【課題を解決するための手段】
【0011】
開示されているのは、シリコン含有膜をプラズマエッチングするための方法である。その方法には、基材の上のシリコン含有膜を含む反応チャンバの中に、窒素含有エッチング化合物(その窒素含有エッチング化合物は、C≡NまたはC=N官能基を有する有機フッ素化合物を含む)の蒸気を導入する工程;その反応チャンバの中に不活性ガスを導入する工程;および、プラズマを活性化させて、その基材からシリコン含有膜をエッチングすることが可能な、活性化された窒素含有エッチング化合物を得る工程、が含まれる。開示されている方法には、以下の態様の一つまたは複数を含むことができる:
・その有機フッ素化合物がC≡N官能基を含む;
・その有機フッ素化合物が、式N≡C−R
1を有し、ここでR
1が式H
aF
bC
cを有し、そしてa=1〜11、b=1〜11、c=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0012】
【化1】
【0013】
を有するジフルオロアセトニトリル(C
2HF
2N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0014】
【化2】
【0015】
を有する2,3,3,3−テトラフルオロプロピオニトリル(C
3HF
4N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0016】
【化3】
【0017】
を有する2,2,3,3−テトラフルオロプロピオニトリル(C
3HF
4N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0018】
【化4】
【0019】
を有する4,4,4−トリフルオロクロトノ−ニトリル(C
4H
2F
3N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0020】
【化5】
【0021】
を有する3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル(C
3H
2F
3N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0022】
【化6】
【0023】
を有するフルオロアセトニトリル(C
2H
2FN)である;
・その有機フッ素化合物が、式(N≡C−)−(R
2)−(−C≡N)を有し、ここでR
2は独立して式H
aF
bC
cを有し、a=0、b=1〜11、c=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0024】
【化7】
【0025】
を有するオクタフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(C
6F
8N
2)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0026】
【化8】
【0027】
を有する1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−ジシアノエチレン(C
6F
6N
2)である;
・その有機フッ素化合物が、式(N≡C−)−(R
2)−(−C≡N)を有し、ここでR
2は式H
aF
bC
cを有し、a=1〜11、b=1〜11、およびc=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0028】
【化9】
【0029】
を有する2−[1−(ジフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]−プロパンジニトリル(C
6HF
5N
2)である;
・その有機フッ素化合物がC=N官能基を含む;
・その有機フッ素化合物が式R
1x[−C=N(R
2z)]
yを有し、ここで、x=1〜2、y=1〜2、z=0〜1、x+z=1〜3、であり、そしてそれぞれのR
1およびR
2は独立して、式H
aF
bC
cであり、a=0、b=1〜11、およびc=0〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0030】
【化10】
【0031】
を有するN,1,1,1,3,3,3−ヘプタフルオロ−プロパンアミン(C
3F
7N)である;
・その有機フッ素化合物が式R
1x[−C=N(R
3z)]
yを有し、ここで、x=1〜2、y=1〜2、z=0〜1、x+z=1〜3、であり、そしてそれぞれのR
1およびR
3は独立して、式H
aF
bC
cであり、a=1〜11、b=0〜11、およびc=0〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0032】
【化11】
【0033】
を有するヘキサフルオロアセトンイミン(C
3HF
6N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0034】
【化12】
【0035】
を有する1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−アザヘキセ−3−エン(C
5H
5F
6N)である;
・その活性化された窒素含有エッチング化合物が、シリコン含有膜と反応して揮発性の副生物を形成する;
・その揮発性の副生物が、反応チャンバから除去される;
・その不活性ガスが、He、Ar、Xe、Kr、およびNeからなる群より選択される;
・その不活性ガスがArである;
・その窒素含有エッチング化合物の蒸気と不活性ガスとを、反応チャンバに導入する前に混合して、混合物を形成させる;
・その窒素含有エッチング化合物の蒸気を、不活性ガスとは別に、反応チャンバの中に導入する;
・反応チャンバの中に不活性ガスを連続的に導入し、そして反応チャンバの中に窒素含有エッチング化合物の蒸気をパルス的に導入する;
・その不活性ガスが、反応チャンバの中に導入する窒素含有エッチング化合物の蒸気と不活性ガスとを合計した容積の約0.01%(v/v)〜約99.9%(v/v)の量で含まれている;
・その不活性ガスが、反応チャンバの中に導入する窒素含有エッチング化合物の蒸気と不活性ガスとを合計した容積の約90%(v/v)〜約99%(v/v)の量で含まれている;
・その反応チャンバの中に酸化剤を導入する;
・その反応チャンバの中に酸化剤を導入しない;
・その酸化剤が、O
2、CO、CO
2、NO、N
2O、およびNO
2からなる群より選択される;
・その酸化剤がO
2である;
・窒素含有エッチング化合物の蒸気と酸化剤とを、反応チャンバの中に導入する前に混合しておく;
・その窒素含有エッチング化合物の蒸気を、酸化剤とは別に、反応チャンバの中に導入する;
・反応チャンバの中に酸化剤を連続的に導入し、そして反応チャンバの中に窒素含有エッチング化合物の蒸気をパルス的に導入する;
・その酸化剤が、反応チャンバの中に導入する窒素含有エッチング化合物の蒸気と酸化剤とを合計した容積の約0.01%(v/v)〜約99.9%(v/v)の量で含まれている;
・その酸化剤が、反応チャンバの中に導入する窒素含有エッチング化合物の蒸気と酸化剤とを合計した容積の約0.01%(v/v)〜約10%(v/v)の量で含まれている;
・そのシリコン含有膜が、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ポリシリコン、結晶質シリコン、SiON、SiOCH、Si
aO
bC
cN
dH
e(ここで、a>0;b、c、dおよびe≧0)、またはそれらの組合せの層を含む;
・そのシリコン含有膜が、酸素原子、窒素原子、炭素原子、水素原子、またはそれらの組合せを含む;
・そのシリコン含有膜が、シリコン炭化物を含む;
・そのシリコン含有膜が、a−C層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、フォトレジスト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、シリコン窒化物層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、ポリシリコン層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、結晶質シリコン層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、メタルコンタクト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、チタン窒化物層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、タンタル層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、シリコン酸化物層である;
・そのシリコン酸化物層が、a−C層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン酸化物層が、フォトレジスト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン酸化物層が、p−Si層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン酸化物層が、結晶質シリコン層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン酸化物層が、メタルコンタクト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン酸化物層が、SiN層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、シリコン窒化物層である;
・そのシリコン窒化物層が、a−C層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン窒化物層が、パターン化されたフォトレジスト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン窒化物層が、p−Si層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン窒化物層が、結晶質シリコン層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン窒化物層が、メタルコンタクト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン窒化物層が、シリコン酸化物層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、SiON層である;
・そのSiON層が、フォトレジスト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、SiCOH層である;
・そのSiCOH層が、チタン窒化物層から選択的にエッチングされる;
・そのSiCOH層が、a−C層から選択的にエッチングされる;
・そのSiCOH層が、フォトレジスト層から選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、シリコン酸化物層とシリコン窒化物層との交互の層である;
・シリコン酸化物層とシリコン窒化物層との両方が、同程度のエッチング速度でエッチングされる;
・シリコン層からシリコン酸化物層とシリコン窒化物層の両方が、選択的にエッチングされる;
・p−Si層からシリコン酸化物層とシリコン窒化物層の両方が、選択的にエッチングされる;
・結晶質シリコン層からシリコン酸化物層とシリコン窒化物層の両方が、選択的にエッチングされる;
・a−C層からシリコン酸化物層とシリコン窒化物層の両方が、選択的にエッチングされる;
・そのシリコン含有膜が、シリコン酸化物層とp−Si層との交互の層である;
・シリコン酸化物層とp−Si層の両方が、同程度のエッチング速度でエッチングされる;
・a−C層からシリコン酸化物層とp−Si層の両方が、選択的にエッチングされる;
・シリコン窒化物層からシリコン酸化物層とp−Si層の両方が、選択的にエッチングされる;
・シリコン含有膜の中に、約(10:1)から約(200:1)までの間のアスペクト比を有する開口を作成する;
・ゲートトレンチを作成する;
・階段状のコンタクト(staircase contact)を作成する;
・チャネルホールを作成する;
・約(60:1)から約(100:1)までの間のアスペクト比を有するチャネルホールを作成する;
・約5nm〜約100nmの範囲の直径を有するチャネルホールを作成する;
・約10nm〜約50nmの範囲の直径を有するチャネルホールを作成する;
・反応チャンバの中にエッチングガスを導入することによって選択性を改良する;
・そのエッチングガスが、cC
4F
8、C
4F
8、C
4F
6、CF
4、CH
3F、CF
3H、CH
2F
2、COS、CF
3I、C
2F
3I、C
2F
5I、F−C≡N、CS
2、SO
2、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(trans−C
4H
2F
6)、cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(cis−C
4H
2F
6)、ヘキサフルオロイソブテン(C
4H
2F
6)、trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン(trans−C
4H
2F
6)、1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン(C
4H
3F
5)、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン(C
4H
4F
4)、またはcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン(cis−C
4H
2F
6)からなる群より選択される;
・そのエッチングガスが、cC
5F
8である;
・そのエッチングガスが、cC
4F
8である;
・そのエッチングガスが、C
4F
6である;
・窒素含有エッチング化合物の蒸気とエッチングガスとを、反応チャンバの中に導入する前に混合しておく;
・その窒素含有エッチング化合物の蒸気を、エッチングガスとは別に、反応チャンバの中に導入する;
・反応チャンバの中に約0.01%(v/v)〜約99.99%(v/v)のエッチングガスを導入する;
・RF出力を印加することによってプラズマを活性化させる;
・約25W〜約10,000Wの範囲のRF出力によってプラズマを活性化させる;
・その反応チャンバが、約1mトール〜約10トールの範囲の圧力を有する;
・その反応チャンバの中へ窒素含有エッチング化合物の蒸気を、約0.1sccm〜約1slmの範囲の流速で導入する;
・その基材を約−196℃〜約500℃の温度範囲に維持する;
・その基材を約−120℃〜約300℃の温度範囲に維持する;
・その基材を約−100℃〜約50℃の温度範囲に維持する;
・その基材を約−10℃〜約40℃の温度範囲に維持する;そして
・活性化された窒素含有エッチング化合物を、四重極質量分析計、発光分析計、FTIR、またはその他のラジカル/イオン測定器によって測定する。
【0036】
C≡NまたはC=N官能基を有する有機フッ素化合物を含む窒素含有エッチング化合物もまた開示されている。それらの開示された窒素含有エッチング化合物には、以下の態様の一つまたは複数が含まれる:
・その有機フッ素化合物が、C≡N官能基を含む;
・その有機フッ素化合物が、式N≡C−R
1を有し、ここでR
1が式H
aF
bC
cを有し、そしてa=1〜11、b=1〜11、およびc=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0037】
【化13】
【0038】
を有するジフルオロアセトニトリル(C
2HF
2N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0039】
【化14】
【0040】
を有する2,3,3,3−テトラフルオロプロピオニトリル(C
3HF
4N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0041】
【化15】
【0042】
を有する2,2,3,3−テトラフルオロプロピオニトリル(C
3HF
4N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0043】
【化16】
【0044】
を有する4,4,4−トリフルオロクロトノ−ニトリル(C
4H
2F
3N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0045】
【化17】
【0046】
を有する3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル(C
3H
2F
3N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0047】
【化18】
【0048】
を有するフルオロアセトニトリル(C
2H
2FN)である;
・その有機フッ素化合物が、式(N≡C−)−(R
2)−(−C≡N)を有し、ここでR
2は式H
aF
bC
cを有し、a=0、b=1〜11、およびc=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0049】
【化19】
【0050】
を有するオクタフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(C
6F
8N
2)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0051】
【化20】
【0052】
を有する1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−ジシアノエチレン(C
6F
6N
2)である;
・その有機フッ素化合物が、式(N≡C−)−(R
2)−(−C≡N)を有し、ここでR
2は式H
aF
bC
cを有し、a=1〜11、b=1〜11、およびc=1〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0053】
【化21】
【0054】
を有する2−[1−(ジフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]−プロパンジニトリル(C
6HF
5N
2)である;
・その有機フッ素化合物が、C=N官能基を含む;
・その有機フッ素化合物が、式R
1x[−C=N(R
2z)]
yを有し、ここで、x=1〜2、y=1〜2、z=0〜1、x+z=1〜3、であり、そしてそれぞれのR
1およびR
2は独立して、式H
aF
bC
cであり、a=0、b=0〜11、およびc=0〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0055】
【化22】
【0056】
を有するN,1,1,1,3,3,3−ヘプタフルオロ−プロパンアミン(C
3F
7N)である;
・その有機フッ素化合物が、式R
1x[−C=N(R
2z)]
yを有し、ここで、x=1〜2、y=1〜2、z=0〜1、x+z=1〜3、であり、そしてそれぞれのR
1およびR
2は独立して、式H
aF
bC
cであり、a=1〜11、b=0〜11、およびc=0〜5である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0057】
【化23】
【0058】
を有するヘキサフルオロアセトンイミン(C
3HF
6N)である;
・その有機フッ素化合物が、次式
【0059】
【化24】
【0060】
を有する1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−アザヘキセ−3−エン(C
5H
5F
6N)である;
・容積で約95%〜約99.999%の範囲の純度を有する;
・容積で約10ppt〜約5%の間の微量のガス不純物を含む;
・その微量のガス不純物が、水を含む;
・その微量のガス不純物が、CO
2を含む;
・その微量のガス不純物が、N
2を含む;そして
・その窒素含有エッチング化合物が、20ppmw未満の水含量を有する。
【0061】
表記法および命名法
以下の詳細な説明および請求項において、多くの略号、符号、および用語を使用するが、それらは当技術分野においては周知のものである。わかりやすいように、典型的には、定義にはそれぞれの頭字語の第一字を採用しているが、使用される略号、符号、および用語のリストをそれぞれの定義と共に表1に列記する。
【0062】
【表1】
【0063】
本明細書で使用するとき、「エッチ(etch)」または「エッチング(etching)」という用語は、プラズマエッチプロセス(すなわち、ドライエッチプロセス)を指しており、そこでは、イオンボンバードが垂直方向の化学反応を促進して、それによりマスクされた形体のエッジに沿って基材に向かって直角に垂直なサイドウォールが形成される(Manos and Flamm,Plasma Etching An Introduction,Academic Press, Inc.,1989 pp.12−13)。エッチングプロセスによって、基材に、たとえばバイア、トレンチ、チャネルホール、ゲートトレンチ、階段状のコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホールなどのような開口が形成される。
【0064】
「パターンエッチ(pattern etch)」または「パターンドエッチ(patterned etch)」という用語は、非平面状の構造、たとえばシリコン含有膜のスタックの上のパターンドマスク層をエッチングすることを指している。
【0065】
「マスク(mask)」という用語は、エッチングに対して抵抗性のある層を指している。マスク層は、エッチングされる層の上に配置することができる。
【0066】
「エッチストップ(etch stop)」という用語は、エッチされる層より下の層で、それよりも下の層を保護するものである。
【0067】
「デバイスチャネル(device channel)」という用語は、実際のデバイスの一部であり、それが何らかのダメージを受ければ、デバイスの性能に影響が出るような層を指している。
【0068】
「アスペクト比(aspect ratio)」という用語は、トレンチ(またはバイア)の高さの、トレンチの幅(または、バイアの直径)に対する比率を指している。
【0069】
「選択性(selectivity)」という用語は、一つの物質のエッチング速度の、他の物質のエッチング速度に対する比率を意味している。「選択的なエッチ(selective etch)または「選択的にエッチする(selectively etch)」という用語は、一つの物質を他の物質以上にエッチングする、あるいは別の言い方をすれば、二つの物質の間で、1:1より大、またはより小のエッチ選択性を有していることを意味している。
【0070】
複数のR基を記述する文脈における、「独立して(independently)」という用語は、主題のR基が、同一または異なった下付き文字または上付き文字を担持する別のR基に対して、独立して選択されるだけではなく、さらには、同一のR基の各種のさらなる化学種に対しても独立して選択されるということを表していると理解されたい。たとえば、式MR
1x(NR
2R
3)
(4−x)(ここでMはある原子であり、xは2または3である)において、その2個または3個のR
1基が、相互に、またはR
2に対して、またはR
3に対して、同一であってもよいし、あるいは同一である必要はない。さらには、特に断らない限り、別な式で使用したときでも、R基の値は相互に独立しているということも理解されたい。
【0071】
本明細書においては、「膜(film)」および「層(layer)」という用語は、相互に置きかえ可能として使用することができるということにも注目されたい。膜が層に相当したり、層に関連していたりしてもよいし、層が膜を指していてもよいということを理解されたい。さらには、当業者のよく認識するところであろうが、「膜」または「層」という用語は、本明細書で使用される場合、ある表面の上に載置されるかまたは広げられたあるいくつかの物質の厚みを指しており、その表面とは、大はそのウェーハ全体から、小はトレンチまたはラインまでの範囲であってよい。
【0072】
本明細書においては、「エッチング化合物(etching compound)」と「エッチングガス(etching gas)」という用語は、相互に置きかえ可能として使用できることにも注目されたい。エッチング化合物がエッチングガスに相当したり、それに関連していたりしてもよいし、エッチングガスがエッチング化合物を指していてもよいということも理解されたい。
【0073】
本明細書で使用するとき、略号の「NAND」は、「Negated AND」または「Not AND」ゲートを指しており;略号の「2D]は、平面上の基材の上の二次元のゲート構造物を指しており;略号の「3D」は、三次元または垂直方向のゲート構造物を指しているが、この場合、そのゲート構造物は、垂直な方向に積み重ねられている。
【0074】
本明細書においては、元素周期律表からの、元素の標準的な略号を使用している。元素が、これらの略号によって呼ばれているということは理解するべきである(たとえば、Siはシリコンを指しており、Nは窒素を指しており、Oは酸素を指しており、Cは炭素を指しており、Hは水素を指しており、Fはフッ素を指している、など)。
【0075】
開示された分子がより良く識別されるように、Chemical Abstract Serviceによって割り当てられた独自のCAS登録番号(すなわち、「CAS」)を提示している。
【0076】
本明細書および請求項全体にわたって、シリコン含有膜、たとえばSiNおよびSiOが、それらの正しい化学量論を示すことなく、列記されていることにも注目されたい。シリコン含有膜としては、純粋なシリコン(Si)層、たとえば結晶質Si、ポリシリコン(p−Siもしくは多結晶Si)、または非晶質シリコン;シリコン窒化物(Si
kN
l)層;またはシリコン酸化物(Si
nO
m)層;またはそれらの混合物が挙げられるが、ここでk、l、m、およびnは、両末端も含めて0.1〜6の間の範囲である。シリコン窒化物がSi
kN
lであるのが好ましいが、ここでkおよびlはそれぞれ、0.5〜1.5の範囲である。シリコン窒化物がSi
3N
4であれば、より好ましい。シリコン酸化物がSi
nO
mであるのが好ましいが、ここでnは0.5〜1.5の範囲、mは1.5〜3.5の範囲である。シリコン酸化物がSiO
2であれば、より好ましい。本明細書においては、以下において、Si
nO
mを含む層を表すのに、SiOを使用することとする。シリコン含有膜はさらに、シリコン酸化物ベースの誘電体、たとえば有機ベースまたはシリコン酸化物ベースのlow−k誘電体、たとえばApplied Materials,Inc.製のSiOCHの式を有するBlack Diamond IIまたはIII物質であってもよい。シリコン含有膜には、Si
aO
bN
c(ここで、a、b、cは0.1〜6の範囲)を含んでいてもよい。シリコン含有膜にはさらに、たとえばB、C、P、Asおよび/またはGeのようなドーパントを含んでいてもよい。
【0077】
本発明の本質および目的をより良く理解するためには、添付の図面を参照しながら、以下における詳細な説明を参照するべきであるが、図面においては、類似の要素には同一または類似の参照番号が付与されている。