(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状の側壁、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は、前記筒状の本体の長さに渡って前記第1の端部から離間され、前記筒状の側壁は、少なくとも部分的にこれを貫通する流体流路を形成し、前記本体は、前記第1の端部に少なくとも近接した入口と前記筒状の側壁の出口とを有し、前記入口は、前記本体内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記出口の少なくとも一部が、前記入口の少なくとも一部に対して前記第2の端部の方に向かって間隔を空けて配置され、前記出口は、前記本体の内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記筒状の側壁は、前記第1の端部に前記入口を形成する、前記本体と、
前記本体の前記筒状の側壁に物理的に結合され、前記筒状の側壁の少なくとも一部の周囲に少なくとも部分的に巻回された加熱素子と、
前記加熱素子を制御するために電気的に結合され、前記本体の前記筒状の側壁に物理的かつ熱伝導可能に結合されたスイッチと、
を有するヒータと、
前記ヒータの少なくとも一部を受容するサイズと寸法のハウジングと
を有する熱浸漬サーキュレータ。
前記筒状の側壁は中心軸を有し、前記入口は前記中心軸の周りで径方向に配置され、前記出口は、前記筒状の側壁の前記中心軸と平行に、前記中心軸から径方向に間隔を空けて配置されている、請求項1に記載の熱浸漬サーキュレータ。
前記筒状の側壁は上部と下部とを有し、前記上部は平坦な表面を有し、前記平坦な表面の上に前記スイッチが物理的かつ熱伝導可能に取り付けられる、請求項3に記載の熱浸漬サーキュレータ。
前記筒状の側壁は中心軸を有し、前記入口は前記中心軸の周りで径方向に配置され、前記出口は、前記筒状の側壁の前記中心軸と平行に、前記中心軸から径方向に間隔を空けて配置されている、請求項19に記載のヒータ。
前記筒状の側壁の前記下部は円筒形であり、周囲を有し、前記加熱素子は、角度的に前記筒状の側壁の周囲の少なくとも3/4の周りに巻回される、請求項23に記載のヒータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、開示される様々な実施形態を完全に理解できるように、ある特定の詳細が記載される。しかし、実施形態はこれらの特定の詳細の1つ又は複数がなくても、又は他の方法、構成部品、材料などで実施され得ることを当業者は理解しよう。他の例では、実施形態の説明を不要にあいまいにすることを避けるため、技術に関する既知の構造は図示又は説明されていない。
【0012】
文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、以下の明細書及びクレーム全体を通して、"comprising(構成する)"という語は"including(含む)"と同義であり、包括的又は制限がない(すなわち追加の列挙されない構成要件又は方法行為を排除するものではない)。
【0013】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」という表現は、実施形態に関連して記載される特定の機構、構造又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所に「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」という語句が出てきても、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の機構、構造又は特徴は、1つ又は複数の実施形態で任意の適宜な態様で組み合わされ得る。
【0014】
本明細書及び添付のクレームで使用される単数形"a"、"an"及び"the"は文脈上明らかに他の意味を指す場合を除き複数の対象を含む。"or"という用語は一般に最も広義に用いられること、すなわち文脈上明らかに他の意味を指す場合を除き"and/or"を意味することにも留意されたい。
【0015】
本明細書に記載の開示の見出し及び要約は単に便宜的なものであり、実施形態の範囲又は意味を限定するものではない。
【0016】
本明細書で使用される「上」及び「下」、「上部」及び「底部」、「垂直」及び「水平」、及び他の類似する用語は、図示される構成部品の相対位置を指すだけであり、図の文脈内で普通の意味を伝えることを意図する。幾つかの実施形態では、これらの用語は、例えば重力が物を第2の位置の上の第1の位置から第2の位置に向かって引っ張るように、現実の文脈内の普通の意味を伝えることができる。しかしながら、これらの用語の単独の使用は、図の文脈内で他の構成部品の上にあると記載される第1の構成部品が必らず現実に他の構成部品の上にあることを伝えることを意図しない。
【0017】
本明細書で用いられる「結合される」、「接続される」及び他の類似の用語は、単独で使用される場合は物理的に結合され、又は物理的に接続されることを意味する。電気的に、又は別の態様で「結合される」、又は「接続される」構成部品はそのように記載される。
【0018】
図1は、容器、器、又はポット12内に配置された熱浸漬サーキュレータ10を示す。ポット12は、水体、又は食品調理用の別の流体を保持することができ、熱浸漬サーキュレータ10は、ポット内の流体を加熱し、温度を保ち、又は循環させ得る。熱浸漬サーキュレータ10は真空調理(スーヴィードクッキング/sous vide cooking)に使用可能である。熱浸漬サーキュレータ10は、(
図22に示されるように)熱浸漬サーキュレータの底端部上のポット内に直立するように配置可能であり、又はポット12のサイズ、ポット12内の流体の深さなどに基づいて所望の通りに、ポット12の縁又は側面にクリップ留め、固締、又は他の方法で取り付け可能である。熱浸漬サーキュレータ10は、内部の回路を保護する防水ハウジング16を含み得るため、熱浸漬サーキュレータ10を水中に安全に浸漬させ得る。ハウジング16は、不透明であり得る。
【0019】
図2は熱浸漬サーキュレータ10を示し、ハウジング16は熱浸漬サーキュレータ10内部の様々な構成部品が分かるように透明に示されている。熱浸漬サーキュレータ10は、例えばポット12内に熱浸漬サーキュレータ10を立て得るように、平坦な底面を有する下部入口アセンブリ14を含み得る。幾つかの実装形態では、平坦な底面は、ポット12内の熱浸漬サーキュレー10の位置を保つように(例えば
図21に示され、以下に更に記載される磁石308と類似する)磁石を含み得る。下部入口アセンブリ14は、それを通って流体が熱浸漬サーキュレータ10の内部に引き込まれることができ、又は流体が内部から放出され得る周囲の径方向開口部を有し得る。
【0020】
熱浸漬サーキュレータ10は、以下により詳細に記載されるヒータ100をも含み得る。ヒータ100を通る内部導管又は通路が、入口アセンブリ14の周囲開口部と流体連通するように、ヒータ100の底端部は下部入口アセンブリ14に結合可能である。ハウジング16は、ハウジング16の側壁に形成された開口部18を含むことができ、これを通って流体が熱浸漬サーキュレータ10の内部に引き込まれることができ、又は流体が内部から放出され得る。以下により詳細に記載されるように、ヒータ100を通る内部導管が、例えばヒータ100の側部の開口部又はスロット、及びスペーサ178を通る通路を経て開口部18と流体連通するように、ヒータ100の側面は開口部に結合可能である。代替実施形態では、ヒータ100を通る内部導管が、例えばヒータ100の上部を通って開口部18と流体連通するように、ヒータ100の上部は開口部18に結合可能である。
【0021】
熱浸漬サーキュレータ10は、熱浸漬サーキュレータ10を別個の熱領域又はチャンバに分離し得る上部及び下部熱分離障壁20を含み得る。例えば、下部熱分離障壁20は、電子モジュールハウジング26内に取り付けられた高温トランスフォーマ22及びPCBA(プリント回路基板アセンブリ)24などの下部熱分離障壁20の上に配置された熱浸漬サーキュレータ10の他の電気部品からヒータ100を分離し得る。熱浸漬サーキュレータ10は、ハウジング16の上端部を覆う上部キャップをも含み得る。熱浸漬サーキュレータ10は、例えば熱浸漬サーキュレータ10をポット12の側部にクリップ留めし、電源コード32が浸されないように、熱浸漬サーキュレータ10をポット12の側部に取り付けるための取り外し可能なクリップ30をも含み得る。電源コード32は、熱浸漬サーキュレータ10を電力系統からの電力を引き出すように標準型の壁コンセントに差し込むために使用され得る。熱浸漬サーキュレータ10を、例えば様々な曲率半径を有するポット側面などの様々なサイズと形状を有するポットにクリップ留めするために取り外し可能なクリップ30が使用され得る。
【0022】
図3は、熱浸漬サーキュレータ10を断面図で示す。熱分離障壁20は、熱浸漬サーキュレータ10を別個の3つの熱ゾーン、すなわち70℃又は約70℃で動作可能な第1の、上部PCBAゾーン34、100℃又は約100℃で動作可能な第2の、下部PCBAゾーン36、及び100℃又は約100℃で動作可能な第3の、モータゾーン38に分割する。下部入口アセンブリ14は、例えばヒータ100の清掃を容易にするために熱浸漬サーキュレータ10の残りの部分から取り外し可能である。同様に、上部キャップアセンブリ28は、熱浸漬サーキュレータ10の内部に収容された電気部品にアクセスし、修理し易くするために、熱浸漬サーキュレータ10の残りの部分から取り外し可能である。
【0023】
図4は、熱浸漬サーキュレータ10を破断図で示し、熱浸漬サーキュレータ10の組み立て方法を説明している。例えば、熱浸漬サーキュレータ10の組み立て方法は、必ずしもそうとは限らないが、おそらく以下の順序を含み得る。すなわち、ヒータ100をハウジング16に挿入し、次いでカップリングナット40を使用してヒータ100をハウジング16内に固定し、次いで電子モジュールハウジング26を含む電子モジュールをハウジン16内に挿入し、次いでハウジング16を通して電源コード32を電子モジュールに結合し、次いで上部キャップアセンブリ28をハウジング16に接続し、固定し、次いで下部入口アセンブリ14をハウジング、及びカップリングナットに取り付け、次いでクリップ30をハウジング16に取り付ける。
【0024】
図5は、熱浸漬サーキュレータ10などの熱浸漬サーキュレータで使用可能なヒータ100を示す。ヒータ100は、本体102の底端部に結合された筒状の側壁形状及び環状の断面形状、径方向フランジ、脚部又はリッジ104を有する中空の、実質的に円筒形の本体102と、本体102の上端部に結合された隔壁、又は障壁、又は仕切り106とを含む。代替実施形態では、本体102は、おおむね円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、又は他の適宜な断面形状を有し得る。本体102、フランジ104、及び隔壁106は、単一又は一体の材料片から形成されることができ、又は既知の様々な技術のいずれかによって互いに結合された別個の材料片から形成され得る。他の実施形態では、ヒータ100はフランジ104を設けずに形成されてもよい。
【0025】
本体102、フランジ104、及び隔壁106は、任意の適宜な金属(例えば研磨されたステンレス鋼、銅、又はアルミニウム)、プラスチック(例えば熱硬化性樹脂)、セラミック、磁器などの様々な適宜な材料のいずれかから形成されてもよく、また、これらの構成部品は同じ材料(1つ又は複数)から形成されてもよく、又は互いに異なる材料から形成されてもよい。本体102、フランジ104、及び隔壁106は、非粘着性材料でコーティングされてもよい。材料は導電性でも非導電性でもよく、熱伝導性でも非熱伝導性でもよく、意図されるヒータ100の動作範囲にわたる強靭さと構造とをヒータ100に提供するのに十分な強度と温度許容差とを有する。ステンレス鋼などの金属材料を使用するとヒータ100の表面は極めて平滑になり、ヒータ100の清掃が容易かつ迅速になる。
【0026】
本体102は、各々が円形断面を有する内表面130と外表面132(
図10を参照)とを有する中空の円筒形底部108を含む。本体102は、実質的に円筒形であり、第1の、平坦な左側壁112と、第2の、平坦な右側壁114とを有する上部110をも含む。左側壁112は、左側壁112が右側壁114と平行になるように、本体102の上部110をまたいで右側壁114の反対側に位置している。上部110は中空であり、各々が左側壁112及び右側壁114によって切り詰められた円形の断面形状を有する内表面134と外表面136(
図9を参照)とを有する。
【0027】
(
図5では1つだけが見える)植え込みボルト116などの一対の突起は、本体の上部110に結合され、及び/又はそこから延びていてもよい。例えば、第1の植え込みボルト116は、左側壁112から、これと垂直に径方向に延びていてもよく、第2の植え込みボルト116は、右側壁114から、これと垂直に径方向に延びていてもよい。植え込みボルト116は外表面にねじ山を有する中実の円筒形突起を含んでいてもよい。更に、本体102の底部108の外表面132、及び上部110の外表面136を含む本体102の外表面にフレキシブル回路基板122が結合されている。フレキシブル回路基板122は、以下により詳細に記載するように、薄膜フレキシブル回路基板122であるが、他の実装形態は薄膜フレキシブル回路基板、薄膜抵抗ヒータ、厚膜抵抗ヒータ、ワイヤラップヒータ、可撓性ポリアミド、又は代わりに他の類似する技術を使用してもよい。
【0028】
径方向フランジ104は環状の形状を有し、フランジ104の外径は本体102の外径よりも大きい。幾つかの実装形態では、フランジ104が本体102の底端部に結合可能で、本体102の内部(
図9〜10を参照)がフランジ104の内表面と面一に留まるようにするために、フランジ104の内径は本体102の内径と一致してもよい。他の実装形態では、フランジ104がその底端部で本体102の底部108の外表面132に結合可能であるように、フランジ104の内径は本体102の外径と一致してもよい。フランジ104は、例えば平坦で円形の材料片に円形開口部を切り込むことによって、単一の平坦な材料板から形成されてもよい。それによって、フランジ104は垂直面に沿って長方形の断面形状を有し得る。フランジ104は、ヒータ100と、ヒータ100がその一部である熱浸漬サーキュレータの熱の構成部品との間にシールの一部を形成可能である。幾つかの実装形態では、本体102と径方向フランジ104とは、例えば単回の成形工程、単回の金属射出成形工程で一体形成されてもよい。
【0029】
隔壁106は、本体102の上部110の切頭円の形状と一致する切頭円の形状を有する。幾つかの実施形態では、隔壁106の外表面又は周面の形状は、隔壁106が本体102の上部110の上端部に結合可能であるように、本体102の上部110の外表面136の形状と一致してもよい。他の実施形態では、隔壁106の外表面又は周面の形状は、隔壁106がその上端部で、本体102の上部110の内表面134に結合可能であるように、本体102の上部110の内表面134の形状と一致してもよい。幾つかの実装形態では、本体102と隔壁106とは、例えば単回の成形工程、単回の金属射出成形工程で一体形成されてもよい。他の実施形態では、隔壁106は、モータのハウジングの底部などの、熱浸漬サーキュレータ10のモータの構成部品であってもよい。
【0030】
隔壁106は、これを貫いて延在する3つの穴、例えば隔壁106の中心に位置する相対的に大きい1つの穴118と、隔壁106の中心から外れて位置する相対的に小さい2つの穴120とを含み得る。隔壁106は、ヒータ100の中空の内部128をヒータ100の上のヒータ100の外部から分離し得る。中心穴118の周面は平滑でよく、中心穴118は、以下により詳細に記載されるように、ロータ又は駆動軸190(
図3を参照)が、外部から隔壁106を通ってヒータ100の内部128に入ることができるように構成され得る。このような駆動軸190は、中心穴118内に取り付け可能なブッシング、又はころ軸受などの軸受内に取り付け可能である。
【0031】
中心外れの穴120は、以下により詳細に記載されるように、例えばモータをヒータ100の上部に結合するために、ねじ192(
図3を参照)、又は他の固締具(例えばボルト、くぎなど)が外部から隔壁106を通ってヒータ100の内部128に入ることができるように構成され得る。例えば、穴120に周面はねじ切りされてもよく、又は隔壁106の底面(
図5には示されていない)は、ヒータ100の上に載置されるモータに隔壁106を通してねじこまれるねじ192の頭部を受けるように各々の穴120を囲むカウンタシンクを有していてもよい。穴118及び120は、穴118及び120の各々の中心を通って延びる線が、左側壁112と右側壁114とに平行になるように配置されてもよい。モータが接着剤を用いてヒータ100の上部に結合されるような幾つかの実装形態では、穴120は使用されず、隔壁106はこれを貫く単一の穴118を有していてもよい。
【0032】
図6、7及び8は、それぞれヒータ100の背面図、左側面図、及び正面図である。
図6は、本体102の底部108と、本体102の上部110の左側面112及び右側壁114との間の移行部124が湾曲していることを示す。
図7は、植え込みボルト116が左側壁112及び右側壁114の、側壁112又は114の下半部にある位置、又は側壁112又は114の前半部にある位置から延びることを示す。
図8は、長楕円形の穴、又はスロット126が、本体102の筒状の側壁の前部を通って、すなわち円筒形の本体102の筒状の湾曲前部を通って延在することを示す。
【0033】
スロット126は、スロット126が左側壁112及び右側壁114から等間隔で離間されるように、また穴118、穴120、及びスロット126の中心が左側壁112及び右側壁114からと平行な単一の面上に位置するように配置されるように本体102の前部に配置される。本体102は、当該単一の面に対して対称である。スロット126は相対的に長い垂直軸と、相対的に短い水平軸とを有し、従って垂直スロット126と呼ばれ得る。代替実施形態では、スロット126は相対的に長い水平軸と、相対的に短い垂直軸とを有し、従って水平又は放射状スロット126と呼ばれ得る。垂直スロット126は、本体102の上部110の一部にわたり、本体102の底部108の一部にわたる。垂直スロット126は、本体102の一部110の底部108と側壁112、114間の湾曲移行部124の上下に延在する。垂直スロット126は、本体102の底端部よりも本体102の上端部に近い位置に配置される。
【0034】
垂直スロット126の上端部は、隔壁106の底面、又は本体102の内部128の上面と同一平面にあってもよく、又はその上に延びていてもよい。したがって、本体102の内部128に入り、又はそこで形成される気泡は本体102の内部128から、またサーキュレータ10から流出可能であり、それによって本体102の内部128に蓄積する空気又は他の気体の悪影響を軽減する。幾つかの実装形態では、隔壁106の底面は、内部128に流入し、又はそこで形成される気泡が自然に垂直スロット126へと流れ、サーキュレータ10から流出するように、垂直スロット126の方向に上方に傾斜されてもよい。幾つかの実装形態では、隔壁の底面は、内部128に流入し、又はそこで形成される気泡が螺旋に沿って垂直スロット126の方向に自然に流れ、サーキュレータ10から流出するように螺旋形状(コルク抜き形状)を有していてもよい。
【0035】
ヒータ100の使用時には、本体102の底部の開口部はヒータ100の入口であってよく、スロット126はヒータ100の出口であってよく、また内部は入口及び出口と流体連通する導管、通路、又は水路であってよい。以下により詳細に記載するように、薄膜フレキシブル回路基板122は入口と出口間で本体102の外表面に巻回されてもよく、ひいては入口を出口に流体結合する導管に巻回されてもよい。入口と出口とはフレキシブル回路基板122によって分離され、フレキシブル回路基板122は入口と出口間を通る流体を加熱する位置に配置可能である。ヒータ100を通る流体流路は、フレキシブル回路基板122を通って導管を通って出口へと延び得る。フレキシブル回路基板122は、0、5mm、1.0mm、1.5mm、2mm、2,5mm、0.1mm〜5mm、又は0.5mm〜2.5mmであってよい、本体102の筒状側壁の厚さに対応する距離だけ本体102の内部128を通過する流体から分離可能である。
【0036】
図9及び10は、
図6のA−A線とB−B線のそれぞれに沿ったヒータ100の断面図を示す。
図11は、フレキシブル回路基板122をより詳細に示す。
図11に示されるように、フレキシブル回路基板122は、複数の薄膜層を含む可撓性の薄膜フレキシブル回路基板122であってよい。例えば、フレキシブル回路基板122は、ヒータ100の本体102を電気絶縁可能な前記絶縁材料層138をフレキシブル回路基板122及びこれに結合された任意の制御電子回路の導電性構成部品(例えばトレース又は抵抗性バンド)から電気的に絶縁可能な電気絶縁材料の絶縁ベース層を含み、本体102をフレキシブル回路基板122の動作を妨げない任意の適宜な導電性又は電気絶縁性材料から製造可能である。
【0037】
フレキシブル回路基板122はまた、ベース層138の底端部に位置する第1の加熱素子144を共に形成する複数の(図示した実施形態では3つの)第1の抵抗性バンド140、及びベース層138上の第1の加熱素子144の上に位置する第2の加熱素子146を共に形成する複数の(図示した実施形態では3つの)第2の抵抗性バンド142をも含む。第1及び第2の抵抗性バンド140と142は各々、ベース層138上に任意の適宜な抵抗性材料から形成される薄膜バンドを含み得る。例えば、第1及び第2の抵抗性バンド140と142とは、商標名Kanthal(登録商標)で販売されている市販のFeCrAl合金などのFeCrAl合金を含み得る。例えば、抵抗体ペーストがベース層138上に敷設されてもよく、ペーストの幅と厚さは、各々の抵抗性バンド140、142に明確に定められた抵抗を提供するように入念に制御され得る。第1及び第2の抵抗性バンド140及び142は、ベース層138に渡って互いに実質的に平行に延びていてもよい。
【0038】
フレキシブル回路基板122は、電気絶縁ベース層138上に形成された複数の導電性通路をも含む。例えば、フレキシブル回路基板122は、各抵抗性バンド140及び142の第1端部を互いに、またニュートラル端子150に電気的に結合するニュートラル通路148を含む。フレキシブル回路基板122は、各々の第1の抵抗性バンド140の第2の端部を互いに、またベース層138の上部の近傍に位置する第1の電源切換端子154に電気的に結合する第1の電源切換線152をも含む。フレキシブル回路基板122は、各々の第2の抵抗性バンド142の第2の端部を互いに、またベース層138の上部の近傍に位置する第2の電源切換端子158に電気的に結合する第2の電源切換線156をも含む。
【0039】
フレキシブル回路基板122は、第1の電源切り換え端子154に近接するが、これから電気的に分離された第1の能動端子162から第2の電源切り換え端子158に近接するが、これから電気的に分離された第2の能動端子164へと延びる導電性能動通路160をも含む。能動通路160、ひいては能動端子162、164は、120V又は220V AC電源によって給電され、又は駆動されることができ、ニュートラル通路148及び端子150がそのための戻り経路148及び戻り端子150としての役割を果たし得る。フレキシブル回路基板122は、第1の能動端子162に近接するが、これから電気的に分離された第1のゲート166と、第2の能動端子164に近接するが、これから電気的に分離された第2のゲート168をも含む。本明細書で記載される端子は、他の電気部品をフレキシブル回路基板122にはんだ付け接続可能であるようにはんだ付け可能である。
【0040】
第1の電源切り換え端子154は第1の能動端子162の上方に位置し、第1の能動端子162はベース層138上の第1のゲート166の上方に位置する。第2の電源切り換え端子158は第2の能動端子164の下方に位置し、第2の能動端子164はベース層138上の第2のゲート168の下方に位置する。対応する第1の構成部品と第2の構成部品との順序が逆であることで、以下により詳細に記載されるように、例えばTRIAC、サイリスタ、パワーMOSFET、IGBTなどの能動電源スイッチの制御などの制御電子部品の接続を容易にする。フレキシブル回路基板122は、電気部品を浸水又は他の汚染の可能性から防護するためにフレキシブル回路基板122の残りの電気部品を覆う上部防護層をも含む。
【0041】
図12及び13はそれぞれ、フレキシブル回路基板122が結合されたヒータ100の背面図と左側面図である。
図12及び13に示さるように、フレキシブル回路基板122は、フレキシブル回路基板122の第1の端部がフレキシブル回路基板121の第2の端部に近接し、抵抗性バンド140、142の第1の端部がそれぞれの抵抗性バンド140、142の第2の端部に極めて近接するように、ヒータ100の本体102に巻回され得る。すなわち、フレキシブル回路基板122は、本体102の全体を、又は実質的に全体を巻回することができる。フレキシブル回路基板122は、1/4インチ〜4インチ、又は1/2インチ〜2インチの曲率半径、又は1インチ〜1+1/2インチの曲率半径などの非ゼロの曲率半径を有し得る。
【0042】
第1及び第2の抵抗性バンド140,142、ひいては第1及び第2の加熱素子144、146は、本体102の底部108に配置可能であり、各端子154、158、162、164,166及び168は、例えば本体102の上部110の湾曲後面などの本体102の上部に配置可能である。第1の電源切り換え端子、第1の能動端子162、及び第1のゲートは左側壁112に近接して配置され、第2のゲート168は、右側壁114に近接して配置される。ニュートラル端子150は、本体102の後面とは反対の本体102の上部110の湾曲前面などの、本体102の上部110に配置可能である。
【0043】
図14は、追加の構成部品が結合された
図5のヒータの別の斜視図を示す。例えば、
図14は、右側壁114から径方向に、かつこれと垂直に延びる第2の植込みボルト116に結合され、又はこれに取り付けられている。図示した実施形態ではTRIAC170が使用されているが、代替実施形態では、上述のような任意の適宜なスイッチが使用されてもよい。右側壁114による本体102の上部110の円形の断面形状の切り詰めは、比較的平坦な表面をもたらし、この面に対してTRIAC170を第2の植込みボルト116上に取り付け可能である。TRIAC170が第2の抵抗性バンド142の、ひいては第2の加熱素子146の動作を制御できるように、TRIAC170のリード線172は、第2の電源切り換え端子158、第2の能動端子164、及び第2のゲート168に結合可能である。TRIAC170をヒータ100の右側壁114及び本体102に固定するように、TRIAC170の上の植込みボルト116にナット174を螺合可能である。
【0044】
図14には示されていないが、第2のTRIACも同様に、左側壁112に対して第1の植込みボルト116に結合又は取り付け可能であり、第2のTRIACを所定位置に固定するため、第2のナットが第1の植込みボルト116に結合し得る。第2のTRIACが第1の抵抗性バンド140の、ひいては第1の加熱素子144の動作を制御できるように、第2のTRIACのリード線は、第1の電源切り換え端子154、第1の能動端子162、及び第1のゲート166に結合可能である。代替実施形態では、TRIAC170は、任意の適宜な機械的固締具(例えばねじ、ボルト、くぎなど)、任意の適宜な接着剤(例えば熱伝導性及び/又は非導電性接着剤、にかわ、エポキシなど)、又ははんだ付けなどによる任意の適宜な方法、及び隔壁106の上部、モーt176の底部、又は隔壁106とモータ176の間などの適宜な位置で本体102に結合可能である。
【0045】
ヒータ100は、各々が3つの抵抗性バンドから成るそれぞれの加熱素子を独立して制御する2つのTRIACを含む。代替実施形態では、ヒータは単一の加熱素子を制御する1つのTRIAC、又は各々がそれぞれの加熱素子を制御する3つ、4つ、5つ、8つ又はそれ以上のTRIACを含んでいてもよい。同様に、代替実施形態では加熱素子は1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、8つ又はそれ以上の抵抗性バンドを含んでいてもよい。このような代替実施形態では、本体102の上部112及び114などの本体102は、TRIACの数と一致する、平坦な壁112及び114と類似する幾つかの平坦な壁を含んでいてもよい。
【0046】
図14は、上述のように穴120を通って延在する第1及び第2の固締具(例えばねじ192)を使用し、かつヒータ100の残りの部分に対してモータ176を安定させることができるモータマウント188によって補助されて、隔壁106の上面などのヒータ100の上部にモータ176を取り付け可能であることも示している。代替実施形態では、任意の適宜な機械的固締具(例えばねじ、ボルト、くぎなど)、又は任意の適宜な接着剤(例えばにかわ、エポキシなど)、又は摩擦又は締まり嵌めによるなどの任意の適宜な方法でモータをヒータ100の上部に取り付け可能である。モータ176は、12V、24V、又は他の任意の適宜な電圧の静かなDCブラシレスモータ、DCブラシ付きモータ、スイッチトリラクタンスモータ、ユニバーサルモータ、又はAC誘導モータを含むことができ、また、例えば流体が穴118、120を通って逃げることを防ぐことにより、ヒータ100を通って流れる流体からモータを封止するために、圧縮面ガスケットなどの様々な封止要素が使用され得る。
【0047】
図14は更に、スペーサ178を貫いて延在する通路180を有するスペーサ178がスロット126の上方に配置され得ることを示している。スロット126と通路180とは、水又は他の流体をヒータ100の内部128からヒータ100及びヒータ100の電気部品から外側に搬出可能な単一の水路を形成し得るように、通路180はスロット126の形状と同じスロット形状を有し得る。
【0048】
図15は、ヒータ100の内部128内に取り付け可能なインペラ182を示す。インペラ182はジェット駆動インペラであってよい。インペラ182は、例えば2つ、3つ又は他の任意適宜な数のブレード184と、モータ176から隔壁106の穴118を通り、モータ176の内部128を通ってインペラ182へと延びるシャフト190を受けるようなサイズの中心開口部186とを有し得る。
【0049】
一代替実装形態では、シャフト190はモータ176に直接物理的に結合されず、シャフト190は、隔壁106の穴118を通って延在していない。このような代替実装形態では、第1の磁性要素がモータ176に直接物理的に結合され、第2の磁性要素がシャフト190に直接物理的に結合され、第1及び第2の磁性要素が互いに磁気結合される。したがって、モータ190が作動されて、磁気結合を介して第2の磁性要素の回転を誘導可能な第1の磁性要素の回転を直接駆動することができ、第2の磁性要素の回転はシャフト190及びインペラ182の回転を誘導し得る。このような代替実施形態では、シャフト190とインペラ182とはモータ176に磁気結合される。別の代替実装形態では、シャフト190は、ギヤボックス又は他の仲介構成部品を介して物理的、又は磁気的にモータ176に結合可能である。
【0050】
シャフト190は、モータ176からのトルクをインペラ182に伝達してインペラ182の回転を駆動し、ひいてはヒータ100のインペラ182を通る水などの流体の流れを駆動し得る。インペラ182は、ヒータ100の本体102の底部又はその近隣に取り付けられてもよく、又は以下により詳細に記載されるように、流体レベルが低い流体でヒータ100が使用され得るように、スロット126よりも本体102の底端部の近くに取り付けられてもよい。
【0051】
ヒータ100は、様々な用途で使用されるように熱浸漬サーキュレータに組み込まれ得る。使用時には、インペラ182を駆動するためにモータ176の電源がオンにされ、ヒータ100を通る水などの流体の流量を制御するようにインペラ182の回転速度を制御するために使用され得る。幾つかの実装形態では、特に流体を加熱するためにヒータ100が使用中である場合は、インペラ182を駆動して第1の方向に回転させ、流体を上方に、すなわちヒータ100の底部の環状フランジ104の中心にある開口部を通り、ヒータ100の本体102の内部128を通り、本体102の筒状の側壁のスロット126を通り、スペーサ178の通路180を通って本体102から流出させ、またハウジング16の側壁の開口部18を通って流出させるためにモータ176が使用され得る。このような実装形態では、環状フランジ104の中心、及び本体102の底端部にある開口部はヒータ100への入口であり、スロット126はヒータ100への出口であり、開口部18はハウジング16への出口であり、入口は出口(複数)よりも大きくてもよい。
【0052】
ヒータ100を熱浸漬サーキュレータに取り付け、ヒータ100の底部が流体に曝されるように熱浸漬サーキュレータを流体内に配置することによって、流体(例えば水)は、インペラ182によってヒータ100の最も底からヒータ100内に引き上げられ得る。更に、水位が極めて低い水を加熱するためにヒータ100が使用される場合(例えば水位がスロット126の底よりも低い場合)のように、本体102内の水が大気に曝される場合でさえも、モータ176はインペラ182を駆動して、本体102の内部を通って水を引き上げるのに十分に急速に引き上げ得る。一例として、ヒータ100を含む熱浸漬サーキュレータは、深さ1,5インチ未満の流体を加熱するために使用され得る。
【0053】
より高温の流体はより低温の同じ流体よりも上に上昇するため、流体をヒータ100の最も底からヒータ100内に引き上げると比較的冷たい流体がヒータ100内に引き込まれることが可能になり、流体の効果的かつ効率的な加熱が可能になる。更に、水をヒータ100の底から本体102を通って上方に引き込むことは、ヒータ100内の気泡の除去に役立ち、またヒータ100内のキャビテーションを低減するなどにより、ヒータ100を含む熱浸漬サーキュレータ1により発生するノイズレベルの低減に役立ち得る。更にまた、流体の流れを本体102の上端部ではなく本体102の側部、及びハウジング16の側部に位置決めすると、熱浸漬サーキュレータのモータ176及び他の電気部品(例えばバッテリなどの電源、又は壁コンセントに差し込むための電気コード)をハウジング16内のヒータ100の上部に取り付け得るため、ヒータ100を含む熱浸漬サーキュレータをよりコンパクトにすることができる。
【0054】
他の実装形態では、インペラ182を駆動して第1の方向と逆の第2の方向に回転させ、流体を下方に、すなわちスロット126を通り、ヒータ100の本体102の内部128を通り、ヒータ100の底部にある環状フランジ104の開口部を通って流出させるためにモータ176が使用され得る。このような実装形態では、環状フランジ104の中心、及び本体102の底端部にある開口部はヒータ100への出口であり、スロット126はヒータ100への入口であり、開口部18はハウジング16への入口であり、出口は入口(複数)よりも大きくてもよい。
【0055】
ヒータ100の使用時は、かなりの電流がフレキシブル回路基板122の制御電子回路(例えばTRIAC)及び他の電気部品を流れ得る。例えば、120V AC、60Hzの電源を使用すると、各加熱素子144、146は550±50Wの電力を引き出し得る。このような大きい電力は、場合によっては制御電子回路(例えばTRIAC)を望ましくない高温に加熱することがある。
【0056】
ヒータ100には、制御電子回路(例えば封入材又は封入パッケージ内に封入され、又は封入されずに本体102と一体形成されたTRIAC又は任意の適宜な電子スイッチ)が、鋼などの高熱伝導性材料を含むことができ、フレキシブル回路基板122に直接接触する本体102の平坦面に取り付けられる。すなわち、制御電子回路(例えばTRIAC)、及びフレキシブル回路基板122は、共通の熱伝導面に直接接触する。この文脈での「直接接触する」という用語は、接着層、充填パッド、熱伝導性フィルム、又はグリースなどの1つ又は複数の基板層を通した接触を含む。ヒータ100を通って引き込まれる流体(例えば水)は、本体102を通って制御電子回路から伝導される熱を制御電子回路から排出するための制御電子回路(例えばTRIAC)のための冷却材として作用し得る。したがって、制御電子回路(例えばTRIAC)は水冷可能である。TRIACにより発生される熱の実質的に全てが加熱中の流体に伝達されるため、TRIACの温度は加熱中の流体の温度と実質的に同じである。この熱交換通路は、冷却の恩恵を受ける構成部品から加熱される流体へと熱を同時に伝達する。したがって、加熱素子144及び146、並びに制御電子回路は、本体102を通過する流体に熱結合、又は熱伝導結合され得る。
【0057】
幾つかの実施形態では、ヒータ100の内表面130及び134は、テクスチャ加工又は構造化され得るため、表面130及び134は、熱浸漬サーキュレータ10及びヒータ100が加熱される流体から引き離されたときに加熱中の流体の一部を保持する(例えば、流体の一部は表面張力によってテクスチャ加工された表面130及び134に密着する)。例えば、表面130及び134は親水性であるようにテクスチャ加工され得る。表面130及び134は、ヒータ100が流体から引き離された場合に、表面130及び134による水などの流体の保持力を高めるために親水性コーティングで被覆されてもよい。表面130及び134に保持された水又は他の流体は、流体の気化の潜熱によってヒータ100からの熱を徐熱するなどにより、流体からサーキュレータ10及びヒータ100を引き離すことにより起こる過渡的熱効果から熱浸漬サーキュレータ10及びヒータ100を防護するために蓄熱体を提供し得る。
【0058】
幾つかの実施形態では、ヒータ100は、1つ又は複数の感温トランスデューサ、例えばサーミスタ、熱電対、測温抵抗体(RTD)などを含む。1つの特定例として、ヒータ100は、3つのサーミスタ、すなわちフランジ104又はハウジング116上などにある本体102の底部の近傍の第1のサーミスタ、スロット126に近接する本体102、又はハウジング116上などにある第2のサーミスタ、及び第1又は第2の加熱素子144又は146上などの、フレキシブル回路基板122にある第3のサーミスタを含み得る。
【0059】
ヒータ100の内部128への開口部にある、第1及び第2のサーミスタは、ヒータ100をより精密に制御し易くするために加熱される流体の温度に関する情報を提供し得る。第1及び第2のサーミスタは、加熱素子144、146の動作に起因する流体の温度の測定への影響を軽減するために、加熱素子144、146の電源がオフの場合に、加熱される流体の温度を測定し得る。第3のサーミスタは、加熱素子144、146の過熱を防止し易くするため、加熱素子144、146の温度に関する情報を提供し得る。
【0060】
ヒータ100を含む熱浸漬サーキュレータは、TRIACによるなどでフレキシブル回路基板122の動作を指示する制御回路又はコンピュータを含み得る。一例として、制御回路又はコンピュータは、熱浸漬サーキュレータのユーザにより指定される温度などの、加熱される流体の所望の、又は目標の温度に対応し得る。制御回路又はコンピュータは、TRIACに対して第1の加熱素子144と第2の加熱素子146の両方の電源をオンにするように指示し、モータ176に対してインペラ182を回転させるように指示し得る。加熱素子144及び146は、本体102を通って本体102の内部128内で加熱される流体に伝導される熱を生成し得る。第1の、又は第2のサーミスタによって測定される流体の温度が目標の温度に達すると、制御回路又はコンピュータはTRIACに対して加熱素子144、146の電源をオフに切り換えるように指示し得る。
【0061】
流体を目標温度に保つため、制御回路又はコンピュータはTRIACに対して加熱素子144、146の一方のスイッチを間欠的にオンにするように指示し得る。幾つかの実装形態では、制御回路又はコンピュータは170に対して所定の時間間隔で第2の加熱素子146のスイッチをオン・オフに切り換えるように指示し得る。別の実装形態では、制御回路又はコンピュータはTRIAC170に対して、第1のサーミスタ又は第2のサーミスタにより測定される加熱される流体の温度が目標温度より所定量だけ低くなると第2の加熱素子146をオンに切り換え、第1のサーミスタ又は第2のサーミスタにより測定される加熱される流体の温度が目標温度より高くなるとオフに切り換えるように指示し得る。
【0062】
第3のサーミスタで測定した加熱素子144,146の一つの温度が、フレキシブル回路基板122が損傷し得る温度などの閾値温度を越える場合は、制御回路又はコンピュータは、TRIACに加熱素子144,146をオフに切り替えるように指示し得る。
【0063】
幾つかの実装形態では、熱浸漬サーキュレータ10は、制御回路又はコンピュータに結合可能な加速度計を含み得る。加速度計からの信号は所定の閾値を超えると、制御回路又はコンピュータはTRIACに対して加熱素子をオフに切り換えるように指令することができ、そして、制御回路又はコンピュータはモータ176とインペラ182を遮断し得る。このような実施形態では、熱浸漬サーキュレータ10がポット内で転倒し、又は操作者によって持ち上げられると、熱浸漬サーキュレータ10は自動的に遮断され得る。
【0064】
図16は、熱浸漬サーキュレータ200の別の実装形態を分解図で示す。熱浸漬サーキュレータ200は、本明細書に記載の幾つかの差異を含むが、熱浸漬サーキュレータ10の対応部品と同類又は同一の構成部品を有していてもよい。熱浸漬サーキュレータ200は、ヒータ100と類似するヒータ202、モータ176と類似するモータ204、カップリングナット40と類似するカップリングナット206、及び電子部品210を含むプリント回路基板208を含む。熱浸漬サーキュレータ200は、ハウジング16と類似するハウジング210、ハウジングバンパ212、インペラ182と類似するインペラ214、及び入口14と類似する入口216をも含み得る。熱浸漬サーキュレータ200は、上部キャップアセンブリ28と類似する上部キャップアセンブリ218、ハウジング210内のプリント回路基板と電子回路208とを支持する支持バスケット220、電源コード32と類似する電源コード222、及びクリップ30と類似するクリップ224をも含み得る。
【0065】
熱浸漬サーキュレータ200の組み立て方法は、必ずしもそうとは限らないが、おそらく以下の順序、すなわち、
図21を参照して以下により詳細に記載されるように、ヒータ202、モータ204、及びプリント回路基板と電子回路208をハウジング210内に挿入し、カップリングナット206を使用してヒータ202、モータ204、及びプリント回路基板と電子回路208をハウジング210に固定するステップを含み得る。方法は更に、支持バスケット220がハウジング210によってぴったりと係止され、プリント回路基板と電子回路208とをぴったりと係止するように、支持バスケット220をハウジング210内に挿入するステップを含み得る。方法は更に、ハウジング210を通して電源コード222をハウジング210、及びプリント回路基板と電子回路208に結合するステップを含み得る。方法は更に、超音波溶接、封止剤又は接着剤などを塗布することによって、又はメカニカルシールを使用して、ハウジング210内に挿入された構成部品をハウジング210に防水して結合又は接合するステップを含み得る。方法は更に、上部キャップアセンブリ218を支持バスケット220の上端部及びハウジング210に結合するステップを含み得る。方法は更に、方法は更に、プロペラ214をモータ204に結合された駆動軸232(
図17を参照)に結合し、
図21に関して以下により詳細に記載されるように、ハウジングバンパ212をハウジング210内のスロットに挿入するステップを含み得る。方法は更に、入口216をハウジング210の底端部に結合するステップを含み得る。方法は更に、クリップ2242を電源ケーブル222に取り付けるステップを含み得る。
【0066】
図17及び18は、モータ204及びプリント回路基板と電子回路230の追加の詳細を示す。例えば、モータ204は、上板226を含むハウジング、円筒形の外殻228、及び底板230を有し得る。モータ204の機械又は電気部品は上板226と底板230間で外殻228内に収容可能であり、適切な例では、直径約4mmの駆動軸232を少なくとも1800rpm、2600rpmの速度などで回転させるために使用可能である。
図18に示されるように、上板226は、上板226の上面を横切って延在し、そこから垂直に突出する、垂直方向に延在するリッジ又はタブ234を含み得る。リッジ234は、プリント回路基板と電子部品20をリッジ234に結合するためにねじ又は他の固定具242を収容し得る2つの開口部236を含み得る。上板226は、コンデンサ又はエネルギ蓄積デバイス240(
図16を参照)を取り付け可能な隆起した円筒形の架台238をも含み得る。
【0067】
底板230は、周辺フランジ234から垂直方向に延びるボス233と、ボス233の周囲に延在し、ボス233がフランジ234と接する位置に配置されたシール236とを含み得る。ボス233は、ボス233が本体102の上部110とぴったり噛み合い、しかもフランジ234が本体102の上部と係合し、シール236が本体102の内部128をその外部から封止するように、本体102の上部110の内部128の断面形状と適合する断面を有し得る。このような実装形態では、底板230がヒータ100の隔壁106を形成し得る。
【0068】
プリント回路基板と電子回路208は、ねじ242などで上板226のリッジ234に結合可能であり、コンデンサ240は架台238に結合可能であり、ヒートシンクの244(
図17を参照)は、コンデンサ240によって生成された熱がヒートシンク244に、ひいては上板226に伝達されるように、架台238とコンデンサ40とに結合可能である。一代替実装形態では、サーキュレータ200は、ヒートシンク244を含まず、コンデンサ240によって生成された熱は上板226に直接伝達され得る。モータハウジングは、熱をモータ204の上方からモータ204の下方に伝達する経路を提供し得る。例えば、プリント回路基板と電子機器208からの熱は、リッジ234を経て、上板226を経て、外殻228を経て、底板230を経て、底板230に結合されたヒータを貫流する流体に伝達され得る。同様に、コンデンサからの熱は、ヒートシンク244を経て、架台238を経て、上板226を経て、底板230を経て、底板230に結合された貫流する流体に伝達され得る。
【0069】
これらの流路は、ヒートシンク244の温度が、底板230に結合されたヒータを貫流する流体の温度よりも4℃以上は上昇しないように、又は上述の能動電源スイッチの制御などの電子回路の温度が105℃超又は120℃超に上昇しないように、サーキュレータ200の電子部品から散逸し得る。効率的な流路を設けるために、上板226と底板230とは銅、アルミニウムなどの熱伝導性の材料からなり、外殻228は亜鉛、銅、アルミニウムなどの熱伝導性の材料からなり得る。2つの特定の例として、外殻228は厚さ1.65mmの銅製の外殻、又は厚さ3.00mmのアルミニウム製外殻を含み得る。
【0070】
図19は、ヒータの202の外表面に結合され得るフレキシブル回路基板246を示す。フレキシブル回路基板246は、フレキシブル回路基板122と類似する構成部品と機能とを有し得る。フレキシブル回路基板246は、共に加熱素子250を形成する複数の(図示した実施形態では6つの)抵抗性バンド248を含む。フレキシブル回路基板246は、間隙254によって各抵抗バンド248の第1の端部から電気的に分離されたニュートラルの通路252を含む。間隙254は、所定の温度で切れるかトリップするUL(登録商標)サーマルデバイスなどの温度ヒューズによって架橋され得る。
【0071】
一例として、温度ヒューズは電気的にニュートラル通路252に、及び加熱素子250幅全体にわたるニュートラル通路252の反対側の加熱素子250の縁部(すなわち、
図19に示されるように加熱素子250の底部)に位置する端子に電気的に結合され得る。別の例として、温度ヒューズは、リード線をニュートラル通路252と、互いに離間した抵抗性バンドの第1の端部から付勢するばねを含み得る。温度ヒューズは、ばね作用に抗してリード線を互いに物理的、電気的に結合し、所定温度で融解する導電性要素を含み得る。導電性要素が融解すると、ばねは、空隙245の両端間を、またニュートラル通路252と加熱素子250間を開路し得る。
【0072】
フレキシブル回路基板246は、各抵抗性バンド248の第2の端部を互いに、また電源切り換え端子258に電気的に結合する電源切り換え線256をも含む。フレキシブル回路基板246は、電源切り換え端子258に近接するが、これから電気的に分離された能動端子260をも含み、ニュートラル通路252は電源切り換え端子258のための戻り経路としての役割を果たし得る。フレキシブル回路基板246は、能動端子260に近接するが、これから電気的に分離されたゲート262をも含む。フレキシブル回路基板246は、それぞれの構成に基づいて、「1ゾーン」フレキシブル回路基板と呼ばれ、フレキシブル回路基板246を含むヒータ202は「1ゾーン」ヒータと呼ばれてもよいのに対して、フレキシブル回路基板100は「2ゾーン」フレキシブル回路基板と呼ばれ、ヒータ100は「2ゾーン」ヒータと呼ばれてもよい。
【0073】
フレキシブル回路基板246には、抵抗性バンド248の両端間に120ボルトが供給され、これは1100ワットを生じ得る。抵抗性バンド248への電力は経時とともにオン、オフの周期を繰り返し、1100ワット未満の時間平均電力などの所望の時間平均電力を提供する。フレキシブル回路基板246は、本明細書の他のいずれかのサーミスタと同様に使用可能なサーミスタ264をも含み得る。しかしながら、別の例として、サーミスタ264は、サーキュレータ200が流体から引き離されたことを判定するためにも使用され得る。例えば、サーミスタ264によって測定される温度変化率は、サーキュレータ200が流体に浸漬された場合は、サーキュレータ200が流体から引き離された場合よりも遅いことがある。サーミスタ264によって測定された温度変化率が閾値を超えると、ヒータ202を過熱防止のためにオフにするよう、サーミスタ264によって測定される温度変化率の閾値をこの差に基づいて予め定められ得る。サーミスタ264は、プリント回路基板と電子回路208に電気的に結合され得るフレキシブル回路基板246内に形成されたトレースに結合された表面実装式の、形状因子0805のサーミスタであってよい。
【0074】
図20は、支持体の上部から外側に延びるグロメット又はボス268と、支持体の第1の側部に沿って下方に延びる、支持体の底部を横切って支持体の第2の側部に沿って上方に延びる溝270とを含む支持体266を示す。支持体266は、電源コード(例えばコード32又はコード222)と、取り外し可能なばねクリップ272とを熱浸漬サーキュレータのハウジング274に取り付けるために使用可能である。例えば、コード端部に向けて拡径するひずみ除去要素などの、電源コードの端にあるひずみ除去要素がボス268に結合され得る。別の例として、クリップ272は、締まり嵌めなどの摩擦によりクリップ272を支持体266に保持するために溝270と噛み合う形状の(ステンレス鋼又は他の適宜な材料製でよい)ワイヤを含み得る。したがって、クリップ272は、所望ならば支持体266から容易に取り外し、別のクリップと交換され得る。クリップ272は、ポットの側部がクリップ272の付勢作用によってハウジング274とパッド276間に挟持され得るように、ポットの側部に寄り掛かる成形パッドをも含み得る。
【0075】
幾つかの実装形態では、キットは、熱浸漬サーキュレータと、サイズが異なる複数のクリップとを含むことができ、各々のクリップは、異なるサイズ、例えば側部のサイズが異なるポットで使用するように構成される。熱浸漬サーキュレータを使用する前に、ユーザは使用されるポットのサイズを見積り、これらのサイズに基づいてクリップを選び、次いで熱浸漬サーキュレータの使用を開始し得る。ボス268と溝270とを単一部品である支持体260に統合することで、複数の部品(電源コードとクリップ)用の接続を単一部品に組み合わせる労力を節減し得る。ボス268は支持体266の上部に、すなわち溝270の上方に位置しているため、電源コードはクリップの上方で熱浸漬サーキュレータに結合される。したがって、熱浸漬サーキュレータをポットの側部にクリップ留めすることによって、ユーザは電源コードが加熱中の流体の外側にあることを確実にできる。
【0076】
図21は、熱浸漬サーキュレータ200の幾つかの構成部品の断面図である。
図21に示されるように、カップリングナット206は、カップリングナット206をハウジング210に固定し、ヒータ202及び他の構成部品をハウジング210内に固定するために、ハウジング210の相補的な内ねじ286と螺合する外ねじ284を有し得る。カップリングナット206は、ヒータ202内からの流体が熱浸漬サーキュレータ200の残りの部分に浸入することを防止するため、ヒータ202の内部をカップリングナット206に封止し得る内部シール288をも含み得る。カップリングナット206は、サーキュレータ200の外側からの流体が熱浸漬サーキュレータ200の残りの部分に浸入することを防止するため、ハウジング210の内部をカップリングナット206に封止し得る内部シール290をも含み得る。カップリングナット206は入口216を熱浸漬サーキュレータ200の他の構成部品に固定するため、入口216の相補的な外ねじをねじ込むことができる内ねじをも含み得る。カップリングナット206、及びそのシール288及び290は、熱浸漬サーキュレータ200のシールを破らずにヒータ202を清掃するなどのためにユーザがヒータ202の内部にアクセスするため入口216を取り外しできるようになっている。
【0077】
図21は、ハウジングバンパ212をハウジング210内に保持するために、ハウジングバンパ212の周囲フランジがハウジング210の内表面に係合するようにハウジングバンパ212を取り付け可能であることをも示している。ハウジングバンパ212は、ハウジングバンパ212の本体がハウジング210の外表面を越えて突出するように、ハウジング212内の開口部を通ってハウジング210から外側に延出し得る。ハウジングバンパ212がそれを通って延出するハウジング210内の開口部が熱浸漬サーキュレータのシールを破らないように、ハウジングバンパ212はカップリングナット206のシール290の下方に配置され得る。
図16に示されるように、ハウジングバンパ212は、ハウジング210の側部の開口部、及びヒータ202の側部の対応する開口部296からサーキュレータ200の反対側に配置可能な、サーキュレータ200のクリップ224と同じ側に配置可能である。
【0078】
ハウジングバンパ212は、摩擦係数がハウジング210よりも高く、ハウジング210よりも可撓性が高い材料からなり得る。したがって、ユーザが熱浸漬サーキュレータ200をポットの側部にクリップ留めする際に、ハウジング210内の開口部を通って延在するハウジングバンパ212の本体は、ハウジング210が分離され、ポットの側部に接触しないようにポットの側部に寄り掛かり得る。したがって、モータ204及びインペラ212からの振動は、ポットに直接伝達されない(又は少なくともより間接的に伝達される)。更に、より高いハウジングバンパ212の摩擦係数は、モータ204及びインペラ182により生じるサーキュレータ200のガタつきなどのポットの側部に対するサーキュレータの動きを減少させる。更に、ユーザが熱浸漬サーキュレータ200をポットの側部にクリップ留めするとき、ハウジング210の側部の開口部294及びヒータ202の側部の開口部296はポットの側部から外側方向を向くようにでき、それにより、流体が熱浸漬サーキュレータ200から流出する際の流体力学が向上する。
【0079】
図21は、入口216を通ってサーキュレータ200に流入する流体のための上部及び外側の流れ境界面282を画定し得る上部の流れガイド278と、入口216を通ってサーキュレータ200に流入する流体のための下部及び内側の流れ境界面320を画定し得る下部の流れガイド280を含み得ることも示している。上部流れガイド278は、(
図16にも示されている)複数の(例えば3つの)スポーク又は支柱302によって内側のハブ部300結合される外側のリム部298を含み得る。各支柱302は、内側のハブ部300と外側のリム部298間で径方向内側と外側に延在することができ、翼状の本体を有し得る。幾つかの実装形態では、各支柱302がインペラ214のブレードの勾配又は迎角と同じ方向を向く、又は反対方向を向く勾配又は迎角を有する固定プロペラ又はインダクタを形成するように、各支柱302はある角度で傾斜し、又は内側のハブ部300を中心に略螺旋形の形状を有する。
【0080】
下部流れガイド280は、ねじ306などの固締具により、接着剤により、又は他の適宜な方法などで上部流れガイド278のハブ300に結合可能な外殻304を含み得る。幾つかの実装形態では、上部流れガイド278は下部流れガイド280と一体形成可能である。下部流れガイド280は、外殻304にクリップ留め、又は他の方法で結合可能なフレーム310、外殻304とフレーム310間に保持され得る磁石308、及びフレーム310にクリップ留め、又は他の方法で結合可能な滑り防止パッド312をも含み得る。
【0081】
熱浸漬サーキュレータ200の使用時は、モータ204はインペラ214を回転させて加熱中の流体を入口216の流入口314を通って内側に、入口216の流路316を通って内側上方に、入口216の流出口318を通って上方に、さらにヒータ202内に引き込むように動作可能である。流入口314は、入口216の流体摂取を高めるために入口216の周囲360°に拡がり得る。流路316は、その上部外側で上部流れガイド278の上部外側の流れ境界面282によって、またその下部内側で下部流れガイド280の下部内側の流れガイド280の境界面320によって界接され得る。流出口318は、支柱302によって小さい3つの流出口に分割されることができ、これらの小さい流出口の組み合わせを全体として流出口318と呼んでもよい。
【0082】
上部外側の流れ境界面282及び下部内側の流れ境界面320は、b−スプラインの輪郭を有することができ、入口216を通る際の加熱される流体の流体力学を向上させるために連続的な曲率を有し得る。流路316の断面積は、流路316が内方向と上方向に延びるにつれて縮小し得る。例えば、流出口318の断面積に対する入口216の周囲360°に拡がる流入口314の断面積の比率に対応し得る流路316の収縮率は1.0超、1.6〜2.4、また特別の例として2.0であり得る。更に、ヒータ202側部の開口部298の面積に対するヒータ202の底部の開口部の面積の比率に対応し得るヒータ202を通る流路の収縮率は4〜7、又は約5.25であり得る。このような特徴は、流体が入口216を通って流れる際に流体に生じる圧力勾配の大きさを縮小することによって、サーキュレータ200により発生するキャビテーションとノイズを縮減可能である。
【0083】
入口216によってサーキュレータ200は、
図22のサーキュレータ10について示されるように、シリコン製であってよい滑り防止パッド312上に載置されつつ、ポット内に垂直に立つことが可能になることでサーキュレータ200がポット内で倒れる可能性を低減でき、サーキュレータ200が磁石308によってポット内に保持されることが可能になる。このような実施形態では、
図22のサーキュレータ10に示されるように、クリップ272を省略し得る。このような実施形態では、磁石308はポットの強磁性材料に引き付けられ得る。代替実装形態では、ポット又はポットに結合された架台などの追加部品は磁石を含むことができ、またサーキュレータ200は例えば磁石308の代わりに強磁性材料を含み得る。幾つかの特定の実装形態では、磁石はネオジム磁石であってよく、高さと直径を有する円筒形のものでよく、高さと直径の比は少なくとも0.4である。
【0084】
入口216はまた、加熱される流体のレベルが比較的低い場合でも流体がサーキュレータ200に引き込まれ得るように、サーキュレータ200に比較的低い高さで流入口314を提供する。流入口314はまた、電源コード222又は電源コード222の外装の直径と一致するか、それより少し小さい高さ又は上部流れガイド278と下部流れガイド280間の間隔を有し得る。したがって、ユーザがサーキュレータ200を使用していない時は、電源コード222はハウジング210の周りに巻回され、電源コード222が入口216と電源コード222間の締まり嵌め内などの摩擦によって流入口314は内に保持されるように、開口部314内にぴったりと配置され得る。
【0085】
本明細書に開示されるどの熱浸漬サーキュレータも様々な任意の適宜の方法で制御可能である。例えば、熱浸漬サーキュレータは、命令又は指令減と通信可能に結合され、例えば制御サブシステム、地上又は衛星放送局、又はRF又はNFCビーコンと通信可能に結合され得る。通信可能な結合は有線であってもよい(すなわちワイヤ、光ファイバ、ケーブル(1本又は複数本))。通信可能な結合は無線であってもよい(すなわち無線周波数又はマイクロ波送信機、受信機及び/又はラジオ;赤外線送信機及び/又は受信機)。
【0086】
熱浸漬サーキュレータは、通信を受信するための1つ又は複数の受信機又はポートを含んでいてもよい。例えば、熱浸漬サーキュレータは、通信を受信するためのUSB対応ポートを含んでいてもよい。ポートは、熱浸漬サーキュレータのハウジング外部のUSB対応ポートを含み得る。ポートは、熱浸漬サーキュレータのハウジング外部からアクセス可能であり得る。ポートは有利には、例えば1本又は複数本のワイヤ、リボンケーブル、光ファイバ、又はケーブルを介して熱浸漬サーキュレータと外部の信号又は情報源間の通信可能な結合を促進する。ポートは、熱浸漬サーキュレータの動作を制御するために外部信号源から熱浸漬サーキュレータに制御信号を提供するために使用可能である。
【0087】
熱浸漬サーキュレータは、制御信号又は他の入力を受信するためのポート又は受信機、又はコネクタ又はレセプタクルを含み得る。例えば、熱浸漬サーキュレータは、外部信号からの信号を受信するために有線ポート又は有線受信機(例えばEternet(登録商標)、USB(登録商標)、Thunderbolt(登録商標)、Lighting(登録商標)、電気又は光シグナリング)を含み得る。また例えば、外部信号源(例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、サーバーコンピュータ、他のプロセッサベース機器)から信号を無線で受信するための無線ポート又は無線受信機(例えば受信機、トランシーバ、ラジオ、802.1対応、BLUETOOTH(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、無線周波数、マイクロ波周波数、又は赤外線シグナリング)を含み得る。例えば、BLUETOOTH(登録商標)ラジオは、それらの間の近距離無線通信を提供し得る。熱浸漬サーキュレータは、無線通信のための1つ又は複数のアンテナ(例えばストリップラインRFアンテナ)を含み得る。
【0088】
幾つかの実装形態では、熱浸漬サーキュレータは、そのプリント回路基板に結合可能であるような内部の統合入力コントローラを含み得る。熱浸漬サーキュレータによって、又は本明細書に記載の入力方法のいずれか1つによって受信される入力は、サーキュレータのヒータをオンに切り換え、サーキュレータのヒータをオフに切り換え、流体を所望の温度に加熱し、流体を複数の異なる時間に順次複数の異なる温度に加熱し、又は他の任意の適宜な一連の命令に従うための命令又は指令を含み得る。
【0089】
熱浸漬サーキュレータ10と熱浸漬サーキュレータ200は、様々な用途に使用可能である。一般に、本明細書に記載の熱浸漬サーキュレータは、熱浸漬サーキュレータを通って安全に流れることができる任意の流体を加熱又は循環させるために使用可能である。特定の一例として、本明細書に記載の熱浸漬サーキュレータは、通常の温度(例えば150〜160°F)よりも低い温度で通常の時間よりも長く食品を調理する技術である低温勝利法で使用可能である。別の例として、本明細書に記載の熱浸漬サーキュレータは、環境、微生物、又は他の実験室などの実験室の設定に使用可能である。
【0090】
当業者は、本明細書に開示した方法又はアルゴリズムの多くは追加の行為を用いてもよく、行為の一部を省いてもよく、及び/又は特定された順序と異なる順序で行為を実行してもよいことを理解するであろう。上述の様々な実施形態を他の実施形態と組み合わせて、更に別の実施形態を提供し得る。2014年7月7日に出願された米国特許仮出願第62/021、530号、2014年12月22日に出願された米国特許仮出願第62/095、669号、2015年1月30日に出願された米国特許仮出願第62/110、228号、2015年7月21日に出願された米国特許仮出願第62/195、199号、2015年7月1日に出願された米国特許出願第14/789、414号、2015年10月16日に出願された米国特許仮出願第62/242、864号は全体が参照として本明細書に組み込まれる。必要ならば、様々な特許、出願、及び公刊物のシステム、回路及び概念を利用して更に別の実装形態を提供するために、実装形態の態様を修正可能である。
【0091】
これらの、及びその他の変更は、上記の詳細な説明に照らした実施形態に行い得る。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は明細書と特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に請求を限定するものと解釈されるべきではなく、かかる請求項が権利を有する等価物の全範囲とともに可能な全ての実施形態を包括するものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
筒状の側壁、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は、前記筒状の本体の長さに渡って前記第1の端部から離間され、前記筒状の側壁は、少なくとも部分的にこれを貫通する流体流路を形成し、前記本体は、前記第1の端部に少なくとも近接した入口と前記筒状の側壁の出口とを有し、前記入口は、前記本体内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記出口の少なくとも一部が、前記入口の少なくとも一部に対して前記第2の端部の方に向かって間隔を空けて配置され、前記出口は、前記本体の内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させる、前記本体と、
前記本体の前記筒状の側壁に物理的に結合され、前記筒状の側壁の少なくとも一部の周囲に少なくとも部分的に巻回された加熱素子と、
前記加熱素子を制御するために電気的に結合され、前記本体の前記筒状の側壁に物理的かつ熱伝導可能に結合されたスイッチと、
を有するヒータと、
前記ヒータの少なくとも一部を受容するサイズと寸法のハウジングと
を有する熱浸漬サーキュレータ。
<請求項2>
前記出口の全体が前記入口の全体よりも相対的に前記第2の端部の近くに間隔を空けて配置される、請求項1に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項3>
前記加熱素子の全体が前記入口と前記出口の間に位置する、請求項1又は2に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項4>
前記筒状の側壁は、前記第1の端部に前記入口を形成する、請求項1に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項5>
前記筒状の側壁は中心軸を有し、前記入口は前記中心軸の周りで径方向に配置され、前記出口は、前記筒状の側壁の前記中心軸と平行に、前記中心軸から径方向に間隔を空けて配置されている、請求項4に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項6>
前記加熱素子の全体は、前記入口の全体と前記出口の全体との間に位置する、請求項4又は5に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項7>
前記出口は前記筒状の側壁内の長楕円形のスロットである、請求項4又は5に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項8>
前記筒状の側壁は上部と下部とを有し、前記上部は平坦な表面を有し、前記平坦な表面の上に前記スイッチが物理的かつ熱伝導可能に取り付けられる、請求項3に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項9>
前記筒状の側壁の前記下部は円筒形である、請求項8に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項10>
前記加熱素子は、角度的に前記筒状の側壁の周囲の少なくとも3/4の周りに巻回される、請求項9に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項11>
前記加熱素子の全体は、前記入口の全体と前記出口の全体の間に位置する、請求項9又は10に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項12>
前記スイッチはカプセル化されたTRIACである、請求項8に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項13>
前記本体の前記第2の端部の少なくとも近隣に取り付けられたモータを更に備える、請求項1に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項14>
前記筒状の本体内に配置されたインペラを更に備える、請求項13に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項15>
前記モータを前記インペラに物理的又は磁気的に結合するシャフトを更に備える、請求項14に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項16>
前記インペラは、前記出口よりも前記入口の近くに配置される、請求項14に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項17>
電源コードにひずみ除去要素を受容するボスと、ばねクリップを受容する溝とを含む支持体を更に備え、前記支持体、前記ボス、及び前記溝は単一の一体材料から形成される、請求項1に記載の熱浸漬サーキュレータ。
<請求項18>
熱浸漬サーキュレータ用ヒータであって、
筒状の側壁、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は、前記筒状の本体の長さに渡って前記第1の端部から離間され、前記筒状の側壁は、少なくとも部分的にこれを貫通する流体流路を形成し、前記本体は、前記第1の端部に少なくとも近接した入口と前記筒状の側壁の出口とを有し、前記入口は、前記本体内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記出口の少なくとも一部が、前記入口の少なくとも一部に対して前記第2の端部の方に向かって間隔を空けて配置され、前記出口は、前記本体の内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させる、前記本体と、
前記本体の前記筒状の側壁に物理的に結合され、前記筒状の側壁の少なくとも一部の周囲に少なくとも部分的に巻回された加熱素子であって、前記加熱素子の全体が前記入口と前記出口間に位置する、該加熱素子と、
前記加熱素子を制御するために電気的に結合され、前記本体の前記筒状の側壁に物理的かつ熱伝導可能に結合されたスイッチ、を含むヒータ。
<請求項19>
前記出口の全体が前記入口の全体よりも相対的に前記第2の端部に近く離間される、請求項18に記載のヒータ。
<請求項20>
前記筒状の側壁は前記第1の端部で前記入口を形成する、請求項18に記載のヒータ。
<請求項21>
前記筒状の側壁は中心軸を有し、前記入口は前記中心軸の周りで径方向に配置され、前記出口は、前記筒状の側壁の前記中心軸と平行に、前記中心軸から径方向に間隔を空けて配置されている、請求項20に記載のヒータ。
<請求項22>
前記出口は前記筒状の側壁内の長楕円形のスロットである、請求項20又は21のいずれかに記載のヒータ。
<請求項23>
前記筒状の側壁は上部と下部とを有し、前記上部は平坦な表面を有し、前記平坦な表面の上に前記スイッチが物理的かつ熱伝導可能に取り付けられる、請求項18に記載のヒータ。
<請求項24>
前記筒状の側壁の前記下部は円筒形であり、周囲を有し、前記加熱素子は、角度的に前記筒状の側壁の周囲の少なくとも3/4の周りに巻回される、請求項23に記載のヒータ。
<請求項25>
前記加熱素子は、角度的に前記筒状の側壁の周囲の少なくとも3/4の周りに巻回される、請求項18に記載のヒータ。
<請求項26>
熱浸漬サーキュレータであって、
筒状の側壁、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は、前記筒状の本体の長さに渡って前記第1の端部から離間され、前記筒状の側壁は、少なくとも部分的にこれを貫通する流体流路を形成し、前記本体は、前記第1の端部に少なくとも近接した入口と前記第2の端部に少なくとも近接した出口とを有し、前記入口は、前記本体内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記出口は、前記本体の内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させる、前記本体と、
前記本体の前記筒状の側壁に物理的に結合され、前記筒状の側壁の少なくとも一部の周囲に少なくとも部分的に巻回された加熱素子と、
前記加熱素子を制御するために電気的に結合され、前記本体の前記筒状の側壁に物理的かつ熱伝導可能に結合されたスイッチと、
を有するヒータと、
前記ヒータの少なくとも一部を受容するサイズと寸法のハウジングであって、前記ハウジングは、筒状の側壁と、前記ハウジングの前記筒状の側壁内に形成された開口部とを含み、前記開口部は前記本体の前記出口と流体連通する、該ハウジングと、
を有する熱浸漬サーキュレータ。
<請求項27>
熱浸漬サーキュレータ用ヒータであって、
筒状の側壁、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は、前記筒状の本体の長さに渡って前記第1の端部から離間され、前記筒状の側壁は、少なくとも部分的にこれを貫通する流体流路を形成し、前記本体は、前記第1の端部に少なくとも近接した入口と前記筒状の側壁の出口とを有し、前記入口は、前記本体内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させ、前記出口の少なくとも一部が、前記入口の少なくとも一部に対して前記第2の端部の方に向かって間隔を空けて配置され、前記出口は、前記本体の内部の前記流体流路と前記本体の外部の間を流体連通させる、前記本体と、
前記本体の前記筒状の側壁に物理的に結合され、前記筒状の側壁の少なくとも一部の周囲に少なくとも部分的に巻回された加熱素子であって、前記加熱素子の全体が前記入口と前記出口との間に位置する、該加熱素子と、
前記加熱素子を制御するために電気的に結合され、前記本体の前記筒状の側壁に物理的かつ熱伝導可能に結合されたスイッチと、
を有する、ヒータ。
<請求項28>
熱浸漬サーキュレータであって、
ヒータと、
中央の縦軸と、該中央の縦軸の周囲で少なくとも部分的に湾曲した流入口とを有し、高さを有する入口と、
前記ヒータに電気的に結合され、前記流入口にぴったり嵌って前記流入口に締まりばめするように前記高さよりも小さい直径を有する電源コードと、を備える熱浸漬サーキュレータ。
<請求項29>
磁石高さと磁石直径を有する円筒形のネオジム磁石を更に備え、
前記磁石直径に対する前記磁石高さの比が少なくとも0.4である、請求項28に記載の熱浸漬サーキュレータ。