(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クライアントにより操作されるクライアント側端末と、該クライアント側端末と通信により接続可能であり、トレーナーにより操作されるトレーナー側端末とにおいて実現される、治療及び/又は運動の指導プロセス管理システムであって、
クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢を評価する評価手段と、
評価手段による評価に基づいて、クライアントに実施させる運動を決定する運動決定手段と、
評価手段による評価に関する情報、及び、運動決定手段によって決定された運動であって、クラインアントに実施された運動に関する情報を記憶する記憶手段と、
を備える、治療及び/又は運動の指導プロセス管理システム。
評価手段が、撮像手段により撮像された画像における、クライアントの所定の身体部位の位置、傾き、及び/又は、複数の所定の身体部位間における位置関係に基づいて、姿勢を評価する、
請求項9に記載の治療及び/又は運動の指導プロセス管理システム。
さらに、撮像手段により撮像された画像における、クライアントの所定の身体部位毎の位置及び/又は傾きを可視化するための複数のオブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を備え、
評価手段が、オブジェクトの位置、傾き、及び複数のオブジェクト間における位置関係に基づいて、姿勢を評価する、
請求項9又は10に記載の治療及び/又は運動の指導プロセス管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。図面において、人体の各部位に付された符号番号は、同一の部位であっても、異なる符合番号を付していることがある。また、本明細書において説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0029】
なお、本明細書において、「クライアント」とは、運動を実施する者のことをいい、例えば、トレーニング施設の利用者、スポーツ愛好家、アスリート、運動療法を実施している患者などが含まれる。また、「トレーナー」とは、クライアントに対して運動の指導やアドバイスを行う者のことをいい、例えば、トレーニング施設のインストラクター、スポーツトレーナー、コーチ、柔道整復師、理学療法士などが含まれる。また、「画像」とは、静止画、動画のいずれであっても良い。
【0030】
[第一の実施の形態]
まず、本発明の第一の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第一の実施の形態として、クライアントにより操作されるクライアント側端末と、該クライアント側端末と通信により接続可能であり、トレーナーにより操作されるトレーナー側端末とにおいて実現される、治療及び/又は運動の指導プロセス管理システムを例示して説明をする。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、治療及び/又は運動の指導プロセス管理システムの構成を示す図である。図示するように、本実施の形態における治療及び/又は運動の指導プロセス管理システムは、複数のクライアント側端末1(クライアント側端末1a、1b、1c・・・)と、通信ネットワーク2と、サーバ装置3と、複数のトレーナー側端末4(トレーナー側端末4a、4b、4c・・・)とから構成される。
【0032】
クライアント側端末1は、通信ネットワーク2を介してサーバ装置3と接続されている。トレーナー側端末4は、通信ネットワーク2を介してサーバ装置3と接続されている。サーバ装置3は、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4と常時接続されていなくてもよく、必要に応じて、それぞれの端末と接続が可能であればよい。なお、
図1に示す構成では、クライアント側端末1とトレーナー側端末4とが、通信ネットワーク2とサーバ装置3とを介して、通信接続されているが、サーバ装置3を介さずに通信接続されるように構成しても良い。すなわち、サーバ装置3は備えていなくても良い。
【0033】
クライアント側端末1は、クライアントが操作するための端末である。クライアント側端末1としては、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA等が挙げられるが、これに限定されない。クライアント側端末1は、通信ネットワーク2を介して、サーバ装置3又はトレーナー側端末4と接続可能な装置であれば良い。
【0034】
通信ネットワーク2としては、例えば、インターネット、有線もしくは無線の公衆電話網、有線もしくは無線LAN、又は専用回線等、有線又は無線の公知の各種の通信ネットワークを用いることができる。
【0035】
サーバ装置3は、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4の間で情報を送受信する機能や、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4から受信した情報を記憶して管理する機能等を有する、管理・運営用サーバである。
【0036】
トレーナー側端末4は、トレーナーが操作するための端末である。トレーナー側端末4としては、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA等が挙げられるが、これに限定されない。トレーナー側端末4は、通信ネットワーク2を介して、サーバ装置3又はクライアント側端末1と接続可能な装置であれば良い。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、クライアント側端末の構成を示すブロック図である。クライアント側端末1は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、サウンド処理部14、センサ部16、グラフィックス処理部18、表示部19、通信インタフェース20、インタフェース部21、及びカメラ部23を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0038】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)から構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを実行し、クライアント側端末1の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。記憶部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0039】
制御部11は、プログラム及びデータをRAM12から読み出して処理を行う。制御部11は、RAM12にロードされたプログラム及びデータを処理することで、サウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力したり、描画命令をグラフィックス処理部18に出力したりする。
【0040】
サウンド処理部14は、スピーカであるサウンド出力装置15に接続されている。制御部11がサウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力すると、サウンド処理部14は、サウンド出力装置15にサウンド信号を出力する。サウンド出力装置15からは、例えば、運動内容の指示や運動についてのフィードバックなどが、音声で出力されることが好ましい。
【0041】
センサ部16は、深度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPSセンサ、指紋認証センサ、近接センサ、磁力センサ、輝度センサ、GPSセンサ、及び気圧センサからなる群より選択される少なくとも1以上のセンサを備えている。クライアントの実施する運動の様子を詳細にモニタするという観点からは、センサ部16は、例えば、深度センサを備えていることが好ましい。なお、クライアントの実施する運動の様子を詳細にモニタすることを目的として、例えば、モーションキャプチャ装置、圧力センサ、筋電図測定器、又は超音波測定器などの外部装置を用いて、該外部装置からの情報をクライアント側端末1において受信しても良い。
【0042】
グラフィックス処理部18は、表示部19に接続されている。表示部19は、表示画面19aと、タッチ入力部19bを備えている。制御部11が描画命令をグラフィックス処理部18に出力すると、グラフィックス処理部18は、フレームメモリ(フレームバッファ)17に画像を展開し、表示画面19aに画像を表示するためのビデオ信号を出力する。タッチ入力部19bは、クライアントの操作入力を受け付けるものであり、タッチ入力部19b上における指やスタイラス等による押圧や、指等の位置の移動を検知し、その座標位置の変化等を検出する。表示画面19a及びタッチ入力部19bは、例えば、タッチパネルのように、一体的に構成されていてもよい。
【0043】
グラフィックス処理部18は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。画像の1フレーム時間は、例えば30分の1秒である。グラフィックス処理部18は、制御部11だけで行ってきた描画に関する演算処理の一部を受け持ち、システム全体の負荷を分散させる役割を有する。
【0044】
通信インタフェース20は、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワーク2を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0045】
インタフェース部21には、入力部22(例えば、マウスやキーボード等)が接続され得る。クライアントによる入力部22からの入力情報は、RAM12に格納され、制御部11は、入力情報をもとに各種の演算処理を実行する。あるいは、インタフェース部21に記憶媒体読取装置を接続し、外部メモリ等からプログラム及びデータ等を読み込むことも可能である。また、タッチパネルを備えた表示部19を、入力部22とすることもできる。
【0046】
カメラ部23は、クライアントを撮像するものであり、例えば、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢や、クライアントが運動を実施している様子などを撮像する。カメラ部23により撮像された画像は、グラフィックス処理部18に出力される。なお、カメラ部23はクライアント側端末1に備えられていなくても良く、例えば、外部の撮像装置によって撮像した画像を取り込むことで、クライアントを撮像した画像を取得しても良い。
【0047】
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、サーバ装置の構成を示すブロック図である。サーバ装置3は、制御部31、RAM32、記憶部33、及び通信インタフェース34を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0048】
制御部31は、CPUやROMから構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部31は、記憶部33に格納されたプログラムを実行し、サーバ装置3の制御を行う。RAM32は、制御部31のワークエリアである。記憶部33は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部31は、プログラム及びデータをRAM12から読み出し、クライアント側端末1から受信した情報等をもとに、プログラム実行処理を行う。
【0049】
通信インタフェース34は、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワーク2を介して受信したデータは、例えば、RAM32にロードされ、制御部31により演算処理が行われる。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、トレーナー側端末の構成を示すブロック図である。トレーナー側端末4は、制御部41、RAM42、記憶部43、サウンド処理部44、センサ部46、グラフィックス処理部48、表示部49、通信インタフェース50、インタフェース部51、及びカメラ部53を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0051】
制御部41は、CPUやROMから構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部41は、記憶部43に格納されたプログラムを実行し、トレーナー側端末4の制御を行う。RAM42は、制御部41のワークエリアである。記憶部43は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0052】
制御部41は、プログラム及びデータをRAM42から読み出して処理を行う。制御部41は、RAM42にロードされたプログラム及びデータを処理することで、サウンド出力の指示をサウンド処理部44に出力したり、描画命令をグラフィックス処理部48に出力したりする。
【0053】
サウンド処理部44は、スピーカであるサウンド出力装置45に接続されている。制御部41がサウンド出力の指示をサウンド処理部44に出力すると、サウンド処理部44は、サウンド出力装置45にサウンド信号を出力する。
【0054】
センサ部46は、深度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPSセンサ、指紋認証センサ、近接センサ、磁力センサ、輝度センサ、GPSセンサ、及び気圧センサからなる群より選択される少なくとも1以上のセンサを備えている。クライアントの実施する運動の様子を詳細にモニタするという観点からは、センサ部46は、例えば、深度センサを備えていることが好ましい。なお、クライアントの実施する運動の様子を詳細にモニタすることを目的として、例えば、モーションキャプチャ装置、圧力センサ、筋電図測定器、又は超音波測定器などの外部装置を用いて、該外部装置からの情報をトレーナー側端末4において受信しても良い。
【0055】
グラフィックス処理部48は、表示部49に接続されている。表示部49は、表示画面49aと、タッチ入力部49bを備えている。制御部41が描画命令をグラフィックス処理部48に出力すると、グラフィックス処理部48は、フレームメモリ47に画像を展開し、表示画面49aに画像を表示するためのビデオ信号を出力する。タッチ入力部49bは、トレーナーの操作入力を受け付けるものであり、タッチ入力部49b上における指やスタイラス等による押圧や、指等の位置の移動を検知し、その座標位置の変化等を検出する。表示画面49a及びタッチ入力部49bは、例えば、タッチパネルのように、一体的に構成されていてもよい。
【0056】
グラフィックス処理部48は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。画像の1フレーム時間は、例えば30分の1秒である。グラフィックス処理部48は、制御部41だけで行ってきた描画に関する演算処理の一部を受け持ち、システム全体の負荷を分散させる役割を有する。
【0057】
通信インタフェース50は、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワーク2を介して受信したデータは、RAM42にロードされ、制御部41により演算処理が行われる。
【0058】
インタフェース部51には、入力部52(例えば、マウスやキーボード等)が接続され得る。トレーナーによる入力部52からの入力情報は、RAM42に格納され、制御部41は、入力情報をもとに各種の演算処理を実行する。あるいは、インタフェース部51に記憶媒体読取装置を接続し、外部メモリ等からプログラム及びデータ等を読み込むことも可能である。また、タッチパネルを備えた表示部49を、入力部52とすることもできる。
【0059】
カメラ部53は、クライアントを撮像するものであり、例えば、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢や、クライアントが運動を実施している様子などを撮像する。カメラ部53により撮像された画像は、グラフィックス処理部48に出力される。なお、カメラ部53はトレーナー側端末4に備えられていなくても良く、例えば、外部の撮像装置によって撮像した画像を取り込むことで、クライアントを撮像した画像を取得しても良い。
【0060】
次に、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、治療及び/又は運動の指導プロセス管理システムが有する機能について説明をする。該システムは、例えば、入力受付機能、撮像機能、オブジェクト生成機能、姿勢評価機能、筋状態評価機能、表示機能、ステージ決定機能、運動メニュー決定機能、送信機能、受信機能、及び記憶機能を備える。
【0061】
入力受付機能は、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4の双方に備えられており、クライアントやトレーナーによる各端末への操作入力を受け付ける機能を有する。操作入力は、例えば、各端末に備えられたタッチパネルやキーボードなどの入力装置を介して行うことができる。入力受付機能は、例えば、クライアントの主訴や運動目的、実施した運動等のクライアントに関する情報や、クライアントとトレーナー間のコミュニケーションに関する情報の入力を受け付ける。
【0062】
撮像機能は、クライアントを撮像する機能を有する。撮像機能は、クライアント側端末1又はトレーナー側端末4の少なくとも一方に備えられていることが好ましく、双方に備えられていることがより好ましい。なお、撮像機能に代えて、外部の撮像装置によって撮像した画像を各端末へ取り込み可能なように構成しても良い。
【0063】
オブジェクト生成機能は、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢を撮像した画像に基づいて、クライアントの所定の部位に対応する所定のオブジェクトを生成する機能である。生成されたオブジェクトは、表示画面19aや表示画面49aに表示することができる。なお、撮像した画像が動画である場合は、例えば、動画を構成する各フレーム毎にオブジェクトを生成しても良いし、動画を一時停止して得られる静止画像など、動画を構成する所定のフレームに対してのみ、オブジェクトを生成しても良い。
【0064】
姿勢評価機能は、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢を評価する機能を有する。姿勢評価機能は、例えば、クライアントの静止状態及び/もしくは動作状態における姿勢を撮像した画像、又は、オブジェクト生成機能により生成されたオブジェクトに基づいて、クライアントの姿勢を評価することができる。姿勢評価機能は、予め設定された、理想的な姿勢との相違を示す複数の姿勢パターンのうち、クライアントの姿勢がどのパターンに属するかを自動算出する機能を有することが好ましい。
【0065】
筋状態評価機能は、クライアントの所定の部位における筋の状態を推察し導き出す機能を有する。筋状態評価機能は、例えば、クライアントの静止状態及び/もしくは動作状態における姿勢、オブジェクト生成機能により生成されたオブジェクト、又はクライアントの姿勢のパターンのうちの少なくとも1つに基づいて、筋の状態を推察する。筋状態評価機能は、例えば、クライアントの所定の部位における筋の状態が、緊張(短縮)した緊張亢進の状態にあるか、弛緩(弱化)した緊張低下の状態にあるか、又は正常な状態にあるかを推察することができる。なお、オブジェクト生成機能、姿勢評価機能、及び筋状態評価機能に関しては、後の段落で詳述する。
【0066】
表示機能は、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4の双方に備えられており、例えば、メニュー画面、入力受付画面、姿勢評価に関する情報、運動メニューに関する情報、後述の投稿受付機能が受け付けた投稿内容などの各種情報を、クライアントやトレーナーが認識可能な態様で表示する機能を有する。
【0067】
ステージ決定機能は、クライアントの静止状態及び/もしくは動作状態における姿勢、オブジェクト生成機能により生成されたオブジェクト、又は、クライアントの主訴や運動目的などのクライアントに関する情報の少なくとも1以上に基づいて、予め設定された複数のステージの中から、クライアントが属するステージを決定する機能を有する。ここで、「ステージ」とは、例えば、クライアントの身体の状態を段階的に分類したものをいい、ステージを分類するための基準は、適宜設定することが可能である。
【0068】
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ステージ分類の一例を示す図である。
図5の例では、クライアントの身体の状態を、ステージ101〜106の6つに分類しており、各ステージで生じている問題や課題が解決できた場合、一つ以上上のステージに移動することになる。
【0069】
ステージ101「不定愁訴・障害レベル3」は、身体を動かさずとも、身体の少なくとも一部に常に痛みなどが生じている状態である。ステージ101に分類される場合、例えば、投薬や身体を安静に保たせること等により、クライアントの症状をコントロールしながら運動を実施させて、改善を図っていく。ステージ102「不定愁訴・障害レベル2」は、身体を動かしている最中に、身体の少なくとも一部に痛みが生じる状態である。ステージ102に分類される場合は、体力が低下していく状態にあると考えられ、例えば、フィジカルセラピーや身体の一部を安静に保たせること等により、クライアントの症状をコントロールしながら運動を実施させて、改善を図っていく。
【0070】
ステージ103「不定愁訴・障害レベル1」は、身体を動かした後に、身体の少なくとも一部に痛みが生じる状態である。ステージ103に分類される場合は、機能的動作が破綻(身体の基本機能が低下)した状態にあると考えられ、例えば、クライアントに基本機能を向上させる運動を含む適切な運動を実施させた後に、マッサージやストレッチなど、運動後のアフターケアをすることにより、改善を図っていく。
【0071】
ステージ104〜106はいずれも、身体に痛みを生じることなく動作を行える状態である。ステージ104「機能的動作向上」は、安定性と全身の協調性の獲得等により機能的動作の向上を目指す段階である。ステージ104に分類される場合は、例えば、コンディショニングやトリートメント等により改善を図っていく。
【0072】
ステージ105「身体能力向上」は、より高い負荷に耐えられる身体を獲得し、筋力、敏捷性、心配機能等の身体能力の向上を目指す段階である。ステージ105に分類される場合は、例えば、フィットネスやトレーニング等により改善を図っていく。ステージ106「技術向上」は、身体を上手に操作する技術や各種スポーツ等の技術の向上を目指す段階である。ステージ106に分類される場合は、例えば、各種スポーツの練習や実践、日常生活動作の実践等により改善を図っていく。
【0073】
上記のように、身体の状態を段階的にステージ分類し、クライアントが属するステージを決定することにより、クライアントは、自己の身体の現状を把握しやすくなる。さらに、クライアントが目標とするステージを設定可能にすることにより、例えば、クライアントが属するステージから、クライアントが目標とするステージに到達するまでのプロセスをクライアントとトレーナー間で共有することが可能になり、両者にとってより満足度の高いシステムとすることができる。
【0074】
システムの機能の説明に戻る。運動メニュー決定機能は、クライアントの静止状態及び/もしくは動作状態における姿勢、又は、オブジェクト生成機能により生成されたオブジェクトに基づいて、クライアントに実施させる運動メニューを決定する機能を有する。運動メニュー決定機能は、さらに、クライアントの主訴や運動目的などのクライアントに関する情報に基づいて、運動メニューを決定することが好ましい。なお、運動メニュー決定機能は、クライアントに実施させる運動メニューの候補を決定するものであっても良く、このように構成した場合、例えば、運動メニューの候補の中から、クライアントが実施する運動メニューを、トレーナー又はクライアントが選択できるようにすれば良い。
【0075】
送信機能は、クライアント側端末1、サーバ装置3、及びトレーナー側端末4に備えられている。送信機能は、治療及び/又は運動の指導プロセス管理を実現するために必要な情報を、送信元となるクライアント側端末1、サーバ装置3、又はトレーナー側端末4から、送信先となるクライアント側端末1、サーバ装置3、又はトレーナー側端末4へと送信する機能を有する。
【0076】
受信機能は、クライアント側端末1、サーバ装置3、及びトレーナー側端末4に備えられている。受信機能は、治療及び/又は運動の指導プロセス管理を実現するために必要な情報を、送信元であるクライアント側端末1、サーバ装置3、又はトレーナー側端末4から、受信する機能を有する。
【0077】
記憶機能は、少なくとも、姿勢評価機能による姿勢の評価に関する情報、及び、運動メニュー決定機能によって決定された運動メニューであって、クラインアントに実施された運動メニューに関する情報を記憶する機能を有する。また、記憶機能は、姿勢の評価に関する情報、クライアントに実施された運動メニューに関する情報を、それらが実施された日付又は日時に関連付けて記憶することが好ましい。また、記憶機能は、例えば、入力受付機能により入力を受け付けた情報なども記憶可能であることが好ましく、該情報についても、情報が入力された又は情報が送信された日付又は日時に関連付けて記憶可能であることが好ましい。記憶機能は、クライアント側端末1、サーバ装置3、又はトレーナー側端末4のうちの少なくとも1つ以上に備えられていれば良いが、少なくともサーバ装置3に備えられていることが好ましい。
【0078】
上述したオブジェクト生成機能、姿勢評価機能、筋状態評価機能、ステージ決定機能、運動メニュー決定機能は、クライアント側端末1、サーバ装置3、又はトレーナー側端末4のうちの少なくとも1つ以上に備えられていれば良いが、少なくともトレーナー側端末4に備えられていることが好ましく、少なくともクライアント側端末1及びトレーナー側端末4に備えられていることがより好ましい。
【0079】
次に、本実施の形態における、治療及び/又は運動の指導プロセス管理処理について説明する。
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、治療及び/又は運動の指導プロセス管理処理のフロ−チャートである。
【0080】
第一の実施の形態の前提として、例えば、クライアント側端末1及びトレーナー側端末4には、第一の実施の形態に係るシステムを利用するためのアプリケーションがインストールされる。クライアント側端末1においてアプリケーションを起動すると、例えば、予め設定されたクライアントのアカウントやパスワードなどに関する情報、又は起動時に取得したクライアント側端末1の識別情報がサーバ装置3に送信されて認証されることを条件に、アプリケーションの利用が許可され、サーバ装置3に記憶されている該クライアントに関連付けられた情報の閲覧や利用が可能になる。
【0081】
また、トレーナー側端末4においてアプリケーションを起動すると、例えば、予め設定されたトレーナーのアカウントやパスワードなどに関する情報、又は起動時に取得したトレーナー側端末4の識別情報がサーバ装置3に送信されて認証されることを条件に、アプリケーションの利用が許可され、サーバ装置3に記憶されている該トレーナーに関連付けられた情報の閲覧や利用が可能になる。トレーナーに関連付けられた情報には、例えば、該トレーナーが運動指導をしている複数のクライアントに関する情報が含まれる。なお、トレーナー側端末4又はクライアント側端末1からの要求に応じて、トレーナー情報とクライアント情報の関連付けを解除し、例えば、該クライアント情報を他のトレーナーのトレーナー情報と関連付けることも可能である。
【0082】
トレーナーは、トレーナー側端末4に表示される、トレーナーが運動指導をしている複数のクライアントに関する情報の中から、これから運動指導を行うクライアントを選択する。なお、これから運動指導を行うクライアントが、本システムを初めて利用する者である場合、例えば、クライアント側端末1又はトレーナー側端末4において、該クライアントを本システムの利用者として登録するための登録処理がなされる。登録処理においては、例えば、クライアントの氏名、性別、年齢、生活習慣、運動習慣、症状、運動目的などに関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報が、サーバ装置3に記憶される。以下では、主に、本システムを既に利用したことのあるクライアントに対して運動指導を行う場合について説明をする。
【0083】
まず、トレーナー側端末4において、クライアントに関する情報の入力を受け付ける(ステップS1)。入力されるクライアントに関する情報は、例えば、クライアントの主訴や、痛み又は違和感などのクライアントの身体の状況に関する情報である。なお、クライアントの身体の状況等が、前回の指導時と変わりないようであれば、ステップS1は省略しても良い。
【0084】
図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、クライアントの身体の状況に関する情報を入力するための表示画面の一例である。トレーナー側端末4の表示画面には、身体模式画像201a、201b、症状選択欄202、及び症状レベル選択欄203が表示されている。トレーナーは、クライアントに対するヒアリング結果に基づいて、クライアントに生じている症状の種類、該症状が生じている部位、及び該部位における症状の度合いを入力する。
【0085】
身体模式画像201aは、身体前面を表す模式図であり、身体模式画像201bは、身体後面を表す模式図である。症状選択欄202は、身体に生じている症状の種類を選択するための欄である。症状選択欄202に表示される症状の種類としては、例えば、「痛み(常時)」、「痛み(運動中)」、「痛み(運動後)」、「違和感」、「痺れ」などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0086】
また、症状選択欄202に表示される各症状には、それぞれに対応するマーカが設定されている。各マーカは、それぞれ、色または模様などが異なるものであることが好ましい。例えば、トレーナーが、症状選択欄202から「痛み(常時)」を選択し、身体模式画像201aの左肩部をタッチすると、「痛み(常時)」に対応するマーカが、タッチ操作された箇所に表示される。このような構成により、クライアントに生じている症状の種類、及び該症状が生じている部位が容易に把握できるようになる。また、タッチ操作の回数に応じて、マーカの色濃度が変更されるように構成することにより、クライアントに生じている症状の種類、及び該症状が生じている部位に加えて、さらに、該症状の度合いも容易に把握できるようになる。また、色濃度に基づいて、症状の度合いを数値化できることが好ましい。
【0087】
症状レベル選択欄203は、痛みや違和感などの各種症状の度合いを、選択するための欄である。各種症状の度合いは、例えば、NRS(Numerical Rating Scale)、VRS(Verbal Rating Scale)、又はFPS(Face Pain Scale)などの尺度を用いて評価することができる。
図7の例においては、NRSを用いている。NRSは、全く症状(痛み)がない状態を「0」、想像しうる最悪の痛みを「10」として、症状の度合いを0〜10までの11段階で評価する方法である。なお、症状の度合いが「0」の場合は、入力する必要がないため、症状レベル選択欄203には、1〜10までの数字が表示される。
【0088】
例えば、トレーナーが、症状レベル選択欄203から「3」を選択し、身体模式画像201aの左肩部をタッチすると、身体模式画像201aにおける左肩部の近傍に「3」という数字が表示される。このような構成により、クライアントに生じている症状の度合いを容易に把握することができるようになる。
【0089】
図6のフローチャートの説明に戻る。トレーナー側端末4は、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢を撮像する(ステップS2)。静止状態としては、例えば、立位、立位前屈、立位後屈、立位回旋、座位、又は膝立ちなどの姿勢を保った状態が好ましいが、これらに限定されるわけではない。また、動作状態としては、例えば、支持基底面が移動しない多関節運動を実施している状態であることが好ましく、具体的には、オーバーヘッド・スクワット、シングルレッグ・スクワット、スクワット・アンド・ヒップローテーション、立位前屈、立位後屈、立位回旋、肩外転、又は肩水平内転などが好ましいが、これらに限定されるわけではない。評価の容易さや正確性を高めるという観点からは、ステップS2において、立位、オーバーヘッド・スクワット、又はスクワット・アンド・ヒップローテーションのうち少なくとも1以上をクライアントに実施させて、クライアントの姿勢を撮像することが好ましい。
【0090】
また、ステップS2における姿勢は、クライアントを所定の運動補助具にのせた状態の姿勢であっても良い。運動補助具としては、例えば、略円柱状または略半円柱状のものを用いるのが好ましく、具体的には、株式会社LPN製のストレッチポール(登録商標)や、ストレッチポール(登録商標)ハーフカットなどが挙げられる。ステップS2においてこれらのような運動補助具を用いる場合、例えば、運動補助具の上で仰臥位の姿勢を保った状態、運動補助具の上で仰臥位になり軸回旋をおこなう動作、運動補助具の上で仰臥位または腹臥位になり手足の挙上をおこなう動作などにおける、姿勢を撮像することが好ましい。
【0091】
また、運動補助具としては、例えば、クライアントの腹部を支持する腹部支持部と、腹部支持部における腹部を支持する側とは対向する側に、腹部を支持した状態で左右に動く運動を可能にする隆起部を有するものであって、クライアントが伏臥位をとった際にクライアントの腹部を支持することができ、クライアントがその状態で四肢の運動を行うことができるものであることも好ましく、具体的には、株式会社LPN製のスイングストレッチ(登録商標)などが挙げられる。ステップS2においてこのような運動補助具を用いる場合、例えば、運動補助具の上で腹臥位になって床に両肘と両膝をつけた状態から、対角にある手と脚を床から持ち上げる動作などにおける、姿勢を撮像することが好ましい。
【0092】
また、撮像は、クライアントに実施させる内容に応じて、クライアントの正面から、側面から、又は正面及び側面の2方向から行われる。例えば、立位、及びオーバーヘッド・スクワットの場合は、正面及び側面の2方向から撮像することが好ましく、スクワット・アンド・ヒップローテーションの場合は、正面から撮像することが好ましい。クライアントに実施させる内容に応じて、撮像する方向を変えることで、より正確な姿勢評価が可能になる。
【0093】
次に、トレーナー側端末4は、ステップS2において撮像された画像に基づいて、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢を評価する(ステップS3)。ここで、ステップS3における姿勢の評価について、
図8を用いて詳細に説明をする。
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、姿勢評価に関する処理のフロ−チャートである。
【0094】
まず、トレーナー側端末4は、ステップS2において撮像された画像に基づいて、クライアントの身体の所定の部位にそれぞれ対応する、所定のオブジェクトを生成し、ステップS2において撮像された画像と重ね合わせるように、一体的に表示する(ステップS31)。次に、ステップS31において表示されたオブジェクトが、クライアントの身体の所定の部位に十分に対応した位置に表示されていない場合、トレーナー側端末4は、オブジェクト位置を変更するための入力を、トレーナーから受け付ける(ステップS32)。
【0095】
図9は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、オブジェクト生成方法に関する模式図である。
図9(a)は、両足の第2趾のそれぞれが正面を向き平行になるように、クライアントを所定の位置に直立させ、目線の高さにある指定物を直視させた状態(立位姿勢)を正面から撮像した画像を用いた場合のオブジェクトの生成方法の一例を、人体骨格
図301を用いて示している。
【0096】
人体骨格
図301上には、人体骨格図における所定の部位に対応する、頭部オブジェクト302、胸郭オブジェクト303、骨盤オブジェクト304、膝部オブジェクト305、及び足部オブジェクト306が示されている。また、人体骨格
図301上には、各オブジェクトを連結する複数の連結線307a〜d、及び重心線308が示されている。
【0097】
頭部オブジェクト302は、例えば、左右の外耳孔の位置同士を結んだラインを横の基準ラインとし、眉間の位置と鼻溝の位置同士を結んだ顔面正中ラインを縦の基準ラインとし、上記それぞれの基準ラインを頭蓋骨外輪に合うように平行移動して作成されることが好ましい。胸郭オブジェクト303は、例えば、左右の肩峰の位置同士を結ぶラインと、左右の肋骨弓の位置同士を結ぶラインとをそれぞれ横のラインとし、胸骨柄頚切痕の位置と剣状突起の位置同士を結ぶラインを縦の基準ラインとして、縦の基準ラインを肋骨外輪に合わせて平行移動して作成されることが好ましい。
【0098】
骨盤オブジェクト304は、例えば、左右の腸骨稜の位置同士を結ぶラインを横の基準ラインとし、恥骨結合の位置とお臍の位置とを結んだラインを縦の基準ラインとして、上記それぞれの基準ラインを骨盤外輪に合うように平行移動して作成されることが好ましい。右の膝部オブジェクト305aと、左の膝部オブジェクト305bは、例えば、膝関節(膝蓋骨の中心)の位置及び大きさに対応するように作成されることが好ましい。
【0099】
右の足部オブジェクト306aと、左の足部オブジェクト306bは、例えば、足部外輪全体に基づいて作成することができ、具体的には、足趾の先端を通る水平ライン、内果を通る水平ライン、内果を通る垂直ライン、及び中足趾節関節の外側縁を通る垂直ラインにより作成されることが好ましい。連結線307は、隣り合うオブジェクト同士を連結し、隣り合うオブジェクト間における骨格の様子等を視覚化するためのものである。重心線308は、例えば、足部オブジェクト306a及び306bのそれぞれの中心点を結んだ線分の中点を通り、床面に垂直なラインとすることが好ましい。
【0100】
連結線307は、隣り合うオブジェクト同士を連結し、隣り合うオブジェクト間における骨格の様子等を視覚化するためのものである。例えば、連結線307aは、頚椎に対応するように作成され、連結線307bは、腰椎に対応するように作成され、連結線307cは、大腿骨に対応するように作成され、連結線307dは、脛骨に対応するように作成されることが好ましい。
【0101】
なお、各オブジェクトは、各身体部位の位置や傾きを視覚的に把握しやすいようにすることを目的として生成されるものである。従って、オブジェクトを生成せずとも、上述したオブジェクトを生成するための基準点及び基準ラインに基づいて、姿勢の評価を行うことも可能である。また、オブジェクトの形状は、
図9に示される四角形型、丸型に限定されるわけではなく、クライアントの各身体部位の位置や傾きを視覚的に把握できるものであれば、どのような形状であっても良い。
【0102】
図9(b)は、立位姿勢を正面から撮像した姿勢画像に基づいて所定のオブジェクト生成し、該所定のオブジェクトを姿勢画像に重畳して表示した例である。姿勢画像311上には、クライアントの身体の所定の部位に対応する、頭部オブジェクト312、胸郭オブジェクト313、骨盤オブジェクト314、膝部オブジェクト315、及び足部オブジェクト316が示されている。また、姿勢画像311上には、各オブジェクトを連結する複数の連結線317a〜d、及び重心線318が示されている。なお、図中に示す矢印は、各オブジェクトの傾きを把握しやすくするために表示されている。
【0103】
図9(b)において、各オブジェクト等は、
図9(a)にて説明した方法を用いて作成されたものである。各オブジェクト等は、例えば、従来公知のモーションキャプチャに関する技術や、画像認識に関する技術を用いて、トレーナー側端末4により作成されることが好ましい。モーションキャプチャを利用する場合、例えば、上述したような各オブジェクトを作成するための基準ラインの起点となる位置にマーカを取り付けて、マーカの位置を検出することにより、各オブジェクト等を作成することができる。
【0104】
また、ステップS2における撮像時に、例えば、表示画面に
図9(a)に示した人体骨格図のようなオブジェクト生成の基準となる基準画像を表示し、該基準画像と、クライアントの身体との位置を合わせて撮像することにより、基準画像に基づいて作成された各オブジェクトを、姿勢画像に重畳して表示するように構成しても良い。
【0105】
作成されたオブジェクト等の位置や大きさなどが、姿勢画像と合致していない場合、例えば、トレーナーによる入力を受け付けて、オブジェクト等の位置や大きさ、傾きを修正することが可能である。
【0106】
なお、ステップS2において撮像された画像が動画である場合、すなわち、評価対象がクライアントの動作状態における姿勢である場合は、評価すべき所定のフレームで動画を一時停止して得られる静止画像に基づいて、オブジェクトを生成することが好ましい。オブジェクトの生成方法は、上記した方法と同様の方法を用いても良いし、各動作に設定された基準に従った方法であっても良い。なお、オブジェクトによる評価の正確性を高めるという観点からは、ステップS2で実施する動作は、動作中に脊柱や胴体の形状が屈曲・伸展・回旋のような変化を含まない動作であることが好ましいが、限定されるわけではない。動作中に脊柱や胴体の形状が屈曲・伸展・回旋のような変化を含まない動作としては、例えば、オーバーヘッド・スクワット、シングルレッグ・スクワット、スクワット・アンド・ヒップローテーションなどが挙げられる。
【0107】
図8のフローチャートの説明に戻る。トレーナー側端末4は、オブジェクトの位置等を評価する(ステップS33)。ステップS33においては、例えば、各オブジェクトの位置、傾き、又は隣接するオブジェクト間の位置関係のうちの少なくとも1以上が評価されることが好ましい。また、よりクライアントの姿勢に対してより正確な評価をするという観点から、各オブジェクトの位置、傾き、及び隣接するオブジェクト間の位置関係の全てを評価することがより好ましい。
【0108】
各オブジェクトの位置は、例えば、各オブジェクトの重心点と、重心線318までの距離に基づいて評価することが好ましい。各オブジェクトの傾きは、例えば、各オブジェクトを構成する横のラインが床面と平行か否か(オブジェクトが左右どちらかに傾斜していないか)に基づいて評価することが好ましい。なお、オブジェクトの重心点と、重心線318までの距離がゼロ、または所定の距離以下の場合、該オブジェクトの位置は正常であると評価される。また、オブジェクトを構成する横のラインが床面と略平行の場合、該オブジェクトの傾きは正常であると評価される。
【0109】
隣接するオブジェクト間の位置関係は、例えば、各オブジェクト間における所定の基準点同士(例えば、オブジェクトの所定の頂点同士)の距離や、各オブジェクト間の傾きの関係等が、各オブジェクトの位置及び傾きが正常である場合と比較して、どれだけズレているかに基づいて行うことが好ましい。
【0110】
次に、トレーナー側端末4は、ステップS33におけるオブジェクトの評価結果に基づいて、予め設定された複数の姿勢パターンの中からクライアントの姿勢パターンを決定する(ステップS34)。ステップS34では、例えば、ステップS33におけるオブジェクトの評価結果に基づいて、予め設定された複数の特徴候補の中からクライアントの姿勢に見られる特徴を選択し、選択された特徴に基づいて、姿勢パターンを決定することが好ましい。
【0111】
なお、姿勢パターンとは、例えば、所定の静止状態または動作状態をとらせたときに一般的に見られることの多い姿勢のタイプに基づいて分類されたものである。姿勢パターンは、例えば、立位姿勢正面、立位姿勢側面、オーバーヘッド・スクワット正面、オーバーヘッド・スクワット側面等の、評価対象の種類毎に設定されていることが好ましい。なお、ステップS34において決定された特徴及び/又は姿勢パターンは、例えば、後述のステップS6における運動メニューの決定に利用されることが好ましい。
【0112】
なお、ステップS33におけるオブジェクト位置等の評価、及びステップS34における特徴の決定及び姿勢パターンの決定は、トレーナー側端末4において自動的におこなっても良いし、トレーナーがオブジェクト位置等を評価し、クライアントの姿勢に見られる特徴及び姿勢パターンをトレーナー側端末4に選択入力することで行っても良い。
【0113】
また、トレーナー側端末4は、ステップS33における評価結果に基づいて、クライアントの筋の状態を推察する(ステップS35)。
図10は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、筋の状態の評価に関する模式図である。
図10の例では、立位姿勢を右側面から撮像した画像に基づいて作成されたオブジェクト画像を用いた場合の、筋の状態の評価を示している。
【0114】
オブジェクト画像321は、頭部オブジェクト322、胸郭オブジェクト323、骨盤オブジェクト324、膝部オブジェクト325、足部オブジェクト326、及び複数の連結線327a〜dから構成されている。マーカ331a〜dは、緊張(短縮)した状態にある筋(以下、「緊張筋」ともいう)の位置を示している。また、マーカ332a〜eは、弛緩(弱化)した状態にある筋(以下、「弛緩筋」ともいう)の位置を示している。なお、マーカ331a〜dによって示される緊張筋、及びマーカ332a〜eによって示される弛緩筋の具体例は、
図10中に例示している。なお、図示はしないが、重心線を表示する場合、例えば、外踝の約2cm前方から床面への垂直線を重心線とすることが好ましい。
【0115】
マーカ331aに対応する位置にある筋は、例えば、連結線327と胸郭オブジェクト323の上辺とがなす鋭角の角度が、各オブジェクトの位置及び傾きが正常な場合よりも小さくなっていることに基づいて、緊張筋であると推察されている。また、マーカ332aに対応する位置にある筋は、例えば、連結線327と頭部オブジェクト322の下辺とがなす鈍角の角度が、各オブジェクトの位置及び傾きが正常な場合よりも大きくなっていることに基づいて、弛緩筋であると推察されている。
【0116】
また、マーカ332cに対応する位置にある筋は、例えば、胸郭オブジェクト323の右辺の中点の位置から、胸郭オブジェクト323の右辺上を通って骨盤オブジェクト324の右上方の頂点へと至る経路の距離が、各オブジェクトの位置及び傾きが正常な場合よりも長くなっていることに基づいて、弛緩筋であると推察されている。
【0117】
上記のように、例えば、オブジェクトや連結線などにより形成される角の大きさや、オブジェクトや連結線上の所定の基準点同士の直線距離や経路距離など、所定の筋評価項目を、筋評価項目毎に設定された所定の筋評価基準に基づいて評価することで、筋の状態を推察することが可能である。
【0118】
なお、ステップS35における筋の状態の推察は、トレーナー側端末4において自動的におこなっても良いし、トレーナーが所定の筋評価項目を所定の筋評価基準に基づいて評価し、緊張筋または弛緩筋に関する情報をトレーナー側端末4に入力することで行っても良い。また、各姿勢パターンと、各姿勢パターンにおける筋の状態の推察結果とを関連付けて、予め記憶部に記憶しておいても良い。このような構成により、例えば、クライアントの姿勢パターンを決定するだけで、その姿勢パターンに対応する筋の状態の推察結果を得ることができるため、処理負荷を軽減することが可能になる。
【0119】
なお、ステップS35において推察された筋の状態は、例えば、
図10に示すようなオブジェクト画像とマーカとを一体的に表示したような画像を用いて、クライアントに示すことが好ましい。このような構成により、クライアントは、自己の身体の状況を把握することが容易になる。
【0120】
また、筋の状態の推察結果は、例えば、後述のステップS6における運動メニューの決定に利用されることが好ましい。具体的には、ステップS6において、緊張筋を緩める運動及び弛緩筋を強化するような運動メニューが選択されることが好ましい。
【0121】
図6のフローチャートの説明に戻る。トレーナー側端末4は、ステップS3における姿勢評価に関する画像を表示する(ステップS4)。
図11は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、姿勢評価に関する画像を表示する表示画面の一例である。トレーナー側端末4の表示画面には、姿勢種別表示欄401、現在画像表示欄402、特徴表示欄403、過去画像表示欄404、目標画像/非目標画像表示欄405、及びコメント欄406が表示されている。
【0122】
姿勢種別表示欄401は、評価対象となっている姿勢の種別を表示する欄である。
図11の例では、「立位姿勢正面」と表示されており、立位姿勢を正面から撮像した画像が評価対象となっている。姿勢種別表示欄401は、例えば、タッチ操作などの入力を受け付けることにより、他の姿勢種別に変更可能であることが好ましい。
【0123】
現在画像表示欄402は、ステップS3において評価した、現在のクライアントの姿勢に関する現在画像を表示する欄である。現在画像としては、例えば、ステップS2において撮像された画像、ステップS2において撮像された画像に基づいて生成された所定のオブジェクトの画像、又は、ステップS2において撮像された画像と該画像に基づいて生成された所定のオブジェクトとを一体的に表示する画像であることが好ましい。
図11の例において、現在画像表示欄402には、ステップS2において撮像された画像と、該画像に基づいて生成された所定のオブジェクトとを一体的に表示した画像が表示されており、さらに、各オブジェクトの近傍には、各オブジェクトの傾斜角度が表示されている。このような構成により、トレーナー及びクライアントは、クライアントの現在の身体の状況を把握することが容易になる。また、現在画像表示欄402の下部には、ステップS34において決定されたクライアントの姿勢パターンが表示されている。
【0124】
特徴表示欄403には、現在のクライアントの姿勢に見られる特徴が示されている。特徴表示欄403に表示される特徴は、例えば、ステップS34において決定された特徴である。
図11の例では、「胸郭 右傾斜」のチェックボックスにチェックが付いており、これは、現在画像表示欄402に表示された現在画像において、胸郭が右方向に傾斜していることを示している。また、「胸郭 右傾斜」のチェックボックスの下部には、「(50%改善)」と表示されている。これは、前回または初回等の過去の運動指導時からの改善度合いを示している。改善度合いは、過去と現在の姿勢に関する情報を比較して、トレーナー側端末4によって算出されるものであることが好ましいが、トレーナーが入力したものであっても良い。改善度合いを表示することで、クライアントに運動指導の効果を実感させ易くなり、運動指導を受け続ける動機付けを与えることが可能になる。
【0125】
過去画像表示欄404は、過去に撮像されたクライアントの姿勢に関する過去画像を表示する欄である。過去画像としては、過去において撮像されたクライアントの姿勢画像、過去において撮像されたクライアントの姿勢画像に基づいて生成された所定のオブジェクトの画像、又は、過去において撮像されたクライアントの姿勢画像と該画像に基づいて生成された所定のオブジェクトとを一体的に表示する画像であることが好ましい。過去画像表示欄404の近傍には、過去画像表示欄404に表示された画像が撮像された年月日が表示されることが好ましく、
図10の例では、過去画像表示欄404の下部に「2017年W月X日」と、撮像された年月日が表示されている。
【0126】
また、過去画像表示欄404には、例えば、直近の過去画像が表示されても良いし、タッチ操作などの入力を受け付けることにより、トレーナーやクライアントが希望する任意の年月日の過去画像を表示しても良い。現在画像と過去画像とを比較可能な態様で表示することにより、姿勢の改善度合いをクライアントに把握させ易くなる。なお、過去画像を表示するための情報は、トレーナー側端末4又はサーバ装置3の記憶部から取得する。
【0127】
また、より姿勢の改善度合いをクライアントに把握させ易くするという観点からは、例えば、過去画像と現在画像とを重ね合わせて一体的にしたような画像を生成し、表示することが好ましい。具体的には、ステップS2において撮像された画像に基づいて生成された所定のオブジェクトの画像と、過去において撮像されたクライアントの姿勢画像に基づいて生成された所定のオブジェクトの画像とに基づいて、それらを所定の基準点(例えば、重心線)が重なるように重ね合わせたような画像を生成し、表示することが好ましい。このような構成により、現在画像におけるオブジェクトと過去画像におけるオブジェクト間の変化が容易に把握でき、結果として、クライアントに姿勢の改善度合いをより把握させ易くなる。
【0128】
目標画像/非目標画像表示欄405は、姿勢種別表示欄401に表示された姿勢の種別に対応する、クライアントが目標とすべき姿勢を表す目標画像、又は、クライアントの姿勢における所定の評価基準を満たさない要素の少なくとも一部が共通する、クライアントが目標とすべきではない姿勢を表す非目標画像を表示する欄である。非目標画像の具体例としては、ステップS34において決定されたクライアントの姿勢パターンにおける特徴を顕著に表したような画像が挙げられる。なお、目標画像又は非目標画像を表示するための情報は、トレーナー側端末4又はサーバ装置3の記憶部から取得する。
【0129】
目標画像/非目標画像表示欄405に表示される画像は、例えば、トレーナーがトレーナー側端末4へとタッチ操作などの入力をすることにより、選択可能であることが好ましい。現在画像と、目標画像又は非目標画像とを比較可能な態様で表示することにより、クライアントの現在の姿勢がどのような点で問題を抱えているのかを、クライアントに把握させ易くなる。また、クライアントの現在の姿勢がどのような点で問題を抱えているのかを、クライアントにより把握させ易くするという観点からは、例えば、現在画像と、目標画像又は非目標画像とを重ね合わせて一体的にしたような画像を生成して、表示することが好ましい。具体的には、過去画像表示欄404について述べた態様と同様の構成を採用することが好ましい。
【0130】
コメント欄406は、現在のクライアントの姿勢に関する評価についてのコメントを表示する欄である。コメント欄406に表示されるコメントは、例えば、ステップS3における評価結果に基づいてトレーナー側端末4によって自動的に生成されたものでも良いし、トレーナーが入力したものであっても良い。姿勢に関する評価についてのコメントを表示することにより、クライアントの現在の姿勢がどのような点で問題を抱えているのかを、クライアントに把握させ易くなる。
【0131】
図6のフローチャートの説明に戻る。トレーナー側端末4は、ステップS3における姿勢評価の結果、及びステップS1において入力されたクライアントの身体の状況に関する情報に基づいて、クライアントの現在のステージを決定する(ステップS5)。クライアントのステージは、例えば、
図5に示されるような複数のステージの中から選択されることが好ましい。
【0132】
次に、トレーナー側端末4は、ステップS1において入力されたクライアントの身体の状況に関する情報、ステップS34において決定された姿勢パターン、又はステップS35における筋の状態の推察結果のうち少なくとも1以上に基づいて、クライアントに実施させる運動メニューを決定する(ステップS6)。よりクライアントに適した運動メニューを決定するという観点からは、ステップS6では、例えば、クライアントの身体の状況に関する情報、及び姿勢パターンに基づいて、運動メニューを決定することが好ましく、クライアントの身体の状況に関する情報、姿勢パターン、及び筋の状態の推察結果に基づいて、運動メニューを決定することがより好ましい。
【0133】
図12は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、マスタテーブルの一例である。ステップS6では、例えば、
図6に示すようなマスタテーブルを参照して、クライアントに実施させる運動メニューを決定する。
【0134】
マスタテーブル501は、症状部位502、症状種別503、及び症状レベル504といったステップS1において入力されたクライアントの情報と、ステップS34において決定された姿勢パターン505と、クライアントに実施させる運動メニュー506とを、関連付けて格納している。
【0135】
例えば、ステップS1において入力された症状がなく、ステップS34において決定された姿勢パターン505が「パターンA−1」の場合、ステップS6では、クライアントに実施させる運動メニュー506として、「運動メニューA1」が選択される。また、例えば、ステップS1において入力された症状がなく、ステップS34において決定された姿勢パターン505が「パターンB−1」の場合、ステップS6では、クライアントに実施させる運動メニュー506として、「運動メニューB1」が選択される。
【0136】
ここで、「パターンA−1」とは、例えば、ステップS3において評価されたクライアントの姿勢画像が、立位姿勢正面の画像であって、ステップS34において決定されたクライアントの姿勢パターンが「立位姿勢正面・パターン1」である場合を示す。また、「パターンB−1」とは、例えば、ステップS3において評価されたクライアントの姿勢画像が、オーバーヘッド・スクワットを正面から撮像した画像であって、ステップS34において決定されたクライアントの姿勢パターンが「オーバーヘッド・スクワット・パターン1」である場合を示す。
【0137】
また、例えば、ステップS1において、左肩部に運動後に生じる痛みがあり、その痛みの度合いが1〜3の範囲にあるとの入力さがされていた場合であって、ステップS34において決定された姿勢パターン505が「パターンA−1」の場合は、ステップS6では、クライアントに実施させる運動メニュー506として、「運動メニューA11」が選択される。なお、投薬やフィジカルセラピー等により症状が抑えられている場合は、機能的動作の向上のためにクライアントに実施させる運動メニュー506として、「運動メニューA1」が選択されても良い。
【0138】
クライアントが複数の部位に症状を抱えている場合は、例えば、全ての症状に基づいて複数の運動メニューを選択しても良いし、最も症状レベルの高い症状に基づいて運動メニューを決定しても良い。また、各症状の間で優先度を設定し、優先度の高い症状に基づいて、運動メニューを決定しても良い。
【0139】
同様に、ステップS34において複数種類の姿勢それぞれについて姿勢パターンを決定している場合は、全ての姿勢パターンに基づいて複数の運動メニューを選択しても良いし、例えば、正常な状態から最も離れていると評価される姿勢パターン等の所定の姿勢パターンに基づいて運動メニューを決定しても良い。また、各姿勢パターンの間で優先度を設定し、優先度の高い姿勢パターンに基づいて、運動メニューを決定しても良い。
【0140】
運動メニューには、例えば、少なくとも1種類以上の運動が含まれる。また、運動メニューには、該運動を行なうべき回数が含まれていることが好ましい。トレーナー側端末4には、ステップS6において決定された運動メニューに関する情報が表示される。表示される運動メニューに関する情報には、運動の名称、運動を実施する回数に加えて、例えば、運動のやり方を示す画像、運動の目的、運動の優先度などが含まれることが好ましい。このような構成により、クライアントに対して最も効果的な運動を、適切に実施させることが容易になる。また、運動の目的を理解して意識する結果、運動の効果をより高めることが可能になる。
【0141】
トレーナーは、ステップS6において決定された運動メニューの中から、例えば、優先度などを考慮して、クライアントにその場で実施させる運動、及びクライアントの自宅等で実施させる運動を決定する。
【0142】
図6のフローチャートの説明に戻る。トレーナー側端末4は、ステップS6において決定された運動メニューの中で、実際にクライアントがその場で実施した運動メニュー、実施した回数等の運動実績に関する情報の入力を受け付ける(ステップS7)。次に、トレーナー側端末4は、ステップS7において入力された運動実績に関する情報を、サーバ装置3に送信する(ステップS8)。
【0143】
なお、ステップS1において入力されたクライアントに関する情報、ステップS2において撮像されたクライアントの姿勢画像に関する情報、ステップS3において評価されたクライアントの姿勢の評価に関する情報、ステップS5において決定されたクライアントの属するステージに関する情報、ステップS6において決定された運動メニューに関する情報は、ステップS8において、運動実績に関する情報とあわせてサーバ装置3に送信されても良いし、各ステップのそれぞれにおいて、サーバ装置3に送信されても良い。
【0144】
また、ステップS1〜ステップS8までの各処理は、クライアント側端末1においても実行可能であることが好ましい。このような構成により、例えば、トレーナーからクライアントへの遠隔的な運動指導が可能になる。また、本実施の形態の変形例である、クライアント側端末1とサーバ装置3のみによる、トレーナーを介さない運動のプロセス管理を行うことも可能になる。
【0145】
また、ステップS3〜ステップS6までの各処理は、サーバ装置3において実行しても良い。このような構成により、トレーナー側端末4またはクライアント側端末1にかかる処理負荷を軽減することが可能になる。
【0146】
次に、サーバ装置3は、ステップS8において送信された情報を受信する(ステップS9)。次に、サーバ装置3は、受信した情報に基づいて、サーバ装置3の記憶部に記憶されているクライアントに関連付けられた情報を更新する(ステップS10)。ステップS8〜ステップS10までの各処理は、例えば、トレーナーがクライアントと対面して運動指導を行う場合に実施される。
【0147】
以下のステップS11〜ステップS23までの各処理は、例えば、トレーナーによるクライアントへの対面指導の後、クライアントがトレーナーと離れた場所(例えば、クライアントの自宅)にて、運動メニューを実施する場合の処理である。クライアント側端末1にてアプリケーションが起動され、サーバ装置3による認証等が完了すると、クライアント側端末1において本システムを利用することが可能になり、例えば、クライアントに関連付けられた情報がクライアント側端末1に表示可能になる。
【0148】
まず、クライアント側端末1において、クライアントが利用可能なサービス項目の中から、クライアントが希望するサービスの選択を受け付ける(ステップS11)。選択できるサービス項目としては、例えば、姿勢評価や運動実績の履歴や指導プロセスに関する情報などの閲覧、自宅で撮像した姿勢画像の評価、トレーナーとのコミュニケーションなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0149】
ここで、トレーナーとのコミュニケーションとは、例えば、トレーナーとクライアント間で意思や情報の伝達を行うことであり、具体的には、指導プロセスや運動メニューの実施方法などに関する質問をトレーナーに送ること、該質問に対する回答を閲覧すること、クライアントが自宅で実施した運動メニューをトレーナーへ報告すること、クライアントが自宅で実施した運動の様子を撮像した画像をトレーナーへ送ること、自宅で実施する運動または実施した運動に対するトレーナーからの評価やアドバイスを閲覧すること等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0150】
ステップS11において、トレーナーとのコミュニケーションが選択された場合、クライアント側端末1は、トレーナーへ送るメッセージ及び/又は画像(以下、「投稿内容」ともいう)の入力を受け付ける(ステップS12)。次に、クライアント側端末1は、ステップS12において入力を受け付けた投稿内容に関する情報を、サーバ装置3に送信する(ステップS13)。
【0151】
次に、サーバ装置3は、ステップS13において送信された情報を受信する(ステップS14)。ステップS14において受信した情報は、サーバ装置3の記憶部に記憶され、クライアント側端末1又はトレーナー側端末4からの要求に応じて、要求元の端末に送信される。
【0152】
次に、トレーナー側端末4から要求があった場合、サーバ装置3は、記憶部に記憶された投稿内容に関する情報を、トレーナー側端末4に送信する(ステップS15)。次に、トレーナー側端末4は、ステップS15において送信された情報を受信する(ステップS16)。次に、トレーナー側端末4は、ステップS16において受信した情報に基づき、クライアントの投稿内容を表示する(ステップS17)。
【0153】
次に、トレーナー側端末4は、クライアントへ送る投稿内容の入力を受け付ける(ステップS18)。ステップS18における投稿内容としては、例えば、クライアントの質問に対する回答、クライアントが自宅で実施した運動メニューに対する評価やアドバイス(例えば、正しい運動姿勢を示す画像など)、クライアントが自宅で実施すべき運動メニューに関する指示などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0154】
次に、トレーナー側端末4は、ステップS18において入力を受け付けた投稿内容に関する情報を、サーバ装置3に送信する(ステップS19)。次に、サーバ装置3は、ステップS19において送信された情報を受信する(ステップS20)。ステップS20において受信した情報は、サーバ装置3の記憶部に記憶され、クライアント側端末1又はトレーナー側端末4からの要求に応じて、要求元の端末に送信される。
【0155】
次に、クライアント側端末1から要求があった場合、サーバ装置3は、記憶部に記憶された投稿内容に関する情報を、クライアント側端末1に送信する(ステップS22)。次に、クライアント側端末1は、ステップS22において送信された情報を受信する(ステップS23)。次に、クライアント側端末1は、ステップS23において受信した情報に基づき、トレーナーの投稿内容を表示し(ステップS17)、終了する。
【0156】
ステップS17及びステップS23においては、例えば、投稿内容の一覧性の向上や投稿の経緯を把握し易くするという観点から、投稿された日時等の時系列に沿って、トレーナーの投稿内容とクライアントの投稿内容の双方を表示することが好ましい。
【0157】
ステップS12〜S23までのステップを有することにより、例えば、従来はトレーナーの目が届かなかった、クライアントが自宅で実施した運動に関しても、トレーナーが十分に関与できるようになり、クライアントの運動の質を向上させ、クライアントの身体の状態を改善させ易くなる。また、クライアントとトレーナー間で認識の相違などが生じる可能性を低下させ、クライアントの現状から目標に到達するまでの指導プロセスを、両者の間で十分に共有することが可能になる。