特許第6871235号(P6871235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871235チタン酸バリウム質粉末及びその製造方法、用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871235
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】チタン酸バリウム質粉末及びその製造方法、用途
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/00 20060101AFI20210426BHJP
   C01G 25/00 20060101ALI20210426BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20210426BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C01G23/00 C
   C01G25/00
   C08K3/24
   C08L101/00
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-509676(P2018-509676)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2017013704
(87)【国際公開番号】WO2017171038
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-74080(P2016-74080)
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐三
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 修治
(72)【発明者】
【氏名】松尾 勇人
(72)【発明者】
【氏名】松藤 拓弥
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−110521(JP,A)
【文献】 特開2011−073930(JP,A)
【文献】 特開2005−112665(JP,A)
【文献】 特開2007−054799(JP,A)
【文献】 特開2005−170760(JP,A)
【文献】 特開2006−327889(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/160445(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 1/00−23/08
C01G 25/00−47/00;49/10−99/00
C08K 3/24
C08L 101/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が2.0μm以上12.0μm以下、頻度粒度分布の変動係数が30%以上160%以下で粒子径3μm以上の粒子の平均球形度が0.86以上であって、下記組成式で表され、下記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下であることを特徴とするチタン酸バリウム質粉末。
【化1】
【請求項2】
粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のチタン酸バリウム質粉末。
【請求項3】
最大粒子径が32μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のチタン酸バリウム質粉末。
【請求項4】
可燃ガスと助燃ガスとによって形成された火炎中に、その火炎の中心より平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下であり、下記組成式で表され、下記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下のチタン酸バリウム質原料を、突出速度が300m/秒以上700m/秒以下である気体に分散させながら噴霧することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末の製造方法。
【化2】
【請求項5】
可燃ガスと助燃ガスとによって形成された火炎中に、その火炎の中心より平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下であり、下記組成式で表され、下記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下のチタン酸バリウム質原料と溶媒を混合した液体スラリーを、突出速度が300m/秒以上700m/秒以下である気体に分散させながら噴霧することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末の製造方法。
【化3】
【請求項6】
請求項1〜3の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末を含有してなる樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂組成物を用いた指紋センサ用封止材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン酸バリウム質粉末及びその製造方法、用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化やネットワーク化が大きく進展し、企業や個人の機密情報管理が重要となっている。これらの機密情報へのアクセス管理においては、本人認証機能が必要となり、現在、高度な認証機能が必要な分野には、指紋認証機能の普及が進んでいる。
【0003】
指紋認証には、光学型、感熱型、静電容量型などがあるが、スマートフォンやタブレットに代表されるモバイル端末においては、高信頼性、高解像度、小型化の観点から、静電容量型が多く採用されている。静電容量型は指紋の微妙な凹凸による静電容量の差を感度良く検知する必要があり、指紋認証システムの静電容量を高める為に、指紋センサを保護する封止材の高誘電化が必要とされている。
【0004】
封止材の高誘電化の為には、封止材に充填する無機フィラーにチタン酸バリウムなどの高誘電材料を用い、かつ可能な限り高充填する必要があるが、従来のフィラーでは特性を十分に満足することが出来ない。例えば、特許文献1には、異なる粒子径のペロブスカイト型複合酸化物粒子を組み合わせることで樹脂へ高充填化する技術が開示されている。しかし、この方法では、造粒粉を粒子同士の融着が進行しない範囲で焼成されている為、流動性や成形性の向上が十分ではない。特許文献2には、原料粉体の一部を溶融後に熱処理を加え、球状で単結晶の誘電体セラミックス粒子を得る技術が開示されているが流動性、成形性は十分ではなく、封止材に充填して用いた際に、封止時の流動性、成形性の特性を十分満たす高誘電フィラーは未だ存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−155071号公報
【特許文献2】特許第4431947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、誘電性、流動性、成形性に優れた樹脂組成物を調製することが出来るチタン酸バリウム質粉末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、上記の目的を達成するべく鋭意研究を進めたところ、これを達成するチタン酸バリウム質粉末を見いだした。本発明はかかる知見に基づくものであり、以下の要旨を有する。
(1)平均粒子径が2.0μm以上12.0μm以下、頻度粒度分布の変動係数が30%以上160%以下で粒子径3μm以上の粒子の平均球形度が0.86以上であって、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表され、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下であることを特徴とするチタン酸バリウム質粉末。
(2)粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することを特徴とする前記(1)に記載のチタン酸バリウム質粉末。
(3)最大粒子径が32μm以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のチタン酸バリウム質粉末。
(4)可燃ガスと助燃ガスとによって形成された火炎中に、その火炎の中心より平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下であり、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表され、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下のチタン酸バリウム質原料を、突出速度が300m/秒以上700m/秒以下である気体に分散させながら噴霧することを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末の製造方法。
(5)可燃ガスと助燃ガスとによって形成された火炎中に、その火炎の中心より平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下であり、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表され、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下のチタン酸バリウム質原料と溶媒を混合した液体スラリーを、突出速度が300m/秒以上700m/秒以下である気体に分散させながら噴霧することを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末の製造方法。
(6)前記(1)〜(3)の何れか一項に記載のチタン酸バリウム質粉末を含有してなる樹脂組成物。
(7)前記(6)に記載の樹脂組成物を用いた指紋センサ用封止材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誘電性、流動性、成形性に優れた樹脂組成物、特に指紋センサ用封止材に好適に使用できるチタン酸バリウム質粉末が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、平均粒子径が2.0μm以上12.0μm以下である。平均粒子径が2.0μm未満であると、樹脂に充填した際に、封止材の粘度が著しく増加してしまう為、流動性が悪化する。一方、平均粒子径が12.0μmを超えると、樹脂に充填した際に、封止材の粘度は低くなるものの、小さい粒子が少なくなることでバリが止まらなくなり、成形性が悪化する。好ましい平均粒子径は3.0μm以上10.0μm以下、より好ましくは4.0μm以上8.0μm以下である。
【0010】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、頻度粒度分布の変動係数が30%以上160%以下であることが必要である。頻度粒度分布の変動係数が30%未満であると、粒子径が揃いすぎているため、樹脂に充填した際に、バリが止まらなくなり、成形性が悪化する。また、樹脂に高充填することが出来ず、封止材の誘電性向上効果が不十分となる。一方、頻度粒度分布の変動係数が160%を超えると、平均粒子径近傍の粒子径をもった粒子の数が少なくなる為、樹脂に充填した際に封止材の流動性が悪化する。好ましい頻度粒度分布の変動係数は40%以上130%以下、より好ましくは50%以上100%以下である。
【0011】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の平均粒子径、頻度粒度分布の変動係数は、レーザー回折光散乱法による質量基準の粒度測定に基づく値であり、マルバーン社製「マスターサイザー3000、湿式分散ユニット:Hydro MV装着」を用いて測定する。測定に際しては、溶媒には水を用い、前処理として2分間、トミー精工社製「超音波発生器UD−200(超微量チップTP−040装着)」を用いて200Wの出力をかけて分散処理する。分散処理後の粉末を、レーザー散乱強度が10〜15%になるように分散ユニットに滴下する。分散ユニットスターラーの撹拌速度は1750rpm、超音波モードは無しとする。粒度分布の解析は粒子径0.01〜3500μmの範囲を100分割にして行う。水の屈折率には1.33を用い、チタン酸バリウム質粉末の屈折率には2.40を用いる。なお、測定した粒度分布において、累積質量が50%となる粒子が平均粒子径である。変動係数は、{(頻度粒度分布の標準偏差)/(平均粒子径)}×100(%)で表される。なお、頻度粒度分布の標準偏差は下記式によって求められる。
頻度粒度分布の標準偏差=(Σ{nc(dc−da2}/Σnc0.5
式中、ncは各粒子径域における粒子の質量頻度割合(%)、dcは各粒子径域の幾何平均粒子径(μm)、daは平均粒子径(μm)である。
【0012】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、粒子径3μm以上の粒子の平均球形度が0.86以上であることが必要である。平均球形度が高いほど、樹脂に充填した際に、封止材の流動性、成形性が向上する傾向がある。また樹脂へ高充填することも可能となる為、誘電率を向上させることが出来る。本発明においては、特に粒子径3μm以上の粗い粒子の平均球形度を0.86以上にすることで、これらの効果を高めることが出来る。好ましい粒子径3μm以上の粒子の平均球形度は0.88以上、より好ましくは0.90以上である。
【0013】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の平均球形度は、以下の方法で測定する。チタン酸バリウム質粉末と水を混合して、チタン酸バリウム質10質量%のスラリーを調整し、BRANSON社製「SONIFIER450(破砕ホーン3/4’’ソリッド型)」を用い、出力レベル8で2分間分散処理する。その分散スラリーを目開き3μm(角孔)の電成篩を通過させ、篩上に残ったチタン酸バリウム質粉末を乾燥させる。次に、この乾燥させたチタン酸バリウム質粉末とエタノールを混合してチタン酸バリウム質粉末1質量%スラリーを調整し、上述の装置、条件にて分散処理を行った後、スポイトを用いて、カーボンペーストを塗布した試料台に滴下する。試料台に滴下したチタン酸バリウム質粉末が乾燥するまで大気中放置後、オスミウムコーティングを行い、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JSM−6301F型」で撮影した倍率2000倍、解像度2048×1536ピクセルの画像をパソコンに取り込む。この画像を、マウンテック社製画像解析装置「MacView Ver.4」を使用し、簡単取り込みツールを用いて粒子を認識させ、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)から球形度を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円(半径r)を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)2となる。このようにして得られた任意の投影面積円相当径3μm以上の粒子200個の球形度を求め、その平均値を平均球形度とする。
【0014】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表される複合酸化物の粉末であり、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下であり、主結晶構造は正方晶である。xおよびyが共に0の場合に得られる生成物は、単にチタン酸バリウム粉末から構成されることを意味しており、これを0より大きく、即ち、Ca及び/又はZrを加えることで本発明の高誘電化効果を一層と向上させることが出来る。但し、xとyの和が0.40を超えると、二次相の生成を誘発したり、結晶質の酸化物として析出され、誘電特性および信頼性が悪化する。好ましいxとyの和は0.05より大きく0.35以下、より好ましくは0.10より大きく、0.30以下である。また、結晶構造の正方晶割合は83重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上である。正方晶割合は、X線回折測定を行い、ピーク解析ソフトを用いたリートベルト法による結晶パラメータ解析によって求めることが出来る。
【0015】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の組成は、以下の方法で測定する。チタン酸バリウム質粉末0.2gを白金皿に秤量し、試薬特級フッ化水素酸20mLを加えた後に、試料が浸る程度の水を加え、ホットプレートを用いて160℃で2時間加熱し、試料を溶解、乾固させた。次に、試薬特級塩酸2mL、試薬特級硝酸2mL、試薬特級フッ化水素酸4mLを加え、再溶解した後、50mLの樹脂製フラスコに移し変え、純水で定容した。この溶液中の各金属元素量を、島津製作所社製ICP発光分光分析装置「ICPE−9000」を用い、発光強度を測定した。この測定値を検量線法により定量し、チタン酸バリウム質粉末に含まれる各金属元素量を求めた。その値からチタン酸バリウム質粉末の組成比を算出した。
【0016】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することが好ましい。粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子は、チタン酸バリウム質粉末の各粒子の間隙に入り込んで、充填構造を密なものとする為、樹脂に充填した際にバリ発生を抑え、封止材の成形性を向上させることが出来る。粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有量が1.0質量%未満であると、樹脂に充填した際に封止材のバリ発生の抑制効果が不十分となり、成形性を向上させることが出来ない。一方、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有量が20.0質量%を超えると、樹脂に充填した際に、封止材の粘度が著しく増加してしまう為、流動性が悪化する問題が発生する。粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の好ましい含有量は2.0質量%以上17.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以上14.0質量%以下である。
【0017】
本発明のチタン酸バリウム質粉末中に含まれる、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有率は、以下方法で測定する。チタン酸バリウム質粉末と水を混合して、チタン酸バリウム質10質量%のスラリーを調整し、BRANSON社製「SONIFIER450(破砕ホーン3/4’’ソリッド型)」を用い、出力レベル8で2分間分散処理する。その分散スラリーを目開き1μmのメンブランフィルター(メルク社製「オムニポアTM」)を通過させた後、通過したスラリーを乾燥させて粉末質量を測定し、チタン酸バリウム質粉末中の粒子径が1μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有割合をまず算出する。その後、この粒子径が1μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子を、上述のレーザー回折光散乱法により粒度測定を行い、粒子径が1μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子中に含まれる、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有割合を計算し、元のチタン酸バリウム質粉末中に含まれる、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有率を算出する。以上の操作に基づいて算出された値を、本発明における粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有率とする。例えば、目開き1μmフィルターを通過した微粒チタン酸バリウム質粒子の含有割合が10質量%、レーザー回折光散乱法による粒度測定による、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の含有割合が80質量%であれば、本発明のチタン酸バリウム質粉末中に含まれる、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有率は8質量%と算出される。
【0018】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、最大粒子径が32μm以下であることが好ましい。本発明のチタン酸バリウム質粉末を樹脂に充填し、指紋センサ用封止材として用いる場合、指紋センサ上部の厚みは、認証感度向上のために100μm以下にすることが好ましい。その際に、チタン酸バリウム質粉末の最大粒子径が32μmを超えると、指紋センサ上部の狭隙部分に樹脂組成物が入り込むことができず、ボイド発生量が多くなり、成形性が悪化する。好ましい最大粒子径は25μm以下、より好ましくは20μm以下である。
【0019】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の最大粒子径は、以下の湿式篩法で測定する。セイシン企業社製ふるい分け振とう機「オクタゴンDigital(湿式ふるいユニット)」に、例えば、目開きが46μm、40μm、32μm、30μm、28μm、25μm、20μm、18μmなどから、いずれかの目開き(角孔)をもつ篩をセットし、チタン酸バリウム質粉末10gを精秤したものを篩上から投入し、9.5リットル/分のシャワー水量で5分間振とうさせた後、篩上に残った粉末をアルミニウム製容器に移し替え、大気中120℃で30分間乾燥させ、篩上の粉末の質量を計量する。篩上の粉末の質量を、測定に供したチタン酸バリウム質粉末の質量で除して百分率にし、篩上に残った粉末の割合を算出する。この際に、それぞれの目開きの篩上に残る粉末の割合が0.5質量%以下である篩の目開きのうち、最も目開きの小さな篩の目開きを、本発明のチタン酸バリウム質粉末の最大粒子径とする。
【0020】
つぎに、本発明のチタン酸バリウム質粉末の製造方法について説明する。
【0021】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の製造方法は、可燃性ガスと助燃ガスとによって形成された高温火炎中に、その火炎の中心より平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下であり、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表され、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下であるチタン酸バリウム質原料を、突出速度が300m/秒以上700m/秒以下である気体に分散させながら噴霧することが好ましい。これによって本発明のチタン酸バリウム質粉末を効率良く製造することが出来る。チタン酸バリウム質原料の平均粒子径が0.1μm未満であると、本発明のチタン酸バリウム質粉末の平均粒子径を2.0μm以上にすることが困難となる。一方、チタン酸バリウム質原料の平均粒子径が1.5μmを超えると、本発明のチタン酸バリウム質粉末の平均粒子径を12.0μm以下にすることが困難となる。好ましいチタン酸バリウム質原料の平均粒子径は0.2μm以上1.2μm以下、より好ましくは0.3μm以上0.9μm以下である。また、チタン酸バリウム質原料の組成式中のxとyの和が0であると、本発明のチタン酸バリウム質粉末は単にチタン酸バリウム粉末である。一方、チタン酸バリウム質原料の組成式中のxとyの和が0.40を超えると、本発明のチタン酸バリウム質粉末の組成式中のxとyの和が0.40以下にすることが困難になる。好ましいチタン酸バリウム質原料の組成式中のxとyの和は0.05より大きく0.35以下、より好ましくは0.10より大きく、0.30以下である。さらに、分散気体の突出速度が300m/秒未満であると、チタン酸バリウム質原料の分散が不十分となり、本発明のチタン酸バリウム質粉末の頻度粒度分布の変動係数を160%以下にすることが困難となる。一方、分散気体の突出速度が700m/秒を超えると、チタン酸バリウム質原料の分散が過剰となり、本発明のチタン酸バリウム質粉末の頻度粒度分布の変動係数を30%以上とすることが困難となる。好ましい分散気体の突出速度は350m/秒以上650m/秒以下、より好ましくは400m/秒以上600m/秒以下である。
【0022】
チタン酸バリウム質原料の平均粒子径は、上述のレーザー回折光散乱法による粒度測定によって求めることが出来る。また、チタン酸バリウム質原料の組成式中のxとyの和は、上述のICP発光分光分析法の測定によって求めることが出来る。
【0023】
可燃性ガスとしては、プロパン、ブタン、プロピレン、アセチレン、水素等の一種又は二種以上、また助燃ガスとしては、酸素ガス等の酸素含有ガスが用いられる。これらの中で可燃性ガスとしては、プロパンとブタンの混合ガス、助燃ガスとして酸素ガスを使用することが好ましい。
【0024】
分散気体としては、空気、酸素等の助燃ガス、窒素、アルゴン等の不活性ガスの他、ガスの発熱量調整を目的として可燃性ガスを混合して使用することが出来る。これらの中で分散気体としては、酸素ガスを使用することが好ましい。
【0025】
本発明のチタン酸バリウム質粉末の製造方法は、上述の方法で製造する際に、チタン酸バリウム質原料と溶媒を混合した液体スラリーを原料とすることが好ましい。液体スラリーの状態で分散気体に分散させながら噴霧することで、溶媒の表面張力により本発明のチタン酸バリウム質粉末の球形度を向上させることが容易となる。液体スラリー中のチタン酸バリウム質原料の濃度は例えば30〜70質量%とすることができ、典型的には40〜60質量%とすることができる。
【0026】
溶媒は、水の他、発熱量調整として、メタノール、エタノール等の有機溶媒等を単独、或いは混合して用いることが出来る。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、本発明のチタン酸バリウム質粉末を含有してなる樹脂組成物である。樹脂組成物中のチタン酸バリウム質粉末の含有率は10〜95質量%であり、さらに好ましくは30〜93質量%である。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、本発明のチタン酸バリウム質粉末が単独で使用されるものとは限らず、例えば、熱膨張率が低い非晶質シリカ粉末や、熱伝導率が高いアルミナ粉末と併用して使用することも出来る。
【0029】
樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、マレイミド変成樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリルーアクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を使用することができる。
【0030】
これらの中、指紋センサ用封止材としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が好ましい。それを例示すれば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSなどのグリシジルエーテル、フタル酸やダイマー酸などの多塩基酸とエポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アルキル変性多官能エポキシ樹脂、β−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、2,7−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、更には難燃性を付与するために臭素などのハロゲンを導入したエポキシ樹脂等である。中でも、耐湿性や耐ハンダリフロー性の点からは、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格のエポキシ樹脂等が好適である。
【0031】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばフェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル等のノボラック型樹脂、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン等をあげることができる。また、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させるために硬化促進剤を配合することもでき、硬化促進剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等をあげることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物には、更に以下の成分を必要に応じて配合することができる。すなわち、低応力化剤として、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーや飽和型エラストマー等のゴム状物質、各種熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂状物質、更にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂の一部又は全部をアミノシリコーン、エポキシシリコーン、アルコキシシリコーンなどで変性した樹脂など、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシランなど、表面処理剤として、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など、難燃助剤として、Sb23、Sb24、Sb25など、難燃剤として、ハロゲン化エポキシ樹脂やリン化合物など、着色剤として、カーボンブラック、酸化鉄、染料、顔料など、更には離型剤として、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィンなどである。
【0033】
本発明の樹脂組成物は、上記各材料の所定量をブレンダーやヘンシェルミキサー等によりブレンドした後、加熱ロール、ニーダー、一軸又は二軸押し出し機等により混練したものを冷却後、粉砕することによって製造することができる。
【0034】
本発明に係る樹脂組成物は指紋センサ用封止材に用いることができる。その場合は、本発明に係る樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有することが好ましく、エポキシ樹脂の硬化剤とエポキシ樹脂の硬化促進剤とを含む組成物からなるものとすることができる。本発明の封止材を用いて指紋センサチップを封止するには、トランスファーモールド法、真空印刷モールド法等の常套の成形手段が採用される。
【実施例】
【0035】
以下、本発明について、実施例及び比較例により、更に、詳細に説明する。
実施例1〜11、比較例1〜8
燃焼炉の頂部に内炎と外炎が形成できる二重管構造のLPG−酸素混合型バーナーが設置され、下部にサイクロン、バグフィルターからなる捕集系ラインに直結される装置を用いてチタン酸バリウム質粉末を製造した。上記バーナーの中心部には更に原料噴霧用の二流体ノズルが設置され、その二流体ノズルの中心部から特定の平均粒子径のチタン酸バリウム質原料(表1、表2のフィード方法の欄に「溶媒無」と記載)、あるいは特定の平均粒子径のチタン酸バリウム質原料を50質量%含有する水スラリー(表1、表2のフィード方法の欄に「水」と記載)を、チタン酸バリウム質原料量で10kg/時間となるようにフィードすると共に、二流体ノズルの外側から、試験番号に応じて表1及び表2に記載の突出速度で噴射した空気(原料分散気体)に分散させた。なお、チタン酸バリウム質原料としては組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry)O3で表され、x、y、平均粒径の異なる種々の市販品を使用し、それらを適宜、篩別、混合して所望のチタン酸バリウム質原料を得た。火炎の形成は二重管バーナーの出口に数十個の細孔を設け、そこからLPGと酸素の混合ガスを、適宜ガス量を調整しながら噴射することによって行った。二流体ノズルから噴射され火炎を通過し球状化した粉末は、ブロワによって捕集ラインを空気輸送させ、サイクロン、及びバグフィルターで捕集した。サイクロン捕集品に、それと同条件のバグフィルター捕集品を適宜混合して微細チタン酸バリウム質粒子の含有量を調整した後、各種目開き(角孔)のステンレス試験用篩を用いて最大粒子径の調整を行い、表1及び表2に示される19種類のチタン酸バリウム質粉末を製造した。
【0036】
使用したチタン酸バリウム質原料の、平均粒子径、組成xとyおよびそれらの和、並びに、製造したチタン酸バリウム質粉末の、平均粒子径、頻度粒度分布の変動係数、粒子径3μm以上の粒子の平均球形度、組成xとyおよびそれらの和、結晶構造の正方晶割合、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子の含有率、最大粒子径を表1、表2に示す。
【0037】
製造したチタン酸バリウム質粉末の封止材としての特性を評価するため、表3に示した配合量で、各成分を配合し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製「FM−10B型」)にて1000rpmで1分間ドライブレンドした。エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:YX−4000H)、フェノール樹脂としてフェノールアラルキル樹脂(三井化学社製:ミレックスXLC−4L)、カップリング剤としてエポキシシラン(信越化学工業社製:KBM−403)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(北興化学工業社製:TPP)、離型剤としてカルナバワックス(クラリアント社製)を使用した。その後、同方向噛み合い二軸押出混練機(スクリュー径D=25mm、L/D=10.2、パドル回転数50〜120rpm、吐出量2.0kg/Hr、混練物温度96〜98℃)で加熱混練した。混練物(吐出物)をプレス機にてプレスして冷却した後、粉砕して封止材を製造し、誘電性(比誘電率)、流動性(スパイラルフロー)、成形性(バリ長さ、ボイド数)を以下に従って評価した。それらの結果を表4、表5に示す。
【0038】
(1)比誘電率
各封止材を、トランスファー成形機を用いて直径100mm、厚さ3mmの円柱状に成形後、ポストキュアし、封止材硬化体を作製した。トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力7.5MPa、保圧時間90秒とし、ポストキュア条件は175℃、8時間とした。これらの封止材硬化体表面に藤倉化成社製導電性ペースト「ドータイトD−550」を薄く塗布し、アジレント・テクノロジー社製LCRメータ「HP4284A」、及び安藤電気社製測定用電極「SE−70」を用い、温度25℃、湿度60%、周波数1MHzで測定された静電容量から比誘電率を算出した。この比誘電率の値が、55以上を誘電性が良好であるとした。
【0039】
(2)スパイラルフロー
EMMI−I−66(Epoxy Molding Material Institute;Society of Plastic Industry)に準拠したスパイラルフロー測定用金型を取り付けたトランスファー成形機を用い、各封止材のスパイラルフロー値を測定した。なお、トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力6.5MPa、保圧時間120秒とした。このスパイラルフローの値が、150cm以上を流動性が良好であるとした。
【0040】
(3)バリ長さ
2μm、5μm、10μmのスリット幅を持つバリ測定用金型を用い、成形温度175℃、成形圧力6.5MPaで成型した際にスリットに流れ出た封止材をノギスで測定し、それぞれのスリット幅のバリ長さを測定した。このバリ長さの値が、2μmのスリット幅において5.0mm以下、5μmのスリット幅において4.5mm以下、10μmのスリット幅において4.5mm以下を、成形性が良好であるとした。
【0041】
(4)ボイド数
BGA用サブストレート基板にダイアタッチフィルムを介して、サイズ8mm×8mm×0.7mmの模擬センサチップを置き、金ワイヤーで接続した後、上記の各封止材を使用し、トランスファー成形機を用いて、パッケージサイズ38mm×38mm×1.0mmに成形後、ポストキュアし、模擬センサチップ封止体を20個作製した。なお、チップ上の隙間(金型とチップの距離のことであり、チップ上の封止材の厚みを意味する。)は100μm、金ワイヤーの直径は15μmφ、金ワイヤーの平均長さは5mmとした。トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力6.5MPa、保圧時間90秒とし、ポストキュア条件は175℃、8時間とした。これら20個の模擬センサチップ封止体について、超音波探傷装置(日立建機株式会社製「AT−5500」)を用いて、直径0.3mm以上のボイドの数を計測し、模擬センサチップ封止体1個あたりの平均ボイド数を算出した。この平均ボイド数の値が、1.00より小さいほど、成形性が良好であるとした。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
実施例1〜11においては、平均粒子径が2.0μm以上12.0μm以下、頻度粒度分布の変動係数が30%以上160%以下で粒子径3μm以上の粒子の平均球形度が0.86以上であって、組成式(Ba(1-x)Cax)(Ti(1-y)Zry )O3で表され、前記組成式中のxとyの和が0より大きく0.40以下であり、粒子径が0.1μm以上0.7μm以下の微細チタン酸バリウム質粒子を1.0質量%以上20.0質量%以下含有し、最大粒子径が32μm以下であるチタン酸バリウム質粉末が得られた。また、実施例1〜11のチタン酸バリウム質粉末を封止材として用いた際に比誘電率の値が55以上であり、スパイラルフローの値が150cm以上であり、バリ長さの値が、2μmのスリット幅において5.0mm以下、5μmのスリット幅において4.5mm以下、10μmのスリット幅において4.5mm以下であり、平均ボイド数の値が、1.00より小さいという結果が得られた。本発明に係るチタン酸バリウム質粉末の優れた特性は比較例1〜8との対比から明らかである。
したがって、本発明によれば、誘電性、流動性、成形性に優れた樹脂組成物、また前記樹脂組成物を調製するのに好適なチタン酸バリウム質粉末が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のチタン酸バリウム質粉末は、スマートフォンやタブレットに代表されるモバイル端末等に使用される指紋センサ用封止材として利用される。また、多層プリント配線板中のコンデンサに使用される高誘電フィルムとして利用される。さらに、人工筋肉のアクチュエーターに使用される誘電エラストマーとして利用される。