特許第6871413号(P6871413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871413
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ワーク供給装置及びワーク供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20210426BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B65G47/14 101Z
   H05K13/02 D
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-554129(P2019-554129)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】JP2017041363
(87)【国際公開番号】WO2019097651
(87)【国際公開日】20190523
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】森 一明
(72)【発明者】
【氏名】種池 崇
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−180538(JP,A)
【文献】 特開2001−220011(JP,A)
【文献】 特開2009−204406(JP,A)
【文献】 特開2017−103342(JP,A)
【文献】 特表2012−516822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
H05K 13/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されるワークを載置する振動プレートと、
前記振動プレートを振動させることで該振動プレート上に搬入されたワークを分散及び/又は反転させる加振装置と、
前記振動プレートを水平面に対して傾斜させる傾斜装置と
を備え、
前記傾斜装置によって前記振動プレートを傾斜させた状態で前記加振装置によって該振動プレートを振動させて前記ワークを分散及び/又は反転させるように構成されている、ワーク供給装置において、
前記振動プレートを前記加振装置と一体的に昇降させる昇降装置と、
前記加振装置及び前記昇降装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加振装置によって前記振動プレートを振動させて該振動プレート上のワークを分散及び/又は反転させる振動モードと、該振動プレートの振動を停止して該振動プレート上のワークがピックアップされるのを待つ停止モードとを所定の時間間隔で交互に繰り返し、更に、前記昇降装置によって前記振動プレートを上昇させた位置で振動させる上昇位置モードと、該振動プレートを下降させた位置で振動させる下降位置モードとを切り替える、ワーク供給装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記傾斜装置の動作も制御し、前記振動プレートを傾斜させて振動させる傾斜モードと、該振動プレートを水平状態にして振動させる水平モードとを切り替える、請求項に記載のワーク供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記傾斜モードから前記停止モードに切り替えるときに前記振動プレートを水平状態に戻す、請求項に記載のワーク供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ワークのサイズ、形状、重量、重心、ピックアップ位置、単位時間当たりのピックアップ数のうちの少なくとも1つ又はそれに相関する情報に基づいて、前記水平モードと前記傾斜モードのどちらかを選択する、請求項又はに記載のワーク供給装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ワークのサイズ、形状、重量、重心、ピックアップ位置、単位時間当たりのピックアップ数のうちの少なくとも1つ又はそれに相関する情報に基づいて、前記上昇位置モードと前記下降位置モードのどちらかを選択する、請求項乃至に記載のワーク供給装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記下降位置モードから前記停止モードに切り替えるときに前記昇降装置によって前記振動プレートを上昇させた位置に戻す、請求項乃至のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項7】
前記振動プレートの周囲を取り囲んで該振動プレート上のワークの飛び出しを防ぐ囲壁部を備え、
前記傾斜装置は、前記囲壁部を前記振動プレート、前記加振装置及び前記昇降装置と一体的に傾斜させるように構成され、
前記囲壁部は、前記上昇位置モードで前記振動プレート上のワークの飛び出しを防ぐ高さ位置に固定され、前記下降位置モードで該振動プレートが下降しても該囲壁部は下降しないように構成されている、請求項乃至のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項8】
前記加振装置は、前記振動プレートに加える振動の周期を調整可能に構成されている、請求項1乃至のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項9】
前記振動プレートと前記加振装置との間隔を調整することで前記振動プレートに加える振動強度を調整する振動強度調整機構を備える、請求項1乃至のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のワーク供給装置を使用してワークを供給するワーク供給方法において、
水平面に対して傾斜した前記振動プレート上にワークを搬入する第1工程と、
前記傾斜した前記振動プレートを振動させて該振動プレート上に搬入されたワークを分散及び/又は反転させる第2工程と、
前記振動プレートの振動を停止して該振動プレート上のワークがピックアップされるのを待つ第3工程と
を含むワーク供給方法。
【請求項11】
前記第3工程では、前記振動プレートの振動を停止して該振動プレートを水平状態に戻して該振動プレート上のワークがピックアップされるのを待つ、請求項10に記載のワーク供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、振動プレート上に搬入されたワークを振動により分散及び/又は反転させて該ワークをロボット等にピックアップさせるワーク供給装置及びワーク供給方法に関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特表2015−522494号公報)に記載されているように、2つのローラ間にコンベアベルトを水平に掛け渡し、コンベアベルトを回転運動させながら該コンベアベルト上にワークを連続的に搬入すると共に、2つのローラ間の中間に配置した振動アクチュエータによってコンベアベルトの中間部分を下方から上下方向(搬送面に対して垂直方向)に振動させて、その振動により該コンベアベルト上のワークを分散させながら搬送し、そのワークをコンベアベルトの端付近のピックアップ位置で上方からロボット等のピックアップツールでピックアップするようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015−522494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンベアベルトの端付近のピックアップ位置でワークを安定してピックアップするには、コンベアベルト上でワークを十分に分散させる必要がある。また、ワークの種類によっては、コンベアベルト上でワークの表裏が振動により反転する可能性があるが、ワークのピックアップ方向が表裏のどちらか一方に決められている場合は、ワークの表裏が反転するとピックアップできない。
【0005】
しかし、上記特許文献1の構成では、2つのローラ間に水平に掛け渡されたコンベアベルトを、2つのローラ間の中間に配置した振動アクチュエータによって上下方向に振動させるだけであるため、コンベアベルト上のワークを分散させる振動を確保できるエリアが2つのローラ間の中間付近の狭いエリアに限られてしまう。このため、コンベアベルト上のワークが2つのローラ間の中間付近を通り過ぎると、そのワークに十分な振動が加えられなくなり、ワークの分散が不十分なままコンベアベルトの端付近のピックアップ位置へ搬送されてしまう。このような分散が不十分なワークや、表裏が反転したワークは、ピックアップできない。その結果、コンベアベルト上に搬入したワークがピックアップされる割合が低くなってしまい、ワークを効率良くピックアップできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、搬入されるワークを載置する振動プレートと、この振動プレートを振動させることで該振動プレート上に搬入されたワークを分散及び/又は反転させる加振装置と、前記振動プレートを水平面に対して傾斜させる傾斜装置とを備え、前記傾斜装置によって前記振動プレートを傾斜させた状態で前記加振装置によって該振動プレートを振動させて前記ワークを分散及び/又は反転させるように構成したワーク供給装置において、前記振動プレートを前記加振装置と一体的に昇降させる昇降装置と、前記加振装置及び前記昇降装置の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記加振装置によって前記振動プレートを振動させて該振動プレート上のワークを分散及び/又は反転させる振動モードと、該振動プレートの振動を停止して該振動プレート上のワークがピックアップされるのを待つ停止モードとを所定の時間間隔で交互に繰り返し、更に、前記昇降装置によって前記振動プレートを上昇させた位置で振動させる上昇位置モードと、該振動プレートを下降させた位置で振動させる下降位置モードとを切り替えるようにしたものである。
【0007】
この構成によれば、傾斜させた振動プレート上に搬入されたワークを振動させるため、振動プレートの傾斜と振動によってワークが分散及び/又は反転しやすくなる。例えば、分散が不十分なワークや、表裏が反転したワークは、ピックアップされずに振動プレート上に残るが、再度、振動プレートを振動させて分散及び/又は反転させることができる。これにより、振動プレート上に搬入したワークを全てピックアップすることも可能となり、ワークを効率良くピックアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は一実施例のワーク供給装置全体の外観を水平モード且つ上昇位置モードの状態で示す斜視図である。
図2図2はワーク供給装置全体の外観を傾斜モード且つ上昇位置モードの状態で示す斜視図である。
図3図3はワーク供給装置全体の外観を水平モード且つ下降位置モードの状態で示す斜視図である。
図4図4はワーク供給装置全体の外観を傾斜モード且つ下降位置モードの状態で示す斜視図である。
図5図5図1の状態でワーク供給装置の側面板とワーク飛び出し防止用の囲壁部を部分的に取り除いて示す斜視図である。
図6図6図2の状態でワーク供給装置の側面板とワーク飛び出し防止用の囲壁部を部分的に取り除いて示す斜視図である。
図7図7図3の状態でワーク供給装置の側面板とワーク飛び出し防止用の囲壁部を部分的に取り除いて示す斜視図である。
図8図8図4の状態でワーク供給装置の側面板とワーク飛び出し防止用の囲壁部を部分的に取り除いて示す斜視図である。
図9図9は水平モード且つ上昇位置モードおける振動プレートとワーク飛び出し防止用の囲壁部との高さ位置関係を示す斜視図である。
図10図10は水平モード且つ下降位置モードおける振動プレートとワーク飛び出し防止用の囲壁部との高さ位置関係を示す斜視図である。
図11図11図9の状態をワーク飛び出し防止用の囲壁部を取り除いて示す側面図である。
図12図12図10の状態をワーク飛び出し防止用の囲壁部を取り除いて示す側面図である。
図13図13図9のXIII−XIII線に沿って破断して示す縦断側面図である。
図14図14図10のXIV −XIV 線に沿って破断して示す縦断側面図である。
図15図15はワーク供給装置の側面板を取り外して主要部の水平モードの状態を示す側面図である。
図16図16はワーク供給装置の側面板を取り外して主要部の傾斜モードの状態を示す側面図である。
図17図17はワーク供給装置の下部をその斜め下側から見た斜視図である。
図18図18はワーク供給装置の制御系の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施例を説明する。
まず、ワーク供給装置11全体の構成を説明する。
【0010】
本実施例のワーク供給装置11は、ロボット等のピックアップツール(図示せず)でピックアップするワークを供給する装置である。供給するワークは、電子部品等の電気系部品や、ナット等の機械系部品のどちらであっても良く、ロボット等のピックアップツールでピックアップ可能なサイズ、重量、形状、材質であれば、どの様な種類のワークであっても良い。
【0011】
このワーク供給装置11は、搬入されるワークを載置する振動プレート12と、この振動プレート12を振動させることで該振動プレート12上に搬入されたワークを分散及び/又は反転させる加振装置13(図11乃至図14参照)と、振動プレート12を水平面に対して傾斜させる傾斜装置14(図15乃至図17参照)と、振動プレート12を加振装置13と一体的に昇降させる昇降装置15(図11乃至図14参照)と、加振装置13、傾斜装置14及び昇降装置15の動作を制御する制御装置16(図18参照)を備えた構成となっている。このワーク供給装置11のワーク搬入側には、振動プレート12上にワークを搬入する搬入装置17(図1乃至図8参照)が設けられている。
【0012】
搬入装置17は、複数のワークを連続的又は断続的に振動プレート12上に搬入するものであればどのような構成のものであっても良く、振動プレート12上に搬入するワークの向きや表裏を揃える必要もなく、複数のワークを向きや表裏がばらばらの状態で振動プレート12上に搬入するようにすれば良い。また、複数のワークが重なり合って塊の状態で振動プレート12上に搬入されても良い。
【0013】
本実施例の搬入装置17は、図5乃至図8に示すように、多数のワークを収容するワーク収容部21と、このワーク収容部21内のワークを少しずつ振動プレート12側へ送る複数段の昇降ステージ22と、各昇降ステージ22を昇降させるステージ昇降装置(図示せず)とを備えた構成となっている。ワーク収容部21の底板は昇降ステージ22側に向かって下り傾斜するシュート状に形成され、ワーク収容部21内のワークを重力により昇降ステージ22側へ滑り移動又は転動させるようになっている。
【0014】
各昇降ステージ22の上端面は、振動プレート12側に向かって下り傾斜する傾斜面に形成されている。ワーク搬入動作中は、ステージ昇降装置によって複数段の昇降ステージ22を交互に上昇/下降させる動作を繰り返し、上昇する昇降ステージ22の上端面を、下降する隣の昇降ステージ22の上端面よりも高く上昇させることで、上昇する昇降ステージ22の上端面上のワークを、当該上端面の傾斜によって隣の昇降ステージ22の上端面へ滑り移動又は転動させるという動作を繰り返して、ワーク収容部21内のワークを順番に隣の昇降ステージ22の上端面上へ載せ替えて振動プレート12側へ送る。
【0015】
搬入装置17の出口側には、複数段の昇降ステージ22によって送られてきたワークを振動プレート12上に搬入するシュート部24が設けられている。このシュート部24は、ワーク供給装置11の側面板20に設けられた軸23を支点にして振動プレート12側(出口側部分)が上下動するように支持され、シュート部24の出口側部分が後述するワーク飛び出し防止用の囲壁部25の上端フランジ部26で受け支えられるようになっている。これにより、後述する傾斜装置14によってワーク飛び出し防止用の囲壁部25が振動プレート12と一体的に傾斜すると、その傾斜角度に応じてシュート部24の傾斜角度が変化するようになっている。
【0016】
次に、図11乃至図14を用いて、振動プレート12を昇降させる昇降装置15の構成を説明する。昇降装置15は、駆動源(アクチュエータ)としてエアシリンダ31を備え、そのピストンロッド32を上向きにした状態で後述する支持フレーム33に取り付けられている。エアシリンダ31のピストンロッド32の上端部には、昇降プレート34が支持フレーム33と平行となるように取り付けられ、この昇降プレート34上に取付部材35を介して振動プレート12の周縁を支持する支持枠部36が該昇降プレート34と平行となるように取り付けられている。これにより、エアシリンダ31のピストンロッド32の昇降により振動プレート12が図11及び図13の上昇位置(最上位置)と図12及び図14の下降位置(最下位置)との間を昇降するようになっている。
【0017】
振動プレート12は、例えばポリプロピレン板等の樹脂板や板ばね等の弾性板により四角形状に形成され、その周縁を上方から支持枠部36で挟み込んでいるため、支持枠部36が振動プレート12上のワークの飛び出しを防ぐ役割をある程度果たすが、支持枠部36だけではワークの飛び出し防止効果が不十分である。
【0018】
そこで、本実施例では、振動プレート12の周囲を取り囲んで該振動プレート12上のワークの飛び出しを防ぐ角筒状の囲壁部25が支持フレーム33に垂直に取り付けられている。図9及び図13に示すように、昇降装置15により振動プレート12を上昇位置へ上昇させたときに、囲壁部25が振動プレート12上のワークの飛び出しを防ぐ高さ位置(囲壁部25の上端が支持枠部36の上端よりも少し高い位置)となるように該囲壁部25が支持フレーム33に固定され、図10及び図14に示すように、振動プレート12を下降位置へ下降させても該囲壁部25が下降しないように構成されている。
【0019】
次に、振動プレート12を振動させる加振装置13の構成を説明する。
図11乃至図14に示すように、加振装置13は、駆動源(アクチュエータ)としてエアシリンダ41を備え、そのピストンロッド42(図13及び図14参照)を上向きにした状態で昇降プレート34上に取付ベース48(図11及び図12参照)を介して取り付けられている。これにより、昇降装置15の昇降動作によって加振装置13が振動プレート12と一体的に昇降するようになっている。エアシリンダ41は、そのピストンロッド42の昇降動作をガイドする2本のガイド43(図13及び図14参照)を設けたガイド付きのエアシリンダであり、そのピストンロッド42の上端面には、加振板44がボルト45によって振動プレート12と平行となるように取り付けられている。
【0020】
加振板44は、金属板等により振動プレート12よりも少し小さい四角形状に形成され、該加振板44には、振動プレート12を下方から打撃する加振点となる複数本のボルト46を上方から締め込む複数のねじ孔47が形成され、各ねじ孔47に各ボルト46を上方から締め込むことで、該加振板44の複数箇所に振動プレート12を打撃する加振点を設けた構成となっている。ピストンロッド42の上端面に加振板44を固定したボルト45も加振点となっている。本実施例では、加振板44のほぼ全域に複数のねじ孔47が分散して形成され、ボルト46を締め込むねじ孔47を選択することで、振動プレート12を打撃する加振点の位置を選択して、振動プレート12の振動状態を調整できるようになっている。
【0021】
加振装置13の加振点であるボルト45,46の上端と振動プレート12との間隔は、エアシリンダ41のピストンロッド42の昇降ストロークよりも狭くなるように設定されている。これにより、加振装置13は、エアシリンダ41のピストンロッド42を所定の周期で昇降運動させることで、振動プレート12の下面を複数の加振点である複数のボルト45,46の上端で所定の周期で打撃して振動プレート12を振動させるように構成されている。本実施例では、ワーク供給装置11の制御装置16(図18参照)は、エアシリンダ41のピストンロッド42の昇降運動のスピード(周期)を調整するスピードコントローラとしても機能し、振動プレート12上のワークの振動(飛び跳ね)の周期に応じて、エアシリンダ41のピストンロッド42の昇降運動のスピードを調整することで、振動プレート12に加える振動(打撃)の周期を調整して、振動プレート12上のワークの分散/反転性能を高めるようにワークの振動状態を調整できるようになっている。
【0022】
振動プレート12上のワークの振動(飛び跳ね)の周期に対して振動プレート12に加える振動(打撃)の周期がずれていると、振動プレート12上のワークの分散/反転性能が低下して、後述する単位時間当たりのピックアップ数が減少して、生産性が低下する傾向がある。
【0023】
そこで、後述する停止モードで振動プレート12上のワークをロボット等のピックアップツールでピックアップする際に、ワーク供給装置11の制御装置16が単位時間当たりのピックアップ数を監視して、単位時間当たりのピックアップ数が目標範囲を下回ったときに、エアシリンダ41のピストンロッド42の昇降運動のスピードを自動調整して、振動プレート12に加える振動(打撃)の周期を自動調整するようにしても良い。或は、作業者がキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置65(図18参照)を操作して調整信号を制御装置16に入力することで、振動プレート12に加える振動(打撃)の周期の調整を作業者が操作できるようにしても良い。
【0024】
更に、本実施例では、図11及び図12に示すように、加振装置13には、振動プレート12に加える振動強度を調整する振動強度調整機構50が設けられている。この振動強度調整機構50は、加振装置13の加振点であるボルト45,46の上端と振動プレート12との間隔を調整する複数の偏心カム51を用いて構成されている。各偏心カム51は、加振装置13のエアシリンダ41の複数箇所(例えば前後左右の4箇所)に回転可能に設けられ、各偏心カム51の外周面が取付ベース48の上面に当接している。各偏心カム51には、その回転中心と同心となるように六角穴等の非円形の工具穴52が形成され、作業者が各工具穴52にレンチ等の工具を嵌め込んで各偏心カム51を回転させることで、エアシリンダ41とその取付ベース48との間隔を調整して、加振点であるボルト45,46の上端と振動プレート12との間隔を調整することで、振動プレート12に加える振動強度を調整できるようになっている。また、各偏心カム51の回転角度を個別に調整することで、ボルト45,46が取り付けられた加振板44が振動プレート12と平行となるように該加振板44の角度を調整できるようになっている。
【0025】
次に、図11乃至図17を用いて、上述した振動プレート12を、ワーク飛び出し防止用の囲壁部25、振動強度調整機構50付きの加振装置13及び昇降装置15と一体的に傾斜させる傾斜装置14の構成を説明する。
【0026】
傾斜装置14は、駆動源(アクチュエータ)としてエアシリンダ55(図15乃至図17参照)を備え、振動プレート12、囲壁部25、加振装置13及び昇降装置15を支持する支持フレーム33を、エアシリンダ55のピストンロッド56(図15及び図17参照)の昇降動作によって傾斜させることで、振動プレート12を、囲壁部25、加振装置13及び昇降装置15と一体的に傾斜させるようになっている。
【0027】
図17に示すように、支持フレーム33のうちの搬入装置17側(後側)の辺部の中央が直交2方向に回動可能な軸受装置57(球面軸受装置)によってワーク供給装置11の後側の本体フレーム58に支持されることで、支持フレーム33が該軸受装置57を支点にして上下方向及び左右方向に回動可能に支持されている。図15乃至図17に示すように、支持フレーム33を上下方向に回動させる駆動源となるエアシリンダ55は、支持フレーム33の下側のスペースのうちの軸受装置57側とは反対側に位置してピストンロッド56を上向きにした状態でワーク供給装置11の前側の本体フレーム59に取り付けられている。このエアシリンダ55のピストンロッド56の上端には、左右両側にカムフォロワ61を有する支持装置62が固定され、支持フレーム33のうちの軸受装置57側とは反対側の部分(前端側の部分)が支持装置62の左右両側のカムフォロワ61によって受け支えられるようになっている。
【0028】
この場合、図15に示すように、エアシリンダ55のピストンロッド56が上昇位置に上昇すると、支持フレーム33が水平な状態に支持されて振動プレート12が水平な状態に支持される。一方、図16に示すように、エアシリンダ55のピストンロッド56が下降位置に下降すると、支持フレーム33が搬入装置17側の軸受装置57を支点にしてその反対側である前側が下がる方向に回動することで、振動プレート12が囲壁部25、加振装置13及び昇降装置15と一体的に前側が下がる方向に傾斜するようになっている。
【0029】
本実施例では、エアシリンダ55のピストンロッド56下降時の振動プレート12の傾斜角度は、例えば3°から10°の範囲内で適宜設定した傾斜角度となっている。この振動プレート12の傾斜角度は、予め決められた一定の傾斜角度であっても良いが、振動プレート12の傾斜角度を調整可能に構成しても良い。例えば、ワーク供給装置11の本体フレーム58に対するエアシリンダ55の取付位置を上下方向に機械的に調整可能に構成し、作業者がエアシリンダ55の取付位置を上下方向に調整することで、振動プレート12の傾斜角度を調整するようにしても良い。或は、エアシリンダ55のピストンロッド56の昇降ストロークを調整可能に構成し、ピストンロッド56の昇降ストロークを調整することで、振動プレート12の傾斜角度を調整するようにしても良い。或は、エアシリンダ55に代えて、送りねじ装置等、モータを駆動源とする送り装置を設けて、この送り装置の上下変位量(モータの回転量)を調整することで、振動プレート12の傾斜角度を調整するようにしても良い。
【0030】
モータを駆動源とする送り装置を用いる場合は、ワーク供給装置11の制御装置16がワークの種類等に応じて送り装置の上下変位量を自動調整して、振動プレート12の傾斜角度を自動調整するようにしても良い。或は、ワーク供給装置11の制御装置16が振動プレート12上のワークの分散/反転の性能(又は単位時間当たりのワークのピックアップ数)を監視して、振動プレート12上のワークの分散/反転の性能(又は単位時間当たりのワークのピックアップ数)が目標範囲を下回る場合に、振動プレート12上のワークの分散/反転の性能(又は単位時間当たりのワークのピックアップ数)が目標範囲内に収まるように振動プレート12の傾斜角度を自動調整するようにしても良い。或は、作業者が入力装置65を操作して調整信号を制御装置16に入力することで、振動プレート12の傾斜角度の調整を作業者が操作できるようにしても良い。
【0031】
図5乃至図8に示すように、ワーク供給装置11の前側の本体フレーム59上面の左右2箇所には、振動プレート12(支持フレーム33)が水平となる高さ位置を位置決めをするねじ付きのストッパ63が下向きにねじ込まれている。図15に示すように、エアシリンダ55のピストンロッド56が上昇位置に上昇して支持フレーム33が軸受装置57を支点にして押し上げられると、支持フレーム33の前端が左右のストッパ63の下端に押し当てられて該支持フレーム33が水平に保持されることで、振動プレート12が水平に保持されるようになっている。この際、組付誤差等により振動プレート12(支持フレーム33)が前後又は左右に少し傾いている場合には、作業者が左右のストッパ63の締め込み量を個別に調整することで、支持フレーム33の前後又は左右の傾きを修正して振動プレート12の前後又は左右の傾きを修正し、振動プレート12の水平精度を確保するようになっている。
【0032】
図18に示すように、ワーク供給装置11の制御装置16は、搬入装置17、加振装置13、傾斜装置14及び昇降装置15の動作を制御し、搬入装置17によってワークを振動プレート12上に搬入しながら加振装置13によって振動プレート12を振動させて該振動プレート12上のワークを分散及び/又は反転させる振動モードと、搬入装置17のワーク搬入動作及び振動プレート12の振動を停止して該振動プレート12上のワークをロボット等のピックアップツールがピックアップするのを待つ停止モードとを所定の時間間隔で交互に繰り返す。つまり、振動モードで振動プレート12上に搬入したワークを十分に分散及び/又は反転させた時点で、停止モードに切り替えて振動プレート12上のワークをピックアップツールがピックアップするのを待ち、所定時間経過後(ワークのピックアップ動作終了後)に振動モードに切り替えるという一連の動作を繰り返す。
【0033】
図示はしないが、ピックアップツールには、これと一定の位置関係でカメラが下向きに設けられ、停止モードに切り替えられたときに、振動プレート12の少なくとも一部のエリアをカメラで撮像して、その画像を処理することで、その画像に写ったワークの表裏、色又は輝度値、ワークの重なりの有無等を認識してピックアップ可能なワークを判別すると共に、ピックアップ可能なワークの位置をカメラの位置(画像の基準位置)を基準にして計測して、ピックアップ可能なワークのみをピックアップツールがピックアップする。ピックアップされなかったワークは、振動プレート12上に残して、その後の振動モードで、再度、分散及び/又は反転させる。
【0034】
ところで、ワークの種類によっては、振動プレート12上で分散及び/又は反転しやすいワークと、分散及び/又は反転しにくいワークが存在する。振動プレート12上でワークが分散及び/又は反転しやすいか否かは、ワークの種類、例えば、ワークのサイズ、形状、重量、重心等によってある程度判断できる。また、表裏等の方向性がないワークは、反転しにくても分散していればピックアップ可能である。また、単位時間当たりのピックアップ数が多いワークは、分散及び/又は反転の進み具合が良好であると推定できる。
【0035】
そこで、本実施例では、ワーク供給装置11の制御装置16は、ワークの種類、例えば、ワークのサイズ、形状、重量、重心、ピックアップ位置(ワークの表裏等の方向性の有無)、単位時間当たりのピックアップ数のうちの少なくとも1つ又はそれに相関する情報に基づいて、傾斜装置14によって振動プレート12を傾斜させて振動させる傾斜モードと、該振動プレート12を水平状態にして振動させる水平モードとを切り替える。
【0036】
つまり、水平モードでも分散及び/又は反転しやすいワークについては水平モードを使用し、水平モードでは分散及び/又は反転しにくいワークについては傾斜モードを使用する。傾斜モードでは、ワークが傾斜した振動プレート12の表面を滑って分散しやすくなるだけでなく、振動プレート12の振動によってワークを跳ね上げる方向も上下方向から傾斜するため、振動プレート12上でワークが効率良く分散及び/又は反転しやすくなる。しかも、前記特許文献1のようにコンベアベルト上でワークを振動させる場合とは異なり、振動プレート12上のワークは、ピックアップされなくても排出されず、再度、振動プレート12を振動させて分散及び/又は反転させることができる。例えば、分散が不十分なワークや、表裏が反転したワークは、ピックアップされずに振動プレート12上に残るが、再度、振動プレート12を振動させて分散及び/又は反転させることができる。これにより、振動プレート12上に搬入されたワークを全てピックアップすることも可能となり、ワークを効率良くピックアップすることができる。
【0037】
しかも、傾斜モードでは、振動プレート12のうちの搬入装置17側(後側)を支点にしてその反対側(前側)を下げることで該振動プレート12を傾斜させるようにしたので、搬入装置17から振動プレート12上に搬入したワークを、振動プレート12の傾斜を利用して搬入装置17側からその反対側に効率良く分散させることができる。
【0038】
ところで、振動プレート12上のワークを撮像するカメラは、モノクロ画像、カラー画像のどちらを撮像するカメラであっても良いが、二次元の画像処理で振動プレート12上のワークを認識するため、振動プレート12上のワークの位置を精度良く計測するには振動プレート12が水平であることが望ましい。また、傾斜した振動プレート12上のワークは、位置によって高さが少しずつ異なるため、傾斜した振動プレート12上のワークをピックアップツールでピックアップする場合には、ピックアップツールのピックアップ高さをワークの位置によって少しずつ変化させる必要があり、制御が複雑になる。
【0039】
そこで、本実施例では、ワーク供給装置11の制御装置16は、傾斜モードから停止モードに切り替えるときに、傾斜装置14によって振動プレート12を水平状態に戻して、水平な振動プレート12上のワークをカメラで撮像して、その画像を処理してピックアップ可能なワークを認識して、そのワークをピックアップツールでピックアップさせるようにしている。これにより、振動プレート12上のピックアップ可能なワークの位置を二次元の画像処理で精度良く計測できると共に、そのワークをピックアップするピックアップツールのピックアップ高さが一定高さとなるため、振動プレート12上のワークをピックアップツールでピックアップする制御が簡単になると共に、ワークのピックアップ動作を安定して能率良く行うことができる。
【0040】
ところで、ワークの種類によっては、振動プレート12の振動により高く跳ね上げられるワークと、跳ね上げ量が小さいワークが存在する。振動プレート12の振動によりワークが高く跳ね上げられると、ワークが囲壁部25を超えて飛び出してしまう可能性がある。振動プレート12の振動によりワークが高く跳ね上げられるか否かは、ワークの種類、例えば、ワークのサイズ、形状、重量、重心等によってある程度判断できる。また、表裏等の方向性がないワークは、反転しにくても分散していればピックアップ可能であるため、ワークを高く跳ね上げて反転を促進する必要はない。また、単位時間当たりのピックアップ数が少ないワークは、分散及び/又は反転の性能が不足する可能性があるため、ワークを高く跳ね上げて分散及び/反転を促進する必要がある。
【0041】
そこで、本実施例では、ワーク供給装置11の制御装置16は、ワークの種類、例えば、ワークのサイズ、形状、重量、重心、ピックアップ位置(ワークの表裏等の方向性の有無)、単位時間当たりのピックアップ数のうちの少なくとも1つ又はそれに相関する情報に基づいて、昇降装置15によって振動プレート12を上昇させた位置で振動させる上昇位置モードと、該振動プレート12を下降させた位置で振動させる下降位置モードとを切り替える。
【0042】
つまり、振動プレート12の振動により高く跳ね上げられるワークについては下降位置モードを使用し、跳ね上げ量が小さいワークについては上昇位置モードを使用する。図3図4図7図8図10図14に示すように、下降位置モードでは、振動プレート12が下降しても囲壁部25が下降しないため、振動プレート12の振動によりワークが高く跳ね上げられても、囲壁部25によってワークの飛び出しを防止できる。
【0043】
ワーク供給装置11の制御装置16は、下降位置モードで振動プレート12を振動させてワークを分散及び/又は反転させてから、停止モードに切り替えて、振動プレート12上のワークをピックアップツールでピックアップさせるが、停止モードでは振動プレート12を上昇位置に戻して水平にする。このため、下降位置モードは、上昇位置モードと比較して、昇降装置15によって振動プレート12を昇降させる動作が必要となり、その分、サイクルタイムが長くなって生産性が低下する。
【0044】
そこで、ワーク供給装置11の制御装置16は、跳ね上げ量が小さいワークについては上昇位置モードで振動プレート12を振動させてワークを分散及び/又は反転させてから、停止モードに切り替えて、振動プレート12上のワークをピックアップツールでピックアップさせる。上昇位置モードから停止モードに切り替える場合は、昇降装置15によって振動プレート12を昇降させる動作を行わずに済み、その分、サイクルタイムを短くして、生産性を向上させることができる。
【0045】
尚、本実施例では、ワーク供給装置11の制御装置16が傾斜装置14と昇降装置15の動作を制御して水平モードと傾斜モードとの切り替えや上昇位置モードと下降位置モードとの切り替えをワークの種類等に基づいて自動的に行うようにしたが、作業者が入力装置65を操作してモード切換信号を制御装置16に入力することで水平モードと傾斜モードとの切り替えや上昇位置モードと下降位置モードとの切り替えを作業者が操作できるようにしても良い。
【0046】
或は、傾斜装置14及び/又は昇降装置15を廃止して、振動プレート12の傾斜角度を機械的に切り替える機構を設けて、作業者が手作業で振動プレート12の傾斜角度を切り替えるようにしたり、また、振動プレート12の高さ位置を機械的に切り替える機構を設けて、作業者が手作業で振動プレート12の高さ位置を切り替えるようにしても良い。
【0047】
また、本発明は、振動プレート12の高さ位置を切り替える機能を省略して振動プレート12の高さ位置を一定高さに固定した構成としても良く、要は、少なくとも振動プレート12を傾斜させて振動させる機能を備えた構成とすれば良い。
【0048】
その他、本発明は、例えば、加振装置13、傾斜装置14、昇降装置15、搬入装置17等の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
11…ワーク供給装置、12…振動プレート、13…加振装置、14…傾斜装置、15…昇降装置、16…制御装置、17…搬入装置、25…囲壁部、31…エアシリンダ、33…支持フレーム、36…支持枠部、41…エアシリンダ、44…加振板、45,46…ボルト、50…振動強度調整機構、51…偏心カム、55…エアシリンダ、58…本体フレーム、63…ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図18