特許第6871297号(P6871297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871297生物学的水処理用の縦軸型曝気撹拌装置及び曝気撹拌装置の交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871297
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】生物学的水処理用の縦軸型曝気撹拌装置及び曝気撹拌装置の交換方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/16 20060101AFI20210426BHJP
   C02F 3/12 20060101ALI20210426BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20210426BHJP
   B01F 7/18 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C02F3/16
   C02F3/12 A
   B01F15/00 C
   B01F7/18 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-70888(P2019-70888)
(22)【出願日】2019年4月2日
(62)【分割の表示】特願2017-153047(P2017-153047)の分割
【原出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2019-104015(P2019-104015A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年4月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】高井 善幸
(72)【発明者】
【氏名】山崎 秀人
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−188825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/14− 3/26、 7/00
B01F 1/00− 5/26、
7/00− 7/32、
15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラ及びシャフトを有した生物学的水処理に用いられる縦軸型曝気撹拌装置において、
前記シャフトはインペラが付いた第一シャフトと、前記第一シャフトに連結される第二シャフトに分割され、
前記第一シャフトの長さは、前記インペラの直径よりも小さく、
第一シャフトの長手方向に垂直な一方向から見たときに、第一シャフトと第二シャフトの連結部に隣接する前記第一シャフトのと、第二シャフトのが略同一であることを特徴とする縦軸型曝気撹拌装置。
【請求項2】
前記インペラと第一シャフトは、一体的であることを特徴とする、請求項1に記載の縦軸型曝気撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的水処理用の縦軸型曝気撹拌装置及び曝気撹拌装置の交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水や汚水等の被処理水を生物処理する方法として、無終端状の循環水路が形成されたオキシデーションディッチ槽を使用する方法が知られている。このオキシデーションディッチ槽における曝気撹拌装置としては、縦軸型、横軸型及び斜軸型の3種類が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、縦軸型の曝気撹拌装置を備えたオキシデーションディッチ槽が記載されている。これについて図4を用いて説明すると、オキシデーションディッチ槽1は、周囲壁2、区画壁3により直線水路A及び循環水路Bが形成され、直線水路Aの区画壁3に隣接して縦軸型曝気撹拌装置4及びバッフル板5が設けられている。
【0004】
縦軸型曝気撹拌装置4は、オキシデーションディッチ槽1の上部からシャフトが垂下するように固定され、当該シャフトの下端にはインペラが形成されている。当該インペラは、オキシデーションディッチ槽1内に張られた被処理水の水面上から一部が出た状態で固定され、この状態でインペラを回転させることにより、被処理水の表面曝気を行うと共に、撹拌流を形成して、微生物の生育環境を整えている。
【0005】
一方、横軸型の曝気撹拌装置を備えたオキシデーションディッチ槽について図5を用いて説明すると、特許文献1に記載された縦軸型曝気撹拌装置4と同様に、オキシデーションディッチ槽1の直線水路Aに横軸型曝気撹拌装置8が設けられている。 また、オキシデーションディッチ槽1は通常屋外に設置されているため、雪の多い地域等では天井部6が設けられている。そして、天井部6には横軸型曝気撹拌装置8を取り付けるための取り付け口7が形成されている。さらに、天井部6には、メンテナンス等のために使用する大きな開口部9が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−22509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、縦軸型曝気装置は横軸型・斜軸型曝気装置と比較して、一般的に曝気性能や維持管理性に優れているため、横軸型・斜軸型曝気撹拌装置を縦軸型曝気撹拌装置に取り換えたいというニーズがある。そして、既設の横軸型曝気撹拌装置から縦軸型曝気撹拌装置への取り換えを行うにあたり、既設部分の変更は最小限に抑えたいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、横軸型曝気撹拌装置8の取り付け口7から縦軸型曝気撹拌装置4を取り付ける際に、取り付け口7の大きさよりインペラの直径の方が大きいため、インペラがオキシデーションディッチ槽1の内部に導入できないという新たな課題を発見した。
上記課題について鋭意検討した結果、縦軸型曝気撹拌装置のシャフトを分割することにより、横軸型曝気撹拌装置8の取り付け口7をそのまま利用して縦軸型曝気撹拌装置4に交換できることを見出して本発明を完成させた。
具体的には、本発明は、以下の縦軸型曝気撹拌装置及び曝気撹拌装置の交換方法を提供するものである。
【0009】
(本願第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明は、インペラ及びシャフトを有した生物学的水処理に用いられる縦軸型曝気撹拌装置において、前記シャフトはインペラが付いた第一シャフトと、前記第一シャフトに連結される第二シャフトに分割されることを特徴とする縦軸型曝気撹拌装置である。
(本願第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明は、前記第一シャフトの長さは、前記インペラの直径よりも小さいことを特徴とする本願第1発明に記載の縦軸型曝気撹拌装置である。
(本願第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、本願第1または第2発明に記載の縦軸型曝気撹拌装置と、前記曝気撹拌装置を取り付けるための矩形の取り付け口と、を備え、前記第一シャフトの長さは、前記矩形の取り付け口の短辺の長さより小さいことを特徴とする生物学的水処理装置である。
(本願第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明は、非縦軸型曝気撹拌装置の取り付け口を通して非縦軸型曝気撹拌装置を縦軸型曝気撹拌装置に交換することを特徴とする曝気撹拌装置の交換方法である。
【発明の効果】
【0010】
本願第1発明の縦軸型曝気撹拌装置によれば、インペラが付いた第一シャフトを架台から分離して、横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口とは別の大きな開口部からオキシデーションディッチ槽内に導入した後、前記取り付け口の内側から架台に取り付けることができる。そのため、横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口をインペラが通過できるような大きさに加工することなく、縦軸型曝気撹拌装置をオキシデーションディッチ槽に取り付けることができる。
【0011】
本願第2、第3発明の縦軸型曝気撹拌装置によれば、第一シャフトの軸方向の長さがインペラの直径より小さいため、インペラを垂直方向に立てて導入することで、インペラが付いた第一シャフトを横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口から直接導入することができる。そのため、インペラが付いた第一シャフトをオキシデーションディッチ槽内で移動させる必要がなく、取り付ける作業が簡易なものとなる。
また、インペラが付いた第一シャフトをオキシデーションディッチ槽内で移動させる必要がないため、オキシデーションディッチ槽から被処理水を抜くことなく、縦軸型曝気撹拌装置を取り付けることも可能である。
【0012】
本願第4発明の曝気撹拌装置の交換方法によれば、非縦軸型曝気撹拌装置用の取り付け口を通して、非縦軸型曝気撹拌装置を縦軸型曝気撹拌装置に交換することができるため、オキシデーションディッチ槽内の被処理水を抜く工程を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施例の縦軸型曝気撹拌装置の構成を示す概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施例の縦軸型曝気撹拌装置を取り付ける方法を示す概略説明図である。
図3】本発明の第2の実施例の縦軸型曝気撹拌装置の構成を示す概略説明図である。
図4】従来の縦軸型曝気撹拌装置を備えたオキシデーションディッチ槽の構成を示す概略説明図である。
図5】従来の横軸型曝気撹拌装置を備えたオキシデーションディッチ槽の構成を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施例では、本発明の縦軸型曝気撹拌装置及びその取付方法、並びに、横軸型曝気撹拌装置を縦軸型曝気撹拌装置に交換する方法について説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例の縦軸型曝気撹拌装置4の構成を示す概略説明図である。第1の実施例の縦軸型曝気撹拌装置4は、インペラ43が付いた第一シャフト41と、この第一シャフト41と連結され、架台10に取り付けられた第二シャフト42を備えている。なお、本発明において、インペラ43と第一シャフトは一体的に固定されているため、単に「第一シャフト41」と表記した場合でも、断りがない限りインペラ43を有するものを表している。
【0016】
この縦軸型曝気撹拌装置4は、架台10を介してオキシデーションディッチ槽1の天井部6に取り付けられる。天井部6の取り付け口7は、横軸型曝気撹拌装置8が取り付けられていたものであり、インペラ43の直径より小さい開口である。
【0017】
インペラ43、第一シャフト41及び第二シャフト42の材質は、特に限定されないが、強度及び比重の観点からステンレススチール等の金属材料が好ましい。さらに、腐食性の観点からステンレススチールであることがより好ましい。
【0018】
第一シャフト41と第二シャフト42の連結は、フランジ等の連結部を介してボルト、へルール等の固定部材で固定することができる。回転方向の応力に強く、簡便に取り付けることが可能であることから、ボルトが好ましい。
【0019】
次に、本発明の縦軸型曝気撹拌装置4を取り付ける方法を説明する。図2は、本発明の第1の実施例の縦軸型曝気撹拌装置を取り付ける方法を示す概略説明図である。
オキシデーションディッチ槽1の天井部6には、横軸型曝気撹拌装置8の取り付けのための取り付け口7の他に、メンテナンス等のために開放可能な開口部9を有している。開口部9は、インペラ43の直径よりも大きいものである。
【0020】
本発明の縦軸型曝気撹拌装置4を取り付ける方法は、インペラ43が付いた第一シャフト41と架台10に固定された第二シャフト42を分離する工程、第二シャフト42が固定された架台10を取り付け口7に設置する工程、インペラ43が付いた第一シャフト41をインペラ43の直径より大きい開口部9よりオキシデーションディッチ槽1内に導入する工程、インペラ43が付いた第一シャフト41をオキシデーションディッチ槽1の内部を通して取り付け口7の下方に移送する工程、第二シャフト42の連結部とインペラ43が付いた第一シャフト41の連結部を固定具で固定する工程を具備する。
【0021】
「第二シャフト42が固定された架台10を取り付け口7に設置する工程」では、第二シャフト42が固定された架台10が、横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7を架橋するように設置される。このとき、第二シャフト42のフランジは、オキシデーションディッチ槽1の内部方向に向けられている。
【0022】
本発明の縦軸型曝気撹拌装置4及びその取り付け方法を用いることにより、横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7を縦軸型曝気撹拌装置用に大きくするための工事が不要となり、横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7に縦軸型曝気撹拌装置4を簡便に取り付けることができる。
【0023】
また、横軸型曝気撹拌装置8と縦軸型曝気撹拌装置4を交換する方法では、オキシデーションディッチ槽1の被処理水を抜く工程、横軸型曝気撹拌装置8を取り付け口7より取り外す工程を経て、上記縦軸型曝気撹拌装置4を取り付ける方法を適用する。
【0024】
図3は、本発明の第2の実施例の縦軸型曝気撹拌装置の構成を示す概略説明図である。第2の実施例の縦軸型曝気撹拌装置は、第一シャフト41の軸方向の長さが、インぺラ43の直径よりも小さく設計されたものである。さらに好ましくは、第一シャフト41の軸方向の長さが、矩形の取り付け口7の短辺の長さより小さく設計されたものである。
【0025】
このように設計することにより、第一シャフト41を横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7を通してオキシデーションディッチ槽1の内部に導入することができる。なお、第一シャフト41の軸方向の長さが、矩形の取り付け口7の短辺の長さ以上の場合には、取り付け口7付近で第一シャフト41を回転させながら導入することにより(破線矢印)、取り付け口7を介して第一シャフト41を導入することができる。
【0026】
第2の実施例における縦軸型曝気撹拌装置を取り付ける方法では、第一シャフト41を取り付け口7より導入する点で、第1の実施例と相違する。すなわち、第2の実施例の縦軸型曝気撹拌装置を取り付ける方法は、インペラ43が付いた第一シャフト41と架台10に固定された第二シャフト42を分離する工程、インペラ43が付いた第一シャフト41を横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7を通してオキシデーションディッチ槽1内に導入する工程、第二シャフト42の連結部とインペラ43が付いた第一シャフト41の連結部を固定具で固定する工程、架台10を取り付け口7に設置する工程を具備するものであ
る。
【0027】
第2の実施例では、第一シャフト41が横軸型曝気撹拌装置用の取り付け口7を通してオキシデーションディッチ槽1の内部に導入できるため、取り付け方法が簡易なものとなる。
また、横軸型曝気撹拌装置8と縦軸型曝気撹拌装置4を交換する方法では、オキシデーションディッチ槽1の被処理水を抜く工程が省略できるため、より簡略された交換方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の縦軸型曝気撹拌装置は、実施例のオキシデーションディッチ槽のような生物学的水処理装置に利用される。生物学的水処理装置とは、下水汚泥等のような有機性汚泥や、食品工場や医薬品工場等から発生する有機性排水を好気性微生物の働きにより浄化するための装置である。そのほか、栄養分やバイオ燃料を産生する藻類等の大型培養施設にも応用することができる。
その形式としては、円筒タンク型の曝気槽や、複数の槽が連結して一連の生物学的水処理を行う生物学的水処理システム等が挙げられる。オキシデーションディッチ槽のような大型の生物学的水処理装置では、インペラも大きくなり、交換作業の困難性が高く、また、被処理水を抜く作業にも多大な時間を必要とするため、本発明の効果が顕著なものとなり好ましい。
【0029】
また、本発明の曝気撹拌装置の交換方法は、非縦軸型曝気撹拌装置が設置されている生物学的水処理装置であればどのような装置でも適用することができる。実施例の横軸型曝気撹拌装置が設置されていた生物学的水処理装置のほか、斜軸型曝気撹拌装置が設置されている生物学的水処理装置において、斜軸型曝気撹拌装置を縦軸型曝気撹拌装置に交換する方法にも適用することができる。
なお、本発明の縦軸型曝気撹拌装置、その取付方法、非縦軸型曝気撹拌装置から縦軸型曝気撹拌装置への交換方法は、必ずしもインペラより小さい取り付け口に適用するにとどまらず、インペラより大きな取り付け口に適用してもよいことはいうまでもない。
【0030】
さらに、本発明の縦軸型曝気撹拌装置は、縦軸型曝気撹拌装置のインペラの形状を交換する方法にも適用することができる。インペラの形状を交換する方法は、縦軸型曝気撹拌装置が固定された架台をオキシデーションディッチ槽の天井部から取り外す工程、前記架台を吊り上げる工程、インペラが付いた第一シャフトを第二シャフトから取り外す工程、異なる形状のインペラが付いた第一シャフトを第二シャフトに連結する工程、異なる形状のインペラが付いた第一シャフトを有する縦軸型曝気撹拌装置をオキシデーションディッチ槽の天井部に設置する工程を具備する。
ここで、「インペラが付いた第一シャフトを第二シャフトから取り外す工程」は、オキシデーションディッチ槽の内部又は外部のいずれで行ってもよい。この工程は、インペラより取り付け口が大きい場合は、安全性の観点からオキシデーションディッチ槽の外部で行うことが好ましい。
【0031】
また、第一シャフトの長さがインペラの直径より小さい構成では、第一シャフトの重量を小さくできるため、交換用の第一シャフトを安価に作製することができる。
【0032】
このほか、本発明の縦軸型曝気撹拌装置は、第一シャフトと第二シャフトの間に、シャフトの長さを調節するための第三シャフトを設けることにより、オキシデーションディッチ槽内のインペラの深さを調節する方法に適用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 オキシデーションディッチ槽、2 周囲壁、3 区画壁、4 縦軸型曝気撹拌装置、41 第一シャフト、42 第二シャフト、43 インペラ、5 バッフル板、6 天井部、7 取り付け口、8 横軸型曝気撹拌装置、9 開口部、10 架台、A 直線水路、B 循環水路

図1
図2
図3
図4
図5