特許第6871305号(P6871305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871305無線通信装置、IoT機器、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871305
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】無線通信装置、IoT機器、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20210426BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20210426BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20210426BHJP
【FI】
   H04W28/04 110
   H04W88/06
   H04W4/70
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-107228(P2019-107228)
(22)【出願日】2019年6月7日
(65)【公開番号】特開2020-202462(P2020-202462A)
(43)【公開日】2020年12月17日
【審査請求日】2019年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】林 智一
(72)【発明者】
【氏名】洪 胤杓
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−117301(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/060954(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/220635(WO,A1)
【文献】 特表2020−535760(JP,A)
【文献】 特表2019−522928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3GPPのCat.Mの仕様に準拠した第1無線通信方式のベースバンド処理を行う第1通信用チップと、3GPPのCat.NBの仕様に準拠した第2無線通信方式のベースバンド処理を行う第2通信用チップとを有し、移動通信網を介したサーバへのデータの送信を伴うアプリケーションが起動されたとき、起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて前記第1通信用チップ及び前記第2通信用チップのいずれか一方に切り替えることにより前記第1通信用チップと前記第2通信用チップとを選択的に用いて無線通信を行う無線通信部と、
前記第1無線通信方式に対応するように設定された第1の再送タイムアウトの設定値と、前記第2無線通信方式に対応するように前記第1の再送タイムアウトの設定値よりも長く設定された第2の再送タイムアウトの設定値とが予め設定され、前記サーバへのデータ送信時に前記第1の再送タイムアウトの設定値及び前記第2の再送タイムアウトの設定値から選択した再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行う再送処理部と、
前記起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて、前記第1無線通信方式の第1通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第1無線通信方式に対応する前記第1の再送タイムアウトの設定値を選択して設定し、前記第2無線通信方式の第2通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第2無線通信方式に対応する前記第2の再送タイムアウトの設定値を選択して設定するように、前記再送タイムアウトの設定値を切り替える切替部と、を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1の無線通信装置において、
前記再送処理部は、階層化通信モデルのアプリケーション層、プレゼンテーション層又はセッション層において、前記再送タイムアウトの設定値に基づくデータの再送処理を行うことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2の無線通信装置において、
前記再送処理部は、階層化通信モデルのトランスポート層又はネットワーク層において、前記再送タイムアウトの設定値に基づくデータの再送処理を行うことを特徴とする無線通信装置
【請求項4】
求項1乃至のいずれかの無線通信装置において、
当該無線通信装置は、サーバと通信するIoT機器に組み込まれる通信端末装置であることを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかの無線通信装置を備えたIoT機器。
【請求項6】
3GPPのCat.Mの仕様に準拠した第1無線通信方式のベースバンド処理を行う第1通信用チップと、3GPPのCat.NBの仕様に準拠した第2無線通信方式のベースバンド処理を行う第2通信用チップとを有する無線通信装置の制御方法であって、
移動通信網を介したサーバへのデータの送信を伴うアプリケーションが起動されたとき、起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて前記第1通信用チップ及び前記第2通信用チップのいずれか一方に切り替えることにより前記第1通信用チップと前記第2通信用チップとを選択的に用いて無線通信を行うことと、
前記第1無線通信方式に対応するように設定された第1の再送タイムアウトの設定値と、前記第2無線通信方式に対応するように前記第1の再送タイムアウトの設定値よりも長く設定された第2の再送タイムアウトの設定値とが予め設定され、前記サーバへのデータ送信時に前記第1の再送タイムアウトの設定値及び前記第2の再送タイムアウトの設定値から選択した再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行うことと、
前記起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて、前記第1無線通信方式の第1通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第1無線通信方式に対応する前記第1の再送タイムアウトの設定値を選択して設定し、前記第2無線通信方式の第2通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第2無線通信方式に対応する前記第2の再送タイムアウトの設定値を選択して設定するように、前記再送タイムアウトの設定値を切り替えることと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
3GPPのCat.Mの仕様に準拠した第1無線通信方式のベースバンド処理を行う第1通信用チップと、3GPPのCat.NBの仕様に準拠した第2無線通信方式のベースバンド処理を行う第2通信用チップとを有する無線通信装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動通信網を介したサーバへのデータの送信を伴うアプリケーションが起動されたとき、起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて前記第1通信用チップ及び前記第2通信用チップのいずれか一方に切り替えることにより前記第1通信用チップと前記第2通信用チップとを選択的に用いて無線通信を行うためのプログラムコードと、
前記第1無線通信方式に対応するように設定された第1の再送タイムアウトの設定値と、前記第2無線通信方式に対応するように前記第1の再送タイムアウトの設定値よりも長く設定された第2の再送タイムアウトの設定値とが予め設定され、前記サーバへのデータ送信時に前記第1の再送タイムアウトの設定値及び前記第2の再送タイムアウトの設定値から選択した再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行うためのプログラムコードと、
前記起動中のアプリケーションによって指定された無線通信方式に応じて、前記第1無線通信方式の第1通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第1無線通信方式に対応する前記第1の再送タイムアウトの設定値を選択して設定し、前記第2無線通信方式の第2通信用チップを用いて無線通信を行う場合、前記第2無線通信方式に対応する前記第2の再送タイムアウトの設定値を選択して設定するように、前記再送タイムアウトの設定値を切り替えるためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムの通信端末装置や基地局装置などの無線通信装置、並びに、その無線通信装置を備えたIoT機器、制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムの通信規格である3GPPのLTE(Long Term Evolution)−Advanced(非特許文献1参照)を発展させたLTE−AdvancedProと呼ばれる通信規格(非特許文献2参照)、及び、第5世代の移動通信で提案されている新しい無線アクセス技術(NR:New Radio)の通信規格では、IoT(Internet of Things)向けデバイスへの通信を提供するLPWA(Low Power、Wide Area)技術として、IoT機器に組み込まれる端末装置の低価格化及び基地局と通信可能なカバレッジエリアの拡張を実現する2つの無線通信方式であるCat.MとCat.NB(NarrowBand)がサポートされている。Cat.Mは、Cat.M1、LTE−M又はeMTC(enhanced Machine−Type Communications)とも呼ばれ、周波数帯域幅が例えば1.4MHzに制限され、約15dBのカバレッジ拡張及び1Mbps(上り)の最大通信速度をサポートしている。また、Cat.NBは、NB−IoTとも呼ばれ、周波数帯域幅が例えば200kHzの狭帯域に制限され、約23dBのカバレッジ拡張及び63kbps(上り)の最大通信速度をサポートし、LTEの周波数バンドでも使用できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.12.0 (2014−12).
【非特許文献2】3GPP TS 36.300 V13.5.0 (2016−09).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らが、上記通信速度が互いに異なる2つの無線通信方式(Cat.M、Cat.NB)の通信モードを切り替え可能な無線通信装置において、通信速度が遅い無線通信方式(Cat.NB)に切り替えて使用したところ、受信側で電波の電界強度が充分に高い良電界の環境であっても無駄なデータの再送が多発するおそれがあることがわかった。この良電界の環境での無駄なデータの再送の多発は、送受信可能なデータ量及び無線リソースに悪影響を与えるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る無線通信装置は、第1無線通信方式と通信速度が前記第1無線通信方式よりも遅い第2無線通信方式とを選択的に用いて無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部を介したデータ送信時に再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行う再送処理部と、前記第2無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値を前記第1無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値よりも長くするように、前記無線通信部で用いる無線通信方式に応じて前記再送タイムアウトの設定値を切り替える切替部と、を備える。
前記無線通信装置において、前記再送処理部は、階層化通信モデルのアプリケーション層、プレゼンテーション層又はセッション層において、前記再送タイムアウトの設定値に基づくデータの再送処理を行ってもよい。
前記無線通信装置において、前記再送処理部は、階層化通信モデルのトランスポート層又はネットワーク層において、前記再送タイムアウトの設定値に基づくデータの再送処理を行ってもよい。
前記無線通信装置において、前記第1無線通信方式は、3GPPのCat.Mの仕様に準拠した無線通信方式であり、前記第2無線通信方式は、3GPPのCat.NBの仕様に準拠した無線通信方式であってよい。
前記無線通信装置は、サーバと通信するIoT機器に組み込まれる通信端末装置であってもよい。
本発明の更に他の態様に係るIoT機器は、前記いずれかの無線通信装置を備える。
【0006】
本発明の更に他の態様に係る無線通信装置の制御方法は、第1無線通信方式と通信速度が前記第1無線通信方式よりも遅い第2無線通信方式とを選択的に用いて無線通信を行うことと、データ送信時に再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行うことと、前記第2無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値を前記第1無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値よりも長くするように、データ送信に用いる無線通信方式に応じて前記再送タイムアウトの設定値を切り替えることと、を含む。
【0007】
本発明の他の態様に係るプログラムは、無線通信装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、第1無線通信方式と通信速度が前記第1無線通信方式よりも遅い第2無線通信方式とを選択的に用いて無線通信を行うためのプログラムコードと、データ送信時に再送タイムアウトの設定値に基づいてデータの再送処理を行うためのプログラムコードと、前記第2無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値を前記第1無線通信方式によるデータ送信時の再送タイムアウトの設定値よりも長くするように、データ送信に用いる無線通信方式に応じて前記再送タイムアウトの設定値を切り替えるためのプログラムコードと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信速度が互いに異なる複数の無線通信方式を切り替えて無線通信可能な無線通信装置において、通信速度が速い第1無線通信方式によるデータ送信時における再送タイムアウトの無駄な待ち時間の発生を抑制するとともに、通信速度が遅い第2無線通信方式によるデータ送信時における無駄なデータの再送を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る通信システムの一例を示す説明図。
図2】本実施形態に係る通信端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態に係る通信端末装置の無線通信部の主要構成の一例を示すブロック図。
図4】本実施形態に係る通信端末装置の通信モードに応じた再送タイムアウトの設定値の切り替え制御の一例を示すフローチャート。
図5】第1無線通信方式(Cat.M)を用いる第1通信モード選択時の再送タイムアウトの設定例を示す説明図。
図6】第2無線通信方式(Cat.NB)を用いる第2通信モード選択時の再送タイムアウトの設定例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システムの一例を示す説明図である。図1において、IoT機器(以下「IoTデバイス」ともいう。)10に組み込まれた無線通信装置としての通信端末装置(「UE(ユーザ装置)」ともいう。)100は、移動通信網の基地局20のセル20Aに在圏するとき、基地局20及びコアネットワーク30を介して各種のサーバ40と通信することができる。
【0011】
IoTデバイス10は、インターネットに接続することができる機器(デバイス)であり、オフィスで使用するOA機器、スピーカ、照明、空調機器など家電製品、人体や動物などに装着することができるウェアラブル機器、工場や農場などに設置されるセンサー機器、自動車などの移動体に搭載されるナビゲーションや自動運転などの機器、などを含む。
【0012】
サーバ40は、例えば、LwM2M(Light Weight Machine to Machine)サーバ、Coap(Constrained Application Protocol)サーバ、DNS(Domain Name Server)などである。ここで、LwM2Mサーバは、Open Mobile Allianceが策定するIoT/M2Mデバイス管理プロトコルであるLwM2Mを用いて、大量のoTデバイスを遠隔的に管理・制御するためのサーバである。Coapサーバは、低消費電力でネットワーク損失が多いなどの制約されたノードやネットワークでの使用に特化したウェブ転送プロトコルであるCoAP(例えばRFC参照)を用いて、大量のoTデバイスを遠隔的に管理・制御するためのサーバである。
【0013】
通信端末装置100は、第1無線通信方式(Cat.M)を用いる第1通信モードと、仕様上の最大通信速度が第1無線通信方式よりも遅い第2無線通信方式を(Cat.NB)用いた第2通信モードとを選択的に切り替えて、サーバ40と通信することができる。前述のように、第1無線通信方式(Cat.M)は、3GPPのCat.M、Cat.M1、LTE−M又はeMTCの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば1.4MHzに制限され、約15dBのカバレッジ拡張及び1Mbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。また、第2無線通信方式(Cat.NB)は、3GPPのCat.NB又はNB−IoTの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば200kHzの狭帯域に制限され、約23dBのカバレッジ拡張及び63kbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。
【0014】
図2は、本実施形態に係る通信端末装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この通信端末装置100は、主制御部110と無線通信部111と通信モード切替部112と音入出力部113と表示部114と操作手段としての操作部115とを備える。また、通信端末装置100は、装置本体に対して着脱可能なUICC15が装着されている。UICC15は、移動体通信サービスで用いられるUSIM又はSIMとしての機能が組み込まれている。
【0015】
主制御部110は、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)、RAM、ROM等を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、通信モード切替部112等の各部を制御したり、ソフトウェア構成上のネイティブプラットフォーム環境やアプリケーション実行環境を構築したりする。
【0016】
主制御部110は、例えば所定の制御プログラムが読み込まれて実行され、他の無線通信部111、通信モード切替部112、操作部115等の各部と連携することにより、次の(1)〜(5)の各手段として機能することができる。
(1)第1無線通信方式(Cat.M)を用いる第1通信モードと第2無線通信方式(Cat.NB)を用いる第2通信モードとを選択的に切り替えて基地局20と通信するように無線通信部111を制御する手段。
(2)起動しているアプリケーションの指示により第1無線通信方式(Cat.M)の第1通信モードと第2無線通信方式(Cat.NB)の第2通信モードとを切り替える手段。
(3)利用者の操作により第1無線通信方式(Cat.M)の第1通信モードと第2無線通信方式(Cat.NB)の第2通信モードとを切り替える手段。
(4)データ送信時に再送タイマーの再送タイムアウト(RTO)の設定値に基づいてデータの再送処理を行う手段(再送処理部としての手段)。
(5)第2無線通信方式(Cat.NB)によるデータ送信時の再送タイムアウト(RTO)の設定値を、第1無線通信方式(Cat.M)によるデータ送信時の再送タイムアウト(RTO)の設定値よりも長くするように、無線通信部111で実行する通信モードすなわち無線通信部111で用いる無線通信方式に応じて再送タイムアウト(RTO)の設定値を切り替える手段(切替部としての手段)。
【0017】
前記データの再送処理は、例えば、階層化通信モデルのアプリケーション層、プレゼンテーション層又はセッション層に再送タイマーの機能を設け、その再送タイマーの再送タイムアウト(RTO)の設定値TRTOに基づいて行う。このアプリケーション層、プレゼンテーション層又はセッション層における再送タイムアウト(RTO)の設定値TRTOは、データ送信に用いる無線通信方式(通信モード)に応じて切り替える。なお、アプリケーション層、プレゼンテーション層及びセッション層の3つの層をまとめてアプリケーション層と呼ぶ場合がある。また、これらの層ではデータを「メッセージ」と呼ぶ場合がある。
【0018】
また、前記データの再送処理は、階層化通信モデルのトランスポート層又はネットワーク層に再送タイマーの機能を設け、その再送タイマーの再送タイムアウト(RTO)の設定値TRTOに基づいて行い、このトランスポート層又はネットワーク層における(RTO)の設定値TRTOを、データ送信に用いる無線通信方式(通信モード)に応じて切り替えてもよい。
【0019】
前記トランスポート層はレイヤ4に属し、例えばTCP(伝送制御プロトコル)及びUDP(ユーザ データグラム プロトコル)の少なくとも一つのサブレイヤを含む。前記トランスポート層では、TCPを用いるデータを「セグメント」と呼び、UDPを用いるデータを「データグラム」と呼ぶ場合がある。
【0020】
また、前記ネットワーク層はレイヤ3に属し、RRC(無線リソース制御)及びIP(インターネットプロトコル)の少なくとも一つのサブレイヤを含む。RRCのサブレイヤでは、システム報知情報配信、緊急地震速報配信、ページング配信、NAS(Non-Access Stratum)メッセージ配信、RRCコネクション管理、無線ベアラ管理、無線セキュリティ設定、ハンドオーバー制御、再接続制御などの処理を行う。
【0021】
前記再送タイムアウト(RTO)の設定値TRTOは、例えば、データの1回目の再送に対する再送タイムアウト(RTO)の基準設定値TRTO(1)として、1秒、2秒又は4秒を設定し、再送の繰り返し回数n(2以上)に応じて例えばTRTO(n)=2(n−1)×TRTO(1)で示すように増加させる。再送タイムアウト(RTO)の基準設定値TRTO(1)は、データが通信先に届いて戻ってくるまでの往復時間(RTT:Round Trip Time)の測定結果に基づいて設定してもよい(例えば、TRTO(1)=4×RTT+α)。再送処理では、送信対象のデータを通信先に送信するとともに一時保存し、データを送信してから再送タイムアウト(RTO)が経過するまでの間に通信先からのACK(肯定応答)が戻ってこないときに同一データを通信先に再送する。また、データの初送からの経過時間の上限値Tlimtを設定し、TRTO(n)の累積値ΣTRTO(n)がTlimtに達したときに当該データを破棄するようにしてもよい。
【0022】
無線通信部111は、移動体通信網を介して通信するネットワーク通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器、高周波増幅器などにより構成され、移動体通信網の基地局20との間で無線通信するための高周波信号処理を実行する。
【0023】
無線通信部111は、後述のように、第1通信モード(第1無線通信方式:Cat.M)のベースバンド処理部を構成する第1通信用チップと、第2通信モード(第2無線通信方式:Cat.NB)のベースバンド処理部を構成する第2通信用チップとを備えてもよい。この場合、通信モード切替部112で通信に使用する通信用チップをいずれか一方に切り替えることにより通信モードの切り替えを行うことができる。
【0024】
通信モード切替部112は、無線通信部111に接続されており、上述したように通信に使用するベースバンド処理部を第1通信用チップからなるベースバンド処理部及び第2通信用チップからなるベースバンド処理部のいずれか一方に切り替えることにより、第1無線通信方式(Cat.M)の第1通信モードと第2無線通信方式(Cat.NB)の第2通信モードとの切り替え処理を実行する。
【0025】
音入出力部113は、マイク、スピーカ、音信号処理部等で構成されている。マイクから出力されるアナログの音声信号は、音信号処理部でデジタル信号に変換され、主制御部110や無線通信部111等に送られる。スピーカは、音信号処理部でデジタル信号から変換されたアナログ信号が入力され、通話中の音声を出力したり、メールの着信音、電話の呼び出し音、音楽などを出力したりする。なお、スピーカは、通話中の音声を聞くための受話器用スピーカ(レシーバ)と、着信音や音楽などを出力する外部出力用スピーカとを別々に設けて構成してもいいし、これらの受話器用スピーカ及び外部出力用スピーカを兼用するように一つのスピーカで構成してもよい。
【0026】
表示部114は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成され、主制御部110からの指令に基づいて各種画像を表示する。操作部115は、表示部114に組み込まれたタッチパネルや、各種の操作キーやボタン、電源ON/OFF手段としての電源スイッチなどで構成されている。この操作部115は、利用者が、通信モード(無線通信方式)を切り替えたり、通信端末装置100の本体電源をON/OFFしたり、通話開始、終話、メニュー選択、画面切り換え等を指示したり、情報を入力したりするときに用いられる。
【0027】
また、通信端末装置100は、図示のように、位置情報取得手段としてのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)部117、撮像手段としてのカメラ部118及びセンサー部119を備えてもよい。また、通信端末装置100は、電源供給手段としての電源供給部120、図示しない時計部等も備えている。
【0028】
GPS部117は、GPS受信モジュールやGPSアンテナ等で構成され、地球の周りに配置されている複数のGPS衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて通信端末装置100が位置する緯度、経度及び高度のデータを算出する。カメラ部118は、レンズや撮像デバイス等で構成され、人物や風景等を撮影する時に用いられる。撮像デバイスとしては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOSカメラを用いることができる。センサー部119は、加速度センサー及び/又は地磁気センサー等で構成されている。加速度センサーは、1軸の加速度センサーであってもいいし、2軸や3軸等の複数軸の加速度センサーであってもよい。また、地磁気センサーも、1軸の地磁気センサーであってもいいし、2軸や3軸等の複数軸の地磁気センサーであってもよい。このセンサー部119の出力に基づいて、通信端末装置100の位置、向き、姿勢及び動きを示すデータを算出することができる。また、センサー部119の出力に基づいて、所定高度における基準位置から利用者の通信端末装置100が移動したときの加速度データや地磁気データの時間変化の情報である履歴情報から、通信端末装置100が位置している高度、角度等を示すデータを算出することができる。
【0029】
電源供給部120は、充電可能なバッテリー、バッテリーから各部に所定電圧の電力を供給する電力供給回路、バッテリーを充電する充電回路などを備えている。また、電源供給部120は、通信端末装置100における主要部すなわち音入出力部113、表示部114、操作部115の一部、GPS部117、カメラ部118及びセンサー部119への電力供給については、前述の利用者が操作可能な電源スイッチによりON/OFFできるように構成されている。なお、電源スイッチのOFF時に一部の機能を動作させるために、電源供給部120は、電源スイッチのOFF時においても無線通信部111及びUICC15への電力供給を継続して行うように構成してもよい。
【0030】
時計部はクロック回路等で構成され、正確な日時を計数し、例えば各種の更新処理等のための時刻情報を生成する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る通信端末装置100の無線通信部111の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように無線通信部111は、第1無線通信方式(Cat.M)の第1通信モードに最適化した第1通信用チップからなる第1のベースバンド処理部135Aと、第2無線通信方式(Cat.NB)の第2通信モード(Cat.NB)に最適化した第2通信用チップからなる第2のベースバンド処理部135Bと、第1通信モード及び第2通信モードそれぞれに共用される高周波信号処理部136とを備える。高周波信号処理部136は、アンテナ130とDUP(Duplexer:送受共用器)131と受信電力増幅器133と送信電力増幅器134とを備える。また、ベースバンド処理部135A,Bには、通信モード切替部112が接続されている。
【0032】
通信モード切替部112は、例えば、起動中のアプリケーションによって指定された通信モード(無線通信方式)に応じて、無線通信部111で使用する通信用チップをハードウェアとして切り替える。通信モードの切り替えは、ユーザが操作部115を操作して手動で行ってもよい。また、無線通信部111のベースバンド処理部を第1通信モード(Cat.M)及び第2通信モード(Cat.NB)の両方の通信が可能な1つのチップを用いて構成し、ソフトウェアによって通信モードを切り替える構成であってもよい。
【0033】
図4は、本実施形態に係る通信端末装置100の通信モード(無線通信方式)に応じた再送タイムアウト(RTO)の設定値の切り替え制御の一例を示すフローチャートである。図5は、第1無線通信方式(Cat.M)を用いる第1通信モード選択時の再送タイムアウト(RTO)の設定例を示す説明図である。図6は、第2無線通信方式(Cat.NB)を用いる第2通信モード選択時の再送タイムアウト(RTO)の設定例を示す説明図である。なお、図4図6は、アプリケーション層でデータ(メッセージ)の再送処理を行う例であるが、データの再送は、プレゼンテーション層、セッション層、トランスポート層又はネットワーク層で行ってもよい。
【0034】
図4において、通信端末装置100は、移動通信網を介したサーバ40へのデータ(メッセージ)の送信を伴うアプリケーションが起動されると(S101)、そのアプリケーションが指定する無線通信方式(通信モード)が選択され(S102)、選択された無線通信方式(通信モード)が判断される(S103)。
【0035】
ここで、上記選択された無線通信方式(通信モード)が、第1無線通信方式(Cat.M)である場合(S103でNO)、通信端末装置100は、アプリケーション層における再送タイムアウト(RTO)の設定値として、例えば図5に示す第1無線通信方式(Cat.M)に対応する第1の再送タイムアウト(RTO)の設定値を選択して設定する(S104)。図5の例は、前述のデータ(メッセージ)の1回目の再送に対する再送タイムアウト(RTO)の基準設定値TRTO(1)が1秒であり、データの初送からの経過時間の上限値Tlimtが31秒である例である。
【0036】
一方、上記選択された無線通信方式(通信モード)が、第2無線通信方式(Cat.NB)である場合(S103でYES)、通信端末装置100は、アプリケーション層における再送タイムアウト(RTO)の設定値として、図6に示す第2無線通信方式(Cat.NB)に対応する第2の再送タイムアウト(RTO)の設定値を選択して設定する(S105)。図6の例は、前述のデータ(メッセージ)の1回目の再送に対する再送タイムアウト(RTO)の基準設定値TRTO(2)が、第1無線通信方式(Cat.M)の基準設定値TRTO(1)の4倍の4秒であり、データの初送からの経過時間の上限値Tlimtが124秒である例である。なお、第2無線通信方式(Cat.NB)に対する第2の再送タイムアウト(RTO)の基準設定値TRTO(2)は、第1無線通信方式(Cat.M)の場合の基準設定値TRTO(1)よりも長ければ、4秒以外の値であってもよく、例えば第1無線通信方式(Cat.M)の基準設定値TRTO(1)の2倍の2秒であってもよい。
【0037】
次に、通信端末装置100は、サーバ40との間のコネクション処理を行い(S106)、コネクションが確立した後、サーバ40へのデータ(メッセージ)の送信を開始し、上記データ送信に用いる無線通信方式(通信モード)に応じて設定した再送タイムアウト(RTO)の設定値に基づいてデータ(メッセージ)の再送処理を実行する。
【0038】
以上、本実施形態によれば、通信速度が互いに異なる第1無線通信方式(Cat.M)と第2無線通信方式(Cat.NB)とを切り替えて無線通信可能な通信端末装置(無線通信装置)10において、通信速度が遅い第2無線通信方式(Cat.NB)によるデータ送信時の再送タイムアウト(RTO)の設定値を、第1無線通信方式(Cat.M)によるデータ送信時の再送タイムアウト(RTO)の設定値よりも長くしている。これにより、広い周波数帯域で通信速度が速い第1無線通信方式(Cat.M)によるデータ送信時において通信先からのACK(肯定応答)が戻ってきているにもかかわらず再送タイムアウトの設定値が経過するのを待ってしまう無駄な待ち時間の発生を抑制するとともに、狭い周波数帯域で通信速度が遅い第2無線通信方式(Cat.NB)によるデータ送信時における無駄なデータの再送を抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、無線通信装置が通信端末装置100である場合について説明したが、本発明は、通信端末装置100に対してデータを送信可能な無線通信装置としての基地局にも同様に適用することができる。
【0040】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに各種サーバ、移動通信システム、基地局及び通信端末装置(ユーザ端末装置、移動局)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0041】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種サーバ、各種無線通信装置、NodeB、通信端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0042】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる各部は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置や記憶装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0043】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であれよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0044】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0045】
10 IoT機器(IoTデバイス)
20 基地局
20A セル
30 コアネットワーク
40 サーバ
100 通信端末装置
110 主制御部
111 無線通信部
112 通信モード切替部
130 アンテナ
131 DUP(送受共用器)
133 受信電力増幅器
134 送信電力増幅器
135A,B ベースバンド処理部
136 高周波信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6