特許第6871109号(P6871109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871109
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20210426BHJP
   C09J 133/16 20060101ALI20210426BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20210426BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J133/16
   C09J133/08
   C09J11/06
   B32B27/30 A
   B32B27/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-158681(P2017-158681)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2018-31004(P2018-31004A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2020年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-161320(P2016-161320)
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-161321(P2016-161321)
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石堂 泰志
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−249327(JP,A)
【文献】 特開2014−043476(JP,A)
【文献】 特開平07−286145(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/089687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 27/00,27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記粘着剤層は、アクリル共重合体及び前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有し、
前記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、
前記アクリル共重合体100重量部に対する前記構成単位の重量部数と前記モノマー1分子当たりの前記極性官能基の数との積が0.01〜5であり、
前記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、115重量%以下である
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記粘着剤層は、アクリル共重合体及び前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有し、
前記アクリル共重合体は、炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を50重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、
前記アクリル共重合体100重量部に対する前記構成単位の重量部数と前記モノマー1分子当たりの前記極性官能基の数との積が0.01〜5であり、
前記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、115重量%以下である
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項3】
幅が5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
電子機器の部品を固定するために用いられることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器において部品を固定する際、粘着テープが広く用いられている。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために粘着テープが用いられている。このような電子機器部品の固定に用いられる粘着テープは高い粘着性に加え、使用される部位の環境に応じて、耐熱性、熱伝導性、耐衝撃性等の機能が要求されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
近年、電子機器の小型化、軽量化及び低コスト化によって、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末等の常に身に着けたり、手元に置いたりするタイプの電子機器が広く普及している。このような携帯型の電子機器は、頻繁に使用され、また、タッチパネル等により素手で操作が行われることから、粘着テープには、頻繁に手が触れる部分に用いられていても皮脂によって劣化しない性能が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−052050号公報
【特許文献2】特開2015−021067号公報
【特許文献3】特開2015−120876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、アクリル共重合体及び前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有し、前記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5であり、前記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、115重量%以下である粘着テープ(「第1の本発明の粘着テープ」ともいう)である。
【0007】
また、本発明は、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、アクリル共重合体及び前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有し、前記アクリル共重合体は、ニトリル基含有モノマーに由来する構成単位を10重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5であり、前記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、115重量%以下である粘着テープ(「第2の本発明の粘着テープ」ともいう)である。
【0008】
また、本発明は、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、アクリル共重合体及び前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有し、前記アクリル共重合体は、炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を50重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5であり、前記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、115重量%以下である粘着テープ(「第3の本発明の粘着テープ」ともいう)である。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープにおいて、特定のアクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成するとともに、該粘着剤層の60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率を特定範囲に調整することを検討した。その結果、本発明者らは、このような粘着剤層とすることにより、皮脂の主成分であるオレイン酸に対する粘着テープの耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
第1の本発明の粘着テープは、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する。
第1の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、アクリル共重合体及び上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有する。
【0011】
第1の本発明の粘着テープにおいて、上記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5である。
このようなアクリル共重合体は、皮脂の主成分であるオレイン酸に対する膨潤率が低い。このため、上記アクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成することにより、粘着テープの皮脂への耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。
【0012】
上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であれば、フッ素自身の高い撥水撥油性と、フッ素原子の密なパッキングとにより、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのオレイン酸の浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のオレイン酸に対する膨潤率が低くなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。同様に、フッ素自身の高い撥水撥油性と、フッ素原子の密なパッキングとにより、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのアルコールの浸入が抑えられることから、上記アクリル共重合体のアルコールに対する膨潤率が低くなり、粘着テープのアルコール耐性が向上する。上記含有量の好ましい下限は40重量%、より好ましい下限は50重量%である。
上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は80重量%である。上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量が80重量%以下であれば、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができ、粘着テープが充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量のより好ましい上限は70重量%である。
【0013】
上記フッ素含有モノマーは特に限定されず、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルアクリレート等が挙げられる。なかでも、より高い粘着力を発揮できることから、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートが好ましい。これらのフッ素含有モノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0014】
第2の本発明の粘着テープは、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する。
第2の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、アクリル共重合体及び上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有する。
【0015】
第2の本発明の粘着テープにおいて、上記アクリル共重合体は、ニトリル基含有モノマーに由来する構成単位を10重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5である。
このようなアクリル共重合体は、皮脂の主成分であるオレイン酸に対する膨潤率が低い。このため、上記アクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成することにより、粘着テープの皮脂への耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。
【0016】
上記ニトリル基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が10重量%以上であれば、上記アクリル共重合体の極性及び凝集力が高くなり、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのオレイン酸の浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のオレイン酸に対する膨潤率が低くなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。また、上記アクリル共重合体の凝集力が高くなることで、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのアルコールの浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のアルコールに対する膨潤率が低くなり、粘着テープのアルコール耐性が向上する。上記含有量の好ましい下限は13重量%である。
上記ニトリル基含有モノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は20重量%である。上記ニトリル基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が20重量%以下であれば、粘着テープが充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量のより好ましい上限は17重量%である。
【0017】
上記ニトリル基含有モノマーとして、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。なかでも、より優れた粘着力を発揮できることから、アクリロニトリルが好ましい。これらのニトリル基含有モノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
なお、本明細書において(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0018】
第3の本発明の粘着テープは、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する。
第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、アクリル共重合体及び上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有する。
【0019】
第3の本発明の粘着テープにおいて、上記アクリル共重合体は、炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を50重量%以上含有し、かつ、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価が0.01〜5である。
このようなアクリル共重合体は、皮脂の主成分であるオレイン酸に対する膨潤率が低い。このため、上記アクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成することにより、粘着テープの皮脂への耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。
【0020】
上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量が50重量%以上であれば、上記アクリル共重合体の極性及び凝集力が高くなり、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのオレイン酸の浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のオレイン酸に対する膨潤率が低くなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記含有量の好ましい下限は55重量%、より好ましい下限は60重量%である。
上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は99重量%である。上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量が99重量%以下であれば、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができ、粘着テープが充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量のより好ましい上限は97重量%である。
【0021】
上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0022】
以下、第1〜第3の本発明の粘着テープに共通する事項について説明する。
本明細書においてアクリル共重合体の水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つの極性官能基の極性官能基価とは、アクリル共重合体中の上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量を意味する。なお、モノマーが2価以上である(モノマーが上記極性官能基を2つ以上有する)場合には、上記極性官能基1価相当に換算した含有量を意味する。上記極性官能基には、シランカップリング剤由来の極性官能基は含まない。
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記極性官能基価が0.01以上であれば、上記アクリル共重合体の極性及び凝集力が高くなり、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのオレイン酸の浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のオレイン酸に対する膨潤率が低くなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記極性官能基価が5以下であれば、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができ、粘着テープが充分な粘着力を発揮することができる。上記極性官能基価の好ましい下限は0.05、好ましい上限は4であり、より好ましい下限は0.1、より好ましい上限は3である。
【0023】
上記極性官能基は、架橋反応等の反応性を有するものであり、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つである。なかでも、粘着力の向上に寄与できることから、水酸基又はカルボキシル基が好ましい。
上記水酸基を有するモノマーとして、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。上記エポキシ基を有するモノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの極性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0024】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記アクリル共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、酢酸ビニル等に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0025】
上記アクリル共重合体は、重量平均分子量の好ましい下限が50万、好ましい上限が200万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が上記範囲であることによって、粘着テープの粘着力が向上する。上記アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は70万、より好ましい上限は150万である。
なお、重量平均分子量は、重合条件(例えば、重合開始剤の種類又は量、重合温度、モノマー濃度等)によって調整できる。
【0026】
上記アクリル共重合体を合成するには、上記構成単位の由来となるアクリルモノマーを重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、合成が簡便であることから、溶液重合が好ましい。また、特にアクリロニトリルに由来する構成単位の含有量を多くする場合には、エマルジョン重合が好ましい。
【0027】
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0028】
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0029】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部のシランカップリング剤を含有する。
上記粘着剤層にシランカップリング剤を添加することにより、粘着テープと被着体との界面の接着強度を高めることができる。このため、上述したようなオレイン酸に対する膨潤率が低いアクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成することにより、粘着テープの皮脂への耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。
【0030】
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0031】
上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部以上であれば、粘着テープと被着体との界面の接着強度が高くなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記シランカップリング剤の含有量が5重量部以下であれば、粘着テープを剥離した際の糊残りを抑えることができ、粘着テープのリワーク性が向上する。上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.5重量部、好ましい上限は4重量部であり、より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は3重量部である。
【0032】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤、その他の樹脂等を含有していてもよい。
【0033】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、ゲル分率が10重量%以上であることが好ましい。上記ゲル分率が10重量%以上であれば、後述する粘着剤層の60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率を特定範囲に調整しやすくなり、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記ゲル分率のより好ましい下限は20重量%である。
上記ゲル分率の上限は特に限定されないが、好ましい上限は99重量%、より好ましい上限は95重量%である。
なお、本明細書における「ゲル分率」とは、下記式(1)のように酢酸エチルに浸漬する前の粘着剤層の重量に対する酢酸エチルに浸漬し、乾燥した後の粘着剤層の重量の割合を百分率で表した値である。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:酢酸エチル浸漬前の粘着テープ試験片の重量、W2:酢酸エ
チル浸漬、乾燥後の粘着テープ試験片の重量)
【0034】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率(「オレイン酸膨潤率」ともいう)が100重量%以上、115重量%以下である。
上述したようなオレイン酸に対する膨潤率が低いアクリル共重合体と、シランカップリング剤とを併用して粘着剤層を形成するとともに、上記膨潤率を上記範囲に調整することにより、粘着テープの皮脂への耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。
なお、本明細書における「オレイン酸膨潤率」とは、下記式(2)のようにオレイン酸に浸漬する前の粘着剤層の重量に対するオレイン酸に浸漬し、乾燥した後の粘着剤層の重量の割合を百分率で表した値である。オレイン酸への粘着剤成分の溶出がある場合、オレイン酸膨潤率は100重量%を下回る。
オレイン酸膨潤率(重量%)=100×(W5−W3)/(W4−W3) (2)
(W3:基材の重量、W4:オレイン酸浸漬前の粘着テープ試験片の重量、W5:オレイン酸浸漬、乾燥後の粘着テープ試験片の重量)
【0035】
上記粘着剤層の60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上であれば、オレイン酸への粘着剤成分の溶出がないことを意味しており、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記粘着剤層の60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が115重量%以下であれば、粘着テープの皮脂への耐性が向上する。上記膨潤率の好ましい上限は110重量%であり、より好ましい上限は105重量%である。
【0036】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でイソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液に24時間浸漬した後の膨潤率(「アルコール膨潤率」ともいう)が100重量%以上、150重量%以下であることが好ましい。
なお、本明細書における「アルコール膨潤率」とは、下記式(3)のようにイソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液に浸漬する前の粘着剤層の重量に対するイソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液に浸漬し、乾燥した後の粘着剤層の重量の割合を百分率で表した値である。混合液への粘着剤成分の溶出がある場合、アルコール膨潤率は100重量%を下回る。
アルコール膨潤率(重量%)=100×(W8−W6)/(W7−W6) (3)
(W6:基材の重量、W7:イソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液浸漬前の粘着テープ試験片の重量、W8:イソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液浸漬、乾燥後の粘着テープ試験片の重量)
【0037】
上記粘着剤層の60℃、湿度90%の条件で上記混合液に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上であれば、上記混合液への粘着剤成分の溶出がないことを意味しており、粘着テープのアルコール耐性が向上する。上記粘着剤層の60℃、湿度90%の条件で上記混合液に24時間浸漬した後の膨潤率が150重量%以下であれば、粘着テープのアルコール耐性が向上する。上記膨潤率のより好ましい上限は140重量%であり、更に好ましい上限は130重量%である。
【0038】
第1〜第3の本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが5μm以上であれば、粘着テープの粘着力が向上する。上記粘着剤層の厚みが100μm以下であれば、粘着テープの加工性が向上する。
【0039】
第1〜第3の本発明の粘着テープは、少なくとも一方の面に上記粘着剤層を有していれば、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に上記粘着剤層が形成されていてもよいし、両面に上記粘着剤層が形成されていてもよい。
【0040】
上記基材は特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム等が挙げられる。更に、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエチレン発泡体シート、ポリプロピレン発泡体シート等のポリオレフィン発泡体シート、ポリウレタン発泡体シート等が挙げられる。なかでも、PETフィルムが好ましい。また、耐衝撃性の観点からはポリオレフィン発泡体シートが好ましい。
また、上記基材として、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着された基材等も用いることができる。
【0041】
第1〜第3の本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、例えば、第1〜第3の本発明の粘着テープが基材を有する両面粘着テープである場合は以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、シランカップリング剤及び必要に応じて添加剤等に溶剤を加えてアクリル粘着剤aの溶液を作製して、このアクリル粘着剤aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層aを形成する。次に、形成された粘着剤層aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面にアクリル粘着剤bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層aが形成された基材の裏面に、粘着剤層bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得ることができる。
【0042】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得てもよい。
【0043】
第1〜第3の本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、皮脂への耐性に優れているため、人の手が頻繁に触れる電子機器の部品を固定するために特に好ましく用いることができる。具体的には、スマートフォンやタブレット端末等の携帯電子機器のタッチパネル部分を固定したり、カーナビ等の車載電子機器のディスプレイパネル部分を固定したりするのに第1〜第3の本発明の粘着テープを好ましく用いることができる。
【0044】
第1〜第3の本発明の粘着テープの形状は特に限定されず、長方形等であってもよいし、シート状であってもよい。上述のようにタッチパネル部分又はディスプレイパネル部分の固定に好適であることから、額縁状が好ましい。また、第1〜第3の本発明の粘着テープは、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に上記粘着剤層が形成されていてもよいし、両面に上記粘着剤層が形成されていてもよい。また、第1〜第3の本発明の粘着テープは、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持できるため、粘着テープの幅が狭くても好ましく用いることができ、粘着テープの幅が5mm以下の場合に特に好ましく用いることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0047】
(実施例1)
(1)アクリル共重合体の製造
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入し、アクリロニトリル14重量部、アクリル酸3重量部、ブチルアクリレート83重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、アクリル共重合体含有溶液を得た。
【0048】
(2)アクリル共重合体の分子量測定
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしてはGPC LF−804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
【0049】
(3)片面粘着テープの製造
得られたアクリル共重合体含有溶液に、アクリル共重合体100重量部に対してシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3重量部、架橋剤としてテトラッドC(三菱ガス化学製)を0.3重量部(固体成分比率)加え、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルム上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが35μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させて粘着剤層を形成させた。この粘着剤層を、基材となる厚み50μmのコロナ処理したPETフィルムに転着させ、40℃で48時間養生し、片面粘着テープを得た。
【0050】
(4)ゲル分率の測定
得られた片面粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:酢酸エチル浸漬前の試験片の重量、W2:酢酸エチル浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0051】
(5)オレイン酸膨潤率の測定
得られた片面粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片をオレイン酸中に60℃、湿度90%の条件下にて24時間浸漬した後、試験片をオレイン酸から取り出し、エタノールで表面を洗浄後、110℃にて3時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(2)を用いてオレイン酸膨潤率を算出した。
オレイン酸膨潤率(重量%)=100×(W5−W3)/(W4−W3) (2)
(W3:基材の重量、W4:オレイン酸浸漬前の試験片の重量、W5:オレイン酸浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0052】
(実施例2〜8、比較例1〜6)
使用するモノマー及びシランカップリング剤の種類及び量を表1に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして片面粘着テープを得た。
【0053】
<評価>
実施例及び比較例で得られた片面粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力)
得られた片面粘着テープを5mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。この試験片をステンレス板に、その粘着剤層がステンレス板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片とステンレス板とを貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して試験サンプルを作製した。
この試験サンプルをオレイン酸のバスに60℃、湿度90%の条件で24時間浸漬し、取り出した後水で洗浄し、24時間静置した。その後、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)を測定した。なお、180°引きはがし粘着力が機器の測定限界値未満であった場合は0とした。
オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)が1.0N/5mm以上であった場合を◎、0.15N/5mmを超えて1.0N/5mm未満であった場合を○、0.15N/5mm以下であった場合を×とした。
【0054】
【表1】
【0055】
なお、実施例1〜8で得られた片面粘着テープについては、以下のようにしてアルコール膨潤率の測定及びアルコール浸漬後の180°引きはがし粘着力の評価を行った。結果を表2に示した。
【0056】
(アルコール膨潤率の測定)
得られた片面粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片をイソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液中に60℃、湿度90%の条件下にて24時間浸漬した後、試験片を混合液から取り出し、エタノールで表面を洗浄後、110℃にて3時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(3)を用いてアルコール膨潤率を算出した。
アルコール膨潤率(重量%)=100×(W8−W6)/(W7−W6) (3)
(W6:基材の重量、W7:イソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液浸漬前の試験片の重量、W8:イソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0057】
(アルコール浸漬後の180°引きはがし粘着力)
上記オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力と同様にして試験サンプルを作製した。
この試験サンプルをイソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液のバスに60℃、湿度90%の条件で24時間浸漬し、取り出した後水で洗浄し、24時間静置した。その後、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、イソプロパノ−ル80重量%と水20重量%との混合液浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)を測定した。なお、180°引きはがし粘着力が機器の測定限界値未満であった場合は0とした。
混合液浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)が1.0N/5mm以上であった場合を◎、0.2N/5mm以上1.0N/5mm未満であった場合を○、0.2N/5mm未満であった場合を×とした。
【0058】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維
持することができる粘着テープを提供することができる。