(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誘導コイルに近接した物体が、前記磁界に対抗する渦電流を誘導し、該渦電流は前記可変インダクタのインダクタンスを変化させ、該インダクタンスは前記第2RX信号によって表される、請求項4に記載の組合せセンシング回路。
前記第1モードにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量を表す値を出力するように構成され、前記第2モードにおいて、前記第1電極及び前記第2電極のインダクタンスを表す値を出力するように構成された電荷測定回路をさらに具えている、請求項7に記載の組合せセンシング回路。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
多数の電子装置は、ユーザが当該電子装置と対話するためのタッチセンサ(本明細書中ではセンシング装置または単位セルとも称する)を含む。例えば、現金自動預け払い機(ATM:automatic teller machine)、インフォメーションセンター(案内所)、スマートホン、自動販売機、洗濯機、テレビジョン、コンピュータ、及び冷蔵庫は、センシング装置、及びこれに対応するタッチセンシング回路を含むことができる。物体がセンシング装置にタッチ(接触)または近接すると、センシング装置を用いて検出したこの物体の存在及び位置を、タッチセンシング回路を用いて捕捉して記録することができる。
【0006】
ボタンまたは他の機械式制御装置とは異なり、センシング装置はより高感度にすることができ、タップ、スワイプ、及びビンチのような異なる種類のタッチに対して異なるように応答することができる。異なる種類のセンシング装置が、異なる種類の物体に対して異なるように応答することもできる。静電容量、インダクタンス、または抵抗を測定するための種々の技術が存在するが、これらの異なる技術は、異なる種類のセンシング装置及び異なる回路を用いて、静電容量、インダクタンス、または抵抗を測定する。例えば、誘導センシングを用いて鉄類及び非鉄金属を検出することができ、静電容量センシングを用いて鉄類及び非鉄の導電性物体を検出することができる。従来は、異なる種類の物体を検出するためには、装置が、これらの異なる種類の物体を測定するための異なるセンシング素子及び異なる回路を含まなければならない。これらの異なるセンシング素子及び回路の統合は、特に装置の形状因子(フォームファクター)が小さい際には、コストまたは装置内の利用可能な空間の観点から実現可能でないことがある。
【0007】
本発明の実施形態は、誘導センシングと静電容量センシングとを組み合わせるための技術を説明する。これらの実施形態は、異なる種類の物体を検出するために用いることができるセンシング装置、及び誘導センシングと静電容量センシングとを用いてこれらの異なる種類の物体を検出するために用いることができる誘導センシング回路と静電容量センシング回路との組合せを提供することができる。一実施形態では、第1モードでは上記センシング装置を静電容量センシング用に用いることができ、そして第2モードでは同じセンシング装置を誘導センシング用に用いることができる。一実施形態では、誘導センシング回路と静電容量センシング回路との組合せ(本明細書中では「タッチセンシング回路」または「センシング回路」とも称する)が、ある種の静電容量センシング回路を、第1モード(誘導センシングモード)ではセンシング素子のインダクタンスを測定することができ、第2モード(静電容量センシングモード)ではセンシング素子の静電容量を測定することができるような方法で使用し、これについては本明細書中でより詳細に説明する。センシング回路が静電容量センシングモードで動作する際には、センシング回路は上記センシング装置を用いて、静電容量センシング技術を用いて物体を検出することができる。センシング回路が誘導センシングモードで動作する際には、センシング回路は、センシング装置に近接した鉄類及び非鉄金属の物体を、誘導センシング技術を用いて検出することができる。
【0008】
一実施形態では、上記センシング回路が、1)第1モードでは第1信号を、第2モードでは第2信号を第1端子上に出力する信号発生器と;2)第1モードでは第3信号を、第2モードでは第4信号を第2端子上で受信する電荷測定回路とを含む。第3信号は、第1端子と第2端子との間に結合されたセンシング装置のインダクタンスを表し、第4信号は、このセンシング装置の静電容量を表す。他の実施形態では、上記センシング装置が、第1ノードに結合された第1端子と、第1ノードに結合された第1電極と、第2端子と、第2端子に結合された第2電極とを含む。上記センシング装置は、誘導コイル及び第1コンデンサも含む。第1モード(静電容量センシングモード)では、第1信号を第1端子で受信し、第2信号を第2端子上に出力する。第2信号は上記センシング装置の静電容量を表す。第2モード(誘導センシングモード)では、第3信号を第1端子で受信し、第4信号を第2端子から出力する。第4信号はセンシング装置のインダクタンスを表す。
【0009】
図1に、一実施形態による自己容量検出用のセンシング回路100を示す。センシング回路100は、プロセッサ119、電荷測定回路(CMC:charge measurement circuit)110、汎用入力/出力(GPIO:general purpose input/output)112、センシング・コンデンサ(C
sense)114、GPIO116、及び変調器コンデンサ(C
mod)118を含むことができる。GPIO112及びGPIO116は、上記センシング装置、並びに他の外部装置のような外部構成要素に結合するように構成されたあらゆる種類の端子とすることができる。一例では、GPIOは、回路への接続点である端子とすることができる。GPIOはピン、パッド、はんだバンプ、等に結合することができる。他の例では、GPIOは特殊出力端子、専用出力/入力端子、等を含むことができる。これらのGPIOは、ピンまたはパッドを電源、接地、高インピーダンス(ハイZ)、(センシング回路のような)内部回路、パルス幅変調器(PWM:pulse width modulator)、等に接続するための内部ルーティング(経路設定)メカニズムとすることができる。
【0010】
図1では、GPIO112がセンシング素子114に結合され、センシング素子114は単一電極である。CMC110は、この単一電極の自己容量を接地電位に対して測定することができる。このため、センシング素子114(C
sense)は外部コンデンサとして表す。CMC110は、変調器コンデンサ(C
mod)118を用いてセンシング素子114上の静電容量を測定することができる。一部の実施形態では、
図1に示すように、C
mod118はGPIO116に結合された外部コンデンサである。一例では、CMC110は、静電容量−デジタル変換器(CDC:capacitance-to-digital converter)とすることができる。他の例では、CMC110は、電荷転送回路、静電容量センシング電荷測定回路、静電容量センシング・シグマ−デルタ(CSD:capacitive sensing sigma-delta)回路、等とすることができる。このCSD回路は物理的構成部品、電気部品、及びソフトウェア・コンポーネントを含むことができる。
【0011】
CSD回路は(上記センシング装置としての)静電容量センシング素子のアレイを有することができ、これらの静電容量センシング素子は、アナログ・マルチプレクサ、デジタルカウント機能、及び環境によるセンサ素子の変動及びセンサ素子の物理的変動を補償するためのハイレベル(高水準)ソフトウェア・ルーチンを通してシグマ−デルタ変調器に結合されている。上記物理的構成部品は、物理的なセンサ素子自体を含むことができ、この物理的なセンサ素子は一般に、絶縁カバー、フレキシブル膜、または透明オーバーレイ(上覆い)を有するプリント回路基板(PCB:printed circuit board)上に構成されたパターンである。一実施形態では、上記物理的構成部品が、基板上に配置された酸化インジウムスズ(ITO:indium tin oxide)のような透明導体を含むこともでき、この基板も透明にすることができる。上記電気部品は、充電された静電容量を測定信号に変換することができる。上記電気部品は演算増幅器(オペアンプ)を含むことができ、この演算増幅器はビットストリームを出力することができ、このビットストリームはカウンタ回路またはタイマー回路によって数値化することができる。上記ソフトウェア・コンポーネントは、カウント値をセンサ素子の検出判定に変換するための検出及び補償ソフトウェア・アルゴリズムを含むことができる。
【0012】
図1に示すように、CMC110はGPIO112及びGPIO116に結合することができる。一例では、GPIO112はCMC110の第1端子とすることができ、GPIO116はCMC110の第2端子とすることができる。端子は、ピン、パッド、はんだバンプ、あるいは異なる装置または構成部品の導体どうしを接続するための他のメカニズムとすることができる。動作中には、CMC110はセンシング素子114(C
sense)を用いて電荷測定値を取得することができる。例えば、CMC110は、センシング装置の電極を充電及び放電してセンシング素子114(C
sense)の静電容量を測定することができる。CMC110は、測定した静電容量をデジタル化して累積電圧値またはビットストリームにすることができる。一実施形態では、CMC110は電荷測定値を基準値と比較して、電荷測定値と基準値との差を決定することができる。一実施形態では、基準値は電荷測定回路110によって測定した以前の値とすることができる。他の実施形態では、基準値を所定値とすることができる。この所定値はデフォルトの基準値とすることができ、あるいは長期間にわたって取得した、以前に測定した電荷測定値から導出することができる。上記の差の値は、電荷測定値と基準値との差を示すことができる。一例では、CMC110がこの差の値をプロセッサ119に送信することができる。プロセッサ119またはCMC110は、この差の値が閾値を超えるか否かを判定することができる。この差の値が閾値を超える際には、この差の値は物体がセンシング素子114(C
sense)に近接していることを示す。この差の値が閾値を超えない際には、この差の値は、静電容量センシングを用いて検出することができる物体がC
sense114に近接していないことを示す。
【0013】
図2Aに、一実施形態による、静電容量センシング及び誘導センシング用の装置200を示す。装置200は、本明細書中に説明するように、センシング装置225の静電容量、センシング装置225のインダクタンス、あるいはその両方を測定することができる。装置200は、センシング装置225に結合された電荷測定回路210を含む。静電容量センシングモードでは、電荷測定回路210が信号発生器229及び受信機チャネル(
図2Aには図示せず)を含むことができ、信号発生器229は励起(TX)信号を発生することができ、この励起信号はGPIO226を通してセンシング装置225に供給することができ、受信機チャネルはGPIO220における受信(RX)信号を測定することができる。このRX信号はセンシング装置225の相互静電容量を表す。他の実施形態では、電荷測定回路210が、GPIO220を通してセンシング装置225を充電及び放電して自己容量を測定することができる。
【0014】
誘導センシングモードでは、電荷測定回路210がTX信号を基準信号に対して位相シフトさせて、センシング装置225に供給される位相シフト信号を発生する。例えば、電荷測定回路210は、本明細書中に説明するように、TX信号をスマート入力/出力インタフェース230(以下「スマートI/O(input/output)230」と称する)及びパルス幅変調器(PWM)228に対して出力して、位相シフトしたTX信号(例えば、90度だけシフトしたTX信号)を発生することができる。他の例では、スマートI/O230及び/またはPWM228が信号の位相をシフトさせることができる。第2の受信(RX)信号は、GPIO220を通して電荷測定回路210によって測定することができる。第2のRX信号はセンシング装置225のインダクタンスを表す。
【0015】
電荷測定回路210は、本明細書中に説明するように、静電容量センシングモード、誘導センシングモード、あるいはその両方において、変調器コンデンサ(C
mod)214及び他のコンデンサ(C
Tank)218を用いることができる。電荷測定回路210は、センシング装置225の静電容量及びインダクタンスのアナログ測定値をデジタル値に変換するためのアナログ−デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)を含むこともできる。これらのデジタル値は、アプリケーション向けのさらなるデジタル信号処理用にプロセッサ219に対して出力することができる。
【0016】
図2Aに示すように、センシング装置225は、共振回路224、及びセンシング・コンデンサ222を形成する一対の電極(第1電極及び第2電極)を有することができる。センシング装置225の種々の具体例は、共振回路224を含めて、
図2B〜6Dに関して説明し図示する。静電容量センシングモードでは、CMC210はセンシング装置225の相互静電容量を測定することができ、相互静電容量はセンシング・コンデンサ222の第1電極と第2電極との間である。誘導センシングモードでは、CMC210は、本明細書中に説明するように、誘導センシングのためにインダクタンスを測定することができる。例えば、CMC210はセンシング装置225のインダクタンスを測定することができる。装置200が含むセンシング装置225の個数は限定的であることを意図していない。例えば、装置200は単一のセンシング装置または複数のセンシング装置225を含むことができる。
【0017】
一実施形態では、装置200のプロセッサ219、CMC210、C
mod214、C
Tank218、PWM228、及び/またはスマートI/O230を同じ集積回路上に配置することができ、この集積回路は、センシング装置225、変調器コンデンサ(C
mod)214、及びタンク・コンデンサ(C
tank)218に結合されたGPIO226、212、220、216を有する。その代わりに、装置200の異なる構成部品を複数の集積回路内に実現することができる。変調器コンデンサ(C
mod)214及びタンク・コンデンサ(C
tank)218は、少なくとも部分的に、電荷測定回路210を含む集積回路の外部に配置することができる。
【0018】
上述したように、CMC210は信号発生器229を含むことができる。信号発生器229は送信(TX)信号(励起信号とも称する)を発生することができる。一例では、TX信号を方形波信号とすることができる。スマートI/O230はCMC210に結合することができる。スマートI/O230はI/Oインタフェースのデジタル・コントローラとすることができ、このI/Oインタフェースはマイクロコントローラ(MCU:micro controller unit)の外部にあり、あるいはMCUに結合されていない。スマートI/O230は、タスクをMCUからアンロード(領域解放)してI/Oの構成を提供することができる。
【0019】
一実施形態では、PWM228をスマートI/O230に結合することができる。他の実施形態では、PWM228をCMC210に直接結合することができる。PWM228はTX信号の位相を調整することができる。一例では、PWM228の入力をTX信号と混合してTX信号の位相を調整することができる。
【0020】
装置200が誘導センシングの測定値を取得する間に、TX信号の位相をシフトさせることができる。その代わりに、TX信号を静電容量センシング測定用にシフトさせる他の実施形態が存在し得る。一例では、信号発生器229が、基準信号に対して0度の位相を有するTX信号を発生することができる。以下に説明するように、TX信号の位相が0度である際には、CMC210が静電容量センシングモードで動作して、静電容量センシングの測定値を取得することができる。以下に説明するように、CMC210がインダクタンス・センシングモードで動作して誘導センシングの測定値を取得する際には、TX信号の位相を90度シフトさせることができる。
【0021】
GPIO226は、TX信号の振幅を調整するドライバ(駆動回路)を含むことができる。例えば、GPIO226は第1スイッチ231及び第2スイッチ232を含むことができる。スイッチは、トランジスタ、ゲート、ある回路への接続を行うか遮断するための装置、等とすることができる。一例では、GPIO226が閉じた第1スイッチ231及び開いた第2スイッチ232を通して電源に結合されている際には、GPIO226をハイに設定することができる。他の例では、GPIO226が閉じた第2スイッチ232及び開いた第1スイッチ231を通して接地に結合されている際には、GPIO226をローに設定することができる。他の例では、GPIO226が電源及び接地に短絡している際には、第1スイッチ231及び第2スイッチ232は閉じている。他の例では、スイッチ231及び232が共に開いている際には、GPIO226は高インピーダンス(ハイZ)に設定することができ、PWM228から受信した信号を出力することができる。一例では、プロセッサ119またはI/O230がPWM228を介してスイッチ231及び232を制御することができる。
【0022】
一実施形態では、GPIO226をセンシング・コンデンサ222(第1及び第2電極)に結合することができる。電荷測定回路210はTX信号をGPIO226上に供給することができ、GPIO226はセンシング装置225に結合されている。TX信号はセンシング・コンデンサ222を励起することができる。回路または構成部品を励起することは、その回路または構成部品に電圧を印加することを称することができる。例えば、TX信号の電圧をセンシング・コンデンサ222の第1電極上に印加することによって、RX信号がセンシング・コンデンサ222の第2電極上に誘導される。RX信号の電圧または電流は、電荷測定回路210によってGPIO220を通して測定することができる。上述したように、RX信号はアナログ−デジタル変換器(ADC)によって、RX信号のデジタル化の一部として積分することができる。プロセッサ219はこれらのデジタル信号を上述したようにさらに処理することができる。
【0023】
相互静電容量の測定値を取得するために、CMC210は第1電極と第2電極との間の相互静電容量を測定することができ、第1電極と第2電極との間の相互静電容量はセンシング・コンデンサ222として表現することができる。装置200は2つのコンデンサを積分用に含むこともできる。一実施形態では、C
MOD214を相互静電容量センシング用に用いることができる。C
MOD214からの電流をC
tank218上で積分することができ、TX信号が復調される。一例では、C
MOD214を自己静電容量センシング用に用いることができ、上記電流をC
tank218上で積分することができる。相互静電容量センシングのために、C
MOD214及びC
tank218を静電容量センシング用に用いることができる。
【0024】
他の実施形態では、装置200が、GPIO226とセンシング・コンデンサ222との間に結合された共振回路224を含むことができる。共振回路224及びセンシング・コンデンサ222がセンシング装置225を形成することができる。CMC210は、TX信号を、GPIO226を通して共振回路224に供給して、共振回路224を励起することができる。
図3〜6Dは、以下に説明する共振回路224の異なる具体例を示す。
【0025】
GPIO220は、GPIO226から共振回路224及び/またはコンデンサ222を通して送信されるTX信号をCMC210に結合することができる。GPIO220で受信される信号は受信(RX)信号と称することができる。CMC210はRX信号の振幅を基準信号と比較することができる。例えば、CMC210の変換器はC
MOD214を積分コンデンサとして用いることができる。電荷をこのコンデンサに追加すること、あるいはこのコンデンサから除去することができる。例えば、このコンデンサ上の電圧スイング(変動)によって電極から電流を誘導することができる。積分コンデンサの電荷を、CMC210の変換器でデジタル化して第1カウント値にすることができる。コンデンサ222で測定される電荷もこの変換器によってデジタル化して第2カウント値にすることができる。測定した電荷をデジタル化してカウント値にすることは、静電容量−デジタル変換器として機能する。
【0026】
第1カウント値を第2カウント値と比較して、コンデンサ214及び218の静電容量のデジタル表現とコンデンサ222の静電容量のデジタル表現との相対的な差を決定する。第1カウント値と第2カウント値との相対的な差が閾値を超える際には、このカウント値の差がコンデンサ222の静電容量の変化を示す。この静電容量の変化は、コンデンサ222に近接した物体の存在を示すことができる。一例では、このカウント値の差を、GPIO220からの信号と、GPIO212及び216からの積分信号との振幅の差として表すことができる。
【0027】
一例では、カウント値どうしの相対的な差が閾値量を超えない際に、この相対的な差は、物体が装置200に近接していないことを示すことができる。他の例では、カウント値どうしの相対的な差が閾値量を超えない際に、装置200に近接した物体を検出するように装置200を構成しないことができる。一例では、装置200が静電容量センシングを実行するように構成されている際に、装置200が鉄類または非鉄金属の物体を検出できないようにすることができる。他の例として、装置200が誘導センシングを実行するように構成されている際に、装置200が容量性の物体を検出できないようにすることができる。一実施形態では、静電容量センシングを実行するために、TX信号の位相を0度にすることができる。他の実施形態では、誘導センシングを実行するために、TX信号の位相をシフトさせることができる。TX信号の位相をシフトさせると、この位相のシフトは、共振回路224及びコンデンサ222に電荷が結合される様子を変化させる。一例では、共振回路224を静電容量センシング用に用いる際に、共振回路224が共振しないことができる。共振回路224が共振しない際には、共振回路224内でインダクタを励起することができない。他の例では、共振回路224、例えばインダクタを誘導センシング用に用いる際に、共振回路224が共振することができる。TX信号に対応するRX信号をCMC210で復調することができるのであれば、TX信号を位相シフトさせることができる。一例では、TX信号の位相をおよそ80〜100度だけシフトさせることができる。他の例では、TX信号の位相を少なくとも45度だけシフトさせることができる。他の例では、TX信号の位相をおよそ90度だけシフトさせることができる。位相シフトが90度の位相シフトからさらに外れるほど、GPIO220におけるRX信号の振幅の変化を低減することができる。90度の位相シフトから外れることによってこの変化の量が低減するほど、誘導センシングの精度が低下し得る。
【0028】
プロセッサ219はPWM228に結合することができる。プロセッサ119は、CMC210が発生するTX信号の位相が静電容量センシング用の第1位相または誘導センシング用の第2位相に設定されるように、PWM228を設定することができる。プロセッサ119は、TX信号の位相に基づいて静電容量センシングまたは誘導センシングのための測定を行うように、CMC210を設定することもできる。一例では、CMC210が、GPIO220におけるTX信号について、電流を電荷の形で測定することができる。CMCは、この電流における電荷を長期間にわたって測定することができる。静電容量センシングのために電流または電圧を測定するようにCMC210が設定されている際には、CMC210は、0度の位相シフトを有する信号における電荷の第1の変化が物体の存在を示すものと判定することができる。CMC210が、誘導センシングのために電流を測定するように設定されている際には、CMC210は、90度の位相シフトを有する信号における電荷の第2の変化がコンデンサ222に近接した物体の存在を示すものと判定することができる。一実施形態では、CMC210、スマートI/O230、プロセッサ119、PWM228、GPIO226、共振回路224、コンデンサ222、GPIO
212、GPIO216、GPIO220、C
Mod214、及びC
Tank218を、単一の集積回路基板または共通のキャリア(担体)基板のような単一の基板上に配置することができる。
【0029】
CMC210は、GPIO220で受信した信号をフィルタ処理するためのフィルタを含むことができる。一例では、このフィルタを無限インパルス応答(IIR:infinite impulse response)フィルタとすることができる。他の例では、このフィルタをデシメータとすることができる。一例では、装置200を、ユーザからの入力を受信する静電容量センシング用に構成することができ、かつ非ユーザ入力を受信する誘導センシング用に構成することができる。例えば、装置200は、タッチスクリーンを介してユーザ入力を受信する際には静電容量センシング用に構成することができ、そして金属ボタン、制御ノブ用の角度位置センサ、ドア開放センサ、引き出し開閉センサ、液位センサ、等からの入力を受信する際には誘導センシング用に構成することができる。
【0030】
一実施形態では、自動車環境向けに、誘導センシングを用いてギアシフター(変速レバー)位置を特定することができ、静電容量センサをタッチパネルの力検出用に用いることができる。装置200は、デスクトップ・コンピュータ内、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA:personal digital assistant:個人用情報端末)内、スマートホン内、衛星ナビゲーション装置内、携帯(ポータブル)メディアプレーヤ内、携帯ゲームコンソール内、キオスク(売店用)コンピュータ内、販売時点管理装置内、皿洗い機内、洗濯機内、飲料自動販売機内、センシング装置を含む家庭電化製品または他の電化製品上の制御パネル内、等に統合することができる。
【0031】
図2Bに、一実施形態によるセンシング装置225を示し、センシング装置225は、TX信号の周波数が共振周波数を下回るか上回る際に静電容量モードでは可変コンデンサとして動作する。共振回路224で受信したTX信号の周波数が共振回路224の共振周波数と異なる(例えば、共振周波数を下回るか上回る)際には、共振回路224及びセンシング・コンデンサ222は静電容量センシング用の電流を出力することができる。例えば、TX信号は共振回路224のコイルの電流を励起する。このコイルは物体において誘起された電流と相互作用することができる。物体237の近接はコイルのインダクタンスに影響を与えることができる。物体237が接地されている際には、コイルと物体との間の静電容量がコイルから接地への全寄生結合に加算され得るし、この静電容量は分布する。TXの周波数が上記共振周波数でない際には、静電容量モードでは共振回路が可変コンデンサとして動作することができ、この可変コンデンサは、RX信号をCMC210に中継してCMC210は静電容量センシングを実行することができる。
【0032】
図2Cに、一実施形態によるセンシング装置225を示し、センシング装置225は、TX信号の位相がシフトして共振回路を励起する際に、インダクタンスモードでは可変インダクタとして動作する。TX信号がグラフ235に示すようにおよそセンシング装置225の共振周波数である際には、共振回路224及びコンデンサ222は、インダクタンスモードでは誘導センシング装置として動作することができる。物体237が接地されている際には、上記コイルと物体237との間の静電容量が当該コイルから接地への寄生結合に加算され得るし、この静電容量は分布する。上記コイル内の電流は金属物体に誘起される電流と相互作用する。金属物体の近接は上記コイルのインダクタンスに影響を与え得る。それに加えて、TX信号の周波数が上記共振周波数である際には、この電流を最大にすることができ、これにより上記共振回路は、インダクタンスモードで動作する際の静電容量の変化に比べて、インダクタンスの変化に対して相対的に敏感になる。
【0033】
図2Dに、一実施形態による、全波型静電容量センシング及び誘導センシングを実行する装置200の回路レベルの図を示す。
図2D中の特徴の一部は
図1及び2A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。装置200は、GPIO212、216、220、及び226、共振回路224、CMC216、デジタル・シーケンサ233、スマートI/O230、及び/またはPWM228を用いて全波型センシングを実行することができる。
【0034】
CMC210はTX信号(csd_sense(csdセンス)信号とも称する)を発生することができる。装置200は静電容量センシングモードまたは誘導センシングモードで動作することができる。デジタル・シーケンサ233は、CMC210内のスイッチを制御してCMC210を静電容量センシング用または誘導センシング用に構成することができる。装置200が静電容量センシングモードで動作している際には、PWM228は、GPIO226を通してセンシング装置225へ送信されるTX信号の位相をシフトさせないことができる。装置200が誘導センシングモードで動作している際には、PWM228は、TX信号がGPIO226に送信される前にTX信号を位相シフトさせることができる。
【0035】
GPIO226は、TX信号または位相シフトしたTX信号の振幅が閾値の振幅レベルを下回る際にこれらの信号を増幅するドライバとすることができる。CMC210はTX信号を、GPIO226を通してノード251で共振回路224に送信することができる。共振回路224は、RLC(抵抗−インダクタ−コンデンサ)回路または電極のようなセンサとすることができ、上述したように、CMC210は、このセンサを用いて静電容量測定値またはインダクタンス測定値を取得することができる。GPIO220はRX信号をコンデンサ222から受信して、このRX信号をCMC210に結合することができる。
【0036】
CMC210は、アナログ・マルチプレクサ(AMUX:analog multiplexer)236、バランサ238、及び比較器(コンパレータ)240を含むことができる。AMUX236は、GPIO212、GPIO216、及びGPIO220からの信号を一緒に組み合わせるか統合して、組合せの信号をバランサ238へ送信することができる。バランサ238はCMC210の電流源を平衡させることができる。例えば、バランサ238は制御線によってデジタル・シーケンサ233に結合することができる。バランサ238は、デジタル・シーケンサ233の端子PHI1及びPHI2から制御信号を受信してCMC210を平衡させることができる。
【0037】
バランサ238はタイミング回路網(図示せず)を含むこともできる。タイミング回路網は、正及び負の電荷を適正な位相でCMC210に結合させることができる。バランサ238は、CMC210のカウント値を測定する復調器を含むこともできる。バランサ238は、共振回路224、C
Mod214、C
Tank218、及びコンデンサ222に電荷を追加する。一例では、バランサ238が電荷をC
Mod214及びC
Tank218に再び追加して、C
Mod214及びC
Tank218の電荷を初期の電荷レベルに戻すことができる。
【0038】
変換器がC
Mod214を積分コンデンサとして用いて、複数の転送動作による電荷を蓄積または積分することができる。この電荷を変換器(コンバータ)でデジタル化して、静電容量を表す電流(RX)のデジタル値にする。比較器240は、このデジタル値を閾値と比較してRX信号の振幅が変化したか否かを判定することができる。比較器240は、GPIO220からのRX信号の振幅を表すデジタル値を、比較器240における基準信号の振幅を表すデジタル値と比較して、RX信号と基準信号との電圧振幅の相対的な差を決定することができる。この振幅の差が閾値量を超える際に、この差はコンデンサ222に近接した物体の存在を示すことができる。
【0039】
CMC210は、装置200が静電容量センシング用に設定されている間に測定値を組み合わせ、装置200が誘導センシング用に設定されている間に測定値を取得することができる。CMC210は、組合せの測定情報を用いて、異なる種類の物体どうしを区別することができる。例えば、組合せの情報は、物体がプラスチックボトルであるか金属缶であるかを示すことができる。
【0040】
デジタル・シーケンサ233は、CMC210内のスイッチを制御して、CMC210を静電容量センシング用または誘導センシング用に構成することができる。スマートI/O230は、デジタル・シーケンサ233とPWM228またはTX信号ドライバとの内部接続を可能にすることができる。デジタル・シーケンサ233は、トリガ入力を、スマートI/O230を通してPWM228に送信して、PWM228をトリガしてTX信号の位相をシフトさせることができる。他の実施形態では、スマートI/O230は、デジタル・シーケンサとPWM228との間で信号を中継する外部端子コネクタとすることができる。
【0041】
PWM228は、TX信号の位相をシフトさせて、共振回路224の構成部品を静電容量センシング用または誘導センシング用に励起することができる。一実施形態では、PWM228が0度の位相を維持して、共振回路224を静電容量センシング用に励起することができる。他の実施形態では、PWM228がTX信号の位相を90度だけシフトさせて、共振回路224を誘導センシング用に励起することができる。
【0042】
一例では、抵抗器R
Sが電流を制限することができる。他の例では、TX信号をサイン(正弦)波とすることができ、抵抗器R
Sはこのサイン波のピーク−ピーク電圧を設定することができる。コンデンサ222は共振回路224からのサイン波をCMC210内に結合することができる。一例では、抵抗器R
SはGPIOの一部分とすることができ、そしてプログラマブルにすることができる。他の例では、GPIOが異なる駆動強度制御を行って抵抗を実現することができる。
【0043】
一例では、共振回路224の電力消費を低減するために、共振回路224のLC構成部品上の振動を最大にしないことができ、比較的大きなR
Sを使用することができる。GPIO220は上記サイン波をコンデンサ222から受信し、上記RX信号をCMC210のセンシング・チャネルに結合することができる。CMC210はこのRX信号をデジタル値に変換することができる。
【0044】
一実施形態では、CMC210が全波型静電容量センシング変換器を含むことができる。PWM228による90度の位相シフトは、全波型静電容量センシング変換器による上記サイン波の復調を可能にすることができる。
【0045】
図2Eに、一実施形態による装置200のCMC210を示し、CMC210は、半波型静電容量センシング用及び半波型誘導センシング用に構成されている。
図2E中の特徴の一部は、
図1及び2A〜2D中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。
【0046】
装置200が半波型静電容量センシング構成及び半波型誘導センシング構成である際に、GPIO216及びC
Tank218は装置200から除去することができる。CMC210は、アナログ・マルチプレクサ(AMUX)242、バランサ244、及び比較器246を含むことができる。AMUX242は、GPIO212からの信号とGPIO220からの信号とを一緒に組み合わせて、組合せの信号をバランサ244に送信することができる。
【0047】
バランサ244はCMC210の電流源を平衡させることができる。例えば、バランサ244は制御線によってデジタル・シーケンサ233に結合することができる。バランサ244は、制御信号をデジタル・シーケンサ233に送信してCMCを平衡させることができる。バランサ244はタイミング回路網を含むこともできる。バランサ244は復調器を含むこともでき、この復調器は、CMC210のデジタル値を決定して、共振回路224、C
Mod214、及びコンデンサ222用の電荷を蓄積する。
【0048】
比較器246は、GPIO220からのRX信号のデジタル値を、比較器246の基準信号の振幅のデジタル表現と比較して、RX信号の振幅と基準信号の振幅との差を決定することができる。この差が閾値レベルを超えると、この差はコンデンサ222に近接した物体の存在を示す。
【0049】
図3に、一実施形態によるセンシング装置300を示し、ここでは共振回路224が抵抗器332、インダクタ334、コンデンサ336、第2コンデンサ338、及び接地340を含む。
図3中の特徴の一部は
図1及び2A〜E中の特徴と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。
【0050】
抵抗器332は、GPIO226とノード342との間に結合することができる。インダクタ334、コンデンサ336、第2コンデンサ338、及び接地340は直列回路344の構成部品とすることができ、直列回路344はノード342に結合することができる。一実施形態では、コンデンサ336及び/または第2コンデンサ338を個別の(ディスクリート)構成部品とすることができる。他の例では、コンデンサ336及び/または第2コンデンサ338が、これらの構成部品間に形成される静電容量を表すことができる。例えば、コンデンサ336は、インダクタ334と340との間に形成される静電容量を表すことができる。直列回路344は抵抗器332とコンデンサ222との間に結合することができる。コンデンサ222はノード342とCMC210との間に結合することができる。
【0051】
一実施形態では、直列回路344がインダクタ334を含むことができ、インダクタ334はコンデンサ336と直列(即ちL−C)である。コンデンサ336は接地340に接続することができる。他の実施形態では、直列回路344がインダクタ334を含むことができ、インダクタ334は第2コンデンサ338と並列(即ちL||C)である。インダクタ334及び第2コンデンサ338は接地340に結合することができる。
【0052】
インダクタ334と第2コンデンサ338との組合せはコンデンサ336と直列(即ちL||C−C)にすることができる。コンデンサ336は接地340に接続することができる。このL||C−Cの構成は、共振回路224の最小及び最大インピーダンスを制御することができる。例えば、このL||C−Cの構成がアナログ増幅器として動作して、共振回路224の最小インピーダンスと最大インピーダンスとの間の周波数範囲を制御することができる。このL||C−Cの構成は、上記センシング回路の共振周波数の調整を行うことができる。
【0053】
直列回路344または共振回路224の構成部品は限定的であることを意図していない。共振回路224は他の構成部品を含むことができ、あるいは他の構成を有することができる。
【0054】
図4Aに、一実施形態によるセンシング装置を示し、このセンシング装置はコンデンサ412及びインダクタ416を含む。コンデンサ412及びインダクタ416は処理回路418に結合することができる。処理回路418は、誘導センシングモードで動作する際にインダクタ416を用いて物体の存在を検出することができる。
【0055】
インダクタンス検出モードでは、コンデンサ412はインダクタ416の接地用とすることができる。例えば、インダクタンス検出モードでは、インダクタ416の所に磁界を発生させて信号をインダクタ416に供給すると、この磁界がインダクタ416に電流を誘導する。物体が磁界に近接すると、この物体が磁界に対抗する渦電流を生成することができる。
【0056】
処理回路418は、静電容量センシングモードで動作する際にコンデンサ412を用いて物体の存在を検出することができる。力線420は、インダクタ416とコンデンサ412との間の静電容量を示す。自己容量センシングモードでは、静電容量をインダクタ416で測定することができる。相互静電容量センシングモードでは、インダクタ416とコンデンサ412との間で静電容量を測定することができる。例えば、交流(AC:alternative current)電力をセンシング装置400に供給する際には、インダクタ416を励起することができず、インダクタ416は接地金属として機能することができる。
【0057】
一実施形態では、コンデンサ412を平行平板とすることができ、これらの平行平板は基板の第1の側にある。コンデンサ412は接地に接続することができる。インダクタ416は基板の第2の側に配置することができる。誘導モードでは、コンデンサ412を接地して非アクティブ(不動作)にすることができる。静電容量モードでは、インダクタ416の接地が静電界を物体に結合する。
【0058】
図4Bに、一実施形態による、平面コイル422を含む
図4Aのセンシング装置401を示す。
図4B中の特徴の一部は
図4A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。平面コイル422は、平面インダクタのようなインダクタ416として機能することができる。平面コイル422は、当該平面コイル422の外径に比べて相対的に大きい内径を有することができる。こうした平面コイル422の外径に比べて相対的に大きい内径は、平面コイルの低減した表面積により、平面コイル422に近接した物体との比較的小さな静電容量結合をもたらすことができる。平面コイル422は接地板424に結合することができる。一例では、接地板424は平面コイルの上面または下面上に配置することができる。
【0059】
図4Cに、一実施形態による、小さい内周を有する平面コイル426を含む
図4Aのセンシング装置402を示す。
図4C中の特徴の一部は
図4A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。平面コイル426はインダクタ416として機能することができる。平面コイル426は、当該平面コイル426の外径に比べて相対的に小さい内径を有することができる。こうした平面コイル426の外径に比べて相対的に小さい内径は、平面コイル426の増加した表面積により、平面コイル426に近接した物体との比較的高い容量結合をもたらすことができる。
【0060】
図4Dに、一実施形態による、長方形コイル428を含む
図4Aのセンシング装置403を示す。
図4D中の特徴の一部は
図4A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。長方形コイル428はインダクタ416として機能することができる。長方形コイル428は、当該長方形コイル428の外径に比べて相対的に小さい内面積を有することができる。こうした平面コイル426の外面積に比べて相対的に小さい内面積は、長方形コイル428の増加した表面積により、長方形コイル428に近接した物体との比較的高い容量結合をもたらすことができる。
【0061】
図4Eに、一実施形態による、多層コイル430を含む
図4Aのセンシング装置404を示す。
図4E中の一部の特徴は、
図2及び4A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に断りのない限り同じ参照番号で示す。多層コイル430は第1コイル432及び第2コイル434を含むことができる。第1コイル432はZ軸に沿って第2コイル434の上方に配置することができる。一例では、センシング装置400を静電容量センシング用に用いることができ、コイル432をコンデンサ412との結合用に用いることができる。他の例では、装置200をインダクタンス・センシング用に用いる際に、コイル432及びコイル434を誘導センシング用に用いることができる。
【0062】
図4Fに、一実施形態による、一次コイル438及び二次コイル440を含む
図4Aのセンシング装置405を示す。
図4F中の特徴の一部は
図4A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。二次コイル440の外周は一時コイル438の内周よりも小さくすることができる。二次コイル440は一次コイル438と同一平面上に、一次コイル438の内周の内側に配置することができる。
【0063】
図4Gに、一実施形態による、同一平面上にある一次コイル438及び二次コイル440を含む
図4Aのセンシング装置406を示す。
図4G中の特徴の一部は
図2、4A、及び4H中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。二次コイル440の外周は一次コイル438の外周とおよそ同じにすることができる。二次コイル440は一次コイル438と同一平面上に、一次コイル438に隣接して配置することができる。
図4A〜4Gの実現は限定的であることを意図していない。例えば、センシング装置400は螺旋コイル、ソレノイドコイル、三角形コイル、伸張コイル、等を含むことができる。
【0064】
図5に、一実施形態による、静電容量センサと誘導センサとのハイブリッド(混成)センサを有するセンシング回路500を示す。
図5中の特徴の一部は
図1及び2A〜2E中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。
【0065】
センシング回路500は、PWM228、GPIO226、及びセンシング装置540を含むことができる。センシング装置540は、抵抗器511、第1LC回路512、GPIO514、第2LC回路516、コンデンサ518、接地520、コンデンサ522、GPIO533、GPIO220、またはCMC210のうちの少なくとも1つを含むことができる。第1LC回路512、第2GPIO514、第2LC回路516、GPIO533、及びGPIO220は、静電容量センシング及び誘導センシング用のセンシング回路500の種々の構成を提供するように構成可能にすることができる。
【0066】
CMC210は信号発生器を含むことができる。この信号発生器はTX信号を発生することができる。一例では、TX信号を方形波信号にすることができる。信号発生器が発生するTX信号の初期位相は、CMC210における基準信号と相対的にすることができる。PWM228の移相器(位相シフタ)はTX信号の位相を制御することができる。CMC210は、位相シフトが存在しない際にセンシング装置540を静電容量センシング用に用いることができる。CMC210は、位相シフトが存在する際にセンシング装置540を誘導センシング用に用いることができる。
【0067】
GPIO226は、TX信号の振幅を調整するためのドライバとすることができる。GPIO226は抵抗器511に結合することができる。TX信号は、抵抗器511、第1回路528、第2回路530、コンデンサ522、GPIO220、及び/またはGPIO533を通して、CMC210へRX信号として送信することができる。TX信号は、抵抗器511、第1回路528、第2回路530、コンデンサ522、GPIO220、及び/またはGPIO533を励起することができる。
【0068】
一実施形態では、抵抗器511をノード524に結合することができる。他の実施形態では、第1回路528をノード524に結合することができる。LC回路512及びGPIO514は第1回路528の一部分とすることができる。GPIO514は接地を含むことができ、あるいは接地に結合することができる。LC回路512とGPIO514とは直列に接続することができる。第1回路528は抵抗器511と直列にすることができる。
【0069】
他の実施形態では、抵抗器511または第1回路528を並列にノード526に結合することができる。例えば、第2LC回路516及びコンデンサ518は、ノード526に結合された第2回路530の一部分とすることができる。コンデンサ518は接地に結合することもできる。第2LC回路516とコンデンサ518とは直列に接続することができる。一実施形態では、第2回路528を抵抗器511と直列にすることができる。他の実施形態では、第2回路5
30を第1回路528と並列にすることができる。
【0070】
抵抗器511、第1回路528、及び/または第2回路530はノード532に結合することができる。コンデンサ522は、抵抗器511と直列にして、第1回路528及び/または第2回路5
30に結合することができる。GPIO220は、コンデンサ522及びCMC210と直列に結合することができる。一実施形態では、GPIO533はノード532に結合することができ、そしてコンデンサ522及びGPIO520と並列にすることができる。GPIO533はCMCに結合することもできる。
【0071】
TX信号を、抵抗器511、第1回路528、及び/または第2回路5
30の全体を通して送信する際に、結果的に生じる信号をRX信号と称することができる。GPIO220及び/またはGPIO533は、GPIO226から抵抗器511、第1回路528、及び/または第2回路5
30を通して受信したRX信号をCMC210内へ結合することができる。CMC210は、RX信号に対応するデジタル値を基準信号のデジタル値と比較して、RX信号の振幅と基準信号の振幅との間に閾値を超える相対的な差が存在するか否かを判定することができる。RX信号の代表的な振幅と基準信号の代表的な振幅との間の相対的な差が閾値量を超える際に、この差は装置200に近接した物体の存在を示すことができる。
【0072】
一例では、RX信号と基準信号との差が閾値量を超えない際に、この差は、LC回路512またはLC回路516のようなセンシング回路500に物体が近接していないことを示すことができる。他の例では、RX信号と基準信号との差が閾値量を超えない際に、センシング回路500は、装置200に近接した物体の種類を検出するように構成しないことができ、そして物体がセンシング回路500に近接していることを示さないことができる。一例では、センシング回路500が静電容量センシングを実行するように構成されている際に、センシング回路500は鉄類または非鉄の導電性物体を検出可能にすることができる。他の例では、センシング回路500が誘導センシングを実行するように構成されている際に、センシング回路500はある電位の導電性物体を検出可能にすることができる。センシング回路500は、第1回路528及び/または第2回路530を用いて誘導センシングを実行することができ、そしてコンデンサ522を用いて静電容量センシングを実行することができる。第1回路528または530の構成部品は限定的であることを意図していない。
図6A〜6Dは、以下に説明する、共振回路528及び530、及びGPIO533及び520の異なる実現を示す。
【0073】
図6Aは、一実施形態による、
図5のセンシング装置540を含むセンシング回路600を示し、センシング回路540は、コンデンサ640を有する第1回路528、及びインダクタ642を有する第2回路530を含む。一実施形態では、センシング回路を2センサ・ハイブリッドセンシング回路と称することができ、これらのセンサはそれぞれ誘導センシング用及び静電容量センシング用に構成することができる。
図6A中の特徴の一部は
図5中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。抵抗器511と第1回路528とは直列に接続することができ、そしてノード524に接続することができる。ノード524はノード526に接続することができる。第2回路530はノード526に接続することができる。第2回路530は第1回路528と並列に接続することもできる。第
2回路530のインダクタ642は第1電極とすることができる。第1回路528及び第2回路530は共通の交流(AC)接地に接続することができる。
【0074】
コンデンサ518はノード526とGPIO220との間に接続することができる。GPIO220はCMC210に接続することができる。CMC210はスイッチ645によって共振回路646に接続することができる。スイッチ645が開いている際には、共振回路646をCMC210から切り離すことができる。スイッチ645が閉じている際には、共振回路646をCMC210に結合することができる。一実施形態では、共振回路646が第2電極である。
【0075】
センシング回路600が誘導センシング用に構成されている際に、第1回路528及び第2回路530はコンデンサ518を介してCMC210に接続することができる。CMC210及びGPIO226は誘導センシングモード用に構成することができる。一例では、インダクタ642と並列のコンデンサ640のようなセンシング回路600に近接した金属物体が、第1回路528及びインダクタ642を含むLC回路の振幅及び位相に影響を与えることができ、この影響はCMC210によって検出することができる。CMC210は、RX信号の振幅の相対的な変化を検出することができ、この変化は誘導センシング構成のCMC210によって検出することができる。
【0076】
一実施形態では、センシング回路600が誘導センシング用に構成されている際に、スイッチ645によって共振回路645をCMC210から切り離すことができる。例えば、共振回路646は電極とすることができ、スイッチ645はこの電極の接続を接地またはハイZのいずれか設定することができる。CMC210及びGPIO226は誘導センシング用に構成することができる。CMC210は、GPIO220から受信したRX信号を用いて、RX信号の振幅を変化させる鉄類または非鉄金属の物体を検出することができる。
【0077】
他の実施形態では、第2回路530を円形の平面電極とすることができる。他の実施形態では、共振回路646を螺旋形電極とすることができる。これらの電極の形状は限定的であることを意図していない。例えば、この電極は、インダクタ642と共振回路646との間に静電容量センシング用の容量結合の閾値レベルを有するような形状にすることができる。
【0078】
図6Bに、一実施形態による、
図5のセンシング装置540の1センサ・ハイブリッドセンシング回路の実施形態を示し、この1センサ・ハイブリッドセンシング回路は、コンデンサ640を有する第1回路528及びインダクタ642を有する第2回路530、コンデンサ648、及び接地650を含む。代案の実施形態では、この1センサ・ハイブリッドセンシング回路を、(
図6Bにおける)静電容量センシング用に、及び(
図6Cにおける)誘導センシング用に構成することができる。
図6B中の特徴の一部は
図5及び6A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。
【0079】
抵抗器511及び第1回路528をノード524に接続して直列にすることができる。ノード524はノード526に接続することができる。第2回路530はノード526に接続することができる、第2回路530は、直列に接続されたインダクタ642、コンデンサ648、及び接地650を含むことができる。
【0080】
第2回路530は第1回路528と並列に接続することもできる。一実施形態では、第2回路530を第1回路528(
図6Bには図示せず)と直列に接続することができる。コンデンサ518はノード526とGPIO220との間に接続することができる。一例では、GPIO220は開位置及び閉位置を有するスイッチとすることができる。このスイッチが閉じている際には、コンデンサ518はCMC210に接続されている。このスイッチが開いている際には、コンデンサ518はCMC210から切り離される。GPIO651はスイッチとすることもできる。GPIO651が閉じている際には、CMC210をノード526に直接接続することができる。このGPIOが開いている際には、CMC210をノード526から切り離すことができる。一実施形態では、第1回路528及び第2回路530を、結合コンデンサ518を介してCMC210に接続することができ、GPIO651は開いておくことができる。
【0081】
センシング装置540は静電容量センシング用に構成され、コンデンサ518はGPIO220でバイパスすることができる。スイッチ656は、誘導センシング回路をTX信号の受信から切り離し、不使用のGPIO226の接続先をハイZに設定する。スイッチ658は接地をセンシング回路500から切り離して、不使用の接地の接続先をハイZに設定する。この構成では、CMC210を自己容量センシング(CSD)用に構成することができ、ここではインダクタ642を自己容量電極として構成することができる。インダクタ642に近接した物体がインダクタ642の自己容量を変化させることができ、この変化はCSD構成で動作しているCMC210によって検出することができる。
【0082】
図6Cに、一実施形態によるセンシング装置540を示し、ここではGPIO651が開き、GPIO220は閉じている。
図6Cは
図6B中の1センサ・ハイブリッドセンシング回路と同様にすることができるが、誘導センシング用に構成されている。
図6C中の特徴の一部は
図5、6A中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。抵抗器511と第1回路528とはノード524によって直列に接続することができる。第1回路528はコンデンサ640とすることができる。ノード524はノード526に接続することができる。第2回路530はノード526に接続することができる。第2回路530はインダクタ642を含むことができる。第1回路528と第2回路530とは並列に接続することができ、そしてAC接地に接続することができる。代案の実施形態では、第1回路528と第2回路530とを直列に接続することができる。
【0083】
コンデンサ518はノード526及びGPIO220に接続することができる。一例では、GPIO220は開位置及び閉位置を有するスイッチとすることができる。このスイッチが閉位置である際には、コンデンサ518がCMC210に接続されている。このスイッチが開位置である際には、コンデンサ518はCMC210から切り離されている。GPIO651もスイッチとすることができる。GPIO651が閉じている際には、CMC210をノード526に直接接続することができる。このGPIOが開いている際には、CMC210はノード526から切り離すことができ、あるいはGPIO220を介してノード526に接続することができる。
【0084】
一実施形態では、センシング装置540が誘導センシング用に構成されている際に、インダクタ642をGPIO220によってCMC210に接続することができる。GPIO651は開いておくことができる。CMC210及びGPIO226は誘導センシング用に構成することができる。CMC210は、GPIO220で受信したRX信号を用いて、RX信号の振幅を変化させる鉄類または非鉄金属の物体を検出することができる。
【0085】
図6Dに、一実施形態による
図5のセンシング装置540を示し、センシング装置540は、コンデンサ514を有する第1回路528及びインダクタ642を有する第2回路530、コンデンサ662、インダクタ664、コンデンサ666、及び接地668を含む。
図6D中の実施形態は
図6Aに示す2センサ・ハイブリッドセンシング回路と同様にすることができるが、静電容量センシング用に構成されている。
図6D中の特徴の一部は
図1、2、5、6A、6B、及び6C中の特徴の一部と同じまたは同様にすることができ、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。
【0086】
GPIO226はスイッチ660に接続することができる。スイッチ660が閉位置である際には、GPIO226が抵抗器51
2に接続されている。スイッチ660が開いている際には、GPIO226が
抵抗器512から切り離されている。抵抗器51
2と第1回路528とはノード524によって直列に接続することができる。第1回路528はGPIO514とすることができる。
【0087】
ノード524はノード526に接続することができる。第2回路530はノード526に接続することができる。第2回路530は第1回路528と並列に接続することもできる。インダクタ642及びコンデンサ640はAC接地に接続することができる。第2回路530は、インダクタ642、コンデンサ662、インダクタ664、コンデンサ666、及び接地668を含むことができる。インダクタ642はコンデンサ662と直列に結合することができる。コンデンサ662は共振回路646と直列に結合することができる。インダクタ664はコンデンサ666と直列に結合することができる。コンデンサ666は接地668と直列に結合することができる。
【0088】
コンデンサ518はノード526とGPIO220との間に接続することができる。GPIO220はCMC210に接続することができる。GPIO220が開位置である際には、コンデンサ518をCMC210から切り離すことができる。GPIO220が閉位置である際には、このコンデンサをCMC210に接続することができる。
【0089】
一実施形態では、センシング装置540が静電容量センシング用に構成されている際に、共振回路642をGPIO220によってCMC210から切り離すことができ、第3共振回路642はコンデンサ662及び共振回路646を介してCMC210に接続することができる。例えば、GPIO220が第3共振回路642を接地またはハイZに設定することができる。スイッチ600は、GPIO226を切り離して、センシング装置540がTX信号を受信しないようにすることができる。スイッチ660はTX信号用の接続体を接地またはハイZに設定することができる。
【0090】
一実施形態では、CMC210が自己容量センシング用に構成されている際に、第3共振回路642を接地することができ、そして第2電極として構成して共振回路646と結合することができる。CMC210は、受信したRX信号を用いて、上記第3共振回路と共振回路646との間の静電界を変化させ得る導電性物体を検出することができる。
【0091】
図7に、一実施形態による、RX信号712のデジタル表現に関連する振幅変化720のグラフ700を示す。グラフ700は、
図2A中のCMC210で受信したRX信号のデジタル表現712を示す。
図2Aの共振回路224及びコンデンサ222は期間714にTX信号を受信することができ、そしてこのTX信号によって励起することができる。
【0092】
期間714において、曲線710は、RX信号の振幅と基準信号の振幅との間に相対的な変化がないことを示す。相対的な変化がないことは、上述したように、位相シフトのない信号における静電容量センシングを実行する際に、CMC210によって物体を検出することができないことを示すことができる。期間716において、曲線710は、RX信号の振幅と基準信号の振幅との間の相対的な変化を示す。この相対的な変化は、上述したように、位相シフトした信号を用いて誘導センシングを実行する際に、CMC210によって物体を検出することができることを示すことができる。一実施形態では、RX信号712のピーク722が、物体が装置200に近接して配置されている期間を示すことができる。
【0093】
期間718に、PWM228がTX信号の位相をシフトさせて、およそ0度に戻すことができる。期間718に、曲線710は、RX信号と基準信号との間に振幅の相対的な変化がないことを示す。相対的な変化がないことは、上述したように、位相シフトのない信号を用いて静電容量センシングを実行する際に、CMC210によって物体を検出することができないことを示すことができる。
【0094】
一実施形態では、PWM228が、0度の位相を有するTX信号を送信することと、位相シフトしたTX信号を送信することとを交互させることができる。TX信号の交互する位相にCMC210のタイミングを同期させて、静電容量センシングまたは誘導センシングを順次に実行するようにCMC210を設定することができる。
【0095】
他の実施形態では、装置200を利用するアプリケーションに基づいて、装置200が静電容量センシングと誘導センシングとの間で切り換わることができる。例えば、装置200を有する装置が、電源ボタンに対して静電容量センシングを用いる低電力モードを有することができる。一旦、装置が電源投入されると、この装置は、誘導センシングを用いる方に切り換わってユーザ入力を受信することができる。
【0096】
他の実施形態では、装置200は、RX信号の信号対雑音(SNR:signa to noise ratio)レベルが閾値のSNRレベルを超えるまで静電容量センシングの測定値を取得することができ、このRX信号は入力電荷(V
Tank×C
C)である。このSNRレベルが閾値のSNRレベルを超えると、
図2A中のプロセッサ119はPWM228及びCMC210を誘導センシングに切り換えることができる。装置200が誘導センシングを実行しており、TX信号のSNRレベルが閾値のSNRレベルを超えると、プロセッサ119は同様に、PWM228及びCMC210を静電容量センシングに切り換えることができる。
【0097】
一実施形態では、装置200が物体を検出するように構成され、この物体のサイズまたは種類に基づいて閾値のSNRレベルを変化させることができる。例えば、物体のサイズが比較的小さい際に、閾値のSNRレベルを増加させて、静電容量センシングまたは誘導センシングを実行するのに十分な時間を装置200に与えることができる。より長い時間を必要とすることがある、というのは、TX信号はノイズがより多くなり得るし、TX信号は、複数の静電容量または誘導の測定値を平均して物体の存在を判定するために、CMC210により長い時間をとらせ得るからである。比較的小さい物体における測定は、比較的大きい物体よりも長い時間を要し得る、というのは、比較的小さい物体と装置200との間の結合の量はより小さいからである。
【0098】
図8Aに、一実施形態による、誘導センシング用のTX信号810の位相シフト及び復調のグラフを示す。上述したように、
図2B中の共振回路224は、TX信号810をGPIO226のノード250から受信することができ、TX信号810は共振回路224の構成部品を励起する。誘導センシングについては、
図2A中のPWM228がこのTX信号を位相シフトさせる。
【0099】
誘導センシングについてのグラフ800では、TX信号810がおよそ90度だけ位相シフトしている。V
AMP信号812は、共振回路224のインダクタ及びコンデンサ222における電圧の変化を示すことができる。V
AMP信号812はGPIO220で受信することができる。V
AMP信号812はサイン波になり得る、というのは、TX信号810のハイ電圧とロー電圧との間の変化にインダクタが瞬時に応答することができないからである。一例では、PWM228がTX信号を復調クロック信号PHI1 814及びPHI2 816に対して90度だけ位相シフトさせることができる。復調クロック信号PHI1 814及びPHI2 816は内部信号とすることができ、シーケンサ233のPHI1 252及びPHI2 254から
図2A中のCMC210の復調器内へ供給される。不感帯は、信号領域または帯域における動作が発生しない区間である。他の実施形態では、PHI1 814及びPHI2 816が
図2A〜6D中のCMC210のスイッチを制御することができる。
【0100】
上記位相シフトしたTX信号を位相シフトさせて、サイン波のV
AMP信号818のピークが、初期のTX信号の立上りエッジの90°後に発生するようにすることができる。上記位相シフトしたTX信号はCMC210によって完全に積分することができる。CMC210は、CMC210がGPIO212、216、及び/または220から受信した信号820を切り換えて、集合信号822を同じ位相で発生することができる。例えば、CMC210は、GPIO212、216、及び220からの信号の正の部分どうし及び負の部分どうしを一緒に加算して信号822を得ることができる。この例では、CMC210がこれらの信号どうしを長時間にわたって統合し積分してV
integrate信号824を発生することができる。こうした信号どうしの統合及び積分は、共振回路224に供給される電荷の量を増加させることができる。CMC210は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を用いて信号822をデジタル信号に変換することもできる。
【0101】
V
integrate信号824は、信号電圧の集積を示す仮想電圧とすることができる。一例では、上記変換器からのデジタル値を、カウンタを用いて集積することができ、これらのデジタル値を比較器240の端子256から送信することができる。各サイクルを積分し変換して、積分コンデンサを、当該積分コンデンサが始動した値(V
ref)に戻す。CMC210は上記デジタル値を用いて共振回路224に信号を供給して、共振回路224の構成部品を誘導センシング用に励起することができる。
【0102】
図8Bに、一実施形態による、静電容量センシング用のTX信号810を有するグラフ802を示す。TX信号810は復調クロック信号PHI1 814及びPHI2 816に対して位相シフトしていなくてもよい。復調クロック信号PHI1 814及びPHI2 816は内部信号とすることができ、デジタル・シーケンサ233のPHI1 252及びPHI2 254から
図2AのCMC210の復調器内へ供給される。V
ref826は、
図2D中の点255におけるコンデンサ218の信号に見られる電圧である。V
ref828は、
図2D中の点257におけるコンデンサ214の信号に見られる電圧である。V
ref830は、
図2D中の点259におけるGPIO220の信号に見られる電圧である。カウント継続時間832はV
ref826、V
ref828、及びV
ref830を代表し、物体がセンシング装置に近接しているか否かを示すことができる。
【0103】
一例では、上記変換器からのデジタル値を、カウンタを用いて集積することができ、このデジタル値を比較器240の端子256から送信することができる。各サイクルを積分して、
図2Dの点261における電圧V
DDを用いてデジタル値に変換する。CMC210は、これらのデジタル値を用いて、物体がセンシング装置に近接しているか否かを判定することができる。例えば、CMC210は、これらのデジタル値のカウンタ継続時間が変化する際に、物体がセンシング装置に近接しているものと判定することができる。
【0104】
図9に、一実施形態によるグラフ900を示し、グラフ900は共振回路の出力信号の位相シフト及び復調を誘導センシングについて示す。
図9中の特徴の一部は
図8中の特徴の一部と同一または同様であり、特に明示的断りのない限り同じ参照番号で示す。信号912は、PHI1 814とPHI2 816とを組み合わせて復調クロック信号912にすることができることを示し、復調クロック信号912は
図2A中のCMC210の復調器から供給される。信号912は
図2A〜6D中のCMC210のスイッチを制御することができる。
【0105】
一実施形態では、復調クロック信号912のPHI2クロック位相の期間中に、CMC210のAMUX上の電荷が下降して基準電圧(V
refHI)を下回り得る。
図2A中のデジタル・シーケンサ233のPHI1クロック位相の期間中には、C
Tank218を放電させてV
refHI未満に戻すことができる。復調クロック912のハイ位相の期間中には、AMUXの電圧がV
refHIの電圧を超えて増加し得る。PHI2クロック位相の期間中には、デジタル・シーケンサ233が
図2AのC
MOD214を充電して基準電圧まで下げる。
【0106】
図10Aに、一実施形態による、
図2A中のCMC210が誘導センシング用に用いる周波数のグラフ1000を示す。電極を誘導センシング用に用いることができる。電極のセンシング範囲は、検出される物体の種類、及び電極のサイズ及び形状に依存し得る。例えば、鉄及び鋼鉄のような鉄類の金属は、より長いセンシング範囲を可能にすることができるのに対し、アルミニウム及び銅のような非鉄金属は、電極のセンシング範囲を60パーセントまで低減し得る。
【0107】
一実施形態では、電極のサイズ及び形状を選択することが、電極の内径(D_inner)/外径(D_outer)比の近似値を決定すること、電極の1ターン(巻回)当たりのインダクタンス(AL)を、当該電極の内径、外径、厚さ、トレース及びスペース幅、ターン数及び層数、及び層のレイアウトの関数として決定することを含むことができる。電極のサイズ及び形状は、その電極を使用する用途に基づいて変化し得る。例えば、電極の形状は平面コイルまたはパンケーキ型(平坦な)螺旋コイルとすることができる。電極を静電容量センシング用に用いる際には、高い電位を電極の中心または内側パッドではなく電極の外側端子に供給することができる。電極の外径(D_outer)に対する電極の内径(D_inner)の比率は、検出する物体のサイズ、及び電極と物体との間の動作距離に基づくことができる。一例では、電極に比較的近い物体用に、内径(D_inner)/外径(D_outer)比をおよそ0.25にすることができる。他の例では、電極から比較的遠い物体用に、内径(D_inner)/外径(D_outer)比をおよそ0.6にすることができる。
【0108】
他の実施形態では、電極のサイズを選択することが、電極のターン間及び層間の、及び接地と対象(ターゲット)物体との間のコイル容量結合を決定することを含むこともできる。次に、電極のインダクタンス及び抵抗を分析して、最適な周波数応答を有する電極のサイズを選択することができる。
【0109】
動作の最適な周波数は、物体ありと物体なしとの信号の差が最大であり、かつ上記デジタル値が最大量だけ変化する場合である。一例では、共振回路の共振周波数のTX信号によって共振回路を励起することができる。一例では、共振回路の共振周波数を(1/2)×π×LCとすることができる。他の例では、周波数が共振周波数から遠ざかるほど信号の差が大きくなり得る。他の例では、
図2A中の共振回路224内の直列抵抗を変化させて、信号の差の量を増幅すること、あるいは減衰させることができる。
【0110】
グラフ1000は、基準信号1012の振幅及びRX信号1010の振幅を示す。点1014及び1016で基準信号1012とRX信号1010との振幅の差が最大になり、上記デジタル値の最大の差を示す。この振幅の差は、およそ600キロヘルツ(kHz)または1000kHzが最適な周波数であることを示している。
【0111】
図10Bに、一実施形態による、
図2A中のCMC210が誘導センシング用に用いることができる他の周波数のグラフ1020を示す。グラフ1020は、基準信号1024の振幅及びTX信号1022の振幅を示す。点1026で、基準信号1024とTX信号1022との振幅の差が最大になる。この振幅の差は、およそ1000kHzが最適な周波数であることを示している。
【0112】
図10Cに、一実施形態による、
図2A中のCMC210が誘導センシング用に用いる他の周波数のグラフ1030を示す。グラフ1030は、基準信号1034の振幅及びTX信号1032の振幅を示す。点1036で、基準信号1034とTX信号1032との振幅の差が最大になる。この振幅の差は、およそ1000kHzが最適な周波数であることを示している。
【0113】
図11に、一実施形態による、センシング装置のインダクタンスまたは静電容量を測定する方法1100の流れ図を示す。方法1100は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理回路(専用ロジック)、プログラマブル・ロジック、マイクロコード、等)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で実行される命令)、またはその組合せを具えた処理論理回路によって実行することができる。方法1100は、その全部または一部を装置200によって実行することができる。
【0114】
方法1100はブロック1110で開始され、ブロック1110では、信号発生器が第1信号及び第3信号を発生する。方法1100はブロック1120に続き、ブロック1120では、PWMが第1信号の位相をシフトさせて第3信号を得る。一例では、PWMが第3信号の位相を基準信号の位相に対して90度だけシフトさせることができる。方法1100はブロック1130に続き、ブロック1130では、第1信号がセンシング装置を励起する。方法1100はブロック1140に続き、ブロック1140では、第1信号が信号発生器によってセンシング装置に供給されると、電荷測定回路がセンシング装置上の第2信号を測定することができる。第2信号はセンシング装置の静電容量を表すことができる。方法1100はブロック1150に続き、ブロック1150では、第3信号がセンシング装置を励起することができる。方法1100はブロック1160に続き、ブロック1160では、第3信号が信号発生器によってセンシング装置に供給されると、電荷測定回路がセンシング装置上の第4信号を測定することができる。第4信号はセンシング装置のインダクタンスを表すことができる。
【0115】
図12に、他の実施形態による、第1電極及び第2電極に信号を供給する方法1200の流れ図を示す。方法1200は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理回路、プログラマブル・ロジック、マイクロコード、等)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で実行される命令)、またはその組合せを具えた処理論理回路によって実行することができる。方法1200は、その全部または一部を装置200によって実行することができる。
【0116】
方法1200はブロック1210で開始され、ブロック1210では、第1モードで第1信号を第1電極に供給することができる。方法1200はブロック1220に続き、ブロック1220では、第1信号が第1電極に供給されたことに応答して、第2信号を第2電極で受信する。第2信号は第1電極と第2電極との間の静電容量を示すことができる。方法1200はブロック1230に続き、ブロック1230では、第2モードで第3信号を誘導コイルに供給する。方法1200はブロック1240に続き、ブロック1240では、第3信号に応答して、第4信号を誘導コイルで受信する。第4信号は誘導コイルのインダクタンスを示す。第4信号は第2電極のインダクタンスを示すことができる。一例では、第2信号が変化する際に、CMCは、容量性物体が第1電極または第2電極に近接しているものと判定することができる。第2信号の変化は、第1電極と第2電極との間の静電容量の変化を示す。他の例では、第4信号が変化する際に、CMCは、鉄類の金属物体または非鉄金属物体が誘導コイルに近接しているものと判定することができる。第4信号の変化は、誘導コイルにおけるインダクタンスの変化を示すことができる。
【0117】
本発明の実施形態は、本明細書中に記載する種々の動作を含む。これらの動作は、ハードウェア構成部品、ソフトウェア、ファームウェア、またはその組み合わせによって実行することができる。
【0118】
本明細書中の方法の動作は特定の順序で図示して説明しているが、各方法の動作の順序は変更することができ、これにより、特定の動作を逆の順序で実行することができ、あるいは、特定の動作を、少なくとも部分的に他の動作と同時に実行することができる。他の実施形態では、個別の動作の命令または下位の動作を間欠的な、及び/または交互する様式にすることができる。本明細書中に用いる「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、等は、異なる要素間を区別するためのラベルとしての意味であり、それらの数字表示に従った順序的意味を必ずしも有さなくてもよい。
【0119】
以上の説明は、本発明のいくつかの実施形態の理解をもたらすために、具体的なシステム、構成要素、方法、等の例のような多数の具体的細部を説明している。しかし、本発明の少なくとも一部の実施形態は、これらの具体的細部なしに実施することができることは、当業者にとって明らかである。他の例では、本発明の実施形態を無用に曖昧にすることを回避するために、周知の構成要素または方法は詳細に説明しておらず、あるいは単純なブロック図形式で提示している。従って、説明する具体的細部は例示に過ぎない。特定の実施形態は、これらの例示的細部から変化していることがあるが、それでも本発明の範囲内であることを目論んでいる。