(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871441
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20210426BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20210426BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
F04C18/02 311U
F04C29/06 B
F04C29/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-7123(P2020-7123)
(22)【出願日】2020年1月20日
(65)【公開番号】特開2020-118161(P2020-118161A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0007318
(32)【優先日】2019年1月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギョン ゼ
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジョン ギ
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/013987(WO,A1)
【文献】
特開平07−332259(JP,A)
【文献】
特開2006−283753(JP,A)
【文献】
特開2002−317776(JP,A)
【文献】
特開2015−083781(JP,A)
【文献】
特開2006−283751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C2/00−2/077
F04C18/00−18/077
F04C23/00−29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターハウジング(110)と、
前記センターハウジング(110)に締結され、吸入室(S1)を形成するフロントハウジング(120)と、
前記センターハウジング(110)に締結され、圧縮機構収容空間(S2)を形成するリヤハウジング(130)と、
前記圧縮機構収容空間(S2)に備えられる固定スクロール(500)と、
前記センターハウジング(110)と前記固定スクロール(500)との間に介在し、前記固定スクロール(500)と共に圧縮室(S4)を形成する旋回スクロール(400)とを含み、
前記固定スクロール(500)は、固定スクロール鏡板(510)と、前記固定スクロール鏡板(510)の外周部から突出し、前記センターハウジング(110)に締結され、前記旋回スクロール(400)の旋回空間(S3)を形成する固定スクロール側板(530)とを含み、
前記センターハウジング(110)の外周部には、前記吸入室(S1)と連通する流入孔(112c)が形成され、
前記固定スクロール側板(530)の先端面には、前記流入孔(112c)の冷媒を前記圧縮室(S4)に案内する吸入口(532)が形成され、
前記吸入口(532)は、前記固定スクロール側板(530)の先端面から掘り込んで形成される第1吸入口(532a)を含み、
前記第1吸入口(532a)の円周方向の長さ(L2)は、前記流入孔(112c)の円周方向の長さ(L1)より長く形成され、
前記吸入口(532)は、前記第1吸入口(532a)から掘り込んで形成される第2吸入口(532b)をさらに含むスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記固定スクロール側板(530)は、前記流入孔(112c)と軸方向に重なって形成される、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
前記第2吸入口(532b)の円周方向の長さ(L3)は、前記第1吸入口(532a)の円周方向の長さ(L2)より短く形成される、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記旋回スクロール(400)は、旋回スクロール鏡板(410)と、前記旋回スクロール鏡板(410)から突出し、前記固定スクロール(500)と噛み合う旋回スクロールラップ(420)とを含み、
前記第2吸入口(532b)の軸方向の高さ(H3)は、前記旋回スクロール鏡板(410)の軸方向の高さ(H1)より高く形成される、請求項3に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記第2吸入口(532b)は、前記旋回スクロールラップ(420)と半径方向に重なって形成される、請求項4に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記第1吸入口(532a)の軸方向の高さ(H2)は、前記旋回スクロール鏡板(410)の軸方向の高さ(H1)と等しいか、または低く形成される、請求項4に記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】
前記第1吸入口(532a)は、前記旋回スクロール鏡板(410)と半径方向に重なって形成される、請求項6に記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】
前記流入孔(112c)、前記第1吸入口(532a)および前記第2吸入口(532b)は、それぞれ複数形成され、
前記複数の第1吸入口(532a)は、前記複数の流入孔(112c)と軸方向に重なり、
前記固定スクロール側板(530)は、前記複数の第1吸入口(532a)の間で前記センターハウジング(110)と接触する接触部(534)を含む、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】
前記複数の第2吸入口(532b)の流動断面積の合計は、前記複数の流入孔(112c)の流動断面積の合計より大きいか、または等しく形成される、請求項8に記載のスクロール圧縮機。
【請求項10】
センターハウジング(110)と、
前記センターハウジング(110)に締結され、吸入室(S1)を形成するフロントハウジング(120)と、
前記センターハウジング(110)に締結され、圧縮機構収容空間(S2)を形成するリヤハウジング(130)と、
前記圧縮機構収容空間(S2)に備えられる固定スクロール(500)と、
前記センターハウジング(110)と前記固定スクロール(500)との間に介在し、前記固定スクロール(500)と共に圧縮室(S4)を形成する旋回スクロール(400)とを含み、
前記固定スクロール(500)は、固定スクロール鏡板(510)と、前記固定スクロール鏡板(510)の外周部から突出し、前記センターハウジング(110)に締結され、前記旋回スクロール(400)の旋回空間(S3)を形成する固定スクロール側板(530)とを含み、
前記センターハウジング(110)の外周部には、前記吸入室(S1)と連通する流入孔(112c)が形成され、
前記固定スクロール側板(530)の先端面には、前記流入孔(112c)の冷媒を前記圧縮室(S4)に案内する吸入口(532)が形成され、
前記吸入口(532)は、前記固定スクロール側板(530)の先端面から掘り込んで形成される第1吸入口(532a)を含み、
前記第1吸入口(532a)の円周方向の長さ(L2)は、前記流入孔(112c)の円周方向の長さ(L1)より長く形成され、
前記センターハウジング(110)は、
前記固定スクロール(500)と前記旋回スクロール(400)とを支持するメインフレーム(112)と、
前記メインフレーム(112)の剛性を補強するように前記吸入室(S1)側で放射状に形成される複数のリブ(R)とを含み、
前記複数のリブ(R)は、前記流入孔(112c)の流動断面積を減少させないように形成され、
前記複数のリブ(R)は、
前記流入孔(112c)と軸方向に重ならない非重畳リブ(R1)と、
前記流入孔(112c)と軸方向に重なる重畳リブ(R2)とを含み、
前記重畳リブ(R2)は、前記圧縮機構収容空間(S2)側から掘り込んで形成され、前記流入孔(112c)と連通する切開部(C)を含むスクロール圧縮機。
【請求項11】
前記切開部(C)は、前記流入孔(112c)より前記吸入室(S1)側にさらに掘り込んで形成される、請求項10に記載のスクロール圧縮機。
【請求項12】
前記複数のリブ(R)の間にはグルーブ(G)が形成され、
前記切開部(C)は、前記グルーブ(G)と連通して形成される、請求項11に記載のスクロール圧縮機。
【請求項13】
前記センターハウジング(110)は、前記センターハウジング(110)の外周面から半径方向に突出した突出部(116)を含み、
前記突出部(116)には、前記センターハウジング(110)と前記リヤハウジング(130)とを締結させる締結ボルトが挿入される締結ホール(116a)が形成される、請求項1又は10に記載のスクロール圧縮機。
【請求項14】
前記固定スクロール側板(530)は、前記締結ボルトと干渉しないように前記固定スクロール側板(530)の外周面から掘り込んで形成された凹部(536)を含む、請求項13に記載のスクロール圧縮機。
【請求項15】
前記突出部(116)、前記締結ホール(116a)および前記凹部(536)は、それぞれ複数形成され、
前記固定スクロール側板(530)は、前記複数の凹部(536)の間で前記センターハウジング(110)と接触する接触部(534)を含む、請求項14に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機に関し、より詳細には、固定スクロールと旋回スクロールで冷媒を圧縮できるようにしたスクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には室内の冷暖房のための空調装置(Air Conditioning;A/C)が設けられる。このような空調装置は、冷房システムの構成として、蒸発器から引込まれた低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮させて凝縮器に送る圧縮機を備えている。
【0003】
圧縮機には、ピストンの往復運動によって冷媒を圧縮する往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式とがある。往復式には、駆動源の伝達方式によって、クランクを用いて複数のピストンに伝達するクランク式、斜板が設けられた回転軸に伝達する斜板式などがあり、回転式には、回転するロータリ軸とベーンとを用いるベーンロータリ式、旋回スクロールと固定スクロールとを用いるスクロール式がある。
【0004】
スクロール圧縮機は、他の種類の圧縮機に比べて相対的に高い圧縮比が得られ、かつ、冷媒の吸入、圧縮、吐出行程がスムーズにつながり、安定したトルクが得られるという利点のため、空調装置などで冷媒圧縮用に広く用いられている。
【0005】
図1は、従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。
【0006】
添付した
図1を参照すれば、従来のスクロール圧縮機は、センターハウジング110と、前記センターハウジング110に締結され、吸入室S1を形成するフロントハウジング120と、前記吸入室S1に備えられるモータ200と、前記センターハウジング110を基準として前記フロントハウジング120の反対側で前記センターハウジング110に締結され、後述する旋回スクロール400の旋回空間S3を形成する固定スクロール500と、前記センターハウジング110と前記固定スクロール500との間に介在し、前記固定スクロール500と共に圧縮室S4を形成する旋回スクロール400と、前記センターハウジング110を貫通して前記モータ200と前記旋回スクロール400とを連結する回転軸300と、前記固定スクロール500を基準として前記センターハウジング110の反対側で前記固定スクロール500に締結され、吐出室S5を形成するリヤハウジング130とを含む。
【0007】
ここで、前記センターハウジング110は、前記吸入室S1の冷媒を前記旋回空間S3に案内する流入孔112cを含む。
【0008】
このような構成による従来のスクロール圧縮機は、前記モータ200に電源が印加されると、前記回転軸300が前記モータ200によって回転し、前記旋回スクロール400が前記回転軸300から回転力を受けて旋回運動し、前記圧縮室S4は、中心側に向かって持続的に移動しながら体積が減少する。そして、冷媒は、前記吸入室S1から前記流入孔112cを通して前記旋回空間S3に流入し、前記旋回空間S3の冷媒は、前記圧縮室S4に流入し、前記圧縮室S4に流入した冷媒は、前記圧縮室S4の移動経路に沿って中心側に移動しながら圧縮されて、前記吐出室S5に吐出される。
【0009】
しかし、このような従来のスクロール圧縮機は、前記固定スクロール500が外部に露出することにより、前記圧縮室S4で発生する騒音が前記固定スクロール500を介して外部に放射される問題点があった。
【0010】
一方、圧縮室S4で発生する騒音が外部に漏出することを減少できるように固定スクロール500をハウジング100の内部に備える方策が考えられるが、この場合、旋回スクロール400の旋回半径が減少して冷媒吐出量が減少する問題点があった。また、この場合、固定スクロール500が流入孔112cを塞いで冷媒が圧縮室S4に円滑に供給できない問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2018−0094483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、圧縮室で発生する騒音が外部に漏出することを防止するスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、冷媒吐出量を増加させることができ、冷媒を圧縮室に円滑に供給できるスクロール圧縮機を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであって、センターハウジングと、前記センターハウジングに締結され、吸入室を形成するフロントハウジングと、前記センターハウジングに締結され、圧縮機構収容空間を形成するリヤハウジングと、前記圧縮機構収容空間に備えられる固定スクロールと、前記センターハウジングと前記固定スクロールとの間に介在し、前記固定スクロールと共に圧縮室を形成する旋回スクロールとを含み、前記固定スクロールは、固定スクロール鏡板と、前記固定スクロール鏡板の外周部から突出し、前記センターハウジングに締結され、前記旋回スクロールの旋回空間を形成する固定スクロール側板とを含み、前記センターハウジングの外周部には、前記吸入室と連通する流入孔が形成され、前記固定スクロール側板の先端面には、前記流入孔の冷媒を前記圧縮室に案内する吸入口が形成され、前記吸入口は、前記固定スクロール側板の先端面から掘り込んで形成される第1吸入口を含み、前記第1吸入口の円周方向の長さは、前記流入孔の円周方向の長さより長く形成されるスクロール圧縮機を提供する。
【0015】
前記固定スクロール側板は、前記流入孔と軸方向に重なって形成される。
【0016】
前記吸入口は、前記第1吸入口から掘り込んで形成される第2吸入口をさらに含む。
【0017】
前記第2吸入口の円周方向の長さは、前記第1吸入口の円周方向の長さより短く形成される。
【0018】
前記旋回スクロールは、旋回スクロール鏡板と、前記旋回スクロール鏡板から突出し、前記固定スクロールと噛み合う旋回スクロールラップとを含み、前記第2吸入口の軸方向の高さは、前記旋回スクロール鏡板の軸方向の高さより高く形成される。
【0019】
前記第2吸入口は、前記旋回スクロールラップと半径方向に重なって形成される。
【0020】
前記第1吸入口の軸方向の高さは、前記旋回スクロール鏡板の軸方向の高さと等しいか、または低く形成される。
【0021】
前記第1吸入口は、前記旋回スクロール鏡板と半径方向に重なって形成される。
【0022】
前記流入孔、前記第1吸入口および前記第2吸入口は、それぞれ複数形成され、前記複数の第1吸入口は、前記複数の流入孔と軸方向に重なり、前記固定スクロール側板は、前記複数の第1吸入口の間で前記センターハウジングと接触する接触部を含む。
【0023】
前記複数の第2吸入口の流動断面積の合計は、前記複数の流入孔の流動断面積の合計より大きいか、または等しく形成される。
【0024】
前記センターハウジングは、前記固定スクロールと前記旋回スクロールとを支持するメインフレームと、前記メインフレームの剛性を補強するように前記吸入室側で放射状に形成される複数のリブとを含み、前記複数のリブは、前記流入孔の流動断面積を減少させないように形成される。
【0025】
前記複数のリブは、前記流入孔と軸方向に重ならない非重畳リブと、前記流入孔と軸方向に重なる重畳リブとを含み、前記重畳リブは、前記圧縮機構収容空間側から掘り込んで形成され、前記流入孔と連通する切開部を含む。
【0026】
前記切開部は、前記流入孔より前記吸入室側にさらに掘り込んで形成される。
【0027】
前記複数のリブの間にはグルーブが形成され、前記切開部は、前記グルーブと連通して形成される。
【0028】
前記センターハウジングは、前記センターハウジングの外周面から半径方向に突出した突出部を含み、前記突出部には、前記センターハウジングと前記リヤハウジングとを締結する締結ボルトが挿入される締結ホールが形成される。
【0029】
前記固定スクロール側板は、前記締結ボルトと干渉しないように前記固定スクロール側板の外周面から掘り込んで形成された凹部を含む。
【0030】
前記突出部、前記締結ホールおよび前記凹部は、それぞれ複数形成され、前記固定スクロール側板は、前記複数のグルーブの間で前記センターハウジングと接触する接触部を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るスクロール圧縮機は、センターハウジングと、前記センターハウジングに締結され、吸入室を形成するフロントハウジングと、前記センターハウジングに締結され、圧縮機構収容空間を形成するリヤハウジングと、前記圧縮機構収容空間に備えられる固定スクロールと、前記センターハウジングと前記固定スクロールとの間に介在し、前記固定スクロールと共に圧縮室を形成する旋回スクロールとを含み、前記固定スクロールは、固定スクロール鏡板と、前記固定スクロール鏡板の外周部から突出し、前記センターハウジングに締結され、前記旋回スクロールの旋回空間を形成する固定スクロール側板とを含み、前記センターハウジングの外周部には、前記吸入室と連通する流入孔が形成され、前記固定スクロール側板の先端面には、前記流入孔の冷媒を前記圧縮室に案内する吸入口が形成され、前記吸入口は、前記固定スクロール側板の先端面から掘り込んで形成される第1吸入口を含み、前記第1吸入口の円周方向の長さは、前記流入孔の円周方向の長さより長く形成されることにより、圧縮室で発生する騒音が外部に放射されることを防止することができる。
【0032】
また、旋回スクロールの旋回半径を増加させて冷媒吐出量を増加させることができ、固定スクロールが流入孔を塞がずに冷媒を圧縮室に円滑に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機を示す断面図、
【
図3】
図2のスクロール圧縮機におけるセンターハウジングおよび圧縮機構を示す斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るスクロール圧縮機を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機を示す断面図であり、
図3は、
図2のスクロール圧縮機におけるセンターハウジングおよび圧縮機構を示す斜視図であり、
図4は、
図3のI−I断面図であり、
図5は、
図3のII−II断面図であり、
図6は、
図3の平面図であり、
図7は、
図3のセンターハウジングを示す平面図であり、
図8は、
図3のセンターハウジングを示す下面図であり、
図9は、
図7および
図8のIII−III断面図である。
【0036】
添付した
図2〜
図9を参照すれば、本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機は、ハウジング100と、前記ハウジング100の内部で回転力を発生させるモータ200と、前記モータ200によって回転する回転軸300と、前記回転軸300によって旋回運動する旋回スクロール400と、前記旋回スクロール400に噛み合って2つの一対の圧縮室S4を形成する固定スクロール500とを含む。
【0037】
前記ハウジング100は、センターハウジング110と、前記センターハウジング110に締結され、吸入室S1を形成するフロントハウジング120と、前記センターハウジング110を基準として前記フロントハウジング120の反対側で前記センターハウジング110に締結され、前記旋回スクロール400および前記固定スクロール500を収容する空間(以下、圧縮機構収容空間)S2を形成するリヤハウジング130とを含む。
【0038】
ここで、前記センターハウジング110を基準として前記フロントハウジング120側方向(
図2中の左側方向)を前方とし、前記センターハウジング110を基準として前記リヤハウジング130側方向(
図2中の右側方向)を後方とする。
【0039】
前記センターハウジング110は、前記吸入室S1と前記圧縮機構収容空間S2とを区画し、前記旋回スクロール400および前記固定スクロール500を支持するメインフレーム112と、前記メインフレーム112の外周部から前記フロントハウジング120側に突出するセンターハウジング側板114とを含む。
【0040】
前記メインフレーム112は、略円板状に形成され、前記メインフレーム112の中心部には、前記回転軸300の一端部が貫通する軸受孔112aと、前記旋回スクロール400を前記固定スクロール500側に加圧する背圧室112bとが形成される。ここで、前記回転軸300の一端部には、前記回転軸300の回転運動を前記旋回スクロール400の旋回運動に転換させる偏心ブッシュ310が形成され、前記背圧室112bは、前記偏心ブッシュ310が回転できる空間を提供する。
【0041】
そして、前記メインフレーム112の外周部には、前記吸入室S1と連通する流入孔112cが形成される。
【0042】
前記流入孔112cは、前記メインフレーム112を前記回転軸300の軸方向(以下、軸方向)に貫通して形成される。すなわち、前記メインフレーム112において前記吸入室S1に対向する面をメインフレーム前方面112dとし、前記メインフレーム112において前記圧縮機構収容空間S2に対向する面をメインフレーム後方面112eとすれば、前記流入孔112cは、前記メインフレーム前方面112dから前記メインフレーム後方面112eまで前記メインフレーム112を貫通して形成される。
【0043】
そして、前記流入孔112cは、前記回転軸300の円周方向(以下、円周方向)に沿って延長形成される。
【0044】
そして、前記流入孔112cは、複数形成され、前記複数の流入孔112cは、円周方向に沿って配列される。
【0045】
一方、前記センターハウジング110は、前記メインフレーム112の剛性を補強するためのリブRをさらに含む。
【0046】
前記リブRは、前記旋回スクロール400および前記固定スクロール500と干渉しないように前記吸入室S1側に形成される。すなわち、前記リブRは、前記メインフレーム前方面112dから前記吸入室S1側に突出して形成される。
【0047】
そして、前記リブRは、前記メインフレーム112の剛性をさらに向上させるために複数形成され、前記複数のリブRは、前記メインフレーム112の中心部を基準として放射状に形成され、前記複数のリブRの間にはグルーブGが形成される。
【0048】
ここで、前記複数のリブRは、放射状に形成されることにより、前記複数の流入孔112cの間に配置される非重畳リブR1と、前記流入孔112cの範囲内に配置される重畳リブR2とを含む。
【0049】
前記非重畳リブR1は、前記流入孔112cと軸方向に重ならないため、前記流入孔112cの流動断面積(軸方向に垂直な断面上の流入孔112cの面積)を減少させない。
【0050】
これに対し、前記重畳リブR2は、前記流入孔112cと軸方向に重なるため、前記流入孔112cの流動断面積を減少させることがある。すなわち、前記重畳リブR2が前記メインフレーム後方面112eまで延長形成される場合には、前記流入孔112cの一部が前記重畳リブR2によって埋め込まれる。
【0051】
これを考慮して、本実施形態の場合、前記流入孔112cの流動断面積が減少しないように、すなわち、前記流入孔112cが前記重畳リブR2によって埋め込まれないように、前記重畳リブR2は、前記流入孔112cと軸方向に重なる位置において前記圧縮機構収容空間S2側から前記吸入室S1側に掘り込んで形成され、前記流入孔112cと連通する切開部Cを含む。
【0052】
そして、前記切開部Cは、前記吸入室S1の冷媒が前記流入孔にさらに円滑に流入するように、前記グルーブGとも連通して形成される。すなわち、前記切開部Cは、前記流入孔112cより前記吸入室S1側にさらに掘り込んで形成される。
【0053】
また、前記センターハウジング110は、前記センターハウジング110の外径を最小化しながら内側空間を最大限に確保するために、前記センターハウジング110の外周面から半径方向に突出した突出部116を含み、前記センターハウジング110と前記リヤハウジング130とを締結させる締結ボルト(図示せず)が挿入される締結ホール116aが前記突出部116に形成される。
【0054】
ここで、前記締結ボルト(図示せず)は、複数具備され、前記締結ホール116aは、前記複数の締結ボルト(図示せず)に対応するように前記複数の締結ボルト(図示せず)の個数と同一個数形成され、前記突出部116は、前記複数の締結ホール116aに対応するように前記複数の締結ホール116aの個数と同一個数形成される。
【0055】
前記フロントハウジング120は、前記メインフレーム112に対向し、前記回転軸300の他端部を支持するフロントハウジング鏡板122と、前記フロントハウジング鏡板122の外周部から突出し、前記センターハウジング側板114と締結され、前記モータ200を支持するフロントハウジング側板124とを含む。
【0056】
ここで、前記メインフレーム112、前記センターハウジング側板114、前記フロントハウジング鏡板122および前記フロントハウジング側板124が前記吸入室S1を形成する。
【0057】
そして、前記フロントハウジング側板124には、外部から前記吸入室S1に冷媒を案内する冷媒吸入管(図示せず)と連通する吸入ポート(図示せず)が形成される。
【0058】
前記リヤハウジング130は、前記メインフレーム112に対向するリヤハウジング鏡板132と、前記リヤハウジング鏡板132の外周部から突出し、前記メインフレーム112の外周部に締結されるリヤハウジング側板134とを含む。
【0059】
ここで、前記メインフレーム112、前記リヤハウジング鏡板132および前記リヤハウジング側板134は、前記圧縮機構収容空間S2を形成する。
【0060】
そして、前記リヤハウジング鏡板132には、前記圧縮室S4から吐出される冷媒を収容する吐出室S5が形成される。
【0061】
そして、前記リヤハウジング鏡板132には、前記吐出室S5の冷媒を外部に案内する冷媒吐出管(図示せず)と連通する吐出ポート(図示せず)が形成される。
【0062】
前記モータ200は、前記フロントハウジング側板124に固定される固定子210と、前記固定子210の内部で前記固定子210との相互作用で回転する回転子220とを含む。
【0063】
前記回転軸300は、前記回転子220に締結されるが、前記回転子220の中心部を貫通して前記回転軸300の一端部が前記メインフレーム112の軸受孔112aを貫通し、前記回転軸300の他端部が前記フロントハウジング鏡板122に支持される。
【0064】
前記旋回スクロール400は、前記メインフレーム112と前記固定スクロール500との間に介在し、円板状の旋回スクロール鏡板410と、前記旋回スクロール鏡板410の中心部から前記固定スクロール500側に突出する旋回スクロールラップ420と、前記旋回スクロール鏡板410の中心部から前記旋回スクロールラップ420の反対側に突出し、前記偏心ブッシュ310と締結される旋回スクロールボス430とを含む。
【0065】
前記固定スクロール500は、円板状の固定スクロール鏡板510と、前記固定スクロール鏡板510の中心部から突出し、前記旋回スクロールラップ420と噛み合う固定スクロールラップ520と、前記固定スクロール鏡板510の外周部から突出し、前記メインフレーム112に締結され、前記旋回スクロール400の旋回空間S3を形成する固定スクロール側板530とを含む。
【0066】
前記固定スクロール鏡板510の中心側には、前記圧縮室S4の冷媒を前記吐出室S5に吐出する吐出口512が形成される。
【0067】
前記固定スクロール側板530は、前記旋回スクロール400の旋回半径が最大限に増加するように、前記リヤハウジング側板134と干渉しない範囲内で最大限に前記リヤハウジング側板134に隣接して形成される。すなわち、前記固定スクロール側板530は、前記流入孔112cと軸方向に重なって形成される。
【0068】
そして、前記固定スクロール側板530は、前記固定スクロール側板530の外径を最大化しながら前記締結ボルトと干渉しないように、前記固定スクロール側板530の外周面から掘り込んで形成された凹部536を含むことができる。
【0069】
前記凹部536は、前記複数の締結ボルト(図示せず)に対応するように前記複数の締結ボルト(図示せず)の個数と同一個数形成される。
【0070】
ところが、前記固定スクロール側板530が前記流入孔112cと軸方向に重なることにより、前記流入孔112cが前記固定スクロール側板530によって塞がれることがあるので、これを防止するために、本実施形態に係る前記固定スクロール側板530は、前記センターハウジング110と接触する接触部534と、前記流入孔112cの冷媒を前記圧縮室S4に案内するように前記固定スクロール側板530の先端面から掘り込んで形成される吸入口532とを含む。
【0071】
ここで、前記接触部534は、前記複数の凹部536の間で前記センターハウジング110と接触できる。そして、前記接触部534は、後述のように、前記吸入口532が複数形成される時、前記複数の吸入口532の間で前記センターハウジング110と接触できる。
【0072】
前記吸入口532は、前記固定スクロール側板530の剛性が前記吸入口532によって弱くなることが抑制されるように、多段に形成される。
【0073】
具体的には、前記吸入口532は、前記固定スクロール側板530の先端面から前記固定スクロール鏡板510側に掘り込んで形成される第1吸入口532aと、前記第1吸入口532aから前記固定スクロール鏡板510側にさらに掘り込んで形成される第2吸入口532bとを含む。
【0074】
前記第1吸入口532aは、前記流入孔112cの冷媒だけでなく、前記圧縮機構収容空間S2(さらに正確には、固定スクロール側板530とリヤハウジング側板134との間の空間)の冷媒まで前記圧縮室S4に円滑に案内されるように、前記第1吸入口532aの円周方向の長さL2が、前記流入孔112cの円周方向の長さL1より長く形成される。
【0075】
そして、前記第1吸入口532aは、前記第1吸入口532aの円周方向の長さL2が長く形成されることにより、前記固定スクロール側板530の面積が減少して前記固定スクロール側板530の剛性が弱くなることを最小化するために、前記第1吸入口532aの軸方向の高さ(メインフレーム後方面112eから第1吸入口532aまでの軸方向距離)H2が、前記旋回スクロール鏡板410の軸方向の高さ(メインフレーム後方面112eから旋回スクロール鏡板410の後方面までの軸方向距離)H1と等しいか、または低く形成される。すなわち、前記第1吸入口532aは、前記流入孔112cおよび前記旋回空間S3と連通するが、前記旋回スクロール鏡板410と前記回転軸300の半径方向(以下、半径方向)に重なって形成される。
【0076】
ところが、前記第1吸入口532aの軸方向の高さH2が、前記旋回スクロール鏡板410の軸方向の高さH1と等しいか、または低く形成されることにより、前記第1吸入口532aを通して前記旋回空間S3に流入する冷媒は、前記圧縮室S4に断続的に供給される。すなわち、前記旋回スクロール400の旋回運動によって、前記旋回スクロール鏡板410が前記第1吸入口532aから遠くなったり近くなったりすることを繰り返すことになるが、前記旋回スクロール鏡板410が前記第1吸入口532aから遠くなる時には、前記第1吸入口532aが前記旋回スクロール鏡板410によって閉鎖されない。これによって、冷媒が前記第1吸入口532aを通して前記旋回空間S3に流入し、前記旋回空間S3の冷媒が前記吸入室S1に供給される。これに対し、前記旋回スクロール鏡板410が前記第1吸入口532aに近くなる時には、前記第1吸入口532aが前記旋回スクロール鏡板410によって閉鎖されることがある。これによって、前記第1吸入口532aを通した前記旋回空間S3および前記圧縮室S4への冷媒の供給が途切れる。
【0077】
これを考慮して、本実施形態の場合、冷媒が前記圧縮室S4に連続的に供給されるように、前記第2吸入口532bがさらに形成され、前記第2吸入口532bの軸方向の高さ(メインフレーム後方面112eから第2吸入口532bまでの軸方向距離)H3が、前記旋回スクロール鏡板410の軸方向の高さH1より高く形成される。すなわち、前記第2吸入口532bは、前記旋回スクロールラップ420と半径方向に重なって形成される。
【0078】
そして、前記第2吸入口532bは、前記固定スクロール側板530の面積が前記第2吸入口532bによって減少して前記固定スクロール側板530の剛性が弱くなることを最小化するために、前記第2吸入口532bの円周方向の長さL3が、前記第1吸入口532aの円周方向の長さL2より短く形成される。
【0079】
そして、前記第2吸入口532bは、ボトルネック(bottle neck)とならないように予め定められた大きさ以上に形成される。すなわち、前記第2吸入口532bの流動断面積(円周方向上の第2吸入口532bの面積)が、前記流入孔112cの流動断面積より大きいか、または等しく形成される。そして、前記第1吸入口532aが前記複数の流入孔112cに対応するように複数(複数の流入孔112cの個数と同一個数)形成され、前記第2吸入口532bが前記複数の第1吸入口532aに対応するように複数(複数の第1吸入口532aの個数と同一個数)形成される場合には、前記複数の第2吸入口532bの流動断面積の合計が、前記複数の流入孔112cの流動断面積の合計より大きいか、または等しく形成される。
【0080】
以下、本実施形態に係るスクロール圧縮機の作用効果について説明する。
【0081】
すなわち、前記モータ200に電源が印加されると、前記回転軸300が前記回転子220と共に回転する。
【0082】
そして、前記旋回スクロール400が前記偏心ブッシュ310を介して前記回転軸300から回転力を受けて旋回運動をする。
【0083】
これによって、前記圧縮室S4は、中心側に向かって持続的に移動しながら体積が減少する。
【0084】
そして、冷媒は、前記冷媒吸入管(図示せず)、前記吸入室S1、前記グルーブG、前記切開部C、前記流入孔112c、前記吸入口532を通して、前記圧縮室S4に流入する。
【0085】
そして、前記圧縮室S4に吸入された冷媒は、前記圧縮室S4の移動経路に沿って中心側に移動しながら圧縮されて、前記吐出口512を通して前記吐出室S5に吐出される。
【0086】
そして、前記吐出室S5に吐出された冷媒は、前記冷媒吐出管(図示せず)を通して圧縮機の外部に排出される。
【0087】
ここで、本実施形態に係るスクロール圧縮機は、前記旋回スクロール400と前記固定スクロール500とが前記ハウジング100の内部に収容されることにより、前記圧縮室S4で発生する騒音が前記ハウジング100によって減少する。これによって、前記圧縮室S4で発生する騒音が前記ハウジング100の外部に放射されることが防止可能になる。
【0088】
そして、前記固定スクロール鏡板510、前記固定スクロール側板530、前記メインフレーム112が前記旋回スクロール400の旋回空間S3を形成し、前記固定スクロール側板530が前記流入孔112cと軸方向に重なり、前記リヤハウジング側板134に最大限に隣接して形成されることにより、前記旋回スクロール400の旋回半径が増加する。これによって、前記圧縮室S4の軸方向の高さを予め定められた水準に維持しながら冷媒吐出量を増加できる。すなわち、前記旋回スクロールラップ420と前記固定スクロールラップ520の剛性を予め定められた水準に維持しながら冷媒吐出量を増加できる。あるいは、冷媒吐出量を予め定められた水準に維持しながら前記ハウジング100の外径を減少できる。これによって、スクロール圧縮機の重量およびコストが節減可能となり、車両搭載性が改善できる。
【0089】
そして、前記固定スクロール側板530の先端面に前記吸入口532が形成されることにより、前記固定スクロール側板530が前記流入孔112cと軸方向に重なっても、前記流入孔112cが前記固定スクロール側板530によって遮られない。
【0090】
そして、前記吸入口532が前記第1吸入口532aおよび前記第2吸入口532bを含むことにより、前記固定スクロール側板530の剛性が低下することを最小化しながら、冷媒が前記圧縮室S4に円滑に供給できる。
【0091】
そして、前記メインフレーム112を補強するための前記複数のリブRが前記非重畳リブR1を含むだけでなく、前記重畳リブR2が前記切開部Cを含むことにより、前記流入孔112cの流動断面積が前記複数のリブRによって減少することが防止可能になる。これによって、冷媒が前記圧縮室S4にさらに円滑に供給できる。
【0092】
そして、前記切開部Cが前記流入孔112cより前記吸入室S1側にさらに掘り込んで形成されて前記グルーブGと連通することにより、前記吸入室S1の冷媒が前記流入孔112cに円滑に流入することができる。これによって、冷媒が前記圧縮室S4により一層円滑に供給できる。
【符号の説明】
【0093】
110:センターハウジング
112:メインフレーム
112c:流入孔
116:突出部
116a:締結ホール
120:フロントハウジング
130:リヤハウジング
200:モータ
300:回転軸
400:旋回スクロール
410:旋回スクロール鏡板
420:旋回スクロールラップ
500:固定スクロール
510:固定スクロール鏡板
530:固定スクロール側板
532:吸入口
532a:第1吸入口
532b:第2吸入口
534:接触部
536:凹部
H1:旋回スクロール鏡板の軸方向の高さ
H2:第1吸入口の軸方向の高さ
H3:第2吸入口の軸方向の高さ
L1:流入孔の円周方向の長さ
L2:第1吸入口の円周方向の長さ
L3:第2吸入口の円周方向の長さ
R1:非重畳リブ
R2:重畳リブ
S1:吸入室
S2:圧縮機構収容空間
S3:旋回空間
S4:圧縮室