(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カートリッジを収容するように適合された、遠位端及び近位端を有する自動注射器であって、前記カートリッジは、バレルと、針と、プランジャ封止材を含むプランジャアセンブリと、を含み、前記カートリッジは、長手軸を画定する、前記自動注射器であって、
ハウジングと、
前記カートリッジの少なくとも一部分を収容するように適合されたカートリッジ搬送体であって、前記ハウジングに対して、前記カートリッジの前記長手軸に平行な方向に動くように配置された前記カートリッジ搬送体と、
前記カートリッジ搬送体に対して動くように配置されたプランジャ搬送体であって、前記プランジャアセンブリの少なくとも一部に向かい合うと共に前記プランジャ封止材に軸方向移動を与えるように配置された細長いプランジャロッドと、ボアとを含む、前記プランジャ搬送体と、
前記プランジャ搬送体と結合された、細長い駆動装置であって、前記プランジャ封止材に軸方向移動を付与するために、前記プランジャロッドを、前記カートリッジ搬送体に対して、前記カートリッジの前記長手軸に平行な方向であって前記遠位端に向かう方向に動かすように、前記プランジャ搬送体の前記ボア内に配置された前記細長い駆動装置と、
前記カートリッジを前記カートリッジの前記長手軸に平行な方向であって前記遠位端に向かう方向に前進させるために、前記プランジャロッドと前記カートリッジ搬送体を動かすように配置された駆動機構と、
を備える自動注射器。
前記プランジャロッドは、前記プランジャ封止材が軸方向に移動している間において、前記プランジャロッドが前記カートリッジの長手軸に平行な方向に移動している間、少なくとも部分的に前記バレル内に配置される、
請求項2に記載の自動注射器。
前記少なくとも1つの伝達装置は、前記プランジャ搬送体を前記カートリッジ搬送体と結合する為に、前記プランジャ搬送体及び前記カートリッジ搬送体の両方の前記開口内に配置されている、
請求項5に記載の自動注射器。
前記細長い駆動装置は、前記プランジャ搬送体に結合されたラックを含み、前記トランスミッションアセンブリは、前記ラックに係合して運動を与えるように配置されたピニオンギアを有する、
請求項4に記載の自動注射器。
前記細長い駆動装置は、モータによって回転するように取り付けられたねじ山付き駆動ねじを含み、前記プランジャ搬送体の前記ボアは、前記駆動ねじと係合するように配置されたトレッド面を含む、
請求項1に記載の自動注射器。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、薬剤送達の為の自動注射装置に関する。本自動注射装置の構成要素は、機能が繰り返し可能であるように構成され、本自動注射器は、シリンジなどの様々な薬剤容器をカートリッジとして受け入れるように設計される。本開示の目的の都合上、「カートリッジ」という用語は、プランジャ封止材の移動によって薬剤をバレルから投与する為のプランジャロッドを含むシリンジと、プランジャ封止材を作動させるプランジャロッドを含まない薬剤収容バレルと、の両方を総称して指すものとする。
【0027】
本発明の自動注射器は、使い捨ての装置であってよいが、好ましくは、再利用可能な自動注射器として利用される。より具体的には、本発明の実施形態は、電気機械式自動注射装置に関し、この自動注射装置は、モータで駆動される駆動機構を利用し、交換可能な注射シリンジが組み込まれ、注射の為の、カートリッジの準備及び位置合わせを行うステップと、安全キャップ又は針シールドを取り外すステップと、針挿入を行うステップと、薬剤用量送達を行うステップと、シリンジ及び/又は針を引き込むステップと、のうちの1つ以上を実施する。本発明の自動注射器への、駆動制御機構の新規な組み込みにより、単一のモータ/トランスミッションアセンブリで複数の構成要素の機能を駆動することが可能になり、これによって、装置の機能性が単純化され、再利用可能な自動注射器の信頼性、操作性、及び製造コストが改善される。本発明は又、自動注射装置の駆動機構、そのような装置の製造方法、及びそれらの使用方法に関する。更に、任意選択で、本自動注射器は、ユーザへの針挿入及び薬剤用量送達の前に薬剤用量の一部をリザーバに費やすことなどにより、用量体積を調節するように構成されてよい。
【0028】
駆動機構、自動注射器、カートリッジ、又は、本発明の構成要素の任意の相対位置を説明する為に本明細書で使用されている、「軸方向の」又は「軸方向に」という用語は、再利用可能な自動注射器が好ましくはその周りに位置する長手軸「A」を大まかに指すが、その自動注射器は、必ずしもその周りに対称に位置するわけではない。「近位の」、「後方の」、「後方へ」、「後ろの」、又は「後ろへ」という用語は、プランジャロッド又はトランスミッションアセンブリの方向の軸方向を大まかに指す。「遠位の」、「前方の」、「前方へ」、「押下された」、又は「前へ」という用語は、針又は強固な針シールドの方向の軸方向を大まかに指す。「横方向に」という用語は、長手軸「A」に垂直な平面の方向を指す。「半径方向の」という用語は、軸Aに垂直な方向を大まかに指す。
【0029】
本明細書で使用されている、「ガラス」という用語は、通常であればガラスを必要とするであろう医薬品グレードの用途での使用に好適な、他の同様に非反応性である材料を含むものと理解されたい。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を包含してよい。熱可塑性ポリマーは、加熱により再軟化させて元の状態に戻すことができるが、熱硬化性ポリマーは、元の状態に戻すことができない。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、主に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、又はアクリル樹脂などの成形用熱可塑性ポリマーを指し、これらは、典型的には、硬化剤、充填剤、補強剤、着色剤、及び/又は可塑剤等のような他の成分も含み、加熱及び加圧による形成又は成形が可能である。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、プラスチックと相互作用する可能性がある治療液、或いは、相互作用以外でプラスチックから入り込む可能性がある置換基によって劣化する可能性がある治療液と直接接触する用途での使用が是認されているガラスもエラストマも含まない。「エラストマ」、「エラストマの」、又は「エラストマ材料」という用語は、主に、プラスチックより容易に変形可能でありながら、医薬品グレードの流体との使用が是認されていて、浸出又はガス移行の影響を受けにくい架橋熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。
【0030】
「流体」は、主に液体を指すが、液体内に固体が分散している懸濁液、及び、カートリッジの流体収容部分内で、液体に溶けているか、それ以外の形態で液体内に一緒に存在するガスも包含してよい。「薬剤(drug)」、「薬剤(medicine)」、及び「薬剤(medicament)」という用語は、カートリッジから針又はカニューレを通って投与される任意の物質であって、医薬物質に限定されないが、例えば、ビタミンやミネラルを含んでよい、任意の物質を指す為に用いられる。
【0031】
本明細書で使用されている「自動注射器(automatic injector)」及び「自動注射器(auto−injector)」という用語は、頭字語「RAI」で称されることもある、同じ再利用可能な装置を指すことを意図されている。「パック(puck)」は、本明細書では、駆動制御機構の一構成要素を示す為に用いられているが、この用語は、パック形状(平円盤)に限定されず、本発明の1つ以上の実施形態では、1つ以上の隣接面から作用を受けたときに自由に動くことが可能な球体形状、円筒形状、円錐形状、又は他の機能的形状であってよい。
【0032】
まず、
図1及び
図2を参照すると、本発明による自動注射器50が示されている。自動注射器50は、注射用シリンジ又はカートリッジ54、並びに注射システムの各種構成要素を収容及び支持するように適合されたハウジング52を含む。本発明の再利用可能な自動注射器50においては、自動引き込み機能を有するものを含めて、様々なカートリッジ54が利用されてよい。例えば、一体型針引き込み機能を有する安全シリンジが、再利用可能な自動注射器50とともに使用されてよい。そのようなカートリッジ54の一例が、安全シリンジの形態で、
図2及び
図11A乃至
図15Bに示されており、これは、バレル56、針58、強固な針シールド60、及びプランジャアセンブリ62を含み、プランジャアセンブリ62は、プランジャ封止材64、プランジャロッド66、及びプランジャヘッド68を含む。カートリッジ54は、長手軸Aを含む。図示された実施形態では、カートリッジ54のバレル56は、標準化されたバレル56の設計において一般的に使用されるような、拡張された指フランジ70を含む。カートリッジ54は、薬剤が事前に充填されていてよく、或いは、使用時、即ち、再利用可能な自動注射器50の中に配置される直前に、ユーザによって充填されてもよい。カートリッジ54の代替実施形態として、あくまで例であるが、プランジャ封止材64によって封止されたバレル56を有するものの、プランジャロッド66がないカートリッジ54(例えば、
図21を参照。説明は後述)があってよい。
【0033】
ハウジング52は、任意選択で、カートリッジカバー72で覆われてよく、カートリッジカバー72も同様に、任意の適切な設計であってよい。ユーザが自動注射器50の状態を目視することを可能にする為に、カートリッジカバー72は、全体又は一部分が半透明又は透明であってよい。或いは、全体又は一部分が不透明であってもよい。
図1及び
図2のカートリッジカバー72は、支持されているカートリッジ54のバレル56に実質的に隣接して配置された窓74を含み、これによって、ユーザは、薬剤送達の状態を目視することが可能になる。任意選択で、窓74、又は、カートリッジカバー72の、窓に隣接する部分に、用量表示マーキングを設けてよく、これにより、ユーザは、薬剤の送達前、送達中、且つ/又は送達後に、カートリッジ54に収容されている薬剤の用量体積を識別することが可能になる。
【0034】
図示された実施形態では、カートリッジカバー72は、ヒンジでハウジング52に連結されているが、別の構成が与えられてもよい。例えば、カートリッジカバー72又はハウジング52のいずれかが嵌合突起を含んでよく、カートリッジカバー72又はハウジング52のもう一方が、その突起を受けるデテントを含んでよい。そのような突起及びデテントは、単独で、又はヒンジ構成との組み合わせで設けられてよく、ハウジング52とカートリッジカバー72との間の任意のふさわしい場所に設けられてよい。1つのそのような実施形態では、
図3に示されるように、カートリッジカバー72の遠位端がハウジング52に強固に保持されるように、且つ、カートリッジカバー72とハウジング52との間の接触面がほぼ全体にわたって確実に閉じるように、自動注射器50の遠位端又は遠位端のかなり近くに、遠位デテント76と嵌合突起78との組み合わせが配置されてよい。ハウジング52とカートリッジカバー72は、別々の構成要素として形成されてよいが、カートリッジカバー72とハウジング52は、いわゆるリビングヒンジ(図示せず)で結合された一体の構成要素として形成されてもよい。
【0035】
自動注射器50は更に、ケーシングボディ80を含んでよく、ケーシングボディ80は、ハウジング52に滑らかな外観を与える。ケーシングボディ80は、ハウジング52を収容する内部チャンバを与える、ハウジング52とは別個の構造体として形成されてよく、或いは、ハウジング52とケーシングボディ80は、単一の構成要素として形成されてもよい。自動注射器50がカートリッジカバー72を含む場合、カートリッジカバー72は、ケーシングボディ80によってハウジング52と結合されてよいことを理解されたい。即ち、カートリッジカバー72は、ケーシングボディ80と結合されてよく、ケーシングボディ80がハウジング52を受ける。ハウジング52とカートリッジカバー72との場合と同様に、ケーシングボディ80とカートリッジカバー72は、別々に形成されてよく、或いは、単一の構成要素として形成されてもよく、例えば、リビングヒンジ(図示せず)で接続された単一の構成要素として形成されてもよい。
【0036】
図1及び
図2に示された実施形態では、カートリッジカバー72は、選択的にアクチュエート可能なラッチ86によって、ハウジング52の上で閉鎖位置に保持されている。図示された実施形態では、カートリッジカバー72は、ハウジング52の凹部90が受ける突起88を含む。ラッチリリース92を側部にスライドさせるか押下するかによって、カートリッジカバー72がラッチされたり、ハウジング52からラッチ解除されたりすることが可能であってよい。
【0037】
自動注射器50は更に、ユーザインタフェース96を含んでよく、ユーザインタフェース96は、リリースアクチュエータ98などの機能を有し、押下されることによって、自動注射器50の動作や、他の動作機能の選択を起動することが可能である。他の動作機能としては、あくまで例であるが、カートリッジ54内で利用される針58、或いは、カートリッジ54内で搬送される薬剤の体積及び定量供給される体積に基づく調節の確認があってよく、これについては後で詳述される。自動注射器50は更に、自動注射器50の動作状態を示す1つ以上のランプ100などを含んでよい。
【0038】
ハウジング52は、任意の適切な設計であってよく、単体構造物として形成されてよく、或いは、複数の構成要素を含んでよい。
図4及び
図5を参照すると、ハウジング52は、上面に沿って、又は、ハウジング52に関連付けられた構造物に沿ってカートリッジ54を取り外し可能に支持するように適合された、細長いフレーム102である。ハウジング52は更に、自動注射器50の動作又は使用法に関連付けられた構造物のうちの1つ以上を支持してよい。より具体的には、
図5に示された実施形態では、ハウジング52は更に、カートリッジ54の構成要素の、ハウジング52内での動きを制御する駆動制御機構104を支持する。駆動制御機構104については後で詳述されるが、駆動制御機構104は、エネルギー源108から給電されるモータ106によって運転されてよい。モータ106及びエネルギー源108は、ハウジング52上で支持されているように図示されているが、別の形式で支持されてもよく、例えば、ケーシングボディ80内で支持されてよい。エネルギー源108は、多様な構成、且つ、多様な電源であってよく、例えば、使い捨てバッテリ、又は、再充電及び再利用が可能なバッテリであってよい。トランスミッションアセンブリ110が、モータ106の回転運動を駆動制御機構104に伝える。
【0039】
再利用可能な自動注射器50は、ある程度の標準的な機能も含んでよく、例えば、(具体的には図示されていないが)マイクロプロセッサのような1つ以上の制御システムなどを含んでもよく、これらは、自動注射器50の動作のタイミング及びパラメータの制御に用いられてよい。制御システムの動作は、任意選択で、1つ以上のセンサからのフィードバック、又はユーザインタフェース96を介してユーザから受け取られた入力に基づいてよい。例えば、自動注射器50は、ハウジング52に対してカートリッジカバー72を閉じること、又はラッチリリース92の位置に関連付けられた機能を含んでよい。自動注射器50の不注意な操作の可能性を最小限に抑える為に、任意選択のセンサを利用して、カートリッジカバー72が開いているか閉じているかを信号で伝えることが行われてよく、これにより、カートリッジカバー72が閉じていない場合に、自動注射器50に関連付けられた制御システムが操作を禁止することが可能になる。同様に、内部の構成要素が1つ以上の特定の位置にない限り、カートリッジカバー72を開くこと、即ち、ラッチリリース92が動くことを禁止するように、自動注射器50又は制御システムの構造物が設計されてよい。
【0040】
マイクロプロセッサは、個々のセンサからフィードバックを受け取ることと、1つ以上のセンサからの変動するフィードバックに基づいてモータ106及びトランスミッションアセンブリ110の特定のアクティビティを引き起こすことと、を行うように構成されてよい。添付図面では、そのような制御システムが除外されているが、これは、多様なシステム又は構成が採用されてよい為であり、制御システムは、任意選択で含まれるものとして理解されたい。制御システムは、当業者であれば容易に理解されるように、1つ以上のシステム制御において何らかのユーザアクティビティを受け入れ、ユーザによるそのようなアクティビティを解釈して、再利用可能な自動注射器50の機能をアクティブにすることになる。少なくとも1つの実施形態では、制御システムは、自動注射器50の近位端に、(
図2乃至
図10に示された)トランスミッションアセンブリ110及びユーザインタフェース96に隣接して位置するマイクロプロセッサである。
【0041】
本発明の実施形態の一態様によれば、ロードされたカートリッジ54の操作の為に自動注射器50が与える動きは、予測可能である。実施形態によっては、自動注射器50が与える動きは繰り返し可能であり、これによって、自動注射器50は、複数のカートリッジ54に対して、繰り返し利用されてよい。患者に注射する場合、自動注射器50は、複数の段階を進み、これには、針58を対象組織内に動かす段階と、プランジャ封止材64を動かして注射を投与する段階と、が含まれる。
【0042】
カートリッジ54の構成要素をハウジング52に対して長手方向に動かす為に、ハウジング52は、トランスミッションアセンブリ110を介してモータ106とインタフェースする駆動制御機構104を支持する。トランスミッションアセンブリ110は、モータ106の運動及びエネルギを駆動制御機構104に伝達することを可能にする幾つかの構成を有してよい。一例示的トランスミッションアセンブリ110を、
図5乃至
図8において詳細に示す。
図7及び
図8は、
図5及び
図6の等角図に示された駆動制御機構104及びトランスミッションアセンブリ110の構成要素を、上方及び下方視野角から見た図である。トランスミッションアセンブリ110は、モータ106の回転運動を、駆動制御機構104とインタフェースする細長い駆動装置(ここでは駆動ねじ114)に伝達するギアトレイン112を含む。細長い駆動装置(ここでは駆動ねじ114)は、駆動制御機構104によってプランジャアセンブリ62の少なくとも一部分に動きを与えるように配置される。駆動制御機構104については、後で詳述される。
【0043】
ギアトレイン112は、モータ106の運動及びエネルギを駆動ねじ114に伝達することを可能にする幾つかの構成を有してよいことを理解されたい。例えば、ギアトレイン112は、モータ106の運動を駆動ねじ114に伝達する、シンプルなギア、又はベベルギアのペアであってよい。具体的には、
図5乃至
図8を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施形態において、トランスミッションアセンブリ110は、モータ106に接続されたピニオンギア116と、コンパウンドギア118と、駆動ギア120とを含む。コンパウンドギア118は、ピニオンギア116と係合するプライマリギア面122と、駆動ギア120と係合するセカンダリギア面124と、を有してよい。駆動ギア120は、駆動ねじ114に接続される。例えば、モータ106がピニオンギア116を時計回りに回転させると、ピニオンギア116の歯がコンパウンドギア118のプライマリギア面122の歯と係合して、コンパウンドギア118が反時計回りに回転することを理解されたい。その結果、セカンダリギア面124の歯が駆動ギア120の歯と係合して、駆動ギア120が回転し、同時に、接続されている駆動ねじ114が時計回りに回転する。
【0044】
この、トランスミッションアセンブリ110の構成は、モータ106及び駆動ねじ114の両方が軸方向に並んで位置することが可能である為、自動注射器50の内部体積が最小限になる様式で、モータ106の運動によって駆動ねじ114の動きが制御されることを可能にする。当業者であれば容易に理解されるように、トランスミッションアセンブリ110による駆動ねじ114の動きは、トランスミッションアセンブリ110のギヤ同士の歯と歯の間の相互作用によって引き起こされる。これらのギヤのうちの1つ以上のギヤの歯は、各ギヤの中心点に対して放射状であってよく、これは一般に「スパーギヤ」と称されており、或いは、当業者には知られている他の幾つかのギヤタイプであってよい。
【0045】
一例示的駆動制御機構104を、
図6乃至
図9に、より詳細に示す。駆動制御機構104は、カートリッジ搬送体126と、カートリッジ搬送体126に対して長手方向の動きを与えるように配置されたプランジャ搬送体138と、プランジャ搬送体138とカートリッジ搬送体126との間の相対的な動きを制御するように配置された伝達装置150と、を含む。
【0046】
カートリッジ搬送体126は、カートリッジ接続機能130を有する細長いフレーム128を含む。図示された実施形態では、細長いフレーム128は、一対のレール132を含み、カートリッジ接続機能130は、レール132の遠位端に配置されている。カートリッジ接続機能130は、カートリッジ54のバレル56の近位端とインタフェースして近位端を支持するように適合されている。図示された実施形態では、カートリッジ接続機能130は、カートリッジ54の拡張された指フランジ70を収容するように適合された内部溝134を含む。カートリッジ接続機能130は、例えば、さねはぎ接続、又は他の任意の、当該技術分野では知られている、取り外し可能に係合する接続機能を含んでよい。当業者であれば理解されるように、カートリッジ搬送体126を近位方向又は遠位方向に動かすと、これに対応してカートリッジ54のバレル56が動くのであれば、別の結合が、図示された位置又は別の位置に設けられてもよい。
【0047】
例えば、針58を対象組織に挿入することが容易に行われるようにカートリッジ54を動かせるようにする為に、カートリッジ搬送体126は、ハウジング52に対して軸方向に動くように取り付けられる。図示された実施形態では、ハウジング52は、長手方向に延びる一対のレール136を含み、カートリッジ搬送体126の細長いフレーム128がこのレールに乗って動く。しかしながら、この相対的な軸方向の動きは、任意の適切な構造的構成によって容易にされてよいことを理解されたい。このように、自動注射器50の動作の1つ以上の段階の間、例えば、針58を対象組織に挿入したり、対象組織から取り出したりする間に、カートリッジ搬送体126は、搭載されたカートリッジ54のバレル56を、ハウジング52に対して近位方向又は遠位方向に動かすことが可能である。
【0048】
薬剤の投与を可能にする為に、駆動制御機構104は、プランジャ封止材64がカートリッジ54のバレル56内を長手方向に動くことを可能にしている。図示された実施形態では、駆動制御機構104は、プランジャロッド66に接続されたプランジャヘッド68を受けるプランジャ搬送体138を含む。図示されたプランジャ搬送体138は、プランジャアセンブリ62の近位端の少なくとも一部分(ここではプランジャヘッド68)と向かい合うインタフェース機能140を含む。このように、プランジャ搬送体138が遠位方向に動くと、プランジャヘッド68及びプランジャロッド66が遠位方向に動き、これによって、プランジャ封止材64がバレル56内を遠位方向に動いて、薬剤が投与される。
【0049】
図4及び
図6乃至
図8に示された実施形態に戻ると、カートリッジ54から薬剤を定量供給する為に、プランジャ搬送体138は、モータ106の動作がトランスミッションアセンブリ110及び駆動ねじ114に伝達された結果として、ハウジング52に対して長手方向に動くように、取り付けられている。
図4において最もよく示されるように、プランジャ搬送体138は、内側にねじ山を有するボア142を含み、ボア142は、外側にねじ山を有する駆動ねじ114に対して相補的である。図示されている実施形態では、内側にねじ山を有するボア142は、カートリッジ搬送体126のレール132の間に配置されるプランジャ搬送体138の一部分144を貫通して延び、これによって、プランジャ搬送体138のクレードル146が、レール132の上面に乗って動き、部分144は、レール132の間に乗って動く。
【0050】
駆動ねじ114が回転すると、プランジャ搬送体138は、駆動ねじ114の回転方向、並びに、外側にねじ山を有する駆動ねじ114、及び内側にねじ山を有するボア142におけるねじ山の構成に応じて、長手方向に移動する。モータ106によって駆動される、ギヤトレイン112のギヤ同士の相互作用及び回転によって、駆動ねじ114が回転するにつれ、自動注射器50の動作が駆動される。例えば、図示されているねじ山構成に基づき、自動注射器50を近位端から見た場合、モータ106が時計回りに回転すると、駆動ねじ114が時計回りに回転する為に、駆動ねじ114によって、注射器50のプランジャ搬送体138がハウジング52に対して近位方向に動き、逆に、モータ106が反時計回りに回転すると、駆動ねじ114が反時計回りに回転し、これによって、プランジャ搬送体138がハウジング52に対して遠位方向に動く。駆動ねじ114及びプランジャ搬送体138の内側にねじ山を有するボア142のそれぞれが、図示されている構成とは逆のねじ山構成を有しているとすると、プランジャ搬送体138がハウジング52に対して近位方向又は遠位方向に動く向きは逆になる。
【0051】
言い換えると、モータ106が動作すると、トランスミッションアセンブリ110を介して、駆動ねじ114が回転し、駆動ねじ114が回転すると、プランジャ搬送体138がハウジング52内を長手方向に動く。図示された実施形態では、この、プランジャ搬送体138の動きは、カートリッジ搬送体126を長手方向に選択的に動かすことにも利用され、これによって、針58を対象組織に挿入したり、対象組織から取り出したりする動きが可能になる。この動きをプランジャ搬送体138からカートリッジ搬送体126に伝達する為に、1つ以上の伝達装置150が設けられている。後で詳述されるように、伝達装置150は、第1の位置と第2の位置との間で選択的に動かされてよく、第1の位置では、伝達装置150は、カートリッジ搬送体126又はプランジャ搬送体138のうちの一方のみと係合し、第2の位置では、伝達装置150は、カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138の両方と係合し、実質的に、カートリッジ搬送体126とプランジャ搬送体138とをつなぎ合わせて同時に動くようにする。
【0052】
この選択的係合を実現する為に、伝達装置150は、カートリッジ搬送体126の溝152の中に、移動可能に配置される(
図9を参照)。伝達装置150は、横方向に動いて、一部分が、プランジャ搬送体138のデテント又は凹部154、156、及びハウジング52の、長手方向に延びるレール136のガイド158に、それぞれ入るように適合されている。このように、伝達装置150がカートリッジ搬送体126の溝152内、及びプランジャ搬送体138の凹部154内に配置された場合、カートリッジ搬送体126は、プランジャ搬送体138と一緒に駆動ねじ114に沿って動くように、プランジャ搬送体138と結合される。逆に、伝達装置150がカートリッジ搬送体126の溝152内、及びガイド158の凹部156内に配置された場合、カートリッジ搬送体126は、プランジャ搬送体138と一緒には移動せず、それどころか、図示された実施形態では、カートリッジ搬送体126は、ハウジング52に対して動かない。
【0053】
当業者であれば理解されるように、凹部154、156、及び溝152のそれぞれは、開口として説明されてよい。更に、伝達装置150は、本明細書では、カートリッジ搬送体126の溝152内、及びガイド158の凹部156内にある第1の位置と、プランジャ搬送体138の凹部154内、及びカートリッジ搬送体126の溝152内にある第2の位置との間を動くものとして説明されているが、別の実施形態では、伝達装置150は、プランジャ搬送体138の凹部154内にある第1の位置と、プランジャ搬送体138の凹部154内、及びカートリッジ搬送体126の溝152内にある第2の位置との間を動くように配置されてよいことを理解されたい。
【0054】
更に、伝達装置150は、溝152、及び凹部154、156の一方又は他方に配置されているか、嵌め込まれているものとして説明されてよいが、伝達装置150は、溝152、及び凹部154、156の一方又は他方を合わせた大きさよりわずかに大きくてよい。しかしながら、本開示及び添付の特許請求の範囲の目的上、伝達装置150が凹部154、156の一方又は他方、或いは、第1又は第2の位置に配置されているか、嵌め込まれているものとして説明されている場合は、これらの言い回しは、伝達装置150が、関連付けられた構造物が実質的に互いに結合されているように、何らかの形で支配的に配置されている構造的関係を包含することを理解されたい。即ち、伝達装置150が溝152内、及び凹部154内で支配的に配置されている場合は、プランジャ搬送体138及びカートリッジ搬送体126が互いに結合されており、逆に、伝達装置150が溝152内、及び凹部156内で支配的に配置されている場合は、カートリッジ搬送体126及びガイド158が互いに結合されている。
【0055】
明確さの為に、
図10A乃至
図10Eは、駆動制御機構104の構成要素を示すとともに、自動注射器50を操作する各段階において構成要素が動く際のそれらの相対的な位置を示す。図示された実施形態は、2つの制御伝達装置、具体的には、2つの伝達装置150を含み、これらは、カートリッジ搬送体126のそれぞれの溝152を通って、プランジャ搬送体138のそれぞれの凹部154、156とガイド158との間を動く。
【0056】
伝達装置150、溝152、及び凹部154、156は任意の適切な設計であってよいが、図示された実施形態では、伝達装置150は、円筒、ディスク、又はパックの形状を有しており、これによって、溝152内を円滑に動くことが可能である。更に、伝達装置150は、任意の適切な材料から形成されてよい。あくまで例であるが、伝達装置150は、ポリマー、ステンレス鋼、或いは、シリコーン材料やゴム状材料から形成されてよい。
【0057】
伝達装置150の寸法は、同時に駆動制御機構104の少なくとも2つの構成要素と常に取り外し可能に係合しているように決定されている。幾つかの動作段階では、各伝達装置150は、対応する、ガイド158の凹部156、及びカートリッジ搬送体126の(
図9で見えている)溝152と取り外し可能に係合する。他の動作段階では、各伝達装置150は、カートリッジ搬送体126の溝152、及びプランジャ搬送体138の凹部154と取り外し可能に係合する。この新規な構成により、単一のモータ106及びトランスミッションアセンブリ110で複数の構成要素の機能を駆動することが可能になり、これによって、自動注射器50の機能性が単純化され、再利用可能な自動注射器50の信頼性、操作性、及び製造コストが改善される。
【0058】
同様に、プランジャ搬送体138の凹部154、156、及びガイド158は、幾つかの異なる構成であってよい。本発明の一実施形態では、プランジャ搬送体138の凹部154、156、及びガイド158は、それぞれの構成要素の中で対称的である。凹部154、156は、両側に傾斜が付いたアーチ形状であり、これは、伝達装置150が傾斜面に乗って動く際の伝達装置150の動きを容易にする。このように、伝達装置150の、少なくとも一部分に丸みが付けられた外側表面は、傾斜面に円滑に乗って動くことが可能である。
【0060】
図11乃至
図15に示されるように、カートリッジ54が、再利用可能な自動注射器50のカートリッジ搬送体126に、交換可能に挿入され、針58の挿入過程及び引き込み過程にわたって定位置に保持される。カートリッジ54は、カートリッジ搬送体126内で定位置に保持されてよく、これは、例えば、1つ以上のカートリッジ54接続機能130によって行われてよい。
【0061】
カートリッジ54が、再利用可能な自動注射器50のカートリッジ搬送体126内に配置された際にこれを検知する為に、カートリッジ搬送体126内に位置するカートリッジセンサ160が任意選択で利用されてよい。図示された実施形態では、カートリッジセンサ160は、ハウジング52の底部に配置されているが、別の場所に配置されてもよい。カートリッジセンサ160がカートリッジ54の存在を検知するように、カートリッジ54をカートリッジ搬送体126内に配置することにより、再利用可能な自動注射器50をアクティブにすることを許可する表示が与えられてよい。
【0062】
カートリッジセンサ160は、任意の適切な設計であってよい。例えば、カートリッジセンサ160は、機械式センサであってよく、カートリッジ54がカートリッジ54搬送体内に配置されると変位が引き起こされる機械式センサであってよい。代替又は追加として、カートリッジ54センサは、電気式センサであってよい。
【0063】
更に、電気式であれ機械式であれ、カートリッジセンサ160の作動は、自動注射器50の動作と結びつけられてよく、カートリッジセンサ160の作動によって、例えば、カートリッジカバー72の閉鎖及びラッチが可能になり、自動注射器50の作動を許可する信号がプロセッサに与えられる。モータ106が始動すると、モータ106は、トランスミッションアセンブリ110を介して駆動ねじ114を駆動してよく、これによって、駆動ねじ114は、プランジャ搬送体138のプランジャインタフェース機能140がカートリッジ54のプランジャロッド66の近位端と接触するか、近位端に隣接する適正な位置まで駆動される。
【0064】
強固な針シールド60の取り外しを容易にする為に、自動注射器50は、カートリッジ54が近位方向に動くと強固な針シールド60が取り外されるような、強固な針シールド60と係合する構造を含んでよい。
図11A及び
図11Bに見られるように、カートリッジ54は、安全の為に針58の挿入の前に針58を覆う強固な針シールド60が、支持ハウジング52の針シールドストリッパ機能162内に、取り外し可能にロックされるように、位置してよい。針シールドストリッパ機能162は、任意の適切な設計であってよい。例えば、図示された実施形態では、針シールドストリッパ機能162は、強固な針シールド60の、近位側に配置されたエッジに沿って配置された1つ以上のフランジ164を含む。このように、カートリッジ54が近位方向に動く間にフランジ164が強固な針シールド60と向かい合うと、強固な針シールド60は、カートリッジ54の遠位端から係合解除される。或いは、利用可能な自動注射器50は、支持ハウジング52の針シールドストリッパ機能162が、バレル56と強固な針シールド60との間でバレル56上にロックされるように、構成されてよい。
【0065】
駆動制御機構の機能、その構成要素、及び自動注射器50については、
図4、
図6乃至
図8、及び
図10A乃至
図10Eが
図11A乃至
図15Bと関連している為、それらを参照することにより、よりよく理解されるであろう。第1の段階は、典型的には、カートリッジ54を自動注射器50内にロードするための段階であり、このとき、駆動制御機構104の構成要素は、
図10A、並びに
図11A及び
図11Bに示されるとおりである。ガイド158は、凹部156を含み、プランジャ搬送体138は、同様に凹部154を含む。本明細書に記載されるように、ガイド158は、独立した構成要素であってよく、或いは、ハウジング52の事前形成された側面であってもよい。ガイド158は、独立した構成要素であるか、ハウジング52の事前形成された側面であるかにかかわらず、本開示の目的に関しては、ハウジング52の一部と見なされる。カートリッジ搬送体126は、少なくとも1つの溝152を含む。駆動制御機構104は、自動注射器50によって利用される制御伝達装置150ごとに、ガイド158内に凹部156、プランジャ搬送体138内に凹部154、及びカートリッジ搬送体126を貫通する溝152を含んでよい。例えば、
図10A乃至
図10Eに示されるように、自動注射器50において、2つのパック状制御伝達装置が利用される場合、駆動制御機構104は、2つのガイド凹部156と、2つのプランジャ搬送体凹部154と、2つの溝とを含み、それぞれが制御伝達装置150に対して配置され、制御伝達装置150と相互に作用する。再利用可能な自動注射器50が、カートリッジ54をロードする第1の段階にあるとき、駆動制御機構104の構成要素は、
図10Aに示されるように、各伝達装置150が、ガイド凹部156とプランジャ搬送体凹部154との間を、カートリッジ搬送体126の溝152を貫通して自由に通ることが可能であるように、位置合わせされる。
【0066】
第2の段階は、主に、強固な針シールド60を針58から取り外す段階とされており、再利用可能な自動注射器50を第2の段階に勧める為に、モータ106及びトランスミッションアセンブリ110が、駆動制御機構104の構成要素を近位方向に動かす。この配置は、
図12A及び
図12Bに示されている。強固な針シールド60が(例えば、支持ハウジング52の針シールドストリッパ機能162との相互作用などによって)利用可能な自動注射器50の遠位端で保持されている間、駆動制御機構104及びカートリッジ54の構成要素は、近位方向に動かされる。この動作により、強固な針シールド60は、針58から分離される。一実施形態では、強固な針シールド60は、カートリッジ54から「ポンと外れる」ように構成されてよく、これにより、強固な針シールド60は、必要に応じて、再利用可能な自動注射器50から排出されてよい。この時点で、カートリッジ54及び自動注射器50は、患者に注射する準備ができている。
【0067】
図10Bは、自動注射器50が(
図11A及び
図11Bに示された)ロードする段階から(
図12A及び
図12Bに示された)強固な針シールド60を取り外す段階に進む際の、駆動制御機構104の構成要素同士の相互作用を更に詳細に示す。ガイド158、従ってガイド凹部156は、固定位置構成要素であるが、カートリッジ搬送体126、プランジャ搬送体138、及び駆動ねじ114は、全て可動の構成要素である。ロードする段階から強固な針シールド60を取り外す段階に移行する際に、モータ106及びトランスミッションアセンブリ110は、駆動ねじ114を回転させ、これによって、プランジャ搬送体138が、近位方向に、即ち、
図10Aに示されたそれぞれの位置から、
図10Bに示されたそれぞれの位置まで動かされる。プランジャ搬送体138が後方へ動き、カートリッジ搬送体126の溝152がプランジャ搬送体138の凹部154と一直線に並ぶと、
図10Bに示されるように、伝達装置150は内側に動いて、確実に、ガイド凹部156から出て、カートリッジ搬送体126の溝152とプランジャ搬送体138の凹部154との間の位置に入るようにする。
【0068】
伝達装置150がゴム状材料から形成されていて、溝152とガイド凹部156を合わせた深さより若干幅広であれば、凹部154が凹部156及び溝152と一直線に並んだ場合に、伝達装置150は、プランジャ搬送体138の凹部154内にわずかに突出する。プランジャ搬送体138がガイド158に対して動き続けると、プランジャ搬送体138の凹部154の傾斜面から伝達装置150の力がかかることの結果として、カートリッジ搬送体126は、プランジャ搬送体138とともに若干動く可能性がある。凹部154の傾斜面の連続する力と、伝達装置150の対辺に沿う、反対向きの、凹部156の傾斜面の力とによって、伝達装置150をガイド158の凹部156からプランジャ搬送体138の凹部154内へ動かすモーメントが生成される。伝達装置150は、カートリッジ搬送体126の溝152内、及びプランジャ搬送体138の凹部154内に配置されており、カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138は、更に動く為に値に結合されている。
【0069】
伝達装置150がこのように位置することにより、カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138は、一体化された構成要素として動く。即ち、駆動ねじ114の回転によってプランジャ搬送体138が近位方向に動くと、制御伝達装置150と、プランジャ搬送体138の凹部154、カートリッジ搬送体126の溝152に対する制御伝達装置150の位置決めによって、カートリッジ搬送体126とプランジャ搬送体138とが結合されて、カートリッジ搬送体126も近位方向に動くことになる。このように、プランジャ搬送体138及びカートリッジ搬送体126が近位方向に動くと、伝達装置150は、固定位置ガイド158の凹部156から離れる方向に動く。
【0070】
上述のように、本発明の駆動制御機構及び自動注射器では、1つ以上の制御伝達装置150が使用されてよい。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、2つのパック状制御伝達装置が利用され、これは、例えば、接続をより強固にする為、構成要素にかかる力の分布をより均一にする為、且つ、構成要素の動きを制御する為である。
【0071】
カートリッジ54の強固な針シールド60は、(
図11A及び
図11Bに示されている)ハウジング52の針シールドストリッパ機能162と取り外し可能に向かい合っている為、針シールド60は、カートリッジ搬送体126及びカートリッジ54が近位方向に動くことによって、針58から取り外される。これは、
図11A及び
図11Bと
図12A及び
図12Bとの間の変化、並びに、
図10Aと
図10Bとの間の変化において示されている。この時点で、再利用可能な自動注射器50は、針58の挿入、及びカートリッジ54に収容されている薬剤の送達を行うべく、患者の対象組織に接触するように配置されてよい。
【0072】
次に
図13A及び
図13Bを参照すると、注射段階においては、カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138は、遠位方向に動かされ、これによって、再利用可能な自動注射器50の遠位端において、この時点では露出している針58が患者の対象組織の注射位置に入っていく。本明細書において詳述されるが、注射段階の動作の前に患者との接触を検知する為に、(
図1、
図2、及び
図5に示されている)任意選択の患者センサ165が利用されてよい。患者センサ165は、再利用可能な自動注射器50の遠位端において、支持ハウジング52の針シールドストリッパ機能162の外装面に隣接し、外装面上に位置してよい。動きのタイミング及びパラメータを制御する為に1つ以上の制御システムが利用されている場合には、患者との接触後、患者センサ165は、患者に注射する準備ができていることを制御システムに信号で伝えることが可能である。代替又は追加として、患者センサ165は、患者センサ165が押下されない限り、カートリッジ54からの薬剤の投与を妨げる構成と、機械的に結合されてよい。
【0073】
カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138が遠位方向に動くと、構成要素は、
図10Bに示された位置から、
図10Cに示された位置まで動く。
図10Cに示されるように、針58が対象組織内に挿入されたときの位置では、溝152は、再度、ガイド158の凹部156と一直線に並ぶ。その結果、伝達装置150は、プランジャ搬送体凹部154、溝152、及びガイド凹部156の間を自由に動くことが可能である。伝達装置150は、「外」位置(即ち、ガイド凹部156内)にあってよく、或いは、「内」位置(即ち、プランジャ搬送体凹部154内)にあってよい。
図13A及び
図13Bに示されるように、カートリッジ搬送体126が最遠位位置まで動いても、プランジャ搬送体138は、駆動ねじ114の回転の結果として、前方へと動き続ける。プランジャ搬送体138が動き続けると、伝達装置150は、プランジャ搬送体138の凹部154の傾斜エッジに乗って動き、これによって、伝達装置150は、静止中のカートリッジ搬送体126の溝152を通り抜け、ガイド158の凹部156に向かって、外側へ付勢される。このように、プランジャ搬送体138が動き続けることによって、伝達装置150は、カートリッジ搬送体126の溝152がガイド158の凹部156と一直線に並んだときに、プランジャ搬送体138の凹部154の傾斜面に乗って外側に動き、これによって、伝達装置150は、プランジャ搬送体138の凹部154から係合解除されて、ガイド158の凹部156において、即ち、
図10Dに示された位置において係合される。
図10Dの位置では、プランジャ搬送体138は、薬剤送達の為に自由に前方へ動き続ける。
【0074】
所望の注射パラメータに応じて、薬剤は、針58の挿入後、ただちに送達されてよく、或いは、2つの段階の間に一瞬の遅延があってもよい。そのようなパラメータは、再利用可能な自動注射器50の動作に必要な場合がある為、制御システムにプログラムされるか、ユーザによって起動されてよい。
【0075】
薬剤送達段階では、プランジャ搬送体138は、遠位方向に動き続けてよく、カートリッジ搬送体126は、
図10Dに示されるように、ガイド158の所定の場所に一時的にロックされる。このロックが発生するのは、伝達装置150がプランジャ搬送体凹部154を出て、カートリッジ搬送体126の溝152とガイド158のガイド凹部156との間の位置に入ることを強制される為である。プランジャ搬送体138が遠位方向に動き続けると、プランジャ搬送体138のプランジャインタフェース機能140は、プランジャロッド66の遠位端に力をかけるか、遠位端を押す。プランジャロッド66は、その軸方向力を、遠位方向に、カートリッジ54のバレル56内のプランジャ封止材64まで伝達することにより、薬剤流体を、針58から患者内に押し出す。
【0076】
薬剤送達段階を通して、自動注射器50の構成要素として、伝達装置150は、
図10Dに示されるように、溝152とガイド凹部156との間の「外」位置にとどまる。しかしながら、プランジャ搬送体138が、
図14A及び
図14Bに示される位置まで動くと、プランジャ搬送体138の、ガイド158の間に配置された部分144は、その位置を越えて動き、部分144は、伝達装置150が、半径方向内向きに、即ち、ガイド158の凹部156、及びカートリッジ搬送体126の溝152の外に再度移動するのを妨げるであろう干渉を引き起こすことを理解されたい。
【0077】
伝達装置150を定位置に保持する為に、任意の適切な構成が与えられてよいが、図示された実施形態では、リテーナ166が与えられている。リテーナ166は、
図4において最もよく見ることができる。カートリッジ54から薬剤を送達する為にプランジャ搬送体138が遠位方向に動かされたとき、リテーナ166は、図示されたばねなどのリテーナ付勢素子168によって、配置され、カートリッジ搬送体126の溝152の少なくとも一部分を覆う位置に向かって付勢される。このように、リテーナ付勢素子168及びリテーナ166は、伝達装置150を溝152内及びガイド凹部156内に維持するように構成される。例えば、
図10Dに示されるように、リテーナ付勢素子168は、カートリッジ搬送体126の近位端とプランジャ搬送体138の近位端との間の、駆動ねじ114の近位端、及び駆動ねじ114の軸方向の周辺部に位置する。リテーナ付勢素子168は、最初は圧縮された体勢であるが、プランジャ搬送体138が遠位方向に動くと、駆動ねじ114の軸方向に伸びることが可能になる。リテーナ付勢素子168は、リテーナ166に作用し、プランジャ搬送体138が遠位方向に動いたときにリテーナ166を遠位方向に動かす。薬剤送達が制御されている間に、プランジャ搬送体138が駆動ねじ114の軸に沿って遠位方向に動くと、リテーナ166は、リテーナ付勢素子168によって遠位方向に付勢されて、伝達装置150を駆動制御機構104内に保持するように機能する。
【0078】
リテーナ166及びリテーナ付勢素子168の移動及び機能を制御する為に、カートリッジ搬送体126は、リテーナ166の動きを誘導及び制限する構造を含んでよい。図示された実施形態では、ボス170が、カートリッジ搬送体126のレール132の間に延びる2つの弧状セグメント172を含む(
図9を参照)。弧状セグメント172は、長手方向に延びる溝174によって分離されており、溝174は、リテーナ166から延びるアーム176(
図4を参照)をスライドさせて受ける。アーム176及び/又は溝174は、リテーナ166の遠位方向の動きを制限する、アーム176の拡大端部180などの構造を含んでよい。当業者であれば理解されるように、ボス170のような構造物は、例えば、カートリッジ搬送体126と一体形成されてよく、1つ以上の別々の構成要素として形成されてもよい。
【0079】
図14A及び
図14B、並びに
図10Dに示されるように、薬剤送達段階が完了した後、駆動ねじ114は、トランスミッションアセンブリ110及びモータ106によって、近位方向に、即ち、例えば、
図15A及び
図15B、並びに
図10Eに示される位置まで動かされてよい。駆動ねじ114がその初期の動きとは逆又は反対の方向に回転することなどによって、駆動ねじ114がプランジャ搬送体138の近位方向の動きを引き起こすと、プランジャ搬送体138は、リテーナ166と係合してリテーナ166をその最初の位置に戻し、再度、リテーナ付勢素子168を、
図10Eに示される位置まで圧縮する。リテーナ166及びプランジャ搬送体138が駆動ねじ114の軸に沿って近位方向に動くと、伝達装置150は、再度、ガイド凹部156と溝152との間を動いてプランジャ凹部154と接触することが可能になる。これが行われると、カートリッジ搬送体126も、近位方向に動かされる。プランジャ搬送体138及びカートリッジ搬送体126が近位方向に動くと、伝達装置150は、固定位置ガイド158のガイド凹部156から離れる方向に動く。この動きに起因して、伝達装置150は、上述のように、半径方向内向きに動いて、確実に、ガイド凹部156を係合解除し、カートリッジ搬送体126の溝152とプランジャ搬送体138の凹部154との間に位置する。伝達装置150がこのように位置することにより、カートリッジ搬送体126及びプランジャ搬送体138は、再度、一体化された構成要素として動く。これらの一体化された構成要素が近位方向に動くことにより、カートリッジ54も近位方向に動く。
【0080】
自動注射器50のカートリッジ54として安全シリンジが利用される場合、安全シリンジの安全機構は、薬剤送達段階の終了時に、シリンジの動作によってトリガされてよい。従って、自動注射器50のカートリッジ搬送体126内に配置されたカートリッジ54は、ユーザが安全に取り外して廃棄できる。任意選択で、ユーザは、シリンジが使用された(即ち、薬剤送達が完了した)後に、強固な針シールド60をカートリッジ54の遠位端に、例えば、バレル56の遠位端に、再度取り付けてよい。
図10E、並びに
図15A及び
図15Bに示された位置では、自動注射器50は、その最初の構成にリセットされ、再度、新たなカートリッジ54を受け入れる準備ができており、それによって、再利用可能な自動注射器50が構成される。
【0081】
上述のように、安全の為、又は他の理由の為に、1つ以上のセンサが利用されてよい。例えば、再利用可能な自動注射器50が、針挿入の前に確実に患者と接触するように、自動注射器50の遠位端において患者センサ165が利用されてよい。カートリッジ54が、確実に、動作前に、カートリッジ搬送体126内の適正位置にあるように、カートリッジセンサ160も同様に使用されてよい。当該技術分野において知られている他のセンサが、この目的又は他の目的の為に利用されてよく、本発明の実施形態の広さの範囲内で企図及び包含される。同様に、自動注射器50の安全性及び機能性を強化する為に、他の構成要素が任意選択で利用されてよい。例えば、動作中にカートリッジ54を取り外し可能にロックし、動作後にカートリッジ54を排出する為に、カートリッジ排出アセンブリ182が利用されてよい。カートリッジ排出アセンブリ182の一例を、
図2及び
図5に示した。
【0082】
カートリッジ排出アセンブリの別の実施形態184を、
図16A及び
図16Bに示す。これは、カートリッジ54をハウジング52から容易に取り外すことを促進する為に、代替として与えられてよい。排出アセンブリ184は、任意の適切な設計であってよいが、図示された実施形態では、排出プロング186が、ハウジング52の上面に配置されたトグルスイッチ188の動きの結果として、
図16Aに示されたロード位置から、
図16Bに示された排出位置までスライドするように、配置される。カートリッジ54(図示せず)をハウジング52内にロードする際には、トグルスイッチ188は、排出プロング186を、ロードされたカートリッジ54の高さより下方に配置する位置まで手動で動かされてよく、或いは、排出プロング186が、ロードされたカートリッジ54のすぐ下、即ち、
図16Aに示される位置に配置されるように、カートリッジ54が、排出プロング186を押下する為に利用されてよい。この実施形態の排出プロング186は、リンケージ190によってトグルスイッチ188と結合され、リンケージ190は、軸192の周りを旋回することにより、排出プロング186を、
図16Aに示されたロード位置と、
図16Bに示された排出位置との間でトグルする。しかしながら、任意の適切な設計が利用されてよいことを理解されたい。例えば、薬剤用量送達、並びに、カートリッジ54、又は針58及びカートリッジ54の引き込みが完了したら、カートリッジ54が自動的に排出されるように、カートリッジ排出アセンブリが構成されてよい。
【0083】
上述のように、本発明の実施形態の企図範囲において、様々な修正を行うことが可能である。例えば、代替のギヤトレイン及び作動構成が与えられてよい。
図17を参照すると、一代替実施形態では、プランジャ搬送体194の長手方向の動きが、ラック196及びピニオンギヤ198の構成を含むギヤトレインによって与えられてよい。言い換えると、この実施形態の細長い駆動装置は、ラック196を含み、ラック196はプランジャ搬送体194と結合されている。ラック196と係合しているピニオンギヤ198が回転すると、ラック196及び関連付けられたプランジャ搬送体194は、ハウジング200内の近位位置と遠位位置との間を動くことを理解されたい。プランジャ搬送体194の動きは、カートリッジ搬送体202の動きと選択的に組み合わされてよく、この選択的組み合わせは、例えば、
図18に示された伝達装置204によって行われてよい。伝達装置204は、カートリッジ搬送体202の溝210を通って、ラック196のデテント又は凹部206、208とカートリッジ搬送体202との間でそれぞれシフトする。
【0084】
例えば、
図19及び
図20にそれぞれ示されるように、ピニオンギア212、214に回転運動を与える為に、モータ216、218が、ピニオンギア212、214を直接回転させる適切な角度で配置されてよい。当業者であれば理解されるように、ギヤトレインは、代替として、プランジャ搬送体(図示せず)を長手方向に動かす為に、この場合もラックを利用しながら、モータを自動注射器内で長手方向に延長することを可能にする追加ギヤを含んでよい。
【0085】
上述の再利用可能な自動注射器は、標準的なシリンジを利用する。しかしながら、本発明の自動注射器では、少なくとも1つの他の実施形態によれば、
図11A乃至
図15Bに示されたような、標準的なシリンジのプランジャロッド66の代わりに、
図21に示されるような、恒久的なプランジャロッド228が利用されてよい。例えば、
図21に示される、プランジャ搬送体226のプランジャインタフェース機能230は、細長いロッド228の形態の細長い突起部を含んでよく、この突起部は、動作中は、カートリッジ224のバレル222の近位端内に存在することになり、インタフェース機能230は、プランジャ封止材220に直接作用する。この構成により、カートリッジがプランジャロッドを含むことが不要になる為、様々なカートリッジ224の使用が可能になる。そのような一実施形態では、カートリッジ224が再利用可能な自動注射器に挿入された後に、駆動制御機構の構成要素が、プランジャインタフェース機能230を、カートリッジ224のプランジャ封止材220と直接係合させることになる。プランジャ搬送体226及び細長いロッド228が軸に沿って遠位方向に動くと、インタフェース機能230は、カートリッジ224のバレル222の近位端に入ることになる。このステップの後の、駆動制御機構及び再利用可能な自動注射器の構成要素の機能は、強固な針シールドの取り外し、針の挿入、薬剤用量送達、及び針の引き込みの各ステップについては、上述されたとおりである。そのような実施形態では、針の引き込みの後に、カートリッジ224が、細長いロッド228及びプランジャインタフェース機能230、並びにプランジャ搬送体226から確実に取り外し可能となるようにする為の最終ステップが実施されてよい。この機能については、本発明の広さ及び企図の範囲にとどまる限り、他の同様な構成も利用されてよい。
【0086】
自動注射器は、特定の動作段階の間にカートリッジカバーが開かないようにするカバーリリース安全機構を含んでもよい。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、カートリッジカバーリリース安全機構は、駆動制御機構がシリンジカートリッジのロード、強固な針シールドの取り外し、針の挿入、薬剤用量送達、並びに、針及び/又はカートリッジの引き込みの各段階を勧める際に、駆動制御機構によって操作可能である。言い換えると、カートリッジカバーが開くことをカバーリリース安全機構が妨げないのは、針がユーザに対して露出していない場合だけであり、即ち、保護用針シールドが定位置にある、カートリッジの最初のロード時、及び/又は、薬剤送達及び任意選択の針の引き込み又はシールドの後だけである。カバーリリース安全機構は、他の動作段階の間、即ち、薬剤送達の為に針が露出している場合には、カートリッジカバーが開くことを妨げる。このように、カバーリリース安全機構は、ユーザが不注意で針にさらされることを阻止してユーザの偶発的な針刺し損傷を減らすか解消することにより、非常に望ましい安全機能を提供するように動作する。
【0087】
例えば、
図22A乃至
図22Eの実施形態では、カートリッジカバーリリース安全機構232は、駆動制御機構の機能によって操作されるように構成される。リリースアクチュエータ234は、近位方向にスライドすることによって、カートリッジカバー(図示せず)をハウジング236からリリースするように構成される。カートリッジカバーリリース安全機構232は、ロックピン238を含み、ロックピン238は、(
図22B乃至
図22Dに示されるように)リリースアクチュエータ234が近位方向に動くことを妨げる遮断位置と、(
図22A及び
図22Eに示されるように)リリースアクチュエータ234が近位方向に動くことを妨げない引き込み位置と、の間を動くように適合されている。
【0088】
遮断位置と引き込み位置との間のロックピン238の動きは、少なくとも部分的に、ティータ240によって制御される。ティータ240の動きは、少なくとも部分的に、プランジャ搬送体242の動きによって制御される。図面では、簡略化の為に、プランジャ搬送体242のうちの、ガイド244とプランジャ相互作用機能243との間に配置される部分だけが図示されている。この実施形態では、プランジャ搬送体は、下方に垂れ下がるフランジ245を含む。ティータ240は、ロックピン238の下方端部における一側面を受ける溝246と、プランジャ搬送体242のフランジ245と係合するように配置されたキャッチアーム248と、を含む。
【0089】
ティータ240の動きを制御する為に、ガイドピン250及び支点ピン252が与えられ、これらは両方とも、ハウジング236からの固定突起である。ティータ240が平面内をスライドする際にティータ240の動きを制御する為に、ティータ240は、一対の溝254、256を含み、溝254、256は、それぞれ、ガイドピン250及び支点ピン252を受けるように配置されている。ティータ240は、ガイド溝254がガイドピン250上を移動する際に所定の経路に沿って動くように適合されており、支点ピン252に対するスライド溝256の動きによって、ティータ240は、スライド及び旋回することによって、支点ピン252に対するティータ240の角度を変化させることが可能になる。カートリッジカバーリリース安全機構232の動作中にガイドピン250がガイド溝254内を移動する際に、ガイドピン250は、ガイド溝254のガイドピン凹部257内で取り外し可能に静止させられてよい。例えば、ハウジング236と結合されたばねである付勢素子258、260(簡略化の為に、ばねが結合されている、ハウジング236の具体的な部分は図示されていない)が、カートリッジカバーリリース安全機構232、具体的には、ティータ240の動作中の位置決めを誘導する為に利用されてよい。
【0090】
図22Aは、カートリッジカバーリリース安全機構232のロックピン238が最初の引き込み位置にある状態を示しており、この状態では、ラッチリリースを操作して(例えば、軸方向にスライドさせて)、カートリッジを自動注射器内にロードする為にカートリッジカバーを開かせることが可能である。この位置では、プランジャ搬送体242のフランジ245は、カートリッジカバーリリース安全機構232のティータ240の対応するキャッチアーム248と接触していない。
【0091】
シリンジカートリッジが自動注射器内にロードされ、自動注射器がユーザによってアクティブにされると、プランジャ搬送体242のフランジ245は、例えば、強固な針プロテクタの取り外しの為にカートリッジを引き込む為に、軸に沿って近位方向に平行移動させられる。プランジャ搬送体242が近位方向に動くと、フランジ245が、カートリッジカバーリリース安全機構232のティータ240の対応するキャッチアーム248と接触し、これによって、ティータ240のキャッチアーム248が近位方向に引っ張られる(
図22Bを参照)。ティータ240が近位方向に引っ張られると、ガイド溝254は、ガイドピン250に対してシフトし、スライド溝256は、支点ピン252に沿ってスライド及び旋回する。ガイドピン250は、ガイドピン凹部257内の位置に取り外し可能に移動させられ、これによって、ロックピン238は、上方にシフトして、ラッチリリースの隣の遮断位置に入る。これによって、ラッチリリースが動いてカートリッジカバーをロック解除して開くことが妨げられる。駆動機構がプランジャ搬送体242を動かして、それぞれ
図22C及び
図22Dに示されたような、ユーザへの針挿入及び薬剤投与を含む、薬剤送達の各ステップを実施する間、ティータ240及びロックピン238は、この位置に保持される。
【0092】
図22Eに示されるように、薬剤用量送達と、任意選択で、針及び/又はカートリッジの引き込みとが完了したら、プランジャ搬送体242は、再度、軸に沿って近位方向に平行移動させられる。プランジャ搬送体242は、再度、カートリッジカバーリリース安全機構232のティータ240の対応するキャッチアーム248と接触して、ティータ240のキャッチアーム248を近位方向に引っ張る。この動きと、付勢素子258、260の付勢力とによって、ガイドピン250がティータ240のガイド溝254のガイドピン凹部257から動いて、ガイド溝254に沿って最終位置までスライドし、最終位置では、ティータ240の角度によって、ロックピン238がラッチリリースされて遮断位置から引っ張り出される。この時点では、リリースアクチュエータ234は、再度、カートリッジカバーを開く(例えば、使用済みシリンジカートリッジを取り外す)為に、自由に操作されてよい。このように、再利用可能な自動注射器の動作中は、リリースアクチュエータ234をブロックし、カートリッジカバーを、閉じられてロックされた体勢に保持することにより、カートリッジがユーザにとって安全な体勢(例えば、引き込み、シールド、被覆がなされた体勢)に戻るまで、ユーザに対してカートリッジが露出しなくなる。
【0093】
前述のように、伝達装置は、その新規な機能的態様が維持される限り、サイズ及び形状が様々に決定されてよい。少なくとも1つの実施形態では、伝達装置は、駆動制御機構の構成要素同士を接続し、上述の各種段階を通してこれらの構成要素の動きを容易にするように機能する円筒であってよい。同じく上述のように、特定の構成要素は、個別構成要素であってよく、連係して動作する複数の構成要素であってもよい。これらの構成要素は、例えば、製造の容易さの為に、連係して機能する個別部品群であってよく、或いは、複数の機能を提供する単一部品であってもよい。本明細書に記載の形状及び構成も例示的であるに過ぎず、同じ機能性を有する他の同様な形状も、本発明の広さ及び企図の範囲内であれば、利用されてよい。
【0094】
本発明の更なる実施形態では、再利用可能な自動注射器50の為の駆動制御機構が、駆動ねじ114、カートリッジ搬送体126、プランジャ搬送体138、及び2つの伝達装置150を含む。駆動制御機構は更に、伝達装置ごとに、プランジャ搬送体138上にプランジャ搬送体凹部154、カートリッジ搬送体126内に溝152、及び、ガイド158上にガイド凹部156を含んでよい。これらの構成要素は、制御伝達装置が駆動制御機構内及びガイド内に保持されるように、サイズ及び構成が決定される。例えば、カートリッジ搬送体126は、貫通する矩形ボアを溝として有する薄い物体であってよい。伝達装置は、溝内に存在してよいが、4つの面の全てで保持されていることから、カートリッジ搬送体126の軸方向の面に沿って横に動くことは妨げられる。伝達装置150は、同時に駆動制御機構104の2つの構成要素と常に取り外し可能に係合しているように、寸法が決定されている。例えば、幾つかの動作段階では、伝達装置150は、ガイド158のガイド凹部156、及びカートリッジ搬送体126の溝152と取り外し可能に係合している。他の動作段階では、伝達装置150は、カートリッジ搬送体126の溝152、及びプランジャ搬送体138のプランジャ搬送体凹部154と取り外し可能に係合している。駆動制御機構は、伝達装置を、プランジャ搬送体138のプランジャ搬送体凹部154、カートリッジ搬送体126内の溝152、及びガイド158のガイド凹部156の間に存在させることによって機能し、これによって、上述のように、駆動ねじ114に作用する単一のモータ106及びトランスミッションアセンブリ110で、複数の構成要素の機能を制御することが可能になっている。
【0095】
本発明の再利用可能な自動注射器は、1mLのカートリッジ54、224を含む、様々な容量の一部充填済み又は完全充填済みのカートリッジ54、224を収容することが可能である。再利用可能な自動注射器は、事前充填済みシリンジを含む、引き込み式シリンジ又は安全シリンジとも、非安全シリンジとも使用可能である。非安全シリンジと使用される場合、カートリッジ54、224は、注射後には、露出した針58からユーザを保護する為に、再利用可能な自動注射器のハウジング52内に完全に引き戻される。注射完了信号に従って、ユーザは、再利用可能な自動注射器のハウジング52内に非安全シリンジがとどまる間、非安全シリンジに再度キャップをかぶせることが可能であり、針58の先端がハウジング52内に収容されていることから、針58による針刺し損傷の危険はない。その後、再利用可能な自動注射器又はカートリッジのカバー72を開いて、使用済みカートリッジ54、224を、シャープコンテナに安全に廃棄することが可能である。再利用可能な自動注射器は、従って、ほとんどの針引き込み式シリンジとともに動作することに加え、非安全シリンジでも安全に注射できるようにする。本発明は又、自己投与患者が現在使用している製品と同様に人間工学的で使いやすく、見栄えのよい、再利用可能な自動注射器を提供する。本発明の自動注射器は、看護師又は医師による注射をシミュレートするように、十分な力を適切な速度で提供するが、自己投与患者が使用する際の自由さも提供する。本発明の再利用可能な自動注射器は又、長期間にわたる高頻度の使用、例えば、毎日の使用に耐えるように構成される。再利用可能な自動注射器に給電するエネルギー源は、同様に、交換可能であってよく、又は再充電可能であってよく、或いは、別の形で、長期間にわたって注射器を使用する為の電力を供給してよい。その結果、本発明が提供する再利用可能な自動注射器は、一体化された安全機構を有し、再利用可能な自動注射器の内部に針引き込み式シリンジを組み込むことによって有効化され、患者にとって便利で使いやすいパッケージで提供される。
【0096】
上述の実施形態のうちの1つ以上が、更なる望ましい機能を患者に提供することが可能である。例えば、本発明の新規な自動注射器は、針の挿入深度を制限する為に、既存又は追加の構成要素をハウジング内で利用してよい。そのような1つの実施形態では、ハウジング上又はガイド上に位置する機能物が、この目的に利用されてよい。別の実施形態では、患者に挿入されるシリンジ針の移動距離を制限する為に、機械的制限物が、駆動制御機構、カートリッジ搬送体、プランジャ搬送体、又は駆動ねじに組み込まれてよい。同様に、上述のように、再利用可能な自動注射器がアクティブになったときにシリンジ針から針シールドを自動的に取り外す為に、1つ以上の構成要素が使用されてよい。
【0097】
別の実施形態では、様々な長さの針を含むカートリッジを収容する為に、本発明による単一の自動注射器の調節が行われてよい。このように、単一の自動注射器が、例えば、筋肉内注射と皮下注射とに利用されてよい。様々な針長さに対する調節を行う場合、本自動注射器においては、機械式調節及び/又は電気式調節が、例えば、ユーザインタフェースを介して行われてよい。針の挿入深度は、ハウジング内でのカートリッジ搬送体の動きに基づいて調節されてよい。これは、カートリッジ及び針が、
図13A及び
図13Bに示された位置まで動く為である。
【0098】
本発明の別の態様によれば、幾つかの実施形態のプロセッサは、投与される薬剤の用量を精密に制御するようにプログラムされてよい。例えば、カートリッジが、投与に必要な量より多い量を含む場合、自動注射器は、対象組織上に配置される前に、不要な量を定量供給するように指示されてよい。ユーザインタフェースを利用して、投与前に(例えば、患者センサ165が押下されていない限り)不要量を定量供給するように、自動注射器がプログラムされてよい。従って、自動注射器は、ユーザへの針挿入及び薬剤用量送達の前に、薬剤量を削減又は調節する為に、薬剤用量の一部をリザーバ又は環境に放出するように構成されてよい。その後、自動注射器は、対象組織に接触して配置されてよく、これによって患者センサ165が作動して、用量投与が可能になる。別の実施形態では、自動注射器は、針を挿入し、プログラムされた量の薬剤を投与し、その後、カートリッジを近位方向に動かして、対象組織から針を引き込むようにプログラムされてよい。
【0099】
更なる実施形態では、自動注射器は、1つ以上のオーバライドを含んでよい。例えば、自動注射器は、ユーザインタフェースを介して操作されてよい電子オーバライドを含んでよい。代替又は追加として、自動注射器は、手動オーバライドを含んでよい。例えば、自動注射器を対象組織から離脱させて患者センサ165がアクティブにならないようにすると、プランジャ搬送体は、前進を中止し、カートリッジ搬送体は、針をハウジングに引き込むであろう。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、自動注射器の製造方法に関する。本方法は、駆動制御機構を組み立てる各ステップを含み、駆動制御機構は、駆動ねじ114又はラック196などの細長い駆動装置と、カートリッジ搬送体126と、プランジャ搬送体138と、1つ以上の制御伝達装置150と、を含む。駆動制御機構は更に、プランジャ搬送体138内に1つ以上のプランジャ搬送体凹部154、カートリッジ搬送体126内に溝152、及びガイド158のガイド凹部156を含んでよい。これらの構成要素は、制御伝達装置150(例えば、パック)が駆動制御機構内及びガイド内に保持されるように、サイズ及び構成が決定される。本方法は更に、駆動制御機構にガイド及び支持ハウジング52を取り付けるステップを含む。本方法は更に、エネルギー源、モータ106、トランスミッションアセンブリ110、マイクロプロセッサなどの制御システムのうちの1つ以上を取り付けるステップを含んでよく、トランスミッションアセンブリ110は、駆動ねじ114と接触するように作成される。自動注射器の上面には、カートリッジ54又はハウジング52のカバー72も取り付けられてよい。
【0101】
更に別の実施形態では、本発明は、自動注射器の使用方法に関する。本方法は、自動注射器のハウジング52に収容された搬送体にカートリッジ54を挿入するステップと、任意選択で、針シールド60を取り外すこと、針58を患者に挿入すること、針58を通して薬剤を患者に送達すること、針58を患者からハウジング52に引き込むこと、及び、カートリッジ54をカートリッジ搬送体126から取り外すことのうちの1つ以上を起動するように自動注射器をアクティブにするステップと、を含む。更に、任意選択で、本使用方法は、自動注射器は、ユーザへの針挿入及び薬剤用量送達の前に、薬剤用量を削減又は調節する為に、薬剤用量の一部をリザーバ又は環境に放出するステップを含んでよい。同様に、任意選択で、本使用方法は、様々な針長さ及び/又は挿入深度に対応する為に、駆動機構(及び、従って、シリンジカートリッジ)の軸方向平行移動の距離を調節するステップを含んでよい。本方法は更に、カートリッジ54をカートリッジ搬送体126に挿入する前に、カートリッジカバー72を開いて自動注射器の内部にアクセスする各ステップと、カートリッジ54がカートリッジ搬送体126にロードされた後にカートリッジカバー72を閉じるステップと、を含んでよい。本方法は、同様に、針58の引き込み後に、カートリッジ54又はハウジング52のカバー72を開いて自動注射器の内部にアクセスし、使用済みカートリッジ54を取り外すステップを含んでよい。ユーザは、任意選択で、カートリッジ54をカートリッジ搬送体126から取り外す前に、カートリッジ54に針シールド60を再取り付けしてよい。使用済みカートリッジ54が自動注射器のカートリッジ搬送体126から取り外された後、自動注射器は、リセットされ、新たなカートリッジ54を受け入れる準備ができる。
【0102】
本明細書において図示及び詳述されている実施形態は、本発明の幾つかの可能な変形形態のみを開示しているが、他の同様な変形形態も、本開示の広さの範囲内であれば、企図され、組み込まれる。当業者であれば容易に理解されるように、上述の幾つかのパラメータ、形状、及び寸法は、本発明の広さ及び範囲にとどまる限り、修正されてよい。例えば、カートリッジ搬送体126が遠位方向に動く距離は、針58の挿入深度が所定の深度を確実に満たすように調節されてよい。追加又は代替として、この機能又は同様の機能を達成する為に、搬送体の移動を妨げる、停止部材などの他の標準的な構成要素も利用されてよい。他の機能も同様に調節可能であってよい。例えば、自動注射器は、薬剤粘度及び患者要件の範囲に対応する所望の注射速度を実現する為に、様々なギヤ比及び駆動ねじ又はラックピッチを受け入れるように構成されてよい。本発明は、駆動制御機構、再利用可能な自動注射器、そのような自動注射器の製造方法、及びそれらの使用方法を提供する。上述のように、駆動制御機構及び再利用可能な自動注射器は、幾つかの様々な構成で利用されてよく、それら自体が1つ以上の構成要素から構成されてよい。他の構成要素も同様に、単体構成要素、一体化された構成要素、又は多目的構成要素であってよい。これは、上述の実施形態において説明されたとおりである。そのような新規な自動注射器は、例えば、定期的に、或いは、長期間にわたって、薬剤を自分で注射しなければならない患者によって使用されてよい。従って、ここまで示されてきた実施例と同様に、本発明の新規な、再利用可能な自動注射器は、本発明の広さ及び範囲に収まる任意の数の構成において薬剤送達を開始し、針引き込みをアクティブにする為に、構成、修正、又は利用されてよい。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲に含まれる、本発明の修正及び変形を包含するものとする。
【0103】
再利用可能な自動注射器にシリンジ引き込み機能又は一体型針引き込み式シリンジを組み込むことにより、患者が、治療用薬剤を、使いやすい方法で安全に自己投与することが可能になる。新規な安全シリンジの機能及び設計を、再利用可能な自動注射器に組み込むことにより、真の用量終了インジケータが得られる。更に、針の安全性を実現し、用量の終了を表示する為に、標準的なシリンジが利用され、自動注射器の本体に引き込まれてよい。本明細書に記載のシリンジは、一体型安全機能を有してよいが、本発明の自動注射器は、そのような機能がない従来型のシリンジとともに利用されてよい。
【0104】
そのようなシリンジを使い捨て又は再利用可能な自動注射器に組み込むことにより、シリンジの一体型安全機構は、患者にとって非常に望ましい自動薬剤送達装置に拡張される。より具体的には、本明細書に記載の、一体型針引き込み式安全シリンジを使用する自動注射器は、逆駆動機構などの、他の、自動注射器の引き込み機構の代わりに、又はこれに加えて、事前充填済みシリンジの引き込み機構を利用してよい。更に、そのような自動注射器は又、真の用量終了インジケータを有する自動注射器に対する、満たされていない重要な必要性を解決するものである。現行の可視式、触感式、又は可聴式のインジケータは、一般に、ストローク又は他の何らかの機械式機構の終了に関連付けられており、用量の終了には関連付けられていない。一体型針引き込み式安全シリンジは、用量が終了したら、針を、シリンジバレルに引き込むことにより患者の皮膚から抜き取る。従って、そのような一体型安全シリンジを自動注射器に組み込むことにより、この、真の用量終了インジケータが組み込まれる。本発明の実施形態は、駆動機構、自動注射器の構成、並びに、再利用可能な自動注射器の製造方法及び使用方法を提供する。そのような新規な装置は、例えば、定期的に、或いは、長期間にわたって、薬剤を自分で注射しなければならない患者によって使用されてよい。
【0105】
上述の説明は、本開示のシステム及び技術の実施例を与えることを理解されたい。しかしながら、本開示の他の実施態様が、細部では前述の実施例と異なってよいことも企図されている。本開示又は本開示の実施例に対する参照は全て、その箇所において説明された特定の実施例の参照を意図しており、本開示の範囲に関する何らかの限定をより一般的に表すことを意図するものではない。特定の機能に関する差別化及び軽視の表現は全て、それらの機能についての優先性の欠落を示すことを意図するものであり、特に断らない限り、そのようなものを本開示の範囲から完全に排除するものではない。
【0106】
本発明を説明する文脈における(特に、この後の特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、「the」、「at least one(少なくとも1つ)」などの語句、及び同様な指示語は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数形及び複数形の両方を包含するものとして解釈されたい。「at least one(少なくとも1つ)」という語句が使用された後に1つ以上のアイテムのリストが続く場合(例えば、「at least one of A and B(A及びBのうちの少なくとも1つ)」)、これは、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、リストされたアイテムから選択された1つのアイテム(A又はB)、又は、リストされたアイテムのうちの2つ以上のアイテムの任意の組み合わせ(A及びB)を意味するものとして解釈されたい。
【0107】
本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に参照する為の略記法としての役割を果たすことのみを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。
【0108】
従って、本開示は、準拠法によって許可されているとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている内容のあらゆる修正及び均等物を包含する。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施形態のあらゆる可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせが本発明に包含される。
【0109】
〔付記1〕
カートリッジ54、224を収容するように適合された自動注射器50であって、前記カートリッジ54、224は、バレル56と、針58と、プランジャ封止材64を含むプランジャアセンブリ62と、を含み、前記カートリッジ54、224は、長手軸Aを画定する、前記自動注射器50であって、
ハウジング52、236と、
前記カートリッジ54、224の少なくとも一部分を収容するように適合されたカートリッジ搬送体126、202であって、前記ハウジング52、236に対して、前記カートリッジ54、224の前記長手軸Aに平行な方向に動くように配置された前記カートリッジ搬送体126、202と、
前記カートリッジ搬送体126、202に対して動くように配置されたプランジャ搬送体138、194、226、242であって、前記プランジャアセンブリ62の少なくとも一部分と向かい合い、これを動かすように配置された前記プランジャ搬送体138、194、226、242と、
前記カートリッジ搬送体126、202を、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と選択的に結合して、前記プランジャ搬送体138、194、226、242とともに動かすように配置された、少なくとも1つの伝達装置150、204と、
前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合された、細長い駆動装置114、196であって、前記プランジャ搬送体138、194、226、242を、前記カートリッジ54、224の前記長手軸Aに平行な方向に動かすように配置された前記細長い駆動装置114、196と、
を備える自動注射器50。
〔付記2〕
モータ106と、前記モータ106を前記細長い駆動装置114、196と結合しているトランスミッションアセンブリ110と、を更に含む、付記1に記載の自動注射器50。
〔付記3〕
前記細長い駆動装置114、196は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合されたラック196を含み、前記トランスミッションアセンブリ110は、前記ラック196と係合して、これを動かすように配置されたピニオンギヤ198、214を含む、付記2に記載の自動注射器50。
〔付記4〕
前記プランジャ搬送体138、194、226、242及び前記カートリッジ搬送体126、202のうちの少なくとも一方は、前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と取り外し可能に結合する為に前記少なくとも1つの伝達装置150、204を選択的に収容する開口154、206、152、210を含む、付記2に記載の自動注射器50。
〔付記5〕
前記少なくとも1つの伝達装置150、204は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242を前記カートリッジ搬送体126、202と結合する為に、前記プランジャ搬送体138、194、226、242及び前記カートリッジ搬送体126、202の両方の前記開口154、206、152、210内に配置されている、付記4に記載の自動注射器50。
〔付記6〕
前記伝達装置150、204は、第1の位置と第2の位置との間を動くように配置され、前記第1の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202又は前記プランジャ搬送体138、194、226、242のうちの一方のみと係合し、前記第2の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合して、これらを同時に動かす為に、前記カートリッジ搬送体126、202及び前記プランジャ搬送体138、194、226、242の両方と係合する、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記7〕
前記カートリッジ搬送体126、202は、少なくとも1つの開口152、210を含み、前記プランジャ搬送体138、194、226、242は、少なくとも1つの開口154、206を含み、前記少なくとも1つの伝達装置150、204が、前記カートリッジ搬送体開口152、210及び前記プランジャ搬送体開口154、206のうちの一方のみにある第1の位置に配置されている場合、前記カートリッジ搬送体126、202は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合されず、前記少なくとも1つの伝達装置150、204が、前記カートリッジ搬送体開口152、210及び前記プランジャ搬送体開口154、206のうちの両方にある第2の位置に配置されている場合、前記カートリッジ搬送体126、202は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242とともに動くべく、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合される、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記8〕
前記カートリッジ搬送体126、202は、少なくとも1つの開口152、210を含み、前記プランジャ搬送体138、194、226、242は、少なくとも1つの開口154、206を含み、前記ハウジング52、236は、少なくとも1つの凹部156、208を更に含み、前記少なくとも1つの伝達装置150、204が、前記ハウジング凹部156、208及び前記カートリッジ搬送体開口152、210にある第1の位置に配置されている場合、前記カートリッジ搬送体126、202は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合されず、前記少なくとも1つの伝達装置150、204が、前記カートリッジ搬送体開口152、210及び前記プランジャ搬送体開口154、206にある第2の位置に配置されている場合、前記カートリッジ搬送体126、202は、前記プランジャ搬送体138、194、226、242とともに動くべく、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合される、付記7に記載の自動注射器50。
〔付記9〕
前記開口のうちの少なくとも1つが傾斜エッジを有し、前記伝達装置150、204は、少なくとも一部分に丸みが付けられた外側表面を含み、前記伝達装置150、204が前記第1の位置と前記第2の位置との間を動くと、前記少なくとも一部分に丸みが付けられた外側表面は、前記傾斜エッジの少なくとも一部分に乗って動く、付記8に記載の自動注射器50。
〔付記10〕
前記カートリッジ搬送体126、202又は前記プランジャ搬送体138、194、226、242の前記開口154、206、152、210のうちの少なくとも1つの中に、前記少なくとも1つの伝達装置150、204を選択的に保持するように配置されたリテーナを更に含む、付記7に記載の自動注射器50。
〔付記11〕
前記細長い駆動装置114は、前記モータ106によって回転するように取り付けられたねじ山付き駆動ねじ114を含み、前記プランジャ搬送体138は、前記駆動ねじ114と係合するように配置されたトレッド面を含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記12〕
ギヤトレイン112を更に備え、前記ギヤトレイン112は、前記モータ106から前記駆動ねじ114へ回転運動を伝達するように配置された少なくとも1つのギヤ116、118、120を含む、付記11に記載の自動注射器50。
〔付記13〕
前記モータ106は、アクスルを含み、前記アクスルは、前記長手軸Aに平行に配置されている、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記14〕
前記モータ106と結合されたエネルギー源108を更に含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記15〕
カートリッジ54、224を収容するように適合され、前記カートリッジ54、224は、プランジャヘッド68と、前記プランジャ封止材64と結合されたプランジャロッド66と、を更に含み、前記プランジャ搬送体138、194、226、242は、プランジャヘッド68と接触するように適合されている、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記16〕
前記プランジャ搬送体138、194、226、242は、前記プランジャ封止材64と接触するように適合された細長いロッド228を含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記17〕
前記カートリッジ搬送体126、202は、前記バレル56の少なくとも一部分と係合するように適合されたカートリッジ接続機能130を含み、これによって、前記カートリッジ搬送体126、202は、前記バレル56を動かすように適合されている、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記18〕
ユーザが前記自動注射器50の動作を起動できるユーザインタフェース96を更に含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記19〕
前記カートリッジ54、224及び前記ハウジング52、236を選択的に覆うように配置されたカートリッジカバー72を更に含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記20〕
カートリッジ排出装置182、184を更に含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記21〕
少なくとも1つのセンサ160、165を含む、付記1から5のいずれか一項に記載の自動注射器50。
〔付記22〕
前記少なくとも1つのセンサは、患者センサ165を含む、付記21に記載の自動注射器50。
〔付記23〕
針ストリッパ162を更に含む、付記21に記載の自動注射器50。
〔付記24〕
付記1から23のいずれか一項に記載の自動注射器50を動作させて、カートリッジ54、224から流体を注射する方法であって、
前記自動注射器50内に前記カートリッジ54、224を配置するステップであって、バレル56の少なくとも一部分がカートリッジ搬送体126、202内に配置され、プランジャアセンブリ62が、プランジャ搬送体138、194、226、242と向かい合うように配置され、前記カートリッジ54、224の針端部が、前記自動注射器50の遠位端を画定し、前記カートリッジ54、224の反対側の端部が、前記自動注射器50の近位端を画定する、前記ステップと、
前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合するステップと、
単一の駆動機構を利用して、前記プランジャ搬送体138、194、226、242及び前記カートリッジ搬送体126、202を動かすことにより、前記カートリッジ54、224を前記遠位端に向かって軸方向に進めるステップと、
前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242から切り離すステップと、
前記駆動機構を利用して、前記プランジャ搬送体138、194、226、242を前記遠位端に向かって前記軸方向に動かすことによって、前記流体を定量供給するステップと、
前記プランジャ搬送体138、194、226、242を、前記近位端に向かって軸方向に引き込むステップと、
を含む方法。
〔付記25〕
前記自動注射器50を作動させるステップを更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記26〕
前記カートリッジ54、224をカートリッジカバー72で覆うステップを更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記27〕
前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と取り外し可能に結合するステップと、前記流体の定量供給後に、前記駆動機構を利用して、前記カートリッジ搬送体126、202及び前記プランジャ搬送体138、194、226、242を前記近位端に向かって前記軸方向に動かすステップと、を更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記28〕
前記単一の駆動機構を利用して、前記取り外し可能に結合されたカートリッジ搬送体126、202及びプランジャ搬送体138、194、226、242を前記近位端に向かって前記軸方向に動かすことにより、前記カートリッジ54、224から針シールド60を切り離してから、前記プランジャ搬送体138、194、226、242及び前記カートリッジ搬送体126、202を前記遠位端に向かって前記軸方向に動かすステップを更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記29〕
単一の駆動機構を利用して、前記プランジャ搬送体138、194、226、242及び前記カートリッジ搬送体126、202を動かす前記ステップは、前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合された、細長い駆動装置114、196を動かすことを含む、付記24に記載の方法。
〔付記30〕
モータ106を動作させて、前記細長い駆動装置114、196を動かすステップを含む、付記29に記載の方法。
〔付記31〕
前記結合するステップは、少なくとも1つの伝達装置150、204を第1の位置から第2の位置まで動かすことを含み、前記第1の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202又は前記プランジャ搬送体138、194、226、242のうちの一方のみと係合し、前記第2の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合して、これらを同時に動かす為に、前記カートリッジ搬送体126、202及び前記プランジャ搬送体138、194、226、242の両方と係合する、付記24に記載の方法。
〔付記32〕
前記切り離すステップは、前記少なくとも1つの伝達装置150、204を前記第2の位置から前記第1の位置まで動かすことを含む、付記31に記載の方法。
〔付記33〕
前記結合するステップは、少なくとも1つの伝達装置150、204を第1の位置から第2の位置まで動かすことを含み、前記第1の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202又は前記プランジャ搬送体138、194、226、242のうちの一方のみにある開口154、206、152、210と係合し、前記第2の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202を前記プランジャ搬送体138、194、226、242と結合して、これらを同時に動かす為に、前記カートリッジ搬送体126、202及び前記プランジャ搬送体138、194、226、242の両方にある開口154、206、152、210と係合し、前記切り離すステップは、前記少なくとも1つの伝達装置150、204を前記第2の位置から前記第1の位置まで動かすことを含む、付記24に記載の方法。
〔付記34〕
前記結合するステップは、少なくとも1つの伝達装置150、204を第1の位置から第2の位置まで動かすことを含み、前記第1の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202にある開口152、210、及びハウジング52、236にある開口156、208と係合し、前記第2の位置では、前記伝達装置150、204は、前記カートリッジ搬送体126、202にある前記開口152、210、及び前記プランジャ搬送体138、194、226、242にある開口154、206と係合することにより、前記カートリッジ搬送体126、202を、前記プランジャ搬送体138、194、226、242とともに動かすべく、プランジャ搬送体138、194、226、242と結合する、付記24に記載の方法。
〔付記35〕
単一の駆動機構を利用する前記ステップは、ねじ山付き駆動ねじ114を動かすことと、前記ねじ山付き駆動ねじ114のねじ山の少なくとも一部分を、前記プランジャアセンブリ62のねじ山と駆動係合させることと、を含む、付記24に記載の方法。
〔付記36〕
引き込み後に排出装置182、184を作動させて、前記カートリッジ54、224を排出するステップを更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記37〕
前記モータ106を作動させる前記ステップは、前記モータ106の出力を、少なくとも1つのギヤ116、118、120、198、212、214により、前記細長い駆動装置114、196と結合することを含む、付記30に記載の方法。
〔付記38〕
ユーザインタフェース96を操作することを更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記39〕
自動注射器50を動作させる方法であって、
前記自動注射器50のハウジング52、236内に第1のカートリッジ54、224を配置するステップと、
前記自動注射器50を作動させて、前記第1のカートリッジ54、224から流体を定量供給するステップと、
前記ハウジング52、236から前記第1のカートリッジ54、224を取り外すステップと、
前記ハウジング52、236内に第2のカートリッジ54、224を配置するステップと、
前記自動注射器50を作動させて、前記第2のカートリッジ54、224から流体を定量供給するステップと、
を含む方法。