特許第6871089号(P6871089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871089
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】着色コーティング剤
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20210426BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20210426BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210426BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20210426BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/62
   C09D7/63
   C09D7/20
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-132895(P2017-132895)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2019-14812(P2019-14812A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 恵介
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢治
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−194271(JP,A)
【文献】 特開昭61−009462(JP,A)
【文献】 特開2017−101146(JP,A)
【文献】 特開2016−130302(JP,A)
【文献】 特開昭48−94733(JP,A)
【文献】 特開平1−110570(JP,A)
【文献】 特開2003−53905(JP,A)
【文献】 特開2003−191386(JP,A)
【文献】 特開平11−323191(JP,A)
【文献】 特開2004−339428(JP,A)
【文献】 特開2012−21055(JP,A)
【文献】 国際公開第98/50473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化硬化型樹脂(A)、顔料(B)、金属ドライヤー(C)、及び脂肪族炭化水素含有非水溶剤(D)を含む着色コーティング剤であって、
上記顔料(B)として、表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)、及び当該(B−1)以外の着色顔料(B−2)を含み、
上記酸化硬化型樹脂(A)の固形分100gを基準としたときの上記顔料(B)の総吸油量が60g以下であり、
上記表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)は、吸油量が30g/100g以下、TiO含有量が80〜89%である
ことを特徴とする着色コーティング剤。
【請求項2】
上記酸化硬化型樹脂(A)は、酸価が0.3〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の着色コーティング剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な着色コーティング剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物、土木構造物等においては、その基材の保護や美観性の向上等を目的として、各種のコーティング剤による着色仕上げが行われている。近年、このようなコーティング剤の分野においては、塗装時の安全性や、作業衛生の点、あるいは大気汚染への影響等を考慮し、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤の使用を抑える動きが強まっている。このような動きに対応するため、脂肪族炭化水素系溶剤を用いた環境対応型のコーティング剤が種々提案されている。
【0003】
このような環境対応型のコーティング剤として、酸化硬化型樹脂を使用したものが知られている。例えば、特開2004−352764号公報(特許文献1)には、不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分、金属ドライヤー、特定酸化チタン等を含むコーティング剤が記載されている。該公報に記載のコーティング剤は、不飽和脂肪酸に含まれる反応性二重結合同士の酸化によって架橋反応を生じさせるものであり、その硬化触媒として金属ドライヤーが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−352764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなコーティング剤では、白色顔料に加え、有彩色ないし黒色の各種着色顔料を混合することにより、種々の色彩を付与することができる。このような着色コーティング剤で着色仕上げを行う際、1回塗りでは隠ぺい性等が不十分となりやすいため、2回以上重ね塗りすることによって仕上げる場合があるが、重ね塗り時にリフティング等の不具合が生じ、仕上りに支障をきたすおそれがある。また、形成された着色仕上げ膜が汚れたり、破損したりすると、重ね塗りによって補修を行う場合があるが、この際にも同様の不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、安定した重ね塗り適性を示し、美観性に優れた着色仕上げが可能な着色コーティング剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために本発明者らは、鋭意検討の結果、上述のような重ね塗り時の不具合発生を抑制し、安定した重ね塗り適性を発現させるには、顔料成分の構成を制御することが有効であることに想到し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0009】
1.酸化硬化型樹脂(A)、顔料(B)、金属ドライヤー(C)、及び脂肪族炭化水素含有非水溶剤(D)を含む着色コーティング剤であって、
上記顔料(B)として、表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)、及び当該(B−1)以外の着色顔料(B−2)を含み、
上記酸化硬化型樹脂(A)の固形分100gを基準としたときの上記顔料(B)の総吸油量が60g以下であり、
上記表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)は、吸油量が30g/100g以下、TiO含有量が80〜89%である
ことを特徴とする着色コーティング剤。
2.上記酸化硬化型樹脂(A)は、酸価が0.3〜30mgKOH/gであることを特徴とする1.記載の着色コーティング剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定した重ね塗り適性を示し、美観性に優れた着色仕上げが可能な着色コーティング剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
本発明の着色コーティング剤は、酸化硬化型樹脂(A)、顔料(B)、金属ドライヤー(C)、及び脂肪族炭化水素含有非水溶剤(D)を含むものである。
【0013】
本発明の着色コーティング剤では、樹脂成分として酸化硬化型樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)を使用する。本発明における(A)成分は、酸化重合可能な二重結合(酸化重合性基)によって、空気酸化し硬化乾燥するものである。このような(A)成分としては、酸化重合性基を有するものであれば特に限定されないが、具体的には以下に示すような樹脂が使用できる。
【0014】
1)酸化重合性基を有するビニル単量体と、この単量体と共重合可能な他のビニル単量体とを共重合させて得られた樹脂。
2)エポキシ基含有ビニル単量体と、この単量体と共重合可能な他のビニル単量体とを共重合させた後、前記エポキシ基含有ビニル単量体に不飽和脂肪酸を付加させて得られた樹脂。
3)酸化重合性基を有するビニル単量体、及び/またはこの単量体と共重合可能な他のビニル単量体とをアルキド樹脂に共重合及び/またはグラフト重合させて得られた樹脂。
【0015】
上記1)、3)における酸化重合性基を有するビニル単量体としては、例えばエポキシ基含有ビニル単量体に不飽和脂肪酸が付加されたビニル単量体が挙げられる。このビニル単量体は、エポキシ基と不飽和脂肪酸中のカルボキシル基との反応によって得られるものである。また、上記2)の樹脂は、樹脂中のエポキシ基に対する不飽和脂肪酸の付加反応によって得られるものである。エポキシ基と不飽和脂肪酸を反応させる際には、第3級アミンや第4級アンモニウム塩等の触媒を使用することができる。
【0016】
具体的にエポキシ基含有ビニル単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0017】
不飽和脂肪酸としては、例えば、亜麻仁油脂肪酸、桐油脂肪酸、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、クルミ油脂肪酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。(A)成分における不飽和脂肪酸の構成比率は、硬化性、重ね塗り適性等の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%である。なお、本発明において「a〜b」は「a以上b以下」と同義である。
【0018】
上記1)、3)における酸化重合性基を有するビニル単量体としては、例えば、ジシクロペンタジエンオキシアルキル(メタ)アクリレート等のジシクロペンタジエンオキシアルキル基含有ビニル単量体、アリル(メタ)アクリレート等のアリル基含有ビニル単量体を使用することもできる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0019】
上記3)におけるアルキド樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸を重縮合させ、これを乾性油、不飽和脂肪酸等で変性したものが使用可能である。このうち多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、多価カルボン酸としては、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、乾性油としては、例えば亜麻仁油、桐油、オイチシカ油、サフラワー油等が挙げられる。
【0020】
上記1)〜3)における他のビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族単量体等が挙げられる。このうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香族単量体の具体例としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。このようなビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体等も使用できる。(A)成分としては、他の単量体として、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルが共重合されたもの、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び芳香族単量体が共重合されたもの等が好適である。
【0021】
(A)成分の酸価は、顔料混和性の向上化、重ね塗り時の仕上り性向上化等の観点から、好ましくは0.3〜30mgKOH/g、より好ましくは0.5〜20mgKOH/gである。なお、酸価は、(A)成分の固形分1gに含まれる酸基と等モルの水酸化カリウムのmg数によって表される値である。(A)成分の酸価を上記範囲内に設定するには、上記1)〜3)における他のビニル単量体として、カルボキシル基含有ビニル単量体を使用すればよい。カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0022】
本発明における(A)成分としては、上述の樹脂を、例えばイソシアネート化合物、ウレタン化合物、シリコーン化合物、アルコキシシラン化合物等で変性したものも使用できる。
【0023】
(A)成分の形態は、溶剤可溶形、非水分散形のいずれであってもよい。本発明では、両方の形態の樹脂を併用することもできる。
【0024】
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは10000〜500000、より好ましくは20000〜300000である。(A)成分のガラス転移点は、好ましくは−5℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。
【0025】
顔料(B)(以下「(B)成分」ともいう)は、本発明の着色コーティング剤に種々の色彩を付与し、さらに隠ぺい性等を付与する成分である。
【0026】
本発明では、顔料(B)として、少なくとも、表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)(以下「(B−1)成分」ともいう)と、当該(B−1)以外の着色顔料(B−2)(以下「(B−2)成分」ともいう)とを含む。そして、顔料(B)の総吸油量(酸化硬化型樹脂(A)の固形分100gを基準としたとき)が60g以下となるように設定する。本発明では、顔料(B)がこのような条件を満たす構成であることにより、安定した重ね塗り適性を発現させ、美観性に優れた着色仕上げが可能となる。
【0027】
このような効果が奏される理由は明らかではないが、酸化チタンはラジカルを発生する性質を有し、そのラジカルは酸化硬化型樹脂(A)の酸化重合性基に作用し、金属ドライヤー(C)による硬化を阻害するおそれがある。また、顔料(B)の総吸油量が大きすぎると、金属ドライヤー(C)が顔料(B)に吸着されやすくなり、上記ラジカルの作用を助長するおそれがある。このように、酸化チタン由来のラジカルは、金属ドライヤー(C)の硬化機構を阻害すると考えられる。
【0028】
これに対し、本発明では、顔料(B)が上述のような条件を満たすことにより、酸化チタン由来のラジカル発生が抑制されるとともに、金属ドライヤー(C)による硬化が安定的に進行する。これにより、重ね塗り時のリフティング等が抑制され、重ね塗り適性が良好となり、美観性に優れた着色仕上げ状態が得られるものと考えられる。
【0029】
表面処理ルチル型酸化チタン(B−1)は、白色顔料としての役割を担うとともに、重ね塗り適性等に寄与するものである。未処理ルチル型酸化チタンや、アナターゼ型酸化チタンでは、金属ドライヤー(C)による硬化が阻害され、リフティングが発生しやすく、重ね塗り適性が不十分となる。なお、本発明において、酸化チタンは、実質的にTiOを主成分とするものであればよく、多少の不純物(例えば、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化カリウム、リン酸化物、硫黄酸化物等)が含まれていてもよい。
【0030】
(B−1)成分としては、ルチル型酸化チタン粒子の表面が少なくとも無機化合物で表面処理されたものが使用できる。表面処理に用いられる無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛等が挙げられ、この中でも、シリカ、アルミナ、及びジルコニアからなる群より選ばれる1種または2種以上を含む態様が好適である。無機化合物としては、この他にも、例えば、リン、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等を含む化合物が含まれていてもよい。このような無機化合物による表面処理は公知の方法で行うことができ、例えば、酸化チタンを含むスラリーに、Si、Al、Zr、Ti、Sn、Sb、Zn等の塩類水溶液を加え、これを中和するアルカリまたは酸を加えて、酸化チタン粒子表面に含水酸化物を生成させた後、ろ過、乾燥、粉砕等の工程を行う方法等を採用することができる。
【0031】
また、(B−1)成分は、上記無機化合物に加え、有機化合物で表面処理されたものであってもよい。表面処理に用いられる有機化合物としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、界面活性剤、金属石鹸、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ワックス等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。このような有機化合物による表面処理は公知の方法で行うことができ、例えば、上記無機化合物による表面処理方法の乾燥前または乾燥後に、有機化合物を添加混合する方法等を採用することができる。
【0032】
(B−1)成分の吸油量は、好ましくは30g/100g以下である。このような吸油量であれば、酸化チタン粒子の表面が上記無機化合物等によって緻密に表面処理された状態となりやすく、ラジカル発生の抑制に有利であり、本発明の効果向上の点で好適である。(B−1)成分の吸油量の下限は、特に限定されないが、好ましくは5g/100g以上である。なお、吸油量は、JIS K5101−13−2:2004の方法によって測定される値である。
【0033】
(B−1)成分のTiO含有量は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80〜89%である。(B−1)成分のTiO含有量がこのような範囲内であれば、表面処理が厚めである状態となりやすく、ラジカル発生の抑制に有利であり、本発明の効果向上の点で好適である。なお、TiO含有量は、JIS K5116:2004 7.2によって測定される値(質量分率)である。
【0034】
本発明では、着色顔料(B−2)が含まれることにより、種々の色彩を表出することが可能となる。(B−2)成分としては、有彩色顔料、黒色顔料等が使用できる。このうち、有彩色顔料は、例えば、黄色、橙色、赤色、緑色、青色、紫色等の有彩色を呈する顔料である。このような有彩色顔料としては、例えば、酸化第二鉄、含水酸化第二鉄、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン等の無機質のもの、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機質のもの等が挙げられる。一方、黒色顔料は、黒色を呈する顔料であり、例えば、鉄黒、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物等の無機質のもの、その他カーボンブラック等が挙げられる。この他、(B−2)成分としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の白色顔料も使用できる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0035】
本発明では、(B)成分として、体質顔料(B−3)(以下「(B−3)成分」ともいう)を混合することもできる。(B−3)成分としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。(B−3)成分は、例えば、固形分調整、粘性調整、艶調整(艶低減化等)等の目的で使用することができる。
【0036】
本発明では、(A)成分の固形分100gを基準としたときの(B)成分の総吸油量(以下単に「総吸油量」ともいう)が60g以下であり、好ましくは55g以下である。(B)成分の総吸油量の下限は、特に限定されないが、好ましくは3g以上、より好ましくは5g以上である。総吸油量の下限がこのような値であれば、粘性付与、塗装作業性等の点で好適である。(B)成分の総吸油量は、例えば、使用する各(B)成分の吸油量、混合比率等を調整することによって設定できる。
【0037】
本発明において、(B)成分の総吸油量とは、(A)成分の固形分100gを基準としたとき、(B)成分が吸収する煮アマニ油の量(g)である。具体的に、(B)成分として、(B)、(B)、・・・(B)で表わされるm種類(mは整数)を使用する場合、(B)成分の総吸油量は以下の式にて算出される。
(B)成分の総吸油量=
[{(B)の吸油量}×{(A)成分の固形分100gを基準としたときの(B)のg数}/100]+
[{(B)の吸油量}×{(A)成分の固形分100gを基準としたときの(B)のg数}/100]+・・・
[{(B)の吸油量}×{(A)成分の固形分100gを基準としたときの(B)のg数}/100]
【0038】
本発明の着色コーティング剤における(B)成分の混合比率は、総吸油量が上記範囲を満たす範囲内で設定すればよいが、(B−1)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し5〜150重量部であることが好ましく、10〜120重量部であることがより好ましい。(B−2)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、0.1〜100重量部であることが好ましく、0.3〜90重量部であることがより好ましい。(B−3)成分を使用する場合、(B−3)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、50重量部以下であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましい。
【0039】
金属ドライヤー(C)(以下「(C)成分」ともいう)は、上記酸化硬化型樹脂(A)の硬化触媒としてはたらく成分である。(C)成分としては、例えば、コバルト、マンガン、バナジウム、セリウム、鉄、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アルミニウム、ストロンチウム、亜鉛、バリウム、銅、カルシウム、鉛、ニッケル等の金属を含む有機金属化合物(例えば、オクチル酸塩、ナフテン酸塩等)等が使用できる。具体的に(C)成分としては、例えば、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸鉄、ナフテン酸鉄、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸バリウム、ナフテン酸バリウム、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0040】
本発明では、(C)成分として、コバルト、マンガン、バナジウム、セリウム、及び鉄からなる群から選ばれる1種以上の金属を含む金属ドライヤー(C−1)(以下「(C−1)成分」ともいう)と、ジルコニウム、ビスマス、アルミニウム、ストロンチウム、亜鉛、バリウム、銅、及びカルシウムからなる群から選ばれる1種以上の金属を含む金属ドライヤー(C−2)(以下「(C−2)成分」ともいう)とを含むことが望ましい。このような(C−1)成分及び(C−2)成分を含む場合、硬化性、耐リフティング性、重ね塗り適性等の効果向上の点で好適である。(C−1)成分と(C−2)成分との重量比率{(C−1):(C−2)}は、金属分換算で、好ましくは1:99〜50:50、より好ましくは2:98〜40:60である。
【0041】
(C)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、金属分換算で、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部である。(C)成分がこのような混合比率であれば、硬化性、耐リフティング性、重ね塗り適性等の点で好適である。
【0042】
本発明の着色コーティング剤は、媒体として脂肪族炭化水素含有非水溶剤(D)(以下「(D)成分」ともいう)を含む所謂弱溶剤形の材料である。このような(D)成分は、トルエン、キシレン等に比べ低毒性であり、作業上の安全性が高く、さらには大気汚染に対する影響も小さい非水溶剤である。脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。本発明では、ミネラルスピリット等の混合溶剤を使用することによって、脂肪族炭化水素を導入することもできる。脂肪族炭化水素は、(D)成分の総量に対し5重量%以上含まれることが好ましく、10〜80重量%含まれることがより好ましい。
【0043】
(D)成分は、脂肪族炭化水素と混合可能な溶剤を含むものであってもよい。このような溶剤としては、例えば、石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤の他、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、好適な溶剤として、例えば、混合アニリン点またはアニリン点が12〜70℃である石油系溶剤(芳香族炭化水素含有石油混合溶剤)等が挙げられる。なお、混合アニリン点またはアニリン点は、JIS K2256:2013の方法で測定される値である。
【0044】
(D)成分の混合比率は、重ね塗り時の作業性、仕上がり性等の観点から、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは100〜300重量部、より好ましくは120〜250重量部である。なお、(D)成分には、各成分の媒体として使用される溶剤も包含される。
【0045】
本発明の着色コーティング剤は、上述の成分の他、本発明の効果に影響しない程度に各種成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、増粘剤、皮張り防止剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。また、上記(A)成分以外の樹脂成分を含むものであってもよい。本発明の着色コーティング剤は、上記(A)〜(D)成分と、必要に応じこのような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。
【0046】
本発明の着色コーティング剤は、主に、建築物、土木構造物等に適用することができる。このような部位を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、木質板、プラスチック板、金属板等が挙げられる。これら基材は、何らかの表面処理(フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等)が施されたものや、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。本発明の着色コーティング剤は特に、酸化チタンがラジカルを発生しやすい条件下、例えば太陽光を受けやすい屋外用等として好適である。また、本発明の着色コーティング剤は、1液型の形態にて使用することが望ましい。
【0047】
本発明の着色コーティング剤は、塗装時に希釈を行うことができる。希釈剤としては、上記(D)成分が好ましく、希釈後の(D)成分の総量が上記混合比率を満たす範囲内で希釈することが望ましい。
【0048】
塗装方法としては、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等、種々の方法を採用することができる。塗装時の塗付け量は、1回の塗装当たり、好ましくは30〜250g/m、より好ましくは50〜200g/mである。本発明では、一旦塗装を行い、その塗膜が乾燥した後に、次の塗装(重ね塗り)を行えばよい。乾燥温度は、好ましくは−10〜50℃、より好ましくは−5〜40℃である。塗り回数は、好ましくは2回以上である。
【実施例】
【0049】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
【0050】
(着色コーティング剤の製造)
表1に示す重量比率にて各成分を常法にて均一に混合し、各着色コーティング剤を製造した。なお、使用した成分は下記の通りである。
【0051】
・樹脂1:酸化硬化型樹脂(樹脂成分:メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル・スチレン・グリシジルメタクリレート共重合体の大豆油脂肪酸変性物,ミネラルスピリットを媒体とする非水分散型樹脂、不飽和脂肪酸構成比率:10重量%、酸価:2mgKOH/g、固形分:50重量%)
・樹脂2:酸化硬化型樹脂(樹脂成分:メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル・スチレン・グリシジルメタクリレート共重合体の大豆油脂肪酸変性物,ミネラルスピリットを媒体とする非水分散型樹脂、不飽和脂肪酸構成比率:10重量%、酸価:0.2mgKOH/g、固形分:50重量%)
・酸化チタン1:表面処理ルチル型酸化チタン(吸油量:24g/100g、TiO含有量:93%、表面処理化合物:シリカ、アルミナ、ジルコニア)
・酸化チタン2:表面処理ルチル型酸化チタン(吸油量:22g/100g、TiO含有量:87%、表面処理化合物:シリカ、アルミナ、ジルコニア、有機化合物)
・酸化チタン3:表面処理ルチル型酸化チタン(吸油量:33g/100g、TiO含有量:88%、表面処理化合物:シリカ、アルミナ)
・酸化チタン4:未処理ルチル型酸化チタン(吸油量:17g/100g、TiO含有量:99%)
・酸化チタン5:アナターゼ型酸化チタン(吸油量:23g/100g、TiO含有量:99%)
・着色顔料1:黒色顔料(カーボンブラック、吸油量:98g/100g)
・着色顔料2:黄色顔料(含水酸化第二鉄、吸油量:30g/100g)
・着色顔料3:赤色顔料(酸化第二鉄、吸油量:25g/100g)
・着色顔料4:青色顔料(銅フタロシアニンブルー、吸油量:35g/100g)
・体質顔料1:体質顔料(含水微粉珪酸、吸油量:250g/100g)
・金属ドライヤー1:ナフテン酸コバルトのミネラルスピリット溶液
・金属ドライヤー2:ナフテン酸ジルコニウムのミネラルスピリット溶液
・分散剤:アクリル系分散剤
・増粘剤:アマイドワックス系増粘剤
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
・溶剤:脂肪族炭化水素含有非水溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素含有石油混合溶剤の混合物、脂肪族炭化水素含有比率:65重量%)
【0052】
(試験方法)
各着色コーティング剤について、以下の試験を実施した。
【0053】
・重ね塗り適性1
予めエポキシ樹脂下塗材を塗装したスレート板に、着色コーティング剤を塗付け量100g/mでスプレー塗装した。日中は太陽光を受ける室内にて、所定時間(48時間、72時間)乾燥養生後、刷毛を用いて、同一の着色コーティング剤を塗付け量100g/mで部分的に重ね塗りした。このときの塗膜の表面状態を観察し、リフティング現象が認められなかったものを「a」、ごく軽度のリフティング現象が認められたものを「b」、軽度のリフティング現象が認められたものを「c」、明らかにリフティング現象が認められたものを「d」とする4段階(a>b>c>d、実用レベルはa〜c)にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
・重ね塗り適性2
予めエポキシ樹脂下塗材を塗装したスレート板に、着色コーティング剤を塗付け量100g/mでスプレー塗装した。日中は太陽光を受ける室内にて、48時間乾燥養生後、刷毛を用いて、同一の着色コーティング剤を塗付け量100g/mで部分的に重ね塗りした。この試験体を48時間放置後、スプレー塗装した領域と、刷毛塗りした領域との色差(△E)を色彩色差計にて測定した。評価基準は、△E0.5未満のものを「a」、△E0.5以上1.0未満のものを「b」、△E1.0以上1.5未満のものを「c」、△E1.5以上のものを「d」とした(実用レベルはa〜c)。結果を表1に示す。なお、比較例1〜4については、上記重ね塗り適性1に劣る結果であったため、評価は行っていない。
【0055】
(試験結果)
特に実施例2〜6では、重ね塗り適性1及び2において良好な結果が得られた。
【0056】
【表1】