(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一次アクチュエータは、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸と実質的に同一直線上に存在する主回転軸を有する、請求項1に記載のクラッチ式関節モジュール。
前記クラッチ機構は、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸と実質的に同一直線上に存在するクラッチ回転軸を有する、請求項1に記載のクラッチ式関節モジュール。
前記クラッチ機構、前記一次アクチュエータおよび前記変速機は全て、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸に対して配置され前記回転軸周りで動作可能である、請求項5に記載のクラッチ式関節モジュール。
前記クラッチ機構および前記準受動的弾性アクチュエータの少なくとも一方は、前記弾性状態において、前記入力部材と前記出力部材との間の回転を制限するブレーキとして動作する、請求項1に記載のクラッチ式関節モジュール。
前記クラッチ機構は更に、前記クラッチ機構が前記非係合状態にある時、前記複数の出力プレートが前記複数の入力プレートに対して自由に回転するように、前記複数の出力プレートに結合されて前記入力プレートに対して自由に移動可能なクラッチ出力シャフトを備える、請求項1に記載のクラッチ式関節モジュール。
前記複数のクラッチ式関節モジュールのうちの第1のクラッチ式関節モジュールは、前記複数のクラッチ式関節モジュールのうちの第2のクラッチ式関節モジュールの準受動的弾性アクチュエータの弾性要素の種類とは異なる種類の弾性要素を有する準受動的弾性アクチュエータを備える、請求項17に記載のシステム。
前記準受動的弾性アクチュエータを弾性状態と非弾性状態とで切り替えるべく、前記クラッチ機構を選択的に前記係合状態および前記非係合状態にする段階を更に備える、請求項21に記載の方法。
前記関節の第1の回転を行う段階、前記関節の第2の回転を行う段階および前記関節の第3の回転を行う段階のうちの少なくとも一つは、一次トルクを前記出力部材に印加するべく一次アクチュエータを動作させることを含む、請求項21に記載の方法。
前記関節の第1の回転を行う段階、前記関節の第2の回転を行う段階および前記関節の第3の回転を行う段階のうちの少なくとも一つは、前記関節に印加される力を外部から受けることを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の概要】
【0003】
開示される技術の最初の要約をここに記載する。技術の具体的な例については、後で詳細に記載する。この概要は、例を示し、読者が技術をより迅速に理解するのを助けることを意図しており、技術の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではない。
【0004】
本開示はロボットアセンブリのクラッチ式関節モジュールについて記載する。クラッチ式関節モジュールは、ロボットシステムの第1の支持部材に結合可能な出力部材と、前記ロボットシステムの第2の支持部材に結合可能な入力部材と、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とを互いに対して前記クラッチ式関節モジュールの回転軸周りに回転させるべく前記出力部材に一次トルクを印加するように動作可能な一次アクチュエータと、前記入力部材に結合され、前記出力部材を前記回転軸周りに回転させるべく前記一次アクチュエータによって加えられる前記一次トルクと組み合わせられる増大トルクを前記出力部材に印加するように動作可能な準受動的弾性アクチュエータと、前記一次アクチュエータおよび前記準受動的弾性アクチュエータに結合され、係合状態または非係合状態で動作可能であるクラッチ機構と、を備え、前記係合状態において、前記クラッチ機構は、前記準受動的弾性アクチュエータを弾性状態にして前記増大トルクの印加を容易にする。
【0005】
前記非係合状態において、前記クラッチ機構は、前記準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態にするように動作してもよい。
【0006】
前記準受動的弾性アクチュエータは、機械的弾性部品の形態の弾性要素を含んでもよい。前記機械的弾性部品は、ねじりコイルばねを含んでもよい。
【0007】
前記一次アクチュエータは、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸と実質的に同一直線上に存在する主回転軸を有してもよい。
【0008】
前記クラッチ機構は、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸と実質的に同一直線上に存在するクラッチ回転軸を有してもよい。
【0009】
前記クラッチ式関節モジュールは、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸周りに動作する変速機を更に備え、前記変速機は、前記一次アクチュエータと前記出力部材との間に動作可能に結合される。
【0010】
前記クラッチ機構、前記一次アクチュエータおよび前記変速機は全て、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸に対して配置され前記回転軸周りで動作可能である。
【0011】
前記変速機は、少なくとも部分的に前記一次アクチュエータの中央空隙内に配置されてもよい。
【0012】
前記クラッチ機構および前記準受動的弾性アクチュエータの少なくとも一方は、前記弾性状態において、前記入力部材と前記出力部材との間の回転を制限するブレーキとして動作してもよい。
【0013】
前記クラッチ機構は、前記一次アクチュエータに結合された回転伝達要素と、前記ねじりコイルばねに結合された係合リングと、前記入力部材に結合され、前記係合リングに係合する可動係合要素と、前記可動係合要素に結合されたクラッチアクチュエータであって、前記可動係合要素を移動させて前記回転伝達要素を前記係合リングに係合させ、前記クラッチ機構が前記係合状態において前記増大トルクの印加を容易にするように機能させるクラッチアクチュエータと、を備えてもよい。
【0014】
係合リングはねじりコイルばねを囲み、前記可動係合要素の係合構造は、前記係合リングの係合構造に係合してもよい。
【0015】
前記クラッチ機構が前記係合状態にあり前記入力部材が第1の回転を行う時、前記ねじりコイルばねはエネルギーを蓄積し、前記クラッチ機構が前記係合状態を維持したまま前記入力部材が第2の回転を行う時、前記ねじりコイルばねはエネルギーを解放して、前記増大トルクを印加し、前記入力部材が第3の回転を行う時、前記クラッチアクチュエータは前記可動係合要素を前記回転伝達要素から非係合として前記クラッチ機構を非係合状態にして、前記準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態として前記増大トルクを取り除くのを容易にする。前記第1の回転、第2の回転および第3の回転は、同じ方向または異なる方向にすることができる。
【0016】
前記クラッチ機構は更に、前記回転伝達要素に回転可能に結合され、前記ねじりコイルばねに結合されるスプラインシャフトと、前記スプラインシャフトに結合されるスプラインカラーと、を備えてもよく、前記クラッチアクチュエータは、伝動ベルトによって前記スプラインカラーと結合されて前記スプラインカラーを回転させることにより、前記可動係合要素を前記回転伝達要素に対する係合状態または非係合状態へと移動させる。
【0017】
前記一次アクチュエータは、中央空隙を有する電気モータを備えてもよく、前記クラッチ式関節モジュールは更に、前記中央空隙内に少なくとも部分的に配置された第1の変速機と、前記第1の変速機と前記出力部材との間に動作可能に結合された第2の変速機とを備えてもよい。
【0018】
前記電気モータ、前記回転伝達要素、前記係合リング、前記可動係合要素、前記第1の変速機および前記第2の変速機はそれぞれ、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸周りに回転してもよい。
【0019】
前記回転伝達要素は前記電気モータのロータおよび前記第1の変速機に結合されて、前記回転伝達要素によって前記電動モータからの前記一次トルクが前記第1の変速機に伝達される。
【0020】
前記クラッチ機構は更に半係合状態を有してもよく、前記クラッチ機構は、前記入力部材に結合されたクラッチハウジングと、前記クラッチハウジングによって保持される複数の入力プレートと、前記クラッチハウジングによって回転可能に支持され、前記複数の入力プレートと交互に配置されて回転可能に面する複数の出力プレートと、前記クラッチハウジングに結合され、前記複数の出力プレートおよび前記複数の入力プレートに選択的に可変圧縮力を印加して、制動力が生成されるか前記増大トルクが前記出力部材に印加されるかの少なくとも一方が発生する前記係合状態または前記半係合状態で前記クラッチ機構を機能させる電磁アクチュエータと、を備える。
【0021】
前記クラッチ機構は更に、前記クラッチ機構が前記非係合状態にある時、前記複数の出力プレートが前記複数の入力プレートに対して自由に回転するように、前記複数の出力プレートに結合されて前記入力プレートに対して自由に移動可能なクラッチ出力シャフトを備えてもよい。
【0022】
前記準受動的弾性アクチュエータは、ねじりコイルばねの形態の弾性要素を含んでもよい。前記ねじりコイルばねの一端は、前記クラッチ出力シャフトおよび前記一次アクチュエータに結合される伝達シャフトに結合され、前記ねじりコイルばねの他端は、前記入力部材に結合される。
【0023】
前記一次アクチュエータは、電気モータを備えてもよく、前記クラッチ式関節モジュールは更に、前記電気モータおよび前記伝達シャフトに動作可能に結合された変速機を備えてもよい。
【0024】
前記電気モータ、前記伝達シャフト、前記クラッチ出力シャフトおよび前記変速機はそれぞれ、前記クラッチ式関節モジュールの前記回転軸周りに回転する。
【0025】
本開示は、ロボットシステムの電力消費を抑えるロボットシステムについて記載する。ロボットシステムは、複数の支持部材と、それぞれが少なくとも二つの前記支持部材を共に回転可能に結合している複数のクラッチ式関節モジュールと、を備え、複数のクラッチ式関節モジュールはそれぞれ、回転軸周りに回転可能であり、前記ロボットシステムの自由度を規定する関節と、前記関節を回転させる一次トルクを印加可能な一次アクチュエータと、前記一次アクチュエータからの前記一次トルクと組み合わせて増大トルクを印加して、前記関節を回転させるべく動作する準受動的弾性アクチュエータと、前記一次アクチュエータおよび前記準受動的弾性アクチュエータに結合され、係合状態または非係合状態で動作可能であるクラッチ機構と、を備え、前記係合状態において、前記クラッチ機構は、前記準受動的弾性アクチュエータを弾性状態にして前記増大トルクの印加を容易にする。
【0026】
上記システムにおいて、前記クラッチ機構は、前記関節の前記回転軸と実質的に同一直線上に存在するクラッチ回転軸を有してもよい。
【0027】
前記システムは、前記関節の前記回転軸周りに動作する変速機を更に備え、前記変速機は、少なくとも部分的に前記一次アクチュエータの中央空隙内に配置される。
【0028】
前記複数のクラッチ式関節モジュールのうちの第1のクラッチ式関節モジュールは、前記複数のクラッチ式関節モジュールのうちの第2のクラッチ式関節モジュールの準受動的弾性アクチュエータの弾性要素の種類とは異なる種類の弾性要素を有する準受動的弾性アクチュエータを備える。
【0029】
前記クラッチ機構は更に半係合状態を有してもよく、前記電磁アクチュエータは、前記複数の出力プレートおよび前記複数の入力プレートに選択的に可変圧縮力を印加して、制動力が生成されるか前記増大トルクが前記出力部材に印加されるかの少なくとも一方が発生する前記係合状態または前記半係合状態で前記クラッチ機構を機能させる。
【0030】
本開示は更に、ロボットシステムのロボット関節を動作させる方法を記載する。方法は、前記ロボットシステムの関節を規定し動作させるクラッチ式関節モジュールのクラッチ機構を係合状態に操作して、準受動的弾性アクチュエータを弾性状態にする段階と、前記関節の回転の少なくとも一部の間に前記準受動的弾性アクチュエータにエネルギーを蓄積させるように前記関節の第1の回転を行う段階と、前記蓄積されたエネルギーを前記準受動的弾性アクチュエータから、前記クラッチ式関節モジュールの出力部材に加えられる増大トルクの形態で解放させるように、前記関節の第2の回転を行う段階と、前記準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態にするべく、前記クラッチ機構を選択的に非係合状態にする段階と、前記関節の第3の回転を行う段階と、を備え、前記準受動的弾性アクチュエータは、前記クラッチ式関節モジュールおよび前記関節の自由揺動モードを容易にする。前記第1の回転、第2の回転および第3の回転は、同じ方向または異なる方向にすることができる。
【0031】
方法は、前記準受動的弾性アクチュエータを弾性状態と非弾性状態とで切り替えるべく、前記クラッチ機構を選択的に前記係合状態および前記非係合状態にする段階を更に備える。
【0032】
前記関節の第1の回転を行う段階、前記関節の第2の回転を行う段階および前記関節の第3の回転を行う段階のうちの少なくとも一つは、一次トルクを前記出力部材に印加するべく一次アクチュエータを動作させることを含んでもよい。
【0033】
前記関節の第1の回転を行う段階、前記関節の第2の回転を行う段階および前記関節の第3の回転を行う段階のうちの少なくとも一つは、回転を引き起こすのに十分な前記関節に印加される力を外部から受けることを含む。
【0034】
前記方法は、前記クラッチ式関節モジュールを作動させるべく、前記一次アクチュエータからの前記一次トルクを変速機へと伝達させる段階を更に備える。
【0035】
前記準受動的弾性アクチュエータは、ねじりコイルばねの形態の弾性要素を含んでもよい。
【0036】
前記方法は、可動係合要素を前記ねじりコイルばねに結合された係合リングの1つ以上の係合構造に係合させるように前記クラッチ機構のクラッチアクチュエータを動作させて、前記クラッチ機構を前記係合状態とし、前記準受動的弾性アクチュエータを駆動させる段階を更に備える。
【0037】
前記クラッチ機構は更に半係合状態を有してもよく、前記方法は更に、前記クラッチ機構内の複数のプレートに可変の圧縮力を加えるべく可変の電磁場を発生させるように電磁アクチュエータを選択的に動作させて、前記クラッチ機構を、制動力が生成されるか前記増大トルクが前記出力部材に印加されるかの少なくとも一方が発生する前記係合状態または前記半係合状態にする段階を備える。
【0038】
本開示は更にロボットアセンブリ内で使用されるクラッチ式関節モジュールについて記載する。クラッチ式関節モジュールは、ロボットシステムの第1の支持部材に結合可能な出力部材と、前記ロボットシステムの第2の支持部材に結合可能な入力部材と、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とを互いに対して前記クラッチ式関節モジュールの回転軸周りに回転させるべく前記出力部材に一次トルクを印加するように動作可能な一次アクチュエータと、前記一次アクチュエータおよび前記出力部材は、トルク伝達装置によって互いに動作可能に連結されており、前記入力部材に結合され、前記出力部材を前記回転軸周りに回転させるべく前記一次アクチュエータによって加えられる前記一次トルクと組み合わせられる増大トルクを前記出力部材に印加するように動作可能な準受動的弾性アクチュエータと、前記一次アクチュエータおよび前記準受動的弾性アクチュエータに結合され、係合状態または非係合状態で動作可能であるクラッチ機構と、を備え、前記係合状態において、前記クラッチ機構は、前記準受動的弾性アクチュエータを弾性状態にして前記増大トルクの印加を容易にする。
【0039】
前記クラッチ機構および前記一次アクチュエータはそれぞれ互いに実質的に平行な回転中心軸を有してもよい。
【0040】
前記機械的弾性部品は、ねじりコイルばねを含んでもよい。
【0041】
前記クラッチ機構は、前記一次アクチュエータに結合された回転伝達要素と、前記ねじりコイルばねに結合された係合リングと、前記入力部材に結合され、前記係合リングに係合する可動係合要素と、前記可動係合要素に結合されたクラッチアクチュエータであって、前記可動係合要素を移動させて前記回転伝達要素を前記係合リングに係合させ、前記クラッチ機構が前記係合状態において前記増大トルクの印加を容易にするように機能させるクラッチアクチュエータと、を備えてもよい。
【0042】
係合リングはねじりコイルばねを囲み、前記可動係合要素の係合構造は、前記係合リングの係合構造に係合してもよい。
【0043】
前記クラッチ機構が前記係合状態にあり前記入力部材が第1の回転を行う時、前記ねじりコイルばねはエネルギーを蓄積し、前記クラッチ機構が前記係合状態を維持したまま前記入力部材が第2の回転を行う時、前記ねじりコイルばねはエネルギーを解放して、前記増大トルクを印加し、前記入力部材が第3の回転を行う時、前記クラッチアクチュエータは前記可動係合要素を前記回転伝達要素から非係合として前記クラッチ機構を非係合状態にし、前記準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態として前記増大トルクを取り除くのを容易にする。前記第1の回転、第2の回転および第3の回転は、同じ方向または異なる方向にすることができる。
【0044】
前記クラッチ機構は、前記入力部材に結合されたクラッチハウジングと、前記クラッチハウジングによって保持される複数の入力プレートと、前記クラッチハウジングによって回転可能に支持され、前記複数の入力プレートと交互に配置されて回転可能に面する複数の出力プレートと、前記クラッチハウジングに結合されて、前記増大トルクの印加を容易にするべく前記クラッチ機構を前記係合状態にするように、前記複数の出力プレートおよび前記複数の入力プレートに圧縮力を印加することができる電磁アクチュエータと、を備えてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、動作、特徴、特性、状態、構造、項目または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた物体とは、物体が完全に囲まれている、または、ほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対完全性からの許容可能な逸脱の程度は、特定の状況に依存する場合もある。しかしながら、一般的には、完全性に近いということは、絶対的なおよび完全な完了が得られた場合と、全体的には同じ結果が得られる。「実質的に(substantially)」という言葉の使用は、動作、特徴、特性、状態、構造、項目または結果の完全なまたはほぼ完全な欠如を指す否定的な意味で使用される場合にも同様に適用可能である。
【0071】
本明細書で使用される「隣接する(adjacent)」とは、二つの構造または要素が近接していることを指す。特に、「隣接する」として識別される要素は、隣接している、または、接続していてもよい。このような要素は、お互いに接触することなく互いに接近または近接していてもよい。近接の正確な程度は、具体的な状況に依存する場合もある。
【0072】
最初に技術の概略を上記で提供し、次に具体的な技術の実施形態について更に詳細に説明する。この最初の概要は、読者のより迅速な技術の理解を助けることを意図しているが、技術の重要なまたは本質的な特徴を特定することは意図しておらず、また、請求される主題の範囲を限定することも意図していない。
【0073】
ロボットアセンブリ100の1つの例が
図1に概略的に示されている。ロボットアセンブリ100は、外骨格の形態で示されており、特に、下半身周りにユーザが装着可能な下外骨格が示されている。しかしながら、本明細書で論じる概念は、外骨格(上外骨格および下外骨格の両方)、ヒューマノイドロボットまたはロボット装置、遠隔操作ロボットまたはロボット装置、ロボットアーム、無人地上ロボットまたはロボット装置、マスタ/スレーブロボットまたはロボット装置(仮想環境を使用してまたは仮想環境内で動作可能なものを含む)、および、当業者には明らかであろう他の任意の種類のものを含む様々なタイプのロボット装置に適用可能であり、これらの装置に組み込むことができるまたは実装可能であり、以下に記載するコンセプトに限定するものではない。
【0074】
ロボットアセンブリ100の例では、本明細書で開示される外骨格を、全身外骨格(すなわち、
図4Aに示すような、下半身部分および上半身部分の両方を有する外骨格と同様)として、下半身外骨格(すなわち、下半身部分の一部または全部)のみとして、または、上半身外骨格(すなわち、上半身部分の一部または全部)のみとして構成されてもよい。
【0075】
幾つかの例では、ロボットアセンブリ100は、左および右の外骨格肢を含むことができる。
図1には右の外骨格肢102のみが示されているが、説明する原理は、上半身または下半身の外骨格の任意の外骨格関節モジュールに関する。右側の外骨格肢102は、複数の下半身支持部材104a〜dを備え得る。回転軸108a〜dそれぞれの周りの複数の自由度を規定する複数のクラッチ式関節モジュール106a〜dの相対運動を実現すべく、支持部材104a〜dを互いに結合することができる。回転軸108a〜dの周りの回転自由度は、人間の脚の自由度1以上に対応させることができる。例えば、回転軸108a〜dの周りの回転自由度は、それぞれ、股関節外転/内転、股関節屈曲/伸展、膝屈曲/伸展、および、足首屈曲/伸展に対応させてもよい。同様に、図示されていないが、上半身外骨格内のそれぞれの回転軸の周りの回転自由度は、人間の腕の自由度1以上に対応させることができる。例えば、回転軸周りの自由度は、肩の外転/内転、肩の屈曲/伸展、肩の内側/外側の回転、肘の屈曲/伸展、手首の回内/回外、および、手首の屈曲/伸展に対応させることができる。必要に応じて、手首の外転/内転に対応する自由度も含めることができる。
【0076】
人間のユーザまたはオペレータは、ロボットアセンブリ100とインタフェースする外骨格ロボットアセンブリ100(または
図4Aの101)を使用することができるまたは通信することができる。これは、当技術分野で知られている様々な方法で達成可能である。例えば、オペレータの足に対応する力センサと接触可能なアセンブリの足部分に、オペレータの足を置くことによって、ロボットアセンブリ100とインタフェースすることができる。人間のオペレータの体の一部を、ロボットアセンブリ100の様々な位置に配置された外骨格ロボットアセンブリ100の力センサと接触させることもできる。例えば、ロボットアセンブリ100の股関節部分は、オペレータの股関節と相互作用するように構成された1つ以上の力センサを有してもよい。ウエストストラップ、ショルダーストラップまたは他の適切な連結装置によって、オペレータをロボットアセンブリ100と接続することができる。また、足ストラップおよび/またはオペレータが掴むためのハンドルによって、オペレータをロボットアセンブリ100と接続することができる。一態様では、ロボットアセンブリ100の股関節、膝または足首部分の周囲に力センサを、操作者のそれぞれの部分に対応して配置させることができる。ロボットアセンブリ100上またはその周りの特定の位置に配置されたセンサについて説明したが、位置センサ、力センサまたはその両方を、ロボットアセンブリ100の上または周囲の多数の場所に戦略的に配置して、ロボットアセンブリ100の動作を制御することができる。
【0077】
一般的に、クラッチ式関節モジュール106a〜dは、それぞれの自由度で支持部材に力またはトルクを提供するべく、外骨格の様々な自由度と関連付けされてもよい。従来の外骨格システムおよび装置とは異なり、以下にさらに説明するように、各クラッチ式関節モジュールが能動型アクチュエータまたは準受動的アクチュエータとして構成されるように、ロボットアセンブリ100を構成することができる。準受動的アクチュエータとして、特定のクラッチ式関節モジュール(106a〜d)をエネルギーを回収するように構成して、ロボットアセンブリ100の複雑さおよび電力消費を低減することができる。例えば、膝の屈曲/伸展の自由度に対応する自由度を規定するクラッチ式関節モジュール106cは、第1の歩行運動の間にエネルギーを回収し、次いで、第2の歩行運動中にそのエネルギーを解放して、自由度に応じた関節の回転に一次トルクを提供する一次アクチュエータを補助するべく増大させたトルクを印加する(および以下に説明するように、クラッチ式関節モジュール106cの一次アクチュエータによって加えられるトルクと並列にまたは直列に)ように構成することができる。クラッチ式関節モジュール106cを選択的に制御することにより、作動にたずさわる(すなわち、弾性アクチュエータがエネルギーを蓄積および解放する動作状態または条件(弾性状態)にする)または作動にたずさわらない(すなわち、エネルギーを蓄積しないおよび解放もしない(非弾性状態)動作状態または条件または構成にする)ようにしてもよく、例えば、オペレータが歩行または走る際に関節を回転するように無視できる程度の抵抗で関節が「自由に揺動」する状態にすることができる。準受動的弾性アクチュエータは、一次アクチュエータ(例えば、関節を駆動するように動作可能な主モータ)と並列にまたは直列に動作することにより、一次アクチュエータが提供するトルクと並列にまたは直列に増大したトルクを提供することができるまたは印加することができる(すなわち、一次アクチュエータによって生成されたトルクに加算される)。準受動的弾性アクチュエータは、当該準受動的アクチュエータのモードを変更するように制御および操作することができる二方弁のような小型の内部弁を備えてもよく、すなわち、弾性状態(アクチュエータが過渡エネルギーを蓄積および回復するためのばねとして動作する場合)と、非弾性状態(アクチュエータが自由に動くことを可能にするシャント機能を当該アクチュエータが採用する場合(すなわち、エネルギーを蓄積しないまたは解放しない)との間の切り替えが行われてもよい(弁を通過する流体の摩擦および動きを除く)。また、(準受動的アクチュエータとしての)クラッチ式関節モジュール106cは、後述するように、変更可能な所望の剛性を有するように「調整」することができる。したがって、特定の関節の剛性の大きさはミッション固有の負荷および地形によって異なる歩様に合わせて調整可能であり、その剛性が歩行サイクルの支持期にエネルギー回収に利用される時と、遊脚期に非係合にされる時とを能動弁が正確に制御する。
【0078】
準受動的アクチュエータとしては、関節を作動させるのに必要な電力消費を低減または最小限にするために、エネルギー(例えば、歩行または他の動作中に失われるエネルギー)を蓄積するように選択的に動作可能な準受動的弾性機構となる。
【0079】
本明細書に記載されている例示的な弾性アクチュエータは、(関節の回転中または機械的システムのその他の動作中に常にエネルギーを蓄積または解放している完全に受動的な弾性アクチュエータと比較して)それらが能動的および非能動的な状態またはそのような動作モードで動作可能であることから、準受動的弾性アクチュエータと呼ぶことができる。本明細書に記載されている例では、受動モードおよび非動作モードまたはそのような動作状態は、選択可能または制御可能であってもよく、動的に選択可能または制御可能であってもよい(例えば、リアルタイムで選択可能である)、また、ロボットシステムの動作中に、ある状態またはあるモードから別の状態または別のモードへと繰り返して切り替え可能であってもよい。クラッチ式関節モジュールの構成に応じて、準受動的弾性アクチュエータの例は、ロボットシステムの関節の様々な回転中に準受動的弾性アクチュエータを作動させてエネルギーを蓄積および解放することができる第1の能動状態(「弾性状態」とも称される)、準受動的弾性アクチュエータを非アクティブにして関節の様々な回転中にエネルギーが蓄積も解放もされない第2の受動状態(本明細書では「非弾性状態」とも称される)があり、また、場合によっては、関節の様々な回転中に準受動的弾性アクチュエータを部分的に作動させてエネルギーを蓄積および解放することができる第3の半能動状態または部分的能動状態(時には「半弾性状態」とも称される)を備えてもよい。ロボットシステムの幾つかの例では、準受動的弾性アクチュエータは、例えば、必要とされるタスクおよびそれに対応する回転運動、ロボットシステムの一つまたは複数の関節の様々なトルクもしくは負荷要件、または、必要なもしくは所望の制動力に応じて、必要とされるもしくは所望の動作状態間または異なるモード間での切り替えを行ってもよい。
【0080】
例えば、
図1または
図4Aに示すように下半身外骨格のように、ロボットアセンブリ内に複数のクラッチ式関節モジュールを組み合わせる場合、運動中(股関節、膝および足首関節を介して)相当量のエネルギーを回収して利用することができ、外骨格の重量、サイズ、複雑性および電力消費を低減することが可能である。さらに、ロボットシステムまたはアセンブリ内の様々な関節モジュールのそれぞれは、同じタイプまたは異なるタイプの準受動的弾性アクチュエータ(すなわち、同一多種の弾性部品)を備えることができ、したがって、特定のアプリケーションまたは実行されるタスクに応じてロボットアセンブリを最適なパフォーマンスを得るように構成することができる。上記の概要について、後で詳しく説明する。能動型アクチュエータ(すなわち、準受動的弾性要素を有さない)として、特定のクラッチ式関節モジュールは、関節を作動させるべく能動型アクチュエータとして係合するように選択的に動作可能(すなわち、クラッチ機構を介して)であってもよく、これについては以下にさらに説明する。
【0081】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、本開示の2つの例に係るクラッチ式関節モジュールを概略的に示す。
図2Aは、クラッチ式関節モジュールに一次トルクを提供するように動作可能な一次アクチュエータ122を有するクラッチ式関節モジュール120を示す。この例では、一次アクチュエータは、モータ124および変速機または歯車列126(例えば、遊星歯車変速機)を備えてもよく、これらは、クラッチ機構128および弾性要素またはばね128と並行して動作する(例えば、ロータリー型またはリニア空気圧式(空気または他の気体)準受動的弾性アクチュエータのような準受動的弾性アクチュエータなど)。一次アクチュエータ122は、ばね(準受動的弾性アクチュエータ)128によって選択的に加えられる増大トルクと並行して、負荷に一次トルクを印加(例えば、ロボット支持部材と結合された出力部材を回転させる)することができ、
図1および
図1Aに示すようなロボットアセンブリの関節を回転させる。増大トルクは、後述するように、係合状態と非係合状態とで切り替え可能なクラッチ機構128の動作によって選択的に印加される。歯車列126は取り外し可能に構成されてもよいし、そのようにする必要がない場合もある。また、補助変速機または補助歯車列を、歯車列126に隣接して結合し、モータ124から負荷への2段階変速を提供することができる。
図5A〜
図5Eの例は、
図2Aに概略的に代表される。
【0082】
図2Bには、ばね129およびクラッチ機構131と並列に動作する、モータ125および変速機または歯車列127(例えば、遊星歯車変速機)とを備える一次アクチュエータ123を有するクラッチ式関節モジュール121を示す。クラッチ機構131は、(一次アクチュエータ123による一次トルクの負荷への印加の作動を容易にする)係合状態と非係合状態との間で動作可能であり、ばね129の適用を選択的に制御する。ばね129は、エネルギーを蓄積し、次いで、一次アクチュエータ123によって加えられる一次トルクと並行して増大トルクを印加するべくエネルギーを解放して、これらトルクを合わせたトルクを負荷に印加する(例えば、ロボット支持部材に連結された出力部材を回転させるために)。ここで、ばね129の出力は、
図6Aの例に関して以下に開示するように、モータ125と歯車列127の間に結合される(モータ125の出力に結合されるまたは歯車列127の入力に結合される)。
【0083】
図3Aは、人間の歩行例において発生する関節トルクと関節位置をプロットしたグラフであり、関節の回転角に対してまたは対応して発生するトルク(N−m/kg)が示されている。このグラフは、人間の膝(外骨格を着用せず)の例示的なトルク/角回転の関係を示しており、平面を約3mphで歩いている場合である。点Aから点Bへの最初の歩行運動は、踵の接地に続く立脚圧縮を示し、点Bから点Cへの第2の歩行運動では、立脚伸長を示し、立脚期は点Dで完了する。点D、E、F、およびA間の第3の歩行運動は、「二重支持および遊脚」を示している。したがって、「立脚期」は、踵の接地(点A)から爪先回転/立脚終期(点A〜D)までであり、トルク−関節プロファイルは準弾性挙動を示す(この準弾性剛性に関しては、歩行と走行では同様である)。この期間では、膝は衝撃吸収体としても機能する。「遊脚期」は、爪先離地から踵接地(点Eから点Aまで)までであり、この期間において、膝は、踵接地前に起きる最終伸長の間に、ある程度の減衰を伴う準衝撃応答(quasi−ballistic response)(受動的応答)を示す(したがって、膝は制御された緩衝器または衝撃吸収体として働く)。
【0084】
人間の歩行の特性は、膝関節に固有のものではなく、また歩き方に限定されずに、本明細書で論じられるクラッチ式関節モジュールの基礎を形成する。実際に、歩行、走り、段差昇降などの模擬周期的外骨格活動における関節トルク対位置プロットを見ると、弾性エネルギーの回収を利用して関節を動かすのに必要なモータのトルクの必要条件を低減することができる特定の歩行運動における期間が存在する。このように、本明細書で説明するクラッチ式関節モジュールは、例えば、動力アクチュエータ(例えば、電動歯車付きモータ)の要件を最小限に抑えて、ロボットアセンブリ内の全体的な電力消費を低減するべく、股関節、膝および足首の自然な動きの特徴を利用するように構成することができる。本明細書で論じるクラッチ式関節モジュールは、例えば、肩関節および肘関節に組み込むこともできるが、以下でさらに説明するように、下半身の関節に組み込むよりも、作業に依存する形となる。しかしながら、下半身関節(例えば、股関節、膝、足首)のクラッチ式関節モジュールを、単に周期的な動作(例えば、歩行または走る)ではなく、特定のタスク(例えば、重いものを持ち上げる、座ったり立ったりする等)に基づいて動作するように構成することもできる。
【0085】
図3Bには、50ポンド(約22.7kg)の荷重で3.5mph(時速約5.6km)での歩行する場合の、標準的な外骨格膝関節トルク(N−m)対位置(角度)を示したグラフである。「三角形」がプロットされた線(「関節作動トルク」)は所定の関節軌道を達成するのに必要な全体トルクを表し、「円形」がプロットされた線(「ばね反作用トルク」)はクラッチ式関節モジュールの準受動的弾性アクチュエータによって生成される得る弾性応答の歩行部分を表す。このように、ばね反作用トルクを利用して、以下でさらに詳細に説明するように、関節を作動させるのに必要な電力消費を低減することができる。
【0086】
図3Cは、一次アクチュエータと並列に動作する準受動的弾性アクチュエータを有するクラッチ式関節モジュールを備える外骨格の性能を示すグラフであり、当該関節モジュールは、一例として、人間の膝関節に関連付けられる関節剛性が7Nm/度のものである。より具体的には、グラフは、50ポンド(約22.7kg)の荷重で3.5mph(時速約5.6km)で歩行する場合の関節トルク(N−m)対関節速度(deg/sec)を示す。「三角形」がプロットされた線(「関節作動トルク」)は、所定の関節軌道(例えば、膝を回転させるのに必要なトルク)を達成するために必要な全体のトルクを表し、「円形」がプロットされた線(「ばね反作用トルク」)は、本明細書に例示されるように、準受動的弾性アクチュエータを適時に係合および非係合とさせることによって弾性応答が生成され得る歩行の部分を表す。
【0087】
「円形」がプロットされた線によって示されるように、得られるピークトルクは、「三角形」がプロットされた線の正規化されたトルク必要条件(約100N−m)と比較して実質的に低減(約25N−m)されている。すなわち、通常(すなわち、弾性アクチュエータを有するクラッチ式関節モジュールを組み込むことなく)、トルク必要条件は約100N−mでピークに達するが、本明細書に開示されるような弾性アクチュエータを有するクラッチ式関節モジュールを組み込む場合は、ピークトルクは約20N−mに過ぎず、したがって、同じ歩行サイクルおよび動作条件に対する電力要求を大幅に低減できる。これは、クラッチ式関節モジュールが第1の歩行運動中に(準受動的弾性アクチュエータを介して)エネルギーを蓄積し、次の第2の歩行運動中にそのエネルギーを解放して、クラッチ式関節モジュールの一次アクチュエータ(例えば、歯車付きモータ)によって印加されるトルクと並行に印加可能な増大トルクを印加するからである。無論、これらの結果には、重量、荷重等の他の要因も影響するが、いずれの場合であっても、これらのグラフは、以下に更に例示される、選択的に制御可能な準受動的弾性アクチュエータに連動して関節を適切に作動させる時に動力付きモータが必要とするオンボード電力が低減されていることを示している。並列弾性アクチュエータを使用することにより、歩行サイクルの特定の期間といった適時に弾性アクチュエータが係合および非係合にされる時に必要となるモータトルクを効果的に低減できる。股関節、足関節、肩関節および肘関節についても同様のプロットまたはグラフを示すことができる。幾つかの場合において、これらの関節の歩行サイクルのために専用で弾性アクチュエータを使用することができる。
【0088】
図4A〜
図4Cは、人間のオペレータが着用可能または使用可能な外骨格形態の例示的なロボットアセンブリ101の等角図を示す。ロボットアセンブリ101は、これに代えて、上述したようなヒューマノイドロボットまたは他のロボットアセンブリであってもよい。図示するように、ロボットアセンブリ101は、全身外骨格(すなわち、下半身部分と上半身部分の両方を有する外骨格)として構成することができる。しかしながらこれに限定されず、外骨格が下半身外骨格(すなわち、下半身部分の一部または全部)または上半身外骨格(すなわち、上半身部分の一部または全部)のみを含むこともできる。
【0089】
ロボットアセンブリ101は、左側および右側の外骨格肢を含んでもよい。右側外骨格肢部103は、複数の下半身支持部材105a〜dを含んでもよい。支持部材105a〜cは、それぞれの回転軸周りの複数の自由度を規定する複数の対応する関節107a〜cの周りの相対運動のために、互いに結合されてもよい。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願(代理人整理番号4000−16.1110.US.NP)に記載されているように、股関節部107aおよび膝関節部107cはそれぞれ、
図4Aおよび
図4Bに示すような弾性要素または構成要素として回転空気ばねを含む調整可能準受動的弾性アクチュエータを有する関節モジュール109aおよび109cを備えてもよい。これに代えて、股関節107aおよび膝関節107cは、本開示に記載されるようなクラッチ式関節モジュールをそれぞれ備えてもよい。関節107bおよび関節107dはそれぞれ、本明細書で説明するようなクラッチ式関節モジュール109bおよび109dを備えてもよい。
【0090】
同様に、右側外骨格肢部103bは、それぞれの回転軸周りの複数の自由度を規定する複数の関節107e〜hの周りの相対運動のために互いに連結された複数の上半身支持部材105e〜hを含んでもよい(
図4Cを参照)。各関節107e〜hは、本明細書で説明するように、それぞれクラッチ式関節モジュール109e〜hを備えてもよい。特に、以下にさらに説明するように、各クラッチ式関節モジュールをコンパクトな形態で提供することができる。すなわち、例えば、関節107eである関節の特定の回転軸が、クラッチ式関節モジュールの主要部品および主要部品の回転軸と実質的に同一線上に配置される。例えば、クラッチ式関節モジュール109eの主要部品(例えば、一次アクチュエータ、変速機、クラッチ機構、準受動的弾性アクチュエータなど)と実質的に同一線上に配置して、以下に更に例示されるように、これら主要部品は回転軸に沿って配置され、回転軸を中心として動作可能に構成することができる。この場合、クラッチ式関節モジュールはコンパクトな形態で特定の高トルク出力を提供することができ、例えば、ほぼ円筒形を有し、モジュールの質量を回転軸の近くに配置するようにしたクラッチ式関節モジュールとすることができる。
【0091】
図5A〜
図5Eは、本開示の一例によるクラッチ式関節モジュール200を示しており、ロボットアセンブリ(例えば、100,101)の関節として組み込むことができる、言い換えると、ロボットアセンブリの関節として機能させることができる。
【0092】
クラッチ式関節モジュール200は、動作可能に互いに接続され、それぞれが回転軸210に沿って配置または位置決めされたおよび回転軸210周りに動作可能とされた、一次アクチュエータ202、準受動的弾性アクチュエータ204(
図5D)およびクラッチ機構206を備えることができる。以下で更に詳細に説明するように、入力部材208aおよび出力部材208b(
図5A)は、ロボットアセンブリの支持部材それぞれに直接的または間接的に結合することができ、支持部材は関節の回転軸210の周りに互いに回転可能である。関節は、人間の関節の回転軸の自由度に対応させてもよい。例えば、クラッチ式関節モジュール200を、屈曲/伸長の自由度を有する肩関節を含む関節107fを少なくとも部分的に画定する
図4Cのクラッチ式関節モジュール109fとしてロボットアセンブリ101に組み込むことができる。入力部材208aおよび出力部材208bは概して、それぞれの構成要素に結合された部材として示されているが、例えば、適切な入力部材および出力部材またはロボット支持部材に結合可能な構成要素の様々な異なる形態および構成をとり得る。
【0093】
一次アクチュエータ202は、モータ212と、必要に応じて、第1遊星歯車変速機214などの変速機と、必要に応じて第2遊星歯車変速機などの第2変速機216とを備えることができる。モータ212は、回転軸210を中心に回転するように出力部材208bに一次トルクを印加するように動作可能である。準受動的弾性アクチュエータ204(例えば、ねじりコイルばねの形態の弾性要素を有する準受動的弾性アクチュエータ)は、例えば、関節モジュール200の第1の回転の間にエネルギーを蓄積する時と、そのエネルギーを増大トルクとして解放することにより、モータ212によって印加される一次トルクと共にこの増大トルクを出力部材208bに印加する時(出力部材208bを介して出力を生成するようにこれら2つのトルクは組み合わせられる)といったように選択的に動作可能である。
【0094】
クラッチ機構206は、準受動的弾性アクチュエータ204と、制動力の発生または増大トルクの印加とを、選択的に制御するように動作可能である。ある動作シナリオ(例えば、一次トルクを生成するべく一次アクチュエータがアクティブであるまたは非アクティブでありが、関節の回転が所望されるシナリオ)では、制動力を生成して関節の回転を制限することができる、または、後述するように、出力部材および関節の回転を助けるべく一次トルクと組み合わせて増大されたトルクを生成および適用することができる。
【0095】
図5A〜
図5Cに示すように、第1の支持フレーム215aと第2の支持フレーム215bは、(図示しない締結具を介して)互いに結合されて、モータ212および第1遊星歯車変速機214を保持して支持してもよく、それによりクラッチ機構206が支持される。
【0096】
以下に詳細に説明するように、準受動的弾性アクチュエータ204は、クラッチ機構206が係合状態とされた場合に、入力部材208aの回転時に(例えば、一次アクチュエータを使用して回転が積極的に実行される、または、例えば、回転を誘発する他の外部から加えられた力の重力の影響下で関節を回転させるといった受動的な回転の時に)、増大トルクを印加するか制動力を生成するか選択的に動作可能である。また、クラッチ機構206が係合状態とされた場合に、(エネルギーを蓄積するべく上記回転と同じまたは異なる方向への)入力部材208aの回転時に(および弾性構成、弾性モードまたは弾性状態の時に)、準受動的弾性アクチュエータ134は、選択的にエネルギーを解放することができ、この場合には、モータ212である一次アクチュエータ202によって印加される一次トルクと並列に出力部材208bに増大トルクを印加することができる。準受動的弾性アクチュエータ204は更に、クラッチ機構206が非係合にされることが選択された場合に、(非弾性構成、非弾性モードまたは非弾性状態の時に)エネルギーを蓄積も解放もしないように動作可能である。この非弾性状態では、入力部材208aは出力部材208bに対して「自由揺動」状態にあり、これは、準受動的弾性アクチュエータ204を介してクラッチ式関節モジュール200内に無視できる程度のわずかな抵抗が加えられていることを意味する(したがって、準受動的弾性 アクチュエータ204は、出力部材208bに対して入力部材208aの回転を制限する剛性値を有さない)。クラッチ機構206はまた、係合状態から非係合状態に移り、蓄えられたエネルギーを消散させることができる(すなわち、制動力がもはや必要でなくなった場合等に、発生した制動力を消散させる)。この場合、準受動的弾性アクチュエータ204は、クラッチ機構206の作動により、弾性状態と非弾性状態との間で選択的に切り替えを行うことができる。このような態様の1つの利点としては、選択された時間に、準受動的弾性アクチュエータ204が、モータ212によって加えられる一次トルクと並行に増大トルクを印加させることができることであり、これらを足し合わせたトルクを印加して出力部材208bを回転させ、それによってモータ212の電力要求/需要低減させることができる。増大トルクにより、選択されたモータ212は、準受動的弾性アクチュエータ204によって加えられるそのような増大トルクがない場合にシステムが必要とするよりも小さいサイズおよびより低い電力損失となる。準受動的弾性アクチュエータ204およびクラッチ機構206は、図示のように、入力部材208aと「結合」させることができる。またはモータ212と出力部材208bとの間(および複数の送信機のうちのいずれか1つに隣接してまたは複数の送信機の間)などに位置する、様々な構成要素の間の任意の地点に位置してもよい。
【0097】
本明細書において、「選択的」とは、クラッチ式関節モジュールをリアルタイムで制御することができることを意味し、例えば、異なる動作条件、動作状態、ロボットシステムの異なる要求に応じてまたはオペレータが所望するように、制動力の大きさおよびタイミングを変更する、準受動的アクチュエータの弾性要素の圧縮の大きさおよびタイミングを変更する、または、一次アクチュエータによって生成される一次トルクの大きさおよびタイミングを変更することができることを指す。選択的制御とは、期間の全部もしくは一部または所望の期間、準受動的弾性アクチュエータが一次アクチュエータと連動して動作可能であることを意味し得る。更に、「選択的」とは、例において、クラッチ式関節モジュールの一つもしくは複数の動作パラメータまたは出力性能を、必要または所望に応じてリアルタイムで制御および変更することができることを意味し得る。動作パラメータまたは出力性能には、これらに限定されないが、例えば、印加される増大トルクの大きさ、生成された制動力の大きさ、弾性アクチュエータの剛性または弾性、弾性アクチュエータの作動のゼロ点またはヌルポイント等が含まれ得る。
【0098】
一例では、モータ212は高性能永久磁石ブラシレスDCモータ(PM−BLDC)であってもよく、これは、48VDC電源および高性能COTSコントローラを使用して動作すると共に、所望の最大トルクおよび速度を達成するように巻線が最適化されたフレームレストルクモータの変形であってもよく、例えば、Allied Motion社の電気モータMF0127−032を使用してもよい。
【0099】
図5Bに示すように、モータ212は互いに対して回転可能なステータ220およびロータ222を備えることができる(市販のフレームレスブラシレスモータの場合の典型的な様式)。この場合、一次アクチュエータ202のモータ212は、ロータ222の中央領域の周りに円筒状の空隙224を有する。有利なことに、第1遊星歯車変速機214は、図示および説明するように、モータ212の円筒形空隙224内に(少なくとも部分的に)配置されて、第1遊星歯車変速機214とモータ212とが一緒にパッケージングされることから、薄型でコンパクトな歯車付きモータ構成を提供することができる。
【0100】
この例では、第1遊星歯車変速機214は、4:1歯車変速機を含んでもよい。この場合、一例では、第1遊星歯車変速機214は、外側ハウジング226の開口228を通る締結具(図示せず)を介して第1支持フレーム215aに取り付けられた外側ハウジング226を備えてもよい。外側ハウジング226は、外側ハウジング226の内側表面の周りに形成されたギア内歯156を有してもよい。このような歯車の歯は、4つの遊星歯車230(図において2つのみ符号が示されている)それぞれの対応する歯車歯に係合するように構成することができる。太陽歯車232は4つの遊星歯車230の間の中心に回転軸210に沿って配置され、太陽歯車232は4つの遊星歯車230(
図5Bおよび
図5C参照)それぞれの歯に係合可能な歯を有する。
【0101】
ここで、外側ハウジング226は、遊星歯車変速機214の固定部品として機能してもよく、遊星歯車230は、自身の中心軸の周りかつ回転軸210の周りを回転することができる。キャリアプレート234は、締結具235(図において4つのうち2つのみに符号が示されている)を介してキャリアピン236(図において4つのうち2つのみに符号が示されている)に固定することができる。キャリアピン236はそれぞれ、各遊星歯車230の中空の管状の本体を通じて回転可能に接続することができる。4つの後ブッシング238はそれぞれ対応するキャリアピン236に結合することができ、キャリアピンプレート231は、4つの締結具233を使用してブッシング238を介してキャリアピン236に固定され、遊星歯車230が回転する時の向きを維持する。
【0102】
太陽歯車232は、クラッチ機構206の回転伝達要素240に結合することができる(
図5C〜
図5E)。回転伝達要素240は、太陽歯車232と面する中央結合部分242を有してもよい。回転伝達要素240は、回転伝達要素240の外周の周りの締結具(図示せず)によってモータ212のロータ222に結合されてもよい。したがって、制御信号を受信すると、ロータ222は回転伝達要素240を駆動/回転させ、それにより太陽歯車232が駆動/回転され、(遊星歯車230およびキャリアピン236を介して)キャリアプレート234が駆動/回転される。そして、キャリアプレート234は第2遊星歯車変速機216(
図5B)の太陽歯車246を駆動/回転させ、最終的には遊星歯車243および第2遊星歯車変速機216のキャリア244を介して出力部材208bを駆動/回転させる。
【0103】
したがって、この例では、モータ212から出力部材208bへの16:1の最終駆動となる変速機を提供する。3:1遊星歯車機構のような4:1変速機の代わりに、他のタイプの遊星歯車変速機および歯車減速機構を使用することができる。
【0104】
組立て高さを低減するためにおよび他の利点を得るべく、第1遊星歯車変速機214を、モータ212のロータの内側に配置するように構成することができる。選択されたモータに応じて、ロータの内径により遊星歯車変速機の最大外径が決まってもよい。遊星リングが外径によって制約を受ける場合、利用可能なギア比および出力トルクの選択肢が限られる。出力比は、外輪歯車の歯数と太陽歯車の歯数との比から求めることができる。コンパクトな設計の遊星歯車装置においてより高い減速を得るためには、太陽歯車の直径を減少させてもよく、これは通常、動力伝達がより少ないことに対応する。太陽歯車が小さくなると、高いトルクを伝達する能力が低下する。モータのロータの内部に物理的に嵌る遊星歯車ユニットの場合、減速と強度とのバランスを考慮してもよい。ヘリカルカットギアを採用することにより、より大きな力を歯車の歯に伝達することができ、遊星歯車ユニットをより強くすることができる。歯の幅が広いほど歯車の耐荷重能力を向上させることができるが、重量も増加してしまう。遊星歯車変速機を複数段、カスケード接続して(例えば、214および216)、比較的コンパクトなパッケージで非常に高い減速比を生成可能であり、特に関節の回転軸周りにこのような構成を適用可能である。さらに、太陽歯車をいくつかの歯と同時に接触するように構成することができ、この場合、接触比は従来の平歯車減速機よりもはるかに高くなる。幾つかの例では、単一段の遊星歯車減速機は約97%の効率を達成することができる。より高いRPMでは、特に多段遊星歯車ユニットの場合、歯車ノイズが問題となり得る。上記のような遊星歯車変速機の配列の別の利点として、減速機をモータと同一直線上に配置することができることが挙げられ、ロボットまたはロボットアセンブリの関節モジュール200内にコンパクトに取り付ける構成が可能になる。他の例では、変速機が一次アクチュエータで動作可能な状態で、クラッチ式関節モジュールの1つ以上の他の構成要素からずらして変速機を位置させることができる。
【0105】
図5Bおよび
図5Cに示すように、モータ212、第1遊星歯車変速機214および第2遊星歯車変速機216ならびに出力部材208bはそれぞれ、クラッチ式関節モジュール200の回転軸210と実質的に同じ回転軸(すなわち、ロボットまたはロボットアセンブリの対応する関節の回転軸)周りに動作または回転可能であり、場合によっては、外骨格内のオペレータ(操作者)のような人間の関節の回転軸にも対応し得る。言い換えれば、一次アクチュエータ(例えば、モータ212)、第1遊星歯車変速機214、第2遊星歯車変速機216および出力部材208bの各回転軸は、回転軸210と同一直線上または実質的に同一線上に配置され得る。これにより、これら構成要素の質量を特定の関節の回転軸に隣接または近接させることができ、関節を作動させるためにモータ212が必要とする電力を更に低減することができる。
【0106】
本明細書に例示された遊星歯車変速機は、高調波、サイクロイド、ウォーム、ベルト/チェーン、クランク、4節リンク機構、バックホ−リンク機構、ベルクランクおよび連続的に可変なといった、他のタイプの変速機(トランスミッション)に置き換え可能である(または補充され得る)。また、1つ以上のベルト、連結、歯車もしくは腱(またはそのような組み合わせ)といった、様々なトルク伝達装置を、複数の変速機間で動作可能に連結させることができる。更に、(複数の)変速機を、本開示の例における一次アクチュエータの回転軸からオフセットした(例えば、直交するまたは他の角度である平面に沿った方向に向けられた)回転軸を有するように構成することができる(同一直線上以外の他の位置)。また、特定の用途に応じて、比較的高いギア減速(例えば、20:1以上)、比較的低いギア減速度(例えば、1:1)またはこれらの間の任意のギア減速を含む様々なギア減速を入力から出力に提供するように、様々な変速機を配置することができる。幾つかの例では、ベルト1224の形態のトルク伝達装置、または、様々な代替トルク伝達装置によって、一次アクチュエータ1132を出力から離れた遠隔に配置することができる(すなわち、一次アクチュエータ1132はクラッチ式関節トモジュールの出力から所定の距離だけ離れて配置されるが、トルク伝達装置を介して作動可能に接続されている)。そして、遠隔に配置された一次アクチュエータ1132を作動させることができ、そのトルクは、ロボットシステムの関節に対応する調整および作動可能な関節モジュールの出力に伝達される。例えば、一次アクチュエータ202を外骨格の腰部領域(例えば、
図4A)に配置させることができ、上記のような代替のトルク伝達装置は、一次トルクを腰領域から、股関節を作動させるための股関節用のクラッチ式アクチュエータ関節モジュール内に配置された出力部材へと伝達することができる。
【0107】
図5B〜
図5Eを参照して上記で説明したように、準受動的弾性アクチュエータ204は、一次アクチュエータ202によって加えられるトルクと共に、増大させたトルクを印加して出力部材208bを回転させることができる。この場合、準受動的弾性アクチュエータ204は、クラッチ機構206の動作を介して弾性構成と非弾性構成との間で切り替え可能であり、それにより準受動的弾性アクチュエータ204による増大トルクの印加を選択的に制御できる。準受動的弾性アクチュエータ204はまた、入力部材と出力部材との間の関節における回転を制限する制動力を生成するように動作可能である。クラッチ機構206を介して制動力の生成を選択的に制御および変更することもできる。
【0108】
準受動的弾性アクチュエータ204は、機械的弾性部品またはばねの形態の弾性要素を備え得る。図示された例のように、弾性要素とは具体的には、装着された時に機械的エネルギーを蓄積するねじりコイルばねを含み得る。この例では、クラッチ機構206は、スプラインシャフト250の開口部を介して回転可能に接続された中心シャフト248を含む回転伝達要素240(上述したように、モータ212に結合されている)を備えてもよい。スプラインシャフト250は、スプラインカラー252の雌ヘリカルスプラインプロファイルと面する雄ヘリカルスプラインプロファイルを有する。スプラインカラー252は、可動係合要素254に固定されて、伝動ベルト258を介してクラッチアクチュエータ256(例えば、電気モータ)に回転可能に結合される。
【0109】
可動係合要素254は、可動係合要素254の周囲壁の内側に環状に形成された内歯または係合構造260を有する。内歯または係合機構260は、ねじりコイルばねの形態である準受動的弾性アクチュエータ204に結合された係合リング歯車264の外歯または係合構造262に係合される。このように、準受動的弾性アクチュエータ204の一端は係合リング264の内面に取り付けられ、準受動的弾性アクチュエータ204の他端はスプラインシャフト250に取り付けられる。入力部材208aは、可動係合要素254と連結されてもよい。したがって、入力部材208aが回転軸210を中心に回転すると、(クラッチ機構206が係合しているか非係合かにかかわらず)可動係合要素254が回転する。様々な歯または係合構造は、図示のように隣接する部品または構成要素のそれぞれの凹部に選択的に係合する突起のような、様々な形状および形態を含み得ることに留意されたい。一例では、回転伝達要素、係合リングおよび可動係合要素は、上記したような互いに係合する歯または突起を有していなくてもよい。その代わりに、これら構成要素は、
図6Aを参照して以下で説明するプレートと同様な、移動した時に互いに係合して動かなくなるまたは拘束される特定の形状を有するプレートとして形成されてもよい。
【0110】
図5Dおよび
図5Eは、クラッチ機構206が非係合状態にある場合を示す。図に示すように、可動係合要素254の内歯または係合構造260は、係合リング264の外歯または係合構造262とのみ係合する(すなわち、回転伝達要素240の外歯または係合構造266とは離れて配置される)。この場合、非係合状態において、入力部材208a、可動歯付き係合要素254および係合リング264は、回転伝達要素240に対して自由に回転する。したがって、入力部材208aが出力部材208bに対して自由に回転可能であるので、クラッチ式関節モジュール200は「自由揺動(フリースイング)」モードにある。クラッチ機構206を係合状態へと移動させる(これにより、準受動型弾性アクチュエータ204を弾性状態で作動させてエネルギーを蓄積および/または解放する)ために、クラッチアクチュエータ206はコントローラからクラッチ制御信号を受信し、アクチュエータ256は伝動ベルト258を時計方向に回転させ、スプラインカラー252の時計回りの回転を引き起こす。スプラインカラー252の時計回りの回転は、スプラインシャフト250の雄ヘリカルスプラインプロファイルにより、スプラインカラー252を可動係合要素254に向かって軸方向に並進させる。このような軸方向の移動により、可動係合要素254が軸方向に回転伝達要素240に向かって付勢されるまたは押される。可動係合要素254のこのような軸方向移動の際に、可動係合要素254の内歯または係合構造260は、回転伝達要素240の外歯または係合機構266と係合する。このような係合は、係合リング264と回転伝達要素240との間接的な係止係合をもたらし、これらは同じ方向および同じ速度で一緒に回転してもよい。このように、クラッチ機構206が係合状態とされ、準受動的弾性アクチュエータ204が弾性状態となり、関節モジュール200の回転によってねじりコイルばねが巻かれるとエネルギーが蓄積され、ねじりコイルばねがほどかれると蓄積されたエネルギーが解放される。ねじりコイルばねがほどかれると、ねじりコイルばねからのエネルギーが解放されて、例えば、ねじりコイルばねによって加えられた増大トルクが係合リング264に伝達され、次に可動係合要素254に伝達され、次いで回転伝達要素240に、そして第1遊星歯車変速機214(
図5Bおよび
図5C)の太陽歯車232など(上記の通り)に伝達されて、出力部材208bが回転する。クラッチ機構206の係合およびねじりコイルばねの巻きあげは、入力部材に対する出力部材の移動を制限する制動力を生成するために利用可能である。例えば、(一次アクチュエータを使用するか、または、重力またはロボットシステムに衝突する力のような外力に応答して)関節が回転すると、クラッチ機構206を係合させて準受動的アクチュエータを作動させることができ、関節の回転を制限する制動力を発生させてもよい。更に、エネルギーが蓄えられると、(クラッチ機構206を非係合とすることによって)エネルギーを消散させる、または、(クラッチ機構206を係合させる状態を維持することによって)エネルギーを解放して、上記で説明したように一次トルクと組み合わせることができる増大トルクを印加することができる。
【0111】
従って、クラッチ機構206が係合状態にある間、準受動的弾性アクチュエータ204が弾性状態にある時に、エネルギーを蓄積および/またはエネルギーを解放することができる。具体的には、ねじりコイルばねがその中央領域から時計回り方向に巻かれると仮定すると、回転軸210の周りの入力部材208aの第1の時計回りの回転時に、準受動的弾性アクチュエータ204(例えば、ねじりコイルばね)はエネルギーを蓄積する。このような回転運動は、第1のロボット支持部材(例えば104e)を第2のロボット支持部材(例えば、104d)の周りで回転させる(例えば、下半身外骨格の)ロボットアセンブリの歩行運動の結果生じてもよく、例えば、
図2の点Bから点Cまでの間の歩行サイクルの間に生じる。反時計回りの第2の回転(例えば、
図2の点Aから点Bの間の104eと104dの間)時に、準受動的弾性アクチュエータ204は、蓄積されたエネルギーを解放することができ、これにより増大トルクを伝達させて出力部材208bの回転を助ける。クラッチ機構206は、準受動的弾性アクチュエータ内の弾性要素の圧縮を制御して反対方向または同じ方向の関節回転方向にエネルギーを蓄積および解放することができることから、上記の関節の回転方向および上記のエネルギーが蓄積および解放される時に制限されるものではない。
【0112】
同時に、一次アクチュエータ202のモータ212を動作させて(増大トルクと共に)一次トルクを印加して、出力部材208bを回転軸210周りに回転させ、クラッチ式関節モジュール200を作動させてもよい。モータ212によって印加されたトルクは、準受動的弾性アクチュエータ204を介して蓄積/回収されたエネルギーを解放することによって印加されるトルクによって補填されるので、電気モータ212を、準受動的弾性アクチュエータを使用しない場合に必要なモータよりも小さいモータ(例えば、より少ない電力消費の)のグループから選択することができ、上記したように関節モジュール200をコンパクトな構成にすることができる。
【0113】
入力部材208aが出力部材208bに対して(時計回りまたは反時計回りに)回転すると、クラッチアクチュエータ256はクラッチ制御信号を受信してスプラインカラー252を反時計方向に回転させる。それにより、可動係合要素254が回転伝達要素240から離れる方向に引っ張られ(軸方向に平行移動される)、係合リング264が回転伝達要素240から非係合となる。これにより、クラッチ機構206が(
図5Dおよび
図5Eに示すように)非係合の状態になる。その結果、準受動的弾性アクチュエータ204はエネルギーを蓄積も放出もしない(すなわち、準受動的弾性アクチュエータ204が非弾性構成または非弾性状態に入る)。この状態において、準受動的弾性アクチュエータ204によって無視できる程度に小さい抵抗が加えられるので、クラッチ式関節モジュール200は、出力部材208に対する入力部材208aの回転を制限する剛性値を有さない(例えば、遊星歯車変速機の歯車によって与えられる抵抗を除いて)。
【0114】
位置センサ、力センサまたはその両方のような様々なセンサを、関節モジュール200内で動作させて、関節モジュール200の位置または力を決定および測定して、必要に応じてまたは所望に、準受動的アクチュエータ204を係合させたり非係合としたりすることができる。一例では、出力部材208bに対する入力部材208aの位置を決定するのに役立つ、結合された可動係合要素254の位置を決定するために、位置センサ261をスプラインカラー252に結合してもよい。位置検出を支援するべく、関節モジュール200に他の位置センサを組み込んでもよい。(例えば、ロボット関節の)出力部材208bに対する入力部材208aのそのような第1、第2および第3の回転運動のそれぞれについて、クラッチ式関節モジュール200に関連付けられたおよび/または結合された一つまたは複数の位置センサおよび/または力センサ(例えば、261)により、クラッチ式関節モジュール200の回転に関する方向、速度および/または力を検出してもよい。入力部材208aおよび/または出力部材138bまたはその付近、伝達ホイール198、および/または、クラッチ式関節モジュール200の他の適切な位置など、様々な位置に一つまたは複数のセンサを結合することができる。一例では、特定の位置センサ261(例えば、ホール効果センサ)は、入力部材208aの相対位置を検出することができ、(上述した)第2の回転時に、位置センサ261は位置信号をCPUを備えるコンピュータ制御システムに送信し、当該コンピュータは位置信号を処理した後、最終的に、(例えば)クラッチアクチュエータ265にクラッチ機構206を係合状態とさせる(または、係合状態を維持させる)適切なクラッチ信号をクラッチアクチュエータ197に送信する。および/または、本明細書で更に説明するように、一次トルクをモータ212に印加させるような一次アクチュエータ信号を送信する。
【0115】
関節モジュール200が外骨格(
図4A)の腕の肩関節(例えば、109f)として組み込まれる例では、外骨格を装着した人間のオペレータが200ポンド(約90.7kg)の荷物を持ち上げたいとする。オペレータが腕を下方へと動かして荷物に到達し当該荷物を掴んだ時(例えば、肩関節の第1の回転)、クラッチ機構206を制御して係合状態としてもよく、準受動的弾性アクチュエータ204は、このような肩関節の回転の間にエネルギーを蓄積する。次いで、操作者が荷物を掴み取り持ち上げを開始すると(すなわち、肩関節の第2の回転)、クラッチ機構206が係合状態に維持され、準受動的弾性アクチュエータ204は(上記したように)蓄積したエネルギーを解放して、増大トルクを印加し出力部材208aを回転させる(すなわち、荷物を持ち上げるのを補助する)。これと並行して、モータ212が一次制御信号を受信し、モータ212は(上記したように)一次トルクを発生させ、増大トルクと共に一次トルクを印加して出力部材208bを回転させる。これにより、外骨格が荷物を持ち上げるのを容易にする。荷物を離す時には、クラッチ機構206を非係合状態へと制御する/操作してもよく、準受動的弾性アクチュエータ204周りに存在するばねの剛性を除去して、関節を自由揺動モードにし、抵抗力を受けることなくまたは駆動の必要なく、オペレータはアームを所望の位置に下げることができる。
【0116】
いくつかの例では、準受動的弾性アクチュエータ204は、例えば、外骨格の腕であるロボットアセンブリにかかる重力に抵抗するための重力補償機構として機能することができる。この場合、人間のオペレータがロボットアームを所望の位置または向きに保持するのにエネルギーを必要としない。これは、例えば、ねじりコイルばねが、関節および当該関節に結合されているロボット支持部材(外骨格の場合、オペレータの関連する部分も同様)の所定の位置を維持するために、(クラッチが係合している時に)引力から離れるまたは引力に抗する反作用付勢力を作用させることができるからである。
【0117】
準受動的弾性アクチュエータ204のばね剛性は、例えば、ねじりコイルばねのサイズ、形状、材料等の関数である。したがって、特定の関節モジュールの剛性の大きさは、ミッション毎に異なる荷重および地形によって異なる歩様(またはその他の動き)に合わせて選択可能(例えば、ねじりコイルばねの製造中および選択中に)である。一方、関節モジュール200の様々な回転運動の間のいつまたはどんな回転位置/力で、歩行サイクルの支持期間にエネルギーを回収/解放するために準受動的アクチュエータ204を係合させる(すなわち弾性構成)か、または、遊脚期間に入るように非係合状態(すなわち、非弾性構成)とするか、クラッチ機構を制御するおよび制御するべく操作することができる。さらに、ねじりコイルばねの性質として、例えば、エネルギー蓄積中の回転の度合いが大きいほど、蓄積されるエネルギーの量が指数関数的に増加する(ねじりコイルばねが非線形的にエネルギーを蓄積できるため)。このようにして、ねじりコイルばねは、エネルギーを蓄積および解放するという点では幾分か圧縮気体チャンバのように動作すると言えるが、そのような空気ばねアクチュエータの複雑さはない。
【0118】
図6A〜
図6Gは、本開示の一例によるクラッチ式関節モジュール300を示しており、ロボットアセンブリ(例えば、100,101)の関節として組み込むことができる、言い換えると、ロボットアセンブリの関節として機能させることができる。
【0119】
クラッチ式関節モジュール300は、動作可能に互いに接続され、それぞれが回転軸310に沿って配置または位置決めされたおよび回転軸210周りに動作可能とされた、一次アクチュエータ302、準受動的弾性アクチュエータ304(
図6B)およびクラッチ機構306を備えることができる。以下で更に詳細に説明するように、入力部材308aおよび出力部材308bは、ロボットアセンブリの支持部材それぞれに結合することができ、支持部材は関節の回転軸310の周りに互いに回転可能である。関節は、人間の関節の回転軸の自由度に対応させてもよい。例えば、クラッチ式関節モジュール300を、屈曲/伸長の自由度を有する肩関節を含む関節107fを少なくとも部分的に画定する
図4Cのクラッチ式関節モジュール109fとしてロボットアセンブリ101に組み込むことができる。入力部材308aおよび出力部材308bは概して、それぞれの構成要素に結合された部材として示されているが、例えば、適切な入力部材および出力部材またはロボット支持部材に結合可能な構成要素の様々な異なる形態および構成をとり得る。
【0120】
一次アクチュエータ302は、モータ312と、必要に応じて、第1遊星歯車変速機314などの変速機と、必要に応じて第2遊星歯車伝動装置316などの第2変速機とを備えることができる(
図6Fおよび
図6G)。モータ312は、回転軸310を中心に回転するように出力部材308bに一次トルクを印加するように動作可能である。準受動的弾性アクチュエータ304(例えば、ねじりコイルばねの形態の弾性要素を有する準受動的弾性アクチュエータ)は、関節モジュール300の回転の間にエネルギーを蓄積する時と、そのエネルギーを増大トルクとして解放することにより、モータ312によって印加される一次トルクと共にこの増大トルクを出力部材308bに印加する時(出力部材308bを介して出力を生成するようにこれら2つのトルクは組み合わせられる)といったように選択的に動作可能である。クラッチ機構306は、準受動的弾性アクチュエータ304と、制動力の発生または増大トルクの印加とを、選択的に制御するように動作可能である。ある動作シナリオ(例えば、一次トルクを生成するべく一次アクチュエータがアクティブであるまたは非アクティブでありが、関節の回転が所望されるシナリオ)では、制動力を生成して関節の回転を制限することができる、または、後述するように、出力部材および関節の回転を助けるべく一次トルクと組み合わせて増大されたトルクを生成および適用することができる。
【0121】
クラッチ関節モジュール300は、様々な締結具317を介して共に締結される第1の支持フレーム315a、第2の支持フレーム315bおよび第3の支持フレーム315cを備えてもよい。支持フレーム315a〜cは、
図6Fおよび
図6Gの断面図に最もよく示されているように、モータ312、遊星歯車変速機314、316、クラッチ機構306など、本明細書で論じた様々な構成要素を保持し支持することができる。
【0122】
以下に詳細に説明するように、準受動的弾性アクチュエータ304は、クラッチ機構306が係合状態または半係合状態とされた場合に、入力部材308aの回転時に(例えば、一次アクチュエータを使用して回転が積極的に実行される、または、例えば、回転を誘発する他の外部から加えられた力の重力の影響下で関節を回転させるといった受動的な回転の実行時に)、(弾性または半弾性の構成、モードまたは状態の時に)エネルギーを蓄積するか制動力を生成するか選択的に動作可能である。また、準受動的弾性アクチュエータ134は、一次アクチュエータ302、この場合には、モータ312によって印加される一次トルクと並行に出力部材308bに増大されたトルクを印加するべくクラッチ機構306が係合または半係合とされた場合に、入力部材308aの(エネルギーを蓄積するべく上記回転と同じまたは異なる方向への)回転時に、選択的にエネルギーを(弾性または半弾性の構成、モードまたは状態の時に)解放することができる。準受動的弾性アクチュエータ304は、クラッチ機構306が選択的に非係合状態にされた時に、非弾性状態で、関節の回転中にエネルギーを蓄積も解放もしない(非弾性構成)ように動作可能である。この非弾性状態では、入力部材308aは出力部材308bに対して「自由揺動」状態にあり、これは、準受動的弾性アクチュエータ304を介して関節モジュール300内に無視できる程度のわずかな抵抗が加えられていることを意味する(したがって、準受動的弾性アクチュエータ304は、出力部材308bに対して入力部材308aの回転を制限する剛性値を有さない)。クラッチ機構136はまた、係合状態または半係合状態から非係合状態に移り、蓄えられたエネルギーを消散させることができる(すなわち、制動力がもはや必要でなくなった場合等に、発生した制動力を消散させる)。この場合、準受動的弾性アクチュエータ304は、クラッチ機構306の作動により、弾性状態と半弾性状態と非弾性状態との間で選択的に切り替えを行うことができる。このような態様の1つの利点としては、選択された時間に、準受動的弾性アクチュエータ304が、モータ312によって加えられる一次トルクと並行に増大トルクを印加させることができることであり、これらを足し合わせたトルクを印加して出力部材308bを回転させ、それによってモータ312の電力要求/需要低減させることができる。増大トルクにより、選択されたモータ312は、準受動的弾性アクチュエータ304によって加えられるそのような増大トルクがない場合にロボットシステムが必要とするよりも小さいサイズおよびより低い電力損失となる。
【0123】
本明細書において、「選択的」とは、クラッチ式関節モジュールをリアルタイムで制御することができることを意味し、例えば、異なる動作条件、動作状態、ロボットシステムの異なる要求に応じてまたはオペレータが所望するように、制動力の大きさおよびタイミングを変更する、準受動的アクチュエータの弾性要素の圧縮の大きさおよびタイミングを変更する、または、一次アクチュエータによって生成される一次トルクの大きさおよびタイミングを変更することができることを指す。選択的制御とは、期間の全部もしくは一部または所望の期間、準受動的弾性アクチュエータが一次アクチュエータと連動して動作可能であることを意味し得る。「選択的」という言葉はまた、例において、クラッチ式関節モジュールの一つもしくは複数の動作パラメータまたは出力性能を、必要または所望に応じてリアルタイムで制御および変更することができることを意味し得る。動作パラメータまたは出力性能には、これらに限定されないが、例えば、印加される増大トルクの大きさ、生成された制動力の大きさ、弾性アクチュエータの剛性または弾性、弾性アクチュエータの作動のゼロ点またはヌルポイント等が含まれ得る。
【0124】
幾つかの例では、「半係合」とは、クラッチ機構が係合しているが完全には係合していないことを意味し、例えば、クラッチ機構内で幾分かの滑りが生じている(すなわち、クラッチ機構が剛性系として作用しないように、当該クラッチ機構を介したクラッチの入力からクラッチの出力への力の伝達率が1:1未満となる)。例えば、入力プレートおよび出力プレートのような複数のプレートを有するクラッチ機構の場合、半係合状態とは、複数のプレートがある程度一緒に圧縮されるのに十分な圧縮力を受けているが当該複数のプレート間である程度の相対的な移動(すなわち、滑り)が生じていることを意味し(すなわち、それらが一緒に回転するといったように完全にロックされているわけではなく、プレート間の動きが完全に制限されていない)、プレート間に摩擦力(例えば、使用可能な制動力)が生成される。本明細書で使用される「係合状態」とは半係合状態も含む。なぜなら、半係合状態とは、クラッチ機構が少なくとも部分的に係合された状態を意味する。すなわち、滑り量、つまり制動力(または増強されたトルク)の量が制御可能である状態のクラッチ機構を意味し、また、クラッチ機構が、制動力が無視できる程度である非係合状態とクラッチが固い接続部材として機能するような完全係合状態との間で変化可能である状態を意味する。
【0125】
準受動的アクチュエータが「半弾性状態」またはそのような動作モードに入る例では、準受動的弾性アクチュエータを作動させて、準受動的弾性アクチュエータの弾性部品またはばねを部分的に圧縮すると、準受動的弾性アクチュエータが完全に弾性状態である場合に達成されるであろうエネルギーよりも少ない量のエネルギーを蓄積するおよび解放可能となる、または、そのような大きさの制動力を発生させることが可能になる。別の言い方をすれば、「半弾性」とは、関節の回転によるエネルギーまたは力の1:1未満の伝達が、入力部材と出力部材との間に結合された準受動的弾性アクチュエータにある状態を意味する(例えば、クラッチ機構が半係合状態にあるため)。本明細書で使用される「半弾性」とは、準受動的弾性アクチュエータの弾性部品に固有の弾性特性(すなわち、弾性)を指すことを意図しておらず、単に当該弾性部品の圧縮の程度を意味する。
【0126】
一例において、モータ312は、高性能永久磁石ブラシレスDCモータ(PM−BLDC)であってもよい。モータ312は互いに対して回転可能なステータ320およびロータ322を備えることができる(市販のフレームレスブラシレスモータの場合の典型的な様式)。この場合、一次アクチュエータ302のモータ312は、ロータ322の中央領域の周りに円筒状の空隙324を有する。有利なことに、第1遊星歯車変速機314は、図示および説明するように(および
図5のモータ212および遊星歯車変速機214と同様に)、モータ312の円筒形空隙324内に(少なくとも部分的に)配置されて、第1遊星歯車変速機314とモータ312とが一緒にパッケージングされることから、薄型でコンパクトな歯車付きモータ構成を提供することができる。伝達ホイール313は締結具319を介してロータ322に結合されてもよく、ロータ322の回転によって伝達ホイール313が回転軸310の周りで回転する。
【0127】
この例では、第1遊星歯車変速機314は4:1の歯車変速機であってもよく、上述した遊星歯車変速機214として機能することができる。したがって、
図5Gの変速機214と同様に、第1の遊星歯車変速機314は、変速機214とほぼ同じ構造および機能を有することができる。太陽歯車332は4つの遊星歯車330の間の中心に回転軸310に沿って配置され、太陽歯車332は、当該太陽歯車332の周りおよび外側ハウジング326の周りを回転する4つの遊星歯車330のそれぞれの歯に係合可能な歯を有する。外側ハウジング326は、第2支持フレーム315bに締結されて固定されてもよい。第1遊星歯車変速機314の出力部において、遊星歯車330は、第2遊星歯車変速機316の太陽歯車346に結合されたキャリアプレート334に結合される。第2遊星歯車変速機316は、
図5Bの第2遊星歯車変速機216と同じまたは同様であってもよく、第2遊星歯車変速機316の出力が出力部材308bに連結される。
【0128】
したがって、制御信号を受信すると、ロータ322は伝達ホイール313を駆動/回転させ、それにより太陽歯車332が駆動/回転され、(遊星歯車330を介して)キャリアプレート334が駆動/回転される。そして、キャリアプレート334は第2遊星歯車変速機316の太陽歯車346を駆動/回転させ、最終的には第2遊星歯車変速機316の出力を介して出力部材308bを駆動/回転させる。したがって、この例では、モータ312から出力部材308bへの16:1の最終駆動となる変速機を提供する。3:1遊星歯車機構のような4:1変速機の代わりに、他のタイプの遊星歯車変速機および歯車減速機構を使用することができる。出力部材138bが概略的に図示されているが、例えば、第2遊星歯車変速機316およびロボット支持部材と相互作用するための他の適切な形態および構成を取ることができる。
【0129】
組立て高さを低減するためにおよび他の利点を得るべく、第1遊星歯車変速機314を、モータ312のロータの内側に配置するように構成することができる。選択されたモータに応じて、ロータの内径により遊星歯車変速機の最大外径が決まってもよい。遊星リングが外径によって制約を受ける場合、利用可能なギア比および出力トルクの選択肢が限られる。出力比は、外輪歯車の歯数と太陽歯車の歯数との比から求められる。コンパクトな設計の遊星歯車装置においてより高い減速を得るためには、太陽歯車の直径を減少させてもよく、これは通常、動力伝達がより少ないことに対応する。太陽歯車が小さくなると、高いトルクを伝達する能力が低下する。モータのロータの内部に物理的に嵌る遊星歯車ユニットの場合、減速と強度とのバランスを考慮してもよい。ヘリカルカットギアを採用することにより、より大きな力を歯車の歯または係合構造に伝達することができ、遊星歯車ユニットをより強くすることができる。歯または係合構造の幅が広いほど歯車の耐荷重能力を向上させることができるが、重量も増加してしまう。遊星歯車変速機を複数段、カスケード接続して(例えば、314および316)、比較的コンパクトなパッケージで非常に高い減速比を生成可能であり、特に関節の回転軸周りにこのような構成を適用可能である。さらに、太陽歯車をいくつかの歯と同時に接触するように構成することができ、この場合、接触比は従来の平歯車減速機よりもはるかに高くなる。幾つかの例では、単一段の遊星歯車減速機は約97%の効率を達成することができる。より高いRPMでは、特に多段遊星歯車ユニットの場合、歯車ノイズが問題となり得る。上記の遊星歯車変速機の別の利点として、減速機をモータと同一直線上に配置することができることが挙げられ、ロボットまたはロボットアセンブリの関節モジュール300内にコンパクトに取り付ける構成が可能になる。
【0130】
図示されるように、モータ312、第1遊星歯車変速機314および第2遊星歯車変速機316、ならびに出力部材138bはそれぞれ、クラッチ式準受動的アクチュエータ関節モジュール300の回転軸310と実質的に同じ回転軸(すなわち、ロボットまたはロボットアセンブリの対応する関節の回転軸)周りに動作または回転可能であり、場合によっては、外骨格内のオペレータ(操作者)のような人間の関節の回転軸にも対応し得る。言い換えれば、モータ312、第1遊星歯車変速機314、第2遊星歯車変速機316および出力部材308bの各回転軸は、回転軸310と同一直線上または実質的に同一線上に配置され得る。これにより、これら構成要素の質量を特定の関節の回転軸に隣接または近接させることができ、関節を作動させるためにモータ312が必要とする電力を更に低減することができる。
【0131】
図6Bを参照して上述したように、準受動的弾性アクチュエータ304は、一次アクチュエータ302によって加えられる一次トルクと共に、増大させたトルクを印加して出力部材308bを回転させることができる、または、クラッチ式関節モジュール内に制動力を発生させることができる。この場合、準受動的弾性アクチュエータ304は、クラッチ機構306の動作を介して弾性構成と非弾性構成との間で切り替え可能であり、それにより準受動的弾性アクチュエータ304による増大トルクの印加を選択的に制御できる。
【0132】
図5A〜
図5Eの例では、準受動的弾性アクチュエータ304は、ねじりコイルばね305の形態の弾性要素を備え得る。ねじりコイルばね305の一端は伝達シャフト307に連結されて、時計方向に回転可能であり、他端は、入力部材308aに(または、ねじりコイルばね305と好適な入力部材との間に結合された中間構成要素に)結合されてもよい。入力部材308aは、ねじりコイルばね305を取り囲む環状リングを備えてもよい。または、ねじりコイルばね305とロボット支持部材との間に結合される他の適切な形態を取ることができる。伝達シャフト307の出力端を伝達ホイール313に結合して、以下に詳述するように、伝達シャフト307の回転(例えば、加えられた増大トルク)によって伝達ホイール313の回転が引き起こされるようにしてもよい。なお、ねじりコイルばね305は、
図6Bにのみ示されているが、他の図に示されている伝達ホイール313とクラッチ機構306との間に配置することが可能であることは明らかである。
【0133】
図6Dおよび
図6Eのクラッチ機構306を参照すると、準受動的弾性アクチュエータ304と直列に動作するように電磁クラッチが配置されている(以下に例示するように、並列にも動作可能である)。クラッチ機構306は、第1クラッチフレーム323aおよび第2クラッチフレーム323bを含むクラッチハウジング321を備えてもよく、第1クラッチフレーム323aおよび第2クラッチフレーム323bは互いに結合され、締結具325を介して第1支持フレーム315aに固定される。環状のカラー327は第1支持フレーム315aによって囲まれて支持されてもよい。また、環状カラー327は、支持フレーム315a、支持フレーム315および環状カラー327の集合体によって保持される電磁装置329を受容するL字形の断面(図示せず)を有してもよい。電磁装置329は、コントローラおよび電源(
図4Aの外骨格のオンボード制御システムの一部であってもよい)に電気的に接続された電磁コイルまたはアクチュエータを備えることができる。
【0134】
プレート保持要素331は、プレート保持要素331の凹部に配置された締結具333(例えば、放射状に配置されたピン)を介して第2支持フレーム323bに結合されてもよい。プレートフレーム要素331を、第2支持フレーム323bの環状フランジ内に着座させてもよい。クラッチ機構306は、プレート保持要素331によって保持される複数の(例えば、合計4つの)入力プレート335aを備えることができる。このようにして、プレート保持要素331は、プレート保持要素331の内側の周囲に環状に形成された周辺保持構造337(例えば、6つの凹部)を備えることができ、この構造により複数の入力プレート335aそれぞれの外周タブまたはフランジ339(全部で6つ)を受容および保持して、クラッチハウジング321に対する入力プレート335aの移動を制限する。
【0135】
複数の出力プレート335b(例えば、合計4つ)は、隣接する入力プレート335aと摺動可能にまたは摩擦的に面している(すなわち、隣接する入力プレート間に挟み込まれている)(
図6E)。出力プレート335bはそれぞれ、プレート保持要素331の湾曲した内面内に摺動可能に支持された曲面外周を有してもよい。各出力プレート335bは、対応するサイズおよび形状を有するクラッチ出力シャフト343(例えば、六角形の中央開口部およびクラッチ出力シャフト343)と係合する中央開口部341を有してもよい。出力プレート335bの回転は、クラッチ出力軸343の同時回転を引き起こす。クラッチ出力シャフト343は、準受動的弾性アクチュエータ304(
図6B)に結合された伝達シャフト307に結合されており、クラッチ出力シャフト343の回転が、(上述した伝達ホイール313に結合されている)伝達シャフト307の回転を引き起こす。プレート335aおよび335bの保持を助けるために、カバープレート345をプレート保持要素331に結合させてもよい。
【0136】
出力プレート335bを非強磁性材料で構成し、入力プレート335bを強磁性材料で構成してもよい。クラッチ制御信号を(例えば、コントローラから)受け取ると、電磁アクチュエータ329は、回転軸310に沿って入力プレート335aを軸方向に付勢する方向に電磁場を印加するように作動される。それによって、対応する入力プレート335aの間に位置する出力プレート335bが圧縮されて、(クラッチハウジング321に取り付けられ、第1支持フレーム315aに取り付けられている)プレート保持要素331に対してプレート335a、335bが移動するのが制限される。これがクラッチ機構306の係合状態である。プレート335aおよびプレート335bの動きが制限されることにより、準受動的弾性アクチュエータ304を係合させるまたは作動させるクラッチ出力シャフト343の動きを制限する。したがって、入力部材308aが(一次アクチュエータを介してまたは外力の印加により)回転し、クラッチ機構306がこの係合状態にあるとき、上記したように、準受動弾性アクチュエータ304は、入力部材308aの回転に応じてエネルギーを蓄積または解放する(弾性構成にある)(例えば、
図6Bの時計回りの回転ではエネルギーを蓄積し、反時計回りの回転はエネルギーを放出する。しかしながら、エネルギーの蓄積および解放は同じ回転方向でも起こり得ることから、回転方向が反対の場合もあり得る)。クラッチのこの動作は、制動力を生成するためにも使用することができる(すなわち、弾性部材の圧縮は、入力部材に対する出力部材の移動を制限するために使用され得る力を生成する)。クラッチ機構306が、可変制動力または可変増大トルクを生成するべく非係合状態、半係合状態および完全係合状態のいずれかで動作するように、電磁アクチュエータ329は可変磁界および可変圧縮力を印加するように選択的に作動および制御される。別の態様では、クラッチ機構306が半係合状態で動作している場合、アクチュエータ329が入力プレート335aおよび出力プレート335bに小さな圧縮力を加えることによって、入力プレート335aと出力プレート335bとの間の動きが部分的に抑制されて、入力プレート335aと出力プレート335bとの間である程度の動きが提供されるまたは発生する。係合または半係合状態では、クラッチ機構306および準受動的弾性アクチュエータ304はブレーキとして機能することができる、言い換えれば、関節モジュール内でエネルギーを消散するように動作可能な制動力を提供することができる、または、増大されたトルクを出力部材に印加する機能を有する。アクチュエータ329によって入力プレート335aおよび出力プレート335bに加えられる圧縮力の程度または大きさは、アクチュエータ329によって生成され印加される力の量を制御または変化させることによってリアルタイムで動的に制御することができる。
【0137】
反対に、クラッチ制御信号を受信すると、電磁アクチュエータ329はクラッチ機構306を非係合状態にするように動作させることができる。すなわち、電磁アクチュエータ329がクラッチ制御信号を受信して印加された電界が除去され、入力プレート335bによって加えられていた圧縮圧力がとりのぞかれる。これにより、出力プレート335bが入力プレート335aに対して自由に回転することが可能になる。これにより、出力部材308bに対する入力部材308aの相対的な「自由揺動(フリースイング)」回転が可能となり、準受動的弾性アクチュエータ304が非弾性状態となる。この場合、クラッチ機構が非係合状態の時に、この「自由揺動」モードでは準受動的弾性アクチュエータ304は無視できる程度の抵抗しか及ぼさず、入力部材308aおよび出力部材308bは最小限の抵抗で互いに自由に回転することができる。さらに、蓄えられたエネルギーは、クラッチ機構136を非係合状態にすることによって、制動力として使用することなくまたは増大トルクを加えることなく、いつでも消散させることができる。
【0138】
クラッチ機構306が係合状態または半係合状態にあり、準受動的弾性アクチュエータ304が弾性状態または半弾性状態にある時、ねじりコイルばね305により増大トルクを印加することができる。この増大トルクは、伝達シャフト307を介して第1遊星歯車変速機314(
図6B)の太陽歯車332に伝達され、以下同様に(上述のように)伝達されて、出力部材308bを回転させることができる。例えば、ねじりコイルばねが伝達シャフト307から(図示のように)時計回り方向に巻かれると仮定すると、回転軸310の周りの入力部材308aの第1の時計回りの回転時に、ねじりコイルばね305はエネルギーを蓄積する。このような回転運動は、第1のロボット支持部材(例えば104e)を第2のロボット支持部材(例えば、104d)の周りで回転させる(例えば、下半身外骨格の)ロボットアセンブリの歩行運動の結果生じてもよく、例えば、
図2の点Bから点Cまでの間の歩行サイクルの間に生じる。これに替えて、このような回転運動が、特定のタスク(例えば、外骨格を着用しているオペレータの「腕立て伏せ」の下げる動き)の最中の外骨格の肩または肘の動きの結果であってもよい。更に回転するとまたはクラッチ機構が非係合状態となる、例えば、反時計方向に回転した時またはクラッチ機構の係合状態に応じて、準受動的弾性アクチュエータ304は蓄積したエネルギーを解放して、(上述したように)出力部材308bを回転させるべくまたは制動力を加えるべく、増大トルクを伝達させることができる。一例では、反時計回りの回転は、モジュール104eおよび104d(および
図2の点Aから点Bの間)についてであってもよい。または、腕立伏せの例では、このような回転は腕立伏せの上向きの動きの間であってもよく、腕立伏せの下向きの動きの間に蓄えられたエネルギーが、腕立伏せの上向きの動きの間に回復/解放される。
【0139】
同時に、このような回転の時に、一次アクチュエータ302のモータ312を動作させて(増大トルクと共に)一次トルクを印加して、出力部材308bを回転軸310周りに回転させ、関節モジュール300を作動させてもよい。モータ312によって印加された一次トルクは、準受動的弾性アクチュエータ304を介して蓄積/回収されたエネルギーを解放することによって印加される増大トルクによって補填されるので、電気モータ312を、準受動的弾性アクチュエータを使用しない場合に必要なモータよりも小さいモータ(例えば、より少ない電力消費の)のグループから選択することができ、上記したように関節モジュール300をコンパクトな構成にすることができる。
【0140】
電磁アクチュエータ356は、上述したように、クラッチ制御信号を受信して、クラッチ機構306を非係合状態に動かすことができる。その結果、準受動的弾性アクチュエータ304は、蓄積されたエネルギーを解放することができ、この状態ではエネルギーを蓄積も放出もしない(すなわち、非弾性構成である)。
【0141】
あるいは、クラッチ出力シャフト343は、第1遊星歯車変速機314の入力(すなわち、太陽歯車332)に連結されてもよい。この場合、準受動的アクチュエータ304(例えば、ばね129)の出力がモータと歯車列との間に動作可能に結合されている
図2Bに示すような並列な配列となる。並列配置の別の例では、モータのステータをクラッチ機構の本体/ハウジングに結合し、準受動的アクチュエータの一端をモータのロータに結合することができる。準受動的アクチュエータは、クラッチ機構の摺動部分または回転部分に連結されて、非係合または係止(すなわち、クラッチの本体に結合されると同時にモータのステータに連結され得る)されてもよい。
【0142】
上記の一例では、クラッチ機構306は、プレートを一緒に圧縮するべく圧縮力を印加する時に、および、プレート間の圧縮力を取り除いて圧縮を解除する時に、二値デバイス(すなわち、クラッチ機構306がオン/係合またはオフ/非係合のいずれか)として構成および制御され得る。あるいは、クラッチ機構306をアナログ装置として構成および制御することができる。すなわち、電磁アクチュエータ329によって可変の電磁力を印加することにより複数のプレートを共に様々な程度に圧縮して制動力を生成し、徐々にエネルギーを蓄える、または、減衰させるもしくは制動させる目的でより制御された態様で蓄積されたエネルギーを消散/解放させる(すなわち、クラッチ機構136は半係合状態にあり、準受動的弾性アクチュエータ134は半弾性状態にある)。一動作例では、クラッチ機構306は、準受動的弾性アクチュエータ304が少なくとも部分的にエネルギーを蓄積するように、完全に係合または半係合としてもよい。この蓄えられたエネルギーを、出力部材の回転を制限する制動力を生成するように活用することができる(例えば、一次アクチュエータが非作動であり、一次トルクを生成しないが重力の影響下で関節を回転させることが望ましいまたは必要な場合(例えば、重力の影響下で関節を回転させる、もしくは、ロボットシステムに何らかの外部力が印加されたことに応答して関節を回転させる))、または、蓄えられたエネルギーを一次アクチュエータを補助するべく増大されたトルクとして解放してもよい。更に、増大トルクとしてエネルギーが解放される場合、準受動的弾性アクチュエータ304が弾性状態または半弾性状態でエネルギーを解放している時(例えば、立脚伸長の間)に、複数のプレートをわずかに共に圧縮してプレートに徐々に「制動力」を生じさせるようにアクチュエータ329を作動させるまたは動かすことができ、増大トルクを制御された段階的な方法で放出または印加することができる。これは、作動の初期段階において、ロボットシステム内で関節を過度の速度で早期に作動させすぎる可能性(外骨格形のロボットシステムの場合、オペレータに不快感を与える可能性があり、外骨格肢の所望の流体的/自然な動きを妨害する可能性がある)があるトルクが印加される確率を減少させる。これはロボットシステムの負荷を下げる時に有用であり、ロボットシステムの1つ以上の関節モジュールのプレートによって加えられる制動力の量を制御することによって、制御された態様で負荷を下げることが望ましい場合に有用である。外骨格の場合にも、オペレータが荷重(たとえば、人)を持ち上げる際に臥床位置(crouching position)から移動する時に有用であり、この時、立脚伸長はよりゆっくりとまたは慎重に制御される必要がある。このような場合、股関節および/または膝関節のクラッチ式関節モジュールのクラッチ機構のプレートは、関連する準受動的弾性アクチュエータによって解放された蓄積エネルギーを制御可能な態様で消散させるブレーキとして制御され得る。
【0143】
準受動的弾性アクチュエータ304およびクラッチ機構306は、図示のように、入力部材308aと「結合」させることができる。またはモータ312と出力部材308bとの間(および複数の遊星歯車変速機のうちのいずれか一つに隣接してまたは複数の遊星歯車変速機の間)などに位置する、様々な構成要素の間の任意の位置に配置されてもよい。
【0144】
更に説明すると、クラッチ機構306の複数のプレート構成はブレーキとして機能させることができる。これは、入力プレート335aおよび出力プレート335bに加えられる圧縮力を制御することによって達成され、この場合、有益なエネルギー節約動作モードを提供できる。例えば、制動力を制御することにより、制動力と一次アクチュエータによって印加されるトルクとを同時に制御する(場合によってはゼロとすることができる)ことにより、ロボットシステムが重力を受けて負荷の位置を下げるようにさせることができ、効率的な動作モードを提供できる。また、制御された制動を、準受動的弾性アクチュエータの弾性部品にエネルギーを蓄積させるために利用してもよい。例えば、外骨格のオペレータは、スクワットの姿勢になる時に、自身の体重の一部を外骨格で支えさせることによって、スクワットの姿勢になるまで自分自身の位置を下げることができる。この過程において、制動力を制御することによってトルクを制御しながら、準受動的弾性アクチュエータにエネルギーを蓄えることができる。次いで、ロボット装置が起立位置に移動する時にエネルギーの少なくとも一部が回収され、必要であれば、準受動的弾性アクチュエータによって生成されたトルクと組み合わされる一次アクチュエータによって更なるトルクが供給されてもよい。後者の例では、クラッチ機構306を、ブレーキとしてもしくはクラッチとしてまたはその両方として使用することができる。
【0145】
他の例では、本明細書で論じられる準受動的弾性アクチュエータ(すなわち、204および304)は、らせん状ねじりばね、負/一定トルクまたは層状トルクばね、空気ばね、板ばね、重ね板ばね等の他の種類のばねであってもよい。
【0146】
上記したように、位置センサ、力センサまたはその両方のような様々なセンサを、関節モジュール300内で動作させて、関節モジュール300の位置または力を決定および測定して、必要に応じてまたは所望に、準受動的アクチュエータ304を係合させたり非係合としたりすることができる。一例では、第1支持フレーム315aに結合されたセンサフレーム363に位置センサ361を結合させることができる。位置センサ361は、クラッチ出力シャフト343の位置を決定し、出力部材308bに対する入力部材308aの位置を決定するのに役立つ。
図5A〜
図5Eを参照して説明したように、位置検出を支援するべく、関節モジュール300に他の位置センサを組み込んでもよい。
【0147】
一態様では、準受動的弾性アクチュエータ304は、例えば、外骨格の腕であるロボットアセンブリにかかる重力に抵抗するための重力補償機構として機能することができる。この場合、
人間のオペレータがロボットアームを所望の位置または向きに保持するのにエネルギーを必要としない。これは、例えば、ねじりコイルばねが、関節および当該関節に結合されているロボット支持部材(外骨格の場合、オペレータの関連する部分も同様)の所定の位置を維持するために、(クラッチが係合している時に)引力から離れるまたは引力に抗する反作用付勢力を作用させることができるからである。
【0148】
準受動的弾性アクチュエータ304のばね剛性は、例えば、ねじりコイルばねのサイズ、形状、材料等の関数である。したがって、特定の関節モジュールの剛性の大きさは、ミッション毎に異なる荷重および地形によって異なる歩様(またはその他の動き)に合わせて選択可能(ねじりコイルばねの製造中および選択中に)である。一方、関節モジュール300の様々な回転運動の間のいつまたはどんな回転位置/力で、歩行サイクルの支持期間にエネルギーを回収/解放するために準受動的アクチュエータ304を係合させる(すなわち弾性構成)か、または、遊脚期間に入るように非係合状態(すなわち、非弾性構成)とするか、クラッチ機構を制御するおよび制御するべく操作することができる。さらに、ねじりコイルばねの性質として、例えば、エネルギー蓄積中の回転の度合いが大きいほど、蓄積されるエネルギーの量が指数関数的に増加する(ねじりコイルばねが非線形的にエネルギーを蓄積できるため)。このようにして、ねじりコイルばねは、エネルギーを蓄積および解放するという点では幾分か圧縮気体チャンバのように動作すると言えるが、そのような空気ばねアクチュエータの複雑さはない。
【0149】
図7Aは、本開示の一例によるクラッチ式アクチュエータモジュール1130を示し、
図7Bはクラッチ式アクチュエータモジュール1130の一次アクチュエータを示す。クラッチ式アクチュエータ関節モジュール1130は、
図5A〜
図5Eを参照して説明した、一次アクチュエータ1132の回転軸1203に対して軸外に位置するクラッチ機構206および準受動的弾性アクチュエータ204を備えることができる。すなわち、クラッチ機構206の構成要素の回転軸1137は、一次アクチュエータ1132の回転軸1203とほぼ平行であってもよい。ここで、出力軸1208bは、クラッチ機構206(例えば、
図5Dの回転伝達要素240)の出力に結合することができる。伝達装置または伝動ベルト1224を、可動係合要素254の外面領域の一部として固定または形成されたスプラインリングギア(図示せず)を介してクラッチ機構206に連結してもよい(例えば、
図5Dおよび
図5Eを参照)。これに替えて、伝動ベルト1224は、出力シャフト1208bに直接結合されてもよい(例えば、クラッチ機構206は、ベルト1224と出力シャフト1208bとの間のそのような結合に対応するために、
図7Aに示す向きから180度回転する必要がある)。いずれの場合においても、伝動ベルト1244は、出力軸1208bにトルクを伝達して継手を作動させることができる。一定の縮尺では示されていないが、出力シャフト1208bの左端部は、支持フレーム1138bの開口部1152を貫通して回転可能に配置され、次いで、ロボット支持部材に結合される出力部材に結合されてもよい、または、ロボット支持部材に直接結合することができる。
図5A〜
図5Eに示すように、入力部材208aの回転によって可動係合要素254の回転が引き起こされ、それによって回転伝達要素の回転を引き起こされ、それによって出力軸1208bの回転が引き起こされ、ロボットシステムの特定の関節を回転させる。
【0150】
より具体的には、この代替の構成に関しては、一次アクチュエータ1132(例えば、ギヤード電気モータ)は、回転軸1137周りの回転のために(クラッチ機構を介して)出力部材1208bにトルクを印加するように動作可能である。準受動的弾性アクチュエータ204(例えば、ねじりコイルばね)は、(クラッチの動作を介して)選択的に作動して、一次アクチュエータ1132によって印加されるトルクと共に出力部材1208bに増強されたトルクを印加して、歩行運動の特定の部分(または上体運動のような外骨格肢の他の運動)の間に関節を作動させる。
【0151】
クラッチ機構206は、第1のマウントプレート1138aおよび第2のマウントプレート1138bによって一次アクチュエータ1132に構造的に搭載することができ、第1のマウントプレート1138aおよび第2のマウントプレート1138bはそれぞれ端に配置されて、一次アクチュエータ1132およびクラッチ機構206を「サンドイッチ」状態に拘束するように設けられる。ここには示されていないが、クラッチ機構206のハウジング215bは、そこから外側に延びる支持部材を有することができ、第1のマウントプレート1138aおよび第2のマウントプレート1138bによって適切に結合および支持することができる。クラッチ機構206を支持プレートに連結する他の適切な手段が可能であり、そのような手段についても本明細書で考え得る。
【0152】
第1のマウントプレート1138aは、複数の締結具1142(それらの間にスペーサを有する)を介して(一次アクチュエータ1132を支持する)ハウジングマウント1140に取り付けることができる。第2のマウントプレート1138bは、複数の締結具1151を介してハウジングマウント1140の他方の側に取り付けられる。
【0153】
出力シャフト1208b(および/またはシャフト1208bに連結された出力部材)は、特定の用途(例えば、外骨格、ヒューマノイドロボット、ロボットハンド、ロボットアームなど)に応じて、様々に異なる形状および形態を有し得る荷重伝達部品であってもよい。上記された特定の構成に、限定することを決して意図していない。出力シャフト1208bは、
図4Aの外骨格のようなロボットアセンブリの支持構造に結合可能なロボット支持部材インタフェース部分を有してもよい。
【0154】
ハウジングマウント1140は、締結具を介して互いに結合された第1のマウント構造1174aおよび第2のマウント構造1174bを備えてもよい。一次アクチュエータ132の構成要素の多くを収容し構造的に支持するべく、第1のマウント構造1174aおよび第2のマウント構造1174bを共に締結する。例えば、一次アクチュエータ1132は、第1のマウント構造1174aおよび第2のマウント構造1174b内に取付けられるモータ1178(例えば、電動モータ)を備える。モータ1178は高性能永久磁石ブラシレスDCモータ(PM−BLDC)であってもよく、これは、48VDC電源および高性能COTSコントローラを使用して動作すると共に、所望の最大トルクおよび速度を達成するように巻線が最適化されたフレームレストルクモータの変形であってもよく、例えば、Allied Motion社の電気モータMF0127−032を使用してもよい。しかしながら、上述したおよび図示したモータに、決して限定するものではない。実際には、一次アクチュエータ1132として使用するのに適した他のモータが本明細書において考慮され、油圧アクチュエータなどの様々な他のタイプのアクチュエータも考慮され得る。
【0155】
図7Bに示すように、モータ1178は互いに対して回転可能なステータ1180およびロータ1182を備えることができる(市販のフレームレスブラシレスモータの場合の典型的な様式)。
図7Bは、一次アクチュエータ1132を最初に示した
図7Aに対して反転させた図である。モータ1178は、モータ1178の中央領域に位置しロータ1182によって囲まれた中央空隙1184を含むように構成することができる。(本明細書で説明した他の伝達形式を利用することもできるが)遊星歯車変速機1186を(全体的にまたは部分的に)中央空隙1184の内部に配置することができる。これは、本明細書のいずれかに例示されるように、比較的小型の電気モータに対する高トルク出力を有する薄型ギヤードモータ状態を提供する。本明細書に例示された遊星歯車変速機は、高調波、サイクロイド、ウォーム、ベルト/チェーン、クランク、4節リンク機構、バックホ−リンク機構、ベルクランクおよび連続的に可変なといった、他のタイプの変速機(トランスミッション)に置き換え可能である(または補充され得る)。
【0156】
遊星歯車変速機はよく知られており、ここで詳細に説明はしない。本例では、遊星歯車変速機1186は、4:1ギアード遊星歯車変速機として構成されてもよい。したがって、一例では、遊星歯車変速機1186は、キャリア1192の周りに取り付けられた4つの遊星歯車1188(1つが図示されている)に係合する外側リング1190を有してもよく、4つの遊星歯車1188は中央の太陽歯車(図示されていない)の歯と係合する歯を有する。この例では、外側リング1190は、外側リング1190の周囲の開口部および第1のマウント構造1174aのネジ穴を通って締結具(図示せず)を介して第1のマウント構造体1174aに締結されることによって固定されている。回転可能な伝達ホイール1198が、第2のマウント構造1174bに隣接する一次アクチュエータ1132の外側に配置され周辺締結具を介して駆動カラー1200に固定されている。駆動カラー1200は、モータ1178のロータ1182に締結または固定されている。伝達ホイール1198は、モータ1178のロータ1182の回転を(変速機1186の)太陽歯車が回転軸1203(
図7A)の周りで回転するように回転を伝達すべく動作可能である。スペーサスリーブ1201は、駆動カラー1200に隣接し且つ遊星変速機1186の外側リング1190とロータ1182との間に配置されて、遊星変速機1186とロータ1182との間の支持スペーサとして機能する。
図7Aおよび
図7Bの特定の他の詳細および構成については、米国特許出願(代理人整理番号4000−16.1110.US.NP)明細書にも記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
伝達ホイール1198は、締結具を介して伝達ホイール1198に締結される伝達ハブ1206を支持する中央開口1204を有してもよい。伝達ハブ1206は、太陽歯車の外歯と係合可能な内歯(図示せず)を有することができる。したがって、モータ1178に電界を印加すると、ロータ1182は軸1203を中心に回転し、それによって伝達ホイール1198が回転し、これにより太陽歯車1194が回転し、全て1:1の比率で回転する。太陽歯車が回転軸1203を中心に回転すると、遊星歯車1188が太陽歯車の周りを回転し、これによりキャリア1192が回転する。出力シャフト1209は、キャリア1192の中心部1211に固定されており、キャリア1192の回転により出力シャフト1209が軸1203を中心に回転し、これにより遊星歯車変速機1186を介してロータの回転から出力シャフト1209への4:1ギアダウン変速機構成が提供される。4:1変速機の代わりに、3:1または5:1(またはこれよりも大きな比)といった遊星歯車変速機のように、その他の遊星歯車変速機および歯車減速機構を使用することができる。
【0158】
高さを低減するために、遊星歯車変速機1186をモータ1178のロータ1182の内側に配置してもよい。選択されたモータに依存して、ロータの内径により遊星歯車変速機の最大外径が決まる場合がある。遊星リングが外径によって制約を受ける場合、利用可能なギア比および出力トルクの選択肢が限られる。出力比は、外輪歯車の歯数と太陽歯車の歯数との比から求められる。コンパクトな設計の遊星歯車装置においてより高い減速を得るためには、太陽歯車の直径を減少させてもよく、これは通常、動力伝達がより少ないことに対応する。太陽歯車が小さくなると、高いトルクを伝達する能力が低下する。モータのロータの内部に物理的にフィットする遊星歯車ユニットに対して、減速と強度のバランスが決定される。ヘリカルカットギアを採用することにより、より大きな力を歯車の歯に伝達することができ、遊星歯車ユニットをより強くすることができる。歯の幅が広いほど太陽歯車の耐荷重能力が向上するが、重量も増加してしまう。
【0159】
さらに、太陽歯車をいくつかの歯と同時に接触するように構成して、接触比は従来の平歯車減速機よりもはるかに高くなる。遊星歯車のもう1つの利点は、変速機がモータと一列に配置されることから、コンパクトな取り付け状態が可能であることである。たとえば16:1の最終ドライブを形成するべく、4:1の遊星型ユニットのうちの2つを一緒にネストしてもよい。
【0160】
したがって、Allied Motion社のMF0127−032モータを使用する一例では、内径は3.3インチ(約8.38cm)であり、約3.15インチ(またはそれ以下)の遊星歯車変速機をモータの中央空隙に配置できることを意味する。また、Matex社の75−4MLG12遊星変速機を組み込むこともできる。この変速機は外径2.95インチの4:1ユニットで、重量はわずか500グラムで118N−mのピークトルクを有する。コンパクトな構成とするべく、このような遊星歯車変速機を本明細書で説明するブラシレスモータに組み込むことができる。したがって、
図7Bの例では、出力シャフト1209は、遊星歯車変速機1186を介して低速であっても比較的高いトルクをごく僅かな騒音とバックラッシュで印加することができる。また、例えば、遊星歯車変速機1186がブラシレスフレームレス電気モータ1178の空隙1184内に収容されているため、コンパクトな形態で提供可能である。当業者には明らかなように、本明細書に記載された特定のタイプのモータおよび遊星歯車変速機に決して限定することを意図するものではない。
【0161】
図7Aおよび
図7Bに示すように、出力シャフト1192の自由端1210は、第1のマウント構造1174aの開口部1212を通って延在する。テーパ状の支持カラー1214は、出力シャフト1192を取り囲み出力シャフト1192に結合される(キーとスロットのインタフェースを使用して、支持カラー1214を出力シャフト1192に結合することができる)。テーパ状支持カラー1214は、出力シャフト1192をプライマリプーリ1216に結合するために、プライマリプーリ1216の内側テーパ面(例えば、モールステーパ界面のような)に合致する外側テーパ面を有する(キーとスロットのインタフェースを使用して支持カラー1214をプライマリプーリ1216に結合することができる)。第1カラー軸受けは、第1のマウント構造1174aの開口部1212(
図7A)内に配置され、出力シャフト1192を回転可能に支持する。第2カラー軸受け218bは、プライマリプーリ1216の外側端部に位置して、出力シャフト1192の自由端1210を回転可能に支持してもよい。
【0162】
一例では、センサプレート1220を第2のマウント構造1174bの外側に固定することができ、センサプレート1220は位置センサ1222を支持する開口を備える。位置センサ1222は、伝達ホイール1198に隣接して配置されてもよい。伝達ホイール1198は、位置センサ1222が太陽歯車1194の位置を検出可能となるように太陽歯車1194に至る開口を有している。そして、最終的に出力シャフト1209の回転位置を検出できるようになっており、それにより、例えば、膝または股関節の角度位置を提供することができる。位置センサ1222は、13ビットホール効果センサのような任意の適切なセンサとすることができる。更なる位置センサをシステムに結合して、最終的に関節の位置を決定するべく利用してもよい。外骨格関節の特定の位置は、準受動的弾性アクチュエータを、非弾性状態、半弾性状態および弾性状態の間で切り換えるべく、または、弾性アクチュエータのゼロ点または位置を動的に変化させるべく、クラッチ機構の作動を決定および制御することに関連し、これについて更に説明する。
【0163】
モータ1178を動作させることによって出力シャフト1209が(いずれかの回転方向で)回転すると、上述のように、プライマリプーリ1216は、クラッチ機構136(出力シャフト1208b)に連結された伝動ベルト1224を回転させて、例えば、ロボット関節を作動させるべく出力シャフト1208bを回転させるための一次トルクを提供する。伝動ベルト1224は、ゲートポリチェーンGTカーボン(Gates Poly Chain GT Carbon)同期ベルトまたはその他の適切なベルトであってもよい。ベルト引っ張り装置1225(
図7A)は、使用者が操作できるファスナを介して第1のマウントプレート1138aのスロットに調節可能且つ摺動可能に連結することができる。使用者はツールを使用して、ベルト1224に向かってまたはベルト1224から離れる方向にベルト引っ張り装置1225をスライドさせることにより、所望にベルト1224を締め付けたり緩めたりすることができる。いくつかの例では、一つまたは複数のベルト、結合、ギアまたは腱(またはそのような組み合わせ)といったベルト1224の特定の構成を、様々な他のトルク伝達装置に置き換えることができ、そのような代替物は、一次アクチュエータ1132の回転軸1203に直交する回転軸を有するように(または平行以外のある角度)配置され得る。そして、特定の用途に応じて、入力から出力への比較的高いギア減速比(例えば、20:1以上)、または比較的低いギア減速比(例えば1:1)を提供するように、様々な変速機を配置することができる。いくつかの例では、このような様々な別のトルク伝達装置により、一次アクチュエータ1132を遠隔に出力から離して配置することができる。例えば、一次アクチュエータ1132を外骨格の腰部領域(例えば、
図4A)に配置させることができ、上記のような代替のトルク伝達装置は、一次トルクを腰領域から、股関節を作動させるための股関節に隣接して配置された出力部材へと伝達することができる。
【0164】
図6Aおよび
図6Bを参照して説明したクラッチ機構306および準受動的弾性アクチュエータ304を、
図7Aのクラッチ機構206および準受動的弾性アクチュエータ204に容易に置き換えることができることは明らかである。これらは、
図7Aおよび
図7Bを参照して説明したのと同様のまたは異なる態様でマウントプレートに取り付けることができ同様の方法で伝動ベルト(または他の伝達装置)を介して一次アクチュエータ1132に動作可能に結合され得る。
【0165】
また、
図5A〜
図5Eを参照して上記で説明したクラッチ機構206および準受動的弾性アクチュエータ204の種々の機能および動作状態は、クラッチ式関節モジュール1130に適用可能である。このように、ここでは再び説明されないが、当業者であれば、
図5A〜
図5Eを参照して上記で説明したように、クラッチ式関節モジュール1130は、同じまたは同様の方法で動作させることができることを理解できる。同様に、
図7Aのクラッチ機構206および準受動的弾性アクチュエータ204に代わるクラッチ機構306および準受動的弾性アクチュエータ304は、
図6A〜
図6Gを参照して上述したクラッチ機構306および準受動的弾性アクチュエータ304の様々な機能および動作状態は、クラッチ式関節モジュール1130に適用可能である。このように、ここでは再び説明されないが、当業者であれば、
図6A〜
図6Gを参照して上記で説明したように、クラッチ式関節モジュール1130は、同じまたは同様の方法で動作させることができることを理解できる。
【0166】
更に、エネルギーの蓄積および解放の間、制動力の生成および印加の間、および、関節の自由揺動を容易にするクラッチ機構の非係合の間の、本明細書で説明した様々なクラッチ式関節モジュールによって決定される複数の関節の回転(すなわち、入力部材と出力部材との間の相対的な回転)は、任意の方向(例えば、同じ方向、異なる方向)であってよい。言い換えると、クラッチ機構は、エネルギーを蓄積または解放するべく係合状態となったり、関連する関節が同じ方向または様々な異なる方向に回転すると対象の関節が自由揺動をするように非係合状態になるように操作可能である。これは、本開示に記載されている全ての例についても同様である。
【0167】
開示された本発明の実施形態は、本明細書で開示される特定の構造、製造工程または材料に限定されず、関連技術分野の当業者であれば理解できるように、それらの等価物まで拡張され得る。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的で使用されており、これらを限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0168】
例えば、本明細書で使用されている「一実施形態」、「実施形態」との用語は、当該実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、様々な場所における「一実施形態において」または「ある実施形態において」という表現は、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。
【0169】
本明細書で用いられる場合、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストに提示されてもよい。しかしながら、これらのリストは、リストの各部材が別個で特有の部材として個々に識別されると解釈されるべきである。従って、そのようなリストの如何なる個々の部材も、反対の指摘なく、共通のグループに提示されていることのみに基づいて、同一のリストの任意のその他の部材と事実上の等価であると解釈されるべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態および実施例は、その様々な構成要素の代替案と共に参照され得る。そのような実施形態、実施例、および代替例は、互いに事実上等価であると解釈されるべきではなく、本発明の独立した自律的な表現とみなされるべきである。
【0170】
本明細書に記載される幾つかの実施形態または特徴を本明細書に記載される他の実施形態または特徴と組み合わせられ得ることを明示的に開示していないが、本開示は、当業者によって実施可能なそのような組み合わせを記載していると読まれるべきである。本開示における「または」という言葉の使用は、本明細書中でそうでないと記載されていない限り、非排他的または「および/または」を意味すると理解されるべきである。
【0171】
また、記載された特徴、構造または特性は、一つまたは複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わせ可能である。本明細書には、本発明の実施形態の完全な理解を提供するべく、長さ、幅、形状等の例といった、多くの具体的な詳細な例が提供されている。しかしながら、関連技術分野の当業者であれば、特定の詳細事項の一つまたは複数がなくとも、または、他の方法、構成要素、材料などを用いても、本発明を実施可能であることが理解できる。また、他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料または動作は詳細には示されていないまたは記載されていない。
【0172】
前述の例は、一つまたは複数の特定の用途における本発明の原理の例示であるが、当業者であれば、本発明の原理および概念から逸脱することなく、また、発明の創造性を新たに発揮することなく、形態、使用および実施の詳細における多くの変更が可能であることを理解できる。したがって、以下に示す特許請求の範囲以外によって、本発明が限定されることは意図していない。