特許第6871189号(P6871189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871189シース接続管の接続構造、シース接続口の成形方法及びその成形方法に使用されるシース接続口成形用挿入具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871189
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】シース接続管の接続構造、シース接続口の成形方法及びその成形方法に使用されるシース接続口成形用挿入具
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/10 20060101AFI20210426BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20210426BHJP
   E01D 101/28 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   E04C5/10
   E01D1/00 D
   E01D101:28
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-45687(P2018-45687)
(22)【出願日】2018年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-157501(P2019-157501A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年11月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年1月12日にオリエンタル白石株式会社関東工場内で株式会社栗本鐵工所がシース接続口成形用挿入具、シース接続口の成形方法及びコンクリートセグメントの設置方法について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 政照
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛史
(72)【発明者】
【氏名】阪井 光尚
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3784923(JP,B2)
【文献】 特開2017−150543(JP,A)
【文献】 米国特許第05320391(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第105040910(CN,A)
【文献】 登録実用新案第3192711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/00−20
E01D 1/00−24/00
E01D 101/28
E04G 15/00
B28B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメントの端面において、対向する位置に埋め込まれる一対のシース接続管の開口端の内部にシース接続口成形用挿入具が挿入されるシース接続管の接続構造であって、
上記シース接続口成形用挿入具は、
少なくとも両端が上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、
上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きい
ことを特徴とするシース接続管の接続構造
【請求項2】
型枠を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメントの端面において、対向する位置に埋め込まれる一対のシース接続管の開口端の内部にシース接続口成形用挿入具が挿入されるシース接続管の接続構造であって、
上記シース接続口成形用挿入具は、
上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、
上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きく、
上記芯材は、外径が一定の円筒部材であり、長手方向中央部は、厚さの厚い第1弾性部材が巻き付けられ、長手方向両端部は、該第1弾性部材とは別の、厚さの薄い第2弾性部材が巻き付けられている
ことを特徴とするシース接続管の接続構造
【請求項3】
型枠を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメントの端面において、対向する位置に埋め込まれる一対のシース接続管の開口端の内部にシース接続口成形用挿入具が挿入されるシース接続管の接続構造であって、
上記シース接続口成形用挿入具は、
上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、
上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きく、
上記芯材は、外径が一定の円筒部材であり、円筒部材の長手方向中央部を含む外周を厚さが一定の第3弾性部材が巻き付けられ、長手方向中央部には、第3弾性部材の上からさらに第4弾性部材が巻き付けられている
ことを特徴とするシース接続管の接続構造
【請求項4】
型枠を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメントの端面において、対向する位置に埋め込まれる一対のシース接続管の開口端の内部にシース接続口成形用挿入具が挿入されるシース接続管の接続構造であって、
上記シース接続口成形用挿入具は、
両端が上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、
上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きく、
上記芯材は、長手方向中央部の外径が上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きくなるように膨出した円筒部材よりなり、該長手方向中央部以外の長手方向両端部には、弾性部材が巻き付けられている
ことを特徴とするシース接続管の接続構造
【請求項5】
型枠の両側にコンクリートセグメントを成形する際のコンクリートセグメントにシース接続口を成形するシース接続口の成形方法であって、
一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きいシース接続口成形用挿入具を用意する工程と、
上記シース接続口に対応する位置にシースを配管する工程と、
上記シース接続口成形用挿入具を上記型枠の上記シース接続口に対応する位置に嵌め込む工程と、
上記型枠の両側のシース接続管の一方の開口端を上記シース接続口成形用挿入具に挿入し、シース接続管の他方の開口端にシース本管をねじ込み、上記シース接続管の一方の開口端を上記シース接続口成形用挿入具の長手方向中央部の側面に当接させる工程と、
上記型枠にコンクリートを打設する工程と、
上記型枠から上記コンクリートセグメントを取り外す工程とを含む
ことを特徴とするシース接続口の成形方法。
【請求項6】
請求項5のシース接続口の成形方法に使用される
ことを特徴とするシース接続口成形用挿入具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シース接続管の接続構造、シース接続口の成形方法及びその成形方法に使用されるシース接続口成形用挿入具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレキャスト工法として、予め工場でコンクリートセグメントを製造し、これを現場で組み立て、接合するものが知られている。特に橋梁の場合、現場で組み立てた複数のコンクリートセグメントにPCケーブルを挿通し、引っ張ってストレスを与えた状態で接合される。
【0003】
このとき、各コンクリートセグメントには、PCケーブル挿通用のシースが埋設される。PCケーブルは、コンクリートセグメントを貫通するので、上記シースは開口端がコンクリートセグメントの端面に臨むように埋設される。そして、一対のコンクリートセグメントを、それぞれの端面のシース開口端が互いに連続するように配置し、連結されたシース内部にPCケーブルを挿通してグラウトを充填して一体化する。
【0004】
仕切板の端面等を仕切面として、この仕切面の両側又は片側の空間域にポストテンションブロック桁を成形する際における、ブロック桁接合面に設けられるシース接続口の成形方法が知られている。
【0005】
従来の方法では、仕切面に開口する導通孔のブロック桁成形空間域に配管されるシース接続管の開口端に、円柱状の中実ゴム部材を挿入し、この状態でコンクリートを打設するようにしている。ブロック桁成形の設計上、シースを斜めに設置する必要があり、コンクリート硬化後にブロック桁を仕切面から分離する際には、各コンクリートセグメントの重量が重く水平方向に分離することになる。すると、型枠に対して傾いて固定された中実ゴム部材と、水平に動くコンクリートの導通孔周縁とが干渉し、導通孔周縁に無理な力が加わって剥がれ損傷が発生し、補修の手間が生じるという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1のように、仕切面に開口する導通孔のブロック桁成形空間域に配管されるシース接続管の開口端に、接続シースを介して先端にシース外径よりも大きい広口部をもった接続管を接続し、この接続管の広口部内に内周面がリングにより補強された弾性体からなる環状圧着部材を挿着して、所定長さのガイドパイプを、一端が環状圧着部材の内側を通してシース内へ挿入されると共に、他端が仕切面における導通孔外側へ突出するように挿通配管し、接続管を仕切面方向へ移動して、環状圧着部材の開口端を仕切面に圧着保持させた状態で、仕切面の両側又は片側のブロック桁成形空間域にコンクリートを打設する方法が知られている。これにより、コンクリート硬化後にブロック桁を仕切面から分離する際に、仕切面と環状圧着部材開口端及びリングとの分離を円滑に行うことができ、ブロック桁の端面に、従来のこの種の方法によるようなコンクリートの剥がれ損傷のない美麗なシース接続導通口を形成することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3784923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、管状圧着部材が仕切面に押し付けられているだけで十分に固定されておらず、コンクリート打設の際など、力がかかるとずれやすい。特にシースの内部にガイドパイプを通さない場合には、シースの経路が途切れ、コンクリート打設後に、一部がコンクリートで塞がり、そのままではPC鋼線を挿通できなくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成でずれることなく確実にコンクリートの剥がれ損傷のないシース接続口を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、芯材の外周に弾性部材を巻き付けて適切な外径を有するシース接続口成形用挿入具を挿入するようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、型枠を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメントの端面において、対向する位置に埋め込まれる一対のシース接続管の開口端の内部に挿入されるシース接続口成形用挿入具を対象とし、
上記シース接続口成形用挿入具は、
上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、
上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きい構成とする。
【0012】
上記の構成によると、シース接続口成形用挿入具の外周に弾性部材が巻き付けられているので、弾性部材が適度に変形することで、コンクリートの打設後にシース接続口成形用挿入具がシース接続口周縁に引っ掛からずに外れやすい。このため、シース接続口周縁のコンクリートが剥がれない。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記芯材は、外径が一定の円筒部材であり、長手方向中央部は、厚さの厚い第1弾性部材が巻き付けられ、長手方向両端部は、該第1弾性部材とは別の、厚さの薄い第2弾性部材が巻き付けられている。
【0014】
上記の構成によると、外径が一定の円筒部材の外周に厚さの異なる弾性部材をそれぞれ巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具を容易に製造することができる。また、長手方向両端部の厚さの薄い第2弾性部材が一対のシース接続管と共に外れる場合には、シース接続口周縁のコンクリートがより剥がれにくくなる。
【0015】
第3の発明では、第1の発明において、
上記芯材は、外径が一定の円筒部材であり、円筒部材の長手方向中央部を含む外周を厚さが一定の第3弾性部材が巻き付けられ、長手方向中央部には、第3弾性部材の上からさらに第4弾性部材が巻き付けられている。
【0016】
上記の構成によると、外径が一定の円筒部材の外周に第3弾性部材を一巻きし、その上から長手方向中央部にもう一巻き第4弾性部材を巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具を容易に製造することができる。
【0017】
第4の発明では、第1の発明において、
上記芯材は、長手方向中央部の外径が上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きくなるように膨出した円筒部材よりなり、該長手方向中央部以外の長手方向両端部には、弾性部材が巻き付けられている。
【0018】
上記の構成によると、長手方向中央部の外径が大きくなっている円筒部材よりなる芯材の、外径の小さな両端部に弾性部材を巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具を容易に製造することができる。また、長手方向両端部の弾性部材が一対のシース接続管と共に外れる場合には、シース接続口周縁のコンクリートがより剥がれにくくなる。
【0019】
第5の発明では、型枠の両側にコンクリートセグメントを成形する際のコンクリートセグメントにシース接続口を成形するシース接続口の成形方法を前提とする。
【0020】
上記シース接続口の成形方法は、
一対のシース接続管の開口端の内径よりも小さな外径を有し、該一対のシース接続管の開口端に弾性部材が巻き付けられた状態で挿入される芯材を備え、上記型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径は、上記一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きいシース接続口成形用挿入具を用意する工程と、
上記シース接続口に対応する位置にシースを配管する工程と、
上記シース接続口成形用挿入具を上記型枠の上記シース接続口に対応する位置に嵌め込む工程と、
上記型枠の両側のシース接続管の一方の開口端を上記シース接続口成形用挿入具に挿入し、シース接続管の他方の開口端にシース本管をねじ込み、上記シース接続管の一方の開口端を上記シース接続口成形用挿入具の長手方向中央部の側面に当接させる工程と、
上記型枠にコンクリートを打設する工程と、
上記型枠から上記コンクリートセグメントを取り外す工程とを含む構成とする。
【0021】
上記の構成によると、シース本管をシース接続管に対してねじ込むときに、シース接続管がシース接続口成形用挿入具を押し付けるが、このシース接続口成形用挿入具の長手方向中央部の外径が大きくなった部分にシース接続管の一方の端部が当接してそれ以上進むことはない。また、シース接続口成形用挿入具の弾性部材が適度に変形するので、コンクリートの打設後にシース接続口成形用挿入具がシース接続口周縁に引っ掛からずに外れやすい。このため、シース接続口周縁のコンクリートが剥がれない。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、型枠の開口に挿入される長手方向中央部の外径を一対のシース接続管の開口端の内径よりも大きくしたことにより、簡単な構成でずれることなく確実にコンクリートの剥がれ損傷のないシース接続口を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本発明の実施形態に係るシース接続口成形用挿入具が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す端面図である。
図1B図1Aの一部拡大端面図である。
図2】本発明の実施形態に係るシース接続口成形用挿入具が型枠に固定された状態の概略を示す斜視図である。
図3】一方のシース接続口に中子が挿入された状態で他方のコンクリートセグメントに引き寄せる状態を示す断面図である。
図4】シース接続口に中子が挿入された状態で一対のコンクリートセグメントが突き合わせされた状態を示す断面図である。
図5A】シース接続管に本管等が接続された状態でコンクリートを打設した状態を模式的に示す断面図である。
図5B図5AのVB部拡大断面図である。
図5C図5AのVC部拡大断面図である。
図5D図5AのVD部拡大断面図である。
図6A】本発明の実施形態の変形例1に係るシース接続口成形用挿入具が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す断面図である。
図6B】本発明の実施形態の変形例2に係るシース接続口成形用挿入具が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す断面図である。
図6C】本発明の実施形態の変形例3に係るシース接続口成形用挿入具が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す断面図である。
図6D】本発明の実施形態の変形例4に係るシース接続口成形用挿入具が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
−シース接続口成形用挿入具の構造−
図5A図5Dに示すように、本発明の実施形態に係るシース接続口成形用挿入具10が挿入された状態でコンクリートを打設した状態を示す。図1Aにも示すように、シース接続管3は、コンクリートセグメント2の端面2aに開口端3aが臨むように埋設される。すなわち、型枠1を介して突き合わされた状態で成形される一対のコンクリートセグメント2の端面2aにおいて、一対のシース接続管3が型枠1の例えば円形の開口1aを挟んで対向する位置に埋め込まれる。型枠1の厚さは、例えば12mmである。このシース接続管3における端面2aと反対側には、同様にコンクリートセグメント2に埋設される長尺のシース本管5を差し込むための螺旋状の凹凸が形成された螺旋部3bが形成されている。このシース接続管3及びシース本管5は、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂成形品よりなるが、金属成形品等でもよい。コンクリート打設前のシース接続管3は、図5Aに示すように、長尺のシース本管5が鉄筋枠に必要に応じて勾配をもって固定されるので、コンクリートセグメント2の端面2aに対して垂直ではなく傾斜して埋め込まれる部分が含まれる。なお、シース本管5同士は、例えば、その外周をシースジョイント6で接続されることで、シース本管5同士の隙間が覆われている。図1A図5A及び図5Bに示すように、本発明の実施形態に係るシース接続口成形用挿入具10は、型枠1の開口1aに挿入され、一対のシース接続管3の開口端3aに接続される。
【0026】
図1Bにも拡大して示すように、シース接続口成形用挿入具10は、一対のシース接続管3の開口端3aに弾性部材としてのゴムシート13が巻き付けられた状態で挿入される。具体的には、シース接続口成形用挿入具10は、一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも小さな外径D2を有し(D2<D1)、これら一対のシース接続管3の開口端3aに第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bが巻き付けられた状態で挿入される芯材11を備えている。この芯材11は、外径D2が一定の円筒部材、例えば塩ビ管や板厚の薄い金属パイプで構成されている。第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bの厚さは特に限定されないが、例えば、第1弾性部材13aの厚さが5mmで第2弾性部材13bの厚さが2mmである。芯材11の両端部内面には、面取り11aが形成されていてもよい。第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bは、予め円筒状に成形されたものでもよいし、帯状のものを円筒状に巻いてその外周にビニルテープ等を貼り付けたものでもよい。
【0027】
ゴムシート13は、例えば、巻きやすい幅及び厚さを有するゴム部材よりなり、芯材11とゴムシート13との間には、両者の摩擦抵抗を低減する、洗剤、油、グリースなどの摩擦低減手段としての潤滑剤が塗布されているのが望ましい。なお、摩擦低減手段として、潤滑剤以外でゴムシート13が芯材11から抜けやすくする工夫を加えてもよい。例えば、接触面積の低減のためゴムシート13の内径を芯材11の外径に対し若干大きく設定してもよい。また、摩擦係数の低いゴムシート13又は芯材11を使用したり、ゴムシート13又は芯材11に摩擦を低減するコーティング等の表面加工を行ったりしてもよい。
【0028】
そして、型枠1の開口1aに挿入される長手方向中央部の第1弾性部材13aの外径D3は、一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも大きい(D3>D1)。第1弾性部材13aの幅は、例えば、型枠1の厚さよりも広く、図1Aに示すように、シース接続口成形用挿入具10を傾けて開口1aに挿入したときでも、出っ張り部分の長さが、型枠1の厚さよりも長くなるのが望ましい。
【0029】
芯材11の両端部の第2弾性部材13bが巻き付けられた部分の外径D4は、一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも小さい(D4<D1)。このゴムシート13が巻かれた状態のシース接続口成形用挿入具10の外径D4が、シース接続管3の最小内径よりも若干小さいようにすると、シース接続管3に挿入しやすく、ぐらつきにくい。
【0030】
このように芯材11は、外径D2が一定の円筒部材であり、長手方向中央部は、厚さの厚い第1弾性部材13aが巻き付けられ、長手方向両端部は、この第1弾性部材13aとは別の、厚さの薄い第2弾性部材13bが巻き付けられている。
【0031】
−シース接続口の成形方法−
次いで、型枠1の両側にコンクリートセグメント2を成形する際のコンクリートセグメント2にシース接続口20を成形する、シース接続口20の成形方法について説明する。
【0032】
まず、準備工程おいて、ゴムシート13が芯材11に巻き付けられた上記シース接続口成形用挿入具10を用意する。なお、芯材11にゴムシート13を巻き付ける前に、芯材11とゴムシート13との間に両者の摩擦抵抗を低減する潤滑剤を塗布してもよい。
【0033】
次に、図5Aに示すように、所定の間隔で鉄筋(図示せず)が配筋された型枠1の設置を行う。このときに、型枠1の開口1aにシース接続口成形用挿入具10を挿入して嵌め込んでおく。
【0034】
次いで、シース接続口20に対応する位置にシース本管5を配管する。
【0035】
次いで、シース本管5の端部にシース接続管3を接続する。又は配管前にシース本管5の端部にシース接続管3を接続しておく。シース本管5とシース接続管3とは、螺旋溝同士の嵌合であるため、相対的に回転させながら接続される。図5Dに示すように、シース本管5同士の外周をシースジョイント6で適宜接続してシース本管5同士の隙間を覆う。
【0036】
次いで、シース接続管3の開口端3aを、対応するシース接続口成形用挿入具10に挿入して接続する。このとき、ゴムシート13は適度な弾性と厚さを有して変形しやすいので、シース接続口成形用挿入具10を開口端3aに圧入しやすい。本実施形態では、シース本管5をシース接続管3に対してねじ込むときに、シース接続管3がシース接続口成形用挿入具10を押し付ける場合もあるが、このシース接続口成形用挿入具10の長手方向中央部の外径D3が大きくなった部分にシース接続管3の一方の端部が当接してそれ以上進むことはない。
【0037】
次いで、シース内部にPC鋼線のスペースを確保するためのガイドパイプ4(図1Aに2点鎖線で示す)を挿入する。このガイドパイプ4は、例えば、架橋ポリエチレン管よりなり、その外径がシース接続管3の内径と近いときには、ゴムシート13及び芯材11の厚さをできるだけ薄くしてガイドパイプ4が通過しやすいようにするとよい。また、芯材11に面取り11aが設けられていると、ガイドパイプ4を挿入しやすい。
【0038】
次いで、型枠1にコンクリートを打設する。
【0039】
そして、コンクリートが固まった後、型枠1からコンクリートセグメント2を取り外す。このコンクリートセグメント2を取り外す工程において、第2弾性部材13bが芯材11から外れる。この第2弾性部材13bが外れなかったとしても、ゴムシート13そのものが適度な弾性及び厚さを有して変形しやすいので、コンクリートが剥がれにくい。なお、型枠1の両側から一対のコンクリートセグメント2を取り外したときに、同時にシース接続口成形用挿入具10がコンクリートセグメント2から外れてもよいし、第2弾性部材13bのみが外れてもよい。
【0040】
次いで、図3に示すように、シース接続口成形用挿入具10を取り外してできた一方のコンクリートセグメント2におけるシース接続口20に中子21を挿入する。このとき、コンクリートセグメント2の端面2aに接着剤22が塗布される。接着剤22の種類は特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂系の接着剤、モルタル等である。
【0041】
そして、図4に示すように、中子21を他方のコンクリートセグメント2のシース接続口20に挿入するように、一対のコンクリートセグメント2を突き合わせる。このとき、シース接続口成形用挿入具10の長手方向中央部の外径D3が大きくなった部分に対応するシース接続口20の外径が少し大きくなっているので、中子21が引っ掛かりにくい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態では、シース接続口成形用挿入具10の外周に第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bが巻き付けられているので、これらの第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bが適度に変形することで、コンクリートの打設後にシース接続口成形用挿入具10がシース接続口20周縁に引っ掛からずに外れやすいので、シース接続口20周縁のコンクリートが剥がれない。
【0043】
また、コンクリートの打設後に型枠1からコンクリートセグメント2を外す際に潤滑剤の作用により芯材11からゴムシート13が外れやすいので、シース接続口20周縁のコンクリートが剥がれない。
【0044】
本実施形態では、外径が一定の円筒部材の外周に厚さの異なる第1弾性部材13a及び第2弾性部材13bをそれぞれ巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具10を容易に製造することができる。
【0045】
したがって、本実施形態に係るシース接続管3によれば、簡単な構成でずれることなく確実にコンクリートの剥がれ損傷のないシース接続口20を形成することができる。
【0046】
−変形例1−
図6Aは本発明の実施形態の変形例1に係るシース接続口成形用挿入具110を示し、ゴムシート13の構成が異なる点で上記実施形態と異なる。なお、以下の変形例では、図1A図5Dと同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0047】
芯材11は、上記実施形態と同様に外径D2が一定の円筒部材であり、円筒部材の長手方向中央部を含む外周のほぼ全体に厚さが一定の第3弾性部材113aが巻き付けられている。さらに、長手方向中央部には、第3弾性部材113aの上からさらに第4弾性部材113bが巻き付けられている。
【0048】
第3弾性部材113a及び第4弾性部材113bの厚さは特に限定されないが、例えば、第3弾性部材113aの厚さが2mmで、第4弾性部材113bの厚さが2mmや3mmである。
【0049】
本実施形態では、外径D2が一定の円筒部材よりなる芯材11の外周に第3弾性部材113aを一巻きし、その上から長手方向中央部にもう一巻き第4弾性部材113bを巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具110を容易に製造することができる。
【0050】
−変形例2−
図6Bは本発明の実施形態の変形例2に係るシース接続口成形用挿入具210を示し、芯材211及びゴムシート13の構成が異なる点で上記実施形態と異なる。
【0051】
すなわち、本変形例の芯材211は、長手方向中央部に両端部よりも外径が大きくなるように膨出部211aが形成されている。この膨出部211aには、一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも大きな外径D3となるように、第5弾性部材213aが巻き付けられている。両端部には、上記実施形態と同様の第2弾性部材13bが巻き付けられている。例えば、芯材211の膨出部211aが他の部位よりも2mm程度高くなっており、第5弾性部材213aが第2弾性部材13bと同じ厚さの2mmとする。そうすれば、第5弾性部材213aと第2弾性部材13bとで同じ厚さのゴムシートを利用できる。
【0052】
本実施形態では、長手方向中央部の膨出部211aと、両端部とにそれぞれ同じ厚さのゴムシートを巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具210を容易に製造することができる。また、長手方向両端部の第2弾性部材13bが一対のシース接続管3と共に外れる場合には、シース接続口20周縁のコンクリートがより剥がれにくくなる。
【0053】
−変形例3−
図6Cは本発明の実施形態の変形例3に係るシース接続口成形用挿入具310を示し、第1弾性部材313aの形状が異なる点で上記実施形態と異なる。
【0054】
第1弾性部材313aにおける、型枠1の開口1aに嵌め込まれる部分には、全周にわたって凹溝313bが形成されている。
【0055】
本実施形態では、型枠1の開口1aにシース接続口成形用挿入具310を挿入するときに、厚さの厚い第1弾性部材313aが変形するので、型枠1の開口1a周縁が第1弾性部材313aの凹溝313bにきっちりと嵌まり込む。また、長手方向両端部の第2弾性部材13bが一対のシース接続管3と共に外れる場合には、シース接続口20周縁のコンクリートがより剥がれにくくなる。
【0056】
−変形例4−
図6Dは本発明の実施形態の変形例4に係るシース接続口成形用挿入具410を示し、芯材411の形状が異なる点で上記実施形態と異なる。
【0057】
すなわち、本変形例の芯材411は、長手方向中央部の外径D3が一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも大きくなるように膨出した円筒部材よりなり、この長手方向中央部以外の長手方向両端部には、一対のシース接続管3の開口端3aの内径D1よりも小さな外径D4となるように、第2弾性部材13bのみが巻き付けられている。
【0058】
本実施形態では、長手方向中央部の外径D3が大きくなっている芯材11の、外径D2が小さな両端部に第2弾性部材13bを巻き付けるだけで、シース接続口成形用挿入具410を容易に製造することができる。また、長手方向両端部の第2弾性部材13bが一対のシース接続管3と共に外れる場合には、シース接続口20周縁のコンクリートがより剥がれにくくなる。
【0059】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0060】
すなわち、上記実施形態では、シース接続管3の開口端3aの内径を他の部位に対して大幅には大きくしていないが、例えば、ラッパ形状に外径を徐々に大きくするようにしてもよい。そうすれば、コンクリートセグメント2の引き離すときに、よりシース接続口成形用挿入具が抜きやすくなる。また、コンクリートセグメント2を工事現場で設置する場合にも、シース接続管に内挿する接続具が嵌めやすくなって施工が容易となる。この場合、ラッパ形状の開口端3aが当接するように、長手方向中央部の外径D3を大きくすればよい。
【0061】
上記実施形態では、ゴムシートを芯材11の全周に巻いているが、一部芯材が露出していてもよい。また、シース接続口成形用挿入具の長手方向中央部は、全周にわたって両端部よりも外径が大きくなるようにしているが、少なくとも一部が盛り上がっていてシース接続管3の開口端3aが当接するように構成されていればよい。但し、開口端3a周縁からコンクリートが内部に入り込むのを防止する意味では、盛り上がった部分は、連続しているのが望ましい。
【0062】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 型枠
1a 開口
2 コンクリートセグメント
2a 端面
3 シース接続管
3a 開口端
3b 螺旋部
4 ガイドパイプ
5 シース本管
6 シースジョイント
10 シース接続口成形用挿入具
11 芯材
11a 面取り
13 ゴムシート(弾性部材)
13a 第1弾性部材
13b 第2弾性部材
20 シース接続口
21 中子
22 接着剤
110 シース接続口成形用挿入具
113a 第3弾性部材
113b 第4弾性部材
210 シース接続口成形用挿入具
211 芯材
213a 第5弾性部材
310 シース接続口成形用挿入具
313a 第1弾性部材
313b 凹溝
410 シース接続口成形用挿入具
411 芯材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D