特許第6871401号(P6871401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871401
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】光ファイバを内蔵する医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20210426BHJP
   A61B 90/30 20160101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61F9/007 130F
   A61B90/30
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-547201(P2019-547201)
(86)(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公表番号】特表2020-500091(P2020-500091A)
(43)【公表日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】IB2017056965
(87)【国際公開番号】WO2018092002
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年5月15日
(31)【優先権主張番号】62/423,499
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】アリレツァ ミルスパッシ
(72)【発明者】
【氏名】バリー エル.ウィートリー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.パパック
(72)【発明者】
【氏名】チェンコアン テャオ
(72)【発明者】
【氏名】カンビス パルト
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ウィリアム マクドネル
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハリソン ファーリー
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−532139(JP,A)
【文献】 特表2013−537462(JP,A)
【文献】 特表2014−519869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0163897(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0004642(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/064580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/30 ― 90/35
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明付きマイクロ手術器具システムであって、
介入部位において医療処置を実行するように配置された遠位方向に突出する管状部材を有し、前記管状部材は遠位先端及び外面を有し、前記外面はその中に形成された平坦面を有するマイクロ手術器具であって、前記平坦面は平面であり且つ前記管状部材の長手方向軸線に対して平行であり、前記平面は、前記管状部材の壁厚が前記平坦面においてより薄くなるように、前記管状部材から材料を除去することによって形成されたものである、マイクロ手術器具と、
前記管状部材の一部を取り囲み、前記管状部材の前記遠位先端に向かって延びるシース部材と、
前記管状部材と前記シース部材との間で前記平坦面の長さに沿って前記シース部材の内面と前記管状部材の外面との間の空間内で延びる光ファイバであって、前記光ファイバの先端は前記管状部材の前記遠位先端に向けられている光ファイバと、
を含んでおり、
前記シース部材と前記光ファイバは、前記管状部材の全ての長さには沿って延びない、照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項2】
前記光ファイバは、少なくとも部分的に前記シース部材に関して所定の位置に固定される、請求項1に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項3】
前記管状部材の中に延びるルーメンは前記管状部材内の中央にある、請求項1に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項4】
前記シース部材の遠位縁は前記光ファイバより前記管状部材の前記遠位先端に近い位置に設置され、それによって前記光ファイバが前記遠位縁から後退している、請求項1に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項5】
前記光ファイバの前記先端は前記平坦面に向かってある角度で先端面取りされている、請求項1に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項6】
前記光ファイバの前記先端は、照明域を前記平坦面から実質的に反対に向けられるようにする、請求項5に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項7】
照明付きマイクロ手術器具システムであって、
介入部位において医療処置を実行するように配置された遠位方向に突出する管状部材を有し、前記管状部材は遠位先端及び外面を有し、前記外面はそこに形成された平坦面を有するマイクロ手術器具であって、前記平坦面は平面であり且つ前記管状部材の長手方向軸線に対して平行であり、前記平面は、前記管状部材の壁厚が前記平坦面においてより薄くなるように前記管状部材から材料を除去することによって形成されたものである、マイクロ手術器具と、
前記管状部材の一部を取り囲み、前記管状部材の前記遠位先端に向かって延びるシース部材と、
前記管状部材と前記シース部材との間で前記平坦面の長さに沿って前記シース部材の内面と前記管状部材の外面との間の空間内で延びる光ファイバであって、該光ファイバの先端は、前記管状部材の前記遠位先端に向けられていて、前記管状部材の遠位縁から近位方向に後退している光ファイバと、
を含む照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項8】
前記光ファイバの前記先端は前記管状部材の前記外面に向かって先端面取りされている、請求項7に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項9】
前記光ファイバの端面は、前記外面に関して約30度〜約40度の範囲の角度を形成する、請求項8に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項10】
前記光ファイバに隣接して、前記マイクロ手術器具の長さに沿って設置され、前記光ファイバを前記管状部材の前記外面と前記シース部材との間の圧縮力から保護するファイバガード部材をさらに含む、請求項7に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項11】
前記ファイバガード部材は、前記光ファイバの長さを取り囲む硬質の構造的部材である、請求項10に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項12】
前記ファイバガード部材は金属ワイヤ、グラスファイバ、又は硬質化されたポリマ材料で形成された線である、請求項10に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項13】
前記シース部材の側壁を通じて延びる開口をさらに含み、前記開口は前記シース部材の内壁と前記管状部材の前記外面とによって、それらの間に画定される空間へのアクセスを提供する、請求項7に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項14】
硬化した接着剤は、前記内壁と前記外面とによって、それらの間に画定される前記空間を少なくとも部分的に埋めて、それらの間にシールを提供する、請求項13に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項15】
前記光ファイバは第一の直径を有する近位部分と、前記第一の直径より小さい第二の直径を有する遠位部分とを有する、請求項7に記載の照明付きマイクロ手術器具システム。
【請求項16】
照明付き医療プローブであって、該照明付き医療プローブは、
人の手の中に保持されるように構成されたハンドピース筐体を具備しており、
前記ハンドピース筐体は、
照明源に連結された光ファイバを受けるように配置された近位端と、
カラー構造によって長尺管状部材に連結された遠位端であって、前記長尺管状部材は遠位先端及び外面を有し、前記外面はそこに形成された平坦面を有し、前記平坦面は平面であり且つ前記長尺管状部材の長手方向軸線に対して平行であり、前記平面は、前記長尺管状部材の壁厚が前記平坦面においてより薄くなるように前記長尺管状部材から材料を除去することによって形成されたものである、遠位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に配設された光ファイバ余長チャンバと、を含んでおり、
該照明付き医療プローブは、さらに、
前記光ファイバ余長チャンバ内で延び且つ前記カラー構造をとおして及び前記長尺管状部材の部分に沿って延びる光ファイバであって、該光ファイバの遠位領域がその遠位端において前記長尺管状部材の前記外面に前記平坦面の長さに沿って固定され、該光ファイバは、前記長尺管状部材に沿って軸方向に移動し且つ前記長尺管状部材と前記光ファイバ余長チャンバ内にある一つ以上の湾曲部を含む余長部との間で前記カラー構造をとおしてスライド可能に移動する光ファイバを備えており、
前記光ファイバは、前記長尺管状部材とシース部材との間で前記平坦面の長さに沿って前記シース部材の内面と前記長尺管状部材の外面との間の空間内で延びており、
前記シース部材と前記光ファイバは前記長尺管状部材の全ての長さには沿って延びない、
照明付き医療プローブ。
【請求項17】
前記長尺管状部材は外側硝子体切除針及び内側硝子体切除針を含む、請求項16に記載の照明付き医療プローブ。
【請求項18】
前記光ファイバ余長チャンバは、前記ハンドピース筐体内に、又は前記ハンドピース筐体に結合される柔軟なコンジット内に配設される、請求項16に記載の照明付き医療プローブ。
【請求項19】
前記光ファイバは、少なくとも部分的に、長尺シース部材に対して、前記長尺管状部材の円柱外面に固定される、請求項16に記載の照明付き医療プローブ。
【請求項20】
前記光ファイバは、第一の直径を有する近位ファイバ区間を前記第一の直径より小さい第二の直径を有する遠位ファイバ区間に結合する先細光ファイバ区間を含む、請求項16に記載の照明付き医療プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療処置で使用するためのシステムと器具に関し、より詳しくは、光ファイバを体腔内に挿入する必要のある方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置は多くの場合、人の眼の後眼房内等、特定の体内構造又は体腔の非常に限定された範囲内で行われる。例えば、網膜硝子体に対する処置は一般に、後眼部の多くの重篤な状態を治療するために行われる。特に、網膜硝子体に対する処置により、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜前膜、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎、並びにその他の数多くの眼科状態等の状態が治療されてもよい。
【0003】
外科医は、後眼部の明瞭な画像を提供するように設計された顕微鏡及び特殊なレンズを用いて網膜硝子体への処置を実行する。直径わずか1ミリメートル程度の幾つかの小さい切開創が強膜の毛様体扁平部に作られる。外科医は切開創からマイクロ手術器具、例えば眼内部を照明するための光源、手術中に眼球の形状を保つための灌流ライン、及び硝子体を切除するためのその他の器具等を挿入する。複数の器具を同時に使用する場合、各マイクロ手術器具のための別の切開創が提供される。
【0004】
このような処置中には、眼内部の適正な照明が重要である。典型的に、光ファイバが眼の切開創のうちの1つに挿入されて、照明が行われる。ハロゲンタングステンランプ又は高圧アークランプ(メタルハライド、キセノン)等の光源が、光ファイバにより眼球内に伝播される光を生成するために使用されてよい。光は幾つかの光学素子(典型的に、レンズ、ミラー、及び減衰器)を通過し、光を眼内に搬送する光ファイバへと伝送される。
【0005】
このような処置において、切開創は典型的に、眼の内部へと挿入されるマイクロ手術器具の大きさを受け入れるのに十分な大きさとされる。切開創の大きさを最小限にしようとする努力には一般に、マイクロ手術器具の小型化が含まれる。しかしながら、小型化は器具の強度又は剛性の低下の原因となりかねない。使用するマイクロ手術器具の大きさによっては、切開創を、その結果としてできる傷が実質的に自然治癒し、それによって縫合等、傷を閉じるための追加の処置を用いる必要がなくなるように小さくされてよい。また、切開創の数を少なくすることは、各種のマイクロ手術器具を一体化することによって実現され得る。例えば、光ファイバをマイクロ手術器具の作業端に組み込んでもよい。残念ながら、光ファイバをマイクロ手術器具に組み込もうとした少なくとも幾つかの従前の試みは、照明効率の低下又は、それ以外に光ファイバから発せられる光の分散に不利な影響を与えるようなその他の可視化の問題を招いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は例示的な照明付きマイクロ手術器具に関する。
【0007】
本願では例示的な手術システムが提供される。1つの一般的態様は照明付きマイクロ手術器具システムを含み、これは介入部位において医療処置を実行するように配置された遠位方向に突出する管状部材を有するマイクロ手術器具を含んでいてもよい。管状部材は、遠位先端及び外面を有していてもよく、外面はその中に形成された平坦面を有する。器具は、管状部材の一部を取り囲み、管状部材の遠位先端に向かって延びるシース部材と、管状部材とシース部材との間で平坦面の長さに沿って延びる光ファイバと、を含んでいてもよい。
【0008】
他の一般的態様は、他の照明付きマイクロ手術器具システムを含む。システムは、介入部位において医療処置を実行するように配置された管状部材を有するマイクロ手術器具を含んでいてもよく、管状部材は遠位先端及び円柱外面を有していてもよい。器具は、管状部材の一部を取り囲み、管状部材の遠位先端に向かって延びるシース部材と、円柱外面とシース部材の内面との間で管状部材の長さに沿って延びる光ファイバと、を含んでいてもよい。光ファイバの先端は、管状部材の遠位縁から近位方向に後退しているか、引っ込んでいる。
【0009】
本願では、例示的な硝子体切除プローブが提供される。1つの一般的態様は、照明付き医療プローブを含み、これは人が片手で持つように構成されたハンドピース筐体を含んでいてもよい。ハンドピース筐体は、照明源に連結された光ファイバを受けるように配置された遠位端と、長尺管状部材に連結された近位端と、を含んでいてもよい。照明付き医療プローブはまた、遠位端と近位端との間に設置された光ファイバ余長チャンバも含んでいてよい。それに加えて、照明付き医療プローブは光ファイバ余長チャンバ内に延び、長尺管状部材の一部に沿って延びる光ファイバを有していてもよい。光ファイバの遠位領域は、その遠位端において長尺管状部材に固定されてもよい。光ファイバは、光ファイバ余長チャンバ内に設置された屈曲部を含む余長部分を有していてもよい。
【0010】
上述の一般的な説明と以下の詳細な説明の何れも例示的及び説明的な性質のものであり、本開示の範囲を限定することなく、本開示が理解できるようにするためのものであると理解されたい。その点において、本開示の他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と以下の詳細な説明から当業者にとっては明らかであるであろう。
【0011】
添付の図面は、本明細書で開示される機器と方法の実装を例示しており、説明文と共に、本開示の原理を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の原理に即した実装による例示的な手術システムの斜視図を示す。
図2】本開示の原理に即した態様による、図1の手術システムの例示的なブロック図の説明図である。
図3】本開示の態様による例示的な手術器具の断面図である。
図4A】本開示の態様による図3の手術器具の斜視図である。
図4B】本開示の態様による、図4Aに含まれる手術器具の遠位端の一部の詳細な斜視図である。
図5A】本開示の態様による、図3の例示的な手術器具の遠位端の断面図である。
図5B】本開示の態様による、図5Aの例示的な手術器具の遠位端の、その照明パターンを示す端面図である。
図5C】本発明の態様による、図5Aの例示的な手術器具に含まれていてもよい光ファイバの遠位端の詳細図である。
図6A-6B】本開示の態様による例示的な手術器具の遠位端の詳細な斜視図である。
図7A-7C】本開示の態様による、例示的な手術器具に含まれていてもよい光ファイバの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面は、以下の詳細な発明を参照することによってよりよく理解され得る。
【0014】
本開示の原理の理解を促すために、ここで、図面に示される実装を参照し、具体的な文言を使ってこれを説明する。しかしながら、開示の範囲の限定は一切意図されていないことを理解されたい。本開示が関係する技術の当業者が通常着想するように、説明されている機器、器具、方法に対するあらゆる改変及びさらなる改良並びに本開示の原理のあらゆるさらなる応用は十分に想定される。特に、1つの実装に関して説明されている特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明されている特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされてもよいことが十分に想定される。簡潔にするために、幾つかの場合において、図面全体を通じて同じ参照番号を使って同じ又は同様の部品を示す。
【0015】
本開示は、体腔内に、その中で行われる手術中に別の切開創を作ることなく光ファイバを提供するシステムと器具に広く関係する。より詳しくは、本開示の幾つかの態様は、体腔内に位置決めされた光ファイバを通じて照明を提供するためのシステムと器具に関する。幾つかの例において、照明は、体腔内の他の手術器具又はツールの長さに沿って延びる光ファイバを通じて提供される。例えば、硝子体切除術は、眼内に挿入されて硝子体切除針を介入部位に位置決めするための硝子体切除プローブを使って、患者の眼から硝子体を除去するために行われてもよい。患者の眼に2つの切開創を形成するのではなく、光ファイバは硝子体切除針の一部に沿って位置決めされてもよい。光ファイバは遠位先端を有していてもよく、硝子体切除プローブの遠位先端が眼内に位置決めされると、光はそれを通じて後眼房内へと導入され、又は発せられる。硝子体除去は特に重要である可能性があり、それは、硝子体が残っていると術後の網膜裂孔、網膜剥離等の原因となる可能性があるからである。
【0016】
透明な硝子体は、その中に含まれる硝子体線維で光が散乱することにより可視化する。照明は硝子体切除プローブの切除部分の付近に向けられ、切除される硝子体がよりよく可視化される。実装に応じて、光ファイバは少なくとも部分的に硝子体切除針に、光ファイバの保護も行うシースにより固定されてもよい。それゆえ、本開示の実装は、体腔への進入を可能にするために作る必要のある切開創の数をなるべく少なくしながら、硝子体切除術等の体腔内の処置のための改善された照明を提供する。本開示の実装により提供される照明により、手術部位において、例えば硝子体切除針のポートにおいて高い照射が得られ得る。これは、高い信号対ノイズ比又はコントラストを提供して、硝子体内の線維を可視化しやすくし得る。本明細書では、硝子体切除術と機器に関する具体的な実装例が提供されているが、本開示の原理は硝子体切除器具及び処置以外にも広げられる。
【0017】
図1は、例示的な実装による手術システム100を示す。手術システム100は、本体筐体又はコンソール102と、関連する表示スクリーン104を含む。硝子体切除術に関する手術システム100の実装において、表示スクリーン104は、このような硝子体切除手術中のシステムの動作及びパフォーマンスに関するデータを示してもよい。ある実装において、コンソール102は移動式であってもよく、例えば必要に応じて移動することを容易にするためのキャスタ又はホイール105を含む。代替的な実装において、コンソール102はホイール105を含んでいなくてもよい。
【0018】
コンソール102は「本体筐体」と呼ばれてもよく、協働して外科医が眼科手術をはじめとする様々な医療処置を行うことができるようにするための複数のサブシステムを含んでいてもよい。マイクロ手術、又は単に「手術」器具110は、ハンドピースとして実装されてもよく、コンソール102に取り付けられていてもよく、手術システム100の一部を形成してもよい。手術器具110は、幾つかの実装では硝子体切除プローブであってもよい。それに加えて、器具110の幾つかの実装は、診断器具、画像化器具、又は治療用器具等の外科以外の医療器具を含んでいてもよい。図1に示されるように、手術器具110は、本明細書に記載されている硝子体切除サブシステムの一部を形成してもよい照明付き硝子体切除プローブである。
【0019】
手術器具110は、1つ又は複数のコンジットによってコンソール102に連結されてもよい。図の実装においては、手術器具110は第一のコンジット106及び第二のコンジット108によりコンソール102に連結されている。コンジット106及び108により、手術器具110はコンソール102の複数のサブシステムにアクセス可能となってもよい。例えば、第一のコンジット106は、コンソール102内のファイバサブシステムに連結された、又はその一部を形成する光ファイバを含んでいてもよく、その一方で第二のコンジット108は手術器具110を流体サブシステムに連結してもよく、又はその一部を形成してもよい。
【0020】
オペレータが手術システム100を制御しやすくするために、手術器具110自体がボタン又はダイヤル等の1つ又は複数の制御要素を含んでいてもよい。それに加えて、フットペダル109は、オペレータの足で作動させ、動作を停止させ、又は変更できる制御要素を含んでいてもよい。さらに、表示スクリーン104は、オペレータが手で操作できる制御手段がその上に表示されたタッチスクリーンであってもよい。手術システム100の各種の実装において、様々なサブシステム、例えば手術器具110の遠位領域における可視化、診断、又は治療をしやすくするためのファイバサブシステム等を制御しやすくするために、音声コントロール、キーボード、マウス等のその他の機構が提供されてもよい。
【0021】
図2は、コンソール102及びそれに関係する幾つかのそのサブシステムを含む手術システム100のブロック図である。図のように、コンソール102は、コンピュータサブシステム103、表示スクリーン104(図1)、及び、乳化吸引術又は硝子体切除手術等の眼科手術を行うために一緒に使用される多数のサブシステムを含む。コンピュータサブシステム103は、中央処理ユニット又は中央プロセッサ等の1つ又は複数の処理デバイスと、情報又はデータ記憶システムを含んでいてもよい。データ記憶システムは、1つ又は複数の種類のメモリ、例えばRAM(Random−access memory)、ROM(read−only memory)、フラッシュメモリ、ディスク型ハードドライブ、及び/又はソリッドステートハードドライブを含んでいてもよい。処理デバイス及び記憶システムはバスを通じて通信してもよく、バスによって手術システム100の複数のサブシステムの1つ又は複数との、及びそれらの間の通信も可能になってよい。
【0022】
図2の例示的な実装のサブシステムは、例えば、図1のフットペダル109を介した制御を容易にするためのフットペダルサブシステム130を含んでいてもよい。図の手術システム100は流体サブシステム140をさらに含み、これは吸引バキューム142と、流体導管146に接続された灌流ポンプ144を含んでいてもよい。手術システム100は、手術器具110の動作を制御しやすくするためのハンドピースサブシステム112を含む。例えば、ハンドピースサブシステム112は、手術器具110に連結された照明源をオン又はオフにする手術器具110からの制御信号を受信してもよい。
【0023】
含められるファイバサブシステム120の実装は、照明源を提供してもよい。ファイバサブシステム120のその他の実装は、アブレーションのためのレーザ光を提供してもよく、光ファイバを通じた画像化において使用されてもよく、又はその他の機能。ファイバサブシステム120は、照明サブシステムであってもよく、第一及び第二のコンジット106及び108の一方の中に延びる光ファイバによって手術器具110に連結されてもよい。ファイバサブシステム120は、照明源又は光源を含んでいるか、又はそのように呼ばれてもよいが、照明源又は光源は、ファイバサブシステム120の幾つかの構成要素のうちの1つの構成要素であってもよい。ファイバサブシステム120の実装は、センサ、レンズ、フィルタ、及びその他の光学デバイスをさらに含んでいてもよい。
【0024】
手術システム100は、通信モジュール152を含む制御サブシステム150をさらに含む。制御サブシステム150は、手術システム100に含まれるサブシステム間の通信を容易にしてもよい。例えば、オペレータは、フットペダル109を介して入力を提供してもよい。入力は、フットペダルサブシステム130によって、例えば手術器具110に提供される照明の強度を変化させるための制御信号として説明又は符号化されてもよい。フットペダルサブシステム130は、制御信号を制御サブシステム150に通信してもよく、これはファイバサブシステム120と相互作用して、サブシステム120により提供される照明の特性を変化させたり、照明をオン又はオフに切り替えたりしてもよい。幾つかの実装において、手術器具110は、追加的又は代替的に、照明状態又は強度を制御するために使用されてもよい。例えば、手術器具110は、オペレータからの照明を調節するための入力を受け取るディマスイッチ又はその他の制御機構を含んでいてもよい。
【0025】
これらのサブシステム及びその他が、他の実装において追加的又は代替的に含められてもよい。手術中に異なるサブシステムのパフォーマンスを最適化するために、動作パラメータは、例えば行われる特定の処置、処置の段階の違い、外科医の個人的な好み、処置が患者の眼の前側部分と後側部分の何れで行われているか等に応じて異なる。
【0026】
コンソール102の各種のサブシステムは、それぞれのマイクロ手術器具又は器具構成要素の動作及び制御のための制御回路を含む。コンピュータサブシステム103と制御サブシステム150は異なるサブシステム間の相互作用及び関係を統制し、ダイナミックに再定義して、眼科手術を適正が実行され、ディスプレイ104を通じて、及び/又は連結された顕微鏡もしくはウェアラブルコンピューティングデバイスを通じて手術システム100のオペレータに情報が適正に通信されるようにしてもよい。
【0027】
図2に示されるように、手術器具110は手術システム100内の各種のサブシステムに連結されてもよい。図のように、手術器具110は、ハンドピースサブシステム112、ファイバサブシステム120、及び流体サブシステム140に図1に示されるようなコンジット106及び/又は108を介して接続される。
【0028】
入力装置を使用し、外科医、科学者、又はその他の使用者は、コンソール102の各種のサブシステム間の関係に影響を与え、手術器具110及び/又はコンソール102に接続されたその他の器具のパフォーマンスに影響を与えるパラメータを選択又は調整してもよい。例えば、外科医はファイバサブシステム120に提供される光の強度を増減してもよい。それに加えて、外科医は手術器具110の動作のための1つ又は複数のパラメータ、例えば手術器具110に含まれる硝子体切除機構の真空吸引パラメータ又は振動パラメータを変化させてもよい。したがって、使用者の入力に基づいて、使用者はシステムプログラマによってコンソールの中にコード化されていたものから関係を変更又は調整してもよい。
【0029】
手術器具110はファイバサブシステム120からの光を受け取るように構成されているため、外科医は複数の切開創を必要とせずに、及び患者の眼又はその他の体腔もしくは領域の小さい範囲内で2つ又はそれ以上の別々の機器を操作し、扱うことなく、手術器具110の遠位端により、又はその付近で実行される手術の局面を可視化することができてもよい。
【0030】
図3は、図1及び2に示される手術器具110に対応してもよい例示的な硝子体切除プローブ300の部分断面図を示している。この例において、プローブ300は使用中に外科医が片手で持つように構成された空気圧式の硝子体切除プローブであってもよい。プローブ300は、近位端302と遠位端310を有するハンドピース筐体301を含む。プローブ300の幾つかの実装は、近位端302において突出している連結部304に連結されていてもよい図1の第二のコンジット108を介して空気圧を受け取ることによって動作する。連結部304はプローブ300の近位端302を第二のコンジット108に、返し、接着剤、又はその他の連結手段によって取り付けてもよい。近位端302は、図1の第一のコンジット106を受けるか、又はそれに連結されるように構成された追加の連結部306をさらに含む。
【0031】
この実装では、第二のコンジット108は、プローブ300の構成要素に振動エネルギーを提供する作動エネルギー源を提供する。図のように、空気圧源は図2の流体サブシステム140の一部を形成してもよく、ここではダイアフラム308として示されている振動モータに連結されていてもよい。幾つかの実施形態において、振動運動は振動電気モータ又はその他の非空気圧式手段により提供されてもよい。さらに、コンジット108はプローブ300を通じた物質の吸引を可能にする吸引源に連結されてもよい。ダイアフラム308を振動させることにより、駆動部材309もまた動揺又は振動させられてよい。駆動部材309は、近位端302と遠位端310との間に延びてもよい。駆動部材309は、その中に延びるルーメンを有する長尺管状部材であってもよく、それによって物質がコンソール102へと吸引されてもよく、又は物質が駆動部材309を通じてプローブ300の遠位端310へと送出されてもよい。
【0032】
図3に示されるように、ハンドピース筐体301の遠位端310は、ある程度の剛性と支持力を硝子体切除針320に提供するカラー構造312を含むか、これを支持する。硝子体切除針320は、ここに記載され、さらに詳しく説明されるように、硝子体切除術中に針320の遠位先端322の付近の硝子体を切除するために使用されてもよい内部及び外部構成要素を含んでいてもよい。
【0033】
ハンドピース筐体301は、近位端302から遠位端310へと延びるチャンバ330を含む。チャンバ330は、本明細書においては、光ファイバ余長チャンバ330と呼ばれてもよい。ある長さの光ファイバ332は、余長チャンバ330の中で延びる。例えば、光ファイバ332は、ファイバサブシステム120から、第一のコンジット106を通じて、光ファイバ余長チャンバ330を通り、カラー構造312を通り、硝子体切除針320に沿って延びてもよい。ファイバの終端は、針320に沿ったどこでも、例えばその遠位先端322において、もしくはその付近で、又はハンドピース筐体301の遠位端310により近い箇所に置かれてもよい。光ファイバ332は、幾つかの実装において、ファイバ332の遠位領域で針320に固定されてもよく、これによって、光ファイバ332が針320とは独立して軸方向に移動できる針の近位領域が提供されてもよい。他の幾つかの実装において(例えば、図4A〜6Bからわかるように)、光ファイバ332はシース340に固定されてもよい。針320が医療処置での使用中に曲がった場合、ファイバ332の、針320に沿って延びる部分は、針320の屈曲方向に応じて相対的に軸方向に移動してもよい。光ファイバ332に張力を提供するために、カラー構造312は1つ又は複数の通路を含んでいてもよく、これは光ファイバ332が管状部材342とシース340との間の空間内で針320の近位領域に沿って独立して長さ方向に移動できるように、また光ファイバ332が針320と余長チャンバ330との間のまっすぐの、斜めの、又は湾曲した経路を通じてスライド可能に移動できるようにする案内表面を有する。余長チャンバ330は、1つ又は複数のファイバ屈曲部334における余長光ファイバを収容するのに十分な空間を含んでいてもよい。ファイバ屈曲部334は、光ファイバ332を通る照明に影響を与えず、その一方で光ファイバ余長チャンバ330内にある量の余長光ファイバを提供できるのに十分な大きさの曲率半径を有していてもよい。光ファイバ332は、余長チャンバ330の近位部分内に、又はハンドピース筐体301の遠位端に固定された部分を有していてもよい。したがって、余長ファイバは、硝子体切除針320が曲がる分に対応できる量であってもよい。プローブ300の幾つかの実装は、ハンドピース筐体301内に含まれる余長チャンバ330に追加して、又はその代わりに、連結されたコンジット106の中に光ファイバ余長チャンバを含んでいてもよい。
【0034】
図4A及び4Bは、図3のプローブ300の斜視図を提供する。これらの図はどちらも、針320の実装を示している。図4Aに示されるように、針320は、長尺管状部材342の外面に沿って延びるシース340を含む。長尺管状部材342は、シース340の遠位縁349(図5Aにより詳しく示されている)より先まで延びる。遠位先端322は、長尺管状部材342の遠位先端であってもよい。図4Bは、図4Aに示される針320のより詳細な図である。図4Bはさらに、長尺管状部材342が開口又はポート346を含むことができることを示しており、その中に硝子体切除術中に硝子体が吸引され、切除されてもよい。図4Bはまた、シース340の開口348も示している。開口348は窓を提供してもよく、それを通じて液体又はゲルシーラント材料が導入されて、シース340の内面と長尺管状部材342の外面との間に存在するあらゆる小さいギャップが密閉されてもよい。幾つかの実装において、シーラントの導入のためにシース340に複数の開口が提供されてもよい。開口348はまた、筐体301の遠位端310におけるカラー構造312に、又はその付近に提供されてもよい。幾つかの実装において、シーラントは開口348を通じて注入できるゲルである。ゲルは注入後に硬化されて、さらにシース340と長尺管状部材342との間の適正なシールが確実になされてもよい。光ファイバ332をシース340に固定することによって、光ファイバ332がシース340に関して受動的に整列されてもよい。受動的整列により、グレアが最小化され、組立コストが削減され得る。
【0035】
図5Aは、その中で、図3A〜Cの硝子体切除針320の遠位領域の断面図を示している。シース340は、長尺管状部材342と、長尺管状部材342のルーメン347内に延びる長尺管状部材である内側管状部材343を取り囲む。内側管状部材343の遠位縁339は、内側管状部材343がルーメン347内で前後に振動し、ポート346を通過して往復する(cycles)際に硝子体の切除を容易にするような形状であるか、そのような形状を含んでいてもよい。ポート346内に吸引された硝子体は、振動する内側管状部材343により切除されてもよい。
【0036】
シース340はさらに、光ファイバ332を取り囲み、収容する。シース340の遠位縁349は、ポート346の中心から距離D1だけずらされていてもよい。距離D1は、幾つかの実装において、約2mm〜約3mmの範囲であってもよい。他の実装の距離D1は、この範囲より大きくても少なくてもよい。光ファイバ332は、その遠位端において端面352を含む。照明ビーム354の中の照明は、端面352から発せられて、ポート346の付近の領域を照明してもよい。例えば、硝子体切除術中、照明ビーム354は図5Bに示されるように、概して卵形であって、その中心は照明中心点356にあってもよい。図5Aに示されるように、照明ビーム354は角度A1で広がってもよく、長尺管状部材342の外面に対して接線方向である部分を有していてもよい。プローブ300の幾つかの実装において、端面352には、照明ビーム354のどの部分も長尺管状部材342の外面と一切接触しないような角度が付けられていてもよい。例えば、図5Cは、光ファイバ332の遠位端及びその端面352の詳細図を提供している。端面352は、角度A2を形成するような先端面取りされた面であってもよく、これは約20°〜約50°の範囲であってもよい。幾つかの実装において、角度A2は約35°である。他の実装では他の角度も想定される。
【0037】
光ファイバ332の遠位端の端面352を保護するために、図5Aに示されるように、その遠位端はシース340の遠位縁349から距離D2だけずらされていてもよい。プローブ300の実装は、約10μm(マイクロメートル)〜約50μmの範囲の距離D2を含んでいてもよい。幾つかの実装において、距離D2は約25μmであってもよい。この距離D2は、光ファイバ332及び端面352の十分な保護を提供してもよく、また、照明ビーム354の角度A1に限界を設けることにより、光を制御し、外科医が遠位先端322の付近の組織の実体をよりよく可視化できるようにして、外科医がポート346を介して硝子体を除去するのを助けてもよい。図5Aに示されるように、照明中心点356には、外側管状部材342の表面から遠ざかるように角度が付けられ、グレアが外面から反射されないようにしてもよい。幾つかの実装において、照明ビームの幾つかの光線は、外側管状部材342の外に入射してもよい。
【0038】
長尺管状部材342の外面とシース340の内面との間のギャップは、光ファイバ332の一部を覆う充填材料358をさらに含む。充填材料358は、光ファイバ332を長尺管状部材342及び/又はシース340に固定する役割を果たす接着性材料であってもよい。幾つかの実装において、充填材料358は、図4Bに示されるようなシース340の開口348を通じて注入されるシーラント材料の一部であってもよい。
【0039】
ここで、図6A及び6Bを参照すると、そこにはプローブ300の針320の遠位部分の実装が示されている。図6Aに示されるように、シーラント材料がシース340の開口348から見える。シーラント材料は、本来であれば長尺管状部材342とシース340との間に存在するであろうすべてのギャップを埋めてもよい。図6Aはまた、長尺管状部材342上に形成された平坦面360も示している。平坦面360は、光ファイバ332を固定するための表面を提供してもよい。さらに、平坦面360は、長尺管状部材342から材料を除去して長尺管状部材342の壁の厚さが平坦面360においてより薄くなるようにすることによって生成されてもよい。これによって、針320の直径の増大を抑制しながら光ファイバ332を含めることが容易になり得る。したがって、平坦面360を提供するために除去される壁の厚さは、光ファイバ332の太さに対応してもよい。それゆえ、硝子体切除プローブに関する幾つかの例示的な実装において、約20μm〜約150μmの厚さが取り除かれてもよい。長尺管状部材342の幾つかの実装において、その中に延びるルーメン347は、平坦面360と反対にずらされて、平坦面360における壁と、長尺管状部材342の平坦面360とは反対の壁の厚さが実質的に均一となるようにされてもよい。幾つかの実装において、平坦面360は平面であってもよい。
【0040】
図6Bは、長尺管状部材342の外面が完全に円柱形であり、すなわち図6Aに示される平坦面360を含まない針320のある実装を示している。図6Bの実装はさらに、光ファイバ332をシース340の下の所定の位置に固定するための充填材料358のパッチを示している。図の実装はまた、ファイバガード部材364と呼ばれる長尺構造も示しており、これは長尺管状部材342の長さに沿って延びる。ファイバガード部材364は、シース340により加えられる圧縮力が光ファイバ332のパフォーマンスに不利な影響が及ぶのを防止し得、光ファイバ332が長尺管状部材342の中心軸に平行に整列された状態のままであるのを確実にし得、また、光ファイバ332が長尺管状部材342の近位領域に沿って、それと関係なく軸方向に自由に移動し、光ファイバ332への軸方向の張力を軽減し、その一方で、それが余長チャンバ330から独立して出入りできるようにするのを確実にし得る。幾つかの実装において、光ファイバ332は、光ファイバ332の長さの大部分においてファイバガード部材364に沿って延びていてもよい。ファイバガード部材364は、金属又はポリマ材料で製作され、長尺管状部材342の外面に溶接、接着、又はそれ以外に結合されたワイヤ等の長尺構造又は、整列された一連の構造であってもよい。ファイバガード部材364のその他の実装は、グラスファイバ又は、硬質化又は硬化された接着剤等のポリマ材料の線を含んでいてもよい。ファイバガード部材364の太さは光ファイバ332の直径より大きくてもよく、これは、各種の実装において、約20μm〜約150μmの範囲であってもよい。したがって、ファイバガード部材364の厚さは、実装に応じて約30μm〜約200μmの範囲であってもよい。当然のことながら、針320の幾つかの実装は、平坦面360とファイバガード部材364の両方を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、光ファイバ332を取り囲むファイバガード部材364は、光ファイバ332を保護するために提供されてもよい。例えば、ファイバガード部材364は、光ファイバ332の長さの周囲の金属化層により提供されてもよい。金属化層は、光ファイバ332の金属化部分に構造的剛性を提供してもよい。幾つかの実施形態において、金属以外の他の硬質ポリマが使用されてもよい。このような保護コーティング又は包囲構造を有する光ファイバ332の実施形態の直径は、例えば200μm未満又は50μm未満であってもよい。
【0041】
次に、図7A、7B、及び7Cを参照すると、そこには光ファイバ332の幾つかの実装において使用されてもよい光ファイバ700の態様が示されている。光ファイバ700は、透過アセンブリ702と遠位アセンブリ704を含んでいてもよい。透過アセンブリ702は、光ファイバ700の全長の約80%又は90%を含んでいてもよい。例えば、透過アセンブリ702は長さ約90インチであってもよく、その一方で遠位アセンブリ704は長さ約10インチであってもよい。図7Aは、光ファイバ700の近位端に設置された光ファイバ連結部706を示している。連結部706は、光ファイバ700を図1のコンソール102に、又はそこに含まれるファイバサブシステム120に固定してよい。連結部706は、光ファイバ700の近位端付近に、よじれを防止してもよい長尺部分を含んでいてもよい。光ファイバ連結部706は、柔軟な外側部材707に接続され、これは図1に示され、本明細書で説明される第一のコンジット106であってもよい。したがって、柔軟な外側部材707は、光ファイバコア708を含み、それを保護してもよい。
【0042】
図7Bは光ファイバコア708を、光をその全長に沿って透過させるように軸方向に整列され、結合された複数の構成要素を有する複合的な光ファイバコアとして示している。光ファイバコア708の幾つかの実装は、第一のファイバ部分710Aと第二のファイバ部分710Bを含んでいてもよい。ファイバ部分710A及び710Bは、同じ材料から形成されても、異なる材料から形成されてもよい。例えば、ファイバ部分710Aはシリカ又はホウケイ酸塩ファイバであってよく、その一方でファイバ部分710Bはプラスチックファイバであってもよい。他の実装において、ファイバ部分710Aは、プラスチックファイバであってよく、その一方で、ファイバ部分710Bはグラスファイバである。ファイバ部分710A及び710Bは相互に接着又は融合されてもよい。
【0043】
図7Cに示されるように、ファイバ部分710A及び710Bは、第一の半径の近位端と第二の半径の遠位端を有する光ファイバ先細区間712により結合されてもよい。光ファイバ先細区間712は、異なる直径のファイバ部分を結合してもよい。幾つかの実装において、光ファイバ先細区間712は、光ファイバコア708を加熱して、ファイバを引き伸ばすことによって形成されてもよい。幾つかの実装において、光ファイバ先細区間712は長さ約20mmであってもよく、直径約100μmの光ファイバ部分710Aを直径約30μmの光ファイバ部分710Bと結合してもよい。これらの寸法は例示的にすぎず、実装に応じて異なる。幾つかの実装において、1つの連続的な光ファイバコアが光ファイバ700の全長にわたって延びる。
【0044】
本明細書に記したように、より具体的な実装の幾つかは、光ファイバが硝子体切除プローブの遠位先端において硝子体を照明する硝子体切除フローブに関して説明されている。留意すべき点として、説明されている光ファイバは他の実装では他の機能を提供してもよい。例えば、手術器具110の実装に含められる光ファイバは、手術器具の遠位先端において光凝固レーザを提供するレーザ光を透過させてもよい。それに加えて、手術器具110は、他の実装では外科以外の医療器具であってもよい。例えば、追加の実装では、光ファイバは、医療器具の実装により行われる何れかの外科的機能ではなく、又はそれに加えて、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化の実行の中で利用されてもよい。したがって、このような手術器具は本開示の範囲の中に含められる。
【0045】
当業者であれば、本開示により含まれる実装が上述の特定の例示的な実装に限定されないことがわかるであろう。その点で、例示のための実装を図示し、説明したが、上述の開示においては幅広い改良、変更、及び置換が想定されている。このような変更は上述のものに加えられてよく、それも本開示の範囲から逸脱しないと理解されたい。したがって、付属の特許請求の範囲を広く、本開示に即した方法で解釈することが適当である。
図1
図2
図3
図4A-B】
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A-7C】