特許第6871175号(P6871175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871175ジストロフィー型表皮水疱症を処置するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871175
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ジストロフィー型表皮水疱症を処置するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20210426BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C12N15/113 ZZNA
   A61K48/00
   A61P17/00
   A61K31/7088
   A61K31/7105
   A61K31/7125
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-560600(P2017-560600)
(86)(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公表番号】特表2018-515122(P2018-515122A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】EP2016061495
(87)【国際公開番号】WO2016185041
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】1508733.1
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1516505.3
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519320158
【氏名又は名称】ウィングス セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ハイスマ,エリサベス,マリーン
(72)【発明者】
【氏名】ポットマン,マーコ
(72)【発明者】
【氏名】プラテンバーグ,ゲラデュス,ヨハネ
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/053819(WO,A1)
【文献】 米国特許第05801154(US,A)
【文献】 特表2018−518167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)であって、
記AONが配列番号8、25、26、31および32からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)
【請求項2】
前記AONが、エクソン80と相補性の領域を含み、前記相補性の領域が、最大20ヌクレオチド長である、請求項1に記載のAON。
【請求項3】
前記AONが、11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチド長であるエクソン80と相補性の領域を含む、請求項1または2に記載のAON。
【請求項4】
前記AONが、24ヌクレオチド長未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載のAON。
【請求項5】
前記AONが、20、21、22、または23ヌクレオチド長である、請求項1から3のいずれか一項に記載のAON。
【請求項6】
前記AONがオリゴリボヌクレオチドである、請求項1からのいずれか一項に記載のAON。
【請求項7】
ヌクレオシド間結合が、化学的に修飾されている、請求項1からのいずれか一項に記載のAON。
【請求項8】
前記ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項7に記載のAON。
【請求項9】
前記AONの糖部分が低級2’−O−アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載のAON。
【請求項10】
前記AONの糖部分が2’−O−メチル置換糖部分である、請求項1から9のいずれか一項に記載のAON。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドと、担体、賦形剤、安定剤、トランスフェクション剤、希釈剤、ゲル化剤または緩衝液のうちの1つまたは複数とを含む組成物。
【請求項12】
ヒトの治療に使用するための医薬組成物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ヒト、細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減するためのin vitroにおける方法であって、
細胞に、請求項1から10のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、または請求項11もしくは12に記載の組成物を、そのような細胞によるそのようなオリゴヌクレオチドの取り込みを促す条件下で、提供するステップと、
スプライシングが起こるのを可能にするステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒトの疾患を処置する際に使用するのに適したオリゴヌクレオチドに関する。特に、本発明は、ジストロフィー型表皮水疱症の処置に適したアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮水疱症(EB)は、遺伝性皮膚疾患のグループであり、皮膚および粘膜の慢性的な脆弱性および水疱形成を特徴とする。亜型によりEBの症状の範囲は非常に広く、極わずかな皮膚の脆弱性から全身的合併症を伴う極めて重篤な症状にまで及ぶ。世界中で約350,000人の患者が冒されている。EBの一部の型では、爪、髪および歯も関連する場合もある。EBの主な型としては、EB単純型(EBS)、接合部型EB(JEB)、ジストロフィー型EB(DEB)およびキンドラー症候群(KS)が挙げられる(Fine et al. 2014)。
【0003】
DEBは、EB患者の約25%を冒し、優性遺伝性または劣性遺伝性のいずれかの可能性があり、VII型コラーゲン(COL7A1、OMIM 120120)の欠損を伴う。COL7A1は、VII型コラーゲンのアルファ−1鎖をコードする。VII型コラーゲンは、真皮の上側部分の緻密層(基底膜の一部)との係留線維として働く。翻訳後修飾後に、3つの同一のアルファ−1鎖がコラーゲンの三重らせんドメインと一緒に折り畳まれる。その後、整列し係留線維を形成する逆平行二量体が形成される。VII型コラーゲンは、皮膚でケラチノサイトおよび皮膚線維芽細胞によって合成される。DEB疾患の重症度は、基底膜領域におけるVII型コラーゲン発現の量とおおむね相関する。
【0004】
優性ジストロフィー型EB(DDEB)の特徴としては、手、足、肘および膝に局在するか、または全身性である場合もある水疱形成が挙げられる。一般的な所見としては、瘢痕化、稗粒腫、粘膜合併症、および異常な爪または爪がないことが挙げられる。劣性ジストロフィー型EB(RDEB、DEB患者の約50%)は、一般にDDEBよりも全身性で重篤である。DDEBの症状に加えて、その他のRDEBの一般的な症状としては、栄養不良、貧血、骨粗鬆症、食道狭窄、発育遅延、ミトン状変形(mitten deformity)(偽合指症(pseudosyndactyly))の原因となる水かき(webbing)、または手足の指の癒着、筋拘縮の発症、歯の形成異常、小口症および眼の瘢痕化が挙げられる。このグループでは扁平上皮がんならびに転移性扁平上皮がんによる死亡のリスクが大幅に増加する。
【0005】
遺伝子COL7A1内に400を超えるさまざまな突然変異が知られている。最も一般的な影響を及ぼすエクソンの1つ(RDEBの7%)は、3を超える異なる突然変異、ミスセンス突然変異、または未成熟終止コドン(PTC)に至る突然変異を有するエクソン80である。COL7A1遺伝子のエクソンの大多数はインフレームであるという事実のために、エクソンスキッピングは、タンパク質機能を保持したままで、PTC変異を有するエクソンを排除するための潜在的に実行可能な戦略である(Goto et al. 2006)。
【0006】
現在DEBに対する治療法はなく、緩和ケアが行われるだけである。RDEBの重度の型は社会の医療のための予算に高いコストを課し、被覆材および薬剤の平均コストは、年間患者一人当たり約200,000ユーロである。DEB患者について予想される寿命は、30から40歳の間のいずれかの年齢である。
【0007】
Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale(INSERM)の国際公開第2013/053819号パンフレットは、エクソン80に相補的な22ヌクレオチドおよび上流イントロンに相補的な2ヌクレオチドを有し、このエクソン全体をmRNAからスキップさせる、以下の2つの24merのアンチセンスオリゴヌクレオチドについて開示している(図1も参照):
ESE80.3 GGCC UCUU GGAC CCUG CAGA CCCU(配列番号2)
ESE80.3−Q2I70X GGCC UCUU GGAC CCUA CAGA CCCU(配列番号3)
【0008】
エクソン80欠損mRNAは、野生型タンパク質よりも短いが、野生型VII型コラーゲンと似た挙動をとる機能的なポリペプチドに翻訳される可能性が最も高い。本発明の発明者らは、国際公開第2013/053819号パンフレットに開示されているオリゴヌクレオチドをヒト初代線維芽細胞(HPF)およびHeLa細胞において試験して、それらのスキッピング効率を評価した。両方のAONは、試験した条件下で、50%未満のスキッピング効率を示すが、ESE80.3は、ESE80.3−Q2170Xよりもわずかにより良く機能するようである。これらのエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドはこの恐ろしい疾患に対処する上で有望な第1のステップを提供するが、エクソン80スキッピングの効率を改良するためのさらなる代替のオリゴヌクレオチドの必要性は依然として明らかにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、哺乳動物細胞において(例えば、ヒト細胞においてin vivoで)pre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるさまざまなAONを提供する。第1の態様では、オリゴヌクレオチドは、(a)エクソン80の部分と相補的なヌクレオチド配列を含み、かつ(b)24ヌクレオチド長未満である。したがって、これらのオリゴヌクレオチドは、従来技術において開示されているものよりも短いので有利である。
【0010】
第2の態様では、オリゴヌクレオチドは、エクソン80の3’部分および下流イントロンの5’部分と相補的なヌクレオチド配列を含む。エクソン80とその下流イントロンとの間の境界にかかるAONはこれまでに記載されていないが、それらがエクソンスキッピングの促進に有効であることを本明細書において示している。例えば、これらのAONは、5’−UCACCACU−3’、5’−ACCACUGG−3’、および/または5’−ACUCACCA−3’を含んでもよい。
【0011】
第3の態様では、オリゴヌクレオチドは、エクソン80の上流のイントロンにハイブリダイズしない。例えば、オリゴヌクレオチドは、エクソン80(の部分)と相補的でありうるが、その上流イントロンと相補的でない、すなわち、ハイブリダイゼーションは下流イントロン内でのみ生じるはずである。同様に、オリゴヌクレオチドは、エクソン80(の部分)と相補性の領域を含んでもよいが、相補性は、上流イントロン内に及ばない(かつ、一部の実施形態では、それは、エクソン80に隣接するいずれのイントロン内にも及ばない)。したがって、(例えば、図1に示されているような)塩基対合によってエクソン80とアライメントされたときに、オリゴヌクレオチドは、上流イントロンとのいずれの塩基対も含まないことになる(かつ、一部の実施形態では、上流イントロンとの塩基対も下流イントロンとの塩基対も含まない)。対照的に、従来技術のAONは、エクソン80およびその上流イントロンにかかっている(図1にある「ESE」オリゴヌクレオチドを参照)。
【0012】
第4の態様では、オリゴヌクレオチドは、最大20ヌクレオチド長(例えば、最大11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド;例えば、最大11〜17など)である、エクソン80と相補性の領域を含む。対照的に、当技術分野の既知のAONは、エクソン内に22merの配列を含む。エクソン80と相補的な11〜14ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドがきわめて有効であることを本明細書において示している。
【0013】
したがって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、(a)11〜17ヌクレオチド長などの最大20ヌクレオチド長である、エクソン80と相補性の領域、および(b)エクソン80の上流または下流のイントロンにおける(好ましくは下流イントロンにおける)RNA転写産物と相補的な領域を含んでもよい。
【0014】
本発明のAONは、24ヌクレオチド長以下、例えば、20〜23ヌクレオチド長の間であることが有利である。本発明のAONは、好ましくは、RNA AONである。天然の核酸と比較して、それらは、化学的に修飾されたヌクレオシド間結合(例えば、ホスホロチオエート結合)を有してもよく、(例えば、2’−O−アルキル置換で)修飾された糖を有してもよい。
【0015】
本発明のAONは、ヒトの治療に使用するための医薬組成物中に製剤化することができ、かつエクソン80が哺乳動物、好ましくはヒトのCOL7A1 mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減するための方法において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エクソン80(太字の大文字;配列番号18)をその5’および3’の隣接しているイントロン境界(小文字;配列番号19上流、および配列番号20下流)と共に含むヒトCOL7A1遺伝子の断片(配列番号1)を示す図であり、本明細書において試験したさまざまなアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を下に示している(3’から5’の方向で示している)。ESE80.3およびESE80.3_Q2170Xは、国際公開第2013/053819号パンフレットに開示されている;他のAONは、本発明によるものである。RNA転写産物エクソン80内の下線付きのヌクレオチドは、EB患者において見出される最も高頻度のエクソン80突然変異を示している。小文字および大文字の使用は、エクソン(大文字)およびイントロン(小文字)の配列および境界の認識を促進するため、ならびにオリゴヌクレオチドをそれらの相補的な標的配列とアライメントするのを容易にするためだけのものである。配列番号22、23および24は、本発明のさまざまなAON内の配列またはそれらと部分的に重複している配列である。
図2】本明細書に記載のAONで処理したヒト初代線維芽細胞(HPF)におけるエクソンスキッピングについてのラボオンチップ結果を示す図である。完全長型バンドおよびエクソン80をスキップしたバンドを矢印で示している。レーン1〜16は、左から右に:空の対照;maxPei対照;ESE80.3;ESE80.3_Q2I70X;AON80.1;AON80.2;AON80.3;AON80.4;AON80.5;AON80.6;AON80.7;AON80.8;AON80.9;AON80.10;AON80.11;およびAON80.12である。上の矢印は、完全長型mRNA産物を示し、下の矢印は、エクソン80が排除されたmRNA産物を示す。
図3】AONで処理したHeLa細胞におけるエクソンスキッピングについてのラボオンチップ結果を示す図である。完全長型バンドおよびエクソン80をスキップしたバンドの位置は、図2にあるのと同様であり、レーン1〜16についても同様である。
図4】AON80.5から最適化してHPFにおいて試験した、AONのラボオンチップ結果を示す図である。AON80.5.1、AON80.5.2およびAON80.13は、AON80.5.3、AON80.5.4およびAON80.5.5よりも高いスプライシング効率を有する。形成されたすべての産物の正確な配列を評価するために、配列解析を行った。bioanalyzerで解析後に可視の余分な産物(上の2つの矢印)は、mRNA内に含まれるイントロン82を有するものである(シークエンス解析で検出された)。イントロン82の存在は、停止コドンの存在をもたらし、タンパク質の分解へとつながる可能性が高くなる。FL=完全長型。
図5】AON80.5と比較した、最適化されたAONで処理したHPFにおけるエクソンスキッピングについてのラボオンチップ結果を示す図である。上の矢印は、完全長型mRNAを示し、下の矢印は、エクソン80が排除されたmRNAを示している。レーン1〜7は、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.7、AON80.5.8およびAON80.13である。
図6】AON80.5およびAON80.5.1のそれぞれについての3つの用量を含む、表示した処理に応答した免疫原性(NF−κBおよび/またはAP−1活性化)を示す図である。y軸は、SEAP活性(任意単位でOD655nm)を示し、生理的食塩水に対して相対的な変化倍率を示している。****P<0.0001、**P<0.01、P<0.05。
図7】AON80.5およびAON80.5.1のそれぞれについての3つの用量を含む、表示した処理の後のRAW−blueマクロファージの細胞生存率を示す図である。y軸は、レゾルフィンレベル(λEx560nm/λEm590nm)を示し、生理的食塩水に対して相対的な変化倍率を示している。****P<0.0001、**P<0.01、P<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0017】
驚くべきことに、本明細書中に開示されているアッセイにおいて、従来技術において開示されているものと比較して、同様のまたはより良好なエクソンスキッピング特性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)が得られた。本発明のこれらのAONは、ヒトの疾患、より詳細には、表皮水疱症(EB)、さらにより詳細には、COL7A1エクソン80内の突然変異と関連したEBを処置するための治療において活性医薬物質として使用することができる。これらのAONは、単独の活性医薬物質として、COL7A1エクソン80を標的とする他のAON(本明細書中に開示されているものを含む)と組み合わせて、かつ/またはEB疾患を処置するための他の活性医薬物質と組み合わせて使用されてもよい。そのような他の医薬物質は、他のAON、例えば、他のエクソン(エクソン73、74または3を含む)内の突然変異を標的とするもの、または非AON活性医薬物質であってもよい。組合せ治療は、同時または連続に投与される、単一の組成物または複数の組成物の形態であってもよい。
【0018】
本発明は、細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるAONであって、COL7A1遺伝子のエクソン80の少なくとも一部と相補的であり、かつエクソン80の上流イントロンと相補的でないヌクレオチド配列、またはエクソン80の少なくとも一部と相補的であり、かつ24ヌクレオチド長未満であるヌクレオチド配列を含むことを特徴とするAONに関する。好ましい実施形態では、本発明によるAONは、エクソン80と相補性の領域を含み、ここで、相補性の前記領域は、最大20ヌクレオチド長、好ましくは11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチドである。より好ましくは、前記AONは、エクソン80の3’部分および下流イントロンの5’部分と相補的なヌクレオチド配列を含む。さらにより好ましくは、AONは、ヌクレオチド配列5’−UCACCACU−3’、5’−ACCACUGG−3’、または5’−ACUCACCA−3’を含む。最も好ましくは、本発明によるAONは、配列番号7、8、25、26、28、31および32からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、24ヌクレオチド長未満であり、好ましくは20、21、22、または23ヌクレオチドを含む、本発明によるAONに関する。好ましくは、前記AONは配列番号4もしくは5のヌクレオチド配列を含み、より好ましくは、前記AONは配列番号6のヌクレオチド配列を含み、またはAONは配列番号30のヌクレオチド配列を含む。
【0020】
本発明によるAONは−それらの有効性とは別に−、本発明のAONが、従来技術において開示されているものよりも短いことが好ましいという点で、商品の製造容易性、分出記録および/またはコストに関して、従来技術において開示されているものを超える特定の利点を有する。
【0021】
本発明の好ましいAONは、20、21、22または23などの24未満のヌクレオチド長である。AONがエクソン80のみと相補的であり、かつ(本明細書中に示しているような)その隣接イントロンのいずれとも相補的でない場合、それは、全エクソンの36nt長(例えば、AON80.13)までの任意の長さであってもよい。
【0022】
本発明のAONを使用した処置の結果としてエクソン80全体がない短縮されたmRNAは、短いが機能的なCOL VIIタンパク質に翻訳されることになる。しかし、一部の例では、本発明の特定のAONを使用すると、より長い転写産物も形成され(例えば、イントロン82からの配列)、これは、より短い(機能的)タンパク質と並んで(非機能的かつ容易に分解可能な)タンパク質の発現をもたらしうる。
【0023】
驚くべきことに、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるAONであって、前記オリゴヌクレオチドの配列が、エクソン80の3’部分および下流イントロンの5’部分と相補的である(例えば、12エクソンヌクレオチドおよび12イントロンヌクレオチドを有する24merの5’−CCTGGCCCAGTGgtgagtacccaa−3’(配列番号21)と(部分的に)相補的である)ことを特徴とするAONが特定された。これまでに、エクソン80とその下流イントロンとの間の境界をカバーするAONは、記載されていない。そのようなAONは、例えば、以下を含んでもよい:(i)配列5’−UCACCACU−3’(配列番号22)、したがって、エクソン/イントロン境界の両側からの少なくとも4ヌクレオチドを含む;(ii)配列5’−ACCACUGG−3’(配列番号23)、したがって、境界のイントロン側からの少なくとも2ヌクレオチドおよびエクソン側からの少なくとも6ヌクレオチドを含む;ならびに/または(iii)配列5’−ACUCACCA−3’(配列番号24)、したがって、境界のイントロン側からの少なくとも6ヌクレオチドおよびエクソン側からの少なくとも2ヌクレオチドを含む。AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8、(下記を参照)は、そのようなAONの例である。この型のAONは、理想的には、境界のそれぞれの側から少なくとも2ヌクレオチド(例えば、それぞれの側から少なくとも4または6ヌクレオチド)を含むが、それぞれの側から同数のヌクレオチドを含む必要はない(例えば、奇数のヌクレオチドを有していてもよい、例えば、AON80.5系列など)。
【0024】
言い換えると、AONは、3’スプライス部位を含む、エクソン80の3’部分、および下流イントロンの5’部分と相補的であり、かつ哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときにエクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができることが初めて記載される。これらのAONは、このように有用であると同時に、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができる他のAONと組み合わせるため、特に、エクソン80の内側の部分などのエクソン80の異なる部分、またはエクソン80の5’部分および/もしくはエクソン80とその上流イントロンとの5’境界と相補的なAONと組み合わせるための良好な候補であると考えられている。そのような組合せは、有利であると考えられており、エクソン80がスキップされる効率を高めるために必要なはずである。
【0025】
しかし、他の実施形態では、本発明のAONは、エクソン80のみにハイブリダイズしてもよく、したがって、エクソン80の上流および下流のイントロンにハイブリダイズする領域を含まない。AON80.3はそのようなAONの一例であり、AON80.13も同様である(下記を参照)。
【0026】
さらなる実施形態では、AONは、エクソン80にハイブリダイズしてもよいが、その上流イントロンにハイブリダイズしない。AON80.3、AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7、AON80.5.8およびAON80.13は、そのようなAONの例である(ここで、AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8は、エクソン80の直接下流のイントロンにもハイブリダイズするAONの例である)。
【0027】
さらなる実施形態では、AONは、最大20ヌクレオチド長である、エクソン80と相補性の領域を含む(一方、従来技術のAONのエクソン相補的領域は、22ヌクレオチド長である)。AON80.1、AON80.2、AON80.3、AON80.4、およびAON80.5(下記の表1を参照)のそれぞれは、そのようなAONの例であり、それぞれ10、17、20、12、および12エクソン相補的ヌクレオチドのストレッチを有する。AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8系列は、さらなる例である(9から14ヌクレオチドのエクソン重複を有する)。したがって、エクソン80と相補性の領域は、11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチドなどの11から17ヌクレオチドの間などの8から20の間(例えば、10から20ヌクレオチドの間)の長さであってもよい。
【0028】
そのようなAONでは、<20ヌクレオチド長であるエクソン相補的領域に加えて、エクソン80の上流または下流のイントロンと相補的な領域があってもよい。したがって、そのようなAONは、新生RNA転写産物との、単一の、基本的に連続した、一続きの相補性を含み、これは、エクソン80とその隣接イントロンのうちの1つとの間の境界にかかる。
【0029】
本発明の特定の好ましいAONは、下記表1および2に開示されているAON80.1、AON80.2、AON80.3、AON80.4、およびAON80.5である。本発明のさらに好ましいAONは、表1および2に開示されているAON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.4、AON80.5.7、AON80.5.8およびAON80.13である。本発明によるきわめて好ましいAONは、AON80.2(配列番号5)、AON80.5(配列番号8)、AON80.5.1(配列番号25)、AON80.5.2(配列番号26)、AON80.5.7(配列番号31)、AON80.5.8(配列番号32)およびAON80.13(配列番号30)である。別の好ましい実施形態では、すべてのリボース部分が2’−O−メチル化されており、実質的にすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。
【0030】
本発明のすべての実施形態において、「エクソンが含まれるのを妨げるか、または少なくとも低減すること」および「エクソンスキッピング」という用語は同義である。COL7A1に関して、「エクソンが含まれるのを妨げるか、または少なくとも低減すること」または「エクソンスキッピング」は、エクソン80(配列番号18またはそのアレル型)のヒトCOL7A1 mRNA(図1を参照)からの排除と解釈されるべきである。エクソンスキッピングという用語は、本明細書において、エクソンスキッピングされていない成熟mRNAに存在することになろう特定のエクソンを含まない成熟mRNAを細胞内で誘導することと定義される。エクソンスキッピングは、スプライシングの生化学的プロセスを可能にするために必要とされる、例えば、スプライスドナー配列もしくはスプライシングアクセプター配列などの配列を妨害することができる分子を用いて、またはひと続きのヌクレオチドを成熟mRNAに含まれるべきエクソンと認識するために必要とされるエクソン選択シグナル(exon inclusion signal)を妨害することができる分子を用いて前記成熟mRNAのpre−mRNAを発現する細胞をもたらすことによって達成される。そのような分子は、本明細書においてはエクソンスキッピング分子と呼ばれる。
【0031】
pre−mRNAという用語は、転写によって細胞でDNA鋳型から合成されるプロセシングされていないか、または部分的にプロセシングされた前駆体mRNAを指す。
【0032】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、pre−mRNA分子、hnRNA(ヘテロ核RNA)またはmRNA分子中の標的ヌクレオチド配列と相補的であり、その結果、その対応する標的配列とアニーリングすることができるヌクレオチド配列を指すものと理解される。
【0033】
「相補的な」という用語は、本明細書中で使用される場合、「完全に相補的な」と、通常、オリゴヌクレオチドとその対応する標的配列との間の相補性の程度が80%超、好ましくは85%超、さらにより好ましくは90%超、最も好ましくは95%超になることを意味する「実質的に相補的な」とを含む。例えば、その配列とその標的配列との間に1つのミスマッチを含む20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対する、相補性の程度は95%である。
【0034】
アンチセンス配列の相補性の程度は、アンチセンス配列を含む分子が生理的条件下においてRNA分子中の標的ヌクレオチド配列とアニーリングすることができ、それによりエクソンスキッピングを促進するようにされることが好ましい。特定のミスマッチは、他のものよりも融解温度すなわちTmを単位として表されるAONと標的配列との間の結合の強度に対する影響が小さいため、特定のミスマッチは他のものより許容されることが当業者にはよく知られている。特定の非相補的な塩基対は、真のミスマッチほどではないにせよ全体的な結合を妨げる、いわゆる「ゆらぎ」を生じる場合もある。AONの長さも結合の強度に影響を与え、長いAONは、通例、短いAONよりも高い融解温度を有し、オリゴヌクレオチドのG/C含有量も結合の強度を決定する要素であり、G/C含有量が高いと任意の所与の長さに対する融解温度がより高くなる。本発明によって意図されるとおりのヌクレオベースまたは糖・リン酸骨格の特定の化学修飾も結合の強度に影響を与える可能性があるため、相補性の程度は、本発明によるオリゴヌクレオチドを設計するときに考慮すべき一要素に過ぎない。
【0035】
オリゴヌクレオチド中の1つCpGまたは多数(2つ以上)のCpGの存在は、通常、前記オリゴヌクレオチドの免疫原性の増加と関連づけられる(Dorn and Kippenberger, 2008)。この免疫原性の増加は、処置される組織、すなわち、皮膚(真皮および/または表皮)に損傷を引き起こす可能性もあるため望ましくない。したがって、本発明のAONは、1または2以下のCpGジヌクレオチド配列(好ましくは1つだけ)を含むことが好ましい。
【0036】
本発明は、許容できるRNA結合動態および/または熱力学的特性を有するオリゴヌクレオチドを設計することを可能にする。RNA結合動態および/または熱力学的特性は、オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm、基礎のTmおよび最隣接モデルを使用して単鎖RNAに対するオリゴヌクレオチド特性計算機(www.unc.edu/〜cail/biotool/oligo/index.html)により算出される)および/またはAON標的エクソン複合体の自由エネルギー(RNA structureバージョン4.5を使用)によって少なくとも部分的に決定される。Tmが高すぎると、オリゴヌクレオチドは、あまり特異的でなくなることが予想される。許容できるTmおよび自由エネルギーは、オリゴヌクレオチドの配列、骨格(ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、ペプチド−核酸など)の化学的性質、糖部分の性質(リボース、デオキシリボース、置換リボース、分子内架橋)およびヌクレオベースの化学修飾により決まる。したがって、Tmの範囲は、広く変化する場合がある。
【0037】
エクソンスキッピングパーセンテージまたは効率は、サイクル数が、増幅が依然として指数関数的段階にあるような条件で、任意の所与のプライマーセットに関して、所与の数のPCRサイクル後の増幅された短縮型(エクソン80を含まない)バンドの濃度で割り、100%を掛けた増幅された野生型バンドの濃度を求めることによって算出されてもよい。定量化は、Agilent 2100 BioanalyzerをDNA1000キットと組み合わせて使用して行ってもよい。
【0038】
好ましくは、配列番号1に示されるとおりのヌクレオチド配列と相補的な配列を含む本発明によるAONは、相補的な部分が、標的配列と少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは約100%相補的であるようにされる。したがって、相補性の領域にあるすべての塩基が対向する鎖にある塩基と対形成することができることが絶対に必要とされる訳ではない。例えば、オリゴヌクレオチドを設計するとき、例えば、相補的な鎖にある塩基と塩基対にならない残基を組み込むことを望むこともできる。細胞の環境下において、ひと続きのヌクレオチドが相補的な部分と十分にハイブリダイズすることができるなら、ミスマッチは、ある程度許容される場合もある。この文脈において、「十分に」は、本発明によるAONがエクソン80のエクソンスキッピングを誘導することができることを意味する。標的とされるエクソンのスキッピングは、好都合にも、PCR/Bioanalyzer、任意選択でddPCRによって評価することができる。相補的な領域は、組み合わされる場合、pre−mRNAのエクソンに特異的であるよう設計されることが好ましい。そのような特異性は、この系の他の(pre−)mRNA分子にある実際の配列に依存するため、さまざまな長さの相補的な領域を用いて作り出すことができる。オリゴヌクレオチドのサイズを増加させることでオリゴヌクレオチドが1つ以上の他のpre−mRNA分子ともハイブリダイズすることができてしまうリスクは低下するが、長さは製造性、精製および/または分析に関する問題の原因となるほど長過ぎてはならない。
【0039】
相補性の領域にミスマッチを含むが、pre−mRNAの標的とされる領域(複数可)とハイブリダイズする能力および/または結合する能力を保持するオリゴヌクレオチドを本発明に使用することができることは明らかである。しかしながら、相補的な部分は、一般に1つ以上の相補的な領域にそのようなミスマッチを有するオリゴヌクレオチドよりも高い効率および高い特異性を有するため、少なくとも相補的な部分は、そのようなミスマッチを含まないことが好ましい。さらに高いハイブリダイゼーション強度(すなわち、対向する鎖との相互作用の数を増加させる)は、系のスプライシング機構を妨害するプロセスの効率を増加させる際に有利であると考えられる。好ましくは、相補性は、90%から100%である。一般に、これは、20ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドに1もしくは2つのミスマッチを許容する。
【0040】
本発明のエクソンスキッピング分子は、好ましくは、配列番号1内のエクソン80配列(配列番号18)と相補的な(アンチセンス)オリゴヌクレオチドである。
【0041】
好ましくは、オリゴヌクレオチドの相補的な部分の長さは、オリゴヌクレオチドの長さと同じであり、これは、標的RNAと塩基対を形成しないオリゴの5’末端または3’末端がないことを意味する。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドに関する好ましい長さは、23ヌクレオチド以下、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23ヌクレオチドである。
【0042】
20、21または23ヌクレオチドの長さを有するAONを用いると特に良好な結果が得られた。
【0043】
AONがエクソン80のみと相補的であり、かつその隣接イントロンのいずれとも相補的でない場合、それは、任意の長さ、例えば、12〜36ヌクレオチド長、例えば、20mer(例えば、AON80.3)または36mer(例えば、AON80.13)であってもよい。
【0044】
本発明によるエクソンスキッピング分子は、1つ以上のDNA残基(したがって、RNA「u」残基がDNA対応物として「t」残基になる)、もしくは1つ以上のRNA残基、および/または本明細書の下でさらに詳述されることになる1つ以上のヌクレオチドアナログもしくは等価物を含んでもよい。配列番号4〜15および25〜32はRNA配列であるが、本発明は、DNA形態のこれらの各配列、およびこれらの配列のキメラなDNA/RNAのAONも包含する。
【0045】
本発明のエクソンスキッピング分子は、ヌクレアーゼ耐性を高めるため、および/または標的配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの親和性を高めるために修飾された1つ以上の残基を含むことが好ましい。ゆえに、好ましい実施形態において、本アンチセンスヌクレオチド配列は、少なくとも1つのヌクレオチドアナログまたは等価物を含み、ヌクレオチドアナログまたは等価物は、修飾塩基、および/または修飾骨格、および/または非天然のヌクレオシド間結合あるいはこれらの修飾の組合せを有する残基と定義される。
【0046】
好ましい実施形態において、本ヌクレオチドアナログまたは等価物は、修飾骨格を含む。そのような骨格の例は、モルフォリノ骨格、カルバメート骨格、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格、ホルムアセチル(formacetyl)およびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル骨格、リボアセチル(riboacetyl)骨格、アルケン含有骨格、スルファメート、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、およびアミド骨格によって提供される。ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーは、アンチセンス薬剤として以前に調査された修飾骨格オリゴヌクレオチドである。モルフォリノオリゴヌクレオチドは、DNAのデオキシリボース糖が六員環で置換され、ホスホジエステル結合がホスホロジアミデート結合で置換された無荷電骨格を有する。モルフォリノオリゴヌクレオチドは、酵素分解に耐性があり、RNase Hを活性化することよりむしろ翻訳を阻止すること、またはpre−mRNAスプライシングを妨げることによってアンチセンス薬剤として働くようである。モルフォリノオリゴヌクレオチドは、細胞膜を物理的に破壊する方法によって首尾よく組織培養細胞に送達され、こうしたいくつかの方法を比較した研究の1つは、スクレープローディング(scrape loading)が最も効率的な送達の方法であることを見出したが、モルフォリノ骨格は荷電していないため、カチオン性脂質は、細胞へのモルフォリノオリゴヌクレオチド取り込みの有効なメディエーターではない。
【0047】
本発明の一実施形態によると、骨格の残基間の結合は、リン原子を含まず、これは例えば、短鎖アルキルによって形成される結合またはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合したヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子結合もしくは複素環式ヌクレオシド間結合である。
【0048】
この実施形態によると、好ましいヌクレオチドアナログまたは等価物は、修飾ポリアミド骨格を有するペプチド核酸(PNA)を含む(Nielsen, et al. 1991)。PNAベースの分子は、塩基対の認識に関してDNA分子の真の模倣物である。PNAの骨格は、ペプチド結合によって連結されたN−(2−アミノエチル)−グリシン単位から構成され、ヌクレオベースは、メチレンカルボニル結合によって骨格と連結される。代替的な骨格は、炭素1つ伸長したピロリジンPNAモノマーを含む(Govindaraju and Kumar. 2005)。PNA分子の骨格は荷電したリン酸基を含まないため、PNA−RNAハイブリッドは、通常、それぞれRNA−RNAハイブリッドまたはRNA−DNAハイブリッドよりも安定している(Egholm et al. 1993)。
【0049】
本発明の別の実施形態によると、骨格は、モルフォリノヌクレオチドアナログまたは等価物を含み、その中のリボースまたはデオキシリボース糖がモルフォリノ六員環(6-membered morpholino ring)で置換されている。最も好ましいヌクレオチドアナログまたは等価物は、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)を含み、その中のリボースまたはデオキシリボース糖がモルフォリノ六員環で置換されており、隣接するモルフォリノ環間のアニオン性ホスホジエステル結合が非イオン性ホスホロジアミデート結合によって置換されている。
【0050】
さらに別の実施形態において、本発明のヌクレオチドアナログまたは等価物は、ホスホジエステル結合にある1つの非橋架酸素の置換を含む。この修飾は、塩基対合をやや不安定にするが、ヌクレアーゼ分解に対する著しい耐性を付加する。好ましいヌクレオチドアナログまたは等価物は、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、H−ホスホネート、メチルホスホネートおよび3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むその他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルリン酸トリエステル、セレノリン酸またはボラノリン酸を含む。
【0051】
本発明のさらに好ましいヌクレオチドアナログまたは等価物は、例えば、−OH;−F;1つ以上のヘテロ原子の割り込みがあってもよい置換または非置換、直鎖または分岐の低級(C1〜C10)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アリル、またはアラルキル;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;O−、S−またはN−アルキニル;O−、S−、またはN−アリル;O−アルキル−O−アルキル、−メトキシ、−アミノプロポキシ;メトキシエトキシ;−ジメチルアミノオキシエトキシ;および−ジメチルアミノエトキシエトキシにより2’、3’および/または5’位において一置換または二置換された1つ以上の糖部分を含む。糖部分は、フラノースもしくはその誘導体、またはデオキシフラノースもしくはその誘導体、好ましくは、リボースもしくはその誘導体またはデオキシリボースもしくはその誘導体であってもよい。好ましい誘導体化糖部分は、ロックド核酸(LNA)を含み、その中の2’−炭素原子が糖環の3’または4’炭素原子と連結され、それにより二環式の糖部分を形成する。好ましいLNAは、2’−O、4’−C−エチレン−架橋化核酸を含む(Morita et al. 2001. Nucleic Acid Res Supplement No. 1: 241-242)。これらの置換は、ヌクレオチドアナログまたは等価物をRNase Hおよびヌクレアーゼ耐性にし、標的RNAに対する親和性を高める。
【0052】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシド間結合が必ずしも修飾されている必要がないことは当業者に理解される。例えば、一部のヌクレオシド間結合が無修飾であってもよいのに対し、その他のヌクレオシド間結合が修飾されている。一形態の(修飾)ヌクレオシド間結合、AONの長さ方向に沿って均一または不均一に分散した複数の形態の(修飾)ヌクレオシド間結合からなる骨格を含むAONはすべて本発明によって包含される。さらに、骨格修飾(均一、不均一、一形態もしくは複数形態およびそれらのすべての変形)の任意の様式を、下で言及される糖もしくはヌクレオシド修飾またはアナログの任意の形態と組み合わされてもよい。
【0053】
本発明によるAONに特に好ましい骨格は、均一な(すべて)ホスホロチオエート(PS)骨格である。
【0054】
別の実施形態において、本発明のヌクレオチドアナログまたは等価物は、1つ以上の塩基修飾または置換を含む。修飾塩基は、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンおよび当該技術分野において知られているか、または知られることになるピリミジン塩基およびプリン塩基の他の−アザ、デアザ、−ヒドロキシ、−ハロ、−チオ、チオール、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、チオアルキル誘導体などの合成および天然の塩基を含む。
【0055】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのすべての位置が均一に修飾されている必要はないことが当業者に理解される。さらに、上記のアナログまたは等価物の1つ超が、1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはさらにはアンチセンスオリゴヌクレオチド内の1つの位置に組み込まれてもよい。特定の実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの異なる種類のアナログまたは等価物を有する。
【0056】
別の実施形態によると、本発明によるAONは、2’−O(好ましくは、低級)アルキルホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、2’−O−メチル修飾リボース(RNA)、2’−O−メトキシエチル修飾リボース、2’−O−エチル修飾リボース、2’−O−プロピル修飾リボース、および/またはハロゲン化誘導体などのこれらの修飾の置換誘導体を含む。
【0057】
本発明による有効で好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチド様式は、ホスホロチオエート骨格を伴う2’−O−メチル修飾リボース部分を含み、好ましくは、実質的にすべてのリボース部分が2’−O−メチルであり、実質的にすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0058】
COL7A1遺伝子のエクソン80の効率的なスキッピングのためにさまざまなAONを組み合わせることができることも当業者には理解されるであろう。少なくとも1つのAONが本発明によるAONである限り、エクソン80(図1)の同じ領域または異なる領域を標的とする2つのAON、例えば、2つのAON、3つの異なるAON、4つの異なるAON、または5つの異なるAONの組合せが本発明の方法に使用されてもよい。
【0059】
AONは、細胞、好ましくは、皮膚細胞へのAONの取り込みを高める部分に連結されてもよい。そのような部分の例は、コレステロール、炭水化物、ビタミン、ビオチン、脂質、リン脂質、細胞透過性ペプチドであり、以下に限定されるものではないが、アンテナペディア、TAT、トランスポータンおよびオリゴアルギニン(oligoarginine)、ポリアルギニン、オリゴリジン(oligolysine)またはポリリジンなどの正電荷アミノ酸、抗体によってもたらされるものなどの抗原結合ドメイン、抗体のFabフラグメント、またはラクダ科動物のシングルドメイン抗原結合ドメインなどの単鎖抗原結合ドメインを含む。
【0060】
本発明によるエクソンスキッピング分子は、ネイキッド(naked)(裸の(gymnotic))AONもしくは複合体の形態であってもよく、またはベクターから発現されてもよい(ベクターにより運ばれる(vectored)AON)。本エクソンスキッピング分子は、当該技術分野において既知の適した手段を使用して投与することができる。エクソンスキッピング分子がベクターにより運ばれるAONである場合、AONは、例えば、前記オリゴヌクレオチドを含む転写物をコードする発現ベクターの形態で個体または前記個体の細胞、組織もしくは臓器に与えられてもよい。発現ベクターは、好ましくは細胞、組織、臓器または個体にウイルスベクターなどの遺伝子送達媒体により導入される。好ましい実施形態において、本明細書において特定されるエクソンスキッピング分子の発現または転写を駆動する発現カセットまたは転写カセット(transcription cassette)を含むウイルスベースの発現ベクターが提供される。したがって、本発明は、エクソンスキッピング分子の発現を促す条件下に置かれたときに本発明によるエクソンスキッピング分子を発現させるウイルスベクターを提供する。細胞は、例えば、プラスミドによるAON発現またはアデノウイルスもしくはアデノ随伴ウイルスベースのベクターによってもたらされるウイルス発現によって、エクソン80が含まれるために必須の、または少なくともそれを促す配列を妨害することができるエクソンスキッピング分子が与えられてもよく、その結果、そのような妨害が、エクソン80がCOL7A1 mRNAに含まれるのを妨げるか、少なくとも低減する。発現は、U1、U6、またはU7 RNAプロモーターなどのポリメラーゼIIIプロモーターによって駆動されてもよい。好ましい送達媒体は、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)などのウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターなどである。また、プラスミド、人工染色体、標的相同組換えおよび細胞の哺乳動物(好ましくは、ヒト)ゲノムへの組み込みに使用可能なプラスミドが、本明細書中で定義されるオリゴヌクレオチドの送達に適切に利用されてもよい。転写がPol−IIIプロモーターから行われ、かつ/または転写物がU1またはU7転写物との融合物の形態であるそうしたベクターが本発明に好ましく、これが小さな転写物の送達に関して良好な結果をもたらす。適した転写物を設計することは技術のある技術者の範囲内にある。Pol−IIIによる転写物が好ましい。U1またはU7転写物との融合転写物の形態が好ましい。そのような融合物は、当該技術分野において記載されているとおりに作り出すことができる(例えばGorman L et al., 1998またはSuter D et al., 1999を参照)。
【0061】
好ましいAON発現系の1つは、アデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ベースのベクターである。COL7A1エクソン80の極めて効率的なスキッピングためのAON配列の長期の発現のために使用することができる単鎖および二重鎖AAVベースのベクターが開発された。好ましいAAVベースのベクターは、例えば、ポリメラーゼIIIプロモーター(Pol III)によって駆動される発現カセットを含む。好ましいPol IIIプロモーターは、例えば、U1、U6、またはU7 RNAプロモーターである。したがって、本発明は、COL7A1エクソン80のスキッピングを誘導するための本発明のAONの発現のためのPol IIIプロモーター駆動発現カセットを含むウイルスベースのベクターも提供する。本発明によるAAVベクターは組換えAAVベクターであり、本明細書中の別の場所で示したAAV血清型由来のカプシドタンパク質のタンパク質の殻に包まれた本発明によるコード化エクソンスキッピング分子を含むAAVゲノムの部分を含むAAVベクターを指す。AAVゲノムの部分は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV8、AAV9およびその他などのアデノ随伴ウイルス血清型由来の末端逆位配列(ITR)を含んでもよい。カプシドタンパク質から構成されるタンパク質の殻は、AAV1、2、3、4、5、8、9およびその他などのAAV血清型由来のものであってもよい。タンパク質の殻は、カプシドタンパク質の殻と呼ばれる場合もある。AAVベクターは、野生型AAV遺伝子の1つまたは好ましくはすべてが除去されていてもよいが、依然として機能的なITR核酸配列を含んでもよい。機能的なITR配列は、AAVビリオンの複製、レスキューおよびパッケージングに必要である。ITR配列は、機能的なままである限り、野生型配列であってもよく、または野生型配列と少なくとも80%、85%、90%、95、もしくは100%の配列同一性を有してもよく、または例えば、ヌクレオチドの挿入、突然変異、欠失もしくは置換によって改変されていてもよい。この状況において、機能性とは、カプシドの殻へのゲノムのパッケージングを指示し、その結果、感染した宿主細胞または標的細胞における発現を可能にさせる能力を指す。本発明の状況において、カプシドタンパク質の殻は、AAVベクターゲノムITRと異なる血清型のものであってもよい。したがって、本発明によるAAVベクターは、カプシドタンパク質の殻、すなわち、正二十面体のカプシドから構成されてもよく、それが、1つのAAV血清型、例えば、AAV血清型2のカプシドタンパク質(VP1、VP2、および/またはVP3)を含み、一方、AAV5ベクターに含まれるITR配列は、AAV2ベクターを含む任意の上記のAAV血清型であってもよい。したがって、「AAV2ベクター」は、AAV血清型2のカプシドタンパク質の殻を含み、例えば、「AAV5ベクター」は、AAV血清型5のカプシドタンパク質の殻を含み、それにより、どちらも本発明による任意のAAVベクターゲノムITRを包んでもよい。好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2、5、8またはAAV血清型9のカプシドタンパク質の殻を含み、前記AAVベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型2、5、8またはAAV血清型9に由来する。そのようなAAVベクターは、それぞれAAV2/2、AAV2/5、AAV2/8、AAV2/9、AAV5/2、AAV5/5、AAV5/8、AAV5/9、AAV8/2、AAV8/5、AAV8/8、AAV8/9、AAV9/2、AAV9/5、AAV9/8、またはAAV9/9ベクターと呼ばれる。本発明による組換えAAVベクターは、真皮細胞および上皮細胞に対する指向性を有し、AAV血清型5または8のカプシドタンパク質の殻を含むことがより好ましい。前記ベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、同じ血清型またはAAV血清型2などの異なる血清型由来のものであってもよく、そのようなベクターは、AAV2/5ベクターまたはAAV2/8ベクターと呼ばれる。血清型5のカプシドを有するAAVは、基底角化細胞およびそれより上の角化細胞(basilar and suprabasilar keratinocyte)ならびに皮膚線維芽細胞などの真皮細胞および上皮細胞に対して指向性を有する。5型カプシドを有するAAVベクターは、2型カプシドを有するAAVよりもはるかに高いトランスダクション効率を示す(Keswani et al. 2012)。同様に、血清型8のカプシドを有するAAVは、皮膚線維芽細胞および(主に)基底角化細胞よりも上の角化細胞に対して指向性を示す。さらに、AAV2/8は、哺乳動物、好ましくは、ヒトの真皮細胞および上皮細胞に形質導入する際、AAV2/5よりも効率的な傾向がある。ただし、トランスダクション効率は、創傷の治癒過程の投与のタイミングによって左右されるようであり、後の時点ではAAV2/2がAAV2/5およびAAV2/8よりも高いトランスダクション効率を示す(Keswani et al. 2012)。したがって、AAV2/2、AAVx/5およびAAVx/8が本発明によるAONを送達するために好ましいAAVであり、それらの選択は、投与の時期および標的となる細胞タイプを考慮して決定することができる。これらの詳細は、当業者によって前臨床的試験または臨床試験において容易に決めることができる。
【0062】
最適な核酸配列によって表される本発明によるエクソンスキッピング分子をコードする核酸分子は、好ましくは、上で特定したAAVゲノムまたはITR配列、例えば、コード配列と機能可能に連結された発現調節エレメントおよび3’終結配列を含む発現コンストラクトの間に挿入される。
【0063】
「AAVヘルパー機能」とは、一般に途中でAAVベクターに与えられるAAV複製およびパッケージングに必要とされる対応するAAVの機能を指す。AAVヘルパー機能は、AAVベクターに欠けているAAVの機能を補完するが、(AAVベクターゲノムによってもたらされる)AAV ITRがない。AAVヘルパー機能は、AAVの2つの主要なORF、すなわち、repコード領域およびcapコード領域またはそれらの機能的な実質的に同一の配列を含む。Rep領域およびCap領域は、当該技術分野において周知であり、例えば、参照によって本明細書に組み込むChioriniら(1999)または米国特許第5,139,941号明細書を参照。AAVヘルパー機能が、AAVヘルパーコンストラクトに与えられてもよく、これは、プラスミドであってもよい。ヘルパーコンストラクトの宿主細胞への導入は、例えば、本明細書において特定されるAAVベクターに存在するAAVゲノムの導入の前またはそれと同時のトランスフォーメーション、トランスフェクション、またはトランスダクションによって行われてもよい。したがって、本発明のAAVヘルパーコンストラクトは、一方でAAVベクターのカプシドタンパク質の殻に関して、他方で前記AAVベクター複製およびパッケージングにおいて存在するAAVゲノムに関して血清型の所望の組合せをもたらすように選択されてもよい。
【0064】
「AAVヘルパーウイルス」は、AAV複製およびパッケージングに必要とされる付加的な機能を提供する。適したAAVヘルパーウイルスとしては、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV1型および2型など)およびワクチニアウイルスが挙げられる。参照によって本明細書に組み込む米国特許第6,531,456号明細書に記載されているとおり、ヘルパーウイルスによってもたらされる付加的な機能も、ベクターにより宿主細胞に導入することができる。好ましくは、本発明による組換えAAVベクターに存在するAAVゲノムは、AAVのrep(複製)遺伝子またはcap(カプシド)遺伝子などのウイルスタンパク質をコードする任意のヌクレオチド配列を含まない。AAVゲノムは、例えば、抗生物質耐性遺伝子、蛍光タンパク質(例えば、gfp)をコードする遺伝子あるいは当該技術分野において既知の化学的に、酵素的にもしくは別の方法で検知可能なおよび/または選択可能な産生物をコードする遺伝子(例えば、lacZ、aphなど)などのマーカー遺伝子あるいはレポーター遺伝子をさらに含んでもよい。本発明による好ましいAAVベクターは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む本発明によるエクソンスキッピング分子を発現させるAAVベクター、好ましくは、AAV2/5、AAV2/8、AAV2/9またはAAV2/2ベクターであり、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、下記表1に開示されているAON80.1、AON80.2、AON80.3、AON80.4およびAON80.5からなる群から選択される配列を含むか、またはそれからなる。個体または前記個体の細胞、組織、臓器に本発明によるエクソンスキッピング分子を与える手段の改善は、これまでに既に成し遂げられた進歩を考慮して予想される。そのような将来的な改善は、当然、本発明の方法を使用したmRNAの再構築に関して言及した効果を達成するために組み込まれてもよい。本発明によるエクソンスキッピング分子は、そのまま個体、前記個体の細胞、組織もしくは臓器に送達されてもよい。本発明によるエクソンスキッピング分子を投与するとき、分子を送達方法と適合した溶液に溶解させることが好ましい。
【0065】
裸のAONは、in vivoにおいて大半の細胞に容易に取り込まれ、通常、本発明によるAONの等張(生理的食塩水)溶液への溶解で皮膚(真皮および表皮)細胞などの標的細胞に達するのに十分であろう。あるいは、本発明の裸のAONは、薬学的に許容される賦形剤、添加物、安定剤、溶媒、着色料などを使用して製剤化されてもよい。それに加えて、またはそれの代わりに、裸のAONは、下で言及される任意のトランスフェクション補助剤(transfection aid)を用いて製剤化されてもよい。
【0066】
皮膚(真皮および表皮)細胞は、等張(生理的食塩水)溶液などの水溶液にプラスミドを与えることによってアンチセンスオリゴヌクレオチド発現のためのプラスミドを与えられてもよい。あるいは、既知のトランスフェクション剤(transfection agent)を使用したトランスフェクションによってプラスミドが与えられてもよい。
【0067】
静脈内、皮下、筋肉内、くも膜下腔内および/または心室内投与に対して、溶液は等張(生理的食塩水)溶液であることが好ましい。本発明において特に好ましいのは、本明細書中で定義される各成分の細胞へおよび/または細胞、好ましくは、皮膚(真皮および表皮)細胞中への送達を助けることになる賦形剤またはトランスフェクション剤の使用である。本明細書中で定義される複合体を形成した各成分、またはベシクルもしくはリポソームに閉じ込められた各成分を細胞膜を通して送達する複合体、ナノ粒子、ミセル、ベシクルおよび/またはリポソームを形成することができる賦形剤またはトランスフェクション剤が好ましい。こうした賦形剤の多くは、当該技術分野において知られている。適した賦形剤またはトランスフェクション剤は、本明細書中で定義される各成分を細胞、好ましくは、皮膚(真皮または表皮)細胞に送達することができる粒子に自己集合することができるポリエチレンイミン(PEI;ExGen500(MBI Fermentas))、LipofectAMINE(商標)2000(Invitrogen)もしくはその誘導体、またはポリプロピレンイミンもしくはポリエチレンイミンコポリマー(PEC)および誘導体を含む類似のカチオン性ポリマー、合成の両親媒性物質(SAINT−18)、lipofectin(商標)、DOTAPおよび/またはウイルスカプシドタンパク質を含む。そのような賦形剤は、皮膚(真皮および表皮)細胞を含む多種多様の培養細胞にアンチセンス核酸などのオリゴヌクレオチドを効率的に送達することが示された。それらの高いトランスフェクション潜在性は、全細胞生存に関して低から中程度の許容できる毒性と組み合わされる。構造変更の容易さが、さらなる変更ならびにそれらのさらなる(in vivo)核酸運搬特性および毒性の分析を可能にするために使用されてもよい。
【0068】
Lipofectinは、リポソームトランスフェクション剤の例である。これは、カチオン性脂質N−[1−(2,3ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)(メチル硫酸塩であるDOTAPと比較)および中性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の2つの脂質構成成分からなる。中性構成成分が細胞内放出を仲介する。送達システムの別のグループは高分子ナノ粒子である。
【0069】
本明細書中で定義される各成分、好ましくは、オリゴヌクレオチドを、細胞膜を越えて細胞中に送達することができるカチオン性ナノ粒子を製剤化するために、DNAトランスフェクション試薬として周知のジエチルアミノエチルアミノエチル(DEAE)デキストランのようなポリカチオンが、シアノアクリル酸ブチル(PBCA)およびシアノアクリル酸ヘキシル(PHCA)と組み合わされてもよい。
【0070】
こうした一般的なナノ粒子材料に加えて、カチオン性ペプチドプロタミンが、コロイドを用いてオリゴヌクレオチドを製剤化するための代替的なアプローチを提供する。このコロイドナノ粒子系は、いわゆる、プロティクル(proticle)を形成することができ、これは、単純な自己集合プロセスによって作製することができ、オリゴヌクレオチドをパッケージングし、オリゴヌクレオチドの細胞内放出を仲介することができる。当業者は、エクソンスキッピング分子をCOL7A1遺伝子の突然変異したエクソン80と関連した疾患または状態の予防、処置または遅延のために送達すべく本発明に使用するためのエクソンスキッピング分子をパッケージングおよび送達するために任意の上記またはその他の商業的に入手可能な代替的賦形剤および送達システムを選択し、適合させることができる。
【0071】
本発明によるエクソンスキッピング分子は、細胞(とりわけ、皮膚(真皮)細胞)、細胞質および/またはその核への取り込みを促進するよう設計された標的リガンドと特異的に共有結合的または非共有結合的に連結されてもよいであろう。そのようなリガンドは、(i)細胞取り込みを促進する、細胞、組織もしくは臓器に特異的なエレメントを認識する化合物(それに限定されるものではないがペプチド(様)構造を含む)ならびに/あるいは(ii)細胞への取り込みおよび/またはベシクル、例えば、エンドソームもしくはリソソームからのオリゴヌクレオチドの細胞内放出を促進することができる化学的化合物を含んでもよいであろう。
【0072】
したがって、好ましい実施形態において、本発明によるエクソンスキッピング分子は、組成物または薬剤、あるいは少なくとも、細胞への送達および/もしくはその送達デバイスのためならびに/または細胞内送達を向上させるための賦形剤および/または標的化リガンドとともに提供される組成物として製剤化される。
【0073】
組成物が本明細書で後に定義される補助的な化合物などの付加的な成分を含む場合、組成物の各成分は、1つの単一の組合せまたは組成物または調製物として製剤化されてもよい。それらの素性に応じて、当業者は、どの製剤のタイプが本明細書中で定義される各成分に最も適切であるかがわかるであろう。一実施形態によると、本発明は、本発明によるエクソンスキッピング分子、さらに本明細書で後に定義される補助的な化合物を含むキット・オブ・パーツの形態である組成物または調製物を提供する。
【0074】
必要とされる場合、本発明によるエクソンスキッピング分子または本発明によるエクソンスキッピング分子を発現させるベクター、好ましくは、ウイルスベクターは、薬学的に許容される担体を添加することによって薬学的に活性な混合物に組み込まれてもよい。
【0075】
したがって、本発明はまた、裸のAONなどの本発明によるエクソンスキッピング分子、または本発明によるウイルスベクターおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物、好ましくは、医薬組成物を提供する。そのような組成物は、1つの本発明によるエクソンスキッピング分子を含んでもよいが、複数の異なる本発明によるエクソンスキッピング分子を含んでもよい。そのような医薬組成物は、担体、賦形剤、安定剤、トランスフェクション剤、ゲル化剤、緩衝液、増量剤、保存料、補助薬、可溶化剤および/または希釈剤を含む任意の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。そのような薬学的に許容される成分は、例えば、Remington, 2000において見つけることができる。前記組成物のそれぞれの特徴は、本明細書の前で定義した。
【0076】
本発明による複数の異なるエクソンスキッピング分子が使用される場合、本明細書において定義される濃度または用量は、使用されたすべてのオリゴヌクレオチドの合計濃度もしくは用量または使用されたか、もしくは添加されたそれぞれのエクソンスキッピング分子の濃度もしくは用量を指してもよい。したがって、一実施形態において、使用される本発明によるエクソンスキッピング分子のそれぞれの量または合計量が、0.0001から100mg/kg、好ましくは、0.001から50mg/kg、さらにより好ましくは、0.01から20mg/kgの間の範囲の量で投与される組成物が提供される。
【0077】
本発明による好ましいエクソンスキッピング分子は、個体のDEB、さらに一般には、突然変異したCOL7A1エクソン80関連疾患または状態の処置のためのものである。本発明のすべての実施形態において、「処置」という用語は、疾患または状態の予防および/または遅延を含むものと理解される。本発明によるエクソンスキッピング分子を使用して処置することができる個体は、既にDEBまたはCOL7A1エクソン80関連疾患または状態を有すると診断されていてもよい。あるいは、本発明によるエクソンスキッピング分子を使用して処置することができる個体は、まだ診断されていなくてもよいが、固体の遺伝的背景を考慮にいれると将来的にDEBまたはCOL7A1エクソン80関連疾患または状態を発症するリスクが高い個体であってもよい。好ましい個体はヒトである。好ましい実施形態において、突然変異したCOL7A1エクソン80関連疾患または状態は、ジストロフィー型表皮水疱症(DEB)である。
【0078】
本発明は、例えば、(上記のとおり)個体のDEB、またはさらに一般には、突然変異したCOL7A1エクソン80関連疾患もしくは状態を処置する際に使用するための医薬として使用するための、AONなどの本発明によるエクソンスキッピング分子、または本発明によるAONをコードするウイルスベクターなどのベクター、または本発明によるAON、もしくはAONをコードするベクターを含む組成物をさらに提供する。
【0079】
本発明は、(上記のとおり)個体のDEB、もしくはさらに一般には、突然変異したCOL7A1エクソン80関連疾患もしくは状態を処置するための薬剤の製造へのAONなどの本発明によるエクソンスキッピング分子、または本発明によるAONをコードするウイルスベクターなどのベクター、または本発明によるAON、もしくはAONをコードするベクターを含む組成物の使用をさらに提供する。
【0080】
本発明は、ゲノムにおいてCOL7A1遺伝子のエクソン80にDEBを含む疾患または障害の原因となる突然変異がある哺乳動物(好ましくは、ヒト)を処置するための方法であって、哺乳動物(ヒト)に本発明のAON、(ウイルス)ベクター、または医薬組成物を投与することを含む方法をさらに提供する。これらの患者は、DEBもしくは関連障害を患っていてもよく、または発症するリスクがあってもよい。関連障害、疾患または状態は、例えば、COL7A1遺伝子のエクソン80における突然変異が原因となるか、またはそれと関連するVII型コラーゲン欠損または個体の皮膚もしくはその他の臓器の異常の結果として生じる可能性のある皮膚がん(黒色腫)、またはその他の癌腫も包含する。
【0081】
本発明の別の実施形態は、ゲノムにおいてCOL7A1遺伝子のエクソン80に突然変異がある哺乳動物(好ましくは、ヒト)を処置するための医薬として使用するための本発明によるAON、AONをコードするウイルスベクター、およびAONを含む医薬組成物である。
【0082】
本発明によるエクソンスキッピング分子は、飲み込むこと、注射すること、吸入、注入、噴霧することによる経口、眼内、肺内、鼻腔内、筋肉内、皮下、皮内、直腸へ投与により(水)溶液、懸濁液、(水中油型)エマルジョン、軟膏、トローチ、丸剤などの形態で全身的に、局部的に、局所的に患者に投与されてもよい。
【0083】
本発明によるAONの好ましい投与法は、AONを放出することができるAONコーティング付き被覆材の装具によるものである。特に有益なのは、国際公開第2014/150074号パンフレットに開示されているもののように多層(交互積層、LbL(Layer−by−Layer))コーティングされた被覆材である。MITの名称で出願された国際特許出願は、前記siRNAを含む多層フィルムでコーティングされた接着性の被覆材からの、創傷治癒を促進するsiRNAの長期のかつ有効な放出を開示している。本発明によるAONと組み合わせて好適に使用することができる被覆材は、Tegaderm(登録商標)である。本発明によるAONと組み合わせてさらに使用することができる、siRNAの送達に好適な多層コーティングは、交互積層構造を含むLaponite(登録商標)を含む。核酸治療薬を放出することができるTegaderm(登録商標)とは別の被覆材を使用することもできる。非接着性の被覆材も、それらは患者の痛みを少なくする可能性が高いので、被覆材が皮膚または創傷部位と密に接触している限り、使用することができる。被覆材と組み合わせての本発明によるAONの送達のためのAON含有LBLフィルムは、国際公開第2014/150074号パンフレットに記載されている。
【0084】
投薬は、投与経路および患者の必要性に応じて毎日、週に1回、月に1回、年に4回、年に1回であってもよい。
【0085】
早くに疾患が発症するため、DEBを含むCOL7A1遺伝子の突然変異したエクソン80が原因となるか、またはそれと関連した疾患、障害もしくは状態を有するか、またはそれを発症するリスクのある患者は、疾患の症状を緩和する、発症を遅らせる、止める、または逆行させるなどのために、症状の発症前または後に、子宮内で、出生直後に、1、2、3、6か月齢から、1歳から、3歳から、5歳から処置されてもよい。
【0086】
本発明による使用または方法における処置は、少なくとも1週間、少なくとも1カ月、少なくとも数カ月、少なくとも1年、少なくとも2、3、4、5、6年または長期的にさらに患者の一生涯の間である。本発明による使用のための本明細書中で定義されるとおりのエクソンスキッピング分子またはエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドまたはその等価物のそれぞれは、突然変異したCOL7A1エクソン80関連障害、疾患または状態に既に冒されているか、またはそれを発症するリスクがある個体の細胞、組織および/または臓器へのin vivoにおける直接投与に適していてもよく、in vivo、ex vivoまたはin vitroにおいて直接投与されてもよい。本発明のAON、組成物、化合物または補助的な化合物の投与の頻度は、患者の年齢、エクソンスキッピング分子の性質(例えば、裸の(gymnotic)AONまたはAAVベクターもしくはレンチウイルスベクターにより発現させるAONなどの、ベクターにより運ばれる(vectored)AON)、用量、および前記分子の配合などのいくつかのパラメータにより左右される可能性もある。
【0087】
本発明によるエクソンスキッピング分子、好ましくは、オリゴヌクレオチドの用量範囲は、好ましくは、厳しい手順要件が存在する臨床試験の用量漸増試験(in vivoにおける使用)に基づいて設計される。本明細書中で定義されるとおりのオリゴヌクレオチドは、0.0001から100mg/kg、好ましくは、0.01から20mg/kgの用量範囲で使用されてもよい。用量および処置計画は、以下に限定されるものではないが、投与経路(例えば、全身的対局所的)、オリゴが裸のAONまたはベクターにより運ばれるAONとして投与されるのかどうか、投与計画、患者の年齢および体重などを含む多くの要素により大きく変化することもある。
【0088】
好ましい実施形態において、本発明による分子のための送達媒体として、本明細書の前に記載されているウイルスベクター、好ましくは、AAVベクターは、1回の注射当たり1×10〜1×1017ウイルス粒子、より好ましくは、1回の注射あたり1×1010〜1×1014ウイルス粒子、最も好ましくは1×1010〜1×1012ウイルス粒子の範囲の用量で投与される。
【0089】
処置の詳細は、オリゴヌクレオチド(複数可)の配列および化学的性質、投与経路、配合、用量、投与計画、様式(ウイルスベクターまたは裸のオリゴヌクレオチド)、患者の年齢および体重、疾患のステージなどのような要素に従い、それらに応じて確立される必要があり、これは、さらなる非臨床試験および臨床試験を必要とする場合もあることは、本発明が属する技術分野の当業者には明らかになろう。
【0090】
本発明は、細胞においてCOL7A1エクソン80が含まれるのを妨げるか、または少なくとも低減することための方法であって、細胞、好ましくは、皮膚(真皮)細胞を裸のAONなどの本発明によるエクソンスキッピング分子または本発明によるAONをコードする(ウイルス)ベクターまたは本発明による組成物と接触させることを含む方法をさらに提供する。この態様の特徴は、好ましくは、本明細書の前で定義されたものである。
【0091】
別に指示がある場合を除いて、本明細書に記載されている各実施形態は、本明細書に記載されている別の実施形態と組み合わされてもよい。
【0092】
本発明は、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、(a)エクソン80の部分と相補的なヌクレオチド配列を含むことおよび(b)24ヌクレオチド長未満であることを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0093】
別の態様では、本発明は、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、エクソン80の3’部分および下流イントロンの5’部分と相補的なヌクレオチド配列を含むことを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号21と相補的なヌクレオチド配列を含む。例えば、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号22(5’−UCACCACU−3’)、配列番号23(5’−ACCACUGG−3’)、および/または配列番号24(5’−ACUCACCA−3’)を含む。
【0094】
別の態様では、本発明は、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号22(5’−UCACCACU−3’)、配列番号23(5’−ACCACUGG−3’)、および/または配列番号24(5’−ACUCACCA−3’)を含むことを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0095】
好ましくは、本発明によるオリゴヌクレオチドは、24ヌクレオチド未満であり、特定の実施形態では、好ましくは、長さが、20から23ヌクレオチドの間である。したがって、好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、20、21、22または23ヌクレオチド長である。
【0096】
好ましい態様では、オリゴヌクレオチドは、AON80.1、AON80.2、AON80.3、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8からなる群から選択される。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、
(i) AON80.2およびAON80.5;
(ii) AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、およびAON80.5.5;または
(iii) AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8
からなる群から選択される。
【0097】
さらに別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8からなる群から選択される。
【0098】
本発明は、哺乳動物細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、エクソン80の上流のイントロンにハイブリダイズしないことを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドにも関する。好ましくは、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドの配列は、AON80.3、AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7、AON80.5.8およびAON80.13からなる群のオリゴヌクレオチドの配列を含む。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、エクソン80と相補的であるが、その上流または下流のイントロンと相補的でないことを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、哺乳動物細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、ここで、オリゴヌクレオチドは、エクソン80と相補性の領域を含み、その相補性の領域は、エクソン80に隣接するいずれのイントロン内にも及ばない。そのような実施形態では、オリゴヌクレオチドは、AON80.3またはAON80.13であることが好ましい。
【0100】
本発明は、哺乳動物細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80がmRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、最大20ヌクレオチド長であるエクソン80と相補性の領域を含むことを特徴とするアンチセンスオリゴヌクレオチドにも関する。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、AON80.1、AON80.2、AON80.3、AON80.4、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8からなる群からの一連のオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、エクソン80と相補性の前記領域は、9、10、11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチドなどの最大9から17ヌクレオチドの間である。より好ましくは、オリゴヌクレオチドがエクソン80の直接下流のイントロンと相補性の領域を有するとき、エクソン80と相補的な領域は、9、10、11、12、13または14ヌクレオチドなどの9から14ヌクレオチドである。エクソン80と相補的な部分が最大12ヌクレオチドであるときには、オリゴヌクレオチドは、AON80.1、AON80.4、AON80.5、AON80.5.3、AON80.5.4、AON80.5.5、AON80.5.7およびAON80.5.8からなる群から選択されることが好ましい。別の好ましい態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、(a)最大20ヌクレオチド長である、エクソン80と相補性の領域および(b)エクソン80の上流または下流のイントロンにおけるRNA転写産物と相補的な領域を含む。さらにより好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エクソン80の下流のイントロンにおけるRNA転写産物と相補的な部分を含む。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号18の最も3’の10ヌクレオチド(すなわち、配列番号18のヌクレオチド27〜36)からなるエクソン80の一部と相補的な部分を含む。さらに別の実施形態では、エクソン80に相補性の部分は、配列番号18の最も3’のnヌクレオチドからなり、ここで、nは、9から20の間である;例えば、配列番号18の最も3’の19、18、17、16、15、14、13、12、11、10または9ヌクレオチドからなる。より好ましい実施形態では、エクソン80の部分は、エクソン80の最も3’の12ヌクレオチド(すなわち、配列番号18のヌクレオチド25〜36)からなる。オリゴヌクレオチドがエクソン80の部分と相補的なときには、その配列は、24ヌクレオチド以下の長さを有することが好ましい。
【0101】
本発明によるすべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドに関して、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドがオリゴリボヌクレオチドであり、より好ましくは、ヌクレオシド間結合が、化学的に修飾されており、好ましくは、ホスホロチオエート結合である。さらに別の好ましい態様では、オリゴヌクレオチドの糖部分は、低級2’−O−アルキル、好ましくは2’−O−メチル置換糖部分である。
【0102】
本発明は、(i)配列番号4〜17および25〜32からなる群から選択されるヌクレオチド配列、(ii)配列番号4〜15および25〜32からなる群から選択されるRNAヌクレオチド配列、または(iii)配列番号4〜15および25〜32からなる群から選択され、その中のいずれのUもTで置換されているDNAヌクレオチド配列を含むか、またはからなるオリゴヌクレオチドにも関する。
【0103】
本発明は、担体、賦形剤、安定剤、トランスフェクション剤、希釈剤、ゲル化剤または緩衝液のうちの1つまたは複数を任意選択で含む、本発明によるオリゴヌクレオチドを含む組成物にも関する。好ましくは前記組成物は、ヒトの治療に使用するための医薬組成物であり、より好ましくは、ジストロフィー型表皮水疱症(DEB)の処置に使用するための、さらにより好ましくは、COL7A1遺伝子のエクソン80における突然変異によって引き起こされるDEBを患っているヒト対象の処置に使用するための医薬組成物である。別の実施形態では、本発明は、COL7A1遺伝子内に突然変異したエクソン80が含まれることによって引き起こされる疾患を患うヒト対象の処置に使用するための本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0104】
本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによって哺乳動物、好ましくはヒトのCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減するための方法であって、細胞に、組織に、in vitroもしくはex vivoで、または、そのような細胞を含む、ヒトを含む、生きている動物に、請求項1から27のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または請求項29もしくは30に記載の組成物を、そのような細胞によるそのようなオリゴヌクレオチドの取り込みを促す条件下で、提供することと、スプライシングが起こるのを可能にすることとを含む方法にも関する。
【0105】
本発明によるAONなどのエクソンスキッピング分子、またはそのようなAONをコードする(ウイルス)ベクターの、COL7A1遺伝子が哺乳動物(好ましくは、ヒト)の細胞において発現するときに、突然変異したCOL7A1エクソン80が含まれるのを妨げるか、または少なくとも低減する能力、および5’スプライシングアクセプターの選択に影響を及ぼす領域において生理的条件下で哺乳動物(ヒト)のCOL7A1 pre−mRNAと結合して、それによりCOL7A1 mRNAに突然変異したエクソン80が含まれるのを低減する能力は、好都合にも本明細書の実験のセクションに開示されているアッセイを使用して評価することができる。特に、本エクソンスキッピング分子は、COL7A1遺伝子のエクソン80(必ずしも突然変異している訳ではない)を含む細胞とインキュベートして、エクソン80を含むmRNAの細胞による産生を低減するその能力を例えば、実験のセクションおよび実施例において本明細書に記載されるとおり(Bioanalyzer装置を使用して定量することができる)RT−PCRによって評価することができる。
【0106】
本明細書の実験のセクションおよび実施例においてRNAレベルで確認できるとおり、COL7A1遺伝子のエクソン80を標的とする本発明によるさまざまなAONの添加は、実際に、エクソン80のないmRNAをもたらし、これが、短いが機能的なVII型コラーゲンタンパク質の産生につながる。
【0107】
(皮膚細胞由来であってもよい)線維芽細胞では、VII型コラーゲンが豊富に発現され。ゆえに、DEB患者からの培養線維芽細胞へのAONの添加は、ウエスタンブロットにおいて検出可能な短縮されているが機能的なVII型コラーゲンタンパク質の量を増加させることになることが予想され、したがって、AONに基づく療法が、COL7A1 mRNAのスプライシングを再指示するだけでなくVII型コラーゲンの機能性も回復させることになることを実証することになる。
【0108】
「アデニン」、「グアニン」、「シトシン」、「チミン」、「ウラシル」およびヒポキサンチン(イノシンのヌクレオベース)という用語は、それ自体ヌクレオベースを指す。
【0109】
アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンおよびイノシンという用語は、(デオキシ)リボシル糖と連結されたヌクレオベースを指す。
【0110】
「ヌクレオシド」という用語は、(デオキシ)リボシル糖と連結されたヌクレオベースを指す。
【0111】
本文書において、およびその特許請求の範囲において、「含むこと(to comprise)」という動詞およびその活用型は、その語に引き続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目も除外しないことを意味するためにその非限定的な意味で使用される。さらに、文脈が明らかに1つおよび1つだけのエレメントが存在することを必要としない限り、不定冠詞「a」または「an」による要素の言及は、1つ超の要素が存在する可能性を排除するものではない。不定冠詞「a」または「an」は、したがって、通常は「少なくとも1つ」を意味する。
【0112】
「含む(include)」という語ならびにその時制および活用型のすべては、「含むが、以下に限定されるものではない」と解釈されるべきである。
【0113】
「エクソンスキッピング分子」という語は、裸のAON、および適合した細胞でAONを発現させることができるウイルスベクターを含むベクターにより運ばれるAONを含むことが意図される。
【0114】
数値(例えば、約10)と関連して使用される場合、「約」または「およそ」という語は、好ましくは、値が、所与の値(10の)プラスまたはマイナス5%の値であってもよいことを意味する。
【0115】
本明細書で提供した配列情報は、エラーを伴って特定された塩基を含める必要があるほど狭く解釈されるべきではない。当業者は、エラーを伴って特定されたそのような塩基を特定することができ、そのようなエラーの正し方を知っている。配列のエラーの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む配列番号1に存在する配列の発現によって得られるポリペプチドの配列が優先されるものとする。
【実施例1】
【0116】
エクソン80のmRNA分析
COL7A1のmRNAにあるエクソン80のmRNAの存在を検出するために、HeLa細胞および初代ヒト線維芽細胞(HPF)の両方の細胞の抽出全RNAを使用した。(a)HeLaについては10%ウシ胎仔血清(FBS)を加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)において、または(b)HPF細胞については20%FBSおよび1%ピルビン酸ナトリウムを加えたDMEM AQEにおいて細胞の培養を行った。すべての細胞を37℃、5%COで増殖させた。AONのエクソンスキッピング効率を求めるために、細胞を60,000細胞/ウェル(HeLa)で12ウェルプレートに、または150,000細胞/ウェル(LFB1)で6ウェルプレートに播いた。細胞を増殖させた24時間後、細胞に100nmのAON−maxPei複合体をトランスフェクションした。ReliaPrep(商標)RNA Cell Miniprep System(Promega)を用いてRNA単離を行った。次いで、Thermo Scientific Versoキットを使用してcDNAを作製した。エクソン77に位置するFWプライマー(5’−CAAGGTCCCAAAGGAGACAG−3’;配列番号16)およびRVプライマーを用いてエクソン80に対するPCRを行った。RVプライマーは、エクソン84内に位置する配列5’−AGTCCCACAGCTCCAGTAGG−3’(配列番号17)を有するRVプライマー、またはエクソン82/83の境界に位置する配列5’−GAAGGGGGAGCCTGGAGA−3’(配列番号33)を有するRVプライマーのいずれかである。PCR産物を、DNA1000チップを使用したBioanalyzerを用いて視覚化し、産物の長さの分析のためにソフトウェアExpert 2100を使用した。最初のオリゴヌクレオチド設計からは、AON80.1からAON80.12までの12のオリゴヌクレオチドが得られ、表1は、これらのAONのそれぞれについてヒト初代線維芽細胞(HPF)およびHeLa細胞におけるエクソン80の半定量的なスキッピング効率を示す。AON80.5の21merに基づいてさらに設計した研究からは、AON80.5.1からAON80.5.5と呼ばれる(すべて21merの)5つの誘導体が得られた。さらに、36merのオリゴヌクレオチド(AON80.13)を全エクソン80にわたって設計した。これらのさらなるAONについてのデータは、本発明による好ましいAON(AON80.1〜AON80.5、およびAON80.5.n系列、ならびにAON80.13)のヌクレオチド配列および配列番号と共に、表1にも含まれている。2つの20merのオリゴヌクレオチド(AON80.5.7およびAON80.5.8)を3回の実験において試験した。結果を表2に示しており、比較可能な結果が示されている。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
図2〜5は、表1および2のAONについてのラボオンチップ結果を示す。AON80.1からAON80.5と呼ばれる本発明によるAONは、良好な効率を有し、AON80.2、AON80.4およびAON80.5は、より良好に機能する。さらに設計した研究から、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.7、AON80.5.8およびAON80.13は、試験したAONのうち最高のスプライシング効率を有するようである。本発明による最も好ましいAONは、AON80.5、AON80.5.1、AON80.5.2、AON80.5.7およびAON80.5.8である。
【0120】
形成されたすべての産物の正確な配列を評価するために、配列解析を行った。bioanalyzerで解析後に可視の余分な産物は、mRNA内にイントロン82を含んでいた(シークエンス解析で観察された)。しかし、このイントロンがタンパク質に翻訳されると、分解されることになる可能性がきわめて高いトランケート型コラーゲンタンパク質をもたらす停止コドンが含まれるはずである。
【0121】
AONの免疫原性効果を評価するために、InvivogenのRAW−Blue細胞を使用して、in vitroにおけるその後の実験手順を行うことができる。これらのRAW−Blue細胞は、マウスのRAW 264.7マクロファージ由来であり、NF−κBおよびAP−1により誘導可能な、組み込まれた分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーターコンストラクトを有する。すべてのTLR(TLR5を除く)、NOD1、NOD2、RIG−I、MDAまたはDECTIN−1のアゴニストの存在は、NF−κBおよびAP−1の活性化ならびにその後のSEAPの産生を導くシグナル伝達経路を誘導する。SEAPのレベルは、検出することができ、したがって、免疫原性活性化を示す。図6は、in vitroにおける刺激の24時間後のそのような試験の結果を示す。陽性対照CpG−DNA、LPSおよびR848は、NF−κBおよび/またはAP−1を活性化した。対照的に、試験したAONでは、AON80.5.1がSEAPにおいて1μMの最終濃度でNF−κBおよび/またはAP−1の活性化を示唆する可能性がある少しの増加を誘導したことを除き、生理的食塩水処理したRAW−blue細胞と比較してNF−κBおよび/またはAP−1の活性化は認められなかった。検出された値を、SEAP(OD)測定値についての多重比較のためにHolm−Sidak検定を用いて一元配置ANOVAを使用して生理的食塩水と比較した。
【0122】
in vitroにおける刺激の24時間の間のAONの免疫毒性も、RAW−Blue細胞を使用して試験し、レゾルフィンレベルにおける上昇が観察された(これは、細胞数の増加をもたらす増殖の増加によって、かつ/またはPPR活性化による細胞代謝の促進によって説明することができた)。細胞生存率に対する影響は、いずれのAONでの刺激後にも観察されなかった(図7)。陽性対照のCpG−DNAのみが、合成されたレゾルフィンのレベルを著しく上昇させた(しかし、LPSおよびR848では効果がなかったのは古いバッチの使用が原因の可能性があった)。検出された値を、レゾルフィン測定値についての多重比較のためにHolm−Sidak検定を用いて一元配置ANOVAを使用して生理的食塩水と比較した。
【0123】
エクソン80のないVII型コラーゲンの機能性、例えば、タンパク質安定性およびアンカーフィブリル形成は、以下の文献に記載されているいくつかのin vitroにおける方法を使用して対処することができる。
1.ウエスタンブロッティングを使用したα1−コラーゲン鎖のサイズおよび正確な構築の両方のタンパク質分析(Titeux et al 2010)。留意すべきことには、スキッピングされたエクソンのタンパク質の小さなサイズおよび野生型タンパク質の大きなサイズによる、タンパク質サイズの明らかな差は見つからない可能性がある。
2.非還元条件でのウエスタンブロッティングを使用することによるVII型コラーゲンホモ三量体の熱安定性分析。野生型のVII型コラーゲンは、3つのα1−コラーゲン鎖から構成され、41℃のTmを有する(Mecklenbeck et al. 2002)。
3.コロイド金またはスクラッチRadius(商標) 24−Well Cell Migration Assayを使用した細胞移動分析。エクソン80を含まないトランケート型タンパク質に対して、野生型のVII型コラーゲンを発現する線維芽細胞および/または角化細胞の運動性を比較する(Chen et al. 2002)。または、処理していないものに対して、処理した変異体のヒト線維芽細胞培養培地の存在下における角化細胞の運動性を比較する。
4.さまざまな細胞外基質構成要素、例えば、IV型コラーゲン、ラミニン−332、ラミニン−1またはフィブロネクチンとの細胞接着を評価することができる(Chen et al. 2002)。
【0124】
本発明の発明者らは、エクソン80が哺乳動物(好ましくは、ヒト)のCOL7A1 mRNAに含まれるのを妨げるか、または少なくとも低減することに関して最も良く機能することを示すAONがVII型コラーゲンの機能性に関して十分な結果をもたらすことになると仮定し、これは、先行技術の上記の方法を使用して容易に評価することができる。
【0125】
当然のことながら、本発明は、例の目的としてのみ上で記載されており、本発明の範囲および趣旨内にありながら改変がなされてもよい。
本願は以下の発明に関するものである。
(1) 細胞においてpre−mRNAからのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)であって、
− 前記COL7A1遺伝子のエクソン80の少なくとも一部と相補的であり、かつエクソン80の上流イントロンと相補的でないヌクレオチド配列、または
− エクソン80の少なくとも一部と相補的であり、かつ24ヌクレオチド長未満であるヌクレオチド配列を含むことを特徴とするAON。
(2) エクソン80と相補性の領域を含み、前記相補性の領域が、最大20ヌクレオチド長、好ましくは11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチドである、上記(1)に記載のAON。
(3) エクソン80の3’部分および下流イントロンの5’部分と相補的なヌクレオチド配列を含む、上記(1)または(2)に記載のAON。
(4) ヌクレオチド配列5’−UCACCACU−3’、5’−ACCACUGG−3’、または5’−ACUCACCA−3’を含む、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のAON。
(5) 配列番号7、8、25、26、28、31および32からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、上記(4)に記載のAON。
(6) 24ヌクレオチド長未満であり、好ましくは20、21、22、または23ヌクレオチドを含む、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のAON。
(7) 配列番号4または5のヌクレオチド配列を含む、上記(1)または(2)に記載のAON。
(8) 配列番号6のヌクレオチド配列を含む、上記(1)または(2)に記載のAON。
(9) 配列番号30のヌクレオチド配列を含む、上記(1)に記載のAON。
(10) オリゴリボヌクレオチドである、上記(1)から(9)のいずれか一項に記載のAON。
(11) ヌクレオシド間結合が、化学的に修飾されており、好ましくは、ホスホロチオエート結合である、上記(1)から(10)のいずれか一項に記載のAON。
(12) 前記AONの糖部分が低級2’−O−アルキル、好ましくは2’−O−メチル置換糖部分である、上記(1)から(11)のいずれか一項に記載のAON。
(13) (i)配列番号4〜15および25〜32からなる群から選択されるヌクレオチド配列、(ii)配列番号4〜15および25〜32からなる群から選択されるRNAヌクレオチド配列、または
(iii)配列番号4〜15および25〜32からなる群から選択され、その中のいずれのUもTで置換されているDNAヌクレオチド配列を含むか、またはからなるオリゴヌクレオチド。
(14) 上記(1)から(13)のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドと、担体、賦形剤、安定剤、トランスフェクション剤、希釈剤、ゲル化剤または緩衝液のうちの1つまたは複数とを含む組成物。
(15) ヒトの治療に使用するための医薬組成物である、上記(14)に記載の組成物。
(16) ヒト、細胞においてRNA転写産物からのスプライシングによってヒトCOL7A1 mRNAが生成されるときに、エクソン80が前記mRNAに含まれるのを妨げるか、または低減するための方法であって、細胞に、組織に、in vitroもしくはex vivoで、または、そのような細胞を含む、生きているヒトに、上記(1)から(13)のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、または上記(14)もしくは(15)に記載の組成物を、そのような細胞によるそのようなオリゴヌクレオチドの取り込みを促す条件下で、提供するステップと、スプライシングが起こるのを可能にするステップとを含む方法。
【0126】
参考文献表
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]