(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかるドアロック装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、実施の形態にかかるドアロック装置10を斜め前方から見た斜視図である。
図2は、実施の形態にかかるドアロック装置10を斜め後方から見た斜視図である。
図3は、実施の形態にかかるドアロック装置10の分解斜視図である。ドアロック装置10は、例えば車両のバックドアに対してボルトB0によりブッシュbを介して固定されており、車体側に設けられたストライカSを保持することによりバックドアをロックするものである。以下の説明では、
図1〜
図3において手前側を正面、奥側を裏面とする。
【0021】
図1〜
図3に示すように、ドアロック装置10は、モータユニット12と、ラッチユニット14と、第1金属ブラケット16と、第2金属ブラケット18とを有する。ドアロック装置10は、第1金属ブラケット16が適度な強度を有するベース部材であり、該第1金属ブラケット16に対してモータユニット12やラッチユニット14が取り付けられている。モータユニット12およびラッチユニット14は必ずしも独立的なユニットでなくてもよい。ドアロック装置10はさらに、第1金属ブラケット16と第2金属ブラケット18との間に、レバーアセンブリ20と、オープンレバー22とを有する。
【0022】
まずモータユニット12について説明する。
図3に示すように、モータユニット12は、正面の表ハウジング(第1ハウジング)24と裏ハウジング(第2ハウジング)26とによってハウジングが形成されており、内部の各部品に対する防水および防塵の機能を有する。なお、ここでいう「防水」とは完全防水だけではなく防滴をも含む意味である。
【0023】
裏ハウジング26は側方および下方に5つの係合爪26aを備え、表ハウジング24はこれらに対応した5つの係合突起24aを備えている。裏ハウジング26は、各係合爪26aがそれぞれ係合突起24aに対してスナップフィット形式で係合することによって表ハウジング24に固定される。このように係合突起24aと係合爪26aとの組はハウジング相互固定部を形成している。表ハウジング24と裏ハウジング26とは、さらに6本のボルトB3によって締結されている(
図2参照)。表ハウジング24および裏ハウジング26は樹脂製であり、軽量である。
【0024】
モータユニット12は側方にカプラー28を有しており、該カプラー28にはハーネスコネクタ30が接続される。ハーネスコネクタ30は図示しない制御部につながっている。モータユニット12は、正面側の表ハウジング24における中央よりやや下方部で前方に突出する出力軸32を有する。モータユニット12は制御部の作用下に出力軸32を正転および逆転させる。出力軸32は、後述するレバーアセンブリ20(
図6参照)を正転および逆転させる。モータユニット12は、表ハウジング24から正面側に突出する4本のボルトB1がそれぞれ第1金属ブラケット16の4つのネジ孔16bに螺合することによって、該第1金属ブラケット16に固定される。これらの4つのボルトB1のうち下側の2本は、第2金属ブラケット18の孔18bを通って該第2金属ブラケット18を共締めする。つまり第2金属ブラケット18は表ハウジング24と第1金属ブラケット16との間で挟持されて固定される。
【0025】
図4は、モータユニット12の内部を斜め前方から見た斜視図である。
図5は、モータユニット12の内部を斜め後方から見た斜視図である。モータユニット12の内部が視認可能なように、
図4では表ハウジング24を省略し、
図5では裏ハウジング26を省略している。
図5ではラッチユニット14を併せて示している。
【0026】
図4および
図5に示すように、モータユニット12は、出力軸32と、モータ(電気部品)34と、モータ34の回転軸に設けられたスクリュー(初段ギア)34aと、中継ギア36と、セクタギア38と、カプラー28と、該カプラー28が固定されたプレートアセンブリ40とを有する。
【0027】
モータ34は、最も上方で回転軸が横向きとなるように配置されている。モータ34の一対の端子34bはカプラー28とモータ導線41でつながっており、制御部の作用下に印加極性が反転し、回転軸が正転および反転する。
【0028】
中継ギア36はモータ34の回転軸の下方に設けられており、歯数の多い大径歯36aと歯数の少ない小径歯36bとを有する。大径歯36aは図示を簡略化している。中継ギア36の中心軸は表ハウジング24と裏ハウジング26とによって軸支されている。大径歯36aがスクリュー34aに噛合していることにより中継ギア36はスクリュー34aの回転作用下に減速して駆動される。
【0029】
セクタギア38は、中継ギア36の斜め下方に設けられており、外周歯38aを有し、その回転中心は、出力軸32に対してスプライン歯32b(
図5参照)によって相対回転不能に設けられている。外周歯38aは図示を簡略化している。出力軸32は、裏ハウジング26の補強軸支孔26b(
図2参照)と表ハウジング24の補強軸支孔24d(
図3参照)とによって軸支されている。出力軸32はさらに第1金属ブラケット16および第2金属ブラケット18によっても軸支されており、安定している。
【0030】
セクタギア38の外周歯38aは中継ギア36の小径歯36bに噛合しており、セクタギア38および出力軸32は中継ギア36の回転作用下に減速して駆動される。中継ギア36およびセクタギア38はモータユニット12内で比較的大きい部品であるが、それぞれ樹脂で形成されており、軽量である。ただし、中継ギア36およびセクタギア38は一部が金属であってもよい。中継ギア36については、少なくとも大径歯36aおよび該大径歯36aを支持する円盤36cが樹脂で形成されていると軽量化を図ることができる。セクタギア38については、少なくとも外周歯38aおよび該外周歯38aを支持する扇板38bが樹脂で形成されていると軽量化を図ることができる。ドアロック装置10では、初段ギアのスクリュー34aの回転を減速して出力軸32に伝達する中継ギア36とセクタギア38とが2段の減速ギアとなっている。これらの減速ギアのうち、少なくとも1つを樹脂製とすれば軽量化を図ることができる。
【0031】
カプラー28はレセプタクル型であって、カプラー壁28aの内部に複数の雄ピン(端子)28bが設けられている。カプラー壁28aは嵌合方向からみて矩形である。カプラー壁28aの開口28cは斜め下方を指向している。カプラー壁28aにおける前方面にはゴム突起28dが固定(例えば接着)されている。
【0032】
表ハウジング24の一部は、カプラー28の上下面および前面を囲うカバー24bを形成している。表ハウジング24の下部における左右両端には孔付台座24cが形成されている。裏ハウジング26の一部は、カプラー壁28aの裏面を囲うカバー26dを形成している。カバー24bとカバー26dとはカプラー28の四方を覆うカプラーカバー39(
図1参照)を形成している。このようにカプラーカバー39は表ハウジング24および裏ハウジング26の一部として形成されていることから、カプラー28を覆うための専用部品は不要である。
【0033】
裏ハウジング26の全周には低い周壁26cが設けられており、該周壁26cは表ハウジング24の全周を覆う。カプラー28はプレートアセンブリ40の一部となっている。
【0034】
プレートアセンブリ40は、ベース部材となるプレート44と、カプラー28と、2つのリミットスイッチ(電気部品)46a,46bと、5本のピン48と、複数のターミナル50とを有する。リミットスイッチ46a,46bは、セクタギア38および出力軸32の回転角度に応じてカム体42の大小2つのカムによって操作される。
【0035】
図6は、レバーアセンブリ20の斜視図である。レバーアセンブリ20は、エマージェンシーレバー52と、出力レバー54と、これらを接続するボルト(留め具)B2とを有する。エマージェンシーレバー52は出力レバー54の手前側に設けられている。エマージェンシーレバー52と出力レバー54とはほとんど隙間なく配置されている。
【0036】
エマージェンシーレバー52は、スプライン52aと、上方に延在しているアーム52bと、下方の小レバー52cとを有する。アーム52bの先端近傍にはボルトB2が挿通する孔が設けられている。エマージェンシーレバー52は、スプライン52aが出力軸32における先端近傍のスプライン歯32a(
図4参照)に噛合することにより、該出力軸32に対して回転不能に接続される。
【0037】
出力レバー54は、スプライン52aと同軸の孔54aと、上方に延在するアーム54bと、下方のレバー54cと、アーム54bの頂部から突出する小突起54dとを有する。アーム54bの上部にはボルトB2が螺合するネジ孔が設けられている。レバー54cは、ラッチユニット14に対する操作部であって、手前側に90°屈曲した先端作用部54eを備えている。
【0038】
アーム52bの孔を通ったボルトB2は、アーム54bのネジ孔に螺合することにより、エマージェンシーレバー52と出力レバー54とが締結される。孔54aは嵌合される出力軸32よりもわずかに大径となっている。したがって、出力レバー54は出力軸32から直接に駆動力を受けるのではなく、エマージェンシーレバー52およびボルトB2を介して回転不能に接続されている。これにより、何らかの理由(例えば、電源喪失)によりモータ34が動かなくなった場合に、ボルトB2を外せばエマージェンシー操作として出力レバー54を手動で動かすことができる。出力レバー54は、上端の小突起54dを人手で動かすことにより搖動可能となる。
図1に示すように、小突起54dは露呈されており、前方から操作しやすい位置にある。
【0039】
図3に戻り、オープンレバー22は、上方の支軸22aと、下方に突出するメインレバー22bと、斜め下に突出している小レバー22cと、支軸22aまわりに設けられたトーションスプリング22dとを有する。トーションスプリング22dはオープンレバー22の全体を反時計方向に弾性付勢する。メインレバー22bは、ラッチユニット14に対する操作部であって、手前側に90°屈曲した先端作用部22eを備えている。支軸22aの先端は第1金属ブラケット16の孔16cに嵌合し、さらに先端部がフランジ状に広がるように加工されて抜止処理がなされ、オープンレバー22の全体を軸支している。
【0040】
次に、ラッチユニット14について説明する。
図7は、ラッチユニット14の内部の斜視図である。ラッチユニット14は第3金属ブラケット56をベースとしてその上方を上ケース58(
図1参照)で覆っているが、
図7では、内部を視認可能なように上ケース58を省略している。
【0041】
図7に示すように、第3金属ブラケット56は浅い箱形状であって、前方に開口したストライカ溝56aと、左右に突出した孔付台座56bとを有する。孔付台座56bはボルトB0(
図3参照)により第1金属ブラケット16とともに車両に対して共締めされる。ストライカ溝56aは、ストライカS(
図1参照)が進入する溝である。
【0042】
第3金属ブラケット56の内部には、ラッチ60と、ラチェット62と、2つのリミットスイッチ(電気部品)64a,64bとが設けられている。第3金属ブラケット56は金属であって、ラチェット62およびラッチ60を安定して軸支することができるとともに、バックドアに対して孔付台座56bで共締めすることにより締結箇所の数およびスペースを減らすことができて合理的である。
【0043】
ラッチ60は、ラッチ軸66に軸支されており、該ラッチ軸66回りに設けられたトーションスプリング68によって反時計方向に弾性付勢されている。ラッチ60は、ストライカSを保持する保持切欠60aと、フルラッチ係合凹部60bと、ハーフラッチ係合凹部60cと、カム60eと、ラッチレバー60dとを有する。フルラッチ係合凹部60bは、保持切欠60aの開口部付近に設けられている。ハーフラッチ係合凹部60cは、フルラッチ係合凹部60bよりもやや時計方向よりの位置に形成されている。カム60eはハーフラッチ係合凹部60cよりもさらに時計方向よりの位置に形成されている。ラッチレバー60dは円柱形状であって、カム60eの根元部で上方に向けて立設されている。
【0044】
ラチェット62は、ラチェット軸70に軸支されており、該ラチェット軸70回りに設けられたトーションスプリング72によって時計方向に弾性付勢されている。ラチェット62は、ストライカ溝56aよりも後側に位置する係合爪62aと、ラチェット軸70と係合爪62aとの間に設けられ上方に向けて立設されたラチェットレバー62bとを有する。
【0045】
リミットスイッチ64a,64bは第3金属ブラケット56内部で最も後側の領域に並んで設けられている。リミットスイッチ64aは、ラッチ60がハーフラッチ位置となったときにカム60eによって操作される。リミットスイッチ64bは、ラッチ60がフルラッチ位置(
図7に示す位置)となったときにカム60eによって操作される。リミットスイッチ64a,64bはハーネス74(
図2参照)によってターミナル50(
図4参照)と接続されている。リミットスイッチ64a,64bおよびハーネス74は、ドアロック装置10の裏面から配設可能である(
図2参照)。ハーネス74は、複数のハーネス留26eによってドアロック装置10の側面に沿って配索されている。
【0046】
組立の順序としては、まずリミットスイッチ64a,64bをラッチユニット14に組み付けて、ハーネス74をドアロック装置10の側面に沿って配索し、その先端部をプレートアセンブリ40に組み付ける。その後、表ハウジング24および裏ハウジング26を付ける。
【0047】
図1および
図3に戻り、上ケース58は第3金属ブラケット56とともにラッチユニット14のハウジングを形成する樹脂材である。上ケース58はストライカ溝58aと、該ストライカ溝58aを挟んで左右上面に設けられた浅い凹部58b,58cを有する。ストライカ溝58aは上記のストライカ溝56aとともにストライカSが進入する領域を形成している。凹部58b,58cは第1金属ブラケット16の2本の下端突出片17g,17gが嵌まり込む形状となっている。ラッチ軸66およびラチェット軸70の上端部は下端突出片17gに設けられた軸支孔17ga(
図3参照)からやや突出し、さらに先端部がフランジ状に広がるように加工され、回転可能な状態で抜止めされている。
【0048】
また、
図2に示すように、ラッチ軸66およびラチェット軸70の下端部は第3金属ブラケット56の底面に設けられた孔からやや突出し、さらに先端部がフランジ状に広がるように加工されて抜止処理がなされている。このように、ラッチ軸66およびラチェット軸70は、それぞれ第1金属ブラケット16および第3金属ブラケット56の孔に嵌合しかつ端部が回転可能な状態で抜止処理されており、ラッチ60およびラチェット62を安定して軸支している。こうして、第1金属ブラケット16および第3金属ブラケット56をラチェット軸70およびラッチ軸66の軸受材として利用できる。
【0049】
図8は、ラッチユニット14の内部、レバーアセンブリ20およびオープンレバー22の斜視図である。
図8では煩雑とならないようにリミットスイッチ64a,64bを省略している。
【0050】
図8に示すように、レバーアセンブリ20は、ラッチ軸66の斜め後ろ上方に配置されており、出力レバー54の先端作用部54e(以下、レバー54eと呼ぶ。)は、ラッチレバー60dの左面に作用し得るとともに、メインレバー22bの右面に作用し得る。オープンレバー22はラチェット軸70の斜め後ろ上方に配置されており、オープンレバー22の先端作用部22eはラチェットレバー62bの右面に作用し得る。
【0051】
ラッチ60は、バックドアが開状態のときには所定の開位置にあり、保持切欠60aはストライカ溝56aに沿って前方に向けて開口している。バックドアを閉めるに従ってストライカSがストライカ溝56aに進入し、保持切欠60aに入ってラッチ60を時計方向に回動させる。そして、ラッチ60がハーフラッチ位置まで回動すると、ラチェット62の係合爪62aがハーフラッチ係合凹部60cに係合し、ラッチ60は反時計方向の回動が規制されるとともに、カム60eがリミットスイッチ64a(
図7参照)を操作する。
【0052】
制御部は該リミットスイッチ64aがオンになったことを認識し、モータ34を回転駆動して出力軸32を反時計方向(正転)に回動させ、レバー54eを右方向へ移動させる。レバー54eはラッチレバー60dを押圧して移動させ、ラッチ60は時計方向に回動する。そして、ストライカSは保持切欠60aに保持されたまま奥へ導かれる。こうしてバックドアが完全な閉状態となると、ラッチ60は
図7に示すフルラッチ位置となり、ラチェット62の係合爪62aがフルラッチ係合凹部60bに係合し、ラッチ60は反時計方向の回動が規制されるとともに、カム60eがリミットスイッチ64b(
図7参照)を操作する。制御部は該リミットスイッチ64bがオンになったことを認識し、モータ34を逆方向に回転駆動して出力軸32を時計方向に回動させ、出力レバー54を所定の初期位置に戻す。
【0053】
ユーザによってバックドア開のボタン操作がなされると制御部はこれを認識し、モータ34を回転駆動して出力軸32を時計方向(反転)に回動させ、レバー54eを左方向へ移動させる。レバー54eはオープンレバー22を介してラチェットレバー62bを押圧して移動させ、ラチェット62は反時計方向に回動する。そして、ラチェット62の係合爪62aはフルラッチ係合凹部60bから抜け、バックドアのロックは解除される。この後、レバー54eは初期位置に戻される。
【0054】
図9は、第1金属ブラケット16を斜め後方から見た斜視図である。
図3および
図9に示すように、第1金属ブラケット16は中央に設けられた中央板17aと、中央板17aの左右に設けられた縦板17b,17cと、中央板17aの下方に設けられた下板17dとから構成されている。中央板17aと縦板17b,17cとの間には前後方向の段差部17eがある。下板17dは、中央板17aの下端から斜め前方に突出している。
【0055】
中央板17aには軸支孔16aおよび孔16cが設けられている。軸支孔16aは出力軸32の先端を軸支するもので、中央板17aのほぼ中央設けられている。軸支孔16aはプレス加工により、前方に向かって縮径するホーン状に形成されている。孔16cは上記のとおり、オープンレバー22の支軸22a(
図3参照)を軸支している。
【0056】
縦板17b,17cは中央板17aの左右で上下方向に延在しており、下方部は斜め下方に向かって屈曲した孔付台座17fを形成している。孔付台座17fは上記の孔付台座24c(
図5参照)および孔付台座56b(
図1参照)とともにドア固定部を形成し、ボルトB0によって車体に共締めされる。このような車体に対するドア固定部は、第2金属ブラケット18に設けられていてもよい。
【0057】
縦板17b,17cにはそれぞれ、上端近傍および軸支孔16aと略同じ高さにネジ孔16bが設けられている。つまり、ネジ孔16bは合計で4か所設けられている。上記の通りネジ孔16bはボルトB1が螺合して表ハウジング24が固定される。ネジ孔16bのうち下方の2つはブラケット相互固定部(
図9において符号16baとして識別する。)であり、第2金属ブラケット18が共締めされる。ネジ孔16bは前方に向かって縮径するホーン形状となっており、適度なネジ長さが確保されている。
【0058】
下板17dの下端には、該下板17dからさらに屈曲した2本の下端突出片17gが設けられている。2本の下端突出片17gにはそれぞれ軸支孔17gaが形成されている。上記のとおり軸支孔17gaは、抜止処理されたラッチ軸66およびラチェット軸70を軸支しており、第1金属ブラケット16はラチェット軸70およびラッチ軸66の軸受材として利用できる。第1金属ブラケット16はほぼ全周にわたって縁が折り曲げられた周壁17hを形成しており、強度が高くなっている。第1金属ブラケット16は、例えば金属板をプレス成型して形成されている。第2金属ブラケット18および第3金属ブラケット56も同様である。
【0059】
図10は、第2金属ブラケット18を斜め前方から見た斜視図である。
図10に示すように、第2金属ブラケット18は横長形状であって、中央よりやや右寄りに配置されたやや大径の軸支孔18aと、左右両端近傍に設けられた孔(ブラケット相互固定部)18bと、2つの肉抜孔18cとを有する。軸支孔18aは出力軸32を軸支する部分である。軸支孔18aはプレス加工により、後方に向かって縮径するホーン状に形成されている。第2金属ブラケット18の全周および肉抜孔18cの全周は縁が折り曲げられて周壁18dを形成しており、強度が高くなっている。2つの孔18bは軸支孔18aを挟んだ直線上に2か所設けられていることから、バランスが良く、軸支孔18aにおける出力軸32の軸支が安定する。
【0060】
なお、出力軸32に接続される出力レバー54は下方に延在しており、該出力レバー54から伝達される外力は出力軸32に対して上方に作用する。これに対して、第2金属ブラケット18における2つの孔18bは軸支孔18aを基準として左右方向に設けられており、しかもそれぞれドア固定部としての孔付台座17fのすぐ上に設けられていることから、第2金属ブラケット18は外力を安定して受けることができる。
【0061】
次に、カプラー28、カプラーカバー39およびプレートアセンブリ40とその周辺部についてさらに詳細に説明する。
図11は、プレートアセンブリ40を前方斜め下から見た斜視図である。上記の通りプレートアセンブリ40は、ベース部材となるプレート44と、カプラー28と、2つのリミットスイッチ46a,46bと、5本のピン48と、複数のターミナル50とを有する。
【0062】
図11に示すように、5本のピン48はそれぞれ正面側に立設しており、表ハウジング24のピン孔82(
図13参照)に嵌まり込んでプレートアセンブリ40を安定させる。ピン48の頂部は表ハウジング24の正面からやや突出する(
図1参照)。ターミナル50は金属製であり、リミットスイッチ46a,46bと雄ピン28bとを接続している。リミットスイッチ64a,64bはボックス78a,78bによって保持されている。ボックス78a,78bはプレート44に固定されており、またはプレート44と一体的に形成されている。ボックス78bは、ボックス78aよりも前方つまり表ハウジング24に近い側に配置されている。ボックス78bの両側面には係合爪88が設けられている。係合爪88には表ハウジング24の裏面に設けられた一対のフック86(
図13参照)が係合する。
【0063】
上記のように、カプラー壁28aにおける前方側面にはゴム突起28dが固定されている。ゴム突起28dは小部品であって廉価であり、しかもカプラー壁28aに対する取り付けが簡単である。ゴム突起28dに相当する係合部はカプラー壁28aの一体成型部であってもよい。カプラー壁28aの正面におけるゴム突起28dの取り付け箇所には、該箇所を示す小窪みまたはマークが設けられているとよい。ゴム突起28dには同軸の中央穴28daが形成されている。カプラー28は、ゴム突起28dがカバー24bに形成された係合孔80(
図14参照)に係合することによって表ハウジング24に固定されている。ゴム突起28dの頂部はカバー24bの正面からやや突出する(
図1参照)。ドアロック装置10では、ゴム突起28dが係合孔80に係合する簡易構造でカプラー28が固定される。
【0064】
ゴム突起28dは係合孔80(
図14参照)に対して適度な圧力で嵌め込まれて防水性がある。また、ゴム突起28dは、中央穴28daが形成されていることから、わずかに弾性し、係合孔80に対する係合が容易である。係合孔80は形成しやすいように、カプラーカバー39の四面のうち広い正面に設けられている。また、上方から流れ落ちる水滴は多くがカプラーカバー39の上面に沿って流れるため、正面に形成された係合孔80からは水滴が進入しにくい。
【0065】
ハーネス74は、内部コネクタ76を介してプレート44上のターミナル50と接続されている。複数(例えば5本)のターミナル50はプレート44の表側(
図11で視認される側)に設けられている。各ターミナル50の端部は、カプラー壁28a内に突出して雄ピン28bとなっている。雄ピン28bのうちターミナル50の端部であるもの(
図11では符号28baを付す。)は並列している。カプラー28のカプラー壁28aはプレート44に対して固定(例えば、接着)されている。5つのピン48のうち1つはプレート44上に設けられ、1つはボックス78aの側面に設けられ、2つはボックス78bの両側面に設けられ、1つは内部コネクタ76に設けられている。
【0066】
プレートアセンブリ40は3種類の係合手段によって表ハウジング24に固定される。つまり、第1の係合手段として、ゴム突起28dが係合孔80に係合する。第2の係合手段として、5つのピン48がそれぞれピン孔82に係合する。第3の係合手段として、係合爪88がフック86に係合する。このように、プレートアセンブリ40は、バランスよく分散配置された複数の箇所で表ハウジング24に対して固定され、安定する。特に、ゴム突起28dは、カプラー28のカプラー壁28aとカプラーカバー39とを固定していることから、ハーネスコネクタ30(
図1参照)の抜き差し時にカプラー28を安定して保持することができる。第1の係合手段に加えて第2の係合手段および第3の係合手段が設けられていることにより、カプラー28およびプレートアセンブリ40が一層安定する。
【0067】
また、
図11から明らかなように、カプラー28およびプレートアセンブリ40は、表ハウジング24および裏ハウジング26とは別体として構成されている。従って、ターミナル50をプレート44に固定する作業、リミットスイッチ46a,46bをボックス78a,78bに固定する作業、ハーネス74を内部コネクタ76に接続する作業、およびモータ導線41をモータ34に接続する作業などが表ハウジング24および裏ハウジング26がない状態でも行うことができ、組立自由度が増す。
【0068】
図12は、プレートアセンブリ40を後方斜め下から見た斜視図である。
図12に示すように、プレートアセンブリ40の裏面では、一対のモータ導線41の端部がそれぞれ雄ピン28bの端部と接続されている。一対のモータ導線41に接続される一対の雄ピン28b(
図12では符号28bbを付す)は並列して設けられている。雄ピン28bのうち、
図11の符号28baで識別するものと
図12の符号28bbで識別するものとは段違いに配置されている。
【0069】
一般的なカプラーでは導体ピンが2段程度に配列されていることから、それに合わせて周壁は嵌合面から見て矩形となっている。本実施形態におけるカプラー28のカプラー壁28aも矩形となっている。これに対して、カプラー壁28aを覆うカプラーカバー39も嵌合面から見て矩形となっており、カプラー壁28aとの隙間が一定幅に形成されていて無駄なスペースがない。
【0070】
図13は、表ハウジング24におけるカプラーカバー39およびその周辺を裏側から見た斜視図である。
図13に示すように、係合孔80,5つのピン孔82および一対のフック86は、
図11に示すゴム突起28d,ピン48,5つのピン48および一対の係合爪88に対応する位置に設けられている。カプラーカバー39の直下には切欠90aが形成されている。切欠90aは後方に開口している。
【0071】
図14は、カプラーカバー39およびその周辺の斜視図である。
図14に示すように、裏ハウジング26におけるカバー26dの直下には凸部90bが設けられている。凸部90bは前方に突出しており、一部が切欠90aに入っている。切欠90aと凸部90bとによって形成されるハーネス開口90にはハーネス74が通っている。このように、ハーネス開口90がカプラーカバー39の下に形成されていると、該カプラーカバー39が水除けとなって、ハーネス開口90から水が進入することがない。また、ハーネス74は、凸部90bによって適度に押圧されて安定する。また、
図14から明らかなように、ドアロック装置10では、カプラー28の雄ピン28bはカプラー壁28aとカプラーカバー39とにより二重に囲われて保護され防水性が向上している。
【0072】
カプラーカバー39は、カプラー壁28aにおける嵌合開口面およびその反対の端子引出面を除く四面(つまり上面、下面、正面および裏面)のうち少なくとも上面を上方から覆っていると、カプラー28に対する上方からの被水を相当に防止できるが、四面を覆うことにより一層の防水効果がある。カプラーカバー39およびカプラー壁28aは斜め下方を指向していることから、上方からの水は傾斜に従って下方に流れ落ち、カプラー28に対する防水効果がさらに高められている。
【0073】
カプラー28およびカプラーカバー39はやや突出しており、ハーネスコネクタ30の抜き差しを行いやすい。カプラー28のカプラー壁28aとカプラーカバー39の内面との隙間は小さい。さらに、表ハウジング24と裏ハウジング26とを固定するハウジング相互固定部(つまり、係合突起24aと係合爪26aとの組)のうち2組がカプラーカバー39に設けられており、表ハウジング24と裏ハウジング26とがカプラーカバー39の周辺で離間してしまうことが防止でき、カプラー28を一層確実に保護できる。
【0074】
図15は、カプラーカバー39およびその周辺の正面図である。
図15に示すように、カプラー28はカプラーカバー39よりも微小な長さLだけ突出している。カプラー28の右端部28eは、カプラーカバー39の右端から引いた垂線Pよりも左側にあることから、上面が全てカプラーカバー39で覆われており、上方から滴る水滴はカプラー28に当たらない。カプラーカバー39の上面の傾斜角度θ1は、例えば20°程度である。
【0075】
図16は、ドアロック装置10が設けられた車両100におけるトランクルーム102の一部拡大側面図である。ドアロック装置10は、例えばバックドア104における内部スペース106に設けられる。そして下方に形成された取付口108からラッチユニット14が突出し、該ラッチユニット14ストライカSを保持することによりバックドア104がロックされる。
【0076】
本実施の形態にかかるドアロック装置10では、上記の防水性能を有しているため取り取付口108から入った水分が内部スペース106において高温高湿でドア内で結露した場合でも、結露した水はカプラーカバー39によってカプラー28に当たることを抑制できる。
【0077】
ドアロック装置10では、特許文献2に記載の装置のようなシール材が不要で廉価であり、シール材の貼り付け工程やパネルなど他部材と挟持圧縮させる工程が不要であって、車両への取り付けが容易である。
【0078】
また、カプラー28の周囲にシール材の取り付け面を確保する必要がなく、小型化が図られる。シール取り付け面を確保する必要がないため、カプラー28を幅の狭い側面に配置することができ、ハーネスコネクタ30(
図1参照)を側方に配索させることができる。つまりハーネスコネクタ30はドアロック装置10の前方または後方に突出することがなく、狭い内部スペース106内に収めることができる。ドアロック装置10はバックドア104以外のドアに適用してもよい。
【0079】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。