。濃度分布評価装置12は、これらの放射能量の差が閾値より小さければ、放射能量が一定の値に収束したと判断する。
【0071】
濃度分布評価装置12は、以上の計算を、全ての分割小領域64に対して、放射能量が一定の値に収束するまで解析のエネルギスペクトル(すなわち、分割小領域64の放射能量)の倍率をα倍、α*α倍、・・・、α*α*・・・*α倍のように変えていって反復し、分割小領域64ごとに収束した放射能量を求める。そして、分割小領域64ごとの放射能量を各分割小領域64を占める放射性廃棄物8の質量で割ることで、分割小領域64ごとの放射能濃度を求める。濃度分布評価装置12は、全ての分割小領域64に対して以上のようにして放射能量と放射能濃度を求めることで、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布と放射能濃度の分布を求めることができる。
【0072】
また、濃度分布評価装置12は、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布と放射能濃度の分布から、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の全体の放射能量と放射能濃度を求めることもできる。
【0073】
図8は、出力装置13が表示する濃度評価結果表示画面82の一例を示す図である。濃度評価結果表示画面82は、濃度分布評価装置12が求めた、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を表示する。
【0074】
濃度評価結果表示画面82は、収納容器のモデル7aと、放射性廃棄物のモデル8aと、放射性廃棄物のモデル8aに重ねて分割小領域64ごとに表示された相対汚染分布情報72を表示するとともに、それぞれの分割小領域64に、それぞれの分割小領域64での放射能濃度80を数値で出力することができる。放射能濃度80は、数値での表示の他に、等値線図で表示することもできる。濃度評価結果表示画面82は、このようにして分割小領域64ごとに放射能濃度80を表示することで、放射能濃度80の分布を出力する。
【0075】
また、出力装置13は、濃度評価結果表示画面82に、濃度分布評価装置12が求めた、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布を表示することもでき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の全体の放射能量と放射能濃度を表示することもできる。
【0076】
以上に説明した構成により、本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8に密度分布や放射能濃度分布がある場合でも、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる。
【実施例2】
【0077】
本発明の実施例2による廃棄物計測装置を、図9を用いて説明する。
【0078】
本実施例では、原子力プラントの廃止措置時において、プラント解体後の除染が実施された場合について説明する。放射性廃棄物8には、プラントの解体前だけでなく、プラントの解体後にも必要に応じて除染をする場合がある。実施例1では、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ101には、放射性廃棄物8にプラントの解体前に除染をしたか否かが示されている(図4の「除染の状態」)。本実施例では、汚染量評価結果データ101には、さらに、放射性廃棄物8にプラントの解体後に除染をしたか否かが示される。
【0079】
図9は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ101の一例を示す図であり、プラントの解体後に放射性廃棄物8に対して除染をしたか否かが示されている汚染量評価結果データ101を示す図である。図9に示す汚染量評価結果データ101には、実施例1での図4に示す汚染量評価結果データ101に、さらに解体後除染の有無を示すデータ103が追加されている。解体後除染が「有」であれば、プラントの解体後に放射性廃棄物8に対して除染をしたことを示し、解体後除染が「無」であれば、プラントの解体後に放射性廃棄物8に対して除染をしなかったことを示す。
【0080】
プラントの解体後に放射性廃棄物8に対して除染をした場合(解体後除染が「有」の場合)には、汚染量評価結果データ101は、プラントの解体後の除染の後に実施された放射性廃棄物8の汚染量の測定の結果を含む。すなわち、この場合には、汚染量評価結果データ101は、プラントの解体後に除染された放射性廃棄物8の汚染量の測定結果を含み、全ての核種の汚染濃度と核種ごとの汚染濃度(Co−60とCs−137の汚染濃度)は、プラントの解体後に除染をした後の汚染濃度(放射能濃度)である。
【0081】
プラントの解体後に除染をした後の汚染濃度は、プラント解体計画支援システム1に入力され、プラント解体計画支援システム1から汚染量評価結果データベース2に格納される。なお、汚染量評価結果データ101は、実施例1と同様に、プラント解体計画支援システム1以外から取得してもよい。従って、プラントの解体後に除染をした後の汚染濃度は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ101に直接入力してもよい。
【0082】
本実施例による廃棄物計測装置は、放射性廃棄物8の、プラント解体後の除染後の汚染濃度を用いて、実施例1と同様に、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度または放射能量とこの分布を評価する。
【0083】
以上に説明した構成により、本実施例による廃棄物計測装置は、プラントの解体後に放射性廃棄物8に除染をした場合でも、この解体後の除染を考慮して、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる。
【0084】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…プラント解体計画支援システム、2…汚染量評価結果データベース、3…3次元形状データベース、4…解析条件入力装置、5…解析装置、6…解析スペクトル記憶装置、7…収納容器、7a…収納容器のモデル、8…放射性廃棄物、8a…放射性廃棄物のモデル、9…放射線計測装置、10…計測スペクトル記憶装置、11…評価条件入力装置、12…濃度分布評価装置、13…出力装置、14…容器内収納パターンデータベース、51…分割小領域接続関係リスト、52…拘束条件リスト、61…解析条件入力画面、62…モデル分割画面、63…モデル表示画面、64…分割小領域、71…評価条件入力画面、72…相対汚染分布情報、80…放射能濃度、82…濃度評価結果表示画面、91…放射線検出器、91a…放射線検出器のモデル、101…汚染量評価結果データ、103…解体後除染の有無を示すデータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9