(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然由来のカチオン性ポリマーが、グアーガム、セルロース、タンパク質、ポリペプチド、キトサン、ラノリン、またはデンプンの少なくとも1種のカチオン性に電荷修飾された誘導体を含む、請求項3に記載の組成物。
合成のカチオン性ポリマーが、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ジステアリルジモニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、及びグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、または任意のその2種以上の組合せを含む、請求項3に記載の組成物。
フィルム形成物質が、シリコーン、アクリレーツポリマー(acrylates polymer)、アクリレーツコポリマー(acrylates copolymer)、ポリビニルピロリドン(PVP)誘導体、ポリウレタン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、イソ酪酸酢酸スクロース(sucrose acetate isobutyrate)、または任意のその2種以上の組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
フィルム形成物質が、ジメチコンおよびトリメチルシロキシケイ酸;ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、およびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン;またはポリウレタンを含む、請求項7に記載の組成物。
カプセル化された微粒子が、上記第二コーティングの下に少なくとも1つの追加コーティングを受け、該追加コーティングがカチオン性物質、アニオン性物質、またはその両方を含み、カプセル化された微粒子が0.1 mV〜400 mVの範囲のカチオン電荷を保持する、請求項1に記載の組成物。
セルロース系物質が、セルロース(および)ステアリン酸マグネシウム、綿、リネン、レーヨン、または任意のその2種以上の組合せを含む、請求項11に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
粒子の表面上でのコーティングの使用は、パーソナルケア業界において40年以上前から知られている。このようなコーティングは、錠剤が完全かつ均一にコーティング物質で被覆されるように、錠剤をカプセル化するために幅広く使用されている。被覆された錠剤の利点は、コーティングが分解する際に、物質を環境から吸収する能力;または物質、例えばコーティングの基材(matrix)中に配置された活性物質などを環境中に放出する能力を含む。コーティングが、ゼオライトの場合のように、多孔性を有しうる場合、このようなコーティングは、物質をコーティングの基材中に吸収する、またはコーティングの基材から放出するための除去を必要としない。このような場合、適切に調整された細孔特性を用いることによって、非常に高い選択性が獲得されうる。
【0007】
顔料の表面処理はまた、それらを化粧品処方に組み込む能力を改善するためにも使用されている。例えば、様々な種類のシリコーンによって被覆された顔料が市販されており、化粧品顔料として処方中に使用される際、コーティングは、疎水性処方中への顔料の組み込みを容易にするが、一方、未処理の顔料は通常分散されにくいままであろう。他の顔料は、それらの付着力を改善すると同時に適用時に膜を形成するフルオロカーボンポリマーによって被覆されうる。さらに他の顔料は、タンパク質、例えばコラーゲンなどの天然のポリマーによって被覆されうる。これらの種類のコーティングは、防水性を示さないが、天然のタンパク質は、化粧品処方の親水相への顔料の分散しやすさを向上させ、処方中にカチオン電荷を導入するために使用されうる。親水相の中に導入された、タンパク質で被覆された顔料は、乾燥時により良好な結合を示すが、このような被覆された顔料は、皮膚に十分に付着することが示されなかった。加えて、分散されたタンパク質は、製造の間にこのような処方から分離する傾向がある。
【0008】
カプセル化コーティングのために一般的に用いられる物質は、シリコーンポリマーである。微粒子をシリコーンで被覆することによって微粒子の角質物質への付着を改善するように、多くの取り組みがなされている。シリコーンポリマーは、2つの有利な特性、すなわち生体適合性ならびに気体および小分子に対する透過性を有するため、幅広く使用されている。化粧品に使用するための利点は、防水性または耐水性、感触、および輝きに対するそれらの寄与を含み、それらはまた、基本処方(base formulation)のほとんどの油相に適合する。とは言え、微粒子のコーティングのためのシリコーンの使用は、過剰な輝きならびに水および水溶性成分との不適合性を含む欠点を有する。
【0009】
それにもかかわらず、本発明より前に、角質物質に適用するための化粧品組成物中に調製するために、微粒子を陽イオン性に帯電した物質で被覆することは知られていなかった。本発明の乾燥した、処理された微粒子は、未処理の微粒子と比較して、負に帯電したまつげ、まゆげおよび毛髪に対してより大きな付着力を示す。乾燥した、処理された微粒子はまた、ボリュームアップマスカラ、まゆげ充填剤および毛髪充填剤処方中に組み込まれ、このような処方に、負に帯電したまつげ、まゆげおよび毛髪への優れた付着力を提供しうる。
【0010】
角質物質は、約-24 mVのアニオン電荷を有している。本発明に従って処理された微粒子、例えば、繊維の表面は、通常、約0.1 mV〜約400 mVの範囲の正味のカチオン電荷を有し、それらの角質物質への付着を促進するであろう。約400 mVより大きな正味カチオン電荷は、乾燥した、処理された微粒子を付けたブラシを、乾燥した、処理された微粒子を入れている容器から引き抜く際に、(繊維間の反発力のため)繊維の著しい飛散を引き起こすことが予想される。基本処方中に組み込まれた場合、約400 mVより大きな正味カチオン電荷を有する処理された微粒子は、粘着性であり、容器内で凝集する傾向を有するであろう。約0.1 mVより小さい正味カチオン電荷を有する微粒子は、微粒子が乾燥状態で使用されても、基本処方中に組み込まれても、まつげ、まゆげおよび/または毛髪に十分に付着することが見込まれないであろう。
【0011】
本発明の組成物および方法では、乾燥した、処理された微粒子は、ゼータ電位として測定して、約0.1 mV〜約400 mVの範囲、例えば約24 mV〜約200 mVなどの、例えば約60 mV〜約150 mVの範囲の正味カチオン電荷を有する。
【0012】
カチオン電荷は、陽イオン性に帯電した物質を含有している少なくとも1つのコーティングを用いて、微粒子に与えられる。本発明のいくつかの実施形態では、コーティングは、媒体の蒸発および微粒子の乾燥を容易にするために、水性媒体、好ましくは、水およびアルコール媒体に分散された天然または合成のカチオン化合物を含有する。このような化合物の1つのクラスは、カチオン性に電荷修飾されたポリマーを含み、カチオン基が角質物質のようなアニオン性基質に対するポリマーの持続性を向上させる。天然のカチオン性に電荷修飾されたポリマーは、グアーガム、セルロース、タンパク質、ポリペプチド、キトサン、ラノリン、およびデンプンならびにそれらの組合せなどの、様々な動物および植物源に由来しうる。合成化合物は、第4級アンモニウム官能基を有するもの、例えば、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46などのカチオン性ポリマー、ジステアリルジモニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、およびグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩、ならびに任意の2種以上の陽イオン性に帯電した物質の組合せを含む。ポリクオタニウム-6を含有しているカチオン性コーティングは、その電荷密度において特に好ましい。本発明において有用な陽イオン性に帯電したコーティングのさらなる例は、粉末状の鉄(FeO)である。
【0013】
陽イオン性に帯電したコーティングによって被覆された微粒子は、必ずしも必要ではないが任意選択で、フィルム形成仕上げ剤によってさらにカプセル化されてもよい。フィルム形成剤は、陽イオン性に帯電した物質の微粒子表面への付着に役立ち、加えて微粒子表面に疎水性を与えるように設定され得る。フィルム形成剤が微粒子の陽イオン性に帯電した表面に結合するのを妨げないように、陽イオン性に帯電したコーティングは一般的に、それらの電荷密度を制限する乾燥後に、約0.01〜5.00重量パーセントの量の水を含む。
【0014】
フィルム形成剤コーティングは、好ましくは、約75γ未満、好ましくは約20γ〜約65γの範囲の表面張力を有する少なくとも1つの水溶性または水分散性ポリマーを含む。ポリマーは、好ましくは、乾燥時に優れた耐水性、付着力および柔軟性を示す。カチオンで被覆された微粒子のカプセル化に有用なフィルム形成ポリマーは、親水性でも疎水性でもよいが、乾燥時には疎水性である。適切なポリマーの例としては、限定するものではないが、例えばメチルトリメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、およびジメチコン、ジメチコンおよびトリメチルシロキシケイ酸などのシリコーン;例えばSyntran PC 5775、Syntran PC 5776、Avalure AC-120、Daitosol 5000AD、Daitosol 5000SJなどのアクリレーツポリマーおよびコポリマー;Daitosol U9-40、Vinylsol 214oL Vinylsol 1086 WP;例えばPVP K-30、PVP/VA E-635、PVP/VA W-735などのポリビニルピロリドン(PVP)誘導体;例えばLuviset P.U.R.、Giovarez P-0580、およびBaycusan C 1004などのポリウレタン;ポリビニルアミンならびにポリ酢酸ビニルが挙げられる。非ポリマー性のフィルム形成仕上げ剤としては、限定するものではないが、イソ酪酸酢酸スクロース(sucrose acetate isobutyrate)などのエステルが挙げられ、それは単独、または上記の任意のポリマーと組み合わせて使用されうる。
【0015】
本発明の1つの好ましい実施形態では、フィルム形成剤コーティングは、シリコーンポリマー混合物である。フィルム形成剤溶液は、例えば、トリシロキサン中にジメチコンおよびトリメチルシロキシケイ酸を含みうる。乾燥した際、このコーティングは微粒子との大きな接触角を生じ、処理された微粒子を油中水系およびシリコーン中水系に特に適合性にする。別の好ましい実施形態では、フィルム形成剤溶液は、トリシロキサン中にジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸およびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコンを含む。乾燥した際、このフィルム形成剤は、微粒子とのより小さい接触角を生じる。それは親水性(すなわち、ポリグリセリン)側鎖を有し、水中油系および水中シリコーン系中での処理された微粒子の適合性を向上させる。
【0016】
使用されるフィルム形成剤の量は、陽イオン性に帯電した微粒子をカプセル化してそれらを疎水性にするのに十分な量でなくてはならないが、カチオン電荷のレベルを本発明に有用な値より低く減少させるレベルにまで微粒子の正味カチオン電荷を減少させるほど多くてはならない。処理された繊維または処理された繊維を含有する処方がまつげに使用される場合、目の周りの皮膚の油分が繊維上のカチオン性物質を溶解するおそれがあるため、陽イオン性に帯電した繊維をフィルム形成剤中にカプセル化することが好ましい。溶解したカチオン性物質は、目に接触し、目を刺激しうる。フィルム形成剤でのカプセル化は、繊維または繊維を含有する処方がまゆげまたは毛髪に使用される場合、必要ではない。
【0017】
最後のフィルム形成剤仕上げの前に、追加コーティングが微粒子上に沈着されうる。このような追加コーティングは液体でも固体でもよく、アニオン性物質、カチオン性物質、または両方を沈着してもよい。本発明の一部の実施形態では、追加コーティングは、タンパク質、ペプチド、またはそれらの組合せを含む。最初の陽イオン性に帯電したコーティングで被覆された微粒子の高いカチオン電荷と拮抗するために、介在アニオン性コーティングを使用しうる。正味カチオン電荷はまた、フィルム形成剤コーティングによって修正されてもよい。より厚いフィルム形成剤コーティングもまた、高いカチオン電荷を減少させるために使用されうる。被覆された微粒子は、しかし、負に帯電した角質物質に十分に付着するように、約0.1〜約400 mVの最終的な正味電荷を有する。天然の介在コーティングの一例は、0.1 重量%ブドウ種子エキスを含有する含水溶液である。コーティングは、乾燥した際、カチオン電荷を有する。
【0018】
任意のコーティング組成物は、相溶性のある活性物質、例えばコンディショニング成分および/または若返り成分(rejuvenating ingredients)などを含有しうる。コンディショニング成分の効果としては、輝きだけでなく柔軟性および水分の追加が挙げられ、例えば、マスカラに含まれる場合、まつげを柔軟に保ち、乾燥しにくく、折れ(break)にくくするのを助ける。まつげがコンディショニングされると、表面がより滑らかであるため、マスカラ中のコンディショニング成分はより均一なマスカラの塗布に寄与する。より滑らかな表面は、マスカラ中の顔料がより均一にまつげに付着するのを助ける。これらのコンディショニング剤のいくつかは、まつげの際に沿って毛に浸透し、それらをより柔らかくさせる保湿剤でありうる。湿潤剤などの他の物質は、水分をまつげ中に引き寄せうる。さらに他の物質、例えば、タンパク質またはペプチドは、毛束を作る繊維を強化することによって、まつげをより強くすると言われている。さらに、これらのタンパク質および/またはペプチドは、まつげを太くするのに役立ち、これは細くまばらなまつげを有する人にとって特に有益である。
【0019】
まつげの健康を促進するための微粒子コーティングに有用なコンディショニング剤および/または若返り剤(rejuvenating agents)の例としては、限定するものではないが、アルガン油、ティートリー油、ホホバ種子油、アボカド油、およびゴマ油などの油;ジメチコン、ソルビトール、グリセリン、ポリイソブテン、ハチミツ派生物、およびヒアルロン酸ナトリウム(sodium hylauronate)などの湿潤剤、保湿剤および/または潤滑剤;パンテノール、デクスパンテノール(dexapanthanol)、パンテチン、ラウロイルリシン、加水分解ケラチン、および加水分解小麦タンパク質などのビタミンB
5誘導体が挙げられうる。
【0020】
未処理の微粒子に含まれる、または未処理の微粒子と関連している顔料、例えば酸化鉄に加えて、顔料はまた、色を強め、ボリュームを高めるために、任意のコーティング、すなわち、最初のカチオン性コーティング、フィルム形成仕上げ剤、または任意の介在コーティング中にも捕捉されうる。
【0021】
本発明の組成物および方法では、本発明による処理に適した繊維または粉末などの微粒子は、天然由来、半合成および/または合成の様々な材料で作製されうる。天然由来の微粒子としては、例えば、限定するものではないが、セルロース(および)ステアリン酸マグネシウム、綿、リネンなどの、セルロース、ならびにセルロース系物質が挙げられうる。ポリ乳酸、トウモロコシデンプン、タピオカまたはサトウキビに由来する熱可塑性脂肪族ポリエステルもまた有用である。人造再生セルロース繊維であるレーヨンなどの半合成物質もまた、本発明に使用するための微粒子材料として適切であろう。合成粒子としては、限定するものではないが、ナイロンまたはポリプロピレンから製造されるものが挙げられうる。合成微粒子は、マスカラならびにまゆげおよび毛髪の充填剤製品にボリュームと長さを与えるために特に有用であると言われている。合成微粒子は、カーボンブラックまたは酸化鉄などの顔料を含有することによって、それらが組み込まれた製品の全体的な色彩効果を向上させうる。
【0022】
本発明の実施に有用な繊維は、約1マイクロメートル〜約4ミリメートルの長さ、および約3〜約20デニールの重さを有しうる。好ましくは、繊維は、約1ミリメートル〜約4ミリメートルの長さであり、約3〜約15デニールを有する。本発明の特定の好ましい実施形態では、繊維は、約1ミリメートル〜約2ミリメートルの長さ、および約5〜約10デニールを有する。繊維は、任意の断面形状、例えば、円形、楕円形、三角形、六角形、ハート型、星型などをとりうる。
【0023】
1つの特に好ましい合成繊維は、ナイロン-6(および)酸化鉄(および)トリエトキシカプリリルシラン(および)シリカから構成され、NFBL-10D-1R-1MMとしてKobo Products, Inc.から入手可能である。これらの繊維は、黒く、円形の断面、約1ミリメートルの長さ、および約10デニールを有する。別の好ましい合成繊維は、Kobo Products, Inc.からのSPLASH Fiber II 7T-1MMであり、ナイロン-6(および)シリカ(および)酸化鉄から構成される。これらの繊維は、7デシテックスの幅(約6.3デニール)、1ミリメートルの長さを有し、炭黒色であり、結果として「花」の形の断面になる六角形の断面を有する。それらの形によるこれらの繊維のより大きな表面積はまた、特にまばらなまつげの間を埋めることによって、円形から楕円形の断面を有する典型的な繊維よりも、マスカラが塗布されたまつげに対してより大きなボリュームアップ効果を提供すると言われている。FDA認証カーボンブラック、10デニール、1mm円形ナイロンファイバー(Daito Kasei Kogyo Co. Ltd.から入手可能なnylon-6 NFCB-10D-1R-1mm)もまた有用である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、微粒子は、薄片形または板状のセルロース製品の形態をとりうる微粉末の形態であり、その薄片は約1〜2マイクロメートルの厚さおよび約8.8マイクロメートルの幅を有する。このような粉末はKobo Products, Inc.からsilk cotton PW繊維として入手可能である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、様々な断面形状、長さおよびデニールを有する繊維が、粉末微粒子の有無にかかわらず、本発明の組成物中に混合されることによって、望ましい効果;すなわち、角質物質に適用した際のボリュームおよび/または長さの増大に特化した処方を実現しうる。
【0026】
本発明では、粒子を被覆する方法は、少なくとも1つの陽イオン性に帯電した物質、例えばカチオン性ポリマーで粒子をカプセル化すること、任意選択でその後、水溶性ポリマーのフィルム仕上げコーティングで被覆することによって、粒子表面に陽イオン性に帯電したコーティングをさらに密封することを含む。本発明の一部の実施形態では、微粒子は、カチオン性物質もしくはアニオン性物質またはその組合せの1以上のさらなるコーティングによって被覆され、最終的な乾燥微粒子の正味カチオン電荷は、約0.1 mV〜約400 mVの範囲内に入る。当業者は、処理された微粒子が約0.1 mV〜約400 mVの範囲の正味のカチオン電荷を保持するかぎり、微粒子を被覆する任意の方法が使用されうることを認識するであろう。
【0027】
粒子、例えば繊維を被覆またはカプセル化する1つの既知の方法は、スプレーコーティングである。ボルテックスのように作動する反応器またはマイクロフルイダイザー内に、繊維を導入する。フルイダイザーのチャンバー内に底から空気を送り込み、繊維を飛び回らせる。空気流量(すなわち、フラップ(flap))を制御して、重さの軽い繊維がフルイダイザーのフィルターに目詰まりするのを防ぐ。その後、陽イオン性に帯電した物質を含有するスプレー処方の溶液、分散液、または含水エマルジョンをマイクロフルイダイザー内に導入し、循環している繊維を陽イオン性に帯電した溶液で被覆する。マイクロフルイダイザーの様々な部位に位置する1つ以上のノズルによってスプレー組成物を噴霧する。一般的に、各噴霧操作について、使用される圧力は、約1.5〜約3.5 barの範囲、例えば約2.5 barであり、ポンプ速度はスプレー処方の粘性によって変わる。ポンプ速度は、例えば、約2.5〜約30 rpmの範囲、例えば約5〜約10 rpmなどでありうる。この種の工程の一例として、被覆されるべき繊維または粉末微粒子などの粒子は、ガス流によって撹拌され、それはまた、それらの乾燥(すなわち、有機溶媒および/または水の蒸発)を確実にする。この方法は、連続的なコーティングを含んでもよいが、スプレー処方による繊維の少なくとも1回のコーティングと、それに続く、有機溶媒および/または水を蒸発させるための少なくとも1回の乾燥操作を含む。
【0028】
陽イオン性に帯電した物質は、表面に水酸基を有する天然由来の微粒子、例えば、セルロース性微粒子の表面に共有結合する。一方、陽イオン性に帯電した物質は、合成微粒子に結合しないが、それを被覆する。
【0029】
任意選択で、フルイダイザーチャンバー内に空気が注入される間に、フィルム形成剤を含有する1つ以上の追加のスプレー処方、例えば、溶液、分散液、またはエマルジョンをフルイダイザー内に導入し、陽イオン性に帯電した繊維をフィルム形成剤仕上げ物質で更に被覆することができる。2回被覆された繊維は、その後再度乾燥される。フィルム形成仕上げ剤は、処理された繊維に疎水性を与える。表面水酸基を有する天然由来の微粒子が用いられる場合、陽イオン性に帯電した微粒子が、微粒子を疎水性にするフィルム形成剤コーティングを受けることは特に有用である。
【0030】
任意選択で、微粒子の最終的な正味電荷が陽イオン性であり、約0.1 mV〜約400 mVの範囲であるかぎり、カチオン性物質および/またはアニオン性物質を含有する1つ以上の追加コーティングが、フィルム形成剤によるコーティングの前に、微粒子上に噴霧されうる。各噴霧ステップの後、フィルム形成物質による最終コーティングの前に、乾燥ステップを行う。結果として生じる微粒子は疎水性である。
【0031】
共焦点顕微鏡法を用いて、本発明者らは、スプレーコーティング操作の実施に有用な微粒子の重量に対するコーティング物質の重量の範囲を測定した。0.1:1、0.25:1、2.25:1、3.75:1、7.25:1、10:1、15:1および30:1などの、様々な範囲を試験した。角質物質への直接適用を目的とする乾燥した、処理された微粒子として使用するために、スプレーコーティング操作における微粒子の重量に対する帯電したコーティング物質を含有する溶液、分散液、またはエマルジョンの重量の有用な範囲は、約0.1:1〜約2:1の範囲、例えば約0.25:1であることが観察された。約0.1:1未満の比率は、このようなより低い量は微粒子を十分にカプセル化しない(すなわち、カチオン電荷が低すぎて有用ではない)ため、望ましくないと考えられる。約2:1より高い比率の使用もまた、帯電したコーティング物質を含有する溶液、分散液またエマルジョンのさらなる層が、互いに反発し始める強い電荷のために微粒子の飛散を引き起こすので、望ましくないと考えられる。乾燥した、処理された微粒子が、マスカラ組成物のような化粧品基本処方中に組み込まれる場合、微粒子の重量に対する帯電したコーティング物質を含有する溶液、分散液、またはエマルジョンの重量のより幅広い有用な範囲が観察され;その範囲は、約0.1:1〜約5:1、例えば約0.25:1であった。陽イオン性に帯電した微粒子に対するフィルム形成剤を含有する溶液、分散液、またはエマルジョンの重量の有用な範囲は、約0.1:1〜約30:1、例えば約3.75:1である。より少量のフィルム形成剤は、乾燥した、十分に被覆された陽イオン性に帯電した微粒子を生じないことが予想される。より多量のフィルム形成剤は、粘性があり過ぎて、マイクロフルイダイザーの噴霧装置の目詰まりなどの、加工上の問題を生じうる。乾燥した、処理された微粒子が、マスカラ組成物のような化粧品基本処方中に組み込まれる場合、フィルム形成物質を含有する溶液、分散液、またはエマルジョンの重量のより幅広い有用な範囲が観察され;その範囲は、約0.1:1〜約60:1、例えば約0.1:1〜約30:1など、例えば、約3.75:1であった。より少量のフィルム形成剤は、微粒子表面上の先の被膜を密封し、微粒子に耐水性を与えるための十分なコーティングを提供しないことが予想される。より多量のフィルム形成剤は、非常に粘着性の微粒子を生じ、基本処方中で凝集することが予想される。
【0032】
本発明の乾燥した、処理された粒子は、例えば成形されたまたはねじれたワイヤーのブラシなどの任意の種類のアプリケーターが付いたキャップを含む容器中で提供されてもよく、これは、容器から引き抜いて製品をつけるのに適しており、まつげ、まゆげまたは毛髪などの角質表面に粒子を沈着させるのに適しているだろう。乾燥した、処理された粒子は、少なくとも1つのカチオン性コーティングによって、またはカチオン性コーティングとフィルム形成剤コーティングとの両方によって、または少なくとも1つのカチオン性コーティング、1つ以上の追加のアニオン性コーティング、および最後のフィルム形成仕上げ剤によってカプセル化されうる。フィルム形成剤によってカプセル化された陽イオン性に帯電した繊維は耐水性である。
【0033】
上述のような乾燥した、処理された微粒子、および適切なビヒクルを含有している本発明の組成物もまた、乾燥した、処理された粒子自体のための上述の容器中で提供されうる。組成物中に処方されうる任意選択成分としては、限定するものではないが、ゲル化剤、フィルム形成剤、顔料、保湿剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、保存剤、安定剤、金属イオン封鎖剤などが挙げられうる。
【0034】
本発明の処理された微粒子を含有する組成物は、従来のマスカラの基本処方成分を組み込むマスカラの形態を取りうる。水性、単一油相(single oil phase)、油中水型または水中油型エマルジョン、およびエマルジョンの油相に分散された微粒子を含む3つ以上の相を有するエマルジョンなど、任意の種類のマスカラ処方が適切であろう。
【0035】
本発明に従って調製された、乾燥した、処理された微粒子は、処方の総重量の約0.1〜約4パーセントの量で化粧品処方中に存在しうる。好ましくは、乾燥した、処理された微粒子は、処方の総重量の約0.4〜約4パーセント、例えば約2〜約4パーセントの量で存在する。処方の総重量の約4パーセントより多い微粒子は、装置の目詰まりなどの加工上の問題、および帯電した微粒子の凝集による化粧品製剤中での不均一な分散をも生じることが予想されうる。
【0036】
組成物が水溶液、分散液またはエマルジョンの形態である場合には、水に加えて、水相は、1種以上の水相構造化剤、すなわち、組成物の水相の粘度を増加させるか、または水相を粘稠化する薬剤を含有することができる。これは、組成物がセラムまたはジェルの形態である場合には特に望ましい。水相構造化剤は、光学活性化型システムと適合性であり、また製剤中の他の成分とも適合性であるべきである。存在する場合に、水相構造化剤の好適な範囲は、組成物の総重量に基づいて、約0.01〜30%、好ましくは約0.1〜20%、より好ましくは約0.5〜15%である。そのような薬剤の例としては、種々のアクリレート系増粘剤、天然または合成ガム、多糖、および限定するものではないが、以下に説明されるものなどが挙げられる。光学活性化型システムは水溶性形態であり、水相増粘剤は、組成物中のこの成分の安定化にも寄与する。
【0037】
多糖は、好適な水相増粘剤であり得る。そのような多糖の例としては、寒天、アガロース、アルカリゲネス産生多糖体(alicaligenes polysaccharides)、アルギン、アルギン酸、アラビアガム、アミロペクチン、キチン、デキストラン、アカシアガム、セルロースガム、ゼラチン、ゲランガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ペクチン、菌核ガム、キサンタンガム、ペクチン、トレハロース、ゼラチンなどの天然由来材料が挙げられる。
【0038】
様々なタイプの合成ポリマー性増粘剤もまた好適である。1つのタイプは、モノマーAおよびB(Aはアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群より選択され;BはC
1-22アルキルアクリレート、C
1-22アルキルメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群より選択される)から構成されるアクリル酸ポリマー性増粘剤を含む。一実施形態では、Aモノマーはアクリル酸またはメタクリル酸のうちの1種以上を含み、BモノマーはC
1-10、最も好ましくはC
1-4アルキルアクリレート、C
1-10、最も好ましくはC
1-4アルキルメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、Bモノマーは、メチルアクリレートもしくはエチルアクリレートまたはメチルメタクリレートもしくはエチルメタクリレートのうちの1種以上である。アクリル酸コポリマーは、ポリマーの重量に基づいて約10〜60%、好ましくは20〜50%、より好ましくは25〜45%の範囲の固体含量を残余の水と共に有する水溶液として供給することができる。アクリル酸コポリマーの組成物は、約0.1〜99部のAモノマー、および約0.1〜99部のBモノマーを含有することができる。アクリル酸ポリマー溶液としては、商品名CapigelとしてSeppic社から販売されているものが挙げられる。
【0039】
A、B、およびCモノマーのコポリマーであるアクリル酸ポリマー性増粘剤もまた好適であり、このとき、AおよびBは上記で定義された通りであり、Cは以下の一般式を有する:
【0041】
[式中、Zは-(CH
2)
mであり;mは1〜10であり、nは2〜3であり、oは2〜200であり、RはC
10-30直鎖または分岐鎖アルキルである]。上記の第2の増粘剤の例は、AおよびBが上記で定義された通りであり、CがCOであり、n、oおよびRが上記で定義された通りであるコポリマーである。そのような第2の増粘剤の例としては、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマーが挙げられ、これは商品名Acrysol ICS-1としてRohm & Haas社から販売されている。
【0042】
少なくとも1個の親水性単位および脂肪鎖を含む少なくとも1個のアリルエーテル単位を含有するアクリレートベースのアニオン性両親媒性ポリマーもまた好適である。親水性単位がエチレン性不飽和アニオン性モノマー、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物などのカルボン酸ビニルを含み、脂肪鎖を含むアリルエーテル単位が以下の式:
CH
2=CR'CH
2OB
nR
【0043】
[式中、R'はHまたはCH
3を表わし、Bはエチレンオキシ基(ethylenoxy radical)を表わし、nはゼロまたは1〜100の整数であり、Rは8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個の炭素原子、より詳細には12〜18個の炭素原子を含有するアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、アルキルアリール基およびシクロアルキル基から選択される炭化水素基を表わす]のモノマーに対応するものが好ましい。R'がHを表わし、nが10に等しく、かつRがステアリル(C18)基を表わすものが、この場合にはより好ましい。このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、米国特許第4,677,152号および同第4,702,844号(その両方が、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)の中で記載および調製されている。これらのアニオン性両親媒性ポリマーのうちで、20〜60重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸、5〜60重量%の低級アルキルメタクリレート、2〜50重量%の上記の通りの脂肪鎖を含有するアリルエーテル、および0〜1重量%の周知の共重合性ポリエチレン性不飽和モノマーである架橋剤(例えば、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートおよびメチレンビスアクリルアミド)から形成されるポリマーが好ましい。そのようなポリマーの1つの市販の例は、メタクリル酸、エチルアクリレート、ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(10個のEO単位を有する)エーテルまたはステアレス-10の架橋型ターポリマー、特に商品名SALCARE SC80およびSALCARE SC90としてAllied Colloids社から販売されているもの(メタクリル酸、エチルアクリレートおよびステアレス-10アリルエーテルの架橋型ターポリマー(40/50/10)を30%で含有する水性エマルジョンである)である。
【0044】
メタクリル酸、メチルメタクリレート、メチルスチレンイソプロピルイソシアネート、およびPEG-40ベヘネートモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-3;アクリロイルジメチルタウリンナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミドおよびビニルピロリドンモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-10;またはアクリロイルジメチルタウリンナトリウム、アクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブチルアクリレート、およびアクリルアミドモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-11などのアクリレートコポリマーもまた好適である。
【0045】
アクリル酸基のうちの1種以上が置換された長鎖アルキル(6〜40、10〜30など)基を有し得る架橋型アクリレートベースポリマー、例えば、C
10-30アルキルアクリレートとアクリル酸、メタクリル酸、またはスクロースのアリルエーテルもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋されたそれらの単純エステルの1種のうちの1種以上のモノマーとのコポリマーであるアクリレート/C
10-30アルキルアクリレートクロスポリマーもまた好適である。そのようなポリマーは、商品名CarbopolまたはPemulenの下に一般に販売されており、カルボマーとのCTFA名を有する。
【0046】
1つの特に好適なタイプの水相増粘剤は、商標Aristoflexの下にClariant社から販売されているアクリレートベースポリマー性増粘剤であり、Aristoflex AVC(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーである);Aristoflex AVL(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリラウレス-4、およびポリグリセリル-2セスキイソステアレートを含有する混合物中に分散された、AVC中に見出されているものと同じポリマーである);またはAristoflex HMB(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ベヘネス-25メタクリレートクロスポリマーである)などである。
【0047】
重合化度が1,000〜200,000の範囲である種々のポリエチレングリコール(PEG)誘導体もまた、水相増粘剤として好適である。そのような成分は、記号表示「PEG」とそれに続く千単位での重合度により示され、例えば、PEG-45Mは45,000個の反復エチレンオキシド単位を有するPEGを意味する。好適なPEG誘導体の例としては、PEG 2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160M、180Mなどが挙げられる。
【0048】
反復部分の数が15〜200、好ましくは約20〜100である反復グリセリン部分であるポリグリセリンもまた好適である。好適なポリグリセリンの例としては、CFTA名ポリグリセリン-20、ポリグリセリン-40などを有するものが挙げられる。
【0049】
本発明の組成物がエマルジョン形態である場合、組成物は油相を含むであろう。油性成分は、皮膚保湿特性および保護特性のために望ましい。存在する場合、油は、皮膚上にバリアを形成し、それにより組成物中に存在する光学活性化型複合体が皮膚上に残るようになるであろう。好適な油としては、限定するものではないが本明細書中で説明されるものをはじめとする、シリコーン、エステル、植物油、合成油が挙げられる。油は揮発性または不揮発性であり得、好ましくは室温で注入可能な液体の形態である。「揮発性」との用語は、油が20℃で測定可能な蒸気圧を有するか、または少なくとも約2mmHgの蒸気圧を有することを意味する。「不揮発性」との用語は、油が20℃で約2mmHg未満の蒸気圧を有することを意味する。
【0050】
好適な揮発性油は、一般的に、25℃で約0.5〜5センチストークスの範囲の粘度を有し、直鎖シリコーン、環状シリコーン、パラフィン系炭化水素、またはそれらの混合物が挙げられる。揮発性油は、皮膚に適用された後のスキンケア組成物のより迅速な乾燥を促進するために用いることができる。光学活性化型複合体を含有するスキンケア製品がコンビネーション肌または脂性肌を有する消費者に対して製剤化される場合には、揮発性油がより望ましい。肌タイプに関して「コンビネーション」との用語は、顔の一部の場所(Tゾーンなど)では脂性肌であり、他の場所では正常である皮膚を意味する。
【0051】
環状シリコーンは、組成物中で用いることができる揮発性シリコーンの1つのタイプである。そのようなシリコーンは、以下の一般式を有する:
【化2】
[式中、n=3〜6、好ましくは4、5、または6である]。
【0052】
直鎖揮発性シリコーン、例えば、以下の一般式を有するもの:
(CH
3)
3Si-O-[Si(CH
3)
2-O]
n-Si(CH
3)
3
[式中、n=0、1、2、3、4、または5、好ましくは0、1、2、3、または4]もまた好適である。
【0053】
環状および直鎖揮発性シリコーンは、Dow Corning社およびGeneral Electric社をはじめとする様々な商業的供給元から入手可能である。Dow Corning社の直鎖状揮発性シリコーンは、商品名Dow Corning 244、245、344、および200フルイドの下で販売されている。これらの流体としては、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストークス(cstと略される))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)およびそれらの混合物(すべての粘度測定値は25℃でのものである)が挙げられる。
【0054】
好適な分岐鎖揮発性シリコーンとしては、以下の一般式を有する分岐鎖揮発性シリコーンであるメチルトリメチコンなどのアルキルトリメチコンが挙げられる:
【0055】
【化3】
メチルトリメチコーンは、商品名TMF-1.5の下で信越シリコーンから購入することができ、これは25℃で1.5センチストークスの粘度を有する。
【0056】
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子、より好ましくは8〜16個の炭素原子を有する種々の直鎖または分岐鎖パラフィン系炭化水素もまた、揮発性油として好適である。好適な炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、および米国特許第3,439,088号および同第3,818,105号(これらの両方が参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されている通りのC
8-20イソパラフィンが挙げられる。好ましい揮発性パラフィン系炭化水素は、70〜225、好ましくは160〜190の分子量、および30〜320℃、好ましくは60〜260℃の沸点範囲、および25℃で約10cst未満の粘度を有する。そのようなパラフィン系炭化水素は、EXXON社から商標ISOPARSの下に、およびPermethyl社から入手可能である。好適なC
12イソパラフィンは、Permethyl社により商品名Permethyl 99Aの下に製造されている。種々の市販のC
16イソパラフィン(イソヘキサデカン(商品名Permethyl Rを有する)など)もまた好適である。
【0057】
種々の不揮発性油もまた、本発明の組成物中での使用に対して好適である。不揮発性油は一般的に、25℃で約5〜10センチストークス超の粘度を有し、25℃で約1,000,000センチポアズまでの範囲の粘度を有し得る。不揮発性油の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
【0058】
好適なエステルは、モノエステル、ジエステル、およびトリエステルである。組成物は、この群から選択される1種以上のエステル、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0059】
モノエステルは、式R-COOH(式中、Rは2〜45個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するモノカルボン酸と;式R-OH(式中、Rは2〜30個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するアルコールとの反応により形成されるエステルとして定義される。アルコールおよび酸の両方が、1個以上のヒドロキシル基を用いて置換されていることができる。酸またはアルコールの一方または両方が、「脂肪」酸またはアルコールであり得、かつ約6〜30個の炭素原子、より好ましくは12、14、16、18、または22個の炭素原子を、直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和形態で有することができる。本発明の組成物中で用いることができるモノエステル油の例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、ステアリル乳酸(stearyl lactate)、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。
【0060】
好適なジエステルは、ジカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物または少なくとも2個の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物である。ジカルボン酸は、2〜30個の炭素原子を含むことができ、かつ直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和形態であり得る。ジカルボン酸は、1個以上のヒドロキシル基を用いて置換されていることができる。脂肪族または芳香族アルコールもまた、2〜30個の炭素原子を含むことができ、かつ直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和形態であり得る。好ましくは、酸またはアルコールの内の一種以上が脂肪酸または脂肪アルコールであり、すなわち、12〜22個の炭素原子を含む。ジカルボン酸はまた、アルファヒドロキシ酸であることもできる。エステルは、二量体または三量体形態であり得る。本発明の組成物中で用いることができるジエステル油の例としては、リンゴ酸ジイソステアリル(diisotearyl malate)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ジリノール酸ジセテアリル(dicetearyl dimer dilinoleate)、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ジリノール酸ジイソステアリル(diisostearyl dimer dilinoleate)、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0061】
好適なトリエステルは、トリカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物、あるいは3個以上の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物を含む。上記のモノエステルおよびジエステルと同様に、酸およびアルコールは2〜30個の炭素原子を含有し、かつ飽和もしくは不飽和直鎖または分岐鎖であり得、かつ1個以上のヒドロキシル基を用いて置換されていることができる。好ましくは、酸またはアルコールのうちの1種以上が、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸または脂肪アルコールである。トリエステルの例としては、アラキドン酸、クエン酸、またはベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC
12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル;またはトリデシルココエート、イソノナン酸トリデシルなどが挙げられる。
【0062】
組成物中での使用に好適なエステルは、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第11版、2006)に、「エステル」の分類の下にさらに記載されている(この教科書は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0063】
組成物に1種以上の不揮発性炭化水素油を組み込むことが望ましい場合がある。好適な不揮発性炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素およびオレフィンが挙げられ、好ましくは、約20個超の炭素原子を有するものが挙げられる。そのような炭化水素油の例としては、C
24-28オレフィン、C
30-45オレフィン、C
20-40イソパラフィン、水素化ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアラン、およびそれらの混合物が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、そのような炭化水素は、約300〜1000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0064】
合成または天然に存在する脂肪酸のグリセリルエステル、またはトリグリセリドもまた、組成物中での使用に対して好適である。植物供給源および動物供給源の両方を用いることができる。そのような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C
10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、甘扁桃油、杏仁油、ゴマ油、カメリナ・サティバ油、タマヌ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、アマニ油、インク油(ink oil)、オリーブ油、パーム油、イリペバター、菜種油、ダイズ油、グレープシード油、ヒマワリ種子油、クルミ油などが挙げられる。
【0065】
変性されている天然油脂である脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの合成または半合成グリセリルエステル、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノエステル、ジエステルまたはトリエステルもまた好適である。一例では、脂肪(C
12-22)カルボン酸を、1個以上の反復グリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、-3-3イソステアリン酸、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノール酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、牛脂脂肪酸PEGグリセリルなど。
【0066】
水溶性および水不溶性の両方の不揮発性シリコーン油もまた、組成物中での使用に好適である。そのようなシリコーンは、好ましくは、25℃で約5超〜800,000cst、好ましくは20〜200,000cstの範囲の粘度を有する。好ましい水不溶性シリコーンとしては、アモジメチコンなどのアミン官能性シリコーンが挙げられる。
【0067】
例えば、そのような不揮発性シリコーンは、以下の一般式を有することができる:
【化4】
【0068】
[式中、RおよびR'はそれぞれ独立にC
1-30直鎖もしくは分岐鎖飽和または不飽和アルキル、フェニルまたはアリール、トリアルキルシロキシであり、かつxおよびyはそれぞれ独立に1〜1,000,000であり;但し、xまたはyのうちの少なくとも一方が存在し、かつAはアルキルシロキシエンドキャップ単位である]。Aがメチルシロキシエンドキャップ単位;特にトリメチルシロキシであり、かつRおよびR'がそれぞれ独立にC
1-30直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フェニル、またはトリメチルシロキシ、より好ましくはC
1-22アルキル、フェニル、またはトリメチルシロキシ、最も好ましくはメチル、フェニル、またはトリメチルシロキシであり、得られるシリコーンがジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、またはトリメチルシロキシフェニルジメチコンである場合が好ましい。他の例としては、セチルジメチコンなどのアルキルジメチコンであって、少なくとも1個のRが脂肪アルキル(C
12、C
14、C
16、C
18、C
20、またはC
22)であり、かつ他のRがメチルであり、かつAがトリメチルシロキシエンドキャップ単位であり、但し、そのようなアルキルジメチコンが室温で注入可能な液体である、アルキルジメチコンなどが挙げられる。フェニルトリメチコンは、Dow Corning社から商品名556フルイドの下に購入できる。トリメチルシロキシフェニルジメチコンは、Wacker-Chemie社から商品名PDM-1000の下に購入できる。液体シリコーンワックスとも称されるセチルジメチコンは、Dow Corning社からフルイド2502として、またはDeGussa Care & Surface Specialties社から商品名Abil Wax 9801、もしくは9814の下に購入できる。
【0069】
種々のタイプのフッ素化油もまた、組成物中での使用に対して好適であり得、限定するものではないが、フッ素化シリコーン、フッ素化エステル、またはパーフルオロポリエーテル(perfluropolyether)が挙げられる。トリメチルシリルエンドキャップ付加フルオロシリコーン油、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、および米国特許第5,118,496号(参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されるものなどの同様のシリコーンなどのフルオロシリコーンが特に好適である。パーフルオロポリエーテルとしては、米国特許第5,183,589号、同第4,803,067号、同第5,183,588号(それらのすべてが参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されているものが挙げられ、それらは、Montefluos社から商標Fomblinの下に市販されている。
【0070】
組成物が無水であるか、またはエマルジョンの形態にある場合、化粧品組成物中に1種以上の油相構造化剤を含めることが望ましい場合がある。用語「油相構造化剤」とは、油相の粘度を上昇させるか、または油相を構造化するであろう、油相中に可溶もしくは分散可能である成分または成分の組み合わせを意味する。油相構造化剤は、光学活性化型複合体が組成物の油相を形成する非極性油中に可溶化される可能性がある場合には特に、光学活性化型複合体と適合性である。「適合性」との用語は、油相構造化剤および光学活性化型複合体が、概ね安定な化粧品製品へと製剤化可能であることを意味する。構造化剤は、増加した粘度を有する液体組成物、半固体組成物、または一部の場合には、自己支持性であり得る固体組成物を提供するために十分な量で存在することができる。構造化剤自体は、液体、半固体、または固体形態で存在し得る。構造化剤の推奨範囲は、組成物の総重量に基づいて、約0.01〜70%、好ましくは約0.05〜50%、より好ましくは約0.1〜35%である。好適な油相構造化剤としては、シリコーン系のものまたは有機系のものが挙げられる。それらは、合成、天然、もしくはそれら両方の組み合わせであるポリマーまたは非ポリマーであり得る。
【0071】
様々な油相構造化剤は、シリコーンエラストマー、シリコーンゴム、シリコーンワックス、化粧品組成物中に組み込まれた場合に、油相の粘度を増加させることが可能であるような程度の粘度を有するシリコーンを提供する重合化度を有する直鎖シリコーンなどの、シリコーン系のものであり得る。シリコーン構造化剤の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
【0072】
本発明の組成物中での使用に好適なシリコーンエラストマーとしては、付加反応硬化により、SiH含有ジオルガノシロキサンと末端オレフィン性不飽和を有するオルガノポリシロキサン、またはα,ω-ジエン炭化水素とを白金金属触媒の存在下で反応させることにより形成されるものが挙げられる。そのようなエラストマーはまた、ヒドロキシル末端化ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンもしくはα,ω-ジエンとの脱水素化反応を介した、有機スズ化合物の存在下でのオルガノポリシロキサン組成物の縮合硬化;またはヒドロキシル基末端化ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシロキサンとの間の縮合反応を用いた有機スズ化合物もしくはチタン酸エステルの存在下でのオルガノポリシロキサン組成物の縮合硬化;有機過酸化物触媒の存在下で加熱硬化するオルガノポリシロキサン組成物の過酸化物硬化などの、他の反応法によって形成させることもできる。
【0073】
好適であり得る1つのタイプのエラストマーは、各分子中に少なくとも2個の低級アルケニル基またはα,ω-ジエンを有するオルガノポリシロキサン;および各分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン;および白金型触媒の付加反応硬化により調製することができる。ビニルなどの低級アルケニル基は分子中のいずれの位置にでも存在し得るが、一方または両方の分子末端での末端オレフィン性不飽和が好ましい。この構成要素の分子構造は、直鎖、分岐直鎖、環状、またはネットワーク状であり得る。これらのオルガノポリシロキサンは、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端化ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端化ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端化ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端化ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端化ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端化メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、およびジメチルビニルシロキシ末端化ジメチルシロキサン-メチル(3,3,-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエン、またはテトラジエン、またはトリジエンにより例示される。
【0074】
硬化は、ジメチルメチル水素シロキサンのケイ素結合水素原子と、シロキサンまたはα,ω-ジエンとの本明細書中で言及される触媒を用いる触媒作用の下での付加反応により進行する。高度に架橋された構造を形成させるためには、メチル水素シロキサンは、架橋剤としての機能を最適化するために、各分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含まなくてはならない。
【0075】
ケイ素結合水素原子とアルケニル基との付加反応において用いられる触媒は、具体的には塩化白金酸により例示され、アルコールまたはケトン中に溶解される場合があり、この溶液が任意により熟成されて、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒、および担体支持白金が得られる。
【0076】
本発明の組成物中での使用のための好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末形態であるか、または揮発性もしくは不揮発性シリコーンなどの溶媒またはパラフィン系炭化水素もしくはエステルなどのシリコーン相溶性ビヒクル中に分散もしくは溶解されていることができる。シリコーンエラストマー粉末の例としては、信越シリコーンのKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105などのビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン(methicone silesquioxane)クロスポリマー、信越シリコーンのKSP-200(フルオロシリコーンエラストマーである)などのフルオロアルキル基を含むハイブリッドシリコーン粉末、および信越シリコーンのKSP-300(フェニル置換シリコーンエラストマーである)などのフェニル基を含むハイブリッドシリコーン粉末;およびDow Corning社のDC 9506が挙げられる。シリコーン相溶性ビヒクル中に分散されたシリコーンエラストマー粉末の例としては、Dow Corning社(商品名9040または9041)、GE Silicones社(商品名SFE 839)、または信越シリコーン(商品名KSG-15、16、18)をはじめとする様々な供給元から供給されているジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。KSG-15は、CTFA名:シクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。KSG-18は、INCI名:フェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーを有する。シリコーンエラストマーはまた、Grant Industries社から商標Gransilの下に購入することもできる。信越シリコーンから商品名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、およびKSG-44の下に供給されているラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーなどの長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーもまた好適である。本発明で有用な架橋型オルガノポリシロキサンエラストマーおよびその製造方法が、Sakutaらに対する米国特許第4,970,252号(1990年11月13日発行);Kilgourらに対する米国特許第5,760,116号(1998年6月2日発行);Schulz, Jr.らに対する米国特許第5,654,362号(1997年8月5日発行);および日本国特許出願第61-18708号(Pola Kasei Kogyo KKに帰属)(これらのそれぞれが、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)にさらに記載されている。シリコーンエラストマーは組成物に優れた「感触」(feel)をもたらし、化粧品調製物中で非常に安定であり、かつ比較的安価であるので、本発明の組成物中にシリコーンエラストマーを組み込むことが特に望ましい。
【0077】
1種以上のシリコーンゴムもまた、油相構造化剤としての使用に好適である。用語「ゴム」(ガム)は、ゴム様の質感を有するシリコーンを提供するために十分な重合化度を有するシリコーンポリマーを意味する。特定のケースでは、ゴムを形成するシリコーンポリマーは、架橋されていることができる。シリコーンゴムは、典型的には、25℃で約500,000〜100,000,000cst、好ましくは約600,000〜20,000,000cst、より好ましくは約600,000〜12,000,000cstの範囲の粘度を有する。本明細書中で言及されるすべての範囲は、すべての部分範囲、例えば、550,000;925,000;3,500,000を含む。
【0078】
組成物中で用いられるシリコーンゴムとしては、限定するものではないが、以下の一般式のものが挙げられる:
【化5】
【0079】
[式中、R
1〜R
9はそれぞれ独立に1〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアラルキルであり;かつXはOHまたはC
1-30アルキル、またはビニルであり;かつx、y、またはzはゼロであり得、但し、x、y、またはzのうちの2個以下が同時にゼロであり、さらに、x、y、およびzは、シリコーンゴムが25℃で少なくとも約500,000cst、最大で約100,000,000センチストークスの粘度を有するものである]。RがメチルまたはOHである場合が好ましい。
【0080】
そのようなシリコーンゴムは、Wacker-Chemie社またはDow Corning社などをはじめとする種々のシリコーン製造業者から純粋な形態で購入することができる。そのようなシリコーンゴムとしては、Wacker-Belsil社から商品名CM3092、Wacker-Belsil 1000、またはWacker-Belsil DM 3096の下で販売されているものが挙げられる。ジメチコノールとも称される、XがOHであるシリコーンゴムは、Dow Corning社から商品名1401として入手可能である。シリコーンゴムは、揮発性または不揮発性シリコーンなどのシリコーン相溶性ビヒクル中の溶液または分散液の形態で購入することもできる。そのような混合物の例は、Barnet Silicones社からINCI名:ジメチコンを有する商品名HL-88のもとに購入できる。
【0081】
別のタイプの油相構造化剤としては、典型的にはアルキルシリコーンワックスと称され、室温で半固体または固体であるシリコーンワックスが挙げられる。用語「アルキルシリコーンワックス」とは、シロキサンに対して半固体または固体特性を賦与する、置換された長鎖アルキル(C16〜30など)を有するポリジメチルシロキサンを意味する。そのようなシリコーンワックスの例としては、DeGussa Care & Surface Specialties社から商品名Abil Wax 9800の下で、またはDow Corning社から商品名2503の下に購入できるステアリルジメチコンが挙げられる。別の例は、Gransil Industries社から商品名Gransil A-18の下に購入できるビスステアリルジメチコン、またはベヘニルジメチコン、ベヘノキシジメチコンである。
【0082】
ポリアミドまたはシリコーンポリアミドなどの様々なタイプのポリマー化合物もまた、油相構造化剤として好適である。
【0083】
シリコーンポリアミドとの用語は、本明細書中でさらに説明される通りの、シリコーンモノマーおよびアミド基を含有するモノマーから構成されるポリマーを意味する。シリコーンポリアミドは、好ましくは、以下の一般式の部分を含み:
【化6】
【0084】
式中、Xは約1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレンであり;R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立に、1個以上のヒドロキシル基もしくはハロゲン基を用いて置換されていることができるC
1-30直鎖または分岐鎖アルキル;1個以上のC
1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、もしくはアルコキシ基を用いて置換されていることができるフェニル;または以下の一般式を有するシロキサン鎖であり:
【0086】
かつYは、以下のものである:
(a)以下の基を用いて置換されていることができる、約1〜40個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン:
(i) 一般式R
1CONR
1を有する1個以上のアミド基、または
(ii) C
5-6環状環、または
(iii) 1個以上のC
1-10アルキル基を用いて置換されていることができるフェニレン、または
(iv) ヒドロキシ、または
(v) C
3-8シクロアルカン、または
(vi) 1個以上のヒドロキシ基を用いて置換されていることができるC
1-20アルキル、または
(vii) C
1-10アルキルアミン;あるいは
【0087】
(b) TR
5R
6R
7
[式中、R
5、R
6、およびR
7はそれぞれ独立にC
1-10直鎖または分岐鎖アルキレンであり、かつTはCR
8(式中、R
8は水素、三価原子N、P、もしくはAl、または1個以上のヒドロキシル基もしくはハロゲン基を用いて置換されていることができるC
1-30直鎖または分岐鎖アルキル;1個以上のC
1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、もしくはアルコキシ基を用いて置換されていることができるフェニル;または以下の一般式:
【0088】
【化8】
を有するシロキサン鎖である]。
【0089】
R
1、R
2、R
3、およびR
4がC
1-10、好ましくはメチルであり;かつXおよびYが直鎖または分岐鎖アルキレンである場合が好ましい。以下の一般式を有するシリコーンポリアミドが好ましい:
【0091】
[式中、aおよびbはそれぞれ独立に、約60〜120℃の範囲の融点、および約40,000〜500,000ダルトンの範囲の分子量を有するシリコーンポリアミドポリマーを生じるために十分な数である]。本発明の組成物中で用いることができるシリコーンポリアミドの1つのタイプは、Dow Corning社から商品名Dow Corning 2-8178 gellantの下で購入でき、これはCTFA名:ナイロン-611/ジメチコンコポリマーを有し、PPG-3ミリスチルエーテルを含有する組成物中で販売されている。
【0092】
Arizona Chemical社から商品名UniclearおよびSylvaclearの下で販売されているものなどのポリアミドもまた好適である。そのようなポリアミドは、エステル末端またはアミド末端を有することができる。エステル末端化ポリアミドの例としては、限定するものではないが、以下の一般式を有するものが挙げられる:
【0094】
[式中、nは、エステル基の数がエステル基およびアミド基の合計数のうちの約10%〜50%の範囲となるアミド単位の数を表わし;各R
1は独立に少なくとも4個の炭素原子を含むアルキル基またはアルケニル基であり;各R
2は独立にC
4-42炭化水素基であるが、但し、R
2基のうちの少なくとも50%がC
30-42炭化水素であり;各R
3は独立に、少なくとも2個の炭素原子、水素原子および任意により1個以上の酸素原子または窒素原子を含む有機基であり;かつ各R
4は独立に、水素原子、C
1-10アルキル基、またはR
3もしくは別のR
4に対する直接結合であり、R
3およびR
4の両方が連結している窒素原子がR
4-N-R
3により定義される複素環構造の一部分を形成し、基R
4のうちの少なくとも50%が水素原子を表わす]。
【0095】
油相ゲル化剤として用いることができるエステルおよびアミド末端化ポリアミドの一般的な例としては、Arizona Chemical社から商品名Sylvaclear A200VまたはA2614V(両方とも、CTFA名:エチレンジアミン/水素化ジリノレートコポリマー(ethylenediamine/hydrogenated dimer dilinoleate copolymer)/ビス-ジ-C
14-18アルキルアミドを有する);Sylvaclear AF1900V;Sylvaclear C75V(CTFA名:ビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ジリノレートコポリマー(bis-stearyl ethylenediamine/neopentyl glycol/stearyl hydrogenated dimer dilinoleate copolymer)を有する);Sylvaclear PA1200V(CTFA名:ポリアミド-3を有する);Sylvaclear PE400V;Sylvaclear WF1500V;またはUniclear(Uniclear 100VG(INCI名:エチレンジアミン/ステアリルジリノレートコポリマー(ethylenediamine/stearyl dimer dilinoleate copolymer)を有する)など)の下に販売されているもの;またはエチレンジアミン/ステアリルジトーレートコポリマー(ethylenediamine/stearyl dimer ditallate copolymer)が挙げられる。好適なポリアミドの他の例としては、Henkel社から商標Versamidの下に販売されているもの(Versamid 930、744、1655など)、またはOlin Mathieson Chemical Corp.からブランド名Onamid SまたはOnamid Cの下に販売されているものが挙げられる。
【0096】
動物性ワックス、植物性ワックスまたは鉱物性ワックスなどの1種以上の天然または合成ワックスもまた、油相構造化剤として好適であり得る。好ましくは、そのようなワックスは、約50〜150℃、より好ましくは約65〜100℃などの比較的高い融点を有するであろう。そのようなワックスの例としては、ポリエチレンまたは合成ワックスなどのFischer-Tropsch synthesis社により製造されているワックス;またはベイベリーワックス、カンデリラワックス、オゾケライト、アカシアワックス、蜜ろう、セレシン、セチルエステル、フラワーワックス、シトラスワックス、カルナウバワックス、ホホバワックス、木ろう、ポリエチレン、微晶質ワックス、米ぬか、ラノリンワックス、ミンクワックス、モンタンワックス、ベイベリーワックス、オーリキュリーワックス(ouricury)、オゾケライト、パーム核ワックス、パラフィン、アボカドワックス、アップルワックス、シェラックワックス、クラリーワックス(clary wax)、ビール粕ワックス(spent grain wax)、グレープワックス、およびそれらのポリアルキレングリコール誘導体(PEG6-20蜜ろう、またはPEG-12カルナウバワックスなど)などの種々の植物性ワックス;またはヒドロキシステアリン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニンなどの、それらのエステルを含む脂肪酸もしくは脂肪アルコールが挙げられる。
【0097】
組成物中で用いることができる1つのタイプの構造化剤は、ヘクトライト、ベントナイト、および鉱物を第4級アンモニウム化合物と反応させることにより取得されるそれらの四級化誘導体、例えばステアラコニウムベントナイト(stearalkonium bentonite)、ヘクトライト、四級化ヘクトライト(クオタニウム-18ヘクトライトなど)、アタプルジャイト、プロピレンカーボネートなどのカーボネート、ベントン(bentone)などの天然または合成モンモリロナイト鉱物を含む。
【0098】
組成物中で用いることができる別のタイプの構造化剤は、シリカ、シリケート、シリル化シリカ、およびそれらのアルカリ金属誘導体またはアルカリ土類金属誘導体である。これらのシリカおよびシリケートは、一般的に粒子形態で見出され、シリカ、シリル化シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。
【0099】
組成物は、特にエマルジョン形態の場合には、1種以上の界面活性剤を含有することができる。しかしながら、そのような界面活性剤は、組成物が無水である場合にも用いることができ、極性を有する成分(例えば、顔料)の分散化を補助するであろう。そのような界面活性剤は、シリコーンまたは有機系であり得る。界面活性剤は、油中水型または水中油型のいずれかの安定なエマルジョンの形成に役立つであろう。存在する場合、界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.001〜30%、好ましくは約0.005〜25%、より好ましくは約0.1〜20%の範囲であり得る。
【0100】
好適なシリコーン界面活性剤としては、例えば、親水性基および親油性基を含む、両親媒性特性を有するポリオルガノシロキサンポリマーが挙げられる。これらのシリコーン界面活性剤は、室温で液体または固体であり得る。
【0101】
用いることができる1つのタイプのシリコーン界面活性剤は、一般的に、ジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオールと称される。この界面活性剤は、約2〜18の範囲の親水性親油性バランス(HLB)を有する油中水型または水中油型界面活性剤のいずれかである。好ましくは、シリコーン界面活性剤は、約2〜12、好ましくは約2〜10、最も好ましくは約4〜6の範囲のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。用語「親水性基」とは、オルガノシロキサンポリマー骨格へと置換された場合に、ポリマーの置換された部分に親水性特性を賦与する基を意味する。親水性を賦与するであろう基の例は、ヒドロキシ-ポリエチレンオキシ、ヒドロキシル、カルボキシレート、およびそれらの混合物である。用語「親油性基」とは、オルガノシロキサンポリマー骨格へと置換された場合に、ポリマーの置換された部分に親油性特性を賦与する有機基を意味する。親油性を賦与するであろう有機基の例は、C
1-40直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フルオロ、アリール、アリールオキシ、C
1-40ヒドロカルビルアシル、ヒドロキシ-ポリプロピレンオキシ、またはそれらの混合物である。
【0102】
好適なシリコーン界面活性剤の1つのタイプは、以下の一般式を有する:
【化11】
【0103】
[式中、pは0〜40(2、3、4、13、14、15、16、17、18などのその間のすべての数字および部分範囲を含む範囲)であり、かつPEは(-C
2H
4O)
a-(-C
3H
6O)
b-Hであり、式中、aは0〜25であり、bは0〜25であり、但し、aおよびbの両方が同時に0であることはできず、xおよびyはそれぞれ独立に0〜1,000,000であり、但し、それらの両方が同時に0であることはできない]。1つの好ましい実施形態では、x、y、z、a、およびbは、ポリマーの分子量が約5,000〜約500,000、より好ましくは約10,000〜100,000の範囲、最も好ましくはおおよそ約50,000であり、ポリマーが全般的にはジメチコンコポリオールと称されるようなものである。
【0104】
1つのタイプのシリコーン界面活性剤は、pが、長鎖アルキルがセチルまたはラウリルであり、界面活性剤が全般的にそれぞれセチルジメチコンコポリオールまたはラウリルジメチコンコポリオールと称されるようなものである。
【0105】
一部の場合には、ポリマー中の反復エチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位の個数もまた指定され、例えば、シロキサン骨格上に15個のエチレングリコール単位および10個のプロピレングリコール単位を含む置換基を有するジメチコンを指すPEG-15/PPG-10ジメチコンとも称されるジメチコンコポリオールなどである。上記の一般的構造中の1個以上のメチル基が、より長い鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル等)またはエーテル(メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルなど)を用いて置換されていることもまた可能である。
【0106】
シリコーン界面活性剤の例は、Dow Corning社から商品名Dow Corning 3225C Formulation Aid(CTFA名:シクロテトラシロキサン(および)シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18ジメチコンを有する);または5225C Formulation Aid(CTFA名:シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18/18ジメチコンを有する);またはDow Coming 190 Surfactant(CTFA名:PEG/PPG-18/18ジメチコンを有する);またはDow Corning 193フルイド、Dow Corning 5200(CTFA名:ラウリルPEG/PPG-18/18メチコンを有する)の下に販売されているもの;またはAbil EM 90(CTFA名:セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンを有する)(Goldschmidt社により販売されている);またはAbil EM 97(CTFA名:ビス-セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンを有する)(Goldschmidt社により販売されている);またはAbil WE 09(CTFA名:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンを有する)(イソステアリン酸ポリグリセリル-4およびラウリン酸ヘキシルも含有する混合物中);またはKF-6011(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-11メチルエーテルジメチコンを有する);KF-6012(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコンを有する);またはKF-6013(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-9ジメチコンを有する);またはKF-6015(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-3ジメチコンを有する);またはKF-6016(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-9メチルエーテルジメチコンを有する);またはKF-6017(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-10ジメチコンを有する);またはKF-6038(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを有する)である。
【0107】
多くの場合に乳化性エラストマーと称される種々のタイプの架橋型シリコーン界面活性剤もまた好適である。これらは、典型的には、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン化基(polyoxyalkylenated group)などの少なくとも1種の親水性部分を含むであろう点を除いて、「シリコーンエラストマー」の節に関して上記で説明される通りに調製される。典型的には、これらのポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは、架橋型オルガノポリシロキサンであり、これは、ケイ素に結合した少なくとも1個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋性付加反応により得られる。少なくとも1つの実施形態では、ポリオキシアルキレン化架橋型オルガノポリシロキサンは、それぞれがケイ素に結合した少なくとも2個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの、任意により白金触媒の存在下での架橋性付加反応により得られ、この反応は、例えば、米国特許第5,236,986号および同第5,412,004号、同第5,837,793号および同第5,811,487号(それらの内容は参照により組み入れられる)に記載される通りである。
【0108】
本発明の少なくとも1つの実施形態で用いることができるポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、信越シリコーンから商品名KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33;KSG-210(ジメチコン中に分散されたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーである);KSG-310(PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーである);KSG-320(イソドデカン中に分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーである);KSG-330(トリエチルヘキサノイン中に分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーである)、KSG-340(PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマーとPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーとの混合物である)の下に販売されているものが挙げられる。
【0109】
国際公開第2004/024798号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されているもののようなポリグリセロール化(polyglycerolated)シリコーンエラストマーもまた好適である。そのようなエラストマーとしては、信越シリコーンKSGシリーズ、例えば、ジメチコン中に分散されたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーであるKSG-710;または信越シリコーンの商品名KSG-810、KSG-820、KSG-830、もしくはKSG-840の下に販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの種々の溶媒中に分散されたラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーなどが挙げられる。Dow Corning社から商品名9010およびDC9011の下に販売されているシリコーンもまた好適である。1つの好ましい架橋型シリコーンエラストマー乳化剤は、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーであり、これは、そのエラストマー骨格に起因する優れた美感と、界面活性特性もまた提供する。
【0110】
組成物は、1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含むことができる。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)との反応により形成されるアルコキシル化アルコール、またはエーテルが挙げられる。好ましくは、アルコールは、6〜30個の炭素原子を有するいずれかの脂肪アルコールである。そのような成分の例としては、ステアレス2-100(ステアリルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2〜100の範囲である);ベヘネス5-30(ベヘニルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、反復エチレンオキシド単位の数が5〜30である);セテアレス2-100(セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドとの反応により形成され、分子中の反復エチレンオキシド単位の数が2〜100である);セテス1-45(セチルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、反復エチレンオキシド単位の数が1〜45である)などが挙げられる。
【0111】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸および一価、二価または多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応により形成される。例えば、C
6-30脂肪カルボン酸および単糖(グルコース、ガラクトース、メチルグルコース等)である多価アルコールと、アルコキシル化アルコールとの反応生成物である。例としては、グリセリル脂肪酸エステルと反応したポリマー性アルキレングリコール(オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリルなど);または反復エチレングリコール単位の数が3〜1000の範囲であるPEGジポリヒドロキシステアレートなどのPEGポリヒドロキシアルカノエート(PEG polyhydroxyalkanote)が挙げられる。
【0112】
カルボン酸とアルキレンオキシドまたはポリマー性エーテルとの反応により形成される成分もまた、非イオン性界面活性剤として好適である。得られる生成物は、以下の一般式を有する:
【化12】
[式中、RCOはカルボン酸エステル基であり、Xは水素または低級アルキルであり、nは重合化アルコキシ基の数である。]ジエステルの場合、2個のRCO基が同一である必要はない。好ましくは、RはC
6-30直鎖または分岐鎖飽和または不飽和アルキルであり、nは1〜100である。
【0113】
単量体性、ホモポリマー性、またはブロックコポリマー性エーテルもまた、非イオン性界面活性剤として好適である。典型的には、そのようなエーテルは、モノマー性アルキレンオキシド(一般的にはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)の重合により形成される。そのようなポリマー性エーテルは、以下の一般式を有する:
【化13】
[式中、RはHまたは低級アルキルであり、nは反復モノマー単位の数であり、1〜500である。]
【0114】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、アルコキシル化、特にソルビタンのエトキシル化により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が生じる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化により、ポリソルベートなどのソルビタンエステルが生じる。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンは、C
6-30、好ましくはC
12-22脂肪酸を用いてエステル化することができる。そのような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0115】
特定のタイプの両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、またはカチオン性界面活性剤もまた、組成物中で用いることができる。そのような界面活性剤が、米国特許第5,843,193号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)で説明されている。
【0116】
組成物中に1種以上の湿潤剤を含めることが望ましい場合もある。存在する場合、そのような湿潤剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.001〜25%、好ましくは約0.005〜20%、より好ましくは約0.1〜15%の範囲であり得る。好適な湿潤剤の例としては、グリコール、糖などが挙げられる。好適なグリコールはモノマー形態またはポリマー形態であり、PEG 4-200(4〜200個の反復エチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールである)などのポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール;ならびにC
1-6アルキレングリコール(プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなど)等が挙げられる。それらの一部は多価アルコールでもある好適な糖もまた、好適な湿潤剤である。そのような糖の例としては、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。尿素もまた好適である。
【0117】
組成物中に1種以上の植物抽出物を含めることが望ましい場合がある。その場合、推奨範囲は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001〜10%、好ましくは約0.0005〜8%、より好ましくは約0.001〜5%である。好適な植物抽出物としては、花、果実、野菜その他などの植物(ハーブ、根、花、果実、種子)からの抽出物が挙げられ、酵母発酵物抽出物、パディナ・パボニカ抽出物、サームス・サーモフィルス(thermus thermophilis)発酵物抽出物、カメリア・サティバ種子油、ボスウェリア・セラータ(boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、シロイヌナズナ(Aribodopsis Thaliana)抽出物、フサアカシア(Acacia Dealbata)抽出物、アセル・サッカリヌム(Acer Saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフィルス(acidopholus)、ショウブ属(acorus)、トチノキ属(aesculus)、ハラタケ属(agaricus)、リュウゼツラン属(agave)、キンミズヒキ属(agrimonia)、藻類(algae)、アロエ、柑橘類、アブラナ属(brassica)、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、ナシ、レモン、ライム、エンドウ、海藻、カフェイン、緑茶、カモミール、ヤナギ樹皮(willowbark)、マルベリー、ケシ、乳清タンパク質、およびCTFA Cosmetic Ingredient Handbook(第8版、第2巻)の第1646〜1660頁に説明されているものが含まれる。さらなる具体例としては、限定するものではないが、チャノキ(Camelia sinensis)、ツクシメナモミ(Siegesbeckia orientalis)、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza Glabra)、クロヤナギ(Salix Nigra)、オオウキモ(Macrocycstis Pyrifera)、リンゴ(Pyrus Malus)、ユキノシタ(Saxifraga Sarmentosa)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、クロミグワ(Morus Nigra)、コガネバナ(Scutellaria Baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis Nobilis)、クラリセージ(Salvia Sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus Officianalis)、レモン(Citrus Medica Limonum)、オタネニンジン(Panax Ginseng)、ツクシメナモミ(Siegesbeckia Orientalis)、ウバイ(Fructus Mume)、アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum Nodosum)、ビフィダ(Bifida)発酵物溶解物、サッカロミセス溶解物、ツルマメ(Glycine Soja)抽出物、ビート(Beta Vulgaris)、ハベルレア・ロドペンシス(Haberlea Rhodopensis)、イタドリ(Polygonum Cuspidatum)、オレンジ(Citrus Aurantium Dulcis)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、イワヒバ(Selaginella Tamariscina)、ホップ(Humulus Lupulus)、マンダリンオレンジ(Citrus Reticulata)果皮、ザクロ(Punica Granatum)、アスパラゴプシス属(Asparagopsis)、ウコン(Curcuma Longa)、ミツガシワ(Menyanthes Trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus Annuus)、コムギ(Triticum vulgare)、オオムギ(Hordeum Vulgare)、キュウリ(Cucumis Sativus)、ツノマタゴケ(Evernia Prunastri)、エベルニア・フルフラセア(Evernia Furfuracea)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0118】
本発明の組成物中に1種以上のサンスクリーン剤を含めることが望ましい場合もある。そのようなサンスクリーン剤としては、化学的UVAもしくはUVBサンスクリーン剤または粒子状形態の物理的サンスクリーン剤が挙げられる。光学活性化型複合体を含有する組成物中にサンスクリーン剤を含めることにより、日中の皮膚に対する追加の保護がもたらされるであろう。
【0119】
所望であれば、組成物は、1種以上のUVAサンスクリーン剤を含むことができる。用語「UVAサンスクリーン剤」とは、約320〜400nmの波長範囲でのUV照射を遮断する化合物を意味する。好ましいUVAサンスクリーン剤は、以下の一般式を有するジベンゾイルメタン化合物である:
【0121】
[式中、R
1はH、ORおよびNRRであり、このとき、各Rは独立にH、C
1-20直鎖または分岐鎖アルキルであり;R
2はHまたはOHであり;かつR
3はH、C
1-20直鎖または分岐鎖アルキルである。]
【0122】
R
1がORであり、このとき、RがC
1-20直鎖または分岐鎖アルキル、好ましくはメチルであり;R
2がHであり;かつR
3がC
1-20直鎖または分岐鎖アルキル、より好ましくはブチルである場合が好ましい。
【0123】
前記一般式の好適なUVAサンスクリーン化合物の例としては、4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(2-methyl-5-isopropyl-4'-methoxydibenzoymethane)、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。アボベンゾンとも称される4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましい。アボベンゾンは、Givaudan-Roure社から商標Parsol 1789の下に、およびMerck & Co.社から商品名Eusolex 9020の下に市販されている。
【0124】
他のタイプのUVAサンスクリーン剤としては、以下の式:
【化15】
を有するテレフタリリデンジカンファースルホン酸である、商品名Mexoryl
TMの下に販売されているサンスクリーン剤であるエカムスル(ecamsule)などの、ジカンファースルホン酸誘導体が挙げられる。
【0125】
組成物は、組成物の重量に基づいて、約0.001〜20%、好ましくは0.005〜5%、より好ましくは約0.005〜3%のUVAサンスクリーン剤を含有することができる。本発明の好ましい実施形態では、UVAサンスクリーン剤はアボベンゾンであり、これは組成物の総重量に基づいて約3%以下の量で存在する。
【0126】
UVBサンスクリーン剤もまた、本発明のシステム中で用いることができる。用語「UVBサンスクリーン剤」とは、約290〜320nmの波長範囲でのUV照射を遮断する化合物を意味する。米国特許第3,215,724号(その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)に説明されている通りのα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルをはじめとする様々なUVB化学的サンスクリーン剤が存在する。α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルの1つの特定の例は、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレートであるオクトクリレンである。特定の場合には、組成物は、組成物の総重量に基づいて約110%以下のオクトクリレンを含有することができる。好適な量は、約0.001〜10重量%の範囲である。オクトクリレンは、BASF社から商品名Uvinul N-539の下に購入することができる。
【0127】
他の好適なサンスクリーン剤としては、米国特許第3,781,417号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に説明されている通りのベンジリデンカンファー誘導体が挙げられる。そのようなベンジリデンカンファー誘導体は、以下の一般式を有する:
【0129】
[式中、Rはp-トリルまたはスチリル、好ましくはスチリルである]。商品名Eusolex 6300の下にMerck社から販売されている脂溶性UVBサンスクリーン化合物である4-メチルベンジリデンカンファーが特に好ましい。
【0131】
[式中、RおよびR
1はそれぞれ独立にC
1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]を有する桂皮酸エステル誘導体もまた好適である。Rがメチルであり、かつR
1が分岐鎖C
1-10、好ましくはC
8アルキルである場合が好ましい。好ましい化合物は、オクトキシネート(Octoxinate)またはメトキシ桂皮酸オクチルとも称されるメトキシ桂皮酸エチルヘキシルである。この化合物は、Givaudan社から商品名Parsol MCXの下に、またはBASF社から商品名Uvinul MC 80の下に購入できる。メトキシ桂皮酸ジエタノールアミンをはじめとするそのようなメトキシ桂皮酸エステルのモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン誘導体もまた好適である。上記の化合物の芳香族エーテル誘導体であるシノキセート(Cinoxate)もまた許容できる。存在する場合、シノキセートは、組成物の総重量に基づいて約3%以下で見出されるべきである。
【0133】
[式中、R〜R
9はそれぞれ独立にH、OH、NaO
3S、SO
3H、SO
3Na、Cl、R”、OR”であり、R”はC
1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]を有する種々のベンゾフェノン誘導体もまた、UVBサンスクリーン剤として好適である。そのような化合物の例としては、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12が挙げられる。ベンゾフェノン誘導体がベンゾフェノン3(オキシベンゾンとも称される)、ベンゾフェノン4(スリソベンゾンとも称される)、ベンゾフェノン5(スリソベンゾンナトリウム)、などである場合が特に好ましい。ベンゾフェノン3が最も好ましい。
【0134】
以下の一般式を有する特定のサリチル酸メンチル誘導体もまた好適である:
【化19】
【0135】
[式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立に、H、OH、NH
2、またはC
1-20直鎖もしくは分岐鎖アルキルである]。R
1、R
2、およびR
3がメチルであり、R
4がヒドロキシルまたはNH
2であり、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート(Homosalate)としても知られる)またはアントラニル酸メンチルという名称を有する化合物である場合が特に好ましい。ホモサレートは商品名Eusolex HMSの下にMerck社から市販されており、アントラニル酸メンチルは商品名Heliopanの下にHaarmann & Reimer社から市販されている。存在する場合、ホモサレートは、組成物の総重量に基づいて約15%以下で見出されるべきである。
【0136】
以下の一般式を有するものをはじめとする種々のアミノ安息香酸誘導体は、好適なUVB吸収剤である:
【化20】
【0137】
[式中、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立に、1個以上のヒドロキシ基で置換されていることができるH、C
1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]。R
1がHまたはC
1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、R
2およびR
3がH、またはC
1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルである場合が特に好ましい。PABA、エチルヘキシルジメチルPABA(パジメートO(Padimate O))、エチルジヒドロキシプロピルPABAなどが特に好ましい。存在する場合、パジメートOは組成物の総重量に基づいて約8%以下で見出されるべきである。
【0138】
サリシレート誘導体もまた、許容されるUVB吸収剤である。そのような化合物は、以下の一般式を有し
【化21】
[式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキルである]、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンから形成される上記化合物の誘導体を含む。サリチル酸オクチル、TEA-サリシレート、DEA-サリシレート、およびそれらの混合物が特に好ましい。一般的に、存在するUVB化学的サンスクリーン剤の量は、組成物の総重量に基づいて約0.001〜45%、好ましくは0.005〜40%、より好ましくは約0.01〜35%の範囲であり得る。
【0139】
特に好ましいサンスクリーン剤は、そのカチオン電荷を考慮すると、ビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドを含む。
【0140】
所望であれば、本発明の組成物は、約1〜50、好ましくは約2〜45、最も好ましくは約5〜30の範囲の特定のSPF(紫外線防御指数)値を有するように製剤化することができる。SPF値の算出は、当技術分野で周知である。
【0141】
本発明の組成物は、光学的反射性材料に加えて、他の顔料、不活性粒子またはそれらの混合物をはじめとする粒子状材料を含有することができる。すべての粒子状材料に対する推奨範囲は、組成物の総重量に基づいて約0.01〜75%、好ましくは約0.5〜70%、より好ましくは約0.1〜65%である。組成物が顔料および粉末の混合物を含み得る場合には、好適な範囲としては約0.01〜75%の顔料および0.1〜75%の粉末が挙げられる(重量は組成物の総重量に基づく)。
【0142】
粒子状物質は有色または無色(例えば、白色)の非顔料化粉末であり得る。好適な非顔料化粉末としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルク粉末、絹雲母、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、またはそれらの混合物が挙げられる。上記の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、または各種の他の薬剤を単独で、または組み合わせて用いて、表面処理を施すことができ、それにより粉末表面がコーティングされ、粒子の性質がより親油性となる。
【0143】
粒子状材料は様々な有機および/または無機顔料を含み得る。一般的に、有機顔料は、D&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして表わされる、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノンおよびキサンチン色素をはじめとする様々な芳香族種である。有機顔料は一般的に、レーキと呼ばれる認定着色添加物の不溶性金属塩からなる。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム色素およびそれらの混合物が挙げられる。赤色、青色、黄色、褐色、黒色の酸化鉄およびそれらの混合物が好適である。一部の実施形態はメラニンを含む。
【0144】
組成物は組成物の総重量に基づいて0.001〜8%、好ましくは0.01〜6%、より好ましくは0.05〜5%の保存料を含むことができる。各種保存料が好適であり、例えば、安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベンジルパラベン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カプリリルグリコール、ヘキシレングリコール、ビグアニド誘導体、フェノキシエタノール、カプタン、二酢酸クロルヘキシジン、二グルコン酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p-クロロ-m-クレゾール、クロロフェン、クロロチモール、クロロキシレノール、m-クレゾール、o-クレゾール、DEDMヒダントイン、DEDMヒダントインジラウレート、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、二イセチオン酸ジブロモプロパミジン、DMDMヒダントインなどが含まれる。特定の好ましい実施形態では、組成物はエチルヘキシルグリセリン又はフェノキシエタノール/クロルフェネシン/グリセリン/ソルビン酸を含む。好ましい一実施形態では、組成物はパラベン不含である。
【0145】
本発明の組成物は、ビタミンおよび/または補酵素、ならびに抗酸化剤を含有することができる。その場合、組成物の総重量に基づいて0.001〜10%、好ましくは0.01〜8%、より好ましくは0.05〜5%が推奨される。好適なビタミンとしては、アスコルビン酸およびその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシルなど;ビタミンB、例えばチアミン、リボフラビン、ピリドキシンなど、ならびに補酵素、例えばピロリン酸チアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサールおよびテトラヒドロ葉酸などが挙げられる。また、ビタミンAおよびその誘導体も好適である。例としては、パルミチン酸レチノール、レチノール、レチノイン酸、ならびにβ-カロチンの形態のビタミンAがある。また、ビタミンEおよびその誘導体、例えば、ビタミンEアセテート、ニコチネートまたは他のそれらのエステルも好適である。さらに、ビタミンDおよびKも好適である。
【0146】
好適な抗酸化剤は、変敗(spoilage)の防止または遅延を促進する成分である。本発明の組成物での使用に好適な抗酸化剤の例としては、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、塩酸システイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなどがある。好ましい一実施形態では、組成物はテトラジブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチルを含有する。
【0147】
本発明は、本発明の組成物を皮膚に適用することによって改善するための、皮膚の処置をさらに含む。そのシステムは、本明細書において言及された形態で、スキンケアレジメンの一部として適用されうる。例えば、システムは、単独で、またはデイクリーム中に組み込まれて皮膚に適用されうる。システムは、皮膚のクレンジング後に適用されうる。システムは、スキンケア製品、例えばファンデーションもしくは他の着色化粧品などの下に、またはその上から皮膚に適用されてもよく、あるいはこのようなスキンケア製品中に組み込まれてもよい。
【0148】
本発明の乾燥した、処理された微粒子は、従来のマスカラのコーティングの適用後、または従来のマスカラの適用と適用との間に、清潔な乾いたまつげに適用されうる。本発明に従った処方は、様々な形態を取りうる。製剤は、従来のマスカラと類似しているが本発明に従って処理された繊維;すなわち、カチオン性コーティングを受けた繊維であり、任意選択で、フィルム形成剤を含有するコーティングを更に有し、最初のカチオン性コーティングとフィルム形成剤との間に1以上の介在コーティングを有するもしくは有さない繊維を含む、マスカラ組成物でありうる。本発明に従って処理された繊維を含有するマスカラの1回以上の塗布は、使用者の必要に応じてまつげのボリュームおよび長さを増加させるために、まつげに適用されうる。製剤はまた、水およびアルコールなどの親水性担体中にカチオン性コーティングされた繊維を含有する、着色したまたは無着色のワックス状またはゲル状の組成物の形態を取りうる。後者の製剤は、ボリュームおよび長さの増大をもたらすために清潔な乾いたまつげに適用され、任意選択で、その後、従来のマスカラが適用されうる。あるいは、ワックス状またはゲル状の処方は、従来のマスカラの被膜と被膜の間に適用されうる。本発明の製剤は、使用者のまつげのボリュームおよび長さを増大させるだけでなく、帯電した繊維の存在により、繊維を含有する従来の製品によって達成可能だったものより優れた耐久性(wear)をもたらすであろう。本発明の製剤が、まゆげまたは毛髪の充填剤(filler)としても使用されうることは、当業者にとって明白である。
【0149】
以下の実施例は、広範にわたるその範囲を限定することなく、本発明の様々な特定の実施形態をさらに説明する。
【実施例】
【0150】
[実施例1 処理された繊維の調製]
手順:
1. 150グラムのSplash Fiber II 7T 1mm繊維(Kobo Products, Inc.より入手可能)を、マイクロフルイダイザー(Glatt Air Techniques, 型番GPCG-1)の流動床に導入した。
2. 繊維を25%フラップ(flap)で、60℃の設定温度で流体化した。
3. 15 重量%ポリクオタニウム-6、70 重量%水および15 重量%変性アルコールを含有する150グラムの陽イオン性に帯電した溶液を、フルイダイザーの下部ポート(lower port)から、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で約19分間にわたり上部噴霧(top sprayed)した。繊維の凝集を最小限に抑えるために、噴霧を2回停止することにより、繊維を乾燥させ、再度流動を開始した。
4. 繊維を35分間60℃の流入空気で乾燥させた。10分間の製品温度の安定化後、温度を上昇させると、水分が除去されたことが示された。
5. 下記のような疎水性シリコーン:52.19 重量%メチルトリメチコン、35.4 重量%トリメチルケイ酸(trimethylsilicate)および12.41 重量%ジメチコンを含有する60グラムのフィルム形成剤溶液を、下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で約7分間にわたり上部噴霧した。
6. 繊維を15分間60℃の流入空気で乾燥させた。
7. 共焦点分析から、繊維の被覆が完了したことが確認された。
【0151】
[実施例2 処理された繊維に対する毛髪の誘引]
手順:
1. それぞれ1.36グラムおよび1.68グラムの重さの第一および第二の毛髪スワッチを、対照繊維(ナイロン-6(および)黒色酸化鉄(および)シリカ、Kobo Products, Inc.からSPLASH FIBER II 7T-2MMとして入手可能)または実施例1のように調製された被覆された繊維のいずれかが入っている別々の容器に導入した。
2. 約2分後、それぞれの毛髪スワッチをそれぞれの容器から取り出し、再度重量を測定した。
【0152】
結果:
対照繊維が入っている容器に導入したスワッチは1.36グラムの重さのままであったが、処理された繊維が入っている容器に導入された毛髪スワッチは1.70グラムの重さであったことが観察され、その毛髪スワッチが0.02グラムの処理された繊維を誘引したことを示している。
【0153】
[実施例3 処理された繊維の調製]
手順:
1. 300グラムのSilk Cotton PW繊維(Kobo Products, Inc.より入手可能)をマイクロフルイダイザーの流動床に導入した。
2. 繊維を25%フラップで、20℃の設定温度で流体化した。
3. 15 重量%ポリクオタニウム-6、70 重量%水および15 重量%変性アルコールを含有する300グラムの陽イオン性に帯電した溶液を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で約40分間にわたり上部噴霧した。
4. 繊維を50分間60℃の流入空気で乾燥させた。10分間の製品温度の安定化後、温度を上昇させると、水分が除去されたことを示した。
5. 300グラムの親水性フィルム形成剤の分散液、すなわち水中のポリウレタン-35(水中の41 重量%ポリウレタン、CovestroからBaycusan C 1004として入手可能)を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で38分間にわたり上部噴霧した。
6. 繊維を50分間60℃の流入空気で乾燥させた。
7. 共焦点分析から、繊維の被覆が完了したことが確認された。
【0154】
[実施例4 繊維の水への分散性]
手順:
1. それぞれ5グラムの、実施例3の処理されたSilk Cotton PW繊維、実施例3に用いられた陽イオン性に帯電した物質のみで被覆されたSilk Cotton PW繊維、および未処理の対照Silk Cotton PW繊維を、それぞれ50 mlの水が入っている別々の容器中で分散させた。
2. 10分後、2回被覆されたSilk Cotton PW繊維は二相として現れ;疎水性の繊維は水分散性ではなく、水の表面に浮かぶことが観察された。陽イオン性に帯電したコーティングのみを受けた繊維は部分的に分散性であり、一部の繊維は容器の底に沈んだ。対照繊維は、水を吸収して、容器の底に沈んだ。
【0155】
[実施例5 処理された繊維の調製]
手順:
1. 200グラムのSplash Fiber II 7T 1mmをフルイダイザーの流動床に導入した。
2. 繊維を25%フラップで、20℃の設定温度で流体化した。
3. 15重量%ポリクオタニウム-6、70重量%水および15重量%変性アルコールを含有する100グラムの陽イオン性に帯電した溶液を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で、繊維の凝集が観察され、流体化が失われるまで、上部噴霧した。
4. 流体化が回復するまで、十分な水分を除去するために、繊維を15分間60℃の流入空気で乾燥させた。流入空気は残りの工程の間、そのままであった。
5. 15重量%ポリクオタニウム-6、70重量%水および15重量%変性アルコールを含有するさらに100グラムの陽イオン性に帯電した溶液を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で、繊維の凝集が観察され、流体化が失われるまで、上部噴霧した。
6. 繊維をその後50分間60℃の流入空気で乾燥させた。
7. 200グラムの親水性フィルム形成剤の分散液、水中のポリウレタン-35(CovestroからBaycusan C 1004として入手可能)を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および30 rpmのポンプ速度で20分間にわたって、有意な凝集が観察されない状態で、上部噴霧した。
8. 繊維を50分間60℃で乾燥させた。
9. 共焦点分析から、繊維の被覆が完了したことが確認された。
【0156】
[実施例6 処理された繊維の調製]
手順:
1. 100グラムのNFBL-10D-1R((ナイロン-6(および)酸化鉄(および)トリエトキシカプリリルシラン(triethoxycapryl silane)(および)シリカ、Kobo Products, Inc.より入手可能))をフルイダイザーの流動床に導入した。
2. 繊維を25%フラップで、20℃の設定温度で流体化した。
3. 15重量%ポリクオタニウム-6、70重量%水および15重量%変性アルコールを含有する100グラムの陽イオン性に帯電した溶液を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および10 rpmのポンプ速度で、繊維が凝集することが観察され、流体化が失われるまで上部噴霧した。
4. 流体化が回復するまで十分な水分を除去するために、繊維を15分間60℃の流入空気で乾燥させた。流入空気は残りの工程の間、そのままであった。
5. 59.46重量%トリシロキサン、20.27重量%ジメチコンおよび20.27重量%トリメチルシロキシケイ酸の混合物を含有する100グラムのフィルム形成剤溶液を、フルイダイザーの下部ポートから、2.5 barの噴霧空気圧および5 rpmのポンプ速度で、20分間にわたって、顕著な凝集が観察されない状態で、上部噴霧した。
6. 繊維を50分間60℃で乾燥させた。
7. 共焦点分析から、繊維の被覆が完了したことが確認された。処理された繊維のゼータ電位(Brookhaven Instruments, model NanoBrook Omni 28001,分光光度計によって測定)は、143 mVであることが測定された。
【0157】
[実施例7 処理された繊維の調製]
手順:
フィルム形成剤溶液が59.1重量%トリシロキサン、18.43重量%ジメチコン、21.87重量%トリメチルシロキシケイ酸および0.6重量%ポリグリセリル-3シロキサンジメチコンの混合物を含有したことを除いて、実施例6を繰り返した。
【0158】
[実施例8 処理された繊維の調製]
手順:
15重量%ポリクオタニウム-6、70重量%水および15重量%変性アルコールを含有する25重量%の陽イオン性に帯電した溶液を繊維に噴霧したことを除いて、実施例6を繰り返した。陽イオン性に帯電した繊維に、59.46重量%トリシロキサン、20.27重量%ジメチコン、および20.27重量%トリメチルシロキシケイ酸を含有する5重量%のフィルム形成剤溶液を噴霧した。処理された繊維のゼータ電位は、79 mVであることが測定された。
【0159】
[実施例9 処理された繊維の調製]
手順:
陽イオン性に帯電した繊維に、59.46重量%トリシロキサン、20.27重量%ジメチコンおよび20.27重量%トリメチルシロキシケイ酸を含有する7.5重量%のフィルム形成剤溶液を噴霧したことを除いて、実施例8を繰り返した。処理された繊維のゼータ電位は、59 mVであることが測定された。
【0160】
[実施例10 処理された繊維の調製]
手順:
陽イオン性に帯電した繊維に、59.46重量%トリシロキサン、20.27重量%ジメチコンおよび20.27重量%トリメチルシロキシケイ酸を含有する3.75重量%のフィルム形成剤溶液を噴霧したことを除いて、実施例8を繰り返した。
【0161】
[実施例11 処理された繊維の調製]
手順:
フィルム形成剤溶液でのコーティングの前に、カチオン性コーティングされた繊維にブドウ種子エキスの0.1重量パーセント水溶液の介在コーティングを噴霧したことを除いて、実施例6の工程を繰り返した。
【0162】
[実施例12 処理された繊維の調製]
手順:
最初のカチオン性コーティングが、60.7重量%の水、0.1重量%ヒドロキシエチルセルロースおよび39重量%を含有する水性ゲル中に0.2グラムの粉末状の鉄(FeO)を含有したことを除いて、実施例6の工程を繰り返した。
【0163】
[実施例13 ゲル状の処理された繊維を含有する製剤]
【表1】
【0164】
手順:
1. シーケンス1の成分を主ビーカー中で、35℃で1時間撹拌しながら混合した。
2. シーケンス2の成分を主ビーカーに加え、ホモジナイザーを用いて室温で20分間、バッチを混合した。
3. シーケンス3およびシーケンス4の成分を主ビーカーに加え、ホモジナイザーを用いて10分間、バッチを混合した。
4. シーケンス5の成分を主ビーカーに加え、ホモジナイザーを用いて10分間、バッチを混合した。
【0165】
[実施例14 処理された繊維を含有しているマスカラ処方]
【表2】
【0166】
手順:
1. シーケンス1の成分を主ビーカー中で、45℃で20分間混合した。
2. シーケンス2の成分を別ビーカーに加え、プロペラを用いて室温で溶解するまで混合した。
3. シーケンス3の成分を別ビーカーに加え、プロペラを用いて45℃で20分間混合した。
4. シーケンス3、4および5の成分を別ビーカーに加え、20分間室温でホモジナイズした。
5. ステップ2および4の成分を混合しながら主ビーカーに加えた。
6. シーケンス6および7の成分を、室温で溶解するまで、別ビーカー中で混合し、その後主ビーカーに加えた。
7. シーケンス8の成分を主ビーカーに加え、5分間混合しながら主ビーカーを85℃まで加熱した。
8. ビーカー温度を85℃に維持しながらシーケンス9の成分を主ビーカーに加え、5分間混合した。
9. 90℃に加熱しながらシーケンス10の成分を別ビーカーに加え、均一になるまでプロペラ混合した。
10. 均一に混合し、主ビーカーの温度を85〜90℃に維持しながら、空気を取り込まないようにステップ9のバッチをゆっくり主ビーカーに注いだ。
11. シーケンス11の成分を用いて、シーケンス10の残存成分を含むビーカーをすすいだ。
12. シーケンス12の成分を室温で溶解して透明になるまで混合し、その後主ビーカーに加えた。
13. シーケンス13の成分を均一になるまで混合し、その後主ビーカーに加えた。
14. シーケンス14の成分を混合しながら主ビーカーに加えた。
15. シーケンス15の成分を混合しながら主ビーカーに加えた。
16. シーケンス16の成分を均一になるまで混合し、その後混合物を主ビーカーに加えた。
17. 5分間混合しながら、シーケンス17の成分を個別に主ビーカーに加えた。
18. 10分間連続混合しながら、シーケンス18の成分を主ビーカーに加えた。
【0167】
[実施例15 処理された繊維の共焦点顕微鏡法による評価]
手順:
A.
1. 0.02重量%フルオレセインナトリウム塩を、15重量%ポリクオタニウム-6、70重量%水および15重量%アルコールを含有する99.98重量%のカチオン性コーティング溶液に加えた。その溶液を用いて、100グラムのNFBL-10D 1R繊維を、上述の手順に従ってマイクロフルイダイザー内でスプレーコーティングした。
2. 繊維上のコーティングの均一性を評価するために、透過光(約300 nm)およびレーザー光(約488 nm)をそれぞれ用いた共焦点顕微鏡下で、被覆された繊維の0.02グラムのサンプルを観察した。レーザー光のもとで、すべての繊維の周囲面全体が蛍光を発することが観察され、それぞれの繊維がカチオン性コーティングによって完全にカプセル化されたことを示している。透過光のもとでは蛍光は観察されなかった。
【0168】
B.
1. ステップA1を繰り返した。
2. カチオン性コーティングされた繊維に、その後、3重量%のシリコーン混合物(52.19 重量%メチルトリメチコン、35.4重量%トリメチルシロキシケイ酸および12.41重量%ジメチコン)を含有するコーティングを噴霧した。
3. 繊維上のカチオン性コーティングの均一性を評価し、シリコーン混合物がフルオレセインの照射を可能にするか遮断するかを確認するために、透過光およびレーザー光をそれぞれを用いた共焦点顕微鏡下で、被覆された繊維の0.02グラムのサンプルを観察した。レーザー光のもとでは、それぞれの繊維の周囲面全体が蛍光を発することが観察され、カチオン性コーティングが均一のままであったことを示している。
【0169】
C.
1. ステップA1を繰り返した。
2. カチオン性コーティングされた繊維を、3000 rpmの遠心分離機において、水中で毎回30分間、20回洗浄し、その後、50℃のインキュベーター内で一晩乾燥させた。
3. 繊維上のカチオン性コーティングの均一性を評価するために、透過光およびレーザー光をそれぞれ用いた共焦点顕微鏡下で、カチオン性コーティングされた繊維の0.02グラムのサンプルを観察した。レーザー光のもとで、蛍光の欠如によって観察し、すべてのカチオン性コーティングが繊維から除去されたことが確認された。
【0170】
D.
1. カチオン性コーティングされた繊維を1回だけ洗浄して乾燥させたことを除いて、ステップC1および2を繰り返した。
2. 洗浄した繊維を、その後、52.19重量%メチルトリメチコン、35.4重量%トリメチルシロキシケイ酸および12.41重量%ジメチコンを含有する3重量%のシリコーン混合物によってスプレーコーティングした。
3. ステップ2の繊維を、その後、上述のように20回洗浄し、その後、乾燥させた。
4. 繊維上のカチオン性コーティングの均一性を評価するために、透過光およびレーザー光をそれぞれ用いた共焦点顕微鏡下で、カチオン性コーティングされた繊維の0.02グラムのサンプルを観察した。レーザー光のもとでのそれぞれの繊維の周辺全体の照射の観察から、それぞれの繊維がカチオン性物質で完全に被覆されたままであったことが確認された。シリコーンコーティングは、カチオン性コーティングで繊維を密封しただけでなく、繊維を耐水性にした。
【0171】
[実施例16 未処理の(帯電していない)繊維およびフィルム形成剤で被覆された陽イオン性に帯電した繊維]
1. 1〜2グラムの未処理の繊維(nylon-6: NFCB-10D-1R 1mm - ナイロン繊維/ FDA認証カーボンブラック/10デニール/1mm/円形、Daito Kasei Kogyo Co. Ltd.から入手可能)は、スパチュラを用いて、ワイパーを備えたチューブに緩く詰め、ブラシが付いたキャップをチューブに取り付けた。1〜2グラムの陽イオン性に帯電した繊維(Daito Kasei Kogyo Co. Ltd.から入手したnylon-6: NFCB-10D-1R 1mm - ナイロン繊維/ FDA認証カーボンブラック/10デニール/1mm/円形)を、次にポリクオタニウム-6でカプセル化し、その後さらに、トリシロキサン中のジメチコンおよびトリメチルシロキシケイ酸/ポリグリセリル-3シロキサンジメチコンの親水性フィルム形成剤コーティングで処理し、スパチュラを用いて、ワイパーを備えた別のチューブに緩く詰め、ブラシが付いたキャップをチューブに取り付けた。
2. その後、それぞれのキャップをそれぞれのチューブから取り外し、繊維が付いたそれぞれのチューブのブラシを、別々の何もない白紙の上でワイパーを通して引き抜いた。
3.
図1は、最初は何もなかった白紙の上に散乱した繊維を示す。未処理の繊維は、それら自体電荷を帯びていない;しかし、繊維が付いたブラシが、ワイパーを通してチューブから引き抜かれた際、ワイパーを通して動くブラシによって生じる摩擦が、ブラシに静電気(すなわち相対的に負の電荷)を帯びさせた。ブラシの毛に捕捉されているこれまで帯電していなかった未処理の繊維もまた、大気から負電荷を引き付けることによって負に帯電するようになった。静電気を帯びた繊維は、ブラシとだけでなく互いに反発した。さらに、引き抜いた後、ブラシはチューブに完全に戻すことができないことが観察された。ブラシを引き抜く前には、繊維は、チューブの中のブラシの周りに互いに緩く絡み合っていた。負に帯電したブラシを、ワイパーを通してチューブ内に戻すと、絡み合った繊維がチューブの底に圧縮され、ブラシは再度繊維を付けることができなくなった。
4. 本発明のフィルム形成剤で被覆され、陽イオン性に帯電した繊維は、ブラシをチューブから引き抜いた際、ブラシから紙上に散らばらず、ブラシの毛に捉えられたままだったため、
図2は何もない紙を示す。ワイパーを通して動くブラシによって起こる摩擦は、ブラシに静電気(すなわち相対的に負の電荷)を帯びさせ、本発明のフィルム形成剤で被覆され、陽イオン性に帯電した繊維もまた、大気から負電荷を獲得したが、繊維上の正と負の電荷はすぐに互いを相殺した。結果として、繊維は互いに反発しなかった。繊維上の静電荷が消えたため、陽イオン性に帯電した繊維は、負に帯電したブラシに付着した。チューブ内の被覆された、陽イオン性に帯電した繊維は凝集せず、または圧縮されなかったため、ブラシはチューブ内に容易に再挿入された。
【0172】
[実施例17 まつげに適用された未処理の(非荷電)繊維および被覆され、陽イオン性に帯電した繊維]
1. 実施例16に示されたように、未処理の繊維およびフィルム形成剤で被覆され、陽イオン性に帯電した繊維を緩く詰めた別々のチューブを用意した。
2. パネリストは、両目のまつげに市販の(耐水性でない)マスカラを下塗りした。
3. パネリストは、その後ただちに、マスカラがまだ粘着性である間に、ブラシアプリケーターを用いて、右目のマスカラを塗ったまつげに未処理の繊維を適用した。パネリストは、次に、マスカラがまだ粘着性である間に、ブラシアプリケーターを用いて、左目のまつげにフィルム形成剤で被覆され、陽イオン性に帯電した繊維を適用した。パネリストは、未処理の繊維は適用しにくく、適用中に頬に落ち始めることを指摘した。
図3に示されるように、一部の繊維はまつげに付着したが、繊維はまた周囲に飛び散り、約90本の繊維が右頬や鼻の右側の皮膚上で数えらえた。一方、被覆された陽イオン性に帯電した繊維は、円滑で容易に適用され、まつげによく付着した。上記の実施例16において議論されたように、未処理の繊維は、それらを互いに反発させる静電荷を帯び、ブラシにもまつげにもあまりよく付着しなかったが、一方、本発明の正に帯電した繊維は、静電荷(すなわち負電荷)を帯びたブラシおよび負に帯電したまつげに付着した。
4. その後、すべての落ちた繊維を、頬および鼻を含む両目の下の領域からきれいに拭い取った。
5. マスカラを塗ったまつげへの繊維の最初の適用から1時間後、
図4に示されるように、右目の下の頬の皮膚上に、約30本の未処理の繊維が観察された。加えて、目の刺激が報告された。一方、本発明のフィルム形成剤で被覆された陽イオン性に帯電した繊維は、まつげに付着したままであった。
図5に示されるように、左目の下の領域にはわずか2本の繊維しか落ちなかったことが観察された。
【0173】
本発明は、実施形態および特徴に関して、本明細書において様々な形で開示されたが、本明細書において上述された実施形態および特徴は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、当業者には、他の変更、改変および他の実施形態が示唆されることが理解されるであろう。したがって、本発明は、広義に解釈され、下記の特許請求の範囲と合致するものである。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] 角質表面に適用するための組成物であって、第一の物質を含む第一の内部コーティング中、及び第二の物質を含む第二の外部コーティング中にカプセル化された微粒子を化粧品として許容される担体中に含有し、第一のコーティングは約0.1 mV〜約400 mVの範囲のカチオン電荷を微粒子に与えるのに十分な量の陽イオン性に帯電した物質を含み、第二のコーティングは微粒子を疎水性にするのに十分な量のフィルム形成物質を含む、上記組成物。
[2] カプセル化された微粒子が、約60 mV〜約150 mVの範囲のカチオン電荷を有する、[1]に記載の組成物。
[3] 陽イオン性に帯電した物質が、天然由来または合成のカチオン性ポリマーを含む、[1]に記載の組成物。
[4] 天然由来のカチオン性ポリマーが、グアーガム、セルロース、タンパク質、ポリペプチド、キトサン、ラノリン、またはデンプンの少なくとも1種のカチオン性に電荷修飾された誘導体を含む、[3]に記載の組成物。
[5] 合成のカチオン性ポリマーが、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ジステアリルジモニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、及びグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、または任意のその2種以上の組合せを含む、[3]に記載の組成物。
[6] 合成のカチオン性ポリマーがポリクオタニウム-6を含む、[5]に記載の組成物。
[7] 陽イオン性に帯電した物質が酸化鉄を含む、[1]に記載の組成物。
[8] フィルム形成物質が、シリコーン、アクリレーツポリマー(acrylates polymer)、アクリレーツコポリマー(acrylates copolymer)、ポリビニルピロリドン(PVP)誘導体、ポリウレタン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、イソ酪酸酢酸スクロース(sucrose acetate isobutyrate)、または任意のその2種以上の組合せを含む、[1]に記載の組成物。
[9] フィルム形成物質が、ジメチコンおよびトリメチルシロキシケイ酸;ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、およびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン;またはポリウレタンを含む、[8]に記載の組成物。
[10] カプセル化された微粒子が、上記第二コーティングの下に少なくとも1つの追加コーティングを受け、該追加コーティングがカチオン性物質、アニオン性物質、またはその両方を含み、カプセル化された微粒子が約0.1 mV〜約400 mVの範囲のカチオン電荷を保持する、[1]に記載の組成物。
[11] 微粒子が、天然由来の粉末微粒子、繊維、またはその組合せの形態である、[1]に記載の組成物。
[12] 微粒子が、セルロース、セルロース系物質、ポリ乳酸、または任意のその2種以上の組合せに由来する、[11]に記載の組成物。
[13] セルロース系物質が、セルロース(および)ステアリン酸マグネシウム、綿、リネン、レーヨン、または任意のその2種以上の組合せを含む、[12]に記載の組成物。
[14] 微粒子が、約1マイクロメートル〜約4ミリメートルの範囲の長さ、および約3〜約20デニールの範囲の重さを有する繊維の形態である、[11]に記載の組成物。
[15] 繊維が、約1〜2ミリメートルの範囲の長さ、および約5〜約10デニールの範囲の重さを有する、[14]に記載の組成物。
[16] 繊維が、円形、楕円形、三角形、六角形、ハート型、星型、または任意のその2種以上の組合せである断面形状を有する、[14]に記載の組成物。
[17] カプセル化された微粒子が、組成物の総重量の約0.1〜約4パーセントの範囲で組成物中に存在する、[1]に記載の組成物。
[18] 含水溶液、分散液またはエマルジョンの形態である、[1]に記載の組成物。
[19] マスカラ、まゆげ充填剤または毛髪充填剤の形態である、[1]に記載の組成物。
[20] 陽イオン性に帯電した物質を含む第一の内部コーティング中、及び疎水性フィルム形成物質を含む第二の外部コーティング中にカプセル化された処理された微粒子であって、陽イオン性に帯電した物質が約0.1 mV〜約400 mVの範囲のカチオン電荷を処理された微粒子に与えるのに十分な量で存在する、処理された微粒子。