(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顔料、アミド系分散剤、及び非水系溶剤を含み、前記非水系溶剤は、1分子中のケイ素数が2又は3である変性シリコーンオイル、及び石油系炭化水素溶剤を含む、油性インクジェットインク。
前記変性シリコーンオイルは、ケイ素原子に炭素原子が直接結合し、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基を有する変性シリコーンオイルを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
一実施形態による油性インクジェットインク(以下、単にインクと称することがある。)としては、顔料、アミド系分散剤、及び非水系溶剤を含み、非水系溶剤は、1分子中のケイ素数が2又は3である変性シリコーンオイル、及び石油系炭化水素溶剤を含むことを特徴とする。
これによれば、長期放置後の吐出安定性に優れるとともに、印刷物の画像濃度が高く、裏抜けを防止する油性インクジェットインクを提供することができる。
【0012】
インクが顔料とともにアミド系分散剤を含むことで、顔料の分散安定性が改善されて、印刷物の画像濃度を高めることができる。
インクがアミド系分散剤とともに石油系炭化水素溶剤を含むことで、アミド系分散剤が石油系炭化水素溶剤に溶解しやすいことから、アミド系分散剤が顔料表面をより均一に被覆するようになって、顔料の分散安定性をより改善することができる。
石油系炭化水素溶剤のみではノズルからインクが揮発する問題があるが、非水系溶剤として石油系炭化水素溶剤とともに変性シリコーンオイルを含むことで、ノズルからのインクの揮発を防いで、吐出性能、特に長期放置後の吐出性能を改善することができる。
【0013】
変性シリコーンオイルは、ケイ素数が2又は3であることで、ノズルプレートに対してインクの濡れ性を低下させて、ノズルプレートにインクが付着することを防止することができる。また、変性シリコーンオイルは、有機基によって変性されることで、ノズルプレートの材料と構造が異なり、また、高表面張力になって、ノズルプレートに対する親和性を低下させ、ノズルプレートへのインクの付着を防止することができる。
【0014】
さらに、記録媒体にインクが吐出されると、インク中の変性シリコーンオイルが記録媒体内部に浸透し、インク中の石油系炭化水素溶剤が記録媒体表面に留まる傾向にある。アミド系分散剤は、変性シリコーンオイルよりも石油系炭化水素溶剤に溶解しやすいことから、インク中ではアミド系分散剤とともに顔料が石油系炭化水素溶剤側に存在するようになる。そして、記録媒体表面では、石油系炭化水素溶剤とともにアミド系分散剤及び顔料が留まり、印刷物の裏抜けを防止することができる。
【0015】
低初留点の石油系炭化水素溶剤と、高沸点の変性シリコーンオイルとを組み合わせることが好ましい。これによって、低初留点で低アニリン点の石油系炭化水素溶剤にアミド系分散剤が溶解して顔料分散性を改善するとともに、変性シリコーンオイルによってインク全体の揮発性を抑制して吐出性能を改善することができる。また、記録媒体にインクが吐出されると、記録媒体表面に石油系炭化水素溶剤とともにアミド系分散剤及び顔料がより留まりやすくなって、印刷物の裏抜けを防止して、画像濃度をより高めることができる。
【0016】
インクは、顔料を含むことができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
顔料の分散形態は、顔料を非油溶性樹脂で被覆したいわゆるカプセル顔料や着色樹脂粒子をアミド系分散剤で分散させた分散体であってもよいが、アミド系分散剤を顔料表面に直接吸着させて分散させた分散体であることが好ましい。
【0018】
顔料の平均粒子径としては、吐出安定性と保存安定性の観点から、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下である。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%で配合することができる。印刷濃度の観点から、顔料は、インク全量に対し1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、インク粘度の観点から、顔料は、インク全量に対し15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0019】
インクは、アミド系分散剤を含むことができる。アミド系分散剤は、インク中で顔料を安定して分散させることができる。
アミド系分散剤は、1分子中に少なくとも1個のアミド結合を有する化合物である。アミド系分散剤は、顔料親和性を有するアミド結合部分とともに、溶剤親和性を有する親油性基を備える化合物であることが好ましい。
【0020】
アミド系分散剤としては、例えば、脂肪酸アミド及びこれらの塩、脂肪酸アルカノールアミド、スルホン酸アミド及びこれらの塩;ポリアミド系重合体及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
好ましくは、アミド系分散剤として、脂肪酸アミド及びその塩、並びにポリアミド系重合体及びその誘導体からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0021】
脂肪酸アミド及びその塩としては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等のカルボン酸アミド;エチレンビスステアリン酸アミド等;及びこれらの塩が挙げられる。
【0022】
脂肪酸アルカノールアミドとしては、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ものエタノールアミド等が挙げられる。
【0023】
ポリアミド系重合体としては、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリエステルアミド等、及びこれらの誘導体を挙げることができる。
具体的には、ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩等が挙げられる。
上記したアミド系分散剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
なかでも、ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド系分散剤を好ましく用いることができる。かかるポリアミド系分散剤としては、ポリアルキレンイミンのような主鎖に多数の窒素原子を備え、この窒素原子を介してアミド結合した側鎖を複数備える化合物であって、この側鎖がポリエステル鎖であるものが好ましい。さらに、主鎖は、ポリエチレンイミンであることが好ましく、直鎖であっても枝分れ鎖であってもよく、枝分れ鎖であることが好ましく、重量平均分子量は60万以下であることが好ましい。また、側鎖は、ポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖であることが好ましく、アミド架橋によって主鎖に結合していることが好ましく、重合度は3〜80程度であることが好ましい。この櫛形構造のポリアミド系分散剤としては、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、「ソルスパース28000」、「ソルプラスK240」(何れも商品名)が該当する。
【0025】
アミド系分散剤は、上記顔料を十分にインク中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。例えば、質量比で、顔料1に対し顔料分散剤を0.1〜5で配合することができる。アミド系分散剤は、質量比で顔料1に対し0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、アミド系分散剤は、質量比で顔料1に対し2以下が好ましく、1以下がより好ましい。
アミド系分散剤は、インク全量に対し、0.01〜10質量%で配合することができる。アミド系分散剤は、インク全量に対し1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、アミド系分散剤は、インク全量に対し8質量%以下が好ましい。
アミド系分散剤及びその他の顔料分散剤を含む樹脂成分は、インク全量に対し10質量%以下で配合することができ、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。これによって、インク粘度の上昇を防止し、吐出性能をより改善することができる。
【0026】
一実施形態では、アミド系分散剤は酸性又は中性の顔料と組み合わせて用いることが好ましい。これによって、顔料表面の酸性基に対して、アミド系分散剤が親和性を示して、より分散性を高めることができる。
【0027】
インクには、上記アミド系分散剤以外のその他の顔料分散剤が含まれてもよい。
その他の顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が挙げられる。
【0028】
顔料分散剤の市販品例としては、例えば、アイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製「アンタロンV216(ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体)、V220(ビニルピロリドン・エイコセン共重合体)」(いずれも商品名);日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、16000、17000、18000(脂肪酸アミン系)、24000」(いずれも商品名);BASFジャパン株式会社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名);楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名);第一工業製薬株式会社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名);ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK2155、9077」(いずれも商品名);クローダジャパン株式会社製「HypermerKD2、KD3、KD11、KD12」(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0029】
インクは、非水系溶剤として、1分子中のケイ素数が2又は3である変性シリコーンオイルを含む。これによって、インクジェットノズルからのインクの吐出安定性、特に長期放置後の吐出安定性を改善することができる。
【0030】
変性シリコーンオイルの沸点は、200℃以上が好ましく、250℃超過がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。変性シリコーンオイルは、高沸点でありながらも低粘性であり、さらにその構造からノズルプレートに付着しにくく、吐出安定性を改善することができる。
変性シリコーンオイルの沸点の上限値は特に制限されないが、500℃以下であってよい。
【0031】
変性シリコーンオイルは、例えば、1分子中のケイ素数が2又は3であり、ケイ素原子に炭素原子が直接結合し、炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基を有する化合物である。
変性シリコーンオイルとしては、1分子中のケイ素数が2又は3であるジメチルシリコーンオイルの一部のケイ素原子に各種有機基を導入したシリコーンオイルを用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、すべてのケイ素原子が炭素原子またはシロキサン結合の酸素原子のいずれかとのみ結合していることが好ましい。変性シリコーンオイルとしては、非反応性シリコーンオイルであることが好ましい。変性シリコーンオイルとしては、その構成原子がケイ素原子、炭素原子、酸素原子、水素原子のみからなることが好ましい。
【0032】
変性シリコーンオイルとしては、例えば、1分子中のケイ素数が2又は3であるジメチルシリコーンオイルに含まれる少なくとも1つのメチル基が、アルキル基、カルボン酸エステル結合含有基、芳香環含有基、及びエーテル結合含有基からなる群から選択される1種以上によって置換された化合物を用いることができる。
また、変性シリコーンオイルとしては、例えば、トリメチルシラン又はペンタメチルジシロキサンと、トリメチルシランとが、アルキレン基を介して結合する化合物を用いることができる。この場合、トリメチルシラン及び/又はペンタメチルジシロキサンに含まれる少なくとも1つのメチル基は、アルキル基、カルボン酸エステル結合含有基、芳香環含有基、及びエーテル結合含有基からなる群から選択される1種以上によって置換されていてもよい。
【0033】
変性シリコーンオイルとしては、例えば、アルキル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルやアラルキル変性シリコーンオイル等のアリール変性シリコーンオイル、カルボン酸エステル変性シリコーンオイル、アルキレン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0034】
変性シリコーンオイルは、炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基として、下記の(A)〜(D)からなる群から選択される1種以上を有することができる。
(A)炭素数2以上のアルキル基。
(B)炭素数及び酸素数の合計が3以上であるカルボン酸エステル結合含有基。
(C)炭素数6以上の芳香環含有基。
(D)炭素数2以上のアルキレン基。
【0035】
例えば、変性シリコーンオイルとして、下記の(A)〜(D)からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
(A)ジシロキサン骨格又はトリシロキサン骨格に、炭素数2以上のアルキル基が結合する化合物。以下、アルキル変性シリコーンオイルとも記す。
(B)ジシロキサン骨格又はトリシロキサン骨格に、炭素数及び酸素数の合計が3以上であるカルボン酸エステル結合含有基が結合する化合物。以下、カルボン酸エステル変性シリコーンオイルとも記す。
(C)ジシロキサン骨格又はトリシロキサン骨格に、炭素数6以上の芳香環含有基が結合する化合物。以下、アリール変性シリコーンオイルとも記す。
(D)炭素数2以上であるアルキレン基の両端にシリル基又は少なくとも1個のシロキサン結合が結合する化合物。以下、アルキレン変性シリコーンオイルとも記す。
【0036】
なかでも、アルキル変性シリコーンオイル及びカルボン酸エステル変性シリコーンオイルからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、アルキル変性シリコーンオイルがより好ましい。
【0037】
変性シリコーンオイルに含まれる有機基は、炭素数及び酸素数の合計が2以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは6以上であり、一層好ましくは8以上である。
また、変性シリコーンオイルに含まれる有機基は、炭素数及び酸素数の合計が20以下が好ましく、より好ましくは16以下であり、一層好ましくは12以下である。
変性シリコーンオイルが2個以上の有機基を含む場合は、それぞれの有機基の炭素数及び酸素数の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、変性シリコーンオイルが2個以上の有機基を含む場合は、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基に含まれる炭素数及び酸素数の合計が4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、変性シリコーンオイルが2個以上の有機基を含む場合は、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基に含まれる炭素数及び酸素数の合計が20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。
【0038】
変性シリコーンオイルの一例には、下記一般式(1)で表される化合物が含まれる。
【化1】
【0039】
一般式(1)において、R
1は、酸素原子、又は2価の有機基であり、R
2は、それぞれ独立的に、1価の有機基であり、nは、0又は1であり、R
1及びR
2のうち少なくとも1個は、炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基である。この場合、1分子中のケイ素数は2又は3である。
【0040】
一般式(1)において、R
1は、酸素原子、又は炭素数が2以上である2価の有機基であり、R
2は、それぞれ独立的に、メチル基、又は炭素数及び酸素数の合計が2以上である1価の有機基であることが好ましい。
【0041】
好ましくは、一般式(1)において、R
1は、酸素原子、又は炭素数2以上のアルキレン基であり、R
2は、それぞれ独立的に、メチル基、炭素数2以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が3以上であるカルボン酸エステル結合含有基、又は炭素数6以上の芳香環含有基であり、R
1及びR
2のうち少なくとも1個は、炭素数2以上のアルキレン基、炭素数2以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が3以上であるカルボン酸エステル結合含有基、及び炭素数6以上の芳香環含有基からなる群から選択される。
【0042】
変性シリコーンオイルの他の例には、下記一般式(2)で表される化合物が含まれる。
【化2】
【0043】
一般式(2)において、R
2は、それぞれ独立的に、1価の有機基であり、nは、0又は1であり、R
2のうち少なくとも1個は、炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基である。この場合、1分子中のケイ素数は2又は3である。
好ましくは、一般式(2)において、R
2は、それぞれ独立的に、メチル基、又は炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基であり、R
2のうち少なくとも1個は、炭素数及び酸素数の合計が2以上である有機基である。
【0044】
炭素数2以上のアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
好ましくは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基であり、より好ましくはデシル基、ドデシル基である。
【0045】
炭素数及び酸素数の合計が3以上であるカルボン酸エステル結合含有基は、ケイ素原子にアルキレン基を介してカルボン酸エステル結合が結合する−R
Bb−O−(CO)−R
Baで表される基、又は、−R
Bb−(CO)−O−R
Baで表される基を好ましく用いることができる。
ここで、R
Baは、炭素数1以上の直鎖または分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキル基であることが好ましい。また、R
Bbは、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。
カルボン酸エステル結合含有基の炭素数及び酸素数の合計は、カルボン酸エステル結合(−O−(CO)−)の1個の炭素原子及び2個酸素数と、脂肪酸部分のアルキル基(R
Ba)の炭素数と、任意のアルキレン基(R
Bb)の炭素数との合計になる。
【0046】
カルボン酸エステル結合含有基において、脂肪酸部分のアルキル基(R
Ba)は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等を挙げることができる。
好ましくは、ペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、トリデシル基であり、より好ましくはヘプチル基、ノニル基である。
【0047】
カルボン酸エステル結合含有基において、任意のアルキレン基(R
Bb)は、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n−ブチレン、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基等を挙げることができる。好ましくは、エチレン基である。
【0048】
炭素数6以上の芳香環含有基は、ケイ素原子に芳香環が直接結合する−R
Caで表される基、または、ケイ素原子にアルキレン基を介して芳香環が結合する−R
Cb−R
Caで表される基を好ましく用いることができる。
ここで、R
Caは、炭素数6以上の芳香環であることが好ましい。また、R
Cbは、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。
芳香環含有基は、ケイ素原子にアルキレン基を介して芳香環が結合する−R
Cb−R
Caで表される基であることがより好ましい。
芳香環含有基の炭素数は、芳香環(R
Ca)の炭素数と、任意のアルキレン基(R
Cb)の炭素数との合計になる。
【0049】
芳香環含有基において、芳香環部分(R
Ca)は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等、又はこれらの少なくとも1個の水素原子がアルキル基に置換された官能基を挙げることができる。
【0050】
芳香環含有基において、任意のアルキレン基(R
Cb)は、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有してもよいアルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基等を挙げることができる。好ましくは、プロピレン基、メチルエチレン基、エチレン基である。
【0051】
炭素数2以上のアルキレン基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、ヘキサデシレン基、エイコシレン基等を挙げることができる。
好ましくは、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基であり、より好ましくは、オクチレン基、デシレン基である。
【0052】
上記した変性シリコーンオイルは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0053】
変性シリコーンオイルは、以下の方法によって製造することができる。なお、変性シリコーンオイルは、以下の製造方法によって製造されたものに限定されない。
例えば、シロキサン原料と、反応性化合物とを、有機溶媒中で反応させることで、変性シリコーンオイルを得ることができる。シロキサン原料と反応性化合物とは、シロキサン原料の1個の反応基と反応性化合物の1個の反応基とがモル比で1:1〜1:1.5となるように反応させることが好ましい。また、反応に際し、0価白金のオレフィン錯体、0価白金のビニルシロキサン錯体、2価白金のオレフィン錯体ハロゲン化物、塩化白金酸等の白金触媒等の触媒を好ましく用いることができる。
例えば、一般式(1)においてR
2のうち少なくとも1個が水素原子であるシロキサン原料と、反応性化合物とを、有機溶媒中で反応させることで、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0054】
反応性化合物は、有機基とともにエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を好ましく用いることができる。
アルキル変性シリコーンオイルを得るためには、反応性化合物としてアルケンを用いることができる。
カルボン酸エステル変性シリコーンオイルを得るためには、反応性化合物として脂肪酸ビニル化合物及び脂肪酸アリル化合物を用いることができる。
アリール変性シリコーンオイルを得るためには、反応性化合物としてエチレン性不飽和二重結合を有するアリール化合物を用いることができる。
アルキレン変性シリコーンオイルを得るためには、反応性化合物としてジエン化合物を用いることができる。
【0055】
シロキサン原料としては、例えば、ペンタメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン(1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、トリメチルシラン等を用いることができる。
【0056】
アルケンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン等を用いることができる。また、アルケンの他にも、ビニルシクロヘキサン等のエチレン性不飽和2重結合を有する脂環式炭化水素基を用いることができる。
【0057】
脂肪酸ビニル化合物及び脂肪酸アリル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、イソオクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、エイコ酸ビニル、ヘキサン酸アリル等を用いることができる。
【0058】
エチレン性不飽和二重結合を有するアリール化合物としては、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、アリルベンゼン、1−アリルナフタレン、4−フェニル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル1−1ペンテン、1−ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、2−メチル−1−フェニルプロペン、1,1−ジフェニルエチレン、トリフェニルエチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、シス−β−メチルスチレン、トランス−β−メチルスチレン等を用いることができる。
【0059】
ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,13−テトラデカジエン、ヘキサデカジエン、エイコサジエン等を用いることができる。
【0060】
シリコーンオイルとしては、市販品を用いてもよく、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製「FZ−3196」等のアルキル変性シリコーンオイル、東京化成工業株式会社製「1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3−フェニル−3−(トリメチルシリルオキシ)トリシロキサン」等のアリール変性シリコーンオイル等を用いてもよい。
【0061】
インクは、非水系溶剤として、石油系炭化水素溶剤を含む。これによって、顔料とアミド系分散剤との親和性を高めて、印刷物の画像濃度を高めるとともに、裏抜けを防止することができる。
石油系炭化水素溶剤の初留点は、300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。これによって、石油系炭化水素溶剤にアミド系分散剤が溶解しやすくなり、また、記録媒体上で変性シリコーンオイルが記録媒体内部に浸透する一方で石油系炭化水素溶剤がアミド系分散剤及び顔料とともに記録媒体表面に留まるようになる。
石油系炭化水素溶剤の初留点の下限値は、ノズルからの揮発を防止する観点から、150℃以上が好ましい。
ここで、蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
【0062】
石油系炭化水素溶剤のアニリン点は、110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましい。これによって、石油系炭化水素溶剤にアミド系分散剤が溶解しやすくなって、アミド系分散剤が顔料表面をより均一に被覆して、顔料分散性を高めることができる。
石油系炭化水素溶剤のアニリン点の下限値は特に限定されないが、50℃以上が好ましい。
ここで、アニリン点はJIS K2256「石油製品−アニリン点及び混合アニリン点の求め方」に従って測定することができる。
【0063】
石油系炭化水素溶剤は、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく用いることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーC、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
【0064】
これらの石油系炭化水素溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なかでも、パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤を好ましく用いることができる。
【0065】
インクには、その他の非水系溶剤が含まれてもよい。なお、本実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
【0066】
その他の非水系溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤を挙げることができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル(炭素数22)、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
これらの非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
【0067】
変性シリコーンオイルは、非水系溶剤全量に対し、5質量%以上で含まれることが好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、50質量%以上であってもよい。これによって、吐出安定性を改善することができる。
また、変性シリコーンオイルは、非水系溶剤全量に対し、95質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以下であり、50質量%以下であってもよい。
【0068】
石油系炭化水素溶剤は、非水系溶剤全量に対し、5質量%以上で含まれることが好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、50質量%以上であってもよい。これによって、印刷物の裏抜けを防止することができる。
また、石油系炭化水素溶剤は、非水系溶剤全量に対し、95質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以下であり、50質量%以下であってもよい。
【0069】
変性シリコーンオイルは、吐出安定性及び印刷物の裏抜けの観点から、非水系溶剤全量に対し、15質量%〜85質量%であることが好ましい。
また、石油系炭化水素溶剤は、吐出安定性及び印刷物の裏抜けの観点から、非水系溶剤全量に対し、15質量%〜85質量%であることが好ましい。
変性シリコーンオイルと石油系炭化水素溶剤とは、質量比で、20:80〜80:20で配合されることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
【0070】
インク全量に対する変性シリコーンオイルの配合量は、非水系溶剤全体の使用量に応じて異なるが、5〜95質量%で含まれてよく、10〜90質量%で含まれてもよい。
インク全量に対する石油系炭化水素溶剤の配合量は、非水系溶剤全体の使用量に応じて異なるが、5〜95質量%で含まれてよく、10〜90質量%で含まれてもよい。
【0071】
上記各成分に加えて、油性インクには、本発明の効果を損なわない限り、各種添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。また、顔料とともに染料を配合して色味を調整してもよい。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
【0072】
インクは、色材及び非水系溶剤を含む各成分を混合することで作製することができる。好ましくは、各成分を一括ないし分割して混合及び撹拌してインクを作製することができる。具体的には、ビーズミル等の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製できる。
【0073】
油性インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。
【0074】
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよいが、ピエゾ方式であることが好ましい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
【0075】
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
【0076】
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
【0077】
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙等のインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0079】
「インクの作製」
インクの処方を表1及び表2に示す。
各表に示す配合量にしたがって、顔料、顔料分散剤、及び各表に示す各種溶剤を混合し、ビーズミル「ダイノーミルKDL−A」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)により滞留時間15分間の条件で、十分に顔料を分散した。続いて、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去し、インクを得た。
【0080】
顔料及び分散剤は、以下の通りである。
カーボンブラック MA77:三菱ケミカル株式会社製「MA77」。
カーボンブラック NEROX500:エボニックジャパン株式会社製「NEROX500」。
ソルプラスK240:アミド系分散剤、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルプラスK240」、有効成分100%。
ソルスパース28000:アミド系分散剤、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース28000」、有効成分100%。
ソルスパース13940:ポリエステルアミン系分散剤、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940」、有効成分40%(脂肪族溶剤60%)。表中に有効成分をカッコ内で示す。
各種溶剤の詳細を表3に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
「製造例1:シリコーンオイルの合成」
シリコーンオイルの合成処方を表4に示す。
シリコーンオイル1の合成方法について説明する。
四つ口フラスコに、ヘキサンを50質量部、ビス(トリメチルオキシ)メチルシランを10.0質量部、1−ヘキセンを4.16質量部で仕込んだ。これに、白金触媒(シグマアルドリッチ社製「1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体」)を0.02質量部滴下し、室温にて2〜3時間撹拌した。その後、減圧蒸留により反応溶媒(ヘキサン)、未反応原料を留去し目的物を得た。
その他の変性シリコーンは、表に示す処方で配合した他は、上記と同様にして合成した。
シリコーンオイル1〜5の合成では、シロキサン化合物と、反応性化合物とのモル比が1:1.1となるように配合し、シリコーンオイル6の合成では、シロキサン化合物と、反応性化合物とのモル比が1:2.2となるように配合した。
シロキサン化合物はGelest社から入手可能であり、反応性化合物は東京化成工業株式会社から入手可能である。
各シリコーンオイルのケイ素数(Si数)及び有機基の炭素数(C数)と酸素数(O数)の合計を表中に示す。
【0085】
【表4】
【0086】
「評価」
上記実施例及び比較例のインクについて、以下の方法により評価を行った。これらの評価結果を表1、表2に示す。
【0087】
(長期放置後の吐出安定性)
インクジェットヘッドに各インクを導入し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、ベタ画像(1画素あたり30pl/300×300dpi)を印刷し、吐出が正常であることを確認した。
その後、インクジェットヘッドを室温で3か月間放置した。3か月放置後に、インクジェットヘッドをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスFW5230」(理想科学工業株式会社製)に取り付け、クリーニング動作を実施した後、ベタ画像(1画素あたり各30pl/300×300dpi)を500枚印刷し、画像に白線(吐出不良)があるか否かを、確認した。
クリーニング動作は、インクジェットヘッドへインクを供給する経路を加圧することにより、インクジェットヘッドの吐出口からインクを押し出し(所謂パージ)、その後、ワイパーによってインクジェットヘッド表面を拭き取る動作によって行った。
なお、「オルフィスFW5230」は、ライン型インクジェットヘッドを使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直交する副走査方向に用紙を搬送して印刷を行うシステムである。
放置後の吐出安定性を以下の基準で評価した。
A:500枚中、白線が発生したものは5枚以下。
B:500枚中、白線が発生したものが6枚以上10枚以下。
C:500枚中、白線が発生したものが11枚以上。
【0088】
(印刷物の表濃度、裏抜け)
ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスFW5230」(理想科学工業株式会社製)に各インクを装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、ベタ画像を100枚印刷して、印刷物を得た。印刷は、解像度300×300dpiにて、1ドット当りのインク量が42plの吐出条件で行った。
印刷から1日放置後に、印刷物表面のベタ画像部分の濃度(表面OD値)を測定し、以下の基準で表濃度を評価した。
A:表面OD値が1.10以上である。
B:表面OD値が1.05以上1.10未満である。
C:表面OD値が1.05未満である。
【0089】
印刷から1日放置後に、印刷物裏面のベタ画像部分の濃度(裏面OD値)を測定し、以下の基準で裏抜けを評価した。
A:裏面OD値が0.15未満である。
B:裏面OD値が0.15以上0.20未満である。
C:裏面OD値が0.20以上である。
【0090】
各表に示す通り、各実施例のインクでは、放置後の吐出安定性が改善され、印刷物の表面濃度が高く、裏抜けを防止することができた。
実施例1〜5から、各種シリコーンオイルで効果を確認できた。
実施例1〜5を通して、シリコーンオイルの沸点が高い方が放置後の吐出安定性がより改善されること、また、アルキル変性シリコーンオイルを用いると裏抜けをより防止することが確認できる。
実施例6〜10から、各種石油系炭化水素溶剤で効果を確認できた。
実施例6〜10を通して、石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点が低い方が裏抜けをより防止できること、また、石油系炭化水素溶剤のアニリン点が低い方が印刷物の表面濃度を高くできることが確認できる。
【0091】
実施例11及び12では、顔料及び分散剤の種類が異なるが、十分に効果が得られた。
実施例13及び14では、シリコーンオイルと石油系炭化水素溶剤の配合割合が異なるが、十分に効果が得られた。
実施例15では、シリコーンオイルと石油系炭化水素溶剤とともにエステル系溶剤を用いているが、十分に効果が得られた。
【0092】
比較例1では、シリコーンオイルのケイ素数が5と大きく、放置後の吐出安定性が低下した。
比較例2では、シリコーンオイルにケイ素数が7〜9と大きく、かつ非変性のジメチルポリシロキサンを用いており、放置後の吐出安定性が低下した。
比較例3では、ポリエステルアミン系分散剤を用いており、印刷物の表面濃度が低下した。
比較例4では、石油系炭化水素溶剤を用いておらず、印刷物の表面濃度及び裏抜けが改善されなかった。
比較例5では、シリコーンオイルを用いておらず、放置後の吐出安定性が低下した。また、溶剤が石油系炭化水素溶剤の単相からなると、用紙への溶剤の浸透が促進されて、裏抜けも改善されなかった。