(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記測定したRSSI値に対応する距離が複数ある場合には、前記探索した出力信号が最大となる振幅の位相制御量の変動方向に基づき、前記RFIDタグリーダライタ装置と前記RFIDタグとの距離を算出する、
ことを特徴とする請求項4に記載のRFIDタグリーダライタ装置。
前記制御部は、更に、前記出力信号が最大となる振幅の大きさに合わせて、設定したレベルをスライスレベルとして、前記出力信号が立ち上がったか、立ち下がったかを検出することで復調する
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のRFIDタグリーダライタ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のRFIDタグリーダライタシステム1の一例を示す図である。RFIDタグリーダライタシステム1は、RFIDタグリーダライタ装置10と、複数の物品90に貼付された複数のRFIDタグ91により構成されている。第1の実施形態においては、物品90に貼付されたRFIDタグ91は、ベルトコンベア100上を搬送方向(
図1の右方)に搬送されている。
【0013】
RFIDタグ91は、識別・管理の対象の物品90に貼付される識別タグであり、アンテナ91aを含んでいる。アンテナ91aは、RFIDタグリーダライタ装置10から送信される送信信号の周波数に整合するように形成され、例えば、アルミ箔によるアンテナパターンで作られた、ダイポールアンテナ等である。RFIDタグ91は、RFIDタグリーダライタ装置10から送信される送信信号を受け、バックスキャッタ方式にてRFIDタグリーダライタ装置10へ応答信号を返送する。そして、RFIDタグリーダライタ装置10は、RFIDタグ91からの応答信号を受信し、復調することで、RFIDタグ91との間で情報の通信が行われる。第1の実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置10は、例えば、PC(Personal Computer)200からの指示に基づいて、RFIDタグ91の読取動作等を行う。
【0014】
図2は、
図1中のRFIDタグリーダライタ装置10の例を示す回路図である。
RFIDタグリーダライタ装置10は、全体を制御するCPU(Central Processing Unit)(制御部)20と、送信回路30と、局発部40と、カップラ50と、アンテナ60と、受信回路70と、記憶部80と、を有している。
【0015】
RFIDタグリーダライタ装置10は、PC200から読取コマンド発行の指示を受けると、CPU20がそのコマンドを解析し、送信回路30に読取コマンド発行の指令である送信信号を出力する。
【0016】
局発部40は、所定の発振周波数の局発信号を出力する。
送信回路30は、DAC(Digital to analog converter:デジタルアナログ変換回路)31と、送信ベースバンド処理回路32と、送信ミキサ33と、送信アンプ34と、を有する。
【0017】
DAC31は、CPU20で生成されたデジタルの送信信号をアナログ信号に変換して送信ベースバンド処理回路32へ出力する。
【0018】
送信ベースバンド処理回路32は、DAC31から出力された送信信号から不要な周波数成分の除去等の波形整形処理を行う。
【0019】
送信ミキサ33は、送信ベースバンド処理回路32によって波形整形された送信信号に対して局発部40から出力される局発信号を掛け合わせる。この結果、送信信号は局発部40から出力される局発信号の周波数にアップコンバートされる。
【0020】
送信アンプ34は、アップコンバートされた送信信号を所定の送信電力に増幅してカップラ50へ出力する。
【0021】
カップラ50は、送信アンプ34により増幅された高周波の送信信号をアンテナ60へ導き、アンテナ60を介して送信信号が出力される。このようにして、RFIDタグリーダライタ装置10からRFIDタグ91へ情報読み出しのための読取コマンド発行の指令である送信信号が発行される。
【0022】
一方、RFIDタグリーダライタ装置10がRFIDタグ91から応答信号である反射波をアンテナ60に受けると、カップラ50は、アンテナ60から入力されるRFIDタグ91からの応答信号である反射波を、受信回路70へ導く。
【0023】
受信回路70は、移相器71と、受信ミキサ72と、受信ベースバンド処理回路73と、ADC74と、を有する。
【0024】
移相器71は、局発部40から出力される局発信号の位相を任意の位相制御量θに変更する。具体的には、CPU20の制御に基づき、移相器71は、位相制御量θが指示されると、局発信号からの信号の移相をθ(0〜360°)に変更する。移相器71には、局発部40から出力される局発信号が供給され、受信ミキサ72には、局発部40からの局発信号を任意に移相した局発信号が供給される。
【0025】
受信ミキサ72は、カップラ50から導かれた応答信号に対して移相器71により位相が変更された局発信号を掛け合わせる。第1の実施形態においては、アンテナ60を介して受信される応答信号が受信ミキサ72に導かれるものとする。応答信号は局発部40から出力される局発信号の周波数に周波数変換され、ベースバンド帯域にダウンコンバートされる。応答信号に掛け合わせるのに使用される局発信号の周波数は、送信ミキサ33で送信信号を掛け合わせるのに使用される周波数と同じである。
【0026】
受信ベースバンド処理回路73は、受信ミキサ72から出力された応答信号から不要な周波数成分を除去等を行う。
【0027】
ADC74は、受信ベースバンド処理回路73で処理されたアナログ信号の応答信号をデジタル信号に変換してCPU20へ出力する。この場合、CPU20は、デジタル信号に変換された応答信号の振幅が最大となるように移相器71の位相を制御する制御部として機能する。移相器71により位相を制御する詳細については後述する。そして、CPU20は、復号された応答信号のコマンドおよび制御メッセージに基づきRFIDタグリーダライタ装置10を制御する。またCPU20は、RFIDタグリーダライタ装置10のプログラムやアプリケーションプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従って処理を実行して、RFIDタグリーダライタ装置10全体を統括的に制御する。記憶部80は、CPU20による処理に必要な各種データ、CPU20に実行させるプログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。
【0028】
RFIDタグリーダライタ装置10から送信される応答信号は、既存の無線通信規格(例えば、ISO/IEC JTC1/SC31 )によって定められている。次に、既存の無線通信規格により定められているRFIDタグ91からの応答信号の構成について説明する。
図3は、RFIDタグ91からの応答信号、移相器71の位相制御量、ADC74から出力の関係の例を示す図である。
図3(a)は、RFIDタグ91からの応答信号の構成、
図3(b)は、移相器71の位相制御量、
図3(c)は、ADC74から出力されるRFIDタグ91の応答信号(以下、「ADC出力」と称する」をそれぞれ示している。
【0029】
第1の実施形態においては、
図3(a)に示すように、RFIDタグ91からの応答信号は、読取コマンドおよび制御メッセージを含むタグ応答データ(tag response)T1と、タグ応答データT1の前に設けられたパイロットトーン(pilot tone)P1と、プリアンブル(preamble)P2と、を含む。従って、RFIDタグリーダライタ装置10は、RFIDタグ91からの応答信号を、パイロットトーン(pilot tone)P1、プリアンブル(preamble)P2、タグ応答データ(tag response)T1の順で受信する。
【0030】
パイロットトーンP1は、同期信号を生成するためのものである。具体的には、パイロットトーンP1には、論理“0”が配列されており、クロック再生回路におけるPLLロックのために用いられる。
【0031】
プリアンブルP2は、フレーム同期のために設けられている。具体的には、プリアンブルP2は、パイロットトーンP1の最後尾、即ちタグ応答データT1の直前に設けられており、データのスタートビットの判別のために用いられる。RFIDタグリーダライタ装置10は、RFIDタグ91からの応答信号と同期を取り、タグ応答データT1を含む応答信号を復調する。
【0032】
送信回路30において生成される信号と、受信回路70においてダウンコンバートされる信号と、は同一の発振器(局発部40)の出力信号を使用して生成される。即ち、送信回路30の局発部40と、受信回路70の局発部40は、兼用である。よって、送信回路で生成される信号と、受信回路で受信される信号の周波数偏差は実質的に同じと考えることができる。
【0033】
RFIDタグリーダライタ装置10は、後述のタグ応答受信処理において、RFIDタグ91の応答信号に含まれるパイロットトーンP1を検出すると、位相制御量探索処理を行う。詳細については後述するが、位相制御量探索処理では、ADC出力に含まれるパイロットトーンP1の振幅A
(θ)(以下、「タグ応答振幅A
(θ)」と称する)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する処理が行われる。
【0034】
そして、RFIDタグリーダライタ装置10は、位相制御量探索処理において、移相器71の位相制御量を変更することで、パイロットトーンP1のADC出力が最大となる検出最大振幅A
maxを検出する。
図3(b)(c)に示すように、RFIDタグリーダライタ装置10は、1波長λ分、即ち、0〜360°まで局発信号の信号の位相を変更して、検出最大振幅A
maxにおける位相制御量θ
A=maxを探索する。そして、RFIDタグリーダライタ装置10は、探索した位相制御量θ
A=maxでプリアンブルP2やタグ応答データT1の復調を行う。以降、タグ応答受信処理および位相制御量探索処理の詳細について説明する。
【0035】
図3(c)の例では、スライスレベルSLが設定される。CPU20は、受信信号が、スライスレベルSLより大きくなったか(立ち上がり)、小さくなったか(立ち下がり)を判定することで、受信信号のビット判定を行っている。第1の実施形態においては、スライスレベルSLは固定されている。
【0036】
図4は、第1の実施形態のタグ応答受信処理の例を示すフローチャートである。はじめに、CPU20は、PC200から読取コマンド発行の指示を受けると、RFIDタグ91に対し、読取コマンド発行の指令である送信信号を出力し(ステップS11)、RFIDタグ91から応答が戻ってきたらその応答信号を受信する(ステップS12)。
【0037】
CPU20は、応答信号に含まれるパイロットトーンP1を検出したか否かを判定する(ステップS13)。パイロットトーンP1を検出していない場合(ステップS13のNO)には、CPU20は、パイロットトーンP1を検出するまでの間待機する。パイロットトーンP1を検出した場合(ステップS13のYES)には、CPU20は、位相制御量探索処理を行う(ステップS14)。位相制御量探索処理においては、CPU20は、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する処理を行う。位相制御量探索処理の詳細については、後述する。
【0038】
位相制御量探索処理が終わると、CPU20は、応答信号に含まれるプリアンブルP2を検出したか否かを判定する(ステップS15)。プリアンブルP2を検出していない場合(ステップS15のNO)には、CPU20は、プリアンブルP2を検出するまでの間待機する。プリアンブルP2を検出した場合(ステップS15のYES)には、CPU20は、位相制御量探索処理において探索した位相制御量θ
A=maxでタグ応答データT1を復調する(ステップS16)。CPU20は終了か否かを判定する(ステップS17)。例えば、RFIDタグからのタグ応答データT1で受信完了している、もしくは、利用者の操作に基づき、CPU20に対しタグ応答受信処理を終了する旨の指示を受け付けたか否かを判定する。受信完了や終了指示を受け付けていない場合(ステップS17のNO)には、処理はステップS11に戻り、次のコマンド発行を行い、ステップS11〜ステップS17の処理が繰り返し実行される。これに対し、RFIDタグからのタグ応答データT1で受信完了していたり、終了指示を受け付けた場合(ステップS17のYES)には、タグ応答受信処理は終了となる。
【0039】
次に、
図5および
図6を参照して第1の実施形態の位相制御量探索処理について説明する。
図5は、第1の実施形態の位相制御量探索処理の例を示すフローチャートである。
図6は、第1の実施形態のタグ応答振幅A
(θ)および位相制御量θと、時間tとの関係の例を示すグラフである。
【0040】
はじめに、CPU20は、移相器71の位相制御量θおよび検出最大振幅A
maxを初期化する(ステップS21)。この処理では、例えば、CPU20は、記憶部80に格納されている位相制御量θの値および検出最大振幅A
maxの値を0にリセットする。
【0041】
位相制御量θとは、局発部40から出力される局発信号の位相の制御量である。
検出最大振幅A
maxとは、CPU20により検出される応答信号の振幅のうち、振幅が最大となる振幅をいう。即ち、検出最大振幅A
maxとは、タグ応答振幅A
(θ)のうち、振幅が最大となる振幅をいう。
図6(a)(b)に示すように、タグ応答振幅A
(θ)は、位相制御量θに応じて変化する。そして、タグ応答振幅A
(θ)の変曲点f1における位相制御量θが、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxとなる。
【0042】
CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相を任意に変更する。例えば、CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相制御量を、
図6(a)に示すように、波長λ分(0〜360°)まで段階的に連続して変更する。
【0043】
CPU20は、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)を検出する(ステップS22)。CPU20は、ステップS22で検出したタグ応答振幅A
(θ)が、今まで検出した検出最大振幅A
max以上であるか否か、即ち、タグ応答振幅A
(θ)が、後述のステップS24において記憶部80に格納される今まで検出した検出最大振幅A
maxを越したか否かを判定する(ステップS23)。
【0044】
タグ応答振幅A
(θ)が、今まで検出した検出最大振幅A
max以上である(ステップS23のYES)場合、即ち、タグ応答振幅A
(θ)が、記憶部80に格納されている今まで検出した検出最大振幅A
maxを含み最大である場合には、CPU20は、ステップS22で検出したタグ応答振幅A
(θ)を検出最大振幅A
maxとして記憶部80に格納する。そして、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを位相制御量θとして記憶部80に格納する(ステップS24)。
【0045】
これに対し、タグ応答振幅A
(θ)が、今まで検出した検出最大振幅A
maxより小さい(ステップS23のNO)場合、即ち、タグ応答振幅A
(θ)が、今まで検出した検出最大振幅A
maxを越えていない場合には、ステップS24の処理をスキップし、処理はステップS25に移る。
【0046】
CPU20は、移相器71の位相制御量θを、予め定めた増加分Δθだけ増加する(ステップS25)。例えば、
図6(a)に示すように、CPU20は、位相制御量θを、θ
(n−1)からθ
(n)に増加する。また、位相制御量θがθ
(n−1)からθ
(n)に増加したことに対応して、タグ応答振幅A
(θ)もA
(θ(n−1))からA
(θ(n))へ変化する。増加分Δθの増加量の値は、任意に変更することができる。
【0047】
例えば、
図6(b)に示すように、前回(n−1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n-1))が検出最大振幅A
maxとなっている場合において、今回(n回目)タグ応答振幅A
(θ(n))を検出した場合について説明する。この場合、今回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))は、現時点で検出最大振幅A
maxとなっている前回(n−1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n-1))以上であるため、CPU20は、今回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))を検出最大振幅A
maxとして記憶部80に格納する。そして、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ(n))を検出最大振幅A
maxとした時、即ち、タグ応答振幅A
(θ)が最大である場合の位相制御量θ
A=maxを記憶部80に格納する。
【0048】
これに対し、例えば、前回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))が検出最大振幅A
maxとなっている場合において、今回(n+1回目)タグ応答振幅A
(θ(n+1))を検出した場合について説明する。この場合、今回(n+1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n+1))は、現時点で検出最大振幅A
maxとなっている前回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))より小さいため、CPU20は、今回(n+1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))を検出最大振幅A
maxとせずに、前回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))を検出最大振幅A
maxとしたままとする。
【0049】
図5に戻り、CPU20は、位相制御量θが波長λ(変数)以上であるか否か、即ち、位相制御量θを増加分Δθずつ増加して、0〜360°まで位相が掃引されたか否かを判定する(ステップS26)。位相制御量θが波長λ未満の場合、即ち、位相制御量θが波長λに達していない場合(ステップS26のNO)には、処理はステップS22に戻り、位相制御量θが1波長λに達するまで、ステップS22〜S26の処理が繰り返し実行される。これに対し、位相制御量θが波長λ以上である場合、即ち、位相制御量θが波長λに達していた場合(ステップS26のYES)には、CPU20は、位相制御量θをタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxとして記憶部80に格納する(ステップS27)。この処理が終了すると、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxの探索処理を終了して、
図4のタグ応答受信処理に戻る。
【0050】
従来は、I-ch用と、Q-ch用の2系統分の部品を用いて直交復調により受信を行っていたのに対して、第1の実施形態では、移相器71により位相を変更することで1系統分の部品のみで構成することができる。これにより、回路規模を簡素化でき、装置全体のコストダウンおよび装置の小型化を図ることができる。
【0051】
また、従来は、RFIDタグ91からの微弱な応答信号を直交復調によりI-ch側と、Q-ch側とでそれぞれ数十dB増幅した結果、I-ch側と、Q-ch側との間で増幅度の偏差やオフセットが大きく生じ、その結果復調ミスが生じていた。これに対し、第1の実施形態では、chの相違による増幅度の偏差やオフセットの発生を解消し、復調ミスが生じるのを抑制し復調精度の向上を図ることができる。
【0052】
更に、従来は応答信号を直交復調によりI-ch側と、Q-ch側と、の2系統分の処理を行わなければならなかったのに対して、第1の実施形態では、移相器71により位相を変更することで、1系統分だけで処理を行うことができる。これによりCPU20における応答信号の処理の負担を半分にすることができ、受信レートの倍増を図ることができる。
【0053】
なお、上述の実施形態ではCPU20は、位相制御量θが波長λ以上であるか否か、即ち、0〜360°まで位相が掃引されたか否かを判定しているがこの限りではない。例えば、CPU20は、位相制御量θが1/2波長λ以上であるか否か、即ち、0〜180°まで位相が掃引されたか否かを判定することができる。この場合、CPU20は、ADC出力を2乗してタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索することができる。これにより、位相制御量θ
A=maxの探索の処理を高速に行うことができる。
【0054】
また、CPU20は、位相制御量θが1/4波長λ以上であるか否か、即ち、0〜90°まで位相が掃引されたか否かを判定することもできる。この場合、CPU20は、2つの場合に分けてタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索することができる。まず、CPU20は、ADC出力を2乗して、0〜90°(1/4波長λ)まで位相を掃引し、掃引した中で、振幅が最大となる検出最大振幅A
maxを与える位相制御量θ
A=maxと、振幅が最小となる検出最小振幅
Aminを与える位相制御量θ
A=minと、を検出する。
【0055】
位相制御量θ
A=minが0もしくは1/4波長λの場合には、CPU20は、掃引した0〜90°(1/4波長λ)の範囲内に、全
位相範囲において、差分が増加となる検出最大振幅A
maxを与える変曲点を検出する。そして、CPU20は、変曲点における位相制御量θを検出し、この位相制御量θをタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを記憶部80に格納する。
【0056】
位相制御量θ
A=minが0もしくは1/4波長λでない場合には、掃引した0〜90°(1/4波長λ)の範囲内に、全
位相範囲において、検出最大振幅A
maxはないため、CPU20は、掃引した0〜90°(1/4波長λ)の範囲内に、全
位相範囲での検出最小振幅A
minを与える差分が最小となる変曲点を検出する。そして、CPU20は、変曲点における位相制御量θを検出し、この位相制御量θをタグ応答振幅A
(θ)が最小となる位相制御量θ
A=minとして検出する。この場合、全
位相範囲での検出最大振幅A
maxは、位相制御量θにタグ応答振幅A
(θ)が最小となる位相制御量θ
A=min+90°に等しいので、CPU20は、位相制御量θ
A=min+90°を位相制御量θ
A=maxとして記憶部80に格納する。これにより、位相制御量θ
A=maxの探索の処理を高速に行うことができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、CPU20の制御に基づき、移相器71は、位相制御量θが与えられると、与えられた位相制御量θを増加分Δθずつ増加して、0〜360°まで局発信号の位相を変更しているがこの限りではない。例えば、CPU20は、移相器71を制御して、予め異なる位相の局発信号を複数作成しておくことができる。そして、CPU20は、予め作成した複数の局発信号に基づき、応答信号の振幅が最大となるように移相器71の位相を制御する。これにより、局発信号の位相を変更する処理を省略することができ、位相制御量θ
A=maxの探索を高速に処理することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10について説明する。第2の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10の回路図、タグ応答受信処理は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0059】
但し、第1の実施形態の位相制御量探索処理では、位相制御量θが波長λとなるまで位相を掃引して位相制御量θ
A=maxを探索しているのに対し、第2の実施形態では、タグ応答振幅A
(θ)の変曲点以降の位相制御量θ
A=maxの探索を終了する点で相違する。
【0060】
図7および
図8を参照して第2の実施形態の位相制御量探索処理について説明する。
図7は、第2の実施形態の位相制御量探索処理の例を示すフローチャートである。
図8は、第2の実施形態のタグ応答振幅A
(θ)および位相制御量θと、時間tとの関係の例を示すグラフである。
【0061】
はじめに、CPU20は、移相器の位相制御量θ、検出最大振幅A
maxおよび前回のタグ応答振幅A’
(θ)を初期化する(ステップS31)。この処理では、例えば、CPU20は、記憶部80に格納されている位相制御量θの値、検出最大振幅A
maxの値、前回のタグ応答振幅A’
(θ) の値を0にリセットする。前回のタグ応答振幅A’
(θ)とは、後述のステップS36において、記憶部80に格納されているタグ応答振幅である。
【0062】
CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相を任意に変更する。例えば、CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相制御量を、
図8(a)に示すように、段階的に連続して変更する。
【0063】
CPU20は、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)を検出する(ステップS32)。CPU20は、ステップS32で検出したタグ応答振幅A
(θ)(第2の出力信号の振幅)から、前回のタグ応答振幅A’
(θ)(第1の出力信号の振幅)を減算した、差分ΔAを算出する(ステップS33)。CPU20は、ステップS33で算出した差分ΔAが0以上であるか否かを判定する(ステップS34)。
【0064】
差分ΔAが0以上である場合(ステップS34のYES)には、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)の変曲点f2を超えておらず、タグ応答振幅A
(θ)がこれ以降も増加すると判断し、処理をステップS35に進める。
【0065】
CPU20は、位相制御量θを、予め定めた増加分Δθだけ増加する(ステップS35)。そして、CPU20は、増加分Δθだけ増加した位相制御量θに対応するタグ応答振幅A
(θ)取得する。例えば、
図8(a)に示すように、CPU20は、位相制御量θをθ
(n−1)からθ
(n)に増加する。また、位相制御量θがθ
(n−1)からθ
(n)に増加したことに対応して、タグ応答振幅A
(θ)もA
(θ(n−1))からA
(θ(n))へ変化する。増加分Δθの値は、任意に変更することができる。
【0066】
CPU20は、今回のタグ応答振幅A
(θ)を、前回のタグ応答振幅A’
(θ)として記憶部80に格納する(ステップS36)。
【0067】
例えば、
図8に示すように、前回(n−1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n-1))が前回のタグ応答振幅A’
(θ)として格納されている場合において、今回(n回目)タグ応答振幅A
(θ(n))を検出した場合について説明する。
【0068】
この場合、CPU20は、今回(n回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n))は、前回のタグ応答振幅A’
(θ)として格納されている前回(n−1回目)検出したタグ応答振幅A
(θ(n-1))以上であるため、A
(θ(n))−A
(θ(n-1))の差分ΔAは、0以上となる。この場合、CPU20は、位相制御量θを、予め定めた増加分Δθだけ増加する。
【0069】
この処理が終了すると、処理はステップS32に戻り、差分ΔAが0未満になるまでの間、ステップS32〜ステップS36の処理が繰り返し実行される。
【0070】
これに対し、差分ΔAが0未満になった場合(ステップS34のNO)には、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が変曲点f2を越しており、タグ応答振幅A
(θ)がこれ以降は減少すると判断し、ステップS37に処理を進める。即ち、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が変曲点f2を越したと判断した場合には、これ以上位相制御量θを変更することなく、位相制御量θ
A=maxの探索を終了する。
【0071】
CPU20は、位相制御量θから、増加分Δθを減算した差分「θ−Δθ」を算出する。CPU20は、算出した差分「θ−Δθ」をタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxとして記憶部80に格納する(ステップS37)。この処理が終了すると、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxの探索処理を終了して、
図4のタグ応答受信処理に戻る。
【0072】
第2の実施形態においては、CPU20が、タグ応答振幅A
(θ)が変曲点f2を越したと判断した場合には、これ以上位相制御量θを変更せず、位相制御量θ
A=maxの探索を終了する。これにより、余計な処理を省略して、位相制御量θ
A=maxの探索の処理を高速に行うことができる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10について説明する。第3の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10の回路図は、第1の実施形態の回路図と同じであるため説明を省略する。
【0074】
但し、第1、2の実施形態では、位相制御量θ
A=maxの探索は一度しか行われないが、第3の実施形態では、位相制御量の一旦確定後に、RFIDタグ91が移動したことに伴い発生する、最適位相制御量の変動に対し、最適位相制御量θ
A=maxの追従探索を行う点で相違する。
【0075】
図9および
図10を参照して第3の実施形態の位相制御量探索処理について説明する。
図9は、第3の実施形態の位相制御量探索処理の例を示すフローチャートである。
図10は、第3の実施形態のタグ応答振幅A
(θ)および位相制御量θと、時間tとの関係の例を示すグラフである。
図10の処理フローの符号は、それぞれ、第3の実施形態の位相制御量探索処理の各ステップ番号に対応する。また、
図10(b)において、a1は、最適位相制御量に変化がない状態を表し、a2、a3は、RFIDタグ91の移動等により、RFIDタグ91とRFIDタグリーダライタ装置10との間の最適位相制御量のズレが発生している状態を表す。
【0076】
CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相を任意に変更する。例えば、CPU20は、移相器71を制御して、局発部40から出力される局発信号の位相制御量θを、
図10(a)に示すように、+または−方向に段階的に連続して変更する。位相制御量θを+方向に変更するとは、位相制御量θを増加することをいう。また、位相制御量θを−方向に変更するとは、位相制御量θを減少することをいう。
【0077】
CPU20は、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)を検出する(ステップS51)。CPU20は、現在の位相制御量θを予め定めた増加分Δθだけ増加して、現在の位相制御量θを+Δθずらしたタグ応答振幅A
(θ+Δθ)を取得する(ステップS52)。例えば、
図10に示すように、CPU20は、現在の位相制御量θから+Δθだけずらした位相制御量θ+Δθを取得する。また、位相制御量がθからθ+Δθに増加したことに対応して、タグ応答振幅もA
(θ)からA
(θ+Δθ)へ変化する。この場合CPU20は、現在の位相制御量θを+Δθずらしたタグ応答振幅A
(θ+Δθ)を取得する。位相制御量の増加分Δθの値は、任意に変更することができる。
【0078】
CPU20は、ステップS52で取得したタグ応答振幅A
(θ+Δθ)とステップS51で検出した現在のタグ応答振幅A
(θ)との差分に基づき、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxが+方向に変動したか、または、−方向に変動したかを判定する。即ち、CPU20は、ステップS52で取得したタグ応答振幅A
(θ+Δθ)がステップS51で検出した現在のタグ応答振幅A
(θ)以上であるか否かを判定する(ステップS53)。取得したタグ応答振幅A
(θ+Δθ)が現在のタグ応答振幅A
(θ)以上である場合(ステップS53のYES)には、CPU20は、RFIDタグ91が移動して、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxが+方向に変動したと判断する(ステップS54)。
【0079】
この場合、CPU20は、位相制御量θを+方向に変更してタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する(ステップS55)。この処理では、CPU20は、位相制御量θを、+方向にΔθだけ増加し、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する。具体的には、CPU20は、
図7の第2実施形態の位相制御量探索処理のステップS32〜ステップS36と同様の処理を行う。即ち、第2実施形態の位相制御量探索処理のステップS35の処理において、CPU20は、位相制御量θを、+方向にΔθだけ増加する。そして、Δθだけ増加した位相制御量θに対応するタグ応答振幅A
(θ)を取得し、今回のタグ応答振幅A
(θ)を、前回のタグ応答振幅A’
(θ)として記憶部80に格納する。そして、タグ応答振幅A
(θ)から、前回のタグ応答振幅A’
(θ)を減算した、差分ΔAが0未満になるまでの間、ステップS32〜ステップS36の処理を繰り返し実行する。そして、差分ΔAが0未満になった場合には、CPU20は、位相制御量θから、増加分Δθを減算した差分「θ−Δθ」を算出する。そしてCPU20は、算出した差分「θ−Δθ」をタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxとして記憶部80に格納する。
【0080】
図9に戻り、CPU20は、ステップS55で探索した位相制御量θ
A=maxを次の位相制御量θとする(ステップS56)。この処理が終了すると、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxの探索処理を終了する。
【0081】
これに対し、取得したタグ応答振幅A
(θ+Δθ)が現在のタグ応答振幅A
(θ)より小さい場合(ステップS53のNO)には、CPU20は、現在の位相制御量θを予め定めた増加分Δθだけ減少して、現在の位相制御量θを−Δθずらしたタグ応答振幅A
(θ−Δθ)を取得する(ステップS57)。例えば、
図10に示すように、CPU20は、現在の位相制御量θから−Δθだけずらした位相制御量θ−Δθを取得する。また、位相制御量がθからθ−Δθに減少したことに対応して、タグ応答振幅もA
(θ)からA
(θ−Δθ)へ変化する。この場合CPU20は、現在の位相制御量θを−Δθずらしたタグ応答振幅A
(θ−Δθ)を取得する。位相制御量の減少分Δθの値は、任意に変更することができる。
【0082】
CPU20は、ステップS57で取得したタグ応答振幅A
(θ−Δθ)がステップS51で検出した現在のタグ応答振幅A
(θ)以上であるか否かを判定する(ステップS58)。取得したタグ応答振幅A
(θ−Δθ)が現在のタグ応答振幅A
(θ)より小さい場合(ステップS58のNO)には、処理はステップS51に戻る。そして、取得したタグ応答振幅A
(θ−Δθ)が現在のタグ応答振幅A
(θ)以上となるまでの間ステップS51〜ステップS58の処理が繰り返し実行される。
【0083】
これに対し、取得したタグ応答振幅A
(θ−Δθ)が現在のタグ応答振幅A
(θ)以上である場合(ステップS58のYES)には、CPU20は、RFIDタグ91が移動して、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxが−方向に変動したと判断する(ステップS59)。
【0084】
この場合、CPU20は、位相制御量θを−方向に変更してタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する(ステップS60)。この処理では、CPU20は、位相制御量θを、−方向にΔθだけ減少し、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索する。具体的には、CPU20は、
図7の第2実施形態の位相制御量探索処理のステップS32〜ステップS36と類似の処理を行う。即ち、第2実施形態の位相制御量探索処理のステップS35の処理において、位相制御量θを、−方向にΔθだけ減少する。そして、Δθだけ減少した位相制御量θに対応するタグ応答振幅A
(θ)取得し、今回のタグ応答振幅A
(θ)を、前回のタグ応答振幅A’
(θ)として記憶部80に格納する。そして、タグ応答振幅A
(θ)から、前回のタグ応答振幅A’
(θ)を減算した、差分ΔAが0未満になるまでの間、ステップS32〜ステップS36の処理を繰り返し実行する。そして、差分ΔAが0未満になった場合には、CPU20は、位相制御量θから、減少分Δθを減算した差分「θ−Δθ」を算出する。そしてCPU20は、算出した差分「θ−Δθ」をタグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxとして記憶部80に格納する。
【0085】
図9に戻り、CPU20は、ステップS60で探索した位相制御量θ
A=maxを次の位相制御量θとする(ステップS61)。この処理が終了すると、CPU20は、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxの探索処理を終了する。
【0086】
第3の実施形態においては、例えば、ベルトコンベア100が動くことによりRFIDタグ91が近づいたり遠のいたり移動すること等に起因して、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxが変化した場合であっても、変化に追随して位相制御量θ
A=maxを探索することができる。これにより、復調ミスが生じるのを抑制し復調精度の向上を図ることができる。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10について説明する。第4の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10の回路図、タグ応答受信処理、位相制御量探索処理は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0088】
但し、第1の実施形態では、タグ応答振幅A
(θ)が最大となる位相制御量θ
A=maxを探索しているのに対し、第4の実施形態では、更にRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xを算出する距離算出処理を行う点で相違する。
【0089】
図11および
図12を参照して、第4の実施形態の距離算出処理について説明する。
図11は、RSSI(受信信号強度:Received Signal Strength Index)値および位相制御量θ
A=maxと、距離Xとの関係の例を示すグラフである。
図12は、第4の実施形態の距離算出処理の例を示すフローチャートである。
【0090】
距離算出処理では、記憶部80に記憶されたRFIDタグリーダライタ装置10とRFIDタグ91との距離と、の関係を示す
図11の情報から、CPU20が測定したRSSI値に対応する距離を参照する。そして、参照した距離が複数ある場合には、位相制御量探索処理において探索した位相制御量位相制御量θ
A=maxに基づき、RFIDタグリーダライタ装置10とRFIDタグ91との距離Xを算出する。
【0091】
第4の実施形態においては、波長をλとした場合、λ/(2π)までの距離を近傍界、それよりも遠くの距離を遠方界とし、その境を境界Lとする。なお、近傍界および遠方界の境界Lは、RFIDタグリーダライタ装置10のアンテナ60およびRFIDタグ91のアンテナの特徴や周波数に依存して変動するため、任意に変更することができる。
【0092】
図11に示すように、距離Xは、境界Lより遠い位置(遠方界)においては、RSSI値に依存、即ちRSSI値と反比例の関係となっているが、境界Lよりも近い位置(近傍界)においては、必ずしもRSSI値に依存していない。例えば、境界Lよりも近い位置(近傍界)にある所定の距離X
1、X
2と、境界Lより遠い位置(遠方界)の距離X
3は、それぞれ同じRSSI値r1であるにもかかわらず、それぞれ異なる距離となっている。これに対し、位相制御量θ
A=maxは境界Lをほぼ最小点とした緩やかな曲線により形成されている。従って、第4の実施形態においては、CPU20は、RSSI値および距離Xとの関係を示す情報から、測定したRSSI値に基づいて算出した距離を位相制御量探索処理において探索した位相制御量θ
A=maxで補完する距離算出処理により距離Xを算出する。RSSI値および距離Xとの関係を示す情報(例えば、
図11)は、予め記憶部80に格納されている。
【0093】
図12を参照して、距離算出処理について説明する。距離算出処理は、例えば、位相制御量探索処理の終了後、利用者の操作に基づき、CPU20に対し距離算出処理を開始する旨の指示を受け付けた場合に開始される。
【0094】
CPU20は、RFIDタグ91からの応答信号を利用して、RSSI値を測定する(ステップS71)。CPU20は、位相制御量探索処理において探索した位相制御量θ
A=maxを取得する(ステップS72)。
【0095】
CPU20は、記憶部80を参照して、RSSI値および距離Xとの関係を示す情報(例えば、
図11)を取得する。
【0096】
CPU20は、ステップS71で取得したRSSI値に対応する距離が、1つであるか否かを判定する(ステップS74)。RSSI値に対応する距離が1つである場合(ステップS74のYES)には、CPU20は、対応する距離を距離Xとして算出する(ステップS75)。RSSI値に対応する距離が1つである場合としては、例えば、RSSI値がr2である場合には、対応する距離はX
4の1つとなるため、CPU20は、X
4をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。同様に、例えば、RSSI値がr3である場合には、対応する距離はX
5の1つとなるため、CPU20は、X
5をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。この処理が終了すると距離算出処理は終了となる。
【0097】
これに対し、RSSI値に対応する距離が1つではない場合、即ち、複数ある場合(ステップS74のNO)には、CPU20は、波長λから、近傍界と遠方界の境界Lを特定する(ステップS76)。この処理では、CPU20は、波長λ/(2π)を境界Lとして特定する。
【0098】
CPU20は、ステップS71で取得したRSSI値に対応する距離は2つより多いか否かを判定する(ステップS77)。RSSI値に対応する距離が2つの場合(ステップS77のNO)には、CPU20は、位相制御量θ
A=maxと境界Lとの関係より距離Xを算出する(ステップS78)。
【0099】
具体的には、RSSI値に対応する距離が2つである場合としては、例えば、RSSI値がr4である場合には、対応する距離はX
6とX
7の2つとなる。
この場合、ステップS72で取得した位相制御量θ
A=maxが境界Lより小さい場合には、CPU20は、境界Lより近い位置にあるX
6をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。これに対して、ステップS72で取得した位相制御量θ
A=maxが境界L以上である場合には、CPU20は、境界Lを含んでより遠い位置にあるX
7をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。この処理が終了すると距離算出処理は終了となる。
【0100】
これに対し、RSSI値に対応する距離が2つより多い、即ち、3つの場合(ステップS77のNO)には、CPU20は、位相制御量θ
A=maxは境界L以上であるか否かを判定する(ステップS79)。位相制御量θ
A=maxは境界L以上である場合は、CPU20は、RSSI値に対応する3つの距離のうち、一番遠い距離を距離Xとして算出する(ステップS80)。この処理が終了すると距離算出処理は終了となる。
【0101】
具体的には、RSSI値に対応する距離が3つである場合としては、例えば、RSSI値がr1である場合には、対応する距離はX
1とX
2とX
3の3つとなる。位相制御量θ
A=maxは境界L以上である場合は、CPU20は、RSSI値に対応する3つの距離X
1、X
2、X
3のうち、一番遠い距離X
3を距離Xとして算出する
これに対し、位相制御量θ
A=maxは境界Lより小さい場合は、CPU20は、位相制御量θ
A=maxの変動方向により距離Xを算出する(ステップS81)。
【0102】
具体的には、位相制御量θ
A=maxが−方向に変動したと判断された場合には、CPU20は、RSSI値に対応する3つの距離X
1、X
2、X
3のうち、一番近い距離X
1をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。位相制御量θ
A=maxが−方向に変動したか否かの判断は、例えば、
図9の第3の実施形態のステップS59の処理が行われて判断される。
【0103】
これに対し、位相制御量θ
A=maxが+方向に変動したと判断された場合には、CPU20は、RSSI値に対応する3つの距離X
1、X
2、X
3のうち、中間の距離X
2をRFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91と、の距離Xとして算出する。位相制御量θ
A=maxが+方向に変動したか否かの判断は、例えば、
図9の第3の実施形態のステップS54の処理が行われて判断される。この処理が終了すると距離算出処理は終了となる。
【0104】
第4の実施形態においては、探索した位相制御量θ
A=maxによりRSSI値を補完して、RFIDタグリーダライタ装置10と、RFIDタグ91との距離Xの算出する精度の向上を図ることができる。これにより、例えば、CPU20は、算出した距離Xにより、RFIDタグリーダライタ装置10により、RFIDタグ91を読み込む範囲を正確に制御することができる。
【0105】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10について説明する。第5の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10は、第1の実施形態の回路図、タグ応答受信処理、位相制御量探索処理と同じであるため、説明を省略する。
【0106】
但し、第1の実施形態のスライスレベルSLは固定されており、タグ応答振幅A
(θ)が変動した場合であっても変更されることはないのに対し、第5の実施形態では、スライスレベルSLを可変とし、検出最大振幅A
maxに応じてスライスレベルSLが変動する点で相違する。
【0107】
図13は、RFIDタグリーダライタ装置におけるADC出力とスライスレベルSLとの関係の例を示す図である。
【0108】
図13(a)に示すように、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)が十分大きいときは、スライスレベルSLの上下に振幅波形が存在するため、正しく復調される。これに対して、
図13(b)に示すように、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)が小さいときは、スライスレベルSLの上下に振幅波形が形成されないために、正しく復調されない場合がある。
【0109】
図14は、第5の実施形態のRFIDタグリーダライタ装置10におけるADC出力とスライスレベルSLとの関係の例を示す図である。
【0110】
図14(a)に示すように、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)が十分大きいときは、CPU20は、位相制御量探索処理において検出した検出最大振幅A
maxに合わせてスライスレベルSLを高く設定する。これにより、スライスレベルSL上下に振幅波形が現れるため、正しく復調される。また、
図14(b)に示すように、ADC出力のタグ応答振幅A
(θ)が小さい場合には、CPU20は、位相制御量探索処理において検出した検出最大振幅A
maxに合わせてスライスレベルSLを低く設定する。これにより、ADC出力の信号がスライスレベルSL上下に振幅波形を形成せず、正しく復調できないという不具合を防止することができる。
【0111】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。