特許第6871256号(P6871256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68712562−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871256
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20210426BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61K31/454
   A61K9/19
   A61K47/12
   A61K47/26
   A61K47/40
   A61P35/00
   A61K9/08
   A61P35/02
   A61K45/00
   A61P43/00 121
【請求項の数】37
【全頁数】96
(21)【出願番号】特願2018-535283(P2018-535283)
(86)(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公表番号】特表2019-501191(P2019-501191A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】US2017012483
(87)【国際公開番号】WO2017120437
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】62/276,756
(32)【優先日】2016年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ホ‐ワフ フイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ プ
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−507541(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0252844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/69
A61K 47/00−47/69
A61K 45/00−45/08
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、あるいは多形体と、クエン酸塩緩衝と、マンニトール又はヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである増量剤とを含む凍結乾燥製剤。
【請求項2】
化合物1が、(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)の固形形態を含む、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項3】
化合物1が、(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)の非晶質形態を含む、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項4】
化合物1が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1〜約2%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項5】
化合物1が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1〜約1%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項6】
化合物1が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.36%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項7】
クエン酸塩緩衝が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約5%〜約25%の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項8】
クエン酸塩緩衝が、無水クエン酸と無水クエン酸ナトリウムとを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項9】
無水クエン酸が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約2%〜約10%の量で存在する、請求項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項10】
無水クエン酸が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約5%〜約8%の量で存在する、請求項またはに記載の凍結乾燥製剤。
【請求項11】
無水クエン酸が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約6%〜約8%の量で存在する、請求項10のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項12】
無水クエン酸が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約6.41%の量で存在する、請求項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項13】
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約2%〜約15%の量で存在する、請求項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項14】
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約4%〜約10%の量で存在する、請求項または13に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項15】
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約6.37%の量で存在する、請求項13または14に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項16】
前記増量剤が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項17】
前記増量剤が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約70%〜約95%の量で存在する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項18】
前記増量剤が、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約80%〜約90%の量で存在する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項19】
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約80%〜約90%の量で存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項20】
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約86.86%の量で存在する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項21】
前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、化合物1が、約0.1〜約1%で存在し、無水クエン酸が、約6%〜約8%の量で存在し、無水クエン酸ナトリウムが、約4%〜約10%の量で存在し、前記増量剤が、約70%〜約95%の量で存在する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項22】
前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、化合物1が、約0.36%で存在し、無水クエン酸が、約6.41%で存在し、無水クエン酸ナトリウムが、約6.37%で存在し、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、約86.86%で存在する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項23】
希釈剤を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の前記凍結乾燥製剤から得られる再構成製剤。
【請求項24】
前記希釈剤が水である、請求項23に記載の再構成水性製剤。
【請求項25】
化合物1が、約0.1〜1mg/mLの量で存在する、請求項23または24に記載の再構成水性製剤。
【請求項26】
化合物1が、約0.5mg/mLの量で存在する、請求項24に記載の再構成水性製剤。
【請求項27】
前記水溶液が、約4〜約5の範囲のpHを有する、請求項2326のいずれか一項に記載の再構成水性製剤。
【請求項28】
前記水溶液が、約4.3のpHを有する、請求項2326のいずれか一項に記載の再構成水性製剤。
【請求項29】
がんを治療するための医薬組成物であって、請求項1〜22のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤、または請求項2328のいずれか一項に記載の水溶液を含む、前記医薬組成物。
【請求項30】
請求項2328のいずれか一項に記載の水溶液を静脈内投与するように用いる、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記がんが、白血病である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記白血病が、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、または急性骨髄性白血病である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記白血病が、従来の治療法に対して再発しているか、不応性または耐性である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬組成物が、前記製剤を第2の活性薬剤または支持療法と組み合わせて投与するように用いられる、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記第2の活性薬剤が、がん抗原に特異的に結合する治療用抗体、造血増殖因子、サイトカイン、抗がん剤、抗生物質、cox−2阻害剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはそれらの医薬的に活性な変異体もしくは誘導体である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
凍結乾燥製剤を調製するための方法であって、マンニトールまたはヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンから選択される増量剤と化合物1(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)とをクエン酸塩緩衝液中に溶解して、溶液を生成すること及び、該得られた溶液を凍結乾燥して、粉末を生成すること、を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、本出願は、2016年1月8日に出願された米国仮特許出願第62/276,756号の優先権の利益を主張するものであり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.分野
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2− ジフルオロアセトアミドまたはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接体、あるいは多形体の製剤及び投与形態が本明細書に提供される。がんを治療、管理、及び/または予防するための製剤及び投与形態の使用方法もまた、本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
3.背景
薬剤物質は、通常、多様かつ特殊な医薬的機能を果たす1つ以上の他の薬剤と組み合わせて製剤の一部として投与される。様々なタイプの投与形態が、医薬的賦形剤の選択的使用を通して作製され得る。医薬的賦形剤は、様々な機能を有し、多くの異なる方法、例えば、可溶化、希釈、増粘、安定化、保存、着色、香り付けなどにおいて医薬製剤に寄与する。活性薬剤物質を製剤化するときに考慮される医薬的賦形剤の特性には、生物学的利用能、製造の容易性、投与の容易さ、及び投与形態の安定性が含まれる。製剤化される活性薬剤物質の様々な性質、及び賦形剤間の交差反応性のために、投与形態は、典型的には、有利な物理的及び医薬的特性を達成するために活性薬剤物質に独自に適応される医薬的賦形剤を必要とする。
【0004】
それにもかかわらず、投与形態の製剤化における医薬的賦形剤の使用は、場合によっては、例えば、長期保存または水との接触で顕在化する有効成分との望ましくない有害反応を引き起こす可能性がある。実際に、最終投与形態の特性(例えば、その生物学的利用能及び安定性)が、その大部分において、選択される賦形剤、それらの濃度及び活性化合物とお互いとの両方の相互作用に大きく依存することは周知である。賦形剤は、不活性または非活性成分より多く、また製剤中の有効成分及び他の賦形剤との望ましくない交差反応を避けるように選択しなければならない。適合する賦形剤を選択することは、活性成分が適切に送達され、投与形態が安定した製剤であることを確実にするために、投与形態の製剤化において重要である。
【0005】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドまたはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体は、抗がん活性を有することが示されている。がんの治療のための、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドまたはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体の製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
4.簡単な概要
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドまたはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体(「化合物1」)と、医薬的に許容される賦形剤とを含む凍結乾燥製剤が本明細書に提供される。化合物1は、米国特許第9,499,514号及び国際公開第WO2016/007848号に記載されており、これらそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、化合物1は2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体A型、B型、C型、D型、E型または非晶質形態である。一実施形態では、化合物1は2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体C型である。2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体は、本明細書において、及び「SOLID FORMS OF 2−(4−CHLOROPHENYL)−N−((2−(2,6−DIOXOPIPERIDIN−3−YL)−1−OXOISOINDOLIN−5−YL)METHYL)−2,2−DIFLUOROACETAMIDE, AND THEIR PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS AND USES」と題された、本願と同時に出願された米国仮特許出願に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの固形形態を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、2−(4−クロロフェニル)−N− ((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの非晶質形態を含む。
【0008】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、投与前に好適な希釈剤で適切な濃度に再構成するために適している。一実施形態では、凍結乾燥製剤は室温で安定である。一実施形態では、凍結乾燥製剤は室温で最長約24ヶ月間安定である。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、室温で最長約24ヶ月間、最長約18ヶ月間、最長約12ヶ月間、最長約6ヶ月間、最長約3ヶ月間まで、または最長約1ヶ月間、安定である。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、40℃/75%RHの加速条件下での保存の際に、最長約12ヶ月間、最長約6ヶ月間、または最長約3ヶ月間、安定である。
【0009】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、静脈内投与のための水溶液による再構成に適している。一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、水で再構成するために適している。一実施形態では、再構成された水溶液は、再構成する際に、室温で最長約24時間まで安定である。一実施形態では、再構成された水溶液は、再構成する際に、室温で約1〜24、2〜20、2〜15、2〜10時間安定である。一実施形態では、再構成された水溶液は、再構成する際に、室温で、最長約20、15、12、10、8、6、4または2時間安定である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は再構成する際に、約4〜5のpHを有する。
【0010】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1、pH調節剤、及び増量剤を含む。
【0011】
一実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.1〜2%の化合物1、約1〜15%の緩衝液及び約70〜95%の増量剤を含む。
【0012】
別の態様では、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1〜約2%で化合物1を含む凍結乾燥製剤が提供される。さらに別の態様では、バイアル中に、例えば20ccのバイアル中に、約0.1mg〜約5mgの量の化合物1を含む凍結乾燥製剤が本明細書に提供される。
【0013】
一態様では、本明細書に提供される製剤は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約5%〜約25%の量のクエン酸塩緩衝液を含む。一実施形態では、クエン酸塩緩衝液は、無水クエン酸及び無水クエン酸ナトリウムを含む。
【0014】
一態様では、本明細書に提供される製剤中の増量剤は、Captisol(登録商標)、マンニトールもしくはKleptose(登録商標)、例えばβ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びメチル化β−シクロデキストリンを含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤を含む単位投与形態が本明細書で提供され、ここで、凍結乾燥製剤は、化合物1、緩衝液及び増量剤を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤を含む容器が本明細書に提供される。一態様では、容器はガラスバイアルである。
【0017】
ある特定の実施形態では、固形腫瘍及び血液由来の腫瘍、またはその1つ以上の症状もしくは病因を含む、がんを治療、予防もしくは改善する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、固形腫瘍及び血液由来の腫瘍、またはその1つ以上の症状もしくは原因を含む、がんを予防する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、固形腫瘍及び血液由来の腫瘍、またはその1つ以上の症状もしくは病因を含む、がんを改善する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、血液由来の腫瘍は白血病である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病などの様々な形態の白血病を治療する方法を包含する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病などの様々な形態の白血病を予防する方法を包含する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病などの様々な形態の白血病を管理する方法を包含する。本明細書に提供される方法は、再発した、不応性または耐性である白血病の治療を含む。本明細書に提供される方法は、再発した、不応性または耐性である白血病の予防を含む。本明細書に提供される方法は、再発した、不応性または耐性である白血病の管理を含む。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、急性骨髄性白血病を治療する方法を包含する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、急性骨髄性白血病を予防する方法を包含する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、急性骨髄性白血病を管理する方法を包含する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、骨髄異形成症候群を治療する方法を包含する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、骨髄異形成症候群を予防する方法を包含する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、骨髄異形成症候群を管理する方法を包含する。
【0018】
一実施形態では、化合物1を含む製剤の静脈内投与による急性骨髄性白血病の治療方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1を含む製剤の静脈内投与による骨髄異形成症候群の治療方法が本明細書に提供される。
【0019】
本方法の実施において、治療上有効な濃度の化合物1を含有する組成物は、治療される疾患または障害の症状を示す個体に投与される。この量は、疾患または障害の1つ以上の症状を改善または排除するために有効である。
【0020】
医薬組成物の成分のうちの1つ以上で充填された1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットがさらに提供される。任意選択で、そのような容器(複数可)に付随するものは、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を監督する政府機関によって定められた形式による注意書きであることができ、この注意書きは、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に対する政府機関の認可を示している。パックまたはキットは、投与のモード、薬剤投与の順序(例えば、別個に、逐次的にまたは同時に)などに関する情報を貼付することができる。
【0021】
本明細書に記載される主題のこれらの及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
5.図面の簡単な説明
図1】化合物1のA型、B型、C型、D型及びE型のX線粉末ディフラクトグラムのスタックプロットを描写。
【0023】
図2】化合物1のA型のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)プロットを描写する。
【0024】
図3】化合物1のA型のSEM画像を描写する。
【0025】
図4】化合物1のA型の熱重量分析(TGA)プロットを描写する。
【0026】
図5】化合物1のA型の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムプロットを描写する。
【0027】
図6】化合物1のA型の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを提供する。
【0028】
図7】化合物1のA型のH NMRスペクトルを提供する。
【0029】
図8】圧縮前(a)及び後(b)の、化合物1のA型のX線粉末ディフラクトグラムプロットの比較を描写する。
【0030】
図9】化合物1のB型のXRPDプロットを描写する。
【0031】
図10】化合物1のB型のSEM画像を描写する。
【0032】
図11】化合物1のB型のTGAサーモグラムプロットを描写する。
【0033】
図12】化合物1のB型のDSCサーモグラムプロットを描写する。
【0034】
図13】化合物1のB型のDVS等温線プロットを提供する。
【0035】
図14】化合物1のB型のH NMRスペクトルを提供する。
【0036】
図15】圧縮前(a)及び後(b)の化合物1のB型のX線粉末ディフラクトグラムプロットの比較を描写する。
【0037】
図16】化合物1のC型のXRPDプロットを描写する。
【0038】
図17】化合物1のC型のSEM画像を描写する。
【0039】
図18】化合物1のC型のTGAサーモグラムプロットを描写する。
【0040】
図19】化合物1のC型のDSCサーモグラムを描写する。
【0041】
図20】化合物1のC型のDVS等温線プロットを提供する。
【0042】
図21】化合物1のC型のH NMRスペクトルを提供する。
【0043】
図22】圧縮前(a)及び後(b)の化合物1のC型のX線粉末ディフラクトグラムプロットの比較を描写する。
【0044】
図23】化合物1のD型のXRPDプロットを描写する。
【0045】
図24】化合物1のD型のTGAサーモグラムプロットを描写する。
【0046】
図25】化合物1のE型のXRPDプロットを描写する。
【0047】
図26】化合物1のE型のTGAサーモグラムプロットを描写する。
【0048】
図27】非晶質化合物1の変調DSCサーモグラムプロットを描写する。
【0049】
図28】非晶質化合物1のXRPDプロットを描写する。
【0050】
図29】非晶質化合物1のH NMRスペクトルを描写する。
【0051】
図30図30A、30B及び30Cは、第2のスクリーンにおける凍結乾燥製剤のXRPDプロファイルを図示する。
【0052】
図31】最終凍結乾燥プロセスの温度プロファイルを図示する。
【0053】
図32】化合物1製剤のプロセス図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
6.詳細な説明
6.1定義
一般的に、本明細書で使用される命名法及び本明細書に記載の有機化学、医薬品化学、及び薬理学における実験室手順は、当該技術分野において周知であり一般的に採用されているものである。他に別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0055】
「化合物1」という用語は、以下の構造を有する「2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド」、及びその立体異性体もしくはその立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体の混合物を指す。
【化1】
ある特定の実施形態では、化合物1は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド及びその互変異性体を指す。ある特定の実施形態では、化合物1は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体を指す。ある特定の実施形態では、化合物1は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体C型を指す。一実施形態では、立体異性体はエナンチオマーである。
【0056】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「凍結乾燥」という用語は、固体物質を溶液から単離する工程及び/または溶媒を除去するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、これは、例えば、蒸発(例えば、真空下で、例えば、凍結乾燥によって、及び/または溶液を凍結し、そして凍結した溶媒を真空または減圧条件下で蒸発させることによってなど)を含む、当業者に既知の様々な技術によって達成され得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「共溶媒」という用語は、本明細書に提供される凍結乾燥製剤の製造中に活性薬剤の水への可溶化を助ける溶媒を指す。共溶媒は、製造中に中間製剤の十分な安定性も提供する溶媒とすることができる。共溶媒はまた、製造中に凍結乾燥製剤から除去されるか、または許容レベルまで低下させることができる。共溶媒の例には、アセトニトリル、クロロホルム、tert−ブタノール、ジメチルアセトアミド、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸、アセトン、アニソール、ブタノール、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、及び酢酸プロピルが挙げられる。
【0058】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0059】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「実質的に含まない」という用語は、ほんのわずかな量しか含有しないことを意味する。いくつかの実施形態では、組成物または調製物が、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%または1重量%未満の要素を含有する場合、列挙された要素を「実質的に含まない」。いくつかの実施形態では、組成物または調製物は、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%未満またはそれより少ない列挙された要素を含有する。いくつかの実施形態では、組成物または調製物は、検出不可能な量の列挙された要素を含有する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「再構成水溶液」または「再構成水性組成物」もしくは「再構成水性製剤」は、本明細書に提供される凍結乾燥組成物を水性溶媒に溶解することによって得られる水溶液を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「水性希釈剤」という用語は、非経口製剤中に含まれることが可能な水性液体を指す。このような水性希釈剤には、例えば、必要に応じて生理食塩水またはデキストロース、ならびに非経口製剤の一部として一般的に見出される既知の補助防腐剤または賦形剤のいずれかを挙げることができる。例示的な水性希釈剤には、水、5%デキストロース溶液などが挙げられる。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「単位用量」という表現は、治療される対象に適した製剤の物理的に個別の単位(例えば、単回用量)を指し、各単位は、所望の治療効果を生じるように選択された活性薬剤の所定量を含有し(所望のまたは最適な効果を達成するために複数の用量が必要とされることが理解される)、任意に、医薬的に許容される担体と一緒に、所定量で提供され得る。単位用量は、例えば、所定量の1つ以上の治療剤、所定量の1つ以上の固形投与形態の治療剤、所定量の1つ以上の治療薬剤を含有する徐放性製剤または薬物送達デバイスなどを含有するある容量の液体(例えば、許容される担体)であり得る。単位用量は、治療剤(複数可)に加えて様々な成分を含有し得ることが理解されよう。例えば、以下に記載されるように、許容される担体(例えば、医薬的に許容される担体)、希釈剤、安定剤、緩衝液、防腐剤などが含まれてもよい。しかしながら、本開示の製剤の1日総使用量は健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の具体的な対象または生物体に対する特定の有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重篤度;採用される特定の活性化合物の活性;採用される特定の組成物;対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;投与時間、及び採用される特定の活性化合物の排泄速度;治療の持続時間;採用される特定の化合物(複数可)と併用して、または同時に使用される薬物及び/もしくは追加の療法、ならびに医学分野において周知の同様の因子を含む様々な因子に依存し得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「固形形態」という用語は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドまたは立体異性体もしくはその立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体の結晶型または非晶質形態もしくはそれらの混合物を指す。
【0064】
本明細書中で使用される場合、本明細書で使用される「医薬的に許容される塩(複数可)」という用語は、これらに限定されるものではないが、本明細書に記載の化合物の酸性または塩基性部分(例えば、化合物1)の塩を含む。塩基性部分は、様々な無機酸及び有機酸と多種多様な塩を形成することができる。このような塩基性化合物の医薬的に許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、例えば薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成するものである。適切な有機酸には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、オレイン酸、タンニン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルコン酸、グルカゴン酸、糖酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはパモ(例えば、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ)酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、または硝酸が挙げられるが、これらに限定されない。アミン部分を含む化合物は、上記の酸に加えて、様々なアミノ酸と医薬的に許容される塩を形成することができる。本質的に酸性である化学的部分は、様々な薬理学的に許容されるカチオンと塩基性塩を形成することができる。そのような塩の例は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、及び、特に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム、もしくは鉄塩である。
【0065】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「溶媒和物」は、非共有結合分子間力によって結合された化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本明細書に提供される化合物またはその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0066】
本明細書中で使用される場合、他で特に定めない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下で(インビトロまたはインビボで)加水分解、酸化、ないしは別の方法で反応して化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、これらに限定されるものではないが、生物加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性リン酸類似体などの生加水分解性部分を含む、本明細書に記載される化合物の誘導体(例えば、化合物1)が挙げられる。プロドラッグの他の例には、NO、NO、ONO、またはONO部分を含む本明細書に記載される化合物(例えば、化合物1)の誘導体が含まれる。
【0067】
「医薬的に許容される賦形剤」は、例えば、活性薬剤の安定性を修正することによって、または投与時に対象による吸収を修正することによって、活性薬剤の対象への投与を助ける物質を指す。医薬的に許容される賦形剤は、典型的には、患者に対して有意な有害な毒物学的影響を有さない。医薬的に許容される賦形剤の例には、例えば、水、NaCl(塩溶液を含む)、通常生理食塩水、スクロース、グルコース、増量剤、緩衝液、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被膜剤、甘味剤、着香剤、アルコール、油、ゼラチン、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色剤などが挙げられる。当業者は、当該分野で周知の他の医薬的賦形剤が本発明において有用であり、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe R.C.,Shesky P.J.及びQuinn M.E.,6th Ed.,The Pharmaceutical Press,RPS Publishing(2009)に列挙されるものを含むことを認識するであろう。「増量剤」及び「緩衝液」という用語は、当該技術分野における平易で通常の意味に従って使用される。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「投与する」または「投与」は、体外に存在する物質を対象に物理的に送達する行為を指す。投与は、治療剤を送達するための当技術分野で周知の全ての形態を含み、これらに限定されるものではないが、局所、粘膜、注射、皮内、静脈内、筋肉内送達、または本明細書に記載される物理的送達もしくは当該分野で既知の他の方法(例えば、ミニ浸透圧ポンプのような徐放性デバイスの対象への移植;リポソーム製剤;口腔;舌下;口蓋;歯肉;鼻腔;膣;直腸;細動脈内;腹腔内;脳室内;頭蓋内;または経皮)を含む。
【0069】
「抗がん剤」は、抗代謝剤(例えば、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、フルダラビン)、微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド、パクリタキセル、ドセタキセルなどのタキサン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、ビスクロロエチルニトロソ尿素及びヒドロキシ尿素などのニトロソ尿素)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM−216またはサトラプラチン、CI−973)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ダウノマイシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、カンプトテシン)、抗血管新生剤(例えば、Sutent(登録商標)及びベバシズマブ)、または任意の他の細胞傷害剤(リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン)、ホルモン剤もしくはホルモンアゴニスト、アンタゴニスト、部分的アゴニストあるいは部分的アンタゴニスト、キナーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、及び放射線治療を指す。
【0070】
「共投与する」とは、本明細書に記載される組成物が、例えば抗がん剤を含む1つ以上の追加の治療用組成物と同時に、直前に、または直後に投与されることを意味する。共投与は、化合物を個々にまたは組み合わせて(2つ以上の化合物または薬剤)同時にもしくは逐次的に投与することを含むことを意味する。共投与には、2つの活性薬剤を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1、5、10、15、20、または30分以内に)、または任意の順序で逐次的に投与することが含まれる。これにより、共投与は、第2の活性薬剤の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、または24時間以内に1つの活性薬剤(例えば、本明細書に記載される化合物)を投与することを含むことができる。共投与はまた、同時処方、例えば、両方の活性薬剤を含む単一の投与形態を調製することによって達成することもできる。活性薬剤は個別に製剤することができる。このような場合、活性薬剤は混合され、投与量単位の最終形態中に一緒に含まれる。あるいは、本明細書に記載される共投与は、少なくとも2つの個別の活性薬剤(例えば、本明細書に記載される化合物1及び第2の活性薬剤)の2つの別個の単位投与形態を投与することを含むことができる。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「毎日」という用語は、化合物1などの治療用化合物が、毎日1回または2回以上、ある期間投与されることを意味することを意図する。「連続的」という用語は、化合物1などの治療化合物が、少なくとも10日〜52週間の中断されない期間にわたって毎日投与されることを意味することを意図する。本明細書で使用される場合、「断続的」または「断続的に」という用語は、規則的または不規則的のいずれかの間隔で停止及び開始することを意味することを意図する。例えば、化合物1の断続的投与は、1週間に1〜6日間の投与であり、サイクル投与(例えば、28日間のサイクルの1〜10日間の連続日の間に毎日投与し、次いで、28日間のサイクルの残りの期間は投与を伴わない休止期間であるか、または2〜8週間連続して毎日投与し、次いで、残りの期間は最長1週間の投与を伴わない休止期間である)、または隔日投与である。本明細書で使用される場合、「サイクリング」という用語は、化合物1などの治療用化合物を毎日または連続的に投与するが、休止期間があることを意味することを意図する。
【0072】
「有効量」は、それが投与される効果を達成するために十分な(例えば、疾患を治療する、または疾患もしくは状態の1つ以上の症状を軽減する)量である。これにより、本明細書に記載される化合物の「量」の投与は、所望の治療結果を達成するために「有効な量」の投与を指す。本明細書の目的のために本明細書に記載される化合物の「治療有効量」は、これにより当技術分野において既知のこのような考慮事項によって決定される。本明細書に記載される組成物の「治療有効量」という用語は、投与されるとき、本明細書に記載される疾患(例えば、AML)の1つ以上の症状を治療するために十分な組成物の量を指す。本明細書に記載される化合物の投与は、例えば、病状、年齢、性別、及び個体の体重などの因子に応じて決定することができる。治療有効量はまた、治療上有益な効果が、化合物1のいかなる毒性または有害な効果をも上回ることを指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」は、対象が本明細書に記載される疾患(例えば、AMLを含む白血病)の疑いがあるか、診断されたか、または罹患している間に生じる、疾患の重篤度または症状を軽減するか、または疾患の進行もしくは症状を遅延させるか、あるいは遅らせる行為を企図する。
【0074】
「対象」、「患者」、「それを必要とする対象」、及び「それを必要とする患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本明細書に記載される組成物の投与によって治療することができる本明細書に記載される1つ以上の疾患(例えば、AML)に罹患している、生存生物を指す。生物の非限定的な例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及び他の非哺乳類動物が含まれる。実施形態では、対象はヒトである。ヒト対象は、約1歳〜約100歳の間の年齢であり得る。実施形態では、本明細書中の対象は、治療される疾患によって特徴付けることができる(例えば、「AML対象」、「がん対象」、または「白血病対象」)。
【0075】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、及び「予防(prevention)」という用語は、疾患または障害、またはその1つ以上の症状の発症、再発または蔓延の予防を指す。「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、患者が特定の疾患または障害またはその症状に罹患し始める前に起こる、疾患または障害の重篤度を阻害または軽減する行為を企図する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に支持の無い限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、既に疾患または障害に罹患している患者における特定の疾患もしくは障害の再発を予防すること、あるいは疾患または障害に罹患している患者が寛解期に留まる時間を延ばすことを包含する。本用語は、疾患または障害の閾値、発症または持続時間の調節すること、もしくは患者が疾患または障害に応答する方法の変更することを包含する。
【0077】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「約」という用語は、組成物もしくは投与形態の用量、量、または重量パーセントに関連して使用されるとき、特定の用量、量または重量パーセントが得られものと同等の薬理学的効果を提供するために、当業者によって認識される用量、量または重量パーセントを包含することを意味する。具体的には、「約」という用語は、特定の用量、量、または重量パーセントの30%、25%、20%、15%、10%、または5%以内の用量、量、または重量パーセントを包含する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、かつ他で特に定めない限り、「安定した」という用語は、製剤または投与形態に関連して使用されるとき、製剤または投与形態の有効成分が特定の時間量の間に可溶化したままであり、著しく分解または凝集せず、ないしは別に方法で変質しない(例えば、例としてHPLCによって決定されるように)ことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物の約70%以上、約80%以上、または約90%以上が特定期間後に可溶化したままである。安定性はまた、本明細書に記載される医薬的に許容される賦形剤の適合性を指すこともできる。したがって、投与形態は、本明細書に記載される組み合わされた医薬的に許容される賦形剤と活性薬剤(複数可)とが、本明細書に記載される活性薬剤の有効性または治療値を低下ないしは別の方法で修正(例えば、反応)しない場合に、安定であると見なすことができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、悪性であろうとまたは良性であろうと、全ての新生物細胞成長及び増殖、ならびに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。本明細書で使用される場合、「新生物」は、異常な組織増殖をもたらす、悪性であろうとまたは良性であろうと、調節不全もしくは制御されていない細胞増殖を指す。したがって、「新生物細胞」は、調節不全もしくは制御されていない細胞増殖を有する悪性及び良性の細胞を含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「血液悪性腫瘍」は、身体の血液形成及び免疫系、つまり骨髄及びリンパ組織のがんを指す。このようながんには、白血病、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、ホジキン病(ホジキンリンパ腫とも称される)、及び骨髄腫が挙げられる。一実施形態では、骨髄腫は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛状細胞性白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV1)白血病、肥満細胞症、またはB細胞急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、リンパ腫は、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、B細胞免疫芽球性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV−1)白血病/リンパ腫、成人T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、AIDS関連リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に豊富型大細胞型B細胞性リンパ腫、形質転換リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫、リヒター(Richter’s)トランスフォーメーション、結節部辺縁帯リンパ腫、またはALK陽性大細胞型B細胞性リンパ腫である。一実施形態では、血液癌は、例えば、DLBCL、濾胞性リンパ腫、または辺縁帯リンパ腫を含む緩慢性リンパ腫である。
【0081】
「白血病」という用語は、血液形成組織の悪性新生物を指す。白血病には、限定されるものではないが、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性骨髄芽球性白血病が挙げられる。白血病は再発し、従来の療法に対して不応性または耐性である可能性がある。
【0082】
「骨髄異形成症候群」という用語は、血液の細胞成分(赤血球、白血球(リンパ球以外)及び血小板(またはそれらの前駆細胞、巨核球))のうちの1つ以上の生成異常を特徴とする血液学的状態を指し、以下の障害、すなわち、不応性貧血(RA);環状鉄芽球を伴うRA(RARS);過剰な芽細胞を伴うRA(RAEB);多発性硬化症を伴う不応性細胞減少(RCMD)、一線性異形成を伴う不応性細胞減少(RCUD);分類不能な骨髄異形成症候群(MDS−U)、単離されたdel(5q)染色体異常に関連する骨髄異形成症候群、治療関連骨髄新生物及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)を含む。
【0083】
本明細書で使用される場合、「前骨髄球性白血病」または「急性前骨髄球性白血病」は、骨髄系の細胞において成熟した血球が欠乏しており、前骨髄球と呼ばれる過剰の未成熟細胞が存在する骨髄の悪性腫瘍を指す。これは、通常、染色体15及び17の領域の交換によって印付けられる。
【0084】
本明細書で使用される場合、「急性リンパ芽球性白血病」としても知られる「急性リンパ球性白血病(ALL)」は、初期非神経白血球またはリンパ球の異常な増殖及び発達によって引き起こされる悪性疾患を指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、「T細胞白血病」は、Tリンパ球またはT細胞と呼ばれるリンパ系のある特定の細胞が悪性である疾患を指す。T細胞は、通常、ウイルス感染細胞、外来細胞、及びがん細胞を攻撃し、免疫応答を調節する物質を産生する白血球である。
【0086】
「再発した」という用語は、療法後に白血病を寛解させた患者が、骨髄中に戻った白血病細胞を有し、及び正常な血液細胞を減少させる状況を指す。
【0087】
「不応性または耐性」という用語は、患者が、集中治療後であっても、それらの骨髄において、残存する白血病細胞を有する状況を指す。
【0088】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸及び他の化合物についての略語は、他で特に支持されない限り、それらの一般的な使用、認識される略語、または生化学命名法に関するIUPAC−IUB委員会(IUPACIUB Commission on Biochemical Nomenclature)に従う(Biochem.1972,11:942 944を参照のこと)。
【0089】
6.2 2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体
一実施形態では、化合物1は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体A型、B型、C型、D型、E型または非晶質体である。2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体は、「SOLID FORMS OF 2−(4−CHLOROPHENYL)−N−((2−(2,6−DIOXOPIPERIDIN−3−YL)−1−OXOISOINDOLIN−5−YL)METHYL)−2,2−DIFLUOROACETAMIDE, AND THEIR PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS AND USES」と題された、本出願と同時期に出願された米国仮特許出願に記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体を、本明細書に簡単に記載する。
【0090】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドのA型
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1のA型から調製される。
【0091】
一実施形態では、A型は、化合物1の無水形態である。別の実施形態では、化合物1のA型は結晶質である。
【0092】
ある特定の実施形態では、A型は、ある特定の溶媒系、例えば以下の溶媒、すなわち、アセトン及びイソプロパノールと水との室温での溶媒混合物のうち1つ以上を含む溶媒系からの結晶化によって得られる。ある特定の実施形態では、A型は、エタノール/水(1:1)、アセトンまたはアセトニトリル中で、高温、例えば約50℃でスラリーから中間体固形形態として得られる。
【0093】
ある特定の実施形態では、A型は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶質である。一実施形態では、化合物1のA型は、実質的に図2に示すX線粉末回折パターンを有する。
【0094】
一実施形態では、化合物1のA型は、図2に描写するように、約11.5、15.6、16.6、17.2、18.1、19.0、19.6、21.1、23.2または24.8度2θの2−シータ角で1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のA型は、約15.6、16.6、17.2または24.8度2θの2−シータ角で、1、2、3または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のA型は、表1に示すように、1、2、3、4、5、6または7個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のA型は、表1に示すように、1、2、または3個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0095】
一実施形態では、化合物1のA型は、図3に示すSEM写真を有する。
【0096】
一実施形態では、化合物1の結晶質形態は、図4に示すような代表的なTGAサーモグラムに実質的に相応する熱重量(TGA)サーモグラフを有する。ある特定の実施形態では、A型についてのTGA重量損失は観察されない。
【0097】
一実施形態では、化合物1の結晶質のA型は、図5に描写するように、実質的に相応するDSCサーモグラムを有する。ある特定の実施形態では、A型は、229℃の開始温度及び118J/gの融解熱を有する溶融事象を含むDSCプロットによって特徴付けられる。
【0098】
ある特定の実施形態では、A型は、動的蒸気収着分析によって特徴付けられる。代表的な動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを図6に示す。ある特定の実施形態では、相対湿度(「RH」)が約0%から約90%RHまで増加するとき、A型は1.5%未満、1.2%未満、または約1.2重量%(%w/w)の水取り込みを示す。ある特定の実施形態では、A型は、225℃で設定されたオーブン試料処理装置を備えたカール・フィッシャー(KF)電量滴定装置で決定される0.1%未満の水分を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、H NMRによって、A型についての著しい分解または残留溶媒は観察されない(図7)。
【0100】
ある特定の実施形態では、化合物1のA型は、圧縮時のその安定性プロファイルによって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、2000psiの圧力を約1分間加えると、A型は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、よりブロードの回折ピークを伴い、実質的に変化しないままである(図8)。
【0101】
さらに別の実施形態では、化合物1のA型は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なA型は、他の固形形態、例えば非晶質形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なA型の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0102】
ある特定の実施形態では、化合物1のA型は実質的に純粋である。本明細書のある特定の実施形態では、化合物1のA型は、例えば、B型、C型、D型、E型及び/または化合物1を含む非晶質固形形態が含まれる化合物1を含む他の固形形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、A型は、化合物1を含む固形形態の混合物であり、例えば、以下の、B型、C型、D型、E型及び化合物1を含む非晶質固形形態のうちの1つ以上を含む混合物を含める、化合物1を含む固形形態の混合物である。
【0103】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドのB型
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1の無水型Bから調製される。
【0104】
ある特定の実施形態では、B型は、ある特定の溶媒系、例えば、以下の溶媒:メタノール/水、DMSO/イソプロパノール、DMSO/トルエン、及びDMSO/水のうちの1つ以上を含む溶媒系からの貧溶媒再結晶(anti−solvent recrystallization)によって得られる。ある特定の実施形態では、B型は、THF/水(1:1)からの冷却再結晶によって得られる。
【0105】
ある特定の実施形態では、B型は、例えば、粉末X線回折測定によって示されるように、結晶質である。一実施形態では、化合物1のB型は、図9に示されるような実質的にX線粉末回折パターンを有する。
【0106】
一実施形態では、化合物1のB型は、図9に描写するように、約15.4、16.3、16.7、17.7、20.4、25.6または27.5度2θの2−シータ角で1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のB型は、約16.7、25.6、15.4または16.3度2θの2−シータ角で、1、2、3または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のB型は、表2に記載される1、2、3、4、5、6または7個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のB型は、表2に記載するように、1、2、または3個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0107】
一実施形態では、化合物1のB型は、図10に示すSEM写真を有する。一実施形態では、化合物1の結晶型は、図11に描写するような代表的なTGAサーモグラムに実質的に相応する熱重量(TGA)サーモグラフを有する。ある特定の実施形態では、B型は、170℃未満のTGA重量損失を示さない。ある特定の実施形態では、B型は、170〜230℃の間で0.4%のTGA重量損失を示す。
【0108】
一実施形態では、化合物1の結晶質型Bは、図12に描写するような実質的に相応するDSCサーモグラムを有する。ある特定の実施形態では、B型は、219〜224℃での溶融/再結晶事象と231℃のピーク温度での主要な溶融事象とを含むDSCプロットによって特徴付けられる。
【0109】
ある特定の実施形態では、B型は、動的蒸気収着分析によって特徴付けられる。代表的な動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを図13に示す。ある特定の実施形態では、相対湿度(「RH」)が約0%から約90%RHまで増加すると、B型は約1.4重量%(%w/w)の水取り込みを示す。ある特定の実施形態では、B型は、225℃で設定されたオーブン試料処理装置を備えたカール・フィッシャー(KF)電量滴定装置で測定して0.1%未満の水分を含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、B型は、H NMRによって著しい分解または残留溶媒を示さない(図14)。
【0111】
ある特定の実施形態では、化合物1のB型は、圧縮時のその安定性形状によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、2000psiの圧力を約1分間加えると、B型は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、よりブロードの回折ピークを伴い、実質的に変化しないままである(図15)。
【0112】
さらに別の実施形態では、化合物1のB型は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なB型は、他の固形形態、例えば、非晶質形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なB型の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0113】
ある特定の実施形態では、化合物1のB型は実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1のB型は、例えば、A型、C型、D型、E型、及び/または化合物1を含む非晶質固形形態が含まれる化合物1を含む他の固形形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、B型は、化合物1を含む固形形態の混合物であり、例えば以下:A型、C型、D型、E型、及び化合物1を含む非晶質固形形態のうちの1つ以上を含む混合物を含む。
【0114】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドのC型
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1の無水C型から調製される。ある特定の実施形態では、C型は、化合物1の結晶型の中で最も熱力学的に安定な無水物である。
【0115】
ある特定の実施形態では、C型は、化合物1をある特定の溶媒系、例えば、以下の溶媒、:アセトニトリル/水、アセトン、またはエタノール/水のうちの1つ以上を含む溶媒系中で長時間スラリー化することによって得られる。
【0116】
ある特定の態様では、C型は、例えば60〜80℃または70〜75℃の高温で少なくとも24時間、アセトン(30倍容量)中のB型(1倍重量)をスラリー化し、混合物を室温に冷却することによって得られる。一態様では、スラリー化は、50〜55psiの窒素圧下で、70〜75℃の温度で行われる。一態様では、混合物は、少なくとも6時間にわたって室温に冷却される。
【0117】
ある特定の実施形態では、C型は、例えば、粉末X線回折測定によって示されるように、結晶質である。一実施形態では、化合物1のC型は、図16に実質的に示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0118】
一実施形態では、化合物1のC型は、図16に描写するように、約7.4、11.5、15.8、16.7、16.9、17.7、18.4、19.2、19.5、21.1、23.4、24.7、または29.9度2θの2−シータ角において1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のC型は、約16.7、16.9、17.7または24.7度の2θの2−シータ角において、1、2、3または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のC型は、表3に記載される1、2、3、4、5、6または7個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のC型は、表3に記載される、1、2、または3個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0119】
一実施形態では、化合物1のC型は、図17に示すSEM写真を有する。一実施形態では、化合物1の結晶質型は、図18に示すような代表的なTGAサーモグラムに実質的に相応する熱重量(TGA)サーモグラフを有する。ある特定の実施形態では、C型は、TGAの重量減少を示さない。
【0120】
一実施形態では、化合物1の結晶質C型は、図19に実質的に相応するDSCサーモグラムを有する。ある特定の実施形態では、C型は、232℃の開始温度及び126J/gの融解熱を有する融解事象を含むDSCプロットによって特徴付けられる。
【0121】
ある特定の実施形態では、C型は、動的蒸気収着分析によって特徴付けられる。代表的な動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを図20に示す。ある特定の実施形態では、相対湿度(「RH」)が約0%から約90%RHまで増加するとき、C型は約0.6%w/wの水取り込みを示す。ある特定の実施形態では、C型は、225℃に設定されたオーブン試料処理装置を備えたカール・フィッシャー(KF)電量滴定装置で測定して0.1%未満の水を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、C型は、H NMR(図21)によって著しい分解または残留溶媒を示さない。
【0123】
ある特定の実施形態では、化合物1のC型は、圧縮時のその安定性形状によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、2000psiの圧力を1分間加えると、C型は安定であり、すなわち、そのXRPDパターンは、よりブロードの回折ピークを伴い、実質的に変化しないままである(図22)。
【0124】
さらに別の実施形態では、化合物1のC型は実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なC型は、他の固形形態、例えば非晶質形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なC型の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0125】
ある特定の実施形態では、化合物1のC型は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1のC型は、例えば、A型、B型、D型、E型、及び/または化合物1を含む非晶質固形形態が含まれる化合物1を含む他の固形形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、C型は、化合物1を含む固形形態の混合物であり、例えば、以下:A型、B型、D型、E型、及び化合物1を含む非晶質固形形態のうちの1つ以上を含む混合物を含む。
【0126】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドのD型
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1のD型から調製される。ある特定の実施形態では、化合物1のD型は、DMSO溶媒和物である。
【0127】
ある特定の実施形態では、D型は、B型をDMSO/メチルイソブチルケトン中で加熱し、溶液を冷却することによって得られる。
【0128】
ある特定の実施形態では、D型は、例えば、粉末X線回折測定によって示されるように、結晶質である。一実施形態では、化合物1のD型は、図23に示されるように実質的にX線粉末回折パターンを有する。
【0129】
一実施形態では、化合物1のD型は、図23に描写するように、約14.1、14.3、18.8、19.1、23.6または24.0度の2θの2−シータ角において1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のD型は、約14.1、14.3、18.8または19.1度2θの2−シータ角において1、2、3または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のD型は、表4に記載する1、2、3、4、5、6または7個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のD型は、表4に記載される1、2または3個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0130】
一実施形態では、図24に描写するような代表的なTGAサーモグラムに実質的に相応する熱重量(TGA)サーモグラフを有する化合物1の結晶質型が提供される。ある特定の実施形態では、D型は、最高140℃で約14.1%のTGA重量損失を示す。
【0131】
ある特定の実施形態では、D型は、ガスクロマトグラフィーで測定するとき、約14.3重量%でDMSOを含む。
【0132】
さらに別の実施形態では、化合物1のD型は実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なD型は、他の固形形態、例えば非晶質形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なD型の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0133】
ある特定の実施形態では、化合物1のD型は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1のD型は、例えば、A型、B型、C型、E型、及び/または化合物1を含む非晶質固形形態が含まれる化合物1を含む他の固形形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、D型は、化合物1を含む固形形態の混合物であり、例えば以下:A型、B型、C型、E型、及び化合物1を含む非晶質固形形態のうちの1つ以上を含む混合物を含む。
【0134】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドのE型
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1のE型から調製される。ある特定の実施形態では、化合物1のE型は、DMSO溶媒和物である。
【0135】
ある特定の実施形態では、E型は、DMSO/MIBKまたはDMSO/IPAまたはDMSO/アニソール中のC型から室温で得られる。
【0136】
ある特定の実施形態では、E型は、例えば、粉末X線回折測定によって示されるように、結晶質である。一実施形態では、化合物1のE型は、図25に示されるような実質的にX線粉末回折パターンを有する。
【0137】
一実施形態では、化合物1のE型は、図25に描写するように、約10.5、12.5、16.1、17.0、18.5、21.2、21.7、22.6、22.9、23.4、23.8、24.1、25.1または26.7度2θの2−シータ角において1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のE型は、約16.1、17.0、21.2または22.9度の2θの2−シータ角において、1、2、3または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のE型は、表5に記載される1、2、3、4、5、6または7個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態では、化合物1のE型は、表5に記載される1、2または3個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0138】
一実施形態では、図26に描写される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相応する熱重量(TGA)サーモグラフを有する化合物1の結晶質型が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、E型は、最高120℃で約19.4%のTGA重量損失を示す。ある特定の実施形態では、E型は、120〜220℃の間で24.9%の追加の重量損失を示す。
【0139】
一実施形態では、化合物1のE型は実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なE型は、他の固形形態、例えば非晶質形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、化合物1の実質的に純粋なE型の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0140】
ある特定の実施形態では、化合物1のE型は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、化合物1のE型は、例えば、A型、B型、C型、D型、及び/または化合物1を含む非晶質固形形態が含まれる化合物1を含む他の固形形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、E型は、化合物1を含む固形形態の混合物であり、例えば以下:A型、B型、C型、D型、及び化合物1を含む非晶質固形形態のうちの1つ以上を含む混合物を含む。
【0141】
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの非晶質形態
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、非晶質化合物1を含む。
【0142】
ある特定の実施形態では、THF及び水中の化合物1を加熱し、溶液を冷却することによって非晶質形態を生成する方法が本明細書に提供される。
【0143】
一実施形態では、図27に描写される変調DSCサーモグラムを有する化合物1の非晶質固形形態が本明細書に提供される。
【0144】
一実施形態では、非晶質化合物1は、図28に示されるような実質的にX線粉末回折パターンを有する。
【0145】
一実施形態では、非晶質化合物1は、実質的に図29に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0146】
さらに別の実施形態では、非晶質化合物1は実質的に純粋である。ある特定の実施形態では、実質的に純粋な非晶質化合物1は、他の固形形態、例えば、A型、B型、C型、D型またはE型を実質的に含まない。特定の実施形態では、実質的に純粋な非晶質化合物1の純度は、約95%以上純粋、約96%以上純粋、約97%以上純粋、約98%以上純粋、約98.5%以上純粋、約99%以上純粋、約99.5%以上純粋、または約99.8%以上純粋である。
【0147】
6.3 例示的な製剤
化合物1の安定な凍結乾燥製剤が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤は2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの固形形態を含む。一実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの非晶質形態を含む。
【0148】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、化合物1、緩衝液、及び増量剤を含む。一実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1〜2%の化合物1、約2〜15%の緩衝液、及び約70〜95%の増量剤を含む。
【0149】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.1〜約2%の量で化合物1を含む。ある特定の実施形態では、化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1%〜約1.5%、約0.1%〜約1%、または約0.35%〜約0.9%である。ある特定の実施形態では、化合物1の量は、化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約0.1%、0.2%、0.3%、0.35%、0.36%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1.0%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.3〜約0.4%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.36%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.9〜約1%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の化合物1の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約0.93%である。
【0150】
別の態様は、化合物1を20ccのバイアル中に約0.1mg〜約5mgの量で含む凍結乾燥製剤である。さらに別の態様は、化合物1を20ccのバイアル中に約0.1mg〜約5mg、約0.1mg〜約4mg、約0.1mg〜約3mg、約0.1mg〜約2mg、約0.5mg〜約5mg、約0.5mg〜約3mg、約0.5mg〜約2mg、約0.5mg〜約1.5mgの量で含む凍結乾燥製剤がある。一態様では、化合物1は、20ccのバイアル中に約0.5、0.6、0.7、0.75、0.76、0.8、0.9、1.0、1.2mgの量で存在する。一態様では、化合物1は、20ccのバイアル中に約0.76mgの量で存在する。一態様では、化合物1は、20ccのバイアル中に約1mgの量で存在する。
【0151】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、クエン酸塩緩衝液を含有する。一態様では、本明細書に提供される製剤中のクエン酸塩緩衝液の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約5%〜約25%である。一態様では、本明細書に提供される製剤中のクエン酸塩緩衝液の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約10、11、12、12.5、12.7、12.78、12.8、13、14、15、16、17、17.3、17.42、17.5、17.7、18、19または20%である。一態様では、本明細書に提供される製剤中のクエン酸塩緩衝液の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約12.78%である。一態様では、本明細書に提供される製剤中のクエン酸塩緩衝液の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約17.42%である。
【0152】
一実施形態では、クエン酸塩緩衝液は、無水クエン酸と無水クエン酸ナトリウムとを含む。ある特定の実施形態では、無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約2%〜約10%、約3%〜約9%、約5%〜約8%または約6%〜約8%である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量を基準にして、約2%、4%、6%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7%、7.3%、7.4%、7.5%、8%、8.5%または9%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約6%、6.2%、6.4%、6.41%、6.6%、6.8%または7%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約7%、7.3%、7.4%、7.43%、7.5%または8%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約6.41%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約7.43%である。
【0153】
さらに別の態様では、20ccのバイアル中に約5mg〜約20mgの量の無水クエン酸を含む凍結乾燥製剤である。一実施形態では、無水クエン酸の量は、20ccのバイアル中に約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mgである。一実施形態では、無水クエン酸の量は、20ccのバイアル中に約17.7mgである。一実施形態では、無水クエン酸の量は、20ccのバイアル中に約6.1mgである。
【0154】
ある特定の実施形態では、無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約2%〜約15%、約4%〜約15%または約5%〜約10%である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約2%、3%、4%、5%、6%、6.2%、6.37%、6.4%、6.6%、6.8%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、12%または約15%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約6%、6.2%、6.37%、6.4%、6.6%、6.8%または7%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約8%、8.5%、9%、9.5%、9.99%、10%または10.5%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約6.37%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約9.99%である。
【0155】
さらに別の態様では、20ccのバイアル中に約5mg〜約20mgの量の無水クエン酸ナトリウムを含む凍結乾燥製剤である。一実施形態では、無水クエン酸ナトリウムの量は、20ccのバイアル中に約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mgである。一実施形態では、無水クエン酸ナトリウムの量は、20ccのバイアル中に約17.6mgである。一実施形態では、無水クエン酸ナトリウムの量は、20ccのバイアル中に約8.2mgである。
【0156】
ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は、約2%、4%、6%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7%、7.3%、7.4%、7.5%、8%、8.5%または9%であり、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は、約2%、3%、4%、5%、6%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、12%または15%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は約6%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%または7%であり、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は約6%、6.2%、6.4% 、6.6%、6.8%または7%である。一実施形態では、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸の量は約7%、7.3%、7.4%、7.5%または8%であり、凍結乾燥製剤中の無水クエン酸ナトリウムの量は約8%、8.5%、9%、9.5%、10%または10.5%である。一実施形態では、20ccバイアル中に、無水クエン酸の量は約6.1mgであり、無水クエン酸ナトリウムの量は約8.2mgである。一実施形態では、20ccバイアル中に、無水クエン酸の量は約17.7mgであり、無水クエン酸ナトリウムの量は約17.6mgである。
【0157】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤中の増量剤は、Captisol(登録商標)、マンニトール、またはKleptose(登録商標)、例えばβ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、及びメチル化β−シクロデキストリンを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤中の増量剤は、Kleptose(登録商標)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(Kleptose(登録商標)HPB)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物中の増量剤の量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、約70%〜約95%、約75%〜約90%、または約80%〜約90%である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物中のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの量は、凍結乾燥製剤の全重量に基づいて、約70%〜約95%、約75%〜約90%、または約80%〜約90%である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物中のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの量は、凍結乾燥製剤の全重量に基づいて、約75%、80%、81%、81.61%、82%、83%、84%、85%、86%、86.86%、87%、88%、89%または90%である。一実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物中のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約86.86%である。一実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物中のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの量は、凍結乾燥製剤の総重量に基づいて約81.61%である。
【0158】
別の態様では、20ccのバイアル中に約67mgの量のKleptose(登録商標)HPBを含む凍結乾燥製剤である。さらに別の態様では、20ccのバイアル中に約240mgの量のKleptose(登録商標)HPBを含む凍結乾燥製剤である。
【0159】
ある特定の実施形態では、再構成時の凍結乾燥製剤は、約4〜5のpHを有する。一実施形態では、再構成時の凍結乾燥製剤は、約4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5のpHを有する。
【0160】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥組成物を含む容器が本明細書に提供される。一態様では、容器はガラスバイアルである。一態様では、容器は20ccのガラスバイアルである。
【0161】
ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、表21に記載されるような組成を有する。ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、表34に記載されるような組成を有する。
【0162】
本明細書に記載される化合物1の凍結乾燥製剤は、限定されるものではないが、本明細書に記載される方法が含まれる化合物1を送達するための標準的な治療方法を用いて、投与を必要としている患者に投与することができる。一実施形態では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、医薬的に許容される溶媒中で再構成されて医薬的に許容される溶液を生成し、この溶液が患者に投与される(静脈注射などによって)。
【0163】
本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、任意の医薬的に許容される希釈剤を用いて患者への非経口投与用に構成することができる。そのような希釈剤には、限定されるものではないが、注射用滅菌水(SWFI)、水中のデキストロース5%(D5W)、または共溶媒系が挙げられる。任意の量の希釈剤を使用して、注射に好適な溶液が調製されるように凍結乾燥製剤を構成することができる。したがって、希釈剤の量は、凍結乾燥製剤を溶解するために十分でなければならない。一実施形態では、1〜5mLまたは1〜3mLの希釈剤を用いて、凍結乾燥製剤を構成し、約0.1〜5mg/mL、約0.1〜1mg/mL、約0.5〜1mg/mLの化合物1の最終濃度をもたらす。ある特定の実施形態では、再構成溶液中の化合物1の最終濃度は、約0.5mg/mLである。ある特定の実施形態では、再構成希釈剤の容量は、2ml〜20mlの間で変化し、0.05〜0.5mg/mLの最終濃度をもたらす。ある特定の実施形態では、必要な用量に応じて、複数のバイアルが再構成に使用されてもよい。
【0164】
凍結乾燥製剤の構成された溶液は、最長約24時間以内、約12時間以内または約8時間以内で保管及び使用することができる。いくつかの実施形態では、溶液は、調製から8時間以内に使用される。いくつかの実施形態では、溶液は、調製から5時間以内に使用される。いくつかの実施形態では、溶液は、調製から1時間以内に使用される。
【0165】
凍結乾燥製剤は、表21及び/または表34に記載される製剤とすることができる。したがって、ある特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、表21及び/または表34の表記(例えば、製剤IA、製剤IC、製剤II、製剤III、製剤IXまたは製剤ID)で表される。一実施形態では、製剤は製剤IXである。一実施形態では、製剤は製剤ICである。一実施形態では、製剤は製剤IDである。
【0166】
一態様では、20ccのバイアル中に、本明細書に記載される、1mgを提供する量での化合物1、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドと、本明細書に記載される緩衝液と増量剤とを含む医薬的に許容される担体または賦形剤を含む凍結乾燥製剤が本明細書に提供される。緩衝液及び増量剤は、本明細書に記載される量で存在することができる。
【0167】
一態様では、20ccのバイアル中に、本明細書に記載される、1mgを提供する量での化合物1、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドと、17.7mgの無水クエン酸と、17.6mgの無水クエン酸ナトリウムと、240mgのHPBとを含む凍結乾燥製剤が本明細書に提供される。一実施形態では、20ccバイアル中の凍結乾燥製剤は、2mLの注射用滅菌水で再構成される。
【0168】
一態様では、本明細書に提供される凍結乾燥製剤を含む水性組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、水溶液は0.5mg/mLの化合物1を含む。
【0169】
6.4 製剤を製造ためのプロセス
本明細書に提供される凍結乾燥製剤は、当該分野においてきちであり、かつ本明細書に記載される方法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1つ以上の必要な成分(緩衝液及び増量剤など)を構成する医薬的に許容される賦形剤と関連付けるように持っていく工程を含む。
【0170】
一態様では、本明細書に提供される製剤は、化合物1及び増量剤をクエン酸塩緩衝液に溶解して溶液を得ることと、溶液を凍結乾燥することとによって調製される。例示的なプロセスを図示するフローチャートが図32に提示されている。一実施形態では、本方法は、20mMのクエン酸塩緩衝液(pH4.3)にKleptose(登録商標)HPBを溶解して混合物を得ることと、本混合物にDMAに溶解した化合物1を添加して溶液を得ることと、本溶液を20ccのバイアルに濾過して凍結乾燥することとを含む。一実施形態では、本溶液は、1つ以上の0.45μm及び/または0.22μmのフィルタを通して濾過される。一実施形態では、凍結乾燥後にバイアルは窒素下で密封される。
【0171】
一態様では、凍結乾燥プロセスは、凍結、一次乾燥、及び二次乾燥の3段階を含有する。液体製剤は、凍結段階を通して完全凝固、一次乾燥による氷及び溶媒の昇華、及び二次乾燥による残留水分及び溶媒の脱着を進めることによって、凍結乾燥粉末形態に変換される。一次乾燥及び二次乾燥における棚温度及びチャンバ圧力は、最終製品の所望の品質が得られるように制御される。本方法の一態様では、ケーキの外観及び構造は目視検査によって特徴付けられた。
【0172】
6.5 キット
本明細書に提供される医薬組成物もしくは投与形態を含む医薬パックまたはキットも提供される。例示的なキットは、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を監督する政府機関によって定められた形式による注意書きを含み、この注意書きは、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に対する政府機関の認可を示している。
【0173】
6.6 治療方法
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を患者に投与することを含む、がんを治療及び予防する方法が本明細書に提供される。
【0174】
別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を患者に投与することを含む、がんを管理する方法が本明細書に提供される。
【0175】
がんについて以前に治療されているが、標準治療に非対応な患者、ならびに以前に治療されていない患者を治療する方法もまた、本明細書において提供される。本発明はまた、患者の年齢に関係なく患者を治療する方法を包含するが、ある特定の年齢群における一部の疾患または障害がより一般的である。本発明はさらに、問題の疾患または病態を治療しようと試みて手術を受けた患者、ならびに手術を受けていない患者を治療する方法を包含する。がん患者は、異なる臨床症状及び様々な臨床転帰を有するので、患者に供与される治療は、予後に応じて変化し得る。熟練した臨床医は、がんを有する個々の患者の治療に効果的に使用できる、ある特定の二次薬剤、手術の種類、及び非薬物ベースの標準療法の種類を、過度な実験なしで容易に決定することができる。
【0176】
本明細書中で使用される場合、「がん」という用語は、限定されるものではないが、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含む。「がん」という用語は、皮膚組織、器官、血液、及び脈管の疾患を指し、膀胱、骨、血液、脳、乳房、頸部、胸部、結腸、子宮内膜(endrometrium)、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、首、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽頭、及び子宮のがんが挙げられるが、これらに限定されない。特定のがんには、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経芽膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺腫、第3期及び第4期を含む結腸直腸癌、切除不可能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維異形成症、ホルモン不応性前立腺癌、切除ハイリスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン不応性前立腺癌、化学療法不応性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び平滑筋腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は転移性である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は薬剤耐性である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、肝細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、または膠芽細胞腫である。
【0178】
ある特定の実施形態では、がんは血液由来腫瘍である。ある特定の実施形態では、血液由来腫瘍は転移性である。ある特定の実施形態では、血液由来腫瘍は薬剤耐性である。ある特定の実施形態では、がんは白血病である。
【0179】
一実施形態では、本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される治療有効量の凍結乾燥製剤を投与することによって、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び急性骨髄芽球性白血病(AML)などの様々な種類の白血病の治療、予防及び/または管理することを包含する。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象における急性白血病を治療、予防及び/または管理することを包含する。いくつかの実施形態では、急性白血病は急性骨髄性白血病(AML)であり、未分化型AML(M0)、骨髄芽球性白血病(M1)、骨髄芽球性白血病(M2)、前骨髄球性白血病(M3またはM3変異型[M3V])、骨髄単球性白血病(好酸球増多を伴うM4またはM4変異型[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、及び巨核芽球性白血病(M7)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、急性骨髄性白血病は未分化型AML(M0)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は骨髄芽球性白血病(M1)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は骨髄芽球性白血病(M2)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は前骨髄球性白血病(M3またはM3変異型[M3V])である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は骨髄単球性白血病(好酸球増多を伴うM4またはM4変異型[M4E])である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は単球性白血病(M5)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は赤白血病(M6)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は巨核芽球性白血病(M7)である。
【0181】
ある特定の実施形態では、対象における急性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理する方法は、急性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な、本明細書に記載される化合物1の凍結乾燥製剤の量を単独でまたは併用して対象に投与する工程を含む。
【0182】
一実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤の静脈内投与による急性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤が水に溶解されて、本明細書に提供される急性骨髄性白血病の治療、予防及び/または管理する方法における静脈内投与用の水溶液を形成する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本方法は、急性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な量で、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を第2の活性薬剤と併用して対象に投与する工程を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象における急性リンパ性白血病(ALL)を治療、予防及び/または管理することを包含する。いくつかの実施形態では、急性リンパ球性白血病には、骨髄の芽球細胞(B細胞)、胸腺(T細胞)、及びリンパ節に由来する白血病が挙げられる。急性リンパ性白血病は、L1−成熟出現リンパ芽球(T細胞またはプレB細胞)、L2−未成熟及び多形性(様々な形状の)リンパ芽球(T細胞またはプレB細胞)、ならびにL3−リンパ芽球(B細胞、バーキット細胞)として、フランス−アメリカ−イギリス(FAB)形態分類スキームに従って分類することができる。一実施形態では、急性リンパ球性白血病は、骨髄の芽球細胞(B細胞)に由来する。一実施形態では、急性リンパ球性白血病は胸腺(T細胞)に由来する。一実施形態では、急性リンパ球性白血病はリンパ節に由来する。一実施形態では、急性リンパ球性白血病は、成熟したリンパ芽球(T細胞またはプレB細胞)によって特徴付けられるL1型である。一実施形態では、急性リンパ球性白血病は、未成熟及び多形性(様々な形状の)リンパ芽球(T細胞またはプレB細胞)によって特徴付けられるL2型である。一実施形態では、急性リンパ球性白血病は、リンパ芽球(B細胞、バーキット細胞)によって特徴付けられるL3型である。ある特定の実施形態では、急性リンパ球性白血病はT細胞白血病である。一実施形態では、T細胞白血病は末梢T細胞白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、T細胞リンパ芽球性白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、皮膚T細胞白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、成人T細胞白血病である。したがって、対象における急性リンパ球性白血病を治療、予防及び/または管理するための方法は、急性リンパ球性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な本明細書に提供される量の凍結乾燥製剤の化合物1を単独でまたは第2の活性薬剤と併用して対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を第2の活性薬剤と併用して、急性リンパ球性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な量で対象に投与する工程を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象における慢性骨髄性白血病(CML)を治療、予防及び/または管理することを包含する。本方法は、慢性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤の量を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を第2の活性薬剤と併用して、慢性骨髄性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な量で対象に投与する工程を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象における慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療、予防及び/または管理することを包含する。本方法は、慢性リンパ球性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤の量を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を第2の活性薬剤と併用して、慢性リンパ球性白血病を治療、予防及び/または管理するために有効な量で対象に投与する工程を含む。
【0187】
ある特定の実施形態では、腎機能障害を有する患者の疾患を治療、予防及び/または管理する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、腎機能障害を有する患者のがんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、限定されるものではないが、疾患、老化、または他の患者因子による腎機能障害を有する患者のための適切な用量調整を提供する方法が本明細書に提供される。
【0188】
ある特定の実施形態では、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、予後因子を用いる、限定されるものではないが、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)が含まれる、非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療及び/または管理方法が本明細書に提供される。
【0189】
ある特定の実施形態では、腎機能障害またはその症状を有する患者における再発した/不応性多発性骨髄腫が含まれる多発性骨髄腫を治療、予防及び/または管理する方法が本明細書に提供され、本方法は、腎機能障害を有する再発した/難治性多発性骨髄腫を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を投与することを含む。
【0190】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を投与することによって骨髄異形成症候群(MDS)を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。本方法は、治療有効量の本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を対象に投与する工程を含む。一実施形態では、MDSは再発した、耐性または不応性MDSである。一実施形態では、MDSは、不応性貧血(RA);環状鉄芽球を伴うRA(RARS);過剰な芽球細胞を伴うRA(RAEB);多発性硬化症を伴う不応性細胞減少(RCMD)、一線性異形成を伴う不応性細胞減少(RCUD);分類不能な骨髄異形成症候群(MDS−U)、単離されたdel(5q)染色体異常に関連する骨髄異形成症候群、治療関連骨髄新生物及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)から選択される。
【0191】
ある特定の実施形態では、化合物1の治療有効量または予防有効量は、1日当たり約0.005〜約1,000mg、1日当たり約0.01〜約500mg、1日当たり約0.01〜約250mg、1日当たり約0.01〜約100mg、1日当たり約0.1〜約100mg、1日当たり約0.5〜約100mg、1日当たり約1〜約100mg、1日当たり約0.01〜約50mg、1日当たり約0.1〜約50mg、1日当たり約0.5〜約50mg、1日当たり約1〜約50mg、1日当たり約0.02〜約25mg、1日当たり約0.05〜約10mg、1日当たり約0.05〜約5mg、1日当たり約0.1〜約5mg、または1日当たり約0.5〜約5mgである。
【0192】
ある特定の実施形態では、治療有効量または予防有効量は、1日当たり約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、または約150mgである。一部のこのような実施形態では、治療有効量または予防有効量は、1日当たり約2、約3、約4、約5、約6または約7mgである。
【0193】
一実施形態では、本明細書に記載された病態に対する、化合物1の推奨される1日の用量範囲は、1日当たり約0.05mg〜約50mgの範囲内、好ましくは1日1回の単回用量として、または1日を通して分割した用量として与えられる。いくつかの実施形態では、投与量は、1日当たり約1mg〜約50mgの範囲である。他の実施形態では、投与量は、1日当たり約0.5〜約5mgの範囲である。1日当たりの特定の用量には、1日当たり0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50mgが挙げられる。
【0194】
具体的な実施形態では、推奨される開始時の投与量は、1日当たり0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25または50mgであってもよい。別の実施形態では、推奨される開始時の投与量は、1日当たり0.1、0.5、1、2、3、4、または5mgであってもよい。用量は、15、20、25、30、35、40、45及び50mg/日に段階的に増加させてもよい。ある特定の実施形態では、化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約25mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約10mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約5mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約4mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約3mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約2mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約1mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、AMLを含む白血病に罹患した患者に約0.5mg/日の量で投与することができる。
【0195】
具体的な実施形態では、化合物1は、MDSに罹患した患者に約25mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、MDSに罹患した患者に約10mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、MDSに罹患した患者に約5mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、MDSに罹患した患者に約4mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、MDSに罹患した患者に約3mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態において、本明細書に提供される化合物1は、MDSに罹患した患者に約2mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、MDSに罹患した患者に約1mg/日の量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1は、MDSに罹患した患者に約0.5mg/日の量で投与することができる。
【0196】
ある特定の実施形態では、治療有効量または予防有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、約0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、約0.01〜約1mg/kg/日、または約0.01〜約0.05mg/kg/日である。
【0197】
投与用量は、mg/kg/日以外の単位で表すこともできる。例えば、非経口投与のための用量はmg/m/日として表すことができる。当業者であれば、対象の身長または体重のいずれか、もしくはその両方を考慮に入れて、用量をmg/kg/日からmg/m/日に変換する方法を容易に知るであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトに対する1mg/kg/日の用量は、38mg/m/日にほぼ等しい。
【0198】
ある特定の実施形態では、投与される化合物1の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、または約1〜約20μMの範囲に及ぶ、定常状態での化合物の血漿濃度を提供するために十分なものである。
【0199】
他の実施形態では、投与される化合物1の凍結乾燥製剤の量は、約5〜約100nM、約5〜約50nM、約10〜約100nM、約10〜約50nM、または約50〜約100nMの範囲に及ぶ、定常状態での化合物の血漿濃度を提供するために十分なものでありる。
【0200】
本明細書で使用される場合、「定常状態での血漿濃度」という用語は、本明細書に提供される凍結乾燥製剤の投与期間後に到達する濃度である。定常状態に達すると、固形形態の血漿濃度の時間依存曲線上に小さなピーク及びトラフが存在する。
【0201】
ある特定の実施形態では、投与される化合物1の凍結乾燥製剤の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、または約1〜約20μMの範囲に及ぶ、化合物の最大血漿濃度(ピーク濃度)を提供するために十分なものである。
【0202】
ある特定の実施形態では、投与される化合物1の凍結乾燥製剤の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.01〜約25μM、約0.01〜約20μM、約0.02〜約20μM、約0.02〜約20μM、または約0.01〜約20μMの範囲に及ぶ、化合物の最小血漿濃度(トラフ濃度)を提供するために十分なものである。
【0203】
ある特定の実施形態では、投与される化合物1の凍結乾燥製剤の量は、約100〜約100,000nghr/mL、約1,000〜約50,000nghr/mL、約5,000〜約25,000ng時/mL、または約5,000〜約10,000ng時/mLの範囲に及ぶ、化合物の曲線下面積(AUC)を提供するために十分である。
【0204】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法のうちの1つを用いて治療される患者は、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤の投与前に抗がん療法で治療されていない。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法のうちの1つを用いて治療される患者は、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤の投与の前に抗がん療法で治療されている。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法のうちの1つを用いて治療される患者は、抗がん療法に対する薬剤耐性を発現している。
【0205】
本明細書で提供される方法は、患者の年齢に関係なく患者を治療することを包含するが、いくつかの疾患または障害は、ある特定の年齢群においてより一般的である。
【0206】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、例えば、単回ボーラス注射などの単回投与として、または、例えば、経時的な連続注入もしくは経時的な分割ボーラス投与など経時的に送達することができる。化合物1の凍結乾燥製剤は、患者の疾患もしくは退縮が安定するまで、または患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで、必要であれば繰り返して投与することができる。例えば、固形腫瘍について、疾患が安定するとは、一般に、測定可能な病変部の垂直直径(perpendicular diameter)が、最後の測定から25%以上増大していないことを意味する。固形腫瘍の治療効果評価基準(RECIST)ガイドライン(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)Guidelines)、Journal of the National Cancer Institute 92(3):205−216(2000)を参照のこと。疾患の安定またその欠如は、患者の症状の評価、理学的検査、X線、CAT、PET、またはMRIスキャンを使用して画像化される腫瘍の視覚化、及び他の一般に認められている評価様式など、当技術分野において既知の方法によって決定される。
【0207】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、1日1回(QD)、または1日量を複数回に分けて、例えば1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)、投与することができる。加えて、投与は、連続的(すなわち、連続した日数または毎日)、断続的、例えば、サイクルで(すなわち、薬物が投与されない休薬の日、週、または月が含まれる)であり得る。本明細書中で使用される場合、「毎日」という用語は、治療化合物を毎日、例えば、ある期間にわたって1日1回または2回以上投与されることを意味することを意図する。「連続的」という用語は、治療化合物が、少なくとも10日間〜52週間の中断されない期間に毎日投与することを意味することが意図される。本明細書で使用される場合、「断続的」または「断続的に」という用語は、規則的または不規則的のいずれかの間隔で停止及び開始を意味するものとする。例えば、化合物1の凍結乾燥製剤の断続的投与は、1週間当たり1〜6日間の投与、サイクルでの投与(例えば、28日のサイクルの連続した1〜10日間の毎日投与、次いで28日周期の残りの期間の投与を行わない休止期間、または連続した2〜8週の毎日投与、次いで1週間までの投与を行わない休止期間)、または交互の投与を含む。本明細書で使用される場合、「サイクリング(cycling)」という用語は、治療化合物を、休薬期間の中断を伴って、毎日、または一定期間連続的に投与することを意味することを意図する。いくつかのそのような実施形態では、投与は2〜6日間に1日1回であり、次いで5〜7日間の休止期間を伴う。いくつかの他のそのような実施形態では、投与は、28日周期の最初の2〜5日または10日間は1日に1回であり、その後の28日周期の残りの期間は投与を行わない休止期間を伴う。
【0208】
いくつかの実施形態では、投与の頻度は、およそ1日1回からおよそ1ヶ月に1回の範囲である。特定の実施形態では、投与は1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おきに1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回である。一実施形態では、化合物1は1日1回投与される。別の実施形態では、化合物1は1日2回投与される。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される化合物1は、1日3回投与される。さらにまた別の実施形態において、本明細書で提供される化合物1は、1日に4回投与される。
【0209】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤を、1日〜6ヶ月間、1週間〜3ヶ月間、1週間〜4週間、1週間〜3週間、または1週間〜2週間に1日に1回投与される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、1日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、2日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、3日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤を4日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、5日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、6日間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、1週間の間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、10日間の間、1日当たり1回投与される。別の実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、2週間の間、1日1回投与される。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、3週間の間、1日1回投与される。さらにまた別の実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、4週間の間、1日1回投与される。
【0210】
6.6.1 併用療法
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤はまた、本明細書に記載されるがんの治療及び/または予防に有用な他の治療剤と組み合わせるか、または併用して使用することもできる。
【0211】
一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤を、1つ以上の第2の活性薬剤と併用して、任意選択で放射線療法、輸血、または外科手術と併用して、患者に投与することを含む、がんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。第2の活性薬剤の例は、本明細書に開示されている。
【0212】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤はまた、本明細書に記載されるMDSの治療及び/または予防に有用な他の治療剤と組み合わせるか、または併用して使用することもできる。
【0213】
一実施形態では、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤を、1つ以上の第2の活性薬剤と併用して、任意選択で放射線療法、輸血、または外科手術と併用して、患者に投与することを含む、MDSを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。第2の活性薬剤の例は、本明細書に開示されている。
【0214】
本明細書中で使用される場合、「併用して」という用語は、2つ以上の療法(例えば、1つ以上の予防剤及び/または治療剤)の使用を含む。しかしながら、「併用して」という用語の使用は、療法(例えば、予防剤及び/または治療剤)が疾患または障害を有する患者に投与される順序を制限するものではない。第1の治療薬(例えば、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤などの予防剤または治療剤)は、第2の治療薬(例えば、予防剤または治療剤)の対象への投与の前に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、第2の治療薬の投与と同時に、またはその後に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与することができる。本明細書では、3剤併用もまた企図される。
【0215】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤及び1つ以上の第2の活性薬剤の患者への投与は、同一または異なる投与経路によって、同時にもしくは逐次的に行うことができる。特定の活性薬剤に採用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤自体(例えば、それが血流に入る前に分解することなく経口投与できるかどうか)及び治療されるがんに依存するであろう。
【0216】
化合物1の凍結乾燥製剤の投与経路は、第2の療法の投与経路と無関係である。したがって、これらの実施形態によれば、化合物1の凍結乾燥製剤を静脈内投与し、そして第2の治療薬を、経口的に、非経口的に、腹腔内に、静脈内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、筋肉内に、直腸に、頬に(transbuccally)、鼻腔内に、リポソーム的に、吸引を介して、経膣的に、眼内に(intraoccularly)、カテーテルもしくはステントによって局所送達を介して、皮下に、脂肪内に(intraadiposally)、関節内に、髄腔内に、または徐放性剤形で投与することができる。一実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤及び第2の療法は、IVによる同じ投与モードによって投与される。別の実施形態では、化合物1の凍結乾燥製剤は、1つの投与モード(例えば、IV)によって投与され、第2の薬剤(抗がん剤)は別の投与モード、例えば経口的に投与される。
【0217】
一実施形態では、第2の活性薬剤は、静脈内または皮下に、及び約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で1日1回または2回投与される。第2の活性薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療及び/または管理される疾患の種類、疾患の重篤度及び段階、ならびに患者に同時に投与される化合物1及び任意選択の追加の活性薬剤の量に依存するであろう。
【0218】
1つ以上の第2の活性成分または薬剤は、本明細書で提供される方法及び組成物において化合物1の凍結乾燥製剤と一緒に使用することができる。第2の活性薬剤は、大型分子(例えば、タンパク質)または小型分子(例えば、合成無機、有機金属、または有機分子)とすることができる。
【0219】
大型分子活性薬剤の例には、造血増殖因子、サイトカイン、及びモノクローナルならびにポリクローナル抗体、特にがん抗原に対する治療抗体が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な大型分子活性薬剤は、天然由来のタンパク質または合成タンパク質もしくは組換えタンパク質などの生物学的分子である。本明細書で提供される方法及び組成物において特に有用なタンパク質には、造血前駆細胞及び免疫賦活細胞(immunologically active poietic cell)の生存及び/または増殖をインビトロまたはインビボで刺激するタンパク質が挙げられる。他の有用なタンパク質は、細胞において拘束赤血球プロジェニターの分裂及び分化をインビトロまたはインビボで刺激する。特定のタンパク質には、IL−2(組換えIL−II(「rIL2」)及びカナリア痘IL−2を含む)、IL−10、IL−12、及びIL−18などのインターロイキン;インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、及びインターフェロンガンマ−Ibなどのインターフェロン;GM CF及びGM−CSF;及びEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
ある特定の実施形態では、GM−CSF、G−CSF、SCFまたはEPOは、約1〜約750mg/m/日、約25〜約500mg/m/日、約50〜約250mg/m/日、または約50〜約200mg/m/日の範囲の量で、4週間または6週間のサイクルで約5日間皮下に投与される。ある特定の実施形態では、GM−CSFは、約60〜約500mcg/mの量で静脈内に2時間にわたって、または約5〜約12mcg/mの量で皮下に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、G−CSFを最初に約1mcg/kg/日の量で皮下に投与することができ、全顆粒球数の上昇に応じて調整することができる。G−CSFの維持用量は、約300(より小さい患者において)または480mcgの量で皮下に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、EPOは、1週間に3回、10,000単位の量で皮下に投与されてもよい。
【0221】
本方法及び組成物に使用することができる特定のタンパク質としては、商品名Neupogen(登録商標)(Amgen,Thousand Oaks,CA))として米国販売されているフィルグラスチム、商品名Leukine(登録商標)(Immunex,Seattle,WA)として米国で販売されているサルグラモスチム、及び商品名Epogen(登録商標)(Amgen,Thousand Oaks,CA)として米国で販売されている組換えEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
GM−CSFの組換え型及び突然変異形態は、米国特許第5,391,485号、同第5,393,870号、及び同第5,229,496号に記載されるように調製することができ、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれるものとする。G−CSFの組換え形態及び突然変異形態は、米国特許第4,810,643号、同第4,999,291号、同第5,528,823号、及び同第5,580,755に記載されるように調製することができ、これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0223】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤と併用して使用するために、未変性、天然由来の、及び組換えタンパク質もまた提供される。さらに、ベースとなるタンパク質の薬理活性の少なくとも一部分をインビボで呈する、天然のタンパク質の突然変異及び誘導体(例えば、修飾された形態)を包含する。突然変異体の例には、天然形態のタンパク質の対応する残基とは異なる、1つ以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。「突然変異体」という用語には、天然の形態で通常存在する炭水化物部分が欠如しているタンパク質(例えば、非グリコシル化形態)も包含される。誘導体の例には、IgG1またはIgG3を対象タンパク質または対象タンパク質の活性部分に融合させることによって形成されるタンパク質などの、ペグ化誘導体及び融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Penichet,M.L.and Morrison,S.L.,J.Immunol.Methods 248:91−101(2001)を参照されたい。
【0224】
本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤と組み合わせて使用することができる抗体には、モノクローナル及びポリクローナル抗体が挙げられる。抗体の例には、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、ペルツズマブ(Omnitarg(商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、(Panorex(登録商標))、及びG250が挙げられるが、これらに限定されない。化合物1の凍結乾燥製剤はまた、例えば、Erbitux(登録商標)またはパニツムマブなどの、抗TNF−α抗体、及び/または抗EGFR抗体と組み合わせるか、または併用して使用することもできる。
【0225】
大型分子活性薬剤は、抗がんワクチンの形態で投与されてもよい。例えば、IL−2、G−CSF及びGM−CSFなどのサイトカインを分泌する、またはその分泌を引き起こすワクチンは、提供される方法及び医薬組成物において使用することができる。例えば、Emens,L.A.,et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.3(1):77−84 (2001)を参照されたい。
【0226】
小型分子である第2の活性薬剤はまた、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤の投与に関連する有害作用を軽減するために使用することもできる。しかしながら、いくつかの大型分子のように、多くは、本明細書で提供される化合物1の凍結乾燥製剤と共に(例えば、前、後または同時に)投与されるとき、相乗効果を提供することができると考えられる。小型分子である第2活性薬剤の例には、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤、及びステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0227】
ある特定の実施形態では、第2の薬剤は、HSP阻害剤、プロテアソーム阻害剤、FLT3阻害剤、またはTORキナーゼ阻害剤である。
【0228】
本明細書に記載される方法または組成物中で使用される抗がん剤の例には、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;二メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナール・ナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カーベタイマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX−2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;Ara−C;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチン・ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソール・ナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン:メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサート・ナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;ミトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;マイコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン; ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマー・ナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;ソラフェニブ;スパルホセート・ナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガラン・ナトリウム;タキソテレ;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
本方法または組成物中に含まれる他の抗がん剤には、20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側化形態発生タンパク質1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗ネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節物質;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾコリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニン・スルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキシアミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨誘導阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロルルンス;クロロキノキサリン・スルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペントアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;Ara−Cオクホスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキスラゾキサン;デキスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール;9−ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメックス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;テキサフィリン・ガドリニウム;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、Gleevec(登録商標))、イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラライドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性ジサッカリドペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;テキサフィリン・ルテチウム;リソフィリン;溶菌ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;基質メタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス(Erbitux)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+マイコバクテリア細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ネフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(Genasense(登録商標))、O−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化物質阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマー・ナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質A−に基づく免疫モジュレーター;タンパク質キナーゼC阻害剤;ミクロアルガル;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;レテリプチン脱メチル化;エチドロン酸レニウムRe 186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模擬物;セムスチン;セネッセンス誘導阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル形質導入阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテイト;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過度活動性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガラン・ナトリウム;テガフル;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模擬物;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセンビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメックス;尿生殖器洞誘導増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチン・スチマラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
ある特定の実施形態において、化合物1の凍結乾燥製剤は、チェックポイント阻害剤と併用して投与される。一実施形態では、1つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1の凍結乾燥製剤と併用して用いられる。別の実施形態では、2つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1の凍結乾燥製剤と併用して用いられる。さらに別の実施形態では、3つ以上のチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1の凍結乾燥製剤と併用して用いられる。
【0231】
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」という用語は、1つ以上のチェックポイントタンパク質を完全にもしくは部分的に低減し、阻害し、妨害または調節する分子を指す。特定の理論によって限定されるものではないが、チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。CTLA−4ならびにそのリガンドCD80とCD86、及びPD−1と共にそのリガンドPD−L1とPD−L2などの多くのチェックポイントタンパク質が既知である(Pardoll,Nature Reviews Cancer,2012,12,252−264)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激相互作用または阻害相互作用を担っていると思われる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己免疫寛容及び生理学的免疫応答の持続時間ならびに振幅を制御かつ維持すると思われる。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体に由来する。
【0232】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA−4阻害剤である。一実施形態では、CTLA−4阻害剤は、抗CTLA−4抗体である。抗CTLA−4抗体の例には、限定されるものではないが、米国特許第5,811,097号;同第5,811,097号;同第5,855,887号;同第6,051,227号;同第6,207,157号;同第6,682,736号;同第6,984,720号;及び同第7,605,238号に記載されているものが挙げられ、これらの全ては、その全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、抗CTLA−4抗体は、トレメリムマブ(チシリムマブまたはCP−675,206としても知られる)である。別の実施形態では、抗CTLA−4抗体は、リピリムマブ(MDX−010またはMDX−101としても知られる)である。リピリムマブは、CTLA−4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である。リピリムマブは、商品名Yervoy(商標)で販売されている。
【0233】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1/PD−L1阻害剤である。PD−1/PD−L1阻害剤の例には、限定されるものではないが、米国特許第7,488,802号;同第7,943,743号;同第8,008,449号;同第8,168,757号;同第8,217,149号、ならびにPCT特許出願公開第WO2003042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載されているものが挙げられ、これらの全ては、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0234】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1阻害剤である。一実施形態では、PD−1阻害剤は、抗PD−1抗体である。一実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブ(ONO−4538、BMS−936558、またはMDX1106としても知られる)またはペムブロリズマブ(MK−3475、SCH900475、またはラムブロリズマブとしても知られる)である。一実施形態では、抗PD−1抗体はニボルマブである。ニボルマブは、ヒトIgG4抗PD−1モノクローナル抗体であり、商品名Opdivo(商標)で販売されている。別の実施形態では、抗PD−1抗体はペムブロリズマブである。ペムブロリズマブは、ヒト化モノクローナルIgG4抗体であり、商品名Keytruda(商標)で販売されている。さらに別の実施形態では、抗PD−1抗体は、ヒト化抗体のCT−011である。単独で投与されたCT−011は、急性骨髄性白血病(AML)の再発時に治療において応答を示すことに失敗している。さらに別の実施形態では、抗−PD−1抗体は、融合タンパク質のAMP−224である。
【0235】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−L1阻害剤である。一実施形態では、PD−L1阻害剤は、抗PD−L1抗体である。一実施形態では、抗PD−L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ)である。別の実施形態では、抗PD−L1抗体は、BMS−936559(MDX−1105−01としても知られる)である。さらに別の実施形態では、PD−L1阻害剤は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、及びTecentriq(登録商標)としても知られる)である。
【0236】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−L2阻害剤である。一実施形態では、PD−L2阻害剤は、抗PD−L2抗体である。一実施形態では、抗PD−L2抗体は、rHIgM12B7Aである。
【0237】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子−3(LAG−3)阻害剤である。一実施形態では、LAG−3阻害剤は、可溶性Ig融合タンパク質のIMP321である(Brignone et al.,J.Immunol.,2007,179,4202−4211)。別の実施形態では、LAG−3阻害剤は、BMS−986016である。
【0238】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7阻害剤である。一実施形態では、B7阻害剤は、B7−H3阻害剤またはB7−H4阻害剤である。一実施形態では、B7−H3阻害剤は、抗B7−H3抗体のMGA271である(Loo et al.,Clin.Cancer Res.,2012,3834)。
【0239】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である(Fourcade et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2175−86;Sakuishi et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2187−94)。
【0240】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、OX40(CD134)アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体である。一実施形態では、抗OX40抗体は、抗OX−40である。別の実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI6469である。
【0241】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、GITRアゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体である。一実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518である。
【0242】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD137アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD137抗体である。一実施形態では、抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施形態では、抗CD137抗体は、PF−05082566である。
【0243】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD40アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD40抗体である。一実施形態では、抗CD40抗体は、CF−870,893である。
【0244】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、組換えヒトインターロイキン−15(rhIL−15)である。
【0245】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDO阻害剤である。一実施形態では、IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施形態では、IDO阻害剤は、インドキシモドである。
【0246】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される併用療法は、本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤の2つ以上(同一または異なる部類のチェックポイント阻害剤が含まれる)を含む。さらに、本明細書に記載される併用療法は、本明細書に記載され、かつ当該技術分野において理解される疾患を治療するために適切である場合、本明細書に記載される第2の活性薬剤と併用して使用することができる。
【0247】
ある特定の実施形態では、化合物1は、それらの表面に1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)を発現する1つ以上の免疫細胞(例えば、改変免疫細胞)と併用して使用することができる。一般的に、CARは、第1のタンパク質由来の細胞外ドメイン(例えば、抗原結合タンパク質)、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、細胞外ドメインが腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異抗原(TSA)などの標的タンパク質に結合すると、例えば、標的タンパク質を発現する細胞を標的化し殺傷するために、免疫細胞を活性化する細胞内シグナル伝達ドメインを介してシグナルが生成される。
【0248】
細胞外ドメイン:CARの細胞外ドメインは、対象の抗原に結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、該抗原に結合する受容体、または受容体の一部を含む。ある特定の実施形態では、細胞外ドメインは、抗体またはその抗原結合部分を含むか、もしくは抗体またはその抗原結合部分である。具体的な実施形態では、細胞外ドメインは、単鎖Fv(scFv)ドメインを含むか、または単鎖Fv(scFv)ドメインである。単鎖Fvドメインは、例えば、フレキシブルリンカーによってVに連結されたVを含むことができ、該V及びVは、該抗原に結合する抗体からのものである。
【0249】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドの細胞外ドメインによって認識される抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異抗原(TSA)である。様々な具体的な実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異抗原は、限定されないが、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ−フェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、がん抗原−125(CA−125)、CA19−9、カルレチニン、MUC−1、B細胞成熟抗原(BCMA)、上皮膜タンパク質(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ−24関連抗原(MAGE)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD34、CD45、CD70、CD99、CD117、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロシュタイン、TARP(T細胞受容体ガンマの選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp−p8、STEAPI(前立腺1の6−膜貫通上皮抗原)、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、総嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP−15)、HMB−45抗原、タンパク質メラン−A(Tリンパ球によって認識されるメラノーマ抗原;MART−I)、myo−D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、チログロブリン、甲状腺転写因子−1、二量体形態のピルビン酸キナーゼアイソザイムM2型(腫瘍M2−PK)、異常なrasタンパク質、または異常なp53タンパク質である。ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、またはRal−Bである。
【0250】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、がん/精巣(CT)抗原、例えば、BAGE、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、HCA661、HOM−TES−85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY−ES0−1、NY−SAR−35、OY−TES−1、SPANXBI、SPA17、SSX、SYCPI、またはTPTEである。
【0251】
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、炭水化物またはガングリオシド、例えば、fuc−GMI、GM2(がん胎児性抗原−免疫原−1、すなわちOFA−I−1)、GD2(OFA−I−2)、GM3、GD3などである。
【0252】
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、アルファ−アクチニン−4、Bage−l、BCR−ABL、Bcr−Abl融合タンパク質、ベータ−カテニン、CA 125、CA 15−3(CA 27.29\BCAA)、CA 195、CA 242、CA−50、CAM43、Casp−8、cdc27、cdk4、cdkn2a、CEA、coa−l、dek−can融合タンパク質、EBNA、EF2、エプスタイン・バーウイルス抗原、ETV6−AML1融合タンパク質、HLA−A2、HLA−All、hsp70−2、KIAA0205、Mart2、Mum−1、2及び3、ネオPAP、ミオシンクラスI、OS−9、pml−RARα融合タンパク質、PTPRK、K−ras、N−ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Gage 3、4、5、6、7、GnTV、Herv−K−mel、Lage−1、NA−88、NY−Eso−1/Lage−2、SP17、SSX−2、TRP2−Int2、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、RAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15(58)、RAGE、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、HRas、HER−2/neu、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CA 19−9、CA 72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、13−カテニン、Mum−1、p16、TAGE、PSMA、CT7、テロメラーゼ、43−9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、C0−029、FGF−5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB\70K、NY−C0−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90、TAAL6、TAG72、TLP、またはTPSである。
【0253】
様々な特定の実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異抗原は、S.Anguille et al,Leukemia(2012),26,2186−2196に記載されているように、AML関連腫瘍抗原である。
【0254】
他の腫瘍関連及び腫瘍特異抗原は、当業者に既知である。
【0255】
キメラ抗原受容体を構築するために有用な、TSA及びTAAに結合する受容体、抗体、及びscFvは、それらをコードするヌクレオチド配列として、当該技術分野において知られている。
【0256】
ある特定の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外ドメインによって認識される抗原は、一般的には、TSAまたはTAAであると見なされないが、それにも関わらず、これは、腫瘍細胞、または腫瘍によって引き起こされる損傷に関連している。例えば、ある特定の実施形態では、抗原は、例えば増殖因子、サイトカインまたはインターロイキンであり、例えば、血管新生または血管発生に関連する増殖因子、サイトカイン、またはインターロイキンである。このような増殖因子、サイトカイン、またはインターロイキンには、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、またはインターロイキン−8(IL−8)を挙げることができる。腫瘍は、腫瘍に対して局所的な低酸素環境も作り出す可能性がある。そのため、他の具体的な実施形態では、抗原は、低酸素関連因子、例えば、HIF−1α、HIF−1β、HIF−2α、HIF−2β、HIF−3α、またはHIF−3βである。腫瘍はまた、正常な組織への局所的な損傷を引き起こし、障害関連分子パターン(DAMP、アラーミン(alarmin)としても知られる)の放出を引き起こす可能性がある。したがって、ある特定の他の具体的な実施形態では、抗原はDAMP、例えば、熱ショックタンパク質、クロマチン関連タンパク質高移動度群box1(HMGB 1)、S100A8(MRP8、カルグラヌリンA)、S100A9(MRP14、カルグラヌリンB)、血清アミロイドA(SAA)であるか、またはデオキシリボ核酸、アデノシン三リン酸、尿酸、または硫酸ヘパリンとすることができる。
【0257】
膜貫通ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、リンカー、スペーサ、またはヒンジポリペプチド配列、例えばCD28からの配列もしくはCTLA4からの配列によって、ポリペプチドの膜貫通ドメインに結合される。膜貫通ドメインは、任意の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインから得られるか、またはこれらに由来することができ、このような膜貫通ドメインの全てまたは一部を含むことができる。具体的な実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD8、CD16、サイトカイン受容体、及びインターロイキン受容体、または増殖因子受容体などのから得られるか、またはこれらに由来することができる。
【0258】
細胞内シグナル伝達ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、T細胞の表面上で発現されるタンパク質の細胞内ドメインもしくはモチーフであるか、またはこれらを含み、該T細胞の活性化及び/または増殖をトリガする。このようなドメインもしくはモチーフは、CARの細胞外部分への抗原の結合に応答してのTリンパ球の活性化に必要である一次抗原結合シグナルを伝達することができる。典型的には、このドメインもしくはモチーフは、ITAM(免疫受容活性化チロシンモチーフ)を含むか、またはITAMである。CARに好適なITAM含有ポリペプチドには、例えば、ゼータCD3鎖(CD3ζ)またはそのITAM含有部分が挙げられる。具体的な実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインである。他の具体的な実施形態では、細胞内ドメインは、リンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合タンパク質、Fe受容体サブユニットまたはIL−2受容体サブユニットである。ある特定の実施形態では、CARは、例えば、ポリペプチドの細胞内ドメインの一部として、1つ以上の共刺激ドメインもしくはモチーフをさらに含む。1つ以上の共刺激ドメインもしくはモチーフは、共刺激CD27ポリペプチド配列、共刺激CD28ポリペプチド配列、共刺激OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激4−1BB(CD137)ポリペプチド配列、または共刺激誘導性T細胞共刺激(ICOS)ポリペプチド配列、または他の共刺激ドメインもしくはモチーフ、あるいはこれらの組み合わせとすることができるか、またはこれらを含むことができる。
【0259】
CARはまた、T細胞生存モチーフを含み得る。T細胞生存モチーフは、抗原による刺激後にTリンパ球の生存を促進する任意のポリペプチド配列またはモチーフとすることができる。ある特定の実施形態では、T細胞生存モチーフは、CD3、CD28、IL−7受容体(IL−7R)の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−12受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−15受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−21受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、または形質転換増殖因子β(TGFβ)受容体の細胞内シグナル伝達ドメインであるか、またはこれらに由来する。
【0260】
CARを発現する改変免疫細胞は、例えば、Tリンパ球(T細胞、例えば、CD4+T細胞またはCD8+T細胞)、細胞傷害性リンパ球(CTL)またはナチュラルキラー(NK)細胞であり得る。本明細書に提供される組成物及び方法で使用されるTリンパ球は、ナイーブTリンパ球またはMHC拘束性Tリンパ球であってもよい。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍生検から単離されたものであるか、腫瘍生検から単離されたTリンパ球から増殖されたものである。ある特定の他の実施形態では、T細胞は、末梢血、臍帯血、またはリンパ液から単離されたTリンパ球から単離されたものであるか、またはこれらから増殖されるものである。CARを発現する改変免疫細胞を生成するために使用される免疫細胞は、当該技術分野において認められた常法、例えば、採血とその後のアフェレーシス、任意に抗体媒介性細胞単離または選別を用いて単離することができる。
【0261】
改変免疫細胞は、改変免疫細胞が投与されることになる個体に対して自己由来であることが好ましい。ある特定の他の実施形態では、改変免疫細胞は、改変免疫細胞が投与されることになる個体に対して同種異系である。同種異系Tリンパ球またはNK細胞が改変Tリンパ球を調製するために使用される場合、個体において移植片対宿主疾患(GVHD)の可能性を低減すると思われるTリンパ球またはNK細胞を選択することが好ましい。例えば、ある特定の実施形態では、ウイルス特異的Tリンパ球は、改変Tリンパ球の調製のために選択され、このようなリンパ球は、いかなるレシピエント抗原にも結合する、したがって、いかなるレシピエント抗原によっても活性化されるようになる、大幅に低減された固有の能力を有することが期待されるであろう。ある特定の実施形態では、同種異系Tリンパ球のレシピエント媒介性拒絶反応は、1つ以上の免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、シクロホスファミドなどの宿主への同時投与によって低減することができる。
【0262】
Tリンパ球、例えば、非改変Tリンパ球、またはCD3及びCD28を発現するか、もしくはCD3ζシグナル伝達ドメインとCD28共刺激ドメインとを構成するポリペプチドを含むTリンパ球は、CD3及びCD28に対する抗体、例えば、ビーズに取り付けられた抗体を用いて増殖させることができる(例えば、米国特許第5,948,893号、同第6,534,055号、同第6,352,694号、同第6,692,964号、同第6,887,466号、及び同第6,905,681号を参照されたい)。
【0263】
改変免疫細胞、例えば、改変Tリンパ球は、必要に応じて、改変免疫細胞の実質的に全てを殺傷することができる「自殺遺伝子」または「セーフティスイッチ」を任意選択で含むことができる。例えば、改変Tリンパ球は、ある特定の実施形態では、ガンシクロビルとの接触時に、改変Tリンパ球の死を引き起こすHSVチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−TK)を含むことができる。別の実施形態では、改変Tリンパ球は、誘導型カスパーゼ、例えば誘導型カスパーゼ9(icaspase9)、例えば、特定の小分子薬剤を用いて二量体化を可能にするカスパーゼ9とヒトFK506結合タンパク質との間の融合タンパク質を含む。Straathof et al.,Blood 105(11):4247−4254(2005)を参照されたい。
【0264】
本方法または組成物において特に有用な特定の第2の活性薬剤には、リツキシマブ、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、Arisa(登録商標)、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、インターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロンアルファ(例えば、PEG INTRON−A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、Ara−C、ドキセタキソール、パクリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダック、及びエトポシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0265】
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤と併用する第2の活性薬剤の使用は、当業者の施術者によって適切と見なされるように、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤の投与中またはその投与のすぐ後に変更もしくは遅延されてもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を単独で、または他の療法と併用して投与される対象は、適切な場合には、制吐薬、骨髄増殖因子、及び血小板輸血を含む支持療法を受容してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を投与される対象は、当業者の施術者の判断に従って、増殖因子を第2の活性薬剤として投与されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤のエリスロポイエチンまたはダルベポエチン(アラネスプ)と併用しての投与が提供される。
【0266】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ゲムシタビン、シスプラチナム、5−フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、カルボプラチン、チオテパ、パクリタキセルまたはドセタキセルと共に、局所進行したまたは転移性移行上皮膀胱癌の患者に投与される。
【0267】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、次のような第2の活性成分と併用して投与される:再発したもしくは進行性の脳腫瘍または再発性神経芽細胞腫を有する小児患者に対してテモゾロミド;再発したまたは進行性のCNS癌に対してセレコキシブ、エトポシド、及びシクロホスファミド;再発性もしくは進行性の髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発脳腫瘍、または新たに診断された多形膠芽腫の患者に対してテモダール;再発性膠芽腫の患者に対してイリノテカン;脳幹神経膠腫の小児患者に対してカルボプラチン;進行性悪性神経膠腫の小児患者に対してプロカルバシン;予後不良悪性脳腫瘍、新たに診断されたかもしくは再発性の多形膠芽腫の患者に対してシクロホスファミド;高悪性度の再発性悪性神経膠腫に対してGliadel(登録商標);あるいは、神経膠腫、膠芽腫、未分化星状細胞腫、または未分化乏突起膠腫に対してトポテカン。
【0268】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、メトトレキサート、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、タキサン、エベロリムス、アブラキサン、ラパチニブ、ハーセプチン、パミドロン酸二ナトリウム、エリブリンメシル酸塩、エベロリムス、ゲムシタビン、パルボシクリブ、イキサベピロン、カドサイラ、ペルツズマブ、チオテパ、アロマターゼ阻害剤、エキセメスタン、選択的エストロゲン調節薬、エストロゲン受容体アンタゴニスト、アントラサイクリン、エムタンシン、及び/またはペキシダルチニブと共に、転移性乳癌の患者に投与される。
【0269】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、テモゾロミド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、フルオロウラシル(アドルシル、5−フルオロウラシル)、またはストレプトゾシン(ザノサー)と共に神経内分泌腫瘍の患者に投与される。
【0270】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、メトトレキサート、ゲムシタビン、シスプラチン、セツキシマブ5−フルオロウラシル、ブレオマイシン、ドセタキセル、またはカルボプラチンと共に、再発性もしくは転移性頭頸部癌の患者に投与される。
【0271】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ゲムシタビン、アブラキサン、5−フルオロウラシル、アフィニトール、イリノテカン、マイトマイシンC、スニチニブ、またはタルセバと共に、膵臓癌の患者に投与される。
【0272】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、大腸癌の患者に、ARISA(登録商標)、アバスタチン、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、カペシタビン、セツキシマブ、ラムシルマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、ロイコボリンカルシウム、リンサーフ、レゴラフェニブ、ziv−アフリベルセプト、タキソール、及び/またはタキソテールと併用して投与される。
【0273】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、カペシタビン及び/またはベムラフェニブと共に、不応性大腸癌の患者、または第一選択治療に失敗したか、もしくは結腸もしくは直腸腺癌において成果が振るわなかった患者に投与される。
【0274】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカンと併用して、デュークスC&D結腸直腸癌の患者に、または転移性結腸直腸癌の治療をこれまでに受けた患者に投与される。
【0275】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、不応性結腸直腸癌の患者に、カペシタビン、ゼローダ、及び/またはイリノテカンと併用して投与される。
【0276】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、不応性大腸癌の患者に、または切除不能もしくは転移性大腸癌の患者に、カペシタビン及びイリノテカンと共に投与される。
【0277】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、単独で、またはインターフェロンアルファもしくはカペシタビンと併用して、切除不能もしくは転移性肝細胞癌の患者に投与されるか、あるいはシスプラチン及びチオテパと共に、またはソラフェニブトシル酸塩と共に、原発性もしくは転移性肝臓癌の患者に投与される。
【0278】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ドキソルビシン、パクリタキセル、ビンブラスチン、またはペグ化インターフェロンアルファと併用して、カポジ肉腫の患者に投与される。
【0279】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、三酸化ヒ素、フルダラビン、カルボプラチン、ダウノルビシン、シクロホスファミド、シタラビン、ドキソルビシン、イダルビシン、塩酸ミトキサントロン、チオグアニン、ビンクリスチン、及び/またはトポテカンと併用して、不応性または再発した、もしくはハイリスクの急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病の患者に投与される。
【0280】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、リポソームダウノルビシン、トポテカン、及び/またはシタラビンと併用して、予後不良型(unfavorable karotype)の急性骨髄芽球性白血病の患者に投与される。
【0281】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、メトトレキサート、塩酸メクロレタミン、アファチニブマレイン酸塩、ペメトレキセド、ベバシズマブ、カルボプラチン、シスプラチン、セリチニブ、クリゾチニブ、ラムシルマブ、ペムブロリズマブ、ドセタキセル、ビノレルビン酒石酸塩、ゲムシタビン、アブラキサン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、及び/またはイリノテカンと併用して、非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0282】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、カルボプラチン及びイリノテカンと併用して、非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0283】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ドキセタキソールと共に、carbo/エトポシド及び放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0284】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、カルボプラチン及び/またはタキソテールと併用して、またはカルボプラチン、パクリタキセル、及び/もしくは胸部放射線療法と併用して、非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0285】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、タキソールと併用して、第IIIB期またはIV期非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0286】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、オブリマーセン(Genasense(登録商標))、メトトレキサート、塩酸メクロレタミン、エトポシド、トポテカン、またはドキソルビシンと併用して、小細胞肺癌の患者に投与される。
【0287】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ABT−737(Abbott Laboratories)及び/またはオバトクラックス(GX15−070)と併用して、リンパ腫または他の血液癌の患者に投与される。
【0288】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、単独で、またはビンブラスチンもしくはフルダラビン・アドセトリス、アムボクロリン、ベセヌム、ブレオマイシン、ブレンツキシマブ・ベドチン、カルムスチンクロラムブシル、シクロホスファミド、ダカルバジン、ドキソルビシン、ロムスチン、マチュレーン(matulane)、塩酸メクロレタミン、プレドニゾン、塩酸プロカルバジン、またはビンクリスチンなどの第2の活性成分と併用して、種々のタイプのリンパ腫、例えば、限定されるものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、または再発したもしくは不応性低悪性度濾胞性リンパ腫の患者に投与される。
【0289】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、タキソテール、ダブラフェニブ、イムリジック、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、タリモジーン・ラハーパレプベック、IL−2、IFN、GM−CSF、及び/またはダカルバジンと併用して、種々のタイプまたは病期の黒色腫の患者に投与される
【0290】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、単独で、またはビノレルビンと併用して、悪性中皮腫、または胸膜転移を有する第IIIB期の非小細胞肺癌、もしくは悪性胸水中脾腫症候群の患者に投与される。
【0291】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、GM−CSF、ビアキシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、三酸化ヒ素、PEG INTRON−A、ビンクリスチン、ベセヌム、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、ドキソルビシン、パノビノスタット、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、モゾビル、またはそれらの組み合わせと併用して、種々のタイプまたは病期の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0292】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞と併用して、種々のタイプまたは病期の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0293】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、ビンクリスチン、及び/またはデキサメタゾン(Decadron(登録商標))と併用して、再発したもしくは不応性の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0294】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、タキソール、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、キセローダ、パクリタキセル、デキサメタゾン、アバスチン、シクロホスファミド、トポテカン、オラパリブ、チオテパ、またはそれらの組み合わせと併用して、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、不応性卵巣癌、または再発性卵巣癌などの種々のタイプまたは病期の卵巣癌の患者に投与される。
【0295】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、キセローダ、5FU/LV、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM−CSF、セレコキシブ、タキソテール、ガンシクロビル、パクリタキセル、アドリアマイシン、ドセタキセル、エストラムスチン、Emcyt、デンデロン、ザイティガ、ビカルタミド、カバジタキセル、デガレエイクス、エンザルタミド、ゾラデックス、酢酸ロイプロリド、塩酸ミトキサントロン、プレドニゾン、シプリューセル−T、二塩化ラジウム223、またはそれらの組み合わせと併用して、種々のタイプまたは病期の前立腺癌の患者に投与される。
【0296】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSF、Celebrex(登録商標)、またはそれらの組み合わせと併用して、種々のタイプまたは病期の腎細胞癌の患者に投与される。
【0297】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、IFN、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、メシル酸イマチニブ、塩酸パゾパニブ、トラバクテジン、Celebrex(登録商標)などのCOX−2阻害剤、及び/またはスリンダクと併用して、種々のタイプまたは病期の婦人科系、子宮、または軟部組織肉腫のがんの患者に投与される。
【0298】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSF、またはそれらの組み合わせと併用して、種々のタイプまたは病期の固形腫瘍を有する患者に投与される。
【0299】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSF、またはそれらの組み合わせと併用して、強皮症(scleroderma)または皮膚血管炎の患者に投与される。
【0300】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、アザシチジン、シタラビン、ダウノルビシン、デシタビン、イダルビシン、レナリドミド、またはそれらの組み合わせと併用して、MDSの患者に投与される。
【0301】
本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を患者(例えば、ヒト)に投与することを含む、患者に安全かつ効果的に投与することができる抗がん薬または抗がん剤の投与量を増加させる方法を本明細書に包含する。この方法の恩恵に浴することができる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、腸、結腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸の特定のがん、またはそれらの組み合わせを治療するための抗がん薬に伴う有害作用を受ける恐れがある患者である。本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤の投与は、それを用いなければ抗がん薬の量を制限しなければならないほど極めて大きな有害作用を緩和または軽減する。
【0302】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、患者への抗がん薬の投与に伴う有害作用が和え合われる前、その間、またはその後に、約0.1〜約150mg、約1〜約50mg、約2〜約25mg、または約1〜約10mgの範囲の量で毎日投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、ヘパリン、アスピリン、クマジン、またはG−CSFなどの特定の作用剤と併用して、抗がん薬に伴う有害作用、例えば、限定されるものではないが、好中球減少または血小板減少を回避すべく投与される。
【0303】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、追加の活性成分、例えば、限定されるものではないが、抗がん薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、及びステロイドと併用して、望ましくない血管新生に関連付けられるかまたはそれにより特徴付けられる疾患及び障害を患う患者に投与される。
【0304】
別の実施形態では、がんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書で包含され、この方法には、従来療法、例えば、限定されるものではないが、がんを治療、予防、または管理するために使用されている手術、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、または他の非薬物ベースの療法と組み合わせて、(例えば、その前に、その間に、またはその後に)、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を投与することが含まれる。本明細書に提供される化合物と従来療法との併用により、特定の患者に予想外に有効であるユニークな処置レジメンを提供することが可能である。理論により限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、従来療法と同時に投与される場合、相加的または相乗的な効果を提供し得るものと考えられる。
【0305】
本明細書中の他の部分で論述されているように、従来療法、例えば、限定されるものではないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、及び免疫療法に伴う有害作用または望ましくない作用を軽減、処置、及び/または予防する方法が本明細書に包含される。本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤及び他の活性成分は、従来療法に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に投与することができる。
【0306】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、カルシウム、カルシトリオール、及びビタミンD補充療法を、化合物1の凍結乾燥製剤と共に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、化合物1の凍結乾燥製剤による処置の前に、カルシウム、カルシトリオール、及びビタミンD補充療法を施すことを含む。
【0307】
ある特定の実施形態では、カルシウム補充療法は、分割投与で提供される1日当たり少なくとも1200mgの元素カルシウムを送達するように施される。ある特定の実施形態では、カルシウム補充療法は、1日3回の経口投与で(PO)投与される500mgの用量で炭酸カルシウムとして施される。
【0308】
ある特定の実施形態では、カルシトリオール補充療法は、0.25μgのカルシトリオール(PO)を送達するように1日1回施される。
【0309】
ある特定の実施形態では、ビタミンD補充療法は、約500IU〜約5000IUのビタミンDを送達するように、1日1回施される。ある特定の実施形態では、ビタミンD補充療法は、約1000IUのビタミンDを送達するように、1日1回施される。ある特定の実施形態では、ビタミンD補充療法は、約50,000IUのビタミンDを毎週送達するように施される。ある特定の実施形態では、ビタミンD補充療法は、約1000IUのビタミンD2またはD3を送達するように、1日1回施される。ある特定の実施形態では、ビタミンD補充療法は、約50,000IUのビタミンD2またはD3を毎週送達するように施される。
【0310】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤及びドキセタキソールは、これまでにcarbo/VP 16及び放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0311】
6.6.2 移植療法との使用
本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥剤は、移植片対宿主疾患(GVHD)のリスクを減少させるために使用することができる。したがって、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を移植療法と組み合わせて投与することを含む、がんを治療、予防、及び/または管理する方法が、本明細書に包含される。
【0312】
当業者が認識しているように、がんの治療は、疾患の病期及び機序に基づいて行われることが多い。例えば、がんの特定の病期に白血病への回避不能な転化が進行するにつれて、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄の移植が必要になる可能性がある。本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤と移植療法との併用使用は、ユニークかつ予想外な相乗効果を提供する。特に、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、がん患者において移植療法と同時に投与される場合、相加効果または相乗効果を提供することができる免疫調節活性を呈する。
【0313】
本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、移植療法と併用して、移植の侵襲的手技に伴う合併症及びGVHDのリスクを軽減するように働くことができる。本明細書には、がんを治療、予防、及び/または管理する方法であって、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄を移植する前に、その間に、またはその後に、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤を患者(例えば、ヒト)に投与することを含む方法が包含される。本明細書に提供される方法で使用するのに好適な幹細胞のいくつかの例は、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,498,171号に開示されている。
【0314】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、移植の前に、その間に、またはその後に、急性骨髄性白血病の患者に投与される。
【0315】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、自己由来末梢血前駆細胞を移植する前に、その間に、またはその後に、多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0316】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、自己由来末梢血前駆細胞を移植する前に、その間に、またはその後に、NHL(例えば、DLBCL)の患者に投与される。
【0317】
6.6.3 サイクル療法
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される予防剤または治療剤は、患者に周期的に投与される。サイクル療法は、ある期間にわたり活性剤の投与を行い、その後、残りの期間にわたり投与を行い、この逐次的投与を繰り返すことを伴う。サイクル療法は、療法のうちの1つ以上に対する耐性の発生を軽減し、療法のうちの1つの副作用を回避もしくは軽減し、及び/または治療の効力を向上させることができる。
【0318】
したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、毎日、単回または複数回の用量で4週間〜6週間のサイクルで約1週間または2週間の休止期間を設けて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、毎日、単回または複数回の用量で、28日間のサイクルうちの1日間〜10日間連続で投与され、その後、28日間のサイクルの残り期間にわたり投与が行われない。サイクル療法は、投与サイクルの頻度、数、及び長さをさらに増大させることを可能にする。したがって、本明細書において、ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、それが単独で投与される場合の典型的なサイクル数よりも多くのサイクル数で投与されることが包含される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、第2の活性成分も投与されていない患者で典型的には用量制限毒性を惹起する恐れのあるより多くのサイクル数で投与される。
【0319】
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、約0.1〜約150mg/日の用量で3週間または4週間にわたり連続して毎日投与され、その後、1週間〜2週間の休止期間が設けられる。
【0320】
別の実施形態では、4〜6週のサイクル中に、第2の活性成分の投与の30〜60分前に化合物1の凍結乾燥製剤の投与を行う形で、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤は、静脈内投与され、第2の活性成分は経口投与される。ある特定の実施形態では、1サイクル毎に約90分間かけて、本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤と第2の活性成分との組み合わせが静脈内注入により投与される。ある特定の実施形態では、1サイクルには、約0.1〜約150mg/日の本明細書に提供される化合物1の凍結乾燥製剤及び約50〜200mg/m/日の第2の活性成分を、3〜4週間にわたり投与した後に、1週間または2週間の休止期間を設けることが含まれる。ある特定の実施形態では、併用治療を患者に施す期間内のサイクル数は、約1〜24サイクル、約2〜約16サイクル、または約4〜約3サイクルの範囲である。
【0321】
6.6.4 患者集団
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、対象は、動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、非ヒト霊長類である。特定の実施形態では、対象はヒトである。対象は、男性または女性の対象である。
【0322】
本明細書に提供される方法に特に有用な対象には、ヒト癌患者が含まれ、例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、及び慢性骨髄性白血病が含まれる白血病と診断された患者である。ある特定の実施形態では、対象は、急性前骨髄球性白血病とは診断されていない。
【0323】
いくつかの実施形態では、正常な芽球集団よりも高い芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも10%の芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、10〜15%の芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも15%の芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、15〜20%の芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも20%の芽球集団を有する。いくつかの実施形態では、対象は、約10〜15%、約15〜20%、または約20〜25%の芽球集団を有する。他の実施形態では、対象は、10%未満の芽球集団を有する。本明細書に記載される方法に関連して、10%未満の芽球集団を有する有用な対象には、当該技術分野における熟練した施術者による判断による何らかの理由で、本明細書に提供される化合物単独で、または第2の活性薬剤と併用して治療される必要がある対象が含まれる。
【0324】
いくつかの実施形態では、対象は、白血病についての対象の米国東部がん治療共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータススコアに基づいて治療される。ECOGパフォーマンスステータスは、0〜5のスケールで採点することができ、0は無症状を示し、1は症状があるが、完全な歩行が可能であることを示し、2は症状があり、1日のうち50%未満はベッド外で過ごすことを示し、3は症状があり50%を超えてベッドで過ごすが、一日中ベッドで過ごしてはいないことを示し、4は完全にベッドで過ごすことを示し、5は死を示す。いくつかの実施形態では、対象は0または1のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は0のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は1のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。
【0325】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、これまでに白血病を治療されていない対象の治療を包含する。いくつかの実施形態では、対象は、同種骨髄移植を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、幹細胞移植を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象はヒドロキシウレア治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、白血病に対する治験薬を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、グルココルチコイドの全身投与を受けたことがない。
【0326】
他の実施形態では、本方法は、白血病の治療を今までに受けたことがあるか、または現在治療中である対象を治療することを包含する。例えば、対象は、白血病のための標準処置レジメンでこれまでに治療されたことがあるか、または現在治療されていてもよい。対象は、当業者の施術者に既知である任意の標準白血病処置レジメンで治療されていてもよい。ある特定の実施形態では、対象は、今までに、少なくとも1つの寛解導入/再寛解導入または地固めAMLレジメンで治療されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、自己由来骨髄移植または幹細胞移植を地固めレジメンの一部として受けている。いくつかの実施形態では、骨髄または幹細胞移植は、本明細書に提供される方法に従う治療の少なくとも3ヶ月前に行われている。いくつかの実施形態では、対象は、ヒドロキシウレア治療を受けたことがある。いくつかの実施形態では、ヒドロキシウレア治療は、本明細書に提供される方法に従う治療を行う前、24時間以内に行われたものである。いくつかの実施形態では、対象は、寛解導入または地固め療法より前にシタラビン(Ara−C)による治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、グルココルチコイドの全身投与を受けている。いくつかの実施形態では、グルココルチコイド治療は、本明細書に記載される方法に従う治療より前、24時間以内に行われたものである。他の実施形態では、本方法は、これまでにがんの治療を受けたが、標準療法に反応しない対象を治療することを包含する。
【0327】
再発したかもしくは不応性白血病を有する対象を治療する方法も包含される。いくつかの実施形態では、対象は、世界保健機構(World Health Organization)(WHO)によって定義されたような再発したもしくは不応性AMLサブタイプと診断されている。再発したもしくは不応性疾患は、例えば、デノボAMLまたは二次性AML、例えば、悪性腫瘍の治療後に発症するAML(therapy−related AML(t−AML))であり得る。
【0328】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、慢性骨髄性白血病(CML)などの薬物耐性白血病を治療するために使用される。したがって、本明細書に提供される化合物による治療は、治療の他の方法に対して反応しない患者に選択肢を提供することができる。いくつかの実施形態では、このような治療の他の方法は、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)による治療を包含する。いくつかの実施形態では、フィラデルフィア染色体陽性(Philadelphia chromosome positive)慢性骨髄性白血病(Ph+CML)の治療の方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)耐性フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)の治療の方法が本明細書に提供される。
【0329】
いくつかの疾患または障害がある特定の年齢の群に共通しているが、対象の年齢に無関係に、対象を治療する方法も包含される。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも18歳である。いくつかの実施形態では、対象は、18、25、35、40、45、50、55、60、65、または70歳を超える。他の実施形態では、対象は65歳未満である。いくつかの実施形態では、対象は18歳未満である。いくつかの実施形態では、対象は、18、15、12、10、9、8、または7歳未満である。
【0330】
いくつかの実施形態では、より若い対象が本方法から同様に恩恵に浴することができるが、少なくとも50歳の年齢の対象に用途を見出すことができる。他の実施形態では、対象は、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、及び少なくとも70歳の年齢である。別の実施形態では、対象は、有害な細胞遺伝を有する。「有害な細胞遺伝」とは、任意の非二倍体核型、または3つ以上の染色体異常として定義される。別の実施形態では、対象は少なくとも60歳の年齢であり、かつ有害な細胞遺伝を有する。別の実施形態では、対象は少なくとも60〜65歳の年齢であり、かつ有害な細胞遺伝を有する。別の実施形態では、対象は、65〜70歳の年齢であり、かつ有害な細胞遺伝を有する。
【0331】
ある特定の実施形態では、治療される対象は、本明細書に提供される方法に従う治療を行う3ヶ月以内に心筋梗塞の病歴を有さない。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に提供される方法に従う治療を行う3ヶ月以内に脳血管障害または一過性虚血発作の病歴を有さない。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に提供される方法に従う治療を行う28日以内に、深部静脈血栓症または肺塞栓症を含む血栓塞栓事象に罹患していない。他の実施形態では、対象は、制御不能な播種性血管内凝固症候群を経験したことがないか、または経験していない。
【0332】
癌の対象が、異種の臨床症状及び様々な臨床転帰を有しているために、患者に提供される治療は、彼/彼女の予後に応じて変化してもよい。熟練した臨床医であれば、がんを有する個々の対象を治療するために効果的に使用することができる特定の二次薬剤、手術のタイプ、及び非薬物ベースの標準療法のタイプを容易に決定することができるであろう。
【0333】
本明細書に提供される化合物と前述した化合物のうちの1つ以上と、任意選択で1つ以上のさらなる医薬的に活性な物質とのあらゆる好適な組み合わせが、本明細書において想定されることが理解されよう。
【0334】
5.8 活性の評価
化合物が所望の抗増殖活性を有することを特定するように化合物をテストするために、標準的な生理学的、薬理学的及び生化学的手法が利用可能である。
【0335】
このようなアッセイには、例えば、結合アッセイなどの生化学アッセイ、放射活性取込みアッセイ、ならびに実施例セクションに記載されるKG−1細胞増殖アッセイを含む、様々な細胞ベースアッセイが含まれる。
【0336】
本明細書に提供される実施形態は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解することができる。これらの実施例は、本明細書に提供される医薬組成物及び投与形態の例示を意味するものであって、多少なりとも限定することを意味するものではない。
【実施例】
【0337】
7.実施例
以下の実施例は例示として提示されており、限定するものではない。以下の略語は、説明及び実施例で使用される。
SWFI−滅菌注射用水
WFI−注射用水
D5W−水中デキストロース5%
HPβCD−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン
SBEβCD−スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンナトリウム塩
TBA−tert−ブチルアルコール
DMA−ジメチルアセトアミド
HAS−ヒト血清アルブミン
FDM−凍結乾燥顕微鏡
SEM−走査型電子顕微鏡
LT−DSC−低温示差走査熱量測定
DSC−示差走査熱量測定
DVS−動的水蒸気吸着測定
TGA−熱重量分析
GC−ガスクロマトグラフィー
KF−カール・フィッシャー
【0338】
本明細書の実施例における「化合物1、C型」または「C型」または「API」は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体Cを指す。本明細書の実施例における「化合物1、A型」または「A型」は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの多形体Aを指す。2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの物理的及び化学的特性を、表1にまとめる。
表1:2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミドの物理的及び化学的特性の概要
【表1】
【0339】
実施例1:第1の製剤選抜
化合物1の不良な水溶性のために、凍結乾燥の前に、この薬剤化合物を溶液中で可溶化するために共溶媒系を必要とした。この実施例で検討される可溶化剤及び溶媒には、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン(HPβCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンナトリウム塩(SBEβCD;Captisol(登録商標))、tert−ブチルアルコール(TBA)、及びジメチルアセトアミド(DMA)が挙げられる。化合物1、A型の様々な共溶媒系における溶解度を決定し、その結果を表2に示す。
表2:
【表2】
【0340】
HPβCD及びSBEβCDが、5〜20%の濃度範囲でA型に及ぼす同等な可溶化効果を有することが判明した。SBEβCD濃度が30%から40%に増加すると、薬剤溶解度における増強は非常に限定された。TBA/水の比が80:20であるとき、薬剤溶解度が最高に達することも判明した。選択された共溶媒系におけるC型の溶解度測定を行い、その結果も表2に示している。
【0341】
第1の製剤選抜においては、焦点を、凍結乾燥及び最終生成物の貯蔵のプロセス全体を通して適切な薬剤可溶性及び安定性を可能にする媒体を提供する、溶媒及び賦形剤の様々な組み合わせに合わせた。薬剤化合物がpH5以上の溶液中で加水分解による劣化を受ける点に注目して、20mMのクエン酸塩緩衝溶液、pH4.5を水相として使用した。2mg/バイアルの標的薬物負荷量及び20ccのバイアル容器中に8mlの最大充填容量であると仮定すると、バルク溶液中の最小の実現可能な薬剤濃度は、0.25mg/mlであった。表2に示すように、APIは、80:20 TBA/pH4.5緩衝液中で0.33mg/mlの最高の溶解度を有する。しかしながら、マンニトール、スクロース、及びグリシンなどの多くの一般的に使用される増量剤の溶解度は、70体積パーセント(%v/v)以上のTBA溶液中では著しく制限される。バルク溶液中のAPI及び賦形剤の両方の溶解度のバランスをとるために、60:40のTBA/pH4.5クエン酸塩緩衝液溶液を、出発点としての第1の選抜で使用した。
【0342】
製剤選抜の第1番目の実行において、異なる賦形剤:マンニトール、スクロース、Plasdone C17、Captisol(登録商標)、プロリン及びグリシンを用いて7つのプロトタイプ製剤を調製した。
【0343】
表3は、第1の選抜におけるつのロットの製剤組成を示す。
表3
【表3】
【0344】
製剤I、II及びVにおいて、賦形剤を、先ず20mMのクエン酸塩緩衝溶液(pH=4.7)中に溶解し、次いでTBAと混合した。続いて、APIをTBA/緩衝液混合物中に溶解した。製剤IV及びVIにおいては、賦形剤を精製水中に溶解し、その後HClでpH調節し、TBAを添加した。次いで薬剤をTBA/水混合物中に直接溶解した。製剤III及びVIIにおいては、先ず、APIを少量のDMA中に溶解して、次いでTBA/緩衝液またはTBA/水溶液に添加した。製剤IV及びVIIでは、TBAの添加後に、溶液にモヤモヤが現れるようになることを観察した。これらの製剤中のグリシンが、TBA/水溶液中でその溶解度限界に達した可能性があることが疑われた。
【0345】
各調製工程におけるバルク溶液のpH値を測定し、表4に報告する。
表4
【表4】
【0346】
APIの添加及び濾過は、溶液のpHに影響を及ぼさなかった。溶液へのTBAの添加は、pH読み取り値に大きな増加を引き起こし、有機溶媒の存在がpHメータープローブの測定を妨害することが多いために、溶液の真のpHを反映し得ない。精製水による再構成後の溶液のpH値は、製剤VI以外は、全て5.0以下に維持された。一般的かつ保守的な凍結乾燥サイクルを全ての7つの選抜された製剤に適用し、各凍結乾燥工程のプロセスパラメータを表5に記載した。
表5
【表5】
【0347】
全ての7つの製剤は、凍結乾燥後に許容可能なケーキ外観を表した。凍結乾燥ケーキのアッセイ及び純度をHPLCにより測定し、各製剤の水分含量をカール・フィッシャー法で測定した。結果を表6に示す。
表6
【表6】
【0348】
製剤VIIは、グリシン及びプロリンが、凍結乾燥プロセスにおいて適切な安定化剤ではない可能性を示唆する、その低アッセイ及び純度のために除外した。製剤IIは、HPLCクロマトグラフにおけるポリマー賦形剤の多くの妨害ピークに起因する低純度を示した。これは、次の実行において検討されねばならない。
【0349】
第1の選抜から結論付けられたいくつかの重要な観察は、HCl及び/またはNaOHを用いてpHを調節することが、制限された緩衝能を呈し、プロセス中のpH変化をもたらしたことである。クエン酸塩緩衝液の使用は、より一貫かつロバストなpH制御を提供した。
【0350】
原薬を最初にDMAに溶解し、次いでAPI/DMAプレミックスを、原薬の初期溶解において補助した対応のTBA/緩衝溶液に添加することが、最終バルク溶液中のより高い薬剤濃度及びより低いTBA濃度を可能にしたことである。
【0351】
製剤VI、Captisol(登録商標)を含有する製剤は、精製水または0.24〜0.5mg/mlの濃度でのD5W単独によって再構成されることができたことである。全ての他の製剤は、再構成を完了するために、エタノールまたはPEG300などのいくつかの共溶媒を必要とした。
【0352】
実施例2:第2の製剤選抜
第1の製剤選抜からの予備的な結果は、薬剤化合物の凍結乾燥の実現可能性を立証した。第2の製剤選抜を、製剤の複数のプロトタイプの物理的及び化学的安定性を評価し、また最有力な製剤候補を選択するように設計した。第1の選抜で使用したものと同じ一般的な凍結乾燥サイクルを採用した。20mMのクエン酸塩緩衝液、pH4.5を、グリシンを含有するもの(製剤XIV)を除いて、全ての製剤で使用した。APIを、最初に、DMA中に40mg/mlの濃度で溶解した。次いで、API/DMAプレミックスを、賦形剤を含有するTBA/緩衝溶液に添加した。Dexolve及びKleptose(登録商標)HPBは、Captisol(登録商標)と同様な物理的及び化学的特性を有するシクロデキストリンの2つの誘導体である。これらは、Captisol(登録商標)の代替品として製剤VIII、IX及びX中に含まれた。マンニトール、Plasdone、スクロース及びグリシンは、第1の選抜において許容される製剤特性を呈しており、したがって、第2の選抜における評価を続けた。賦形剤レベルを、透明かつ無色のバルク溶液を得るために、経験的に調整した。ヒト血清アルブミン(HSA)を含有する製剤である製剤XIは、APIの不完全な溶解のために、棄却された。7つの副ロットの製剤組成を表7に示す。
表7
【表7】
【0353】
各バイアルの充填容量は、0.75〜0.77mg/バイアルの薬物負荷を供給するために、約2.5〜3mlであった。凍結乾燥ケーキの総固形含量は、バイアル当たり40mg〜75mgの範囲であった。表8に示すように、再構成後のバルク溶液のpH値は、4.5周辺で全て保たれ、これは、製剤の緩衝能を確立するものであった。
表8
【表8】
【0354】
凍結乾燥後の7つの製剤の物理的構造を完全に特性化し、その結果を表9に示す。
表9
【表9】
【0355】
製剤VIII、XIX及びXVは、洗練されたケーキ外観を呈したが、一方製剤X、XII、XIII及びXIVは、バイアル中の粉末の潰れた、または破砕した塊を有して、良好なケーキ構造を保持しなかった。
【0356】
全ての凍結乾燥試料を、25℃/60%RH及び40℃/75%RHでの安定性条件に置いた。各製剤のアッセイ及び純度データを表10に示す。結果は、第2の背選抜における全ての製剤が、長期及び加速安定性条件において少なくとも1ヶ月間、化学的に安定のままであることを示した。
表10
【表10】
【0357】
7つの製剤の物理的安定性は、XRPDにより特性評価した。結果を図30A、30B及び30Cに図示する。初期試料については、製剤XIV及びXV以外の全ての製剤は、非晶形を示した。さらなるスキャンは、製剤XIVのピークが、グリシンのβ型に相応し、製剤XVのピークが混合されたマンニトールのα型及びδ型に相応することを確認した。安定性試料を25℃/60%RHで1ヶ月間保存した後に、グリシンピークに加えて、製剤XIVのXRPDプロファイルにおいてスクロースの数個の小さいピークが現れ、このスクロースピークはまた、製剤XIII試料のXRPDパターンでも現れた。XRPDパターンにおける同様な変化は、製剤XIII及びXIVの40℃/75%RHでの1ヶ月の安定性試料でより一層観察された。その一方で、40℃/75%RHでの1ヶ月間の保存後の2つの製剤XIII及びXIV試料は、灰白色から黄色がかかった色へのわずかな変色を呈することが判明し、凍結乾燥粉末は粘着性になった。
【0358】
再構成試験を、4つの異なる希釈剤、すなわち、精製水、D5W、50体積%のエタノール溶液、及びD5W中の50体積%のPEG300を有する各製剤で行った。再構成溶液の完全な溶解及び物理的外観に必要な振盪時間を検査した。結果を表11に示す。
表11
【表11】
【0359】
dexolveベースの製剤である製剤VIIIは、2〜3mlの精製水またはD5W単独で、20秒以内に透明で無色の溶液に再構成することができた。Kleptose(登録商標)ベースの製剤である製剤IX及びXは、2〜3mlの精製水またはD5W単独で同様に再構成することができたが、完全な再構成には40〜60秒を要した。3つの製剤全ての再構成溶液は、2時間後にモヤモヤが現れるようになり、より大量の再構成希釈剤が、薬剤が溶液から析出する前に長時間の実使用安定性を得るために必要とされ得ることを暗示している。残りの4つの製剤は、同じ容量の精製水またはD5W単独によっては再構成することができなかった。50:50エタノール/水溶液または50:50 PEG300/D5W溶液を再構成希釈剤として使用するとき、全ての7つの製剤は、2mlの希釈剤で30秒以内に再構成することができた。無溶媒希釈剤が、製剤調整の容易さ及び賦形剤の忍容性に関して最も好ましいので、DexolveまたはKleptose(登録商標)ベースの製剤は、他の製剤候補に対して有利である。
【0360】
凍結乾燥試料の水分含量は、その物理的及び化学的安定性に及ぼす大きな影響を有し得る。各凍結乾燥試料の水分含量を、カール・フィッシャー法によって測定した。表12に示すように、1.25%の水分含量を有した製剤XIVを除いて、全ての製剤の水分含量は0.5%未満であった。
表12
【表12】
【0361】
室温から最高200℃までの加熱時の各凍結乾燥製剤の総重量損失を、TGA測定から得た。カール・フィッシャー測定で示されたように、各試料の低含水量を仮定すると、重量損失の大部分は、凍結乾燥ケーキ中に保持された残留溶媒に起因したものである。全ての製剤に対する重量損したが2.8%〜11.4%の範囲であることが表12に示されており、これは、凍結乾燥試料の大部分が比較的高い残留溶媒を保有したことを示唆している。最終医薬品の残留溶媒レベルは、深刻な毒性の懸念を引き起こす可能性があり、したがって、ICHガイドラインQ3Cに従って厳密に制御される必要がある。さらなる開発研究のために、この凍結乾燥製剤の残留溶媒レベルの定量化をしようとして、GC法を開発した。DSC測定もまた、凍結乾燥材料の熱応答を特性評価するために、各試料で行った。DSCプロファイルから特定された第1の吸熱イベントの最低ピーク温度は、非晶質材料のガラス転移温度を反映している。製剤VIII、IX及びXVは、他の製剤よりも比較的高いガラス転移温度を示した。これと対応して、これら3つの製剤は、他のものよりも良好なケーキ外観及び一体性も呈した。製剤XIII及びXIVは、7つの選抜された製剤の中で最も低いガラス転移温度を有しており、これは、加速安定性条件において観察されたそれらの弱い物理的安定性を部分的に説明した。
【0362】
実施例3:第3の製剤選抜
第2の選抜におけるいくつかの製剤のケーキ一体性が予測したほど良好でなかったために、凍結乾燥サイクル中のケーキ構造を安定化することの助けとするために、製剤中の増量剤レベルを増加させた。増量剤が50mg/mlの濃度を得るために、バルク溶液中のTBA濃度が55体積%以下に保持されねばならないことが判明した。API材料の新しいロットをDMA中に60mg/mlの濃度で溶解し、次いでクエン酸塩緩衝溶液中50%のTBAに添加した。最終バルク溶液中の薬剤濃度は、API/DMA濃縮液の比が増大しながら、以前の0.3mg/mlから最大1mg/mlまで増加し得る。第3の選抜では、2mg/バイアルの目標の薬物負荷を達成するために、最終バルク溶液中の薬剤濃度を、バイアル中の4mlの充填容量に相応する0.5mg/mlに設定した。製剤XVI〜XXIIは、これまでの選抜で使用したものと同じではあるが、50mg/mlのより高い増量剤レベルで増量剤を保有した。製剤XXIIIにおいて、Captisol(登録商標)及びPlasdone C17の組み合わせを増量剤として使用して、50体積%の代わりに30体積%のより低いTBAレベルにおいて同じ薬剤濃度を達成することができるように、ポリマーの添加が薬剤化合物の溶解度を増強させるかどうかを試験した。表13は、第3の選抜におけるバルク溶液の製剤組成を示している。
表13
【表13】
【0363】
全ての選抜された製剤の最終バルク溶液及び再構成後の溶液のpH値は、表14に示すように、5.0よりも低く良い状態で保たれた。
表14
【表14】
【0364】
第1の選抜で使用したものと同じ一般的な凍結乾燥サイクルを、本試験で採用した。8つの凍結乾燥製剤の物理的構造を完全に特性評価し、その結果を表15に示す。
表15
【表15】
【0365】
増量剤の増加したレベルを用いることによって、スクロース及びグリシンを含有するものである製剤XXIIを除いて、全ての製剤は、許容可能なケーキ外観を得た。この観察は、低レベルのスクロース及びグリシンを含む製剤XIVで見られたものと一致した。第2の選抜で観察された不良なケーキ一体性及び劣化した物理的安定性の結果として、スクロース及び/またはグリシンを含有する製剤を除外した。
【0366】
第3の選抜における8つの製剤の再構成性能は、第2の選抜で観察されたものと一致した。シクロデキストリンベースの製剤である製剤XVI、XVII、XVIIIは、精製水またはD5W単独によって再構成することができるわずか3つの製剤である。製剤XXIIIを含める全ての残りの製剤は、完全な溶解のために共溶媒希釈剤を必要とした。驚くべきことに、製剤XXIIIはCaptisol(登録商標)を含んだが、製剤XXIIIの薬剤安定性は、Plasdoneの存在によって増強されるよりもむしろ制限された。したがって、製剤XXIIIを選抜から棄却した。
【0367】
カール・フィッシャー、DSC、及びTGAの結果を表16にまとめる。
表16
【表16】
【0368】
カール・フィッシャー測定によって検出された含水量は、全ての製剤が、0.5%未満の水を含有することを示した。しかしながら、TGAの結果は、加熱時の各製剤の重量損失が、広範囲で変化することを示唆しており、これは主として、凍結乾燥ケーキ内の高レベルの残留溶媒に起因した。製剤XVIII及びXIXは、他の製剤よりも比較的高い残留溶媒を含有しており、これは、シクロデキストリンの糖環及びポビドンのポリマー鎖と結合した溶媒分子の傾向性に起因する可能性が高い。マンニトールベースの製剤である製剤XXは、1.6%の最低の残留溶媒を含有した。表17は、第3の選抜から選択された製剤の残留溶媒を提供する。
表17
【表17】
【0369】
第3の製剤選抜の完了によって、Captisol(登録商標)またはDexolveベースの製剤が、その良好な物理的及び化学的安定性ならびにその迅速かつ簡単な再構成のために、最有力候補として際立った。Kleptose(登録商標)ベースの製剤は、これが、Captisol(登録商標)ベースの製剤と同様な特性を示したために、代替品として見なされた。マンニトールベースの製剤もまた、全ての選抜された製剤の中でのその優れたケーキ構造及び最低の残留溶媒レベルのために、バックアップと見なされた。
【0370】
GC試験を前述の4つの最有力製剤で行い、各個々のバイアルにおいてより明確に限定された量の残留溶媒を取得した。したがって、製剤選抜の次の実行は、初期バルク溶液中で使用される溶媒レベルの低減に焦点を当てた。薬剤がCaptisol(登録商標)、Dexolve、またはKleptose(登録商標)溶液中で同等の溶解度を有するという条件で、選抜においてDexolveを単独の増量剤として使用した。
【0371】
実施例4:第4の製剤選抜
全てのこれまでの製剤開発作業を、2mg/バイアルの薬物負荷で標的とした。APIを先ずDMA中に60mg/mlの濃度で溶解し、次いで50:50のTBA/クエン酸塩緩衝溶液中のDMA濃縮物を添加することによって、0.5mg/mlほどの高さの薬剤濃度を達成した。完成凍結乾燥医薬品中の残留溶媒レベルを最小化するために、いくつかのアプローチを考慮した。
1.初期TBAの量を減少させることが、より少ない残留TBAをもたらし得ること。
2.初期DMAの量を減少させることが、より少ない残留DMAをもたらし得ること。
3.初期シクロデキストリンの量を減少させることが、この賦形剤中の溶媒捕捉を減少させ得ること。
4.凍結乾燥パラメータを最適化することが、昇華及び脱着プロセスの両方において溶媒の除去を容易にし得ること。
【0372】
製剤中の初期TBAの量を低減するために、小規模な試験を行い、Dexolveベースの最有力製剤中のTBAの変化するレベルにおいてAPI溶解度を評価した。APIをDMA中に50mg/mlで溶解し、次いでDexolve、クエン酸塩緩衝液及びTBAを含有する溶液に添加した。表18は、溶解度試験における製剤組成を示す。
表18
【表18】
【0373】
TBAレベルが30体積%以下であるとき、透明な溶液が得られないことが観察された。これは、バルク溶液中で薬剤濃度を0.5mg/mlに維持するために、最小で35〜40体積%のTBAが必要とされることを示唆した。DMA及び/またはDexolveレベルも低減される場合、さらに高いレベルのTBAが必要となるであろう。TBAレベルを第3の選抜において使用された50体積%のレベルから繰り下げる余地はほとんどない。したがって、より低い溶媒含量を得るために、第4の選抜において標的薬剤濃度を低減することを決定した。20ccのバイアル中8mlの最大充填容量及び2mg/バイアルに代えて1mg/バイアルの薬物負荷であると仮定すると、製剤化される最低薬剤濃度は、0.125mg/mlである。
【0374】
第4の選抜における5つの製剤のバルク溶液組成を表19に記載した。
表19
【表19】
【0375】
製剤XXVII、XXVIII及びXXIXは全て、0.125mg/mlの薬剤濃度で調製した。製剤XXVIIは、TBAを含有しなかったが、一方製剤XXVIII及びXXIXは、25体積%のTBAを含有した。製剤XXIXは、DMAを含有しなかったが、一方製剤XXVII及びXXVIIIは、DMA中50mg/mlの溶液として添加された薬剤を有した。製剤XXX及びXXXIは、それぞれ30体積%及び35体積%で、比較的高いレベルのTBAを有した。その結果、これらは、それぞれ、0.25mg/ml及び0.40mg/mlでより高い薬剤濃度を達成することができた。第1の選抜からの結果に基づくと、Captisol(登録商標)を17mg/mlで含有する製剤は、許容可能なケーキ構造を得た。したがって、溶媒捕捉傾向性を緩和するために、Dexolveを50mg/mlに代えて20mg/mlの濃度で新しい選抜で使用した。第4の選抜の凍結乾燥サイクルにおいて、全てのサイクルパラメータを、二次乾燥を除いて、これまでの試験におけるものと同様に保持した。二次乾燥工程における棚温度を、25℃から40℃まで上昇させて、乾燥時間を6時間から12時間まで延長させた。
【0376】
全ての5つの製剤は、良好な凍結乾燥ケーキ材料を得て、このうち製剤XXVIIが、最も見栄えの良いケーキ外観を提供した。4mlのD5Wで再構成後に、薬剤の沈殿を、60分以内にRx30バイアルで観察した。他の製剤は、再構成後に、目視観察に基づいて、少なくとも3時間、透明な溶液を維持した。
【0377】
TGAによって測定された凍結乾燥試料の重量損失は、以前のロットと比べて、より大きな程度まで低減した。これと対応して、表20に示すように、GC法によって検出された各製剤の残留溶媒レベルも低減した。
表20
【表20】
【0378】
TBAレベル及びDMAレベルの両方が、凍結乾燥ケーキの総固形形態含量の減少と共に減少した。より少ない固形形態含量が、より小さいケーキ厚さをもたらし、これが、溶媒がケーキから除去されるためのより高い熱伝達効率を結果としてもたらすことを推測した。製剤XXVIIで見出されたごく微量のTBAは、交差汚染に由来することが疑われた。TBAを含まない製剤は、毒性学及び規制の観点から最も好ましいので、製剤XXVIIが、製剤開発の次の段階に進めるための主要な製剤と見なされた。製剤XXXIは、マンニトールベースの製剤である製剤XXと共にバックアップとして見なされた。製剤の調製中に、Dexolveは、未知の繊維及び大型の着色粒子の存在などのいくつかの品質問題を明らかにした。それに加えて、Captisol(登録商標)に匹敵するその物理的及び化学的特性にもかかわらず、DexolveはいかなるFDA承認の第IV相医薬品にも使用されておらず、これが臨床試験におけるその使用に関する潜在的な規制上の障害である。したがって、Captisol(登録商標)及びKleptose (登録商標)を、さらなる開発作業で代わりに使用した。
【0379】
4つの製剤を、さらなるプロセス開発のための最有力な候補として、製剤選抜から選択した。4つの製剤を表21に示す。
【表21】
【0380】
バルク溶液中のDMA共溶媒レベルをプロセス開発のためにさらに減少させることが予想されるために、2つのTBAを含まない製剤、製剤IA及びICのシクロデキストリンレベルを、20mg/mlから30mg/mlに増加させて、ある程度の溶解度裕度を提供した。他の2つの製剤、II及びIIIは、TBAを含まない製剤よりも高い薬物負荷に適合するために、40〜50%のTBAを含有した。
【0381】
実施例5:凍結乾燥製剤の熱分析
プロセス開発作業に先立って、凍結乾燥プロセスにおける製剤の物理的及び化学的挙動を特性化するために、一連の低温熱分析作業を、表21に列挙された4つの最有力製剤のそれぞれで行った。電気抵抗(ER)測定において、材料を平均制御速度で冷却かつ加温し、抵抗における偏差を用いて、加温時の相転移の開始温度を決定した。凍結乾燥顕微鏡(FDM)測定において、材料を温度制御された凍結乾燥段階の下で、単一セル内で冷却かつ加温した。相転移中の試料の凍結かつ乾燥された部分を、顕微鏡下で目視観察し、開始温度を記録した。低温の示差走査熱量測定(LT−DSC)法においては、試料を先ず完全に凍結するまで冷却し、次いで調節された加熱速度で加温した。ガラス転移事象を、得られた可逆熱流(reversing heat flow)において検出した。凍結中の完全な固化に必要な最低凍結温度、加温時の相転移温度、及び加温時にFDM下で凍結材料中の最初の空隙が観察された温度を特定し、表22にまとめた。
表22
【表22】
【0382】
一般的に、ERの結果は参照値にすぎず、FDMまたはLT−DSCの結果ほど明確ではない。FDMから得られた視覚的な結果は、バイアル中で生じることを最もよく描写していると考えられる。その後、一次乾燥中の推奨される生成物の温度範囲を、ケーキ構造の保持及び崩壊の不在を伴う完全な昇華のために決定した。一部の例では、生成物は、生成物の温度がガラス転移温度よりもわずかに高いと、生成物は安定した状態を保つことができる。典型的には、ある程度の安全裕度を提供するために、生成物は、凍結乾燥ケーキの崩壊温度をよく描写していると考えられる初期空隙形成温度よりも2〜3℃低く保たれる。マンニトールベースの製剤IIIについては、LT−DSCの結果は、2℃/分の走査において発熱事象を示したが、これは、10℃/分の走査では見られなかった。これは、この事象が加温速度に依存的であることを示唆した。製剤は、結晶質増量剤のマンニトールの効率的な結晶化を可能にする、一次乾燥の前のアニ―リング工程から恩恵を受けることができる。熱分析の結果、特に一次乾燥に推奨される生成物温度範囲を、その後のプロセス開発作業において参照値として使用した。
【0383】
実施例6:凍結乾燥プロセスの開発
凍結乾燥プロセスは、3つの段階:凍結、一次乾燥、及び二次乾燥からなることができる。液体製剤は、凍結段階を通しての完全な固化、一次乾燥を通しての氷ならびに溶媒の昇華、及び二次乾燥を通しての残留水分ならびに溶媒の脱着を経由することによって凍結乾燥粉末に変換される。一次乾燥及び二次乾燥における棚温度とチャンバ圧力とは、完成した医薬品の品質に重大な影響を与える重要なプロセスパラメータである。5種のプロセス開発試験を実行し、それぞれの重要なプロセスパラメータが最終凍結乾燥生成物の品質に及ぼす影響を検討した。完成医薬品に対して一連の試験を行った。ケーキ外観及び構造は、目視検査によって特性化した。再構成溶液は、目視検査及びpH測定によって特性化した。凍結乾燥ケーキの水分含量は、カール・フィッシャー法によって測定した。高温での乾燥ケーキの物理化学的挙動は、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)によって特性化した。残留溶媒レベルは、ガスクロマトグラフィー(GC)法によって定量化した。アッセイ及び純度は、HPLCによって測定した。
【0384】
実施例7:一次乾燥における棚温度の完成生成物に及ぼす影響
本試験の目的は、一次乾燥中の棚温度の生成物温度に及ぼす影響を評価することである。棚温度を、一次乾燥全体を通して60mトル(Torr)の一定のチャンバ圧力で、−34℃から−16℃まで段階的に上昇させた。表21に記載した4つの最有力製剤を配合して、20mlのガラスバイアルに充填し、1mg/バイアルの目標薬物負荷で凍結乾燥した。サイクルパラメータを表23に表示する。
表23
【表23】
【0385】
一次乾燥中に、各製剤の生成物温度が、棚温度における3°の上昇当たり平均で0.8〜1.4°上昇することを観察した。氷の昇華が完了する生成物温度が、製剤IA、IC、II及びIIIについて、それぞれ−35.9℃、−34.8℃、−40.7℃、及び−40.1℃であると示されたように、生成物温度変化は、製剤IA及びICよりも製剤II及びIIIで顕著であった。製剤IIを除いて、全ての製剤の破断温度は、低温熱分析から得られた推奨される生成物温度よりも低かった。これは、崩壊が製剤IIで発生し得るが、一方で他の3つの製剤はケーキ構造の良好な保持を達成していることを示唆した。
【0386】
4つの副ロットの完成生成物は、種々の程度の収縮を有する許容可能なケーキ外観を示した。各副ロットのアッセイは、95〜105%の許容可能な範囲内であった。4つの副ロットの残留水分は、全て0.2%未満であった。凍結乾燥材料を、2、4、及び8mlの精製水で再構成した。製剤IA、IC及びIIは、透明かつ無色溶液を提供し、これらは、目視検査によって4時間物理的に安定なままであった。製剤IIIは濁り、有機溶媒を含有する代わりの希釈剤を必要とした。各再構成溶液のpHは、4.5〜4.9の範囲であった。各副ロットの残留溶媒レベルをGCによって定量化し、表24に列記した。
表24
【表24】
【0387】
ICHガイダンスによれば、DMAはクラス2の溶媒と見なされ、1日の最大摂取量を10.9mg/日と設定されている。このガイダンスは、開発の臨床研究段階中に使用される新しい創薬製剤には適用しない。したがって、表明されたDMAの限界は、ベンチマークとしてのみ使用される。TBAはICHガイドラインには記載されていない。残留TBAの1日の最大摂取量を、0.15mg/日と設定した。2mg/日の最高用量と仮定すると、完成生成物中の残留DMA及びTBAは、それぞれ、5.45mg/バイアル未満及び0.075mg/バイアル未満であると予想される。製剤IIIを除く全ての製剤は、残留溶媒限界を超えた。したがって、プロセスの最適化を、残留溶媒をさらに低減するために行った。
【0388】
実施例8:一次乾燥におけるチャンバ圧力の完成生成物に及ぼす影響
この試験は、一次乾燥中のチャンバ圧力が生成物温度に及ぼす影響を評価するために設計した。−34℃における棚温度が一次乾燥全体にわたって一定の状態で、チャンバ圧力を40mトルから200mトルまで段階的に上昇させた。サイクルパラメータを表25に記載した。
表25
【表25】
【0389】
4つの副ロットをこの試験で製剤化した。製剤IA、III及びIIIは、表21に示したものと同じであった。プロセス試験Run #1と唯一異なる点は、バルク溶液中のDMAの初期量を低下させるために、DMA中のAPIの出発濃度を、75mg/mlから120mg/mlに増加させたことであった。Captisol(登録商標)を含有する製剤IAが、Kleptose(登録商標)ベースの製剤である製剤ICに匹敵する物理的及び化学的挙動を示し得ると理論立てられたために、製剤ICは評価しなかった。この代わりに、バルク溶液をTBAまたはDMAの援助なしに配合する実現可能性を評価するために、Captisol(登録商標)ベースの溶媒を含まない製剤であるRx4を試験計画に加えた。この製剤は、0.125mg/mlのC型を、300mg/mlのCaptisol(登録商標)を有する同じ20mMのクエン酸塩緩衝液中に溶解している。Rx4では、配合プロセス中に薬剤の沈殿を観察し、沈殿薬剤を凍結乾燥の前に濾別した。その後のRx4副ロットの凍結乾燥試料における28.8%の低アッセイ値は、溶媒を含まない製剤が、薬剤の可溶化を促進するための10倍高いシクロデキストリンを用いても、実行可能な選択肢ではないことを確認した。したがって、Rx4は、さらなる試験では考慮されなかった。
【0390】
一次乾燥中に、副ロットの製剤IA、2、及び3の生成物温度が、チャンバ圧の50から70ミクロンの増加で、平均で10ミクロン当たり1.1℃上昇することを観察した。80から140ミクロンまででは、生成物温度は、各10ミクロンの増分に対しておよそ0.5℃上昇した。生成物破断温度は、Rx2及び3について、それぞれ−36.7℃及び−37.7℃であった。Rx3の破断温度は、推奨された生成物温度範囲内であって、Rx3副ロットが、崩壊の保持及び不在を伴って凍結乾燥されることを示唆した。対照的に、Rx2の生成物破断温度は、推奨された生成物温度範囲よりも高かった。明らかな崩壊が、数個のRx2試料バイアルにおいて観察された。製剤IAは、これらの副ロットバイアルにおける不完全な昇華を暗示する破断温度を受けなかった。
【0391】
4つの副ロットの完成生成物は、種々の程度の収縮を有する許容可能なケーキ外観を示した。3つの副ロットの製剤IA、II、及びIIIのアッセイは、全て95〜100%の許容可能な範囲内であった。プロセスRun #2における副ロットの製剤IA、II及びIIIの水分含量及び再構成の結果は、プロセスRun #1において得られたものと同様であった。各副ロットの残留溶媒レベルを、GCによって定量化し、表26に列記した。
表26
【表26】
【0392】
本試験における全ての副ロットの低減した残留溶媒レベルは、バルク溶液中のDMA充填の初期量を減少させることが、完成医薬品における残留DMAレベルを最小化させるための有効なアプローチであることを示した。
【0393】
実施例9:二次乾燥におけるチャンバ圧力の完成生成物に及ぼす影響
本試験を、二次乾燥におけるより高いチャンバ圧力の完成医薬品の残留溶媒レベルに及ぼす影響を評価するために設計した。3つの製剤副ロット、製剤IC、II、及びIIIを、本試験において評価した。各製剤の組成は、表21に列記したものと同じであった。本試験では、全ての3つの製剤において、APIを120mg/mlの濃度でDMA中に溶解した。Kleptose(登録商標)が、同様な化学的特性及びより低い材料コストのために、Captisol(登録商標)よりも有利であると見なされるために、製剤IAはこの時点で棄却された。これまでの2つのプロセス試験で導出された生成物温度プロファイルに基づいて、−40℃〜−42℃の生成物温度範囲を得るために、本試験における一次乾燥の棚温度及びチャンバ圧力を、それぞれ−22℃及び40ミクロンに設定した。この保守的設定は、全ての3つの製剤が一次乾燥において崩壊なく構造を保持することを確実にするためのものである。本試験では、二次乾燥のチャンバ圧力を、40ミクロンから600ミクロンまで増加させた。より高いチャンバ圧力は、残留溶媒の脱着で支援し得るより窒素を豊富に含む環境及びより効率的な熱伝達を創出するであろうことを予想した。サイクルパラメータを表27に記載する。
表27
【表27】
【0394】
本試験において、製剤ICの破断温度は、−16℃〜−18℃の推奨される生成物温度範囲よりも非常に低い−35.2℃〜−38.2℃の範囲であった。これは、さらなる凍結乾燥サイクルの最適化において十分に余地が残っていることを暗示した。製剤II及びIIIの生成物破断温度は、それぞれ−38℃及び−39℃であった。製剤IIの破断温度は、推奨される生成物温度を超えており、崩壊を回避するために、この製剤に対してはより保守的なサイクルが必要であるだろう。
【0395】
3つの副ロットの完成生成物は、種々の程度の収縮を有する許容可能なケーキ外観を示した。プロセスRun #3における副ロットIC、II及びIIIの水分含量及び再構成の結果は、これまでの試験における結果と同様であった。各副ロットの残留溶媒レベルをGCによって定量化し、表28に列記した。
表28
【表28】
【0396】
製剤ICにおける残留DMAレベルが、所望の上限よりもなお高いことが示された。二次乾燥のチャンバ圧力における増加は、溶媒脱着に最小限の影響を及ぼした。
【0397】
実施例10:二次乾燥における棚温度及び乾燥時間の完成生成物に及ぼす影響
本試験は、二次乾燥における棚温度及び乾燥時間の完成医薬品の残留レベルに及ぼす影響を評価するために設計した。製剤ICを、その優れた再構成性能のために、前に進めるための最有力製剤として選択した。2つの多の変形型、製剤IC、XXXIII及びXXXVを、賦形剤の残留溶媒に及ぼす影響を評価するために、本試験に加えた。製剤XXXIIIは、20mg/mlのより低いKleptose(登録商標)レベルを有する点で、ICとは異なっていた。この意図するところは、Kleptose(登録商標)濃度を低減することが残留溶媒の低減の助けとなるかどうかを評価することであった。これまでの溶解度試験は、製剤ICについては、バルク溶液中の完全な薬剤溶解を保証するための最小Kleptose(登録商標)濃度が25mg/mlであることを示した。したがって、Kleptose(登録商標)濃度を製剤XXXIII副ロットで20mg/mlまで低減させたとき、バルク溶液中の完全な薬剤溶解を保証するためには、APIを、120mg/mlに代えて60mg/mlでDMA中に溶解させた。製剤XXXVは、40mg/mlのマンニトールの添加を伴う点で、ICとは異なっていた。この意図するところは、凍結乾燥ケーキ中のより多くの結晶質構造を提供するマンニトールの存在が、残留溶媒の除去を促進するかどうかを評価することであった。3つの製剤の組成を表29に列記する。
表29
【表29】
【0398】
本試験における一次乾燥の棚温度及びチャンバ圧力を、全ての製剤に対して保守的凍結乾燥サイクルを提供するために、それぞれ−28℃及び60ミクロンに設定した。製剤XXXVにおけるマンニトールの結晶化を容易にするために、アニーリング工程を凍結段階中に付加した。二次乾燥を50℃の上昇した棚温度で12、18、及び24時間行った。試料バイアルをそれぞれの時間点で凍結乾燥機から引抜き、残留溶媒の変化を経時的にチェックした。サイクルパラメータを表30に記載した。
表30
【表30】
【0399】
生成物破断温度は、一次乾燥において−33℃〜−36℃であって、これは、LT−TAからの製剤ICの推奨される生成物温度をかなり下回った。これは、現凍結乾燥サイクルが余りに保守的であり、さらなる開発において、乾燥時間を短縮するために、一次乾燥での棚温度及び/またはチャンバ圧力を増加させる余地がまだあることを示唆した。3つの副ロットの完成生成物は、種々の程度の収縮を有する許容可能なケーキ外観を示した。各副ロットの残留溶媒をGCで定量化し、表31に列記した。
表31
【表31】
【0400】
これは、製剤IC中の残留DMAレベルが、Run #3における6.2mg/バイアルから5.8mg/バイアルまでわずかに低減することを示した。12時間を超える延長した乾燥時間は、残留溶媒の除去に影響を及ぼさなかった。製剤XXXIIIは、3つの副ロットの中で最も高い残留DMAレベルを示し、これは主として、その初期DMA充填量が他の2つの製剤における量の2倍であったためである。製剤XXXVは、製剤ICと同様な残留DMAレベルを有し、マンニトールの添加が残留DMAの除去にほとんど影響を及ぼさないことを示唆した。これらの結果が、バルク溶液への初期DMA充填量と凍結乾燥ケーキ中の残留DMAとの間の強い相関関係を示したので、残留溶媒レベルを減少させるために、次の試験における製剤中の初期DMA充填量をさらに低減することを決定した。
【0401】
実施例11:製剤及び凍結乾燥プロセスパラメータの洗練化
本試験は、これまでのプロセス試験結果に基づいて、最有力製剤ICの製剤及びプロセスパラメータを洗練化するように設計した。先ず第1に、DMA中のAPIの実現可能な最大濃度を評価するために、迅速溶解性試験を行った。APIをDMA中に150mg/mlで溶解し、バルク溶液に添加されたとき、濾過前に未溶解の粒子が観察され、終夜の貯蔵後に薬剤沈殿がバルク溶液中で生じた。APIをDMA中に135mg/mlで溶解し、バルク溶液に添加したとき、透明かつ無色の溶液が得られ、終夜の貯蔵後に安定のままであった。したがって、DMA溶液中のAPI濃度を、新しい製剤ID中では、前に試験における120mg/mlから135mg/mlまで増加させた。製剤ID中の他の成分の組成は、製剤ICと同じままであり、それを表32に記載した。
表32
【表32】
【0402】
pH4.5未満でのよりロバストな溶液安定性を確実にするために、クエン酸塩緩衝液の目標のpH値を4.5から4.3に調整した。その後のHPLC試験は、8時間以内に明らかな劣化が生じることなく、濾過したバルク溶液のアッセイ及び純度の両方が安定なままであることを確認した(データを示さず)。したがって、再構成時のバルク溶液についての推奨される保持時間は、周辺条件において8時間である。
【0403】
凍結乾燥サイクルにおいて、昇華速度を増強させるために、一次乾燥の棚温度及びチャンバ圧力は、それぞれ−16℃及び140ミクロンに上昇させた。より積極的なプロセスパラメータは、一次乾燥温度を、これまでの試験における100時間超から約60時間まで短縮させた。いくらかの安全裕度を付加するために、最終一次乾燥温度を70時間に設定した。二次乾燥を50℃及び140ミクロンで12時間処理した。サイクルパラメータを表33に記載した。
表33
【表33】
【0404】
凍結乾燥サイクルの温度プロファイルを図31に示す。
【0405】
生成物破断温度範は、一次乾燥中に−28℃から30℃の範囲に及び、生成物が崩壊なく乾燥され、さらなる開発において一次乾燥速度を改善する余地がさらにある。
【0406】
製剤IDの完成生成物は、緻密かつ均一なケーキ外観を示した。水分含量は、カール・フィッシャー法の検出限界よりも低い。残留DMAレベルは4.2mg/バイアルまで低下し、これは、5.45mg/バイアルの目標の上限よりも低かった。得られたアッセイ値は、110.8%で予想外に高かった。APIをDMA中に用量での配合は、高アッセイに寄与する高リスクの工程であると特定された。将来の研究において、容量の代わりに重量によって配合することが示唆された。再構成性能は、これまでの製剤IC試料に匹敵した。全体的に、完成生成物試験の結果は、初回投与(FIH)臨床試験に受け入れ可能であると見なされた。
【0407】
プロセス開発の概要
重要なプロセスパラメータの完成医薬品の品質に及ぼす影響、特に残留溶媒含量を検討するために、5つのプロセス試験を順次実行した。製剤の洗練化をプロセス開発と同時に行った。製剤中のシクロデキストリンの存在が、乾燥ケーキ中の残留DMAの捕捉をもたらすことが判明した。二次乾燥が残留DMAの除去に及ぼす影響は最小であった。製剤中の初期DMA充填量の低減及び一次乾燥におけるより積極的なサイクルパラメータの使用は、残留DMAを低減する助けとなった。前のプロセス試験で特定された製剤ID及び凍結乾燥プロセスを、評価用のスケールアップデモバッチとなった。配合、凍結−乾燥、濾過、充填、及び放送を含む完全なプロセス図を図32に示した。
【0408】
実施例12:完成医薬品の安定性
予備的安定性試験を、製剤選抜中に行っている。全てのプロトタイプ製剤の中でも、製剤IX組成が、FIH製剤に最も近い。プロセス開発の終盤に向けて評価された製剤ICは、残留溶媒レベル以外はFIH製剤と同じ組成を厳密に有する。表34は、FIH製剤に対して、IX及びICの製剤組成を比較する
表34
【表34】
【0409】
製剤IX及び製剤ICの安定性データを表35に提示する。
表35
【表35】
【0410】
製剤IXの試料は、40℃/75%RHの加速条件において3ヶ月間、明らかな劣化の発生なく、安定のままであった。同様に、製剤ICの試料は、40℃/75%RHの加速条件において1ヶ月間安定のままであった。得られた加速安定性データは、今までのところ、完成医薬品が室温貯蔵条件下で許容可能な保存可能期間を有し得ることを示唆する非常に有望な結果を示した。
【0411】
実施例13:再構成溶液の実際に使用される際の安定性
D5Wまたは精製水のいずれかを用いて、2ml〜8mlの種々の容量で、再構成試験を行った。希釈剤の種類または容量に無関係に、同様な再構成性能を観察した。重量モル浸透圧濃度測定を各再構成溶液で行い、その結果を表36に示す。
表36
【表36】
【0412】
2mlの精製水による再構成が、283ミリオスモル/kgの重量モル浸透圧濃度にさせたことを判明した。この値は、285〜295ミリオスモル/kgのヒト血漿重量オスモル濃度に非常に近く、一方他の3つの再構成溶液は、非常に異なる重量モル浸透圧濃度を呈した。その後、同じ測定を2mlの注射用水(WFI)で繰り返し、301ミリオスモル/kgの重量モル浸透圧濃度値を得た。その結果、2mlの注射用水を、その生理的等張特性のために、再構成希釈剤として推奨し、再構成溶液の実際に使用される際の安定性を評価するために、次の再構成試験で使用した。再構成溶液のアッセイ及び純度をHPLCによって、2時間毎に8時間にわたって測定した。その結果を表37に示す。
表37
【表37】
【0413】
実際に使用される際の安定性のデータは、製剤溶液が再構成時に、室温条件で8時間安定のままであることを立証した。その間、室温で終夜保管後の薬剤沈殿は、目視検査によって観察されず、再構成溶液の物理的安定性を保証した。
【0414】
前述の安定性試験に基づいて、提案される再構成手順は、以下の通りに説明される。
【0415】
各バイアルを2mの注射用滅菌水で再構成する。全ての固形形態が溶解するまで、バイアルを穏やかに振盪または揺れさせる。得られた溶液は、C型を0.50mg/mL含有するであろう。溶液は透明かつ無色でなければならない。再構成溶液は、室温で8時間、バイアル中で安定なままである。投与前に、溶液を、微小粒子物質及び変色について目視検査する。C型溶液から必要量を引き取り、所望の用量を送達させる。
【0416】
上述した実施形態は、単に例示を意図するものであり、当業者であれば、わずかに通常の実験、特定の化合物、材料、及び手順の等価物だけを用いて理解され、あるいは解明することができるであろう。全てのこのような等価物は、本発明の範囲内であると見なされ、添付の特許請求の範囲に包含される。
【0417】
本発明の製剤は、医学の分野で使用するためのものである。
【0418】
本発明の製剤は、本明細書に提供される治療の方法で使用するためのものである。 本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
化合物1(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、あるいは多形体と、緩衝液と、増量剤とを含む凍結乾燥製剤。
(態様2)
化合物1が、(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)の固形形態を含む、態様1に記載の凍結乾燥製剤。
(態様3)
化合物1が、(2−(4−クロロフェニル)−N−((2−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド)の非晶質形態を含む、態様1に記載の凍結乾燥製剤。
(態様4)
化合物1が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約0.1〜約2%の量で存在する、態様1〜3のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様5)
化合物1が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約0.1〜約1%の量で存在する、態様1〜4のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様6)
化合物1が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約0.36%の量で存在する、態様1〜5のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様7)
前記緩衝液が、クエン酸塩緩衝液である、態様1〜6のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様8)
クエン酸塩緩衝液が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約5%〜約25%の量で存在する、態様1〜7のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様9)
クエン酸塩緩衝液が、無水クエン酸と無水クエン酸ナトリウムとを含む、態様1〜8のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様10)
無水クエン酸が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約2%〜約10%の量で存在する、態様9に記載の凍結乾燥製剤。
(態様11)
無水クエン酸が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約5%〜約8%の量で存在する、態様9または10に記載の凍結乾燥製剤。
(態様12)
無水クエン酸が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約6%〜約8%の量で存在する、態様9〜11のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様13)
無水クエン酸が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約6.41%の量で存在する、態様9に記載の凍結乾燥製剤。
(態様14)
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約2%〜約15%の量で存在する、態様9に記載の凍結乾燥製剤。
(態様15)
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約4%〜約10%の量で存在する、態様9または14に記載の凍結乾燥製剤。
(態様16)
無水クエン酸ナトリウムが、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約6.37%の量で存在する、態様14または15に記載の凍結乾燥製剤。
(態様17)
前記増量剤が、マンニトール、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びメチル化β−シクロデキストリンから選択される、態様1〜16のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様18)
前記増量剤が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである、態様1〜17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様19)
前記増量剤が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約70%〜約95%の量で存在する、態様1〜18のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様20)
前記増量剤が、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約80%〜約90%の量で存在する、態様1〜19のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様21)
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約80%〜約90%の量で存在する、態様1〜20のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様22)
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、前記凍結製剤の総重量に基づいて、約86.86%の量で存在する、態様1〜21のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様23)
前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、化合物1が、約0.1〜約1%で存在し、無水クエン酸が、約6%〜約8%の量で存在し、無水クエン酸ナトリウムが、約4%〜約10%の量で存在し、前記増量剤が、約70%〜約95%の量で存在する、態様1〜22のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様24)
前記凍結乾燥製剤の総重量に基づいて、化合物1が、約0.36%で存在し、無水クエン酸が、約6.41%で存在し、無水クエン酸ナトリウムが、約6.37%で存在し、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、約86.86%で存在する、態様1〜23のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
(態様25)
希釈剤を含む、態様1〜24のいずれか一項に記載の前記凍結製剤から得られる再構成製剤。
(態様26)
前記希釈剤が水である、態様25に記載の再構成水性製剤。
(態様27)
化合物1が、約0.1〜1mg/mLの量で存在する、態様25または26に記載の再構成水性製剤。
(態様28)
化合物1が、約0.5mg/mLの量で存在する、態様26または27に記載の再構成水性製剤。
(態様29)
前記水溶液が、約4〜約5の範囲のpHを有する、態様25〜28のいずれか一項に記載の再構成水性製剤。
(態様30)
前記水溶液が、約4.3のpHを有する、態様25〜28のいずれか一項に記載の再構成水性製剤。
(態様31)
がんを治療する方法であって、がんを有する哺乳動物に、態様1〜24のいずれか一項に記載の前記凍結乾燥製剤、または態様25〜30のいずれか一項に記載の前記水溶液を投与することを含む、前記方法。
(態様32)
前記方法が、態様25〜30のいずれか一項に記載の前記水溶液を投与することを含む、態様31に記載の方法。
(態様33)
前記がんが、白血病である、態様31に記載の方法。
(態様34)
前記白血病が、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、または急性骨髄性白血病である、態様33に記載の方法。
(態様35)
前記白血病が、急性骨髄性白血病である、態様34に記載の方法。
(態様36)
前記白血病が、従来の療法に対して再発しているか、不応性または耐性である、態様35に記載の方法。
(態様37)
治療有効量の別の第2の活性薬剤を投与すること、または支持療法を施すことをさらに含む、態様36に記載の方法。
(態様38)
前記第2の活性薬剤が、がん抗原に特異的に結合する治療用抗体、造血増殖因子、サイトカイン、抗がん剤、抗生物質、cox−2阻害剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはそれらの医薬的に活性な変異体もしくは誘導体である、態様37に記載の方法。
(態様39)
態様31〜36のいずれか一項に記載のがんを治療するための方法における、態様1〜30のいずれか一項に記載の製剤の使用。
(態様40)
凍結製剤を調製するための方法であって、増量剤と化合物1とを緩衝液中に溶解して、溶液を生成することと、前記得られた溶液を凍結乾燥して、粉末を生成することと、を含む、前記方法。
図1
図2
図3
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図30B
図30C
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