【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1による廃棄物計測装置を、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施例による廃棄物計測装置の構成を示す図である。本実施例による廃棄物計測装置は、汚染量評価結果データベース2、容器内収納パターンデータベース14、3次元形状データベース3、解析条件入力装置4、解析装置5、解析スペクトル記憶装置6、評価条件入力装置11、濃度分布評価装置12、出力装置13、放射線計測装置9、及び計測スペクトル記憶装置10を備える。また、汚染量評価結果データベース2、容器内収納パターンデータベース14、及び3次元形状データベース3は、プラント解体計画支援システム1に接続される。
【0021】
初めに、廃棄物計測装置とプラント解体計画支援システム1の構成について、簡単に説明する。なお、廃棄物計測装置は、構成要素としてプラント解体計画支援システム1を備えることもできる。
【0022】
汚染量評価結果データベース2は、汚染量評価結果データを格納するデータベース(DB)である。汚染量評価結果データは、原子力発電施設等のプラントの解体により発生した放射性廃棄物の汚染状況(放射能汚染量)を評価した結果のデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。
【0023】
容器内収納パターンデータベース14は、容器内収納パターンデータを格納するデータベースである。容器内収納パターンデータは、収納容器7内のどこにどの形状と大きさの放射性廃棄物8が配置されているかという、放射性廃棄物8の収納容器7の中での配置(収納パターン)を示すデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。容器内収納パターンデータには、収納容器7の形状と大きさについてのデータも含まれる。
【0024】
3次元形状データベース3は、3次元形状データを格納するデータベースである。3次元形状データは、原子力発電施設等のプラントの解体により発生した放射性廃棄物の3次元形状(3次元の形状と大きさ)のデータであり、プラント解体計画支援システム1から取得する。3次元形状データは、放射性廃棄物の質量のデータを含むことができる。
【0025】
なお、本実施例では、汚染量評価結果データ、容器内収納パターンデータ、及び3次元形状データをプラント解体計画支援システム1から取得するとしているが、これらのデータは、プラント解体計画支援システム1以外から取得してもよい。
【0026】
汚染量評価結果データベース2は、評価条件入力装置11に接続される。容器内収納パターンデータベース14は、解析条件入力装置4と評価条件入力装置11に接続される。3次元形状データベース3は、解析条件入力装置4に接続される。
【0027】
解析条件入力装置4は、解析装置5に接続され、容器内収納パターンデータと3次元形状データ等のデータを入力し、これらのデータを用いて作成した解析対象物のモデル(解析体系)を解析装置5に出力する。解析対象物のモデルは、作業員が作成してもよいし、解析条件入力装置4が作成してもよい。容器内収納パターンデータと3次元形状データを用いることで、実際の体系を正確に反映した解析体系を作成することができ、解析装置5で高精度の解析を行うことができる。
【0028】
解析装置5は、解析スペクトル記憶装置6に接続され、収納容器7に収納された放射性廃棄物8から放出されたガンマ線のエネルギスペクトルを計算して求める解析を、解析対象物のモデルを用いて行い、解析結果を解析スペクトル記憶装置6に出力する。解析装置5は、解析に必要なデータを解析条件入力装置4から入力し、既存の方法でガンマ線のエネルギスペクトルを求めることができる。
【0029】
解析スペクトル記憶装置6は、評価条件入力装置11に接続され、解析装置5の解析結果を格納する。
【0030】
評価条件入力装置11は、濃度分布評価装置12に接続され、濃度分布評価装置12が行う解析に必要なデータを入力したり生成したりして、濃度分布評価装置12に出力する。
【0031】
濃度分布評価装置12は、出力装置13に接続され、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を計算して求める解析を行い、解析結果を出力装置13に出力する。濃度分布評価装置12は、解析に必要なデータを評価条件入力装置11から入力する。
【0032】
出力装置13は、濃度分布評価装置12の解析結果等の、廃棄物計測装置が実施した解析のデータや、廃棄物計測装置に入力されたデータを画面に表示する。
【0033】
放射線計測装置9は、複数の放射線検出器91と、放射線検出器91の計測データを収集する収集装置を備え、計測スペクトル記憶装置10に接続される。放射線検出器91は、放射性廃棄物8を収納した収納容器7の周囲に配置される。放射線計測装置9は、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射線(主に、Co−60やCs−137等の放射性核種から放射されたガンマ線)のエネルギスペクトルを計測し、計測データを計測スペクトル記憶装置10に出力する。
【0034】
放射線検出器91には、半導体検出器やシンチレーション検出器等を利用できる。望ましくは、計測対象である放射性核種固有のガンマ線エネルギを弁別できるよう、エネルギ分解能が高いものを利用する。但し、計測対象の核種のガンマ線エネルギを他の核種のガンマ線エネルギと弁別可能な程度のエネルギ分解能を有する検出器であれば、任意の検出器を利用できる。
【0035】
計測スペクトル記憶装置10は、評価条件入力装置11に接続され、放射線計測装置9の計測データを格納する。
【0036】
プラント解体計画支援システム1は、原子力発電施設等のプラントの解体計画を支援するシステムであり、プラントの3次元CADモデル、放射性廃棄物8の物量調査の結果、及び汚染状況調査の結果等の情報を格納し、汚染量評価結果データ、容器内収納パターンデータ、及び3次元形状データを作成して、これらのデータを格納する。放射性廃棄物8の物量調査は、プラントの解体計画時に実施し、プラントを解体する際に発生する放射性廃棄物8の物量(質量や体積)の調査である。汚染状況調査は、プラントの解体計画時に実施し、プラント内機器やプラント建屋の放射能汚染の状況を把握する調査である。プラント解体計画支援システム1には、特許文献3に記載されている装置等、既存のシステムを利用できる。
【0037】
物量調査では、プラント建設時の設計情報からわかるプラント内機器やプラント建屋の物量と、プラント運転期間内に実施された補修工事等により交換、追加、または撤去された機器等の物量を調査して、放射性廃棄物8の物量を算出する。物量調査の結果に基づき、プラント建設時の3次元CADモデルに加え、交換、または追加された機器に関しても3次元CADモデルを作成する。これらの3次元CADモデルのデータは、3次元形状データとして3次元形状データベース3に格納される。
【0038】
汚染状況調査では、プラントの運転履歴等の情報に基づき、プラント内機器やプラント建屋の放射能汚染量(放射化状況)をシミュレーションにより求める。また2次汚染については、その放射能汚染量をサンプリング測定等により求める。このようにして、収納容器7に収納される前の放射性廃棄物8の汚染量を評価した結果のデータが、汚染量評価結果データとして、プラント解体計画支援システム1に取り込まれ、汚染量評価結果データベース2に格納される。
【0039】
プラント解体計画支援システム1は、これらの調査結果とプラントの3次元CADモデルのデータ等に基づき、容器内収納パターンデータを作成する。容器内収納パターンデータは、容器内収納パターンデータベース14に格納される。
【0040】
本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8から放出されたガンマ線のエネルギスペクトルを解析と実際の計測とで得て、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を求める。濃度分布評価装置12は、解析装置5が解析で求めたエネルギスペクトルのデータと放射線計測装置9が実際に計測したエネルギスペクトルのデータとを用い、これらのエネルギスペクトルの差が小さくなるような反復計算を行って、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を求める。
【0041】
解析装置5は、解析対象物のモデル(解析体系)として、実際の計測の体系と同様の体系のモデルを用いる。すなわち、放射性廃棄物8が収納容器7に収納され、収納容器7の周囲に配置された放射線検出器91でガンマ線を計測するという体系のモデルを用いる。
図1に示した、放射性廃棄物のモデル8a、収納容器のモデル7a、及び放射線検出器のモデル91aは、それぞれ放射性廃棄物8、収納容器7、及び放射線検出器91を模擬している。放射性廃棄物のモデル8aと収納容器のモデル7aは、3次元形状データベース3に格納された3次元形状データと容器内収納パターンデータベース14に格納された容器内収納パターンデータとから作成することができる。放射線検出器のモデル91aは、放射線検出器91から作成することができる。解析装置5は、放射線検出器のモデル91aの位置でのガンマ線のエネルギスペクトルを求める。
【0042】
解析条件入力装置4は、解析装置5が行う解析に必要なデータ(例えば、容器内収納パターンデータ、3次元形状データ、及び後述する線源モデル)を入力し、これらのデータを解析装置5が使用できるように変換したり、その他の必要な解析条件を生成したりする。解析装置5は、解析に必要なデータを解析条件入力装置4から入力する。
【0043】
解析装置5が実行する解析は、ガンマ線のエネルギスペクトルを計算する必要があることから、通常はモンテカルロ法に基づくシミュレーションコードが使用される。ただし、ガンマ線のエネルギスペクトルを計算可能であれば、他の手法を用いてもよい。解析装置5による解析結果は、解析スペクトル記憶装置6に格納される。解析装置5での解析は、放射線計測装置9による実測のデータが得られたときに実施してもよいが、モンテカルロ法に基づくシミュレーションは、一般的に計算時間がかかるので、実際の計測の前に予め実施しておくことが望ましい。
【0044】
濃度分布評価装置12は、評価条件入力装置11から入力したデータに基づき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価し、評価結果を出力装置13に出力する。濃度分布評価装置12についての詳細は、後述する。
【0045】
評価条件入力装置11は、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルのデータ、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータ、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ、及び容器内収納パターンデータベース14に格納された容器内収納パターンデータを入力し、これらのデータを濃度分布評価装置12が使用できるように変換したり、その他の評価条件(例えば、後述する拘束条件)を生成したりする。評価条件入力装置11は、濃度分布評価装置12での解析に必要なデータを濃度分布評価装置12に出力する。
【0046】
図2は、収納容器7内に収納された放射性廃棄物8の一例を示す図である。
図3は、
図2の収納容器7と放射性廃棄物8をそれぞれ模擬した収納容器のモデル7aと放射性廃棄物のモデル8aの一例を示す図である。
図2と
図3では、収納容器7とそのモデル7aを上から見ており、放射性廃棄物8とそのモデル8aが配管である場合の例を示している。
【0047】
図2では、放射性廃棄物8として比較的単純な形状のものを示しているが、実際の放射性廃棄物8は、配管の他に、弁、ブロック、板状のもの、及び配管に付属したフランジ等からなり、複雑な形状であることが想定される。放射性廃棄物8が複雑な形状でも、容器内収納パターンデータで示された放射性廃棄物8の収納容器7内での収納パターンに基づいて、実際の放射性廃棄物8が収納容器7に収納され、放射性廃棄物のモデル8aが作成される。この結果、本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8の密度分布を含め、放射性廃棄物8の実際の収納状況に基づいて解析が可能である。
【0048】
図4は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データ101の一例を示す図である。汚染量評価結果データ101は、放射性廃棄物8についてのデータであり、汚染状況調査で評価した放射性廃棄物8の放射能汚染量から求めることができる。汚染量評価結果データ101は、例えば、放射性廃棄物8について、プラント(原子力発電施設等)の系統、質量、表面積、汚染密度、汚染深さ、除染の状態、汚染区分、全ての核種の汚染濃度(放射能濃度)、及び核種ごとの汚染濃度が示されたデータである。
【0049】
プラントの系統とは、例えば原子力プラントでは、再循環系、原子炉浄化系、給水系等の系統のことである。除染の状態とは、放射性廃棄物8にプラントの解体前に除染をしたか否かを示す。「除染後」は、プラントの解体前に除染をしたことを示している。汚染区分とは、放射性廃棄物8の汚染が放射化によるものか二次汚染によるものかを示す。汚染濃度は、放射性廃棄物8にプラントの解体前に除染をした場合には、プラントの解体前に除染をした後の汚染濃度(放射能濃度)である。核種ごとの汚染濃度として、
図4ではCo−60とCs−137の汚染濃度を示している。
【0050】
図5は、解析条件入力装置4が表示する解析条件入力画面61の一例を示す図である。解析条件入力画面61は、モデル表示画面63とモデル分割画面62を表示することができる。
【0051】
モデル表示画面63は、解析対象物のモデル(例えば、収納容器のモデル7aと放射性廃棄物のモデル8a)を、座標軸とともに表示する。
【0052】
モデル分割画面62は、解析対象物のモデルを複数の領域(以下、「分割小領域」と呼ぶ。)に分割するための情報を入力する画面である。解析対象物のモデルは、解析装置5での解析に必要な線源モデルである複数の分割小領域に分割される。
図5では、放射性廃棄物のモデル8aを9個の分割小領域64に分割する4つの面(領域分割面1〜4)の位置が指定されている。
図5において、分割小領域64は、一点鎖線で示している。なお、解析条件入力装置4は、放射性廃棄物のモデル8aの大きさと形状に応じて、放射性廃棄物のモデル8aを自動的に分割することもできる。
【0053】
また、解析条件入力画面61には、モンテカルロ法に基づくシミュレーションに必要な条件等、解析装置5が行う解析に必要なその他の条件も入力することができる。
【0054】
図6は、評価条件入力装置11が表示する評価条件入力画面71の一例を示す図である。評価条件入力画面71は、放射性廃棄物のモデル8aと相対汚染分布情報72を表示することができる。放射性廃棄物のモデル8aには、容器内収納パターンデータベース14に収納された容器内収納パターンデータが反映されている。相対汚染分布情報72は、汚染量評価結果データベース2に格納された汚染量評価結果データと容器内収納パターンデータとから導出でき、
図6では放射性廃棄物のモデル8aに重ねて、放射性廃棄物のモデル8aを分割して得られた分割小領域64ごとに表示されている。相対汚染分布情報72は、放射性廃棄物のモデル8a上の汚染の分布を、相対的な汚染濃度(放射能濃度)に応じて段階的に色を付けた等値線図(コンター図)で示したものである。
【0055】
評価条件入力装置11は、評価条件入力画面71に表示された「汚染量評価結果データ読込」ボタンが押下されると、汚染量評価結果データを入力する。また、評価条件入力装置11は、計測スペクトル記憶装置10から実測のエネルギスペクトルのデータと、解析スペクトル記憶装置6から解析のエネルギスペクトルのデータを入力するが、これらのデータは、評価条件入力画面71に表示しても表示しなくてもよい。
【0056】
また、評価条件入力装置11は、評価条件入力画面71に表示された「濃度評価用拘束条件生成」ボタンが押下されると、濃度分布評価装置12が収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価するときに使用する拘束条件を、相対汚染分布情報72を基に生成する。この拘束条件は、濃度分布評価装置12が収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を評価するときに、評価精度を向上するために用いる計算上の制約条件である。拘束条件は、例えば、収納容器7内における放射性廃棄物8の放射能濃度(または放射能量)についての条件とすることができる。濃度分布評価装置12は、拘束条件を満たす放射能濃度の分布を求める。
【0057】
拘束条件の一例として、収納容器7内での放射性廃棄物8の放射能濃度の上限値と下限値を設定することができる。例えば、上限値は、相対汚染分布情報72での最大値とし、下限値は、相対汚染分布情報72での最小値とすることができる(但し、最大値と最小値は、相対汚染分布情報72で示す相対値ではなく、汚染量評価結果データでの値とする。)。濃度分布評価装置12は、放射能濃度がこの上限値と下限値の間に収まるような分布を求める。
【0058】
拘束条件を厳しくすると、評価精度をさらに向上させることができる。上記の拘束条件より厳しい拘束条件の一例として、上記の拘束条件に加えて、放射性廃棄物のモデル8aを分割して得られた分割小領域64(
図6において一点鎖線で示す領域。)について、互いに接続する2つの分割小領域64の間の放射能濃度の大小関係を規定することができる。濃度分布評価装置12は、放射能濃度が上限値と下限値の間に収まり、かつ互いに接続する2つの分割小領域64の間の放射能濃度が規定した大小関係を満たすような分布を求める。このような厳しい拘束条件を適用すると、濃度分布評価装置12は、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度の分布をより正確に評価することができ、この結果、収納容器7全体の放射能濃度をより精度よく評価することができる。
【0059】
図7は、評価条件入力装置11が生成し濃度分布評価装置12が使用する、上述の厳しい拘束条件を説明する図である。
図7には、
図6に示した、9個の分割小領域64と分割小領域64ごとに表示された相対汚染分布情報72が表示されている。9個の分割小領域64には、C1〜C9のラベルが付与されている。
図7には、さらに、分割小領域接続関係リスト51と拘束条件リスト52が表示されている。
【0060】
分割小領域接続関係リスト51は、分割小領域64間の空間的な接続関係、すなわち、分割小領域64のそれぞれがどの分割小領域64と接続しているかを表している。例えば、分割小領域接続関係リスト51の1行目には、分割小領域C1が分割小領域C2、C4、C5と接続していることが表されている。
【0061】
拘束条件リスト52は、評価条件入力装置11が生成した拘束条件を表すリストであり、相対汚染分布情報72と分割小領域接続関係リスト51から生成できる。拘束条件リスト52は、分割小領域64のそれぞれについて、接続する分割小領域64との間の放射能濃度の大小関係を表している。拘束条件リスト52の各行において、「+」の記号は、+の記号が付けられた分割小領域64よりも放射能濃度が高いことを、「−」の記号は、−の記号が付けられた分割小領域64よりも放射能濃度が低いことを、「=」の記号は、=の記号が付けられた分割小領域64と放射能濃度が等しいことを、それぞれ示している。例えば、拘束条件リスト52の2行目には、分割小領域C2の放射能濃度が、分割小領域C1、C4の放射能濃度より低く、分割小領域C3、C6の放射能濃度より高く、分割小領域C5の放射能濃度と等しいことが表されている。
【0062】
評価条件入力装置11は、例えば、次のようにして拘束条件リスト52を生成する。
【0063】
初めに、分割小領域C1への拘束条件を生成するとする。評価条件入力装置11は、相対汚染分布情報72と分割小領域接続関係リスト51から、拘束条件リスト52の「C1:」で始まる行(1行目)を生成する。分割小領域C1は、分割小領域接続関係リスト51からわかるように、分割小領域C2、C4、C5と接続している。分割小領域C1の放射能濃度は、相対汚染分布情報72からわかるように、分割小領域C2、C5の放射能濃度より高く、分割小領域C4の放射能濃度と等しい。そこで、評価条件入力装置11は、拘束条件リスト52の「C1:」で始まる行には、「C1:+C2,=C4,+C5」と記載する。
【0064】
評価条件入力装置11は、このような処理を全ての分割小領域C1〜C9に対して実施することで、拘束条件リスト52を生成する。なお、拘束条件リスト52で示された分割小領域64の放射能濃度の分布(例えば、「C1:+C2,=C4,+C5」という関係の放射能濃度の分布)を満たす放射能濃度は、複数のパターンが考えられる。
【0065】
評価条件入力装置11は、このようにして生成した拘束条件リスト52を、実測のエネルギスペクトルのデータ、解析のエネルギスペクトルのデータ、及びその他の計算条件データとともに、濃度分布評価装置12に出力する。
【0066】
濃度分布評価装置12は、これらの条件に基づき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を、例えば以下のように計算して求める。
【0067】
濃度分布評価装置12は、任意の1つの分割小領域64に対し、この分割小領域64の放射能量をα
1倍する。分割小領域64の放射能量は、放射線検出器のモデル91aの位置でのエネルギスペクトルのデータと、放射線検出器のモデル91aと分割小領域64との位置関係とから得られる。初期条件としての分割小領域64の放射能量は、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータを使用して求めるので、濃度分布評価装置12は、解析スペクトル記憶装置6に格納された解析のエネルギスペクトルのデータをα
1倍する。
【0068】
濃度分布評価装置12は、このα
1倍した解析のエネルギスペクトルと、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルとの差を求める。濃度分布評価装置12は、複数のα
1の値を用意しておき、この中からこの差が最小となるα
1を求める。
【0069】
濃度分布評価装置12は、α
1の値を変化させてα
2とし(α
2も複数の値を用意する。)、α
1倍した解析のエネルギスペクトルをα
2倍させる(すなわち、解析のエネルギスペクトルをα
1*α
2倍させる。)。濃度分布評価装置12は、α
1*α
2倍した解析のエネルギスペクトルと、計測スペクトル記憶装置10に格納された実測のエネルギスペクトルとの差を求め、複数のα
2の値の中からこの差が最小となるα
2を求める。
【0070】
濃度分布評価装置12は、α
1倍した解析のエネルギスペクトルとα
1*α
2倍した解析のエネルギスペクトルとから、分割小領域64の放射能量をそれぞれ求め、これらの放射能量の差が予め定めた閾値より小さいか判断する。濃度分布評価装置12は、これらの放射能量の差が閾値より小さければ、放射能量が一定の値に収束したと判断する。
【0071】
濃度分布評価装置12は、以上の計算を、全ての分割小領域64に対して、放射能量が一定の値に収束するまで解析のエネルギスペクトル(すなわち、分割小領域64の放射能量)の倍率をα
1倍、α
1*α
2倍、・・・、α
1*α
2*・・・*α
n倍のように変えていって反復し、分割小領域64ごとに収束した放射能量を求める。そして、分割小領域64ごとの放射能量を各分割小領域64を占める放射性廃棄物8の質量で割ることで、分割小領域64ごとの放射能濃度を求める。濃度分布評価装置12は、全ての分割小領域64に対して以上のようにして放射能量と放射能濃度を求めることで、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布と放射能濃度の分布を求めることができる。
【0072】
また、濃度分布評価装置12は、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布と放射能濃度の分布から、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の全体の放射能量と放射能濃度を求めることもできる。
【0073】
図8は、出力装置13が表示する濃度評価結果表示画面82の一例を示す図である。濃度評価結果表示画面82は、濃度分布評価装置12が求めた、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能濃度の分布を表示する。
【0074】
濃度評価結果表示画面82は、収納容器のモデル7aと、放射性廃棄物のモデル8aと、放射性廃棄物のモデル8aに重ねて分割小領域64ごとに表示された相対汚染分布情報72を表示するとともに、それぞれの分割小領域64に、それぞれの分割小領域64での放射能濃度80を数値で出力することができる。放射能濃度80は、数値での表示の他に、等値線図で表示することもできる。濃度評価結果表示画面82は、このようにして分割小領域64ごとに放射能濃度80を表示することで、放射能濃度80の分布を出力する。
【0075】
また、出力装置13は、濃度評価結果表示画面82に、濃度分布評価装置12が求めた、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の放射能量の分布を表示することもでき、収納容器7に収納された放射性廃棄物8の全体の放射能量と放射能濃度を表示することもできる。
【0076】
以上に説明した構成により、本実施例による廃棄物計測装置は、収納容器7内の放射性廃棄物8に密度分布や放射能濃度分布がある場合でも、収納容器7内の放射性廃棄物8の放射能濃度または放射能量を高精度に評価することができる。