(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
防災受信盤から引き出された回線に、トンネル内に設置された端末機器を接続し、前記端末機器又は複数の前記端末機器を含むブロックからの信号を回線単位に受信して制御するトンネル防災システムに於いて、
前記複数の端末機器を2グループに分割した場合の一方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第1回線走査部と、
前記2グループの他方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第2回線走査部と、
前記第1回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第1回線受信部と、
前記第2回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第2回線受信部と、
前記第1回線受信部が故障した場合は、前記第1回線走査部の出力を前記第2回線受信部に切り替えた状態で前記第2回線走査部と前記第1回線走査部を順次切替走査して出力させ、前記第2回線受信部が故障した場合は、前記第2回線走査部の出力を前記第1回線受信部に切り替えた状態で前記第1回線走査部と前記第2回線走査部を順次切替走査して出力させるように制御する回線切替制御部と、
が設けられたことを特徴とするトンネル防災システム。
請求項4又は5記載のトンネル防災システムに於いて、前記第1回線受信部と前記第2回線受信部で同じ信号回線による火災検知器の火災受信信号が受信された場合に、所定の火災警報制御を指示させることを特徴とするトンネル防災システム。
請求項7記載のトンネル防災システムに於いて、前記消火栓スイッチは、消火栓弁の開放操作を検出して前記ポンプ起動信号を出力する消火栓弁開閉スイッチと、押し釦操作を検出して前記ポンプ起動信号を出力するポンプ起動スイッチが並列接続されたことを特徴とするトンネル防災システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来のトンネル内の所定長さを1区間として複数の区画基板が設けられたトンネル防災システムにあっては、長期間にわたり運用している間に、劣化等により区画基板が故障した場合、故障した区画基板に対応したトンネル内の区間に設置している全ての端末機器の監視が行えなくなってしまう問題がある。
【0012】
また、区画基板の故障に対しては、故障した回路基盤を予備の区画基板に交換する必要があるが、故障対応のために準備していた予備の区画基板が経年変化等により正常に動作しない場合もあり、故障した回路基盤の交換に手間と時間がかかり、そのあいだ故障した区画基板に対応したトンネル内の区間に設置している全ての端末機器の監視が行えなくなってしまう問題がある。
【0013】
このような問題を解決するためには、区画基板を二重化し、運用中に区画基板が故障したら予備の区画基板に切り替えるように構成すればよいが、トンネルが長大化すると区画基板の数が増加し、区画基板を二重化した場合には設置スペースやコストが大幅に増加し、現実的な解決とはならない。
【0014】
更に、従来の区画基板にあっては、端末機器からの信号回線毎に回線受信部が設けられており、800メートルの1区間に50メートル間隔で火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ及び水噴霧スイッチが設けられた場合には回線受信部として100回路といった多数の回路が必要となり、区画基板の回路規模が大型化してコストアップとなり、また、回線受信部の回路数が多いことで故障の発生頻度も高くなる問題がある。
【0015】
本発明は、トンネル内の所定長の区間に対応して設けている複数の区画基板の故障に対し端末機器の監視機能が失われないようにすると共に、端末機器からの回線数が多くとも区画基板の回路規模を小さくすることを可能とするトンネル防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(トンネル防災システム)
本発明は、防災受信盤から引き出された回線に、トンネル内に設置された端末機器を接続し、端末機器又は複数の端末機器を含むブロックからの信号を回線単位に受信して制御するトンネル防災システムに於いて、
複数の端末機器を2グループに分割した場合の一方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第1回線走査部と、
2グループの他方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第2回線走査部と、
第1回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第1回線受信部と、
第2回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第2回線受信部と、
第1回線受信部が故障した場合は、第1回線走査部の出力を第2回線受信部に切り替えた状態で第2回線走査部と第1回線走査部を順次切替走査して出力させ、第2回線受信部が故障した場合は、第2回線走査部の出力を第1回線受信部に切り替えた状態で第1回線走査部と第2回線走査部を順次切替走査して出力させるように制御する回線切替制御部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0017】
(走査回路を備えた回線走査部)
第1回線走査部は、一方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第1走査回路を備え
第2回線走査部は、他方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第2走査回路を備え、
回線切替制御部は、
第1回線受信部及び第2回線受信部が正常な場合は、前記第1走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させると共に第2走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、
第1回線受信部が故障した場合は、第2走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させた後に第1走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、
第2回線受信部が故障した場合は、第1走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させた後に第2走査回路の選択走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させる。
【0018】
(メイン走査回路とサブ走査回路を備えた回線走査部)
第1回線走査部は、
一方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第1メイン走査回路と、
第1メイン走査回路に並列入力された信号が分岐して並列に入力され、並列に入力される信号を順次繰り返し選択して出力する第1サブ走査回路と、
を備え、
第2回線走査部は、
他方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第2メイン走査回路と、
第2メイン走査回路に並列入力された信号が分岐して並列に入力され、並列に入力する信号を切替走査により選択して出力する第2サブ走査回路と、
を備え、
回線切替制御部は、
第1回線受信部及び第2回線受信部が正常な場合は、前記第1メイン走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させると共に第2メイン走査回路の切替走査により選択された信号を前記第2回線受信部に出力させ、
第1回線受信部が故障した場合は、第2メイン走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させた後に第1サブ走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、
第2回線受信部が故障した場合は、第1メイン走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させた後に第2サブ走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させる。
【0019】
(端末信号のAND判定)
回線切替制御部は、第1回線走査部からの出力により第1回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第1回線走査部の出力を第2回線受信部に切り替え、第1回線受信部と同じ所定の信号が第2回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させる。
【0020】
(メイン走査回路とサブ走査回路の切替えによるAND判定)
回線切替制御部は、第1メイン走査回路からの出力により第1回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第1サブ走査回路の出力を第2回線受信部に切り替え、第1回線受信部と同じ所定の信号が第2回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させる。
【0021】
(火災検知信号のAND判定)
第1回線受信部と第2回線受信部で同じ信号回線による火災検知器の火災受信信号が受信された場合に、所定の火災警報制御を指示させる。
【0022】
(端末機器の種類)
端末機器は、トンネル長手方向に所定間隔で設置された火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ又は水噴霧スイッチの少なくとも何れかである。
【0023】
(消火栓スイッチ)
消火栓スイッチは、消火栓弁の開放操作を検出してポンプ起動信号を出力する消火栓弁開閉スイッチと、押し釦操作を検出してポンプ起動信号を出力するポンプ起動スイッチが並列接続される。
【発明の効果】
【0024】
(基本的な効果)
本発明は、防災受信盤から引き出された回線に、トンネル内に設置された端末機器を接続し、端末機器又は複数の端末機器を含むブロックからの信号を回線単位に受信して制御するトンネル防災システムに於いて、複数の端末機器を2グループに分割した場合の一方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第1回線走査部と、2グループの他方のグループに属する複数の端末機器から入力する信号を切替走査により選択して出力する第2回線走査部と、第1回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第1回線受信部と、第2回線走査部の切替走査により選択された信号を受信して所定の制御を指示する第2回線受信部と、第1回線受信部が故障した場合は、第1回線走査部の出力を第2回線受信部に切り替えた状態で第2回線走査部と第1回線走査部を順次切替走査して出力させ、第2回線受信部が故障した場合は、第2回線走査部の出力を第1回線受信部に切り替えた状態で第1回線走査部と第2回線走査部を順次切替走査して出力させるように制御する回線切替制御部とが設けられたため、区画基板に設けられた第1回線受信部又は第2回線受信部の何れか一方、例えば第1回線受信部が故障したとすると、第1回線走査部の出力が第2回線受信部に切替えられ、第2回線走査部による第2回線受信部に対する回線信号の選択出力に続いて、故障した区画基板画側の第1回線走査部により故障側の端末機器からの回線信号が正常な第2回線受信部に選択出力され、正常な第2回線受信部に対する第2回線走査部の選択出力とこれに続く第1回線走査部の選択出力の繰り返しで、複数の端末機器からの信号を選択走査する時間は増加するが、端末機器の監視機能は失われることがなく、区画基板の故障に対し端末機器の監視における高い冗長性が得られる。
【0025】
また、区画基板単位に設けられる第1回線受信部と第2回線受信部には回線走査部の選択出力が順次入力されることから、区画基板には第1回線受信部と第2回線受信部は対応した1回路を設けるだけで済み、区画基板の回路規模が大幅に低減し、コストや故障頻度を低減して高い信頼性を確保可能とする。
【0026】
(走査回路を備えた回線走査部の効果)
また、第1回線走査部は、一方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第1走査回路を備え、第2回線走査部は、他方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を切替走査により選択して出力する第2走査回路を備え、回線切替制御部は、第1回線受信部及び第2回線受信部が正常な場合は、前記第1走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させると共に第2走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、第1回線受信部が故障した場合は、第2走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させた後に第1走査回路の切替走査により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、第2回線受信部が故障した場合は、第1走査回路の切替走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させた後に第2走査回路の選択走査により選択された信号を第1回線受信部に出力させるようにしたため、区画基板に設けられた第1回線受信部又は第2回線受信部の何れか一方、例えば第1回線受信部が故障したとすると、第1走査回路の出力が第2回線受信部に切替えられ、第2走査回路による第2回線受信部に対する回線信号の選択出力に続いて、故障した区画基板画側の第1走査回路により故障側の端末機器からの回線信号が正常な第2回線受信部に選択出力され、区画基板の故障に対し端末機器の監視機能は失われることがなく、端末機器の監視における高い冗長性が得られる。
【0027】
(メイン走査回路とサブ走査回路を備えた回線走査部の効果)
また、第1回線走査部は、一方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を順次繰り返し選択して出力する第1メイン走査回路と、第1メイン走査回路に並列入力された信号が分岐して並列に入力され、並列に入力される信号を順次繰り返し選択して出力する第1サブ走査回路とを備え、第2回線走査部は、他方のグループに属する複数の端末機器からの信号が並列に入力され、並列に入力される信号を順次繰り返し選択して出力する第2メイン走査回路と、第2メイン走査回路に並列入力された信号が分岐して並列に入力され、並列に入力する信号を順次繰り返し選択して出力する第2サブ走査回路とを備え、回線切替制御部は、第1回線受信部及び第2回線受信部が正常な場合は、前記第1メイン走査回路により選択された信号を第1回線受信部に出力させると共に第2メイン走査回路により選択された信号を前記第2回線受信部に出力させ、第1回線受信部が故障した場合は、第2メイン走査回路により選択された信号を第2回線受信部に出力させた後に第1サブ走査回路により選択された信号を第2回線受信部に出力させ、第2回線受信部が故障した場合は、第1メイン走査回路により選択された第1回線受信部に出力させた後に第2サブ走査回路により選択された信号を第1回線受信部に出力させるようにしたため、区画基板に設けられた第1回線受信部又は第2回線受信部の故障に対し端末機器の監視機能が失われることのない効果に加え、例えば、第1回線走査部の第1メイン走査回路の故障により第1回線走査部から正常に端末機器からの信号が正常に得られなくなった場合、第1サブ走査回路の出力が第2回線受信部に切替られ、第2メイン走査回路による第2回線受信部に対する回線信号の選択出力に続いて、故障した第1メイン走査回路に入力している端末機器からの信号が第1サブ走査回路の走査により正常な第2回線受信部に選択出力され、複数の端末機器からの信号を選択走査する時間は増加するが、端末機器の監視機能は失われることがなく、回線切替部の故障に対しても、端末機器の監視における高い冗長性が得られる。
【0028】
(端末信号のAND判定による効果)
また、回線切替制御部は、第1回線走査部からの出力により第1回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第1回線走査部の出力を第2回線受信部に切り替え、第1回線受信部と同じ所定の信号が第2回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させるようにしたため、第1回線受信部である回線からの回線信号が受信された場合に、第2回線受信部で同じ回線から回線信号が得られることを確認してその回線信号に対応した制御を指示することができ、回線信号の受信による誤作動を防止して信頼性を高めることができる。
【0029】
なお、端末信号のAND判定については、第1回線走査部と第2回線走査部を入れ替えた構成としても良い。即ち、回線切替制御部は、第2回線走査部からの出力により第2回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第2回線走査部の出力を第1回線受信部に切り替え、第2回線受信部と同じ所定の信号が第1回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させるようにしたため、第2回線受信部である回線からの回線信号が受信された場合に、第1回線受信部で同じ回線から回線信号が得られることを確認してその回線信号に対応した制御を指示することができ、回線信号の受信による誤作動を防止して信頼性をたかめることができる。
【0030】
(メイン走査回路とサブ走査回路の切替えによるAND判定の効果)
また、回線切替制御部は、第1メイン走査回路からの出力により第1回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第1サブ走査回路の出力を第2回線受信部に切り替え、第1回線受信部と同じ所定の信号が第2回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させるようにしたため、第1メイン走査回路の出力により第1回線受信部である回線からの回線信号が受信された場合に、第1サブ走査回路の出力を第2回線受信部でに切り替えて同じ回線から回線信号が得られることを確認してその回線信号に対応した制御を指示することができ、回線信号の受信による誤作動を防止して信頼性を高めることができる。
【0031】
なお、メイン走査回路とサブ走査回路の切替えによるAND判定については、第1回線走査部と第2回線走査部を入れ替えた構成としても良い。即ち、回線切替制御部は、第2メイン走査回路からの出力により第2回線受信部で所定の信号が受信された場合に、第2サブ走査回路の出力を第1回線受信部に切り替え、第2回線受信部と同じ所定の信号が第1回線受信部で受信された場合に、受信された所定の信号に基づく制御を指示させるようにしたため、第2メイン走査回路の出力により第2回線受信部である回線からの回線信号が受信された場合に、第2サブ走査回路の出力を第1回線受信部に切り替えて同じ回線から回線信号が得られることを確認してその回線信号に対応した制御を指示することができ、回線信号の受信による誤作動を防止して信頼性を高めることができる。
【0032】
(火災検知信号のAND判定)
また、回線切替制御部は、第1回線受信部と第2回線受信部で同じ信号回線による火災検知器の火災受信信号が受信された場合に、所定の火災警報制御を指示させるようにしたため、火災検知器からの火災検知信号の受信に対してはトンネル通行を遮断して火災に対処することから、火災検知器の誤報によりトンネル通行が遮断されて復旧までに時間がかかり、社会的及び経済的に重大な損失を招くが、火災検知器からの火災検知信号が第1回線受信部と第2回線受信部の両方で受信された場合に火災検知に対応した制御が行われ、誤報による火災検知信号の受信を低減して火災監視の信頼性を高めることができる。
【0033】
(端末機器の種類による効果)
また、端末機器は、トンネル長手方向に所定間隔で設置された火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ又は水噴霧スイッチの少なくとも何れかとしたため、トンネル内に設置された火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ又は水噴霧スイッチを含む端末機器が例えばトンネル内の所定長に分けて2つにグループ分けされ、第1回線走査部と第2回線走査部に火災検知器は回線単位に、それ以外の端末機器は所定数のブロック単位に信号回線により並列に接続され、例えば、第1回線走査部の出力が入力された第1回線受信部が故障しても、第1回線走査部の出力が第2回線受信部の入力に切り替えられるため、第1回線受信部を設けた区画基板又は第2回線受信部を設けた区画基板が故障しても、火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ又は水噴霧スイッチによる監視機能が失われることはなく、高い冗長性と信頼性が確保される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[トンネル防災システムの概要]
図1はトンネル防災システムの概要を示した説明図である。
図1に示すように、自動車専用道路のトンネルとして、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bが構築され、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bは避難連絡坑2でつながっている。
【0036】
上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の壁面に沿って例えば50メートル間隔で端末機器として機能する火災検知器16が設置されている。火災検知器16は左右50メートルとなる両側に監視エリアを設定し、火災による炎を検出して火災発報する。
【0037】
また、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の監視員通路の壁面に沿って例えば50メートル間隔で消火栓装置18と自動弁装置23が設置されている。消火栓装置18には端末機器として機能する手動通報装置20と消火栓スイッチ22が設けられている。
【0038】
消火栓装置18は消火栓扉内にノズル付きホースが収納されており、火災時には消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを開操作すると消火用水が放水され、また、消火栓弁開閉検出スイッチがオンしてポンプ起動信号を出力して消火ポンプを起動させる。
【0039】
また、消火栓装置18には消火器扉が設けられ、その中に消火器を収納している。また、消火栓装置18には消防隊が使用する給水栓が設けられ、これに合わせて消防隊員が操作するとポンプ起動信号を出力するポンプ起動スイッチが設けられている。消火栓弁開閉検出スイッチとポンプ起動スイッチは並列接続されており、これが図示の消火栓スイッチ22として機能する。
【0040】
更に、消火栓装置18には通報装置扉が設けられており、通報装置扉には発信機として機能する手動通報装置20が設けられている。手動通報装置20が操作されると火災通報信号が防災受信盤10に出力され、防災受信盤10からの応答信号により応答ランプが点灯される。
【0041】
また、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の監視員通路の壁面に沿って例えば50メートル間隔で水噴霧設備の自動弁装置23が設置されており、自動弁装置23は作動用電動弁の遠隔開制御により主弁を開駆動し、トンネル壁面の上部の長手方向に設置した複数の水噴霧ヘッドから消火用水を放水してトンネル躯体を火災から防護する。水噴霧設備の自動弁装置23には端末機器として水噴霧ヘッドからの水噴霧開始を検出する水噴霧スイッチ24が設けられている。水噴霧スイッチ24は自動弁の開作動による放水圧力を検出してオンする圧力スイッチが用いられる。
【0042】
トンネル内に設置している火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24などの端末機器を接続してトンネル内の異常を監視するため、監視センター等に防災受信盤10が設置されている。
【0043】
防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1b内に、P型の信号回線群11,12が引き出され、トンネル内に設置している火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24が接続されている。
【0044】
本実施形態にあっては、トンネル内を所定長さ、例えば800メートルを1区間として例えば2グループに分けており、各グループの火災検知器16に対して個別に引き出された信号回線が接続され、それ以外の手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24については、800メートルの1区間を所定長、例えば200メートルのブロック区間に分け、グロック区間単位に引き出された信号回線に接続されている。なお、以下の説明では、トンネル長を1600メートルとして2区間に分けた場合を例にとって説明する。
【0045】
ここで、P型の信号回線は信号線とコモン線で構成され、火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24は、それぞれの作動に基づき回線電流を流すことで、火災検知信号、火災通報信号、ポンプ起動信号、水噴霧開始信号を防災受信盤10に送るようにしている。
【0046】
トンネルの非常用施設としては、これ以外に、消火ポンプ設備25、換気設備28、警報表示板設備30、ラジオ再放送設備32、TV監視設備34及び照明設備36、IG子局設備38等が設けられており、IG子局設備38がデータ伝送回線で接続される点を除き、それ以外の設備はP型の信号回線群14により防災受信盤10に個別に接続されている。
【0047】
ここで、IG子局設備38は、防災受信盤10と遠方管理設備42を、ネットワーク40を経由して結ぶ通信設備である。換気設備28は、トンネル内の天井側に設置しているジェットファンの運転による高い吹き出し風速によってトンネル内の空気にエネルギーを与えて、トンネル長手方向に換気の流れを起こす設備である。
【0048】
また、警報表示板設備30は、トンネル内の利用者に対して、トンネル内の火災発生や水噴霧開始等を電光表示板に表示して知らせる設備である。ラジオ再放送設備32は、トンネル内で運転者等が道路管理者からの情報を受信できるようにするための設備である。TV監視設備34は、火災の規模や位置を確認したり、水噴霧設備の作動、避難誘導を行う場合のトンネル内の状況を把握するための設備である。照明設備36はトンネル内の照明機器を駆動して管理する設備である。
【0049】
[防災受信盤の基板構成]
図2は防災受信盤の基板構成を端末回線接続と共に示したブロック図である。
図2に示すように、防災受信盤10には、制御ラック46と区画ラック52が設けられている。制御ラック46には制御CPU基板48と制御CPU予備基板50が設けられ、制御CPU基板が二重化されている。
【0050】
区画ラック52には区画CPU基板54と区画CPU予備基板56が設けられ、区画CPU基板も二重化されている。また、区画ラック52には、上り線トンネル1aの800メートルの2区間の端末機器に対応して区画基板60−1,60−2が設けられ、また、下り線トンネル1bの800メートルの2区間の端末機器に対応して2枚の区画基板60−3,60−4が設けられている。
【0051】
区画基板60−1,60−2に対しては回線切替基板64−1が設けられ、回線切替基板64−1には上り線トンネル1aに設置された端末機器が信号回線群11により接続されている。
【0052】
また、区画基板60−3,60−4に対しては回線切替基板64−2が設けられ、回線切替基板64−2には下り線トンネル1bに設置された端末機器が信号回線群12により接続されている。また、区画ラック52にはP型出力基板62が設けられている。
【0053】
二重化された区画CPU基板54と区画CPU予備基板56は、二重化されたRS−485などのシリアル伝送路76,78を介して二重化された制御CPU基板48と制御CPU予備基板50に接続されている。また、二重化された区画CPU基板54と区画CPU予備基板56は信号回線を介して区画基板60−1〜60−4及びP型出力基板62に接続されている。P型出力基板62は
図1に示した外部の消火ポンプ設備25、換気設備28、警報表示板設備30、ラジオ再放送設備32、TV監視設備34及び照明設備36に接続される。
【0054】
回線切替基板64−1からは上り線トンネル1aに対しP型の信号回線群80−1,82−1,84−1,86−1が引き出されており、火災検知器16が回線単位に接続され、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24がブロック単位に接続されている。
【0055】
ここで、火災検知器16は800メートルの1区間で16台、それ以外の端末機器は800メートルを200メートルの4ブロックにわけていることから、信号回線群80−1,80−2は各々16回線、信号回線群82−1〜86−2は各々4回線となり、信号回線群11は56回線を束ねている。
【0056】
回線切替基板64−2からは下り線トンネル1bに対しP型の信号回線群80−3,82−3,84−3,86−3(合計56回線)が引き出されており、火災検知器16が回線単位に接続され、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24がブロック単位に接続されている。
【0057】
なお、区画ラック52には、火災検知器16に対して渡り配線となる試験信号回線により試験信号を送る検知器試験基板が設けられるが、図示を省略している。
【0058】
また、防災受信盤10には操作表示CPU基板65が設けられ、タッチパネルや各種の操作スイッチを備えた操作部66及びスピーカを備えた音響部68が接続されると共に、表示制御基板70を介して液晶ディスプレイや各種表示灯を備えた表示部72が接続される。更に、防災受信盤10にはシリアルCPU基板74が設けられ、
図1に示したIG子局設備38が接続される。
【0059】
[防災受信盤の機能構成]
図3はトンネル防災システムの機能構成の概略を示したブロック図である。
図3に示すように、防災受信盤10には主制御部90が設けられ、主制御部90は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしては
図2の制御CPU基板48に設けられたCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等が使用される。
【0060】
主制御部90は、火災検知器16からの火災検知信号又は手動通報装置20からの火災通報信号を受信した場合は所定の火災警報制御を行い、消火栓スイッチ22からのポンプ起動信号を受信した場合は消火ポンプ設備25の起動制御を行い、更に、水噴霧スイッチ24からの水噴霧開始信号を受信した場合は警報表示板設備30に水噴霧開始に伴うトンネル侵入禁止の警告表示等の制御を行わせる。
【0061】
主制御部90に対しては区画制御部96が設けられ、区画制御部96は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしては
図2の区画CPU基板54に設けられたCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等が使用される。
【0062】
区画制御部96は、トンネル内に設置した端末機器からの回線信号を受信した場合、回線信号の種別と受信した信号回線を特定する回線番号を主制御部90に送って所定の制御を行わせる。
【0063】
なお、主制御部90に対しては
図2の制御CPU予備基板50に対応してサブ制御部の機能が設けられているが、図示を省略している。
【0064】
区画制御部96に対しては上り線トンネル1aの800メートル区画に分けた2グループの火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24の各々に対応して2組の回線受信部102−1,102−2,104−1,104−2,106−1,106−2,108−1,108−2が設けられる。
【0065】
回線受信部102−1〜108−2は、端末機器として設けられた火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24から出力される信号を回線単位に受信して受信信号を区画制御部96に出力し、この受信信号は区画制御部96から主制御部90に送られ、火災警報制御、ポンプ起動制御、水噴霧警報表示制御等が行われる。
【0066】
また、区画制御部96に対しては下り線トンネル1bの火災検知器16、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24の各々に対応して2組の回線受信部102−3,102−4,104−3,104−4,106−3,106−4,108−3,108−4が設けられる。
【0067】
以下の説明では、回線受信部102−1,104−1,106−1,108−1,102−3,104−3,106−3,108−3を第1回線受信部とし、回線受信部102−2,104−2,106−2,108−2,102−4,104−4,106−4,108−4を第2回線受信部とする。
【0068】
なお、区画制御部96に対しては
図2の区画CPU予備基板56に対応してサブ区画制御部の機能が設けられているが、図示を省略している。
【0069】
回線切替部100−1〜100−8は、端末機器からの信号回線を並列的に入力接続しており、入力回線からの回線信号を所定の順番で切替走査して選択出力する動作を繰り返している。例えば回線切替部100−1は信号回線群80−1による火災検知器16からの16回線の回線信号を切替走査により順次選択して第1回線受信部102−1に入力しており、また、信号回線群80−2による火災検知器16からの16回線の回線信号を切替走査により順次選択して第2回線受信部102−2に入力している。
【0070】
また第1回線受信部102−1が故障した場合、正常な第2回線受信部102−2に対し信号回線群80−1,80−2の36回線の回線信号を順次選択して入力して故障をリカバリするための回線切替えを行う。更に、第2回線受信部102−2が故障した場合には、正常な第1回線受信部102−1に対し信号回線群80−1,80−2の36回線の回線信号を順次選択して入力して故障をリカバリするための回線切替えを行う。
【0071】
この第1回線受信部102−1又は第2回線受信部102−2が故障した場合の回線切替えの詳細は後の説明で明らかにされる。
【0072】
主制御部90に対しては、音響部68、操作部66、表示部72、シリアル伝送部92及びP型出力部94が設けられている。この内、シリアル伝送部92は
図2のシリアルCPU基板74が使用され、P型出力部94は
図2のP型出力基板62が使用される。
【0073】
[区画基板の故障対策]
図4は
図3に示した回線受信部と回線切替部の実施形態を示したブロック図であり、
図3に示した回線受信部102−1,102−2及び回線切替部100−1を例にとっている。
【0074】
図4に示すように、回線切替部100−1には第1回線走査部として機能する第1走査回路112−1と、第2回線走査部として機能する第2走査回路112−2が設けられ、更に、切替スイッチ部114と回線切替制御部116が設けられている。
【0075】
第1走査回路112−1には上り線トンネル1aの0〜800メートル区間に配置されたグループG1に属する16台の火災検知器16が信号回線群80−1に含まれる16回線の各信号回線により接続されている。
【0076】
第2走査回路112−2には上り線トンネル1aの800〜1600メートル区間に配置されたグループG2に属する16台の火災検知器16が信号回線群80−2に含まれる16回線の各信号回線により接続されている。
【0077】
第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2は、番号0〜n(ただしn=16)で示す入力端子を備え、番号0の入力端子は空き端子であり、番号1〜nの入力端子にグループG1,G2の火災検知器16からの信号回線を個別に接続している。
【0078】
第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2は、矢印で示す切替切片を切替走査することにより番号0〜nの入力端子を順次選択し、火災検知器16から入力している回線信号を選択的に出力する。
【0079】
このような第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2としては、外部からの回線切替制御信号によりオン、オフされるゲートスイッチを複数備えた公知のスキャンニング回路やセレクタ回路で実現される。
【0080】
第1走査回路112−1の出力は区画基板60−1に設けられた第1回線受信部102−1に入力され、第1回線受信部102−1は第1走査回路112−1の切替走査により選択された回線信号から火災検知信号の受信を判別した場合に、
図3に示した区画制御部96に火災検知回線を示す回線番号と共に火災検知信号を出力し、火災警報制御を行わせる。第1回線受信部102−1による火災検知回線の判別は、回線切替制御部116から第1走査回路112−1に点線の経路で出力されている回線切替制御信号に基づき判別される。
【0081】
第2走査回路112−2の出力は区画基板60−2に設けられた第2回線受信部102−2に入力され、第2回線受信部102−2は第2走査回路112−2の切替走査により選択された回線信号から火災検知信号の受信を判別した場合に、
図3に示した区画制御部96に火災検知回線を示す回線番号と共に火災検知信号を出力し、火災警報制御を行わせる。第2回線受信部102−2による火災検知回線の判別は、回線切替制御部116から第2走査回路112−2に点線の経路で出力されている回線切替制御信号に基づき判別される。
【0082】
(正常時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、区画基板60−1,60−2に故障がなく、第1回線受信部102−1及び第2回線受信部102−2が正常な場合は、切替スイッチ部114を図示のようにオフさせた状態で、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2に所定周期で入力端子0〜nを順次切り替える回線切替制御信号を並列的に繰り返し出力しており、第1走査回路112−1の切替走査により選択された回線信号を第1回線受信部102−1に出力させると共に第2走査回路112−2の切替走査により選択された回線信号を第2回線受信部102−2に出力させている。
【0083】
回線切替制御部116が第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2に出力する回線切替制御信号は、例えば入力端子の番号0〜nを示す4ビットの回線切替制御信号であり、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2は4ビットの回線切替制御信号をデコードすることで入力端子を選択接続する。
【0084】
回線切替制御部116からの4ビットの回線切替制御信号は第1回線受信部102−1及び第2回線受信部10−2に入力されており、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2から選択出力された回線信号の回線番号を判別可能としている。
【0085】
(区画基板60−1故障時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、区画基板60−1の故障により第1回線受信部102−1の機能が失われた場合には、切替スイッチ部114をオンすることにより第1走査回路112−1の出力を第2回線受信部102−2の入力に切り替え、且つ、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0086】
この状態で回線切替制御部116は、第2走査回路112−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子を順次切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて第1走査回路112−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に順次切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114を介して正常な区画基板60−2の第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。
【0087】
このように区画基板60−1の故障により第1回線受信部102−1の機能が失われた場合には、第2走査回路112−2及び第1走査回路112−1の順に信号回線を選択する切替走査を行って正常な区画基板60−2の第2回線受信部102−2に入力させることで、故障した区画基板60−1に対応したグループG1に属する火災検知器16による火災監視機能は失われることが無く、高い冗長性が得られる。
【0088】
この場合、グループG1,G2に属する火災検知器16の回線信号の選択周期は、第2走査回路112−2と第1走査回路112−1を順番に切替走査することから2倍の時間がかかることになるが、16回線の走査周期が例えば1回線当り10みり秒とすると160ミリ秒であり、これが2倍に増えても320ミリ秒であり、火災監視に問題となるような時間遅れとはならない。
【0089】
(区画基板60−2故障時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、区画基板60−2の故障により第2回線受信部102−2の機能が失われた場合には、切替スイッチ部114をオンすることにより第2走査回路112−2の出力を第1回線受信部102−1の入力に切り替え、且つ、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0090】
この状態で回線切替制御部116は、第1走査回路112−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて、第2走査回路112−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114を介して正常な区画基板60−1の第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。
【0091】
このように区画基板60−2の故障により第2回線受信部102−2の機能が失われた場合にも、第1走査回路112−1及び第2走査回路112−2の順に信号回線を選択する切替走査を行って正常な区画基板60−1の第1回線受信部102−1に入力させることで、故障した区画基板60−2に対応したグループG2に属する火災検知器16による火災監視機能は失われることが無く、高い冗長性が得られる。
【0092】
(火災検知器以外の端末機器切替制御)
図3に示した上り線トンネル1aに配置された手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24に対応して設けられた回線切替部100−2,100−3,100−4には、
図4に示した火災検知器16に対応した回線切替部100−1の第1走査回路112−1、第2走査回路112−2、切替スイッチ部114及び回線切替制御部116と同じ構成が設けられる。
【0093】
この場合、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24は200メートルのブロック区間に分けて800メートル区間で4回線としていることから、第1走査回路と第2走査回路は番号0〜4の入力端子を切替走査することになるが、火災検知器16と同じ番号0〜16の入力端子を切替走査する走査回路を使用すれば、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24をグループG1,G2に含めてそれぞれ16回線とすることで、回線切替部100−2,100−3,100−4を一つにまとめ、これに対応して第1回線受信部104−1,106−1,108−1もひとつにまとめ、第2回線受信部104−2,106−2,108−2も一つにまとめることができる。
【0094】
また、第1走査回路及び第2走査回路に対する回線接続は、端末機器毎に統一する必要はなく、種類の異なる端末機器が混在するように回線接続しても良い。
【0095】
また、本実施形態にあっては、回線切替部100−1〜100−8が設けられたことで、第1回線受信部102−1、102−3,104−1,104−3,106−1,106−3,108−1,108−3及び第2回線受信部102−2,102−4,104−2,104−4,106−2,106−4,108−2,108−4には、回線受信部を1回路設けるだけで済み、従来の回線数に対応して設けていた回線受信部に比べ、
図2に示した区画基板64−1〜64−4の回路規模を大幅に小さくすることができる。
【0096】
(火災検知信号のAND判定)
図3に示した区画制御部96は、
図4に示した区画基板60−1,60−2に故障がない正常時に、第1走査回路112−1からの選択出力により第1回線受信部102−1がグループG1に属する火災検知器16から1回目の火災検知信号の受信と回線番号を判別して出力した場合に、回線切替制御部116に指示して切替スイッチ部114をオンして第1走査回路112−1の出力を第2回線受信部102−2の入力に切り替え、且つ、第2走査回路112−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0097】
この状態で回線切替制御部116は、第1走査回路112−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えて再びグループG1の火災検知器16からの回線信号を選択出力させ、切替スイッチ部114を介して第2回線受信部102−2に入力させる。
【0098】
区画制御部96は、第1回線受信部102−1が2回目の火災検知信号の受信と回線番号を出力した場合、1回目と2回目の回線番号を比較し、両者が一致した場合に火災検知信号のAND受信を判別し、真に火災検知信号が受信されたことを確認して火災警報制御を行う。
【0099】
また、区画制御部96は、第2走査回路112−2からの選択出力により第2回線受信部102−2がグループG2に属する火災検知器16から1回目の火災検知信号の受信と回線番号が判別して出力した場合には、回線切替制御部116に指示して切替スイッチ部114をオンして第2走査回路112−2の出力を第1回線受信部102−1の入力に切り替え、且つ、第1走査回路112−1にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0100】
この状態で回線切替制御部116は、第2走査回路112−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えて再びグループG2の火災検知器16からの回線信号を選択出力させ、切替スイッチ部114を介して第1回線受信部102−1に入力させる。
【0101】
区画制御部96は、第2回線受信部102−2が2回目の火災検知信号の受信と回線番号を出力した場合、1回目と2回目の回線番号を比較し、両者が一致した場合に火災検知信号のAND受信を判別し、真に火災検知信号が受信されたことを確認して判断して火災警報制御を行う。
【0102】
このような火災検知信号のAND受信を判別して火災警報制御を行うことにより、火災検知器が誤動作などにより一時的に火災検知信号を出力した場合、火災検知信号のAND受信が行われず、誤報によりトンネル通行を遮断してしまうようなことがなく、火災監視の信頼性が向上できる。
【0103】
なお、端末機器からの回線信号のAND受信の判定は、火災検知器以外の他の端末機器についても必要に応じて行うようにしても良い。
【0104】
[区画基板及び回線切替基板の故障対策]
図5は
図3に示した回線受信部と回線切替部の他の実施形態を示したブロック図であり、
図3に示した回線切替部100−1を例にとっており、回線切替部の走査回路を二重化して冗長性を高めたことを特徴とする。
【0105】
図5に示すように、回線切替部100−1には、第1回線切替部として機能する第1メイン走査回路118−1と第1サブ走査回路120−1が設けられ、また、第2回線切替部として機能する第2メイン走査回路118−2と第2サブ走査回路120−2が設けられ、更に切替スイッチ部114−1,114−2及び回線切替制御部116が設けられている。
【0106】
第1メイン走査回路118−1には、上り線トンネル1aの0〜800メートル区画に配置されたグループG1に属する16台の火災検知器16が信号回線群80−1に含まれる16回線の各信号回線により接続されている。第1サブ走査回路120−1には、第1メイン走査回路118−1の各入力が分岐され、並列に入力されている。
【0107】
第2メイン走査回路118−2には上り線トンネル1aの800〜1600メートル区画に配置されたグループG2に属する16台の火災検知器16が信号回線群80−2に含まれる16回線の各信号回線により接続されている。第2サブ走査回路120−2には、第2メイン走査回路118−2の入力が分岐され、並列に入力接続されている。
【0108】
第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2は、番号0〜n(ただしn=16)で示す入力端子を備え、番号0の入力端子は空き端子であり、番号1〜nの入力端子にグループG1,G2の火災検知器16からの信号回線を個別に接続している。
【0109】
第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2は、矢印で示す切替切片を切替走査することにより番号0〜nの入力端子を順次選択し、火災検知器16から入力している回線信号を選択的に出力する。
【0110】
第1サブ走査回路120−1及び第2サブ走査回路120−2は、番号0〜n(ただしn=16)で示す入力端子を備え、番号0の入力端子は空き端子であり、番号1〜nの入力端子に、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2の同じ番号1〜nの入力端子を並列に入力接続している。
【0111】
第1サブ走査回路120−1及び第2サブ走査回路120−2は、矢印で示す切替切片を切替走査することにより番号0〜nの入力端子を順次選択し、火災検知器16から入力している回線信号を選択的に出力する。
【0112】
第1メイン走査回路118−1の出力は区画基板60−1に設けられた第1回線受信部102−1に入力され、第1回線受信部102−1は第1メイン走査回路118−1により選択された回線信号から火災検知信号の受信を検出した場合に、
図3に示した区画制御部96に火災検知回線を示す回線番号と共に火災検知信号を出力し、火災警報制御を行わせる。第1回線受信部102−1による火災検知回線の判別は、回線切替制御部116から点線の経路で出力されている回線切替制御信号に基づき判別される。
【0113】
第2メイン走査回路118−2の出力は区画基板60−2に設けられた第2回線受信部102−2に入力され、第2回線受信部102−2は第2メイン走査回路118−2により選択された回線信号から火災検知信号の受信を検出した場合に、
図3に示した区画制御部96に火災検知回線を示す回線番号と共に火災検知信号を出力し、火災警報制御を行わせる。第2メイン回線受信部102−2による火災検知回線の判別は、回線切替制御部116から点線の経路で出力されている回線切替制御信号に基づき判別される。
【0114】
第1サブ走査回路120−1の出力は切替スイッチ部114−1を介して第2回線受信部102−2の入力に接続される。第2サブ走査回路120−2の出力は切替スイッチ部114−2を介して第1回線受信部102−1の入力に接続される。
【0115】
(正常時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、第1回線受信部102−1及び第2回線受信部102−2が正常な場合は、切替スイッチ部114−1,114−2を図示のようにオフさせた状態で、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2に所定周期で入力端子1〜nを順次切り替える回線切替制御信号を並列的に繰り返し出力しており、第1メイン走査回路118−1の切替走査により選択された回線信号を第1回線受信部102−1に出力させると共に第2メイン走査回路118−2の切替走査により選択された回線信号を第2回線受信部102−2に出力させている。
【0116】
回線切替制御部116が第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2に出力する回線切替制御信号は、例えば4入力端子の番号0〜nを示す4ビットの回線切替制御信号であり、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2は4ビットの回線切替制御信号をデコードすることで入力端子を選択接続する。
【0117】
回線切替制御部116からの4ビットの回線切替制御信号は第1回線受信部102−1及び第2回線受信部102−2にも入力されており、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2から選択出力された回線信号の入力端子番号に対応した回線番号を判別可能としている。
【0118】
なお、第1回線受信部102−1及び第2回線受信部102−2が正常な場合、第1サブ走査回路120−1及び第2サブ走査回路120−2は、番号0の空き端子に固定した状態で切替走査を停止していても良いし、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2に同期して切替走査しても良い。
【0119】
(区画基板60−1故障時の回線切替制御)
図6は
図5の第1回線受信部が故障した場合の回線受信制御を示したブロック図であり、動作部分を実線で示し、動作停止部分を点線で示し、回線切替制御部116は省略している。
【0120】
図6に示すように、回線切替制御部116は、区画基板60−1の故障により第1回線受信部102−1の機能が失われた場合には、切替スイッチ部114−1をオンすることにより第1サブ走査回路120−1の出力を第2回線受信部102−2の入力に切り替え、且つ、第1メイン走査回路118−1及び第2サブ走査回路120−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に固定した状態とする。
【0121】
この状態で回線切替制御部116は、第2メイン走査回路118−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて、第1サブ走査回路120−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114−1を介して正常な区画基板60−2の第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。
【0122】
このように区画基板60−1の故障により第1回線受信部102−1の機能が失われた場合には、第2メイン走査回路118−2及び第1サブ走査回路120−1の順に信号回線を選択する切替走査を行って正常な区画基板60−2の第2回線受信部102−2に入力させることで、故障した区画基板60−1に対応したグループG1に属する火災検知器16による火災監視機能は失われることが無く、高い冗長性が得られる。
【0123】
この場合、グループG1,G2に属する火災検知器16の回線信号の選択周期は、第2メイン走査回路118−2と第1サブ走査回路120−1を順番に切替走査することから2倍の時間がかかることになるが、火災監視に問題となる時間遅れとはならない。
【0124】
(区画基板60−2故障時の回線切替制御)
図7は
図5の第2回線受信部が故障した場合の回線受信制御を示したブロック図であり、動作部分を実線で示し、動作停止部分を点線で示し、回線切替制御部116は省略している。
【0125】
図7に示すように、回線切替制御部116は、区画基板60−2の故障により第2回線受信部102−2の機能が失われた場合には、切替スイッチ部114−2をオンすることにより第2サブ走査回路120−2の出力を第1回線受信部102−1の入力に切り替え、且つ、第1サブ走査回路120−1及び第2メイン走査回路118−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0126】
この状態で回線切替制御部116は、第1メイン走査回路118−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて、第2サブ走査回路120−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114−2を介して正常な区画基板60−1の第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。
【0127】
このように区画基板60−2の故障により第2回線受信部102−2の機能が失われた場合にも、第1メイン走査回路118−1及び第2サブ走査回路120−2の順に信号回線を選択する切替走査を行って正常な区画基板60−1の第1回線受信部102−1に入力させることで、故障した区画基板60−2に対応したグループG2に属する火災検知器16による火災監視機能は失われることが無く、高い冗長性が得られる。
【0128】
(第1メイン走査回路118−1故障時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、回線切替部100−1の第1メイン走査回路118−1が故障した場合、区画基板60−1が故障して第1回線受信部102−1が機能を失った場合と同様に、切替スイッチ部114−1をオンすることにより第1サブ走査回路120−1の出力を第2回線受信部102−2の入力に切り替え、且つ、第1メイン走査回路118−1及び第2サブ走査回路120−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に固定した状態とする。
【0129】
この状態で回線切替制御部116は、第2メイン走査回路118−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて、第1サブ走査回路120−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114−1を介して正常な区画基板60−2の第2回線受信部102−2に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。これにより第1メイン走査回路118−1の故障についても、グループG1の火災検知器16による監視機能が失われることはない。
【0130】
(第2メイン走査回路118−2故障時の回線切替制御)
回線切替制御部116は、回線切替部100−1の第2メイン走査回路118−2が故障した場合、区画基板60−2が故障して第2回線受信部102−2が機能を失った場合と同様に、切替スイッチ部114−2をオンすることにより第2サブ走査回路120−2の出力を第1回線受信部102−1の入力に切り替え、且つ、第1サブ走査回路120−1及び第2メイン走査回路118−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0131】
この状態で回線切替制御部116は、第1メイン走査回路118−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、続いて、第2サブ走査回路120−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を切替スイッチ部114−2を介して正常な区画基板60−1の第1回線受信部102−1に選択出力させた後に、番号0の空き端子に切り替えて固定し、以下、これらの動作を繰り返す。これにより第2メイン走査回路118−2の故障についても、グループG2の火災検知器16による監視機能が失われることはない。
【0132】
(火災検知器以外の端末機器切替制御)
図3に示した上り線トンネル1aに配置された手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24に対応して設けられた回線切替部100−2,100−3,100−4には、
図5に示した火災検知器16に対応した回線切替部100−1の第1メイン走査回路118−1、第1サブ走査回路120−1、第2メイン走査回路118−2、第2サブ走査回路120−2、切替スイッチ部114−1,114−2及び回線切替制御部116と同じ構成が設けられる。
【0133】
この場合、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24は200メートルのブロック区間に分けて800メートル区画で4回線としていることから、第1メイン走査回路、第1サブ走査回路、第2メイン走査回路及び第2サブ走査回路は番号0〜4の入力端子を切替走査することになるが、火災検知器16と同じ番号0〜16の入力端子を切替走査する走査回路を使用すれば、手動通報装置20、消火栓スイッチ22及び水噴霧スイッチ24をグループG1,G2に含めてそれぞれ16回線とすることで、回線切替部100−2,100−3,100−4を一つにまとめ、これに対応して第1回線受信部104−1,106−1,108−1もひとつにまとめ、第2回線受信部104−2,106−2,108−2も一つにまとめることができる。
【0134】
また、第1走査回路及び第2走査回路に対する回線接続は、端末機器の種類毎に統一する必要はなく、種類の異なる端末機器が混在するように回線接続しても良い。
【0135】
(火災検知信号のAND判定)
図3に示した区画制御部96は、
図5に示した区画基板60−1,60−2に故障がない正常時に、第1メイン走査回路118−1からの選択出力により第1回線受信部102−1がグループG1に属する火災検知器16から1回目の火災検知信号の受信と回線番号を判別して出力した場合に、回線切替制御部116に指示して切替スイッチ部114−1をオンして第1メイン走査回路118−1の出力を第2回線受信部102−2の入力に切り替え、且つ、第2メイン走査回路118−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0136】
なお、第1回線受信部102−1及び第2回線受信部102−2が正常な場合、第1サブ走査回路120−1及び第2サブ走査回路120−2は、番号0の空き端子に固定した状態で切替走査を停止するか、第1メイン走査回路118−1及び第2メイン走査回路118−2に同期して切替走査させる。
【0137】
この状態で回線切替制御部116は、第1メイン走査回路118−1に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG1の火災検知器16からの回線信号を選択出力させ、切替スイッチ部114−1を介して第2回線受信部102−2に入力させる。
【0138】
区画制御部96は、第2回線受信部102−2が2回目の火災検知信号の受信と回線番号を出力した場合、1回目と2回目の回線番号を比較し、両者が一致した場合に火災検知信号のAND受信を判別することで、真に火災検知信号が受信されたことを確認して火災警報制御を行う。
【0139】
また、区画制御部96は、第2メイン走査回路118−2からの選択出力により第2回線受信部102−2がグループG2に属する火災検知器16から1回目の火災検知信号の受信と回線番号が判別して出力した場合には、回線切替制御部116に指示して切替スイッチ部114−2をオンして第2メイン走査回路118−2の出力を第1回線受信部102−1の入力に切り替え、且つ、第2メイン走査回路118−2にオールゼロの4ビットの回線切替制御信号を出力して番号0の空き端子に切替接続した状態に固定する。
【0140】
この状態で回線切替制御部116は、第2メイン走査回路118−2に回線切替制御信号を出力して番号1〜nの入力端子に切替えてグループG2の火災検知器16からの回線信号を選択出力させ、切替スイッチ部114を介して第1回線受信部102−1に入力させる。
【0141】
区画制御部96は、第1回線受信部102−1が2回目の火災検知信号の受信と回線番号を出力した場合、1回目と2回目の回線番号が一致するAND受信を判別することで、真に火災検知信号が受信されたことを確認して判断して火災警報制御を行う。
【0142】
このように
図5の回線切替部100−1についても、火災検知信号のAND受信を判別して火災警報制御を行うことにより、火災検知器が誤動作などにより一時的に火災検知信号を出力した場合、火災検知信号のAND受信が行われず、誤報によりトンネル通行を遮断してしまうようなことがなく、火災監視の信頼性が向上できる。
【0143】
なお、端末機器からの回線信号のAND受信の判定は、火災検知器以外の他の端末機器についても必要に応じて行うようにしても良い。
【0144】
[本発明の変形例]
(端末機器)
上記の実施形態は、区画基板に信号回線により接続される端末機器として、火災検知器、手動通報装置、消火栓スイッチ、水噴霧スイッチを例にとっているが、これに限定されず、火災に関連して操作する適宜の端末機器の操作、例えば非常電話の通報操作、消火器の取出等を端末機器として区画基板に接続する場合にも適用できる。
【0145】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。