(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズと、K値が15〜40であるポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有し、pHが5.5〜8.5であるコンタクトレンズ用組成物とを、接触させる工程を含む、該コンタクトレンズへのタンパク質付着抑制方法(但し、コンタクトレンズ用組成物が、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物である場合を除き、さらに、緩衝剤と1%未満のポリマー状抗菌剤を含む水性コンタクトレンズ消毒溶液であって、該溶液が200〜450mOsm/kgの張性、6〜8の間のpH、および1500ppm未満の塩化物イオンの濃度を有する消毒溶液である場合を除き、さらに界面活性剤及び/または粘稠剤を含み、発泡状態で噴射してコンタクトレンズを洗浄するための洗浄液である場合を除き、さらに、Pluronic F87を0.10%、PLASDONE K−30を1.00%、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを0.50%、塩酸を適量、塩化ナトリウム0.55%、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを0.025%含有する洗浄液である場合を除く)。
米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズと、K値が15〜40であるポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有し、pHが5.5〜8.5であるコンタクトレンズ用組成物とを、接触させる工程を含む、該コンタクトレンズに摩擦低減作用を付与する方法(但し、コンタクトレンズ用組成物が、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物である場合を除き、さらに、緩衝剤と1%未満のポリマー状抗菌剤を含む水性コンタクトレンズ消毒溶液であって、該溶液が200〜450mOsm/kgの張性、6〜8の間のpH、および1500ppm未満の塩化物イオンの濃度を有する消毒溶液である場合を除き、さらに界面活性剤及び/または粘稠剤を含み、発泡状態で噴射してコンタクトレンズを洗浄するための洗浄液である場合を除き、さらに、Pluronic F87を0.10%、PLASDONE K−30を1.00%、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを0.50%、塩酸を適量、塩化ナトリウム0.55%、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを0.025%含有する洗浄液である場合を除く)。
米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズと、K値が15〜40であるポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有し、pHが5.5〜8.5であるコンタクトレンズ用組成物とを、接触させる工程を含む、該コンタクトレンズ装用時の潤い感向上作用を該コンタクトレンズに付与する方法(但し、コンタクトレンズ用組成物が、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物である場合を除き、さらに、緩衝剤と1%未満のポリマー状抗菌剤を含む水性コンタクトレンズ消毒溶液であって、該溶液が200〜450mOsm/kgの張性、6〜8の間のpH、および1500ppm未満の塩化物イオンの濃度を有する消毒溶液である場合を除き、さらに界面活性剤及び/または粘稠剤を含み、発泡状態で噴射してコンタクトレンズを洗浄するための洗浄液である場合を除き、さらに、Pluronic F87を0.10%、PLASDONE K−30を1.00%、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを0.50%、塩酸を適量、塩化ナトリウム0.55%、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを0.025%含有する洗浄液である場合を除く)。
米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズと、K値が15〜40であるポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有し、pHが5.5〜8.5であるコンタクトレンズ用組成物とを、接触させる工程を含む、該コンタクトレンズ装用時の乾燥感低減作用を該コンタクトレンズに付与する方法(但し、コンタクトレンズ用組成物が、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物である場合を除き、さらに、緩衝剤と1%未満のポリマー状抗菌剤を含む水性コンタクトレンズ消毒溶液であって、該溶液が200〜450mOsm/kgの張性、6〜8の間のpH、および1500ppm未満の塩化物イオンの濃度を有する消毒溶液である場合を除き、さらに界面活性剤及び/または粘稠剤を含み、発泡状態で噴射してコンタクトレンズを洗浄するための洗浄液である場合を除き、さらに、Pluronic F87を0.10%、PLASDONE K−30を1.00%、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを0.50%、塩酸を適量、塩化ナトリウム0.55%、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを0.025%含有する洗浄液である場合を除く)。
米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズと、K値が15〜40であるポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有し、pHが5.5〜8.5であるコンタクトレンズ用組成物とを、接触させる工程を含む、該コンタクトレンズ装用時の不快感低減作用を該コンタクトレンズに付与する方法(但し、コンタクトレンズ用組成物が、トラニラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、非イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物である場合を除き、さらに、緩衝剤と1%未満のポリマー状抗菌剤を含む水性コンタクトレンズ消毒溶液であって、該溶液が200〜450mOsm/kgの張性、6〜8の間のpH、および1500ppm未満の塩化物イオンの濃度を有する消毒溶液である場合を除き、さらに界面活性剤及び/または粘稠剤を含み、発泡状態で噴射してコンタクトレンズを洗浄するための洗浄液である場合を除き、さらに、Pluronic F87を0.10%、PLASDONE K−30を1.00%、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを0.50%、塩酸を適量、塩化ナトリウム0.55%、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを0.025%含有する洗浄液である場合を除く)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、コンタクトレンズを容器に密閉してパッケージング(包装)する際に、コンタクトレンズとともに包装容器に封入されるパッケージング溶液(包装溶液)として使用される。
【0016】
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、ポリビニルピロリドンを含有することを特徴とし、さらに清涼化剤、界面活性剤、又は緩衝剤を含有することが好ましい。
【0017】
(ポリビニルピロリドン)
本発明においては、ビニルピロリドン基を有するポリマー、特に、ポリビニルピロリドン(PVP)が使用される。
【0018】
このポリビニルピロリドンのK値は、10〜60であり、タンパク質の吸着を抑制する点から15〜40が好ましく、20〜30がより好ましい。この範囲のK値を有するポリビニルピロリドンとしては、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK15、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30などが挙げられる。このようなK値を有するポリビニルピロリドンを使用することにより、コンタクトレンズを構成する材料における電荷を有する基(例えば、4級アンモニウム基、リン酸基、カルボキシル基)や疎水基(例えば、シロキサン基)を、電荷を有しないポリビニルピロリドンが被覆する(覆い隠す)ものと考えられるため、コンタクトレンズに対するタンパク質の吸着抑制効果を高めることが可能になる。
【0019】
なお、ここで言う「K値」とは、下記のフィケンチャー(Fikentscher)の粘度式から
計算される値であり、本発明においては、ポリビニルピロリドンの分子量と関連する粘度の特性値のことを言う。
【0020】
【数1】
(式中、cは溶液100mL中の換算した脱水物の質量(g)、η
relは水の動粘度に対する試料溶液の動粘度の比)
【0021】
また、コストを向上させることなく、タンパク質の吸着抑制効果を確実に発揮させるとの観点から、コンタクトレンズ用組成物中のポリビニルピロリドンの濃度は、0.01〜3(w/v)%が好ましく、0.3〜1(w/v)%がより好ましく、0.4〜0.8(w/v)%が特に好ましい。
【0022】
また、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は特に限定されないが、コンタクトレンズ素材のマトリックスに入り込み、かつタンパク質が吸着しやすい基を被覆する分子サイズを有するとの観点から、5000〜500000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。
【0023】
なお、ここで言う「重量平均分子量」とは、静的光散乱法(Static Light Scattering)により測定される重量平均分子量をいう。
【0024】
また、ポリビニルピロリドンは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
(清涼化剤)
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、清涼化剤をさらに含有することが好ましい。清涼化剤は、一般に、眼に清涼感を与えるものであるが、本発明の清涼化剤は、レンズ装用時の異物感や痒みなどを解消する役割も有する。本発明においては、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、及びこれらの誘導体等のテルペノイドが使用される。なお、これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0026】
また、これらの清涼化剤のうち、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、及びゲラニオール等のテルペノイドが好ましく、これらを含有する精油としては、クールミント、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ローズ油等が例示される。
【0027】
より具体的には、メントール、またはカンフルを使用する場合は、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル及びdl−カンフルを使用することが好ましく、l−メントール及びd-カンフル、dl−カンフルがさらに好ましく、l-メントールが特に好ましい。
【0028】
また、眼への刺激を抑制して、清涼感を確保するとの観点から、コンタクトレンズ用組成物中の清涼化剤の濃度は、総量で0.0001〜0.1(w/v)%が好ましく、0.0001〜0.05(w/v)%がより好ましく、0.0002〜0.02(w/v)%がさらに好ましく、0.0005〜0.005(w/v)%が特に好ましい。なお、テルペノイドを含む精油を使用する場合は、水性組成物中に含有される精油中のテルペノイドが上記含有量を満たすように設定することができる。
【0029】
なお、清涼化剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、一般に、コンタクトレンズに対するタンパク質の吸着量に比例して、乾燥感が生じ易くなるが、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、上述のポリビニルピロリドンにより、コンタクトレンズに対するタンパク質の吸着が抑制されて、乾燥感が軽減され、更に、清涼化剤を配合することにより、乾燥感がより一層軽減されることになる。又、ポリビニルピロリドン及び清涼化剤により、コンタクトレンズの角結膜表面における摩擦が抑制されるため、コンタクトレンズの装用感を向上することができる。
【0030】
(界面活性剤)
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、界面活性剤をさらに含有することが好ましい。界面活性剤は、コンタクトレンズの製造工程において、乾燥状態のコンタクトレンズ素材を膨潤させると共に、レンズ成型用型からの離型性を向上させるためのものである。また、界面活性剤は、包装容器を形成する樹脂に対するコンタクトレンズの付着を防止し、コンタクトレンズ装用時における潤滑性と湿潤性を高め、かつコンタクトレンズ用組成物に使用される成分の溶解性を高めるためのものである。本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は陰イオン性界面活性剤が使用される。
【0031】
より具体的には、非イオン性界面活性剤としては、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類や、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237、ポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油類、POE(35)ヒマシ油、POE(10)ヒマシ油等のPOEヒマシ油、POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE−POPアルキルエーテル類、及びPOE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ステアリン酸ポリオキシル40等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、上述のPOEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンを示し、上述の括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0032】
また、両性界面活性剤としては、アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、陽イオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。また、陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、及びα−オレフィンスルホン酸等が挙げられる。
【0033】
また、コンタクトレンズの製造工程における十分な膨潤性と、装用時の十分な潤滑性を付与するとの観点から、界面活性剤としては非イオン性界面活性剤が好ましく、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POE・POPブロックコポリマー類(例えば、ポロクサマー407等)、POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、ステアリン酸ポリオキシル40が更に好ましく、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、ポロクサマー407が特に好ましい。また、同様の観点から、コンタクトレンズ用組成物中の界面活性剤の濃度は、0.005〜5(w/v)%が好ましく、0.01〜2(w/v)%がより好ましく、0.05〜0.5(w/v)%が特に好ましい。
【0034】
なお、界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
(緩衝剤)
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、緩衝剤をさらに含有することが好ましい。緩衝剤は、眼科用組成物に対して緩衝作用を付与するとともに、製剤安定性を付与するためのものであり、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等を使用することができる。
【0036】
より具体的には、ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩を使用することができ、リン酸緩衝剤としては、例えば、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。
【0037】
また、コンタクトレンズ用組成物中の緩衝剤の濃度は、緩衝剤の種類や、ポリビニルピロリドン等の他の配合成分の種類等により、適宜変更することができるが、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、0.01〜10(w/v)%が好ましく、0.05〜5(w/v)%がより好ましく、0.1〜2(w/v)%が特に好ましい。
【0038】
なお、緩衝剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、上述の緩衝剤を使用して、pHを約5.5〜8.5の範囲に調整する。
【0039】
(他の配合成分)
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、上述の各成分の他に、等張化剤、薬物、増粘剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、水等の水性溶媒を配合することができる。これらの成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
例えば、等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、プロピレングリコール、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。また、コンタクトレンズ素材の膨潤を制御しつつ涙液を等張にするとの観点から、等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましく、塩化ナトリウムが特に好ましい。また、同様の観点から、コンタクトレンズ用組成物中の等張化剤の濃度は、0.2〜5(w/v)%が好ましく、0.5〜2(w/v)%がより好ましい。
【0041】
増粘剤としては、アラビアゴム末、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ソルビトール、デキストラン70、トラガント末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴール4000等が挙げられる。
【0042】
キレート剤としては、エデト酸、エデト酸塩類(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム)、ニトリロ三酢酸及びその塩、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ヘキサメタリン酸ソーダ、クエン酸等が挙げられる。
【0043】
安定化剤としては、上述のエデト酸及びエデト酸塩類や、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0044】
pH調節剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。
【0045】
(製造方法)
本発明のコンタクトレンズ用組成物の製造方法としては、特に限定されず、当業者が一般的に実施する方法で行う。例えば、滅菌した精製水等に、上述した各成分を所定の濃度となるように添加して均一に溶解し、pHを調整することにより得ることができる。その後、ポリエチレンやポリプロピレン等により形成された包装容器(ブリスターパック)にコンタクトレンズと共に充填し、オートクレーブによる滅菌処理等を行う。
【0046】
(コンタクトレンズ)
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類グループI〜IVのうち、グループII(含水率が50%以上、非イオン性)に属するコンタクトレンズ(例えば、米国認証名(United States Approved Names)におけるオマフィルコンA、アルファフィルコンA、ヒラフィルコンA,B、ネルフィルコンA、ヴァサフィルコンA)に適用される。ここで、非イオン性とは、コンタクトレンズにおけるイオン性成分の含有率が1mol%未満であることを言う。
【0047】
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物が適用されるコンタクトレンズとしては、ハイドロゲルとして2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含有するハイドロゲルコンタクトレンズが好適に使用される。
【0048】
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物が適用されるコンタクトレンズとしては、ハイドロゲルにシリコーンを配合したシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであってもよいが、特に、シリコーンが配合されていない(非シリコーン)ハイドロゲルコンタクトレンズが好適に使用される。
【0049】
本発明のコンタクトレンズ用組成物が適用されるコンタクトレンズとしては、オマフィルコンA(omafilcon A)が、本発明の効果を顕著に奏する観点から、特に好ましい。
【0050】
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物が適用されるコンタクトレンズの種類の一例は、ワンデーディスポーザブルコンタクトレンズ(1日使い捨てレンズ)、頻回交換レンズ(例えば14日間ごと)、連続装用ディスポーザブルコンタクトレンズ(例えば1週間ごと)などのディスポーザブルコンタクトレンズ、従来型レンズ(定期交換ソフトコンタクトレンズを含む)のいずれであってもよい。特に、本発明の方法においては、低コストで所望の効果を得ることができることから、コンタクトレンズとして、製造コストを抑える必要性が特に高いディスポーザブルコンタクトレンズが好ましく、ワンデーディスポーザブルコンタクトレンズ、頻回交換レンズが更に好ましく、ワンデーディスポーザブルコンタクトレンズが特に好ましい。
【0051】
(コンタクトレンズの製造方法)
次に、コンタクトレンズ用組成物を使用したコンタクトレンズパッケージの製造方法の一例を説明する。
図1は、本発明のコンタクトレンズ用組成物を使用したコンタクトレンズパッケージの製造工程を説明するための図であり、コンタクトレンズ用組成物がコンタクトレンズ用パッケージ液として使用される場合の一例である。
【0052】
なお、コンタクトレンズの製造方法は、以下に示す方法に限定されず、従来公知の方法であれば、どのような方法であっても良い。
【0053】
まず、原材料であるモノマー(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、トリスおよびビス(トリメチルシリルオキシ)シリルアルキルグリセロールメタクリレート)と、架橋剤(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、4−ビニルベンジルメタクリレート)と、重合開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート)と、着色剤(例えば、アントラキノン系着色剤、フタロシアニン系着色剤)と、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン系重合性紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)とを混合して、コンタクトレンズ用の配合物を調製する。
【0054】
次に、
図1(b)に示すように、雌型成形用型2と雄型成形用型3からなるレンズ成形用型4を用意し、
図1(a)に示すように、雌型成形用型2に形成された凹面2aに、調製したコンタクトレンズ用の配合物5を注入する。なお、レンズ成形用型4としては、例えば、ポリプロピレン製の型を使用することができる。
【0055】
次に、
図1(b),(c)に示すように、雌型成形用型2と雄型成形用型3との型合わせを行い、雌型成形用型2の凹面2aと雄型成形用型3の凸面3aとの間に形成されたキャビティにコンタクトレンズ用の配合物5を配置する。
【0056】
次に、
図1(c)に示すように、レンズ成形用型4に対して、例えば、水銀ランプ等を使用して紫外線6を照射して光重合を行うことにより、コンタクトレンズを製造する。
【0057】
なお、紫外線照射による光重合を行う代わりに、レンズ成形用型4を炉内に入れて、所定の温度で所定時間、加熱処理を行うことにより、コンタクトレンズを製造する構成としてもよい。
【0058】
次に、
図1(d)に示すように、雌型成形用型2と雄型成形用型3とを分離するとともに、雌型成形用型2からコンタクトレンズ1を分離する。この際、上述のポリプロピレン製の型を使用することにより、コンタクトレンズ1を容易に分離することができる。また、多量の未反応モノマーが存在すると、コンタクトレンズ1の分離が困難になる場合があるため、例えば、過剰量の包装液、または生理食塩水に浸漬する等の方法により、未反応モノマーを除去してもよい。
【0059】
次いで、例えば、滅菌した精製水等に、上述したポリビニルピロリドン、清涼化剤、界面活性剤、及び緩衝剤等を添加して溶解するとともに、pHを調整した本発明のコンタクトレンズ用組成物7を、
図1(e)に示すように、ポリプロピレン等により形成された包装容器8に充填する。
【0060】
そして、上述のコンタクトレンズ1を包装容器8のコンタクトレンズ用組成物7に浸漬し、コンタクトレンズ1とコンタクトレンズ用組成物7を接触させ、包装容器8内のコンタクトレンズ1及びコンタクトレンズ用組成物7を、例えば、アルミフィルムにより被覆して密封する。
【0061】
そして、オートクレーブによる滅菌処理等を行うことにより、本発明のコンタクトレンズ用組成物を使用したコンタクトレンズパッケージが製造される。
【0062】
なお、コンタクトレンズの成形方法は、上述の雌型成形用型2と雄型成形用型3を使用する方法(モールディング)に限定されず、例えば、レースカッティングやスピンキャスティング等の他の成形方法を採用することができる。
【0063】
また、上述の方法と同様の方法により成形したコンタクトレンズ(硬化レンズ、非水和レンズ)を、直接、本願のコンタクトレンズ用組成物に浸漬した後、密封して高圧蒸気滅菌処理(オートクレーブ等)を行うことにより、本発明のコンタクトレンズ用組成物を使用したコンタクトレンズパッケージを製造してもよい。
【0064】
また、硬化レンズを、本願のコンタクトレンズ用組成物とは別の溶液(例えば、界面活性剤含有の水溶液等)で水和させた後、この水和レンズを本願のコンタクトレンズ用組成物に浸漬し、その後、同様に密封・滅菌処理を行うことにより、本発明のコンタクトレンズ用組成物を使用したコンタクトレンズパッケージを製造してもよい。
【0065】
なお、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、上記パッケージング液として使用できる他、コンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズ用洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(例えば、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等として使用することもできる。
【0066】
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、上述のコンタクトレンズ製造工程において、重合、成形したコンタクトレンズ(硬化レンズ)を水和させるための水和液の形態としても使用できる。
【0067】
即ち、本発明のコンタクトレンズ用組成物の使用形態の一例である「パッケージング溶液」とは、コンタクトレンズ製造工程において、重合、成形した直後の、もしくは成形後のレンズを水和させた直後のコンタクトレンズ(即ち、未使用のレンズ)を浸漬させる(その後、必要に応じて、オートクレーブなどの滅菌処理を行う)ための溶液のことをいい、既に使用済みのコンタクトレンズのケアにのみ用いられるコンタクトレンズ洗浄消毒保存剤(マルチ・パーパス・ソリューション:MPS)や、組成物中にコンタクトレンズを浸漬させる工程がなく、コンタクトレンズに1〜数滴、滴下して用いるコンタクトレンズ装着液とは異なるものである。
【0068】
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物を、上記パッケージング液として使用する場合、コンタクトレンズ1枚のパッケージあたり用いられるコンタクトレンズ用組成物の容量としては、通常、0.01〜10mlであり、その中でも0.1〜5mlが好ましく、0.4〜2mlがより好ましい。
【0069】
さらに、本発明のコンタクトレンズ用組成物を、上記パッケージング液として使用する場合、コンタクトレンズパッケージは密封後、高圧蒸気滅菌等の滅菌処理を行って製造されるものであることから、コンタクトレンズ用組成物は、防腐剤を含有しないことが好ましい。これは、パッケージング液のように、コンタクトレンズが長期間、浸漬される形態においては、防腐剤がコンタクトレンズに吸着する場合があるためである。
【0070】
以上に説明した本発明においては、以下の効果を得ることができる。
【0071】
(1)本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、K値が10〜60であるポリビニルピロリドンを含有しているため、本発明のコンタクトレンズ用組成物を、コンタクトレンズとともに包装容器に封入されるパッケージング溶液として使用することにより、複雑な処理を行うことなく、米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるレンズに対するタンパク質の吸着を抑制することが可能になる。
【0072】
(2)特に、オマフィルコンA(omafilcon A)等の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするハイドロゲルコンタクトレンズに対するタンパク質の吸着を抑制することが可能になる。
【0073】
(3)また、コンタクトレンズ用組成物中のポリビニルピロリドンの濃度を0.3〜1.0(w/v)%とすることにより、コストを向上させることなく、タンパク質の吸着抑制効果を確実に発揮させることが可能になる。
【0074】
(4)また、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、上述のポリビニルピロリドンにより、コンタクトレンズに対するタンパク質の吸着が抑制されるため、眼の乾燥感が軽減され、潤い感を向上させることが可能になる。
【0075】
(5)また、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、上述のポリビニルピロリドンにより、コンタクトレンズの角結膜表面における摩擦が抑制されるため、装用後長時間に亘りコンタクトレンズの装用感を向上することができる。
【0076】
(6)また、本発明のコンタクトレンズ用組成物においては、テルペノイドを含有しているため、コンタクトレンズ装着後の清涼感を付与することができるとともに、眼の乾燥感がより一層軽減され、潤い感を向上させることが可能になる。また、瞬目による上下眼瞼や、角結膜とコンタクトレンズとの摩擦抵抗を抑制することができる。更に、コンタクトレンズ自体の乾燥を抑制し、潤い感を向上させることができるとともに、異物感を抑制することができる。
【0077】
また、本発明のコンタクトレンズの製造方法は、上述のごとく、K値が10〜60であるポリビニルピロリドンを含有するコンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズとを接触させる工程を含む。
【0078】
また、本発明のコンタクトレンズの製造方法は、上述のごとく、K値が10〜60であるポリビニルピロリドンを含有するコンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズとを接触させる工程と、コンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズとを密封する工程を含む、パッケージングされたコンタクトレンズの製造方法を包含する。
【0079】
更に、本願は、K値が10〜60であるポリビニルピロリドンを含有するコンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズとを接触させる工程と、コンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズとを密封する工程を含む方法により製造された、コンタクトレンズパッケージ(コンタクトレンズ製品)を包含する。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0081】
[試験1.タンパク吸着性試験]
(実施例1)
(コンタクトレンズ用組成物の作製、および試験用コンタクトレンズの作製)
滅菌した精製水100gに、ポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、商品名:Kollidon25)を1g(濃度:1(w/v)%、K値:25)、緩衝剤であるリン酸水素ナトリウム12水和物(和光純薬(株)製)0.5993g(濃度:0.5993(w/v)%)、リン酸2水素ナトリウム2水和物(和光純薬(株)製)0.0528g(濃度:0.0528(w/v)%)、及び等張化剤である塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)0.83g(濃度:0.83(w/v)%)を添加して溶解させて、コンタクトレンズ用組成物を作製した。なお、作製したコンタクトレンズ用組成物のpHは7.4であった。
【0082】
次に、市販のオマフィルコンAレンズ(クーパービジョン社製、商品名:プロクリアワンデー)を用意した。次に、このコンタクトレンズを包装容器から取り出し、取り出したコンタクトレンズをリン酸緩衝剤含有生理食塩水(塩化ナトリウム濃度:0.83(w/v)%、リン酸水素ナトリウム12水和物濃度:0.5993(w/v)%、リン酸二水素ナトリウム2水和物濃度:0.0528(w/v)%)で洗浄した後、十分量の生理食塩水に浸漬させ、一晩放置した。
【0083】
次に、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)容器に、作製したコンタクトレンズ用組成物(4ml)を入れた。
【0084】
次に、リン酸緩衝剤含有生理食塩水からコンタクトレンズを取り出し、このコンタクトレンズを、リン酸緩衝剤含有生理食塩水で濯いだ後、リントフリーの不織布を使用してコンタクトレンズの水分を除去した。
【0085】
次に、このコンタクトレンズをコンタクトレンズ用組成物に浸漬して、コンタクトレンズとコンタクトレンズ用組成物を接触させるとともに、コンタクトレンズとコンタクトレンズ用組成物とを密封してオートクレーブ処理(121℃、20分)を行い、室温で120時間、放置し、試験用コンタクトレンズを作製した。
【0086】
(タンパク質吸着性試験)
次に、バッファー溶液(塩化ナトリウム濃度:0.9(w/v)%、リン酸二水素ナトリウム12水和物濃度:0.045(w/v)%、塩化カルシウム2水和物濃度:0.015(w/v)%、1Mの水酸化ナトリウム溶液を使用して、pHを7に調製したもの)に、卵白由来の塩化リゾチームを0.3(w/v)%になるように添加して、リゾチーム溶液を調製した。
【0087】
次に、調製したリゾチーム溶液をろ過した後、バイアル瓶(容量:10ml)にリゾチーム溶液を2ml注いだ。
【0088】
次に、コンタクトレンズ用組成物からコンタクトレンズを取り出し、リン酸緩衝剤含有生理食塩水を使用してこのコンタクトレンズを2回、洗浄した後、リントフリーの不織布を使用してコンタクトレンズの水分を除去した。
【0089】
次に、コンタクトレンズをリゾチーム溶液に浸漬し、シェーカーを使用して、34℃で7時間、コンタクトレンズを振動(120回/分)させることにより、コンタクトレンズにタンパク質を吸着させた。
【0090】
次に、リゾチーム溶液からコンタクトレンズを取り出し、リン酸緩衝剤含有生理食塩水を使用してこのコンタクトレンズを2回、洗浄し、リントフリーの不織布を使用してコンタクトレンズの水分を除去した。
【0091】
次に、このコンタクトレンズを、新しいバイアル瓶に注いだタンパク質抽出用の溶液(ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1(w/v)%、炭酸ナトリウム濃度:1(w/v)%)2mlに浸漬した。
【0092】
次に、シェーカーを使用して、34℃で14時間、コンタクトレンズを振動(120回/分)させることにより、コンタクトレンズに吸着しているタンパク質を抽出した。
【0093】
次に、タンパク質濃度測定用の試薬(サーモサイエンティフィック(株)製、商品名:Micro BCA Protein Assay Kit)を使用して、タンパク質抽出用の溶液中のタンパク質の定量を行い、得られた値から、コンタクトレンズ1枚に対するタンパク質の吸着量を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0094】
(実施例2)
K値が30であるポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、商品名:Kollidon30)1g(濃度:1(w/v)%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、コンタクトレンズ用組成物を作製し、さらに試験用コンタクトレンズを作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表1に示す。
【0095】
(比較例1)
K値が90であるポリビニルピロリドン(和光純薬(株)製、商品名:ポリビニルピロリドン K90)1g(濃度:1(w/v)%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、コンタクトレンズ用組成物を作製し、さらに試験用コンタクトレンズを作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表1に示す。
【0096】
(比較例2)
作製したコンタクトレンズ用組成物の代わりに、ポリビニルピロリドンを含有していない上述のリン酸緩衝剤含有生理食塩水を使用し、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表1に示す。
【0097】
(比較例3)
作製したコンタクトレンズ用組成物の代わりに、ポリビニルピロリドンを含有していない上述のリン酸緩衝剤含有生理食塩水を使用するとともに、市販のコンタクトレンズとして、エタフィルコンA(etafilcon A)レンズ(ジョンソン&ジョンソン社製、商品名:2ウィークアキュビュー)を使用し、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表2に示す。
【0098】
(比較例4)
まず、上述の実施例1と同様にして、コンタクトレンズ用組成物を作製した。その後、市販のコンタクトレンズとして、エタフィルコンA(etafilcon A)レンズ(ジョンソン&ジョンソン社製、商品名:2ウィークアキュビュー)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表2に示す。
【0099】
(実施例3)
K値が25であるポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、商品名:Kollidon25、分子量:28000〜34000)0.1g(濃度:0.1(w/v)%)を使用したこと、更にポリソルベート80を0.1g(濃度:0.1(w/v)%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、コンタクトレンズ用組成物を作製し、さらにオートクレーブ処理を行わないこと、室温での放置時間を48時間としたこと以外は実施例1と同様にして、試験用コンタクトレンズを作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表3に示す。
【0100】
(実施例4)
K値が25であるポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、商品名:Kollidon25、分子量:28000〜34000)0.01g(濃度:0.01(w/v)%)を使用したこと、更にポリソルベート80を0.1g(濃度:0.1(w/v)%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、コンタクトレンズ用組成物を作製し、さらにオートクレーブ処理を行わないこと、室温での放置時間を48時間としたこと以外は実施例1と同様にして、試験用コンタクトレンズを作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表3に示す。
【0101】
(比較例5)
作製したコンタクトレンズ用組成物の代わりに、ポリビニルピロリドンを含有しておらず、かつ、ポリソルベート80を0.1g(濃度:0.1(w/v)%)含有する、上述のリン酸緩衝剤含有生理食塩水を使用し、オートクレーブ処理を行わないこと、室温での放置時間を48時間としたこと以外は実施例1と同様にして、試験用コンタクトレンズを作成した。その後、上述の実施例1と同様にして、タンパク質吸着試験を行った。以上の結果を表3に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
表1に示すように、実施例1〜2のいずれのコンタクトレンズ用組成物も、比較例1〜2のコンタクトレンズ用組成物に比し、タンパク質の吸着を効果的に抑制することができ、特に、ポリビニルピロリドンを含有していない比較例2に比し、約30〜40%もタンパク質の吸着を抑制することができることが判る。これは、実施例1〜2においては、K値が小さいポリビニルピロリドンを使用したため、コンタクトレンズを構成する材料における電荷を有する基(例えば、4級アンモニウム基、リン酸基、カルボキシル基)、及び疎水基(例えば、シロキサン基)を、電荷を有しないポリビニルピロリドンが被覆し、コンタクトレンズ表面におけるタンパク質の吸着が抑制されたためであると考えられる。
【0106】
一方、比較例1においては、K値が大きいポリビニルピロリドンを使用したため、コンタクトレンズの表面におけるマトリックス(凹部)にポリビニルピロリドンが進入することができず、ポリビニルピロリドンが、上述の電荷を有する基、及び疎水基を十分に被覆することができなかったため、コンタクトレンズ表面におけるタンパク質の吸着が十分に抑制されなかったものと考えられる。
【0107】
また、表2に示すように、比較例3〜4から、米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類グループI〜IVのうち、グループIV(含水率が50%以上、イオン性)に属するコンタクトレンズ(エタフィルコンAレンズ)に対しては、タンパク質の吸着が抑制されていないことが判る。
【0108】
また、表3に示すように、ポリビニルピロリドンの濃度が0.1、もしくは0.01%の場合であっても、ポリビニルピロリドンを含有していない比較例5に比し、約20%のタンパク質の吸着を抑制することができることが判る。
【0109】
即ち、実施例1〜4のコンタクトレンズ用組成物は、米国食品医薬品局(FDA)基準によるソフトコンタクトレンズ分類においてグループIIに分類されるソフトコンタクトレンズ(オマフィルコンAレンズ)に対して、特に、タンパク質吸着抑制効果を発揮することが判る。
【0110】
[試験2 ヒト装用時の使用感評価]
(実施例5)
(コンタクトレンズ用組成物の作製、および試験用コンタクトレンズの作製)
滅菌した精製水100gに、ポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、商品名:Kollidon25 分子量:28000〜34000)0.5g(濃度:0.5(w/v)%)、清涼化剤であるメントール0.002g(濃度:0.002(w/v)%)、界面活性剤であるステアリン酸ポリオキシル40を0.1g(濃度:0.1(w/v)%)及びプルロニックP123を0.1g(濃度:0.1(w/v)%)、緩衝剤であるリン酸水素ナトリウム12水和物(和光純薬(株)製)0.5993g(濃度:0.5993(w/v)%)、リン酸2水素ナトリウム2水和物(和光純薬(株)製)0.0528g(濃度:0.0528(w/v)%)、及び等張化剤である塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)0.83g(濃度:0.83(w/v)%)を添加して溶解させて、コンタクトレンズ用組成物を作製した。なお、作製したコンタクトレンズ用組成物のpHは7.4であった。
【0111】
次に、市販のオマフィルコンA(omafilconA)レンズ(クーパービジョン社製、商品名:プロクリアワンデー)を用意した。次にこのコンタクトレンズを包装容器から取り出し、取り出したコンタクトレンズを、リン酸緩衝剤含有生理食塩水(フィルター滅菌済み)で洗浄したあと、コンタクトレンズを、十分量のリン酸緩衝剤含有生理食塩水(フィルター滅菌済み)に浸漬させ、一晩放置した。
【0112】
次に、上記のコンタクトレンズ用組成物を乾熱滅菌したバイアル(ガラス製、容量10ml)に2ml充填し、リン酸緩衝剤含有生理食塩水から取り出したコンタクトレンズを浸漬させた。そして、バイアル瓶を密封し、室温にて168時間保存し、試験用コンタクトレンズを作製した。
【0113】
(比較例6)
作製したコンタクトレンズ用組成物の代わりに、ポリビニルピロリドン及びメントールを含有しないこと以外は、上述の実施例5と同様のものを使用し、試験用コンタクトレンズ用組成物を作成した。
【0114】
(ヒト装用方法)
次に、3名の健常人に対して、右眼に実施例5において作製した試験用コンタクトレンズを装用させるとともに、左眼に比較例6において作製した試験用コンタクトレンズを装用させた。また、翌日、同じ健常人に対して、右眼に比較例6において作製した試験用コンタクトレンズを装用させるとともに、左眼に実施例5において作製した試験用コンタクトレンズを装用させた。
【0115】
(使用感評価)
装用して8時間経過後に、VAS法(Visual Analogue Scale:視覚的評価スケール)を使用して、下記の評価項目(乾燥感、上瞼にひっかかる感じ、下瞼にひっかかる感じ、レンズが引きあがる感じ、レンズが張り付く感じ、及び異物感)について評価した。具体的には、評価時点において、被験者が感じられる上記の各評価項目について、それぞれ118mmの線が引いてある自覚症状調査シートに、感じられない場合を0mm、感じられる場合を59mm、強く感じられる場合を118mmとして、被験者が感じた症状の部分にチェックしてもらい、自覚症状のスコアとして、この長さ(mm)を測定し、これを各症状のスコアとした。
【0116】
評価は、試験日の2日間実施し、評価項目毎に3名(6眼)のスコア平均値を算出することにより、各症状の評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】
表4に示すように、ポリビニルピロリドンを含有している実施例5は、コンタクトレンズ装用8時間後において、ポリビニルピロリドンを含有していない比較例6に比し、評価対象である全ての項目において、自覚症状スコアが低下し、自覚症状を改善することができることが判る。