特許第6871118号(P6871118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871118
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20210426BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20210426BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   F28F1/32 U
   F28F1/32 W
   F28F1/32 X
   F28D7/16 D
   F24H9/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-187375(P2017-187375)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-60577(P2019-60577A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 進
(72)【発明者】
【氏名】村山 成樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 竹年
(72)【発明者】
【氏名】諸我 勝巳
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−144979(JP,A)
【文献】 特開平05−118665(JP,A)
【文献】 実開昭51−037654(JP,U)
【文献】 実開昭58−021787(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0247434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F24H 9/00
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下左右に一定の間隔で配設された複数のフィンパイプと、該フィンパイプの軸線方向に沿って所定の間隔で配列された複数枚のフィンプレートとを燃焼缶体内に備え、前記フィンプレートには、前記フィンプレートの下縁から燃焼ガスの流れ方向の下流側に向かって切り欠いた間隙が形成され、該間隙の先端側は上下段に矩形状に配置された前記フィンパイプで囲まれる矩形空間の略中央部に位置し、前記間隙の先端側周縁には、前記フィンプレート表面から隆起した隆起部が設けられ、前記フィンプレートの下縁側から進入し隣り合う前記フィンプレート間を流れる前記燃焼ガスの熱を前記フィンプレートを介して前記フィンパイプに吸収させるようにした熱交換器において、前記フィンプレート上縁であって、前記隆起部の上方且つ上段の隣接する前記フィンパイプの間の位置に、直角方向に折り曲げられ燃焼ガスを上段の前記フィンパイプの下流側に案内する上縁折曲部を設け、該上縁折曲部の高さと前記隆起部の高さとを同程度の高さとし、前記上縁折曲部の先端縁および前記隆起部の先端縁が、該先端縁と対向する隣のフィンプレート裏面に近接する、または接するように配されるようにし、前記上下段に矩形状に配置された前記フィンパイプで囲まれる矩形空間の略中央部に位置する前記間隙の先端側を略ひし形状とし、該略ひし形状の前記間隙の周縁に前記フィンプレート表面から隆起した前記隆起部が設けられ、前記隆起部は、略ひし形状をなすための4辺の直線部を有し、該直線部のそれぞれは、前記略ひし形状の間隙を囲むように前記矩形状に配置された前記フィンパイプのうち、前記直線部と略直交する方向に位置する前記フィンパイプと対向するように配設したことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記隆起部は、平面視で、少なくとも一部が前記フィンパイプと重なるような大きさで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換効率の向上を図り得るフィンチューブ式の熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の熱交換器では、図7に示すように、フィンパイプ101と結合したフィンプレート102において、フィンプレート102の下縁から燃焼ガス流れ方向下流側に向かって切り欠いた間隙103が設けられ、その間隙103の先端側周縁にフィンプレート102表面から隆起した隆起部104を有するものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この熱交換器では、隆起部104で燃焼ガスから吸収された熱量がフィンプレート102を介してフィンパイプ101に伝達されるものであるが、この熱交換器を通過する燃焼ガスは、図7の破線で示されているように、上段のフィンパイプ101の下流側(上段のフィンパイプ101の背面側)にはほとんど案内されておらず、上段のフィンパイプ101の間を抜けるだけであり、上段のフィンパイプ101における吸熱量が少なく、熱交換効率の低下を招く要因となっているものであり、熱交換器としての熱交換効率に関して言えば未だ改善の余地があるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、上下左右に一定の間隔で配設された複数のフィンパイプと、該フィンパイプの軸線方向に沿って所定の間隔で配列された複数枚のフィンプレートとを燃焼缶体内に備え、前記フィンプレートには、前記フィンプレートの下縁から燃焼ガスの流れ方向の下流側に向かって切り欠いた間隙が形成され、該間隙の先端側は上下段に矩形状に配置された前記フィンパイプで囲まれる矩形空間の略中央部に位置し、前記間隙の先端側周縁には、前記フィンプレート表面から隆起した隆起部が設けられ、前記フィンプレートの下縁側から進入し隣り合う前記フィンプレート間を流れる前記燃焼ガスの熱を前記フィンプレートを介して前記フィンパイプに吸収させるようにした熱交換器において、前記フィンプレート上縁であって、前記隆起部の上方且つ上段の隣接する前記フィンパイプの間の位置に、直角方向に折り曲げられ燃焼ガスを上段の前記フィンパイプの下流側に案内する上縁折曲部を設け、該上縁折曲部の高さと前記隆起部の高さとを同程度の高さとし、前記上縁折曲部の先端縁および前記隆起部の先端縁が、該先端縁と対向する隣のフィンプレート裏面に近接する、または接するように配されるものとし、前記上下段に矩形状に配置された前記フィンパイプで囲まれる矩形空間の略中央部に位置する前記間隙の先端側を略ひし形状とし、該略ひし形状の前記間隙の周縁に前記フィンプレート表面から隆起した前記隆起部が設けられ、前記隆起部は、略ひし形状をなすための4辺の直線部を有し、該直線部のそれぞれは、前記略ひし形状の間隙を囲むように前記矩形状に配置された前記フィンパイプのうち、前記直線部と略直交する方向に位置する前記フィンパイプと対向するように配設するものとした。
【0007】
また、請求項では、前記隆起部は、平面視で、少なくとも一部が前記フィンパイプと重なるような大きさで形成されているものとした。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、フィンプレート上縁であって、隆起部の上方且つ上段の隣接するフィンパイプの間の位置に、直角方向に折り曲げられ燃焼ガスを上段のフィンパイプの下流側に案内する上縁折曲部を設けたことで、隆起部と上段のフィンパイプの間を抜けた燃焼ガスは、上段のフィンパイプの下流側に案内されるので、上段のフィンパイプでの下流側でも吸熱され、上段のフィンパイプにおける吸熱量も多くなり、熱交換効率を向上させることができるものであり、さらに、上縁折曲部の高さと隆起部の高さとは同程度の高さであり、上縁折曲部の先端縁および隆起部の先端縁が、先端縁と対向する隣のフィンプレート裏面に近接するか接するように配されることから、複数枚配列されたフィンプレートの下縁側から進入する燃焼ガスの大半は、フィンプレート間において、フィンパイプと隆起部と上縁折曲部との間に形成されるほぼ決められた燃焼ガス流路を強制的に流れるので、全体的に流速が均一化され、フィンパイプ表面に沿うように進む燃焼ガスの流れも増加し、熱交換効率を向上させることができるものである。
【0009】
また、上下段に矩形状に配置されたフィンパイプで囲まれる矩形空間の略中央部に位置する間隙の先端側を略ひし形状とし、略ひし形状の間隙の周縁にフィンプレート表面から隆起した隆起部が設けられ、隆起部は、略ひし形状をなすための4辺の直線部を有し、直線部のそれぞれは、略ひし形状の間隙を囲むように矩形状に配置されたフィンパイプのうち、直線部と略直交する方向に位置するフィンパイプと対向するように配設するようにしたことで、隆起部で燃焼ガスから吸収した熱は、4辺の直線部からそれぞれが対向しているフィンパイプに対してフィンプレートを介して伝熱されるので、それぞれのフィンパイプに偏りなく均一に吸熱させることができ、熱交換効率を向上させることができるものである。
【0010】
また、請求項によれば、隆起部は、平面視で、少なくとも一部がフィンパイプと重なるような大きさで形成されていることで、熱交換器に流入し隆起部の外縁と下段のフィンパイプとの間を進行してきた燃焼ガスは、下段のフィンパイプの後流側までスムーズに案内され、下段のフィンパイプにおける吸熱量も多くなると共に、上段のフィンパイプの前流側にもスムーズに案内されるので、上段のフィンパイプにおける吸熱量も多くなり、さらに、隣り合う隆起部同士の間で燃焼ガス同士を確実にぶつけることができ、燃焼ガスの乱流化を促進するので、熱交換効率を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態の熱交換器を備えた給湯装置の概略構成図。
図2図1のA−A線による断面図。
図3】熱交換器を構成するフィンプレートの斜視図。
図4図2のB−B線による断面図。
図5】この発明の一実施形態の熱交換器における燃焼ガスの流れを示す図。
図6】この発明の一実施形態の熱交換器の要部拡大図。
図7】従来の熱交換器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る熱交換器の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の熱交換器を備えた給湯装置の概略的な構成図であり、以下に詳細を説明する。
【0013】
1は所定の端末(給湯栓等)で使用される湯を生成する給湯装置、2は灯油等の燃油を気化するアルミダイキャスト製の気化器、3は気化器2に備えられ燃油を気化可能な温度まで加熱する気化器ヒータ、4は気化器2の下部に位置し、気化器2で気化された気化ガスと一次空気とを予混合するアルミダイキャスト製の混合室で、前記気化器2と混合室4とで燃油を気化させる気化部5を形成するものである。
【0014】
6は混合室4上部で気化器2の背面側に備えられ、混合室4で予混合された予混合ガスを燃焼させる燃焼部で、この燃焼部6と気化部5とでバーナを構成するものである。また、7は気化器2と一体的に形成され、気化器2の背面で燃焼部6上に突出した複数個の吸熱フィンで、燃焼時には燃焼熱を気化熱として気化器2にフィードバックして、気化器ヒータ3の通電量を極力抑えるものである。
【0015】
8は気化器2に燃油を噴霧するノズル、9はノズル8に送油管10を介して燃油を圧送する電磁ポンプ、11は燃焼ファンで、燃焼ファン11は送風路12を介して気化器2の入口および燃焼部6とカバー枠13との間の空気室14とに連通し、吸込口15より吸引した燃焼空気を、気化器2には予混合用の一次空気として供給し、空気室14には気化器2側方を通り混合室4の下方から燃焼部6で燃焼される二次空気として供給するものである。
【0016】
16は内部に燃焼室17を形成すると共に熱交換器18を備えた燃焼缶体で、熱交換器18は、燃焼室17においてバーナ(燃焼部6)の燃焼により発生した熱(燃焼炎および燃焼ガスからの熱)を複数枚のフィンプレート19を介してフィンパイプ20に吸収させ、フィンパイプ20を流通する水を加熱するフィンチューブ式の熱交換器からなり、フィンパイプ20はU字管21を介して連通連結され、蛇行した熱交換流路を形成するものであり、熱交換器18を通過した燃焼ガスは排気口22より機外に排気される。なお、熱交換器18の詳細な構成については後述する。
【0017】
23は給水源から供給される水を熱交換器18における前記熱交換流路の流入口に流通させる給水管、24は熱交換器18における前記熱交換流路の流出口に接続され、熱交換器18で加熱された湯を所定箇所に設けられた給湯栓(図示せず)に供給する給湯管、25は給水管23から分岐した給水バイパス管、26は給湯管24と給水バイパス管25との接続部に設けられ、給湯管24からの湯と給水バイパス管25からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁である。なお、フィンパイプ20とU字管21と給水管23と給湯管24と給水バイパス管25とで水が流通する給湯回路を構成するものである。
【0018】
次に、熱交換器18の詳細な構成について、図2図4を用いて説明する。
図2図1におけるA−A線による断面図で、熱交換器18の要部を正面視した図であり、図3は熱交換器18を構成するフィンプレート19の斜視図であり、図4図2におけるB−B線による断面図である。
【0019】
前記熱交換器18は、上下左右に一定の間隔で配設され、被加熱流体としての水が流れる複数本のフィンパイプ20(この実施形態では10本のフィンパイプ20)と、フィンパイプ20の軸線方向に沿って所定の間隔をおいて配列された複数枚のフィンプレート19とで構成されており、フィンプレート19にはフィンパイプ20を通すための複数の貫通孔27(フィンプレート19表面から隆起した貫通孔27のバーリング27aと、ロウ材を挿通させるためのロウ材用孔27bも含む)が形成され、フィンパイプ20は、ロウ材用孔27bに挿通されたロウ材によって、複数の貫通孔27の各々のバーリング27aの内縁とロウ付けされてフィンプレート19に固定されるものである。なお、上下左右に配設されたフィンパイプ20には、同一の被加熱流体、ここでは給湯用の水が流通するものである。
【0020】
各フィンプレート19は、下段の隣り合うフィンパイプ20の間であってフィンプレート19の下縁から燃焼ガス流れ方向下流側に向かって切り欠いた間隙28(この実施形態では1枚のフィンプレート19当たり4つの間隙28)が形成され、間隙28の先端側は、複数のフィンパイプ20のうち上下段に矩形状に配置された4本のフィンパイプ20で囲まれる矩形空間の略中央部に位置し、下段の隣り合うフィンパイプ20の間に位置する間隙28よりも幅広で正面視略ひし形状をなしているものであり、間隙28が形成されていることによってフィンパイプ20間のフィンプレート19が局部的に過剰に加熱されるのを抑制できるものである。なお、間隙28は、フィンプレート19の下縁まで形成されているとしたが、ここでの下縁とは、図面(図2)の上下方向に合わせて下縁と表現したまでで、本質的には、フィンプレート19の下縁とは、燃焼ガスの流れ方向の上流側に位置するフィンプレート19縁側を意味しているものである。
【0021】
また、略ひし形状をなす間隙28の先端側周縁には、フィンプレート19表面から隆起した隆起部29が設けられ、隆起部29は、図2に示されているように、フィンプレート19の正面視(フィンパイプ20の軸線方向から見て)において、4辺の直線部29aとそれらの直線部29a間をつなぐ曲線部29bとを有しており、それらが一体となって略ひし形状をなしているものである。
【0022】
なお、隆起部29を構成する4辺の直線部29aのそれぞれは、間隙28の先端側を囲むように矩形状に配置された4本のフィンパイプ20のうち、当該直線部29aと略直交する方向に位置するフィンパイプ20と対向するように配設されていることで、隆起部29で燃焼ガスから吸収した熱は、4辺の直線部29aからそれぞれが対向しているフィンパイプ20に対してフィンプレート19を介して伝熱されるので、それぞれのフィンパイプ20に偏りなく均一に吸熱させることができ、熱交換効率を向上させることができるものである。
【0023】
また、各フィンプレート19の左右両端縁には、直角方向(隆起部29がフィンプレート19表面から隆起している方向と同方向)に折り曲げられ、燃焼缶体16の内壁に対してロウ付け接合される側縁折曲部としての側縁折り曲げ片30が設けられているものである。
【0024】
さらに、各フィンプレート19の上縁であって、上段の隣接するフィンパイプ20の間の位置には、直角方向(隆起部29がフィンプレート19表面から隆起している方向と同方向)に折り曲げられ、燃焼ガスを上段のフィンパイプ20の下流側(フィンパイプ20の背面側)に案内する上縁折曲部としての上縁折り曲げ片31(この実施形態では1枚のフィンプレート19当たり4つの上縁折り曲げ片31)が設けられている。また、上縁折り曲げ片31の折り曲げ位置に相当する上縁折り曲げ片31基端部の両側端には、フィンプレート19上縁から燃焼ガス流れ方向上流側に向かってU字状に切り欠かれた切欠部32がそれぞれ形成されており、図2のようにフィンプレート19を正面視した場合に、切欠部32の先端(最下端)の位置は、上縁折り曲げ片31基端部の位置よりも下方に位置している。これは、フィンプレート19上縁を折り曲げ加工して上縁折り曲げ片31を形成する際に、上記のU字状の切欠部32がないと、上縁折り曲げ片31の折り曲げ位置である上縁折り曲げ片31基端部の両側端側に応力が集中して折り曲げ加工時にフィンプレート19に亀裂が入るおそれがあるからであり、上記のU字状の切欠部32があることで、上縁折り曲げ片31基端部の両側端における亀裂発生を防止することができるものである。
【0025】
なお、上縁折り曲げ片31は、フィンプレート19の上縁に設けられているとしたが、ここでの上縁とは、図面(図2)の上下方向に合わせて上縁と表現したまでで、本質的には、フィンプレート19の上縁とは、燃焼ガスの流れ方向の下流側に位置するフィンプレート19縁側を意味しているものである。
【0026】
ここで、図4図4図2におけるB−B線の断面図で、ここでは複数枚あるフィンプレート19のうち、説明のため3枚のみを図示し、特に隆起部29および上縁折り曲げ片31を図示し、フィンパイプ20、バーリング27a、側縁折り曲げ片30については図示を省略している)に示したように、上縁折り曲げ片31の高さ(隆起部29がフィンプレート19表面から隆起している方向と同方向の上縁折り曲げ片31の折り曲げ長さを指す。)と、隆起部29の高さ(フィンプレート19表面から隆起した隆起部29の長さを指す。)とは同程度(同一または略同一を含む)の高さ(長さ)であり、複数枚のフィンプレート19がフィンパイプ20の軸線方向に沿って所定の間隔をおいて配列された場合に、上縁折り曲げ片31の先端縁が、上縁折り曲げ片31の先端縁と対向する隣のフィンプレート19裏面に、近接するか、または接するように上縁折り曲げ片31の高さが設定されると共に、隆起部29の先端縁が、隆起部29の先端縁と対向する隣のフィンプレート19裏面に近接するか、または接するように隆起部29の高さが設定されるものである。なお、上述の上縁折り曲げ片31の先端縁または隆起部29の先端縁がそれと対向する隣のフィンプレート19裏面に近接する状態というのは、上縁折り曲げ片31の高さ、隆起部29の高さが、フィンプレート19表面から対向する隣のフィンプレート19裏面までの隙間の9割以上を閉塞するような長さを有しており、対向する隣のフィンプレート19の裏面に接しない程度に近接していることを意味するものである。また、上述のように、上縁折り曲げ片31の高さと隆起部29の高さとを同程度の高さとしたが、バーリング27aの高さ(フィンプレート19表面から隆起したバーリング27aの長さを指す。)と、側縁折り曲げ片30の高さ(隆起部29がフィンプレート19表面から隆起している方向と同方向の側縁折り曲げ片30の長さを指す。)も、上縁折り曲げ片31の高さおよび隆起部29の高さと同程度(同一または略同一を含む)の高さである。
【0027】
前記熱交換器18は、上記の構成、特に、隆起部29を有していることで、隆起部29において燃焼ガスから吸収した熱量をフィンプレート19を介してフィンパイプ20に伝達してフィンパイプ20内を流れる水の加熱に用いることができるものである。
【0028】
次に、熱交換器18を通過する燃焼ガスの流れについて図5を用いて説明するが、ここでは、間隙28内に進入する燃焼ガス以外の燃焼ガスの流れについて説明するものであり、その燃焼ガスの流れを破線で示している。
バーナ(燃焼部6)での燃焼により発生した燃焼ガスは、熱交換器18に流入し、略ひし形状の間隙28内に進入する燃焼ガスと、略ひし形状の間隙28内に進入する燃焼ガス以外の燃焼ガスとに分かれ、略ひし形状の間隙28内に進入する燃焼ガス以外の燃焼ガスは、破線で示されているように、まず、下段のフィンパイプ20の前流側から側方側に沿って上昇し、下段のフィンパイプ20と対向する隆起部29の直線部29aと、下段のフィンパイプ20との間を抜けて、隣接する隆起部29の間に位置する×印の近傍でぶつかって乱流化しながら上昇し、上段のフィンパイプ20と対向する隆起部29の直線部29aと、上段のフィンパイプ20との間を抜けて、フィンプレート19の上縁であって、略ひし形状の間隙28の上方且つ上段の隣接するフィンパイプ20の間の位置に設けられた上縁折り曲げ片31によって、上段のフィンパイプ20の下流(背面)側に案内されて、熱交換器18から流出していくものである。
【0029】
ここで、間隙28の先端側に当たる略ひし形状の間隙28周縁に隆起する隆起部29は、図6に示すように、平面視で、フィンプレート19の上縁側から下縁側に向かって垂直方向に見て(または、フィンプレート19の下縁側から上縁側に向かって垂直方向に見るのでもよい)、少なくとも一部がフィンパイプ20と重なるように形成、すなわち、略ひし形状の隆起部29は、略ひし形状の隆起部29を囲むように上下段に矩形状に配置されたフィンパイプ20と重なり代αを有するような大きさで形成されていることで、図5に破線で示されているように、熱交換器18に流入し隆起部29の外縁と下段のフィンパイプ20との間を進行してきた燃焼ガスは、下段のフィンパイプ20の下流(背面)側の中央(下段フィンパイプ20の頂部)方向に向かい、下段のフィンパイプ20の下流側の略中央部分までスムーズに案内され、下段のフィンパイプ20での下流側でも吸熱され、下段のフィンパイプ20における吸熱量も多くなると共に、上段のフィンパイプ20の前流側の略中央部分(上段フィンパイプ20の最低部)にもスムーズに案内されるので、上段フィンパイプ20での前流側で吸熱され、上段のフィンパイプ20における吸熱量も多くなり、さらに、隣り合う隆起部29同士の間(図5における×印の位置)で燃焼ガス同士を確実にぶつけることができ、燃焼ガスの乱流化が促進されるので、熱交換効率を向上させることができるものである。当然のことではあるが、略ひし形状の間隙28内に進入した燃焼ガスも隆起部29内縁にぶつかることで乱流化するため、熱交換効率向上に寄与するものである。また、上縁折り曲げ片31を設けたことによって、隆起部29と上段のフィンパイプ20の間を抜けた燃焼ガスは、上段のフィンパイプ20の下流(背面)側に案内されるので、上段のフィンパイプ20での下流側でも吸熱され、上段のフィンパイプ20における吸熱量も多くなり、熱交換効率を向上させることができるものである。
【0030】
また、熱交換器18において、フィンプレート19は、フィンパイプ20の軸線方向に沿って所定の間隔をおいて複数枚配列されており、図4に示したように、少なくとも上縁折り曲げ片31の高さと隆起部29の高さとは同程度の高さであり、上縁折り曲げ片31の先端縁および隆起部29の先端縁が、それぞれの先端縁と対向する隣のフィンプレート19裏面に近接する(上縁折り曲げ片31の高さ、隆起部29の高さが、フィンプレート19表面から対向する隣のフィンプレート19裏面までの隙間の9割以上を閉塞するような長さを有している)ように配されることから、複数枚配列されたフィンプレート19の下縁側から進入する燃焼ガスの大半は、フィンプレート19間において、フィンパイプ20(バーリング27a)と隆起部29と上縁折り曲げ片31との間に形成されるほぼ決められた燃焼ガス流路を強制的に流れるので、全体的に流速が均一化され、フィンパイプ20表面に沿うように進む燃焼ガスの流れも増加し、熱交換効率を向上させることができるものである。さらに言えば、貫通孔27のバーリング27aの高さと側縁折り曲げ片30の高さも上縁折り曲げ片31の高さや隆起部29の高さと同程度の高さであり、それぞれの先端縁が、対向する隣のフィンプレート19の裏面に近接するか、または接するように配されることから、複数枚配列されたフィンプレート19の下縁側から進入する燃焼ガスの大半は、フィンプレート19間において、バーリング27aと隆起部29と側縁折り曲げ片30と上縁折り曲げ片31で区画され、バーリング27aと隆起部29と側縁折り曲げ片30と上縁折り曲げ片31との間に形成されるほぼ決められた燃焼ガス流路を強制的に流れるので、全体的に流速が均一化され、フィンパイプ20表面に沿うように進む燃焼ガスの流れも増加し、熱交換効率を向上させることができるものである。
【0031】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、バーリング27aの高さ、隆起部29の高さ、側縁折り曲げ片30の高さ、上縁折り曲げ片31の高さを全て同程度の高さとし、それぞれの先端縁が、対向する隣のフィンプレート19の裏面に近接するように配されるようにし、フィンプレート19間において、燃焼ガスの大半がほぼ決められた燃焼ガス流路を通過するようにしたが、上記のそれぞれの先端縁が、対向する隣のフィンプレート19の裏面に接するように配されるようにしても、燃焼ガスがほぼ決められた燃焼ガス流路を通過するので、この場合でももちろん先に説明した本実施形態と同様の効果を奏するものであり、さらに、バーリング27a、隆起部29、側縁折り曲げ片30、上縁折り曲げ片31の何れかの先端縁の一部がその他の部分に比べて若干凹んでおり、高さが低くなっていたとしても、燃焼ガスの大半が、フィンプレート19間においてほぼ決められた燃焼ガス流路を通過するのであれば、本実施形態と同様の効果を奏するものであり、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0032】
また、本実施形態では、所定の端末(給湯栓等)で使用される湯を生成する給湯装置1に、本発明の熱交換器18を適用したが、本発明の熱交換器18は、所定の端末として被空調空間を暖房する床暖房パネル等の放熱端末で使用される温水を生成する温水暖房装置に適用してもよいものであり、また、給湯装置1または上記温水暖房装置で使用する燃料についても石油等の燃油の代わりに都市ガスやプロパンガスといったガス燃料を用いてもよいものである。
【0033】
また、本実施形態は、熱交換器18を通過する燃焼ガスの流れは、間隙28を有するフィンプレート19の下縁側が上流側で、上縁折り曲げ片31を有するフィンプレート19の上縁側が下流側であり、図面(図5)上では、下から上に向かって流れているが、バーナが熱交換器18より上方に設けられ、熱交換器18を通過する燃焼ガスの流れが、上から下に向かって流れるような、いわゆる逆燃式の場合は、図2に示された熱交換器18を上下逆さまにして、間隙28はフィンプレート19の上縁側に、上縁折り曲げ片31はフィンプレート19の下縁側になるように配設すればよく、フィンプレート19の間隙28を有する縁側が燃焼ガスの流れ方向の上流側となり、上縁折り曲げ片31を有するフィンプレート19の縁側が燃焼ガスの流れ方向の下流側となるという関係性をくずさなければ、先に説明した本発明の熱交換器18が有する効果を発揮することができるものである。
【0034】
また、本実施形態では、複数のフィンパイプ20のうち上下段に矩形状に配置された4本のフィンパイプ20で囲まれる矩形空間の略中央部に位置する間隙28の先端側を、略ひし形状とし、略ひし形状の間隙28の周縁に隆起部29を形成するものとしたが、間隙28の先端側を図7に示した従来の熱交換器における略円形状をした開環状とし、その周縁に隆起部を形成するようにしたものでもよいものである。
【符号の説明】
【0035】
16 燃焼缶体
18 熱交換器
19 フィンプレート
20 フィンパイプ
28 間隙
29 隆起部
29a 直線部
31 上縁折り曲げ片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7