(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣接する2つの炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物と水素との反応によりオレフィンを生成させる反応に用いられる触媒であって、担体と、該担体に担持された、第6族元素の酸化物及び第7族元素の酸化物からなる群より選択された少なくとも一種の酸化物と、該担体に担持された、銀、イリジウム、及び金からなる群より選択された少なくとも一種の金属元素とを含み、前記担体は酸化セリウムを含む、オレフィン化反応用触媒。
前記第6族元素の酸化物及び第7族元素の酸化物からなる群より選択された少なくとも一種の酸化物が、酸化レニウムである、請求項1に記載のオレフィン化反応用触媒。
隣接する2つの炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物と水素との反応によりオレフィンを生成させる工程を含み、前記工程における前記隣接する2つの炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物と水素との反応を、請求項1又は2に記載のオレフィン化反応用触媒の存在下で進行させることを特徴とするオレフィンの製造方法。
1,4−アンヒドロエリスリトールと水素との反応によりジヒドロフランを生成させる工程を含み、前記工程における1,4−アンヒドロエリスリトールと水素との反応を、請求項1又は2に記載のオレフィン化反応用触媒の存在下で進行させることを特徴とするジヒドロフランの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本発明のオレフィン化反応用触媒>
本発明のオレフィン化反応用触媒は、隣接する2つの炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物(隣接ジオール)と水素との反応によりオレフィンを生成させる反応に用いられる触媒である。
【0022】
[触媒]
本発明のオレフィン化反応用触媒は、担体と、該担体に担持された、第6族元素の酸化物及び第7族元素の酸化物からなる群より選択された少なくとも一種の酸化物(単に「酸化物」と称する場合がある)と、該担体に担持された、銀、イリジウム、及び金からなる群より選択された一種の金属とを含む。
【0023】
上記第6族元素としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、プラセオジム(Pr)等が挙げられる。上記第7族元素としては、例えば、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、ネオジム(Nd)等が挙げられる。中でも、本発明のオレフィン化反応用触媒において担体に担持された酸化物(金属酸化物)を構成する金属としては、レニウムが好ましい。上記酸化物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0024】
本発明のオレフィン化反応用触媒における担体としては、触媒に使用される公知乃至慣用の担体を使用することができ、特に限定されないが、例えば、無機酸化物や活性炭等の無機物担体、イオン交換樹脂等の有機物担体等が挙げられる。中でも、反応活性の観点で、活性炭、無機酸化物が好ましく、より好ましくは無機酸化物である。
【0025】
上記活性炭としては、公知乃至慣用の活性炭を使用することができ、特に限定されず、植物系、鉱物系、樹脂系等の何れの原料から得られる活性炭も使用することができる。上記活性炭としては、例えば、商品名「Vulcan XC72」(CABOT社製)、商品名「BP2000」(CABOT社製)、商品名「Shirasagi FAC−10」(日本エンバイロケミカルズ(株)製)、商品名「Shirasagi M」(日本エンバイロケミカルズ(株)製)、商品名「Shirasagi C」(日本エンバイロケミカルズ(株)製)、商品名「Carboraffin」(日本エンバイロケミカルズ(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0026】
上記無機酸化物としては、公知乃至慣用の無機酸化物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、酸化セリウム(CeO
2)、チタニア(TiO
2)、ジルコニア(ZrO
2)、マグネシア(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、これら無機酸化物の二種以上の複合体(例えば、ゼオライト等)等が挙げられる。中でも、生成物であるオレフィンの選択率の観点で、酸化セリウム、シリカ、マグネシア、酸化亜鉛、アルミナ、ジルコニア、及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の無機酸化物(無機金属酸化物)が好ましい。特に、隣接ジオールが1,4−アンヒドロエリスリトールである場合の生成物である2,5−ジヒドロフランの選択性の観点では、酸化セリウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアが好ましい。上記無機酸化物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0027】
上記無機酸化物としては、例えば、商品名「TIO−4」(チタニア、日本アエロジル(株)製)、商品名「500A」(マグネシア、宇部興産(株)製)、商品名「G−6」(シリカ、富士シリシア化学(株)製)、商品名「KHO−24」(アルミナ、住友化学(株)製)、商品名「ジルコニア」(和光純薬工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0028】
上記担体の比表面積は、特に限定されないが、上記酸化物や後述の特定金属が良好に分散され、これらの凝集を抑制することができ、単位重量当たりの触媒活性を向上することができる点で、50m
2/g以上(例えば、50〜1500m
2/g、好ましくは100〜1000m
2/g)が好ましい。上記担体の比表面積が上記範囲内であると、単位重量当たりの触媒活性がより向上する傾向がある。
【0029】
上記担体の平均粒径は、特に限定されないが、反応性の点や、連続流通形式で反応を実施する場合の過剰な圧力損失を伴わない点で、100〜10000μmが好ましく、より好ましくは1000〜10000μmである。また、上記担体の形状は、粉末状、粒状、成型(成型体状)等のいずれであってもよく、特に限定されない。
【0030】
上記酸化物の担体への担持量(二種以上の酸化物を含む場合にはこれらの総量)(上記酸化物を構成する金属原子(第6族元素、第7族元素)換算)は、特に限定されないが、上記酸化物と特定金属と担体の総量(100重量%)に対して、0.01〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.15〜3重量%である。上記酸化物の担持量が0.01重量%以上であると、特定のオレフィンの選択率及び収率がより向上する傾向がある。一方、上記酸化物の担持量が50重量%以下であると、隣接ジオールの転化率が向上し、特定のオレフィンの収率がさらに向上する傾向がある。これは、上記酸化物の担持量が、上記範囲内において少ないほど担体に担持されている後述の特定金属の粒径が小さくなる傾向があり、これによって触媒の活性度、触媒寿命、及び対応するオレフィンの選択率が比較的高くなるためと推測される。
【0031】
上記酸化物の担体への担持方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の担持方法により上記酸化物を担体に担持することができる。具体的には、例えば、含浸法、共沈法、析出沈殿法等が挙げられる。中でも、隣接ジオールの転化率が向上し、オレフィンの収率が向上する観点から、含浸法が好ましい。
【0032】
上記含浸法では、上記酸化物を構成する第6族元素や第7族元素を含有する溶液(例えば、レニウムの場合には過レニウム酸アンモニウムの水溶液等)を担体又は後述の特定金属が担持された担体に含浸させた後、乾燥、焼成(好ましくは空気中での焼成)を行い、さらに必要に応じて水素等により還元することにより担持させてもよい。なお、上記含浸法において、上述の第6族元素や第7族元素を含有する溶液の濃度や、担体への含浸、及び乾燥処理や焼成処理の施用回数を調整することにより、上記酸化物の担持量を制御することができる。また、上記含浸法において、第6族元素や第7族元素を含有する溶液を含浸させる際の温度、該溶液を含浸させた担体を乾燥させる際の温度、焼成する際の温度は、特に限定されない。また、上記還元は、反応初期の活性を高めたり、触媒性能をより十分に引き出すことが可能であったりする観点から、共沈法や析出沈殿法においても行ってもよい。
【0033】
上記担体を乾燥させた後、焼成する際の温度又は還元する際の温度は、特に限定されないが、例えば、水素雰囲気において400〜700℃が好ましく、より好ましくは450〜550℃である。
【0034】
上記還元処理の後、必要に応じて、パッシベーションを行ってもよい。パッシベーションを行うことにより、本発明のオレフィン化反応用触媒の取り扱いが容易となる傾向がある。なお、パッシベーションは公知乃至慣用の方法で実施することができ、特に限定されないが、例えば、室温付近の温度で酸素雰囲気に曝露することによって実施することができる。
【0035】
本発明のオレフィン化反応用触媒は、さらに、上記担体に担持された、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、及び金(Au)からなる群より選択された少なくとも一種の金属(「特定金属」と称する場合がある)を含む。即ち、本発明のオレフィン化反応用触媒は、担体と、該担体に担持された上記酸化物と、上記担体に担持された銀、イリジウム、及び金からなる群より選択された少なくとも一種の金属とを含む触媒(従って、上記担体(同一の担体)に上記酸化物と上記特定金属とが担持されている)である。上記特定金属としては、中でも、隣接ジオールの転化率並びにオレフィンの選択性及び収率(特に、1,4−アンヒドロエリスリトールの転化率、2,5−ジヒドロフランの選択性及び収率、並びにアリルアルコールの選択性及び収率)の観点で、金(Au)が好ましい。上記特定金属は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0036】
本発明のオレフィン化反応用触媒に含まれる上記特定金属の態様は、特に限定されないが、例えば、金属単体、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属錯体として担体に担持された状態で含まれる態様等が挙げられる。
【0037】
上記特定金属を上記担体に担持させる方法は特に限定されず、公知乃至慣用の担持方法を利用することができる。具体的には、例えば、含浸法、共沈法、析出沈殿法等が挙げられる。中でも、隣接ジオールの転化率が向上する観点から、含浸法、析出沈殿法が好ましい。
【0038】
上記含浸法では、上記担体に上記酸化物を担持させる方法と同様に担持させることができ、上記特定金属を含有する溶液(例えば、金の場合には塩化金酸の水溶液等)を担体又は上記酸化物が担持された担体に含浸し、乾燥、焼成(好ましくは空気中での焼成)を行い、さらに必要に応じて水素等により還元すること等が挙げられる。より具体的には、例えば、上記酸化物が担持された担体に対して、さらに上記特定金属を含有する溶液を含浸させ、乾燥させ、焼成した後、さらに必要に応じて水素等により還元する方法等が挙げられる。なお、上記特定金属を含有する溶液を含浸させる際の温度、該溶液を含浸させた担体を乾燥させる際の温度、焼成する際の温度、及び還元する際の温度は特に限定されない。また、上述の第6族元素や第7族元素を含有する溶液を含浸させた後の還元処理と、特定金属を含有する溶液を含浸させた後の還元処理とは、例えば、両溶液の含浸後、水素雰囲気において加熱(例えば、加熱温度は100〜700℃が好ましく、より好ましくは150〜550℃)することにより、同時に実施することもできる。
【0039】
上記析出沈殿法では、例えば、上記特定金属を含有する溶液(例えば、金の場合には塩化金酸の水溶液等)を、必要に応じてアルカリ水溶液によりpHを調整し(例えば、pHを6〜10に調整し)、これに、上記担体又は上記酸化物が担持された担体を加え、所定時間経過後、水洗し、乾燥、焼成(好ましくは空気中での焼成)を行った後、さらに必要に応じて水素等により還元する方法等が挙げられる。なお、アルカリ水溶液によりpHを調整する際の温度、担体を乾燥させる際の温度、焼成する際の温度、及び還元する際の温度は特に限定されない。
【0040】
本発明のオレフィン化反応用触媒の好ましい調製法としては、好ましくは、(i)担体に上記酸化物と上記特定金属をそれぞれ含浸法により逐次的に担持させる方法、(ii)担体に上記特定金属を析出沈殿法により担持させた後、上記酸化物を含浸法により担持させる方法、(iii)担体に上記酸化物を含浸法により担持させた後、上記特定金属を析出沈殿法により担持させる方法、(iv)共沈法により上記特定金属が担持した担体を調製し、これに上記酸化物を含浸法により担持させる方法等が挙げられる。なお、上記(i)において、含浸法により担持させる順序は、上記酸化物の担持が先であってもよいし、上記特定金属の担持が先であってもよい。
【0041】
上記酸化物を構成する第6族元素及び第7族元素(二種以上を含有する場合にはこれらの総量)と、上記特定金属(二種以上を含有する場合にはこれらの総量)との割合(モル比、金属換算)[特定金属/第6族元素及び第7族元素]は、特に限定されないが、0.002〜50が好ましく、より好ましくは0.005〜10、さらに好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.01〜0.7である。上記特定金属の使用量は、隣接ジオールと水素とを反応させる温度や時間等によって、上記範囲内で適宜調整することができる。なお、レニウムと金の割合(モル比、金属換算)[Au/Re]が上記範囲内であることが特に好ましい。
【0042】
本発明のオレフィン化反応用触媒の平均粒径は、特に限定されないが、反応性の点や、連続流通形式で反応を実施する場合の過剰な圧力損失を伴わない点で、100〜10000μmが好ましく、より好ましくは1000〜10000μmである。また、本発明のオレフィン化反応用触媒の形状は、特に限定されないが、例えば、粉末状、粒状、成型(成型体状)等が挙げられる。
【0043】
[隣接ジオール]
上記隣接ジオールは、隣接する2つの炭素原子がヒドロキシ基を有する構造を少なくとも含む化合物であれば特に限定されない。また、後述のオレフィン化工程を経た結果得られる反応混合物から回収した隣接ジオール(未反応の隣接ジオール)を再利用することもできる。
【0044】
上記隣接ジオールは、例えば、化学合成により製造された隣接ジオールであってもよいし、バイオマスを用いて得られた隣接ジオール(即ち、バイオマス由来の隣接ジオール)であってもよい。上記隣接ジオールとしてバイオマス由来の隣接ジオールを用いることにより、バイオマス由来のオレフィンを製造することができる。
【0045】
上記隣接ジオールは、特に限定されないが、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【化1】
【0046】
式(1)中、R
1、R
2、R
3、及びR
4(R
1〜R
4)は、同一又は異なって、水素原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示す。上記一価の有機基としては、例えば、置換又は無置換の炭化水素基(一価の炭化水素基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基等が挙げられる。R
1〜R
4のうちの少なくとも2つの基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0047】
上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基が挙げられる。
【0048】
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等のC
1-20アルキル基(好ましくはC
1-10アルキル基、さらに好ましくはC
1-4アルキル基)等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC
2-20アルケニル基(好ましくはC
2-10アルケニル基、さらに好ましくはC
2-4アルケニル基)等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等のC
2-20アルキニル基(好ましくはC
2-10アルキニル基、さらに好ましくはC
2-4アルキニル基)等が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基としては、中でも、アルキル基(好ましくはC
1-20アルキル基、より好ましくはC
1-10アルキル基、さらに好ましくはC
1-4アルキル基)が好ましい。
【0049】
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC
3-12のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC
3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC
4-15の架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
【0050】
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基(例えば、C
6-14アリール基、特にC
6-10アリール基)等が挙げられる。
【0051】
また、上記脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC
7-18アラルキル基(特に、C
7-10アラルキル基)、シンナミル基等のC
6-10アリール−C
2-6アルケニル基、トリル基等のC
1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC
2-4アルケニル置換アリール基等が挙げられる。
【0052】
上記炭化水素基は置換基を有する炭化水素基(置換炭化水素基)であってもよい。上記置換炭化水素基における置換基の炭素数は0〜20が好ましく、より好ましくは0〜10である。該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(好ましくはC
1-6アルコキシ基、より好ましくはC
1-4アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(好ましくはC
2-6アルケニルオキシ基、より好ましくはC
2-4アルケニルオキシ基);フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC
1-4アルキル基、C
2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C
1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくはC
6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(好ましくはC
7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(好ましくはC
1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(好ましくはC
1-6アルキルチオ基、より好ましくはC
1-4アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(好ましくはC
2-6アルケニルチオ基、より好ましくはC
2-4アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC
1-4アルキル基、C
2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C
1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくはC
6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(好ましくはC
7-18アラルキルチオ基);カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(好ましくはC
1-6アルコキシ−カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(好ましくはC
6-14アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(好ましくはC
7-18アラルキルオキシ−カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(好ましくはモノ又はジ−C
1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくはC
1-11アシルアミノ基);グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC
1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。置換炭化水素基が有する置換基の数は、特に限定されない。
【0053】
上記一価の酸素原子含有基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロパーオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、これらの1以上が置換基として導入された置換炭化水素基(酸素原子含有炭化水素基)等が挙げられる。上記一価の窒素原子含有基としては、例えば、アミノ基又は置換アミノ基(モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基等)、シアノ基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、カルバモイル基、これらの1以上が置換基として導入された置換炭化水素基(窒素原子含有炭化水素基)等が挙げられる。また、上記一価の硫黄原子含有基としては、例えば、メルカプト基(チオール基)、スルホ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、イソチオシアナート基、これらの1以上が置換基として導入された置換炭化水素基(硫黄原子含有炭化水素基)等が挙げられる。なお、上述の一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、一価の硫黄原子含有基は、相互に重複し得る。
【0054】
上記R
1〜R
4のうちの少なくとも2つの基が互いに結合して形成していてもよい環としては、例えば、脂環式炭化水素環、脂環式複素環、これらと芳香環との縮合環、これらのうちの2以上の縮合環等が挙げられる。上記脂環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環等のC
3-10脂環式炭化水素環(好ましくはC
4-8脂環式炭化水素環)等が挙げられる。上記脂環式複素環としては、例えば、上記脂環式炭化水素環を形成する1以上の炭素原子を酸素原子、硫黄原子、窒素原子等に置き換えたものが挙げられる。上記脂環式複素環としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環等の酸素原子含有複素環等が挙げられる。また、上記環は、上述の置換炭化水素基が有していてもよい置換基を有していてもよい。
【0055】
上記式(1)におけるR
1及びR
2としては、中でも、一方が水素原子であり、他方が水素原子、炭化水素基(特に、アルキル基)、又は一価の酸素原子含有基(特に、ヒドロキシ基置換又はアルコキシ基置換炭化水素基)が好ましい。また、上記式(1)におけるR
3及びR
4としては、中でも、一方が水素原子であり、他方が炭化水素基(特に、アルキル基)又は一価の酸素原子含有基(特に、ヒドロキシ基置換又はアルコキシ基置換炭化水素基)が好ましい。なお、R
1若しくはR
2と、R
3若しくはR
4とで、脂環式炭化水素環を形成していてもよい。また、上記一価の酸素原子含有基がアルコキシ基置換炭化水素基である場合、R
1若しくはR
2と、R
3若しくはR
4とで、酸素原子含有複素環を形成していてもよい。
【0056】
上記隣接ジオールは、特に限定されないが、総炭素数が2〜20が好ましく、より好ましくは3〜10、さらに好ましくは3〜8である。
【0057】
上記隣接ジオールとしては、原料である隣接ジオールの転化率、生成物であるオレフィンの選択性率及び収率がより高い観点から、中でも、1,4−アンヒドロエリスリトール(上記式(1)において、R
1及びR
3が水素原子であり、R
2とR
4とでオキソラン環を形成している化合物)、グリセリン(上記式(1)において、R
1〜R
3が水素原子であり、R
4がヒドロキシメチル基である化合物)、エリスリトール(上記式(1)において、R
1〜R
3が水素原子であり、R
4が1,2−ジヒドロキシエチル基である化合物)、1,2−オクタンジオール(上記式(1)において、R
1〜R
3が水素原子であり、R
4がヘキシル基である化合物)、1,2−シクロヘキサンジオール(上記式(1)において、R
1及びR
3が水素原子であり、R
2とR
4とでシクロヘキサン環を形成している化合物)が特に好ましい。
【0058】
上記1,4−アンヒドロエリスリトール(3,4−ジヒドロキシオキソラン)は、下記式(2)で表される化合物である。1,4−アンヒドロエリスリトールは、式(2)に示されるように、エリスリトールの1位と4位の水酸基が脱水縮合して形成された構造を有する化合物である。
【化2】
【0059】
上記1,4−アンヒドロエリスリトールは、例えば、化学合成により製造された1,4−アンヒドロエリスリトールであってもよいし、グルコース等の糖類から発酵技術で誘導される1,4−アンヒドロエリスリトールであってもよく、特に限定されない。上記発酵技術で誘導される1,4−アンヒドロエリスリトールとしては、例えば、グルコース等の糖類から発酵技術で誘導されたエリスリトールを原料として使用し、該エリスリトールの分子内脱水反応により生成される1,4−アンヒドロエリスリトール等が挙げられる。上記分子内脱水反応は、公知乃至慣用の方法により実施することができ、特に限定されない
。なお、上記1,4−アンヒドロエリスリトールとしては、後述のオレフィン化工程により得られた反応混合物から回収した1,4−アンヒドロエリスリトール(未反応の1,4−アンヒドロエリスリトール)を再利用することもできる。
【0060】
上記グリセリンは、例えば、精製グリセリンであってもよく、粗製グリセリンであってもよい。また、前記グリセリンはエチレン、プロピレン等から化学合成されたグリセリンであってもよく、バイオディーゼルの製造における植物油等のエステル交換反応で生じるバイオマス由来のグリセリンであってもよく、特に限定されない。なお、上記グリセリンとしては、後述のオレフィン化工程により得られた反応混合物から回収したグリセリン(未反応のグリセリン)を再利用することもできる。
【0061】
[オレフィン]
上記オレフィン、即ち、本発明のオレフィン化反応用触媒の存在下で上記隣接ジオールと水素とを反応させて生成するオレフィンは、原料の隣接ジオールに対応するオレフィンである。なお、触媒として本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた上記反応(即ち、後述のオレフィン化工程における反応)では、隣接ジオールの2つのヒドロキシ基を同時に除去する反応(DODH:Deoxy−dehydration)により、隣接ジオールの2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合を有するオレフィン又はその異性体が高効率で生成する。
【0062】
例えば、1,4−アンヒドロエリスリトールと水素との反応では、通常、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1−ブタノール、2−ブタノール、γ−ブチロラクトン等多種の化合物が生成し得る。しかしながら、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた隣接ジオールと水素との反応によれば、上記隣接ジオールとして上記1,4−アンヒドロエリスリトールを用いた場合、生成物であるオレフィンとしては、ジヒドロフランを高選択率(例えば、99%以上)で得ることができる。また、ジヒドロフランとしては、2,5−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロフラン等の異性体が存在するが、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた1,4−アンヒドロエリスリトールのオレフィン化反応によれば、上記1,4−アンヒドロエリスリトール中の2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合が形成されたオレフィンである2,5−ジヒドロフランを高選択率(例えば、99%以上)で製造することができる。
【0063】
グリセリンと水素との反応では、通常、アリルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレン等多種の化合物が生成し得る。しかしながら、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた隣接ジオールと水素との反応によれば、上記隣接ジオールとしてグリセリンを用いた場合、生成物であるオレフィンとしては、グリセリン中の2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合が形成されたオレフィンであるアリルアルコールを高選択率(例えば、95%以上)且つ高収率で得ることができる。
【0064】
エリスリトールと水素との反応では、通常、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン、2−ブテン−1,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等多種の化合物が生成し得る。しかしながら、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた隣接ジオールと水素との反応によれば、上記隣接ジオールとしてエリスリトールを用いた場合、生成物であるオレフィンとしては、エリスリトール中の2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合が2組形成されたオレフィンであるブタジエンを高選択率(例えば、75%以上)且つ高収率で得ることができる。
【0065】
1,2−オクタンジオールと水素との反応では、通常、1−オクテン、2−オクテン、オクタン等多種の化合物が生成し得る。しかしながら、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた隣接ジオールと水素との反応によれば、上記隣接ジオールとして1,2−オクタンジオールを用いた場合、生成物であるオレフィンとしては、1,2−オクタンジオール中の2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合が形成されたオレフィンである1−オクテンを高選択率(例えば、80%以上)且つ高収率で得ることができる。
【0066】
1,2−シクロヘキサンジオールと水素との反応では、通常、シクロヘキセン、シクロヘキサン、1,2−シクロヘキサンジオールのシス−トランス異性体等複数種の化合物が生成し得る。しかしながら、本発明のオレフィン化反応用触媒を用いた隣接ジオールと水素との反応によれば、上記隣接ジオールとして1,2−シクロヘキサンジオールを用いた場合、生成物であるオレフィンとしては、1,2−シクロヘキサンジオール中の2つのヒドロキシ基がそれぞれ結合している隣接炭素原子同士で炭素−炭素二重結合が形成されたオレフィンであるシクロヘキセンを高選択率(例えば、85%以上)且つ高収率で得ることができる。
【0067】
[水素]
上記水素(水素ガス)は、実質的に水素のみの状態で使用することもできるし、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス等により希釈した状態で使用することもできる。また、後述のオレフィン化工程を経た結果得られる反応混合物から回収した水素(未反応の水素)を再利用することもできる。
【0068】
<オレフィンの製造方法>
隣接ジオールと水素との反応によりオレフィンを生成させる工程を含み、該工程における上記隣接ジオールと水素との反応を、本発明のオレフィン化反応用触媒の存在下で進行させることにより、対応するオレフィンを製造することができる。なお、本明細書において、隣接ジオールと水素との反応によりオレフィンを生成させる工程を含み、該工程における上記隣接ジオールと水素との反応を、本発明のオレフィン化反応用触媒の存在下で進行させるオレフィンの製造方法を、「本発明の製造方法」と称する場合がある。また、「隣接ジオールと水素との反応によりオレフィンを生成させる工程」を、「オレフィン化工程」と称する場合がある。
【0069】
上記オレフィン化工程において、上記隣接ジオールと水素との反応は、本発明のオレフィン化反応用触媒(固体)の存在下、気体状の(気化させた)隣接ジオールと水素とを反応させる気固二相系の反応であってもよいし、本発明のオレフィン化反応用触媒(固体)の存在下、液状の隣接ジオールと水素とを反応させる気液固三相系の反応であってもよい。特に、炭素−炭素結合の開裂による炭素数が小さい(例えば3以下)の化合物の生成を抑制する観点からは、上記反応を気液固三相系で進行させることが好ましい。
【0070】
より具体的には、上記オレフィン化工程における隣接ジオールと水素との反応は、例えば、隣接ジオールを必須成分として含む原料液と水素とを反応器中に封入して、本発明のオレフィン化反応用触媒の存在下で加熱することによって進行させることができる。なお、上記オレフィン化工程において本発明のオレフィン化反応用触媒は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0071】
上記原料液は、隣接ジオールの他に、例えば、水や有機溶媒等の溶媒を含有していてもよいし、溶媒を実質的に含有していなくてもよい。上記有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,4−ジオキサン等が挙げられる。上記原料液としては、中でも、隣接ジオールと水素との反応性に優れる点で、1,4−ジオキサンが好ましい。なお、上記溶媒は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0072】
上記原料液における隣接ジオールの濃度(原料液100重量%に対する隣接ジオールの含有量)は、特に限定されないが、5重量%以上(例えば、5〜100重量%)が好ましく、より好ましくは8重量%以上(例えば、8〜90重量%、8〜70重量%)、さらに好ましくは10重量%以上(例えば、10〜60重量%)である。隣接ジオールの濃度が5重量%以上であると、隣接ジオールの反応率(転化率)が向上する傾向がある。一方、隣接ジオールの粘度が高い場合は、隣接ジオールの濃度が90重量%以下であると、粘度が高くなりすぎず、操作が容易となる傾向がある。
【0073】
本発明のオレフィン化反応用触媒の使用量(含有量)は、特に限定されないが、隣接ジオール100重量部に対して、0.1〜300重量部が好ましく、より好ましくは1〜200重量部、さらに好ましくは5〜150重量部である。上記使用量が0.1重量部以上であると、触媒を使用することによる効果がより十分に得られる傾向がある。一方、上記使用量が300重量部以下であると、隣接ジオールの転化率が向上する傾向がある。反応終了後は、上記触媒をろ過等により除去する工程を設けることが好ましい。
【0074】
上記隣接ジオールと水素との反応は、固体酸の共存下で進行させてもよい。即ち、上記原料液は、上述の隣接ジオール、溶媒のほか、固体酸を含有していてもよい。なお、固体酸とは、ブレンステッド酸及び/又はルイス酸(ブレンステッド酸及びルイス酸のいずれか一方又は両方)の特性を示す固体であり、ハメットの酸度関数(H
0)が6.8以下のものである。上記固体酸としては、公知乃至慣用の固体酸を使用することができ、特に限定されないが、例えば、担体(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、シリカ−アルミナ等)に無機酸類、有機酸類(例えば、有機スルホン酸類等)を担持した固体;ガリウムシリケート、アルミノシリケート、ボロシリケート等の結晶性金属シリケート(例えば、プロトン型のゼオライトであるH−ZSM−5等);ヘテロポリ酸又はその塩;担体(例えば、シリカ、アルミナ等)にヘテロポリ酸又はその塩を担持した固体;酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化チタン(TiO
2)等の酸性の金属酸化物;カルボキシル基、スルホン酸基等の酸基を有するポリマー(例えば、陽イオン交換樹脂等)等が挙げられる。上記固体酸としては、市販品を利用することもできる。固体酸の共存下で反応を進行させることにより、上述の隣接ジオールと水素との反応を促進させることができる。なお、上記固体酸は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0075】
オレフィン化工程において固体酸を用いる場合、上記固体酸の使用量(含有量)は、特に限定されないが、隣接ジオール100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。固体酸を共存させた場合には、反応終了後、当該固体酸をろ過等により除去する工程を設けることが好ましい。
【0076】
上記反応においては、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分を共存させてもよい。即ち、上記原料液は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分(例えば、アルコール類等)を含有していてもよい。また、上記原料液には、例えば、隣接ジオールの原料(隣接ジオールや該隣接ジオールの原料等)に由来する不純物が含まれる場合があるが、このような不純物は触媒を劣化させるおそれがあるため、公知乃至慣用の方法(例えば、蒸留、吸着、イオン交換、晶析、抽出等)により、原料液から除去することが好ましい。
【0077】
上記原料液は、特に限定されないが、隣接ジオールと、必要に応じて溶媒や固体酸、その他の成分を混合することにより得られる。混合には、公知乃至慣用の撹拌機等を使用することができる。
【0078】
上記反応(隣接ジオールと水素との反応)に付す水素と隣接ジオールのモル比[水素(mol)/隣接ジオール(mol)]は、特に限定されないが、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜30である。上記モル比が1以上であると、隣接ジオールの反応率(転化率)が向上する傾向がある。一方、上記モル比が100以下であると、未反応の水素を回収するための用役コストが軽減される傾向がある。
【0079】
上記反応における隣接ジオールと水素の反応温度は、特に限定されないが、50〜250℃が好ましく、より好ましくは60〜220℃、さらに好ましくは70〜200℃である。反応温度が50℃以上であると、隣接ジオールの反応率(転化率)が向上する傾向がある。一方、反応温度が250℃以下であると、隣接ジオールの分解(例えば、炭素−炭素結合の開裂等)が生じにくく、対応するオレフィンの収率が向上する傾向がある。なお、反応温度は、上記反応において一定(実質的に一定)となるように制御されていてもよいし、段階的又は連続的に変化するように制御されていてもよい。
【0080】
上記反応における隣接ジオールと水素の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜200時間が好ましく、より好ましくは0.2〜150時間、さらに好ましくは0.5〜100時間である。反応時間が0.1時間以上であると、隣接ジオールの反応率(転化率)が向上する傾向がある。一方、反応時間が200時間以下であると、対応するオレフィンの選択率が向上する傾向がある。
【0081】
上記隣接ジオールが1,4−アンヒドロエリスリトールである場合、上記反応時間は、特に限定されないが、2,5−ジヒドロフランの選択率がより向上する観点で、30時間以下(例えば、0分を超えて30時間以下)が好ましく、より好ましくは1〜25時間である。一方、1,4−アンヒドロエリスリトールの転化率が向上する観点で、6時間以上(例えば、6〜200時間)が好ましく、より好ましくは13時間以上(例えば、13〜40)時間である。
【0082】
上記隣接ジオールがグリセリンである場合、上記反応時間は、特に限定されないが、アリルアルコールの選択率がより向上する観点で、50時間以下(例えば、0分を超えて50時間以下)が好ましく、より好ましくは1〜50時間である。一方、グリセリンの転化率が向上する観点で、10時間以上(例えば、10〜200時間)が好ましく、より好ましくは20時間以上(例えば、20〜50)時間である。
【0083】
上記反応における隣接ジオールと水素の反応圧力(隣接ジオールと水素の反応における水素圧)は、特に限定されないが、0.1〜50MPaが好ましく、より好ましくは0.5〜30MPa、さらに好ましくは1〜15MPaである。反応圧力が0.1MPa以上であると、隣接ジオールの反応率(転化率)が向上する傾向がある。一方、反応圧力が50MPaを超えると、反応器が高度な耐圧性を備える必要があるため、製造コストが高くなる傾向がある。
【0084】
上記反応は、回分形式、半回分形式、連続流通形式等の任意の形式により実施することができる。また、所定量の隣接ジオールから得られるオレフィンの量を増加させたい場合には、反応終了後の未反応の隣接ジオールを分離回収してリサイクルするプロセスを採用してもよい。このリサイクルプロセスを採用すれば、隣接ジオールを所定量使用したときの対応するオレフィンの生成量を高めることができる。
【0085】
上記オレフィン化工程においては、反応器として公知乃至慣用の反応器を使用することができ、例えば、回分式反応器、流動床反応器、固定床反応器等が使用できる。上記固定床反応器としては、例えば、トリクルベッド反応器を使用できる。トリクルベッド反応器とは、固体触媒が充填された触媒充填層を内部に有し、該触媒充填層に対して液体(オレフィン化工程では、例えば、上記原料液)と気体(オレフィン化工程では、水素)とを共に、反応器の上方から下向流(気液下向並流)で流通する形式の反応器(固定床連続反応装置)である。
【0086】
図1は、トリクルベッド反応器を使用した場合のオレフィンの製造方法におけるオレフィン化工程の一例を示すフロー図である。
図1において、1は反応器(トリクルベッド反応器)、2は原料液の供給ライン、3は水素の供給ラインを示す。また、4は反応混合物取り出しライン、5は高圧気液分離器、6は水素リサイクルラインを示す。以下、
図1を参照しながら、トリクルベッド反応器を使用したオレフィンの製造方法を簡単に説明する。
【0087】
まず、トリクルベッド反応器1の上方から原料液と水素とを連続的に供給し、その後、反応器の内部で原料液中の隣接ジオールと水素とを、触媒充填層における触媒(本発明のオレフィン化反応用触媒)の存在下で反応させ、対応するオレフィン(反応生成物)を生成させる。そして、当該オレフィンを含む反応混合物をトリクルベッド反応器1の下方の反応混合物取り出しライン4から連続的に取り出し、その後、必要に応じて、高圧気液分離器5により該反応混合物から水素を分離した後、精製工程にてオレフィンを精製・単離する。また、高圧気液分離器5により分離した水素は、水素リサイクルライン6を通じて、再度トリクルベッド反応器1に供給して反応に再利用することもできる。
【0088】
反応器としてトリクルベッド反応器を採用すると、原料である隣接ジオールが液体の場合は隣接ジオールを気化することなく、気液固三相系で反応を進行させることができるため、コスト面で有利である。また、トリクルベッド反応器中では、隣接ジオールを含む原料液が触媒表面に薄膜を形成しながら下方に流通するため、原料液と水素の界面(気液界面)から触媒表面までの距離が短く、原料液に溶解した水素の触媒表面への拡散が容易となり、対応するオレフィンを効率的に生成することができる。また、隣接ジオールと水素の反応生成物からの触媒の分離プロセスも不要で、触媒の再生処置も容易であるため、製造プロセスが簡便でありコスト面で優れる。
【0089】
なお、上記トリクルベッド反応器の材質や形状、サイズ(例えば、塔径や塔長等)等は、特に限定されず、公知乃至慣用のトリクルベッド反応器の中から、反応の規模等に応じて適宜選択することができる。また、上記トリクルベッド反応器は、単一の反応管により構成されるものであってもよいし、複数の反応管により構成された多段反応器であってもよい。上記トリクルベッド反応器が多段反応器である場合の反応管の数は、適宜選択でき、特に限定されない。また、上記トリクルベッド反応器が多段反応器である場合には、当該反応器は、複数の反応管が直列に設置されたものであってもよいし、複数の反応管が並列に配置されたものであってもよい。
【0090】
更に、トリクルベッド反応器の内部における触媒充填層は、必要に応じて、例えば、反応熱による過熱を抑制するために2以上の位置に分割(分離)して配置してもよい。
【0091】
本発明のオレフィンの製造方法は、上記オレフィン化工程以外にも、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、原料液と水素を反応器に供給する前に、原料液を調製・精製する工程、反応器から排出(流出)された反応混合物(例えば、隣接ジオール、水素、及びオレフィン等の生成物の混合物)を分離・精製する工程等が挙げられる。なお、これらの工程は、上記オレフィン化工程とは別ラインで実施してもよく、上記オレフィン化工程と一連の工程として(インラインで)実施してもよい。
【0092】
本発明のオレフィンの製造方法は、例えば、オレフィン化工程の前に、該工程における原料の隣接ジオールを生成させる工程を含んでいてもよい。例えば、隣接ジオールとして1,4−アンヒドロエリスリトールを用いた場合、上記隣接ジオールを生成させる工程は、1,4−アンヒドロエリスリトールを生成させる工程である。1,4−アンヒドロエリスリトールを生成させる工程としては、特に、エリスリトールの分子内脱水反応により1,4−アンヒドロエリスリトールを生成させる工程(「脱水反応工程」と称する場合がある)が好ましい。
【0093】
[脱水反応工程]
上記脱水反応工程におけるエリスリトールの分子内脱水反応は、周知の方法により実施することができ、特に限定されないが、例えば、酸触媒の存在下でエリスリトールを加熱することにより進行させることができる。なお、上記脱水反応工程は、上記オレフィン化工程とは別ラインで実施してもよいし、上記オレフィン化工程と一連の工程として実施してもよい。
【0094】
上記脱水反応工程において原料として使用されるエリスリトールは、特に限定されず、化学合成により製造されたエリスリトールであってもよいし、グルコース等の糖類から発酵技術で誘導されるエリスリトールであってもよい。中でも、環境への負荷を低減する観点からは、グルコース等の糖類から発酵技術で誘導されるエリスリトールを使用することが好ましい。また、当該脱水反応工程により得られた反応混合物から回収したエリスリトール(未反応のエリスリトール)を再利用することもできる。
【0095】
上記脱水反応工程において使用される酸触媒としては、公知乃至慣用の酸を使用することができ、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、縮合リン酸、臭化水素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂、ゼオライト、シリカアルミナ、ヘテロポリ酸(例えば、リンモリブデン酸等)等の固体酸等が挙げられる。中でも、生成物等からの分離及び再生処理が容易である点で、固体酸が好ましい。なお、上記酸触媒としては市販品を使用することもでき、例えば、固体酸の市販品として商品名「Amberlyst」(ダウ・ケミカル社製)、商品名「ナフィオン」(デュポン(株)製)等が例示される。なお、酸(酸触媒)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0096】
上記反応(分子内脱水反応)は、溶媒の非存在下で進行させることもできるし、溶媒の存在下で進行させることもできる。上記溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール;1,4−ジオキサン等のエーテル;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等の高極性の有機溶媒等が挙げられる。中でも、反応性に優れる点、及び取り扱いや廃棄が容易である点で、溶媒として水を少なくとも含有することが好ましい。なお、溶媒は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0097】
上記反応(分子内脱水反応)の反応温度(加熱温度)は、特に限定されないが、40〜240℃が好ましく、より好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃である。反応温度を上記範囲に制御することによって、エリスリトールの分子内脱水反応をより効率的に進行させることができる。なお、反応温度は、反応において一定(実質的に一定)となるように制御されていてもよいし、段階的又は連続的に変化するように制御されていてもよい。
【0098】
上記反応(分子内脱水反応)の時間(反応時間)は、特に限定されないが、1〜100時間が好ましく、より好ましくは2〜50時間、さらに好ましくは3〜30時間である。反応時間が1時間未満であると、エリスリトールの反応率(転化率)が十分に上がらない場合がある。一方、反応時間が100時間を超えると、コスト面で不利となる場合がある。
【0099】
上記反応(分子内脱水反応)は、空気雰囲気下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下等のいずれの雰囲気下においても実施することができる。特に、1,4−アンヒドロエリスリトールの選択率向上の観点からは、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。また、上記反応(分子内脱水反応)は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれにおいても実施することができる。特に、エリスリトールの転化率向上の観点からは、加圧下で実施することが好ましい。例えば、水を溶媒として使用する場合には、加圧下で反応を実施することにより反応温度を100℃以上に高くできるため、エリスリトールの転化率を効率的に高めることができる。
【0100】
上記反応(分子内脱水反応)は、回分形式、半回分形式、連続流通形式等の任意の形式により実施することができる。
【0101】
上記脱水反応工程により、1,4−アンヒドロエリスリトールが生成する。このようにして得られた1,4−アンヒドロエリスリトールは、その後、上記オレフィン化工程における原料として使用されるが、脱水反応工程により得られた反応混合物から公知乃至慣用の方法(例えば、蒸留、吸着、イオン交換、晶析、抽出等)により単離した上で使用することもできるし、上記反応混合物から単離することなく(必要に応じて酸触媒等を取り除いた上で)使用することもできる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例7〜17は参考例として記載するものである。
【0103】
製造例1
[触媒(ReO
X−Ag/CeO
2)の製造]
過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)29mgを、20℃の蒸留水10mLに溶解させ、過レニウム酸アンモニウム水溶液を作製した。また、硝酸銀(I)(AgNO
3、和光純薬工業(株)製)6mgを、蒸留水10mLで希釈した硝酸銀(I)水溶液を作製した。次いで、商品名「HS」(酸化セリウム、第一稀元素化学工業(株)製)0.997gに、液だまりができないように上記過レニウム酸アンモニウム水溶液を5回に分けて全量加え、80℃で加熱及び攪拌して、含浸させた。これを乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させた後、液だまりができないように上記硝酸銀(I)水溶液を5回に分けて全量加え、80℃で加熱及び攪拌して、含浸させた。含浸させた後、乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、500℃、3時間焼成し、レニウムの担持量が2重量%、[Ag/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Ag/CeO
2)を得た。
【0104】
製造例2
[触媒(ReO
X−Ir/CeO
2)の製造]
硝酸銀(I)水溶液の代わりに、塩化イリジウム(IV)酸水溶液(Ir:4.74%、H
2IrCl
6、(株)フルヤ金属製)0.109gを、蒸留水10mLで希釈した塩化イリジウム(IV)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.975gとしたこと以外は製造例1と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Ir/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Ir/CeO
2)を製造した。
【0105】
製造例3
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)の製造]
硝酸銀(I)水溶液の代わりに、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)11mgを、蒸留水10mLで希釈したテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.975gとしたこと以外は製造例1と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0106】
製造例4
[触媒(ReO
X−Ru/CeO
2)の製造]
硝酸銀(I)水溶液の代わりに、ルテニウム(III)ニトロシル硝酸塩溶液(Ru:1.5%、Ru(NO)(NO
3)
3-x(OH)
x、Sigma−Aldrich Co. LLC.製)0.181gを、蒸留水10mLで希釈したルテニウム(III)ニトロシル硝酸塩水溶液を用いたこと以外は製造例1と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Ru/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Ru/CeO
2)を製造した。
【0107】
製造例5
[触媒(ReO
X−Rh/CeO
2)の製造]
硝酸銀(I)水溶液の代わりに、塩化ロジウム(III)三水和物(RhCl
3・3H
2O、和光純薬工業(株)製)7mgを、蒸留水10mLで希釈した塩化ロジウム(III)水溶液を用いたこと以外は製造例1と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Rh/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Rh/CeO
2)を製造した。
【0108】
製造例6
[触媒(ReO
X−Pd/CeO
2)の製造]
硝酸銀(I)水溶液の代わりに、硝酸パラジウム(II)水溶液(Pd:5.01%、エヌ・イーケムキャット社製)57mgを、蒸留水10mLで希釈した硝酸パラジウム(II)水溶液を用いたこと以外は製造例1と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Pd/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Pd/CeO
2)を製造した。
【0109】
実施例1
[ジヒドロフランの製造]
ガラス製のオートクレーブ用内筒にスターラーチップと、秤量した製造例1で得られた触媒(ReO
X−Ag/CeO
2)150mgと、1,4−ジオキサン4gと、1,4−アンヒドロエリスリトール1gとを入れた。上記オートクレーブ用内筒を190mLオートクレーブ(高圧回分式反応装置)に入れ、蓋をした。次いで、オートクレーブの内部に1MPaの水素を張り込んだ後に排気する操作を3回繰り返し、内部の空気をオートクレーブから追い出した。このオートクレーブに、140℃で8MPaを示すよう、室温で5MPaを示すように充填した。
続いて、上記オートクレーブをマグネットスターラー付加熱装置にセットし、反応器内部(オートクレーブ内部)の温度が140℃になるように加熱し、反応温度を140℃に維持しながら250rpmで4時間(Reaction time=4h)攪拌した。その後、室温まで冷却し、オートクレーブ内部の水素を解放し、放圧した。
反応後の溶液は、ガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ装置:「GC−2025」((株)島津製作所製)、GCカラム:TC−WAX、検出器:FID)を用いたFID分析及びGC−MSにより分析した。これより、1,4−アンヒドロエリスリトールの転化率、生成物の選択率を算出した。分析結果を表1に示す。
【0110】
実施例2〜4、比較例1〜3
[ジヒドロフランの製造]
使用した触媒及び反応時間を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
製造例7
[触媒(ReO
X−Au/SiO
2)の製造]
商品名「HS」の代わりに、商品名「G−6」(シリカ、富士シリシア化学(株)製)を700℃で1時間予備焼成したもの0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/SiO
2)を製造した。
【0113】
製造例8
[触媒(ReO
X−Au/MgO)の製造]
商品名「HS」の代わりに、商品名「500A」(マグネシア、宇部興産(株)製)を600℃で3時間予備焼成したもの0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/MgO)を製造した。
【0114】
製造例9
[触媒(ReO
X−Au/ZnO)の製造]
商品名「HS」の代わりに、酸化亜鉛(和光純薬工業(株)製)を600℃で3時間予備焼成したもの0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/ZnO)を製造した。
【0115】
製造例10
[触媒(ReO
X−Au/γ−Al
2O
3)の製造]
商品名「HS」の代わりに、γ−アルミナ(和光純薬工業(株)製のベーマイトを600℃で3時間焼成したもの)0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/γ−Al
2O
3)を製造した。
【0116】
製造例11
[触媒(ReO
X−Au/ZrO
2)の製造]
商品名「HS」の代わりに、商品名「RC−100P」(ジルコニア、第一稀元素化学工業(株)製)を500℃で3時間予備焼成したもの0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/ZrO
2)を製造した。
【0117】
製造例12
[触媒(ReO
X−Au/TiO
2)の製造]
商品名「HS」の代わりに、商品名「P25」(チタニア、日本アエロジル(株)製)を700℃で1時間予備焼成したもの0.975gを使用したこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/TiO
2)を製造した。
【0118】
実施例5〜17
[ジヒドロフランの製造]
使用した触媒及び反応時間を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
製造例13
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)([Au/Re]=0.13)の製造]
テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物水溶液(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)6mgを、蒸留水10mLで希釈して得たテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.977gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.13である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0121】
製造例14
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)([Au/Re]=0.5)の製造]
テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物水溶液(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)22mgを、蒸留水10mLで希釈したテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.969gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=0.5である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0122】
製造例15
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)([Au/Re]=1)の製造]
テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物水溶液(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)44mgを、蒸留水10mLで希釈して得たテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.959gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=1である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0123】
製造例16
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)([Au/Re]=2)の製造]
テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物水溶液(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)89mgを、蒸留水10mLで希釈して得たテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.938gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が2重量%、[Au/Re]=2である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0124】
実施例18〜21
[ジヒドロフランの製造]
使用した触媒及び反応時間を表3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
【0126】
製造例17
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)(Re担持量0.25wt%)の製造]
過レニウム酸アンモニウム水溶液として、過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)4mgを、20℃の蒸留水10mLに溶解させて得た過レニウム酸アンモニウム水溶液を用いたこと、テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)1mgを、蒸留水10mLで希釈したテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.997gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が0.25重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0127】
製造例18
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)(Re担持量0.5wt%)の製造]
過レニウム酸アンモニウム水溶液として、過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)7mgを、20℃の蒸留水10mLに溶解させて得た過レニウム酸アンモニウム水溶液を用いたこと、テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)3mgを、蒸留水10mLで希釈したテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.994gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が0.5重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0128】
製造例19
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)(Re担持量1wt%)の製造]
過レニウム酸アンモニウム水溶液として、過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)14mgを、20℃の蒸留水10mLに溶解させて得た過レニウム酸アンモニウム水溶液を用いたこと、テトラクロロ金(III)酸水溶液として、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)6mgを、蒸留水10mLで希釈したテトラクロロ金(III)酸水溶液を用いたこと、及び酸化セリウムを0.987gとしたこと以外は製造例3と同様にして、レニウムの担持量が1重量%、[Au/Re]=0.25である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を製造した。
【0129】
実施例22〜26
[ジヒドロフランの製造]
使用した触媒、反応時間を表4に示すように変更したこと、及び反応に使用するレニウム量が実施例1〜21と同じ3mgとなるように触媒量を変化させたこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表4に示す。なお、実施例22〜26において反応に使用した触媒量は、それぞれ、実施例22は1200mg、実施例23及び24は600mg、実施例25は300mg、実施例26は150mgである。
【0130】
【表4】
【0131】
実施例27〜34
[ジヒドロフランの製造]
触媒として、製造例18で得られた触媒(ReO
X−Au/CeO
2)600mgを使用し、反応時間を表5に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表5に示す。
【0132】
【表5】
【0133】
製造例20
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)の析出沈殿法による製造]
テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)12mgを、20℃の蒸留水200mLに溶解させ、テトラクロロ金(III)酸水溶液を作製した。上記テトラクロロ金(III)酸水溶液を80℃に加熱した後、商品名「HS」(酸化セリウム、第一稀元素化学工業(株)製)3.975gを加え、酸化セリウムを懸濁させたテトラクロロ金(III)酸水溶液のpHが8になるまで水酸化ナトリウム水溶液を添加し、4時間攪拌した。その後、沈殿物を吸引ろ過により回収し、これを乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させた後、空気雰囲気下で、1℃/minにて昇温後、400℃、4時間焼成してAu/CeO
2を得た。
他方、過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)22mggを、20℃の蒸留水10mLに溶解させ、過レニウム酸アンモニウム水溶液を作製した。次いで、上記で得られたAu/CeO
22.985gに、液だまりができないように上記過レニウム酸アンモニウム水溶液を5回に分けて全量加え、80℃で加熱及び攪拌して含浸させた後、これを乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気下で、1℃/minにて昇温後、400℃、4時間焼成し、レニウムの担持量が0.5重量%、[Au/Re]=0.3である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を得た。
【0134】
実施例35〜40
[ジヒドロフランの製造]
触媒として、製造例20で得られた触媒(ReO
X−Au/CeO
2)600mgを使用し、反応時間を表6に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表6に示す。
【0135】
【表6】
【0136】
実施例41
[ジヒドロフランの製造]
触媒として、製造例20で得られた触媒(ReO
X−Au/CeO
2)600mgを使用し、反応時間を表7に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表7に示す。
【0137】
実施例42
実施例41においてジヒドロフランを製造した後、使用後の触媒を回収し、回収した触媒を乾燥機内にて110℃で3時間乾燥させた。その後、400℃で4時間(昇温速度:1℃/分)焼成し、触媒(再利用触媒)を得た。触媒として上記で得た再利用触媒を用いたこと以外は実施例41と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表7に示す。
【0138】
実施例43
実施例42においてジヒドロフランを製造した後、使用後の触媒を回収し、回収した触媒を乾燥機内にて110℃で3時間乾燥させた。その後、400℃で4時間(昇温速度:1℃/分)焼成し、触媒(再利用触媒)を得た。触媒として上記で得た再利用触媒を用いたこと以外は実施例41と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表7に示す。
【0139】
実施例44
実施例43においてジヒドロフランを製造した後、使用後の触媒を回収し、回収した触媒を乾燥機内にて110℃で3時間乾燥させた。その後、400℃で4時間(昇温速度:1℃/分)焼成し、触媒(再利用触媒)を得た。触媒として上記で得た再利用触媒を用いたこと以外は実施例41と同様にして、ジヒドロフランの製造を実施した。分析結果を表7に示す。
【0140】
【表7】
【0141】
実施例45
[アリルアルコールの製造]
ガラス製のオートクレーブ用内筒にスターラーチップと、秤量した製造例20で得られた触媒(ReO
X−Ag/CeO
2)600mgと、1,4−ジオキサン4gと、グリセリン0.5gとを入れた。上記オートクレーブ用内筒を190mLオートクレーブに入れ、蓋をした。次いで、オートクレーブの内部に1MPaの水素を張り込んだ後に排気する操作を3回繰り返し、内部の空気をオートクレーブから追い出した。このオートクレーブに、140℃で8MPaを示すよう、室温で5MPaを示すように充填した。
続いて、上記オートクレーブをマグネットスターラー付加熱装置にセットし、反応器内部(オートクレーブ内部)の温度が140℃になるように加熱し、反応温度を140℃に維持しながら250rpmで4時間(Reaction time=4h)攪拌した。その後、室温まで冷却し、オートクレーブ内部の水素を解放し、放圧した。
反応後の溶液の分析は、実施例1と同様にして行った。これより、グリセリンの転化率、生成物の選択率を算出した。分析結果を表8に示す。
【0142】
実施例46〜50
[アリルアルコールの製造]
反応時間を表8に示すように変更したこと以外は実施例45と同様にして、アリルアルコールの製造を実施した。分析結果を表8に示す。
【0143】
【表8】
【0144】
製造例21
[触媒(ReO
X−Au/CeO
2)の析出沈殿法による製造]
テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl
4・4H
2O、和光純薬工業(株)製)27mgを、20℃の蒸留水250mLに溶解させ、テトラクロロ金(III)酸水溶液を作製した。上記テトラクロロ金(III)酸水溶液を80℃に加熱した後、商品名「HS」(酸化セリウム、第一稀元素化学工業(株)製)3.947gを加え、酸化セリウムを懸濁させたテトラクロロ金(III)酸水溶液のpHが8になるまで0.1Mのアンモニア水溶液を添加し、4時間攪拌した。その後、沈殿物を吸引ろ過により回収し、これを乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させた後、空気雰囲気下で、1℃/minにて昇温後、400℃、4時間焼成してAu/CeO
2を得た。
他方、過レニウム酸アンモニウム(NH
4ReO
4、三津和化学薬品(株)製)52mggを、20℃の蒸留水10mLに溶解させ、過レニウム酸アンモニウム水溶液を作製した。次いで、上記で得られたAu/CeO
23.564gに、液だまりができないように上記過レニウム酸アンモニウム水溶液を5回に分けて全量加え、80℃で加熱及び攪拌して含浸させた後、これを乾燥機内にて110℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気下で、1℃/minにて昇温後、400℃、4時間焼成し、レニウムの担持量が1重量%、[Au/Re]=0.3である触媒(ReO
X−Au/CeO
2)を得た。
【0145】
実施例51
ガラス製のオートクレーブ用内筒にスターラーチップと、秤量した製造例21で得られた触媒(ReO
X−Au/CeO
2)300mgと、1,4−ジオキサン4gと、グリセリン500mgとを入れた。上記オートクレーブ用内筒を190mLオートクレーブ(高圧回分式反応装置)に入れ、蓋をした。次いで、オートクレーブの内部に1MPaの水素を張り込んだ後に排気する操作を3回繰り返し、内部の空気をオートクレーブから追い出した。このオートクレーブに、140℃で8MPaを示すよう、室温で5MPaを示すように充填した。
続いて、上記オートクレーブをマグネットスターラー付加熱装置にセットし、反応器内部(オートクレーブ内部)の温度が140℃になるように加熱し、反応温度を140℃に維持しながら250rpmで32時間(Reaction time=32h)攪拌した。その後、室温まで冷却し、オートクレーブ内部の水素を解放し、放圧した。
反応後の溶液の分析は、実施例1と同様にして行った。これより、グリセリンの転化率、生成物の選択率を算出した。分析結果を表9に示す。
【0146】
実施例52〜54
隣接ジオールの種類及び反応時間を表9に示すように変更したこと以外は実施例51と同様にして、オレフィン化反応を実施した。分析結果を表9に示す。
【0147】
実施例55
ガラス製のオートクレーブ用内筒にスターラーチップと、秤量した製造例21で得られた触媒(ReO
X−Au/CeO
2)300mgと、1,4−ジオキサン4gと、cis−1,2−シクロヘキサンジオール250mgとを入れた。上記オートクレーブ用内筒を190mLオートクレーブ(高圧回分式反応装置)に入れ、蓋をした。次いで、オートクレーブの内部に1MPaの水素を張り込んだ後に排気する操作を3回繰り返し、内部の空気をオートクレーブから追い出した。このオートクレーブに、170℃で8MPaを示すよう、室温で5.5MPaを示すように充填した。
続いて、上記オートクレーブをマグネットスターラー付加熱装置にセットし、反応器内部(オートクレーブ内部)の温度が170℃になるように加熱し、反応温度を170℃に維持しながら250rpmで2時間(Reaction time=2h)攪拌した。その後、室温まで冷却し、オートクレーブ内部の水素を解放し、放圧した。
反応後の溶液の分析は、実施例1と同様にして行った。これより、cis−1,2−シクロヘキサンジオールの転化率、生成物の選択率を算出した。分析結果を表9に示す。
【0148】
実施例56
隣接ジオールの種類及び反応時間を表9に示すように変更したこと以外は実施例55と同様にして、オレフィン化反応を実施した。分析結果を表9に示す。
【0149】
【表9】
【0150】
表中の略号は、以下の化合物を示す。
THF : テトラヒドロフラン
DHF : ジヒドロフラン(2,5−ジヒドロフラン及び2,3−ジヒドロフランを含む)
1,4−AHTHR : 1,4−アンヒドロエリスリトール
1,4−BuD : 1,4−ブタンジオール
1−BuOH : 1−ブタノール
2,5−DHF : 2,5−ジヒドロフラン
2,3−DHF : 2,3−ジヒドロフラン
1,2−BuD : 1,2−ブタンジオール
1−PrOH : 1−プロピルアルコール
1,2−PrD : 1,2−プロパンジオール
Others : その他の化合物
Conv. : 転化率(Conversion)
【0151】
なお、上記実施例及び比較例において、転化率は下記式(1)により、選択率は下記式(2)により、カーボンバランス(C.B.)を100%と仮定して求めた。なお、実際のC.B.は、93〜97%であった。
転化率(%)=生成物の合計量(mol)/{残存隣接ジオールの量(mol)+生成物の合計量(mol)}×100 (1)
物質Aの選択率(%)=物質Aの生成量(mol)/生成物の合計量(mol)×100 (2)