(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
《負極材》
本発明の負極材の第一実施形態は、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B及びバインダーを含む負極材である。
【0009】
本実施形態の負極活物質は、従来のリチウムイオン二次電池に使用されている負極活物質と同様であるが、導電助剤A及び導電助剤Bと負極活物質との接触効率を高めることにより負極材の導電性を向上させる目的で、負極活物質の大きさである平均粒径(平均粒子径)に着目する。
【0010】
本実施形態の負極活物質の平均粒径Xは、以下の(i)〜(iv)の全てを満たす。
(i) 負極活物質の平均粒径X/導電助剤Bの直径、で表される比βが10〜2000である。
(ii) 負極活物質の平均粒径X/導電助剤Aの直径、で表される比αが1〜500である。
(iii) 負極活物質の平均粒径X/導電助剤Bの長さ、で表される比δが0.15〜10である。
(iv) 負極活物質の平均粒径X/導電助剤Aの長さ、で表される比γが0.1〜10である。
【0011】
本実施形態の導電助剤Bは、直径2nm以上100nm未満、且つ、長さ/直径で表されるアスペクト比(B)30〜10000の繊維状炭素であり、前記導電助剤Bは前記導電助剤Aとは異なる非直線状の形状を有している。
本実施形態の導電助剤Aは、直径1nm以上1000nm以下、且つ、長さ/直径で表されるアスペクト比(A)1〜10000の繊維状炭素であり、前記導電助剤Aは直線又は直線に近い形状を有している。
【0012】
ここで、導電助剤A,Bの直径とは、それぞれの導電助剤の長手方向に対して直交する断面における平均の外径(平均繊維径)を意味する。
【0013】
導電助剤Bは、負極材において比較的長距離の導通に寄与する炭素材料であり、剛直な線形状を取り易いため、負極活物質との接触確率が比較的低い炭素材料である。
導電助材Aは、負極材において比較的短距離の導通に寄与する炭素材料であり、凝集した毛玉形状を取り易いため、近傍にある負極活物質や導電助剤Bとの接触確率が高い炭素材料である。
導電助剤Bのアスペクト比(B)は、導電助剤Aのアスペクト比(A)よりも大きいことが好ましい。「アスペクト比(B)>アスペクト比(A)」の関係であることにより、負極材における導電助剤Bによる導電性をより高めることができる。
導電助剤Aの直径の直径は、導電助剤Bの直径よりも大きいことが好ましい。「導電助剤Aの直径>導電助剤Bの直径」の関係であることにより、導電助剤Bの長さ方向の電気抵抗を低減し、負極材における導電助剤Bによる導電性をより高めることができる。
「導電助剤Aの直径>導電助剤Bの直径」の関係において、(導電助剤Aの直径/導電助剤Bの直径)の比の値は、1.1〜100が好ましく、1.2〜50より好ましく、5〜50がさらに好ましい。
【0014】
導電助剤A及び導電助剤Bの直径と長さに関する比が、負極活物質の平均粒径Xに対して上記の関係にあることにより、負極材における導電性を向上させ、二次電池の電池性能を向上させることができる。
【0015】
比βは、10〜2000が好ましく、50〜1500がより好ましく、80〜1000がさらに好ましい。
比αは、1〜500が好ましく、5〜500がより好ましく、7〜500がさらに好ましい。
比αは、(導電助剤Aの直径/導電助剤Bの直径)の値が2を超える場合は、数値が低い方が好ましい。例えば、(導電助剤Aの直径/導電助剤Bの直径)の値が5以上の場合は、1〜180が好ましく、2〜120がより好ましく、4〜80がさらに好ましい。
比δは、0.15〜10が好ましく、0.16〜8がより好ましく、0.18〜3がさらに好ましい。
比γは、0.1〜10が好ましく、0.15〜9がより好ましく、0.18〜8がさらに好ましい。
比δが0.15以上であると、活物質や導電助剤Bや集電体などのうち、それぞれ接触していないような材料間の導電性を向上することが出来る。比δが10以下であると、活物質層が形成された際に、活物質層の表面平滑性が得られやすい。
【0016】
(負極活物質)
本実施形態の負極材において、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、後述する粒子状導電助剤及びバインダーの総質量に対する、負極活物質の含有割合は、40〜85質量%であることが好ましく、55〜80質量%であることがより好ましい。
負極活物質の含有割合が40質量%以上であると、リチウムイオン二次電池の放電容量がより向上し、負極活物質の含有割合が85質量%以下であると、負極構造の安定した維持が容易となる。
【0017】
本実施形態の好適な負極活物質として、例えば酸化ケイ素が挙げられる。
酸化ケイ素としては、一般式「SiO
z(式中、zは0.5〜1.5のいずれかの数である。)」で表されるものが例示できる。ここで酸化ケイ素を「SiO」単位で見た場合、このSiOは、アモルファス状のSiOであるか、又はSi:SiO
2のモル比が約1:1となるように、ナノクラスターのSiの周囲にSiO
2が存在する、Si及びSiO
2の複合物である。SiO
2は、充放電時におけるSiの膨張及び収縮に対して緩衝作用を有すると推測される。
【0018】
酸化ケイ素は、粒子状であることが好ましい。粒子状の酸化ケイ素の大きさは、例えば、平均粒子径が30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、5μm以下であることが最も好ましい。
上記平均粒子径の酸化ケイ素を用いると、導電助剤A,Bとの併用による効果が、より顕著に得られる。酸化ケイ素の平均粒子径を所望の値に調節する方法として、ボールミル等を用いる公知の手法で粉砕する方法が挙げられる。
【0019】
酸化ケイ素の平均粒子径を測定する方法としては、例えば、電子顕微鏡を用いて、負極材に使用する任意の酸化ケイ素の粒子約100個の粒子径を計測し、その平均値を算出して求める方法が挙げられる。
【0020】
(導電助剤A)
本実施形態の負極材において、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、後述する粒子状導電助剤及びバインダーの総質量に対する、導電助剤Aの含有割合は、1〜15質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
導電助剤Aの含有割合が1質量%以上であると、負極材を構成する導電助剤A,Bと負極活物質との導電性がより向上し、導電助剤Aの含有割合が15質量%以下であると、負極材における各材料の分散性が高まり、導電性がより向上する。
【0021】
導電助剤Aは、略直線状、すなわち直線又は直線に近い形状、であることが好ましい。
導電助剤Aの長さ(平均繊維長)/直径(平均繊維径)で表されるアスペクト比(A)の下限は、例えば、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましく、5以上であることが一層好ましい。上限は10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、600以下であることが一層好ましい。い。
アスペクト比(A)が1以上であると、導電助剤Aと他の導電材や活物質や集電体との接触効率が高まり、負極材の導電性が向上する。アスペクト比(A)が10000以下であると、導電助剤Aの負極材における分散性が高まり、負極材の導電性がより向上する。また、活物質層が形成された際に、活物質層の表面平滑性が得られやすい。
【0022】
本実施形態の負極材に含まれる、負極活物質の質量m1と導電助剤Aの質量m2の比(m1/m2)は、例えば、1〜30であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。
上記質量比が1以上であると、導電助剤Aの負極材における分散性が高まり、負極材の導電性がより向上する。上記質量比が30以下であると、導電助剤Aと負極活物質との接触効率が高まり、負極材の導電性がより向上する。
【0023】
導電助剤Aは、負極材において橋状の網目構造を形成して導電性の向上に寄与する。また、負極材の構造安定化にも寄与していると推測される。
【0024】
導電助剤Aの直径としての平均繊維径は、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、3nm以上500nm以下であることがより好ましく、7nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。
導電助剤Aの直径が1nm以上であると、負極材において繊維状炭素としての形態を維持可能な程度の剛性を有する。導電助剤Aの直径が1000nm以下であると、添加量(添加した重量)が少なくても、近傍にある負極活物質や導電助剤Bとの接触確率をより高められる。
【0025】
導電助剤Aの長さとしての平均繊維長は、0.1μm〜30μmであることが好ましく、0.5μm〜20μmであることがより好ましい。
導電助剤Aの長さが0.1μm以上であると、比較的長距離の導通に寄与する長さを維持するための剛性が得られ易い。導電助剤Aの長さが30μm以下であると、負極内における活物質や導電助剤B等の分布の均一性を高められる。
【0026】
導電助剤Aの平均繊維径を測定する方法としては、例えば、電子顕微鏡を用いて、負極材に使用する任意の導電助剤A約100本について繊維径を計測し、その平均値を算出して求める方法が挙げられる。同様に、導電助剤Aの平均繊維長を測定する方法としては、例えば、電子顕微鏡を用いて、負極材に使用する任意の導電助剤A約100本について繊維長を計測し、その平均値を算出する方法が挙げられる。
【0027】
本実施形態の導電助剤Aとして、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。CNTは単層であってもよいし、多層であってもよい。
導電助剤Aは、一種が単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0028】
(導電助剤B)
本実施形態の負極材において、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、後述する粒子状導電助剤及びバインダーの総質量に対する、導電助剤Bの含有割合は、1〜15質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
導電助剤Bの含有割合が1質量%以上であると、負極材を構成する導電助剤A,Bと負極活物質との導電性がより向上し、導電助剤Bの含有割合が15質量%以下であると、負極材における各材料の分散性が高まり、導電性がより向上する。
導電助剤Bは、導電助剤Aの形状とは異なる非直線状の形状を有しており、非直線状である屈曲した構造となりやすい材質からなることが好ましい。
屈曲した構造とは、略直線状でないことを意味し、屈曲構造、らせん構造等を有する、形状の規則性が低い構造を意味する。
導電助剤Bは、アスペクト比が大きくなると、例えば、複数の導電助剤B同士が凝集した毛玉形状を取り易くなる。
導電助剤Bがこのような規則性が低い形状を有すると、導電助剤Bと、活物質、導電助剤A、または集電体との接点を増やすことが可能となる。また、導電助剤Bがこのような屈曲した構造や規則性が低い形状を有することで、温度変化や充放電に伴う活物質等の体積変化による上記の接点の減少を抑制することが可能となる。
【0029】
導電助剤Bの長さ(平均繊維長)/直径(平均繊維径)で表されるアスペクト比(B)は、例えば、30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、150以上であることがさらに好ましく、300以上であることが一層好ましい。上限は10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましい。
アスペクト比(B)が30以上であると、導電助剤Bと他の導電材や活物質との接触効率が高まり、負極材の導電性が向上する。アスペクト比(B)が10000以下であると、導電助剤Bの負極材における分散性が高まり、負極材の導電性がより向上する。
【0030】
本実施形態の負極材に含まれる、負極活物質の質量m1と導電助剤Bの質量m3の比(m1/m3)は、例えば、4〜40であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、6〜20であることがさらに好ましい。
上記質量比が4以上であると、導電助剤Bと負極活物質との接触効率が高まり、負極材の導電性がより向上する。上記質量比が40以下であると、導電助剤Bの負極材における分散性が高まり、負極材の導電性がより向上する。
【0031】
導電助剤Bは、負極材において、導電助剤Aが形成する橋状の網目構造の内部を充填することによって、負極材の導電性の向上に寄与する共に、負極材の構造安定化にも寄与していると推測される。あるいは、導電助剤Bは、負極材において、導電助剤Aや活物質や集電体の表面に沿うように位置し、電気的な接点を生じさせることで、負極材の導電性の向上に寄与していると推測される。
【0032】
導電助剤Bの直径としての平均繊維径は、2nm以上100nm未満であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましく、10nm以上30nm以下であることがさらに好ましい。
導電助剤Bの直径が2nm以上であると、充放電に伴う負極活物質の体積変化に追従して、導電性を保つことが可能となる。導電助剤Bの直径が100nm未満であると、剛性が高くなり過ぎることを防止し、負極材を構成する他の導電材料と接触し易くなるための柔軟性を高められる。
【0033】
導電助剤Bの長さとしての平均繊維長は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.2μm〜30μmであることがより好ましい。
導電助剤Bの長さが0.1μm以上であると、繊維状炭素としての好適な物性が得られ易い。導電助剤Bの長さが100μm以下であると、負極内における活物質や導電助剤B等の分布の均一性を高められ、後述する容量発現率を高めることが出来る。また、負極材を構成する他の導電材料と接触性を高められる。
【0034】
導電助剤Bの平均繊維径を測定する方法としては、例えば、電子顕微鏡を用いて、負極材に使用する任意の導電助剤B約100本について繊維径を計測し、その平均値を算出して求める方法が挙げられる。同様に、導電助剤Bの平均繊維長を測定する方法としては、例えば、電子顕微鏡を用いて、負極材に使用する任意の導電助剤B約100本について繊維長を計測し、その平均値を算出する方法が挙げられる。
【0035】
本実施形態の導電助剤Bとして、例えば、炭素繊維やカーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。CNTは単層であってもよいし、多層であってもよい。導電助剤Bは、一種が単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0036】
(粒子状導電助剤)
本実施形態の負極材には、負極活物質、導電助剤A及び導電助剤Bに該当しない粒子状導電助剤が含まれていることが好ましい。粒子状導電助剤は、負極材において各導電材同士の接触面積を拡げることにより、負極材の導電性の向上に寄与し得る。ただし、粒子状導電助剤は必須成分ではなく、必要に応じて添加される。
【0037】
本実施形態の負極材において、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、粒子状導電助剤及びバインダーの総質量に対する、粒子状導電助剤の含有割合は、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
粒子状導電助剤の含有割合が1質量%以上であると、負極材を構成する各導電材同士が粒子状導電助剤を介して電気的に接続され、負極材の導電性をより向上させることができる。粒子状導電助剤の含有割合が20質量%以下であると、負極材における導電助剤A,Bによる短距離又は長距離の導電に必要な導電助剤の分散の低下を防止できる。
【0038】
本実施形態の好適な粒子状導電助剤として、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;黒鉛(グラファイト);フラーレン等が挙げられる。
【0039】
粒子状導電助剤の平均粒子径は、10〜100nmであることが好ましく、15〜60nmであることがより好ましい。粒子状導電助剤の構造は、粒子同士が、数珠つなぎの様に、互いに連なった構造であることが好ましい。このような平均粒子径又は構造を有する粒子状導電助剤を用いると、導電助剤A,Bとの併用によって、負極材の導電性をより向上させることができる。粒子状導電助剤の平均粒子径の調整及び測定は、前述した酸化ケイ素の平均粒子径の場合と同様の方法で行うことができる。
粒子状導電助剤は、一種が単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0040】
本実施形態の負極材において、負極活物質の質量m1に対する粒子状導電助剤の質量m4の比(m1/m4)は、1〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。
上記範囲であると、粒子状導電助剤の含有による前述の効果がより顕著に得られる。
【0041】
(バインダー)
本実施形態の負極材において、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、粒子状導電助剤及びバインダーの総質量に対する、バインダーの含有割合は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
バインダーの含有割合が3質量%以上であると、負極材の構造がより安定して維持され、バインダーの含有割合が30質量%以下であることで、放電容量がより向上する。
【0042】
本実施形態におけるバインダーは特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池の負極に使用されるバインダーが適用可能であり、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。
バインダーは、一種が単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0043】
(その他の任意成分)
本実施形態の負極材には、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B,粒子状導電助剤及びバインダー以外に、これらに該当しないその他の任意成分がさらに配合されていてもよい。
任意成分の一例として、負極材を構成する各材料を溶解又は分散させるための溶媒が挙げられる。任意成分としての溶媒が配合されてなる負極材は、後述する負極を作製する使用時において流動性を有する液状組成物であることが好ましい。
【0044】
前記溶媒は特に限定されず、例えば、水、有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが挙げられる。
前記溶媒は、一種が単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0045】
前記液状組成物における前記溶媒の配合量は特に限定されず、目的に応じて適宜調節される。例えば、前記液状組成物としての負極材を基材に塗工し、さらに乾燥させることにより負極活物質層を形成する場合には、この液状組成物が塗工に適した粘度となるように、溶媒の配合量を調節すればよい。一例として、前記液状組成物の総質量に対する溶媒の含有割合が、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは50〜80質量%となる配合が挙げられる。
【0046】
任意成分として、溶媒以外の固体成分を配合する場合、前記負極材における溶媒以外の配合成分の総質量に対する、上記固体成分の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
(負極材の作製方法)
本実施形態の負極材は、負極活物質、導電助剤A、導電助剤B、粒子状導電助剤及びバインダー、並びに、必要に応じた任意成分を配合して作製することができる。
負極材の作製時に、各成分が充分に混合されて、均一に分散されることが好ましい。
各成分を混合する際には、各成分を順次添加しながら混合してもよいし、全成分をまとめて一度に混合してもよい。
【0048】
任意成分として前記溶媒を配合する場合、溶媒を単独で添加して混合してもよいし、溶媒を何れかの固体成分と予め混合して、前記固体成分の配合と同時に混合してもよい。
【0049】
各成分の混合方法は特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の混合方法が挙げられる。混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すればよい。例えば、混合時の温度を10〜50℃に設定し、混合時間を3〜40分に設定することができる。
【0050】
各成分を混合して得られた負極材に溶媒が含まれる場合には、前記溶媒を乾燥、気化、留去等によって除去し、より安定な負極材として用いることができる。
【0051】
《負極》
本発明の負極の第一実施形態は、前述した負極材を用いて形成された負極活物質層が集電体上に備えられてなる負極である。
本実施形態の負極を構成する負極活物質層にはリチウムがプレドープされていることが好ましい。
【0052】
集電体は特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池に使用される集電体が適用可能であり、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する集電体が挙げられる。
集電体の形状はシート状であることが好ましく、その厚さは、例えば5〜20μmとすることができる。
【0053】
負極活物質層の厚さは特に限定されず、例えば、5〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。
【0054】
負極活物質層の形成方法は特に限定されず、例えば、前述の溶媒が配合された液状組成物としての負極材を集電体上に塗工して、さらに溶媒を乾燥させることによって、集電体上に所望の厚さの負極活物質層を形成できる。
【0055】
液状組成物の塗工方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター等の各種コーターを用いる方法;ドクターブレード法;ディッピング法等が挙げられる。
【0056】
前記溶媒を乾燥する方法は特に限定されず、公知方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。乾燥温度は特に限定されず、例えば40〜180℃に設定することができる。乾燥時間は特に限定されず、例えば12〜48時間に設定することができる。
【0057】
負極活物質層を設置する方法としては、例えば、集電体上に直接形成し、必要に応じて圧着する方法、他の基材上に形成してから集電体上に移動して、集電体上に圧着する方法等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の負極には、リチウムがプレドープされていることが好ましい。プレドープにより、負極活物質層中の二酸化ケイ素と不可逆的に反応し、リチウムシリケート(Li
4SiO
4)が生成される。この結果、初期充電工程において負極にリチウムが吸蔵されたときにリチウムシリケートの生成が起こらないため、放電容量の低下が抑制される。
【0059】
負極に対するプレドープの方法は特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池に施されるプレドープ方法が適用可能である。プレドープするリチウムの量は特に限定されず、例えば、負極活物質層中の酸化ケイ素に対して、1〜4倍モル量であることが好ましい。
【0060】
《リチウムイオン二次電池》
本発明のリチウムイオン二次電池の第一実施形態は、前述した負極を備えている。このため、容量発現率と、充放電を繰り返し行ったときの容量維持率とが共に高く、充放電特性に優れる。
【0061】
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、前述した負極を備えたこと以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成、例えば、負極、正極及び電解質を備えた構成を有し得る。必要に応じて負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。
【0062】
[正極]
本実施形態の二次電池を構成する正極は特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池で使用される公知の正極が適用可能であり、例えば、正極活物質、バインダー及び溶媒、並びに必要に応じて導電助剤等が配合されてなる正極材を用いて形成された正極活物質層を、集電体(正極集電体)上に備えた正極が例示できる。
【0063】
正極を構成するバインダー、溶媒及び集電体等の各材料は特に限定されず、例えば、負極を構成するバインダー、溶媒及び集電体と同様の材料が挙げられる。
【0064】
正極を構成する導電助剤は特に限定されず、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、グラフェン、フラーレン等が挙げられる。
正極における導電助剤は、一種が単独で使用されてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0065】
正極活物質としては、公知のリチウムイオン二次電池で使用される公知の正極活物質が適用される。例えば、一般式「LiM
xO
y(式中、Mは金属であり;x及びyは、金属Mと酸素Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が例示できる。
このような金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)等が例示でき、類似の組成であるオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO
4)を用いることもできる。
前記金属酸リチウム化合物は、前記一般式において、Mが複数種のものであってもよく、このような金属酸リチウム化合物としては、一般式「LiM
1pM
2qM
3rO
y(式中、M
1、M
2及びM
3は互いに異なる種類の金属であり;p、q、r及びyは、金属M
1、M
2及びM
3と酸素Oとの組成比である。)」で表されるものが例示できる。ここで、p+q+r=xである。具体的には、LiNi
0.33Mn
0.33Co
0.33O
2等が例示できる。
正極活物質は、一種が単独で使用されてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0066】
正極材の総質量に対する、正極活物質、導電助剤及びバインダーの各含有割合は、前記負極材を構成する負極活物質、導電助剤及びバインダーの各含有割合と同様とすることができる。必要に応じて添加される任意成分の含有割合も、負極材の場合と同様とすることができる。
【0067】
正極活物質層の厚さは特に限定されず、例えば10〜100μm程度が挙げられる。
【0068】
正極活物質層の作製は、前記負極材に代えて正極材を用いる点以外は、負極活物質層の場合と同様の方法で行うことができる。
【0069】
[電解質]
前記電解質は特に限定されず、例えば、公知のリチウムイオン二次電池で使用される公知の電解質、電解液等が適用可能である。電解液としては、有機溶媒に電解質塩を溶解した混合溶液が例示できる。有機溶媒としては、高電圧に対する耐性を有するものが好ましく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトロヒドラフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテートなどの極性溶媒、又はこれら溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。電解質塩としては、例えばリチウムイオン二次電池の場合、LiClO
4、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiCF
6、LiCF
3CO
2、LiPF
6SO
3、LiN(SO
3CF
3)
2、Li(SO
2CF
2CF
3)
2、LiN(COCF
3)
2及びLiN(COCF
2CF
3)
2等のリチウムを含む塩、又はこれら塩の2種以上の混合物が挙げられる。
【0070】
[セパレータ]
セパレータを構成する材料は特に限定されず、例えば多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が挙げられる。セパレータの厚みは、正極と負極の短絡を防止できる厚みであれば特に限定されず、例えば、0.1μm〜10μmとすることができる。
【0071】
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形態は特に限定されず、例えば、円筒型、角型、コイン型、シート型、ラミネート型等が挙げられる。それぞれの形態に応じて、金属ケース、樹脂ケース等にセルを収容することが出来る。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法は特に限定されず、必要に応じてグローブボックス内又は乾燥空気雰囲気下において、従来のリチウムイオン二次電池と同様の製造方法が適用可能である。
【実施例】
【0072】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
<負極の作製>
一酸化ケイ素(SiO、平均粒子径5.0μm、70質量部)、CNT(5質量部)、SBR(5質量部)、及びポリアクリル酸(10質量部)を試薬瓶に入れ、さらに蒸留水を添加して濃度調整した後、自公転ミキサーを用いて2000rpmで2分間混合した。この混合物にアセチレンブラック(5質量部)、SMW(5質量部)を加
え、自公転ミキサーを用いて2000rpmで2分間混合した。この混合物を超音波ホモジナイザーで10分間分散処理した後、再度、自公転ミキサーを用いてこの分散物を2000rpmで3分間混合することにより、負極材を得た。
【0074】
厚さ15μmの銅箔の両面に、上記で得られた負極材をバーコーターで塗布し、50℃のホットプレート上でこれを乾燥させた後、ロールプレス機を用いて1kNでプレスすることにより、集電体である銅箔上に厚さ25μmの負極活物質層を形成して、負極前駆体を得た。続いて、上記負極活物質層上に後述する電解液50μL/cm2を滴下し、その滴下面上に厚さ200μmのリチウム箔を重ねて、この状態で48時間静置することにより、負極前駆体にリチウムをプレドープし、負極を得た。プレドープ後にリチウム箔を負極から取り除いた。
【0075】
上記のSMW(正式名称:specialty multi-walled CNT)は、前記導電助剤Bであり、シグマアルドリッチ社製の多層カーボンナノチューブである。その層数は3〜8層であり、その平均のアスペクト比(B)は450であり、その平均の直径(外径)は10nmであり、その平均の内径は4.5nmであり、その平均の長さは4.5μmである。これらの数値はTEM(透過電子顕微鏡)により測定した値である。
【0076】
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径5.0μmとSMWの直径10nmとの比(β)(5μm/0.01μm)は500であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとSMWの長さ4.5μmとの比(δ)(5.0μm/4.5μm)は、1.1である。
【0077】
上記のCNTは、前記導電助剤Aであり、CVD法で製造されたカーボンナノチューブである。その平均のアスペクト比(A)は400であり、その平均の直径(外径)は12.5nmであり、その平均の長さは5μmである。
【0078】
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径5μmとCNTの直径との比(α)(5μm÷0.0125μm)は400であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとCNTの長さとの比(γ)(5μm/5μm)は、1である。
【0079】
<正極の作製>
ニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム(Ni:Co:Mn=1:1:1、LiNMC)(93質量部)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(3質量部)と、導電助剤であるカーボンブラック(4質量部)とを混合して正極合材を調製し、これをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させて、正極材(スラリー)を調製した。次いで、この正極材を厚さ15μmのアルミニウム箔の両面にバーコーターを用いて塗布し、100℃、0.1MPa、10時間の条件で減圧乾燥させた後、ロールプレスすることにより、集電体であるアルミニウム箔上に厚さ60μmの正極活物質層を形成して、正極を得た。
【0080】
<電解質の製造>
シュウ酸リチウム−三フッ化ホウ素錯体(LOX−BF3)を、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)及びガンマブチロラクトン(GBL)の混合物(EC:DEC:GBL=30:60:10、質量比)に溶解させ、リチウムイオンの濃度が1.0モル/kgである電解液を得た。
【0081】
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記で得られた負極及び正極を直径16mmの円盤状に打ち抜いた。また、セパレータとしてガラスファイバーからなるものを用い、これを直径17mmの円盤状に打ち抜いた。これら円盤状の正極、セパレータ及び負極を、この順にSUS製の電池容器(CR20
32)内で積層し、上記で得られた電解液を、セパレータ、負極及び正極に含浸させ、さらに負極上に、SUS製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)を載せ、蓋をすることにより、リチウムイオン二次電池としてコイン型セルを製造した。
【0082】
[実施例2]
平均の長さが1μmのCNTを使用したこと以外は、実施例1と同様に負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0083】
実施例2の負極材において、CNTのアスペクト比(A)は80であり、活物質であるSiOの平均粒径5μmとCNTの直径12.5nmとの比(α)(5μm/0.0125μm)は400であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとCNTの長さ1μmとの比(γ)(5μm/1μm)は5である。
【0084】
[実施例3]
CNTに換えて、平均の長さが約5μmのVGCF(登録商標)を用いた以外は実施例1と同様に、負極材、負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
平均の長さが約5μmのVGCF(登録商標)(正式名称:vapor grown carbon fiber)は、昭和電工社製の気相法炭素繊維である。その平均のアスペクト比(A)は約33であり、その平均の直径(外径)は約150nmである。
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径約5μmとVGCF(登録商標)の直径との比(α)(5μm÷0.150μm)は約33であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとVGCF(登録商標)の長さとの比(γ)(5μm/5μm)は、1である。
【0085】
[実施例4]
平均の長さが約1μmのVGCF(登録商標)を用いた以外は実施例3と同様に、負極材、負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
平均の長さが約1μmのVGCF(登録商標)(正式名称:vapor grown carbon fiber)は、昭和電工社製の気相法炭素繊維である。その平均のアスペクト比(A)は約7であり、その平均の直径(外径)は約150nmである。
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径約5μmとVGCF(登録商標)の直径との比(α)(5μm÷0.150μm)は約7であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとVGCF(登録商標)の長さとの比(γ)(5μm/1μm)は、5である。
【0086】
[実施例5]
一酸化ケイ素の平均粒子径を約1μmとしたこと以外は、実施例3と同様に負極材、負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
活物質であるSiOの平均粒径1μmとSMWの直径10nmとの比(β)(1μm/0.01μm)は100であり、且つ、SiOの平均粒径1μmとSMWの長さ4.5μmとの比(δ)(1μm/4.5μm)は、約0.2である。
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径約1μmとVGCF(登録商標)の直径との比(α)(1μm÷0.150μm)は約7であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとVGCF(登録商標)の長さとの比(γ)(1μm/5μm)は、0.2である。
【0087】
[実施例6]
SMWに換えて、Flotube(シーナノ社製のカーボンナノチューブである。その平均のアスペクト比(B)は800であり、その平均の直径(外径)は12.5nmであり、その平均の長さは10μmである。これらの数値はTEMにより測定した値である)を使用したこと以外は、実施例3と同様に負極材、負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例6の負極材において、活物質であるSiOの平均粒径5μmとFlotubeの直径12.5nmとの比(β)(5μm/0.0125μm)は400であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとFlotubeの長さ10μmとの比(δ)(5μm/10μm)は、0.5である。Flotubeのアスペクト比(B)は800であり、活物質であるSiOの平均粒径約5μmとVGCF(登録商標)の直径約150nmとの比(α)(5μm/0.150μm)は約33であり、且つ、SiOの平均粒径約5μmとVGCF(登録商標)の長さ約5μmとの比(γ)(5μm/5μm)は1である。
【0088】
[比較例1]
CNTを含有せず、SMW(10質量部)を含むこと以外は、実施例1と同様に負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0089】
[比較例2]
SMWを含有せず、CNT(10質量部)を含むこと以外は、実施例1と同様に負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0090】
[比較例3]
SMWに替えて、Flotube(5質量部)を使用したこと以外は、実施例1と同様に負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
上記のFlotubeは、シーナノ社製のカーボンナノチューブである。その平均のアスペクト比(B)は800であり、その平均の直径(外径)は12.5nmであり、その平均の長さは10μmである。これらの数値はTEMにより測定した値である。
【0092】
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径5.0μmとFlotubeの直径12.5nmとの比(β)(5μm/0.0125μm)は400であり、且つ、SiOの平均粒径5μmとSMWの長さ10μmとの比(δ)(5μm/10μm)は、0.5である。
【0093】
[比較例4]
一酸化ケイ素の平均粒子径を約1μmとしたこと以外は、実施例6と同様に負極材、負極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
上記負極材において、活物質であるSiOの平均粒径1μmとFlotubeの直径12.5nmとの比(β)(1μm/0.0125μm)は80であり、且つ、SiOの平均粒径1μmとFlotubeの長さ10μmとの比(δ)(1μm/10μm)は、0.1である。
活物質であるSiOの平均粒径1μmとVGCF(登録商標)の直径150nmとの比(α)(1μm/0.15μm)は約7であり、且つ、SiOの平均粒径1μmとVGCF(登録商標)の長さ5μmとの比(γ)(1μm/5μm)は、0.2である。
【0094】
<リチウムイオン二次電池の充放電特性の評価>
上記各実施例及び比較例で得られたリチウムイオン二次電池について、25℃において0.2Cの定電流定電圧充電を、上限電圧4.2Vとして電流値が0.1Cに収束するまで行った後、0.2Cの定電流放電を2.7Vまで行った。次いで、充放電電流を1Cとして同様の方法で、充放電サイクルを複数回繰り返し、リチウムイオン二次電池の状態を安定させた。次いで、充放電電流を1Cとして同様の方法で、充放電サイクルを繰り返し、容量発現率({[1サイクル目の放電容量(mAh)]/[定格容量(mAh)]}×100)(%)、及び100サイクルでの容量維持率({[100サイクル目の放電容量(mAh)]/[1サイクル目の放電容量(mAh)]}×100)(%)を算出した。なお、各二次電池の定格容量(理論容量)は、4mAhであった。各二次電池の評価結果を表1及び表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、公知の構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはない。