特許第6871087号(P6871087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871087
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】乾式粉砕システム
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B02C17/16 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-128560(P2017-128560)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-10616(P2019-10616A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174965
【氏名又は名称】日本コークス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 靖由
(72)【発明者】
【氏名】奥山 杏子
(72)【発明者】
【氏名】岩本 玄徳
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−144785(JP,A)
【文献】 特開平11−333312(JP,A)
【文献】 特開2003−080211(JP,A)
【文献】 特開2008−212808(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102935350(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ処理を行う乾式粉砕システムであって、
横型の粉砕容器の内部に一方の端壁から挿通された回転軸とともに回転する撹拌部材を備えるメディア撹拌型粉砕機と、前記回転軸を駆動する駆動部と、前記駆動部の回転を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、少なくとも前記回転軸の回転方向の交代時間を入力可能な設定機能と、前記メディア撹拌型粉砕機の運転状態を把握する計測機能と、前記設定機能によって入力された前記交代時間又は前記計測機能によって把握された前記運転状態に基づいて前記駆動部に前記回転軸の回転方向の交代を指示する出力機能とを備えている
ことを特徴とする乾式粉砕システム。
【請求項2】
前記計測機能が、前記粉砕容器の内部温度を計測し、前記内部温度の計測値が異常値を計測したとき、前記駆動部に、前記交代時間よりも優先して前記回転軸の回転方向の交代を指示することを特徴とする請求項1に記載の乾式粉砕システム。
【請求項3】
前記計測機能が、前記駆動部における動力を計測し、前記動力の計測値が異常値を計測したとき、前記駆動部に、前記交代時間よりも優先して前記回転軸の回転方向の交代を指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の乾式粉砕システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア撹拌型の粉砕機を使用する乾式粉砕システムに関し、特に、バッチ処理を行う乾式粉砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メディア撹拌型の粉砕機を使用する粉砕処理は、撹拌される粉砕メディア間に発生する剪断力や衝撃力を利用して粉粒体を微細化する処理である。
粉砕メディアとしては、ステンレス鋼や耐摩耗性セラミックスなどを素材とし、直径3〜15mmの球状粒子を使用することが多い。
【0003】
粉砕処理方法には、粉砕容器内に処理物を連続的に投入するとともに連続的に排出する連続処理の方法と、粉砕容器内に所定量の処理物を投入した後に、所定時間の処理を行うバッチ処理の方法とがある。
連続処理では、粉砕室内に滞留する処理物の量が変動するなど、一様な粉砕処理を継続して行うことが難しいために、粉砕後の粒子径が広い範囲に広がって粒度分布がブロードな曲線となり易い。
バッチ処理の方が、均一性の高い製品とすることが可能である。すなわち、処理物全体に対して一様な粉砕処理を行うことが容易なために、粉砕後の粒子径が比較的狭い範囲に集中することになり、粒度分布がシャープな曲線となる。
【0004】
特許文献1にはバッチ処理を行う乾式メディア撹拌型粉砕機が記載され、均一性の高い処理を行うためには、処理物の供給口及び排出口において処理物の溜まりを生じない構造とすることが必要であり、このために有効な供給弁及び排出弁について記載されている。
また、粉砕処理は、原則として回転軸を水平に位置させて行うが、粉砕容器内の付着物を取り除くために、粉砕処理の途中で1〜2回、僅かな時間だけ回転軸が傾斜した状態として回転させることが記載されている。
【0005】
しかしながら、粉砕処理の対象となる処理物の範囲が拡大するに従って、さらに処理の難しい処理物が出現した。すなわち、同一の処理物で同一のバッチ処理を繰り返し行った場合に、粒度分布が一定とはならずに変動し、ブロードな曲線となることがある。
処理物の例としては、お茶、漢方薬、焙煎コーヒーなどの植物性の処理物に多く見られることが分かった。さらに、これらの処理物では水分や油分などの成分が僅かに変動すること、及びこれによって粉砕容器に対する付着性が変動することが明らかになった。
【0006】
また、金属粉末や金属酸化物に対して同様の粉砕処理を行う場合には、粉砕と圧接との繰り返しにより合金化(メカニカルアロイング処理)や化学反応(メカノケミカル処理)が可能であるが、この場合においても粒度分布が変動することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−129866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、バッチ処理を行う乾式粉砕システムであって、人が口にするお茶、漢方薬、焙煎コーヒー豆などの処理物、或いは、金属粉末や金属酸化物の処理物に対して、最適な粉砕システムを提供することにある。
すなわち、付着性を備える処理物に対して、シャープな粒度分布が得られるシステムを提供することであり、同様のバッチ処理を数多く繰り返している途中で、水分などの成分比率が変動した場合も、常にシャープな粒度分布を得ることができる粉砕システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バッチ処理を行う乾式粉砕システムであって、横型の粉砕容器の内部に一方の端壁から挿通された回転軸とともに回転する撹拌部材を備えるメディア撹拌型粉砕機と、前記回転軸を駆動する駆動部と、前記駆動部の回転を制御する制御部とを備え、前記制御部が、少なくとも前記回転軸の回転方向の交代時間を入力可能な設定機能と、前記メディア撹拌型粉砕機の運転状態を把握する計測機能と、前記設定機能によって入力された前記交代時間又は前記計測機能によって把握された前記運転状態に基づいて前記駆動部に前記回転軸の回転方向の交代を指示する出力機能とを備えていることを特徴としている。
【0010】
前記計測機能は、前記粉砕容器の内部温度を計測し、前記内部温度の計測値が異常値を計測したとき、前記駆動部に、前記交代時間よりも優先して前記回転軸の回転方向の交代を指示することが好ましい。
また、前記計測機能は、前記駆動部における動力を計測し、前記動力の計測値が異常値を計測したとき、前記駆動部に、前記交代時間よりも優先して前記回転軸の回転方向の交代を指示することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉砕システムは、処理物の全体を完全に処理して、未処理部分を残さないために、シャープな粒度分布を得ることができる。そして、処理物の付着性が変化するような場合でも、常に同様な粒度分布を得ることができる。
また、温度や動力を計測することによって、それぞれの処理物について特徴を把握することが可能であり、それぞれに最適な処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の乾式粉砕システムの一例を示す概略構成図である。
図2】粉砕容器内の付着について説明するための説明図である。
図3】制御部における処理の流れを示す概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、同一の処理物で同一のバッチ処理を繰り返し行った場合でも、粒度分布が一定とならない問題について鋭意研究を行った。
その結果、処理物成分の僅かな変動によって付着性が変化し、これによって粒度分布が変動することが明らかになった。
【0014】
この問題を解決するために、透明樹脂で形成した粉砕容器を用いて、粉砕メディア及び処理物の挙動について研究を重ねた結果、処理物が容器の壁面に付着する際の付着条件について把握することができた。また、壁面に一端付着した処理物が壁面から除去される際の除去条件についても把握することができた。
そして、一つのバッチ処理の途中で、何回か撹拌部材の回転方向を交代して運転することで、壁面に付着した処理物を壁面から除去することが可能であり、これを繰り返し行うことによって、常にシャープな粒度分布を得ることが可能になった。
【0015】
撹拌部材の回転方向を交代して運転することによって、シャープな粒度分布とすることができるのは、次の理由によるものである。
a)付着性処理物は、粉砕容器の特定の場所に付着し、時間とともに成長する。
b)粉砕容器で付着成長する部分は、その後粉砕処理を受けないことになるため、処理物全体としてはブロードな粒度分布を示すことになる。
c)撹拌部材の回転方向を交代すると、付着・成長した部分の処理物を除去することができる。そして、除去された処理物は、直ちに粉砕処理を受けることになる。
d)回転方向の交代によって、処理物は、新たな特定の場所に付着して成長するが、交代を繰り返す限り、長時間に亘って付着を続ける部分はなくなる。
e)このため、付着性処理物であっても、全く付着しない処理物と同じ様に、常に均一な粉砕処理を行うことができる。
【0016】
図1は、本発明の一例である乾式粉砕システム10を示す概略構成図である。
乾式粉砕システム10は、メディア撹拌型粉砕機20によってバッチ処理の乾式粉砕を行う粉砕システムである。
湿式粉砕が、液体中に固形分が懸濁したスラリー状態で粉砕するのに対して、乾式粉砕は、固体粒子をその状態で粉砕する粉砕処理である。固体粒子が、付着水分などの液体を含んでいる場合も、スラリー状態としない限り乾式粉砕と称する。
【0017】
メディア撹拌型粉砕機20は、横型円筒状の粉砕容器21の内部に、一方の側壁から回転軸22が挿通され、回転軸22とともに回転する複数の撹拌棒からなる撹拌部材23が構成されている。
粉砕容器21の内部に、粉砕メディア及び処理物となる固体粒子を投入し、回転軸22とともに撹拌部材23を回転して、粉砕容器21の内部を所定の時間撹拌する。
この撹拌によって粉砕メディア間に剪断力や衝撃力が発生し、処理物を微細化することができる。
【0018】
なお、メディア撹拌型粉砕機20では、粉砕容器21の周壁にジャケット25を備え、冷却媒体の流通によって粉砕容器21の内部を冷却する冷却部を構成している。消費される撹拌動力によって処理物などの温度が上昇することを抑制するためである。
冷却媒体は、入口ライン91からジャケット25に導入され、出口ライン92から排出される。
【0019】
本発明の乾式粉砕システム10は、付着性を備える処理物であっても、壁面に長い時間付着することを避けるために、一つのバッチ処理の間に、回転軸22の回転方向を何回か交代して運転することを特徴としている。
壁面に付着した処理物は、粉砕処理を受けない部分となり、最後まで未処理の処理物となる可能性が高い。しかし、回転軸22の回転方向を交代すると、付着している処理物が壁面から除去されるので、再び粉砕処理を受けることになって、この結果、処理物全体が常に一様な粉砕処理を受けて、シャープな粒度分布を得ることができるのである。
【0020】
このような処理を行うために、乾式粉砕システム10は、回転軸22を駆動する駆動部60と、駆動部60の回転を制御する制御部50を備えている。
駆動部60は、一次側電源30からの電力を用いて電動機31を駆動する回路であり、制御部50の指示によって、粉砕容器21内を最適な撹拌状態とすることができる。
回転軸22の回転方向を交代するために、また回転数を自由に選択するために、一時側電源30からの交流電力を整流器により一旦直流に変換した後に、インバータにより再び撹拌に適した交流とする構成が好ましい。
【0021】
制御部50は、運転員が交代時間などの設定値を入力する設定機能と、メディア撹拌型粉砕機20の運転状態を把握する計測機能と、駆動部60に回転方向の交代などを指示する出力機能とを備えている。
設定機能は、運転員が入力信号51によって設定値を定める機能である。
例えば、一つのバッチ処理を行う処理時間D1や、回転軸22が同一の方向に回転する時間の最大値とする交代時間D2を入力して、設定値とすることができる。
【0022】
計測機能は、メディア撹拌型粉砕機20の運転状態を把握する機能である。
すなわち、バッチ運転を開始した後の処理時間である合計経過時間M1や、同一方向の回転による部分経過時間M2を計測値として入力することができる。
また、粉砕容器21の内部温度を計測して入力する温度信号55を備え、駆動部60における消費動力を計測して入力する動力信号56を備えている。
これらの計測値に対しても、入力信号51により、それぞれの計測値に対する設定値を設定することができる。
【0023】
出力機能は、駆動部60に対して回転軸22の駆動を指示する機能である。
すなわち、運転信号52を発して回転軸22の起動及び停止を指示し、交代信号53を発して回転方向の交代を指示することができる。
運転信号52は、起動釦を押して運転を開始するときや、合計経過時間M1が処理時間D1に達して、バッチ処理を終了するときに発せられる。
【0024】
交代信号53は、処理の途中で部分経過時間M2が交代時間D2に達したときの他に、乾式粉砕システム10では、温度や動力などの計測値において異常値を計測した場合にも発せられ、部分経過時間M2の値に関わらず、制御部50が駆動部60に対して、回転軸22の回転方向の交代を優先して指示することができる。
【0025】
例えば、粉砕容器21内の温度を計測すると、電動機31の駆動により撹拌熱によって内部の温度が上昇するが、冷却媒体による冷却熱量と平衡となって略一定となる。
そして、粉砕容器21の内壁に処理物が付着すると、冷却媒体への熱伝達が悪くなって粉砕容器21内の温度が上昇するので、これを検知するとともに駆動部60に対して回転方向の交代を指示することができる。
【0026】
また、撹拌部材23の回転によって、粉砕メディア及び処理物を撹拌するときの駆動部60の消費電力は、電動機31の駆動開始時には急激に上昇して最大値を示し、その後は一定の値に落ち着いて定常値を継続することになる。この定常状態で粉砕容器21の内壁に、処理物が付着堆積すると消費動力が上昇又は下降するので、この変動を検知するとともに、駆動部60に対して回転方向の交代を指示することができる。
【0027】
次に、図2によって粉砕容器21内における粉砕メディア及び処理物の挙動を説明し、処理物の付着について説明する。
図2は、メディア撹拌型粉砕機20の内部を回転軸22の方向に見た概略断面図である円形図と、この図のA−A矢視概略断面図である長手図を示している。
粉砕容器21を透明樹脂で形成して、粉砕メディア及び処理物の挙動を観察することによって、本発明の問題点について、その本質を把握し解決することが可能となった。
【0028】
回転軸22の回転方向は、円形図の矢印で示す方向を時計回り、逆の方向を反時計回りと呼ぶ。そして、粉砕容器21の周方向位置を時計の針で示し、最上部を0時の位置、右側を3時の位置、最下位を6時の位置、左側を9時の位置などと呼ぶことにする。
また、長手図において、撹拌部材23の先端が通過する部分を通過位置xとし、2つの通過位置xの中間を中間位置yと呼ぶことにする。
【0029】
粉砕容器21に粉砕メディアを充填するときの充填量は、回転軸22の軸線よりも多少高くなる位置としている。すなわち、上面が2時30分から9時30分の高さとなるようにしている。
投入する処理物の粒径は、通常粉砕メディアよりも小さいので、処理物の投入後も上面の位置はほとんど変化しない。
【0030】
円形図において、撹拌部材23が時計回りの方向に回転すると、粉砕メディアと処理物の上面は、右側では下降して3時〜3時30分の位置となり、左側では上昇して10時〜10時30分の位置となる。
そして、回転が速くなるに従って、粉砕メディアと処理物が上部の空間を左側から右側に向かって移動するようになる。粉砕メディアの移動方向は比較的ランダムであり、回転速度が速くなると、移動状態も次第に激しくなる。
【0031】
このように、円形図では、一方の側で掻き上げられた粉砕メディアが、他方の側へ投げ込まれるように見える。
そこで、時計回りにおける左側を掻き上げ側、右側を投げ込み側と称し、反時計回りにおける右側を掻き上げ側、左側を投げ込み側と称することにする。
【0032】
長手図では、粉砕メディアの動きが、掻き上げ側と投げ込み側とで異なり、また、通過位置xと中間位置yとで異なっている。
掻き上げ側では、通過位置xと中間位置yとで、粉砕メディアの動きが明確に異なっており、通過位置xでは動きが激しく、中間位置yでは動きが鈍い。
また、投げ込み側では、通過位置xと中間位置yとで動きに差はあるものの、その差は少なく、全体的にランダムな動きとなっている。
【0033】
処理物の動きに着目すると、掻き上げ側では、粉砕メディアの動きが激しい通過位置xから動きの少ない中間位置yに向かって処理物が移動する傾向があり、中間位置yの壁面付近に集まる傾向がある。そして、時間の経過と共に、処理物が中間位置yの壁面に付着して、次第に大きく成長する傾向がある。
一方、投げ込み側では、全体的に粉砕メディアの動きがあるために、処理物も同伴して動く傾向があり、通過位置x及び中間位置yの何れにも付着しないことが分かった。
【0034】
次に、掻き上げ側に処理物が付着成長した状態で、回転軸22の回転方向を交代させた場合には、反時計回りとなって、右側が掻き上げ側となり、左側が投げ込み側となる。
そうすると、投げ込み側となった左側では、全体的にランダムな粉砕メディアの動きによって、壁面に付着していた処理物が次第に除去されていくことが確認された。
同時に、掻き上げ側となった右側では、処理物が通過位置xから中間位置yに向かって移動し、壁面に付着して次第に成長することが確認された。
【0035】
すなわち、掻き上げ側では、処理物が付着・成長する作用がある。
掻き上げ側では、粉砕メディアの動きが通過位置xと中間位置yで異なり、動きの激しい通過位置xから動きの鈍い中間位置yに処理物が移動し、中間位置yで付着・成長するからである。
【0036】
一方、投げ込み側では、処理物が付着しないばかりでなく、付着している処理物を除去する作用がある。
粉砕メディアがランダムに投げ込まれるために、壁面付近の動きもランダムとなって、処理物が特定の場所に移動したり、付着したりすることがない。さらに、ランダムな動きは、壁面に付着している処理物を除去することができるのである。
【0037】
このため、撹拌部材23の回転方向を交代することにより、投げ込み側となった壁面で付着物の除去が行われる。
すなわち、粉砕処理を行っている間、粉砕容器には常に付着が起こるが、撹拌部材23の交代を行うことによって、除去することができる。
したがって、処理物は、全体が一様に処理されることになって、シャープな粒度分布を備える製品とすることができる。
【0038】
次に、図3により、制御部50における処理の一例を説明する。
ステップS01では、運転開始の前に、運転員が制御部50に入力信号51を送って、運転条件を入力する。例えば、一つのバッチ処理における処理時間D1や、回転軸22が同一の方向に回転可能な最大値としての交代時間D2を入力して設定値とする。
また、必要に応じて、粉砕容器の内部温度などの計測値に対して、制限値などを設定値とすることもできる。
【0039】
ステップS02では、計測値である合計経過時間M1及び部分経過時間M2について、値を0とする初期化を行い、ステップS03で、メディア撹拌型粉砕機20が起動される処理の開始を待っている状態となる。
【0040】
ステップS03で、運転員が起動釦を押すことによって、ステップS04の処理開始となり、ステップS05によって合計経過時間M1及び部分経過時間M2についての計測が開始される。
そして、ステップS06で部分経過時間M2が交代時間D2に達するのを待つとともにステップS09で合計経過時間M1が処理時間D1に達するのを待つ。
【0041】
ステップS06で、部分経過時間M2が交代時間D2に達したときは、ステップS10で回転方向の交代を指示し、ステップS11で部分経過時間M2を一旦初期化した後に、ステップS12で再び部分経過時間M2の計測を開始する。
ステップS07の異常1は、例えば、粉砕容器21の内部温度が上昇した場合であり、ステップS08の異常2は、例えば消費動力が変動した場合である。
これらの異常においても、ステップS06と同様にステップS10〜ステップS12を実行することになる。すなわち、異常があった場合には、部分経過時間M2より優先して回転方向の交代を行う。
【0042】
また、ステップS09で、合計経過時間M1が処理時間D1に達した場合には、ステップS13で回転軸22の回転を停止して、一つのバッチ処理を終了することになる。
【0043】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計変更は、本発明に含まれる。
例えば、処理の途中で撹拌部材23の回転数を変更する運転ができるように、回転速度についての、設定や変更が可能なシステムとすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10 乾式粉砕システム
20 メディア撹拌型粉砕機
21 粉砕容器
22 回転軸
23 撹拌部材
30 一次側電源
50 制御部
60 駆動部
図1
図2
図3