(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871202
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】シャッタ装置及びシャッタ片
(51)【国際特許分類】
A23P 20/20 20160101AFI20210426BHJP
A21C 11/10 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A23P20/20
A21C11/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-128067(P2018-128067)
(22)【出願日】2018年7月5日
(65)【公開番号】特開2020-5531(P2020-5531A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115924
【氏名又は名称】レオン自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】近藤 泰範
(72)【発明者】
【氏名】橋本 滋
(72)【発明者】
【氏名】大平落 毅
【審査官】
川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−190011(JP,A)
【文献】
特許第3016246(JP,B2)
【文献】
特許第3688254(JP,B2)
【文献】
実開平1−112693(JP,U)
【文献】
中国特許出願公開第107535550(CN,A)
【文献】
中国実用新案第207040675(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 10/00−30/40
A21C 1/00−15/04
A23G 1/00− 9/52
B26D 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えると共に、各シャッタ片における成形面によって囲繞された多角形状の開口部を閉じる方向に押圧付勢するリング状の弾性部材を備えたシャッタ装置であって、
各シャッタ片は、前記成形面と平行な方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面と対向する対向面を備え、前記延伸部本体の基端部側に、弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してあること特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタ装置において、シャッタ片における延伸部本体の先端部に、隣接するシャッタ片における成形面と対向する対向面から屈曲突出した突出部を備え、この突出部に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備えると共に、隣接したシャッタ片における成形面に備えた凸条部と係合する係合凹部を備え、この係合凹部の底部は、前記対向面と同一平面に形成してあることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッタ装置において、各シャッタ片における延伸部本体の先端側に、隣接したシャッタ片における延伸部本体の側面に形成した長手方向の摺動部に沿って摺動自在な拘束摺動部材を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項4】
正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備え、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してあることを特徴とするシャッタ片。
【請求項5】
正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接するシャッタ片における成形面に対向する対向面から屈曲突出した突出部を備え、この突出部に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備えると共に、隣接したシャッタ片における成形面に備えた凸条部と係合する係合凹部を備え、この係合凹部の底部は、前記対向面と同一平面に形成してあり、
前記延伸部本体の基端部側に、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してあることを特徴とするシャッタ片。
【請求項6】
正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接するシャッタ片における成形面に対向する対向面を備え、この対向面の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備えると共に、隣接したシャッタ片における成形面に備えた凸条部と係合する係合凹部を備え、
前記延伸部本体の基端部側に、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してあることを特徴とするシャッタ片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包被切断装置におけるノズルから吐出される棒状の食品生地を包被切断する
シャッタ装置
及びシャッタ片に関する。さらに詳細には、互に隣接して摺接する各シャッタ片の摺接部の僅かな間隙内に、食品生地の一部が入り込むことを防止することができ
るシャッタ装置
及びシャッタ片に関する。
【背景技術】
【0002】
食品生地の包被切断を行うシャッタ装置には、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿ってシャッタ片を移動自在に備えた構成のシャッタ装置がある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3016246号公報
【特許文献2】特許第3688254号公報
【特許文献3】特許第5002231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備え、各シャッタ片における成形面によって囲繞された多角形状の開口部を開閉自在に備えたシャッタ装置が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の構成においては、互に隣接したシャッタ片を、結合部材によって摺動自在に結合しているものの、隣接して接触したシャッタ片の成形面との摺接部における微少間隙に、例えば魚粉等の微細骨等の食品生地の極く一部が入り込み、各シャッタ片に摩耗を生じることがある。
【0006】
そこで、特許文献2に記載のように、シャッタ片の先端側に偏心ピンを備えて、各シャッタ片の先端側の微少間隙を調節する構成が提案されている。
【0007】
さらに、特許文献3に記載のように、隣接した各シャッタ片を常に押圧接触状態に保持して開閉動作を行うように、各シャッタ片の外端部にエンドレス状の弾性部材を掛回した構成が記載されている。特許文献3に記載の構成によれば、弾性部材の付勢力によって、隣接したシャッタ片の成形面と摺動面は常に接触されるように付勢されている。したがって、互に隣接したシャッタ片の接触面に微少間隙を生じることが抑制されて望ましいものである。
【0008】
しかし、特許文献3に記載の構成においては、回動軸に備えた摺動部に沿って摺動自在な各シャッタ片は、摺動方向に平行に延伸した形態である。そして、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の中央開口が大きい場合(例えば、特許文献3の
図3,4参照)、弾性部材の付勢力によってシャッタ片に作用する、隣接したシャッタ片の成形面に押圧接触しようとするモーメントは比較的大きなものである。しかし、開口部が次第に小さくなると(同、
図5,6参照)、隣接したシャッタ片の成形面に押圧接触しようとするモーメントは次第に小さくなる。
【0009】
したがって、特許文献3に記載の構成においては、開口部が小さくなると、隣接したシャッタ片における接触部が僅かに開くことがある。そして、この僅かに開いた間隙内に食品生地の一部が入り込むことがある。よって、シャッタ装置の改良が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えると共に、各シャッタ片における成形面によって囲繞された多角形状の開口部を閉じる方向に押圧付勢するリング状の弾性部材を備えたシャッタ装置であって、
各シャッタ片は、前記成形面と平行な方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面と対向する対向面を備え、前記延伸部本体の基端部側に、弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してある。
【0012】
また、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備え、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してある。
【0013】
また、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接するシャッタ片における成形面に対向する対向面から屈曲突出した突出部を備え、この突出部に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備えると共に、隣接したシャッタ片における成形面に備えた凸条部と係合する係合凹部を備え、この係合凹部の底部は、前記対向面と同一平面に形成してあ
り、前記延伸部本体の基端部側に、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してある。
【0014】
また、正多角形の位置に配置した各回動軸に備えられた揺動ガイド部に沿って移動自在なシャッタ片を備え、各シャッタ片の先端側を、隣接したシャッタ片における成形面に摺接して備えたシャッタ装置に使用するシャッタ片であって、
前記揺動ガイド部に沿って移動される移動方向に延伸した延伸部本体を備え、この延伸部本体の先端側に、隣接するシャッタ片における成形面に対向する対向面を備え、この対向面の先端側に、隣接したシャッタ片における成形面に摺接する摺接面を備えると共に、隣接したシャッタ片における成形面に備えた凸条部と係合する係合凹部を備え
、前記延伸部本体の基端部側に、各シャッタ片の成形面によって囲繞された多角形の開口部を閉じる方向に各シャッタ片を押圧付勢するリング状の弾性部材を掛回すための掛回部を、延伸部本体の長手方向に対して屈曲した方向へ突出してある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャッタ装置における開口部が次第に小さくなると、リング状の弾性部材の付勢力に起因するシャッタ片の回転力が次第に大きくなるものである。すなわち、開口部が次第に小さくなると、隣接したシャッタ片の接触圧が次第に大きくなる。したがって、前述したごとき問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るシャッタ装置の構成を概念的、概略的に示した作用説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシャッタ装置の構成を概念的、概略的に示した作用説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシャッタ装置の構成を概念的、概略的に示した作用説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るシャッタ装置の構成を概念的、概略的に示した作用説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るシャッタ片の構成を示す斜視説明図である。
【
図7】
図6におけるVII−VII方向から見た側面図である。
【
図8】
図6におけるVIII−VIII方向から見た側面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るシャッタ片の構成を示す斜視説明図である。
【
図10】第2の実施形態に係るシャッタ片の正面説明図で、一部破断して示してある。
【
図11】
図10に示したシャッタ片を右側から見た側面図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係るシャッタ片の構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。ところで、包被切断装置の全体的構成は、前記特許文献1,2,3に記載されているように、既によく知られた構成である。したがって、包被切断装置についての全体的構成の説明は省略し、主要部分の構成について説明する。
【0018】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るシャッタ装置1は、正多角形の位置に配置した各回動軸3を備えている。上記回動軸3において、1個の回動軸は、前記特許文献1〜3に記載の構成と同様に、適宜の回動用アクチュエータ(図示省略)に連動連結してある。そして、各回動軸3は、同時に同方向へ連動して回動するように連動連結してある。なお、各回動軸3は連動すればよいものであるから、連動する構成についての説明は省略する。
【0019】
前記回動軸3の上部には、回動軸3の長手方向に対して直交する方向に長い揺動ガイド部5が一体的に備えられている。そして、この揺動ガイド部5には、シャッタ片7における延伸部本体9が摺動自在に備えられている。すなわち、延伸部本体9は、食品生地を包被切断するための多角形状の開口部11を形成する成形面13を備えている。そして、延伸部本体9の先端側には、隣接したシャッタ片7における成形面13と対向する対向面15が形成してある。上記対向面15は、当該シャッタ片7における成形面13と鋭角をなすように傾斜してある。
【0020】
前記延伸部本体9は、前記成形面13の長手方向と平行な方向に延伸してある。そして、延伸部本体9には、延伸方向(成形面13の長手方向)と平行な長孔17が形成してある。この長孔17内には、前記揺動ガイド部5のガイド面5Gが摺動自在に係合してある。換言すれば、長孔17内に揺動ガイド部5が相対的に移動可能に嵌合してある。
【0021】
前記シャッタ片7における延伸部本体9には、前記成形面13の長手方向と平行な凸条の摺動部19が備えられている。そして、この摺動部19には、隣接したシャッタ片7における延伸部本体9の先端側に備えた拘束摺動部材21が摺動自在に係合してある。この拘束摺動部材21は、隣接したシャッタ片7における成形面13と対向面15とが離反することを規制する機能を奏するものである。
【0022】
前記拘束摺動部材21は、微少位置を調節して、隣接したシャッタ片7における成形面13と対向面15との間の微少間隙を調節可能に構成されている。すなわち、前記特許文献2に記載された偏心ピンと同様の偏心ピン23が拘束摺動部材21に備えられている。なお、偏心ピン23によって拘束摺動部材21の位置を調節する構成は、前記特許文献2に記載されているように、既に知られた構成である。したがって、偏心ピン23によって拘束摺動部材21の位置を調節する構成についての詳細な説明は省略する。
【0023】
隣接した各シャッタ片7における成形面13に対して、各シャッタ片7の対向面15を押圧付勢するために、各シャッタ片7には、エンドレス状のOリングなどのごとき弾性部材25を掛回すための掛回部27が長手方向に対して屈曲突出して備えられている。この掛回部27における突出部の外周には、弾性部材25を引っ掛ける溝27Gが形成してある。前記掛回部27は、シャッタ片7における延伸部本体9の基端部側に備えられている。
【0024】
より詳細には、前記掛回部27は、延伸部本体9の長手方向(長孔17の長手方向と平行な方向)の先端側に備えた対向面15の反対側(基端部側)であって、成形面13の反対側方向へ屈曲し突出して備えられている。換言すれば、シャッタ片7は、延伸部本体9の基端部に掛回部27を屈曲突出して備えたことにより、シャッタ片7の全体的構成はほぼL形状を呈することになる。
【0025】
上記構成により、
図1に示すように、開口部11を大きく開いた状態においては、開口部11の中心Oと回動軸3の中心Pとを結ぶ直線L1と、回動軸3の中心Pと掛回部27において弾性部材25を掛回した部分の突出端付近Qとを結ぶ直線L2はほぼ一直線を呈することになる。したがって、弾性部材25が縮小しようとする付勢力によって、開口部11を小さくすべく各シャッタ片7を回転する回転力は小さなものである。
【0026】
そして、
図2〜
図4に示すように、開口部11が小さくなるに従って、前記直線L1と直線L2とのなす角度は次第に小さくなる。換言すれば、弾性部材25の付勢力によって、回動軸3を中心として、開口部11を小さくする方向へ各シャッタ片7を回動する回転力は次第に大きくなる。したがって、シャッタ片7における成形面13が隣接したシャッタ片7における対向面15を押圧する押圧力は、開口部11が小さくなるに従って次第に大きくなる。
【0027】
よって、隣接したシャッタ片7における成形面13と対向面15との間の間隙が大きくなることを効果的に防止できるものである。
【0028】
図5,6を参照するに、シャッタ片7における延伸部本体9の先端側には、隣接するシャッタ片7における延伸部本体9の成形面13と対向する前記対向面15が形成してある。そして、シャッタ片7の延伸部本体9における前記成形面13と対向面15とが交差する先端部には、対向面15に対して屈曲した形態でもって突出した突出部29が備えられている。
【0029】
この突出部29における端面29A〜29Fは、隣接したシャッタ片7における成形面13と摺接する摺接面に形成してある。前記摺接面29Dは、摺接面29Cと摺接面29Eとの間に係合凹部31を形成することによって形成されている。この係合凹部31の底部、すなわち摺接面29Dは、前記対向面15と同一平面に形成してある(
図5には、同一平面であることを示すために、クロスハッチングでもって表示してある)。
【0030】
前記成形面13の形状は、隣接したシャッタ片7における前記摺接面29A〜29Fと摺接する形状に形成してある。したがって、成形面13の幅方向の中央部には、前記係合凹部31に摺動自在に係合する凸条部33が備えられている。
【0031】
上記構成により、各シャッタ片7を、
図1に示すように組合わせると、隣接したシャッタ片7の成形面13とシャッタ片7における突出部29の先端面(摺接面)29A〜29Fとが面接触することになる。この際、摺接面29Dは対向面15と同一平面に形成してあるから、隣接したシャッタ片7に備えた凸条部33は、摺接面29D及びこの摺接面29Dの延長線上において対向面15と面接触することになる。
【0032】
したがって、シャッタ片7においては、突出部29の端面29A〜29Fと、隣接したシャッタ片7の凸条部33と摺動する部分において面接触することになる。よって、対向面15側の面接触部分はT形状を呈することになる。
【0033】
以上のごとき説明から理解されるように、シャッタ片7の成形面13は、隣接したシャッタ片7における突出部29の摺接面29A〜29Fと面接触し、成形面13に備えた凸条部33は、摺接面29D及び摺接面29Dの延長上において対向面15と面接触するものである。そして、凸条部33の存在により、成形面13と対向面15は全面的に面接触することなく適正な間隙が保持される。
【0034】
したがって、対向面15の先端部が成形面13に線接触する場合に比較して、先端部の摩耗が抑制されるものである。また、シャッタ片7における凸条部33は、隣接したシャッタ片7における先端面に形成した係合凹部31に係合し、かつ上記係合凹部31の延長線上における長い範囲に亘って対向面15に接触している。したがって、隣接したシャッタ片7が開口部11の軸方向に微動することを防止できる。よって、各シャッタ片7の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0035】
また、前述したように、開口部11が小さくなると、シャッタ片7における成形面13を隣接したシャッタ片7における対向面15側へ押圧する押圧力が強くなる。加えて、成形面13と対向面15との接触は、突出部29の端面29A〜29Fにおいて面接触するものである。したがって、隣接したシャッタ片7における成形面13と対向面15との間の微少間隙に、食品生地の極く一部が入り込むことを防止できるものである。
【0036】
図9〜
図11は、本発明の第2の実施形態に係るシャッタ片7Aを示すものである。このシャッタ片7Aにおいて、前述したシャッタ片7の構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0037】
この第2の実施形態に係るシャッタ片7Aにおいては、前述したシャッタ片7における摺接面29A〜29Fと同様の摺接面(機能は同一であるから符号は同一に示してある)を、対向面15における先端側に備えている。そして、前記摺接面29A〜29Fと成形面13との間の角度θ1(
図10参照)は、対向面15に形成した摺接面29A〜29Fの延長面29A1〜29F1と成形面13との間の角度θ2より僅かに大きな角度に形成してある。
【0038】
したがって、シャッタ片7Aにおいては、摺接面29A〜29Fが隣接したシャッタ片7Aの成形面13と面接触し摺動するものである。そして、延長面29A1〜29F1と隣接したシャッタ片7Aの成形面13との間には僅かな間隙が存在するものである。したがって、突出部29における端面29A〜29Fの面圧がより大きくなる。よって、隣接したシャッタ片7Aにおける成形面13と対向面との間に、食品生地の一部が入りこむことを、より効果的に防止することができるものである。
【0039】
図12は、本発明の第3の実施形態に係るシャッタ片7Bを示すものである。このシャッタ片7Bにおいて、前述したシャッタ片7の構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0040】
このシャッタ片7Bにおいては、突出部29に形成した係合凹部31の構成が、前記シャッタ片7の構成と異なっている。すなわち、前記シャッタ片7においての係合凹部31の底部、すなわち摺接面29Dは対向面15と同一平面に形成してある。しかし、本実施形態においては、係合凹部31における摺接面29Dは、対向面15の平面よりも僅かに高く形成してある。
【0041】
したがって、隣接したシャッタ片7Bに備えた凸条部33は、対向面15から僅かに離れた状態に保持される。したがって、前述したシャッタ片7Aと同様に突出部29における端面29A〜29Fの面圧がより大きくなる。よって、当該シャッタ片7Bにおいても、前述したシャッタ片7Aと同様の効果を奏するものである。また、当該シャッタ片7Bの対向面15は平面であり、加工が容易になるという利点がある。
【符号の説明】
【0042】
1 シャッタ装置
3 回動軸
5 揺動ガイド部
7 シャッタ片
9 延伸部本体
11 開口部
13 成形面
15 対向面
17 長孔
19 摺動部
21 拘束摺動部材
23 偏心ピン
25 弾性部材
27 掛回部
29 突出部
29A,29B,29C,29D,29E,29F 端面(摺接面)
31 係合凹部
33 凸条部