(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871432
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】PLK1タンパク質に対する抗原に特異的なT細胞の免疫反応を誘導するHLA−A2亜型に特異的なPLK1由来の抗原決定基
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20210426BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20210426BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20210426BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210426BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20210426BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20210426BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20210426BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20210426BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20210426BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20210426BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20210426BHJP
C12N 9/12 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
C12N15/54ZNA
C07K7/06
A61K39/00 H
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/17 Z
C12N5/0784
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N5/078
C12N5/10
C12N9/12
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-569399(P2019-569399)
(86)(22)【出願日】2018年6月12日
(65)【公表番号】特表2020-523387(P2020-523387A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】KR2018006651
(87)【国際公開番号】WO2018230938
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0073893
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510058863
【氏名又は名称】ザ カトリック ユニバーシティ オブ コリア インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テ・ギュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・イル・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヒ・キム
【審査官】
坂井田 京
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0105923(US,A1)
【文献】
Jung-Sun Park et al.,Cancer Science,2011年,Vol.102, No.8,p.1448-1454
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
C12N 5/00−5/28
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NOS:1〜4からなる群より選択され、HLA−A2亜型に特異的な細胞毒性Tリンパ球(CTL)により認識されることを特徴とする、ポロ様キナーゼ1(Polo−like kinase−1;PLK1)の抗原決定基。
【請求項2】
請求項1に記載の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基を含むことを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物。
【請求項3】
腫瘍は、悪性黒色腫、リンパ種、大膓癌、神経膠腫、腎臓癌、卵巣癌、乳房癌、膠芽腫、白血病及び子宮頸部癌からなる群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載の腫瘍の予防又は治療用組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体が表面に提示されたことを特徴とする、抗原提示細胞。
【請求項5】
抗原提示細胞は、樹状細胞、単核細胞、CD4+T細胞、B細胞及びγδT(gamma delta T)細胞からなった群より選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項4に記載の抗原提示細胞。
【請求項6】
CD4+T細胞、B細胞及びγδT細胞は、未経験(naive)状態、活性化状態又は増幅(expansion)された状態であることを特徴とする、請求項5に記載の抗原提示細胞。
【請求項7】
抗原提示細胞は、細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基をコーディングする核酸を抗原提示細胞に導入して製造されたものであることを特徴とする、請求項4に記載の抗原提示細胞。
【請求項8】
核酸は、DNA又はRNAであることを特徴とする、請求項7に記載の抗原提示細胞。
【請求項9】
請求項4に記載の抗原提示細胞を含むことを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物。
【請求項10】
請求項4に記載の抗原提示細胞に提示される請求項1に記載の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体を特異的に認識することを特徴とする、細胞毒性Tリンパ球。
【請求項11】
細胞毒性Tリンパ球は、CD4+T細胞又はCD8+T細胞を含むことを特徴とする、請求項10に記載の細胞毒性Tリンパ球。
【請求項12】
請求項10に記載の細胞毒性Tリンパ球を含むことを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLK1タンパク質に対する抗原に特異的なT細胞の免疫反応を誘導するHLA−A*0201亜型に特異的なPLK1由来の抗原決定基に関する。
【背景技術】
【0002】
全ての抗原に対するT細胞の免疫反応は、抗原提示細胞(antigen presenting cell、APC)の抗原処理過程によって抗原由来のペプチド断片(抗原決定基;epitope)と主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex;MHC)が結合された後、抗原提示細胞の表面に提示されるMHC/ペプチド抗原複合体をT細胞が認識して活性化しながら始まる。
【0003】
抗原に特異的に反応するT細胞は、多様なサイトカインを分泌してまた他の免疫反応を活性化するか、MHC/ペプチド抗原複合体を提示する標的細胞を認識して殺害する細胞毒性機能を有するキラーT細胞に分化される。
【0004】
このようなT細胞の免疫反応を誘導する最小限の抗原由来のペプチド断片を抗原決定基といい、抗原決定基とMHC分子との結合親和力によってT細胞の活性化程度が変わる。MHC分子は、ヒトごとに多様な亜型が存在し、一つの抗原決定基に対してMHC分子は多様な結合親和力を有することができ、特定のペプチドは、多くの他のMHC亜型に結合されて細胞表面に提示されることが報告されている。
【0005】
細胞毒性機能を有するキラーT細胞に分化されるCD8+T細胞の抗原認識は、MHC class―I遺伝子の多様な対立遺伝子亜型により調節されるので、効率性が高い抗腫瘍免疫反応を誘導する腫瘍ワクチン又はT細胞免疫治療法の開発に用いるための候補物質の同定は多数のヒトに存在しているMHC class−I亜型に反応する抗原決定基の糾明が必須に行われなければならない。ヒトに発現するMHC分子は、human leukocyte antigen(HLA)であって、最も多く発現/存在するHLA亜型は、HLA−A2亜型であり、その中でHLA−A*0201に対する研究が最も活発に進行されている。
【0006】
ポロ様キナーゼ1(Polo−like kinase−1;PLK1)は、多様な細胞分裂プロセスを調節する必須的な類似分裂キナーゼであって、肺癌、乳房癌、甲状腺癌、大腸及び直膓癌、前立腺癌、卵巣癌などを含んだ固形癌で正常組織に比べて高く発現されることが報告されており、PLK1タンパク質による標的タンパク質のリン酸化を抑制することで腫瘍細胞の死滅を誘導することができることが明かされた以後、臨床1、2、3相を通じてPLK1抑制剤が抗癌剤として普遍化される段階である。さらに、PLK1タンパク質が腫瘍細胞で過発現されて腫瘍に特異的なT細胞の免疫反応を誘導する腫瘍標的抗原に用いられることが報告されている。
しかし、PLK1タンパク質に対する特異的な抗原特異的なT細胞の免疫反応を誘導するHLA−A2に特異的なPLK1の抗原決定基はまだ報告されたことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 2017-0037093 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、PLK1タンパク質に対する抗原特異的なT細胞の免疫反応を誘導するHLA−A2亜型に特異的なPLK1由来の抗原決定基を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記PLK1由来の抗原決定基の薬剤学的用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、SEQ ID NOS:1〜4からなる群より選択され、HLA−A2亜型に特異的な細胞毒性Tリンパ球(CTL)により認識されるポロ様キナーゼ1(Polo−like kinase−1;PLK1)の抗原決定基を提供する。
【0011】
また、本発明は、細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、有効量の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基を含む腫瘍の予防又は治療用組成物をこれを必要とする対象体に投与することを含む腫瘍治療方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体が表面に提示された抗原提示細胞を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記抗原提示細胞を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、有効量の前記抗原提示細胞を含む腫瘍の予防又は治療用組成物をこれを必要とする対象体に投与する段階を含む腫瘍治療方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記抗原提示細胞に提示される上記の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体を特異的に認識する細胞毒性Tリンパ球を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記細胞毒性Tリンパ球を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は、有効量の前記細胞毒性Tリンパ球を含む腫瘍の予防又は治療用組成物をこれを必要とする対象体に投与する段階を含む腫瘍治療方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、PLK1タンパク質に対する抗原特異的なT細胞の免疫反応を誘導するHLA−A2亜型に特異的なPLK1由来の抗原決定基を提供する効果がある。前記PLK1由来の抗原決定基は、PLK1を特異的に発現する癌の予防又は治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、野生型PLK1抗原決定基と組換えのために最適化されたPLK1抗原決定基の配列(上段)、及び多数のPLK1の抗原決定基で構成された組換えDNAが挿入された発現ベクター(下段)を示す。
【
図2a】
図2の(a)及び(b)は、多数の野生型PLK1抗原決定基で構成された組換えDNA(
図2の(a))と、組換えのために最適化された多数のPLK1抗原決定基で構成された組換えDNA(
図2の(b))をHLA−A2形質転換マウスに電気穿孔後に脾臓で現われる免疫反応を確認したEliSpot結果を示す。
【
図2b】
図2の(a)及び(b)は、多数の野生型PLK1抗原決定基で構成された組換えDNA(
図2の(a))と、組換えのために最適化された多数のPLK1抗原決定基で構成された組換えDNA(
図2の(b))をHLA−A2形質転換マウスに電気穿孔後に脾臓で現われる免疫反応を確認したEliSpot結果を示す。
【
図3】
図3は、HLA−A2に特異的なPLK1由来の抗原決定基候補のうちPLK1
123(SDFVFVVLEL)、PLK1
477(TLLKYFRNYM)、PLK1
541/21(LILCPLMAAV)のCD8+T細胞の免疫反応をCD107a/bを通じて確認した柔細胞分析結果を示す。
【
図4a】
図4の(a)〜(c)は、HLA−A2に特異的なPLK1由来の抗原決定基候補のうちPLK1
123(SDFVFVVLEL)(
図4の(a))、PLK1
477(TLLKYFRNYM)(
図4の(b))、PLK1
541/21(LILCPLMAAV)(
図4の(c))を樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤ワクチン戦略でHLA−A2形質転換マウスに免疫注入して現われる免疫反応を確認したEliSpot結果を示す。
【
図4b】
図4の(a)〜(c)は、HLA−A2に特異的なPLK1由来の抗原決定基候補のうちPLK1
123(SDFVFVVLEL)(
図4の(a))、PLK1
477(TLLKYFRNYM)(
図4の(b))、PLK1
541/21(LILCPLMAAV)(
図4の(c))を樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤ワクチン戦略でHLA−A2形質転換マウスに免疫注入して現われる免疫反応を確認したEliSpot結果を示す。
【
図4c】
図4の(a)〜(c)は、HLA−A2に特異的なPLK1由来の抗原決定基候補のうちPLK1
123(SDFVFVVLEL)(
図4の(a))、PLK1
477(TLLKYFRNYM)(
図4の(b))、PLK1
541/21(LILCPLMAAV)(
図4の(c))を樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤ワクチン戦略でHLA−A2形質転換マウスに免疫注入して現われる免疫反応を確認したEliSpot結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、HLA−A2主要組織適合性複合体を発現する形質転換マウス(Transgenic mouse)を用いてPLK1タンパク質に対する抗原特異的なT細胞免疫反応を誘導するHLA−A*0201亜型に特異的なPLK1由来の抗原決定基を糾明し、糾明されたPLK1由来の抗原決定基を用いて誘導されたCD8+T細胞のHLA−A2陽性腫瘍に対して特異的に認識できることを確認することで、本発明を完成した。
【0022】
したがって、本発明は、SEQ ID NOS:1〜4からなる群より選択され、HLA−A2亜型に特異的な細胞毒性Tリンパ球(CTL)により認識されるポロ様キナーゼ1(Polo−like kinase−1;PLK1)の抗原決定基を提供する。
【0023】
本発明で用いられた用語「抗原決定基(epitope)」は、HLA−A2亜型を表現する個体でCD8+T細胞の免疫反応を誘導するCTLのペプチド抗原決定基を意味する。本発明は、ヒト又はマウスのPLK1で生物情報学プログラムを用いてHLA−A*0201と結合親和力が高いと予想されるPLK1のペプチド28個を選定した。前記28個の抗原決定基ペプチドは、それぞれ約9〜10個のアミノ酸からなっている。前記結合親和力とは、「抗原決定基が抗原提示細胞表面上にある主要組織適合性複合体と結合する程度」を意味し、結合親和力が高いほどT細胞の活性化が効率的であると知られている。
【0024】
本発明で用語「MHC(Major Histocompatibility Complex)」は、抗原提示細胞が外部抗原をT細胞に示すとき外部抗原とともにT細胞収容体と結合することでT細胞分化を誘導する高度の多形性(polymorphism)を有する部位であって、臓器移植時に組織適合性を決定する重要な細胞表面分子である。MHCクラスI免疫反応は、腫瘍抗原に対する免疫反応でMHCクラスI経路を経た抗原提示細胞が提示した抗原決定基により刺激されたCD8+T細胞が行う反応を意味することで、CD8+T細胞は、IFN−γ分泌と細胞毒性の二つの機能を行う。
【0025】
本発明で用語「HLA(human leukocyte antigen)」は、ヒトのMHCであって、ヒトの白血球表面から発現される。HLA−A2の上位類型は、最も頻繁なHLAのうち一つであって、東洋人と西洋人からいずれも40〜50%程度が発現され、A*0201、A*0202、A*0203、A*0204、A*0205、A*0206、A*0207、A*6802、A*6901などの亜型を含む。本発明では、HLA−A2亜型のヒトで存在するMHCに反応するPLK1の抗原決定基ペプチドを選別した。
【0026】
したがって、本発明のPLK1の抗原決定基は、CTLにより認識されるHLA−A2亜型、より具体的に、HLA−A*0201亜型に特異的なペプチドであって、マウス又はヒトに由来したSEQ ID NOS:1(PLK1
123)、2(PLK1
477)、3(PLK1
541 21)及び4(PLK1
542)に記載されたアミノ酸配列であってもよい。
【0027】
また、本発明は、前記細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
【0028】
本発明のPLK1の抗原決定基を有効成分で含む医薬は、例えば、本発明のPLK1の抗原決定基を単独又は細胞運搬体を用いて腫瘍患者などに投与することで腫瘍の予防、再発抑制(relapse)又は治療することができる。本発明のPLK1の抗原決定基が抗原提示細胞内でMHCクラスI抗原又はII抗原と結合して細胞表面に高密度に提示されることで、腫瘍に特異的なCTLが体内で効率的に増殖されるようになり、これによって、腫瘍の予防、再発抑制(relapse)又は治療が達成される。
【0029】
前記腫瘍は、PLK1を過発現するもので、例えば、悪性黒色腫、リンパ種、大膓癌、神経膠腫、腎臓癌、卵巣癌、乳房癌、膠芽腫、白血病及び子宮頸部癌を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0030】
本発明の組成物は、PLK1の抗原決定基とともに細胞性免疫が効果的に成立されるように免疫補強剤(又はアジュバント)と投与するか、粒子状の剤型にして投与することができる。
【0031】
前記アジュバントは、 免疫細胞の初期活性化過程で非特異的に抗原に対する免疫反応を促進する物質であって、宿主に免疫原ではないが免疫系の細胞の活性を増大させることで免疫を強化する製剤、分子などを意味する(Warren et al., Annu Rev Immunol 4:369、1986)。本発明の組成物とともに投与されて免疫反応を増強させ得るアジュバントは、任意の多様なアジュバントを含み、典型的なアジュバントとしては、フロイントアジュバント((Freund adjuvant)、アルミニウム複塩化合物(alum compound)、ムラミルジペプチド(muramyl dipeptide)、リポポリサッカライド(LPS)、モノホスホリルリピドA又はクイルAなどが知られている。前記アジュバントは、腫瘍予防用組成物(ワクチン)と同時に投与されるか時間間隔を置いて順次に投与されてもよい。
【0032】
また、本発明は、有効量の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を対象体に投与することを含む腫瘍治療方法を提供する。
【0033】
前記対象体は、犬、猫、ラット、マウス、ヒトなどの哺乳動物であってもよいが、これに制限しない。
【0034】
また、本発明は、前記細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体が表面に提示された抗原提示細胞に関する。
【0035】
前記抗原提示細胞は、樹状細胞、単核細胞、CD4+T細胞、B細胞及びγδT(gamma delta T)細胞からなった群より選択された一つ以上であってもよく、前記CD4+T細胞、B細胞及びγδT細胞は、未経験(naive)状態、活性化状態又は増幅(expansion)された状態であることが好ましいが、これに制限されない。
【0036】
前記抗原提示細胞は、CTLにより認識されるPLK1の抗原決定基をコーディングする核酸を抗原提示細胞に導入して製造され得る。
【0037】
前記核酸は、最も広義的な意味で用いられ、一本鎖(ss)DNA、二本鎖(ds)DNA、cDNA、(−)−RNA、(+)−RNA、dsRNAなどを包括する。
【0038】
本発明の核酸を抗原提示細胞内に導入する方法でベクターによる方法を用いることができるが、これに制限されない。
【0039】
本発明で用語「ベクター」は、自分に連結された他の核酸を運ぶことができる核酸分子を意味する。ベクターの一つの類型で「プラスミド」があるが、プラスミドとは、追加のDNA分節を結紮させ得る円形の二本鎖DNAループを意味する。ベクターのまた他の類型としては、追加的なDNA分節をウイルスゲノムで結紮させ得るウイルスベクターがある。一部のベクターは、宿主細胞に導入されるときこの宿主細胞内で自己複製できる(例えば、バクテリア複製基点を有するバクテリアベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されるとき宿主細胞のゲノムに統合され、宿主ゲノムと一緒に複製され得る。また、一部のベクターは、これらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。本明細書でこのようなベクターを「組換え発現ベクター(又は、簡単に「発現ベクター」)」と言う。一般的に、組換えDNA技法に有用な発現ベクターは、大抵プラスミドの形態としてプラスミドが最も一般的に用いられるベクター類型であるため、「プラスミド」と「ベクター」は、互いに交換して用いられ得る。しかし、本発明は、同等な機能を提供するウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、バキュロウイルスベクター)のような他の形態の発現ベクターも含む。好ましくは、レンチウイルスベクターを用いることができる。形質転換は、核酸を有機体、細胞、組織又は機関に導入するいかなる方法も含まれ、当分野で公知されたように宿主細胞によって適合な標準技術を選択して行うことができる。このような方法には、電気穿孔(electroporation)、原形質融合、リン酸カルシウム(CaPO
4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl
2)沈澱、シリコンカーバイド纎維を用いた撹拌、アグロバクテリアが媒介された形質転換、PEG、デキストランスルフェート、リポフェクタミンなどが含まれるが、これに制限されない。
【0040】
また、本発明は、前記抗原提示細胞を含む腫瘍の予防又は治療用組成物に関する。
【0041】
また、本発明は、有効量の前記抗原提示細胞を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を対象体に投与する段階を含む腫瘍治療方法を提供する。
【0042】
前記抗原提示細胞は、ワクチン又は免疫治療剤で用いられ得る。
【0043】
前記ワクチン(又は免疫原性組成物)は、動物に接種するとき抗癌免疫又は癌抑制を誘導する物質を示し、本発明のPLK1の抗原決定基は、PLK1を発現する癌細胞に強くて特異的な免疫反応を誘導することができ、PLK1を発現する癌は、悪性黒色腫、リンパ種、大膓癌、神経膠腫、腎臓癌、卵巣癌、乳房癌、膠芽腫、白血病及び子宮頸部癌 などを含むが、これに制限しない。
【0044】
前記免疫治療剤は、免疫反応を増加させるか、腫瘍の治療又は予防に好ましい免疫反応の一部を選択的に上昇させ得る。本発明の抗原提示細胞は、細胞内に導入されてPLK1の抗原決定基を発現すると、PLK1の抗原決定基が抗原提示細胞内でMHCクラスI抗原又はII抗原と結合して細胞表面に高密度で提示されることで、腫瘍に特異的なCTLsが体内で効率的に増殖するようになり、これによって、PLK1を発現する腫瘍の予防、再発抑制(relapse)又は治療が達成される。
【0045】
また、本発明は、前記抗原提示細胞に提示される上記の細胞毒性Tリンパ球により認識されるポロ様キナーゼ1の抗原決定基;及びMHCクラスI抗原又はII抗原の複合体を特異的に認識する細胞毒性Tリンパ球に関する。
【0046】
前記CTLは、抗原提示細胞に提示されるPLK1の抗原決定基/MHCクラスI抗原又はII抗原の複合体を特異的に認識するCD4+T細胞又はCD8+T細胞を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0047】
前記CTLは、試験管内で誘導されたものであって、試験管内CTLと、抗原特異的方式でCTLを活性化させるに十分な時間の間適合な抗原提示細胞の表面で発現されたPLK1の抗原決定基がローディングされたヒト類型I又はIIのMHC分子を接触させることを含む。または、自己組織腫瘍浸潤リンパ球を用いてCTLを生成するか;自己末梢血液リンパ球を用いてCTLを製造するか;PLK1の抗原決定基を樹状細胞にパルスして用いるか組換えウイルスを用いて感染させることで自己CTLを生成するか;PLK1の抗原決定基とともにパルスされるか組換えウイルスにより感染された大食細胞を自己CTLの製造に用いるか;又は人工抗原提示細胞を用いて試験管内T細胞の感作を通じて製造する方法を用いることができるが、これに制限するものではない。
【0048】
前記CTLの誘導は、PLK1の抗原決定基を抗原提示細胞によりT細胞に提示してCTL誘導を検出することで評価することができる。また、抗原提示細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、マクロファージ、好酸球(eosinophils)及びNK細胞を活性化する効果を有する。CD4+T細胞は、また抗癌免疫において重要であるので、PLK1の抗原決定基の抗癌免疫誘導作用は前記細胞の活性化効果を指標で用いて評価することができる。
【0049】
また、本発明は、前記細胞毒性Tリンパ球を含む腫瘍の予防又は治療用組成物に関する。
【0050】
また、本発明は、有効量の前記細胞毒性Tリンパ球を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を対象体に投与する段階を含む腫瘍治療方法を提供する。
【0051】
前記PLK1の抗原決定基により活性化されたCTLは、腫瘍治療に有用である。
【0052】
前記活性化されたCTLは、PLK1を非正常的に発現する細胞を選択的に認識する。好ましくは、CTLは、TCRを通じてHLA/ペプチド複合体と相互作用(例えば、結合)することで細胞を認識する。患者においてCTLは、PLK1を非正常的に発現する標的細胞を死滅させる方法に有用である。患者は、効果的な数の活性化されたCTLの投与を受ける。患者に投与されたCTLは、患者に由来するか活性化され得る(すなわち、これは自己CTLである。)。または、CTLは、患者ではない他の個体に由来する。勿論、好ましくは、供与者は元気な個体である。ここで、「元気な個体」とは、個体が一般的に良好な健康状態を有しており、好ましくは、適格免疫系を有し、より好ましくは、容易に試験されるか検出されるいかなる疾病も有しないことを意味する。
【0053】
ここで「非正常的に発現される」とは、PLK1の発現が正常レベルに比べて過発現されるか、遺伝子が腫瘍に由来する組織では沈黙的であるが、腫瘍では発現されることを意味する。「過発現」とは、PLK1が正常組織に存在するレベルの1.2倍以上に存在することを意味し、より好ましくは、少なくとも2倍、さらに好ましくは、少なくとも5倍又は10倍で正常組織に存在することを意味する。
【0054】
生体内で、本発明のCTLに対する標的細胞は、腫瘍の細胞(これはたびたびMHC類型IIを発現する)及び/又は腫瘍を取り囲んでいるマトリックス細胞である(腫瘍細胞)(また、たびたびMHC類型IIを発現する)。
【0055】
したがって、本発明のCTLは、治療組成物において活性成分として用いられ得る。
【0056】
CTLの入養伝達方法は公知の方法を用いることができ、特別に制限しない。
【0057】
本発明の腫瘍の予防又は治療用組成物は、試験管内、生体内又は生体外で診断的又は治療的用途に適合な組成物を成す活性成分及び活性又は無活性の薬学的に許容可能な担体を含むことができる。
【0058】
前記薬学的に許容可能な担体は、リン酸緩衝化された塩水溶液、ヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどを含むタンパク質賦形剤のように、T細胞と混用可能な任意の薬学的担体を含む。
【0059】
担体、安定化剤及び補強剤の例は、Martin REMINGTON'S PHARM.SCI、18
th Ed.(Mack Publ.Co.、Easton(1995))及びthe「PHYSICIAN'S DESK REFERENCE」、58nd Ed.、Medical Economics、Montvale、NJ.(2004)を参照する。用語「担体」は、緩衝液又はpH調整剤を含むことができ、典型的に緩衝液は、有機酸又は塩基から製造された塩である。代表的な緩衝液としては、クエン酸の塩、アスコルビン酸の塩、グルコン酸の塩、炭素酸の塩、酒石酸の塩、コハク酸の塩、酢酸の塩又はフタル酸の塩などの有機酸塩;トリス、トロメタミンヒドロクロライド又はホスフェート緩衝液を含む。追加的な担体として、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、シクロデキストリン、例えば、2−ヒドロキシプロピル−クワドラチャ(quadrature)−シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー性賦形剤/添加剤を含む。氷結防止剤又は降下剤も含まれ得る。
【0060】
本発明の腫瘍の予防又は治療用組成物は、多様な適正剤型で製造され得る。例えば、腫瘍内、動脈内(関節で)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、結節内(intranodal)及び皮下経路のような非経口投与に適合な剤型と担体は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤及び剤型を目的とする受容者の血液と等張で作る溶質及び、懸濁剤、溶解剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含むことができる水性及び非水性の滅菌懸濁液を含む。
【0061】
静脈内又は腹腔投与が本発明の腫瘍の予防又は治療用組成物の投与に好ましい方法である。個体に投与された細胞の投与量は、時間の経過によって個体で目的とする有益な治療的反応を達成するために有効な量、又は癌細胞の成長抑制に有効な量又は感染の抑制に有効な量である。例えば、注入前に個体から血液試料を収得した後に保管して後続的な分析及び比較に用いる方式で実施され得る。一般的に、少なくとも約1×10
4〜1×10
6及び典型的に1×10
8〜1×10
10個の細胞を70kgの患者に約60分〜120分にわたって静脈内又は腹腔内に注入することができる。投与の場合、個体の全般的健康状態及び体重を考慮しながら、本発明の細胞を細胞の類型によるLD−50(又はその他毒性測定方法)及び多様な濃度での細胞の類型による副作用により決定された割合で投与する。投与は、一回投与するか又は多くの回分けて投与することができる。本発明の腫瘍の予防又は治療用組成物は、細胞毒性剤、ヌクレオチド類似体及び生物学的反応変形剤を含む公知された通常の治療法を用いて他の特定症状に対する治療を補うことができる。類似に、生物学的反応変形剤が本発明の腫瘍の予防又は治療用組成物による治療に選択的に追加され得る。
【0062】
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【0063】
(発明の実施のための形態)
<実施例1>PLK1タンパク質に対する抗原特異的T細胞免疫反応を誘導するHLA−A*0201亜型特異的PLK1由来の抗原決定基の選別
生物情報学−基盤プログラム(Immune epitope databas &analysis resouce、http://www.iedb.orf)を用いてPLK1由来のHLA−A2亜型特異的抗原決定基ペプチドを予測し、下記表1のように28個を合成した。
【0065】
多数抗原決定基(multi−epitopes)に特異的なT細胞免疫反応を誘導するDNA基盤ワクチン戦略を用いるために、予測されたPLK1由来のHLA−A2多数抗原決定基のアミノ酸配列をゴルジ体のタンパク質分解酵素に敏感なfurin−sensitive linker(SGSG)アミノ酸で連結してpCI発現ベクターにクローニングした(
図1参照)。
【0066】
組換えDNA、PLKWTとPLKOPT、これらをHLA−A2形質転換マウスにEletro squere porator device(ECM830;BTX;San Diego、CA.)を用いて95V(4×65 ms pulses with repoling)で生体電気衝撃療法を施行した。これを7日間隔で3回進行した後、マウス脾臓のCD8+T細胞を分離した。HLA−A2分子を発現するT2細胞株にそれぞれの予測された抗原決定基ペプチドで感作して標的細胞として用いてIFN−γ EliSpotを行った。
【0067】
図2の(a)、(b)に示したように、各抗原決定基ペプチドで感作されたT2細胞株に対するCD8+T細胞活性化によるIFN−γ生産能がPLK1由来のPLK1
123(NDFVFVVLEL)、PLK1
477(TLLKYFRNYM)、PLK1
541 2I(LILCPLMAAV)とPLK1
542(ILCPLMAAV)ペプチドで感作した場合、高く示すことを観察した。
【0068】
前記配列のペプチドがHLA−A2に特異的な主要抗原決定基(Dominant epitopes)であることを確認した。
【0069】
次に、前記HLA−A2形質転換マウスで、多数抗原決定基(Multi−epitopes)DNA基盤ワクチン実験で主要抗原決定基で確認されたHLA−A2結合PLK1
123(NDFVFVVLEL)、PLK1
477(TLLKYFRNYM)、PLK1
541(LILCPLMAAV)ペプチドを選択し、HLA−A2形質転換マウスで樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤のTriVaxワクチン(CD40抗体/Poly−IC/抗原決定基)戦略で免疫注入した。これを通じて、各抗原決定基ペプチドに対する免疫反応を誘導した後に脾臓のT細胞を収得し、それぞれPLK1抗原と培養した後、IFN−γとCD107a/bを発現するCD8+T細胞をフローサイトメトリー(Flow cytometry)を用いて確認した。
【0070】
図3に示したように、PLK1
123抗原のペプチドで免疫注入したHLA−A2形質転換マウス実験群から、PLK1
477、PLK1
541抗原のペプチドを用いた実験群と比較して相対的に高い抗原特異的なCD8+T細胞の割合が観察された。
【0071】
CD8+T細胞の免疫反応を調査するために、HLA−A2形質転換マウスで樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤のワクチン戦略で免疫注入し、脾臓で現われる免疫反応をEliSpotを通じて確認した。これのために、前記HLA−A2形質転換マウスで多数抗原決定基(Multi−epitopes)DNA基盤のワクチン実験で主要抗原決定基で確認されたHLA−A2結合のPLK1
123(NDFVFVVLEL)、PLK1
477(TLLKYFRNYM)、PLK1
541(LILCPLMAAV)ペプチドを選択し、HLA−A2形質転換マウスで樹状細胞ワクチン及びペプチド基盤のTriVaxワクチン(CD40抗体/Poly−IC/抗原決定基)戦略で免疫注入した。これを通じて、各抗原決定基ペプチドに対する免疫反応を誘導した後、脾臓細胞からCD8+T細胞を抗体結合磁気細胞選別法(Magnetic cell sorting)で獲得して抗原特異的なT細胞反応を確認するための効果細胞(Effector cell)として用いた。標的細胞としては、HLA−A2陽性Leukemia & Lymphoma細胞であるCCRF−SB、THP−1、SKM−1とMelanoma細胞であるSK−MEL−5を用いた。また、HLA−A2陰性細胞であるHL−60(Leukeimia)とSK−MEL−3(Melanoma)も活用してCD8+T細胞の抗原特異的なIFN−γ分泌をEliSpotを通じて確認した。
【0072】
図4の(a)〜(c)に示したように、PLK1
123抗原ペプチドを用いた実験群だけではなく抗原ペプチドを用いた全ての実験群でPLK1由来の抗原ペプチドが感作されたT2細胞株とHLA−A2陽性腫瘍細胞に対して特異的なCD8+T細胞免疫反応が観察された。
【0073】
[産業上利用可能性]
本発明は、癌の予防又は治療に用いることができる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]