特許第6871364号(P6871364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871364
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】核酸に基づくデータ保存
(51)【国際特許分類】
   G16B 30/20 20190101AFI20210426BHJP
【FI】
   G16B30/20ZNA
【請求項の数】22
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2019-515660(P2019-515660)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公表番号】特表2020-504849(P2020-504849A)
(43)【公表日】2020年2月13日
(86)【国際出願番号】US2017052305
(87)【国際公開番号】WO2018057526
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年9月16日
(31)【優先権主張番号】62/397,855
(32)【優先日】2016年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/446,178
(32)【優先日】2017年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/517,671
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516040017
【氏名又は名称】ツイスト バイオサイエンス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ペック,ビル ジェームズ
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−511276(JP,A)
【文献】 特開2006−238724(JP,A)
【文献】 特開2008−097189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16B 5/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を保存し、および情報にアクセスするための方法であって、該方法は:
a)少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の少なくとも1項目を、少なくとも1
つの核酸配列に変換する工程;
b)面を含む構造を提供する工程;
c)共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有
する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、各ポリヌクレオチドは面から伸長
する、工程;
d)複数のポリヌクレオチドを保存する工程;および
e)受信ユニットに複数のポリヌクレオチドを選択的に転写する工程であって、選択的
に転写する工程は静電力の適用を含み、および複数のポリヌクレオチドは共同して少なく
とも1つの核酸配列の単一の核酸配列をコードする、工程、
を含む、方法。
【請求項2】
受信ユニットに複数のポリヌクレオチドを選択的に転写する工程は、伝導性部材および、構造と伝導性部材の間にボルテージポテンシャルを適用する工程をさらに含む、請求項1に記載
の方法。
【請求項3】
受信ユニットに複数のポリヌクレオチドを選択的に転写する工程は、圧力解放または圧
力ノズルを使用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する
複数のポリヌクレオチドを合成する工程は、圧力ノズルを使用する工程をさらに含む、請
求項3に記載の方法。
【請求項5】
共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する
複数のポリヌクレオチドを合成する工程は、圧力ノズルを通じてポリヌクレオチドを充満
させる工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する
複数のポリヌクレオチドを合成する工程は、圧力ノズルを通じてヌクレオチドを沈着させる工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
複数のポリヌクレオチドを配列する工程;および
少なくとも1つのデジタル配列をアセンブルする工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アセンブルした少なくとも1つのデジタル配列は、最初の少なくとも1つのデジタル配
列と比較して100%の精度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
情報を収集するための方法であって、該方法は:
a)面を含む構造を提供する工程であって、該構造は:
少なくとも1つの核酸配列を共同してコードする、あらかじめ決定された配列を有す
る第1の複数のポリヌクレオチド;および少なくとも1つの核酸配列を共同してコードす
る、あらかじめ決定された配列を有する第2の複数のポリヌクレオチドを含み、ここで、
第1の複数のポリヌクレオチドと第2の複数のポリヌクレオチドの両方が面から伸長し、
同じ少なくとも1つの核酸配列を共にコードする、工程;
b)第1の複数のポリヌクレオチドを含む前記構造の領域を選択的に分離し、および面
から第1の複数のポリヌクレオチドを除去する工程であって、面から第1の複数のポリヌ
クレオチドを除去する工程が静電力の適用を含む、工程;および、
c)情報の1項目をコードする少なくとも1つのデジタル配列を形成するために、少な
くとも1つの核酸配列を配列し、かつ解読する工程、
を含む、方法。
【請求項10】
第1の複数のポリヌクレオチドを含む構造の領域は、チャネルまたはウェルのクラスタ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
構造は、ガラス、石英ガラス(fuse silica)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびそれらの混合物など)、および金属(例えば、金、白金など)の剛性材料を含む固い構造である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
構造は、ナイロン(未修飾のナイロン、修飾されたナイロン、透明なナイロン)、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、ポリメタクリル酸メチルまたは他のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニルまたは他のビニル樹脂、プリンター用の透明なPVC箔、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、メタクリル酸共重合体、スチレンポリマー、高屈折率ポリマー、フッ素含有高分子、ポリエーテルスルフォン、脂環式構造を含むポリイミド、ゴム、ファブリック、金属フォイル、およびそれらの任意の組み合わせ等の熱可塑性材料を含む柔らかい構造である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
第1の複数のポリヌクレオチドを欠いている構造の残りの部分のみを含む構造の領域は
、元通りになるよう一緒にスプライシングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
面から第1の複数のポリヌクレオチドを除去する工程は、伝導性部材および、構造と伝導性部材の間にボルテージポテンシャルを適用する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
面から第1の複数のポリヌクレオチドを除去する工程は、圧力解放または圧力ノズルを
使用する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
第1の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で500塩基の長さを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項17】
第1の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で200塩基の長さを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項18】
第2の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で500塩基の長さを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項19】
第2の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で200塩基の長さを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項20】
情報の項目の量は少なくとも1ギガバイトである、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
情報の項目の量は少なくとも1テラバイトである、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
情報の項目の量は少なくとも1ペタバイトである、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2017年6月9日出願の米国仮特許出願第62/517,671号;2017年1月13日出願の米国仮特許出願第62/446,178号;および2016年9月21日出願の米国仮特許出願第62/397,855号の利益を主張し、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
<配列表>
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含んでいる。2017年9月18日に作成されたASCIIのコピーは、44854_728_601_SL.txtのファイル名であり、1,612バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
生体分子に基づく情報記憶システム、例えばDNAに基づくものは、経時的に大きな記憶容量と安定性を有する。しかしながら、情報記憶用の生体分子を生成するための、スケーラブルで、自動化され、非常に正確かつ非常に効果的なシステムが求められる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で提供されるのは、情報を保存し、および情報にアクセスするための方法であって、該方法は以下の工程を含む:(a)少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の少なくとも1項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;(b)面を含む構造を提供する工程;(c)共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、各ポリヌクレオチドは面から伸長する、工程;(d)複数のポリヌクレオチドを保存する工程;および(e)受信ユニットに複数のポリヌクレオチドを選択的に転写する工程であって、選択的に転写する工程は力の適用を含み、該力は層状の圧力、毛細血管圧、すべり流圧、磁力、静電力、ぜん動力、音波、震動力、向心力、遠心力、またはそれらの任意の組み合わせであり、および複数のポリヌクレオチドは共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、工程。さらに本明細書において提供される方法において、力の適用は伝導性部材、および構造と伝導性部材の間に適用されるボルテージポテンシャルを含む。さらに本明細書において提供される方法において、力の適用は、構造の面を固いまたは柔らかい滑りに接触させる工程を含む。さらに本明細書において提供される方法において、力の適用は、圧力解放または圧力ノズルを含む。さらに本明細書において提供される方法は、工程(c)の間に圧力ノズルを使用する工程をさらに含む。さらに本明細書において提供される方法は、圧力ノズルを通じてポリヌクレオチドを充満させる工程をさらに含む。さらに本明細書において提供される方法は、圧力ノズルを通じてヌクレオチドを沈着する工程をさらに含む。さらに本明細書において提供される方法は:複数のポリヌクレオチドを配列する工程;および、少なくとも1つのデジタル配列をアセンブルする工程、をさらに含む。さらに本明細書において提供される方法において、アセンブルされた少なくとも1つのデジタル配列は、最初の少なくとも1つのデジタル配列と比較して100%の精度である。
【0005】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:(a)少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の少なくとも1項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;(b)共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、各ポリヌクレオチドは;(i)各コード領域が同一である、複数のコード領域;および(ii)切断領域を含む少なくとも1つの非コード領域を含む、工程;および(c)複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、切断領域は制限酵素認識部位を含む。さらに本明細書で提供される方法において、切断領域は光に感受性のある核酸塩基を含む。さらに本明細書において提供される方法は、切断領域の切断への、制限酵素、電磁放射線またはガス状試薬の適用をさらに含み、それによって複数のコード領域の少なくとも1つを除去する。さらに本明細書で提供される方法において、各コード領域は25〜500塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、各コード領域は100〜2000塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、各非コード領域は1〜100塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、各非コード領域は最大で200の塩基を含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供される方法において、情報の少なくとも1項目は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報である。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチド内の第1の非コード領域は、各ポリヌクレオチド内の第2の非コード領域とは異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチド内の各非コード領域は異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチド内の第1の切断領域は、各ポリヌクレオチド内の第2の切断領域とは異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチド内の各切断領域は異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチド内の切断領域の数は、少なくとも1、2、3、4、または5である。さらに本明細書で提供される方法において、切断領域の数に対する配列は異なっている。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチドはテザー領域を含む。
【0006】
本明細書で提供されるのは情報を暗号化するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:(a)少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の少なくとも1項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;(b)少なくとも1つの核酸配列の各々を、複数の非同一のマーキングの1つと関連付ける工程;(c)面を有する構造を提供する工程であって、面は複数の非同一のマーキングを含む、工程;(d)少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100,000のポリヌクレオチドを含み、および各ポリヌクレオチドは、非同一のマーキングの1つによって分離される分離領域の面から伸長する、工程;および(e)複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも1,000,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供される方法において、情報の少なくとも1項目は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報である。さらに本明細書で提供される方法において、非同一のマーキングの1つによって別々に分離されたポリヌクレオチドのサブセットは、同じ配列を含む。さらに本明細書で提供される方法は、非同一のマーキングの1つによって別々に分離されたポリヌクレオチドのサブセットを選択する工程、ポリヌクレオチドのサブセットを放出する工程、複数のポリヌクレオチドを配列する工程、複数のポリヌクレオチドを解読する工程、および少なくとも1つのデジタル配列をアセンブルする工程をさらに含む。さらに本明細書で提供される方法は、非同一のマーキングの1つによって別々に分離されたポリヌクレオチドのサブセットを選択する工程、ポリヌクレオチドのサブセットを増幅する工程、ポリヌクレオチドのサブセットを配列する工程、複数のポリヌクレオチドを解読する工程、および少なくとも1つのデジタル配列をアセンブルする工程をさらに含む。さらに本明細書で提供される方法において、アセンブルされた少なくとも1つのデジタル配列は、最初の少なくとも1つのデジタル配列と比較して100%の精度である。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも1つのデジタル配列は、少なくとも1ギガバイトのデジタル情報量を含む。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも1つのデジタル配列は、少なくとも1テラバイトのデジタル情報量を含む。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも1つのデジタル配列は、少なくとも1ペタバイトのデジタル情報量を含む。
【0007】
本明細書で提供されるのは情報を収集するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:(a)面を含む構造を提供する工程であって、該構造は:少なくとも1つの核酸配列を共同してコードする、あらかじめ決定された配列を有する第1の複数のポリヌクレオチド;および、少なくとも1つの核酸配列を共同してコードする、あらかじめ決定された配列を有する第2の複数のポリヌクレオチドを含み、ここで第1の複数のポリヌクレオチドと第2の複数のポリヌクレオチドの両方が面から伸長し、同じ少なくとも1つの核酸配列を共にコードする、工程;(b)第1の複数のポリヌクレオチドを含む構造の領域を選択的に分離し、および面から第1の複数のポリヌクレオチドを除去する工程;および(c)情報の1項目をコードする少なくとも1つのデジタル配列を形成するために、少なくとも1つのデジタル配列を配列し、かつ解読する工程。さらに本明細書で提供される方法において、第1の複数のポリヌクレオチドを含む構造の領域は、チャネルまたはウェルのクラスタを含む。さらに本明細書で提供される方法において、該構造は固い構造である。さらに本明細書で提供される方法において、該構造は柔らかい構造である。さらに本明細書で提供される方法において、第1の複数のポリヌクレオチドを欠いている構造の残りの部分のみを含む構造の領域は、元通りになるよう一緒にスプライシングされる。さらに本明細書で提供される方法において、選択的に除去する工程は、第1の複数のポリヌクレオチドを含む構造の領域への力の適用を含む。さらに本明細書で提供される方法において、力の適用は、層状の圧力、毛細血管圧、すべり流圧、磁力、静電力、ぜん動力、音波、震動力、向心力、遠心力、またはそれらの任意の組み合わせである。さらに本明細書で提供される方法において、力の適用は伝導性部材、および構造と伝導性部材の間に適用されるボルテージポテンシャルを含む。さらに本明細書で提供される方法において、力の適用は、構造の面を固いまたは柔らかい滑りに接触させる工程を含む。さらに本明細書で提供される方法において、力の適用は、圧力解放または圧力ノズルを含む。さらに本明細書で提供される方法において、第1の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で500塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、第1の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で200塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、第2の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で500塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、第2の複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、最大で200塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、情報の項目の量は少なくとも1ギガバイトである。さらに本明細書で提供される方法において、情報の項目の量は少なくとも1テラバイトである。さらに本明細書で提供される方法において、情報の項目の量は少なくとも1ペタバイトである。
【0008】
本明細書において提供されるのは、複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリであって、ポリヌクレオチドの各々は:(i)各コード領域が同一である、複数のコード領域;および(ii)切断領域を含む、少なくとも1つの非コード領域を含み、およびデジタル配列を形成するために複数のポリヌクレオチドが配列され、解読され、アセンブルされる場合、デジタル配列は、あらかじめ選択されたデジタル配列と比較して90%を超える精度を有する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、切断領域は制限酵素認識部位を含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、切断領域は光に感受性のある核酸塩基を含む。さらに本明細書において提供される核酸ライブラリは、切断領域の切断への制限酵素、電磁放射線またはガス状試薬の適用をさらに含み、それによって複数のコード領域の少なくとも1つを除去する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各コード領域は25〜500塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各コード領域は100〜2000塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各非コード領域は1〜100塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各非コード領域は最大で200の塩基を含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各ポリヌクレオチド内の第1の非コード領域は、各ポリヌクレオチド内の第2の非コード領域とは異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各ポリヌクレオチド内の各非コード領域は異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各ポリヌクレオチド内の第1の切断領域は、各ポリヌクレオチド内の第2の切断領域とは異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各ポリヌクレオチド内の各切断領域は異なる配列を有する。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、各ポリヌクレオチド内の切断領域の数は、少なくとも1、2、3、4、または5である。さらに本明細書で提供される核酸ライブラリにおいて、切断領域の数に対する配列は異なっている。
【0009】
本明細書で提供されるのは情報を保存するためのデバイスであって、該デバイスは:(a)面を有する構造;および(b)少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成するための、面上の複数の分離領域であって、各ポリヌクレオチドは:(i)各コード領域が同一である、複数のコード領域;および(ii)切断領域を含む、少なくとも1つの非コード領域を含む、分離領域;を含み、および少なくとも1つの核酸配列は、情報の少なくとも1項目をコードする。
【0010】
本明細書で提供されるのは情報を暗号化するためのデバイスであって、該デバイスは:(a)面を有する構造であって、面は複数の非同一のマーキングを含む、構造;(d)少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成するための、面上の複数の分離領域であって、複数のポリヌクレオチドは少なくとも100,000のポリヌクレオチドを含み、および各ポリヌクレオチドは、非同一のマーキングの1つによって分離される分離領域の面から伸長する、分離領域;を含み、および少なくとも1つの核酸配列は、情報の少なくとも1つの項目をコードする。
【0011】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:(a)少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の少なくとも1項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;(b)共同して少なくとも1つの核酸配列をコードする、あらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、各ポリヌクレオチドは;(i)最大で約500塩基の長さの少なくとも1つのコード配列;および(ii)コード配列のアイデンティティに関連する配列を含む、少なくとも1つのバーコード配列;を含む、工程;および(c)複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチドは、最大で約300塩基の長さの少なくとも1つのコード配列を含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供される方法において、情報の少なくとも1項目は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報である。
【0012】
<引用による組み込み>
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように、具体的かつ個々に示されているかのような程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される実施形態を例示する以下の詳細な説明と、添付図面とを参照することによって得られる。
図1】核酸に基づくデータ保存に関する典型的なワークフローを例示する。
図2A】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図2B】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図2C】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図3A】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図3B】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図3C】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図3D】様々なポリヌクレオチド配列設計スキームを表す。
図4A】バーコード設計スキームを表す。
図4B】バーコード設計スキームを表す。
図5】各々が256のクラスタのアレイを有する、24の領域またはサブフィールドを含むポリヌクレオチド合成のために構成されたプレートを例示する。
図6】16×16のクラスタを有する図5のサブフィールドのより接近した図を例示し、各クラスタは121の別個の座を有する。
図7図5のクラスタの詳細な図を例示し、クラスタは121の座6を有する。
図8A】複数のチャネルを有するプレートの正面図を例示する。
図8B】複数のチャネルを有するプレートの断面図を例示する。
図9A】柔らかい構造のための連続ループおよびオープンリール式の構成を表す。
図9B】柔らかい構造のための連続ループおよびオープンリール式の構成を表す。
図9C】合成ポリヌクレオチドの放出と抽出のためのスキームを表す。
図9D】合成ポリヌクレオチドの放出と抽出のためのスキームを表す。
図10A】スポットを有する柔らかい構造のズームインを表す。
図10B】チャネルを有する柔らかい構造のズームインを表す。
図10C】ウェルを有する柔らかい構造のズームインを表す。
図11A】本明細書に記載される構造上の座のズームインを例示する。
図11B】本明細書に記載される構造上のマーキングを例示する。
図11C】本明細書に記載される構造上のマーキングを例示する。
図12】ポリヌクレオチド合成材料沈着デバイスを例示する。
図13】ポリヌクレオチド合成のワークフローを例示する。
図14A】複数のチャネルへのポリヌクレオチドの静電沈着のための方法を例示する。
図14B】複数のチャネルへのポリヌクレオチドの静電沈着のための方法を例示する。
図15A】複数のチャネルからのポリヌクレオチドの静電転写のための典型的な方法を例示する。
図15B】複数のチャネルからのポリヌクレオチドの静電転写のための典型的な方法を例示する。
図16A】滑りメカニズムを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを転写するための方法を例示する。
図16B】滑りメカニズムを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを転写するための方法を例示する。
図17A】圧力解放メカニズムを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを転写するための方法を例示する。
図17B】圧力解放メカニズムを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを転写するための方法を例示する。
図18】ノズルメカニズムを介して、柔らかい構造内の複数のチャネルからポリヌクレオチドを転写するための方法を例示する。
図19A】ピンを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを捕捉するための方法を例示する。
図19B】ピンを介して、複数のチャネルからポリヌクレオチドを捕捉するための方法を例示する。
図20A】複数のチャネルからポリヌクレオチドを静電捕捉するための方法を例示する。
図20B】複数のチャネルからポリヌクレオチドを静電捕捉するための方法を例示する。
図21】複数のチャネルから受信ユニットへのポリヌクレオチドの静電閉込法を例示する。
図22】複数のチャネルから受信ユニットへのポリヌクレオチドの静電閉込法を例示する。
図23】コンピュータシステムの例を示す。
図24】コンピュータシステムのアーキテクチャを例示するブロック図である。
図25】複数のコンピュータシステム、複数の携帯電話と個人用携帯情報端末、およびネットワークアタッチトストレージ(NAS)を組み込むように構成されたネットワークを明示する図表である。
図26】共有の仮想アドレスメモリ容量を使用するマルチプロセッサコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
生成され保存される情報量が指数関数的に増加するため、より大きな容量の記憶システムが求められる。従来の記憶媒体の容量は制限されており、経時的に変化する専門技術を必要とし、しばしば多くの費用をかけて新しい媒体に絶え間なくデータを転写する必要がある。DNA分子などの生体分子は、その経時的な安定性と、従来の二進情報符号化とは対照的な4ビット情報符号化のための容量ゆえに、部分的に、情報記憶のための適切なホストを提供する。したがって、大量のデータは、市販の情報記憶装置によって使用されるよりも比較的小さい物理的空間内でDNAにおいて符号化される。本明細書において提供されるのは、配列密度の増加とターンアラウンドタイムの減少によりDNA合成処理能力を高める方法である。
【0015】
<定義>
【0016】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、これらの発明が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
本開示の全体にわたって、数的な特徴は範囲のフォーマットで提示される。範囲のフォーマットでの記載が、単に利便性と簡潔性のためのものであることを理解すべきであり、実施形態の範囲に対する柔軟性を欠いた限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の記載は、文脈が他で明確に指示しない限り、下限の単位の10分の1までのその範囲内の個々の数値と共に、すべての可能性のある部分範囲を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲と共に、例えば1.1、2、2.3、5、および5.9などの、その範囲内の個々の値を具体的に開示していると考えるべきである。これは範囲の幅に関わらず適用される。これらの介在範囲の上限および下限は、より小さな範囲に独立して含まれてもよく、また、定められた範囲の具体的に除外された限度に従って、本発明内に包含される。定められた範囲が上限および下限の1つまたはその両方を含む場合、これらの含まれた上限および下限のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、文脈が他で明確に指示しない限り、本発明に包含される。
【0018】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、実施形態を限定するようには意図されない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が他で明確に指示しない限り、複数形も同様に含むことが意図される。用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用される場合、定められた特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を妨げないことが、さらに理解される。本明細書において使用されるように、用語「および/または」は、リストされた関連する項目の1つ以上の任意の、および全ての組み合わせを含む。
【0019】
具体的に規定されない限り、または文脈から明白でない限り、本明細書で使用されるように、数または数の範囲に関する用語「約」は、定められた数の+/−10%、または、範囲に関してリストされた値のリストされた下限より10%下、およびリストされた上限の10%上を意味すると理解される。
【0020】
本明細書において使用されるように、用語「あらかじめ選択された配列」、「あらかじめ規定された配列」または「あらかじめ決定された配列」は、区別なく使用される。該用語は、ポリマーの配列が、ポリマーの合成またはアセンブリの前に既知であり、かつ選択されていることを意味する。特に、本発明の様々な態様は主として、核酸分子の調製に関連して本明細書に記載され、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの配列は、核酸分子の合成またはアセンブリ前に既知であり、かつ選択されている。
【0021】
本明細書において提供されるのは、合成の(すなわち、新たに合成された、または化学的に合成された)ポリヌクレオチドの生成のための方法と組成物である。ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはオリゴと呼ばれる場合もある。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、別段の定めのない限り、DNAまたはRNAを含む。
【0022】
<核酸に基づく情報記憶>
【0023】
本明細書において提供されるのは、核酸に基づく情報(データ)記憶のためのデバイス、組成物、システムおよび方法である。典型的なワークフローは図1に提供される。第一の工程において、情報の項目(すなわちコンピュータによって処理するための二進コード内のデジタル情報)をコードするデジタル配列が受信される(101)。暗号化(103)スキームは、デジタル配列を二進コードから核酸配列(105)に変換するために適用される。核酸拡張のための面材料、核酸拡張のための座の設計(akaスポットの配置)、核酸合成用の試薬が選択される(107)。構造の面は、核酸合成のために調製される(108)。新規ポリヌクレオチド合成が行なわれる(109)。合成されたポリヌクレオチドが保存され(111)、続く放出(113)に、全体または部分的に利用可能である。一旦、放出されると、ポリヌクレオチドは全体または部分的に配列され(115)、各配列をデジタル配列に逆変換するために解読(117)に供される。デジタル配列はその後、情報の元々の項目をコードする整列を得るために、アセンブルされる(119)。
【0024】
<情報の項目>
【0025】
随意に、本明細書に開示されるDNAデータ記憶プロセスの初期工程は、情報の1つ以上の項目を始符号の形で取得または受信することを含む。情報の項目として、限定されないがテキスト情報、オーディオ情報、およびビジュアル情報があげられる。情報の項目のための典型的なソースとして、限定されないが、本、定期刊行物、電子データベース、医療記録、手紙、フォーマット、音声記録、動物の記録、生物学的プロフィール、放送番組、映画、短いビデオ、電子メール、簿記通話履歴(bookkeeping phone log)、インターネットアクティビティログ、図面、絵画、印刷物、写真、ピクセル処理された図形、およびソフトウェアコードがあげられる。情報の項目のための生物学的プロフィールのソースとして、限定されないが、遺伝子ライブラリ、ゲノム、遺伝子発現データ、およびタンパク質活性データがあげられる。情報の項目のための典型的なフォーマットとして、限定されないが、.txt、.PDF、.doc、.docx、.ppt、.pptx、.xls、.xlsx、.rtf、.jpg、.gif、.psd、.bmp、.tiff、.png、および.mpegがあげられる。情報の項目をコードする個々のファイルサイズの大きさ、または情報の項目をコードする複数のファイルの大きさは、デジタルフォーマットで、限定されないが最大で1024バイト(1KB相当)、1024KB(1MB相当)、1024MB(1GB相当)、1024GB(1TB相当)、1024TB(1PB相当)、1エクサバイト、1ゼタバイト、1ヨタバイト、1ゼノタバイト、またはそれ以上である。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1ギガバイト(GB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、またはより大きいギガバイトである。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1テラバイト(TB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、またはより大きいテラバイトである。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1ペタバイト(PB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、またはより大きいペタバイトである。
【0026】
<暗号化>
【0027】
<二進コード変換>
【0028】
一般的に、始符号は、典型的にはコンピュータによって使用される二進コードの形態のデジタル情報である。汎用コンピュータは、「0」と「1」の数によって表される「オン」または「オフ」状態を読み取る電子装置である。この二進コードは、多数のタイプの情報の項目を読み取る、コンピュータのためのアプリケーションである。二進算術演算では、2という数は10という数で書かれる。例えば、「10」は、「1×2+0」を示す。「3」という数は「11」として書かれ、「1×2+1」を意味する。数「4」は「100」、数「5」は「101」、「6」は「110」等々と書かれる。二進コードに関する米国標準コードII(ASCII)の一例は、表1に小文字と大文字のアルファベットで提供される。
【0029】
【表1】
【0030】
本明細書において提供されるのは、第1のコードの形式、例えば二進配列の情報を、核酸配列に変換する方法である。そのプロセスは、基2コード(すなわち二進法)からより高い基コードへの直接変換を含んでもよい。典型的な基のコードには、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはより多くが含まれる。表2は、様々な基の命番スキーム間の典型的な整列を例示する。変換のための機械命令を受信するコンピュータは、配列情報を自動的にあるコードから他のコードに変換することができる。
【0031】
【表2】
【0032】
標準的なDNAは、4つの異なる有効なヌクレオチドを有する、4基の符号化システムである:A、T、CまたはG(アデニン、チミン、シトシンおよびグアニン)。したがってこれらの4つの塩基は、3基(すべての基は使用しない)、または4基の符号化スキームを可能にする。加えて、RNAに見られるウラシル(U)の使用は、5番目の基を提供し、5基の符号化スキームを可能にする。加えて、修飾された核酸塩基は、4より多い、核酸に基づく符号化に使用され得る。標準的なDNA核酸塩基または修飾された核酸塩基ではない核酸塩基として、限定されないが、ウラシル、3−meA(3−メチルアデニン)、ヒポキサンチン、8−oxoG(7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン)、FapyG、FapyA、Tg(チミングリコール)、hoU(ヒロドキシウラシル)、hmU(ヒロドキシメチルウラシル)、fU(ホルミルウラシル)、hoC(ヒドロキシシトシン)、fC(ホルミルシトシン)、5−meC(5−メチルシトシン)、6−meG(O6−メチルグアニン)、7−meG(N7−メチルグアニン)、εC(エテノシトシン)、5−caC(5−カルボキシルシトシン)、2−hA、εA(エテノアデニン)、5−fU(5−フルオロウラシル)、3−meG(3−メチルグアニン)、およびイソジアルル酸があげられる。さらに本明細書において提供されるのは符号化システムであって、最終的な核酸配列に最終的に変換される前に、二進配列の形のデジタル情報を中間コードに変換するために機械命令が提供される、符号化システムである。
【0033】
いくつかの例では、DNAの配列にデータを保存するために、情報は、二進コードの1と0から、DNAの塩基A、T、GおよびCのコードに変換される。いくつかの例では、情報の項目は、デジタル情報形式でまずコードされる。ある場合には、デジタル情報の二進コードは、コードによって表される情報を維持しながら、生体分子に基づいた(例えばDNAに基づいた)コードへと変換される。この変換されたコード(デジタル二進コードから生体分子コード)は、本明細書に開示される面上で、本明細書に開示される生体分子の沈着に関して「あらかじめ決定された」配列に帰結するものとして、本明細書で言及される。あらかじめ決定された配列は、複数のポリヌクレオチドの配列をコードする。
【0034】
<核酸配列>
【0035】
本明細書において提供されるのは、核酸配列が情報の項目の少なくとも一部をコードするように、本明細書に記載されるポリヌクレオチド用の配列を設計する方法である。いくつかの例では、各ポリヌクレオチド配列は、続くアセンブリ工程中に配列整列で促進し、さらにエラー訂正のための手段を提供するために、設計機能を有する。いくつかの構成では、ポリヌクレオチド配列は、重なり合いが、各ポリヌクレオチド配列と集団内の他の配列との間に存在するように、設計される。いくつかの例では、各ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列の一部とだけ重なり合う(図2A)。代替的な構成では、各ポリヌクレオチド配列領域は、2つより多くの配列と重なり合い、その結果として2つのコピーが、単一のポリヌクレオチド内の各配列ごとに生成される(図2B)。さらに別の構成では、各ポリヌクレオチド配列領域は、2つより多くの配列と重なり合い、その結果として3つのコピーが、単一のポリヌクレオチド内の各配列ごとに生成される(図2C)。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、10−2000、10−500、30−300、50−250、または75−200塩基の長さをコードする場合もある。いくつかの例では、各ポリヌクレオチドの配列は、少なくとも10、15、20、25、30、50、100、150、200、500、またはそれ以上の塩基の長さである。
【0036】
いくつかの構成では、本明細書に記載される各ポリヌクレオチド配列は、複数のコード領域および複数の非コード領域を含むように設計されている(図3A)。そのような構成では、各コード領域(例えば301、303、305)は、情報の項目の少なくとも一部をコードする。随意に、同じポリヌクレオチドにある各コード領域は、情報の同じ項目からの配列をコードし、および重なり合いスキームは随意に、本明細書に記載されるように使用される(図3B)。さらなる例では、同じポリヌクレオチドにある各コード領域は、同じ配列をコードする(図3C−3D)。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のコード領域をコードし得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17の、18、19、20、またはそれ以上の同じコード領域をコードし得る。いくつかの例では、多数のコード領域の各々は、10−1000、20−500、30−300、50−250、または75−200塩基の長さである。いくつかの例では、多数のコード領域の各々は、25−500、25−200、50−300、50−200、75−150、10−2000、20−1000、または25−500塩基の長さである。いくつかの例では、多数のコード領域の各々は、少なくとも10、15、20、25、30、50、100、150、200、またはそれ以上の塩基の長さである。いくつかの例では、多数のコード領域の各々は、少なくとも10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、または1000より多くの塩基である。いくつかの例では、多数のコード領域の各々は、多くとも10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、または1000より多くの塩基である。いくつかの例では、各ポリヌクレオチドは、分子を構造の面(302)に連結するテザー領域(311)を含む。
【0037】
多数のコード配列が同じポリヌクレオチドにある構成では、切断領域(307)が、各コード領域間に随意に存在する。切断領域(307)は、各コード領域間の交点に存在する場合もあり、または各コード領域間の配列のストリングを有するアダプタ領域内に存在する場合もある。切断領域(307)は、配列機構をコードする場合もあり、一旦合成されると、それは切断信号の適用後に鎖から分かれる。切断領域(307)は、制限酵素認識部位、光に感受性があり電磁放射線(例えば>300nmの発光波長に感度のある、塩基感受性S−ピバロイルチオエチル(t−Bu−SATE)リン酸トリエステル結合を運ぶ、オリゴデオキシヌクレオチドヘテロポリマー)の適用下で壊れる修飾された核酸、またはアンモニアガスの適用後に壊れる、特定の化学薬品、例えばチミジンスクシニルヘキサンアミドCEDホスホロアミダイト(ChemGenesからのCLP−2244)の適用に感受性のある修飾された核酸を、コードする場合もある。特定の切断スキームを有するような配列の設計は、合成ポリヌクレオチドの配列から容易に明らかにはならないであろうから、切断スキームは、合成された核酸ライブラリによってコードされた配列に安全レベルを加えるための手段を提供する。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の切断領域をコードする場合もある。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、または5の切断領域をコードする場合もある。いくつかの例では、切断領域の各々は、1−100、1−50、1−20、1−10、5−25、または5−30塩基の長さをコードする。いくつかの例では、切断領域の各々は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、100、またはそれ以上の塩基をコードする。いくつかの構成では、各ポリヌクレオチドについて、各コード領域は同一であり、および各コード領域間の各切断領域は異なる。例えば、第1の切断領域(307)は、第2の切断領域(309)とは異なる。いくつかの構成では、面(302)に最も近い切断領域(307)は、次の遠位の切断領域(307)と同一である。いくつかの例では、各コード領域は、他のコード領域の各々とは異なる。例えば、第1の切断領域(307)は、第2の切断領域(309)および第3の切断領域(308)とは異なる。
【0038】
本明細書において提供されるのは、複数のコード領域および複数の非コード領域を含むように設計されたポリヌクレオチド配列であって、非コード領域の長さと数は異なる。例えば、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の非コード領域を含み得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのための配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の同じ非コード領域を含み得る。いくつかの例では、多数の非コード領域の各々は、10−1000、20−500、30−300、50−250、または75−200塩基の長さである。いくつかの例では、多数の非コード領域の各々は、少なくとも1−100、5−90、10−80、15−70、20−60、25−50、または30−40塩基の長さである。いくつかの例では、多数の非コード領域の各々は、少なくとも10、15、20、25、30、50、100、150、200、またはそれ以上の塩基の長さである。いくつかの例では、多数の非コード領域の各々は、多くとも10、15、20、25、30、50、100、150、200、またはそれ以上の塩基の長さである。いくつかの例では、非コード領域はバーコードである。
【0039】
バーコードは、典型的に知られている核酸配列であり、バーコードに関連するポリヌクレオチドのいくつかの特徴を識別できるようにする。図4A−4Bは、例示的なバーコード配置を提供する。図4Aでは、第1のポリヌクレオチド(301)、第2のポリヌクレオチド(303)、および第3のポリヌクレオチド(305)のための各コード領域は、以下の機構を有している(面(302)から外に):テザー領域(302)、切断領域(307)、第1のプライマー結合領域(401)、バーコード領域(403)、コード領域(301)と(303)と(305)、および第2のプライマー結合領域(404)。ポリヌクレオチドは、第1および/または第2のプライマー結合領域を認識するプライマーを使用して増幅され得る。増幅は、面に取り付けられた、または面から解放された(すなわち切断領域(307)で切断)ポリヌクレオチドに生じ得る。配列後、バーコード領域(403)は、コード領域に関係する特徴を特定するための指標を提供する。いくつかの実施形態では、バーコードは、標的ポリヌクレオチドに連結した時に、標的ポリヌクレオチドが抽出されるサンプルの識別子としての役割を果たす核酸配列を含む。バーコードは、十分な度合の識別を可能にするために、例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、またはそれ以上の塩基の長さの、適切な長さで設計することができる。2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のバーコード等の多数のバーコードは、非バーコード配列によって随意に分離された同じ分子上で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、バーコードは、10、9、8、7、6、5、または4塩基よりも短い長さである。いくつかの実施形態では、いくつかのポリヌクレオチドに関係するバーコードは、他のポリヌクレオチドに関係するバーコードとは異なる長さである。一般に、バーコードは十分な長さであり、それが関係するバーコードに基づいたサンプルの識別を可能にするのに十分なだけ異なる配列を含む。いくつかの構成では、バーコード、およびそれが関係するサンプルソースは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の塩基の突然変異、挿入または欠失等の、バーコード配列における1つ以上の塩基の突然変異、挿入または欠失後に、正確に識別することができる。いくつかの実施形態では、複数のバーコードにある各バーコードは、3つの塩基位置、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の位置等において、複数のうちの他のバーコードごとに異なっている。本明細書において提供される構成は、デジタル配列の特定の領域に関する配列をコードするために、核酸配列に対応するバーコード配列を含み得る。例えば、バーコード配列は、大きなファイル内で特定のポリヌクレオチド配列がどこをコードするのかを示し得る。いくつかの例では、バーコード配列は、特定のポリヌクレオチド配列がどのファイルに関係しているのかを示し得る。いくつかの例では、バーコード配列は、特定の配列のための変換スキームに関係する情報を含み、追加の安全層を提供する。
【0040】
本明細書において提供されるのは、ポリヌクレオチド配列設計のスキームであって、集団内の各ポリヌクレオチド配列酸は、その集団内のポリヌクレオチド配列間で共通する少なくとも1つの領域を有するように設計される。例えば、同じ集団内のすべてのポリヌクレオチドは、1つ以上のプライマー領域を含み得る。配列特異的なプライマー領域の設計は、選択されたポリヌクレオチドが、多数のポリヌクレオチドの大きなライブラリから選択されたバッチにおいて増幅されることを可能にする。各ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のプライマー結合配列を含み得る。ポリヌクレオチド配列の集団は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、100、200、500、1000、5000、10000、50000、100000、またはそれ以上の非同一の結合配列を含み得る。プライマー結合配列は、5−100、10−75、7−60、8−60、10−50、または10−40塩基の長さを含み得る。
【0041】
<ポリヌクレオチド合成のための構造>
【0042】
本明細書において提供されるのは、ポリヌクレオチド合成のための固いまたは柔らかい構造である。固い構造の場合、ポリヌクレオチドのライブラリ生成のための構造(例えばプレート)を有するデバイスが本明細書において提供される。典型的な構造(500)は図5に例示され、ここで構造(500)は標準的な96ウェルプレートと同じサイズディメンションを有している:140mm×90mm。構造(500)は、24の領域またはサブフィールド(505)を含み、各サブフィールド(505)は256のクラスタ(510)のアレイを含む。典型的なサブフィールド(505)の拡大図は図6に示される。4つのクラスタの拡大図において(図6)、単一のクラスタ(510)は、1079.210umまたは1142.694umのY軸クラスタピッチ(隣接するクラスタの中心から中心までの距離)と、1125umのX軸クラスタピッチを有する。例示的なクラスタ(510)は図7に描かれ、ここでY軸座のピッチ(隣接する座の中心から中心までの距離)は、63.483umであり、およびX軸座のピッチは75umである。最長部の座の幅、例えば環状の座の直径は、50umであり、および座の間の距離は24umである。図7の典型的なクラスタの座(705)の数は、121である。座は平面、ウェルまたはチャネルであり得る。典型的なチャンネル構成は図8A−8Bに例示され、ここで例示されるプレート(805)は、メインチャンネル(810)と、メインチャンネル(810)に連結された複数のチャネル(815)を含んでいる。メインチャンネル(810)と複数のチャネル(815)の間の連結は、メインチャンネル(810)から複数のチャネル(815)の各々までの流路のための流体連結を提供する。本明細書に記載されるプレート(805)は、多数のメインチャンネル(810)を含むことができる。複数のチャネル(815)は、メインチャンネル(810)内に共同してクラスタを形成する。
【0043】
柔らかい構造の場合、デバイスが本明細書において提供され、ここで柔らかい構造は、1つ以上の固定された構造、例えば一組のローラー(903)のまわりを包む連続ループ(901)、または別個の固定された構造、例えばペアリール(905)のまわりを包む非連続的な柔らかい構造(907)を含む。図9A−9Bを参照されたい。いくつかの例では、構造は、ポリヌクレオチド合成用の多数の領域を含む。典型的な構造は図9Cに例示され、ここでプレートは、ポリヌクレオチド合成のための別個の領域(909)を含む。別個の領域(909)は、破壊または切断によって分離されてもよい(911)。別個の領域の各々はさらに、解放され、配列され、解読され、および読み取られ(913)、または保存され(915)てもよい。代替的な構造は、図9Dに例示され、ここではテープが、ポリヌクレオチド合成用の別個の領域(917)を含んでいる。別個の領域(917)は、破壊または切断によって分離されてもよい(919)。別個の領域の各々はさらに、解放され、配列され、解読され、および読み取られ(921)、または保存され(923)てもよい。ポリヌクレオチド拡張用の複数の座を有する面を持つ柔らかい構造が、本明細書において提供される。図10A−10Cは、柔らかい構造にある座のズームインを示す。柔らかい構造(1001)の一部にある各座は、実質的に平面のスポット(1003)(例えば平面)、チャネル(1005)、またはウェル(1007)であり得る。1つの典型的な配置では、構造の各座は、幅約10um、および約21umの各構造の中心間の距離を有する。図11Aを参照されたい。座は、限定されないが、環状、長方形、テーパ状、または丸い形状を含んでもよい。代替的に、または組み合わせて、構造は固い。いくつかの例では、固い構造は、ポリヌクレオチド合成用の座、チャネルまたはウェルを含む。
【0044】
いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、1対0.01の幅対深度(または高さ)の比率を有し、幅は、マイクロチャネルの最も狭い部分で測定された幅である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、0.5対0.01の幅対深度(または高さ)の比率を有し、幅は、マイクロチャネルの最も狭い部分で測定された幅である。いくつかの例では、本明細書に記載されるチャネルは、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.16、0.2、0.5または1の幅対深度(または高さ)の比率を有する。
【0045】
本明細書に記載される構造は、ポリヌクレオチド合成用の複数の分離した座、チャネルまたはウェルを含む。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、クラスタ内の複数の座に対応する複数のチャネルを含み、チャネルの高さまたは深さは、約5umから約500um、約5umから約400um、約5umから約300um、約5umから約200um、約5umから約100um、約5umから約50um、または約10umから約50umであるように提供される。いくつかの場合には、チャネルの高さは、100um未満、80um未満、60um未満、40um未満、または20um未満である。ある場合には、チャネル高さは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500um、またはそれ以上である。いくつかの例では、チャネルの高さまたは深度は、少なくとも10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、または1000nm以上である。いくつかの例では、チャネルの高さまたは深度は、約10nmから約1000nm、約25nmから約900nm、約50nmから約800nm、約75nmから約700nm、約100nmから約600nm、または約200nmから約500の範囲にある。
【0046】
いくつかの例では、座(例えば、実質的に平らなスポット、ウェル、またはチャネル)の幅は、約0.1umから約500um、約0.5umから500um、約1umから約200um、約1umから約100um、約5umから約100um、または約0.1umから約100um、例えば約90um、80um、70um、60um、50um、40um、30um、20um、10um、5um、1um、または0.5umである。いくつかの例では、座(例えばマイクロチャネル)の幅は、約100um、90um、80um、70um、60um、50um、40um、30um、20umまたは10um未満である。いくつかの例では、座の幅は、少なくとも10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、または1000nm以上である。いくつかの例では、座の幅は、約10nmから約1000nm、約25nmから約900nm、約50nmから約800nm、約75nmから約700nm、約100nmから約600nm、または約200nmから約500の範囲にある。いくつかの例では、2つの隣接座の中心間の距離は、約0.1umから約500um、約0.5umから約500um、約1umから約200um、約1umから約100um、約5umから約200um、約5umから約100um、約5umから約50um、または約5umから約30um、例えば約20umである。いくつかの例では、座の合計幅は、約5um、10um、20um、30um、40um、50um、60um、70um、80um、90umまたは100umである。いくつかの例では、座の合計幅は、約1umから100um、30umから100um、または50umから70umである。
【0047】
いくつかの例では、各座は、別の座で成長したポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。本明細書において、少なくとも10、100、256、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000、またはより多くのクラスタを含む面が提供される。本明細書において提供される面は、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;5,000,000;または10,000,000以上の別個の座を含む。いくつかの場合には、各クラスタは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150、200、500、またはより多くの座を含む。ある場合には、各クラスタは、50〜500、50〜200、50〜150、または100〜150の座を含む。いくつかの場合には、各クラスタは約100〜150の座を含む。典型的な構成では、各クラスタは、約109、121、130または137の座を含む。
【0048】
本明細書において提供される座は、最長部分で5〜100umの幅を有する。ある場合には、座は、最長部分で約30、35、40、45、50、55または60umの幅を有する。ある場合には、座は、多数のセグメントを有するチャネルであり、各セグメントは中心間の距離が5〜50um離れている。ある場合には、各セグメントごとの中心間の距離は、約5、10、15、20または25umである。
【0049】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造の面上で合成された別個のポリヌクレオチドの数は、基質において利用可能な別個の座の数に依存する。いくつかの例では、基質のクラスタ内の座の密度は、1mm当たり少なくともまたは約1の座、1mm当たり10の座、1mm当たり25の座、1mm当たり50の座、1mm当たり65の座、1mm当たり75の座、1mm当たり100の座、1mm当たり130の座、1mm当たり150の座、1mm当たり175の座、1mm当たり200の座、1mm当たり300の座、1mm当たり400の座、1mm当たり500の座、1mm当たり1,000の座、またはそれ以上である。いくつかの場合には、基質は、1mmから約500mm当たり約10の座、1mmから約400mm当たり約25の座、1mmから約500mm当たり約50の座、1mmから約500mm当たり約100の座、1mmから約500mm当たり約150の座、1mmから約250mm当たり約10の座、1mmから約250mm当たり約50の座、1mmから約200mm当たり約10の座、1mmから約200mm当たり約50の座を含む。いくつかの例では、クラスタ内の2つの隣接する座の中心間の距離は、約10umから約500um、約10umから約200um、または約10umから約100umである。いくつかの場合には、隣接する座の2つの中心間の距離は、約10um、20um、30um、40um、50um、60um、70um、80um、90umまたは100umより長い。いくつかの場合には、2つの隣接する座の中心間の距離は、約200um、150um、100um、80um、70um、60um、50um、40um、30um、20umまたは10um未満である。いくつかの場合には、2つの隣接する座の中心間の距離は、約10000nm、8000nm、6000nm、4000nm、2000nm、1000nm、800nm、600nm、400nm、200nm、150nm、100nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nmまたは10nm未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される構造の各平方メートルは、少なくとも約10、10、10、1010、1011の座を可能にし、各座は1つのポリヌクレオチドを支持する。いくつかの実施形態では、10のポリヌクレオチドが、約6、5、4、3、2または1m未満の本明細書に記載される構造の上で支持される。
【0050】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000、またはより多くの非同一のポリヌクレオチドの合成のための支持を提供する。いくつかの場合には、基質は、別個の配列をコードする2,000;5,000;10,000;20,000;50,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000、またはより多くのポリヌクレオチドの合成のための支持を提供する。いくつかの例では、オリゴ核酸の少なくとも一部は、同一の配列を有し、または同一の配列で合成されるように構成される。いくつかの例では、構造は、少なくとも約50、60、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、またはより多くの塩基を有するポリヌクレオチドの成長のために、面環境を提供する。いくつかの構成では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド合成のための構造は、ポリヌクレオチド合成のための座を均一の構成に含む。
【0051】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、基質の別個の座において合成され、各座はポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。いくつかの場合には、各座は、別の座において成長させたポリヌクレオチドの集団とは異なる配列を有するポリヌクレオチドの集団の合成を支持する。いくつかの例では、構造の座は、複数のクラスタ内に位置する。いくつかの例では、構造は、少なくとも10、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000、またはより多くのクラスタを含む。いくつかの例では、構造は、2,000;5,000;10,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,100,000;1,200,000;1,300,000;1,400,000;1,500,000;1,600,000;1,700,000;1,800,000;1,900,000;2,000,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;または10,000,000、またはより多くの別個の座を含むいくつかの場合には、各クラスタは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150、またはより多くの座を含む。いくつかの例では、各クラスタは、50〜500、100〜150または100〜200の座を含む。いくつかの例では、各クラスタは、約109、121、130または137の座を含む。いくつかの例では、各クラスタは、5、6、7、8、9、10、11または12の座を含む。いくつかの例では、1つのクラスタ内の別個の座からのポリヌクレオチドは、アセンブルされた時にあらかじめ決定された配列の、近接するより長いポリヌクレオチドをコードする配列を有する。
【0052】
<構造サイズ>
【0053】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、例えば、約100〜200mm×約50〜150mmの、およそのサイズの標準的な96ウェルプレートである。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、約1000mm、500mm、450mm、400mm、300mm、250nm、200mm、150mm、100mm、または50mm以下の直径を有している。いくつかの例では、基質の直径は、約25mm〜1000mm、約25mm〜約800mm、約25mm〜約600mm、約25mm〜約500mm、約25mm〜約400mm、約25mm〜約300mm、または約25mm〜約200である。基質サイズの非限定的な例として、約300mm、200mm、150mm、130mm、100mm、76mm、51mm、および25mmがあげられる。いくつかの例では、基質は、少なくとも約100mm;200mm;500mm;1,000mm;2,000mm;5,000mm;10,000mm;12,000mm;15,000mm;20,000mm;30,000mm;40,000mm;50,000mm、またはより大きな平面面積を有している。いくつかの例では、厚さは、約50mm〜約2000mm、約50mm〜約1000mm、約100mm〜約1000mm、約200mm〜約1000mm、または約250mm〜約1000mmである。厚さの非限定的な例として、約275mm、375mm、525mm、625mm、675mm、725mm、775mm、および925mmがあげられる。いくつかの場合には、厚さは直径によって変わり、かつ基質の組成に左右される。例えば、シリコン以外の物質を含む構造は、同じ直径のシリコン構造とは異なる厚さを有する場合もある。構造の厚さは、使用される物質の機械強度によって決定される場合もあり、および構造は、使用中に割れることなく自身の重量を支えるのに十分な厚さでなければならない。いくつかの例では、構造は、任意の一寸法において約1、2、3、4、5、10、15、30、40、50フィート以上である。
【0054】
<材料>
【0055】
本明細書において提供されるのは、面を含むデバイスであって、面は、あらかじめ決定された位置でのポリヌクレオチド合成を支持するように修飾され、および結果として生じる低エラー率、低いドロップアウト率、高い収率、および高いオリゴ再現を伴う。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチド合成用のデバイスの面は、新規ポリヌクレオチド合成反応を支持するために修飾可能な様々な材料から製造される。いくつかの場合には、デバイスは十分に導電性であり、例えば、デバイスのすべてまたは一部にわたって均一な電場を形成することができる。本明細書に記載されるデバイスは、可撓性材料を含み得る。典型的な可撓性材料として、限定されないが、改質ナイロン、非改質ナイロン、ニトロセルロース、およびポリプロピレンがあげられる。本明細書に記載されるデバイスは、剛性材料を含み得る。典型的な剛性材料として、限定されないが、ガラス、石英ガラス(fuse silica)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびそれらの混合物など)、および金属(例えば、金、白金など)があげられる。本明細書に開示されるデバイスは、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロース系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、またはそれらの任意の組み合わせを含む材料から作られてもよい。いくつかの場合には、本明細書に開示されるデバイスは、本明細書にリストされる材料または当技術分野において既知の他の適切な材料を組み合わせて製造される。
【0056】
本明細書に記載されるデバイスは、様々な引張強度を有する物質を含み得る。様々な引張強度を有する典型的な物質として、限定されないが、ナイロン(70MPa)、ニトロセルロース(1.5MPa)、ポリプロピレン(40MPa)、シリコン(268MPa)、ポリスチレン(40MPa)、アガロース(1−10MPa)、ポリアクリルアミド(1−10MPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(3.9−10.8MPa)があげられる。本明細書に記載される個体支持体は、1〜300、1〜40、1〜10、1〜5、または3〜11MPaの引張強度を有し得る。本明細書に記載される個体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、270、またはより多くのMPaの引張強度を有し得る。いくつかの例では、本明細書に記載されるデバイスは、テープまたは軟質シート等の、連続したループまたはリールに保存することができる可撓性材料の形態の、ポリヌクレオチド合成用の個体支持体を含む。
【0057】
ヤング率は、弾性の(復元可能な)荷重変形に対する物質の抵抗を測定する。様々なヤング率剛度を有する典型的な物質として、限定されないが、ナイロン(3GPa)、ニトロセルロース(1.5GPa)、ポリプロピレン(2GPa)、シリコン(150GPa)、ポリスチレン(3GPa)、アガロース(1−10GPa)、ポリアクリルアミド(1−10GPa)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(1−10GPa)があげられる。本明細書に記載される個体支持体は、1〜500、1〜40、1〜10、1〜5、または3〜11GPaのヤング率を有し得る。本明細書に記載される個体支持体は、約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、20、25、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、400、500GPa、またはより多くのGPaのヤング率を有し得る。可撓性と剛性は真逆の関係にあるため、可撓性材料は低いヤング率を有し、その形状は負荷を受けてかなり変化する。いくつかの例では、本明細書に記載される個体支持体は、少なくともナイロンの柔軟性を有する面を持つ。
【0058】
いくつかの場合には、本明細書に開示されるデバイスは、二酸化ケイ素の基部と酸化シリコンの表層面を含む。代替的に、デバイスは、シリコン酸化物の基部を含んでもよい。本明細書に提供されるデバイスの面は織り込まれてもよく、結果としてポリヌクレオチド合成のための面の総面積を増加させる。本明細書に開示されるデバイスは、少なくとも5%、10%、25%、50%、80%、90%、95%、または99%のシリコンを含み得る。本明細書に開示されるデバイスは、SOI(silicon on insulator)ウェーハから製造されてもよい。
【0059】
構造は、本明細書に記載される発明の方法と組成物に適した様々な材料から製造されてもよい。特定の実施形態では、本発明の基質/個体支持体を製造するための材料は、低レベルのオリゴヌクレオチド結合を示す。いくつかの状況では、可視光および/またはUV光に対して透過性である材料を使用することができる。十分な導電性の材料、例えば、本明細書に記載される基質/個体支持体のすべてまたは一部にわたって均一な電場を形成することができるものを利用することができる。いくつかの実施形態では、そのような材料は、電気接地(electric ground)に接続されてもよい。ある場合には、基質または個体支持体は、熱伝導性または熱絶縁性であり得る。その材料は、一連のオリゴヌクレオチド合成反応等の化学的または生化学的反応を支持するために、化学薬品に耐性があり、かつ熱に耐性があってもよい。可撓性材料として、対象となる材料は以下を含み得る:ナイロン、修飾の有無に関わらないニトロセルロース、ポリプロピレンなど。
【0060】
剛性材料として、対象となる特定の材料は以下を含む:ガラス;石英ガラス;シリコン、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびそれらの混合物など);金属(例えば金、白金など)。構造は、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロースポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびガラスから成る群から選択された材料から製造することができる。基質/個体支持体またはミクロ構造、そのリアクターは、本明細書にリストされる材料を組み合わせて、または当技術分野の他の適切な材料で製造されてもよい。
【0061】
用語「柔らかい」は、曲げることができる、折り重ねられる、または破損することなく同様の操作が可能な構造を指し、本明細書で使用される。ある場合には、柔らかい構造は、ローラーのまわりで少なくとも30度曲がっている。ある場合には、柔らかい構造が、ローラーのまわりで少なくとも180度曲がっている。ある場合には、柔らかい構造が、ローラーのまわりで少なくとも270度曲がっている。いくつかの例では、柔らかい構造は、ローラーのまわりで約360度曲がっている。ある場合には、ローラーは、約10cm、5cm、3cm、2cmまたは1cm未満の半径である。いくつかの例では、柔らかい構造は、欠陥(例えば亀裂)または20℃での変形なしに、一方の方向に少なくとも100回、繰り返し曲げてはまっすぐにされている。いくつかの例では、本明細書に記載される柔らかい構造は、ローラーをかけるのに適した厚さである。ある場合には、本明細書に記載される柔らかい構造の厚さは、約50mm、10mm、1mm、または0.5mm未満である。
【0062】
本明細書に記載される構造用の典型的な可撓性材料として、限定されないが、ナイロン(未修飾のナイロン、修飾されたナイロン、透明なナイロン)、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、ポリメタクリル酸メチルまたは他のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニルまたは他のビニル樹脂、プリンター用の透明なPVC箔、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、メタクリル酸共重合体、スチレンポリマー、高屈折率ポリマー、フッ素含有高分子、ポリエーテルスルフォン、脂環式構造を含むポリイミド、ゴム、ファブリック、金属フォイル、およびそれらの任意の組み合わせがあげられる。様々な可塑剤および調製剤を、選択された可撓性特性を達成するために高分子基質材料と共に使用してもよい。
【0063】
本明細書に記載される柔らかい構造は、プラスチック材料を含み得る。いくつかの例では、柔らかい構造は熱可塑性の物質を含む。熱可塑性材料の非限定的な例として、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ナイロン、ポリ乳酸、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレンがあげられる。いくつかの実施形態では、基質は、ポリアリールエーテルケトン(PEAK)ファミリーの熱可塑性材料を含む。PEAK熱可塑性物質の非限定的な例として、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(エーテルエーテルケトンケトン)(PEEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)があげられる。いくつかの例では、柔らかい構造は、トルエンと互換性のある熱可塑性材料を含む。いくつかの例では、プラスチック材料の可撓性は、可塑剤の付加によって増加する。可塑剤の一例は、フタル酸塩等のエステルベースの可塑剤である。フタル酸エステル系可塑剤は、ビス(2−エチルヘキシル)フタル酸塩(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジ−n−ブチルフタル酸塩(DnBP、DBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBzP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジオクチル(DOP、DnOP)、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、およびジ−n−ヘキシルフタル酸塩を含む。いくつかの例では、共重合による、または重合前にモノマーに非反応性側鎖を付加することによる、熱可塑性ポリマーの修飾もまた、可撓性を高める。
【0064】
本明細書において提供されるのは、フッ素ゴムをさらに含み得る柔らかい構造である。約80%のフッ素ゴムを含む物質は、FKMとして指示される。フッ素ゴムは、パーフルオロ−エラストマー(FFKM)およびテトラフロオルエチレン/プロピレンゴム(FEPM)を含む。フッ素ゴムには5つの既知のタイプがある。タイプ1 FKMは、フッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)から成り、それらのフッ素含量は典型的には約66重量%である。タイプ2 FKMは、VDF、HFPおよびテトラフロオルエチレン(TFE)から成り、典型的には約68%から69%のフッ素を含む。タイプ3 FKMは、VDF、TFEおよびパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)から成り、典型的には約62%から68%のフッ素を含む。タイプ4 FKMは、プロピレン、TFEおよびVDFから成り、典型的には約67%のフッ素を含む。タイプ5 FKMは、VDF、HFP、TFE、PMVE、およびエチレンから成る。
【0065】
いくつかの例では、本明細書に開示される基質は、コンピュータ可読物質を含む。コンピュータ可読物質として、限定されないが、磁気メディア、オープンリール式テープ、カートリッジテープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、紙媒体、フィルム、マイクロフィッシュ、連続テープ(例えばベルト)、および電子命令を保存するのに適した任意の媒体があげられる。ある場合には、基質は、磁気オープンリール式テープまたは磁気ベルトを含む。いくつかの例では、基質は、可撓性印刷回路基板を含む。
【0066】
本明細書に記載される構造は、可視光および/またはUV光に対して透過性であり得る。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、構造のすべてまたは一部にわたって均一な電場を形成するのに十分な導電性である。いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、熱伝導性または熱絶縁性である。いくつかの例では、該構造は、ポリヌクレオチド合成反応等の化学反応を支持するために、化学薬品に耐性があり、かつ熱に耐性がある。いくつかの実施形態では、基質は磁性である。いくつかの例では、構造は金属または金属合金を含む。
【0067】
ポリヌクレオチド合成用の構造は、任意の寸法において1、2、5、10、30、50フィート、またはより長い場合もある。柔らかい構造の場合、柔らかい構造が、巻かれた状態で、例えばリール状で、随意に保存される。大きな固い構造、例えば長さが1フィートを超える場合には、固い構造は、垂直または水平に保存することができる。
【0068】
<構造の面上の暗号鍵マーキング>
【0069】
本明細書において提供されるのは、マーキング(1101)を有する構造であって、マーキングは、近くのポリヌクレオチド集団、近くのポリヌクレオチド集団の配列を解読するための暗号化スキーム、近くのポリヌクレオチド集団に関するコピー数、またはそれらの任意の組み合わせ、に関連する情報のソース項目に関する情報を提供する。例えば、図11B−11Cを参照されたい。マーキングは、肉眼で見える場合もあり、または顕微鏡を使用した拡大表示で見ることができるだろう。いくつかの例では、面上のマーキングは、熱、化学薬品、または光処理(例えばマーキングを照らすためのUV光またはIR光)等の、マーキングを暴露するための処理状態の後にのみ見ることができる。熱により発現するインクの例として、限定されないが、塩化コバルト(熱せられると青くなる)があげられる。化学反応により発現するインクの例として、限定されないが、フェノールフタレイン、硫酸銅、鉛(II)硝酸塩、コバルト(II)塩化物、および硫酸マンガンと過酸化水素により発現するシュウ酸セリウムがあげられる。
【0070】
<面の調製>
【0071】
本明細書において提供されるのは、基質上の生体分子の不動化を支持する方法であって、本明細書に記載される構造の面はアタッチメント用の生体分子とのカップリング反応を促進する物質を含み、および/または該物質でコーティングされる。生体分子不動化のための構造を調製するために、基質面または選択された部位または面領域の化学的および/または物理的な特性の1つ以上を変化させるために、付加的または減算的なプロセスによって、化学的および/または物理的に基質面を変質させる面の修飾を使用してもよい。例えば面の修飾は、(1)面の湿潤性を変化させる、(2)面を官能基化する、つまり面官能基を提供する、修飾する、または置換する、(3)面を脱官能基化する、つまり面官能基を除去する、(4)そうでなければ、例えばエッチングによって面の化学組成を変更する、(5)面の粗さを増加または減少させる、(6)面上にコーティングする、例えば面の湿潤性とは異なる湿潤性を示すコーティングを提供する、および/または(7)面上に粒子を沈着させることを含む。いくつかの例では、構造の面は、面上に2つ以上の別個の領域を作り出すために選択的に官能基化され、少なくとも1つの領域は、同じ構造の別の領域とは異なる面または化学特性を有する。そのような特性として、限定されないが、界面エネルギー、化学的停止(chemical termination)、化学的部分の面濃度などがあげられる。
【0072】
いくつかの例では、本明細書に開示される構造の面は、基質の面と生体分子の両方に結合するように構成された1つ以上の能動的に官能基化された面を含むように修飾され、それによって面へのカップリング反応を支持する。いくつかの例では、面もまた、効率的に生体分子を結合しない受動的な物質で官能基化され、それによって、受動的な官能基化因子が結合される部位での生体分子アタッチメントを妨げる。ある場合には、面は、生体分子支持のための別個の座を画定する活性層のみを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、面は、任意の異なる比率の官能基化基の混合物と接触する。いくつかの実施形態では、混合物は、少なくとも2、3、4、5、またはより多くの種類の官能基化因子を含む。ある場合には、混合物中の少なくとも2種類の面官能基化因子の比率は、2つの基の望ましい面発現を達成するために、1:1、1:2、1:5、1:10、2:10、3:10、4:10、5:10、6:10、7:10、8:10、9:10、または他の任意の比率である。いくつかの実施形態では、望ましい面張力、湿潤性、水接触角、および/または他の適切な溶媒に対する接触角は、基質面に適切な比率の官能基化因子を提供することにより達成される。ある場合には、混合物中の因子は、適切な反応性および非活性の部分から選ばれ、したがって反応基の面密度を、下流の反応に関する望ましいレベルへと薄める。いくつかの実施形態では、官能基化試薬の混合物は、生体分子と結合する1つ以上の試薬、または生体分子と結合しない1つ以上の試薬を含む。したがって、試薬の調節は、官能基化の別個の領域で起こる生体分子結合の量の制御を可能にする。
【0074】
いくつかの例では、基質の官能基化法は、基質の面上でのシラン分子の沈着を含む。シラン分子は、基質の高エネルギー面上に沈着されてもよい。いくつかの例では、高界面エネルギー領域は、受動的な官能基化試薬を含む。本明細書に記載される方法は、面に結合するためのシラン基を提供し、他方で分子の残りは面から離れており、および生体分子が付いている末端に遊離した水酸基を提供する。いくつかの例では、シランは有機官能性アルコキシシラン分子ある。有機官能性アルコキシシラン分子の非限定的な例として、ジメチルクロロ−オクタデシル−シラン、メチルジクロロ−オクタデシル−シラン、トリクロロ−オクタデシル−シラン、およびトリメチル−オクタデシル−シラン、トリエチル−オクタデシル−シランがあげられる。いくつかの例では、シランはアミノシランである。アミノシランの例として、限定されないが、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピル/トリメトキシシラン、およびN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドがあげられる。いくつかの例では、シランは、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピル/トリメトキシシラン、およびN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、能動的な官能基化因子は11−アセトキシウンデシルトリエトキシシランを含む。いくつかの例では、能動的な官能基化因子はn−デシルトリエトキシシランを含む。ある場合には、能動的な官能基化因子は、グリシジルオキプロピルトリエトキシシラン(GOPS)を含む。いくつかの実施形態では、シランはフルオロシランである。いくつかの実施形態では、シランはヒドロカルボンシランである。ある場合には、シランは3−ヨード−プロピルトリメトキシシランである。いくつかの場合には、シランはオクチルクロロシランである。
【0075】
いくつかの実施形態では、シラン化は、有機官能性アルコキシシラン分子を用いた自己組織化を通じて面上で行なわれる。有機官能性アルコキシシランは、それらの有機的機能に従って分類される。シロキサン官能基化試薬の非限定的な例として、ヒドロキシアルキルシロキサン(シリル化面、ジボランで官能基化し、および過酸化水素によってアルコールを酸化させる)、ジオール(ジヒドロキシアルキル)シロキサン(シリル化面、およびジオールへと加水分解)、アミノアルキルシロキサン(アミンは中間の官能基化工程を必要としない)、グリシドキシシラン(3−グリシドキシプロピル−ジメチル−エトキシシラン、グリシドキシ−トリメトキシシラン)、メルカプトシラン(3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン,3−4,エポキシシクロヘキシル−エチルトリメトキシシラン、または3−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン)、ビシクロヘプタヘニル−三塩化シラン、ブチル−アルデヒド−トリメトキシシラン、または二量体型二次アミノアルキルシロキサンがあげられる。典型的なヒドロキシアルキルシロキサンには、3−ヒドロキシプロピルに変わるアリルトリクロロクロロシラン、または8−ヒドロキシオクチルに変わる7−オクタ−1−エニルトリクロロクロロシランが含まれる。ジオール(ジヒドロキシアルキル)シロキサンは、グリシジルトリメトキシシラン由来(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシ)プロピル(GOPS)を含む。アミノアルキルシロキサンは、3−アミノプロピル(3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−ジエトキシ−メチルシラン、3−アミノプロピル−ジメチル−エトキシシラン、または3−アミノプロピル−トリメトキシシランに変わる、3−アミノプロピルトリメトキシシランを含む。いくつかの場合には、二量体型二次アミノアルキルシロキサンは、ビス(シリルオキシルプロピル)アミンに変わるビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0076】
能動的な官能基化領域は、1つ以上の異なる種のシラン、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはより多くのシランを含む場合もある。ある場合には、1つ以上のシランの1つが、他のシランより大きな量で官能基化組成物中に存在する。例えば、2つのシランを含む混合シラン溶液は、99:1、98:2、97:3、96:4、95:5、94:6、93:7、92:8、91:9、90:10、89:11、88:12、87:13、86:14、85:15、84:16、83:17、82:18、81:19、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45の比率の、1つのシランと別のシランを含む。いくつかの例では、能動的な官能基化因子は、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシランおよびn−デシルトリエトキシシランを含む。いくつかの例では、能動的な官能基化因子は、約20:80から約1:99、または約10:90から約2:98、または約5:95の比率で、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシランおよびn−デシルトリエトキシシランを含む。
【0077】
いくつかの例では、官能基化は、限定されないが、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、プラズマ増強ALD(PEALD)、金属有機CVD(MOCVD)、熱線CVD(HWCVD)、iCVD(initiated CVD)、化学的気相堆積法(MCVD)、気相軸付け法(VAD)、外部蒸着(OVD)、物理蒸着(例えばスパッタ蒸着、蒸着)、および分子層体積法(MLD)を含む、任意の蒸着技術によって、構造に官能基化因子を沈着させることを含む。
【0078】
以下の官能基化プロセスの任意の工程または構成要素は、最終的な官能基化基質に望ましい特性に従って、省略または変更される。いくつかの場合には、追加の構成要素および/または処理工程が、本明細書において具現される処理ワークフローに加えられる。いくつかの例では、基質は、例えばピラニア溶液を使用して、まず洗浄される。洗浄工程の一例には、温度を上げて(例えば120°C)ピラニア溶液(例えば90%のHSO、10%のH)に基質を浸し、洗浄し(例えば水)、そして基質を乾燥させる(例えば窒素ガス)工程が含まれる。そのプロセスは随意に、基本的な溶液(例えばNHOH)にピラニア処理された基質を浸し、その後に水性洗浄する(例えば水)工程を含む、ピラニア処理の後処理を含む。いくつかの例では、構造の面は、随意に、ピラニアに浸して随意のピラニア処理の後処理をした後に、プラズマ洗浄される。プラズマ洗浄プロセスの一例として、酸素プラズマエッチングがあげられる。いくつかの例では、面は、有効な官能基化因子を用いて沈着され、その後に気化される。いくつかの例では、基質は、例えばピラニア処理および/またはプラズマ洗浄による浄化に先立って、能動的に官能基化される。
【0079】
面の官能基化のプロセスは、随意にレジスト塗布およびレジストストリップを含む。いくつかの例では、能動的な官能基化に続いて、基質は、レジスト、例えばSPR(商標)3612正フォトレジストを用いてスピンコートされる。面の官能基化のプロセスは、様々な例において、パターン化された官能基化を伴うリソグラフィを含む。いくつかの例では、レジスト塗布後にフォトリソグラフィが行われる。いくつかの例では、リソグラフィ後に、面は、リソグラフィの欠陥に関して視覚的に検査される。いくつかの例では、面の官能基化のプロセスは洗浄工程を含み、ここで基質の残留物は、例えばプラズマ洗浄またはプラズマエッチングによって除去される。いくつかの例では、プラズマ洗浄工程は、リソグラフィ工程後、いくつかの工程で行なわれる。
【0080】
いくつかの例では、レジストでコーティングされた面は、例えば官能基化の後および/またはリソグラフィの後に、レジストを除去するために処理される。ある場合には、レジストは、溶媒、例えばN−メチル−2−ピロリドンを含むストリップ溶液を用いて、除去される。ある場合には、レジストストリプは音波処理または超音波処理を含む。いくつかの例では、レジスト塗布とレジストストリップが行われ、その後に、望ましい差異のある官能基化パターンを生成するために、暴露領域の能動的な官能基化が行われる。
【0081】
いくつかの例では、本明細書に記載される方法および組成物は、選択的領域における修飾された面特性の生成のためのフォトレジストの適用に関し、フォトレジストの適用は、フォトレジストの空間的分布を規定する面の流体特性に依存する。理論に縛られることなく、適用された流体に関連する面張力効果は、フォトレジストの流れを定義し得る。例えば、レジスト溶媒が蒸発する前に、面張力および/または毛管作用の効果は、制御された方法で小さな構造へのフォトレジストの引き込みを促進し得る。いくつかの例では、レジスト接触点は、鋭い先端によってピン留めされ、それによって流体の前進を制御する。下位構造は、製造および官能基化のプロセスの間にフォトレジストを適用するために使用される、望ましいフローパターンに基づいて設計され得る。溶媒が蒸発した後に残された固体の有機層は、続く製造プロセスの工程を進めるために使用され得る。構造は、隣接する流路へのウィッキング効果(wicking effects)を促進または阻害することによって、流体の流れを制御するように設計され得る。例えば、構造は、上縁と底縁との間の重なりを避けるように設計され、これは、レジストの特定の配置を可能にする上部構造内での流体の維持を促進する。代替的な例では、上縁と底縁は重なり、適用された流体の底部構造へのウィッキングをもたらす。適切な設計は、レジストの望ましい適用に応じて適宜選択され得る。
【0082】
いくつかの例では、本明細書に記載される構造は、ヌクレオシドを結合することができる反応基を含む、少なくともまたは少なくとも約0.1nm、0.5nm、1nm、2nm、5nm、10nm、または25nmの厚さの物質を含む面を有する。典型的には、限定されないが、ガラス、および二酸化ケイ素と窒化ケイ素等のシリコンが含まれる。ある場合には、典型的な面はナイロンとPMMAを含む。
【0083】
いくつかの例では、UV光の形態の電磁放射線は、面のパターニングに使用される。いくつかの例では、ランプは、面パターニングに使用され、およびマスクは、面へのUV光の暴露位置を仲介する。いくつかの例では、レーザーは、面パターニングに使用され、およびシャッターが開いた/閉じた状態は、面へのUV光の暴露を制御する。レーザー配置は、移動可能な柔らかい構造と組み合わせて使用されてもよい。そのような配置では、レーザー暴露と柔らかい構造の移動の協調は、異なるヌクレオシド結合性能を有する1つ以上の因子のパターンを生成するために使用される。
【0084】
<材料沈着システム>
【0085】
本明細書において提供されるのは、本明細書に記載される構造上での生体分子の沈着と保存のためのシステムとデバイスである。いくつかの実施形態では、生体分子は、それらの配列にコードされた情報を保存するポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、システムは、生体分子のアタッチメントを支持するための構造の面、および/または基質の面への生体分子の適用のためのデバイスを含む。一例では、生体分子の適用のためのデバイスは、ポリヌクレオチドシンセサイザである。いくつかの実施形態では、システムは、流体、例えばフローセルで基質を処理するためのデバイスを含む。いくつかの実施形態では、システムは、アプリケーションデバイスと処理デバイスの間の基質を動かすためのデバイスを含む。基質がオープンリール式テープである例では、システムは、別の時間に、基質の異なる部分がアプリケーションと随意の処置デバイスにアクセスできるようにする、2つ以上のリールを含み得る。
【0086】
ポリヌクレオチド合成用のポリヌクレオチド物質沈着システムの第1の例は、図12に示される。システムは、基質の位置で整列させるためにX−Y方向に動く材料沈着デバイスを含む。材料沈着デバイスはまた、基質で封をするためにZ方向に動くことができ、分解されたリアクターを形成する。分解されたリアクターは、ポリヌクレオチドおよび/または試薬を含む流体が基質からキャッピング要素に移動し、および/またはその逆に移動するのを可能にするように構成される。図12に示されるように、流体は、基質とキャッピング要素のいずれかまたは両方を通過する場合もあり、および限定されないが、カップリング試薬、キャッピング試薬、酸化剤、デブロッキング剤、アセトニトリルおよび窒素ガスを含む。高解像度の液滴付着が可能なデバイスの例として、インクジェットプリンターとレーザープリンターの印字ヘッドがあげられる。本明細書に記載されるシステムと方法に有用なデバイスは、約100ドット/インチ(DPI)から約50,000DPI;約100DPIから約20,000DPI;約100DPIから約10,000DPI;約100DPIから約5,000DPI;約1,000DPIから約20,000DPI;または約1,000DPIから約10,000DPIの解像度を達成する。いくつかの例では、デバイスは、少なくとも1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;10,000;12,000DPI、または20,000DPIの解像度を有する。デバイスによって行なわれた高解像度付着は、基質の特徴に対応した各ノズルの数と密度に関係する。
【0087】
ポリヌクレオチドシンセサイザを使用する基質上でのポリヌクレオチドの新規合成用の典型的な処理ワークフローは、図13に示される。ポリヌクレオチド合成試薬を含む液滴は、漸次方式で材料沈着デバイスから基質へと放出され、材料沈着デバイスは、液滴の放出のために電気信号を機械信号に変換するための圧電性セラミック材と電極を有している。液滴は基質面上の特定位置に放出され、データを符号化するあらかじめ決定された配列を有する複数の合成ポリヌクレオチドを生成するために核酸塩基は一度に1つである。ある場合には、合成ポリヌクレオチドは基質に保存される。核酸試薬は、非連続的な方法またはドロップ・オン・デマンド法で、基質上に沈着される。そのような方法の例として、電気機械的転写法、電気熱転写法、および静電引力法があげられる。電気機械的転写法では、電気パルスによって歪んだ圧電気要素が液滴の排出をもたらす。電気熱転写法では、デバイスのチャンバで泡が作られ、泡が広がる力によって液滴の排出がもたらされる。静電引力法では、静電引力の力を使用して基質上に液滴を排出する。ある場合には、滴りの周波数は、約5kHzから約500kHz;約5KHzから約100KHz;約10KHzから約500KHz;約10KHzから約100KHz;または約50kHzから約500kHzである。ある場合には、周波数は、約500kHz、200kHz、100kHz、または50kHz未満である。
【0088】
分配される液滴のサイズは、デバイスの解像度と相関する。いくつかの例では、デバイスは、約0.01plから約20pl、約0.01plから約10pl、約0.01plから約1pl、約0.01plから約0.5pl、約0.01plから約0.01pl、または約0.05plから約1plのサイズで、試薬の液滴を沈着する。いくつかの例では、液滴サイズは、約1pl、0.5pl、0.2pl、0.1pl、または0.05pl未満である。デバイスによって分配される液滴のサイズは、沈着ノズルの直径と関係し、ここで各ノズルは、基質の機構上に試薬を沈着させることができる。いくつかの例では、ポリヌクレオチドシンセサイザの沈着デバイスは、約100〜約10,000のノズル;約100から約5,000のノズル;約100から約3,000のノズル;約500から約10,000のノズル;または約100〜約5,000のノズルを含む。ある場合には、沈着デバイスは、1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;または10,000より多くのノズルを含む。いくつかの例では、各材料沈着デバイスは、複数のノズルを含み、各ノズルは随意に、基質上の機構に対応するように構成される。各ノズルは、他のノズルとは異なる試薬の構成要素を沈着する場合もある。いくつかの例では、各ノズルは、基質の1つ以上の機構を覆うように、液滴を沈着する。いくつかの実施形態では、1つ以上のノズルが曲げられている。いくつかの実施形態では、多数の沈着デバイスが、スループットの倍増を達成すべく並べて積み重ねられる。ある場合には、増加は2x、4x、8x、またはより多い。沈着デバイスの一例は、Samba Printhead(Fujifilm)である。Samba Printheadは、Samba Web Administration Tool(SWAT)と共に使用されてもよい。
【0089】
沈着部位の数は、特定の度またはサーベル角度(saber angle)で、同じ沈着デバイスを使用し回転させることにより増加する場合もある。沈着デバイスを回転させることによって、各ノズルは、サーベル角度に対応する特定の遅延時間で噴出する。このような同期していない噴出は、ノズル間にクロストークを作り出す。したがって、液滴が0度とは異なる特定のサーベル角度で噴出される場合、ノズルからの液滴量は異なるであろう。
【0090】
いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成システムの構成は、オープンリール式プロセスでの移動に基質の柔軟性を利用する連続的なポリヌクレオチド合成プロセスを可能にする。この合成プロセスは、基質の位置を回転させるために1つ以上のリールを使用して、基質をポリヌクレオチド合成の様々な段階に通す、基質の一貫生産ライン方式で行われる。典型的な実施形態では、ポリヌクレオチド合成反応は、ホスホラミダイト沈着用の沈着デバイス下で溶媒浴を介して、酸化剤浴を介して、アセトニトリル洗浄浴を介して、およびデブロック浴を介して、基質をロールする工程を含む。随意に、テープもまた、キャッピング浴を通過する。オープンリール式プロセスは、巻き取りリールに容易に集めることができる合成ポリヌクレオチドを含む基質の最終製品を可能にし、それはさらなる処理または保存のために輸送することができる。
【0091】
いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成は、連続的な柔らかいテープがコンベヤベルトシステム伝いに運ばれるにつれて、連続プロセスで進む。オープンリール式プロセスと同様に、連続テープでのポリヌクレオチド合成は、生産ライン方式で行われ、基質は運搬の間にポリヌクレオチド合成の様々な段階を経る。しかしながら、コンベヤベルトプロセスでは、オープンリール式プロセスでのように、ロールされるかどうかに関わらず連続テープは再度ポリヌクレオチド合成工程を経る。いくつかの構成では、ポリヌクレオチド合成工程はゾーンに分割され、および連続テープは、サイクル内で1回以上、各ゾーンを通って運ばれる。例えば、ポリヌクレオチド合成反応は、(1)サイクル内で、溶媒浴を介して、ホスホラミダイト沈着用の沈着デバイスの下で、酸化剤浴を介して、アセトニトリル水洗浴を介して、および遮断浴を介して、基質を運ぶ工程:次に(2)あらかじめ決定された長さの合成ポリヌクレオチドを達成するためにサイクルを繰り返す工程、を含んでもよい。ポリヌクレオチド合成の後、柔らかい基質をコンベヤベルトシステムから取り出し、随意に保存のためにロール化する。ロール化は、保存のためにリールに巻くことでもよい。
【0092】
典型的な配置では、熱可塑性材料を含む柔らかい基質は、ヌクレオシドカップリング試薬でコーティングされる。コーティングは、各座の直径が約10umであり、2つの隣接する座の間の中心間の距離が約21umであるように、座へとパターン化される。この例では、座のサイズは、ポリヌクレオチド合成沈着工程中に、0.2plの液滴量を収容するのに十分である。ある場合には、座の密度は、1mあたり22億の座である(1座/441×10−12)。ある場合には、4.5mの基質は約10億の座を含み、各々が10umの直径である。
【0093】
本明細書で記載される材料沈着デバイスは、約2,048のノズルを含んでもよく、その各々は、1滴あたり1核酸塩基で、毎秒約100,000の液滴を沈着する。各沈着デバイスごとに、1日当たり少なくとも約1.75×1013の核酸塩基が基質上に沈着される。いくつかの例では、100〜500の核酸塩基ポリヌクレオチドが合成される。ある場合には、200の核酸塩基ポリヌクレオチドが合成される。随意に、3日間にわたり、1日当たり1.75×1013塩基の比率で、少なくとも約262.5×10ポリヌクレオチドが合成される。
【0094】
いくつかの構成では、合成反応中の基質への1つ以上の試薬の適用のためのデバイスは、ヌクレオシドホスホラミダイトに基づく合成のために、試薬および/またはヌクレオチドモノマーを沈着するように構成される。ポリヌクレオチド合成用の試薬は、ポリヌクレオチドの伸張のための試薬と洗浄緩衝液を含む。非限定的な例として、デバイスは、洗浄試薬、カップリング試薬、キャッピング試薬、酸化剤、デブロッキング剤、アセトニトリル、窒素ガス等のガス、およびそれらの任意の組み合わせを沈着する。加えて、デバイスは随意に、基質の完全性の調製および/または保全のための試薬を沈着する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドシンセサイザは、約1000、500、100、50、または20pl未満の量で、直径が約200um、100umまたは50um未満の滴りを沈着する。いくつかの場合には、ポリヌクレオチドシンセサイザは、1秒あたり約1から10000、1から5000、100から5000、または1000から5000の液滴を沈着する。
【0095】
いくつかの配置では、ポリヌクレオチド合成中に、基質はフローセル内に配置され、および/または密封される。フローセルは、基質内の反応に必要な試薬、例えば酸化剤および/または溶媒を含むもの等の液体の連続的または非連続的な流れを提供し得る。フローセルは、典型的には揮発性基質の蒸発を強化することで基質を乾燥させるために、窒素等のガスの連続的または非連続的な流れを提供してもよい。様々な補助デバイスが、乾燥を向上させ、および基質の面上の残りの水分を減らすのに有用である。そのような補助乾燥デバイスの例として、限定されないが、真空ソース、減圧ポンプ、および真空タンクがあげられる。ある場合には、ポリヌクレオチド合成システムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または20等の1つ以上のフローセル、および、2、3、4、5、6、7、8、9、10または20等の1つ以上の基質を含む。ある場合には、フローセルは、合成反応中の1つ以上の工程の間、試薬を保持して基質に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、フローセルは、基質の上部の上でスライドする蓋を含み、および基質の端部のまわりにきつい圧力の封をするための場所にクランプされ得る。適切な封として、限定されないが、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の圧力雰囲気を許容する封があげられる。ある場合には、フローセルの蓋は、ポリヌクレオチドシンセサイザ等の適用デバイスへのアクセスを可能にするために開かれる。ある場合には、ポリヌクレオチド合成方法の1つ以上の工程は、基質の輸送なしに、フローセル内の基質上で行なわれる。
【0096】
いくつかの構成では、流体で基質を処理するためのデバイスは、スプレーバーを含む。ヌクレオチドモノマーが基質面上に適用されてもよく、次にスプレーバーが、スプレーバーのスプレーノズルを使用して1つ以上の処理試薬を基質面に吹きかける。いくつかの構成では、スプレーノズルは、ポリヌクレオチド合成中に種々の処理工程と相関するように連続して順序づけられる。異なる処理工程に使用される化学物質は、合成方法における、または合成方法の工程間での変化に容易に適用するように、スプレーバーにおいて変化させられ得る。いくつかの実施形態では、基質がスプレーバーを通り越すにつれて、スプレーバーは、基質の面上の任意の化学作用を連続的に噴霧する。いくつかの場合には、スプレーバーは、ちょうどスプリンクラーで使用されるように、基質の広範囲にわたって沈着を行う。いくつかの実施形態では、スプレーバーノズルは、基質の任意の領域に処理物質を均一にコーティングするように位置づけられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド合成システムは、合成ポリヌクレオチドの下流のプロセシングのために有用な1つ以上の要素を含む。例として、システムは、熱循環デバイス等の温度制御要素を含む。いくつかの実施形態では、PCA等の核酸アセンブリおよび/またはPCR等の核酸増幅を行なうために、温度制御要素は、複数の分解されたリアクターと共に使用される。
【0098】
<新規ポリヌクレオチド合成>
【0099】
本明細書において提供されるのは、短期間に基質上で高品質のポリヌクレオチドを合成するためのシステムと方法である。いくつかの例では、基質は柔らかい基質である。いくつかの例では、少なくとも約1010、1011の、1012、1013、1014、または1015の塩基が1日で合成される。いくつかの例では、少なくとも約10×10、10×10、10×1010、10×1011、または10×1012のポリヌクレオチドが1日で合成される。ある場合には、合成された各ポリヌクレオチドは、少なくとも約20、50、100、200、300、400または500核酸塩基を含む。ある場合には、これらの塩基は、100分の1;200分の1;300分の1;400分の1;500分の1;1000分の1;2000分の1;5,000分の1;10,000分の1;15,000分の1;20,000分の1の塩基未満の合計平均値エラー率で合成される。いくつかの例では、これらのエラー率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、またはより多くの合成されたポリヌクレオチドに関するものである。いくつかの例では、これらの少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%、またはより多くの合成されたポリヌクレオチドは、それがコードするあらかじめ決定された配列とは異ならない。いくつかの例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドに関するエラー率は、約200分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドに関するエラー率は、約1000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドに関するエラー率は、約2000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドに関するエラー率は、約3000分の1未満である。いくつかの例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用した基質上の合成ポリヌクレオチドに関するエラー率は、約5000分の1未満である。個々のタイプのエラー率は、基質上で合成されたポリヌクレオチドに関するミスマッチ、欠失、挿入、基質、および/または置換を含む。用語「エラー率」は、あらかじめ決定されたポリヌクレオチド配列の集合との、合成ポリヌクレオチドの集合量の比較を指す。いくつかの例では、本明細書に開示される合成ポリヌクレオチドは、12〜25塩基のテザーを含む。いくつかの実施形態では、テザーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはより多くの塩基を含む。
【0100】
本開示の基質上のポリヌクレオチド合成に適した方法は、ホスホラミダイトの構成要素と基質に結合したヌクレオシドとの間の亜リン酸塩トリエステル結合を形成するカップリング工程において、成長しているポリヌクレオチド鎖への、ホスホラミダイトの構成要素、すなわちヌクレオシドホスホラミダイトの制御された付加を含むホスホラミダイト法である。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、活性化された基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、活性化因子を伴う基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、基質結合ヌクレオシドよりも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100倍、またはそれ以上の過剰量で、基質に提供される。いくつかの例では、ヌクレオシドホスホラミダイトの追加は、無水環境において、例えば、無水アセトニトリルにおいて行われる。カップリング工程でのヌクレオシドホスホラミダイトの付加と結合に続いて、基質は随意に洗浄される。いくつかの実施形態では、カップリング工程は、基質へのヌクレオシドホスホラミダイトの追加の間に随意の洗浄工程を用いて、追加で1回以上繰り返される。いくつかの例では、本明細書で使用されるポリヌクレオチド合成法は、1、2、3、またはより多くの連続したカップリング工程を含む。カップリング前に、多くの場合では、基質に結合されたヌクレオシドは、保護基の除去によって脱保護され、保護基は重合を防ぐために機能する。一般的な保護基は、4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)である。
【0101】
カップリングに続いて、ホスホラミダイトポリヌクレオチド合成法は、随意にキャッピング工程を含む。キャッピング工程では、成長しているポリヌクレオチドはキャッピング剤で処理される。キャッピング工程は一般的に、さらなる鎖伸長からカップリング後に未反応の基質に結合した5’−OH基を遮断するのに有用であり、これによって、内部塩基欠失(internal base deletions)を有するポリヌクレオチドの形成を防ぐ。さらに、1H−テトラゾールで活性化されたホスホラミダイトは、しばしば少しだけ、グアノシンのO6位置と反応する。理論に縛られることなく、I2/水での酸化に際して、この副産物は、恐らくO6−N7遊走を介して、脱プリン化を受ける。プリン塩基のない部位は、オリゴヌクレオチドの最終的な脱保護の過程で最終的に切断されてもよく、したがって完全長の生成部の収率が低下する。O6修飾は、I2/水での酸化前にキャッピング試薬による処理によって除去され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド合成の間にキャッピング工程を含めることで、キャッピングなしでの合成と比較して、エラー率は低下する。一例として、キャッピング工程は、無水酢酸と1−メチルイミダゾールとの混合物で基質に結合したポリヌクレオチドを処理することを含む。キャッピング工程に続いて、基質は随意に洗浄される。
【0102】
ヌクレオシドホスホラミダイトの付加後、および随意にキャッピングと1つ以上の洗浄工程後に、成長している核酸に結合した基質が酸化され得る。酸化工程は、亜リン酸塩トリエステルを、自然発生のリン酸ジエステルのヌクレオシド結合の保護された前駆体である、四配位リン酸トリエステルへと酸化することを含む。いくつかの例では、成長しているポリヌクレオチドの酸化は、ヨウ素および水による処理によって、随意にピリジン、ルチジン、またはコリジン等の弱塩基の存在下で達成される。酸化は時には、tert−ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)−(+)−(10−カンファースルホニル)−オキサジリジン(CSO)を使用して、無水条件下で実行される。いくつかの方法では、キャッピング工程は、酸化に続いて行われる。持続し得る酸化からの残留水が続くカップリングを阻害できるため、第2のキャッピング工程は基質の乾燥を可能にする。酸化の後に、基質および成長しているポリヌクレオチドは、随意に洗浄される。いくつかの実施形態では、酸化の工程は、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを得る硫化工程と置き換えられ、ここでキャッピング工程は硫化後に実行され得る。限定されないが、3−(ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン、DDTT、Beaucage試薬としても知られる3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド、およびN,N,N’N’テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)を含む多くの試薬により、効率的な硫黄移動が可能である。
【0103】
カップリングを通じて続くヌクレオシド取り込みサイクルを生じさせるために、基質に結合した成長しているポリヌクレオチドの保護された5’末端は除去されなければならず、その結果、一次ヒドロキシル基は次のヌクレオシドホスホラミダイトと反応することができる。いくつかの例では、保護基はDMTであり、ジクロロメタン中でトリクロロ酢酸によりデブロッキングが生じる。時間を延長して、または推奨されるよりも強い酸の溶液を用いて脱トリチル化を行うことは、個体支持体に結合したオリゴヌクレオチドの脱プリン化の増大につながる場合もあり、したがって望ましい完全長の生成物の収率は低下する。本明細書に記載される方法と組成物は、望ましくない脱プリン化反応を制限する制御されたデブロッキング条件を提供する。いくつかの例では、基質に結合したポリヌクレオチドは、デブロッキング後に洗浄される。いくつかの場合には、デブロッキング後の効率的な洗浄は、低いエラー率を有する合成ポリヌクレオチドに寄与する。
【0104】
本明細書に記載される基質上のポリヌクレオチド合成のための方法は、典型的に、以下の工程の反復配列を含む:面、リンカー、または事前に脱保護されたモノマーのいずれかと連結させるために、保護モノマーを基質機構の面に適用する工程;続いて適用される保護モノマーと反応できるように、適用されたモノマーを脱保護する工程;および、連結のための別の保護モノマーを適用する工程。1つ以上の中間工程は、酸化および/または硫化を含む。いくつかの例では、1つ以上の洗浄工程は、工程の1つまたはすべての前または後に行われる。
【0105】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは感光性の保護基で合成され、面上で生成された水酸基は、感光性の保護基によって遮断される。面がフォトリソグラフィマスク等を介してUV光に曝されると、面上の遊離した水酸基のパターンが生成され得る。これらの水酸基は、ホスホラミダイトの化学的性質に従い、光防護されたヌクレオシドホスホラミダイトと反応することができる。第2のフォトリソグラフィマスクを適用することも可能であり、面がUV光に曝されて水酸基の第2のパターンを生成し、その後に5’−光防護ヌクレオシドホスホラミダイトとカップリングする。同様に、パターンを生成することができ、およびオリゴマー鎖を伸長させることができる。理論に縛られることなく、光切断可能な基の不安定性は、使用される溶媒の波長と極性により左右され、および光切断の速度は、暴露期間と光の強度に影響され得る。この方法は、マスクの整列の精度、光防護基の除去の効率、およびホスホラミダイトカップリング工程の収率等の、多くの因子にてこ入れすることができる。さらに、隣接部位への意図しない光の漏出を最小限にすることができる。1スポット当たりの合成オリゴマーの密度は、合成面上で先頭のヌクレオシドの充填を調節することによりモニタリングすることができる。
【0106】
ポリヌクレオチド合成に支持を提供する基質の面は、合成ポリヌクレオチド鎖が面から切断され得るように化学的に修飾されてもよい。いくつかの例では、ポリヌクレオチドが脱保護されると同時に、ポリヌクレオチド鎖は切断される。ある場合には、ポリヌクレオチドが脱保護された後に、ポリヌクレオチド鎖が切断される。典型的なスキームでは、(CH3CH2O)3Si−(CH2)2−NH2等のトリアルコキシシリルアミンは、基質のSiOH基の面と反応し、続いて無水コハク酸とアミンと反応して、アミド結合および遊離したOHを生成し、そこで核酸鎖の成長が支持される。切断は、アンモニアまたはメチルアミンによるガス切断を含む。いくつかの例では、一旦、面から放出されると、ポリヌクレオチドは、保存された情報を抽出するために配列されて解読されるより大きな核酸へとアセンブルされる。
【0107】
<アセンブリ>
【0108】
ポリヌクレオチドは、情報を符号化するあらかじめ決定された配列の大きな領域に総体として及ぶように設計され得る。いくつかの例では、より大きなポリヌクレオチドが、合成ポリヌクレオチドを結合するためのライゲーション反応により生成される。ライゲーション反応の1つの例は、ポリメラーゼ鎖アセンブリ(PCA)である。いくつかの例では、ポリヌクレオチドの少なくとも一部が、ユニバーサルなプライマー結合用の基質である、添付された領域を含むように設計されている。PCA反応については、あらかじめ合成されたポリヌクレオチドは、互いとの重複(例えば、重複配列を伴う4、20、40、またはより多くの塩基)を含む。ポリメラーゼサイクル中に、ポリヌクレオチドは相補的なフラグメントにアニール化され、次にポリメラーゼによって満たされる。各サイクルはこのように、ポリヌクレオチドが互いを発見するかどうかに依存して、無作為に様々なフラグメントの長さを増加させる。フラグメント間の相補性は、二本鎖DNAの完全で大きなスパンを形成することを可能にする。ある場合には、PCA反応の完了後に、配列内のミスマッチを取り除くために、ミスマッチ修復検出酵素を使用してエラー修正工程が行われる。一旦、標的配列のより大きなフラグメントが生成されると、それらは増幅可能である。例えば、いくつかの例では、5’および3’末端アダプタ配列を含む標的配列は、アダプタ配列にハイブリダイズする修飾されたプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅される。ある場合には、修飾されたプライマーは1つ以上のウラシル塩基を含む。修飾されたプライマーの使用は、フラグメントから修飾された塩基対を切断する酵素によって残された、修飾された塩基および/または間隙の標的化に集中した酵素反応を通じたプライマーの除去を可能にする。残るのは、アダプタ配列の残りを欠く二本鎖の増幅産物である。このように、多数の増幅産物は、二本鎖DNAの異なるフラグメントを生成するためにプライマーの同じセットと平行して生成され得る。
【0109】
エラー修正は、合成ポリヌクレオチドおよび/またはアセンブリ生成物上で行なわれてもよい。エラー修正のための例となる方略は、エラーを修正するために伸張PCRをオーバーラップさせることによる特定部位の突然変異誘発を含み、それは随意に、2以上のクローニングと配列決定に結び付けられる。特定の実施形態では、ミスマッチ、膨張と小さなループ、化学的に変質した塩基および/または他のヘテロ二本鎖を伴う二本鎖核酸は、正確に合成された核酸の集団から選択的に除去される。いくつかの実施形態では、エラー修正は、一本鎖または二本鎖切断を生み出すために、または鎖転位事象を開始するために、二本鎖核酸内のミスマッチ塩基または不対塩基を認識し結合する、またはそれに隣接するタンパク質/酵素を使用して行なわれる。エラー修正用タンパク質/酵素の非限定的な例として、エンドヌクレアーゼ(T7エンドヌクレアーゼI、大腸菌エンドヌクレアーゼV、T4エンドヌクレアーゼVII、緑豆ヌクレアーゼ、細胞、大腸菌エンドヌクレアーゼIV、UVDE)、制限酵素、グリコシラーゼ、リボヌクレアーゼ、ミスマッチ修復酵素、リゾルバーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、ミスマッチに特異的な抗体、およびそれらの変異体があげられる。具体的なエラー修正酵素の例として、T4エンドヌクレアーゼ7、T7エンドヌクレアーゼ1、S1、緑豆エンドヌクレアーゼ、MutY、MutS、MutH、MutL、クリベース、CELIおよびHINF1があげられる。ある場合には、DNAミスマッチ結合タンパク質MutS(テルムス・アクウァーティクス)を使用して、合成された生成物の集団から欠陥のある生成物を取り除く。いくつかの実施形態では、エラー修正は、酵素Correctaseを使用して行なわれる。ある場合には、エラー修正は、SURVEYORエンドヌクレアーゼ(Transgenomic)、既知および未知の突然変異をスキャンするミスマッチ特異的なDNAエンドヌクレアーゼ、およびヘテロニ本鎖DNAの多型を使用して行なわれる。
【0110】
<放出、抽出およびアセンブリ>
【0111】
本明細書において提供されるのは、複製可能な情報記憶のための方法とデバイスである。いくつかの例では、同じコード領域、ポリヌクレオチド、同じクラスタ、ポリヌクレオチドを含む構造の同じ部分、またはポリヌクレオチドを含む構造全体の複数のコピーが合成される。同じポリヌクレオチドの複数のコピーが合成される場合、ポリヌクレオチドの各々は、面の別個の領域に付けられてもよい。別個の領域は、破壊または切断によって分離されてもよい。代替的に、ポリヌクレオチドの各々は、スポット、ウェル、またはチャネルの形態の座に存在してもよく、および個々にアクセス可能である。例えば、切断試薬、次に水に座を接触させることで、ポリヌクレオチドの1つのコピーを自由にし、一方で他のコピーはそのままにしておく。同様に、全領域または全プレートに及ぶポリヌクレオチドの切断は、複製集団のフラクションへのアクセスを可能にする。複製集団は、別個のリール、プレート、ベルト等に存在する場合もある。テープ等の可撓性材料の場合、複製領域は切断されてもよく、およびテープの残りの領域はスプライシングされて元通りにされてもよい。代替的に、合成され保存されたポリヌクレオチドの核酸情報は、プライマーとDNAポリメラーゼを使用して、構造の面に付けられたポリヌクレオチドの増幅を行なうことにより、取得されてもよい。
【0112】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドを構造から受信ユニットに転写するために、水性またはガスの転写媒体を構造内の1つ以上のチャネル上に沈着させる。例えば、転写媒体は、構造内のチャネルを通過して、付着し、構造内のチャネルからポリヌクレオチドを回収して転写し、ユニットを受信し得る。いくつかの例では、構造内のチャネルへと、またはそれを通して、転写媒体を引き付ける、または退けるために、荷伝導機構および印加電圧が使用される。いくつかの例では、転写媒体を構造内のチャネルの中へと向ける、またはそれに通すために、スリップが使用される。ある場合には、転写媒体を構造内のチャネルの中へと向ける、またはそれに通すために、圧力解放が使用される。ある場合には、ノズルは、転写媒体を構造内のチャネルの中に入れる、またはそれに通す高圧の局所領域を形成するために使用される。いくつかの例では、ピンは、構造内のチャネルから容器、受信ユニットへとポリヌクレオチドを転写するために使用される。そのような例では、ピンは、転写媒体の接着を促進するための因子を含んでもよい。ある場合には、荷伝導機構は、導電性機構と構造との間に電位を形成することによって、構造内のチャネルへと、またはそれを通して転写媒体を引き付ける、または退けるために利用される。ある場合には、ピペットチップ、または構造を誘導する他の毛管流を使用して、毛管流を介して流体とポリヌクレオチドを転写する。いくつかの例では、容器は1つ以上の区画を含み、その各々が、転写媒体の一部、およびその中にある、単一の各チャネルから排出された1つ以上のポリヌクレオチドを受け入れる。いくつかの例では、容器は、各々がその中に、1つ以上の構造チャネルから排出された1つ以上のポリヌクレオチドを含む、転写媒体の1つ以上の部分を受け入れる単一の区画を含む。
【0113】
図14Aと14Bを参照すると、ポリヌクレオチド(1417)は、ポリヌクレオチド(1417)に付着する、水性またはガスの転写媒体(1419)の沈着を通じて構造(1405)内のチャネル(1415)から転写され、および1つ以上の相互に連結した導電性プレート(1420)と電力ユニット(1422)は、転写媒体(1419)をそれぞれ1つ以上のチャネルに配向する。この配置では、一連の1つ以上の相互に連結した導電性プレート(1420)は各々が、それぞれのチャネル(1415)の近位端の上に位置付けられ、かつそれを囲み、および相互に連結した導電性プレート(1420)と構造(1405)の間の電力ユニット(1422)によって与えられた電位は、1つ以上のチャネル(1415)の近位開口部に転写媒体(1419)を引きつける。そのため、この例において、1つ以上のチャネル(1415)の近位開口部に転写媒体(1419)を引きつける典型的な方法は、構造(1405)のメインチャンネル(1410)に転写媒体(1419)を沈着する工程、および電力ユニット(1422)を介して、相互に連結した導電性プレート(1420)と構造(1405)との間に電位を適用する工程、を含む。さらにこの場合、転写媒体(1419)は、構造(1405)およびチャネル(1415)を通過するにつれ、静電場または磁場、または電力ユニット(1422)によって生成された電位差に反応する正電荷または負電荷を含み得る。付加的に、1つ以上の導電性プレート(1420)と構造(1405)の帯電性は、構造内のチャネル(1415)を通じて転写媒体(1419)内のポリヌクレオチド(1417)の転写を最適化するために調整することができる。最後に、非導電性セパレータは、静電場または磁場、またはそこで形成される電位差を調整または最適化するために、構造(1405)と1つ以上の導電性プレート(1420)との間に配置されてもよい。さらに、この事例は付加的に、より効率的に転写媒体(1419)をチャネル(1415)内に配向するために、メインチャンネル(1410)の1つ以上の面、または相互に連結した導電性プレート(1420)上の親水性または疎水性の構造を使用してもよい。
【0114】
図15Aと15Bを参照すると、ポリヌクレオチド(1517)は、1つ以上のポリヌクレオチド(1517)に付着する、水性またはガスの転写媒体(1519)の沈着を通じて、構造(1505)内のチャネル(1515)から転写され、および転写媒体(1519)は、1つ以上の導電性シート(1524)および電力ユニット(1522)によって1つ以上のチャネル(1515)を介して引きつけられる。この配置では、チャネル(1515)の遠位端の下でそれを取り囲む導電性シート(1524)、および電力ユニット(1522)は、チャネル(1515)の近位開口部から(図15A参照)、そのチャネル(1515)の遠位開口部へと(図15B参照)、転写媒体(1519)を引き付けるために使用される。そのため、この例において、チャネル(1515)の遠位開口部に転写媒体(1519)を引きつける典型的な方法は、電力ユニット(1522)を通じて、導電性シート(1524)と構造(1505)との間に電位を適用する工程を含む。さらにこの場合、転写媒体(2019)は、構造(2005)およびシート(2024)を通過するにつれ、静電場または磁場、電力ユニット(2022)によって生成された電位差に反応する正電荷または負電荷を含み得る。付加的に、1つ以上の導電性シート(1524)と構造(1505)の帯電性は、構造(1505)内のチャネル(1515)を通じて転写媒体(1519)のポリヌクレオチド(1517)の転写を最適化するために調整することができる。非導電性セパレータは、静電場または磁場、またはそこで形成される電位差を調整または最適化するために、構造(1505)と1つ以上の導電性シート(1524)との間に配置されてもよい。
【0115】
図16Aと16Bを参照すると、ポリヌクレオチド(1617)は、ポリヌクレオチド(1617)に付着する水性またはガスの転写媒体(1619)の沈着を通じて、構造(1605)内のチャネル(1615)から転写され、およびスリップ(1630)は、静止しているプレート構造(1605)または動いている非連続的な柔らかい構造の面と平面接触し、およびそれらに対して鋭い迎角(1632)で位置づけられており、構造のチャネル内に転写媒体を配向するために使用される。この配置では、スリップ(1630)は、1つ以上のチャネル(1615)の近位開口部(図16A参照)から、各チャネル(1615)の遠位開口部へと(図16B参照)、転写媒体(1619)を配向するために使用される。そのため、この例における、1つ以上のチャネル(1615)を通じて転写媒体(1619)を配向する典型的な方法は、構造(1605)に対して1つ以上のスリップ(1630)を変換または回転させる工程、を含む。これらの例では、鋭い迎角(1632)は、約10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、または約80°に等しい場合もある。ある場合には、単一のスリップ(1630)または1つ以上のスリップ(1630)の固いアセンブリは、1つ以上のチャネル(1615)を通じて転写媒体(1619)を配向するために使用される。ある場合には、スリップ(1630)と構造(1605)の間の相対速度は、約1センチメートル/秒以内である。ある場合には、スリップ(1630)と構造(1605)の間の相対速度は、1センチメートル/秒を超える。ある場合には、構造(1605)に対するスリップ(1630)の相対的な角運動速度は、約1回転/秒以内である。ある場合には、スリップ(1630)と構造(1605)の間の相対的な角運動速度は、1回転/秒を超える。ある場合には、スリップ(1630)は、部分的にチャネル(1615)に入るように歪めることができる。最後に、この例では、スリップ(1630)は、プラスチック、ゴム、木材、金属、ガラス、繊維ガラス、炭素繊維、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の防水材料から構成されてもよい。
【0116】
ポリヌクレオチド(1717)に付着する水性またはガスの転写媒体(1719)の沈着を通じて、ポリヌクレオチド(1717)が構造(1705)内のチャネル(1715)から転写される場合、およびガスまたは流体内の適用された圧力(1740)と、圧力解放(1742)が、構造(1705)内のチャネル(1715)に転写媒体(1719)を通すのに使用される場合が、図17Aと17Bに示される。この例では、圧力解放(1742)は、適用された圧力(1740)を遮断し、したがって図17Aを参照すると、チャネル(1715)の遠位端と圧力解放(1742)の近位面との間に圧力を形成し、図17Bを参照すると、圧力解放(1742)の開口部によって解放された時に、転写媒体(1719)をチャネルに通す。ある場合には、単一の圧力解放(1742)は、一度に転写媒体(1719)を1つ以上のチャネル(1715)に通すように配向するのに使用される。そのため、この例において、チャネル(1715)を通して転写媒体(1719)を配向する典型的な方法は、ガスまたは流体内に適用された圧力(1740)を形成する工程、および構造(1705)に対して圧力解放(1742)を変換または回転させる工程を含む。ある場合には、1つ以上の圧力解放(1742)と構造(705)との間の相対速度は、約1センチメートル/秒以内である。ある場合には、1つ以上の圧力解放(1742)と構造(1705)との間の相対速度は、1センチメートル/秒より大きい。いくつかの構成では、1つ以上の圧力解放(1742)と構造(1705)との間の相対回転速度は、約1回転/秒以内である。ある場合には、1つ以上の圧力解放(1742)と構造(1705)との間の相対回転速度は、1回転/秒より大きい。いくつかの例では、適用された圧力(1740)によって生み出された、構造(1705)を取り巻くガスまたは流体内の圧力差は、1atmより少ない。いくつかの例では、適用された圧力(1740)によって生み出された、構造(1705)を取り巻くガスまたは流体内の圧力差は、1atmを超える。
【0117】
図18を参照すると、ポリヌクレオチド(1817)は、ポリヌクレオチド(1817)に付着する水性またはガスの転写媒体(1819)の沈着を介して、移動する非連続的な柔らかい構造(1807)内のチャネル(1815)から転写され、およびノズル(1844)と適用された圧力(1840)は、構造(1807)内のチャネル(1815)に転写媒体(1819)を押し込むために使用される。そのため、この例における、チャネル(1815)を通じて転写媒体(1819)を配向する典型的な方法は、チャネル(1815)がノズル(1844)の下に整列するように連続的な柔らかい構造(1807)をローラー(1803)のまわりで変換する工程、およびチャネル(1815)の方へと適用された圧力(1840)を配向するためにノズル(1844)を誘導する工程を含む。いくつかの例では、ノズル(1844)によって与えられた構造(1807)を取り巻くガスまたは流体内の圧力差は、1atmより少ない。いくつかの例では、ノズル(1844)によって与えられた構造(1807)を取り巻くガスまたは流体内の圧力差は、1atmを超える。
【0118】
図19Aおよび19Bを参照すると、ポリヌクレオチド(1917)は、水性またはガスの転写媒体(1919)の沈着により、構造(1905)内のチャネル(1915)から転写され、および構造(1905)内のチャネル(1915)から転写媒体(1919)を取り出すために、ピン(1950)は転写媒体(1919)に付着し、中にあるポリヌクレオチド(1917)が図19Aと19Bに示される。この例では、ピン(1950)は、転写媒体(1919)に接触してそれを引きつけ、図19Aを参照すると、ピン(1950)に対する転写媒体(1919)の引力は、チャネル(1915)の遠位端に対する転写媒体(1919)の引力よりも大きく、およびピン(1950)と構造(1905)の間の相対的な垂直運動は、図19Bを参照すると、構造(1905)から転写媒体(1919)を転位させる。そのような例では、ピン(1950)は、親水性またはガスに親和性のある構造またはコーティング、または結合のための化学コーティングを含む転写媒体の接着を促進するための機能を含み得る。いくつかの例では、ピン(1950)は、金属、プラスチック、ゴム、炭素繊維、木材、繊維ガラス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、任意の固い物質で構成される。他の例では、ピン(1950)は、電荷、静電荷、磁荷、または転写媒体(1919)を引きつけるための場を伝導することができる伝導性材料で構成される。ある場合には、ピン(1950)と構造(1905)の間の相対速度は、約1センチメートル/秒以内である。ある場合には、ピン(1950)と構造(1905)の間の相対速度は、1センチメートル/秒を超える。
【0119】
図20Aと20Bを参照すると、ポリヌクレオチド(2017)は、水性またはガスの転写媒体(2019)の沈着を通じて構造(2005)内のチャネル(2015)から転写され、および転写媒体(2019)は、電力ユニット(2022)から導電性シート(2024)に適用された電圧によって、構造(2005)内のチャネルから受信ユニット(2060)まで退けられる。この例では、チャネル(2015)の遠位端の下でそれを取り囲む導電性シート(2024)、および電力ユニット(2022)は、チャネル(2015)の遠位開口部から(図20A参照)、受信ユニット(2060)へと(図20B参照)、転写媒体(2019)を退けるために使用される。そのため、この例において、1つ以上のチャネル(2015)の遠位開口部から転写媒体(2019)を退ける典型的な方法は、電力ユニット(2022)を通じて、1つ以上の導電性シート(2024)と構造(2005)の間に電位を適用する工程を含む。さらにこの場合、転写媒体(2019)は、構造(2005)およびシート(2024)を通過するにつれ、静電場または磁場、電力ユニット(2022)によって生成された電位差に反応する正電荷または負電荷を含み得る。付加的に、1枚以上の導電性シート(2024)と構造(2005)の帯電性は、構造内のチャネル(2015)を通じて転写媒体(2019)内のポリヌクレオチド(2017)の転写を最適化するために調整することができる。最後に、静電場または磁場、またはそこで形成される電位差を調整または最適化するために、非導電性セパレータを構造(2005)と導電性シート(2024)の間に配置してもよい。
【0120】
いくつかの構成では、チャネルに、またはチャネルから転写媒体を引きつけるための手段の組み合わせは、限定されないが以下を含む流体またはガスの転写メカニズムを使用する:層状の圧力、毛細血管圧、すべり流圧、磁力、静電力、ぜん動力、音波、震動力、向心力、遠心力、またはそれらの任意の組み合わせ。
【0121】
いくつかの例において、例えば図21を参照すると、受信ユニット(2160)は、2つ以上の区画(2162a)(2162b)を含み、各区画(2162a)(2162b)は、ポリヌクレオチド(2117)を含むガスまたは流体の転写媒体(2119)の単一の各部分を受信し、かつ一時的に保存することができる。他の配置では、例えば図22を参照すると、受信ユニット(2260)は、ポリヌクレオチド(2217)を含むガスまたは流体の転写媒体(2219)の1つ以上の部分を受信し、かつ一時的に保存することができる一つの区画(2262)を有する。
【0122】
<配列>
【0123】
構造の面からポリヌクレオチドを抽出および/または増幅した後、適切な配列決定技術を使用してポリヌクレオチドを配列してもよい。ある場合には、DNA塩基配列が、基質上または構造の機構内で読み取られる。ある場合には、基質に保存されたポリヌクレオチドが抽出され、より長い核酸へと随意にアセンブルされ、その後に配列される。
【0124】
本明細書に記載される構造上で合成され、かつ保存されたポリヌクレオチドは、合成されたポリヌクレオチドの配列を読み取り、そしてその配列を読取り可能な二進コードにコンピュータで変換することによって解釈することができる。ある場合には、配列はアセンブリを必要とし、およびアセンブリ工程は、核酸配列ステージまたはデジタル配列ステージにある必要がある場合もある。
【0125】
本明細書において提供される検出システムは、構造上で直接に、および/または主構造からの取り出し後に、保存されたポリヌクレオチドを配列することができるデバイスを含む。構造が可撓性材料のオープンリール式テープである場合、検出システムは、構造を保持して検知位置を通して前進させるためのデバイスと、テープのある部分が検出位置にある場合にそこから発生した信号を検出するための、検出位置の近位に配された検出器を含む。いくつかの例では、信号はポリヌクレオチドの存在を示す。いくつかの実施形態では、信号はポリヌクレオチド(例えば蛍光性の信号)の配列を示す。いくつかの例では、連続テープのポリヌクレオチド内にコードされた情報は、テープがコンピュータに動作可能に接続された検出器によって連続的に送られるように、コンピュータによって読み取られる。いくつかの例では、検出器は、ポリヌクレオチド配列デバイス、ポリヌクレオチド配列に関するデータの記憶と検索用のデータベース、ポリヌクレオチド配列のDNAコードを二進コードに変換するためのソフトウェア、二進コードを読み取るためのコンピュータ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、コンピュータシステムを含む。
【0126】
<コンピュータシステム>
様々な態様では、本明細書に記載されるシステムのいずれかが、コンピュータに動作可能に接続され、および随意に、ローカルまたは遠隔のいずれかでコンピュータを介して自動化される。様々な実施形態では、本発明の方法とシステムはさらに、コンピュータシステムのソフトウェアプログラムとその使用を含む。したがって、材料沈着デバイスの動き、分配動作、および真空発動の組織化と同期等の、分配/真空/再補充機能の同期のためのコンピュータ制御は、本発明の範囲内にある。いくつかの例では、コンピュータシステムは、ユーザーに特異的な塩基配列と、基質の所定領域に適正な試薬を送達するための材料沈着デバイスの位置をインターフェースで接続するようにプログラムされる。
【0127】
図23に例示されるコンピュータシステム(2300)は、固定媒体(1412)を有するサーバー(2309)に随意に接続され得る、媒体(2311)および/またはネットワークポート(2305)からの命令を読み取ることができる論理装置として理解され得る。図4に示されるシステムなどのシステムは、CPU(2301)、ディスクドライブ(2303)、キーボード(2315)および/またはマウス(2316)などの随意の入力デバイス、および随意のモニタ(2307)を含むことができる。データ通信は、示された通信媒体を通って、ローカル位置または遠隔位置のサーバーへと達成され得る。通信媒体は、データを送信および/または受信するあらゆる手段を含むことができる。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続またはインターネット接続であり得る。そのような接続は、ワールドワイドウェブを通じた通信を提供することができる。本開示に関連するデータは、当事者(2322)による受信および/またはレビューのためのそのようなネットワークまたは接続を介して送信され得ることが想定される。
【0128】
図24Bは、本発明の例となる実施形態に関して使用することができるコンピュータシステム(1500)の第1例であるアーキテクチャを例示するブロック図である。図5で示されるように、例となるコンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサ(2402)を含むことができる。プロセッサの非限定的なもの例として、以下があげられる:Intel Xeon(商標)プロセッサ、AMD Opteron(商標)プロセッサ、Samsung 32−bit RISC ARM 1176JZ(F)−S v1.0(商標)プロセッサ、ARM Cortex−A8 Samsung S5PC100(商標)プロセッサ、ARM Cortex−A8 Apple A4(商標)プロセッサ、Marvell PXA 930(商標)プロセッサ、または機能的に同等なプロセッサ。実行の多数のスレッドが、並列処理に使用され得る。いくつかの実施形態では、多数のプロセッサ、または多数のコアを備えたプロセッサはまた、単一コンピュータシステムにおいて、またはクラスタにおいて使用することができ、または複数のコンピュータ、携帯電話、および/またはパーソナルデータアシスタントデバイスを含むネットワークを通じてシステム全体に分配され得る。
【0129】
図24に例示されるように、プロセッサ(2402)によって最近使用された、または頻繁に使用される命令またはデータのための高速メモリを提供するために、高速キャッシュ(2404)がプロセッサ(2402)に接続され、または組み込まれ得る。プロセッサ(502)は、プロセッサバス(2408)によってノースブリッジ(2406)に接続される。ノースブリッジ(506)は、メモリバス(2412)によってランダムアクセスメモリ(RAM)(2410)に接続され、プロセッサ(2402)によってRAM(2410)に対するアクセスを管理する。ノースブリッジ(2406)はまた、チップセットバス(2416)によってサウスブリッジ(2414)に接続される。サウスブリッジ(2414)は、順に、周辺バス(2418)に接続される。周辺バスは、例えば、PCI、PCI−X、PCI Express、または他の周辺バスであり得る。ノースブリッジとサウスブリッジは、しばしばプロセッサチップセットと呼ばれ、プロセッサ、RAM、および周辺バス(2418)にある周辺コンポーネントの間のデータ転送を管理する。いくつかの代替的なアーキテクチャでは、ノースブリッジの機能性は、別個のノースブリッジチップを使用する代わりに、プロセッサに組み込むことができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、システム(2400)は、周辺バス(2418)に付けられたアクセラレータカード(2422)を含むことができる。アクセラレータは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定の処理を加速するための他のハードウェアを含むことができる。例えば、アクセラレータは、適応データの再構成のために、または拡張された設定処理に使用される代数式を評価するために使用され得る。
【0131】
ソフトウェアとデータは外部ストレージ(2424)に保存され、プロセッサによる使用のためにRAM(2410)および/またはキャッシュ(2404)にロードされ得る。システム(2400)は、システム資源を管理するためのオペレーティングシステムを含み、オペレーティングシステムの非限定的な例として以下があげられる:Linux、Windows(商標)、MACOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、および他の機能的に同等なオペレーティングシステム、および本発明の例となる実施形態に従ってデータの記憶と最適化を管理するためのオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションソフトウェア。
【0132】
この例において、システム(2400)はまた、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)、および分散並列処理に使用可能な他のコンピュータシステムなどの、外部ストレージにネットワークインターフェースを提供するための周辺バスに接続されたネットワークインターフェースカード(NIC)(2420)および(521)を含むことができる。
【0133】
図25は、複数のコンピュータシステム(602a)および(602b)、複数の携帯電話とパーソナルデータアシスタント(2002c)、およびネットワークアタッチトストレージ(NAS)(2504a)および(2504b)を備えるネットワーク(2500)を示す図である、例となる実施形態では、システム(2502a)、(2502b)および(2502c)は、データ記憶を管理し、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)(2504a)および(2504b)に保存されたデータのためのデータアクセスを最適化することができる。数学的モデルをデータに使用することができ、およびコンピュータシステム(2502a)と(2502b)、および携帯電話とパーソナルデータアシスタントシステム(2502c)にわたる分散並列処理を使用して評価することができる。コンピュータシステム(2502a)と(2502b)、および携帯電話とパーソナルデータアシスタントシステム(2502c)はまた、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)(2504a)および(2504b)に保存されたデータの適応データ再構成に並列処理を提供することができる。図25は単に一例を例示するものであり、種々様々な他のコンピュータアーキテクチャとシステムが、本発明の様々な実施形態と共に使用され得る。例えば、並列処理を提供するためにブレードサーバーを使用することができる。並列処理を提供するために、プロセッサブレードをバックプレーンを介して接続することができる。ストレージもまたバックプレーンに接続することができ、または別のネットワークインターフェースを介してネットワークアタッチトストレージ(NAS)として接続することができる。
【0134】
いくつかの例となる実施形態では、プロセッサは、別個のメモリ空間を維持することができ、ネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のプロセッサによる並列処理のための他のコネクタを介してデータを送信することができる。他の実施形態では、プロセッサのいくつかまたはすべては、共有の仮想アドレスメモリ空間を使用することができる。
【0135】
図26は、例となる実施形態に係る共有の仮想アドレスメモリ空間を使用するマルチプロセッサコンピュータシステム(2600)のブロック図である。システムは、共有メモリサブシステム(2604)にアクセス可能な複数のプロセッサ(2602a−f)を含む。システムは、複数のプログラム可能なハードウェアメモリアルゴリズムプロセッサ(MAP)(2602a−f)をメモリサブシステム(2604)に組み込む。各MAP(2606a−f)は、メモリ(2608a−f)と、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(2610a−f)を含むことができる。MAPは、設定可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズムまたはアルゴリズムの部分が、それぞれのプロセッサと密に協働した処理のためにFPGA(2610a−f)に提供され得る。例えば、MAPは、データモデルに関する代数式を評価するために、および例となる実施形態において適応データ再構成を実行するために、使用することができる。本実施例では、各MAPは、これらの目的のためにすべてのプロセッサによって地球規模でアクセス可能である。1つの構成では、各MAPは、関連するメモリ(2608a−f)にアクセスするためにダイレクトメモリアクセス(DMA)を使用することができ、これによって、それぞれのマイクロプロセッサ(2602a−f)から独立して、およびそれらとは非同期的にタスクを実行することができる。この構成では、MAPは、アルゴリズムのパイプライン処理および並列実行のために別のMAPに結果を直接供給することができる。
【0136】
上記のコンピュータアーキテクチャおよびシステムは単なる例であり、一般的なプロセッサ、コプロセッサ、FPGAおよび他のプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および他の処理素子と論理素子のあらゆる組み合わせを使用するシステムを含む、種々様々な他のコンピュータ、携帯電話、パーソナルデータアシスタントのアーキテクチャおよびシステムが、例となる実施形態に関連して使用され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムのすべてまたは一部は、ソフトウェアまたはハードウェアに実装され得る。ランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)、他のローカルまたは分散型のデータストレージデバイスおよびシステムを含む、あらゆる種類のデータストレージメディアが、例となる実施形態に関連して使用され得る。
【0137】
例となる実施形態では、コンピュータシステムは、上記または他のコンピュータアーキテクチャおよびシステムのいずれかにおいて実行されるソフトウェアモジュールを使用して実装され得る。他の実施形態では、システムの機能は、ファームウェア、図7で言及されるようなフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の処理素子および論理素子において、部分的または完全に実装され得る。例えば、セットプロセッサ(Set Processor)およびオプティマイザー(Optimizer)は、図18に例示されるアクセラレータカード(1822)等のハードウェアアクセラレータカードの使用によって、ハードウェアアクセラレーションを用いて実装され得る。
【0138】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;面を有する柔らかい構造を提供する工程;少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは、少なくとも約100,000のポリヌクレオチドを含み、および複数のポリヌクレオチドは柔らかい構造の面から伸長する、工程;および複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、合成する工程は:あらかじめ決定された位置で面上にヌクレオシドを沈着する工程;および、浴槽またはスプレーバーからの放出を通じて柔らかい構造の少なくとも一部を動かす工程、を含む。さらに本明細書で提供される方法において、浴槽またはスプレーバーからの放出は、構造の面を酸化剤またはデブロッキング試薬に曝す。さらに本明細書で提供される方法において、合成する工程は、面上に沈着されたヌクレオシドをキャッピングする工程をさらに含む。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は、オープンリール式テープまたは連続テープを含む。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は熱可塑性材料を含む。さらに本明細書で提供される方法において、熱可塑性材料はポリアリールエーテルケトンを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリアリールエーテルケトンは、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ(エーテルエーテルケトンケトン)、ポリエーテルエーテルケトン、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンである。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は、ナイロン、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、透明なPVC箔、ポリ(メタクリル酸メチル)、スチレンポリマー、フッ素含有高分子、ポリエーテルスルフォンまたはポリイミドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、50から500塩基の長さを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも約1.75×1013の核酸塩基が24時間以内に合成される。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも約262.5×10のポリヌクレオチドが72時間以内に合成される。さらに本明細書で提供される方法において、情報の項目は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報である。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。
【0139】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;面を有する柔らかい構造を提供する工程;少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは、少なくとも約100,000のポリヌクレオチドを含み、および複数のポリヌクレオチドは構造の面から伸長し、かつ合成する工程は;構造の面を浄化する工程;あらかじめ決定された位置で面上にヌクレオシドを沈着する工程;面に残されたヌクレオシドを酸化、デブロッキング、および随意にキャッピングする工程、を含み;ここで浄化、酸化、デブロッキング、およびキャッピングする工程は、浴槽またはスプレーバーからの放出を通じて柔らかい構造の少なくとも一部を移動させる工程を含む、工程;および複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。
【0140】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約10,000のポリヌクレオチドを含み、複数のポリヌクレオチドは、あらかじめ決定された配列とわずか1000分の1の塩基だけ異なる配列を共同してコードし、および複数のポリヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、50〜500塩基の長さを含む、工程;および少なくとも約10,000のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約1,000,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供される方法において、情報の項目は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報である。さらに本明細書で提供される方法において、構造は固いまたは柔らかく、構造は面を含み、および複数のポリヌクレオチドは面から伸長する。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。
【0141】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのデジタル配列の形態の情報の項目を、少なくとも1つの核酸配列に変換する工程;少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約10,000のポリヌクレオチドを含み、複数のポリヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは50〜500塩基の長さを有し、および複数のポリヌクレオチドは柔らかい構造の面から伸長する、工程;および複数のポリヌクレオチドを保存する工程。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は、オープンリール式テープまたは連続テープを含む。さらに本明細書で提供される方法において、各ヌクレオチドは柔らかい構造の面上の座から伸長し、座は約1umから約500umの直径である。さらに本明細書で提供される方法において、座は約1umから約50umの直径である。さらに本明細書で提供される方法において、座は約10umの直径である。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は熱可塑性材料を含む。さらに本明細書で提供される方法において、熱可塑性材料はポリアリールエーテルケトンを含む。さらに本明細書で提供される方法において、ポリアリールエーテルケトンは、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ(エーテルエーテルケトンケトン)、ポリエーテルエーテルケトン、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンである。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造は、ナイロン、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、透明なPVC箔、ポリ(メタクリル酸メチル)、スチレンポリマー、フッ素含有高分子、ポリエーテルスルフォンまたはポリイミドを含む。さらに本明細書で提供される方法において、柔らかい構造の厚さは約10mm未満である。さらに本明細書で提供される方法において、各ポリヌクレオチドは約200塩基の長さである。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも約1.75×1013の核酸塩基が24時間以内に合成される。さらに本明細書で提供される方法において、少なくとも約262.5×10のポリヌクレオチドが72時間以内に合成される。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。
【0142】
本明細書で提供されるのは情報を保存するための方法であって、該方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのデジタル配列の形態の少なくとも1項目の情報を、少なくとも1つの核酸配列に暗号化する工程;少なくとも1つの核酸配列を共同してコードするあらかじめ決定された配列を有する複数のポリヌクレオチドを合成する工程であって、複数のポリヌクレオチドは、少なくとも約10,000のポリヌクレオチドを含み、および複数のポリヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、約50から500塩基の長さを含む、工程;複数のポリヌクレオチドを保存する工程;複数のポリヌクレオチドを配列する工程;核酸配列からデジタル配列へと複数のポリヌクレオチドを解読する工程;および、少なくとも1つのデジタル配列を形成するために、デジタル配列をアセンブルする工程であって、少なくとも1つのデジタル配列は、最初の少なくとも1つのデジタル配列と比較して、100%の精度でアセンブルされる、工程。さらに本明細書で提供される方法は、複数のポリヌクレオチドを放出する工程をさらに含む。さらに本明細書で提供される方法において、ヌクレオシドはヌクレオシドホスホラミダイトを含む。
【0143】
本明細書で提供されるのは、情報を保存するためのデバイスであって、該デバイスは:面を有する柔らかい構造;および面上の複数の座を含み、ここで各座の幅は約1〜約500umであり、および複数の座の各座は、面へ結合している部分でコーティングされ、かつヌクレオシドカップリングに利用可能な水酸基を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は湾曲した位置にある。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、湾曲した位置は30度より大きい曲線を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、湾曲した位置は180度より大きい曲線を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は少なくとも約100万の座を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造の面の合計面積は約4.5m未満である。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は、1mにつき20億より多い座を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は熱可塑性材料を含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、熱可塑性材料はポリアリールエーテルケトンを含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、ポリアリールエーテルケトンは、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ(エーテルエーテルケトンケトン)、ポリエーテルエーテルケトン、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンである。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は、ナイロン、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセタール、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、透明なPVC箔、ポリ(メタクリル酸メチル)、スチレンポリマー、フッ素含有高分子、ポリエーテルスルフォンまたはポリイミドを含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造の厚さは約10mm未満である。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、各座は約1umから約50umの幅である。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、各座の直径は約10umである。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、第1の座の中心は第2の座の中心から約21umであり、および第1の座と第2の座。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、柔らかい構造は、オープンリール式テープまたは連続テープを含む。さらに本明細書で提供されるデバイスにおいて、各座はチャネルを含む。
【0144】
本明細書において提供されるのは、複数のポリヌクレオチドを含む情報記憶用のポリヌクレオチドライブラリであり、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約10,000のポリヌクレオチドを含み、複数のポリヌクレオチドは、あらかじめ決定された配列の集団とわずか1000分の1塩基だけ異なる配列を共同してコードし、および複数のポリヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、解読された時にデジタル情報をコードする、あらかじめ決定された配列を含む。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100,000のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、複数のポリヌクレオチドは少なくとも約100億のポリヌクレオチドを含む。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、複数のポリヌクレオチドの各ポリヌクレオチドは、テザーによって構造の面に付けられる。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、テザーは、切断試薬の存在下においてポリヌクレオチドから分離するように化学的に修飾された少なくとも1つのヌクレオチドを有する切断領域を含む。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、テザーは約10〜約50塩基を含む。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、ポリヌクレオチドの90%より多くが、あらかじめ決定された配列と差異のない配列をコードする。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、デジタル情報は、テキスト情報、オーディオ情報またはビジュアル情報をコードする。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、ライブラリは3日未満で合成される。さらに本明細書で提供されるライブラリにおいて、ライブラリは24時間未満で合成される。
【0145】
さらに本明細書で提供されるのは、様々な量のデジタル情報をコードするポリヌクレオチドを合成する方法である。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1ギガバイト(GB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、または1000以上のギガバイトである。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1テラバイト(TB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、または1000以上のテラバイトである。いくつかの例では、デジタル情報の量は少なくとも1ペタバイト(PB)である。いくつかの例では、デジタル情報の量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、または1000以上のペタバイトである。
【0146】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態の原則と実施を当業者により明確に例示するように明記され、請求される実施形態の範囲を制限するものとして解釈されはしない。別記されない限り、すべてのパーツと割合は重量単位である。
【実施例】
【0147】
実施例1:デバイス面の官能基化
【0148】
ポリヌクレオチドのライブラリのアタッチメントと合成を支持するために、デバイスを官能基化した。デバイス面をまず、90%のHSOと10%のHを含むピラニア溶液を使用して20分間、湿式洗浄(ウェットクリーニング)した。デバイスをDI水を用いていくつかのビーカー内ですすぎ、5分間、DI水のグースネック型の栓下で保持し、そしてNで乾燥させた。デバイスをその後に5分間、NHOH(1:100;3mL:300mL)に浸し、ピストルを使用してDI水ですすぎ、DI水を用いてこれらの3つの連続したビーカーにそれぞれ1分間浸し、次に再びピストルを使用してDI水ですすいだ。次に、デバイス面をOにさらすことによってデバイスをプラズマ洗浄した。SAMCO PC−300器具を使用して、下流モードで1分間、250ワットでOのプラズマエッチングを行った。
【0149】
浄化したデバイス面を、以下のパラメータで、YES−1224P蒸着オーブンシステムを使用して、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドを含む溶液で能動的に官能基化した:0.5〜1トール、60分間、70℃、135℃の気化器。デバイス面を、Brewer Science 200Xスピンコーターを使用してレジスト塗布した。SPR(商標)3612フォトレジストを、40秒間、2500rpmでデバイス上にスピンコーティングした。Brewerホットプレート上で30分間、90℃でデバイスをあらかじめ焼いた。Karl Suss MA6 マスクアライナ器具を使用して、デバイスをカール・イノシシMA6、フォトリソグラフィにさらした。デバイスを2.2秒間、露出させ、MSF 26Aで1分間、現像した。残りの現像液をピストルですすぎ、デバイスを5分間、水に浸した。デバイスをオーブンで30分間、100℃で焼き、続いてNikon L200を使用してリソグラフィの欠陥を目視検査した。250ワットで1分間、Oプラズマエッチングを行うためにSAMCO PC−300器具を使用し、残りのレジストを取り出すためにデスカム処理を使用した。
【0150】
デバイス面を、10uLの軽油と混合した100ulのパーフルオロオクチルトリクロロシラン溶液を用いて受動的に官能基化した。デバイスをチャンバに置き、10分間、ポンプでくみ上げ、その後にバルブをポンプに対して閉じ、10分間静置させたままにした。チャンバを空気に通気させた。最大出力(クレストシステム上で9)の超音波処理を用いて、デバイスを70℃で5分間、500mLのNMPに2回漬けることによって、レジストストリップを行った。次に、最大出力の超音波処理を用いて、デバイスを室温で5分間、500mLのイソプロパノールに漬けた。デバイスを300mLの200プルーフエタノールに漬け、Nを吹き付けて乾かした。官能基化された面を、ポリヌクレオチド合成の支持の役割を果たすように活性化させた。
【0151】
実施例2:50量体配列オリゴヌクレオチドの合成
【0152】
2次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスをフローセルにアセンブルし、それをフローセル(Applied Biosystems(ABI394 DNA Synthesizer))に接続した。2次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスを、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド(Gelest)で均一に官能基化し、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド合成方法を使用して50bp(「50量体オリゴヌクレオチド」)の典型的なオリゴヌクレオチドを合成するために使用した。
【0153】
50量体の配列は、SEQ ID NO.:1.5’AGACAATCAACCATTTGGGGTGGACAGCCTTGACCTCTAGACTTCGGCAT##TTTTTTTTTT3’(SEQ ID NO.:1)に記載されるものであり、ここで#は、チミジンスクシニルヘキサンアミドCEDホスホラミダイト(ChemGenesからのCLP−2244)を意味し、これは脱保護中に面からのポリヌクレオチドの放出を可能にする切断リンカーである。
【0154】
表3のプロトコルに従い、およびABIABIシンセサイザにおいて、標準的なDNA合成化学(カップリング、キャッピング、酸化およびデブロッキング)を使用して、合成を行った。
【0155】
【表3-1】
【0156】
【表3-2】
【0157】
ホスホラミダイト/活性化因子の組み合わせを、フローセルを通る大量の試薬の送達と同様に送達した。環境が試薬でずっと「湿った」ままであるため、乾燥工程は行わなかった。
【0158】
より速いフローを可能にするために、フローレストリクタをABI 394シンセサイザから取り除いた。フローレストリクタがないと、アミダイト(ACN中に0.1M)、活性化剤(ACN中に0.25Mのベンゾイルチオテトラゾール(GlenResearchからの“BTT”;30−3070−xx))、およびOX(20%のピリジン中に0.02MのI2、10%の水、および70%のTHF)に関するフロー速度は、およそ〜100uL/秒であり、アセトニトリル(“ACN”)およびキャッピング試薬(1:1のCapAとCapBの混合物、CapAはTHF/ピリジン中の無水酢酸であり、CapBはTHF中の16%の1−メチルイミジゾール(methylimidizole)である)に関してはおよそ〜200uL/秒であり、およびデブロック(トルエン中の3%のジクロロ酢酸)に関してはおよそ〜300uL/秒であった(フローレストリクタがある場合のすべての試薬の〜50uL/秒と比較)。酸化剤が完全に押し出されるまでの時間を観察し、化学物質のフロー時間のタイミングを適宜、調整し、および余分なACN洗浄を異なる化学物質間に導入した。オリゴヌクレオチド合成の後、75psiで一晩、チップをガス状アンモニアで脱保護した。ポリヌクレオチドをアセンブルするために水を5滴、面に適用した。次に、アセンブルしたポリヌクレオチドを、BioAnalyzer小型RNAチップで分析した(データは示さず)。
【0159】
実施例3:100量体配列オリゴヌクレオチドの合成
【0160】
50量体配列の合成に関して実施例2に記載されたのと同じプロセスを使用して、100量体のオリゴヌクレオチドを合成した(“100量体オリゴヌクレオチド”;5’CGGGATCCTTATCGTCATCGTCGTACAGATCCCGACCCATTTGCTGTCCACCAGTCATGCTAGCCATACCATGATGATGATGATGATGAGAACCCCGCAT##TTTTTTTTTT3’、ここで#は、チミジンスクシニルヘキサンアミドCEDホスホラミダイト(ChemGenesからのCLP−2244)を意味する;SEQ ID NO.:2)2つの異なるシリコンチップ上におけるもの、1つ目は、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドで均一に官能基化され、2つ目は11−アセトキシウンデシルトリエトキシシランとn−デシルトリエトキシシランの5/95の混合物で官能基化され、そして面から抽出されたポリヌクレオチドをBioAnalyzer器具で分析した(データは示さず)。
【0161】
2つのチップからの10のサンプルはすべて、以下の熱サイクルプログラムを用いて、順方向プライマー(5’ATGCGGGGTTCTCATCATC3’;SEQ ID NO.:3)と逆方向プライマー(5’CGGGATCCTTATCGTCATCG3’;SEQ ID NO.:4)を使用し、50uLのPCR混合物中(25uLのNEB Q5マスターミックス、2.5uL 10uMの順方向プライマー、2.5uL 10uMの逆方向プライマー、面から抽出された1uLのポリヌクレオチド、および50uL以下の水)で、さらにPCR増幅された:98C、30秒;98C、10秒;63C、10秒;72C、10秒;12サイクルを繰り返す;72C、2分。
【0162】
PCR生成物もまた、BioAnalyzerで分析され(データは示さず)、100量体位置で鋭いピークを実証した。次に、PCR増幅サンプルをクローニングし、およびサンガーシーケンシングを行った。表4は、チップ1からのスポット1−5から採取されたサンプル、およびチップ2からのスポット6−10から採取されたサンプルに関する、サンガーシーケンシングの結果を概説する。
【0163】
【表4】
【0164】
したがって、合成オリゴヌクレオチドの高い品質と均一性は、異なる面化学的性質を伴う2つのチップ上で繰り返された。全体として、配列された262の100量体のうち233に対応する89%が、エラーのない完全な配列であった。
【0165】
表5は、スポット1−10からのオリゴヌクレオチドサンプルから得られた配列に関するエラー特性を概説する。
【0166】
【表5】
【0167】
実施例4:高精度のDNAに基づく情報記憶とアセンブリ
【0168】
デジタル情報は、合計約0.2GBの100を超える言語での世界人権宣言、プロジェクト・グーテンベルクの上位100の書籍、およびシードデータベースに関するコンテンツを含む、二進データの形態で選ばれた。デジタル情報は核酸に基づく配列に暗号化され、ストリングに分けられた。各々がストリングに対応する、1000万を超える非同一のポリヌクレオチドを、実施例2に記載のものと同様の方法で固いシリコン面上で合成した。非同一のポリヌクレオチドの各々は、200以下の塩基の長さであった。合成ポリヌクレオチドを収集し、配列し、デジタルコードへと解読し直し、最初の少なくとも1つのデジタル配列と比較して、ソースデジタル情報に関して精度は100%であった。
【0169】
実施例5:核酸配列へのデジタル情報の変換
【0170】
コンピュータtxtファイルはテキスト情報を含む。汎用コンピュータは、受信した命令に依存して、塩基3、4または5の配列への配列の変換のための機械命令を有するソフトウェアプログラムを使用する。塩基3の各数は、核酸を指定する(例えばA=0、T=1、C=2)。塩基4の各数は、核酸を指定する(例えばA=0、T=1、C=2、G=3)。代替的に、塩基5の5進法配列が使用され、塩基5の各数は核酸を指定する(例えばA=0、T=1、C=2、G=3、U=4)。配列は、表6に表されるように生成される。次に、核酸配列をコードするポリヌクレオチドの新規合成に、機械命令を提供する。
【0171】
【表6】
【0172】
実施例6:高密度の座を有する柔らかい面
【0173】
熱可塑性材料を含む柔らかい構造は、ヌクレオシドカップリング試薬でコーティングされる。コーティング剤は高密度の座に関してパターン化される。柔らかい面の一部は図11Aに例示される。各座の直径は10umであり、2つの隣接した座の間の中心間の距離は21umである。座のサイズは、ポリヌクレオチド合成沈着工程中に、0.2plの液滴量を収容するのに十分である。小さな座の寸法は、高密度のポリヌクレオチドが基質の面の上で合成されることを可能にする。座の密度は、22億座/mである(1座/441×10−12)。4.5mの基質は、100億の座を有し、各々が10umの直径であるように製造される。柔らかい構造は、ポリヌクレオチド合成のために、連続的なループシステム(図9A)またはオープンリール式システム(図9B)に随意に配置される。
【0174】
実施例7:柔らかい構造上でのポリヌクレオチド合成
【0175】
柔らかい構造は、熱可塑性の柔らかい物質上に複数の座を含むように調製される。構造は、沈着デバイスを含むポリヌクレオチド合成デバイスを使用するポリヌクレオチド合成の支持として役立つ。柔らかい構造は、磁気オープンリール式テープのような柔らかい媒体の形態である。
【0176】
新規合成は一貫生産ライン方式で行われ、ここで構造は溶媒浴を通り、次に積み重ねられたプリントヘッドの下を通り、ここでホスホラミダイトが構造の面上に印刷される。液滴を面上に沈着させた柔らかい構造を、酸化剤の槽に丸めて入れ、次にテープを酸化浴から取り出してアセトニトリル洗浄槽に浸し、その後にデブロッキング槽に沈めた。随意に、テープをキャッピング浴に通す。代替的なワークフローでは、柔らかい構造を酸化浴から取り出し、洗浄工程においてアセトニトリルを吹きかける。
【0177】
代替的に、スプレーバーは流体浴の代わりに使用される。このプロセスでは、ヌクレオチドは依然としてインクジェットデバイスで面上に沈着されるが、ここでは充満工程はスプレーノズルを用いてチャンバで行われる。例えば、沈着デバイスは2,048のノズルを有し、その各々は、1滴あたり1つの核酸塩基に毎秒100,000滴を沈着する。標準的なホスホラミダイト化学作用における充満工程の順序を模倣するために、スプレーノズルの連続した順序がある。この技術は、異なる処理工程に適合するために、スプレーバーに装填された化学物質を容易に変更できるようにする。ポリヌクレオチドは、実施例2に記載されるのと同じ方法で脱保護され、または切断される。
【0178】
各沈着デバイスごとに、1日当たり約1.75×1013より多くの核酸塩基が基質上に沈着される。複数の200核酸塩基のポリヌクレオチドが合成される。3日間で、1日当たり1.75×1013塩基の比率で、少なくとも約262.5×10ポリヌクレオチドが合成される。各オリゴヌクレオチド配列は、より長いポリヌクレオチドに埋め込まれた少なくとも15塩基のポリヌクレオチドを含む。1つの例では、ポリヌクレオチドは、5’〜3’の順序で少なくとも:リンカー領域、切断領域、第1のプライマー結合領域、バーコード領域、標的配列領域、および第2のプライマー領域を有するように設計される。
【0179】
実施例8:新規合成に続くポリヌクレオチドの静電転写
【0180】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、静電力を使用して構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットに転写される。
【0181】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。チャネルは、チャネルの上に位置する相互に連結した導電性プレートに囲まれる。転写媒体は、導電性プレートによって作り出された静電場と反応する荷(正または負)を含む。電位が、相互に連結した導電性プレート間に適用され、結果として転写媒体の引きつけと、チャネルの開放を通じたポリヌクレオチドの転写をもたらす。
【0182】
チャネルからポリヌクレオチドを退けるために、チャネルは、チャネルの下に位置する相互に連結した導電性プレートに囲まれる。電位が相互に連結した導電性プレート間に適用されると、転写媒体がチャネルから、1つ以上のチャネルまたは受信ユニットへと退けられる。
【0183】
実施例9:振動力を使用した新規合成に続くポリヌクレオチドの転写
【0184】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、振動力を使用して構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットに転写される。
【0185】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。チャネルは振動エネルギーアプリケータに囲まれている。振動エネルギーは、振動エネルギーアプリケータを介して適用され、結果として、チャネルの開口部を介した1つ以上のチャネルまたは受信ユニットへのポリヌクレオチドの転写をもたらす。
【0186】
実施例10:スリップを使用した新規合成に続くポリヌクレオチドの転写
【0187】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、スリップを使用して構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットに転写される。
【0188】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。スリップは角度をつけて構造に接するように配置される。例えば10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°または80°のいずれかで、構造に対してスリップを回転させることによって、転写媒体は1つ以上のチャネルまたは受信ユニットに転写される。
【0189】
実施例11:適用された圧力を使用した新規合成に続くポリヌクレオチドの転写
【0190】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、適用された圧力を使用して構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットに転写される。
【0191】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。ガスまたは流体内の適用された圧力および圧力解放は、転写媒体を構造内のチャネルに通すために使用される。圧力差の生成によって、圧力解放の開放が、転写媒体をチャネルに通させる。
【0192】
実施例12:適用された圧力とノズルを使用した新規合成に続くポリヌクレオチドの転写
【0193】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、適用された圧力とノズルを使用して柔らかい構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットまで移される。
【0194】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。柔らかい構造は、チャネルがノズルの下に整列するようにローラーを使用して動かされる。次にノズルは、チャネルに圧力を加え、転写媒体をチャネルに通させる。
【0195】
実施例13:ピンを使用した新規合成に続くポリヌクレオチドの転写
【0196】
ポリヌクレオチドは実施例2−3と同様に合成される。ポリヌクレオチド合成に続いて、ポリヌクレオチドは、ピンを使用して構造内のチャネルから1つ以上のチャネルまたは受信ユニットまで転写される。
【0197】
ポリヌクレオチドに付着する水性またはガスの転写媒体が沈着される。ピンは転写媒体に接触し、およびそれを引き付け、ピンと構造との間の相対的な垂直運動は、構造から1つ以上のチャネルまたは受信ユニットへと転写媒体を転写する。
【0198】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されたが、そのような実施形態が単なる例として提供されていることは、当業者にとって明白だろう。多数の変形、変更、および置き換えが、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到されるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法と構造、およびそれらの同等物を包含することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]