特許第6871273号(P6871273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871273エアロゾル送達装置ならびにその関連機器およびその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871273
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】エアロゾル送達装置ならびにその関連機器およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20210426BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20210426BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20210426BHJP
【FI】
   A24F40/44
   A24F40/10
   A24F40/46
【請求項の数】27
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-555118(P2018-555118)
(86)(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公表番号】特表2019-515675(P2019-515675A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】IB2017052260
(87)【国際公開番号】WO2017182971
(87)【国際公開日】20171026
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】15/133,916
(32)【優先日】2016年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サー,ラジェッシュ
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0060554(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0007652(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0181650(US,A1)
【文献】 特表2008−535530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
制御本体と、
制御本体と直列に係合され、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源を含み、ユーザに口元開口を通ってエアロゾルを導くように構成された口元開口を画定するカートリッジと、
エアロゾル前駆体源と口元開口との間で動作可能にカートリッジと係合されたヒータ装置であって、ヒータ装置が、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含み、熱伝導性基板が、内部チャネルを画定する中空円筒として構成され、炭素要素が中空円筒の外面と係合され、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成するヒータ装置と、
エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置であって、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から、内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている送達装置とを含み、
中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って口元開口に向けて分配されるように、少なくとも1つの細孔が構成および配置されているエアロゾル送達装置。
【請求項2】
導電性炭素要素が、導電性グラフェン要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
導電性炭素要素が、導電性正方形グラフェンシートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
炭素要素と係合された電気回路を含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
熱伝導性基板が、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
熱伝導性基板が、カートリッジの長手方向軸に垂直に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
炭素要素が、中空円筒の外面の周りに部分的に延び、炭素要素と係合していない中空円筒の残りの表面が、口元開口に向けられるようにする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
毛細管が、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
炭素要素が、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
エアロゾル形成機器であって、
エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、
熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置であって、熱伝導性基板が、内部チャネルを画定する中空円筒として構成され、炭素要素が中空円筒の外面と係合され、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成するヒータ装置と、
エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置であって、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から、内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている送達装置とを含み、
中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って分配されるように、少なくとも1つの細孔が構成および配置されているエアロゾル形成機器。
【請求項11】
導電性炭素要素が、導電性グラフェン要素を含む、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
導電性炭素要素が、導電性正方形グラフェンシートを含む、請求項10に記載の機器。
【請求項13】
炭素要素と係合された電気回路を含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である、請求項10に記載の機器。
【請求項14】
熱伝導性基板が、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む、請求項10に記載の機器。
【請求項15】
炭素要素が、中空円筒の外面の周りに部分的に延びている、請求項10に記載の機器。
【請求項16】
毛細管が、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている、請求項10に記載の機器。
【請求項17】
炭素要素が、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成されている、請求項10に記載の機器。
【請求項18】
エアロゾル送達装置の形成方法であって、
エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを動作可能に係合することを含み、ここで熱伝導性基板が、内部チャネルを画定する中空円筒として構成され、中空円筒の外面と係合された炭素要素を有し、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成し、さらに、
エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に送達装置を動作可能に係合することを含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から、内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成され、
中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って分配されるように、少なくとも1つの細孔が配置されているエアロゾル送達装置の形成方法。
【請求項19】
エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、導電性グラフェン要素を含む導電性炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、導電性正方形グラフェンシートを含む導電性炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
電気回路と炭素要素とを係合することを含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む熱伝導性基板を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
炭素要素と中空円筒の外面とを係合し、炭素要素が中空円筒の外面の周りに部分的に延びるようにすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
エアロゾル前駆体源と流体連通する毛細管を係合することを含み、毛細管が、中空円筒の内部チャネル内に延びて、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成された炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
制御本体と、エアロゾル前駆体源を収容するカートリッジとを直列に係合することと、ユーザに口元開口を通ってエアロゾルを導くように構成された口元開口を画定することとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
ヒータ装置とカートリッジとを係合し、熱伝導性基板がカートリッジの長手方向軸に垂直に配置されるようにすることを含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙品などのエアロゾル送達装置に関し、さらに具体的には、エアロゾルの生成のために電気的に生成された熱を利用してもよいエアロゾル送達装置(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙品)に関する。喫煙品は、タバコから製造され得るか、タバコに由来し得るか、そうでなければタバコを組み込み得る材料を組み込んでもよいエアロゾル前駆体を加熱するように構成されてもよく、前駆体は人間が消費するための吸入可能な物質を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼することを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、多くの喫煙装置が長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように設計されているが、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達することはないと言われている。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、タバコをかなりの程度燃焼することなく紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供しようとする多くの喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器が提案されている。例えば、Robinsonらの米国特許第7726320号明細書、Griffith Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書、Searsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に述べられている背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および発熱源を参照されたい。また、例えば、2014年2月3日に出願されたBlessらの米国特許出願番号第14/170,838号明細書に記載の商品名および商業的供給源によって参照される様々なタイプの喫煙品、エアロゾル送達装置および電気式発熱源を参照されたい。
【0003】
そのようなタイプの喫煙品、エアロゾル送達装置および電気式発熱源の改良が望ましい場合がある。例えば、エアロゾル前駆体を揮発させてエアロゾルを形成するために実施されるエアロゾル前駆体と加熱要素との間の直接の係合または物理的接触を避けることが望ましい場合がある。このように、エアロゾル前駆体を分配するための装置/機器に関連する炭化または他の熱関連の懸念を低減または排除することができる。さらに、エアロゾル前駆体と炭素要素との間の相互作用に関連する問題、例えば短絡、侵食、蓄積、炭化または他の問題も低減または排除することができる。さらに、そのようなタイプの喫煙品、エアロゾル送達装置および電気式発熱源が、電源寿命を向上するために、改善された(少ない)電力消費で迅速な加熱/熱応答時間を示すことが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7726320号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、エアロゾル送達装置、そのような装置の形成方法およびそのような装置の要素に関する。さらに詳細には、一態様では制御本体およびそれと直列に係合されたカートリッジを含むエアロゾル送達装置を提供する本開示の態様によって、上述およびその他の必要性は満たされ、カートリッジは、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源を含み、ユーザにエアロゾルを導くように構成された口元開口を画定する。ヒータ装置は、カートリッジと動作可能に係合され、ヒータ装置は、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含む。ヒータ装置は、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体は、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成する。
【0006】
本開示の別の態様は、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを含むエアロゾル形成機器を提供する。ヒータ装置は、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体は、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成する。
【0007】
本開示のさらなる態様は、エアロゾル送達装置の形成方法を提供する。このような方法は、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを動作可能に係合することを含み、ヒータ装置は、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体は、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成する。
【0008】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0009】
実施形態1:エアロゾル送達装置であって、制御本体と、制御本体と直列に係合され、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源を含み、ユーザにエアロゾルを導くように構成された口元開口を画定するカートリッジと、エアロゾル前駆体源と口元開口との間で動作可能にカートリッジと係合されたヒータ装置とを含み、ヒータ装置が、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含み、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成するエアロゾル送達装置。
【0010】
実施形態2:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置を含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている装置。
【0011】
実施形態3:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、導電性炭素要素が導電性グラフェン要素を含む装置。
【0012】
実施形態4:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、導電性炭素要素が導電性正方形グラフェンシートを含む装置。
【0013】
実施形態5:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、炭素要素と係合された電気回路を含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である装置。
【0014】
実施形態6:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、エアロゾル前駆体源が、熱伝導性基板の表面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成され、熱伝導性基板の表面が、炭素要素に対向し、口元開口に向けられている装置。
【0015】
実施形態7:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、送達装置が、ポンプ機器またはウィック構成を含む装置。
【0016】
実施形態8:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、熱伝導性基板が、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む装置。
【0017】
実施形態9:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、炭素要素が、熱伝導性基板の2つの層の間に配置されている装置。
【0018】
実施形態10:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、熱伝導性基板が、カートリッジの長手方向軸に垂直に配置されている装置。
【0019】
実施形態11:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、熱伝導性基板が、内部チャネルを画定する中空円筒として構成され、炭素要素が中空円筒の外面と係合されている装置。
【0020】
実施態様12:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、炭素要素が中空円筒の外面の周りに部分的に延び、炭素要素と係合していない中空円筒の残りの表面が口元開口に向けられるようにする装置。
【0021】
実施形態13:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、炭素要素が、熱伝導性基板の2つの同心の中空円筒の間に配置されている装置。
【0022】
実施形態14:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置を含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている装置。
【0023】
実施形態15:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、毛細管が、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている装置。
【0024】
実施形態16:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って口元開口に向けて分配されるように、少なくとも1つの細孔が構成および配置されている装置。
【0025】
実施形態17:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの装置であって、炭素要素が、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成されている装置。
【0026】
実施形態18:エアロゾル形成機器であって、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを含み、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成するエアロゾル形成機器。
【0027】
実施形態19:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置を含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている機器。
【0028】
実施形態20:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、導電性炭素要素が導電性グラフェン要素を含む機器。
【0029】
実施形態21:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、導電性炭素要素が導電性正方形グラフェンシートを含む機器。
【0030】
実施態様22:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、炭素要素と係合された電気回路を含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である機器。
【0031】
実施形態23:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、エアロゾル前駆体源が、熱伝導性基板の表面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成され、熱伝導性基板の表面が、炭素要素に対向している機器。
【0032】
実施形態24:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、送達装置が、ポンプ機器またはウィック構成を含む機器。
【0033】
実施形態25:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、熱伝導性基板が、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む機器。
【0034】
実施形態26:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、炭素要素が、熱伝導性基板の2つの層の間に配置されている機器。
【0035】
実施形態27:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、熱伝導性基板が、内部チャネルを画定する中空円筒として構成され、炭素要素が中空円筒の外面と係合されている機器。
【0036】
実施形態28:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、炭素要素が中空円筒の外面の周りに部分的に延びている機器。
【0037】
実施形態29:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、炭素要素が、熱伝導性基板の2つの同心の中空円筒の間に配置されている機器。
【0038】
実施形態30:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に動作可能に係合された送達装置を含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている機器。
【0039】
実施形態31:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、毛細管が、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている機器。
【0040】
実施形態32:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って分配されるように、少なくとも1つの細孔が構成および配置されている機器。
【0041】
実施形態33:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの機器であって、炭素要素が、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成されている機器。
【0042】
実施形態34:エアロゾル送達装置の形成方法であって、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを動作可能に係合することを含み、ヒータ装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成するエアロゾル送達装置の形成方法。
【0043】
実施形態35:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に送達装置を動作可能に係合することを含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている方法。
【0044】
実施形態36:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、導電性グラフェン要素を含む導電性炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0045】
実施形態37:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、導電性正方形グラフェンシートを含む導電性炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0046】
実施形態38:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、電気回路と炭素要素とを係合することを含み、炭素要素が、電気回路からの電流の印加に応答して熱を生成するように構成された抵抗素子である方法。
【0047】
実施形態39:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合し、エアロゾル前駆体源が、熱伝導性基板の表面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されるようにすることを含み、熱伝導性基板の表面が炭素要素に対向している方法。
【0048】
実施形態40:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、送達装置を動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に、ポンプ機器またはウィック構成を含む送達装置を動作可能に係合することを含む方法。
【0049】
実施形態41:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料または熱伝導性複合材料を含む熱伝導性基板を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0050】
実施形態42:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板の2つの層の間に配置された炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0051】
実施形態43:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、内部チャネルを画定する中空円筒として構成された熱伝導性基板を有し、中空円筒の外面と係合された炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0052】
実施形態44:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、炭素要素と中空円筒の外面とを係合し、炭素要素が中空円筒の外面の周りに部分的に延びるようにすることを含む方法。
【0053】
実施形態45:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板の2つの同心の中空円筒の間に配置された炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0054】
実施形態46:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源と熱伝導性基板との間に送達装置を動作可能に係合することを含み、送達装置が、エアロゾル前駆体源と流体連通し、中空円筒の内部チャネル内に延びる毛細管であり、送達装置が、エアロゾル前駆体源から内部チャネル内の熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を送達するように構成されている方法。
【0055】
実施形態47:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源と流体連通する毛細管を係合することを含み、毛細管が、中空円筒の内部チャネル内に延びて、エアロゾル前駆体源からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部を介して、内部チャネルを画定する中空円筒の内面上にエアロゾル前駆体を分配するように構成されている方法。
【0056】
実施形態48:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、中空円筒が、内部チャネルから外面まで延びる少なくとも1つの細孔を画定するように構成され、方法が、少なくとも1つの細孔を配置し、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答して、中空円筒の内面上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔を通って分配されるようにすることを含む方法。
【0057】
実施形態49:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、エアロゾル前駆体源とヒータ装置とを動作可能に係合することが、エアロゾル前駆体源と、3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように構成された炭素要素を有するヒータ装置とを動作可能に係合することを含む方法。
【0058】
実施形態50:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、制御本体と、エアロゾル前駆体源を収容するカートリッジとを直列に係合することと、ユーザにエアロゾルを導くように構成された口元開口を画定することとを含む方法。
【0059】
実施形態51:先行もしくは後続のいずれかの実施形態またはそれらの組合せの方法であって、ヒータ装置とカートリッジとを係合し、熱伝導性基板がカートリッジの長手方向軸に垂直に配置されるようにすることを含む方法。
【0060】
本開示のこれらならびに他の特徴、態様および利点は、以下に簡略に描かれた添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、そのような特徴または要素が明示的に結合されているか、そうでなければ本明細書の特定の実施形態の説明または特許請求の範囲で列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に述べられているか、請求項のうちいずれか1つ以上に列挙されている2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が意図された通りに見え、すなわち組合せ可能であるように全体的に読み取られることを意図している。
【0061】
本開示を上述の一般的な用語で説明しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本開示の様々な実施形態による、エアロゾル送達装置に利用され得る様々な要素を含むカートリッジおよび制御本体を含むエアロゾル送達装置の部分切取図である。
図2】本開示の様々な実施形態による、エアロゾル形成機器の態様を概略的に示す図である。
図3】本開示の様々な実施形態による、エアロゾル形成機器の態様を概略的に示す図である。
図4】本開示の様々な実施形態による、エアロゾル形成機器の態様を概略的に示す図である。
図5】本開示の一実施形態による、中空円筒構成を有するエアロゾル形成機器を概略的に示す図である。
図6】本開示の実施形態による、エアロゾル送達装置と係合されたエアロゾル形成機器を概略的に示す図である。
図7】本開示の一実施形態による、エアロゾル送達装置の形成方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示は、以下、その例示的な実施形態を参照して、さらに詳細に説明される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように説明される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に述べる実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、前後関係が他に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0064】
以下に説明されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、吸入可能な物質を形成するために、電気エネルギーを使用して(好ましくは、材料をかなりの程度燃焼させることなく、および/または材料を著しく化学変化させることなく)材料を加熱し、そのようなシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち式装置と見なされるのに十分に小型の物品の形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素を使用しても(すなわち、タバコの燃焼または熱分解の副産物から)煙が生成されず、むしろそれらの好ましいシステムを使用すると、その中に組み込まれた特定の成分の揮発または気化に起因する蒸気が生成される。好ましい実施形態では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられてもよく、これらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコおよび/またはタバコに由来する成分を組み込み、ひいてはエアロゾル形態のタバコ由来成分を送達する。
【0065】
特定の好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル生成部品は、そのいかなる成分も実質的に燃焼することなく、タバコを点火し燃焼させることによって(ひいては、タバコの煙を吸い込むことによって)使用される紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという数々の感覚(例えば、吸入および呼気の形式、味または香味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用形式、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)をもたらし得る。例えば、本開示のエアロゾル生成部品のユーザは、喫煙者が伝統的なタイプの喫煙品を使用するのと同じように、その部品を保持し使用し、その部品によって生成されたエアロゾルを吸入するためにその部品の一端を吸い、選択された時間間隔で吸煙する等々を行うことができる。
【0066】
本開示のエアロゾル送達装置はまた、蒸気生成物品または薬剤送達物品として特徴付けることができる。したがって、そのような物品または装置は、吸入可能な形態または状態で、1つ以上の物質(例えば、香味および/または薬学的有効成分)を提供するように構成され得る。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の懸濁液)であり得る。分かりやすくするために、本明細書で使用される用語「エアロゾル」は、目に見えるかどうか、また煙状であると見なされ得る形態であるかどうかに関わりなく、人間の吸入に適した形態またはタイプの蒸気、気体およびエアロゾルを含むことを意味する。
【0067】
本開示のエアロゾル送達装置は、一般に、ハウジングと呼ばれ得る外側本体またはシェル内に設けられる多くの構成要素を含む。外側本体またはシェルの全体的なデザインは様々であり得、エアロゾル送達装置の全体的な寸法および形状を画定することができる外側本体の形式または構成は様々あり得る。典型的には、紙巻タバコまたは葉巻の形状に類似する細長い本体が、単一の一体型のハウジングから形成されてもよいか、細長いハウジングが、2つ以上の分離可能な本体から形成されてもよい。例えば、エアロゾル送達装置は、形状が実質的に管状であり得、従来の紙巻タバコまたは葉巻の形状に類似し得る細長いシェルまたは本体を含むことができる。一実施形態では、エアロゾル送達装置のあらゆる構成要素が、1つのハウジング内に収容される。あるいは、エアロゾル送達装置は、接合され、分離可能な2つ以上のハウジングを含むことができる。例えば、エアロゾル送達装置は、1つ以上の構成要素(例えば、その物品の動作を制御するためのバッテリおよび様々な電子機器)を収容するハウジングを含む制御本体を一端に有し、エアロゾル形成構成要素(例えば、香味およびエアロゾル形成剤などの1つ以上のエアロゾル前駆体成分、1つ以上のヒータ、および/または1つ以上のウィック)を収容する取り外し可能に取り付けられた外側本体またはシェルを他端に有することができる。
【0068】
本開示のエアロゾル送達装置は、実質的に管状ではないが実質的に比較的大きな寸法に形成され得る外側ハウジングまたはシェルから形成され得る。ハウジングまたはシェルは、マウスピースを含むように構成することができ、および/または液体エアロゾル形成剤などの消耗要素を含むことができ、気化器または噴霧器を含むことができる別個のシェル(例えば、カートリッジ)を受け入れるように構成されてもよい。
【0069】
本開示のエアロゾル送達装置は、最も好ましくは、電源(すなわち、電気的な動力源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、電源からの物品の他の構成要素(例えば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ)への電流の流れを制御することなどによって、発熱のための電力を作動、制御、調整および停止するための手段)、ヒータまたは発熱部材(例えば、単独でまたは1つ以上の追加要素と組み合わせて、一般に「噴霧器」と呼ばれ得る電気抵抗加熱要素または他の構成要素)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「e−リキッド(e−liquid)」および「e−ジュース(e−juice)」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体)ならびにエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達装置を吸引することを可能にするマウスピースおよび口元領域(例えば、生成されたエアロゾルが吸入によりそこから引き出され得るように、物品を通る画定された空気流路)の何らかの組合せを含む。
【0070】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のさらに具体的な形式、構成および配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、様々なエアロゾル送達システム構成要素の選択および配置は、本開示の背景技術の項で参照される代表的な製品などの市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して理解することができる。
【0071】
本開示によるエアロゾル送達装置に利用され得る構成要素を示すエアロゾル送達装置100の一実施形態が、図1に示されている。エアロゾル送達装置100は、その中に示されている切欠図に見られるように、機能的関係で恒久的にまたは取り外し可能に位置合わせされ得る制御本体102およびカートリッジ104を含むことができる。制御本体102とカートリッジ104との係合は、(図示されるように)圧入、ねじ込み、締り嵌め、磁気などであってよい。特に、本明細書でさらに説明するような接続構成要素が使用されてもよい。例えば、制御本体は、カートリッジ上のコネクタに係合するように構成されたカプラを含んでもよい。
【0072】
特定の実施形態では、制御本体102およびカートリッジ104の一方または両方は、使い捨て可能であるか、再使用可能であると称され得る。例えば、制御本体は、交換可能なバッテリまたは再充電可能なバッテリを含む電源を有してもよく(ただし、必要または所望に応じて、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタまたは薄膜固体バッテリなどの他の好適な電源が実装されてもよい)、したがって、制御本体は、典型的な電気コンセントへの接続、車の充電器(すなわち、シガーソケット)への接続、およびユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む任意のタイプの再充電技術と組み合わされてもよい。例えば、一端にUSBコネクタを含み、対向する端に制御本体コネクタを含むアダプタが、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に開示されている。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジは、Changらの米国特許第8910639号明細書に開示されているような使い捨てカートリッジを含んでもよい。
【0073】
図1に示すように、制御本体102は、制御構成要素106(例えば、プリント回路基板(PCB)、集積回路、メモリ部品、マイクロコントローラなど)、流量センサ108、バッテリ110およびLED112を含むことができる制御本体シェル101から形成され得、このような構成要素は、可変に位置合わせされ得る。LEDに加えて、またはLEDの代替として、追加のインジケータ(例えば、触覚フィードバック構成要素、音声フィードバック構成要素など)を含めることができる。発光ダイオード(LED)構成要素などの視覚的刺激またはインジケータをもたらす追加の代表的なタイプの構成要素ならびにそれらの構成および使用は、Sprinkelらの米国特許第5154192号明細書、Newtonの米国特許第8499766号明細書およびScatterdayの米国特許第8539959号明細書ならびに2014年2月5日に出願されたSearsらの米国特許出願番号第14/173,266号明細書に記載されている。
【0074】
カートリッジ104は、リザーバハウジング内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物をヒータ134に毛管作用で運ぶか、そうでなければ輸送するように構成された液体輸送要素136と流体連通しているリザーバ144を囲むカートリッジシェル103から形成することができる。液体輸送要素は、毛細管作用などによって液体を輸送するように構成された1つ以上の材料から形成することができる。液体輸送要素は、例えば、繊維材料(例えば、有機綿、酢酸セルロース、再生セルロース布、ガラス繊維)、多孔質セラミック、多孔質炭素、黒鉛、多孔質ガラス、焼結ガラスビーズ、焼結セラミックビーズ、毛細管などから形成することができる。したがって、液体輸送要素は、開放細孔ネットワーク(すなわち、流体が、要素を通る複数の方向に、1つの細孔から別の細孔へ流れ得るように相互接続された複数の細孔)を含む任意の材料であり得る。電流が印加されると熱を生成するように構成された様々な実施形態の材料を使用して、抵抗加熱要素134を形成してもよい。線材コイルを形成してもよい材料の例には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二珪化モリブデン(MoSi)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al))、チタン、白金、銀、パラジウム、黒鉛および黒鉛系材料(例えば、炭素系発泡体および糸)ならびにセラミック(例えば、正温度係数セラミックまたは負温度係数セラミック)が挙げられる。さらなる実施形態では、ヒータは、レーザダイオードなど、電磁放射を提供するように構成された様々な材料を含んでもよい。
【0075】
形成されたエアロゾルをカートリッジ104から放出することを可能にするために、開口128がカートリッジシェル103内に(例えば、マウスエンドに)存在してもよい。そのような構成要素は、カートリッジ内に存在してもよい構成要素の代表であり、本開示に包含されるカートリッジ構成要素の範囲を限定することを意図するものではない。
【0076】
カートリッジ104はまた、集積回路、メモリ部品、センサなどを含んでもよい1つ以上の電子部品150を含んでもよい。電子部品150は、有線または無線手段によって、制御構成要素106および/または外部装置と通信するように構成されてもよい。電子部品150は、カートリッジ104またはその基部140内のどこにでも配置することができる。
【0077】
制御構成要素106および流量センサ108は別個に図示されているが、空気流量センサが直接取り付けられた電子回路基板として、制御構成要素および流量センサが組み合わされてもよいことが理解される。さらに、電子回路基板は、電子回路基板が制御本体の中心軸に対して長さ方向に平行であり得るという点で、図1の図に対して水平に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、空気流量センサは、それが取り付けられ得るそれ自体の回路基板または他の基部要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路基板が利用されてもよい。フレキシブル回路基板は、実質的に管状の形状を含む様々な形状に構成されてもよい。
【0078】
制御本体102およびカートリッジ104は、それらの間の流体係合を容易にするように構成された構成要素を含んでもよい。図1に示すように、制御本体102は、内部にキャビティ125を有するカプラ124を含むことができる。カートリッジ104は、カプラ124と係合するように構成された基部140を含むことができ、キャビティ125内に嵌合するように構成された突起141を含むことができる。このような係合は、制御本体102とカートリッジ104との間の安定した接続を容易にするとともに、制御本体内のバッテリ110および制御構成要素106とカートリッジ内のヒータ134との間の電気的接続を確立することができる。さらに、制御本体シェル101は、吸気口118を含むことができ、吸気口118はシェル内のノッチであってよく、ここでノッチは、周囲空気がカプラの周りを通過してシェル内に入り、次いでカプラのキャビティ125を通過し、突起141を介してカートリッジ内に入ることを可能にするカプラ124に接続する。
【0079】
本開示による有用なカプラおよび基部は、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に記載されている。例えば、図1に示されるカプラは、基部140の内周142と嵌合するように構成された外周126を画定してもよい。一実施形態では、基部の内周は、カプラの外周の半径と実質的に等しいか、それよりわずかに大きい半径を画定してもよい。さらに、カプラ124は、基部の内周に画定された1つ以上の凹部178と係合するように構成された外周126に、1つ以上の凸部129を画定してもよい。しかしながら、様々な他の実施形態の構造、形状および構成要素を使用して、基部をカプラに連結してもよい。いくつかの実施形態では、カートリッジ104の基部140と制御本体102のカプラ124との間の接続が実質的に恒久的であってよいのに対して、他の実施形態では、それらの間の接続は、例えば、制御本体が、使い捨ておよび/または再充填可能であってよい1つ以上の追加のカートリッジとともに再利用され得るように、解放可能であってよい。
【0080】
エアロゾル送達装置100は、いくつかの実施形態では、実質的に棒状または実質的に管状または実質的に円筒形状であってよい。他の実施形態では、追加の形状および寸法、例えば、長方形または三角形の断面、多面体形状などが包含される。
【0081】
図1に示すリザーバ144は、容器であってもよいし、本明細書に説明されるように繊維質リザーバであってもよい。例えば、リザーバ144は、この実施形態では、カートリッジシェル103の内部を取り囲むチューブの形状に実質的に形成された不織繊維の1つ以上の層を含むことができる。エアロゾル前駆体組成物をリザーバ144に保持することができる。例えば、リザーバ144によって液体成分を吸収して保持することができる。リザーバ144は、液体輸送要素136と流体接続することができる。液体輸送要素136は、この実施形態では、金属線材コイルの形態であってよい加熱要素134に、毛細管作用を介して、リザーバ144に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を輸送することができる。このように、加熱要素134は液体輸送要素136を伴った加熱構成にある。
【0082】
使用時に、ユーザが物品100を吸引すると、センサ108によって空気流が検出され、加熱要素134が作動し、加熱要素134によってエアロゾル前駆体組成物の成分が気化される。物品100のマウスエンドを吸引すると、周囲空気が吸気口118に入り、カプラ124内のキャビティ125と、基部140の突起141内の中央開口とを通過する。カートリッジ104では、吸引された空気が形成された蒸気と組み合わさって、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、加熱要素134から吹き飛ばされるか、吸入されるか、そうでなければ吸引され、物品100のマウスエンド内の口元開口128から出る。
【0083】
エアロゾル送達装置には、入力要素が含まれていてもよい。入力装置は、ユーザが装置の機能を制御し、および/またはユーザに対して情報を出力することを可能にするために含まれていてもよい。装置の機能を制御するための入力装置として、任意の構成要素または構成要素の組合せが利用されてもよい。例えば、2014年2月28日に出願されたWormらの米国特許出願番号第14/193,961号明細書に記載されているように、1つ以上の押しボタンが使用されてもよい。同様に、2015年3月10日に出願されたSearsらの米国特許出願番号第14/643,626号明細書に記載されているように、タッチスクリーンが使用されてもよい。さらなる例として、エアロゾル送達装置の特定の動きに基づくジェスチャ認識に適合した構成要素が、入力装置として使用されてもよい。2014年12月9日に出願されたHenryらの米国特許出願番号第14/565,137号明細書を参照されたい。
【0084】
いくつかの実施形態では、入力装置は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピュータまたはコンピューティング装置を含んでもよい。具体的には、エアロゾル送達装置は、USBコードまたは類似のプロトコルの使用を介して、コンピュータまたは他の装置に配線されてもよい。エアロゾル送達装置はまた、無線通信を介して入力装置として作動するコンピュータまたは他の装置と通信してもよい。例えば、2014年7月10日に出願されたAmpoliniらの米国特許出願番号第14/327,776号明細書に記載されているように、読み出し要求を介して装置を制御するためのシステムおよび方法を参照されたい。そのような実施形態では、コンピュータまたはコンピューティング装置に接続してAPPまたは他のコンピュータプログラムを使用して、エアロゾル送達装置に制御命令を入力してもよく、そのような制御命令は、例えば、ニコチン含有量および/または含有される追加の香味の含有量を選択することによって、特定の組成のエアロゾルを形成する能力を含む。
【0085】
本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当該技術分野に記載され市販されている構成要素から選択することができる。本開示に従って使用することができるバッテリの例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号明細書に記載されている。
【0086】
エアロゾル送達装置は、エアロゾル生成が所望される場合(例えば、使用中に吸引された場合)に、発熱要素への電力の供給を制御するためのセンサまたは検出器を組み込むことができる。このように、例えば、使用中にエアロゾル送達装置が吸引されていない場合に発熱要素への電力供給をオフにし、吸引中に発熱要素による発熱を作動させるか引き起こすために電力供給をオンにする様式または方法が提供される。追加の代表的なタイプの感知または検出機構、それらの構造および構成、それらの構成要素ならびにそれらの一般的な操作方法は、Sprinkel,Jr.の米国特許第5261424号明細書、McCaffertyらの米国特許第5372148号明細書およびFlickのPCT国際公開第2010/003480号パンフレットに記載されている。
【0087】
エアロゾル送達装置は、吸引中に発熱要素への電力量を制御するための制御機構を組み込むことが最も好ましい。代表的なタイプの電子部品、それらの構造および構成、それらの特徴ならびにそれらの一般的な操作方法は、Gerthらの米国特許第4735217号明細書、Brooksらの米国特許第4947874号明細書、McCaffertyらの米国特許第5372148号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6040560号明細書、Nguyenらの米国特許第7040314号明細書およびPanの米国特許第8205622号明細書、Fernandoらの米国特許出願公開第2009/0230117号明細書、Colletらの米国特許出願公開第2014/0060554号明細書およびAmpoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号明細書ならびに2014年3月13日に出願されたHenryらの米国特許出願番号第14/209,191号明細書に記載されている。
【0088】
エアロゾル前駆体を支持するための代表的なタイプの基材、リザーバまたは他の構成要素は、Newtonの米国特許第8528569号明細書、Chapmanらの米国特許出願公開第2014/0261487号明細書およびDavisらの米国特許出願公開第2014/0059780号明細書ならびに2014年2月3日に出願されたBlessらの米国特許出願番号第14/170,838号明細書に記載されている。さらに、様々なウィッキング材料ならびに特定のタイプの電子タバコ内のそれらのウィッキング材料の構成および操作は、Searsらの米国特許第8910640号明細書に記載されている。
【0089】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達システムでは、エアロゾル前駆体組成物は、タバコまたはタバコ由来成分を組み込むことが最も好ましい。ある点では、タバコは、微粉砕されたか、粉砕されたか、粉末状のタバコ薄片などのタバコの部分または薄片として提供されてもよい。別の点では、タバコは、多くのタバコの水溶性成分を組み込んだ噴霧乾燥抽出物などの抽出物の形態で提供されてもよい。あるいは、タバコ抽出物は、タバコ由来の少量の他の抽出成分も組み込んだ比較的高濃度のニコチン含有抽出物の形態を有してもよい。別の点では、タバコに由来する特定の香味料などの比較的純粋な形態で、タバコ由来成分が提供されてもよい。ある点では、タバコに由来し、高度に精製された形態または本質的に純粋な形態で使用され得る成分は、ニコチン(例えば、医薬品グレードのニコチン)である。
【0090】
蒸気前駆体組成物とも呼ばれるエアロゾル前駆体組成物は、例えば、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物)、ニコチン、タバコ、タバコ抽出物および/または風味料を含む様々な成分を含んでもよい。代表的なタイプのエアロゾル前駆体成分および調合物もまた、Robinsonらの米国特許第7217320号明細書およびZhengらの米国特許出願公開第2013/0008457号明細書、Chongらの米国特許出願公開第2013/0213417号明細書、Collettらの米国特許出願公開第2014/0060554号明細書、Lipowiczらの米国特許出願公開第2015/0020823号明細書およびKollerの米国特許出願公開第2015/0020830号明細書ならびにBowenらの国際公開第2014/182736号パンフレットに述べられ、特徴付けられている。使用されてもよい他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor CompanyのVUSE(R)製品、Lorillard TechnologiesのBLU(TM)製品、Mistic EcigsのMISTIC MENTHOL製品およびCN Creative Ltd.のVYPE製品に組み込まれているエアロゾル前駆体が挙げられる。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。
【0091】
エアロゾル送達システム内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品が許容可能な感覚および望ましい性能特性を提供するような量である。例えば、多くの点でタバコの煙の出現に似ている目に見える主流エアロゾルを生成するために、十分な量のエアロゾル形成材料(例えば、グリセリンおよび/またはプロピレングリコール)が使用されることが非常に好ましい。エアロゾル生成システム内のエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品あたりの所望の吸煙の数などの因子に応じて決まってもよい。典型的には、エアロゾル送達システム内、特にエアロゾル生成部品内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、約2g未満、一般に約1.5g未満、多くの場合約1g未満、頻繁に約0.5g未満である。
【0092】
本開示のエアロゾル送達システムに組み込むことができるさらに他の特徴、制御部または構成要素は、Harrisらの米国特許第5967148号明細書、Watkinsらの米国特許第5934289号明細書、Countsらの米国特許第5954979号明細書、Fleischhauerらの第6040560号明細書、Honの第8365742号明細書、Fernandoらの第8402976号明細書、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号明細書、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623号明細書、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号明細書、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号明細書、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書およびDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408号明細書に記載されている。
【0093】
物品の使用の上述の説明は、本明細書に提供されるさらなる開示に照らして当業者には明らかであり得る軽微な変更を介して、本明細書に説明される様々な実施形態に適用され得る。しかしながら、上述の使用の説明は、物品の使用を限定することを意図するものではなく、本開示のすべての必要な開示要件に従うために提供される。図1に示されたか、そうでなければ上述に説明された物品に示された要素はいずれも、本開示によるエアロゾル送達装置に含まれ得る。
【0094】
上述を考慮して、本開示の一態様は、リザーバ144からのエアロゾル前駆体組成物を対象とし、およびエアロゾルを形成するために加熱構成と係合するその方向に関する。さらに具体的には、本開示の一態様は、例えば図2に示すように、エアロゾル前駆体を収容するリザーバ144などのエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板400に隣接して配置された導電性炭素要素300を含むヒータ装置250とを含むエアロゾル形成機器200に関する。そのような構成では、ヒータ装置300は、エアロゾル前駆体源144から熱伝導性基板400上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成されてもよい。このようにして、エアロゾル前駆体は、熱伝導性基板400と係合するか、熱伝導性基板400上に係合するように送達されて、熱伝導性基板400を通って伝導された導電性炭素要素300からの熱に応答してエアロゾルを形成する。いくつかの態様では、送達装置500は、エアロゾル前駆体源144と熱伝導性基板400との間に動作可能に係合されてもよく、エアロゾル前駆体源144から熱伝導性基板400上にエアロゾル前駆体を送達するように構成される。例えば、送達装置500は、例えば、ポンプ機器またはウィック構成を含んでもよい。
【0095】
1つの特定の態様では、エアロゾル前駆体源144は、熱伝導性基板400の表面425上にエアロゾル前駆体を分配するように構成される。したがって、そのような場合、熱伝導性基板400の表面425は、炭素要素300が係合された熱伝導性基板400の表面430に対向する。すなわち、熱伝導性基板400は、熱伝導性基板400の一方の表面430に搭載されるか、貼り付けられるか、そうでなければ係合された導電性炭素要素300を有してもよく、熱伝導性基板400の対向面425は、エアロゾル前駆体が送達装置500によって分配される表面である。導電性炭素要素300からの熱は、熱伝導性基板400を通って伝導され、エアロゾル前駆体と加熱された表面425との接触または他の係合が、熱に応答してエアロゾル前駆体にエアロゾルを形成させる。
【0096】
いくつかの実施形態では、導電性炭素要素300は、導電性グラフェン要素、さらに具体的には、導電性正方形グラフェンシートもしくはグラフェン箔、または一緒に積み重ねられた複数の導電性正方形グラフェンシートもしくはグラフェン箔を含んでもよい。このようなグラフェンシートまたはグラフェン箔は、例えばテキサス州オースティンのApplied Nanotech,Inc.から市販され得る。本開示の様々な態様と組み合わせて実装されてもよい様々なタイプおよび形態のグラフェンおよびグラフェン材料は、例えば、Beesonらの米国特許出願番号第14/840,178号明細書に開示されている。具体的な例では、約3オーム/スクエア単位の抵抗を有するように炭素要素を構成または選択することが好ましい場合がある。ヒータ装置250は、炭素要素300と係合された電気回路600(例えば、図3参照)をさらに含んでもよく、炭素要素300は、電気回路600からの電流の印加に応答して熱を生成する抵抗素子として構成されるか、そうでなければ機能してもよい。このように、熱伝導性基板400は、好ましくは、熱的な伝導性あるいは熱伝導性であるが導電性ではない材料、例えば、導電性ではない熱伝導性ガラスまたは好適な複合材料を含む。例えば、熱伝導性基板400は、Applied Nanotech,Inc.から市販されているThercobond(TM)などの熱伝導性誘電体材料を含んでもよい。導電性炭素要素300は、熱伝導性基板400として作用する熱伝導性誘電体材料内に埋め込まれていてもよいし、そうでなければ熱伝導性誘電体材料により被覆されていてもよい。したがって、場合によっては、ヒータ装置250は、導電性炭素要素300と、導電性炭素要素300が係合される単一の熱伝導性基板400(すなわち、単一の熱伝導性ガラスまたは好適な複合材料)とを含んでもよい。一例では、熱伝導性基板400を形成する熱伝導性ガラスまたは好適な複合材料は、例えば、約2mm以下の厚さを有してもよい。
【0097】
図3に示すように、電気回路600の電力は、例えば、バッテリ655および/またはキャパシタ660(例えば、スーパーキャパシタ)などの適切な電源650によって供給されてもよい。電源650からの電力は、電圧レギュレータまたはDC−DCコンバータ665を介して導かれて、電気回路600に定電圧/定電流を供給してもよい。電気回路600に接続された抵抗負荷(正方形グラフェンシート)のために、正方形グラフェンシート(すなわち、導電性炭素要素300)の対向する端部または縁部に、例えばアルミニウム、銀または他の適切な導電性材料から形成された適切な導電性電極が適用されてもよい。電気回路600は、例えば、適切なスイッチまたはセンサ(すなわち、プッシュボタンスイッチ、吸煙センサまたは近接センサ(例えば、容量性近接センサ)(図示せず))により作動されてもよい。一例では、電源650が3Vの電力低下をもたらし、抵抗型負荷(3オーム)を流れる1Aの電流をもたらす場合、導電性炭素要素300は、例えば280℃までの温度に達することがある。
【0098】
別の例示的な態様では、図3に示すように、炭素要素300は、熱伝導性基板400の2つの層450、460の間に配置されてもよい。さらに具体的には、一態様では、熱伝導性基板400の各層450、460は、熱伝導性ガラス、熱伝導性誘電体材料(例えば、Thercobond(TM))または好適な複合材料の平面状シートまたは円弧部分を含んでもよい。すなわち、2つの相互作用部分または層450、460は、それらの間に配置された導電性炭素要素300を有する熱伝導性ガラスまたは好適な複合材料の2つの平面状シートであってよい。エアロゾル前駆体は、例えば、アセンブリの向きに応じて、2つの層450、460のいずれかに分配されてもよく、したがってその層は、熱伝導性基板400の「表面425」として機能する。円弧部分の場合、相補的相互作用層450、460はそれぞれ凹部を画定してもよく、導電性要素300は、2つの層450、460の間の凹部の周りに配置されてもよい。次いで、熱伝導性基板400の「表面425」として機能する凹部にエアロゾル前駆体が分配されるように、アセンブリが配向されてもよい。
【0099】
さらなる例示的な態様では、図4に示すように、熱伝導性基板400は、中空円筒として構成され、内部チャネル470を画定する内面465を有してもよく、炭素要素300は、中空円筒基板400の外面475と係合されている。そのような場合、送達装置500は、内部チャネル470内の中空円筒基板400の内面465上に係合するか、内面465と係合するようにエアロゾル前駆体を分配するように構成および配置されてもよく、その結果、内面465は、熱伝導性基板400の「表面425」として機能する。このような構成では、導電性炭素要素300(すなわち、導電性正方形グラフェンシート)が、中空円筒基板400の外面475の周りに少なくとも部分的に延びることが好ましい場合がある。ただし、炭素要素300が、中空円筒基板400の外面475の周りを完全に包まないことがさらに好ましい場合がある。
【0100】
すなわち、場合によっては、中空円筒基板400は、その中で生成されたエアロゾルが中空円筒基板400の(側)壁を通って吸引されるか引き出されることを要するように配向されてもよい。そのような場合、中空円筒基板400は、内部チャネル470/内面465から外面475まで(すなわち、中空円筒の側壁まで)延びる少なくとも1つの細孔480(1つの細孔または、複数もしくは一連の細孔)を画定するように構成される。このように、熱伝導性基板400を通って伝導された導電性炭素要素300からの熱に応答して、中空円筒基板400の内面465上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔480を通して分配されるように、少なくとも1つの細孔480が構成および配置される。したがって、いくつかの態様では、炭素要素300は、少なくとも1つの細孔480を画定する中空円筒基板400の部分と対向して、中空円筒基板400の外面475と係合され、また外面475の周りに係合されている。
【0101】
いくつかの態様では、例えば図5に示すように、炭素要素300は、熱伝導性基板400として、例えば熱伝導性ガラスまたは好適な複合材料から形成された2つの同心の中空円筒490、495の間に配置されてもよい。これらの態様では、同心の中空円筒490、495は、その側壁によって画定された少なくとも1つの細孔480が、形成されたエアロゾルの通過を可能にするために位置合わせされるように配置される。
【0102】
本明細書で開示されるように、送達装置500は、エアロゾル前駆体源144と熱伝導性基板400との間に動作可能に係合されてもよく、エアロゾル前駆体源144から熱伝導性基板400上にエアロゾル前駆体を送達するように構成される。いくつかの態様では、例えば図2から図4に示すように、送達装置500は、エアロゾル前駆体源144と流体連通し、中空円筒基板400の内部チャネル470内に延びるか、そうでなければ熱伝導性基板400の表面425(すなわち、熱伝導性基板400の層450、460のうち1つの表面)に近接して(すなわち、その上に)延びる毛細管550を含んでもよい。したがって、中空円筒構成では、送達装置500は、エアロゾル前駆体源144から、内部チャネル470内の熱伝導性中空円筒基板400、490の内面465に、エアロゾル前駆体を送達するように構成されてもよい。エアロゾル前駆体を送達する際に、送達装置500は、例えば、ポンプ機器またはウィック構成を含んでもよいが、いくつかの具体的な例では、毛細管550が、エアロゾル前駆体源144からエアロゾル前駆体を吸い上げ、その出口端部560を介して、内部チャネル470を画定する中空円筒基板400、490の内面465上に、そうでなければ熱伝導性基板400の表面425(すなわち、熱伝導性基板400の層450、460のうち1つの表面)上に、エアロゾル前駆体を分配するように構成されてもよい。具体的な例では、送達装置500および/またはヒータ装置250は、協働して、熱伝導性基板400、490と係合するエアロゾル前駆体の特定の体積またはエアロゾル前駆体の量を特定の体積範囲内に維持するように構成されてもよい。例えば、約1ml〜約3mlのエアロゾル前駆体が、熱伝導性基板400、490と係合された状態に維持されてもよい。
【0103】
本明細書で開示されるようなエアロゾル形成機器200の態様が、例えば本明細書に開示されるタイプのエアロゾル送達装置100にさらに実装されてもよい。一態様では、図6に示すように、そのようなエアロゾル送達装置100は、例えば、制御本体102と、制御本体102と直列に係合されたカートリッジ104とを含んでもよい。カートリッジ104は、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源144を含んでもよく、エアロゾル前駆体から形成されたエアロゾルをユーザに導くように構成された口元開口128を画定してもよい。本明細書に開示される様々な態様によるヒータ装置250は、エアロゾル前駆体源144と口元開口128との間で、カートリッジ104と動作可能に係合されてもよい。ヒータ装置250は、本明細書で別途開示するように、熱伝導性基板400に隣接して配置された導電性炭素要素300を含む。ヒータ装置250は、送達装置500を介して、エアロゾル前駆体源144から熱伝導性基板400上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板400上のエアロゾル前駆体は、熱伝導性基板400を通って伝導された導電性炭素要素300からの熱に応答してエアロゾルを形成する。そうでなければ、本明細書に開示されるエアロゾル送達装置100のこのような態様は、本明細書に別途開示されるエアロゾル形成機器200の様々な態様を実装してもよい。
【0104】
しかしながら、他の態様は、エアロゾル送達装置100の様々な態様におけるエアロゾル形成機器200の実装に関し得る。例えば、いくつかの態様では、熱伝導性基板400は、好ましくは、カートリッジ104の長手方向軸に垂直に配置される。すなわち、平面状シート、またはシートを画定する凹部形状のいずれかである熱伝導性基板400は、その長手方向軸が熱伝導性基板400の平面に対して垂直になるように、カートリッジ104内に配置される。代替的に言えば、熱伝導性基板400の表面425は、炭素要素300に対向して配置され、口元開口128に向けられる。中空円筒基板400、490の形状に関して、円筒490は、好ましくは、その長手方向軸がカートリッジ104の長手方向軸に垂直に配置され、それによって画定された少なくとも1つの細孔480が口元開口128に対して位置合わせされ配向されるように配置されてもよい。すなわち、そのような場合、炭素要素300は、中空円筒基板400の外面475の周りに部分的に延び、炭素要素300と係合していない中空円筒基板400の残りの表面が口元開口128に向けられるようにする。さらに、中空円筒基板400が、内部チャネル465から外面475まで延びる少なくとも1つの細孔480を画定するように構成され、熱伝導性基板400、490を通って伝導された導電性炭素要素300からの熱に応答して、中空円筒基板400、490の内面465上に分配されたエアロゾル前駆体によって形成されたエアロゾルが、少なくとも1つの細孔480を通って口元開口128に分配されるように、少なくとも1つの細孔480が構成および配置される。
【0105】
図7は、エアロゾル送達装置の形成方法を概略的に示す。このような方法は、例えば、エアロゾル前駆体を収容するエアロゾル前駆体源と、熱伝導性基板に隣接して配置された導電性炭素要素を含むヒータ装置とを動作可能に係合することを含み、ヒータ装置は、エアロゾル前駆体源から熱伝導性基板上にエアロゾル前駆体を受け取るように構成され、その結果、熱伝導性基板上のエアロゾル前駆体は、熱伝導性基板を通って伝導された導電性炭素要素からの熱に応答してエアロゾルを形成する(ブロック700)。エアロゾル送達装置を形成するこのような方法の他の態様および/または工程は、別途本明細書で説明するようなエアロゾル送達装置の様々な実施形態および態様の開示に関連して他の方法で開示される。
【0106】
したがって、本開示の態様は、本明細書に開示されている喫煙品/エアロゾル送達装置のタイプに一定の利益および改善を提供することができる。例えば、本開示の特定の態様は、その上に分配されたエアロゾル前駆体を除いてヒータ装置との物理的接触を伴わないため、エアロゾル前駆体を分配するための装置/機器に関連する炭化または他の熱関連の懸念が低減または排除される。さらに、導電性炭素要素とエアロゾル前駆体との間に間接的な接触を提供することによって(すなわち、それらの間に熱伝導性基板を配置することによって)、エアロゾル前駆体と炭素要素との間の相互作用に関連する問題、例えば短絡、浸食、蓄積、炭化または他の問題が低減または排除される。導電性炭素要素は、熱伝導性基板と組み合わされて、電源寿命を向上するために、改善された(少ない)電力消費で他の加熱要素/構成よりも迅速な加熱/熱応答時間をさらに提供し得る。
【0107】
言及された利益とそれに関連する利点を提供する際の本開示の態様間の可能な相互関係に照らして、本開示は、限定するものではないが、開示された態様の様々な組合せを表す実施形態を特に明示的に含む。したがって、本開示は、そのような特徴または要素が明示的に結合されているか、そうでなければ本明細書の特定の実施形態の説明で列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に述べられた2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が意図された通りに見え、すなわち組合せ可能であるように全体的に読み取られることを意図している。
【0108】
前述の説明および関連する図面に示された教示の利益を有するこれらの開示に関連する当業者には、本明細書に述べられた開示の多くの改変および他の態様が思い浮かぶであろう。例えば、当業者であれば、本明細書に提示された請求項の範囲内に留まりながら、異なる実施形態のために本明細書に説明されている特徴を互いにおよび/または現在知られているまたは将来開発される技術と組み合わせることができることを含め、本明細書に明示的に示されていない実施形態が本開示の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。したがって、本開示は、開示された特定の態様に限定されるものではなく、均等物、改変および他の態様が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のために使用されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7