(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871242
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】指の欠測検出を伴う方法および指紋検知デバイス
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20210426BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20210426BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
A61B5/1172
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-515790(P2018-515790)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公表番号】特表2018-536215(P2018-536215A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】SE2016050909
(87)【国際公開番号】WO2017058082
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年6月27日
(31)【優先権主張番号】1551263-5
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500374582
【氏名又は名称】フィンガープリント カーズ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カーリング, ダーヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ソーンブロム, ハンス
【審査官】
新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−146048(JP,A)
【文献】
特開2008−048903(JP,A)
【文献】
特開2000−093411(JP,A)
【文献】
特開2007−004823(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/076824(WO,A1)
【文献】
特開2007−041925(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0180136(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0199554(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0030302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
A61B 5/1172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋検知デバイスの検知面に触れている指の指紋パターンを検知し、前記指紋パターンの表現を提供するための指紋検知デバイスであって、
前記指紋パターンを検知するための検知要素のアレイと、
前記検知要素のアレイに接続される読出し回路と、
前記指紋検知デバイスの前記検知面に指候補が触れているかどうかを検出するための指検出回路と
を備え、
前記指紋検知デバイスが、アクティブ状態エネルギー消費を伴うアクティブ状態と前記アクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能であり、
前記指紋検知デバイスが前記アクティブ状態であるとき、前記検知要素のアレイ中の各検知要素が、前記指と前記検知要素との間の局所的な距離を示す検知信号を提供するように制御可能であり、前記読出し回路が、前記検知要素の各々からの前記検知信号を読み出して、前記検知要素からの前記検知信号に基づいて前記指紋パターンの前記表現を提供するように制御可能であり、
前記指紋検知デバイスが前記非アクティブ状態であるとき、前記指検出回路が、前記指紋検知デバイスの前記検知面にもはや前記指候補が触れていないときを示すための指欠測信号を提供するように構成される、指紋検知デバイス。
【請求項2】
前記指紋検知デバイスが前記非アクティブ状態であるとき、前記指検出回路が、前記指候補と前記検知面との間の最短距離が少なくとも1ミリメートルであるように、前記指候補が前記指紋検知デバイスの前記検知面から取り除かれたときを示すために前記指欠測信号を提供するように構成される、請求項1に記載の指紋検知デバイス。
【請求項3】
前記指紋検知デバイスが前記非アクティブ状態であるとき、前記指検出回路が、前記指候補が前記指紋検知デバイスの前記検知面に触れているときを示すための指検出信号を提供するようにさらに構成される、請求項1または2に記載の指紋検知デバイス。
【請求項4】
前記指紋検知デバイスが、前記指欠測信号を外部に提供するための指検出出力を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の指紋検知デバイス。
【請求項5】
前記指検出回路が、個別の検出事象において前記指候補が前記指紋検知デバイスの前記検知面に触れているかどうかを検出するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の指紋検知デバイス。
【請求項6】
少なくとも2つの連続した検出事象において前記指候補が前記指紋検知デバイスの前記検知面にもはや触れていないことを前記指検出回路が検出したときにだけ、前記指欠測信号が提供される、請求項5に記載の指紋検知デバイス。
【請求項7】
前記検知要素の各々からの前記検知信号が前記指と前記検知要素との間の容量性結合を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の指紋検知デバイス。
【請求項8】
前記指紋検知デバイスが導電性指検出構造をさらに備え、
前記指検出回路が、
前記導電性指検出構造と前記指候補との間の容量性結合が、閾値の容量性結合より上の第1の値から前記閾値の容量性結合より下の第2の値に変わることに応答して、前記指欠測信号を提供するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の指紋検知デバイス。
【請求項9】
前記第1の値が第1の閾値の容量性結合より上であり、前記第2の値が第2の閾値の容量性結合より下であり、前記第2の閾値の容量性結合が前記第1の閾値の容量性結合よりも弱い、請求項8に記載の指紋検知デバイス。
【請求項10】
電子デバイスであって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の指紋検知デバイスと、
前記電子デバイスの動作を制御するための処理回路と、
前記処理回路が前記指紋検知デバイスの動作を制御することを可能にするための指紋センサインターフェースと
を備え、
前記処理回路が、
前記指紋検知デバイスを制御して、前記指紋センサインターフェースを介して前記処理回路に指候補の第1の候補表現を提供し、
前記第1の候補表現を評価し、
前記指候補が指と認定することができないと前記評価が示すとき、前記指紋検知デバイスを制御して、前記指検出回路が前記指欠測信号を提供した後にのみ前記指候補の第2の候補表現を提供するように構成される、電子デバイス。
【請求項11】
前記指候補を指と認定することができないと前記評価が示すとき、前記処理回路が、前記指紋検知デバイスを前記指紋検知デバイスの非アクティブ状態に制御するようにさらに構成される、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記指紋検知デバイスが前記指欠測信号を外部に提供するための指検出出力を備え、
前記処理回路が前記指欠測信号を受け取るために前記指検出出力に接続される、請求項10または11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記電子デバイスがディスプレイデバイスをさらに備え、
前記処理回路が、
前記指候補が指と認定することができると前記評価が示すときに、
記憶した登録表現を取り出し、
前記第1の候補表現に基づいて認証表現を生成し、
前記登録表現と前記認証表現とを比較し、
前記比較が認証成功を示すとき、
前記ディスプレイデバイスをアクティブ化し、
ユーザに前記認証成功を示すように前記ディスプレイデバイスを制御する
ようにさらに構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項14】
指検出回路を備える指紋検知デバイスの動作を制御する方法であって、前記指紋検知デバイスがアクティブ状態エネルギー消費を伴うアクティブ状態と前記アクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能であり、
前記指紋検知デバイスが前記指紋検知デバイスの非アクティブ状態であるとき、前記指検出回路を使用して、指候補が前記指紋検知デバイスの検知面に触れているかどうかを検出するステップと、
前記指候補が前記指紋検知デバイスの前記検知面に触れているとき、指検出信号を提供するステップと、
前記指紋検知デバイスの前記検知面にもはや前記指候補が触れていないとき、指欠測信号を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
電子デバイスを制御する方法であって、前記電子デバイスが、
指紋検知デバイスの検知面に触れている指の指紋パターンを検知するための指紋検知デバイスであって、アクティブ状態エネルギー消費を伴うアクティブ状態と前記アクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能である指紋検知デバイスと、
前記電子デバイスの動作を制御するための処理回路と、
前記処理回路が前記指紋検知デバイスの動作を制御することを可能にするための指紋センサインターフェースと
を含み、前記方法が、請求項14に記載のステップを含み、
前記指紋検知デバイスを制御して、前記指紋センサインターフェースを介して前記処理回路に指候補の第1の候補表現を提供するステップと、
前記指候補の前記第1の候補表現を評価するステップと、
前記指候補が指と認定することができないと前記評価が示すとき、前記指紋検知デバイスを制御して、前記指検出回路が前記指欠測信号を提供した後にのみ前記指候補の第2の候補表現を提供するステップと
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋検知デバイスおよび指紋パターンを検知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安全性の増大および/またはユーザの利便性の向上をもたらすため、様々なタイプの生体測定システムがますます使用されている。
【0003】
特に、指紋検知システムは、指紋検知システムの小さい形状因子、高い性能、およびユーザ受容のおかげで、たとえば、家庭用電子デバイスで採用されてきた。
【0004】
指紋検知システムの低いエネルギー消費を可能にするために、指紋検知システムは、指紋検知システム内に含まれる指紋検知デバイス上に指があるときにだけ動作するべきである。一方で、指紋検知システムは、検知デバイス上に指が存在するかどうかを別個に決定すること、および指が検知デバイス上に置かれているときに指の指紋パターンを検知することを要求され得る。
【0005】
米国特許第8,031,046号は、指検知電極が、互いにバス接続され、典型的にはオンに維持されるバス接続された電極増幅器に接続され得る、指検知デバイスを開示する。サンプルホールドおよびデコーダ回路が、バス接続された電極増幅器に接続され、バス接続された電極グループから平均電力を出力することができ、平均電力は、閾値レベルと比較される。平均電力が閾値レベルよりも大きい場合、指が存在すると決定され、指紋画像が取得される。
【0006】
米国特許第8,031,046号により提案された解決策は、多少エネルギー効率的な指検出機能性を可能にするように見えるが、依然として改善する余地があると思われる。
【発明の概要】
【0007】
従来技術の上述および他の欠点に鑑みて、改善した指紋検知デバイスおよび指紋パターンを検知する方法を達成すること、特に、指紋検知デバイスのさらにエネルギー効率的な動作を可能にすることが、本発明の目的である。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様によれば、指紋検知デバイスの検知面に触れている指の指紋パターンを検知し、指紋パターンの表現を提供するための指紋検知デバイスが提供され、指紋検知デバイスは、指紋パターンを検知するための検知要素のアレイと、検知要素のアレイに接続される読出し回路と、指紋検知デバイスの検知面に指候補が触れているかどうかを検出するための指検出回路とを備え、指紋検知デバイスがアクティブ状態エネルギー消費を伴うアクティブ状態とアクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能であり、指紋検知デバイスがアクティブ状態であるとき、検知要素のアレイ中の各検知要素が、指と検知要素との間の局所的な距離を示す検知信号を提供するように制御可能であり、指読出し回路が、検知要素の各々からの検知信号を読み出して、検知要素からの検知信号に基づいて指紋パターンの表現を提供するように制御可能であり、指紋検知デバイスが非アクティブ状態であるとき、指検出回路が、指紋検知デバイスの検知面にもはや指候補が触れていないときを示すための指欠測信号を提供するように構成される。
【0009】
検知要素は、たとえば、各々が、その特定の検知要素とセンサ面に触れている指表面との間の容量性結合を示す測定値を提供する、容量性検知要素であってよい。指紋の隆起に対応する場所の検知要素は、指紋の谷間に対応する場所の検知要素より強い容量性結合を指に対して呈することになる。
【0010】
しかし、本発明の様々な実施形態は、特定の指紋検知技術を利用する検知要素を備える指紋検知デバイスに限定されず、たとえば、光学式、熱式、または圧電式指紋センサなどに、均等に適用可能である。
【0011】
検知面は、保護コーティングの上面であることができ、検知要素は、保護コーティングを通して指紋パターンを検知することができる。実施形態では、保護コーティングは、ガラスカバーシートを備えることができる。
【0012】
読出し回路は、たとえば、検知要素によって提供される検知信号を受け取るための回路と、適用可能な場合、アナログ検知信号を指紋パターンのデジタル表現に変換するためのアナログデジタル変換回路とを備えることができる。
【0013】
「指候補」という用語は、指である可能性がある物体と理解されたい。特に、「指候補」は、真の指に十分に似ており、指紋検知デバイスを、指紋検知デバイスの非アクティブ状態からアクティブ状態へと移行させることができる。たとえば、指候補は、真の指と類似した導電性を有する場合がある。もちろん、「指候補」は、典型的には真の指であってよい。
【0014】
指紋検知デバイスの「非アクティブ」状態では、指紋検知デバイスは、非常に限定された機能性を有する場合がある。たとえば、指紋検知デバイスは、完全な指紋画像を検知して完全な指紋画像を外部に提供することが可能でない場合がある。非アクティブ状態では、指紋検知デバイスの電流消費は、μΑ程度であってよい。
【0015】
指紋検知デバイスの「アクティブ」状態では、指紋検知デバイスは、指紋画像を取得して指紋画像を外部に提供することができる。アクティブ状態では、指紋検知デバイスの電流消費は、mΑ程度であってよい。
【0016】
指検出回路は、専用の指検出回路であってよく、または検知要素のセットが指検出回路として使用されてもよい。さらに、指検出回路によって実行される指候補検出は、アナログ検出信号に直接基づいて、および/またはアナログ検出信号のデジタル表現に基づいてよい。
【0017】
検知した指紋パターンは、生体測定登録もしくは認証、または指紋パターンベースのナビゲーションなどの、様々な目的で使用することができる。
【0018】
本発明は、指紋検知デバイスが指候補の接触の終了を示すことができる場合、指紋検知デバイスを備える電子デバイスの平均電力消費を減少させることができるという認識に基づく。本発明者らは、指紋検知デバイスが指紋検知デバイスの非アクティブ状態であるときに、指候補の接触の終了を指紋検知デバイスが示すことができる場合、特に有利であるとさらに理解した。これは、たとえば、既に評価されており、偽であること、および/または不十分な品質であることが見いだされた指候補の画像取得を繰り返すことを防止するために使用することができる。加えて、認証失敗の事象において、指紋検知デバイスを、指紋検知デバイスの非アクティブ状態へと制御して、指が指紋センサの面から取り除かれて再びそこに置かれるまで、新しい(指紋画像などの)指紋の表現を証明することを防ぐことができる。
【0019】
画像取得が不要に繰り返される危険をさらに減らすために、指検出回路は、指候補が、少なくとも1ミリメートル離れるなど、検知面から十分に遠ざけられたときにだけ、指欠測信号を提供するように構成することができる。
【0020】
様々な実施形態によれば、指検出回路は、指紋検知デバイスが指紋検知デバイスの非アクティブ状態であるときに、指候補が指紋検知デバイスの検知面に触れているときを示すための指検出信号を提供するようにさらに構成することができる。
【0021】
さらに、指紋検知デバイスは、指欠測信号(および/または、適用可能な場合、指検出信号)を外部に提供するための、指検出出力を有利に備えることができる。
【0022】
指欠測信号(および/または、指検出信号)は、デジタル割込信号として提供することができる。このことによって、ホストシステムは、指紋検知デバイスを指紋検知デバイスのアクティブ状態へと制御して、さらなる評価のために指紋検知デバイスが指紋候補表現を取得するように制御するなどの、好適な動作を行うことが可能になることになる。代替的に、または組み合わせて、指紋検知デバイスは、指検出回路の出力に応答して、指紋検知デバイスの非アクティブ状態から指紋検知デバイスのアクティブ状態へと、指紋検知デバイス自体を制御することができる。
【0023】
実施形態によれば、個別の検出事象において、指候補が指紋検知デバイスの検知面に触れているかどうかを検出するように指検出回路を構成することができる。
【0024】
そのような実施形態では、指検出回路からの出力の精度を増加させるために、少なくとも2つの連続した検出事象において、指候補が指紋検知デバイスの検知面にもはや触れていないことを指検出回路が検出したときにだけ、指欠測信号を提供することができる。
【0025】
同様に、指検出回路が上述の指検出信号を提供するようにさらに構成される実施形態では、少なくとも2つの連続した検出事象において、指候補が指紋検知デバイスの検知面に触れていることを指検出回路が検出したときにだけ、指検出信号を提供することができる。
【0026】
様々な実施形態によれば、さらに、検知要素の各々からの検知信号は、指と検知要素との間の容量性結合を示すことができる。
【0027】
これらの実施形態では、検知要素の各々は、導電性検知構造と、検知構造と指との間の電位差の変化からもたらされる、検知構造によって運ばれる電荷の変化を示す検知信号を提供するため検知構造に接続される電荷増幅器とを備えることができる。
【0028】
さらに、指紋検知デバイスは、導電性指検出構造をさらに備えることができ、指検出回路は、指検出構造と指候補との間の容量性結合が、閾値の容量性結合より上の第1の値から閾値の容量性結合より下の第2の値に変わることに応答して、指欠測信号を提供するように構成することができる。閾値の容量性結合は、たとえば、閾値電圧によって表すことができる。さらに、閾値の容量性結合を予め規定することができ、または検知した信号に基づいて閾値の容量性結合を動的に決定することができる。たとえば、閾値の容量性結合は、検知した雑音レベルに基づくことができる。
【0029】
実施形態では、画像取得が不要に繰り返される危険をさらに減らすために、第1の値が第1の閾値の容量性結合の上であってよく、第2の値が第2の閾値の容量性結合より下であってよく、第2の閾値の容量性結合は第1の閾値の容量性結合よりも弱い。
【0030】
これらの実施形態では、第1の閾値の容量性結合は、指候補が検知面と接触していることを示すことができ、第2の閾値の容量性結合は、依然として指候補を指検出回路が検出できるが、指候補と検知面との間に少なくとも1ミリメートル以上などといった、指候補と検知面との間に空気があることを示すことができる。
【0031】
本発明の様々な実施形態にしたがう指紋検知デバイスは、電子デバイス中の有利に備えられてよく、電子デバイスの動作を制御するための処理回路、および処理回路が指紋検知デバイスの動作を制御することを可能にするための指紋センサインターフェースをさらに含み、処理回路が、指紋検知デバイスを制御して、指紋センサインターフェースを介して処理回路に指候補の第1の候補表現を提供し、第1の候補表現を評価し、指候補が指と認定することができないと評価が示すとき、指紋検知デバイスを制御して、指検出回路が指欠測信号を提供した後にのみ指候補の第2の候補表現を提供するように構成される。
【0032】
処理回路は、ハードウェア、および/または1つまたはいくつかのプロセッサ上で動作するソフトウェアとして実現することができる。
【0033】
指候補が指と認定することができないと第1の候補表現の評価が示すとき、処理回路は、たとえば、指紋検知デバイスを制御して、指候補がもはやセンサ面に触れていないことを最初に示し、次いで、指候補が次にセンサ面上に置かれたという新しい、第2の候補表現を指紋検知デバイスが提供するような制御に進むように指紋検知デバイスを構成することによって、指欠測検出の後にのみ第2の候補表現を提供することができる。あるいは、処理回路は、新しい指候補が検出された最初の検出のときを、処理回路に示すように指紋検知デバイスを構成することができる。処理回路は、次いで、指紋検知デバイスが新しい候補表現を取得するような制御に進むことができる。
【0034】
したがって、指欠測信号は、指紋検知デバイスの構成に依存して、指紋センサインターフェースを介して指紋検知デバイスから処理回路に外部的に、または指紋検知デバイス中で内部的に提供することができる。後者の場合、指欠測信号は、たとえば、指紋検知デバイスの読出し回路(ステートマシン)に提供することができる。
【0035】
実施形態では、処理回路は、指候補を指と認定することができないと評価が示すとき、指紋検知デバイスを指紋検知デバイスの非アクティブ状態に制御するように、さらに有利に構成することができる。
【0036】
指紋検知デバイスは、こうして、センサ面に触れている「非適格な」指候補が存在する限り、指紋検知デバイスのアクティブ状態よりもはるかに少ないエネルギーを消費することになる。
【0037】
様々な実施形態によれば、電子デバイスはディスプレイデバイスをさらに備えることができ、処理回路は、指候補が指と認定することができると評価が示すときに、記憶した登録表現を取り出し、第1の候補表現に基づいて認証表現を生成し、登録表現と認証表現とを比較して、比較が認証成功を示すとき、ディスプレイデバイスをアクティブ化し、ユーザに認証成功を示すようにディスプレイデバイスを制御するようにさらに構成することができる。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、指検出回路を備える指紋検知デバイスの動作を制御する方法が提供され、指紋検知デバイスがアクティブ状態エネルギー消費を伴うアクティブ状態とアクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能であり、方法が、指紋検知デバイスが指紋検知デバイスの非アクティブ状態であるときに、指検出回路を使用して、指候補が指紋検知デバイスの検知面に触れているかどうかを検出するステップと、指候補が指紋検知デバイスの検知面に触れているときに、指検出信号を提供するステップと、指紋検知デバイスの検知面にもはや指候補が触れていないとき、指欠測信号を提供するステップとを含む。
【0039】
本発明のこの第2の態様の実施形態にしたがう方法の方法ステップは、指紋検知デバイスの検知面に触れている指の指紋パターンを検知するための指紋検知デバイスであって、アクティブ状態エネルギー消費伴うアクティブ状態とアクティブ状態エネルギー消費よりも低い非アクティブ状態エネルギー消費を伴う非アクティブ状態との間で制御可能である指紋検知デバイスと、電子デバイスの動作を制御するための処理回路と、処理回路が指紋検知デバイスの動作を制御することを可能にするための指紋センサインターフェースとを含む、電子デバイスを制御する方法に含むことができる。加えて、このような電子デバイスなどを制御するこの方法は、指紋検知デバイスを制御して、指紋センサインターフェースを介して処理回路に指候補の第1の候補表現を提供するステップと、指紋パターンの表現を評価するステップと、指候補が指と認定することができないと評価が示すとき、指紋検知デバイスを制御して、指検出回路が指欠測信号を提供した後にのみ指候補の第2の候補表現を提供するステップとを含む。
【0040】
本発明のこの第2の態様のさらなる実施形態、およびこの第2の態様を通して得られた効果は、本発明の第1の態様について上で記載されたものと非常に類似している。
【0041】
要約すると、本発明は、検知要素のアレイと、検知要素のアレイに接続される読出し回路と、指紋検知デバイスの検知面に指候補が触れているかどうかを検出するための指検出回路とを備える指紋検知デバイスに関する。指紋検知デバイスは、アクティブ状態と非アクティブ状態との間で制御可能である。指紋検知デバイスが非アクティブ状態であるとき、指検出回路は、指紋検知デバイスの検知面にもはや指候補が触れていないときを示すための指欠測信号を提供するように構成される。
【0042】
本発明のこれらおよび他の態様は、ここで、本発明の例示的な実施形態を示す添付図面を参照して、より詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の例示的な実施形態にしたがう指紋検知デバイスを含む電子デバイスを概略的に図示する図である。
【
図3】
図1b中の指紋検知デバイスの一部の概略断面図である。
【
図4】本発明の実施形態にしたがう方法を概略的に図示する図である。
【
図5】センサ面上の指候補の存在を示す信号の第1の例を概略的に示す図である。
【
図6】センサ面上の指候補の存在を示す信号の第2の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本詳細な説明では、本発明にしたがう電子デバイスの様々な実施形態は、主に、背面カバーの開口を通してアクセス可能な細長い指紋センサを備えるモバイルフォンを参照して議論される。
【0045】
これは決して本発明の範囲を限定せず、たとえば、ラップトップコンピュータなどの他のタイプの電子デバイスを等しく十分に含むことに留意されたい。さらに、指紋検知デバイスは、細長い必要はなく、実質的に正方形であってよい。さらに、指紋検知デバイスは、モバイルフォンの前面もしくは側面上のボタンと一体化される、またはカバーガラスの下に配置されるなど、電子デバイス中の任意の好適な場所に配置することができる。
【0046】
図1aは、本発明にしたがう電子デバイスの例示的な実施形態を、筐体2および筐体2中の開口を通してアクセス可能な一体化された指紋センサ3を有するモバイルフォン1の形で、概略的に図示する。指紋センサ3は、たとえば、モバイルフォン1をアンロックするため、および/またはモバイルフォンを使用して実行されるトランザクションを認証するためなどに使用することができる。
【0047】
図1bは、指紋センサ3および筐体2と指紋センサ3の一体化の拡大図である。
【0048】
図1a中のモバイルフォンの概略ブロック図である
図2を参照すると、モバイルフォン1は、上述の指紋センサ3に加えて、ここでは、制御信号を示す線の矢印およびデータ転送を示すブロック矢印によって概略的に示される、通信回路5、ユーザインターフェース回路6、処理回路7、および指紋センサインターフェース8を備える。
【0049】
図2中に概略的に示されるように、指紋センサ3は、センサアレイ10、ならびに、ここでは指検出構造11a〜11bおよび指検出構造11a〜11bに接続される指検出回路12の形で提供される指検出回路を備える。センサアレイ10は、複数の検知要素13a〜13bを含む(図面が乱雑になるのを避けるために、
図2では、2つの隣接する検知要素だけが参照番号とともに示される)。指紋センサ3は、指検出回路12からの指検出信号および/または指欠測信号を外部に提供するため、指検出出力14をさらに備える。
図2には示されないが、指紋検知デバイス3は、検知要素からの検知信号を変換するための読出し回路を追加で備え、センサ面に触れている指紋(または別の物体の表面構造)の表現を提供する。例示的な読出し回路は、
図3を参照して、下でさらに説明されることになる。
【0050】
上述の通信回路5は、たとえば、無線通信のための様々なアンテナおよび制御ユニットのうちの1つまたはいくつかを備えてよく、上述のユーザインターフェース回路6は、たとえば、ディスプレイ、マイクロフォン、スピーカ、および振動ユニットのうちの1つまたはいくつかを備えてよい。
【0051】
図3は、線A〜A’に沿った、センサアレイ5および指検出構造11a〜11bをカバーする保護誘電体最上層16の上部に指15が置かれている、
図1b中の指紋検知デバイス3の一部の概略断面図である。
図3を参照すると、指紋検知デバイス3は、導電性指駆動構造(
図3では図示せず)を介して指に電気的に接続される励起信号提供回路19、複数の検知要素13a〜13b、ならびに指検出構造11bおよび指検出構造11bに接続される指検出回路12を備える指検出配置構成を備える。
【0052】
図3に概略的に示されるように、各々の検知要素13a〜13bは、ここでは保護誘電体最上層16の下の金属板17a〜17bの形での導電性検知構造、電荷増幅器18a〜18b、および、それぞれの検知要素13a〜13bの選択/アクティブ化を可能にするための単純な選択スイッチ21a〜21bとして、ここでは機能的に図示される選択回路を備える。
【0053】
電荷増幅器18a〜18bは、検知構造17a〜17bに接続される第1の入力(ネガティブ入力)25a〜25b、センサグランドまたは別の基準電位に接続される第2の入力(ポジティブ入力)26a〜26b、および出力27a〜27bを有する演算増幅器(OPアンプ)24a〜24bとして、ここでは概略的に図示される、少なくとも1つの増幅器段を備える。加えて、電荷増幅器18a〜18bは、第1の入力25a〜25bと出力27a〜27bとの間に接続されるフィードバックキャパシタ29a〜29b、および、ここでは、フィードバックキャパシタ29a〜29bの制御可能な放電を可能にするためのスイッチ30a〜30bとして、ここでは機能的に図示されるリセット回路を備える。電荷増幅器18a〜18bは、フィードバックキャパシタ29a〜29bを放電するようにリセット回路30a〜30bを動作させることによって、リセットすることができる。
【0054】
OPアンプ24a〜24bが負帰還構成である場合によくあるように、第1の入力25a〜25bの電圧は、第2の入力26a〜26bの電圧を追従する。特定の増幅器構成に応じて、第1の入力25a〜25bの電位は、第2の入力26a〜26bの電位と実質的に同じであってよく、または、第1の入力25a〜25bの電位と第2の入力26a〜26bの電位との間に実質的に固定のオフセットがあってよい。
図3の構成では、電荷増幅器の第1の入力25a〜25bは、仮想接地される。
【0055】
励起信号提供回路19によって時間変動する電位が指15に提供されると、検知構造17a〜17bと指15との間に、対応する時間変動する電位差が生じる。
【0056】
上記の、指15と検知構造17a〜17bとの間の電位差の変化は、電荷増幅器18a〜18bの出力27a〜27b上の検知電圧信号Vsをもたらす。
【0057】
示された検知要素13a〜13bが検知するために選択されると、選択スイッチ21a〜21bが閉じられて、検知信号を読出し線33に提供する。読出し線33は、
図2中のセンサアレイ5の行または列についての共通の読出し線であってよいが、
図3では、マルチプレクサ36に接続されて示される。
図3に概略的に図示されるように、センサアレイ5の他の行/列からの追加の読出し線を、マルチプレクサ36にやはり接続することができる。
【0058】
マルチプレクサ36の出力は、検知要素13a〜13bから発信したアナログ信号をセンサ2上の指15の指紋パターンのデジタル表現へとサンプリングおよび変換するため、サンプルホールド回路37とアナログデジタル変換コンバータ38に直列に接続される。
【0059】
図3に概略的に示されるように、指検出回路12は、ここで、金属板の形での専用指検出構造11b、電荷増幅器40、および検出信号処理回路41を備える。電荷増幅器40は、電荷増幅器18a〜18bと原理的に同様であるが、上に記載した検知要素13a〜13b中に備えられる。したがって、電荷増幅器40は、指検出構造11bに接続される第1の入力(ネガティブ入力)45、センサグランドまたは別の基準電位に接続される第2の入力(ポジティブ入力)46、および出力47を有する演算増幅器(OPアンプ)44として、ここでは概略的に図示される、少なくとも1つの増幅段を備える。加えて、電荷増幅器40は、第1の入力45と出力47との間に接続されるフィードバックキャパシタ49、および、フィードバックキャパシタ49の制御可能な放電を可能にするためのスイッチ50としてここでは機能的に図示されるリセット回路を備える。電荷増幅器は、フィードバックキャパシタ49を放電するようにリセット回路50を動作させることによって、リセットすることができる。
図3にやはり示されるように、電荷増幅器の出力は、指15と指検出構造11bとの間の容量性結合を示す、(電圧の形での)指検出信号S
dである。
【0060】
図3には、指15は、指とセンサアレイ5の検知板17a〜17bとの間に所望の電位差を提供するための励起回路19および指検出構造4aに接続されるように示される。この所望の電位差は、指検知デバイス3が含まれる電子デバイス(モバイルフォン1など)のグランドレベルに対して、指紋検知デバイスのグランドレベルを変えることによって、代替的に提供できることに留意されたい。
【0061】
本発明にしたがう方法の例示的な実施形態は、ここで、
図2および
図3の図とともに、
図4の概略図を参照して説明されることになる。
【0062】
図5では、電子デバイス1の異なる例示的な機能状態が示される。異なる機能状態では、電子デバイス1は、(指紋取得および認証に関係するプロセスおよびデバイスのために)異なる量の電流を消費する。これは、異なる機能状態を表すボックスを異なる位置に配置することによって、
図4に概略的に示される。この特定の例では、電子デバイス(モバイルフォン1など)のディスプレイは現在アクティブでなく、上で言及されたように、バックグラウンドで行われる通信、GPS関連のプロセスなど、他のプロセスからもたらされる電流消費は無視されるということが仮定されている。
【0063】
下の点線55の下では、指紋検知デバイス3は、指紋検知デバイスの非アクティブ状態であり、電子デバイス1の処理回路7は、何ら指紋関連のプロセスを実施していない。下の点線55と上の点線56との間では、指紋検知デバイス3は、指紋検知デバイスのアクティブ状態であり、処理回路7は、指紋関連のプロセスを実施する。上の点線56の上では、処理回路7は、(ディスプレイなどの)ユーザインターフェース回路6をさらにアクティブ化している。
【0064】
モバイルフォン1が最初に非アクティブ化されて、ユーザのポケットまたはハンドバッグの中にあると仮定すると、ディスプレイおよび指紋センサ3は非アクティブであると仮定される。モバイルフォン1は、次いで、「指検出」状態100になることになる。この状態では、指紋センサ3は、指紋センサ3の非アクティブ状態であり、この特定の例では、指候補が指紋センサ3の検知面に触れているかを検出するために、指検出回路だけが周期的にアクティブである。
【0065】
指候補がセンサ面に触れていると指検出回路12が決定すると、指検出回路は、指紋センサ3の指検出出力14上に割込出力として指検出信号を提供する。指検出信号は、モバイルフォン1を「画像キャプチャ」状態101へと移行させる。この状態では、モバイルフォン1の処理回路7(の指紋処理部)がアクティブ化される。処理回路7は、今度は、指紋センサ3を指紋センサ3の非アクティブ状態から指紋センサ3のアクティブ状態へと制御し、指紋センサ3を制御して、センサ3に触れている指候補の第1の候補表現(完全な、または部分的なデジタル画像など)を取得する。あるいは、指紋センサ3は、指検出に応答して、上述の第1の候補表現を提供するコマンドを受け取る準備を整えるため、指紋センサ3自体を起動することができる。
【0066】
第1の候補表現が取得されたら、モバイルフォン1は、「画像認定」状態102に移行し、ここで、第1の候補表現が指紋パターンの表現の可能性があるかを処理回路7が決定する。これを行う様々な方法がある。たとえば、妥当な隆起間距離を有する隆起が存在すれば、第1の候補表現が、指紋パターンの表現の可能性があると認定するのに十分とすることができる。コインまたは指先以外のユーザの肌の別の部分など、指以外の何かによって「指検出」信号がトリガされる場合、予期される隆起間距離を有する隆起がなく、第1の候補表現は認定されないことになる。
【0067】
第1の候補表現が指紋から生じた可能性はないと考えられる場合をまず考慮すると、モバイルフォン1は、「指欠測」状態103に移行する。このことは、「画像認定」状態102から「指欠測」状態103への線上に「認定されない」というラベルによって示される。
【0068】
「指欠測」状態103では、指紋センサ3は、指紋センサ3の非アクティブ状態であり、指検出回路12は、指候補が指紋センサ3の検知面に触れているかを検出し、指候補が検知面にもはや触れていないときは指欠測信号を提供するように(少なくとも断続的に)アクティブである。
【0069】
指欠測信号が指検出回路12によって提供されると、電子デバイス1は、「指欠測」状態103から移行する。
【0070】
一実施形態によれば、
図4に実線で示されるが、電子デバイス1は、「スリープ&待機」状態104に移行し、ここで、処理回路7は、指紋センサ3を指紋センサ3のアクティブ状態へと一時的に制御し、新しい指候補の接触を信号伝達するように指紋センサ3(指検出回路12)を構成して、指紋センサ3を指紋センサ3の非アクティブ状態へと戻して移行する。これによって、電子デバイス1は、上記の「指検出」状態100に戻った。
【0071】
別の実施形態によれば、
図4の点線によって示されるが、電子デバイス1は、指欠測信号が提供されると、上記の「指検出」状態100へと直接移行する。
【0072】
さらに上の、「画像認定」状態102の説明に戻ると、取得した第1の候補表現(画像)が指の可能性があると認定することができると見いだすと、電子デバイス1が、「認証」状態105に移行する結果となる。「認証」状態105では、候補の指の登録表現がメモリから取り出され、候補の指の認証表現が候補表現に基づいて形成される。認証表現は、登録表現と比較され、認証結果に到達する。認証表現を形成すること、および認証表現を記憶した登録表現と比較することについての様々な手順は、当業者にはよく知られている。
【0073】
図4で「失敗」と示される認証失敗の場合では、電子デバイス1は、上記のように、「指欠測」状態103に移行する。
【0074】
図4で「成功」と示される認証成功の場合には、電子デバイス1は、「作動」状態106に移行し、ここでは、ディスプレイ(または他のユーザインターフェース回路)がアクティブ化され、認証結果をユーザに通信し、認証成功で必要なタスクを実行する。
【0075】
連続する、何回かの失敗した認証試行の場合には、電子デバイスは、「代替認証」状態107に移行する場合があり、ここでは、ディスプレイ(または他のユーザインターフェース回路)がアクティブ化され、認証結果をユーザに通信し、ユーザに、PINコードを入力することなど代替手段を使用して認証するように要求する。
【0076】
この方法の実施形態を通して、指紋センサ3および電子デバイス1の他の部分は、より長い期間の間、低電力モードを保つことができ、経時的に電子デバイスがより低いエネルギー消費となる結果となる。たとえば、さらに上で説明したように、指紋センサ3は、非認定候補表現または認証失敗などの場合に、指紋センサ3の非アクティブ状態へと直接移行することができ、指候補が指紋センサ3の検知面から取り除かれるまで、非アクティブ状態にとどまることを可能にすることができる。
【0077】
指検出信号および指欠測信号は、具体的な適用例の要件に依存して様々な異なる方法で提供することができる。指候補の存在の実際の検出は、純粋にアナログで、またはデジタル信号に基づいてのいずれかであってよい。さらに、指候補の存在の検出は、有利に断続的であってよく、指検出信号および指欠測信号の決定は、検出の信頼性を高めるために、いくつかの連続した検出事象に基づいてよい。
【0078】
以下では、指検出回路12による指検出信号および指欠測信号の決定の2つの例が、
図5および
図6を参照して説明されることになる。これらの例では、指検出は、指15と検出構造11a、11bとの間の容量性結合を示す検出信号S
dに直接基づく(
図2および
図3を参照)。
【0079】
図5および
図6の各々で、指検出信号S
dは、指検出構造11a、11bと指15(または他の物体)との間の閾値の容量性結合を示す閾値の値THに関して、経時的に変わるように示される。
図5および
図6の各々で、指検出信号S
dのより高い値は、より強い容量性結合を示す。これは単に説明のための例であり、指検出信号と上述の容量性結合との間に別の関係があってよいことに留意されたい。たとえば、指検出回路12の構成に依存して、指検出信号S
dのより低い値が、より弱い容量性結合を示してよい。
【0080】
最初に
図5を参照して、指検出信号処理回路41(
図3)が、
図5における数(0〜4)によって概略的に示される時間に、指検出信号S
dをサンプリングする。これらの数は、指検出信号および指欠測信号でより高い信頼性を達成するために使用されるフィルタ関数を示す。指検出信号(
図5において、「指検出」とラベル付けされる上側割込(IRQ)信号)について、指検出信号S
dが検出閾値THより上のときの連続したサンプルがカウントされる。指検出信号S
dが4回の連続した検出事象について検出閾値THより上のとき、指検出信号は、「ロー」から「ハイ」となり、指候補が指紋センサ3の検知面に触れていることを示す。
【0081】
同様に、指欠測信号(
図5において、「指欠測」とラベル付けされる下側割込(IRQ)信号)について、指検出信号S
dが検出閾値THより下のとき(電子デバイス1が「指欠測」状態であるとき)の連続したサンプルがカウントされる。指検出信号S
dが4回の連続した検出事象について検出閾値THより下のとき、指欠測信号は、「ロー」から「ハイ」となり、指候補が指紋センサ3の検知面にもはや触れていないことを示す。
【0082】
指検出信号および指欠測信号を提供する別の方法が、
図6に概略的に図示されており、ここでは、「指存在」信号が、指検出および指欠測の両方を示す。検出信号S
dが検出閾値THより上のとき、指存在信号はハイとなり、検出信号S
dが検出閾値THより下となるまで、ハイのままである。
【0083】
当業者なら、本発明が上で説明した好ましい実施形態に決して限定されないことを理解する。逆に、添付の特許請求の範囲内で、多くの修正形態および変形形態が可能である。
【0084】
特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という言葉は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数形を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲で言及されるいくつかの項目の機能を満足することができる。ある処置が相互に異なる従属請求項で言及されるという単なる事実は、これらの処置の組合せを有利に使用できないことを示していない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に供給される、または他のハードウェアの一部として供給される光学式記憶媒体または固体媒体などの好適な媒体上に記憶/分配することができるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線遠隔通信システムを介してなどの他の形で分配することもできる。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと考えるべきではない。