特許第6871219号(P6871219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871219
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】過酸の脱臭
(51)【国際特許分類】
   A01N 41/04 20060101AFI20210426BHJP
   A01N 37/16 20060101ALI20210426BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20210426BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20210426BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20210426BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   A01N41/04 Z
   A01N37/16
   A01N25/00 101
   A01N31/02
   A01P3/00
   A61L2/18 102
   A61L101:22
【請求項の数】14
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2018-202707(P2018-202707)
(22)【出願日】2018年10月29日
(62)【分割の表示】特願2017-19699(P2017-19699)の分割
【原出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-11377(P2019-11377A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2018年11月22日
(31)【優先権主張番号】61/507,678
(32)【優先日】2011年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/542,735
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/542,742
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ディー.マクシェリー
【審査官】 武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0128312(US,A1)
【文献】 特開2003−081711(JP,A)
【文献】 特開平06−145696(JP,A)
【文献】 特表2002−518476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 37/00
A01N 59/00
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸と、
0.1重量%〜20重量%のアルコールと、
酸と、
エステルとを含み、
前記アルコールが前記エステルを形成し、短〜中鎖長カルボン酸汚染物質および/またはペルオキシカルボン酸の分解によって形成されるものに関係する悪臭を低減するのに有効であり、
前記アルコールが、メタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、C−Cアルコール、又はそれらの組み合わせであり、
前記酸は、カルボン酸及び前記アルコールのエステルへの変換のための触媒として作用する一つ又は複数の酸を含む、臭気低減ペルオキシカルボン酸組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのペルオキシカルボン酸が、アルキルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、0.01重量%〜10重量%の前記ペルオキシカルボン酸および0.1重量%〜10重量%の前記アルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
過酸化水素および/または少なくとも1つのカルボン酸を含む酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロトロープ溶解剤をさらに含み、前記ヒドロトロープ溶解剤は、陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル、C8−10アルキルグルコシド、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、抗微生物性陰イオン界面活性剤である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルコールが、前記ペルオキシカルボン酸組成物に関係する前記悪臭の原因となる前記化合物をマスキングおよび/または誘導体化する快い香りをもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
臭気低減抗微生物性ペルオキシカルボン酸組成物を生成するための方法であって、
ペルオキシカルボン酸生成組成物にアルコールを添加することであって、前記ペルオキシカルボン酸生成組成物は、少なくとも1つのカルボン酸と、酸化剤と、酸とを含み、前記アルコールが、悪臭に関係する短〜中鎖長カルボン酸を除去および/またはマスキングすることができるアルキルエステルを生成するように、ペルオキシカルボン酸の形成前または形成中に添加される、アルコールを添加することと、
ペルオキシカルボン酸組成物を生成することであって、前記ペルオキシカルボン酸組成物は、前記悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定しており、0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸と、前記酸と、0.1重量%〜20重量%の前記アルコールと、前記アルキルエステルとを含む、ことと
を含み、
前記アルコールは、メタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、C−Cアルコール、又はそれらの組み合わせであり、前記酸は、前記カルボン酸及び前記アルコールの前記アルキルエステルへの変換のための触媒として作用する一つ又は複数の酸を含む、方法。
【請求項10】
前記アルコールが、エタノールであり、前記ペルオキシカルボン酸がスルホン化パーオレイン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、ヒドロトロープ溶解剤をさらに含み、前記ヒドロトロープ溶解剤は、陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸塩もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル、C8−10アルキルグルコシド、又はそれらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ペルオキシカルボン酸組成物の前記生成が、前記ペルオキシカルボン酸生成組成物の脱水をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
物体上の微生物の個体群を減少させる方法であって、前記物体は人間を含まず、
物体を、少なくとも1つのペルオキシカルボン酸、酸、アルコール及びアルキルエステルを含む臭気低減ペルオキシカルボン酸組成物と接触させることを含み、
前記アルコールが、前記ペルオキシカルボン酸の前記臭気を低減する、ペルオキシカルボン酸形成と同じ条件下での前記アルキルエステルの形成に有効であり、
前記組成物が、0.01重量%〜50重量%の前記ペルオキシカルボン酸、および0.1重量%〜20重量%の前記アルコールを含み、前記アルコールが、メタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、C−Cアルコール、又はそれらの組み合わせであり、
前記酸は、カルボン酸及び前記アルコールの前記アルキルエステルへの変換のための触媒として作用する一つ又は複数の酸を含む、方法。
【請求項14】
前記物体が、食品加工もしくは製造に関する表面、食物組織、食品包装、医療管理に関する表面、医療もしくは手術機器、織物、水域もしくは水流、気体域もしくは気体の流れ、接客部門に関する表面、工業部門に関する表面、農業に関する表面、獣医学に関する表面、建築に関する表面、食卓用食器、硬い表面包装、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の過酸組成物と比較して低減された臭気を有する、ペルオキシカルボン酸といった過酸の組成物に関する。本発明の態様において、臭気低減過酸は、本発明の組成物および方法に従って生成されたエステルを用いない過酸組成物と少なくとも実質的に類似の抗微生物効果を示す。本発明はさらに、これらの臭気低減過酸組成物を用いる方法およびそれらを製造する方法に関する。本発明の特定の態様において、臭気低減過酸組成物は、短鎖の悪臭のあるカルボン酸を除去し、低い使用濃度を有する組成物を生成するエステル化反応のためのアルコールを含む。
【背景技術】
【0002】
過酸組成物、すなわち、ペルオキシカルボン酸組成物は、有用な抗微生物性および漂白作用を示す。従来のペルオキシカルボン酸組成物は、典型的に、短鎖ペルオキシカルボン酸、または短鎖ペルオキシカルボン酸および中鎖ペルオキシカルボン酸の混合物を含む(例えば、参照することにより、その全体が本明細書にそれぞれ組み込まれる、米国特許第5,200,189号、同第5,314,687号、同第5,409,713号、同第5,437,868号、同第5,489,434号、同第6,674,538号、同第6,010,729号、同第6,111,963号、および同第6,514,556号を参照されたい)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ペルオキシカルボン酸を含む大多数の存在する過酸組成物は、該組成物の特有の欠点であり、浄化用途におけるそれらの使用を制限する、許容し難い臭気を抱えている。過酸組成物は、組成物の年数に伴って上昇し、早くて調合の数週間以内に発生する鋭い、不快な、または、さもなければ、許容し難い臭気を示すことが多い。そのような悪臭は、かかるペルオキシカルボン酸組成物の使用に適した用途を著しく制限する。かかるペルオキシカルボン酸組成物を広い表面積(例えば、床洗剤)に適用することは、望ましくない。
【0004】
本発明にしたがって、低臭気または無臭気の抗微生物性ペルオキシカルボン酸組成物の必要性が存在する。
【0005】
同じまたはより低い使用温度において低臭気プロファイルを有する過酸化学組成物を開発することが、特許請求される本発明の1つの目的である。
【0006】
本発明のさらなる目的は、過酸化学の悪臭の原因となるより短いカルボン酸鎖を排除する過酸組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来の過酸組成物と比較して低減された臭気を有する過酸組成物および/またはエステル成分を有さない過酸組成物、これらの臭気低減過酸組成物を用いる方法、ならびにそれらを製造する方法に関する。典型的に、本発明に従う組成物は、短鎖の悪臭のあるカルボン酸のエステル化および除去のためのアルコールを含む。
【0008】
本発明の一態様において、臭気低減ペルオキシカルボン酸組成物が提供される。組成物は、約0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸、および約0.1重量%〜20重量%のアルコールを含み、該アルコールは、短〜中鎖長カルボン酸汚染物質および/またはペルオキシカルボン酸組成物の分解によって形成されるものに関係するペルオキシカルボン酸組成物の悪臭を低減するペルオキシカルボン酸形成と同じ条件下でのアルキルエステルの形成に有効である。
【0009】
本発明のさらなる態様において、臭気低減抗微生物性ペルオキシカルボン酸組成物を生成するための方法が提供される。方法は、ペルオキシカルボン酸生成組成物にアルコールを提供することであって、該アルコールが、悪臭に関係する短鎖カルボン酸を除去および/またはマスキングすることができるアルキルエステルを生成するように、ペルオキシカルボン酸の形成前または形成中に提供される、アルコールを提供することと、悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定しており、アルキルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される約0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸と、およびメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される約0.1重量%〜20重量%のアルコールと、を含む、ペルオキシカルボン酸組成物を生成することと、を含み、該アルコールは、ペルオキシカルボン酸組成物中でエチルエステルの形成に有効である。
【0010】
本発明のなおさらなる態様において、物体上の微生物の個体群を減少する方法が提供され、物体を、少なくとも1つのペルオキシカルボン酸およびアルコールを含む臭気低減ペルオキシカルボン酸に接触させることを含み、該アルコールは、ペルオキシカルボン酸の臭気を低減するペルオキシカルボン酸形成と同じ条件下でのアルキルエステルの形成に有効であり、該組成物は、約0.01重量%〜50重量%のペルオキシカルボン酸および約0.1重量%〜20重量%のアルコールを含む。
【0011】
複数の実施形態が開示されるが、本発明の例示的実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、なお本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、事実上例示と見なされ、制限とは見なされない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、有効な抗微生物量の過酸およびアルコールを含む抗微生物性組成物に関する。本発明の組成物は、アルコールを欠いた組成物と比較して、低減された臭気の過酸を有する。一態様において、臭気低減抗微生物性組成物は、低い使用濃度で使用することができ、その一方で商品過酸組成物では死滅されない死滅が困難な内生胞子を形成する桿菌型細菌を含む微生物の個体群を効果的に減少させることができる。組成物は、飲食料品産業で使用される施設および設備におけるものといった、様々な硬い表面上で使用することができる。加えて、本組成物は、食品の、食卓用食器の微生物の個体群を効果的に減少するために、および水を処理するために使用することができる。
【0013】
本発明の実施形態は、特定の組成物、使用方法、および製作方法に制限されず、これらは変化し得、当業者に理解される。本明細書で使用されるすべての専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、任意の様式または範囲に制限されるとは意図されないことがさらに理解される。例えば、本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、認められた形式のその国際単位で示される。本明細書内で記載される数値の範囲は、範囲を画定する数値の境界値を含み、画定される範囲内の各整数を含む。
【0014】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を最初に定義する。特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明の実施形態に関連する当業者に通常理解されるものと同様の意味を有する。本明細書で説明されるものと類似の、修正された、または同等の多くの方法および材料は、過度の実験を伴わずに本発明の実施形態の実施において使用することができ、好ましい材料および方法が本明細書に説明される。本発明の実施形態の説明および請求において、以下の専門用語が、下記の通り定義に従って使用される。
【0015】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、濃縮物または使用溶液を生成するために実際に用いられる典型的な計測、および液体の処理手順によって、これらの手順における不慮の過失によって、組成物の製造または方法の実施に使用される含有物の製造、供給源、または純度の違い等によって生じ得る数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期の混合物によってもたらされる組成物の異なる平衡状態に起因する異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲は、生じ得る数量の変動を示す数量の同等物を含む。
【0016】
本明細書で使用される「アルキル」または「アルキル基」という用語は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環状アルキル基(または「シクロアルキル」または「脂環式」または「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル等)、およびアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。特に指示がない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される「置換アルキル」という用語は、炭化水素主鎖の1つ以上の炭素上で1つ以上の水素を置き換える置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基を挙げることができる。
【0017】
抗微生物性の「殺菌(−cidal)」または「静菌(−static)」作用の区別、効果の程度を説明する定義、およびこの効果を計測するための公認の実験プロトコルは、抗微生物剤および組成物の関連性を理解するための検討材料である。抗微生物性組成物は、2種類の微生物細胞損傷をもたらすことができる。1つ目は、完全な微生物細胞の破壊または無力化をもたらす致死的で不可逆的な作用である。2つ目の細胞損傷の種類は、有機体を薬品のない状態にした場合に再び増殖可能であるような、可逆的なものである。前者は殺菌、そして後者は静菌と称される。清浄剤および消毒剤は、定義によると抗菌または殺菌作用を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は、概して阻害剤または静菌組成物と説明される。
【0018】
本特許出願の目的のために、効果的な微生物の減少は、微生物の個体群が約50%まで、水での洗浄によって達成されるよりも著しく高い値まで、または少なくとも約0.3〜1ログ10まで減少されるときに、達成される。微生物の個体群のより大きな減少は、より優れたレベルの保護を提供する。本出願において、そのような個体群の減少は、プロセスに許容される最低限のことである。微生物の個体群の任意の増大した減少は、高いレベルの保護を提供する付加利益である。
【0019】
本明細書で使用される「消毒剤」という用語は、A.O.A.C.Use Dilution Methods,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、段落955.14および該当する章、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)で説明される手順を使用して、もっとも知られた病原微生物を含むすべての栄養細胞を死滅させる薬剤を指す。本明細書で使用される「高度消毒」または「高度消毒剤」という用語は、高レベルの細菌胞子を除く実質的にすべての有機体を死滅させる化合物または組成物を指し、化学的殺菌剤が米国食品医薬品局によって滅菌剤としての市場出荷を認可されると成立する。本明細書で使用される「中度消毒」または「中度消毒剤」という用語は、米国環境保護庁(EPA)によって殺結核菌剤(tuberculocide)として登録された化学的殺菌剤で、マイコバクテリア、大多数のウイルス、および細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。本明細書で使用される「低度消毒」または「低度消毒剤」という用語は、EPAによって病院消毒剤として登録された化学的殺菌剤で、一部のウイルスおよび細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。
【0020】
本明細書で使用される「食品加工に関する表面」または「食品に関する表面」という語句は、食品加工、調理、または貯蔵活動の一部として用いられる道具、機械、設備、建造物、建物等の表面を指す。食品加工に関する表面の例は、食品加工もしくは調理設備(例えば、スライス設備、缶詰め設備、または水路を含む運搬設備)、食品加工用品(例えば、調理用具、食卓用食器、洗浄用品、およびバーグラス)、ならびに中で食品加工が生じる建造物の床、壁、または備品の表面が挙げられる。食品加工に関する表面は、食物を腐敗させない空気循環システム、無菌包装の清浄、食品冷蔵および冷却器のクリーナーおよび清浄剤、用品洗浄の清浄、漂白器の浄化および清浄、食品包装材料、まな板添加剤、サードシンクの清浄、飲料冷却機および保温機、肉の冷却水および熱湯、清浄ゲル、冷却塔、食品加工用抗微生物性衣類スプレー、ならびに非水性〜低水性の食物調理滑沢剤、油、および漱ぎ添加剤に見られ、そして用いられる。
【0021】
本明細書で使用される「医療管理に関する表面」という語句は、医療管理活動の一部として用いられる器具、機器、カート、ケージ、家具、建造物、建物等の表面を指す。医療管理に関する表面の例は、医療器具または歯科器具、医療機器または歯科機器、患者の健康状態を監視するために用いられる電子装置、ならびに中で医療管理が生じる建造物の床、壁、または備品の表面が挙げられる。医療管理に関する表面は、病院、手術室、病室、分娩室、遺体安置所、および臨床診断室に見られる。これらの表面は、「硬い表面」(壁、床、便器等といったもの)、または織物表面および不織布表面(手術着、カーテン、ベットリネン、包帯等といったもの)、または患者治療用設備(レスピレーター、診断設備、シャント、ボディースコープ、車椅子、ベッド等といったもの)、または手術もしくは診断設備として代表されるものであってもよい。医療管理に関する表面は、動物の医療管理に用いられる品物および表面を含む。
【0022】
本明細書で使用される「複素環式基」という用語(例えば、複素環式基を含む置換アルキルを指す)は、環中の炭素原子のうちの1つ以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似した閉環構造を含む。複素環式基は、飽和または不飽和であってもよい。複素環式基の例には、アジリジン、酸化エチレン(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される「器具」という用語は、本発明に従う臭気低減組成物での浄化から利益を得ることができる様々な医療器具もしくは歯科用器具または医療機器もしくは歯科用機器を指す。「医療器具」、「歯科用器具」、「医療機器」、「歯科用機器」、「医療設備」、または「歯科用設備」という語句は、医学または歯科医学で使用される器具、機器、道具、器械、装置、および設備を指す。そのような器具、機器、および設備は、冷殺菌、浸漬、または洗浄され、次いで、加熱殺菌されてもよく、あるいは本発明の組成物での浄化によって利益を得ることができる。これらの様々な器具、機器、および設備は、診断器具、トレイ、皿状の器物、ホルダー、棚、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば、骨鋸およびそれらの刃)、止血物質、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり(files)、ニッパー、ドリル、ドリルの錐先、石目やすり、バール、開大器、破砕機、エレベーター、クランプ、持針器、キャリア、クリップ、フック、切骨器、キュレット、開創器、ストレートナー、穴開け器、摘出器、しゃくし、角膜切開刀、へら、エクスプレッサー(expressors)、トロカール、拡張器、ケージ、ガラス用品、チューブ類、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、関節鏡(arthoscope)および関連設備等、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される用語「農業に関する」または「獣医学に関する」物体または表面には、動物飼料、動物水やり場および囲い地、動物舎、動物の獣医師診療所(例えば、外科区域または治療区域)、動物外科区域等が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される「微生物」という用語は、任意の非細胞または単細胞(群生を含む)の有機体を指す。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノ細菌を含む)、地衣類、微小菌類、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、および一部の藻類を含む。本明細書で使用される「細菌」という用語は、微生物と同義である。
【0026】
「過酸組成物」、「ペルオキシカルボン酸組成物」、「過酸」、または「ペルオキシカルボン酸」に関連して使用されるとき、「混合された」または「混合物」という用語は、ペルオキシ酢酸およびペルオキシオクタン酸を含む組成物または混合物等のペルオキシカルボン酸といった1つを超える過酸を含む組成物または混合物を指す。
【0027】
本明細書で使用される「好ましくない臭い(objectionable odor)」、「不快な臭い(offensive odor)」または「嫌な臭い(malodor)」という語句は、鋭い、刺激性のある、もしくは鼻をつく臭気を、あるいは可能な場合、典型的な人はそこから立ち去る大気環境を指す。ヘドニックトーンは、臭気が快適であるか、または不快であるかの程度の尺度を提供する。「好ましくない臭い」、「不快な臭い」、または「嫌な臭い」は、5重量%の酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはそれらの混合物の溶液と同じくらい不快であるか、あるいはそれよりも不快であると評価するヘドニックトーンを有する。
【0028】
本明細書で使用される「物体」という用語は、直接的および/または間接的に感覚によって感知されることができる何かの物質を指す。物体は、硬い表面(ガラス、陶磁器、金属、天然および合成の岩、木材、並びに重合体といったもの)、エラストマーもしくはプラスチック、織物および不織布下地、食品加工に関する表面、医療管理に関する表面等を含む表面を含む。物体はまた、食品(およびその表面)、水域もしくは気体域または水流もしくは気体の流れ(例えば、空気の流れ)、ならびに接客部門および工業部門に用いられる表面および品物を含む。
【0029】
本明細書で使用される「清浄剤」という用語は、公衆衛生上の要件によって判断される安全なレベルまで細菌性汚染物質の数を減少する薬剤を指す。一実施形態において、本発明における使用のための清浄剤は、少なくとも99.999%の減少(5対数桁の減少)を提供する。これらの減少は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants, Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、段落960.09および該当する章、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)で示された手順を使って評価することができる。この参考文献によると、清浄剤は、数個の試験有機体に対して室温、25℃+/−2℃で、30秒以内に99.999%の減少(5対数桁の減少)を提供すべきである。
【0030】
本明細書で使用される「短鎖カルボン酸」という語句は、特徴的な酷い、刺激性のある、または鼻をつく臭気を有するカルボン酸を指す。短鎖カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、および酪酸が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「殺胞子剤」という用語は、周囲温度で30分以内に、セレウス菌または枯草菌の胞子といった胞子の個体群の90%超の減少(1対数桁の減少)を引き起こすことができる能力を有する物理的薬剤または化学剤、あるいはプロセスを指す。ある特定の実施形態において、本発明の殺胞子組成物は、周囲温度で30分以内にそのような個体群の99%超の減少(2対数桁の減少)、99.99%超の減少(4対数桁の減少)、または99.999%超の減少(5対数桁の減少)を提供する。
【0032】
本発明に従う組成物の浄化性能および/または抗微生物効果を指すとき、「実質的に類似の」という用語は、従来の組成物および、それから得られる浄化性能および/または抗微生物効果との比較である。本発明の一態様において、本発明に従う組成物と、短〜中鎖長悪臭のあるカルボン酸を除去するためのエステル化反応にアルコールを用いない従来の組成物との間では、概して同じ程度(もしくは少なくとも著しく劣った程度ではない)の浄化度(すなわち、浄化および/または抗微生物効果)、または、概して同じ尽力消費(または少なくとも著しく劣った消費ではない)、または両方が存在する。
【0033】
本明細書で使用される「用品」という用語は、食事および調理用具、食器類、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、調理台、窓、鏡、運搬用車両、および床といった他の硬い表面といった品目を指す。本明細書で使用される「用品洗浄」という用語は、用品を洗浄する、浄化する、または漱ぐことを指す。用品はまた、プラスチック製の品物を指す。本発明に従う組成物で浄化され得るプラスチックのタイプは、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および組成物を使用して浄化され得る別の例示的プラスチックには、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt−%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語およびそれらの変形は、物質を組成物の総重量で除し、100を乗じた重量としての、物質の濃度を指す。本明細書において使用される「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることを理解されたい。
【0035】
本発明の方法および組成物は、本発明の成分および含有物、同様に、本明細書に記載される他の含有物を含んでもよく、それから本質的になり、またそれから成ってもよい。本明細書で使用される、「本質的に成る」という語句は、請求項に係る方法、システム、装置、および組成物の基本のおよび新規の特徴を大きく変更しない場合に限り、方法および組成物が、追加のステップ、成分または含有物を含み得ることを意味する。
【0036】
過酸組成物
機構の理解が本発明の実施に必須ではなく、本発明が任意の特定の作用機構に制限されない一方で、一部の実施形態において、エタノールといったアルコールを使用するペルオキシカルボン酸組成物が、従来の過酸に固有の短〜中鎖の悪臭を除去および/またはマスクできるということが意図される。当業者が理解するように、過酸組成物は経時的に変化する。例えば、おおよそ1年で、周囲条件での組成物中のペルオキシカルボン酸の量は、初期の平衡値または使用組成物レベルの約50%〜約80%以上に減少し得る。約C18以上の長さの炭素といった長鎖過酸は、無臭の初期構造から悪臭のあるC8および短いカルボン酸に徐々に分解され得る。短いカルボン酸は、より揮発性であり、最終的に本発明が改良を試みている悪臭の原因となる。これに対して、より大きな分子量のカルボン酸分子は、臭気が少なく、これは一つには、臭気がないことが検出できるほどに低い様々な分子間結合官能基および蒸気圧のためである。
【0037】
本発明の一実施形態にしたがって、実施形態の特定の理論に制限されることを意図するものではないが、本発明のペルオキシカルボン酸組成物におけるエタノールといったアルコールの使用は、好都合な過酸形成と同じ条件化でエチルエステルを形成する。当業者が本発明の説明から解明するように、酸化プロセスを介した過カルボン酸の形成を説明する有意な文献が存在するが、過カルボン酸形成はまた、エステル化プロセスとしても説明され得る。エステル化プロセスにおいて、ペルオキシカルボン酸は、本質的にエステルと見なされてもよい。例えば、ペルオキシカルボン酸の形成は、通常、以下の平衡過程によって表される:
【化1】
R’がヒドロキシル基であるとき、ペルオキシカルボン酸が生成される。しかし、R’がCHCHといったアルキル基であるときは、同じ母体のカルボン酸のエチルエステルが生成される。平衡過程において、水の除去または最小化がRCOR’種の産生に好都合であるように、生成物側から除去されるいかなるものも、付加生成物を産生するシステムを生じる。
【0038】
本発明にしたがって、硫酸もしくはLAS/DDBSAの添加、または水の最小化による系の脱水といった過酸形成に好都合である条件を用いることは、エステル化に同様に好都合である。一実施形態において、過酸形成混合物(本明細書においてペルオキシカルボン酸生成組成物とも称される)へのエチルアルコールの添加は、ペルオキシカルボン酸のエチルエステル類似体の形成をもたらす。
【0039】
一例示的実施形態において、高い希釈率における使用のための抗微生物性陰イオン界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA))を含有する濃縮された硬い表面の消毒剤が、本発明に従って生成される。例えば、例1に記載されるような、濃縮DDBSA(すなわち、おおよそ30%の濃度)および硫酸(すなわち、約3%)は、過酸平衡の生成物側から水を除去する、非常に強力な脱水剤として混ぜ合わさる。これらの条件は、ペルオキシカルボン酸の形成に非常に好都合である。しかし、そのような強い脱水状態は、カルボン酸のペルオキシカルボン酸への効果的な変換に利益をもたらす一方で、中鎖脂肪酸臭気の上昇からも明らかなように、過カルボン酸(PSOA)のC鎖分解の加速を同様にもたらす。その結果、初期の無臭長鎖過酸(例えば、PSOA化学)は、使用前、特に広い表面積上(例えば、床等)で使用される際に、好ましくない嫌な臭いを発生する。有利に、本発明に従って提供されるように、数分から数時間以内のアルコールの少量の添加は、これらの悪臭の防止をもたらす。一実施形態において、悪臭は、一部分または大部分の遊離短鎖カルボン酸をそれぞれのエステルへ変換することによって、最小限にのみ明らかになる。
【0040】
本発明の一実施形態において、エチルアルコールといった短鎖アルコールの添加は、果実のような臭いといった快い香りをもたらす。一部の態様において、短鎖アルコールの使用は、カプリル酸エチルと類似の臭気をもたらす。有利に、快い香りの産生は、少量のアルコールのみを必要とする。ある特定の実施形態において、本発明のある特定の実施形態にしたがって、約10重量%未満、および好ましくは約5重量%未満のアルコール量が用いられる。
【0041】
本発明の一態様において、悪臭の低減が達成される。1つの実施形態において、短鎖アルコール(例えば、エチルアルコール)が用いられ、過酸組成物中にエステルを生成する。本発明のさらなる態様において、さらに例3(表5)に示されるように、長い炭素鎖および/または低い蒸気圧を有するアルコールが用いられてもよい。
【0042】
本発明の一態様において、組成物および方法は、ペルオキシカルボン酸に関係する悪臭に対する単なるマスク以上のものを提供する。これは、本発明の方法を用いた場合の、ペルオキシカルボン酸の少ない減少によって実証される。驚くべきことに、少量の短鎖アルコールの添加(例えば、約5重量%未満のエチルアルコール)は、例1(表4)に示されるように、ペルオキシカルボン酸の著しい減少を引き起こさない。好ましくは、本発明にしたがって、ペルオキシカルボン酸は約5%未満の減少、好ましくは約2%未満の減少、より好ましくは約1%未満の減少である。
【0043】
本発明のさらなる態様において、悪臭誘導体化プロセスが提供され、悪臭誘導体化プロセスは、快い香りを発生する追加の利益を提供する。
【0044】
本発明のさらなる利益では、水溶性〜若干水溶性のエステルであるエチルエステルの形成が、予想外のペルオキシカルボン酸の改良されたミクロ効果をもたらし得る。本発明の代替的な態様において、エチルエステルは、本発明に従う過酸組成物の抗微生物効果に対して有害には影響しない。好ましくは、本発明に従う臭気低減過酸組成物に用いられるエチルエステルは、そのようなエチルエステルを形成するためにアルコールを用いない過酸組成物と、少なくとも実質的に類似の浄化および/または抗微生物効果を提供する。
【0045】
本発明は、ペルオキシカルボン酸およびアルコールを含有する臭気低減過酸組成物に関する。好ましくは、臭気減少過酸組成物は、酸性陰イオン界面活性剤をさらに含む。ペルオキシカルボン酸および酸性陰イオン界面活性剤は、抗微生物剤である。驚くべきことに、本発明に従うペルオキシカルボン酸(またはペルオキシカルボン酸および酸性陰イオン界面活性剤)組成物は、アルコールを調合物に添加するときに、許容し難い臭気を示さない。一実施形態にしたがって、エタノールといったアルコールの使用は、アルコールを欠いた組成物と比較して、ペルオキシカルボン酸(またはペルオキシカルボン酸および酸性陰イオン界面活性剤の組み合わせ)の悪臭を低減または排除する。
【0046】
本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物は、ペルオキシカルボン酸の形成後に添加されるアルコールアジュバントを使用するのではなく、むしろ、アルコールの存在下で製造される。アルコールは、典型的に、ペルオキシカルボン酸の臭気を効果的に低減する量でペルオキシカルボン酸組成物中に存在する。
【0047】
本発明に従う濃縮組成物中の好適なレベルのアルコールは、本発明に従う濃縮組成物に対して、少なくとも約160:1のアルコール対ペルオキシカルボン酸〜約1:10のアルコール対過酸のモル比を含む。好ましい実施形態において、濃縮組成物に対するアルコール対ペルオキシカルボン酸のモル比は、約120:1〜約1:20、または約100:1〜約1:25である。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0048】
本発明の一実施形態において、濃縮組成物は、約0.01〜50重量%のペルオキシカルボン酸および約0.1〜20重量%のアルコールを含む。さらなる実施形態において、組成物は、約1〜約50重量%のペルオキシカルボン酸および約1〜10重量%のアルコールを含む。なおさらなる実施形態において、組成物は、約10〜約50重量%のペルオキシカルボン酸および約1〜5重量%のアルコールを含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0049】
本発明に従う使用準備済(RTU)の組成物中の好適なレベルのアルコールは、少なくとも約500:1〜約3:1のアルコール対ペルオキシカルボン酸のモル比を含む。好ましい実施形態において、RTU組成物に対するアルコール対ペルオキシカルボン酸のモル比は、約500:1〜約10:1、または約1400:1〜約20:1である。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0050】
本発明の一実施形態において、RTU組成物は、約0.01〜10重量%のペルオキシカルボン酸および約0.01〜10重量%のアルコール、好ましくは約0.04〜50重量%のペルオキシカルボン酸および約0.1〜5重量%のアルコールを含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0051】
組成物のそれぞれは、列挙した含有物のそれぞれを組み合わせることによって調合することができる。平衡組成物を提供するために、ペルオキシカルボン酸組成物を調合し、過酸はその対応するカルボン酸および過酸化水素(または他の酸化剤)と平衡に存在する。本発明にしたがって、ペルオキシカルボン酸組成物は、室温でおおよそ1週間後に平衡に達する。
【0052】
典型的に、平衡混合物のpHは、約1未満または約2であり、水中の平衡混合物の1%の溶液のpHは、1%の溶液の他の成分に応じて約2〜約9であり、使用組成物のpHは、他の成分に応じて約1〜約9であり得る。好ましくは、本発明に従う組成物は、約7未満または約1〜7のpHを有する。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0053】
本発明のペルオキシカルボン酸組成物は、実質的に無臭気または低臭気を有する。本明細書で言及されるとおり、低臭気は、組成物中のアルコール含有の結果として、ペルオキシカルボン酸組成物中で産生されたエチルエステルの若干の甘い匂いを含み得る。そのような低臭気は、本発明において記載されるアルコールを含まないペルオキシカルボン酸組成物に一般に関連する独特の悪臭とは対照的に快い香りとして容易に認識される。
【0054】
本発明のペルオキシカルボン酸組成物は、従来の市販の過酸含有組成物と少なくとも同じ安定性を有する。一部の実施形態において、本発明の組成物は、室温で少なくとも約2年間安定している。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、室温で少なくとも約1年間安定している。
【0055】
ペルオキシカルボン酸
様々なペルオキシカルボン酸が、本発明に従う組成物に用いられ得る。本発明の一実施形態にしたがって、好適なペルオキシカルボン酸には、および本明細書に記載のエステルペルオキシカルボン酸、アルキルエステルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、いくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせが挙げられる。本発明の追加の実施形態にしたがって、1つ以上のカルボン酸が同様に、本明細書に開示の組成物に使用されてもよい。
【0056】
ペルオキシカルボキシル(または過カルボン酸もしくは過酸)は、一般式R(COH)を有する酸を同義的に指す。R基は、飽和であっても不飽和であってもよく、ならびに、置換基であっても非置換であってもよい。本明細書に記載されるように、Rは、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、複素環式、またはアルキルエステル基といったエステル基である。Nは、1、2、または3であり、親酸の初めにペルオキシを置くことによって命名される。エステル基は、有機質部分(Rについて先で列挙されるもの等)およびエステル部分を含むR基として定義される。例示的エステル基は、RおよびRのそれぞれが、Rについて上述の脂肪族基、好ましくはアルキル基である、ROC(O)Rといった、脂肪族エステル基を含む。好ましくは、RおよびRはそれぞれ、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基といった独立した小さいアルキル基である。
【0057】
当業者が理解すべきであるように、ペルオキシカルボン酸は、カルボン酸ほどは安定していなく、それらの安定性は概して分子量の増加に伴って上昇する。これらの酸の熱分解は、概して、フリーラジカルおよび非ラジカル経路によって、光分解もしくはラジカル誘導分解によって、または金属イオンもしくは錯体の作用によって、進行させることができる。過カルボン酸は、カルボン酸に対する過酸化水素の直接酸触媒平衡作用によって、アルデヒドの自動酸化によって、あるいは酸クロリド、および水素化物、または水素もしくは過酸化ナトリウムを有するカルボン酸無水物から製造され得る。
【0058】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのペルオキシカルボン酸が用いられる。本発明の組成物において有用な例示的なペルオキシカルボン酸には、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ペルオキシブタン酸(peroxybutanoic)、ペルオキシペンタン酸(peroxypentanoic)、ペルオキシヘキサン酸(peroxyhexanoic)、ペルオキシヘプタン酸(peroxyheptanoic)、ペルオキシオクタン酸(peroxyoctanoic)、ペルオキシノナン酸(peroxynonanoic)、ペルオキシデカン酸(peroxydecanoic)、ペルオキシウンデカン酸(peroxyundecanoic)、ペルオキシドデカン酸(peroxydodecanoic)、ペルオキシ乳酸(peroxylactic)、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシマレイン酸(peroxymaleic)、ペルオキシアスコルビン酸(peroxyascorbic)、ペルオキシヒドロキシ酢酸(peroxyhydroxyacetic)(ペルオキシグリコール酸(peroxyglycolic))、ペルオキシシュウ酸(peroxyoxalic)、ペルオキシマロン酸(peroxymalonic)、ペルオキシコハク酸(peroxysuccinic)、ペルオキシグルタル酸(peroxyglutaric)、ペルオキシアジピン酸(peroxyadipic)、ペルオキシピメリン酸(peroxypimelic)、ペルオキシスベリン酸(peroxysuberic)、およびペルオキシセバシン酸(peroxysebacic acid)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。有用なペルオキシカルボン酸はまた、本明細書で説明されるエステルペルオキシカルボン酸、およびそれらのエステルペルオキシカルボン酸を含む本発明の組成物を含む。1つを超えるカルボキシレート部分を有するカルボン酸のペルオキシ形態は、ペルオキシカルボキシル部分として存在するカルボキシル部分のうちの1つ以上を有し得る。これらのペルオキシカルボン酸は、水性混合物中で良い安定性を有する良い抗微生物性作用を提供することが判明している。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、いくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせを利用する。
【0059】
一実施形態において、本発明の組成物は、いくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせを利用する。1つの実施形態にしたがって、組成物は、1つ以上の小さいC−Cペルオキシカルボン酸、1つ以上の大きいC−C12ペルオキシカルボン酸、1つ以上のエステルペルオキシカルボン酸、1つ以上のアルキルエステルペルオキシカルボン酸、および/または最大12個の炭素原子を有する1つ以上のモノもしくはジペルオキシカルボン酸を含む。さらなる実施形態にしたがって、ペルオキシカルボン酸は、2〜12個の炭素原子を有する。一実施形態にしたがって、ペルオキシカルボン酸は、ペルオキシ酢酸(POAA)(または、式CHCOOOHを有するペルオキシ酢酸)、および/またはペルオキシオクタン酸(POOA)(または、例えば、n−ペルオキシオクタン酸の式CH(CHCOOOHを有するペルオキシオクタン酸)を含む。
【0060】
一実施形態において、本発明の組成物は、エステルペルオキシカルボン酸を含む。本明細書で使用されるように、エステルペルオキシカルボン酸は、式:
【化2】
(式中、R1およびR2は、独立して、多種多様な有機基(例えば、直鎖もしくは環状アルキル、芳香族もしくは飽和アルキル)または置換有機基(例えば、1つ以上のヘテロ原子もしくは有機基を有する)のいずれかであってもよい)を有する分子を指す。エステルペルオキシカルボン酸は、酸化剤、例えば、過酸化水素に対応するエステルカルボン酸のインキュベートといったペルオキシカルボン酸を産生するために典型的に用いられる方法を使用して製造されてもよい。
【0061】
本発明に有用なアルキルエステルペルオキシカルボン酸には、モノメチルモノペルオキシシュウ酸(monoperoxyoxalie acid)、モノメチルモノペルオキシマロン酸(monoperoxymalonic acid)、モノメチルモノペルオキシコハク酸(monoperoxysuccinic acid)、モノメチルモノペルオキシグルタル酸(monoperoxyglutaric acid)、モノメチルモノペルオキシアジピン酸(monoperoxyadipic acid)、モノメチルモノペルオキシピメリン酸(monoperoxypimelic acid)、モノメチルモノペルオキシスベリン酸(monoperoxysuberic acid)、およびモノメチルモノペルオキシセバシン酸(monoperoxysebacic acid)、モノエチルモノペルオキシシュウ酸、モノエチルモノペルオキシマロン酸、モノエチルモノペルオキシコハク酸、モノエチルモノペルオキシグルタル酸、モノエチルモノペルオキシアジピン酸、モノエチルモノペルオキシピメリン酸、モノエチルモノペルオキシスベリン酸、およびモノエチルモノペルオキシセバシン酸、プロピルがn−またはイソプロピルであり得る、モノプロピルモノペルオキシシュウ酸、モノプロピルモノペルオキシマロン酸、モノプロピルモノペルオキシコハク酸、モノプロピルモノペルオキシグルタル酸、モノプロピルモノペルオキシアジピン酸、モノプロピルモノペルオキシピメリン酸、モノプロピルモノペルオキシスベリン酸、およびモノプロピルモノペルオキシセバシン酸、ならびに、ブチルがn−またはイソ−、あるいはt−ブチルであり得る、モノブチルモノペルオキシシュウ酸、モノブチルモノペルオキシマロン酸、モノブチルモノペルオキシコハク酸、モノブチルモノペルオキシグルタル酸、モノブチルモノペルオキシアジピン酸、モノブチルモノペルオキシピメリン酸、モノブチルモノペルオキシスベリン酸、およびモノブチルモノペルオキシセバシン酸が挙げられる。
【0062】
本発明に従う好適なアルキルエステルペルオキシカルボン酸およびエステルペルオキシカルボン酸のさらなる説明は、共に「Peroxycarboxylic Acid Compositions with Reduced Odor」と題される、米国特許第7,816,555号、および同第7,622,606号に含まれ、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれ、それらの中に含まれるすべての図面および化学構造を制限することなく含む。
【0063】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのスルホペルオキシカルボン酸が用いられる。本明細書においてスルホン化過酸とも称されるスルホペルオキシカルボン酸はまた、本発明に従って使用されてもよく、スルホン化カルボン酸のペルオキシカルボン酸形態を含むと理解される。一部の実施形態において、本発明のスルホン化過酸は、中鎖スルホン化過酸であり、これは、過カルボン酸鎖の炭素主鎖における過カルボン酸基の炭素由来の少なくとも1つの炭素(例えば、3つまたはさらに離れた位置)に付着するスルホン酸塩基を含む過酸化合物を指し、この少なくとも1つの炭素は末端位置にはない。本明細書で使用される「末端位置」という用語は、過カルボキシル基から最も離れた過カルボン酸の炭素主鎖上の炭素を指す。
【0064】
本発明の一実施形態にしたがって、スルホペルオキシカルボン酸は、以下の一般式:
【化3】
(式中、Rは、水素、または置換もしくは非置換アルキル基であり、Rは、置換または非置換アルキル基であり、Xは、水素、陽イオン基、もしくはエステル形成部分、またはそれらの塩もしくはエステルである)を有する。
【0065】
一部の実施形態において、Rは、置換もしくは非置換Cアルキル基であり、Xは、水素、陽イオン基、またはエステル形成部分であり、Rは、置換もしくは非置換Cアルキル基であり、m=1〜10、n=1〜10、およびm+nは18未満であり、またはそれらの塩、エステル、もしくは混合物である。一部の実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、Rは、置換もしくは非置換アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、環状アルキル基を含まない置換もしくは非置換アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、置換アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、非置換C−Cアルキル基である。一部の実施形態において、Rは、非置換CまたはCアルキルである。他の実施形態において、Rは、置換C−C10アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、少なくとも1つ、または少なくとも2つのヒドロキシル基で置換された置換C−C10アルキル基である。なおまた他の実施形態において、Rは、置換C−Cアルキル基である。一部の実施形態において、Rは、少なくとも1つのSOH基で置換された置換C−C置換アルキル基である。他の実施形態において、Rは、C−C10置換アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、置換C−C10アルキル基であり、炭素主鎖上の炭素のうち少なくとも2つが、複素環式基を形成する。一部の実施形態において、複素環式基は、エポキシド基である。
【0066】
さらなる実施形態において、Rは、置換C−C10アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、置換C−C10アルキルである。一部の実施形態において、Rは、非置換C−Cアルキルである。他の実施形態において、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたC−C10アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換されたC10アルキル基である。他の実施形態において、Rは、少なくとも1つのSOH基で置換されたCアルキル基である。一部の実施形態において、Rは、置換C基であり、炭素主鎖上の炭素のうち少なくとも2つが、複素環式基を形成する。一部の実施形態において、複素環式基は、エポキシド基である。一部の実施形態において、Rは、C−C置換もしくは非置換アルキルであり、RはC−C置換もしくは非置換アルキルである。
【0067】
本発明の過酸組成物の使用に適したさらなるスルホペルオキシカルボン酸には、例えば、以下のもの、ならびに/またはそれらの任意の塩、エステル、および混合物が挙げられる。
【化4】
【0068】
本発明に従う好適なスルホペルオキシカルボン酸およびそれらを製造する方法のさらなる説明は、「Sulfoperoxycarboxylic Acids, Their Preparation and Methods of Use as Bleaching and Antimicrobial Agents」と題される、米国特許出願第13/290,355号、同第12/568,493号、および同第12/413,179号に含まれ、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれ、それらの中に含まれるすべての図面および化学構造を制限することなく含む。
【0069】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのカルボン酸が、ペルオキシカルボン酸組成物に用いられる。概して、カルボン酸は、式R−COOH(Rは、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、複素環式基、およびアルキルエステル基といったエステル基を含む異なる基のうちの任意の数を表し得、それらすべては飽和であっても不飽和であってもよく、および/または置換基であっても非置換であってもよい)を有する。カルボン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のカルボキシル基を有し得る。好ましいエステル基は、ROC(O)R−−(RおよびRのそれぞれが、Rについて上述の脂肪族基、好ましくはアルキル基である)といった、脂肪族エステル基を含む。好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基といった小さいアルキル基である。
【0070】
本発明の組成物は、22個もの数の炭素原子を含有するカルボン酸を用いてもよい。好適なカルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリンスベリン酸、およびセバシン酸が挙げられる。好適なアルキルエステルカルボン酸の例には、モノメチルシュウ酸、モノメチルマロン酸、モノメチルコハク酸、モノメチルグルタル酸、モノメチルアジピン酸、モノメチルピメリン酸、モノメチルスベリン酸、およびモノメチルセバシン酸、モノエチルシュウ酸、モノエチルマロン酸、モノエチルコハク酸、モノエチルグルタル酸、モノエチルアジピン酸、モノエチルピメリン酸、モノエチルスベリン酸、およびモノエチルセバシン酸、プロピルがn−またはイソプロピルであり得る、モノプロピルシュウ酸、モノプロピルマロン酸、モノプロピルコハク酸、モノプロピルグルタル酸、モノプロピルアジピン酸、モノプロピルピメリン酸、モノプロピルスベリン酸、およびモノプロピルセバシン酸、ならびに、ブチルがn−またはイソ−、あるいはt−ブチルであり得る、モノブチルシュウ酸、モノブチルマロン酸、モノブチルコハク酸、モノブチルグルタル酸、モノブチルアジピン酸、モノブチルピメリン酸、モノブチルスベリン酸、およびモノブチルセバシン酸が挙げられる。
【0071】
一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C−C12カルボン酸である。一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C−C11カルボン酸である。一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C−Cカルボン酸である。好適なカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、同様にそれらの分枝型異性体、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリンスベリン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。概して、有用なカルボン酸は、アルキルエステルカルボン酸といったエステルカルボン酸を含む。
【0072】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、ペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、および/またはカルボン酸の組み合わせを含む。一実施形態にしたがって、本発明の組成物は、少なくとも1つのスルホペルオキシカルボン酸ならびに少なくとも1つのカルボン酸および/または過カルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、もしくは少なくとも4つ以上のカルボン酸および/またはペルオキシカルボン酸を含む。
【0073】
ペルオキシカルボン酸を含む本明細書の化学構造は、当技術分野で既知である従来の基準に従って描画される。このため、十分ではない価数を有するように描画される炭素原子といった原子において、水素原子が必ずしも明白に描画されてないにもかかわらず、価数は水素原子によって十分であると仮定される。本発明の一部の化合物の構造は、立体中心炭素原子を含む。特に指示がない限り、かかる非対称(例えば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー)から生じる異性体が、本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。つまり、規定されない限り、任意の不斉炭素中心は、(R)−または(S)−立体化学のいずれかであってもよい。かかる異性体は、古典的な分割手法によって、および立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形で取得され得る。
さらに、アルケンは、適切な場合には、E−もしくはZ−幾何学のいずれかを含むことができる。加えて、本発明の化合物は、水、THF、エタノール等といった許容できる溶媒による、非溶媒和ならびに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的に対して、非溶媒和形態と同様であると見なされる。
【0074】
使用組成物および濃縮組成物中のペルオキシカルボン酸の量は、ペルオキシカルボン酸が組成物中で溶解または懸濁され得る限界まで及んでもよい。好ましくは、ペルオキシカルボン酸は、約0.0001〜約50重量%、好ましくは約1〜約50重量%、約10〜約50重量%、および約15〜約50重量%の濃度で、使用組成物または濃縮組成物中に存在する。典型的に、使用組成物は、本発明にしたがって、少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約1重量%のペルオキシカルボン酸を含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0075】
ペルオキシカルボン酸の製造
ペルオキシカルボン酸を製造するための例示的方法および装置は、共に「Apparatus and Method for Making a Peroxycarboxylic Acid」と題される、米国特許第7,547,421号、および米国特許出願第12/430,523号に開示され、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。本発明に従う特定のペルオキシカルボン酸および/またはスルホペルオキシカルボン酸を製造するためのこれらと他の既知の方法および装置は、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
一部の実施形態において、組成物のペルオキシカルボン酸の調製の出発物質は、スルホン化脂肪酸といった脂肪酸である。一部の実施形態において、本発明の過カルボン酸は、市販の脂肪酸から形成される。一部の実施形態にしたがって、本発明の過カルボン酸は、スルホン化脂肪酸から形成される。他の実施形態において、本発明の化合物は、スルホン化され得る市販の非スルホン化脂肪酸から形成される。一部の実施形態において、出発脂肪酸は、ペルオキシカルボン酸への変換の前にスルホン化される。他の実施形態において、出発脂肪酸は、ペルオキシカルボン酸の形成と同時に、または後にスルホン化される。本発明の化合物の形成における使用に適したスルホン化脂肪酸には、11−スルホウンデカン酸、10,11−ジスルホウンデカン酸、スルホン化オレイン酸、スルホン化リノール酸、スルホン化パルミトレイン酸、およびスルホン化ステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
組成物のペルオキシカルボン酸の調製のための出発脂肪酸に応じて、化合物の混合物が、本発明の組成物中に含まれる。例えば、化学的に純粋ではないためにスルホン化オレイン酸の1つを超える形態を含有し得るスルホン化オレイン酸出発物質を使用する本発明の実施形態にしたがって、形成されたペルオキシスルホン化オレイン酸は、スルホペルオキシ酸化合物の混合物を含み得る。本発明のこの実施形態にしたがって、スルホペルオキシ酸は、例えば、出発物質に対する過酸化水素の直接酸触媒平衡作用を含む、様々な反応機構を使用して、形成され得る。
【0078】
一部の態様では、周囲条件では、ペルオキシカルボン酸組成物を製造するための反応は、平衡でのペルオキシカルボン酸の望ましい濃度に達するのに1週間以上かかり得る。他の態様において、混合物中のDDBSAおよび/または硫酸を用いて説明されるもの等の、より有利な条件では、最大ペルオキシカルボキシル濃度は、約60分または数時間以内に達し得る。当業者は、特定の時間内で望ましい濃度を取得するために、ペルオキシカルボン酸反応の条件に対する様々な修正を解明するであろう。
【0079】
アルコール
様々なアルコールが、エステル化を通して悪臭の、低分子量カルボン酸を除去するために、本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物に使用される。アルコールは、好ましくはC−C、またはC−Cアルコールといった低鎖アルコールである。異なる濃度を有するアルコールが、本発明に従って用いられ得る。アルコールはまた、アルコールの混合物であってもよい。したがって、組成物は、1つのアルコール、または2つ以上のアルコールの混合物を含有してもよい。
【0080】
本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物の使用に好適なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ノナノール等を含む。アルコールは、好ましくは、エタノールであり、本発明によって解決される課題に、快適で果実のような臭気および費用効果の高い解決策を提供する。さらなる実施形態にしたがって、エタノールは、有利な毒性プロフィールを有する未反応の残留物を提供する。
【0081】
本発明にしたがって、エタノールといったアルコールを含むペルオキシカルボン酸化合物の調合物は、エタノールおよび/または他のアルコールの添加の数時間以内に調合物に快適なエステル様臭気をもたらす。本発明の特定の理論に従って制限されることを意図するものではないが、アルコールは、様々な短鎖カルボン酸の著しいエステル化、あるいは少なくとも、それら臭気の完全なマスキングのいずれかをもたらす。
【0082】
アルコールは、好ましくは過酸組成物中に、約0.1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、または約1重量%〜約5重量%のアルコール量で存在する。本発明に従う過酸組成物中のアルコールの量は、濃度または使用溶液の調合に応じて変化し得る。ある特定の実施形態において、濃縮組成物は、約16:1〜約1000:1の率で希釈されてもよく、約5ppm〜約1,000ppmのアルコールの使用濃度をもたらす。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0083】
酸化剤
本発明の一部の態様において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つの酸化剤を含む。ペルオキシカルボン酸組成物中に存在するとき、様々な酸化剤のいずれか、例えば、過酸化水素が、用いられてもよい。酸化剤は、カルボン酸またはスルホン化カルボン酸といった脂肪酸を、ペルオキシカルボン酸またはスルホン化ペルオキシカルボン酸に変換するのに有効な量で存在し得る。一部の実施形態において、酸化剤はまた、抗微生物活性を有する。他の実施形態において、酸化剤は、抗微生物活性を示すのに不十分な量で存在する。
【0084】
無機酸化剤の例は、以下のタイプの化合物、もしくはこれら化合物の源、またはこれらのタイプの化合物を含む、またはそれとともに付加物を形成するアルカリ金属塩を含む:過酸化水素、尿素過酸化水素錯体、または以下の過酸化水素供与体:群1(IA)酸化剤、例えば、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム;群2(IIA)酸化剤、例えば、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム;群12(IIB)酸化剤、例えば、過酸化亜鉛;群13(IIIA)酸化剤、例えば、過ホウ酸塩といったホウ素化合物、例えば式Na[B(O(OH)]6H2Oによって表される過ホウ酸ナトリウム六水和物(過ホウ酸ナトリウム四水和物とも称される);式Na(O[(OH)]4HOによって表されるペルオキシホウ酸ナトリウム四水和物(過ホウ酸ナトリウム三水和物とも称される);式Na[B(O(OH).]によって表されるペルオキシホウ酸ナトリウム(過ホウ酸ナトリウム一水和物とも称される);群14(IVA)酸化剤、例えば、過ケイ酸塩(persilicate)およびペルオキシ炭酸塩(peroxycarbonate)、それらはまた、アルカリ金属の過ケイ酸塩もしくはペルオキシ炭酸塩といった過炭酸塩(percarbonate)とも称される;群15(VA)酸化剤、例えば、ペルオキシ亜硝酸およびその塩;ペルオキシリン酸およびそれらの塩、例えば、過リン酸塩(perphosphate);群16(VIA)酸化剤、例えば、ペルオキシモノ硫酸(peroxymonosulfuric)およびペルオキシジ硫酸(peroxydisulfuric acid)といったペルオキシ硫酸およびそれらの塩、ならびに、過硫酸塩、例えば、過硫酸塩ナトリウムといったそれらの塩;ならびに群VIIa酸化剤、例えば、過ヨウ素酸塩ナトリウム、過塩素酸カリウム。他の活性無機酸素化合物は、遷移金属過酸化物、および他のかかる過酸化合物、ならびにそれらの混合物を含むことができる。
【0085】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、先で列挙した無機酸化剤のうちの1つ以上を用いる。好適な無機酸化剤には、オゾン、過酸化水素、過酸化水素付加物、群IIIA酸化剤、もしくは群VIA酸化剤、群VA酸化剤、群VIIA酸化剤の過酸化水素供与体、またはそれらの混合物が挙げられる。このような無機酸化剤の好適な例には、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0086】
ペルオキシカルボン酸組成物は、好ましくは過酸化水素構成要素を含む。有利に、ペルオキシカルボン酸と組み合わせる過酸化水素は、微生物に対する特定の抗微生物性作用を提供する。加えて、過酸化水素は、それが適用されるあらゆる表面を湿らせることができる発泡作用を提供することができる。過酸化水素は、いったん適用されると、さらに表面を浄化する機械的なフラッシング作用で働く。過酸化水素の追加の利点は、使用および分解の際のこの組成物の食物適合性である。例えば、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、および過酸化水素の組み合わせは、分解時に酢酸、オクタン酸、水、および酸素をもたらし、それらすべては食品適合性があり、ペルオキシカルボン酸組成物が適用される装置、操作もしくは処理、または他の表面に悪影響を与えない。
【0087】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、約0.5重量%の酸化剤〜約90重量%の酸化剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約80重量%の酸化剤を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、約10重量%〜約80重量%の酸化剤を含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0088】
界面活性剤
本発明の一部の態様において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。界面活性剤は、好ましくは、ペルオキシカルボン酸の溶解度を高める、または組成物のpHを保持するために、ペルオキシカルボン酸組成物中に含まれる。本発明の一実施形態にしたがって、界面活性剤は、組成物の相が安定し、単一の高度に活性な水性形態を取りつづけることを保証するために使用できるヒドロトロープカプラーまたは溶解剤である。そのようなヒドロトロープ溶解剤またはカプラーは、相安定性を保持するが、欲しない組成相互作用をもたらさない濃度で使用され得る。
【0089】
本発明の組成物との使用に特に適した界面活性剤は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、陰イオン界面活性剤が、本発明の過酸組成物と共に用いられる。使用される例示的な界面活性剤は、多数の供給元から市販されている。界面活性剤の考察は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、8巻、900〜912ページを参照されたい。
【0090】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、界面活性剤は、酸性陰イオン界面活性剤である。さらなる実施形態にしたがって、界面活性剤は、抗微生物剤である。例示的な界面活性剤であるヒドロトロープ溶解剤は、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルもしくはアルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸塩もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル(例えば、ソルビタンエステル)、およびC8−10アルキルグルコシドといった陰イオン界面活性剤を含む。
【0091】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、約10重量%〜約80重量%の界面活性剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約50重量%の界面活性剤を含む。追加の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約10重量%の界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、約10ppm〜約10,000ppmの界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、約10ppm〜約100ppmの界面活性剤を含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0092】
非イオン界面活性剤
本発明の組成物との使用に適した、好適な非イオン界面活性剤には、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤には、EO/POコポリマー、キャッピングされたEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャッピングされたアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。溶媒としての使用に好適なアルコキシル化界面活性剤には、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤といったEO/POブロックコポリマー、アルコールアルコキシレート、ならびにPlurafac LF221およびTegoten EC11といったキャッピングされたアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。
【0093】
半極性非イオン界面活性剤
半極性型の非イオン表面活性薬剤は、本発明の組成物に有用な別のクラスの非イオン界面活性剤である。半極性非イオン界面活性剤には、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド、およびそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。
【0094】
アミンオキシドは、一般式:
【化5】
(式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R、R、およびRは、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよい)に対応する第3級アミンオキシドである。概して、洗浄剤対象のアミンオキシドに対して、Rは、約8〜約24個の炭素原子から成るアルキルラジカルであり、RおよびRは、1〜3個の炭素原子のアルキルまたはヒドロキシアルキルまたはそれらの混合物であり、RおよびRは、例えば、酸素または窒素原子を介して環構造を形成するように、互いに結合することができ、Rは、2〜3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0〜約20の範囲である。アミンオキシドは、対応するアミンおよび過酸化水素といった酸化剤から生成され得る。
【0095】
有用な水溶性のアミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ヤシ油、または獣脂アルキルジ(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体的な例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−ドデコキシ−1−ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル−(2−ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9−トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0096】
陰イオン界面活性剤
本組成物での使用に適した陰イオン硫酸塩界面活性剤には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖および分枝鎖第1級および第2級アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪族オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノール酸化エチレンエーテル硫酸塩、C−C17アシル−N−−(C−Cアルキル)、および−−N−−(C−Cヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、ならびにアルキルポリグルコシドの硫酸塩といったアルキルポリサッカライドの硫酸塩等が挙げられる。同様に含まれるものは、酸化エチレンおよびノニルフェノールの硫酸塩または縮合物(通常、1つの分子につき1〜6個のオキシエチレン基を有する)といったアルキル硫酸塩、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテル硫酸塩、ならびに芳香族ポリ(エチレンオキシ)硫酸塩である。
【0097】
本組成物での使用に適した陰イオンスルホン酸塩界面活性剤にはまた、スルホン酸塩アルキル、直鎖および分枝鎖第1級および第2級スルホン酸塩アルキル、ならびに置換基を有する、もしくは有しない芳香族スルホン酸塩が挙げられる。
【0098】
本組成物での使用に適した陰イオンカルボキシレート界面活性剤には、アルカン酸(および、アルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルコハク酸)、エーテルカルボン酸等といったカルボン酸(および、塩)が挙げられる。そのようなカルボキシレートには、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物での使用に有用な第2級カルボキシレートには、第2級炭素に結び付いたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p−オクチル安息香酸の、またはアルキルで置換されたシクロヘキシルカルボキシレートの環状構造であってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的に、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは、典型的に、頭部基(両親媒性部分)の窒素原子を欠いている。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的に、より多くの炭素原子(例えば、16個まで)が存在することができるが、11〜13個の総炭素原子を含有する。好適なカルボキシレートにはまた、アシルグルタミン酸(acylgluamates)、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N−アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N−アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)等といったアシルアミノ酸(および塩)も挙げられる。
【0099】
好適な陰イオン界面活性剤は、以下の式:
【化6】
(式中、Rが、C−C22のアルキル基、または、
【化7】
式中、Rが、C−C16アルキル基であり、nが、1〜20の整数であり、mが、1〜3の整数であり、およびXが、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、または、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンといったアミン塩といった対イオンである)によって表されるアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートを含む。一部の実施形態において、nは、4〜10の整数であり、mは1である。一部の実施形態において、Rは、C−C16アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、C12−C14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0100】
他の実施形態において、Rは、
【化8】
であり、Rは、C−C12アルキル基である。なおまた他の実施形態において、Rは、Cアルキル基であり、nは10であり、mは1である。
【0101】
そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的に、陰イオンまたは塩形態に容易に変換され得る酸性形態として入手可能である。
【0102】
両性界面活性剤 両性(amphotericまたはampholytic)界面活性剤は、塩基性親水基と酸性親水基の両方、および有機疎水基を含有する。これらのイオン性の実体は、他のタイプの界面活性剤について本明細書で説明される陰イオンまたは陽イオン基のいずれかであってもよい。塩基性窒素と酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性の親水基として用いられる典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤において、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、またはリン酸塩は、負電荷を提供する。
【0103】
両性界面活性剤は、脂肪族第2級および第3級アミンの誘導体と大まかに説明することができ、その脂肪族ラジカルは直鎖または分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つが約8〜18個の炭素原子を含有し、かつ、1つが陰イオン性水溶性化基、例えばカルボキシ、スルホ、硫酸塩、リン酸塩、またはホスホノを含有する。両性界面活性剤は、当業者に既知であり、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる“Surfactant Encyclopedia”Cosmetics&Toiletries、Vol.104(2)69−71(1989)に記載された2つの主なクラスに細分される。1つ目のクラスは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)、およびそれらの塩を含む。2つ目のクラスは、N−アルキルアミノ酸およびそれらの塩を含む。一部の両性界面活性剤は、両方のクラスに適合すると考えることができる。
【0104】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法によって合成されることができる。例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、ジアルキルエチレンジアミンを用いた長鎖カルボン酸(または、誘導体)の縮合、および閉環によって合成される。商用の両性界面活性剤は、それに続く加水分解、および、例えば、クロロ酢酸または酢酸エチルを用いたアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって誘導体化される。アルキル化中に、1つまたは2つのカルボキシ−アルキル基が反応して、第3級アミン、および異なる第3級アミンを生じる異なるアルキル化剤とのエーテル結合を形成する。
【0105】
例示的な好適な両性界面活性剤には、しばしばベタインと称されるカルボキシメチル化化合物(グリシン酸)を含む長鎖イミダゾール誘導体が挙げられる。ベタインは、両性イオン界面活性剤と題された節において、本明細書で以下に考察される特別なクラスの両性である。これらおよび他の両性界面活性剤は、「Sulfoperoxycarboxylic Acids, Their Preparation and Methods of Use as Bleaching and Antimicrobial Agents」と題される、米国特許出願第12/568,493号に、さらに記載され、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0106】
本発明に適用される長鎖イミダゾール誘導体は、概して、一般式:
【化9】
(式中、Rは、約8〜18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、陰イオンの荷電を中和するための陽イオン、概して、ナトリウムである)を有する。本組成物に用いられ得る商用に有名なイミダゾリンに由来する両性物質には、例えば、ココアンホプロピオナート、ココアンホカルボキシプロピオナート、ココアンホグリシナート、ココアンホカルボキシグリシナート、ココアンホプロピルスルホン酸塩、およびココアンホカルボキシプロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから産生されてもよく、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基はアセト酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0107】
本明細書で先に説明されたカルボキシメチル化化合物(グリシン酸)は、しばしばベタインと称される。ベタインは、両性イオン界面活性剤と題された節において、本明細書で以下に考察される特別なクラスの両性である。
【0108】
追加の好適な両性界面活性剤には、RNH(式中、R=C−C18直鎖または分枝鎖アルキルである)脂肪族アミンと、ハロゲン化カルボン酸との反応によって、容易に調製される長鎖N−アルキルアミノ酸が挙げられる。アミノ酸の第一アミノ基のアルキル化は、第2級および第3級アミンをもたらす。アルキル置換基は、2つ以上の反応性窒素中心を提供する追加のアミノ基を有することができる。ほとんどの商用のN−アルキルアミン酸が、β−アラニンまたはβ−N(2−カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明に適用される商用のN−アルキルアミノ酸両性電解質の例には、アルキルβ−アミノジプロピオナート、RN(CCOOM)およびRNHCCOOMが挙げられる。一実施形態において、Rは、約8〜約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であってもよく、Mは、陰イオンの荷電を中和するための陽イオンである。
【0109】
好適な両性界面活性剤には、ヤシ油またはヤシ油脂肪酸といったヤシ油製品由来のものが挙げられる。追加の好適なヤシ油に由来する界面活性剤は、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えばグリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8〜18個(例えば、12個)の炭素原子から成る脂肪族置換基をそれらの構造の一部として含む。そのような界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸と見なすこともできる。これらの両性界面活性剤は、C12−アルキル−C(O)−NH−CH−CH−N(CH−CH−CONa)−CH−CH−OHまたはC12−アルキル−C(O)−N(H)−CH−CH−N(CH−CONa)−CH−CH−OHによって表される化学構造を含む。ココアンホジプロピナート二ナトリウムは、好適な両性界面活性剤の1つであり、Rhodia Inc(Cranbury、N.J)から商品名Miranol(商標)FBSで市販されている。ココアンホジアセテート二ナトリウムの化学名をもつ別の好適なヤシ油由来両性界面活性剤は、同様にRhodia Incから商品名Mirataine(商標)JCHAで販売されている。
【0110】
これらの界面活性剤の両性のクラスおよび種の典型的な一覧表は、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに交付された米国特許第3,929,678号に与えられており、さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Schwartz、PerryおよびBerchによるI巻およびII巻)に与えられており、それぞれが参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0111】
両性イオン界面活性剤
両性イオン界面活性剤は、両性界面活性剤の一部として考えることができ、そして陰イオン電荷を含んでもよい。両性イオン界面活性剤は、第2級および第3級アミンの誘導体、複素環式第2級および第3級アミンの誘導体、または第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、もしくは第3級スルホニウム化合物の誘導体と大まかに説明することができる。典型的に、両性イオン界面活性剤は、陽性荷電した第4級アンモニウム、または場合によりスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、陰性荷電したカルボキシル基、およびアルキル基を含む。両性イオンは、概して、その分子の等電部位中でほぼ同程度までイオン化し、そして陽性−陰性電荷中心の間で強い「内部塩」吸引力を生み出すことができる陽イオン基および陰イオン基を含む。そのような両性イオン合成界面活性剤の例は、脂肪族第4級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体を含み、脂肪族ラジカルは、直鎖または分枝であってよく、脂肪族置換基の1つが8〜18個の炭素原子を含有し、かつ、1つが陰イオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、もしくはホスホン酸塩を含む。ベタインおよびスルタイン(sultaine)界面活性剤は、本明細書中の使用のための例示的な両性イオン界面活性剤である。
【0112】
これらの化合物についての一般式は:
【化10】
(式中、Rが、0〜10個の酸化エチレン部分および0〜1個のグリセリル部分を有する8〜18個の炭素原子から成るアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yが、窒素、リン、および硫黄原子から成る群から選択され、Rが、1〜3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、Yが硫黄原子である時、xが1であり、およびYが窒素またはリン原子である時、xが2であり、Rが、アルキレンもしくはヒドロキシアルキレン、または1〜4個の炭素原子から成るヒドロキシアルキレンであり、Zが、カルボキシレート、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、およびリン酸塩基から成る群から選択されるラジカルである)である。
【0113】
先で列挙した構造を有する両性イオン界面活性剤の例には、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート、5−[S−3−ヒドロキシプロピル−S−ヘキサデシルスルホニオ]−3−ヒドロキシペンタン−1−硫酸塩、3−[P,P−ジエチル−P−3,6,9−トリオキサテトラコサンホスホニオ]−2−ヒドロキシプロパン−1−リン酸、3−[N,N−ジプロピル−N−3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル−アンモニオ]−プロパン−1−p−ホスホン酸、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−プロパン−1−スルホン酸塩、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシ−プロパン−1−スルホン酸塩、4−[N,N−ジ(2(2−ヒドロキシエチル)−N(2−ヒドロキシドデシル)アンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート、3−[S−エチル−S−(3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル)スルホニオ]−プロパン−1−リン酸塩、3−[P,P−ジメチル−P−ドデシルホスホニオ]−プロパン−1−ホスホン酸塩、およびS[N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)−N−ヘキサデシルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−ペンタン−1−硫酸塩が挙げられる。該洗浄剤界面活性剤中に含有されるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、かつ、飽和または不飽和であってもよい。
【0114】
本組成物での使用に適した両性イオン界面活性剤には、一般構造:
【化11】
によって表されるベタインを含む。これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極端なpHにて陽イオンまたは陰イオンの強い特徴を示さず、それらはそれらの等電範囲内で減少した水溶性も示さない。「外付けの」第4級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは陰イオン物質と適合する。好適なベタインの例には、ヤシ油アシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12−14アシルアミドプロピルベタイン、C8−14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4−C14−16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ−1−カルボキシブタン、C16−18アシルアミドジメチルベタイン、C12−16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC12−16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0115】
本発明に有用なスルタインは、式(R(RSO3−(式中、Rが、C−C18ヒドロカルビル基であり、各Rが、典型的に、C−Cアルキル、例えば、メチルであり、Rが、C−Cヒドロカルビル基、例えば、C−Cアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である)を有する化合物を含む。
【0116】
これらの界面活性剤の両性イオンのクラスおよび種の典型的な一覧表は、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに交付された米国特許第3,929,678号に与えられる。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Schwartz、PerryおよびBerchによるI巻およびII巻)に与えられる。これらの参考文献それぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
アジュバント−他の追加の含有物
一部の実施形態において、本発明の組成物は、他の追加の含有物を含むことができる。本発明の組成物との使用に適した追加の含有物には、酸味料(acidulant)、安定化剤、例えば、キレート剤、金属イオン封鎖剤および/または結晶化阻害剤、緩衝剤、洗浄剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、発泡剤、過酸化水素還元剤(例えば、カタラーゼ酵素)、固化剤、美観向上剤(aesthetic enhancing agent)(すなわち、着色剤、付臭剤、または香料)、ならびに他の洗剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの追加の含有物は、本発明の組成物と事前に調合されてもよく、または本発明の組成物の添加の前、後、もしくは実質的に同時に系に添加されてもよい。加えて、組成物は、1つ以上の従来の洗剤、例えば、アルカリ性洗浄剤と併用されてもよい。
【0118】
酸味料
一部の実施形態において、本発明の組成物は、酸味料を含む。酸味料は、カルボン酸のペルオキシカルボン酸への変換、またはエステル形成のための触媒として作用することができる。酸味料は、約1以下のpHを有する濃縮組成物の形成に有効であり得る。酸味料は、約5、約5以下、約4、約4以下、約3、約3以下、約2、約2以下等のpHを有する使用組成物の形成に有効であり得る。一部の実施形態において、酸味料は、アルカリ性浄化液のpHを約10、約10以下、約9、約9以下、約8、約8以下、約7、約7以下、約6、または約6以下のpHに下げるために使用され得る。一実施形態において、酸味料は、無機酸を含む。好適な無機酸には、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、硝酸、塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、酸味料は、有機酸を含む。好適な有機酸には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、モノ、ジ、もしくはトリハロカルボン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、本発明の組成物は亜リン酸系の酸を含まないか、あるいは実質的に含まない。
【0119】
一部の実施形態において、選択された酸味料はまた、安定化剤として機能することもできる。このため、本発明の組成物は、実質的に追加の安定化剤を含んでいなくてもよい。
【0120】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約0.5〜約80重量%の酸味料、約1〜約50重量%、約5〜約30重量%の酸味料、または約7〜約14重量%の酸味料を含む。これら値および範囲の間のすべての値および範囲が、本発明の組成物によって包含されることを理解されたい。
【0121】
安定化剤
一部の実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の安定化剤を含む。例えば、過酸および過酸化水素を安定させるために、ならびに本発明の組成物中のこの構成要素の早すぎる酸化を防ぐために、安定化剤を使用してもよい。一部の実施形態において、酸性の安定化剤が使用されてもよい。このため、一部の実施形態において、本発明の組成物は、実質的に追加の酸味料を含まなくてもよい。好適な安定化剤には、例えば、キレート剤または金属イオン封鎖剤が挙げられる。好適な金属イオン封鎖剤には、溶液中の金属イオン、特に遷移金属イオンを封鎖する有機キレート化合物が挙げられるが、これらに限定されない。そのような金属イオン封鎖剤には、(酸または可溶性塩の形態のいずれかで)有機アミノまたはヒドロキシポリホスホン酸錯化剤、カルボン酸(例えば、高分子ポリカルボキシレート)、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、複素環式カルボン酸、例えば、ピリジン−2,6−ジカルボン酸(ジピコリン酸)が挙げられる。
【0122】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、安定化剤としてジピコリン酸を含む。ジピコリン酸を含む組成物は、亜リン酸を含まないか、あるいは実質的に含まないように調合されてもよい。本発明の組成物中のジピコリン酸含有が、他の従来の安定化剤、e.1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(CHC(POOH)(HEDP)と比較して、組成物の相安定性の達成に役立つこともまた報告されている。
【0123】
他の実施形態において、金属イオン封鎖剤は、ホスホン酸またはホスホン酸塩であるか、あるいはそれらを含んでもよい。好適なホスホン酸およびホスホン酸塩には、HEDP、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸(DTPMP)、シクロヘキサン−1,2−テトラメチレンホスホン酸、アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)]、(エチレンジアミン[テトラメチレンホスホン酸)]、2−ホスフェンブタン−1,2,4−トリカルボン酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、またはモノ、ジ、もしくはテトラエタノールアミン塩といったアルキロイルアミン塩といったそれらの塩、ピコリン酸、ジピコリン酸、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、有機ホスホン酸塩、例えば、HEDPは、本発明の組成物中に含まれる。
【0124】
市販の食品添加物用キレート剤には、例えば、DEQUEST(登録商標)2010としてMonsanto Industrial Chemicals Co.,St.Louis,Mo.から入手可能な1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、DEQUEST(登録商標)2000としてMonsantoから利用可能であるアミノ(トリ(メチレンホスホン酸)、(Ν[CH2ΡOΗ)、DEQUEST(登録商標)2041としてMonsantoから入手可能なエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)]を含む商品名DEQUEST(登録商標)で販売されているホスホン酸塩、およびBayhibit AMとしてMobay Chemical Corporation,Inorganic Chemicals Division,Pittsburgh,Pa.から入手可能な2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が挙げられる。
【0125】
金属イオン封鎖剤は、アミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤であるか、またはそれを含んでもよい。好適なアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤には、酸またはそれらのアルカリ金属塩、例えば、酢酸アミノおよびそれらの塩が挙げられる。好適なアミノカルボキシレートには、N−ヒドロキシエチルアミノアセト酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびアラニン−N,N−アセト酢酸等、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0126】
金属イオン封鎖剤は、ポリカルボキシレートであるか、またはそれを含んでもよい。好適なポリカルボキシレートには、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸およびイタコン酸のコポリマー、ホスフィノポリカルボキシレート、その酸もしくは塩の形態、それらの混合物等が挙げられる。
【0127】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約0.01〜約10重量%の安定化剤、約0.4〜約4重量%の安定化剤、約0.6〜約3重量%の安定化剤、約1〜約2重量%の安定化剤を含む。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0128】
湿潤剤または消泡剤
本発明の組成物において同様に有用なものは、湿潤または消泡剤である。湿潤剤は、本発明の抗微生物性組成物の表面接触または浸透作用を増大するように機能する。本発明の組成物に使用され得る湿潤剤は、本発明の組成物の界面活性を高める当分野内で既知のそれら構成要素のうちのいずれかを含む。
【0129】
概して、本発明に従って使用され得る消泡剤には、シリカおよびシリコーン、脂肪酸またはエステル、アルコール、硫酸塩またはスルホン酸塩、アミンまたはアミド、フルオロクロロ炭化水素といったハロゲン化化合物、植物油、ワックス、および鉱油、ならびにそれらのスルホン化もしくは硫酸化誘導体、脂肪酸、および/もしくはアルカリ、アルカリ土類金属石鹸といったそれらの石鹸、ならびにアルキルおよびアルカリジリン酸塩、特に、リン酸塩トリブチルといったリン酸塩およびリン酸塩エステル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0130】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本発明の方法の適用を前提として食物グレードの品質をもつ泡止め剤または消泡剤を含んでもよい。このために、より有効な泡止め剤の1つはシリコーンを含む。ジメチルシリコーンといったシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキルまたはテトラアルキルシラン、疎水性シリカ消泡剤、およびそれらの混合物は、全てが消泡用途に使用されることができる。一般に市販の消泡剤には、シリコーン、例えば有機乳濁液中に化合されたシリコーンであるArmour Industrial Chemical Company製のArdefoam(登録商標)、シリコーンおよび非シリコーン型の消泡剤、ならびにシリコーンエステルであるKirusable Chemical Companyから市販されているFoam Kill(登録商標)またはKresseo(登録商標)、および両方とも特に食物グレード型のシリコーンであるDow Corning Corporation製のAnti−Foam A(登録商標)およびDC−200が挙げられる。これらの消泡剤は、約0.01重量%〜20重量%、約0.01重量%〜5重量%、または約0.01重量%〜約1重量%の範囲の濃度で存在し得る。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0131】
増粘剤またはゲル化剤
本発明の組成物は、種々の既知の増粘剤のいずれかを含んでもよい。好適な増粘剤には、キサンタンゴム、グアールガム、または植物粘液由来の他のゴムといった天然のゴム、アルギナート、デンプン、およびセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)といった多糖類ベースの増粘剤、ポリアクリラート増粘剤、およびペクチンといったハイドロコロイド増粘剤が挙げられる。一実施形態において、増粘剤は、物体の表面上に汚染残留物を残さない。例えば、増粘剤またはゲル化剤は、食物または接触面内の他の傷つきやすい製品に適合し得る。概して、本組成物または方法に用いられる増粘剤の濃度は、最終組成物内の所望の粘度によって決定される。しかし、一般的な指針として、本組成物中の増粘剤の粘度は、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約1.0重量%、または約0.1重量%〜約0.5重量%の範囲にわたる。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0132】
固化剤
本組成物は、組成物を固体の形態に保持することに関与し得る固化剤を含んでもよい。一部の実施形態において、固化剤は、組成物を固体に形成および/または保持することができる。他の実施形態において、固化剤は、最終的なスルホン化ペルオキシカルボン酸の解放を許容し難く損ずることなく組成物を固化することができる。固化剤は、例えば、中性の不活性特徴を有するか、あるいは本組成物の機能化、安定化もしくは洗浄化に寄与する有機または無機固体化合物を含み得る。好適な固化剤には、固形のポリエチレングリコール(PEG)、固定のポリプロピレングリコール、固形のEO/POブロックコポリマー、アミド、尿素(カルバミドとしても既知である)、非イオン界面活性剤(カプラーと共に用いられ得る)、陰イオン界面活性剤、水溶性にされたデンプン(例えば、酸またはアルカリ処理プロセスを介して)、水溶性にされたセルロース、無機剤、ポリ(無水マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリメタクリル酸、高い融点をもつ他の一般に機能的であるかまたは不活性な物質、それらの混合物等が挙げられる。
【0133】
好適なグリコール固化剤には、例えば、約1,400〜約30,000の分子量を有し得る固形のポリエチレングリコールまたは固形のポリプロピレングリコールが挙げられる。ある特定の実施形態において、固化剤は、固形のPEG、例えば、PEG1500〜最大PEG20,000を含むか、あるいはそれらである。ある特定の実施形態において、PEGは、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、PEG20,000等を含む。好適な固形のポリエチレングリコールは、商品名CARBOWAX(商標)でUnion Carbideから市販されている。
【0134】
好適なアミド固化剤には、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ココジエチレンアミド、アルキルアミド、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、本組成物は、グリコール(例えば、PEG)およびアミドを含み得る。
【0135】
好適な非イオン界面活性固化剤には、ノニルフェノールエトキシレート、直鎖アルキルアルコールエトキシレート、酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマー、それらの混合物等が挙げられる。好適な酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマーには、商品名Pluronic(例えば、Pluronic108およびPluronic F68)で販売されているもの、ならびにBASF Corporationから市販されているものが挙げられる。一部の実施形態では、非イオン界面活性剤は、室温において、あるいは組成物の保存または使用時の温度において、固体であるように選択され得る。他の実施形態において、非イオン界面活性剤は、カップリング剤との組み合わせで低い水溶解度を有するものが選択され得る。非イオン性界面活性固化剤とともに用いられる好適なカプラーには、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、それらの混合物等が挙げられる。
【0136】
好適な陰イオン界面活性固化剤には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルコール硫酸、アルコールエーテル硫酸、アルファオレフィンスルホン酸塩、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、陰イオン界面活性固化剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であるか、あるいはそれを含む。一実施形態において、陰イオン界面活性剤は、室温において、あるいは組成物の保存または使用時の温度において、固体であるように選択され得る。
【0137】
好適な無機固化剤には、リン酸塩(例えば、アルカリ金属リン酸塩)、硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、もしくは硫酸水素ナトリウム)、酢酸塩(例えば、無水酢酸ナトリウム)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えば、沈降形態もしくは煙霧形態(例えば、Degussaから入手可能なSipernat50(登録商標))、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムもしくは炭素ナトリウム、またはそれらの低水和物)、他の既知の水和可能な化合物、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、無機固化剤は、E形態組成物といった有機ホスホン酸塩化合物および炭酸塩を含んでもよい。
【0138】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、必要な程度の固化を提供する任意の薬剤または組み合わせを含むことができ、水溶解度を本組成物に含むことができる。他の実施形態において、本組成物中での固化剤の濃度の上昇は、組成物の硬度を上昇する傾向がある。さらに他の実施形態において、固化剤の濃度の低下は、濃縮組成物を緩める、または軟化する傾向がある。
【0139】
一部の実施形態において、固化剤は、例えば、水性の環境に設置されるときに、本組成物に固体特徴を与える、および/または本組成物の溶解特徴を制御する任意の有機化合物もしくは無機化合物を含んでもよい。例えば、凝固剤は、組成物中の他の含有物と比較して大きい水溶解度を有する場合、制御された調剤を提供することができる。尿素は、そのような固化剤の1つであり得る。さらなる例として、より低い水溶解度またはより遅い速度の溶解によって利益を得ることができる系に対して、有機非イオンまたはアミド硬化剤が適している場合がある。
【0140】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本組成物の好都合な処理または製造を提供する固化剤を含んでもよい。例えば、固化剤は、混合が停止し、混合物が混合システムから分注された後、約1分間〜約3時間、または約2分間〜約2時間、または約5分間〜約1時間の間に、約30〜約50℃の周囲温度下で固体形態に硬化することができる組成物を形成するように選択されてもよい。
【0141】
本発明の組成物は、任意の有効な量で固化剤を含むことができる。本組成物中に含まれる固化剤の量は、組成物のタイプ、組成物の含有物、組成物の使用用途、使用中経時的に固体組成物に適用される倍液の量、倍液の温度、倍液の硬度、固体組成物の物理的大きさ、他の含有物の濃度、組成物中の洗剤の濃度、および他の同様の要因に従って、変化し得る。好適な量には、約1〜約99重量%、約1.5〜約85重量%、約2〜約80重量%、約10〜約45重量%、約15%〜約40重量%、約20%〜約30重量%、約30%〜約70重量%、約40%〜約60重量%、最大約50重量%、約40%〜約50重量%が含まれ得る。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0142】
担体
一部の実施形態において、本発明の組成物は、担体を含む。担体は、組成物の他の成分を溶解する、懸濁する、または担持する媒体を提供する。例えば、担体は、スルホン化ペルオキシカルボン酸の可溶化、懸濁化、または産生のための、および平衡混合物を形成するための媒体を提供し得る。担体はまた、物体上で本発明の組成物を供給し、湿らせるように機能し得る。このために、担体は、これらの機能を促進することができる任意の成分(単数または複数)を含有することができる。
【0143】
一部の実施形態において、担体は、溶解度、ならびに反応および平衡のための媒体としての働きを促進することができる水を主に含む。担体は、例えば、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール等の単純アルキルアルコールといった有機溶媒を含んでもよく、または主に有機溶媒であってもよい。ポリオールはまた、グリセロール、ソルビトール等を含む有用な担体である。
【0144】
好適な担体には、グリコールエーテルが挙げられる。好適なグリコールエーテルには、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert−ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical Co.からDOWANOL EPH(商標)として市販されている)、プロピレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical Co.からDOWANOL PPH(商標)として市販されている)等、またはそれらの混合物が挙げられる。追加の好適な(それらすべてがUnion Carbide Corp.から入手可能である)市販のグリコールエーテルには、ブトキチエチルPROPASOL(商標)、ブチルCARBITOL(商標)アセタート、ブチルCARBITOL(商標)、ブチルCELLOSOLVE(商標)アセタート、ブチルCELLOSOLVE(商標)、ブチルDIPROPASOL(商標)、ブチルPROPASOL(商標)、CARBITOL(商標)PM−600、CARBITOL(商標)低比重、CELLOSOLVE(商標)アセタート、CELLOSOLVE(商標)、エステルEEP(商標)、FILMER IBT(商標)、ヘキシルCARBITOL(商標)、ヘキシルCELLOSOLVE(商標)、メチルCARBITOL(商標)、メチルCELLOSOLVE(商標)アセタート、メチルCELLOSOLVE(商標)、メチルDIPROPASOL(商標)、メチルPROPASOL(商標)アセタート、メチルPROPASOL(商標)、プロピルCARBITOL(商標)、プロピルCELLOSOLVE(商標)、プロピルDIPROPASOL(商標)、およびプロピルPROPASOL(商標)が挙げられる。
【0145】
一部の実施形態において、担体は、本発明の組成物の大部分を構成し、スルホン化ペルオキシカルボン酸、酸化剤、追加の含有物等を別とした組成物のバランスをとることができる。担体の濃度およびタイプは、他の要素の中でも特にスルホン化ペルオキシカルボン酸の濃度を含む全体としての組成物の性質、環境中での保存、および適用方法に依存する。特に、担体は、ペルオキシカルボン酸組成物の効果およびその使用用途、例えば、漂白、清浄、消毒を阻害しない濃度で選択され、使用されるべきである。
【0146】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約5〜約90重量%の担体、約10〜約80重量%の担体、約20〜約60重量%の担体、または約30〜約40重量%の担体を含む。これら値および範囲の間のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0147】
使用組成物
本発明のペルオキシカルボン酸組成物は、濃縮組成物および使用組成物の両方を含む。例えば、濃縮組成物は、例えば、水で希釈されて、使用組成物を形成することができる。一実施形態において、濃縮組成物は、物体への適用前に使用溶液に希釈されてもよい。主に経済的な理由のために、濃縮物は販売されてもよく、エンドユーザは濃縮物を水または水性の希釈剤で使用溶液に希釈してもよい。
【0148】
濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図される希釈係数およびスルホン化ペルオキシカルボン酸化合物の所望の活性に依存する。概して、約1液量オンス(約30ミリリットル)の約10ガロン(約38リットル)の水への希釈〜約10液量オンス(約0.3リットル)の約1ガロン(約4リットル)の水への希釈が、本発明の水性組成物に使用される。一部の実施形態において、高い使用温度または(30秒より長い)長い照射時間が用いられ得る場合、より高い使用希釈液を用いることができる。典型的な使用場所において、濃縮液は、水100ガロン(約379リットル)につき約3〜約40オンス(約89ミリリットル〜約1.2リットル)の濃縮液の希釈比率で、一般に利用可能な蛇口を使った大きな割合の水か、または物質を混ぜた用水で希釈される。
【0149】
洗濯用途での使用といった一部の実施形態において、濃縮された組成物は、約0.1g/L〜約100g/Lの濃縮物対希釈剤、約0.5g/L〜約10.0g/Lの濃縮物対希釈剤、約1.0g/L〜約4.0g/Lの濃縮物対希釈剤、または約1.0g/L〜約2.0g/Lの濃縮物対希釈剤の希釈比率で希釈されてもよい。他の実施形態において、使用組成物は、約0.01〜約10重量%の濃縮組成物および約90〜約99.99重量%の希釈剤、または約0.1〜約1重量%の濃縮組成物および約99〜約99.9重量%の希釈剤を含んでもよい。使用組成物中の含有物の量は、濃縮組成物およびこれらの希釈係数について先に列挙した量から計算されてもよい。
【0150】
本発明の開示に基づいて当業者が理解すべきであるように、本発明の臭気低減過酸組成物は、液体濃縮組成物および/または使用組成物として調合され得る。本発明の過酸組成物はまた、そのような組成物を含有するゲル、エアロゾル、気体、ワックス、固体、粉末、または溶液もしくは懸濁液として調合されてもよい。
【0151】
過酸組成物を用いる使用方法
本発明は、臭気低減抗微生物性過酸組成物を用いる方法を含む。本発明の1つの実施形態にしたがって、方法は、過酸の組成物の抗微生物性または漂白作用を用いる。本発明の組成物を、様々な基質および表面、例えば、織物および硬い表面に対する抗微生物性組成物または漂白組成物として使用することができる。本発明の組成物をまた、抗微生物性消毒剤組成物および/または抗微生物性清浄剤組成物として使用してもよい。本発明の組成物をまた、例えば、エポキシドを含むポリマーの産生に対して使用することができる。本発明の組成物をさらに、製造方法に対して改善した臭気を有するパルプおよび紙の漂白方法において使用してもよい。
【0152】
本発明の一態様において、臭気低減抗微生物性過酸組成物は、本発明にしたがって、短〜中鎖長の悪臭のあるカルボン酸を除去するためのエステル化反応にアルコールを用いない過酸組成物と比較して、少なくとも実質的に類似の浄化性能および/または抗微生物性能を提供する。組成物は、様々な用途、例えば、食品接触の清浄、硬い表面の消毒、および織物の消毒に使用され得る。一部の実施形態において、本発明の化合物を含有する組成物は、多目的であり得る。つまり、本発明の組成物は、例えば、抗微生物性および漂白性の両方として作用し得る。本発明の組成物はさらに、消毒、消毒および浄化の組み合わせ、殺ウイルス処理ならびに/または殺菌性処理として作用することができる。
【0153】
本発明の一実施形態にしたがって、様々な表面上で微生物の個体群を減少するための方法、臭気を低減するための方法、および様々な表面を漂白するための方法が提供される。本発明に従う方法は、物体または表面を本発明の臭気低減過酸組成物と接触させることによって、物体、表面等の上で機能することができる。本発明の開示に基づいて当業者が解明すべきであるように、接触させることは、組成物をスプレーする、物体を組成物中に浸す、組成物を用いて物体を泡もしくはゲルで処理する、あるいはそれらの組み合わせといった、組成物を適用するための多数の方法のいずれかを含むことができる。
【0154】
本発明の過酸組成物は、様々な家庭用または工業用用途に使用することができる。一実施形態において、過酸組成物は、食物および植物種を取り扱っている製造または加工の現場でも使用され得る。さらなる実施形態において、組成物は、食品加工設備もしくは材料の浄化または清浄;有効酸素の送達剤としてを含む食品接触および非食品接触の硬い表面の清浄;無菌およびESLボトル漱ぎ用途;コンベヤー処理;非食品接触表面の泡清浄;部屋の噴霧清浄;非食品接触包装設備;事前に浄化された表面に適用されるときのバクテリオファージ制御;無菌プロセスにおける、製造、充填、および包装設備の滅菌;調剤および化粧に関する表面の消毒;家禽小屋の消毒;農場の施設の消毒;水濾過、逆浸透(RO)、および限外濾過(UF)膜システムの抗微生物性処理;食品加工設備を浄化するためのアルカリ性洗浄剤の効能促進剤;食品加工設備を浄化するための酸性洗浄剤の効能促進剤;種卵、鶏小屋、トラック、木箱(家禽)の清浄;食品貯蔵施設;腐敗防止空気循環システム;食品冷蔵および冷却設備;飲料冷却機および保温機、漂白器、まな板、サードシンク区域、ならびに肉の冷却および熱湯処理機器等に用いられてもよい。
【0155】
一部の態様において、本発明の過酸組成物は、食品サービス産業または食品加工産業における容器、加工施設、または設備の浄化または清浄に有用である。化合物および組成物は、食品包装材料および設備、ならびに特に冷または熱無菌包装への使用に関して特別な価値を有する。本発明の化合物が用いられ得る加工施設の例には、ミルクライン乳製品製造所、連続的な醸造システム、ポンプを使った食物システムおよび飲料ライン等といった食品加工ラインが挙げられる。食品サービス用品を、本発明の化合物で消毒することができる。例えば、化合物はまた、用品洗浄機、低温用品洗浄機、食器類、ボトルの洗浄機、ボトルの冷却機、保温器、サードシンクの洗浄機、刃物の領域(例えば、水ナイフ、スライサー、カッター、およびのこぎり)、および鶏卵洗浄機の上またはその中で使用され得る。特定の処理可能な表面には、ボール紙、ボトル、フィルム、および樹脂といった包装;コップ、プレート、調理用具、ポット、および鍋といった食器類;用品洗浄機および低温用品洗浄機、シンク、カウンター、テーブル、床、および壁といったむき出しの食物調理領域の表面;タンク、大だる、ライン、ポンプ、およびホース(例えば、ミルク、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工設備)といった加工設備;ならびに運搬用車両が挙げられる。容器には、ガラス瓶、PVCもしくはポリオレフィンフィルムの袋、缶、ポリエステル、様々な容量(100ml〜2リットル等)のPENもしくはPETボトル、1ガロン(約4リットル)のミルク容器、板紙製のジュース、またはミルク容器等が挙げられる。
【0156】
さらなる実施形態では、過酸組成物は、様々な医療管理、洗濯管理および/または車両管理の環境において用いられ得る。またさらに、過酸組成物の使用に対する実施形態には、そこでその抗微生物性機能およびその酸化性特性の両方が用いられ得る冷却塔の消毒、生物膜の減少、および廃水の処理が含まれる。
【0157】
本過酸組成物は、ヒト、動物等の病原体といった病原微生物の個体群を減少するために用いられ得る。過酸組成物は、グラム陽性(例えば、リステリア菌、または黄色ブドウ球菌)、およびグラム陰性(例えば、大腸菌または緑膿菌)、細菌、酵母、かび、細菌胞子、ウイルス等を含む様々な病原体、菌類、かび、細菌、胞子(例えば、内生胞子)、ならびにウイルスに対する活性を有する。かかる病原体は、様々な疾患および障害を引き起こし得る。
【0158】
本発明の過酸組成物の活性の結果、それらは、滅菌剤、清浄剤、消毒剤、防腐剤、脱臭剤、防腐剤、殺かび剤、殺菌剤、殺胞子剤、殺ウイルス剤、洗浄剤、漂白剤、硬い表面のクリーナー、および手術前または手術後用スクラブといった生成物として使用される、またはそれらに含まれてもよい。
【0159】
本発明の一実施形態にしたがって、過酸組成物を使用して、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、リステリア菌、大腸菌、酵母、およびかびが挙げられるが、これらに限定されない食品に関係する食物媒介性病原性細菌のうちの1つ以上を死滅させる。さらなる実施形態にしたがって、本発明の過酸組成物を使用して、サルモネラ菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌、サルモネラ菌、シュードモナス菌、エシェリキア属、マイコバクテリア、酵母、およびかびが挙げられるが、これらに限定されない医療管理に関する表面および環境に関係する病原性細菌のうちの1つ以上を死滅させる。本発明のなおさらなる実施形態において、過酸組成物は、食品加工に関する表面上の、食品に関する表面上の、食品の洗浄もしくは加工に使用される水中の、医療管理に関する表面上の、または医療管理に関する環境における多種多様な微生物を死滅させることができる。
【0160】
本発明の過酸組成物の濃縮物または使用濃度は、物体に抗微生物性組成物または浄化組成物を適用するための従来の方法または装置のいずれかによって物体に適用されるか、あるいは物体と接触してもよい。例えば、物体は、過酸組成物または過酸組成物から作られた使用組成物で拭かれるか、それをスプレーされるか、および/またはその中に浸されてもよい。接触は、本発明に従う液体、ゲル、エアゾール、気体、ワックス、固体、もしくは粉末の過酸組成物、またはこれらの組成物を含有する溶液を用い得る手作業あるいは機械によってでもよい。
【0161】
本発明の一実施形態にしたがって、過酸組成物の用途に応じて、物体または表面は、機械的な動き、好ましくは撹拌される、擦られる、ブラシをかけられる等で動かされてもよい。攪拌は、圧力下のスプレー溶液の作用を介する、超音波処理を介する物理的なスクラブによって、または他の方法によってであってもよい。攪拌は、おそらく微生物を含有するクレバスまたは小さいコロニーの中への溶液のより良い曝露のために、微生物を死滅させるスプレー溶液の効能を高める。本発明のさらなる実施形態にしたがって、過酸組成物の使用溶液はまた、効能を高めるために、約10〜70℃、好ましくは約20〜60℃の温度で使用されてもよい。
【0162】
スプレーされた過酸組成物は、適切に微生物の個体群を減少するのに十分な時間、処理された物体または表面上にそのまま残され、その後、処理された物体または表面から漱がれる、水切りされるか、または留去されてもよい。本方法は、顕著な抗微生物効能の発生のために過酸組成物のある特定の最少接触時間を必要とする。接触時間は、使用組成物の濃度、使用組成物の適用方法、使用組成物の温度、処理された物体または表面上の汚れの量、処理された物体または表面上の微生物数、抗微生物剤のタイプ等によって変化し得る。好ましくは、曝露時間は、少なくとも約5〜約15秒である。
【0163】
液体過酸組成物中への物体または表面の浸漬は、当業者に既知の種々の方法のいずれかによって達成されることができる。例えば、物体は、過酸組成物を含有するタンクまたは浴槽の中に設置されてもよい。あるいは、物体は、過酸組成物の水路中で輸送または加工されてもよい。洗浄溶液は、その溶液の効能、および溶液が物体に付いている微生物を減少する速度を高めるために好ましくは撹拌される。攪拌は、超音波、溶液を通して空気をバブリングすることによるエアレーションを含む従来の方法によって、濾過器、パドル、ブラシ、ポンプ駆動式液体ジェットといった機械的な方法によって、またはこれらの方法の組み合わせによって得ることができる。洗浄溶液は、微生物を死滅させる溶液の効能を高めるために加熱されてもよい。所望の抗微生物効能のために十分な時間、食品が浸漬された後に、物体は浴槽または水路から除去され、過酸組成物は物体から漱がれるか、水切りされるか、または留去され得る。
【0164】
本発明のさらなる代替の実施形態において、物体または表面は、過酸組成物の発泡バージョンで処理されてもよい。本発明の一実施形態にしたがって、泡は、使用時に発泡性界面活性剤を洗浄溶液と混合することによって調製され得る。発泡性界面活性剤は、性質が非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であってもよい。有用な界面活性剤のタイプの例には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、アミンオキシド、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、スルホン酸塩、第4級アンモニウム化合物、アルキルサルコシン、ベタイン、およびアルキルアミド。発泡性界面活性剤は、典型的に使用時に洗浄溶液と混合される。一実施形態にしたがって、発泡剤の使用溶液レベルは、約50ppm〜約2.0重量%である。適用の方法は、混合物中に注入され、次いで、タンクフォーマーまたは吸気式壁掛けフォーマーといった泡圧着装置を通して物体または表面に適用される圧縮空気の使用を含んでもよい。
【0165】
本発明の別の代替の実施形態において、物体または表面は、過酸組成物の濃厚またはゲル化バージョンで処理されてもよい。濃厚またはゲル化状態において、洗浄溶液は、より長時間、物体または表面との接触を維持し、それにより抗微生物効果を高める。濃厚またはゲル化溶液はまた、垂直な表面への過酸組成物の接着にも作用する。組成物または洗浄溶液は、キサンタンゴム、高分子増粘剤、セルロース増粘剤等といった既存の技術を使って濃厚化またはゲル化されることができる。増粘剤またはゲル形成剤は、濃縮された生成物中で、または使用時の洗浄溶液との混合のいずれかにおいて使用されることができる。増粘剤またはゲル化剤の典型的な使用レベルは、約100ppm〜約10重量%の範囲である。
【0166】
この明細書中のすべての刊行物および特許出願は、本発明に関連する技術分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個別の刊行物または特許出願が参照により具体的におよび個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0167】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な例においてさらに定義される。これらの例は、本発明の特定の実施形態を示すが、例示のみを目的として与えられることを理解されよう。上記の考察およびこれらの例から、当業者は、本発明の必須特性を解明することができ、それらの趣旨および範囲から逸脱することなく、それを様々な用法および条件に適応するために、本発明の実施形態を様々に変更および修正することができる。このため、本発明の実施形態の様々な修正、加えて、本明細書で示され説明されるものは、前述の説明から当業者には明らかである。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲内であると意図される。
【0168】
《例1》
エタノールを用いた表面消毒剤を、本発明のペルオキシカルボン酸組成物に従って調合した。消毒剤(ペルオキシカルボン酸組成物)の基礎式は、表1に記載される。
【表1】
【0169】
以下の表2に記載されるように、エタノールの各種量を、ベースライン調合物に添加した。様々なエタノールサンプル(EthOH−1からEtOH−5)は、エタノールからの臭気の強度の点で異なり、エタノール濃度の上昇に伴って、臭気は次第に強くなった。EtOH−1は、かすかな匂いを示し、エタノールの割合が、甘い、カクテルの匂いを示したEtOH−5の調合物へと上昇するにつれて、次第に比例する臭気結果を有する。
【表2】
【0170】
表3は、約40℃で1週間保存され、次いで、室温で1週間保存された2週間後の様々なペルオキシカルボン酸組成物の各調合物におけるペルオキシスルホン化オレイン酸(PSOA)の割合、過酸化水素の割合、および有効酸素の割合を示す。ペルオキシカルボン酸組成物へのエタノールの添加を伴わずに、表1で識別された組成物は、おおよそ2週間以内に著しい悪臭を示した(ペルオキシカルボン酸の悪臭の原因となる短鎖カルボン酸への分解を示す)。EtOH−1、EtOH−2、EtOH−3、EtOH−4、およびEtOH−5の調合物は、悪臭がエタノールを含む調合物の結果であることを示さなかった(組成物中のエチルエステル形成に起因する快適な、果実のような臭気の比例した上昇を有する)。
【表3】
【0171】
表4は、室温で保存された1年後の様々なペルオキシカルボン酸組成物の各調合物におけるペルオキシスルホン化オレイン酸(PSOA)の割合、過酸化水素の割合、および有効酸素の割合を示す。エタノールを含有しない調合物は、著しい悪臭を示した。調合物EtOH−1およびEtOH−2は、非常にかすかな、快い香りを示した。調合物EtOH−4およびEtOH−5は、非常に甘い、果実のような臭気を示した。特に、EtOH−1からEtOH−5すべての調合サンプルは、少なくとも1年間、それらの快適なエステルの臭気を保持した。
【0172】
表3の有効酸素の割合と比較して、表4の有効酸素の割合は減少し、組成物のペルオキシカルボン酸の分解の増大を示す。しかし、調合物EtOH−0のみ、悪臭を示した。
【表4】
【0173】
表3および4の両方は、ペルオキシカルボン酸内容物のエタノールでの置換えの結果として、スルホン化パーオレイン酸の割合の予期されたわずかな減少を示した。しかし、室温での保存の最長1年後にペルオキシカルボン酸内容物の著しい分解がないことは、組成物の保存可能期間の予期せぬ増大を示す。過酸部分のわずかな損失は、予想より著しく低かった(過酸形成がエステル形成と本質的に同一である結果として、快適な匂いのするエステルの形成と過酸調合との著しい競争関係が予想された)。
【0174】
《例2》
例1のEtOH−0調合物のサンプル(約2週間以内に悪臭が発生した)が、気相ガスクロマトグラフィー(GC)方法による分析のために提出された。GC技術を使用して、例えば、酪酸を含むいくつかの悪臭の源が識別された。悪臭の源は、すべて短い鎖のカルボン酸であった。(分子量および分子の蒸気圧により)長い鎖の過酸が悪臭を示さないため、GC技術は、様々な分解生成物がこれらの悪臭の原因となることを確認する。
【0175】
EtOH−1、EtOH−2、EtOH−3、EtOH−4、およびEtOH−5に統合された調合物の分析は、快い香りの原因となる複数のエステルの形成を示す。形成された2つの主要なエチルエステルは、酢酸エチルおよびカプリル酸エチル(オクタン酸エチルとも称される)を含む。エステルは、非常に快い香りを有し、概して、食品添加物等での使用に対して良性であり、認可されている。
【0176】
酢酸エチルは、エタノールおよび酢酸のエステル化生成物である。それは、甘い、果実のような匂いを特徴とする無色の液体である。それは一般に、その溶媒特性からコーヒーおよび茶のカフェイン除去プロセスに使用される。それは、FDAによって(21連邦規則コード173.228による)副次的直接食品添加物として認可されており、EPAの不活性成分としても列挙されている。
【0177】
オクタン酸エチルは、オクタン(カプリル酸)のエステル化生成物である。それは、果実のような、花、アンズ、ワイン、ブランデー、パイナップル、バナナ、リンゴ、および熱帯果実類が挙げられるが、これらに限定されない臭気を特徴とし、ヒトが摂取する食品への直接添加が許可されている着香剤として使用される無色の液体である。それは一般に、乳製品およびアルコール飲料に使用される(21連邦規則コード172.515において、人工香味物質およびアジュバント)。
《例3》
臭気評価のために、以下のアルコールを、本発明の組成物に従って調合した。表5は、サンプルおよび得られた臭気評価を記載する。
【表5】
【0178】
本発明は説明されたように、同等物が様々に変更されてもよいことが明らかである。そのような変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱するとは見なされず、すべてのそのような変更は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[21]に記載する。
[1]
約0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸と、
約0.1重量%〜20重量%のアルコールと、を含み、前記アルコールが、
短〜中鎖長カルボン酸汚染物質および/またはペルオキシカルボン酸組成物の分解によって形成されるものに関係する、前記ペルオキシカルボン酸組成物の悪臭を低減する、ペルオキシカルボン酸形成と同じ条件下でのアルキルエステルの形成に有効である、臭気低減ペルオキシカルボン酸組成物。
[2]
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目1に記載の組成物。
[3]
少なくとも1つのペルオキシカルボン酸が、アルキルペルオキシカルボン酸、C−C20アルキルペルオキシカルボン酸、および/またはスルホペルオキシカルボン酸である、項目1に記載の組成物。
[4]
使用準備済の組成物が、約0.01重量%〜10重量%のペルオキシカルボン酸および約0.1重量%〜10重量%のアルコールを含む、項目1に記載の組成物。
[5]
過酸化水素および/または少なくとも1つのカルボン酸を含む酸化剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
[6]
前記組成物が、前記悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定しており、アルキルエステルを含まないペルオキシカルボン酸組成物と少なくとも実質的に類似の微生物の減少を提供する、項目1に記載の組成物。
[7]
陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸、アルキルもしくはアルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル、C8−10アルキルグルコシド、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるヒドロトロープ界面活性剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
[8]
前記界面活性剤が、抗微生物性陰イオン界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸)である、項目7に記載の組成物。
[9]
前記アルコールが、ペルオキシカルボン酸組成物に関係する前記悪臭の原因となる前記化合物をマスキングおよび/または誘導体化する快い香りをもたらす、項目1に記載の組成物。
[10]
臭気低減抗微生物性ペルオキシカルボン酸組成物を生成するための方法であって、
ペルオキシカルボン酸生成組成物に短鎖アルコールを提供することであって、
前記アルコールが、悪臭に関係する短〜中鎖長カルボン酸を除去および/またはマスキングすることができるアルキルエステルを生成するように、ペルオキシカルボン酸の形成前または形成中に提供される、短鎖アルコールを提供することと、
前記悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定しており、アルキルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される約0.01重量%〜50重量%の少なくとも1つのペルオキシカルボン酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される約0.1重量%〜20重量%のアルコールと、を含む、ペルオキシカルボン酸組成物を生成することと、を含む、方法。
[11]
前記アルコールが、エタノールであり、前記ペルオキシカルボン酸が、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、および/またはペルオキシスルホン化オレイン酸である、項目10に記載の方法。
[12]
前記アルコールが、前記ペルオキシカルボン酸のエチルエステル類似体を生成する、項目10に記載の方法。
[13]
約5重量%未満のペルオキシカルボン酸の減少が、前記エステルの前記形成によって生じる、項目10に記載の方法。
[14]
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、少なくとも1つのカルボン酸および過酸化水素を含む酸化剤をさらに含む、項目10に記載の方法。
[15]
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸塩、アルキルもしくはアルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸塩もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル、C8−10アルキルグルコシド、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるヒドロトロープ界面活性剤をさらに含む、項目10に記載の方法。
[16]
前記ペルオキシカルボン酸組成物の前記生成が、エステル化に有利となるように、前記系の脱水および/または水の最小化をさらに含む、項目10に記載の方法。
[17]
物体上の微生物の個体群を減少させる方法であって、
物体を、少なくとも1つのペルオキシカルボン酸およびアルコールを含む臭気低減ペルオキシカルボン酸と接触させることを含み、
前記アルコールが、前記ペルオキシカルボン酸の前記臭気を低減する、ペルオキシカルボン酸形成と同じ条件下でのアルキルエステルの形成に有効であり、
前記組成物が、約0.01重量%〜50重量%のペルオキシカルボン酸、および約0.1重量%〜20重量%のアルコールを含む、方法。
[18]
前記物体が、食品加工もしくは製造に関する表面、食物組織、食品包装、医療管理に関する表面、医療もしくは手術機器、織物、水域もしくは水流、気体域もしくは気体の流れ、接客部門に関する表面、工業部門に関する表面、農業に関する表面、獣医学に関する表面、建築に関する表面、食卓用食器、硬い表面包装、またはそれらの組み合わせを含む、項目17に記載の方法。
[19]
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、短鎖の悪臭を除去する、および/またはマスクするための前記アルキルエステルを含まないペルオキシカルボン酸組成物と少なくとも実質的に類似の微生物の減少を提供する、項目17に記載の方法。
[20]
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、胞子、細菌、かび、酵母、ウイルス、およびそれらの混合物から成る群から選択される微生物の個体群を減少させるために有効な量で存在し、前記微生物は、セレウス菌、枯草菌、アトロフィーウス菌(B.atrophaeus)、クロストリジウムディフィシル、クロストリジウムスポロゲネス、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目17に記載の方法。
[21]
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、前記ペルオキシカルボン酸が、アルキルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目17に記載の方法。