特許第6871260号(P6871260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871260改良された植物形質転換の方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871260
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】改良された植物形質転換の方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/82 20060101AFI20210426BHJP
   A01H 1/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C12N15/82 ZZNA
   A01H1/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】120
(21)【出願番号】特願2018-542121(P2018-542121)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公表番号】特表2018-537123(P2018-537123A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】US2016049132
(87)【国際公開番号】WO2017078836
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】62/252,229
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500207899
【氏名又は名称】パイオニア ハイ−ブレッド インターナショナル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アナンド, アジス
(72)【発明者】
【氏名】ベース, スティーブン ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ヒョン−ジェ
(72)【発明者】
【氏名】クライン, セオドア ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ラスナー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクブライド, ケビン イー.
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/157541(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0075358(US,A1)
【文献】 Database: GenBank, [online], Cloning vector pCAMBIA5105, complete sequence, EF042581, 29-OCT-2006 uploaded, [retrieved on 2020-09-03], Internet,URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/EF042581
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 7/00−7/08
A01H 1/00−17/00
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号35の配列を含むベクター。
【請求項2】
植物を形質転換する方法であって、
(a)植物由来の組織を、請求項に記載の第1のベクターと、T−DNA境界配列、および前記植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と接触させる工程と;
(b)前記組織を前記アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株または前記オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と共培養する工程と;
(c)前記目的ポリヌクレオチド配列を発現する前記組織から形質転換された植物体を再生する工程と
を含む方法。
【請求項3】
(a)請求項に記載のベクターと;
(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキット。
【請求項4】
植物細胞を形質転換するためのベクターシステムであって、
a)請求項1に記載の第1のベクターと
b)T−DNA境界配列および目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターと
を含む、ベクターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、植物遺伝子操作などの分子生物学の分野に関する。より具体的には、本開示は、共組み込み型ベクターを作製するため、ターナリーヘルパーベクターとして、使用することができるベクターを含む、植物形質転換のための方法および組成物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2015年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/252229号の優先権を主張するものであり、その内容は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
テキストファイルとしてEFS−Webを介して提出された配列表の参照
配列表の正式な写しは、2016年8月23日作成の20160826_6469WOPCT_SeqList.txtのファイル名を備え、485KBのサイズを有するASCIIフォーマットの配列表としてEFS−Webを介して電子的に提出され、本明細書と同時に提出されている。このASCIIフォーマットの文書内に含まれる配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
天然植物病原体のアグロバクテリウムは、双子葉植物の形質転換に広く使用されており、最近では、単子葉植物でも使用されている。アグロバクテリウム媒介遺伝子導入システムの利点は、植物体の再生速度を大幅に低下させずに、比較的高い頻度で、トランスジェニック細胞を再生する可能性を与えることである。さらに、植物ゲノムへのDNA導入プロセスは、他のDNAデリバリー方法と比べてよく特徴付けられている。アグロバクテリウムを介して導入されるDNAは、直接デリバリーで導入されるDNAより、広範な再配列を受ける可能性が少なく、多くの場合、1つ、または低コピー数で植物ゲノムに組み込まれる。
【0005】
最も広く使用されているアグロバクテリウム媒介遺伝子導入システムは、アグロバクテリウムを、DNA導入に必要なvir機能をコードする非武装もしくは非発癌性のTiヘルパープラスミドと、導入DNAまたはT−DNA領域を運ぶ、バイナリーベクタープラスミドと称する非常に小さな分離プラスミドを含むように遺伝子操作するバイナリー形質転換ベクターシステムである。T−DNAは、T−DNAの産生およびその導入プロセスで重要な役割を担う、T−DNA境界と称する各末端の配列によって定義される。
【0006】
バイナリーベクターは、T−DNA領域を持つプラスミドと異なるプラスミドにビルレンス遺伝子が位置しているベクターである(Bevan,1984,Nucl.Acids.Res.12:8711−8721)。T−DNAバイナリーベクターは遺伝子組み換えを必要としないため、その開発により植物細胞の形質転換は容易なものとなった。ビルレンス遺伝子のいくつかが遺伝子量効果を示したという発見(Jin et al.,J.Bacteriol.(1987)169:4417−4425)が、さらなるビルレンス遺伝子を持つスーパーバイナリーベクターの開発に繋がった(Komari,T.,et al.,Plant Cell Rep.(1990),9:303−306)。これらの初期のスーパーバイナリーベクターは、ハイパービルレンスTiプラスミドpTiBo542由来の大きな「vir」断片(約14.8kbp)を有しており、その断片が標準のバイナリーベクターに導入されていた(同上)。これらのスーパーバイナリーベクターにより、植物の形質転換が大幅に改善された。例えば、Hiei,Y.,et al.(Plant J.(1994)6:271−282)は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)によるイネの効率のよい形質転換を報告しており、その後には、トウモロコシ、オオムギおよびコムギにこのシステムを使用した報告があった(Ishida,Y.,et al.,Nat.Biotech.(1996)14:745−750;Tingay,S.,et al.,Plant J.(1997)11:1369−1376;およびCheng,M.,et al.,Plant Physiol.(1997)115:971−980;Hiei et alによる米国特許第5,591,616号明細書も参照されたい)。従来のスーパーバイナリーベクターの例としては、pTOK162(特開平4−222527号明細書、欧州特許出願公開第A−504,869号明細書、欧州特許出願公開第A−604,662号明細書および米国特許第5,591,616号明細書)、およびpTOK233(Komari,T.,(同上)およびIshida,Y.,et al.(同上)を参照されたい)が挙げられる。
【0007】
しかしながら、従来のスーパーバイナリーベクターの設計には、いくつかの欠点がある。例えば、大きなvir断片およびベクター骨格は、相当量の必須ではないDNAを持つ。さらに、tetAテトラサイクリン耐性遺伝子の使用は、細菌の増殖を抑え、また、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の菌株C58は、この抗生物質に対する部分耐性を既に有しているので、この菌株では選択マーカーにならない。さらに、大きな複製起点/分割領域(RK2由来、約15kbpの大きさ)はかなり大きいベクターをもたらすが、そのようなベクターはさらなる操作が容易ではなく、かつ不安定さの変化を伴う。
さらなる操作に対する制約は、スーパーバイナリーT−DNAベクターの再構築に、相同組み換えを受容可能なレシピエントのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)のLBA4404またはC58などの菌株において、スーパーバイナリーベクターとT−DNAベクター間の相同組み換えを行う必要があるという事実によってさらに増幅した。相同組み換えプロセスはかなり非効率的であり、得られる共組み換えベクターは、しばしば予期しない欠失を含んだ。さらに、好適なアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の分離株を特定するために、多くの候補クローンをスクリーニングする必要があった。C58、EHA101などの菌株においては、テトラサイクリンに対し耐性を有する自然発生突然多様体が高頻度で発生することが知られており(Luo、Z.Q. and Farrand、S.K.、(1999)J.Bacteriol.181:618−626)、これが、組み換えクローン特定のさらなる障害となっていた。
植物分子生物学、特に、植物形質転換およびそれに有用なベクターが進歩しているにもかかわらず、トランスジェニック植物を効率よく作製する形質転換技術が依然として求められている。特に、最小限の非必須配列を含む最適サイズのvir遺伝子を有する改良されたスーパーバイナリーベクター、改善されたビルレンス用のvirの最適混合物、より小さい複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)選択のための改善された選択マーカーが依然として求められている。理想的には、そのような改良ベクターは、共組み換えベクターの生成に容易に使用することができ、あるいは、植物形質転換用のターナリーヘルパーベクターとして使用することができるであろう。本開示は、これらの要求などに対処している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,591,616号明細書
【特許文献2】特開平4−222527号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第A−504,869号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第A−604,662号明細書
【特許文献5】米国特許第5,591,616号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Bevan,1984,Nucl.Acids.Res.12:8711−8721
【非特許文献2】Jin et al.,J.Bacteriol.(1987)169:4417−4425
【非特許文献3】Komari,T.,et al.,Plant Cell Rep.(1990),9:303−306
【非特許文献4】Hiei,Y.,et al.(Plant J.(1994)6:271−282
【非特許文献5】Ishida,Y.,et al.,Nat.Biotech.(1996)14:745−750
【非特許文献6】Tingay,S.,et al.,Plant J.(1997)11:1369−1376
【非特許文献7】Cheng,M.,et al.,Plant Physiol.(1997)115:971−980
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、vir遺伝子を含むベクターのための方法および組成物を含む。各種態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virB1〜B11;virC1〜C2;virD1〜D2;およびvirG遺伝子を含むベクターを提供する。一態様において、ベクターは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virPもしくはvirQ、またはその組み合わせをさらに含む。一態様において、ベクターは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virB1〜B11(それぞれ、配列番号4〜14)、virC1〜C2(それぞれ、配列番号16〜17);virD1〜D2(それぞれ、配列番号18〜19)、およびvirG(配列番号15)遺伝子を含む。一態様において、ベクターは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virA(配列番号26)、virB1〜B11(それぞれ、配列番号4〜14)、virC1〜C2(それぞれ、配列番号16〜17);virD1〜D5(それぞれ、配列番号18〜22)、virE1〜E3(配列番号23−25)、virG(配列番号15)、およびvirJ(配列番号27)遺伝子を含む。
【0011】
一態様において、本開示は、さらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virB1〜B11;virC1〜C2;virD1〜D2;およびvirG遺伝子を含む第1のベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。
【0012】
一態様において、本開示は、さらに、(a)(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virB1〜B11;virC1〜C2;virD1〜D2;およびvirG遺伝子を含むベクターと;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。
【0013】
本開示は、vir遺伝子を含むベクターのための方法および組成物を含む。各種態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11もしくはr−virB1〜B11、virC1〜C2もしくはr−virC1〜C2、virD1〜D2もしくはr−virD1〜D2、およびvirGもしくはr−virG遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、およびr−virGを含むベクターはさらにr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種のビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59、60もしくは102、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由

来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、npt1選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、その多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、その多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0014】
他の態様において、本開示はさらに、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0015】
他の態様において、本開示はさらに、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0016】
他の態様において、本開示はさらに、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するvirE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virA、r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0017】
一態様において、本開示は、さらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11もしくはr−virB1〜B11、virC1〜C2もしくはr−virC1〜C2、virD1〜D2もしくはr−virD1−D2、およびvirGもしくはr−virG、またはそれらの多様体および誘導体を含む第1のベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、およびr−virGを含むベクターはさらにr−gallsビルレンス遺伝子またはその多様体および誘導体を含むベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための

複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、npt1選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0018】
一態様において、本開示は、さらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持され

るための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、npt1選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0019】
一態様において、本開示は、さらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。
一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0020】
一態様において、本開示はさらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、配列番号26を有するvirA遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virA遺伝子、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virA、r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号: 101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム

属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61、またはその多様体もしくは断片を含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0021】
一態様において、本開示はさらに、(a)(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11もしくはr−virB1〜B11、virC1〜C2もしくはr−virC1〜C2、virD1〜D2もしくはr−virD1−D2、およびvirGもしくはr−virG、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターと;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。
一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0022】
一態様において、本開示はさらに、(a)(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は

、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0023】
一態様において、本開示はさらに、(a)(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Ag

robacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【0024】
一態様において、本開示はさらに、(a)(i)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(ii)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(iii)配列番号1を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5ビルレンス遺伝子、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するvirE3ビルレンス遺伝子、および配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virA、r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D5、r−virE3およびr−virGを含むベクターはさらに、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含むベクターと;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)のビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)ビルレンス遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ビルレンス遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11ビルレンス遺伝子、もしくは、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号94〜95を有するr−virD1〜D2ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号15を有するvirGビルレンス遺伝子、もしくは配列番号91を有するr−virGビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号101を有するr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virK、virL、virM、virP、virQ、r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含む。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号26を有するvirAビルレンス遺伝子、もしくは配列番号79を有するr−virAビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号20〜22を有するvirD3〜D5ビルレンス遺伝子、もしくはそれぞれ配列番号96〜98を有するr−virD3〜D5ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3ビルレンス遺伝子、もしくは配列番号100を有するr−virE3ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、それぞれ配列番号42〜43を有するvirH〜H1ビルレンス遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号45を有するvirKビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号46を有するvirLビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号47を有するvirMビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号48を有するvirPビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、配列番号49を有するvirQビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体である。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3〜D5およびvirE1〜E3、もしくはr−virA、r−virD3〜D5およびr−virE3、またはそれらの多様体および誘導体を含む。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、Col E1複製起点に由来する。一態様において、ColE1複製起点に由来する複製起点は、配列番号2、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSC101複製起点に由来する。一態様において、pSC101複製起点に由来する複製起点は、配列番号50、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、p15A複製起点に由来する。一態様において、p15A複製起点に由来する複製起点は、配列番号51、またはその多様体および断片を有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、R6K複製起点に由来する。一態様において、R6K複製起点に由来する複製起点は、配列番号52、またはその多様体および断片を有する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、高コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、中間コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、変異型のpRK2複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、53、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のい

ずれか1つを有する複製起点である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。一態様において、repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片のいずれか1つを有する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点に由来する。一態様において、複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニまたはマイクロpRK2複製起点である。一態様において、pRK2複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。一態様において、マイクロpRK2複製起点は、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、ミニpRK2複製起点である。一態様において、ミニpRK2複製起点は、配列番号66、またはその多様体および断片を有する。一態様において、pRK2複製起点は、trfAおよびOriV配列を含む。一態様において、pRK2複製起点は、配列番号64および65、またはそれらの多様体および断片を含む。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、pSa複製起点は、配列番号53、またはその多様体および断片を有する。一態様において、複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。一態様において、par DEオペロンは、配列番号55、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、aacC1遺伝子、npt1遺伝子、npt2遺伝子、hpt遺伝子、aadA遺伝子、SpcN遺伝子またはaph遺伝子である。一態様において、選択マーカー遺伝子はaacC1である。一態様において、aacC1選択マーカー遺伝子は、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaadAである。一態様において、aadA選択マーカー遺伝子は、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt1である。一態様において、選択マーカー遺伝子は、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はnpt2である。一態様において、npt2選択マーカー遺伝子は、配列番号41、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はhptである。一態様において、hpt選択マーカー遺伝子は、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はSpcNである。一態様において、SpcN選択マーカー遺伝子は、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子はaphである。一態様において、aph選択マーカー遺伝子は、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカー遺伝子は、テトラサイクリンに対する耐性を付与しない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、tetAR遺伝子ではない。一態様において、選択マーカー遺伝子は、対抗選択マーカー遺伝子である。一態様において、対抗選択マーカー遺伝子は、sacB遺伝子、rpsL(strA)遺伝子、pheS遺伝子、dhfr(folA)遺伝子、lacY遺伝子、Gata−1遺伝子、ccdB遺伝子またはthyA遺伝子である。一態様において、ベクターは、配列番号61も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号62も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、traオペロン配列もしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号63も、またその多様体もしくは断片も含まない。一態様において、ベクターは、配列番号34、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号35、またはその多様体および断片を有する。一態様において、ベクターは、配列番号36、またはその多様体および断片を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ベクターpSB1のプラスミドマップを示す。
図2図2は、配列番号34の配列を有するベクターpPHP70298のプラスミドマップを示す。
図3図3は、配列番号35の配列を有するベクターpPHP71539のプラスミドマップを示す。
図4図4は、固有の制限酵素部位の位置を含む、配列番号 36の配列を有するベクターpPHP79761のプラスミドマップを示す。これらの制限部位は、他の機能的に同等の要素との置換を促進するために、機能要素間に含まれた。
図5図5は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)TiプラスミドpTiBo542、NCBI参照配列NC_010929.1からの37,171bpの断片上の表示遺伝子間の関係を示す図である。
図6図6は、pVS1複製起点を含む、全長2,600bpの断片上の表示遺伝子間の関係を示す図である。
図7A図7Aは、AGL1株感染15日後のコムギ品種HC0456Dにおける一過性RFP(Ds−RED)発現を示す。
図7B図7Bは、LBA4404Thy−71539株感染15日後の一過性RFP発現を示す。矢印は、Ds−REDが強く発現した領域を示す。スケールバーは2mmに相当する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、添付の図面を参照しながら本明細書中の開示をより詳しく説明するが、図面は可能な態様のいくつかを示すものであって全部ではない。実際、開示は、多くの異なる形態で具体化可能であり、本明細書中に記載した態様に限られると解釈すべきではなく、むしろ、これらの態様は、本開示が適用法的要件を満たすために提供される。
【0027】
本明細書に開示する多くの変更および他の態様は、本発明の組成物および方法が関連する分野の当業者であって、前述の説明や添付の図面に提示された教示を利用できる者であれば、思い付くであろう。したがって、開示が、本明細書に開示した特定の態様に限定されるべきではなく、また、変更やその他の態様が添付の請求項の範囲に含まれることを意図していることは理解されるべきである。本明細書中には特定の用語が使用されるが、それらは、一般的かつ記述的意味でのみ使用されものであって、限定を目的として使用されるものではない。
【0028】
また、本明細書に使用される専門用語は、単に特定の態様を説明するためのものであって、限定を目的とするものではないことも理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用する用語「〜を含む(comprising)」には、「〜からなる(consisting of)」態様が含まれ得る。他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明の組成物および方法が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。この後に続く本明細書および特許請求の範囲においては、本明細書で定義する多くの用語について言及するであろう。
【0029】
I.Vir遺伝子を含むベクターを改良するための方法および組成物
本開示は、vir遺伝子を含むベクターのための方法および組成物を提供する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「pPHP」はプラスミドPHPを指し、その後には番号数字が続く。例えば、pPHP70298は、プラスミドPHP70298を指す。例えば、pVIR7は、プラスミドVIR7を指す。
【0031】
表23に、本開示に示されている配列番号(配列番号)表を示す。
【0032】
一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、r−virGおよびr−galls、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11は、それぞれ配列番号4〜14を有する、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virB1−B11は、それぞれ配列番号80〜90を有する、またはその多様体および誘導体;リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virC1〜C2は、それぞれ配列番号16〜17を有する、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virC1〜C2は、それぞれ配列番号92〜93を有する、またはその多様体および誘導体;リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD1〜D2は、それぞれ配列番号18〜19を有する、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virD1〜D2は、それぞれ配列番号94〜95を有する、またはその多様体および誘導体;リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virGは、配列番号15を有する、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virGは、それぞれ配列番号91を有する、またはその多様体および誘導体;ならびに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−gallsは、配列番号101を有する、またはその多様体および誘導体。
【0033】
態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種、リゾビウム属(Rhizobium)種、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種またはブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、リゾビウム属(Rhizobium)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、フィロバクテリウム属(Phyllobacterium)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)種遺伝子である。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)種遺伝子である。
【0034】
一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種遺伝子である。
一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種遺伝子は、アグロバクテリウム・アルベルティマグニ(Agrobacterium albertimagni)、アグロバクテリウム・ラリームーレイ(Agrobacterium larrymoorei)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビー(Agrobacterium rubi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)遺伝子である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種遺伝子は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)である。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)である。
【0035】
TiプラスミドまたはRiプラスミドを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)およびアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)の多くの野生型および非武装(非病原性)株を、植物への遺伝子導入に使用することができる。TiプラスミドまたはRiプラスミドを有する野生型のアグロバクテリウム属(Agrobacteria)のT−DNAに位置する植物ホルモン合成遺伝子が、形質転換後、植物細胞内で発現し、アグロバクテリウム属(Agrobacteria)の菌種もしくは菌株に応じて、腫瘍の形成、または毛状根表現型を引き起こす。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌のT−DNAを遺伝子操作して、その毒性および病原性の決定因子の多くを(非武装化によって)1つ以上の目的配列に置き換え、改変したT−DNAを植物細胞に導入し、ゲノムに組み込む能力を維持するようにすることができる。そのような非武装Tiプラスミドを含む菌株を、植物形質転換に広く使用することができる。
【0036】
いくつかの態様において、コンストラクトはTiプラスミド(アクロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))またはRiプラスミド(アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes))を含む。いくつかの態様において、コンストラクトは、1つ以上のビルレンス遺伝子を含む。ビルレンス遺伝子は、Tiプラスミドからのものであり得、本明細書では、配列番号4〜27および配列番号42〜49として示される。ビルレンス遺伝子は、Riプラスミドからのものであり得、本明細書では、配列番号79〜101として示される。本明細書に開示のRiプラスミドビルレンス遺伝子は、vir遺伝子名の前に「r」を用いて示される。例えば、r−virA(配列番号79)、r−virB1(配列番号80)、r−virB2(配列番号81)、r−virB3(配列番号82)、r−virB4(配列番号83)、r−virB5(配列番号84)、r−virB6(配列番号85)、r−virB7(配列番号86)、r−virB8(配列番号87)、r−virB9(配列番号88)、r−virB10(配列番号89)、r−virB11(配列番号90)、r−virG(配列番号91)、r−virC1(配列番号92)、r−virC2(配列番号93)、r−virD1(配列番号94)、r−virD2(配列番号95)、r−virD3(配列番号96)、r−virD4(配列番号97)、r−virD5(配列番号98)、r−virF(配列番号99)、r−virE3(配列番号100)およびr−galls(配列番号101)。本明細書の表23を参照されたい。本明細書では、ビルレンス遺伝子の様々な組み合わせが使用され得る。毒性には、r−galls遺伝子(配列番号101)が、本明細書に記載のRiプラスミドvir遺伝子と共に必要である。
【0037】
Ti/Riプラスミド上のVir領域は、その集約した機能が、プラスミドのT−DNA領域を切除し、それを植物ゲノムへ導入し組み込むのを促進することにある遺伝子の集まりである。virシステムは、植物が損傷すると生じるシグナルによって誘導される。アセトシリンゴン、シリンガアルデヒドまたはアセトバニロンなどのフェノール化合物は、構成的に発現した膜貫通タンパク質であるレセプターをコードするvir遺伝子を活性化する。活性化したvir遺伝子はキナーゼとして作用し、virG遺伝子をリン酸化する。リン酸化した形態のvir遺伝子は、転写活性化因子として、残りのvir遺伝子オペロンに作用する。virBオペロンは、気孔/線毛様構造を形成するタンパク質をコードする。VirCは、オーバードライブ配列に結合する。VirD1およびvirD2は、エンドヌクレアーゼ活性を有し、左境界配列および右境界配列内で一本鎖切断を行い、そして、virD4は、共役タンパク質である。VirEは、一本鎖T−DNAに結合し、本プロセスの輸送段階の間、それを保護する。植物細胞に導入されると直ちに、T−DNAの相補鎖が合成される。
【0038】
これらのvir遺伝子や他のvir遺伝子は移行中に機能し、そのため、これらの遺伝子はクローニングベクター内で含ませる必要はない。例えば、改変アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株は、T−DNA領域が削除されたプラスミドに必要なVir機能を全て提供することができ、細胞はT−DNA導入のためのvir機能を提供することができる。一例として、pBR322の一部がT−DNA領域の置換に使用され、アンピシリンに対する耐性が付与されたC58由来株がある。
【0039】
細胞ゲノムで発現および/または挿入されるための1つ以上の目的配列を含むコンストラクトが提供される。コンストラクトは、バイナリーベクター、ターナリーベクターまたはT−DNAベクターなどのベクターに含まれ得る。コンストラクトとは、様々な機能および/または活性を有する様々なタイプのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド分子を指す。様々なタイプの配列としては、リンカー、アダプター、調節領域、イントロン、調節部位、エンハンサー、インシュレーター、スクリーニングマーカー、選択マーカー、プロモーター、発現カセット、コードポリヌクレオチド、サイレンシングポリヌクレオチド、終止配列、複製起点、組み換え部位、切除カセット、リコンビナーゼ、細胞増殖因子、ベクターの構築もしくは分析に役立つその他の部位、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの例では、コンストラクトは、1つ以上の発現カセットを含み。そこでは、ポリヌクレオチドが調節配列に作動可能に連結している。作動可能に連結されるのは、2つ以上の要素間の機能的連結である。例えば、コードポリヌクレオチドを調節配列(例えば、プロモーター)間の作動可能な連結は、コードポリヌクレオチドを発現させる機能的連結である。作動可能に連結した要素は、隣接していても隣接していなくてもよい。2つのタンパク質コード領域の連結を指すために使用する場合、作動可能に連結されるとは、コード領域が同じリーディングフレームにあることが意図されている。コードポリヌクレオチドとしては、ポリペプチドをコードするか、または標的遺伝子の発現を低減するサイレンシングポリヌクレオチドをコードする任意のポリヌクレオチドが挙げられる。サイレンシングポリヌクレオチドの非限定的な例としては、低分子干渉RNA,マイクロRNA、アンチセンスRNA、ヘアピン構造などが挙げられる。コンストラクトはまた、植物細胞の形質転換を促進するか、または任意の構造核酸配列の発現を制御する多くの遺伝子成分を含有し得る。いくつかの例では、遺伝子成分は、mRNAを発現するように配向されており、任意選択により、mRNAはタンパク質に翻訳される。二本鎖形態で存在する植物構造コード配列(遺伝子、cDNA、合成DNA、またはその他のDNA)の発現は、RNAポリメラーゼ酵素によるDNAの一本鎖からのメッセンジャーRNA(mRNA)の転写、およびその後の核内でのmRNA一次転写物のプロセシングを含む。このプロセシングは、mRNAの3’末端をポリアデ二ル化する3’末端非翻訳領域を含む。
【0040】
一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11;virC1〜C2;virD1〜D2およびvirG、もしくはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、r−virGおよびr−galls、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターを提供する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11は、それぞれ配列番号4〜14、またはその多様体および誘導体を有し;アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virC1〜C2は、それぞれ配列番号16〜17、またはその多様体および誘導体を有し;アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子virD1〜D2は、それぞれ配列番号18〜19、またはその多様体および誘導体を有し;アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virGは、配列番号15、またはその多様体および誘導体を有するか;あるいは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11は、それぞれ配列番号80〜90、またはその多様体および誘導体を有し;r−virC1〜C2は、それぞれ配列番号92〜93、またはその多様体および誘導体を有し;r−virD1〜D2は、それぞれ配列番号95〜96、またはその多様体および誘導体を有し;r−virGは、配列番号91、またはその多様体および誘導体を有し;ならびに、r−gallsは、配列番号101、またはその多様体および誘導体を有する。
【0041】
一態様において、ベクターはさらに、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virJ、virK、virL、virM、virPもしくはvirQ、またはその多様体および誘導体の1種以上、あるいは、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上を含み、ビルレンス遺伝子r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3を含むベクターはさらに、r−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含む。したがって、一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG、もしくはそれらの多様体および誘導体、またはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2およびr−virG、もしくはそれらの多様体および誘導体、そして、r−galls、もしくはその多様体および誘導体、任意選択により、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virJ、virK、virL、virM、virPもしくはvirQ、またはその多様体および誘導体の1種以上、あるいは、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上、そしてr−galls、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virAは、配列番号26、またはその多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virAは、配列番号79、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5は、それぞれ配列番号20〜22、またはそれらの多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virD3〜D5は、それぞれ配列番号94〜96、またはそれらの多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virE1〜E3は、それぞれ配列番号23〜25、またはそれらの多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virE3は、配列番号100、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virH〜H1は、それぞれ配列番号42〜43、またはそれらの多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virJは、配列番号27、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virKは、配列番号45、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virLは、配列番号46、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virMは、配列番号47、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virPは、配列番号48、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virQは、配列番号49、またはその多様体および誘導体を有する。
【0042】
一態様において、ベクターはさらに、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virJ、virK、virL、virM、virPもしくはvirQ、またはその多様体および誘導体の1種以上、あるいは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上、ならびにr−gallsビルレンス遺伝子、またはその多様体および誘導体を含む。したがって、一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG、もしくはそれらの多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、r−virGおよびr−galls、もしくはそれらの多様体および誘導体、任意選択により、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virA、virD3、virD4、virD5、virE1、virE2、virE3、virH、virH1、virH2、virJ、virK、virL、virM、virPもしくはvirQ、またはその多様体および誘導体の1種以上、あるいは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virA、r−virD3、r−virD4、r−virD5、r−virE3もしくはr−virF、またはその多様体および誘導体の1種以上、そしてr−galls、またはその多様体および誘導体を含むベクターを提供する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virAは、配列番号26、またはその多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virAは、配列番号79、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virD3〜D5は、それぞれ配列番号20〜22、またはそれらの多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virD3〜D5は、それぞれ配列番号94〜96、またはそれらの多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virE1〜E3は、それぞれ配列番号23〜25、またはそれらの多様体および誘導体を有し、あるいはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virE3は、配列番号100、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virH〜H2は、それぞれ配列番号42〜43、またはそれらの多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virJは、配列番号27、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virKは、配列番号45、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virLは、配列番号46、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virMは、配列番号47、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virPは、配列番号48、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virQは、配列番号49、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virFは、配列番号99、またはその多様体および誘導体を有する。一態様において、リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−gallsは、配列番号101、またはその多様体および誘導体を有する。
【0043】
一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D5、virE1−E3およびvirG、もしくはそれらの多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子の、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11、それぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5、配列番号100を有するr−virE3、配列番号91を有するr−virG、および配列番号101を有するr−galls、もしくはそれらの多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0044】
一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virA、virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D5、virE1〜E3およびvirG、もしくはそれらの多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacteriumビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、r−virGおよびr−galls、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0045】
一態様において、本開示は、(a)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(c)選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virA、virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D5、virE1〜E3、virGおよびvirJ、もしくはそれらの多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子の、配列番号79を有するr−virA、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11、それぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5、配列番号100を有するr−virE3、配列番号91を有するr−virG、配列番号101を有するr−galls、もしくはそれらの多様体および誘導体を含むベクターを提供する。
【0046】
本開示は、Col E1、pSC101、p15AもしくはR6K複製起点、またはその機能的多様体および誘導体に由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含むベクターを提供する。一態様においては、本開示のベクターの構築に、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)で機能する複製起点を使用することができる。例えば、種々の頻度および質(単一T−DNAコピー、骨格なし)の形質転換イベントを得るために、種々の複製起点を選択することができる。一態様において、複製起点は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)またはその両方で機能する複製起点である。一態様において、複製起点は、pVS1、pSa、RK2、pRi、incPa、incW、Col E1、pRSF1010、pBBR1またはそれらの機能的多様体および誘導体からなる群から選択される。
【0047】
一態様において、ベクターは、Col E1に由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。さらなる態様において、ベクターは、配列番号2、またはその多様体および断片を有する、Col E1に由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。
【0048】
一態様において、ベクターは、pSC101に由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。さらなる態様において、ベクターは、配列番号50、またはその多様体および断片を有する、pSC101に由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。
【0049】
一態様において、ベクターは、p15Aに由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。さらなる態様において、ベクターは、配列番号51、またはその多様体および断片を有する、p15Aに由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。
【0050】
一態様において、ベクターは、R6Kに由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。さらなる態様において、ベクターは、配列番号52、またはその多様体および断片を有する、R6Kに由来する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点を含む。
【0051】
種々の態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、低コピー数複製起点、中間コピー数複製起点、または高コピー数複製起点であり得る。低コピー数複製起点は、1細胞当たり約1〜2コピー数のベクターを与えると理解されている(例えば、Li et al.,Plant Cell Report(2015)34:745−54;およびCho and Winans Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2005)102:14843−848を参照)。さらに、中間コピー数複製起点は、1細胞当たり約7〜12コピー数のベクターを与えると理解されている(例えば、Oltmanns、et al.,Plant Physiol.(2010)152:1158−1166を参照。)中間コピー数複製起点の例としては、非限定的な例であるが、pRK2由来のもの、およびpVS1のコピーダウン変異型が挙げられる。高コピー数複製起点は、1細胞当たり約15〜20以上のコピー数のベクターを与えると理解されるべきである(例えば、Oltmanns、et al.,Plant Physiol.(2010)152:1158−1166;およびLi et al.,Plant Cell Report(2015)34:745−54を参照)。中間コピー数複製起点の例としては、非限定的な例であるが、repABC由来のもの、およびpVS1のコピーアップ変異型が挙げられる。
【0052】
一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRi、pVS1、pRSF1010、pRK2、pSaまたはpBBR1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRK2複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pVS1複製起点に由来する。一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点に由来する。種々の態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号3、37、38、57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片を有する。
【0053】
一態様において、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、repABC適合複製起点である。repABC適合複製起点は、配列番号57、58、59もしくは60、またはその多様体および断片を有し得る。
【0054】
いくつかの態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、同じ複製起点である。例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRK2複製起点、pSa複製起点またはpRSF1010複製起点由来であり得る。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRK2複製起点由来であり得る。さらなる態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、配列番号38、またはその多様体および断片を有するpRK2複製起点由来であり得る。一態様において、複製起点は、pSa複製起点に由来する。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pSa複製起点(配列番号53)、またはその多様体および断片由来であり得る。さらなる態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、pRSF1010複製起点由来であり得る。さらなる態様において、pRSF1010複製起点は、配列番号37、またはその多様体および断片を有する。
【0055】
pRK2複製起点の多様体としては、ミニまたはマイクロpRK2複製起点が挙げられる。一態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、マイクロpRK2複製起点である。さらなる態様において、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点、およびアグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点は、マイクロpRK2複製起点であり、配列番号54、またはその多様体および断片を有する。
【0056】
いくつかの態様において、本開示のベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。さらなる態様において、pRK2複製起点、特にマイクロまたはミニpRK2複製起点を含む本開示のベクターはさらに、par DEオペロン由来の配列を含む。par DEオペロン配列は、配列番号55、またはその多様体および断片を有し得る。
【0057】
一態様において、選択マーカーは、ゲンタマイシン、ネオマイシン/カナマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシンに対する耐性を付与するさらなる態様において、選択マーカーは、aacC1、npt1、npt2、hpt、aadA、SpcNまたはaphである。一態様において、選択マーカーは、配列番号1、39、40、41、67、77もしくは78(それぞれaacC1、aadA、npt1、npt2、hpt、SpcNおよびaphに対応)、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカーは、aacC1である。さらなる態様において、選択マーカーは、aacC1であり、配列番号1、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカーは、aadAである。さらなる態様において、選択マーカーは、aadAであり、配列番号39、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカーは、npt1である。さらなる態様において、選択マーカーは、npt1であり、配列番号40、またはその多様体および断片を有する。一態様において、選択マーカーは、npt2である。さらなる態様において、選択マーカーは、npt2であり、配列番号41を有する。一態様において、選択マーカーは、hptである。さらなる態様において、選択マーカーは、hptであり、配列番号67、またはその多様体および断片を有する。さらなる態様において、選択マーカーは、SpcNであり、配列番号77、またはその多様体および断片を有する。さらなる態様において、選択マーカーは、aphであり、配列番号78、またはその多様体および断片を有する。種々の態様において、選択マーカーは、テトラサイクリン選択マーカーではない。一態様において、選択マーカーは、tetARではない。
【0058】
一態様において、選択マーカーは、対抗選択マーカーまたはネガティブ選択マーカーである。以上から理解できるように、本開示のベクターは、ビルレンス(vir)遺伝子、複製起点および選択マーカーを含み得る。下の表1は、限定するものではないが、ビルレンス遺伝子、選択マーカーおよび複製起点を含む組み合わせの例である。一態様において、対抗選択マーカーは、sacB、rpsL(strA)、pheS、dhfr(folA)、lacY、Gata−1、ccdBまたはthyAである。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
一態様において、本開示は、配列番号61も、またその多様体および断片も含まないベクターを提供する。
【0062】
一態様において、本開示は、配列番号62も、またその多様体および断片も含まないベクターを提供する。
【0063】
一態様において、本開示は、traもしくはtrbオペロン配列も、またその多様体もしくは断片も含まないベクターを提供する。さらなる態様において、本開示は、traもしくはtrbオペロン配列(ここで、traもしくはtrbオペロン配列は配列番号63を有する)も、またその多様体もしくは断片も含まないベクターを提供する。
【0064】
一態様において、本開示は、配列番号34、35もしくは36、またはその多様体および断片を有するベクターを提供する。
【0065】
一態様において、本開示は、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号18〜19を有するvirD1〜D2、もしくはその多様体および誘導体、そして配列番号15を有するvirG、もしくはその多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号95〜96を有するr−virD1〜D2、もしくはその多様体および誘導体、配列番号91を有するr−virG、もしくはその多様体および誘導体、そして配列番号101を有するr−galls、もしくはその多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターを提供する。
【0066】
一態様において、本開示は、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号4〜14を有するvirB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体;それぞれ配列番号16〜17を有するvirC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体;それぞれ配列番号18〜22を有するvirD1〜D5、もしくはその多様体および誘導体;それぞれ配列番号23〜25を有するvirE1〜E3、もしくはその多様体および誘導体;配列番号15を有するvirG、もしくはその多様体および誘導体、またはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子である、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5、もしくはその多様体および誘導体、配列番号100を有するr−virE3、もしくはその多様体および誘導体、配列番号91を有するr−virG、もしくはその多様体および誘導体、そして配列番号101を有するr−galls、もしくはその多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターを提供する。
【0067】
一態様において、本開示は、(a)配列番号2、またはその多様体および断片を有する、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖するための複製起点;(b)配列番号3、またはその多様体および断片を有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖するための複製起点;(c)配列番号1、またはその多様体および断片を有する選択マーカー遺伝子;ならびに(d)配列番号26を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virA、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号4〜14を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号16〜17を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号18〜22を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virD1〜D5、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号23〜25を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virE1〜E3、もしくはその多様体および誘導体;配列番号15を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virG、もしくはその多様体および誘導体、そして配列番号27を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)virJ、もしくはその多様体および誘導体、あるいは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子である、配列番号79を有するr−virA、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号80〜90を有するr−virB1〜B11、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号92〜93を有するr−virC1〜C2、もしくはその多様体および誘導体、それぞれ配列番号94〜98を有するr−virD1〜D5、もしくはその多様体および誘導体、配列番号100を有するr−virE3、もしくはその多様体および誘導体、配列番号91を有するr−virG、もしくはその多様体および誘導体、そして配列番号101を有するr−galls、もしくはその多様体および誘導体を含むビルレンス遺伝子を含むベクターを提供する。
【0068】
一態様において、本開示は、さらに、植物の形質転換方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子、もしくはリゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1−C、r−virD1−D2、r−virGおよびr−galls、またはそれらの多様体および誘導体を含む第1のベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。
【0069】
一態様において、本開示は、さらに、植物の形質転換方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点.;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子、もしくはアグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1−C、r−virD1−D2、r−virGおよびr−galls、またはそれらの多様体および誘導体を含む第1のベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。
【0070】
一態様において、本開示は、さらに、(a)(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子、またはそれらの多様体および誘導体を含むベクターと、(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。
【0071】
一態様において、本開示は、さらに、(a)(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点.;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子、もしくはそれらの多様体および誘導体、または、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、r−virGおよびr−gallsを含むベクターと、(b)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を使用した植物形質転換に用いるための使用説明書とを含むキットを提供する。
【0072】
「植物」には、全植物、植物器官、植物組織、種子および植物細胞、ならびにそれらの子孫が含まれる。再生植物の子孫、多様体および変異体もまた、これらの部分が、導入されたポリヌクレオチドを含むか、または本開示のベクターを使用して形質転換されているなら、本開示の範囲に含まれる。植物細胞としては、限定はされないが、種子、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉および小胞子由来の細胞が挙げられる。
【0073】
本明細書で使用する場合、「再生」とは、植物細胞または細胞群(例えば、植物プロトプラスト、カルスまたは外植体)から植物を成長させるプロセスを指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、用語「プロトプラスト」は、細胞培養物または全植物に成長する能力を有する、細胞壁のない単離植物細胞を指す。
【0075】
植物部には、分化組織および未分化組織が含まれ、それらの組織としては、限定はされないが、根、茎、シュート、葉、花粉、種子、腫瘍組織、および様々な形態の細胞および培養物(例えば、単細胞、プロトプラスト、胚およびカルス組織)が挙げられる。植物組織は、植物であっても、植物の器官、組織、もしくは細胞培養物であってもよい。
【0076】
本開示はまた、本明細書に開示した、任意の方法により、または任意の組成物から得られる植物も含む。
【0077】
本開示はまた、本明細書に開示した、任意の方法により、または任意の組成物から得られる植物由来の種子も含む。
【0078】
多様体および断片
「断片」は、ポリヌクレオチドの一部またはアミノ酸配列の一部を意味し、したがって、それにコードされたタンパク質を意味する。ポリヌクレオチドの断片は、天然タンパク質の生物学的活性を保持しているタンパク質断片をコードし得る。したがって、ヌクレオチド配列の断片は、少なくとも約10個のヌクレオチド、少なくとも約15個のヌクレオチド、少なくとも約16個のヌクレオチド、少なくとも約17個のヌクレオチド、少なくとも約18個のヌクレオチド、少なくとも約19個のヌクレオチド、少なくとも約20個のヌクレオチド、少なくとも約22個のヌクレオチド、少なくとも約50個のヌクレオチド、少なくとも約75個のヌクレオチド、少なくとも約100個のヌクレオチド、少なくとも約200個のヌクレオチド、少なくとも約300個のヌクレオチド、少なくとも約400個のヌクレオチド、少なくとも約500個のヌクレオチド、少なくとも約600個のヌクレオチドから、使用する全長のポリヌクレオチドまでの幅があり得る。
【0079】
「誘導体」は、参照ポリヌクレオチドの生物学的活性と実質的に類似した活性を有するポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドの一部を意味する。ビルレンス遺伝子ポリヌクレオチドの誘導体は、機能的であり、ビルレンス遺伝子活性を保持している。
【0080】
「多様体」は、実質的に類似の配列を意味するものである。ポリヌクレオチドでは、多様体は、天然ポリヌクレオチド内の1つ以上の内部部位で1つ以上のヌクレオチドの欠失および/または付加および/または置換を含むか、あるいは、天然ポリヌクレオチドにおける1つ以上の部位で1つ以上のヌクレオチドの置換を含む。ビルレンス遺伝子ポリヌクレオチドの多様体は、ビルレンス遺伝子活性を保持している。本明細書で使用する場合、「天然の」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ天然に存在するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む。ポリヌクレオチドでは、保存多様体として、遺伝コードの縮重のため、ビルレンス遺伝子によってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列をコードする配列が挙げられる。ポリヌクレオチド多様体としてはまた、例えば、部位特異的変異誘発法によって生成されたものであるが、所望の活性を継続して保持しているポリヌクレオチドなど、合成的に誘導されたポリヌクレオチドが挙げられる。一般に、開示した特定のポリヌクレオチド(すなわち、ビルレンス遺伝子)の多様体は、本明細書の他の箇所で記載したシーケンスアライメントプログラムによる決定で、特定のポリヌクレオチドに対し、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有している。
【0081】
開示した特定のポリヌクレオチド(すなわち、参照ポリヌクレオチド)の多様体はまた、ポリヌクレオチド多様体によってコードされるポリペプチドと、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとの間のパーセント配列同一性を比較することによっても評価することができる。任意の2つのポリペプチド間のパーセント配列同一性は、本明細書の他の箇所で記載したシーケンスアライメントプログラムおよびパラメータを使用して算出することができる。使用した開示ポリヌクレオチドの任意の所与の対を、それらがコードする2つのポリペプチドが共有するパーセント配列同一性を比較することによって評価する場合、2つのコードされたポリペプチド間のパーセント配列同一性は、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性である。
【0082】
以下の用語は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列関係を記載するために使用される:(a)「参照配列」、(b)「比較窓」、(c)「配列同一性」および(d)配列同一性のパーセンテージ」。
【0083】
(a)本明細書で使用する場合、「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、特定の配列の一部または全部、例えば、完全長のcDNAもしくは遺伝子の配列の一部、または、全cDNAもしくは全遺伝子の配列であり得る。
【0084】
(b)本明細書で使用する場合、「比較窓」は、ポリヌクレオチド配列の連続する特定の一部を指し、比較窓内のポリヌクレオチド配列は、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較したとき、これら2種のポリヌクレオチドを最適にアラインさせるため、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含む場合がある。一般に、比較窓は、ヌクレオチドが少なくとも20個連続する長さがあり、場合により、少なくとも30個、40個、50個、100個またはそれ以上であり得る。当業者であれば、ポリヌクレオチド配列にギャップを含むことによって、参照配列に対し高い類似性を有することを避けるために、通常、ギャップペナルティが導入され、マッチ数から差し引かれる。
【0085】
別段に記載がない限り、本明細書に示されている配列同一性/類似性値は、GAP Version 10により、以下のパラメータを用いて得られた値である:ヌクレオチド配列の%同一性および%類似性は、ギャップ・ウエイト(GAP Weight)50、レングス・ウエイト(Length Weight)3、およびnwsgapdna.cmpスコアリングマトリクスを使用;アミノ酸配列の%同一性および%類似性は、ギャップ・ウエイト(GAP Weight)8、レングス・ウエイト(Length Weight)2、およびBLOSUM62スコアリングマトリクスを使用;またはそれらと等価の任意のプログラム。「等価のプログラム」とは、任意の2つの対象配列について、GAP Version 10で作成された対応アライメントと比較したとき、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基のマッチングが同じで、かつパーセント配列同一性が同じアライメントが作成されるシーケンス比較プログラムを意味する。
【0086】
(c)2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関連した「配列同一性」または「同一性」は、本明細書で使用する場合、特定の比較窓全体にわたり最大の一致が得られるようにアラインしたときに同じとなる2つの配列中の残基を指す。タンパク質に関連して、配列同一性のパーセンテージの用語を使用する場合、同一ではない残基位置は保存的アミノ酸置換によって異なっていることが多く、そこでは、アミノ酸残基は、類似の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基に代替し、したがって、分子の機能特性は変わらないと認められる。保存的置換で配列が異なる場合、置換に保存的性質を補正するために、パーセント配列同一性を高める方向に調節してもよい。そのような保存的置換によって相異する配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。このような調節を行う方法は、当業者にはよく知られている。典型的には、これには、保存的置換を、完全ミスマッチとしてではなく部分的ミスマッチとして採点し、それにより、パーセント配列同一性を高める方法が含まれる。したがって、例えば、同一のアミノ酸に1点を与え、非保存的置換に0点を与える場合、保存的置換に0〜1点を与える。保存的置換の採点は、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics、Mountain View、California)で行われるように算出する。
【0087】
(d)本明細書で使用する場合、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較窓全体にわたり2種の適切にアラインされた配列を比較することにより決定される値を意味しており、比較窓内のポリヌクレオチド配列の部分は、これら2種の配列を最適にアラインさせるために、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、付加または欠失(すなわっち、ギャップ)を含む場合がある。パーセンテージは、同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が両配列内で発生する位置の数を決定して、マッチした位置数を得、そのマッチした位置数を比較窓内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより、算出される。
【0088】
配列番号4〜27および42〜49に記載のビルレンス遺伝子多様体、またはその多様体および誘導体を同定する方法が、さらに提供される。そのような方法は、対象ビルレンス遺伝子の活性を保持するのに十分な長さを有する、配列番号4〜27および42〜49、またはそれらの多様体および誘導体のいずれか1つの候補誘導体を得る工程と;コントロールベクターの関連ビルレンス遺伝子を置換して候補多様体ベクターを作製する工程と;その候補ビルレンスポリヌクレオチド誘導体が関連ビルレンス遺伝子の活性を有し、それにより本明細書に記載のベクターの所望の形質転換機能を提供するか否かを決定する工程とを含む。本明細書に示した教示に照らせば、所望の形質転換効果に基づいて、そのような候補多様体を同定する方法は知られている。種々の態様において、「…配列番号4〜27および42〜49、またはそれらの多様体もしくは誘導体…」という用語は、それらの開示の配列が、配列番号4〜27および42〜49、ならびに/または配列番号4〜27および42〜49の誘導体、配列番号4〜27および42〜49の多様体、ならびに/または配列番号4〜27および42〜49の誘導体、列挙した配列を個々に、または列挙した配列のいくつかもしくは全てを包括的に含んでいることを意味するように意図されていることは理解されるべきである。
【0089】
II.植物の形質転換
いくつかの態様において、本開示の方法は、植物細胞へポリヌクレオチドを導入することを含む。「導入する」は、ポリヌクレオチドを植物細胞へ、配列が植物細胞内部に侵入するように送り込むことを意味するものである。本開示の方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換(米国特許第5,563,055号明細書および米国特許第5,981,840号明細書)などの方法を用いて、植物細胞へポリヌクレオチドを導入することを含む。
【0090】
いくつかの態様において、植物細胞へのポリヌクレオチドの導入効率および導入速度を向上させるために、本開示のベクターを使用することができる。
【0091】
いくつかの態様において、本開示のベクターは、外植体の1つ以上の細胞の形質転換に有用である。胚発生材料または体細胞胚を形成することができれば、外植体、例えば、成熟および未成熟の体細胞植物組織を、本開示のソースまたは外植体材料として使用することができる。好適な体細胞植物組織としては、雄花(staminate)(すなわち、雄花)、雌花(pistolate)(すなわち、雌花)、完全花、球茎ディスク(corm disc)、花茎、包葉などに由来する組織が挙げられる。未成熟の花および球茎ディスク(corm disc)は、好適な体細胞植物組織源である。一態様において、形質転換に使用する植物由来の外植体としては、未成熟胚、1〜5mmの接合胚、および3.5〜5mmの胚が挙げられる。
【0092】
本開示の方法に使用される外植体は、限定はされないが、オオムギ、トウモロコシ、キビ、カラスムギ、イネ、ライムギ、セタリア属(Setaria)種、ソルガム、サトウキビ、スイッチグラス、ライコムギ、シバ(turfgrass)またはコムギなどの単子葉植物由来であり得る。あるいは、本開示の方法に使用される外植体は、限定はされないが、ケール、カリフラワー、ブロッコリー、カラシナ、キャベツ、エンドウ、クローバ、アルファルファ、ソラマメ、トマト、キャッサバ、ダイズ、キャノーラ、アルファルファ、ベニバナ、タバコ、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)またはワタなどの双子葉植物由来であり得る。
【0093】
さらなる態様において、本開示の方法に使用される外植体は、イネ科(Poaceae)に属する植物由来であり得る。本開示の外植体が由来し得る好適な植物の非限定的な例としては、限定はされないが、オオムギ、トウモロコシ(トウモロコシ)、カラスムギ、イネ、ライムギ、ソルガム、コムギ、キビ、ライコムギなどの穀類;限定はされないが、タケ、マーラム、タチイチゴツナギ、アシ、ライグラス、サトウキビなどの葉茎作物;シバ(lawn grass)、パンパスグラス、ならびに、スイッチグラスおよびシバ(turfgrass)などのその他の草が挙げられる。
【0094】
さらなる態様において、本開示の方法に使用される外植体は、高等植物、例えば、被子植物綱(Angiospermae)および裸子植物綱(Gymnospermaeなどを含む任意の植物由来であり得る。双子葉植物亜綱および単子葉植物亜綱の植物が好適である。好適な種は、キツネノマゴ科(Acanthaceae)、ネギ科(Alliaceae)、ユリズイセン科(Alstroemeriaceae)、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)、キョウチクトウ科(Apocynaceae)、ヤシ科(Arecaceae)、キク科(Asteraceae)、メギ科(Berberidaceae)、ベニノキ科(Bixaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、パイナップル科(Bromeliaceae)、アサ科(Cannabaceae)、ナデシコ科(Caryophyllaceae)、イヌガヤ科(Cephalotaxaceae)、アカザ科(Chenopodiaceae)、イヌサフラン科(Colchicaceae)、ウリ科(Cucurbitaceae)、ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)、マオウ科(Ephedraceae)、ユカノキ科(Erythroxylaceae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、マメ科(Fabaceae)、シソ科(Lamiaceae)、アマ科(Linaceae)、ヒカゲノカズラ科(Lycopodiaceae)、アオイ科(Malvaceae)、メランチウム科(Melanthiaceae)、バショウ科(Musaceae)、フトモモ科(Myrtaceae)、ヌマミズキ科(Nyssaceae)、ケシ科(Papaveraceae)、マツ科(Pinaceae)、オオバコ科(Plantaginaceae)、イネ科(Poaceae)、バラ科(Rosaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、ヤナギ科(Salicaceae)、ムクロジ科(Sapindaceae)、ナス科(Solanaceae)、イチイ科(Taxaceae)、ツバキ科(Theaceae)およびブドウ科(Vitaceae)由来であり得る。
【0095】
本開示の方法で使用される外植体が由来し得る好適な種としては、トロロアオイ属(Abelmoschus)、モミ属(Abies)、カエデ属(Acer)、コヌカグサ属(Agrostis)、ネギ属(Allium)、ユリズイセン属(Alstroemeria)、パイナップル属(Ananas)、アンドログラフィス属(Andrographis)、ウシクサ属(Andropogon)、ヨモギ属(Artemisia)、ダンチク属(Arundo)、アトローパ属(Atropa)、メギ属(Berberis)、フダンソウ属(Beta)、ベニノキ属(Bixa)、アブラナ属(Brassica)、キンセンカ属(Calendula)、ツバキ属(Camellia)、カンレンボク属(Camptotheca)、アサ属(Cannabis)、トウガラシ属(Capsicum)、ベニバナ属(Carthamus)、ニチニチソウ属(Catharanthus)、イヌガヤ属(Cephalotaxus)、キク属(Chrysanthemum)、キナ属(Cinchona)、スイカ属(Citrullus)、コーヒーノキ属(Coffea)、イヌサフラン属(Colchicum)、コリウス属(Coleus)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)、ギョウギシバ属(Cynodon)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ニンジン属(Daucus)、ナデシコ属(Dianthus)、ジギタリス属(Digitalis)、ヤマノイモ属(Dioscorea)、アブラヤシ属(Elaeis)、マオウ属(Ephedra)、エリアンサス属(Erianthus)、エリスロキシルム属(Erythroxylum)、ユーカリ属(Eucalyptus)、ウシノケグサ属(Festuca)、オランダイチゴ属(Fragaria)、ガランサス属(Galanthus)、ダイズ属(Glycine)、ワタ属(Gossypium)、ヒマワリ属(Helianthus)、パラゴムノキ属(Hevea)、オオムギ属(Hordeum)、ヒヨス属(Hyoscyamus)、ナンヨウアブラギリ属(Jatropha)、クルミ属(Juglans)、アキノノゲシ属(Lactuca)、ラベンダー属(Lavendula)、ヤマ属(Linum)、ドクムギ属(Lolium)、ルピナス属(Lupinus)、トマト属(Lycopersicon)、ヒカゲノカズラ属(Lycopodium)、イモノキ属(Manihot)、ウマゴヤシ属(Medicago)、メンタ属(Mentha)、ススキ属(Miscanthus)、ワサビノキ属(Moringa)、バショウ属(Musa)、タバコ属(Nicotiana)、イネ属(Oryza)、キビ属(Panicum)、ケシ属(Papaver)、ヨモギキク属(Parthenium)、チカラシバ属(Pennisetum)、ペチュニア属(Petunia)、クサヨシ属(Phalaris)、アワガエリ属(Phleum)、マツ属(Pinus)、ポア属(Poa)、ポインセチア属(Poinsettia)、ポプラ属(Populus)ラウオルフィア属(Rauwolfia)、トウゴマ属(Ricinus)、バラ属(Rosa)、ローズマリー属(Rosmarinus)、サトウキビ属(Saccharum)、ヤナギ属(Salix)、サングイナリア属(Sanguinaria)、ハシリドコロ属(Scopolia)、ライムギ属(Secale)、ナス属(Solanum)、モロコシ属(Sorghum)、スパルティナ属(Spartina)、ホウレンソウ属(Spinacea)、ヨモギギク属(Tanacetum)、イチイ属(Taxus)、カカオ属(Theobroma)、ライコムギ属(Triticosecale)、コムギ属(Triticum)、ウニオラ属(Uniola)、シュロソウ属(Veratrum)、ビンカ属(Vinca)、ブドウ属(Vitis)およびトウモロコシ属(Zea)に属するものが挙げられる。
【0096】
さらなる態様において、本開示の方法に使用される外植体は、農業、園芸、液体燃料分子および他の化学物質の製造するためのバイオマス、ならびに/または林業にとって重要な、または興味深い植物由来であり得る。非限定的な例として、例えば、スイッチグラス(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、モロコシ(Sorghum bicolor)(ソルガム、スーダングラス)、ジャイアントミスカンサス(Miscanthus giganteus)(ススキ)、サトウキビ属(Saccharum)種(サトウキビ)、バルサムポプラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、トウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)、ダイズ(Glycine max)(ダイズ)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(キャノーラ)、パンコムギ(Triticum aestivum)(コムギ)、ワタ(Gossypium hirsutum)(ワタ)、イネ(Oryza sativa)(イネ)、ヒマワリ(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)(アルファルファ)、テンサイ(Beta vulgaris)(テンサイ)、トウジンビエ(Pennisetum glaucum)(トウジンビエ)、キビ属(Panicum)種、モロコシ属(Sorghum)種、ススキ属(Miscanthus)種、サトウキビ属(Saccharum)種、エリアンサス属(Erianthus)種、ポプラ属(Populus)種、ビッグブルーステム(Andropogon gerardii)(ビッグブルーステム)、ナピアグラス(Pennisetum purpureum)(エレファントグラス)、クサヨシ(Phalaris arundinacea)(リードカナリーグラス)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)(バミューダグラス)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea)(ヒロハノウシノケグサ)、スパルティナ・ペクチナータ(Spartina pectinata)(プレーリーコードグラス)、ダンチク(Arundo donax)(ダンチク)、ライムギ(Secale cereale)(ライムギ)、ヤナギ属(Salix)種(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus)種(ユーカリ)、ライコムギ属(Triticosecale)種(ライコムギ−コムギ×ライムギ)、タケ、ベニバナ(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)(ナンヨウアブラギリ)、トウゴマ(Ricinus communis)(トウゴマ)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(ヤシ)、アマ(Linum usitatissimum)(アマ)、カラシナ(Brassica juncea)、キャッサバ(Manihotesculenta)(キャッサバ)、トマト(Lycopersicon esculentum)(トマト)、レタス(Lactuca sativa)(レタス)、バナナ(Musa paradisiaca)(バナナ)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)(ジャガイモ)、ヤセイカンラン(Brassica oleracea)(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)、チャノキ(Camellia sinensis)(チャ)、オランダイチゴ(Fragaria ananassa)(イチゴ)、カカオ(Theobroma cacao)(ココア)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)(コーヒー)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)(ブドウ)、パイナップル(Ananas comosus)(パイナップル)、トウガラシ(Capsicum annum)(トウガラシ)、タマネギ(Allium cepa)(タマネギ)、メロン(Cucumis melo)(メロン)、キュウリ(Cucumis sativus)(キュウリ)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)(カボチャ)、ニホンカボチャ(Cucurbita moschata)(カボチャ)、ホウレンソウ(Spinacea oleracea)(ホウレンソウ)、スイカ(Citrullus lanatus)(スイカ)、オクラ(Abelmoschus esculentus)(オクラ)、ナス(Solanum melongena)(ナス)、ケシ(Papaver somniferum)(ケシ)、オニゲシ(Papaver orientale)、ヨーロッパイチゴ(Taxus baccata)、タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)、クソニンジン(Artemisia annua)、アサ(Cannabis sativa)、カンレンボク(Camptotheca acuminate)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ツルニチニチソウ(Vinca rosea)、キナノキ(Cinchona officinalis)、イヌサフラン(Colchicum autumnale)、ベラトラム・カリフォルニカ(Veratrum californica)、ケジギタリス(Digitalis lanata)、ジギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)、ヤマノイモ属(Dioscorea)種、センシンレン(Andrographis paniculata)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、シロバナヨウシュシュチョウセンアサガオ(Datura stomonium)、メギ属(Berberis)種、イヌガヤ属(Cephalotaxus)種、シナマオウ(Ephedra sinica)、マオウ属(Ephedra)種、コカ(Erythroxylum coca)、マツユキソウ(Galanthus wornorii)、ハシリドコロ属(Scopolia)種、ホソバノトウゲシバ(Lycopodium serratum)(=トウゲシバ(Huperzia serrata))、ヒカゲノカズラ属(Lycopodium)種、インドジャボク(Rauwolfia serpentina)、インドジャボク属(Rauwolfia)種、アカネグサ(Sanguinaria canadensis)、ヒヨス属(Hyoscyamus)種、キンセンカ(Calendula officinalis)、ナツシロギク(Chrysanthemum parthenium)、コレウス・フォルスコリ(Coleus forskohlii)、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)、グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)(グアユール)、パラゴムノキ属(Hevea)種(ゴム)、スペアミント(Mentha spicata)(ミント)、ペパーミント(Mentha piperita)(ミント)、ベニノキ(Bixa orellana)、アルストロメリア属(Alstroemeria)種、バラ属(Rosa)種(バラ)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)(カーネーション)、ペチュニア属(Petunia)種(ペチュニア)、ポインセチア(Poinsettia pulcherrima)(ポインセチア)、タバコ(Nicotianatabacum)(タバコ)、ルピナス(Lupinus albus)(ルピン)、ウニオラ・パニクラータ(Uniola paniculata)(カラスムギ)、ベントグラス(コヌカグサ属(Agrostis)種)、ヤマナラシ(Populus tremuloides)(アスペン)、マツ属(Pinus)種(マツ)、モミ属(Abies)種(モミ)、カエデ属(Acer)種(カエデ)、オオムギ(Hordeum vulgare)(バーリー)、ナガハグサ(Poa pratensis)(ブルーグラス)、ドクミギ属(Lolium)種(ライグラス)、オオアワガエリ(Phleum pratense)(ティモシー)、および球果植物が挙げられる。興味深いのは、エネルギー生成のために生育する植物、いわゆるエネルギー作物であり、例えば、スイッチグラス(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、モロコシ(Sorghum bicolor)(ソルガム、スーダングラス)、ジャイアントミスカンサス(Miscanthus giganteus)(ススキ)、サトウキビ属(Saccharum)種(サトウキビ)、バルサムポプラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、ビッグブルーステム(Andropogon gerardii)(ビッグブルーステム)、ナピアグラス(Pennisetum purpureum)(エレファントグラス)、クサヨシ(Phalaris arundinacea)(リードカナリーグラス)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)(バミューダグラス)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea(トールフェスク)、スパルティナ・ペクチナータ(Spartina pectinata)(プレーリーコードグラス)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)(アルファルファ)、ダンチク(Arundo donax)(ダンチク)、ライムギ(Secale cereale)(ライムギ)、ヤナギ属(Salix)種(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus)種(ユーカリ)、ライコムギ属(Triticosecale)種(ライコムギ−コムギ×ライムギ)およびタケ(Bamboo)などのセルロース系エネルギー作物、ならびにトウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)およびキャッサバ(Manihot esculenta)(キャッサバ)などのデンプン系エネルギー作物、ならびにサトウキビ属(Saccharum)種(サトウキビ)、およびテンサイ(Beta vulgaris)(テンサイ)などの糖系エネルギー作物、ならびにダイズ(Glycine max)(ダイズ)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(キャノーラ)、ヒマワリ(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)(ナンヨウアブラギリ)、トウゴマ(Ricinus communis)(トウゴマ)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(ヤシ)、アマ(Linum usitatissimum)(アマ)およびカラシナ(Brassica juncea)などのバイオディーゼル生成エネルギー作物である。
【0097】
本明細書で使用する場合、「バイオマス再生可能エネルギー源植物」または「液体燃料分子および他の化学物質を生成するためのバイオマス」は、電気エネルギーに変換し得る貯蔵太陽エネルギーを含む(生、もしくは処理されている)材料、液体燃料および他の有用な化学物質を有するか、または生成する植物を意味する。一般的には、そのような植物は、専用エネルギー作物、ならびに農作植物および木本植物を含む。バイオマス再生可能エネルギー源植物の例としては、スイッチグラス(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、モロコシ(Sorghum bicolor)(ソルガム、スーダングラス)、ジャイアントミスカンサス(Miscanthus giganteus)(ススキ)、サトウキビ属(Saccharum)種(サトウキビ)、バルサムポプラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、ビッグブルーステム(Andropogon gerardii)(ビッグブルーステム)、ナピアグラス(Pennisetum purpureum)(エレファントグラス)、クサヨシ(Phalaris arundinacea)(リードカナリーグラス)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)(バミューダグラス)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea)(ヒロハノウシノケグサ)、スパルティナ・ペクチナータ(Spartina pectinata)(プレーリーコードグラス)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)(アルファルファ)、ダンチク(Arundo donax)(ダンチク)、ライムギ(Secale cereale)(ライムギ)、ヤナギ属(Salix)種(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus)種(ユーカリ)、ライコムギ属(Triticosecale)種(ライコムギ−コムギ×ライムギ)、タケ(Bamboo)、トウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)、キャッサバ(Manihot esculenta)(キャッサバ)、サトウキビ属(Saccharum)種(サトウキビ)、テンサイ(Beta vulgaris)(テンサイ)、ダイズ(Glycinemax)(ダイズ)、セイヨウアブラナ(Brassicanapus)(キャノーラ)、ヒマワリ(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)(ナンヨウアブラギリ)、トウゴマ(Ricinus communis)(トウゴマ)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(ヤシ)、アマ(Linum usitatissimum)(アマ)およびカラシナ(Brassica juncea)が挙げられる。
【0098】
形質転換された細胞は、従来の方法で植物体に成長させることができる。例えば、McCormick et al.(1986)Plant Cell Reports5:81−84を参照されたい。これらの植物体は、その後、成長させ、同じ形質転換株または異なる株と受粉させることができ、得られる子孫は、所望の特定の表現型特質の構成的発現を持つことができる。所望の表現型特質の発現が安定して維持され、受け継がれるのを確実にするため、2世代以上生育させ、その後、所望の表現型特質の発現が達成されたことを確実にするため、種子を収穫することができる。このようにして、本明細書の記載の組成物および方法においては、本開示のベクターを使用して植物に導入され、そのゲノムに安定に組み込まれたポリヌクレオチドを含む形質転換種子(「トランスジェニック種子」とも呼ばれる)が提供される。
【0099】
したがって、本開示の方法および組成物は、限定はされないが、単子葉植物および双子葉植物などの、あらゆる植物種の形質転換に、またあらゆる種のトランスジェニック植物の開発に使用することができる。目的とする植物種の例としては、限定はされないが、トウモロコシ(トウモロコシ(Zea mays))、アブラナ属(Brassica)種(例えば、セイヨウアブラナ(B.napus)、ブラッシカ・ラパ(B.rapa)、カラシナ(B.juncea))、特に、種子油源として有用なアブラナ属(Brassica)種、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、イネ(イネ(Oryza sativa))、ライムギ(ライムギ(Secale cereale))、ソルガム(モロコシ(Sorghum bicolor)、モロコシ(Sorghum vulgare))、キビ(例えば、トウジンビエ(トウジンビエ(Pennisetum glaucum))、キビ(キビ(Panicum miliaceum))、アワ(アワ(Setaria italica))、シコクビエ(シコクビエ(Eleusine coracana)))、ヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus))、ベニバナ(ベニバナ(Carthamus tinctorius))、コムギ(パンコムギ(Triticum aestivum))、ダイズ(ダイズ(Glycine max))、タバコ(タバコ(Nicotiana tabacum))、ジャガイモ(ジャガイモ(Solanum tuberosum))、ラッカセイ(ラッカセイ(Arachis hypogaea))、ワタ(海島綿(Gossypium barbadense)、ワタ(Gossypium hirsutum))、サツマイモ(サツマイモ(Ipomoea batatus))、キャッサバ(キャッサバ(Manihot esculenta))、コーヒー(コーヒーノキ属(Coffea)種)、ココナッツ(ココヤシ(Cocos nucifera))、パイナップル(パイナップル(Ananas comosus))、カンキツ樹(ミカン属(Citrus)種)、ココア(カカオ(Theobroma cacao))、チャ(チャノキ(Camellia sinensis))、バナナ(バショウ属(Musa)種)、アボカド(アボカド(Persea americana))、イチジク(イチジク(Ficus casica))、グアバ(グアバ(Psidium guajava))、マンゴー(マンゴー(Mangifera indica))、オリーブ(オリーブ(Olea europaea))、パパイア(パパイア(Carica papaya))、カシュー(カシュー(Anacardium occidentale))、マカダミア(マカダミア(Macadamia integrifolia))、アーモンド(アーモンド(Prunus amygdalus))、テンサイ(テンサイ(Beta vulgaris))、サトウキビ(サトウキビ属(Saccharum)種)、カラスムギ、オオムギ、野菜類、観賞植物および球果植物が挙げられる。
【0100】
野菜類としては、トマト(トマト(Lycopersicon esculentum))、レタス(例えば、レタス(Lactuca sativa))、サヤマメ(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))、ライマメ(ライマメ(Phaseolus limensis))、エンドウマメ(レンリソウ属(Lathyrus)種)、ならびに、キュウリ(キュウリ(C.sativus))、カンタロープ(ククミス・カンタルペンシス(C.cantalupensis))、およびマスクメロン(メロンC.melo))などのキュウリ属(Cucumis)に属するものが挙げられる。観賞植物としては、アザレア(ツツジ属(Rhododendron)種)、アジサイ(アジサイ(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(ブッソウゲ(Hibiscus rosasanensis))、バラ(バラ属(Rosa)種)、チューリップ(チューリップ属(Tulipa)種)、ラッパズイセン(スイセン属(Narcissus)種)、ペチュニア(ツクバネアサガオ(Petunia hybrida))、カーネーション(カーネーション(Dianthus caryophyllus))、ポインセチア(ポインセチア(Euphorbia pulcherrima))、およびキクが挙げられる。
【0101】
本開示を実施するにあたり使用可能な球果植物としては、例えば、テーダマツ(テーダマツ(Pinus taeda))、スラッシュパイン(スラッシュパイン(Pinus elliotii))、ポンデローサマツ(ポンデローサマツ(Pinus ponderosa))、ロッジポールパイン(コントルタマツ(Pinus contorta))、およびモントレーパイン(ラジアータパイン(Pinus radiata))などのマツ;ダクラスファー(ベイマツ(Pseudotsuga menziesii));カナダツガ(カナダツガ(Tsuga canadensis));アメリカツガ(アメリカツガ(Tsuga heterophylla));マウンテンヘムロック(マウンテンヘムロック(Tsuga mertensiana));アメリカカラマツまたはカラマツ(ラリックス・オキシデンタリス(Larix occidentalis));ベイトウヒ(カナダトウヒ(Picea glauca));セコイア(セコイア(Sequoia sempervirens));ヨーロッパモミ(アビエス・アマビリス(Abies amabilis))およびバルサムモミ(バルサムモミ(Abies balsamea))などのトゥルーモミ;ならびにベイスギ(ベイスギ(Thuja plicata))およびイエローシーダー(イエローシーダー(Chamaecyparis nootkatensis))などのシーダーが挙げられる。ユーカリ種、例えば、ユーカリプツス・グランディス(E.grandis)(および、その交配種「ウロガンディス(urograndis)」)、ユーカリ・グロブルス(E.globulus)、ユーカリ・カマルドレンシス(E.camaldulensis)、ユーカリ・テレチコルニス(E.tereticornis)、ユーカリ・ビミナリス(E.viminalis)、ユーカリ・ニテンス(E.nitens)、ユーカリ・サリグナ(E.saligna)およびユーカリ・ウロフィラ(E.urophylla)を、本開示の実施において使用することができる。本開示の植物は、好ましくは、作物(例えば、トウモロコシ、アルファルファ、ヒマワリ、アブラナ属(Brassica)、ダイズ、ワタ、ベニバナ、ラッカセイ、ソルガム、コムギ、キビ、タバコなど)であり、より好ましくは、トウモロコシ植物およびダイズ植物であり、より一層好ましくは、トウモロコシ植物である。
【0102】
特に目的とする植物としては、目的とする種子を提供する穀物植物、油糧種子植物およびマメ科植物が挙げられる。目的とする種子としては、限定はされないが、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、ソルガムおよびライムギなどの穀物の種子が挙げられる。油糧種子植物としては、限定はされないが、ワタ、ダイズ、ベニバナ、アブラナ属(Brassica)、トウモロコシ、アルファルファ、パームおよびココナッツが挙げられ、マメ科植物としては、限定はされないが、マメおよびエンドウマメが挙げられる。マメとしては、グアー、イナゴマメ、コロハ、ダイズ、インゲンマメ、ササゲ、リョクトウ、ライマメ、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。
【0103】
III.植物の形質および特性を向上させる方法
本開示は、高効率で形質転換された産生するための新規な組成物および方法を提供する。本か時の方法および組成物は、さらに、良好な形質および特性を与えるポリヌクレオチドを含む。したがって、本開示はさらに、植物を形質転換する方法であって、(a)植物由来の組織を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)リゾビウム科(Rhizobiaceae)ビルレンス遺伝子virB1〜B11もしくはr−virB1〜B11、virC1〜C2もしくはr−virC1〜C2、virD1〜D2もしくはr−virD1−D2、およびvirGもしくはr−virG、またはそれらの多様体および誘導体を含む第1のベクターであって、ビルレンス遺伝子r−virB1〜B11、r−virC1〜C2、r−virD1〜D2、およびr−virGを含むベクターはさらにr−gallsビルレンス遺伝子またはその多様体および誘導体を含むベクターと、T−DNA境界配列、および植物に導入する目的ポリヌクレオチド配列を含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を提供する。
【0104】
本明細書で使用する場合、「形質」は、植物、または特定の植物材料もしくは植物細胞の生理学的、形態学的、生化学的または物理的特性を指す。いくつかの例において、この特性は、種子または植物体の大きさなど、ヒトの目で視ることができ、あるいは、種子もしくは葉に含まれるタンパク質、デンプンもしくは油の量を検出するなどの生化学的手法により、例えば、二酸化炭素の取り込み量を測定することによって、代謝もしくは生理的プロセスを観察することにより、例えば、ノーザン解析、RT−PCR、マイクロアレイ遺伝子発現アッセイ、もしくはレポーター遺伝子発現システムを使用して、遺伝子もしくは遺伝子群の発現レベルを観察することにより、または、ストレス耐性、収量、病原体耐性などの農学的観察により測定することができる。本開示の態様の記載の中で使用する「形質の強化」には、は、例えば、水使用効率もしくは耐乾性の改善もしくは強化、浸透圧ストレス耐性、高塩分ストレス耐性、熱ストレス耐性、低温発芽耐性などの耐寒性の増大、収穫量の増大、窒素利用効率の強化、植物の早い成長および発達、植物の遅い成長および発達、種子タンパク質の増大、ならびに種子油の生産性の増大が含まれる。
【0105】
本開示の方法には任意の目的ポリヌクレオチドを使用することができる。目的とする表現型の様々な変化としては、限定はされないが、植物中の脂肪酸組成の変更、植物のアミノ酸含有量、デンプン含有量または炭水化物含有量の改変、植物の病原体防御機構の改変、実サイズの変更、スクロースの付加などが挙げられる。目的遺伝子はまた、栄養の取り込みの調節、およびフィチン酸塩遺伝子の発現の調節、特に、種子中のフィチン酸塩濃度を低下させるような調節に関与していてもよい。これらの結果は、植物において異種産物を発現させることにより、または内因性産物の発現を増大させることにより得ることができる。あるいは、これらの結果は、1種以上の内因性産物、特に、植物中の酵素または補因子の発現を低減させることにより得ることができる。これらの変化は、形質転換植物の表現型の変化をもたらす。
【0106】
目的遺伝子は、商業市場、および作物の開発に従事している者の関心を反映している。目的とする作物や市場が変わり、国の発展が世界市場を切り開くにつれ、新しい作物や技術もまた出現してくるであろう。さらに、収量や雑種強勢などの農学上の形質や特性に対する理解が深まるにつれ、形質転換のための遺伝子の選択もそれに応じて変化するであろう。目的遺伝子の一般的なカテゴリーとしては、例えば、ジンクフィンガーなどの情報に関与する遺伝子、キナーゼなどの伝達に関与する遺伝子、および熱ショックタンパク質などのハウスキーピングに関与する遺伝子が挙げられる。導入遺伝子のより具体的なカテゴリーとしては、例えば、農学、虫害抵抗性、病気抵抗性、除草剤抵抗性、不稔性、穀類特性および商業生産に重要な形質をコードする遺伝子が挙げられる。目的遺伝子としては、一般に、油、デンプン、炭水化物、または栄養の代謝に関与するもの、ならびに、実サイズ、スクロース量に影響するものが挙げられる。
【0107】
本開示の方法および組成物により標的組織に導入されたポリヌクレオチドは、適切なプロモーターに作動可能に連結することができる。標的組織としては、限定はされないが、体細胞胚、成熟種子、葉外植体、種子、懸濁培養物、胚、分裂組織部位、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉、小胞子、および他の外植体が挙げられる。「プロモーター」は、転写開始点の上流のDNA領域を意味し、RNAポリメラーゼ、および転写を開始する他のタンパク質の認識および結合に関与している。「植物プロモーター」は、それが植物細胞由来であるか否かに関わりなく、植物細胞において転写を開始することができるプロモーターである。植物プロモーターの例としては、限定はされないが、植物、植物ウイルス、ならびにアグロバクテリウム属(Agrobacterium)またはリゾビウム属(Rhizobium)などの植物細胞で発現する遺伝子を含む細菌から得られるものが挙げられる。発生制御下のプロモーターの例としては、葉、根または種子などの特定の組織で優先的に転写を開始するプロモーターが挙げられる。そのようなプロモーターは「組織優先的」を呼ばれる。特定の組織でのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と呼ばれる。「細胞型」特異的プロモーターは、1種以上の器官の特定の細胞型、例えば根または葉の血管細胞における発現を主に駆動する。「誘導性」または「抑制性」プロモーターは、環境制御または外的制御下にあるプロモーターであり得る。誘導性プロモーターによる転写に影響し得る環境条件の例としては、嫌気的条件、特定の化学物質、または光の存在が挙げられる。あるいは、誘導性または抑制性のプロモーターの外的制御は、標的ポリペプチドとの相互作用によって、プロモーターを誘導または抑制する、適切な化学物質または他の薬剤を与えることによって影響され得る。組織特異的プロモーター、組織優先的プロモーター、細胞型特異的プロモーター、および誘導性プロモーターは、「非構成的」プロモーター類を構成する。「構成的」プロモーターは、ほとんどの条件下で活性を有するプロモーターである。本明細書で使用する場合、「アンチセンス配向」は、アンチセンス鎖が転写される方向で、プロモーターに作動可能に連結しているポリヌクレオチド配列を指す。アンチセンス鎖は、内因性転写産物に十分に相補的であり、そのため内因性転写産物の翻訳は多くの場合抑制される。「作動可能に連結している」とは、単一の核酸断片上の2つ以上の核酸断片が、1つの断片の機能が他の断片に影響されるような関係にあることを指す。例えば、プロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼすことができる(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある)とき、そのプロモーターはコード配列に作動可能に連結している。コード配列は、センスまたはアンチセンス配向で調節配列に作動可能に連結することができる。
【0108】
油、デンプンおよびタンパク質の含有量などの農学的に重要な形質は、従来の育種方法に加え、遺伝子的に改変することができる。変更には、オレイン酸、飽和油および不飽和油の含有量の増加、リシンおよび硫黄濃度の上昇、必須アミノ酸の提供、またデンプンの変更が含まれる。ホルドチオニンタンパク質は、米国特許第5,703,049号明細書、同第5,885,801号明細書、同第、5,885,802号明細書および同第5,990,389号明細書に記載されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。他の例としては、米国特許第5,850,016号明細書に記載のダイズ2Sアルブミンによりコードされるリシンおよび/または硫黄リッチ種子タンパク質、ならびにWilliamson et al.(1987)Eur.J.Biochem.165:99−106に記載の、オオムギ由来のキモトリプシン阻害剤がある(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0109】
コード配列の誘導体は、予め選択したアミノ酸の、コードされたポリペプチドにおける濃度を高めるため、部位特異的変異誘発法によって作ることができる。例えば、ヒマワリの種子(Lilley et al.(1989)Proceedings of the World Congress on Vegetable Protein Utilization in Human Foods and Animal Feedstuffs,ed.Applewhite(American Oil Chemists Society,Champaign,Ill.)、pp.497−502;この文献は参照により本明細書に組み込まれる);トウモロコシ(Pedersen et al.(1986),J.Biol.Chem.261:6279;Kirihara et al.(1988)Gene 71:359;これらの両文献は参照により本明細書に組み込まれる);およびイネ(Musumura et al.(1989)Plant Mol.Biol.12:123、この文献は参照により本明細書に組み込まれる)などからのメチオニンリッチ植物タンパク質を使用することができよう。他の農学的に重要な遺伝子は、ラテックス、Floury 2、成長因子、種子貯蔵因子および転写因子をコードする。
【0110】
虫害抵抗性遺伝子は、穀粒収穫量の低下(yield drag)をもたらす重大な作物被害を引き起こす根切り虫、ヨトウムシ、ヨーロッパアワノメイガなどの害虫に対する耐性を付与することができる。このような遺伝子としては、例えば、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)毒性タンパク質遺伝子(米国特許第5,366,892号明細書、同第5,747,450号明細書、同第5,736,514号明細書、同第5,723,756号明細書、同第5,593,881、およびGeiser et al.(1986)Gene 48:109)などが挙げられる。
【0111】
病気抵抗性形質をコードする遺伝子としては、解毒遺伝子、例えばフモニシンに対する解毒遺伝子(米国特許第5,792,931号明細書);非病原性(avr)および病気抵抗性(R)遺伝子(Jones et al.(1994)Science 266:789;Martin et al.(1993)Science 262:1432;およびMindrinos et al.(1994)Cell 78:1089)などが挙げられる。
【0112】
除草剤抵抗性形質としては、アセト乳酸合成酵素(ALS)の働きを阻害するように作用する除草剤、特に、スルホニル尿素系除草剤に対する抵抗性をコードする遺伝子(例えば、そのような抵抗性に導く変異、特にS4および/またはHra変異を含むアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子)、グルタミン合成酵素の働きを阻害するように作用する除草剤、例えば、ホスフィノスリシンもしくはバスタ(例えば、bar遺伝子)、またはグリホサート(例えば、EPSPS遺伝子およびGAT遺伝子;例えば、米国特許出願公開第2004/0082770号明細書および国際公開第03/092360号パンフレットを参照)に対する抵抗性をコードする遺伝子、あるいは当該技術分野で知られる他のそのような遺伝子を挙げることができる。bar遺伝子は除草剤bastaに対する耐性をコードし、nptII遺伝子は抗生物質カナマイシンおよびgeneticinに対する耐性をコードし、ALS遺伝子変異体は除草剤クロロスルフロンに対する耐性をコードする。
【0113】
不稔性遺伝子はまた、発現カセットにおいてコードされ、物理的な雄穂除去に代わる方法として提供され得る。そのような方法に使用される遺伝子の例としては、雄性組織優先性遺伝子、および米国特許第5,583,210号明細書に記載されているQMなどの雄性不稔性表現型を有する遺伝子が挙げられる。他の遺伝子としては、キナーゼ、および雄性または雌性の配偶体の成長に有害な化合物をコードするものが挙げられる。
【0114】
穀類の品質は、油の濃度や種類、飽和および不飽和、必須アミノ酸の質および量、ならびにセルロースの濃度などの形質に反映される。トウモロコシでは、改変ホルドチオニンタンパク質が、米国特許第5,703,049号明細書、同第5,885,801号明細書、同第5,885,802号明細書および同第5,990,389号明細書に記載されている。
【0115】
商業的形質もまた、例えばエタノール産生用デンプンなどの形質組成物の改善、またはタンパク質発現の増強のための遺伝子もしくは遺伝子群でコードされ得る。形質転換植物の他の重要な商業利用は、米国特許第5,602,321号明細書に記載されているようなポリマーおよびバイオプラスチックの生成である。β−ケトチオラーゼ、PHB酵素(ポリヒドロキシ酪酸合成酵素)、およびアセトアセチル−CoA還元酵素(Schubert et al.(1988)J.Bacteriol.170:5837−5847を参照)などの遺伝子は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の発現を促進する。
【0116】
外因性産物としては、植物酵素および植物性産物、ならびに、原核生物および他の真核生物などの、他のソースからのものが挙げられる。そのような産物としては、酵素、補因子、ホルモンなどが挙げられる。タンパク質の濃度、特に、アミノ酸分布を改善して植物の栄養価を高めた改変タンパク質の濃度を上昇させることができる。これは、アミノ酸含有量を増大させたそのようなタンパク質の発現によって達成される。
【0117】
一態様において、標的組織に高効率かつ高速で導入することができるさらなる目的農業形質は、収穫量の増大などの形質、または植物価値を高めるその他の形質、例えば種子の品質の向上などである。特に興味深い形質は、水使用効率もしくは耐乾性の改善もしくは強化、収穫量の増大、窒素利用効率の強化、植物の早い成長および発達、植物の遅い成長および発達、種子タンパク質の増大、ならびに種子油の生産性の増大である。
【0118】
多くの農業形質、「収穫」、例えば、限定はされないが、植物の高さ、莢の数、植物体における莢の位置、節間部の数、莢の破損の発生率、穀粒の大きさ、根粒形成効率および窒素固定効率、栄養の消化効率、生物的ストレスおよび非生物的ストレスに対する耐性、炭素同化、植物構造、耐倒伏性、種子の発芽率、苗の成長力、ならびに幼植物の形質が、「収穫」に影響を及ぼし得る。収穫に影響を及ぼし得る他の形質としては、発芽効率(たとえば、ストレス条件下での発芽効率)、成長速度(例えば、ストレス条件下での成長速度)、穂の数、穂1個当たりの種子数、種子の大きさ、種子の組成(デンプン、油、タンパク質)、登塾特性が挙げられる。全植物の収穫量を増大させるか否かはわからないが、所望の表現型特性を示すトランスジェニック植物の世代もまた目的とされる。そのような特性としては、植物形態学的増強、植物生理学的増強、またはトランスジェニック植物から得られる成熟種子の成分の改善が挙げられる。
【0119】
本開示のトランスジェニック植物の「収穫量の増大」は、多くの方法、例えば、重量の測定、1植物体当たりの種子数、種子重量、単位面積当たりの種子数(すなわち、1エーカー当たりの種子、もしくは種子重量)、1エーカー当たりのブッシェル数、1エーカー当たりのトン数、および1へクタールあたりのキロ数で評価し測定することができる。例えば、トウモロコシの収穫量は、例えば、1エーカー当たりのブッシェル数または1へクタール当たりのメートルトン数を単位とした、生産面積1単位当たりの、皮を剥いたトウモロコシ粒の産生量として測定することができ、それは、多くの場合、水分調節ベースで、例えば、水分15.5%で報告される。収穫量の増大は、キーとなる生化学化合物、例えば、窒素、リンおよび炭水化物などの利用の改善、または、環境ストレス、例えば、寒さ、熱、乾燥、塩分、および害虫もしくは病原体などに対する耐性の向上によりもたらされ得る。形質強化組み換えDNAはまた、植物成長調節物質の発現の改変、または細胞周期もしくは光合成経路の変更の結果として、成長調節物質成長および発達が改善され、ひいては収穫量が増大するトランスジェニック植物を提供するために使用することができる。
【0120】
多くの農業形質、例えば、限定はされないが、植物の高さ、莢の数、植物体における莢の位置、節間部の数、莢の破損の発生率、穀粒サイズ、根粒形成効率および窒素固定効率、栄養の消化効率、生物的ストレスおよび非生物的ストレスに対する耐性、炭素同化、植物構造、耐倒伏性、種子の発芽率、苗の成長力、ならびに幼植物の形質が、「収穫」に影響を及ぼし得る。収穫に影響を及ぼし得る他の形質としては、限定はされないが、発芽効率(たとえば、ストレス条件下での発芽効率)、成長速度(例えば、ストレス条件下での成長速度)、穂の数、穂1個当たりの種子数、種子の大きさ、種子の組成(デンプン、油、タンパク質)、登塾特性が挙げられる。全植物の収穫量を増大させるか否かはわからないが、所望の表現型特性を示すトランスジェニック植物の世代もまた目的とされる。そのような特性としては、限定はされないが、植物形態学的増強、植物生理学的増強、またはトランスジェニック植物から得られる成熟種子の成分の改善が挙げられる。
【0121】
IV.遺伝子の抑制方法
一態様において、本開示の方法および組成物は、植物細胞由来の植物中の標的遺伝子の抑制に有用なポリヌクレオチドをその植物細胞に導入するために使用することができる。植物における遺伝子操作のいくつかの態様では、特定の遺伝子の活性低下(遺伝子サイレンシングまたは遺伝子抑制としても知られる)が望まれる。多くの遺伝子サイレンシング技術が当業者に知られており、例えば、限定はされないが、アンチセンス技術(例えば、Sheehy et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8805−8809、ならびに米国特許第5,107,065号明細書、同第5,453,566号明細書および同第5,759,829号明細書を参照);コサプレッション(例えば、Taylor(1997)Plant Cell 9:1245、Jorgensen(1990)Trends Biotech.8(12):340−344、Flavell(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3490−3496、Finnegan et al.(1994)Bio/Technology 12:883−888およびNeuhuber et al.(1994)Mol.Gen.Genet.244:230−241);RNA干渉(Napoli et al.(1990)Plant Cell 2:279−289、米国特許第5,034,323号明細書;Sharp(1999)Genes Dev.13:139−141、Zamore et al.(2000)Cell 101:25−33、Javier(2003)Nature 425:257−263、およびMontgomery et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:15502−15507);ウイルス誘導遺伝子サイレンシング(Burton,et al.(2000)Plant Cell 12:691−705、およびBaulcombe(1999)Curr.Op.Plant Bio.2:109−113);標的RNA特異的リボザイム(Haseloff et al.(1988)Nature 334:585−591);ヘアピン構造(Smith et al.(2000)Nature 407:319−320、国際公開第WO99/53050号パンフレット、同第02/00904号パンフレットおよび同第98/53083号パンフレット);リボザイム(Steinecke et al.(1992)EMBO J.11:1525、米国特許第4,987,071号明細書、およびPerriman et al.(1993)Antisense Res.Dev.3:253);オリゴヌクレオチド媒介標的改変(例えば、国際公開第03/076574号パンフレットおよび同第99/25853号パンフレット);Znフィンガー標的分子(例えば、国際公開第01/52620号パンフレット、同第03/048345号パンフレットおよび同第00/42219号パンフレット);人工マイクロRNA(US8106180、Schwab et al.(2006)Plant Cell 18:1121−1133);および当業者に知られる他の方法、または上記方法の組み合わせが挙げられる。
【0122】
V.ゲノム編集技術を植物へ導入する方法
一態様において、本開示の方法および組成物は、植物細胞由来の植物体のゲノムの改変に特異的な部位を標的とするのに有用なポリヌクレオチドをその植物細胞に導入するために使用することができる。本開示の方法および組成物によって導入することができる部位特異的改変としては、部位特異的改変を導入する任意の方法によるもの、例えば、限定はされないが、遺伝子修復オリゴヌクレオチドの使用(例えば、米国特許出願公開第2013/0019349号明細書)、または、TALEN、マガヌクレオチド、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPR−Casなどの二本鎖切断技術によるものが挙げられる。例えば、植物細胞もしくは植物細胞由来の植物のゲノム中の標的配列の改変のために、植物を選択するために、塩基または配列を欠失させるために、遺伝子編集のために、そして目的ポリヌクレオチドを植物細胞由来の植物のゲノムに挿入するために、本開示の方法および組成物を使用して、CRISPR−Casシステムを植物細胞へ導入することができる。したがって、本開示の方法および組成物は、CRISPR−Casシステムと共に使用して、植物体、植物細胞または種子のゲノム中の標的部位および目的ヌクレオチドを変更または改変するのに提供することができる。
【0123】
一態様において、本開示は、形質転換のための方法および組成物であって、(a)植物細胞を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子を含む第1のベクターと;ガイドヌクレオチドを発現することができる第2のベクターと;Casエンドヌクレアーゼを発現することができる第3のコンストラクトとを含み、ガイドヌクレオチドおよびCasエンドヌクレアーゼは、Casエンドヌクレアーゼの標的部位における二本鎖切断を可能にする複合体を形成することができるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含む方法を含む。
【0124】
一態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、植物最適化Cas9エンドヌクレアーゼであり、その植物最適化Cas9エンドヌクレアーゼは、植物ゲノムのゲノム標的配列に結合し、二本鎖を作ることができる。
【0125】
Casエンドヌクレアーゼは、ガイドヌクレオチドにガイドされ、植物細胞のゲノムの特定の標的部位を認識し、場合により二本鎖切断を導入する。CRISPR−Casシステムは、植物体、植物細胞または種子のゲノム中の標的部位の改変に有効なシステムを提供する。さらに、細胞のゲノム中の標的部位の改変、細胞のゲノム中のヌクレオチドの編集に有効なガイドポリヌクレオチド/Casエンドヌクレアーゼシステムを用いる方法および組成物を提供する。ゲノム標的部位が特定されたなら、様々な方法を用いて、様々な目的ポリヌクレオチドを含むように標的部位をさらに改変することができる。本発明の組成物および方法を使用して、細胞のゲノム中のヌクレオチド配列の編集を行うCRISPR−Casシステムを導入することができる。編集されるべきヌクレオチド配列(目的ヌクレオチド配列)は、Casエンドヌクレアーゼによって認識される標的部位中にあっても標的部位外にあってもよい。
【0126】
CRISPR遺伝子座(クラスター化等間隔短鎖回文リピート)(SPIDR―スペーサー散在型ダイレクトリピートとしても知られる)は、最近記載されたDNA遺伝子座のファミリーを構成する。CRISPR遺伝子座は、短く、かつ高度に保存されたDNAリピート(通常24〜40bp、1〜140回の繰り返し―CRISPRリピートとも呼ばれる)から構成され、部分的に回文を形成している。反復配列(通常、種に固有である)間は一定の長さの可変配列(通常、CRISPR遺伝子座に依り20〜58bp)がスペーサーとして存在している(国際公開第2007/025097号パンフレット、2007年3月1日公開)。
【0127】
CRISPR遺伝子座は最初にエシェリキア・コリ(E.coliにおいて見出された(Ishino et al.(1987)J.Bacterial.169:5429−5433;Nakata et al.(1989)J.Bacterial.171:3553−3556を参照)。同様の間隔短配列リピートが、ハロフェラックス・メディテラネイ(Haloferax mediterranei)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、アナベナ属(Anabaena)およびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)で特定された(Groenen et al.(1993)Mol.Microbiol.10:1057−1065、Hoe et al.(1999)Emerg.Infect.Dis.5:254−263、Masepohl et al.(1996)Biochim.Biophys.Acta1307:26−30、Mojica et al.(1995)Mol.Microbiol.17:85−93)。CRISPR遺伝子座はリピート配列の構造により他のSSRと異なり、短等間隔リピート(short regularly spaced repeat)(SRSR)と呼ばれていた(Janssen et al.(2002)OMICS J.Integ.Biol.6:23−33、Mojica et al.(2000)Mol.Microbiol.36:244−246)。リピートは、クラスターの形態で生じる短い要素であり、常に一定の長さの可変配列により等しい間隔をおいて存在している(Mojica et al.(2000)Mol.Microbiol.36:244−246)。
【0128】
Cas遺伝子としては、フランキングするCRISPR遺伝子座に結合して、関連して、または近接もしくは隣接して存在する。用語「Cas遺伝子」および「CRISPR関連(Cas)遺伝子」は、本明細書では互換的に使用される。Casタンパク質ファミリーの包括的レビューは、Haft et al.(2005)Computational Biology、PLoS Comput Biol 1(6):e60.doi:10.1371/journal.pcbi.0010060に記載されている。
【0129】
4つの当初記載された遺伝子ファミリーに加え、さらに41のCRISPR関連(Cas)遺伝子ファミリーが、国際公開第2015/026883号パンフレットに示されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。この文献には、CRISPRシステムが、異なるリピート配列パターン、遺伝子群および種の範囲を有する異なる分類に属することが示されている。所与のCRISPR遺伝子座におけるCas遺伝子の数は、種によって変わり得る。Casエンドヌクレアーゼは、Cas遺伝子によってコードされるCasタンパク質と関連しており、Casタンパク質は、DNA標的配列へ二本鎖切断を導入することができる。Casエンドヌクレアーゼは、ガイドヌクレオチドにガイドされ、細胞のゲノムの特定の標的部位を認識し、場合により二本鎖切断を導入する。本明細書で使用する場合、用語「ガイドポリヌクレオチド/Casエンドヌクレアーゼシステム」には、DNA標的部位に二本鎖切断を導入することができる、Casエンドヌクレアーゼとガイドポリヌクレオチドとの複合体が含まれる。Casエンドヌクレアーゼは、ゲノム標的部位に近接したDNA二本鎖をほどき、標的配列を認識すると同時に、正しいプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)が標的配列の3’末端に位置している限り、2本のDNA鎖をガイドヌクレオチドによって切断する(2015年2月26日公開の国際公開第2015/026883号パンフレットの図2Aおよび図2Bを参照)。
【0130】
一態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、Cas9エンドヌクレアーゼ、例えば、限定されないが、2007年3月1日公開の国際公開第2007/025097号パンフレット(この文献は参照によって本明細書に組み込まれる)に挙げられ開示されているCas9遺伝子である。他の態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、植物、トウモロコシまたはダイズ最適化Cas9エンドヌクレアーゼ、例えば、国際公開第2015/026883号パンフレットに開示されたものである。他の態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、Casコドン領域上流のSV40核標的シグナル、およびCasコドン領域下流の二分核定位シグナル(Tinland et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:7442−6)に作動可能に結合している。
【0131】
一態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、国際公開第2015/026883号パンフレットに開示されている、Cas9エンドヌクレアーゼ遺伝子、またはその機能的断片もしくは多様体である。
用語「機能的断片」、「機能的に等価である断片」および「機能的に等価な断片」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、二本鎖切断を起こす能力が保持されている、本開示のCasエンドヌクレアーゼの一部またはサブ配列を指す。
【0132】
用語「機能的多様体」、「機能的に等価である多様体」および「機能的に等価な多様体」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、二本鎖切断を起こす能力が保持されている、本開示のCasエンドヌクレアーゼの多様体を指す。断片および多様体および誘導体は、部位特異的変異誘発法および合成構築などの方法によって得ることができる。
【0133】
一態様において、Casエンドヌクレアーゼ遺伝子は、標的とし得るN(12−30)NGG型の任意のゲノム配列を認識することができる、植物コドン最適化ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9遺伝子である。
【0134】
エンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖のリン酸ジエステル結合を切断する酵素であり、塩基を損傷することなく特定の部位でDNAを切断する制限エンドヌクレアーゼを含む。制限エンドヌクレアーゼは、I型、II型、III型およびIV型エンドヌクレアーゼを含み、これらはさらに亜型を含む。I型およびIII型系においては、メチラーゼ活性および制限活性の両活性が単一複合体内に含まれる。エンドヌクレアーゼはまた、ホーミングヌクレアーゼ(HE酵素)としても知られるメガヌクレアーゼを含み、この酵素は、制限エンドヌクレアーゼのように、特定の認識部位に結合し切断するが、メガヌクレアーゼの認識部位は通常長く、約18bp以上である。(2012年3月22日出願の国際特許出願PCT/US12/30061)。メガヌクレアーゼは、保存配列モチーフに基づいて4つのファミリーに分類されており、それらのファミリーは、LAGLIDADG、GIY−YIG、H−N−HおよびHis−Cysボックスのファミリーである。これらのモチーフは、金属イオンの配位およびリン酸ジエステル結合の加水分解に関与する。メガヌクレアーゼは、その長い認識部位と、そのDNA基質の配列多型性を許容していることで知られている。メガヌクレアーゼの命名規則は、他の制限エンドヌクレアーゼの規則と類似している。メガヌクレアーゼはまた、それぞれ独立ORF、イントロンおよびインテインによってコードされる酵素に対して付される接頭辞のF−、I−またはPI−で特徴付けられる。遺伝子組み換えプロセスの1つの工程は、認識部位またはその近傍でのポリヌクレオチドの切断を含む。この切断活性は、二本鎖の切断に使用され得る。部位特異的リコンビナーゼおよびその認識部位のレビューには、Sauer(1994)Curr Op Biotechnol5:521−7、およびSadowski(1993)FASEB 7:760−7を参照されたい。いくつかの例では、リコンビナーゼは、インテグラーゼファミリーまたはリゾルバーゼファミリーからのものである。TALエフェクターヌクレアーゼは、植物または他の有機体のゲノム中の特定の標的配列での二本鎖切断に使用することができる配列特異的ヌクレアーゼの新しい分類である。(Miller,et al.(2011)Nature Biotechnology 29:143−148).ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインおよび二本鎖切断誘発物質ドメインからなる人工の二本鎖切断誘発物質である。認識部位特異性は、ジンクフィンガードメインによって与えられ、このジンクフィンガードメインは、通常、例えば、C2H2構造を有する、2、3または4つのジンクフィンガーを含むが、しかしながら他のジンクフィンガー構造も知られており、作られてきている。ジンクフィンガードメインは、選択されたポリヌクレオチド認識配列に特異的に結合するポリペプチドの設計に適している。ZFNとしては、非特異的エンドヌクレアーゼドメインに結合した人工DNA結合ジンクフィンガードメイン、例えば、FoklなどのMs型エンドヌクレアーゼ由来のヌクレアーゼドメインが挙げられる。さらなる機能性は、ジンクフィンガー結合ドメイン、例えば、転写活性因子ドメイン、転写抑制因子ドメインおよびメチラーゼに融合することができる。いくつかの例では、切断活性にヌクレアーゼドメインの二量体化が要求される。核ジンクフィンガーは、標的DNAの3つの連続する塩基対を認識する。例えば、3フィンガードメインは、二量体化の際に結合する9個の連続するヌクレオチドからなる配列を認識し、2組のジンクフィンガートリプレットが、18個のヌクレオチドからなる認識配列に結合するために使用される。
【0135】
細菌および古細菌は、短鎖RNAを使用して外来核酸を分解する、クラスター化等間隔短鎖回文リピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)システムと呼ばれる適応免疫防御を進化させた(2007年3月1日公開の国際公開第2007/025097号パンフレット)。細菌由来のII型CRISPR/Casシステムは、CasエンドヌクレアーゼをDNA標的へガイドするのにcrRNAおよびtracrRNAを使用する。crRNA(CRISPR RNA)は、二本鎖DNAの一方の鎖に相補的な領域と、CasエンドヌクレアーゼにDNA標的を切断させるRNA二本鎖を形成するtracrRNA(trans活性化CRISPR RNA)を有する塩基対とを含む。
【0136】
本明細書で使用する場合、用語「ガイドヌクレオチド」は、2つのRNA分子、可変標的領域を含むcrRNA(CRISPR RNA)およびtracrRNAの合成的融合に関する。一態様において、ガイドヌクレオチドは、12〜30ヌクレオチド配列からなる可変標的ドメインと、Casエンドヌクレアーゼと相互作用し得るRNA断片とを含む。
【0137】
本明細書で使用する場合、用語「ガイドポリヌクレオチド」は、Casエンドヌクレアーゼと複合体を形成し、CasエンドヌクレアーゼがDNA標的部位を認識し、場合により切断することを可能にするポリヌクレオチド配列に関連している。このガイドポリヌクレオチドは一本鎖分子であっても二本鎖分子であってもよい。ガイドポリヌクレオチド配列は、RNA配列、DNA配列、またはこれらの組み合わせ(RNA−DNA組み合わせ配列)であってよい。任意選択で、ガイドポリヌクレオチドは、少なくとも1個のヌクレオチド、ホスホジエステル結合または連結修飾を含むことができ、この連結修飾として、ロックド核酸(LNA)、5−メチルdC、2,6−ジアミノプリン、2’−フルオロA、2’−フルオロU、2’−O−メチルRNA、ホスホロチオエート結合、コレステロール分子への連結、ポリエチレングリコール分子への連結、スペーサー18(ヘキサエチレングリコール鎖)分子への連結、または環化をもたらす5’から3’への共有結合的連結が挙げられるがこれらに限定されない。リボ核酸のみを含むガイドポリヌクレオチドもまた、「ガイドヌクレオチド」と称される。
【0138】
ガイドポリヌクレオチドは、標的DNAのヌクレオチド配列に相補的な第1のヌクレオチド配列ドメイン(可変ターゲティングドメインまたはVTドメインとも呼ばれる)と、Casエンドヌクレアーゼポリペプチドと相互作用する第2のヌクレオチド配列ドメイン(Casエンドヌクレアーゼ認識ドメインまたはCERドメインとも呼ばれる)とを含む二本鎖分子(二本鎖ガイドポリヌクレオチドとも呼ばれる)であってよい。この二本鎖分子ガイドポリヌクレオチドのCERドメインは、相補領域に沿ってハイブリダイズされる2個の個別の分子を含む。この2個の個別の分子は、RNA配列、DNA配列および/またはRNA−DNA組み合わせ配列であってよい。一態様においては、CERドメインに連結されているVTドメインを含む二本鎖ガイドポリヌクレオチドの第1の分子は、「crDNA」(DNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)、「crRNA」(RNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)、または「crDNA−RNA」(DNAヌクレオチドとRNAヌクレオチドとの組み合わせで構成されている場合)と称される。crヌクレオチドは、細菌中および古細菌中に天然に存在するcRNAの断片を含むことができる。一態様においては、本明細書で開示するcrヌクレオチド中に存在する細菌中および古細菌中に天然に存在するcRNAの断片のサイズは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個またはそれ以上のヌクレオチドから変動することができるがこれらに限定されない。
【0139】
一態様においては、CERドメインを含む二本鎖ガイドポリヌクレオチドの第2の分子は、「tracrRNA」(RNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)、「tracrDNA」(DNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)「tracrDNA」、または「tracrDNA−RNA」(DNAヌクレオチドとRNAヌクレオチドとの組み合わせで構成されている場合)と称される。一態様においては、RNA Cas9エンドヌクレアーゼ複合体をガイドするRNAは、二本鎖crRNA−tracrRNAを含む二本鎖RNAである。
【0140】
ガイドポリヌクレオチドはまた、標的DNAのヌクレオチド配列に相補的な第1のヌクレオチド配列ドメイン(可変標的ドメインまたはVTドメインと呼ばれる)と、Casエンドヌクレアーゼポリペプチドと相互作用する第2のヌクレオチド配列ドメイン(Casエンドヌクレアーゼ認識ドメインまたはCERドメインと呼ばれる)とを含む一本鎖分子であってもよい。「ドメイン」は、RNA配列、DNA配列および/またはRNA−DNA組み合わせ配列であり得るヌクレオチドの連続区間を意味する。一本鎖ガイドポリヌクレオチドのVTドメインおよび/またはCERドメインは、RNA配列、DNA配列またはRNA−DNA組み合わせ配列を含むことができる。一態様においては、一本鎖ガイドポリヌクレオチドは、tracrヌクレオチド(CERドメインを含む)に連結されているcrヌクレオチド(CERドメインに連結されているVTドメインを含む)を含み、この連結は、RNA配列、DNA配列、またはRNA−DNA組み合わせ配列を含むヌクレオチド配列である。crヌクレオチド由来の配列およびtracrヌクレオチド由来の配列で構成されている一本鎖ガイドポリヌクレオチドは、「一本鎖ガイドヌクレオチド」(RNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)、「一本鎖ガイドDNA」(DNAヌクレオチドの連続区間で構成されている場合)、または「一本鎖ガイドヌクレオチド−DNA」(RNAヌクレオチドとDNAヌクレオチドとの組み合わせで構成されている場合)と称することができる。本開示の一態様においては、一本鎖ガイドヌクレオチドは、II型Casエンドヌクレアーゼと複合体を形成することができるII型CRISPR/CasシステムのcRNAまたはcRNA断片、およびtracrRNAまたはtracrRNA断片を含み、このガイドヌクレオチドCasエンドヌクレアーゼ複合体は、Casエンドヌクレアーゼを植物ゲノム標的部位へと誘導することができ、Casエンドヌクレアーゼがこのゲノム標的部位に二本鎖切断を導入することを可能にする。二本鎖ガイドポリヌクレオチドと対比して一本鎖ガイドポリヌクレオチドを使用する一態様は、一本鎖ガイドポリヌクレオチドを発現させるために作製する必要がある発現カセットが1種のみであるということである。
【0141】
用語「可変標的ドメイン」または「VTドメイン」は本明細書において互換的に使用され、二本鎖DNA標的部位の一方の鎖(ヌクレオチド配列)に相補的であるヌクレオチド配列を含む。第1のヌクレオチド配列ドメイン(VTドメイン)と標的配列との間の%相補性は、少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、63%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%であり得る。可変標的ドメインの長さは、少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドであり得る。一態様においては、可変ターゲティングドメインは12〜30ヌクレオチドからなる連続区間を含む。可変標的ドメインは、DNA配列、RNA配列、改変DNA配列、改変RNA配列、またはこれらの任意の組み合わせで構成され得る。
【0142】
ガイドポリヌクレオチドの用語「Casエンドヌクレアーゼ認識ドメイン」または「CERドメイン」は本明細書において互換的に使用され、Casエンドヌクレアーゼポリペプチドと相互作用するヌクレオチド配列(例えば、ガイドポリヌクレオチドの第2のヌクレオチド配列ドメイン)を含む。CERドメインは、DNA配列、RNA配列、改変DNA配列、改変RNA配列(例えば、本明細書に記載する改変を参照されたい)、またはこれらの任意の組み合わせで構成され得る。
【0143】
一本鎖ガイドポリヌクレオチドのcrヌクレオチドとtracrヌクレオチドとを連結するヌクレオチド配列は、RNA配列、DNA配列またはRNA−DNA組み合わせ配列を含むことができる。一態様においては、一本鎖ガイドポリヌクレオチドのcrヌクレオチドとtracrヌクレオチドとを連結するヌクレオチド配列の長さは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100個のヌクレオチドであり得る。他の態様では、一本鎖ガイドポリヌクレオチドのcrヌクレオチドとtracrヌクレオチドとを連結するヌクレオチド配列は、限定はされないが、GAAAテトラループ配列などのテトラループ配列を含み得る。
【0144】
ガイドポリヌクレオチド、VTドメインおよび/またはCERドメインのヌクレオチド配列改変は、5’キャップ、3’ポリアデニル化テイル、リボスイッチ配列、安定した制御配列、dsRNA二本鎖を形成する配列、ガイドポリヌクレオチドの標的を細胞内位置に設定する改変または配列、トラッキングが生じる改変または配列、タンパク質用の結合部位が生じる改変または配列、ロックド核酸(LNA)、5−メチルdCヌクレオチド、2,6−ジアミノプリンヌクレオチド、2’−フルオロAヌクレオチド、2’−フルオロUヌクレオチド;2’−O−メチルRNAヌクレオチド、ホスホロチオエート結合、コレステロール分子への連結、ポリエチレングリコール分子への連結、スペーサー18分子への連結、5’から3’への共有結合的連結、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができるが、これらに限定されない。これらの改変により、少なくとも1種の追加の有利な特徴をもたらすことができ、この追加の有利な特徴は、安定性の変更または調節、細胞内ターゲティング、トラッキング、蛍光標識、タンパク質用またはタンパク質複合体用の結合部位、相補的な標的配列に対する結合親和性の変更、細胞分解に対する耐性の変更、および細胞透過性の増大の群から選択される。
【0145】
種々の態様において、ガイドヌクレオチドとCasエンドヌクレアーゼとは、CasエンドヌクレアーゼがDNA標的部位で二本鎖切断を導入するのを可能にする複合体を形成することができる。
【0146】
種々の態様において、可変標的ドメインの長さは、少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドであり得る。
【0147】
種々の態様において、ガイドヌクレオチドは、II型Casエンドヌクレアーゼと複合体を形成することができるII型CRISPR/CasシステムのcRNA(またはcRNA断片)およびtracrRNA(またはtracrRNA断片)を含み、このガイドヌクレオチドCasエンドヌクレアーゼ複合体は、Casエンドヌクレアーゼを植物ゲノム標的部位へと誘導することができ、Casエンドヌクレアーゼがこのゲノム標的部位に二本鎖切断を導入することを可能にする。一態様において、ガイドヌクレオチドは、当該技術分野で知られた任意の方法、例えば、限定はされないが、粒子衝撃法または局所的適用法により植物体または植物細胞に導入することができる。
【0148】
種々の態様において、ガイドヌクレオチドは、植物細胞中でガイドヌクレオチド転写することができる、植物特異的プロモーターに作動可能に結合した、対応するガイドDNA配列を含む組み換えDNA分子を導入することによって、間接的に導入することができる。用語「対応するガイドDNA」は、RNA分子の各「U」が「T」に置き替えられている以外はRNA分子と同じDNA分子を含む。
【0149】
種々の態様において、ガイドヌクレオチドは、粒子衝撃法により、または、植物U6ポリメラーゼIIIプロモーターに作動可能に結合した、対応するガイドDNAを含む組み換えDNAコンストラクトをアグロバクテリウム属(Agrobacterium)により形質転換するための方法および組成物によって導入される。
【0150】
種々の態様において、RNA Cas9エンドヌクレアーゼ複合体をガイドするRNAは、二本鎖crRNA−tracrRNAを含む二本鎖RNAである。二本鎖crRNA−tracrRNAに対してガイドヌクレオチドを使用する利点の1つは、融合ガイドヌクレオチドを発現させるために作製する必要がある発現カセットが1種のみであるということである。
【0151】
用語「標的部位」、「標的配列」、「標的DNA」、「標的遺伝子座」、「ゲノム標的部位」、「ゲノム標的配列」および「ゲノム標的遺伝子座」は、本明細書では互換的に使用され、Casエンドヌクレアーゼによって植物細胞ゲノムで二本鎖切断が誘発される、植物細胞ゲノム中のポリヌクレオチド配列(葉緑体DNAおよびミトコンドリアDNAを含む)を指す。標的部位は植物ゲノム中の内在性部位であり得、あるいは、標的部位は植物体に対して異種であり得、そのためゲノム中に天然には存在していない、あるいは標的部位は天然で生じる場所と比較して異種のゲノム位置で見出すことができる。
【0152】
本明細書で使用する場合、用語「内在性標的配列」および「天然標的配列」は、本明細書では互換的に使用され、植物ゲノムに対して内在性または天然性のものであり、かつ植物ゲノム中の標的配列の内在性または天然の位置に存在する標的配列を指す。一態様において、標的部位は、DNA認識部位、または特異的に認識し、かつ/または、LIG3−4エンドヌクレアーゼ(2009年5月21日公開の米国特許出願公開第2009/0133152A1号明細書)、もしくはMS26++メガヌクレアーゼ(2012年6月19日出願の米国特許出願第13/526912号明細書)などの二本鎖切断誘発物質によって結合する標的部位に類似する部位であり得る。
【0153】
「人工標的部位」または「人工標的配列」は、本明細書では互換的に使用され、植物のゲノム中に導入された標的配列を指す。そのような人工標的配列は、植物ゲノム中の内在性標的配列または天然標的配列と配列が同じであり得、しかし、植物ゲノム中の異なる場所(すなわち、非内在性または非天然の場所)に存在し得る。
【0154】
「改変標的部位」、「改変標的配列」、「変更標的部位」および「変更標的配列」は、本明細書では互換的に使用され、非改変標的配列を比較したとき、少なくとも1つの改変を含む本明細書に開示の標的部位を指す。そのような「改変」としては、例えば、(i)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、(ii)少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、(iii)少なくとも1つのヌクレオチドの挿入、または(iv)(i)〜(iii)の任意の組み合わせが挙げられる。
【0155】
VI.部位特異的組み込みのためのヌクレオチドの導入法
一態様において、本開示の方法および組成物は、植物細胞由来の植物体へのヌクレオチド配列の標的組み込みに有用なポリヌクレオチドを、高効率かつ高速に植物細胞へ導入するために使用することができる。例えば、本開示の方法および組成物は、標的部位を含む植物体を形質転換するために、非同一組み換え部位が隣接する目的ヌクレオチド配列を含むトランスファーカセットを導入するのに使用することができる。一態様では、標的部位は、トランスファーカセット上のそれに対応した、非同一組み換え部位を少なくとも1セット含む。組み換え部位が隣接するヌクレオチド配列の置換は、リコンビナーゼにより影響を受ける。このように、本開示の方法および組成物は、ヌクレオチド配列の標的組み込みのためのトランスファーカセットの導入に使用することができ、非同一組み換え部位が隣接するトランスファーカセットは、非同一組み換え部位を認識し、非同一組み換え部位で組み換えを行うリコンビナーゼにより認識される。したがって、本開示の方法および組成物は、植物細胞由来の、非同一組み換え部位を含有する植物体の生長の効率および速度の改善に使用することができる。
【0156】
一態様では、本開示はさらに、植物の形質転換方法であって、植物細胞のゲノム中の標的部位へ目的ポリヌクレオチドを導入することを含み、(a)植物体からの外植体を、(i)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(ii)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)種において増殖し、かつ安定に保持されるための複製起点;(iii)選択マーカー遺伝子;ならびに(iv)アグロバクテリウム属(Agrobacterium)ビルレンス遺伝子virB1〜B11、virC1〜C2、virD1〜D2およびvirG遺伝子を含む第1のベクターと;非同一組み換え部位が隣接した目的ポリヌクレオチドを含むトランスファーカセットを含む第2のベクターとを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と接触させる工程と;(b)組織をアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と共培養する工程と;(c)目的ポリヌクレオチド配列を発現する組織から形質転換された植物体を再生する工程とを含み、その外植体が、トランスファーカセットの隣接部位に対応する、非同一組み換え部位が隣接した標的部位を含むゲノムを有する植物体に由来するものである方法を提供する。この方法はさらに、非同一組み換え部位を認識し、非同一組み換え部位で組み換えを行うリコンビナーゼを提供する工程を含むことができ、このリコンビナーゼは植物外植体、体細胞胚由来の小植物、または植物細胞由来の小植物から得られた植物体に提供される。
【0157】
このように、本開示の方法および組成物は、外因性ヌクレオチドの形質転換植物への、方向性を有する標的組み込みを行うための組成物および方法をさらに含むことができる。一態様では、本開示の方法は、目的の遺伝子およびヌクレオチド配列の、以前に標的植物ゲノムに導入した対応する組み換え部位への、方向性を有するターゲティングを促進する遺伝子ターゲティングシステムにおいて、新規の組み換え部位を使用する。
【0158】
一態様では、2つの非同一組み換え部位が隣接するヌクレオチド配列が、目的ヌクレオチド配列の挿入のために標的部位が設けられた、標的生物のゲノム由来の外植体の1つ以上の細胞に導入される。安定な植物体または培養組織が確立されたなら、標的部位に隣接している組み換え部位に対応する部位が隣接した第2のコンストラクト、すなわち目的ヌクレオチド配列が、リコンビナーゼタンパク質の存在下に、安定に形質転換された植物体または組織に導入される。このプロセスで、標的部位の非同一組み換え部位とトランスファーカセットの間でヌクレオチド配列の置換が起こる。
【0159】
この方法で調製された形質転換植物体は、複数の標的部位、すなわち、非同一組み換え部位のセットを含み得ると認められる。この方法では、形質転換植物体の標的部位に対して複数の操作を行うことができる。形質転換植物体の標的部位とは、形質転換植物体のゲノムに挿入された、非同一組み換え部位を含むDNA配列を意味する。
【0160】
本開示の方法で使用する組み換え部位の例は当該技術分野で知られており、例えば、FRT部位(例えば、Schlake and Bode(1994)Biochemistry 33:12746−12751;Huang et al.(1991)Nucleic Acids Research 19:443−448;Paul D.Sadowski(1995)In Progress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology vol.51,pp.53−91;Michael M.Cox(1989)In Mobile DNA,Berg and Howe(eds)American Society of Microbiology,Washington D.C.,pp.116−670;Dixon et al.(1995)18:449−458;Umlauf and Cox(1988)The EMBO Journal 7:1845−1852;Buchholz et al.(1996)Nucleic Acids Research 24:3118−3119;Kilby et al.(1993)Trends Genet.9:413−421:Rossant and Geagy(1995)Nat.Med.1:592−594;Albert et al.(1995)The Plant J.7:649−659:Bayley et al.(1992)Plant Mol.Biol.18:353−361;Odell et al.(1990)Mol.Gen.Genet.223:369−378;およびDale and Ow(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10558−105620を参照されたい;これらは全て参照により本明細書に組み込まれる);Lox(Albert et al.(1995)Plant J.7:649−659;Qui et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1706−1710;Stuurman et al.(1996)Plant Mol.Biol.32:901−913;Odell et al.(1990)Mol.Gen.Gevet.223:369−378;Dale et al.(1990)Gene 91:79−85;およびBayley et al.(1992)Plant Mol.Biol.18:353−361)が挙げられる。大部分の天然に存在するサッカロミケス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)株に見出される2ミクロンのプラスミドは、2つの反転反復配列間のDNAの反転を促進する、部位特異的リコンビナーゼをコードする。この反転はプラスミドのコピー数増幅に中心的な役割を果たす。
【0161】
タンパク質、指定されたFLPタンパク質は、部位特異的組み換えイベントを触媒する。最小の組み換え部位(FRT)が定義されており、非対称8bpスペーサーを挟んだ、2つの反転13塩基対(bp)の反復配列を含有する。FLPタンパク質は、繰り返し配列とスペーサーとの接合部で部位を切断し、3’末端リン酸エステルにより共有結合でDNAに結合する。FLPのような部位特異的リコンビナーゼは、特定の標的配列でDNAを切断し、再ライゲーションして、2つの同一部位間で正確に定義された組み換えをもたらす。機能させるには、システムは組み換え部位とリコンビナーゼを必要とする。補助的因子は必要でない。このようにして、システム全体を植物細胞に挿入し、機能させることができる。酵母のFLP¥FRT部位特異的組み換えシステムが植物で機能することが示されている。今日では、このシステムは不要なDNAの切除に利用されている。Lyznik et al.(1993)Nucleic Acid Res. 21: 969−975を参照されたい。
対照的に、本開示は、植物ゲノムにおけるヌクレオチド配列の置換、ターゲティング、配置、挿入および発現の制御に、非同一FRTを使用する。
【0162】
一態様では、ゲノムに組み込まれた標的部位を含有する、植物体の外植体などの目的の形質転換生物を必要とする。標的部位は、非同一組み換え部位が隣接するという特徴を有する。形質転換生物の標的部位に含まれる部位に対応する非同一組み換え部位が隣接するヌクレオチド配列を含むターゲティングカセットがさらに要求される。非同一組み換え部位を認識し、部位特異的組み換えを触媒するリコンビナーゼが要求される。
【0163】
リコンビナーゼは当該技術分野で知られている任意の手段で提供できると認められる。すなわち、それは、生物中でリコンビナーゼを発現することができる発現カセットで生物を形質転換することにより、一過性発現により、またはリコンビナーゼもしくはリコンビナーゼタンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)を提供することにより、生物または植物細胞中に提供され得る。
【0164】
「非同一組み換え部位」とは、隣接する組み換え部位の配列が同一でなく、組み換えが生じないか、または部位間の組み換えが最少になるであろうことを意味する。すなわち、1つの隣接する組み換え部位がFRT部位で、第2の組み換え部位が変異したFRT部位であり得る。本開示の方法で使用される非同一組み換え部位は、2つの隣接する組み換え部位間の組み換え、およびそこに含まれるヌクレオチド配列の切除を妨げるか、または大きく抑制する。したがって、本開示においては、FRTおよび変異FRT部位、FRTおよびlox部位、loxおよび変異lox部位、ならびに当該技術分野で知られている他の組み換え部位を含む、任意の適切な非同一組み換え部位を使用し得ると認められる。
【0165】
適切な非同一組み換え部位とは、活性なリコンビナーゼの存在下に、2つの非同一組み換え部位間の配列の削除がなされるとしても、植物ゲノムへのヌクレオチド配列の組み換えによる標的配置の置換よりもかなり低い効率で生じることを意味する。このように、本開示で使用される適切な非同一部位には、部位間の組み換え効率が低い部位、例えば、効率が約30〜約50%未満、好ましくは約10〜約30%未満、より好ましくは約5〜約10%未満の部位が含まれる。
【0166】
上述のように、ターゲティングカセットの組み換え部位は、形質転換した植物体の標的サイトのそれに対応する。すなわち、形質転換植物体の標的部位が、FRTおよび変異FRTという隣接する非同一組み換え部位を含有するならば、ターゲティングカセットは同じFRTおよび変異FRTの非同一組み換え部位を含有するであろう。
【0167】
さらに、本開示の方法で使用するリコンビナーゼは、形質転換植物体およびターゲティングカセットの標的部位の組み換え部位により変わってくると認められる。すなわち、FRT部位が使用されるのであれば、FLPリコンビナーゼが必要になるであろう。同様に、lox部位が使用されるのであれば、Creリコンビナーゼが必要になる。非同一組み換え部位がFRTおよびlox部位の両者を含むのであれば、植物細胞中にFLPおよびCreの両リコンビナーゼが必要となろう。
【0168】
FLPリコンビナーゼは、DNA複製時に、サッカロミケス・セレビシアエ(S.cerevisiae)の2ミクロンプラスミドのコピー数の増幅に関与する、部位特異的反応を触媒するタンパク質である。FLPタンパク質はクローン化され、発現されてきた。例えば、Cox(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:4223−4227を参照されたい。本開示の標的組み込み法で使用するFLPリコンビナーゼはサッカロミケス属(Saccharomyces)から得ることができる。目的植物体での最適な発現のために、植物体に望ましいコドンを使用してリコンビナーゼを合成することが好ましいであろう。例えば、1997年11月18日出願の、発明の名称が「Novel Nucleic Acid Sequence Encoding FLP Recombinase」である米国特許出願第08/972,258号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0169】
バクテリオファージリコンビナーゼCreは、2つのlox部位間の部位特異的組み換えを触媒する。Creリコンビナーゼは当該技術分野で知られている。例えば、Guo et al.(1997)Nature 389:40−46;Abremski et al.(1984),J.Biol.Chem.259:1509−1514;Chen et al.(1996)Somat.Cell Mol.Genet.22:477−488;およびShaikh et al.(1977),J.Biol.Chem.272:5695−5702(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。そのようなCre配列はまた、植物体に望ましいコドンを使用して合成することができる。
【0170】
適切な場合には、植物ゲノムに挿入すべきヌクレオチド配列は、形質転換植物における発現を増加させるために最適化することができる。本開示において哺乳動物、酵母または細菌の遺伝子が使用される場合、発現改善のために、植物体に望ましいコドンを使用してそれらを合成することができる。単子葉植物における発現では、単子葉植物に望ましいコドンを使用して双子葉植物の遺伝子も合成できると認められる。植物に望ましい遺伝子を合成するために、当該技術分野における各種方法が利用できる。例えば、米国特許第5,380,831号明細書、同第5,436,391号明細書およびMurray et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:477−498(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。植物に望ましいコドンは、目的植物で発現するタンパク質において、より頻繁に使用されるコドンから決定され得る。単子葉植物または双子葉植物に望ましい配列は、特定の植物種にとってその植物に望ましい配列と同様に構築できると認められる。例えば、欧州特許出願公開第A−0359472号明細書、欧州特許出願公開第A−0385962号明細書、国際公開第91/16432号パンフレット、Perlak et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:3324−3328;およびMurray et al.(1989)Nucleic Acids Research,17:477−498.米国特許第5,380,831号明細書、米国特許第5,436,391号明細書など(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。さらに、遺伝子配列の全てまたは任意の部分が最適化されてもよく、また合成されてもよいと認められる。すなわち、完全に最適化されるか、または部分的に最適化された配列もまた使用することができる。
【0171】
配列のさらなる改変が、細胞宿主中で遺伝子発現を促進することが知られており、本開示で使用することができる。これらには、遺伝子発現に有害であり得る、疑似ポリアデニル化シグナルをコードする配列、エクソン−イントロンスプライス部位シグナルをコードする配列、トランスポゾン様反復配列、および他のそのような特徴を有する配列の削除が含まれる。配列のG−C含有量は、宿主細胞中で発現する既知の遺伝子を参照することによって算出される、所与の細胞宿主の平均的なレベルに調節することができる。可能であれば、配列は、予測されるヘアピン二次的MARNA構造を避けるよう改変する。
【0172】
本開示はまた、新規なFLP組み換え標的部位(FRT)を包含する。FRTは、次のような、8塩基スペーサーで分けられた、2つの13塩基対からなる反復配列を含む最小配列として特定されている:5’−GAAGTTCCTATTC[TCTAGAAA]GTATAGGAACTTC3’(ここで、カッコ内のヌクレオチドはスペーサー領域を示す)。2つの13塩基反復配列が8ヌクレオチドで分離されている限り、スペーサー領域のヌクレオチドは、ヌクレオチドの組み合わせで置換することができる。スペーサー領域のヌクレオチドのいくつかの置換は、他より良好に機能し、どの置換が当業者の技能の範囲内であるかを決定するのに役立つ。8塩基対のスペーサーは、鎖置換時のDNA−DNAの対合に関与する。この領域の非対称性は、組み換えイベントの部位アライメントの方向を決定し、これは、その後、逆方向になるか、または切除されるかに繋がる。上述のように、スペーサーの大部分は機能を失わずに変異することができる。例えば、Schlake and Bode(1994)Biochemistry 33:12746−12751(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0173】
新規のFRT変異体部位は、本開示の方法の実施で使用することができる。そのような変異体部位はPCRをベースとした変異誘発により構築することができる。変異FRT部位は知られている(例えば、1999年5月27日に公開された国際公開第1999/025821号パンフレットを参照されたい)が、本開示の実施には別の変異FRT部位を使用できると認められる。種々の態様において、本開示の方法および組成物は、植物ゲノムにおけるヌクレオチド配列の標的挿入および発現に、非同一組み換え部位またはFRT部位を使用することができる。
【0174】
上で論じたように、リコンビナーゼの存在下に、非同一組み換え部位を有する標的部位を含むゲノムDNAを、対応する非同一組み換え部位を有するトランスファーカセットを含むベクターと一緒にすると、組み換えが起こる。隣接する組み換え部位の間に位置するトランスファーカセットのヌクレオチド配列は、隣接する組み換え部位の間に位置する標的部位のヌクレオチド配列と置換される。このようにして、目的ヌクレオチド配列を、宿主のゲノムに正確に組み込むことができる。
【0175】
本開示の多くの変形を実施することができると認められる。例えば、複数の非同一組み換え部位を有する標的部位を構築することができる。このように、複数の遺伝子またはヌクレオチド配列を、植物ゲノムの正確な位置に積み重ねるか、またはオーダーすることができる。同様に、ゲノム内に標的部位が確立されたならば、トランスファーカセットのヌクレオチド配列内に追加の組み換え部位を組み込み、その部位を標的配列に移入することにより、追加の組み換え部位を導入することができる。このように、標的部位が確立されたならば、その後、組み換えにより部位を追加したり、部位を変更したりすることが可能である。
【0176】
別の変形として、生物の標的部位に作動可能に結合したプロモーターまたは転写開始領域を提供することが挙げられる。プロモーターは最初の組み換え部位の5’末端側にあることが好ましい。コード領域を含むトランスファーカセットで生物を形質転換することにより、コード領域の発現は、トランスファーカセットが標的部位に組み込まれたときに起こるであろう。この態様は、コード配列として選択マーカー配列を提供することにより、形質転換された細胞、特に植物細胞を選択する方法を提供する。
【0177】
本システムの別の利点として、上で論じたトランスファーカセットを使用することによる、導入遺伝子または導入DNAを生物に組み込むことの複雑さを軽減する能力、および単純な組み込みパターンによる生物の選択が挙げられる。同様に、数種の形質転換イベントを比較することにより、ゲノム内の好ましい部位を特定することができる。ゲノム内の好ましい部位としては、必須配列の発現を妨害せず、かつ導入遺伝子配列を十分に発現させるものが挙げられる。
【0178】
本開示の方法はまた、ゲノム内の1ヵ所に複数のカセットを結合させる手段を提供する。ゲノム内の標的部位で、組み換え部位を追加または切除することができる。
【0179】
本開示においては、本システムの3つの成分を一緒にする、当該技術分野で知られた手段を使用することができる。例えば、植物を安定に形質転換し、そのゲノム内に標的部位を宿させることができる。リコンビナーゼを一時的に発現させるか、または提供することができる。あるいは、リコンビナーゼを発現することができるヌクレオチド配列を植物ゲノムに安定的に組み込むことができる。対応する非同一組み換え部位が隣接するトランスファーカセットは、対応する標的部位とリコンビナーゼの存在下に、形質転換植物のゲノムに挿入される。
【0180】
あるいは、形質転換植物を有性交雑させることにより、本システムの成分を一緒にすることができる。この態様では、ゲノムに組み込まれた標的部位を含有する形質転換植物、すなわち第1の親は、第2の植物、すなわち第1の親に対応する隣接する非同一組み換え部位を含有するトランスファーカセットで遺伝子的に形質転換されている第2の親と有性交雑することができる。第1の植物または第2の植物は、そのゲノム内にリコンビナーゼを発現するヌクレオチド配列を含有する。リコンビナーゼを構成的または誘導性プロモーターの制御下に置くことができる。
【0181】
誘導性プロモーターとしては、本明細書で先述したもの、ならびに熱誘導性プロモーター、エストラジオール応答性プロモーター、化学誘導性プロモーターなどが挙げられる。病原体誘導性プロモーターとしては、病原体の感染後に誘導される感染特異的タンパク質(PRタンパク質)、例えば、PRタンパク質、SARタンパク質、ベータ−1,3−グルカナーゼ、キチナーゼなどからのものが挙げられ。例えば、Redolfi et al.(1983)Neth.J.Plant Pathol.89:245−254;Uknes et al.(1992)The Plant Cell 4:645−656;およびVan Loon(1985)Plant Mol.Virol.4:111−116を参照されたい。このようにして、リコンビナーゼの発現およびその後の組み換え部位の活性を制御することができる。
【0182】
植物の遺伝子発現に使用する構成的プロモーターは、当該技術分野で知られている。そうしたプロモーターとして、限定はされないが、カリフラワーのモザイクウイルス35Sプロモーター(Depicker et al.(1982)Mol.Appl.Genet.1:561−573;Odell et al.(1985)Nature 313:810−812),ubiquitin promoter(Christensen et al.(1992)Plant Mol.Biol.18:675−689),promoters from genes such as ribulose bisphosphate carboxylase(De Almeida et al.(1989)Mol.Gen.Genet.218:78−98),actin(McElroy et al.(1990)Plant J.2:163−171),histone,DnaJ(Baszczynski et al.(1997)Maydica 42:189−201)などが挙げられる。
【0183】
本開示の組成物および方法は、導入されるヌクレオチド配列を特定の染色体部位へ組み込むターゲティングに有用である。ヌクレオチド配列は任意の目的ヌクレオチド配列をコードすることができる。目的とする特定の遺伝子としては、宿主細胞および/または生物に容易に分析可能な機能的特徴を提供するもの、例えば、マーカー遺伝子や、受容細胞の表現型を変える他の遺伝子などが挙げられる。このように、本開示では、植物の生長、高さ、病気に対する感受性、昆虫、栄養価などに影響する遺伝子を使用することができる。ヌクレオチド配列はまた、遺伝子の発現を停止または改変させる「アンチセンス」配列をコードすることができる。
【0184】
ヌクレオチド配列は、機能性発現ユニットまたはカセットで使用できると認められる。機能性発現ユニットまたはカセットとは、機能性プロモーターおよび殆どの場合に終止領域を有する目的ヌクレオチド配列を意味する。本開示の実施の中で機能性発現ユニットを実現させるには各種の方法がある。本開示の一態様では、目的核酸は機能性発現ユニットとしてゲノムに導入または挿入される。
【0185】
あるいは、ヌクレオチド配列はゲノム内のプロモーター領域の3’末端側の部位へ挿入することができる。この後者の場合、プロモーター領域の3’末端側へのコード配列の挿入が、組み込み時に機能性発現ユニットを実現させるものである。植物における発現では、便宜のために、標的部位をコードする核酸および目的ヌクレオチド配列を含むトランスファーカセットを発現カセットに含ませることができる。発現カセットは、目的ペプチドをコードする核酸に作動可能に連結した転写開始領域、すなわちプロモーターを含むであろう。そのような発現カセットは、調節領域の転写調節下とする、目的遺伝子または遺伝子群を挿入するための複数の制限部位を備えている。
【0186】
転写開始領域、すなわちプロモーターは、宿主にネイティブ、すなわち同種であっても、外来、すなわち異種であってもよく、あるいは、天然配列または合成配列とすることができよう。外来とは、転写開始領域が導入される野生型宿主に、転写開始領域が存在しないことを意味する。目的のコード配列に関し、ネイティブプロモーターまたは異種プロモーターを使用することができる。
【0187】
転写カセットは、転写の5’−3’方向に、植物内で機能する、転写および翻訳開始領域、目的DNA配列、ならびに転写および翻訳終止領域を含み得る。終止領域は、転写開始領域と共にネイティブであっても、目的DNA配列と共にネイティブであっても、または他のソース由来であってもよい。使いやすい終止領域は、ジャガイモプロテイナーゼ阻害剤(PinII)遺伝子から、またはノパリンシンターゼ、オクトピンシンターゼおよびオパリンシンターゼ終止領域などの、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A.tumefaciens)のTi−プラスミドの配列から得ることができる。Guerineau et al.,(1991)Mol.Gen.Genet.262:141−144;Proudfoot(1991)Cell 64:671−674;Sanfacon et al.(1991)Genes Dev.5:141−149;Mogen et al.(1990)Plant Cell 2:1261−1272;Munroe et al.(1990)Gene 91:151−158;Ballas et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:7891−7903;Joshi et al.(1987)Nucleic Acid Res.15:9627−9639も参照されたい。
【0188】
発現カセットは、発現カセットコンストラクト中に5’末端リーダー配列をさらに含有することができる。そのようなリーダー配列は翻訳を促進するよう作用し得る。翻訳リーダーは当該技術分野で知られており、ピコルナウイルスリーダー、例えば、EMCVリーダー(脳心筋炎5’末端非コード領域)(Elroy−Stein,O.,Fuerst,T.R.,and Moss,B.(1989)PNAS USA,86:6126−6130);ポティウイルスリーダー、例えば、TEVリーダー(タバコ・エッチ・ウイルス(Tobacco Etch Virus))(Allison et al.(1986));MDMVリーダー(トウモロコシ萎縮モザイクウイルス)(Virology,154:9−20)、およびヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)(Macejak,D.G.,and P.Sarnow(1991)Nature,353:90−94);アルファルファモザイクウイルスの外皮タンパク質MARNAの非翻訳リーダー(AMV RNA 4)(Jobling,S.A.,and Gehrke,L.,(1987)Nature,325:622−625;タバコモザイクウイルスリーダー(TMV)(Gallie et al.(1989)Molecular Biology of RNA,pages 237−256,Gallie et al.(1987)Nucl.Acids Res.15:3257−3273);トウモロコシ退緑斑紋ウイルスリーダー(MCMV)(Lornmel、S.A.et al.(1991)Virology,81:382−385)が挙げられる。Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiology,84:965−968も参照されたい;そして内因性トウモロコシ5’末端非翻訳配列。翻訳を促進することで知られている他の方法、例えば、イントロンなども使用することができる。
【0189】
発現カセットは、形質転換植物に導入され発現する、1つ以上の遺伝子または核酸配列を含有することができる。したがって、各核酸配列は5’末端および3’末端の調節配列に作動可能に連結するであろう。あるいは、複数の発現カセットが提供され得る。
【実施例】
【0190】
実施例1:改善された特徴を有するvirプラスミド
一連の改良スーパーバイナリーベクターを調製した。本明細書に記載の配列番号(配列番号)を表23に示す。ベクターpPHP70298、pPHP71539およびpPHP79761は、プラスミドマップとして、それぞれ図2、3および4に示されており、それぞれ配列番号34、35、および36に記載の配列を有する(表23を参照)。比較のために、vir遺伝子プラスミドpSB1(Komari,T.,et al.,Plant Cell Rep.(1990),9:303−306)のプラスミドマップを図1に示す。pPHP70298(配列番号34)、pPHP71539(配列番号35)およびpPHP79761配列番号36)に対する改善の中には、大きく不安定な複製起点(RK2)に代えて、より小さく、より安定な複製起点pVS1を存在させたことがある。さらに、T−DNA導入の改善のために、オーバードライブ結合タンパク質をコードする、virC1〜2オペロンのフレームシフトが修復される。フレームシフトが、ジシストロニックなmRNA中の第2の遺伝子としてvirC1〜2の翻訳を減少させることは可能である。virD1およびvirD2を導入する(pPHP70298)か;完全なvirDオペロン(すなわち、virD1〜D5)をvirE1〜3およびvirG遺伝子と共に導入する(pPHP71539)か;または完全なvirDオペロン(すなわち、virD1〜D5)をvirE1〜3、virA、virG、およびvirJ遺伝子と共に導入する(pPHP71539)ことにより、ビルレンス遺伝子の機能もまた改善された。ベクターpPHP70298およびpPHP71539中のvir遺伝子の配置(図2および3を参照)は、pTiBo542親プラスミド(図4を参照)に存在しているときのように、連続した断片である。しかしながら、pPHP79761では、virAおよびvirJ遺伝子の配置は連続的に配置されているが(図4を参照)、これらの遺伝子は、pTiBo542親プラスミドでは連続的でない(図4を参照)。特に、pPHP79761中のvirAおよびvirJ遺伝子の配置は、反復配列および4つの潜在的コード配列が隣接する推定転移性DNA因子(IS292)を削除する(GenBank登録NC010929のCDS51〜54を参照)。これらのコンストラクトは、より多数のビルレンス遺伝子を有しているにもかかわらず、pSB1より小さい。
【0191】
pSB1と比較すると、必須でないDNAおよび反復因子は除かれている。例えば、ベクターpPHP70298、pPHP71539、およびpPHP79761は、pSB1に存在する16.2kb RK2複製起点に含まれる7.0kbpの短縮traおよびtrbオペロンまたは隣接する遺伝子を含まない(図1を参照)。ベクターpPHP70298、pPHP71539、およびpPHP79761で除かれた2つのさらなる配列がpSB1に見い出された(図1を参照):(a)32bpパリンドローム配列(配列番号61);および(b)146bp逆向き反復配列(配列番号62)。ベクター主鎖内のこれらの要素は、プラスミド全体の安定性を低下させると考えられており、したがって、本ベクターからそれらを除去することにより、プラスミド全体の安定性は増大するはずである。
【0192】
ベクターpPHP70298、pPHP71539、およびpPHP79761はまた、複製起点、ベータラクタマーゼをコードする配列および不安定な18bpポリ−G隣接ラムダCOS部位を含むpSB1中に存在する2.7kbpのpBR322断片を欠いている。代わりに、ベクターpPHP70298、pPHP71539、およびpPHP79761は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)における安定な保持を付与する、1.2kbpのColE1複製起点を使用する。
【0193】
選択マーカーは、プラスミドの安定性を高め、かつアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の増殖を速めるゲンタマイシンカセットである。pSB1中のテトラサイクリン耐性遺伝子tetARは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)C58株における遅い増殖もしくはプラスミドを含まないコロニー、またはテトラサイクリン耐性を有する変異アグロバクテリウム属(Agrobacterium)コロニーをもたらすことがしばしばである(C58、およびAGL0、AGL1などのその誘導体は、自然発生のtet耐性変異を高頻度で引き起こすことが報告されている;Luo,Z.K.and Farrand,S.K.(1999)J Bacteriol.181:618−626を参照)。ゲンタマイシンカセットとして、ゲンタマイシン耐性を付与するGmR合成aacC1(GenBankアクセッション番号DQ530421に基づく;配列番号1)を使用したが、これは、このプラスミドを有する組み換えアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株における増殖を遅らせることも、病原性を低下させることもない。
【0194】
簡単に言えば、これらのベクターを類似の方法で構築した。pPHP70298およびpPHP71539の構築に用いた方法の一例として、pPHP79761の構築を本明細書で説明する。ビルレンス遺伝子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミド、pTiBo542(NCBI Reference Sequence:NC_010929.1;図5を参照)から得た。当業者は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)Rプラスミドのvir遺伝子もまた、本明細書で開示したベクターに有用であることを理解できよう。
【0195】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株AGL1のゲノムDNA調製物からのvirA、virJおよびvirB1〜virE3のコード領域および調節領域を増幅するよう、PCRプライマーを設計した。PCRを促進するために、24kbのvirB1〜E3配列を5つに分割して増幅した。シームレスクローニング法を促進するために、断片/誘導体を、40bpのオーバーラッピング末端を有するよう設計した。図4に示すように、機能要素間に固有の制限酵素部位を含め、他の機能的に同等の要素との置換を促進させた。pTiBo542 NCBI Reference Sequence中でIS292の標識が付され、virAとvirJ遺伝子の間に存在する可動遺伝要素は、サイズおよび植物への導入の可能性を低減する目的でpPHP79761に含めなかった。細菌宿主にゲンタマイシン耐性を付与するために、隣接制限部位を用いてゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(GenBankアクセッション番号DQ530421に基づく)を合成した。エシェリキア・コリ(E.coli)中での安定な複製のために、pBR322(GenBankアクセッション番号J01749)の塩基対2348〜3247に対応するColE1の複製起点を含めた。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)中での安定な維持のために、pVS1の複製起点をコードする2.6kbの断片(Stanisich,V.J.Bacteriol.(1984)129:1227−1233を参照)を含めた(図6を参照)。
【0196】
実施例2:pPHP70298ヘルパーを使用したアグロバクテリウム属(Agrobacterium)によるトランスジェニックトウモロコシのイベント
2つの異なるトウモロコシの品種、PHR03およびPH184Cにおいて、本明細書で後述するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介による未成熟胚の形質転換を使用し、トウモロコシの形質転換のためのヘルパーベクターとして、ベクターpPHP70298を試験した。発現カセットZmUbi:PMI:PINIIおよびZmUbi:ZsYellow:PINII(pPHP45981;T−DNA;配列番号28)を含有するターナリーベクターを宿した、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404THY−を試験した。トウモロコシの形質転換に及ぼすこれらの2つのベクター、pSB1とpPHP70298の影響を比較するために、pSB1とPHP45981、およびpPHP70298とpPHP45981による比較実験を行った。2つのベクターの形質転換を、カルス形質転換頻度(カルスTx%)、T0植物形質転換頻度(T0 Tx%)、クオリティイベント頻度(QE)(目的遺伝子の全てが単一コピーであり、ベクターの主鎖DNAを有しないイベントのパーセントと定義される−QE%)、および使用可能なイベントの品質(UE))(感染した100個の胚当たり回収されたQEイベントの数と定義されるUE%)に関して評価した。最少でも600個の胚を用いて形質転換実験を行い、遺伝子型PHR03およびPH184Cの形質転換データをそれぞれ表2および3に要約する。表のデータは、ベクターpPHP70298が、試験したトウモロコシの両品種において、カルスおよびT0植物全体の形質転換頻度に有意な改善をもたらしたことを示している。
【0197】
【表3】
【0198】
【表4】
【0199】
固形培地におけるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の培養:5mLのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)感染培地(700培地;表21を参照)および5μLの100mM 3’−5’−ジメトキシ−4’−ヒドロキシアセトフェノン(アセトシリンゴン)を、フードの中で14mLのFalconチューブに加えた。チューブ内に、白金耳に約3杯のアグロバクテリウム属(Agrobacterium)を懸濁させ、その後、チューブをボルテックスして均質な懸濁液とした。1mLの懸濁液を分光光度計のチューブに移し、懸濁液のODを550nmで0.35に調節した。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の濃度は約0.5×10cfu/mLであった。最終のアグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を2mLの微量遠心機のチューブに分取し、各チューブに1mLの懸濁液を含有させた。その後、できるだけ速やかに懸濁液を使用した。
【0200】
アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の液体培地における培養:感染させる1日前に、125mlのフラスコに30μLのスペクチノマイシン(50mg/mL)および30μLのアセトシリンゴン(20mg/mL)を含む30mLの557A(表21を参照)を調製した。白金耳の半分量のアグロバクテリウム属(Agrobacterium)をフラスコ内に懸濁させ、200rpmの振盪機により28℃で終夜振盪した。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の培養物を5000rpmで10分間遠心分離した。上清を除去し、アセトシリンゴン溶液を含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の感染培地(700培地;表21を参照)を加えた。ボルテックスして細菌を再懸濁させ、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液のODを550nmで0.35に調節した。
【0201】
トウモロコシの形質転換:Tween20を1滴加えた20%(v/v)漂白剤(5.25%次亜塩素酸ソーダ)中で、トウモロコシ(トウモロコシ(Zea mays L.))の品種、PHR03またはPH184Cの穂表面を15〜20分間滅菌し、続いて滅菌水で3回洗浄した。穂から未成熟胚(IE)を単離し、アセトシリンゴン溶液を含む、2mlのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)感染培地(700培地;表21を参照)中に置いた。胚の最適サイズは、PHR03でそれぞれ1.5〜1.8mmであった。溶液を抜き取り、1mlのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を胚に加え、チューブを5〜10秒間ボルテックスした。微量遠心管をフード内で5分間静置させた。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の懸濁液と胚を、共培養培地(710I;表21を参照)に注いだ。滅菌したスパチュラで、チューブに残った胚をプレートに移した。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を抜き取り、胚を軸側を下にして培地上に置いた。Parafilm(商標)フィルム(耐湿性の柔軟なプラスチック、Bemis Company, Inc.,1 Neenah Center 4thfloor,PO Box 669,Neenah,WI 54957より入手可能)でプレートを密封し、1〜3日間の共培養のために暗所において21℃でインキュベートした。
【0202】
胚を、選択せずに、安静培地(605W;表21を参照)に移した。3〜7日後、マンノース(12.5g/L)または他の選択剤(G418、150mg/L)を補った、選択培地13152Tまたは13152Z(表21を参照)にそれらを移した。選択の第1ラウンドから3週間後から、3〜4週間隔で、選択剤を含む新しい13152Tまたは13152Z(表21を参照)に培養物を移した。形質転換されたなら、適切な選択剤を補った成熟培地(289Qまたは289M;表21を参照)に組織を移した。
【0203】
実施例3:トウモロコシの形質転換における、pPHP70298およびpPHP71539のプラスミドpSB1との比較
アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介未成熟胚形質転換を使用した、トウモロコシ遺伝子型PH184Cのトウモロコシ形質転換でのpPHP70298およびpPHP71539の効果を測定した。この研究では、植物体の選択のために、マーカー遺伝子、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(moPAT)に作動可能に連結した、少なくとも1つ以上の目的遺伝子(GOI)をT−DNA中に持つターナーリープロダクションベクターを使用した。形質転換データを表4に示すが、これらのデータは、pPHP70298およびpPHP71539を使用した、PH184CのカルスおよびT0の植物レベルにおける実験で、pSB1と比べて形質転換頻度が少なくとも1.5〜2倍高いことを示している。クオリティイベント(QE)頻度(目的遺伝子の全てが単一コピーであり、ベクターの主鎖DNAを有しないイベントのパーセントと定義される)は、3つのプラスミドpSB1、pPHP70298およびpPHP71539の間で有意な違いはないが、使用可能なイベント(UE)頻度(感染した胚100個当たり回収したQEイベントの数と定義される)は、3種の独立したプロダクションベクターのうち、pPHP70298およびpPHP71539の両者で高かった。3種のプロダクションベクターの平均形質転換頻度、QE%およびUEを表4に要約する。
【0204】
【表5】
【0205】
実施例4:pPHP71539による形質転換の改善
アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介未成熟胚形質転換により、トウモロコシの形質転換に対するpPHP71539の効果を、別のトウモロコシ品種PHR03でさらに試験した。この研究では、植物体の選択のために、マーカー遺伝子、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(moPAT)に作動可能に連結した、少なくとも1つ以上の目的遺伝子(GOI)をT−DNA中に持つプロダクションベクターを使用した。表5に示すように、pPHP71539は、クオリティイベント頻度に悪影響を及ぼさずに、形質転換頻度を顕著に改善し、pSB1と比べると、遺伝子型PHR03の使用可能イベントの回収を相当に高める結果となった。これらのデータは、複数の遺伝子型のトウモロコシの形質転換に対する、開示したプラスミドによる改善をさらに立証するものである。
【0206】
【表6】
【0207】
当業者は、ヘルパープラスミドpVIR10(配列番号36;表23を参照)を有するアグロバクテリウム属(Agrobacteria)菌が、複数のトウモロコシ近交系で、形質転換頻度、クオリティイベントおよび使用可能クオリティイベントの回収を有意に改善できることを認識するであろう。
【0208】
実施例5:植物における一過性DNA送達および遺伝子発現の改善
葉の外植体における一過性T−DNA送達について、アグロインフェクション法を用いてプラスミドpPHP71539を試験した。アグロインフェクションでは、若葉の外植体に、プロダクションカセット(すなわち、植物保護GOI)を持つアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株をバキュームインフィルトレーとさせ、その2〜3日後にタンパク質の測定のために葉を収穫した。タンパク質の測定は、複製試料を使用し、標準ELISAで2回繰り返して行った。トウモロコシの葉における一過性DNA送達に関するデータを表6に示す。pPHP71539をインフィルトレートさせた葉で測定したタンパク質の量は、pSB1を有する同じ遺伝子発現カセットをインフィルトレートさせた葉に見られるタンパク質の量より有意に多かった。このことは、pPHP71539がT−DNAの送達を促進させ、トウモロコシにおける一過性タンパク質の発現を高めることを示している。
【0209】
【表7】
【0210】
当業者は、ヘルパープラスミドpVIR7、pVIR9またはpVIR10を含むアグロバクテリウム属(Agrobacteria)菌が、複数のトウモロコシ近交系の異なる植物外植体で、一過性タンパク質の発現を大きく改善することを認識するであろう。
【0211】
実施例6:pPHP70298を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の使用によるソルガム形質転換の改善
他の単子葉植物の植物形質転換を改善するための、開示したベクターの機能の改善を示すために、ソルガムの変種TX430の未成熟胚を用いて、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介ソルガム形質転換の形質転換頻度を試験した。最初の実験では、発現カセットZmUbi:PMI:PINIIおよびZmUbi:ZsYellow:PINII(配列番号28)を含有するターナリーベクターpPHP45981を宿すアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404THY−を使用した。pPHP45981とpSB1、およびpPHP45981とpPHP70298を用いて平行実験を行い、カルスの形質転換頻度(カルスTx%)、T0植物形質転換頻度(T0 Tx%)、クオリティイベント頻度(QE%)および使用可能なイベントのクオリティ(UE)を測定した。最少でも300個の未成熟胚を用いた2つの独立した実験から得た形質転換データを表7に要約する。プラスミドpPHP45981およびpPHP70298を宿すLBA4404THY−株では、ソルガム形質転換のすべての段階で、カルス形質転換、T0植物形質転換、クオリティイベントおよび全体の使用可能クオリティイベントを含む能力が改善することが示された。少なくとも1種の形質スタック、およびpPHP71539を加えたPMI発現カセットを含有するコンストラクトを用いて、追加の試験を行った。pPHP71539を用いた平均形質転換頻度(表8)は、pSB1を含有するターナリーベクターで観察された通常の形質転換頻度(表7)より高かった。
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
当業者は、ヘルパープラスミドpVIR7(配列番号34)、pVIR9(配列番号35)またはpVIR10(配列番号36)を含むアグロバクテリウム属(Agrobacteria)菌が、異なるソルガム系統で、形質転換頻度、クオリティイベントおよび使用可能クオリティイベントの回収を有意に改善できることを認識するであろう。
【0215】
実施例7:pPHP71539の使用による部位特異的組込みの改善
米国特許第6,187,994号明細書および米国仮特許出願第62/296639号明細書(両者は参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように、トウモロコシの品種PHR03において作られた標的遺伝子座を持つ標的系統で、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介部位特異的組込み(「SSI」)に対するpPHP71539の評価を行った。標的イベントの同定およびSSIイベントの同定を容易にするために、プロモータートラップに作動可能に連結した標的部位を使用した。プロモータートラップ標的部位を含む系統を、pPHP64484 ZmProUbi−FRT1−NptII::PinII+ZmUbiPro::AmCyan::PinII−FRT87(配列番号29)を含むコンストラクトを用いた形質転換により作製した。プロモータートラップ選択マーカーに構成的プロモーター(ZmUbiPro;配列番号30)であって、ドナーと呼ばれるT−DNA内で、同一でないFRT組み換え部位のペア(例えば、FRT1/FRT87(配列番号32および33)が隣接するレポーター遺伝子(DsRed(配列番号31)を駆動する構成的プロモーターをプラスしてバイナリーベクターを作製した。SSIイベントの回収および使用可能なSSI頻度(正確なSSIイベント)に対するpPHP71539の影響を評価するために、バイナリーベクターをpPHP71539と共に、または単独でアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株AGL1へ可動させた。標的遺伝子(NptII)の切除、ドナー遺伝子の組込み(PMIおよびDsRED)、FLP遺伝子の不在(T−DNAのランダムな組込み)およびFRTのペア接合部(1/87)の存在を判定するために、qPCR/PCRアッセイを使用して、推定イベントの分子的キャラクタリゼーションを実施した。ベクターの主鎖を分析するために、多重PCRを行った。以下の基準を満たすものを正確なSSIイベント(使用可能なSSIイベント)としてキャラクタライズした:(1)ドナー遺伝子(PMIおよびDsRed)の単一無傷コピー;(2)標的遺伝子(NptII)、FLP、ODP/MoCreの不在;(3)FRT1およびFRT87両者の接合部の存在;ならびに、(4)ベクター主鎖の挿入の不在。表9に、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株AGL1中のコンストラクトpPHP71518を、ヘルパープラスミドpPHP71539と共にまたは単独で使用して得た、トウモロコシ品種PHR03の形質転換頻度および正確なSSI頻度を要約する。pPHP71539およびpPHP71518を含有するアグロ株では、pPHP71518を単独で含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株と比較して、推定SSIイベントの回収およびSSI T0の正確なイベントの回収にかなりの改善が認められた。
【0216】
【表10】
【0217】
当業者は、ヘルパープラスミド、pVIR7またはpVIR10を含むアグロバクテリウム属(Agrobacteria)菌が、複数トウモロコシ近交系で、T0形質転換頻度および正確なSSI頻度を有意に改善することを認識するであろう。
【0218】
実施例8:PVIRプラスミドの使用によるコムギの形質転換の改善(コムギの高効率形質転換および迅速なT0植物の生産
A.コムギの形質転換法
目的ベクターを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404 THY−のアリコートを−80℃で貯蔵容器から取り出し、選択剤スペクチノマイシンを含有する固体LB培地(12V)上にストリークした。12V上、21℃の暗所で、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を2〜3日間培養し、プレートから単一コロニーを選択し、選択剤を含有する810D培地にストリークし、その後、28℃の暗所で終夜インキュベートした。滅菌したスパチュラで2〜3のアグロバクテリウム属(Agrobacterium)コロニーを採取し、400μMのアセトシリンゴン(AS)を含む約5mLのコムギ感染培地(WI4)(WI4、表10を参照)に懸濁した。懸濁液の光学密度(600nm)を同じ培地を使用して約0.1〜0.7に調節した。
【0219】
未成熟の種子を含有する4〜5本の穂(1.4〜2.3mmの胚を有する)を採取し、未成熟の種子から未成熟胚を単離した。Tween20の1滴を加えた20%(v/v)漂白剤(5.25%次亜塩素酸ナトリウム)中で15分間、コムギの穀粒を表面殺菌し、続いて滅菌水中で2〜3回洗浄した。滅菌後、未成熟胚(IE)をコムギの穀粒から分離し、1.5mlのWI4培地中に置いた。未成熟胚を1mLのWI4培地を加えた0.25mLの滅菌砂を含有する2mLの微量遠心管に移し、その後、10,000RPMで30秒間遠心分離を行った。最初の遠心分離の後、「中」の設定で10秒間、微量遠心管をボルテックスし、再度10,000RPMで30秒間、2回目の遠心分離を行った。胚をこの懸濁液中で20分間放置した。
【0220】
次の工程で、WI4培地をデカンテーションし、1.0mlのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を加えることによって、未成熟胚の感染を開始させた。感染した胚を20分間放置した。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)およびIEの懸濁液をコムギ共培養培地#10(表11を参照)に注いだ。滅菌したスパチュラを使用し、軸側を下方の培地に向けて胚をプレートに注ぎ入れ、胚を確実に溶液に浸漬した。プレートをParafilm(登録商標)テープフィルム(耐湿性の柔軟なプラスチック、Bemis Company,Inc.,1 Neenah Center 4thfloor,PO Box 669,Neenah,WI 54957から入手可能)で密封し、3日間の共培養のために21℃の暗所でインキュベートした。表10〜15に、液体のコムギ感染培地(WI4)、コムギ共培養培地(WC#10)、1回目のDBC4培地、2回目のDBC6培地、再生MSA培地および再生MSB培地を記載する。
【0221】
【表11】
【0222】
【表12】
【0223】
【表13】
【0224】
【表14】
【0225】
【表15】
【0226】
【表16】
【0227】
B.コムギ胚の選択
選択せずに、DBC4緑色組織(表12を参照)(100mg/Lのセフォタキシムを含むGT培地(PhytoTechnology Lab.,Shawnee Mission,KS)誘導培地に、胚の軸が培地に接触するような向きにして未成熟胚を移す。薄暗い所にて、26〜28℃で2週間、この培地上で胚をインキュベートし、その後、100mg/Lのセフォタキシムを含有するDBC6培地(表13を参照)上にさらに2週間置く。この時点で、蛍光顕微鏡下に、蛍光タンパク質を発現する全ての組織を非形質転換組織から分離し、組織を増殖させるために100mg/Lのセフォタキシムを含有するDBC6 GT誘導培地(表13を参照)上に置く。
【0228】
C.小植物体の再生および温室への移動
蛍光組織をMSA再生培地(表14を参照)に移し、26〜28℃の明るい光の中で2〜4週間インキュベートする。この時点で、トランスジェニック小植物体の蛍光マーカー遺伝子の均一な発現、および健康な根に関して組織をチェックする。小植物体を温室内のポットの土壌に移す。
【0229】
D.スーパーバイナリープラスミドpPHP71539およびpPHP70298の、植物発現カセットを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌への導入は、コムギの一過性T−DNA送達を改善およびトランスジェニックT0イベント回収の改善をもたらした
【0230】
未成熟胚をコムギの品種HC0456Dから収穫し、以下の成分を有するT−DNAバイナリープラスミドを含有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404 THY−pPHP71539およびAGL1を感染させた− RB−UBI−ZMPRO:MO−PAT:PROTEIN LINKER:DS−RED:PINII−LB(配列番号68。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404 THY−は、比較的弱い株であり、弱い一過性T−DNA送達に終わることが以前に示され、コムギの形質転換には不十分な株であると他で報告されており、このため、研究には使われてこなかった。一過性T−DNA発現のために、この品種の20〜30個の胚を感染させ、感染後、7日目および15日目にDS−REDの発現を観察した。実験では、2種の異なるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株AGL1およびLBA4404Thy−pPHP71539を試験し、コムギの安定な形質転換(15DPI)に対するpVIR9の影響を特徴付けた(図7)。天然のAGL1株は、LBA4404THY−pPHP71539株と比べると、7DPIで数分の一の一過性DsRed発現を示し、15DPIでは、より少ないDsRed発現セクターを引き続き示し(図7)、感染胚中での安定なT−DNA発現を示した。
【0231】
別の実験では、pVIRヘルパープラスミドを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)は、コムギの複数の品種で、形質転換の安定性を改善し、かつT0イベントの回収を増加させた。この目的のために、異なる2品種のコムギ(FielderおよびHC0456D)で、pVIRヘルパーpPHP70298を含有するか、または含有しないアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株AGL1によるコムギの形質転換の比較実験を行った。2品種のコムギ(FielderおよびHC0456D)から未成熟胚を収穫し、T0植物の形質転換頻度を得るために、次の発現カセット;RB−UBI−ZMPRO:MO−PAT:PROTEIN LINKER:DS−RED:PINII−LB(配列番号68)を含有する2種の異なるバイナリープラスミド(AおよびB)を含有する、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)AGL1と、pPHP70298をプラスしたAGL1を感染させた。形質転換のデータを表16に要約する。
【0232】
【表17】
【0233】
pPHP70298をプラスしたAGL1で形質転換したコムギの未成熟胚は、カルス形質転換およびT0植物形質転換を含むコムギの形質転換のあらゆる段階で顕著な改善を示した。pVIR7プラスミドを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌によるT0植物形質転換頻度は、pVIR7ヘルパープラスミドを含まない野生型株のAGL1よりはるかに高いことが測定された。pVIR7、pVIR9またはpVIR10プラスミドを含有するオクロバクテリウム(Ochrobactrum)属は、米国仮特許出願第62/211267号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、植物の形質転換に成功裡に使用されてきた(データは示さず)。
【0234】
当業者は、ヘルパープラスミドpVIR9(配列番号35、表23を参照)またはpVIR10を含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌が、複数のトウモロコシ系統で、形質転換頻度、クオリティイベントおよび使用可能クオリティイベントの回収を有意に改善できることを認識するであろう。
【0235】
実施例9:PVIR9プラスミドはトウモロコシの形質転換を改善した
米国仮特許出願第62/248578号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように、トウモロコシの遺伝子型PH184Cを形質転換するターナリーベクターシステムを使用して、pVIR9プラスミドのトウモロコシ形質転換を試験した。スーパーバイナリープラスミドpPHP71539の、植物発現カセットを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌への導入は、トウモロコシの一過性T−DNA送達の改善、体細胞胚表現型およびトランスジェニックT0イベント回収の改善をもたらした。
【0236】
簡潔に述べれば、受粉から約11日後に、Pioneerトウモロコシ近交系PH184C)から未成熟胚(長さ2〜2.5mm)を収穫し、以下の組成を有するT−DNAプラスミド1)pPHP80561または2)pPHP80559を含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404 THY−を感染させた;pPHP80561− RB+LOX P−ZM−AXIG1 1XOP−WUS2::IN2−1 TERM+ZM−PLTP PRO::ZM−ODP2::OS−T28 TERM+PINII+GZ−W64A TERM+OLE PRO:MO−CRE EXON1:ST−LS1 INTRON2:MO−CRE EXON2−PINII TERM+SB−UBI PRO:SB−UBI INTRON1:UBI PRO:ZS−GREEN:OS−UBI TERM+LOXP+SB−ALS PRO::HRA::PINII TERM+LB(SEQ ID NO.69)およびpPHP80559− RB+LOX P−ZM−AXIG1 1XOP−WUS2::IN2−1 TERM+ZM−PLTP PRO::ZM−ODP2::OS−T28 TERM+PINII+GZ−W64A TERM+LTP2 PRO:MO−CRE EXON1:ST−LS1 INTRON2:MO−CRE EXON2−PINII TERM+SB−UBI PRO:SB−UBI INTRON1:UBI PRO:ZS−GREEN:OS−UBI TERM+LOXP+SB−ALS PRO::HRA::PINII TERM+LB(配列番号70)。これらのプラスミドを、2種の異なるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404THY−pSB1およびLBA4404THY−pVIR9(pPHP71539)へ可動させた。このプラスミドを含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌を、光学密度が0.5(520nmで)になるまで液体培地で培養し、未成熟胚(約600超の胚、スプリットイヤー法、3つの複製物)をこのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液中で5分間インキュベートした後、液体から取り出して710I固体培地上に置いた。24時間後、胚を605T培地(表21を参照)に移し、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を除去する選択を開始した。6日後、処理した未成熟胚の表面に多くの小さな体細胞胚が観察された。アグロ感染から7日後、胚を成熟培地(0.1mg/lイマザピル含有の289Q培地)に移し、イマダゾリノン系除草剤を使用して、トランスジェニック胚を選択した。成熟培地に14日間置いた後、成熟胚を発根培地(13158H培地;13158培地+25mg/lセフォタキシム)に移し、PCR分析用に葉片をサンプリングした。TX頻度、切除QE頻度およびUE頻度に関するデータを表17に示す。
【0237】
【表18】
【0238】
pPHP71539(pVIR9)プラスミドを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌で形質転換した未成熟胚は、pSB1プラスミドで形質転換したアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌と比べて、多数のT0植物を生み出し、かつより高頻度のT0形質転換をもたらした。ヘルパープラスミドpVIR9を含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌はまた、プラスミドpSB1を感染させた未成熟胚と比べて、有意により高頻度の使用可能クオリティイベントをもたらした。
【0239】
当業者は、pVIR9に代えてヘルパープラスミドpVIR7またはpVIR10を含むアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌が、トウモロコシの形質転換、クオリティイベントおよび使用可能なクオリティイベントを相当に改善できることを認識するであろう。
【0240】
実施例10:異なる複製起点を有する植物形質転換用PVIRプラスミド
複製起点の違いがトウモロコシの形質転換用ヘルパープラスミドに及ぼす影響を特徴付けるために、ターナリーベクターシステムを使用して、トウモロコシの遺伝子型HC69を形質転換した。上記実施例9に記載のようなトウモロコシの形質転換法(米国仮特許出願第62/248578号明細書、参照により全体が本明細書に組み込まれる)を使用して、異なる細菌性複製起点、すなわち、pVS1、pSaparDEおよびRK2parDE(表18)を含有する4種のpVIRプラスミドを試験した。トウモロコシ近交系(HC69)から未成熟胚を収穫し、以下のT−DNA組成を有するpPHP79066(配列番号71)と、異なる細菌性複製起点(「ori」)すなわち次のpVS1(pVIR10;pPHP79761)、pSaparDE(pVIR10;pPHP80399)、RK2parDE(pVIR10;pPHP80566)およびコントロール(pVIR9;pPHP71539)とを含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)(LBA4404THY−株)(表18に詳述)を感染させた。形質転換頻度を決定するために、スプリットイヤー法を使用して、各コンストラクトに対し、近交系HC69の150個の胚を形質転換した。すべてのコンストラクトが高頻度でトウモロコシを形質転換し、pVIRプラスミド中でこれらの異なるoriの組み合わせが機能することを示した。近交系HC69での形質転換データを表19に示す。
【0241】
【表19】
【0242】
【表20】
【0243】
異なるoriを有するpVIRプラスミドがトウモロコシを形質転換し、T0イベントを再生した。T0の形質転換頻度は、試験した全ての異なるoriで同等であった。
【0244】
実施例11:トウモロコシにおけるCRISPR/CAS9試薬の送達システムおよびPVIRプラスミドによる遺伝子変異の改善
CRIPSR/Cas9の送達および異なるヘルパープラスミドから回収される変異体の割合に対するヘルパープラスミドの影響を特徴付けるために、ターナリーベクターシステムを使用して、トウモロコシの遺伝子型PH2HTを形質転換した。ランダム形質転換プロトコールを使用して、標的遺伝子ZM−ARGOS8およびZM−GCN2における脱落欠失の発生に特異的な2種のガイドRNA(gRNA)配列をそれぞれ含む、2種の異なるコンストラクトpPHP78147(配列番号72)およびpPHP78148(配列番号73)を形質転換した。ガイドRNA配列および発現カセットの配列をそれぞれ配列番号72、および配列番号73に記載する。トウモロコシ近交系PH184Cから未成熟胚を収穫し、T−DNA発現カセットpPHP78147またはpPHP78148を含有する、ヘルパープラスミドpPSB1またはpVIR9を含有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)(LBA4404THY−株)を感染させた。形質転換頻度、変異の割合、単一脱落欠失および両アレルの脱落欠失割合を決定するために、スプリットイヤー法を使用して、各コンストラクトに対し、近交系PH2RTの約280個の胚を形質転換した。変異の割合を決定するために、T0植物のディープシーケンシング分析を行い、分子イベントクオリティは、前述したように、標的遺伝子についてPCRおよびqPCR分析を行うことによって決定した。形質転換データおよびPH2RTの各コンストラクトから得られる遺伝子編集の種類を表20に示す。
【0245】
【表21】
【0246】
新規pVIRスーパーバイナリーベクターから回収された形質転換頻度および変異の割合は、pSB1で観察されたものをはるかに上回った。形質転換頻度はgRNA配列および欠失の種類により変化した。より大きな脱落欠失が標的(619bp)とされたARGOS8では、観察された形質転換頻度は、pSB1での約61.8%と比較して、pVIR9では約80.3%であった。ARGOS8コンストラクトで回収された単一アレルの脱落頻度は、pSB1(2.3%)と比較してpVIR9(7.7%)でより高かった。ZM−GCN2(52bp)のより小さい脱落欠失を標的とする第2のコンストラクトで、ヘルパープラスミドpVIR9を含有するアルゴで形質転換した胚は、pSB1ヘルパーを含むアルゴから回収したイベントと比較して、T0イベントの発生および変異体イベント(単一アレルおよび両アレルの変異)の回収はより高かった(表20)。
【0247】
当業者は、ヘルパープラスミドpVIR7またはpVIR10を有するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)菌が、複数のトウモロコシ近交系で、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼまたは関連ヌクレアーゼの送達を促進し、ゲノムの編集およびゲノムの改変を改善できることを認識するであろう。
【0248】
実施例12:スーパーバイナリープラスミドを宿すアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404THY−における部位特異的組込み(SSI)イベントの回収の改善
正確なSSIイベントの回収に対するスーパーバイナリーベクター(pVIR9;pPHP71539)の効果を決定するために、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株LBA4404THY−中のpVIR9ヘルパープラスミドを可動化した。LBA4404THY−株では、正確なSSIイベントの回収が低いことが示されている(米国仮特許出願第62/296639号明細書、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。アグロ株LBA4404THY−中のpVIR9がSSIイベントの回収を改善するかどうかを試験するために、以下の発現カセットを有するドナーカセット、すなわちRB−OS−ACTIN PRO:OS−ACTIN INTRON::ZM−WUS2::PINII+UBI PRO::UBI1ZM INTRON::ZM−ODP2::PINII TERM::UBI PRO:UBI1ZM INTRON::MO−FLP::PINII TERM::CaMV35S TERM+FRT1:PMI::PINII TERM+TRAIT GENE+FRT87−LBを含有するバイナリーベクターを、2種の異なるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株AGL1およびLBA4404THY−pPHP71539へ可動させた(pPHP79366;配列番号74)。後述するように、アグロ媒介形質転換によりドナーカセットを、遺伝子型PH184CのFRT1−87ランディング部位を有する複数の標的部位に送達した。
【0249】
簡潔に言えば、FRT1〜FRT87ランディング部位を有する標的系統へのアグロ媒介形質転換を以下のように行った。Tween20を1滴加えた20%(v/v)漂白剤(5.25%次亜塩素酸ソーダ)中で、トウモロコシ(トウモロコシ(Zea mays L.))の品種、PH184Cの穂表面を15〜20分間滅菌し、続いて滅菌水で3回洗浄した。通常1.5〜1.8mmの未成熟胚(IE)を穂から単離し、アセトシリンゴン溶液を含む、2mlのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)感染培地中に置いた。溶液を抜き取り、1mlのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を胚に加え、5〜10秒間ボルテックスし、その後、室温で5分間インキュベートした。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)の懸濁液と胚を、710I共培養培地(表21を参照)に注いだ。滅菌したスパチュラで、チューブに残った胚をプレートに移した。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)懸濁液を抜き取り、胚は軸側を下にして培地上に置いた。Parafilm(商標)テープ(耐湿性の柔軟なプラスチック、Bemis Company, Inc.,1 Neenah Center 4thfloor,PO Box 669,Neenah,WI 54957より入手可能)でプレートを密封し、1〜3日間の共培養のために21℃の暗所でインキュベートした。
【0250】
胚を、選択せずに、安静培地13265A(表21を参照)に移した。3〜7日後、マンノースまたは他の適切な選択剤を補った、選択培地13152Z(表21を参照)にそれらを移した。選択の第1ラウンドから3週間後から、3〜4週間隔で、選択剤を含有する13152Z(表21を参照)に培養物を移した。形質転換されたなら、トランスジェニック緑色組織を選択し、基本的に米国特許第7102056号明細書、米国特許第8404930号明細書および米国特許出願公開第2013/0055472号明細書に記載されているように培養した。
【0251】
【表22】
【0252】
【表23】
【0253】
【表24】
【0254】
【表25】
【0255】
【表26】
【0256】
【表27】
【0257】
【表28】
【0258】
【表29】
【0259】
【表30】
【0260】
多重PCR法を使用してSSIイベントを同定し、ランダムなアグロバクテリウム属(Agrobacterium)のT−DNAの存在/不在を検出し、ベクター主鎖分析およびqPCRにより標的遺伝子の切除、FLPの挿入(ランダムT−DNAの組込み)およびFRTペア接合部(1/87)を決定した。データを表22に要約する。主鎖の挿入がない標的およびFLPを除き、無傷FRT接合部(1/87)を有するドナー遺伝子の単一コピーを選択することにより、正確なSSIイベントを同定した。LBA4404THY−株におけるヘルパープラスミド(pVIR9)の使用は、ヘルパープラスミドを含まないLBA4404THY−株を使用した標準的なSSI回収と比較して、この株からのSSIイベントの回収を改善した。ヘルパープラスミド(pVIR9)の非存在下では、2種のT−DNA発現カセット、すなわち、ZmUbiPro::FLP::PINII+FRT1−PMI::PINII+ZmUbiPro::DsRED::PINII−FRT87(pPHP60577;配列番号75)からなる第1のT−DNA、およびloxP−Rab17Pro::Cre+NosPro::WUS::PINII+ZmUbiPro::BBM::PINII−loxP(pPHP44542;配列番号76)から構成される第2のT−DNAを含むターナリーベクターを宿すLBA4404THY−株は、アグロSSIが困難な近交系PH184Cでの多重RTLで観察されるLBA4404THY−71539株でのSSI頻度(0.4〜0.5%)と比較すると、遺伝子型PHR03では非常に低いSSI頻度(0.1%)を与えるにとどまった(米国仮特許出願第62/296639号明細書、参照により全体を本明細書に組み込まれる)。
【0261】
【表31】
【0262】
当業者は、異なるアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株へのヘルパープラスミドpVIR7(配列番号34)またはpVIR10(配列番号36)の組込みが、複数のトウモロコシ近交系において、アグロ株の病原性を高め、SSI頻度を改善できることを認識するであろう。
【0263】
実施例13:異なる複製起点を有するドナーカセットおよび/またはヘルパープラスミドを使用したアルゴSSIの改善
アグロSSIを改善する他の方法は、プラスミドコピー数に違い(高、中間、低;例えば、RepABC、pRi、pVS1、RK2など)がある、異なる細菌性複製起点(Ori)を有するドナーカセットを構築し、植物細胞に送達されるドナーDNA分子の量の設定(高〜低)を可能にすることである。あるいは、異なるOriを宿すドナーカセットは、他のさらなるビルレンス遺伝子を有するヘルパープラスミドと組み合わせることができる。これらのプラスミドは、そのコピー数に違いがある、異なる細菌性複製起点(RepABC、pRi、pVS1、RK2)を有していてもよい。この方法は、SSIのイベントおよび回収を改善し得る。
【0264】
実施例14:配列番号(配列番号)
【0265】
【表32】
【0266】
【表33】
【0267】
【表34】
【0268】
【表35】
【0269】
【表36】
【0270】
本明細書では、単数形「a」、「an」および「the」は別途文脈が明確に指示しない限り複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、そのような細胞を複数種含み、「タンパク質」への言及は、1つ以上のタンパク質および当業者に知られたその同等物などを含む。別途明確な指示がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。
【0271】
本明細書で言及した全ての特許、刊行物および特許出願は、本開示が属する技術分野の当業者の水準を示すものである。全ての特許、刊行物および特許出願は、あたかも個々の特許、刊行物または特許出願が、明確にかつ個々に参照により全体的に組み込まれるよう指示されているのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0272】
以上の開示は、理解を明確にする目的で、図面および実施例を使ってある程度の詳しく説明してきたが、添付の請求項の範囲内で一定の変更および修正を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]