(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物が、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン及び1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
前記化合物が、4,5−ジヒドロ−2−フェニルオキサゾール及び1,3,5−トリス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用する場合、用語
「a」、「an」、及び「the」は互換可能に使用され、1以上を意味する。
「及び/又は」は、述べられた事例の一方又は両方が起こり得ることを示すために使用され、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)と(A又はB)とを含む。
「アリール」とは、芳香族である一価の基を意味する。脂肪族置換アリールは、アリール部分上に脂肪族残基も含む一価の芳香族基である。
「主鎖」とは、ポリマーの主な連続鎖を指す。
「架橋」とは、予め形成した2つのポリマー鎖を、化学結合又は化学的な基を使用して連結することを指す。
「共重合」とは、モノマーが一緒に重合されてポリマー主鎖を形成することを指す。
「モノマー」は、重合を経てその後ポリマーの基本的構造の部分を形成することができる分子である。
「モノマー単位」は、モノマーに由来する二価の繰り返し単位である。
「全フッ素化」とは、全ての水素原子がフッ素原子に置換されている、炭化水素から得られる基又は化合物を意味する。但し、全フッ素化化合物は、酸素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のような、フッ素原子及び炭素原子以外の原子を更に含有してもよい。
「オリゴマー」とは、20未満の共重合した二価のモノマー単位を含む構造を指す。オリゴマーの有する数平均分子量(Mn)は、少なくとも1,000ダルトン、かつ10,000ダルトン以下である。
「ポリマー」とは、共重合した二価のモノマー単位を含むマクロ構造を指す。「ポリマー」の有する数平均分子量(Mn)は、少なくとも50,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトン、少なくとも300,000ダルトン、少なくとも500,000ダルトン、少なくとも750,000ダルトン、少なくとも1,000,000ダルトン、又は更には少なくとも1,500,000ダルトンであり、かつポリマーの早期ゲル化を引き起こすほどには高くない分子量である。
【0007】
また、本明細書において、端点による範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる。)。
【0008】
また、本明細書において、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数(例えば少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)が含まれる。
【0009】
本出願は、ペルフルオロエラストマーゴムに使用する非晶質全フッ素化ポリマーに関する。ペルフルオロエラストマーゴムは、後で硬化し、全フッ素化エラストマーを形成する。本開示の非晶質全フッ素化ポリマー(本明細書において、全フッ素化ポリマーと呼ぶ。)は、酸性末端基を含む。
【0010】
全フッ素化エラストマーは、過酷な環境に遭遇する広範な用途、特に、高温及び活性化学物質に対して曝露される最終用途において使用される。半導体産業において、ペルフルオロエラストマーは、NF
3プラズマに対する耐性を必要とするプロセスにて使用される。しかし、この産業では、特に金属イオン及びリン関係の材料純度に、厳しい要件がある。
【0011】
ペルフルオロエラストマーの高温耐性及び耐薬品性は、ポリマー主鎖の主要部分を形成している、共重合した全フッ素化モノマー単位の安定性及び不活性に起因する。全フッ素化ポリマーは、典型的には、少量の、安定性がより低い共重合した硬化部位モノマーを含有し、全フッ素化ポリマーの効果的な架橋及び硬化する化学的性質を増進する。ポリマー鎖の末端は、重合が開始され終了する箇所(本明細書において、末端基と呼ぶ。)であり、反応性基もまた含有してよく、これは、開始剤、連鎖移動剤、分子量調節剤、及び/又は重合中に存在する他の化合物に由来する。
【0012】
ペルフルオロポリマーが、酸性の性質である末端基を含む場合、後からの過酸化水素硬化中の、及び/又はその後でのポリマーの性能は、影響を受ける場合がある。したがって、従来、安定化化合物をペルフルオロエラストマーゴムに添加し、それらの酸性末端基を安定化し、例えば、得られるペルフルオロエラストマーの圧縮永久歪みを改善してきた。これらの安定化化合物としては、典型的には、例えば、金属水酸化物(水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウムなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム及び酸化亜鉛など)、金属炭酸塩(炭酸バリウム、ヒドロタルサイト及び炭酸カルシウムなど)、又はリン含有塩(トリフェニルベンジルホスフォニウムクロリドなど)が挙げられる。しかし、いくつかの用途において、金属及びリン原子は、エラストマーが使用されるプロセスを汚染する恐れがあることから、望ましくない。
【0013】
本開示において、化合物は、少なくとも1つのオキサゾール部分を含む。化合物は、1つ、2つ、又は3つ以上のオキサゾール部分を含んでもよい。
【0014】
理論に束縛されるものではないが、本開示において、オキサゾール部分を含む化合物は、全フッ素化ポリマーの酸性末端基を安定化することができ、従来の末端基安定化剤を不要にすると考えられる。1つの実施形態において、少なくとも2つのオキサゾール部分を含む化合物は、ペルフルオロエラストマーゴムを架橋することの一助となり得る。
【0015】
1つの実施形態において、オキサゾール部分を含む化合物は、小さい分子であり、分子量が1000g/モル未満、500g/モル未満、又は更には200g/モル未満である。あるいは、オキサゾール部分を含む化合物は、オリゴマー又はポリマーである。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「オキサゾール部分」とは、1つの炭素原子によって隔てられた窒素原子及び酸素原子を含む5員環であるヘテロ環構造を指す。本明細書において使用する場合、オキサゾール部分には、5員環が1つの二重結合を含むオキサゾリンが含まれる。不飽和結合の位置は、続く下記一般式[式中、A、R、及びR
1〜R
4は、原子又は化学的な基を表す。]によって表される3箇所のうちの1つでよい。
【化1】
【0017】
1つの実施形態において、オキサゾール部分を含む化合物は、2−オキサゾリンを含み、これは、2位の炭素と窒素との間に1つの二重結合を有する。
【0018】
1つの実施形態において、オキサゾール部分を含む化合物は、式I又は式IIによる構造を含む。
【化2】
式中、Aは、
水素、
1〜20個の炭素原子の、環式若しくは非環式脂肪族部分、又は置換環式若しくは非環式脂肪族部分、
6〜20個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子の、アリール残基若しくは脂肪族置換アリール残基、及び
約2〜200,000の繰り返し単位、好ましくは2〜100の繰り返し単位、又は更には2〜20の繰り返し単位を含む、ポリマー残基又はオリゴマー残基、からなる群から選択され、
R、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、CH
3、CH
2CH
3、又はC
6H
5を表し、
R
1及びR
2は、独立して、H又はCH
3を表し、但し、R
1及びR
2がいずれもCH
3であることはなく、
nは、1、2、3、又は4の整数を表し、mは、2〜200000、2〜100、又は更には2〜20の整数を表す。
【0019】
1つの実施形態において、オキサゾール部分を含む化合物を、ポリカルボン酸とアルカノールアミンとの相当するエステルの反応により、好便に調製することができる。
【0020】
式Iの、オキサゾール部分を含む化合物の例としては、4,5−ジヒドロオキサゾール(2−オキサゾリン)、
4,5−ジヒドロ−2−メチルオキサゾール(2−メチル−2−オキサゾリン)、
2−エチル−4,5−ジヒドロオキサゾール(2−エチル−2−オキサゾリン)、
4,5−ジヒドロ−2−(1−メチルエテニル)−オキサゾール(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)、
4,5−ジヒドロ−2−(1−メチルエチル)−オキサゾール(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)、
2−エテニル−4,5−ジヒドロオキサゾール(2−ビニル−2−オキサゾリン)、
4,5−ジヒドロ−2−フェニルオキサゾール(2−フェニル−2−オキサゾリン)、
4,5−ジヒドロ−2−オキサゾールアミン(2−アミノ−2−オキサゾリン)、
4,4’,5,5’−テトラヒドロ−2,2’−ビオキサゾール(2,2’−ビス(2−オキサゾリン))、
2,2’−(1,3−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール](1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン)、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール](1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン)、2,6−ビス[(4S)−4,5−ジヒドロ−4−(1−メチルエチル)−2−オキサゾリル]−ピリジン(2,2’−(2,6−ピリジン−ジイル)ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン))、
2,2’−(1−メチルエチリデン)ビス[4,5−ジヒドロ−4−フェニル−(4S,4’S)−オキサゾール(2,2’−イソプロピリデン−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン))、
2,2’−(2,4−ブタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、
2,2’−(1,2−エタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、
2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、
2,2’−(1,5−ナフタレニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、
2,2’−(1,3−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、及び
2,2’−(1,8−アントラセニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]が挙げられる。
【0021】
式IIの、オキサゾール部分を含む化合物の例としては、ペンダントのオキサゾール部分を有するオリゴマー及びポリマー材料が挙げられ、それには、ポリ[2−(アルケニル)4,5−ジヒドロオキサゾール]など、例えば、ポリ[4,5−ジヒドロ−2−(1−メチルエテニル)−オキサゾール]又はポリ[2−イソプロペニル−2−オキサゾリン]が挙げられる。ペンダントのオキサゾール基を有するポリマー又はオリゴマーはまた、日本触媒(大阪)から、商品名「EPOCROS」で市販されている。
【0022】
少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物は、ペルフルオロエラストマーゴムと混合される。少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物を、100重量部の全フッ素化ポリマー当たり、少なくとも、約0.5、又は更には1重量部、かつ、約3重量部以下、5重量部以下、又は更には8重量部以下にて使用する。但し、少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物の量は、一般的に、使用される化合物の性質に応じたものとなる。
【0023】
全フッ素化ポリマーは、共重合した繰り返しの二価のモノマー単位を含む巨大分子であり、モノマー単位の各々が全フッ素化されている(換言すれば、モノマー単位は、少なくとも1つのC−F結合を含み、C−H結合を含まない。)。全フッ素化ポリマーは、当該技術分野において公知のものとして使用される、開始剤及び/又は連鎖移動剤に基づく、全フッ素化されていない末端基を含んでもよい。
【0024】
全フッ素化ポリマーは、一般的に、全フッ素化オレフィン、及びエーテル結合を含む全フッ素化オレフィンなどの、1種以上の全フッ素化モノマーを重合することによって得られる。全フッ素化モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロクロロエチレン、ペルフルオロビニルエーテル、及びペルフルオロアリルエーテルが挙げられる。
【0025】
本開示において使用し得るペルフルオロビニルエーテルの例としては、式CF
2=CF−O−R
f(式中、R
fは、0、又は1個以上の酸素原子、及び12個以下、10個以下、8個以下、6個以下、又は更には4個以下の炭素原子を含有し得る全フッ素化脂肪族基を表す。)に相当するものが挙げられる。全フッ素化ビニルエーテルの例は、式CF
2=CFO(R
afO)
n(R
bfO)
mR
cf(式中、R
af及びR
bfは、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子の異なる直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であり、m及びnは、独立して、0〜10であり、R
cfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である。)に相当するものである。全フッ素化ビニルエーテルの具体例としては、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル、及びCF
3−(CF
2)
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF=CF
2が挙げられる。
【0026】
本開示において使用し得るペルフルオロアリルエーテルの例としては、式CF
2=CF(CF
2)−O−R
f(式中、R
fは、0、又は1個以上の酸素原子、及び10個以下、8個以下、6個以下、又は更には4個以下の炭素原子を含有し得る全フッ素化脂肪族基を表す。)に相当するものが挙げられる。全フッ素化アリルエーテルの具体例としては、CF
2=CF
2−CF
2−O−(CF
2)
nF(式中、nは1〜5の整数である。)、及び
CF
2=CF
2−CF
2−O−(CF
2)
x−O−(CF
2)
y−F(式中、xは2〜5の整数、yは1〜5の整数である。)が挙げられる。全フッ素化アリルエーテルの具体例としては、ペルフルオロ(メチルアリル)エーテル(CF
2=CF−CF
2−O−CF
3)、ペルフルオロ(エチルアリル)エーテル、ペルフルオロ(n−プロピルアリル)エーテル、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルアリルエーテル、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルアリルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルアリルエーテル、ペルフルオロ−メトキシ−メチルアリルエーテル、及びCF
3−(CF
2)
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF
2CF=CF
2、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
本開示において、全フッ素化ポリマーを、連鎖移動剤及び/又は硬化部位モノマーの存在下にて重合し、フルオロポリマー中に、I、Br、及び/又はCNなどの硬化部位を導入してよい。
【0028】
例示的な連鎖移動剤としては、ヨード連鎖移動剤、ブロモ連鎖移動剤、又はクロロ連鎖移動剤が挙げられる。例えば、重合において好適なヨード連鎖移動剤としては、式RI
x[式中、(i)Rは3〜12個の炭素原子のペルフルオロアルキル基又はクロロペルフルオロアルキル基であり、(ii)xは1又は2である。]のものが挙げられる。ヨード連鎖移動剤は全フッ素化ヨード化合物でよい。例示的なヨード−ペルフルオロ化合物としては、1,3−ジヨードペルフルオロプロパン、1,4−ジヨードペルフルオロブタン、1,6−ジヨードペルフルオロヘキサン、1,8−ジヨードペルフルオロオクタン、1,10−ジヨードペルフルオロデカン、1,12−ジヨードペルフルオロドデカン、2−ヨード−1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、4−ヨード−1,2,4−トリクロロペルフルオロブタン、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、臭素は、式RBr
x[式中、(i)Rは3〜12個の炭素原子のペルフルオロアルキル基又はクロロペルフルオロアルキル基であり、(ii)xは1又は2である。]の臭素化連鎖移動剤に由来する。連鎖移動剤は全フッ素化ブロモ化合物でよい。
【0029】
1つの実施形態において、硬化部位モノマーは、以下の式、すなわち、a)CX
2=CX(Z)[式中、(i)各Xは、独立して、H又はFであり、(ii)Zは、I、Br、R
f−U(式中、UはI又はBrであり、R
fは任意にO原子を含有する全フッ素化アルキレン基である。)、又は(b)Y(CF
2)
qY[式中、(i)YはBr又はI又はClであり、(ii)qは1〜6である。]のうちの、1つ以上の化合物に由来するものでよい。加えて、非フッ素化ブロモ又はヨードオレフィン、例えば、ヨウ化ビニル及びヨウ化アリルを使用することができる。いくつかの実施形態において、硬化部位モノマーは、CF
2=CFCF
2I、ICF
2CF
2CF
2CF
2I、CF
2=CFCF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2I、CF
2=CFCF
2OCH
2CH
2I、CF
2=CFO(CF
2)
3−OCF
2CF
2I、CF
2=CFCF
2Br、CF
2=CFOCF
2CF
2Br、CF
2=CFCl、CF
2=CFCF
2Cl、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の化合物に由来する。
【0030】
別の実施形態において、硬化部位モノマーは、窒素含有硬化部分を含む。有用な窒素含有硬化部位モノマーとしては、ニトリル含有フッ素化オレフィン及びニトリル含有フッ素化ビニルエーテル[ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、CF
2=CFO(CF
2)
LCN(式中、Lは、2〜12の整数である。)、CF
2=CFO(CF
2)
uOCF(CF
3)CN(式中、uは、2〜6の整数である。)、CF
2=CFO[CF
2CF(CF
3)O]
q(CF
2O)
yCF(CF
3)CN若しくはCF
2=CFO[CF
2CF(CF
3)O]
q(CF
2)
yOCF(CF
3)CN(式中、qは、0〜4の整数であり、yは、0〜6の整数である。)、又はCF
2=CF[OCF
2CF(CF
3)]
rO(CF
2)
tCN(式中、rは、1又は2であり、tは、1〜4の整数である。)、並びに上述のものの誘導体及び組み合わせなど]が挙げられる。ニトリル含有硬化部位モノマーの例としては、CF
2=CFO(CF
2)
5CN、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CN、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)CN、CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CN、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CN、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
本開示の全フッ素化ポリマーは、酸性末端基を含む。これらの酸性末端基は、フーリエ変換赤外分析(FTIR)に基づく積分吸光度比による方法によって測定し得、全フッ素化エラストマーゴムのプレスしたフィルムのFTIRスペクトルにおける、突出したピークの下にてベースライン補正した積分吸光度に依拠する。方法は、以下に開示されるが、米国特許第6,114,452号(Schmiegel)及び同第8,604,137号(Grootaertら)に更なる詳細が検討されており、これらは、本明細書に参照により組み込まれる。
【0032】
本開示において、FTIRスペクトルの4つの異なる領域を試験する。
【0033】
第1として、約1620cm
−1〜1840cm
−1の最も突出したピークの積分吸光度を測定する。これらのピークは、ポリマー中に存在するカルボキシル基、カルボキシレート基、及びカルボキシアミド基を含む、カルボニル部分に起因する吸光度と一致する。
【0034】
第2として、約1755cm
−1〜1797cm
−1の最も突出したピークの積分吸光度を測定する。これらのピークは、ポリマー中に存在するカルボン酸基に起因する吸光度と一致する。
【0035】
第3として、2220cm
−1〜2740cm
−1のC−F伸縮の倍音を測定し、これが試料の厚さの指標となる。この値を使用し、カルボニル及びカルボン酸のピーク値の積分吸光度をベースライン補正(又はノーマライズ)する。
【0036】
全フッ素化ポリマーがニトリル基(ニトリル硬化部位など)を含む場合、約2232cm
−1〜2277cm
−1の最も突出したピークの積分吸光度を測定する。C−N伸縮がC−F伸縮の倍音と重なることから、次に、この値を、C−F伸縮の倍音から差し引き、「補正したC−F伸縮の倍音」を得る。
【0037】
次に、積分吸光度値を求め、カルボニルの積分吸光度をC−F伸縮の倍音(又はニトリルが存在する場合、補正したC−F伸縮の倍音)で割り算することによって、カルボニルの積分吸光度比を得る。1つの実施形態において、本開示のペルフルオロエラストマーゴムのカルボニルの積分吸光度比は、少なくとも0.060、又は更には0.065である。別の実施形態において、カルボン酸の積分吸光度比を求めるには、カルボン酸の積分吸光度をC−F伸縮の倍音(又はニトリルが存在する場合、補正したC−F伸縮の倍音)で割り算し、カルボン酸の積分吸光度比を得ることによる。1つの実施形態において、本開示のペルフルオロエラストマーゴムのカルボン酸の積分吸光度比は、少なくとも0.012、又は更には0.015である。
【0038】
全フッ素化ポリマー、及び少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物に加え、硬化性エラストマー組成物は、硬化剤、及び任意に追加の添加剤を更に含んでもよい。
【0039】
全フッ素化エラストマーゴムの架橋は、過酸化物硬化系(又は硬化剤)を使用して実施することができる。
【0040】
過酸化物硬化剤としては、有機過酸化物又は無機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物、特に動的混合温度にて分解しないものが好ましい。
【0041】
過酸化物を使用する架橋は、一般的に、架橋剤として有機過酸化物を使用し、所望により架橋助剤(グリセリンのジアリルエーテル、トリアリルリン酸、ジアリルアジペート、ジアリルメラミン及びトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート(TMAIC)、トリ(メチル)アリルシアヌレート、ポリ−トリアリルイソシアヌレート(ポリ−TAIC)、キシリレン−ビス(ジアリルイソシアヌレート)(XBD)、及びN,N’−m−フェニレンビスマレイミドなど)を使用することによって実施することができる。有機過酸化物の例としては、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルクロロへキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート(TBIC)、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(TBEC)、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルカーボネート、カルボノペルオキシ酸、O,O’−1,3−プロパンジイルOO,OO’−ビス(1,1−ジメチルエチル)エステル、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ラウレルペルオキシド、及びシクロヘキサノンペルオキシドが挙げられる。他の好適な過酸化物硬化剤は、米国特許第5,225,504号(Tatsuら)に掲載されている。過酸化物硬化剤の使用量は、一般に、100部の全フッ素化ポリマー当たり、0.1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。他の既存のラジカル開始剤は、本開示に使用するのに好適である。
【0042】
架橋剤及び架橋助剤の各々を、既知の量にて使用してもよく、また使用量を当業者が適切に求めてもよい。架橋に関与するこれらの成分の各々の使用量は、例えば、100質量部の全フッ素化ポリマー当たり、約1質量部以上、約5質量部以上、約10質量部以上、又は約15質量部以上、かつ約60質量部以下、約40質量部以下、約30質量部以下、又は約20質量部以下でよい。架橋に関与する成分の合計量は、例えば、100質量部の全フッ素化ポリマー当たり、約1質量部以上、約5質量部以上、又は約10質量部以上、かつ約60質量部以下、約40質量部以下、又は約30質量部以下でよい。
【0043】
例えば、強度を高めたり機能性を付与したりする目的のために、既存の補助剤、例えば、充填剤、加工助剤、又は着色剤などを組成物に添加してもよい。
【0044】
このような充填剤としては、有機充填剤又は無機充填剤[クレイ、シリカ(SiO
2)、アルミナ、ベンガラ、タルク、珪藻土、硫酸バリウム、珪灰石(CaSiO
3)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、フッ化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、及びカーボンブラック充填剤など]が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン粉末、PFA(TFE/ペルフルオロビニルエーテルコポリマー)粉末、導電性充填剤、及び放熱充填剤などを任意成分として組成物に添加してもよい。当業者は、特定の充填剤を、加硫処理した化合物において所望の物理的特性を達成するのに必要な量にて選択することができる。充填剤成分により、より低温(TR−10)において収縮などの所望の特性を保持しながら、伸び及び引張強さの値によって示されるとおり、好ましい弾性及び物理的引張性の保持が可能な化合物を得ることができる。
【0045】
1つの実施形態において、組成物は、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は更には10重量%未満の無機充填剤を含む。
【0046】
全フッ素化ポリマーを含む全フッ素化エラストマーゴムは、少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物、及び任意の既存の補助剤と混合される。混合方法としては、例えば、ゴム用2本ロール、加圧混練機、又はバンバリミキサを使用する混練が挙げられる。
【0047】
次いで、混合物を、押出成形又は成形などによって加工及び成形し、本開示の組成物から構成されるシート、ホース、ホースの裏層、o−リング、ガスケット、又はシールなどの様々な形状の物品を形成することができる。次いで、成形物品を加熱し、ゴム組成物を硬化させ、硬化エラストマー物品を形成することができる。
【0048】
配合した混合物の加圧(すなわち、プレス硬化)は、典型的には約120〜220℃、好ましくは約140〜200℃の温度にて、約1分間〜約15時間、通常は約1〜15分間実施される。約700〜20,000kPa、好ましくは約3400〜6800kPaの圧力が、組成物の成形において典型的に使用される。最初に、モールドを離型剤でコーティングし、プレベークしてよい。
【0049】
成形された加硫処理物は、試料の断面厚さに応じて、約140〜240℃の温度、好ましくは約160〜230℃の温度で、約1〜24時間以上、オーブン内で後硬化させてよい。厚さのある部分では、後硬化中の温度は、通常、範囲の下限から所望の最高温度まで次第に上昇する。使用最高温度は、好ましくは約260℃であり、この値で約1時間以上保持する。
【0050】
圧縮永久歪みは、ペルフルオロエラストマーの、力を除いた後に残存している変形である。一般的には、より低い圧縮永久歪み値が、より良い(すなわち、材料のより小さい変形)。本開示の1つの実施形態において、従来の安定化化合物を使用せず作製した、少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物が含まれる硬化ペルフルオロエラストマーは、少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物の使用なしで作製したこと以外は同じ硬化ペルフルオロエラストマーと比べ、改善した圧縮永久歪みを有する。
【0051】
但し、理論に束縛されるものではないが、本開示の少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物は、酸性末端基(カルボン酸基など)と反応し、開環し、下記反応式(式中、Pはポリマーである。)に示されるとおりのエステルアミド基を形成すると考えられる。
【0053】
本開示の1つの実施形態において、ペルフルオロエラストマーゴム又は硬化ペルフルオロエラストマーを含む、組成物は、金属及び/又はリン原子を実質的に含まない。本明細書において使用する場合、金属を本質的に含まない、又はリン原子を本質的に含まないとは、100重量部の全フッ素化エラストマー当たり、約0.02重量部未満、0.01重量部未満、0.005重量部未満、若しくは更には0.001重量部未満であること、又は更には全く存在しないことを意味する。
【0054】
本開示の1つの実施形態において、ペルフルオロエラストマーゴム又は硬化ペルフルオロエラストマーを含む、組成物は、既存の安定化化合物を実質的に含まない。本明細書において使用する場合、本質的に含まないとは、100重量部の全フッ素化エラストマー当たり、約0.02重量部未満、0.01重量部未満、0.005重量部未満、若しくは更には0.001重量部未満であること、又は更には全く存在しないことを意味する。
【0055】
本開示の組成物は、ホース、ガスケット、又はシールなどの物品に使用することができる。これらの組成物を、硬化してもよく、しなくてもよい。
【0056】
本開示の例示的な実施形態としては、以下が挙げられる。
【0057】
実施形態1.硬化性組成物であって、
(a)カルボン酸の積分吸光度比が少なくとも0.015の全フッ素化ポリマーを含むペルフルオロエラストマーゴムと、
(b)少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物と、を含む組成物。
【0058】
実施形態2.化合物が、少なくとも2つのオキサゾール部分を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0059】
実施形態3.化合物が、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン及び1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンからなる群から選択される、実施形態2に記載の組成物。
【0060】
実施形態4.オキサゾールを含む化合物が、4,5−ジヒドロ−2−フェニルオキサゾール及び1,3,5−トリス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンからなる群から選択される、実施形態1に記載の組成物。
【0061】
実施形態5.全フッ素化ポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、及びペルフルオロアルキルアリルエーテルから選択されるモノマーに由来する共重合単位を含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【0062】
実施形態6.全フッ素化ポリマーが、臭素、ヨウ素及びニトリルのうちの少なくとも1つから選択される硬化部位を含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【0063】
実施形態7.金属及びリンを実質的に含まない、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【0064】
実施形態8.過酸化物硬化剤を更に含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0065】
実施形態9.過酸化物硬化剤が、ベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、並びにラウロイルペルオキシドのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態8に記載の組成物。
【0066】
実施形態10.1,3,5−トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,3,5−トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)のうちの少なくとも1つから選択される助剤を更に含む、実施形態8又は9に記載の組成物。
【0067】
実施形態11.カーボンブラック、黒鉛、クレイ、シリカ、タルク、珪藻土、酸化チタン、及び炭酸カルシウムのうちの少なくとも1つから選択される無機充填剤を更に含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の組成物。
【0068】
実施形態12.実施形態1〜11のいずれか1つに記載の組成物を含む、硬化物品。
【0069】
実施形態13.ホース、ガスケット、又はシールである、実施形態12に記載の硬化物品。
【0070】
実施形態14.ペルフルオロエラストマーゴムの硬化方法であって、
(a)(i)カルボン酸の積分吸光度比が少なくとも0.015の全フッ素化ポリマーを含むペルフルオロエラストマーゴム、及び(ii)少なくとも1つのオキサゾール部分を含む化合物、を含む混合物を提供することと、
(b)混合物を硬化剤と反応させることと、を含む、方法。
【0071】
実施形態15.フルオロエラストマーゴムが、金属及びリンを実質的に含まない、実施形態14に記載の方法。
【0072】
実施形態16.化合物が、少なくとも2つのオキサゾール部分を含む、実施形態14又は15に記載の方法。
【0073】
実施形態17.化合物が、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン及び4,5−ジヒドロ−2−フェニルオキサゾールからなる群から選択される、実施形態14〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態18.全フッ素化ポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、及びペルフルオロアルキルアリルエーテルのうちの少なくとも1つから選択されるモノマーに由来する共重合単位を含む、実施形態14〜17のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態19.硬化剤が、過酸化物から選択される、実施形態14〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態20.化合物が、少なくとも2つのオキサゾール部分を含む、実施形態14〜19のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態21.全フッ素化ポリマーが、臭素、ヨウ素及びニトリルのうちの少なくとも1つから選択される硬化部位を含む、実施形態14〜20のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態22.組成物が、金属及びリンを実質的に含まない、実施形態14〜21のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0079】
別段の記載がない限り、実施例及び明細書の残りの部分における、全ての部、パーセンテージ、比などは全て重量によるものであり、実施例で使用された全ての試薬は、例えば、Sigma−Aldrich Company(Saint Louis,Missouri)のような一般的な化学物質供給元から得られたか、若しくは入手可能であり、又は既存の方法によって合成し得る。
【0080】
以下の実施例において、次の略記を使用する。「phr」は100部のゴム当たりの部、「g」はグラム、「min」は分、「hr」は時間、「℃」は摂氏度、「MPa」はメガパスカル、及び「N−m」はニュートン・メートルである。
【表1】
【0081】
積分吸光度
【0082】
ペルフルオロエラストマー試料を、フーリエ変換赤外分光光度計を使用して分析し、積分吸光度比を決定した。下記表1に示すのは、分析1回当たり64スキャンによる、様々な波長範囲についての積分吸光度比である。
【0083】
2つの積分吸光度比を計算した。
【0084】
カルボニルの積分吸光度比を、1620〜1840cm
−1の積分ピーク強度を測定し、それを2220〜2740cm
−1の積分ピーク強度によって割り算することによって求めた。ニトリルのピーク(2232〜2277cm
−1)を検出した場合、それを、C−Fの倍音(2200〜2740cm
−1)から差し引き、比を求めた。
【0085】
カルボン酸の積分吸光度比を、1755〜1797cm
−1の積分ピーク強度を測定し、それを2220〜2740cm
−1の積分ピーク強度によって割り算することによって求めた。ニトリルのピーク(2232〜2277cm
−1)を検出した場合、それを、C−Fの倍音(2200〜2740cm
−1)から差し引き、比を求めた。
【表2】
【0086】
硬化レオロジー
【0087】
硬化レオロジー試験を、未硬化の配合試料を使用して、Alpha technologies(Akron,OH)から商品名PPA2000で販売されているレオメータにより、ASTM D5289−93aに従い、177℃、前加熱なし、経過時間15分、及び角度0.5度にて実施した。最小トルク(M
L)、及び平坦域又は最大トルク(M
H)が得られない場合は特定の期間中に到達した最も高いトルク(M
H)の両方を、測定した。また、トルクがM
Lを超え2単位増加する時間(t
s2)、トルクがM
L+0.1(M
H−M
L)に等しい値に到達する時間(t’10)、トルクがM
L+0.5(M
H−M
L)に等しい値に到達する時間(t’50)、及びトルクがM
L+0.9(M
H−M
L)に到達する時間(t’90)も測定した。結果を表2〜表5に報告する。
【0088】
成形及び圧縮永久歪み
【0089】
0.139インチ(3.5mm)の断面厚さのO−リング及び2.0mmの厚さのシートを、成形し、表中に記述したとおり、プレス硬化し、次いで後硬化した。ダンベル状試験片をシートから切り出し、ASTM D412−06a(2013)に開示されている手順と同様に、物理的特性試験に供した。O−リングを、ASTM395−89の方法Bに開示されている手順と同様に、圧縮永久歪み試験に供した(初期歪み25%)。結果を表2〜表4に報告する。
【0090】
配合
【0091】
200gのバッチを、表2〜表5に掲載したとおりの量の材料により、2本ロールミル上にて配合した。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0092】
上記表5に示すように、PBOは、トルクの増大によって示されるとおり、フルオロエラストマーの架橋の一助となる。
【0093】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、例示目的のために本出願において説明された実施形態に限定されるべきではない。