【実施例】
【0018】
図1は、本願発明についての概要を説明するための図である。
【0019】
図1(a)は、通常の商品の売買の概要を示す。事業化部門が商品・サービス(商品等)を新たに開発して具体的な商品化・サービス化(商品化等)を行う。売主は、事業化部門が開発した商品等を買主に販売する。買主は、売主にお金を支払う。売主は、商品等を仕入れたり販売できたりしたタイミングで、事業化部門にお金を支払う。
【0020】
図1(b)は、購入者(ファン及び一般的な買主)による購入についての概要を示す。商品等には、様々なものがある。例えば鉛筆であれば、何も記載されていないデザインのものもあれば、例えばキャラクタなどが記載されたもの(キャラクタグッズ)もある。購入者は、鉛筆として使用できるものを探している者もいれば、キャラクタのファンでキャラクタグッズを探している者もいる。「許諾権者」はファン対象(特定の人物・キャラクタなど)を使用した商品化を許諾できる者であり、「ファン」はファン対象の熱心な愛好者とする。
【0021】
例えば書籍を例にすると、著者(許諾権者)は、出版社(事業化部門)に著作物の使用を許諾する。出版社は、書籍(商品等)を作成し書店(売主)に提供する。書籍は、一般的な読者(買主)が購入したり、著者のファン(ファン)が購入したりする。購入者は、書店に代金を支払う。書店は、出版社にお金を支払う。出版社は、著者にお金を支払う。
【0022】
図1(b)にあるように、商品等の売買は、売主と購入者との間で行われる。出版社や著者は、書籍を購入した購入者との間で直接にコミュニケーションを行うことが難しい。そのため、出版社は、例えば書籍にアンケート葉書などを入れておき、購入者からアンケートを回収する。ただし、通常、アンケートを積極的に郵送するのは書籍者の一部であり、例えば熱心なファンや商品に不満があった買主などであろう。また、ファンにとっては、アンケート葉書を郵送しても、出版社から抽選で図書券などが当たる程度の反応しか期待できず、自らのコメントがファン対象に伝わっているかは不明である。
【0023】
本願発明によれば、
図1(c)及び(d)にあるように、商品等の購入時に、ファンと許諾権者との間で直接のコミュニケーションを実現することができる。
【0024】
図1(c)にあるように、暗号資産等(例えば、従来の仮想通貨、資金決済法における暗号資産、電子マネー、ポイントなど)を利用して、許諾権者が許諾した商品等(以下、「ファン商品等」という。)(例えば、キャラクタグッズやコンサートなどの許諾権者が使用許諾等をした商品等)に関連付けられた財産的価値である「ファン価値」(以下では、「ファン通貨」ともいう。)を導入する。「共通価値」(以下では、「共通通貨」ともいう。)は、ファン商品等に関連付けられていない財産的価値である。購入者がファン商品等の代金を共通通貨により支払ったならば、その支払いに関する情報である支払情報(例えば、購入者を識別する情報、売主を識別する情報、代金を特定する情報など。)は、許諾権者(事業化部門を含んでもよい)が利用できない。他方、購入者がファン商品等の代金をファン通貨により支払ったならば、許諾権者(事業化部門を含んでもよい)は、その支払情報を利用できる。すなわち、ファンは、ファン通貨を使用して支払うことにより、許諾権者と直接コミュニケーションすることを選択できる。そして、許諾権者(事業化部門を含んでもよい)は、その支払情報(特に購入者を特定可能な情報)をマーケティングなどに使用することができる。他方、一般的な買主は、共通通貨で支払うことにより、許諾権者に対して支払情報(特に購入者を特定可能な情報)を秘匿することができる。
【0025】
地域通貨は、通貨が場所に紐づけられている。ファン通貨は、いわば、ファン対象(特定の人物やキャラクタなど)に紐づけられているものと評価することができる。ファン通貨を使用することにより、許諾権者らは、ファンが購入したファン商品等の情報を正確に把握することができる。さらに、許諾権者らによる指示で、ファンが保有するファン通貨について、例えば長期的な保有を優遇したり短期的な保有を優遇したりすることにより、ファン対象の性質に応じたマーケティングを実現することができる。
【0026】
ファン通貨は、それぞれのファン対象に対応して発行される。ファン対象は、例えば、特定の人物を単位にしてもよく、アイドルグループを単位にしてもよく、アーティストなどが所属する企業・企業群を単位にしてもよい。例えば、電力会社をファン対象とするファン通貨を発行してもよい。
【0027】
例えば、子供に人気のあるファン対象であれば、子供がお小遣いをもらってすぐに購入することを優遇することにより、ファン商品等の販売増進に繋げることが期待できる。そのため、例えば、短期的な保有を優遇したり、使用に対する対価を増加したりすることが考えられる。他方、ファン対象が多くのアイドルグループを管理する企業であれば、ファンには、グループを次々と変えつつ継続的に企業のファンであることが望ましい。そのため、企業のファン通貨を長期的に保有することを優遇することが考えられる。ファン通貨を導入することにより、許諾権者は、極めて自由度の高いマーケティング戦略を実現することができる。
【0028】
また、ファンは、ファン通貨により支払えば、その支払情報が許諾権者に届くことを利用して、ファン商品等の代金を支払うときに許諾権者へのメッセージなどを含めるようにしてもよい。例えばアイドルグループのファンには、メンバー全員のファンもいれば、特定のメンバーのファンもいる。従来、特定のメンバーのファンは、その特定のメンバーに関連するグッズを購入して、特定のメンバーへの支持を伝えていた。ファン通貨で支払うことにより、グループ全体のグッズを購入しても、特定のメンバーへの支持をメッセージとして伝えることができる。
【0029】
また、
図1(d)にあるように、事前に購入者が支払情報を許諾権者(事業化部門を含んでもよい)に伝えることを許諾することを条件に、商品等に対して支払ったことに関する支払情報を、許諾権者(事業化部門を含んでもよい)が利用することができるようにしてもよい。
【0030】
さらに、使用許諾等に対する対価(ライセンス料など)について、許諾権者は、
図1(c)にあるように、共通通貨などの支払いでは従来と同様に売主・事業化部門などを経由して許諾権者が対価を受け取り、ファン通貨の支払いでは、購入者が支払った時点などで売主が受け取るとともに許諾権者も対価を受け取ってもよい。ファン通貨を利用することによりライセンス料などの管理をシンプルにすることができる。また、
図1(d)にあるように、従来と同様に、売主・事業化部門などを経由して許諾権者が受け取ってもよい。
【0031】
図2は、本願発明の実施の形態に係る支払情報管理システムの(a)構成の一例を示すブロック図と、(b)動作の一例を示すフロー図である。
図2を参照して、支払情報管理システム1の構成及び動作の一例を説明する。商品等17は、例えば、許諾権者の許可のもとに提供されたファン商品等である。
【0032】
支払情報管理システム201は、購入装置3と、販売装置5と、事業化部門装置7と、許諾権者装置9と、販売管理サーバ11と、共通通貨管理サーバ13と、ファン通貨管理サーバ15を備える。これらは、インターネットや専用回線などにより通信が可能である。
【0033】
購入装置3は、商品等17の購入者が使用する。購入装置3は、資産管理部21と、支払指示部25と、支払確認部26を備える。
【0034】
販売装置5は、商品等17の売主が使用する。販売装置5は、資産管理部27と、商品管理部29と、商品入力部31と、支払請求部33と、支払確認部35を備える。
【0035】
事業化部門装置7は、商品等17の商品化等を行う事業化部門が使用する。事業化部門装置7は、資産管理部37を備える。
【0036】
許諾権者装置9は、許諾権者が使用する。許諾権者装置9は、資産管理部41を備える。
【0037】
販売管理サーバ11は、購入者と売主の間での商品等17の売買を支援する。販売管理サーバ11は、支払処理部45(本願発明の「支払処理部」の一例)を備える。
【0038】
共通通貨管理サーバ13は、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の共通通貨に関する帳簿を管理する。共通通貨管理サーバ13は、帳簿管理部57と、帳簿処理部59を備える。帳簿管理部57は、購入者帳簿61と、売主帳簿63と、事業化部門帳簿65と、許諾権者帳簿67を管理する。購入者帳簿61、売主帳簿63、事業化部門帳簿65及び許諾権者帳簿67は、それぞれ、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の共通通貨に関する帳簿である。
【0039】
ファン通貨管理サーバ15は、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者のファン通貨に関する帳簿を管理する。ファン通貨管理サーバ15は、帳簿管理部69と、帳簿処理部71を備える。帳簿管理部69は、購入者帳簿73と、売主帳簿75と、事業化部門帳簿77と、許諾権者帳簿79を管理する。購入者帳簿73、売主帳簿75、事業化部門帳簿77及び許諾権者帳簿79は、それぞれ、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者のファン通貨に関する帳簿である。
【0040】
ファン通貨は、例えば暗号資産等を利用して実現され、それぞれのファン対象に対応して発行される。ファン通貨管理サーバ15は、それぞれのファン対象に対応したファン通貨を管理する。以下では、簡単のために、ファン対象は一つであるとする。共通通貨は、暗号資産等を利用して実現してもよく、また、従来のキャッシュレス決済を実現するものにより実現される物であってもよい。
【0041】
購入装置3において、資産管理部21は、共通通貨管理サーバ13に指示して、購入者帳簿61に管理される共通通貨のチャージや払い出し、他者への譲渡、購入者帳簿61において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。購入装置3において、資産管理部21は、共通通貨管理サーバ13に指示して、購入者帳簿61に管理される共通通貨を保有させている。例えば、購入者は、購入装置3の資産管理部21に金額を入力する。購入装置3の資産管理部21には、購入者の銀行口座やクレジットカードなどが予め指定されている。購入装置3の資産管理部21は、共通通貨管理サーバ13に対して、予め指定された銀行口座やクレジットカードなどから入力された金額のチャージを指示する。帳簿処理部59は、予め指定された銀行口座やクレジットカードなどを管理するサーバ等と連携して、入力された金額をチャージする処理を行い、購入者帳簿61において管理されている共通通貨を増加させる。
【0042】
また、資産管理部21は、ファン通貨管理サーバ15に指示して、購入者帳簿73に管理されるファン通貨のチャージや払い出し、購入者帳簿73において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。購入者帳簿73が管理するファン通貨は、事業化部門装置7の資産管理部37及び/又は許諾権者装置9の資産管理部41の指示によって、例えば保有期間などに応じて増減したり、支払額に応じて還元したりすることが可能である。購入者帳簿73のファン通貨は、購入者が直接チャージした金額以外は、払い出しができないようにしたり、払い出しに応じて減少させたりしてもよい。
【0043】
購入装置3において、支払指示部25は、購入者の操作に応じて、販売管理サーバ11に対して商品等17の代金の支払いの許可を指示する。支払確認部26は、代金の支払いがなされたことを確認する。
【0044】
販売装置5において、資産管理部27は、共通通貨管理サーバ13に指示して、売主帳簿63に管理される共通通貨の払い出し、事業化部門への共通通貨の譲渡、売主帳簿63において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。
【0045】
また、資産管理部27は、ファン通貨管理サーバ15に指示して、売主帳簿75に管理されるファン通貨の払い出し、売主帳簿75において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。売主帳簿75が管理するファン通貨は、事業化部門装置7の資産管理部37及び/又は許諾権者装置9の資産管理部41の指示によって売上などに連動させて増減することなどにより、販売促進に利用することができる。
【0046】
商品管理部29は、商品等17の代金と、商品等17がファン商品等であるか否か、そして、ファン商品等である場合に商品等17に応じて売主・事業化部門及び許諾権者との間で予め定められた分配情報(例えば、分配額や分配割合など)などを管理する。
【0047】
商品入力部31は、購入者が購入を希望する商品等17に関する情報を入力する。例えば、商品等17にバーコードやタグを読み取ったり、オンライン取引であれば購入者が指示したサービス等を特定したりする。支払請求部33は、販売管理サーバ11に対して、商品等17の代金を示す情報と、商品等17がファン商品等であるか否か及びファン商品等である場合に分配情報を送信して、購入者に対して支払いを請求する。支払確認部235は、代金の支払いがなされたことを確認する。
【0048】
事業化部門装置7において、資産管理部37は、共通通貨管理サーバ13に指示して、事業化部門帳簿65で管理される共通通貨の払い出し、許諾権者への共通通貨の譲渡、事業化部門帳簿65において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。資産管理部37は、ファン通貨管理サーバ15に指示して、事業化部門帳簿77で管理されるファン通貨の払い出し、事業化部門帳簿77において管理されている取引履歴の閲覧などをすることができる。
【0049】
許諾権者装置9において、資産管理部41は、共通通貨管理サーバ13に指示して、許諾権者帳簿67で管理される共通通貨の払い出し、許諾権者帳簿67で管理される取引履歴の閲覧などをすることができる。資産管理部41は、ファン通貨管理サーバ15に指示して、許諾権者帳簿79で管理されるファン通貨の払い出し、許諾権者帳簿79で管理される取引履歴の閲覧などをすることができる。
【0050】
販売管理サーバ11において、支払処理部45は、販売装置5の支払請求部33による代金の請求と、購入装置3の支払指示部25による支払いの許可とにより、購入者から売主への代金の支払いの処理を行う。
【0051】
共通通貨管理サーバ13の帳簿処理部59は、帳簿管理部57が管理する帳簿に対する処理を行う。
【0052】
ファン通貨管理サーバ15の帳簿処理部71は、帳簿管理部69が管理する帳簿に対する処理を行う。
【0053】
図2(b)を参照して、支払情報管理システム1の動作の一例を説明する。
【0054】
販売管理サーバ11において、支払処理部45は、販売装置5の支払請求部33による代金請求と、購入装置3の支払指示部25による代金支払いの許可がなされたか否かを判定する(ステップSTA1)。代金請求及び支払許可がなされるまで待ち、代金請求及び支払許可がなされると、支払処理部45は、ファン商品等であってファン通貨による支払いが可能か否かを判定する(ステップSTA2)。ファン商品等でないならば、ステップSTA4に進む。ファン商品等であるならば、ファン通貨管理サーバ15の購入者帳簿73において購入者が支払額に対応するファン通貨を保有しているか否かを判定する(ステップSTA3)。購入者が支払額に対応するファン通貨を保有していないならば、ステップSTA4に進む。支払額に対応するファン通貨を保有しているならば、ステップSTA5に進む。
【0055】
ステップSTA4において、支払処理部45は、共通通貨管理サーバ13の帳簿処理部59に指示して、購入者帳簿61で管理されている共通通貨から代金を減少させ、売主帳簿63で管理されている共通通貨に代金を増加させて、代金を支払う処理を行い、購入装置3の支払確認部26及び販売装置5の支払確認部35に通知し、ステップSTA1に戻る。
【0056】
ステップSTA5において、支払処理部45は、ファン通貨管理サーバ15の帳簿処理部71に指示して、購入者帳簿73で管理されているファン通貨から代金を減少させる。そして、代金のファン通貨を、売主帳簿75、事業化部門帳簿77及び許諾権者帳簿79に対して分配情報に従って分配し(ステップSTA6)、ステップSTA1に戻る。
【0057】
なお、購入者は、購入装置3を操作して、支払指示部25に対して、メッセージ情報を含めて、代金支払いを許可するものであってもよい。支払処理部45は、支払指示部25からメッセージ情報を受け取り、ステップSTA6で許諾権者帳簿79にファン通貨を分配したときに、ファン通貨の入金に加えてメッセージ情報を含めるようにしてもよい。これは、ブロックチェーンなどの技術により実現することができる。また、ステップSTA3において、例えば、ファン通貨による支払いを行うか否かを購入者に確認してもよく、また、ファン通貨での支払いを行うときに残高が足りなければ補充するか否かを確認して支払ったり不足分を共通通貨で補ったるするなどの処理を行ってもよい。
【0058】
販売装置5の資産管理部27は、共通通貨管理サーバ13に指示して、売主帳簿63から事業化部門帳簿65に、商品等17について共通通貨による支払いを行う。事業化部門装置7の資産管理部37は、共通通貨管理サーバ13に指示して、事業化部門帳簿65から許諾権者帳簿67に、商品等17のライセンス料などの対価について共通通貨による支払いを行う。これは、従来と同様のものであり、ライセンス契約等に応じて支払いは変更される。
【0059】
許諾権者装置9の資産管理部41は、共通通貨管理サーバ13の許諾権者帳簿67及びファン通貨管理サーバ15の許諾権者帳簿79が管理する取引履歴を閲覧することができる。許諾権者帳簿67の取引履歴には、売主帳簿63や事業化部門帳簿65を経由して共通通貨が入金されるため、購入者に関する情報は含まれない。他方、許諾権者帳簿67の取引履歴には、購入者帳簿73からファン通貨が入金されるため、購入者に関する情報を直接得ることができる。
【0060】
図3は、本願の発明の実施の形態に係る支払情報管理システムの(a)他の構成の一例を示すブロック図と、(b)動作の一例を示すフロー図である。
図3を参照して、支払情報管理システム101の構成及び動作の一例を説明する。商品等117は、例えば、許諾権者の許可のもとに提供されたファン商品等である。
【0061】
支払情報管理システム101は、購入装置103と、販売装置105と、事業化部門装置107と、許諾権者装置109と、販売管理サーバ111と、共通通貨管理サーバ113と、ファン通貨管理サーバ115を備える。これらは、インターネットや専用回線などにより通信が可能である。
【0062】
購入装置103は、商品等117の購入者が使用する。購入装置103は、資産管理部121と、支払指示部125と、支払確認部126を備える。
【0063】
販売装置105は、商品等117の売主が使用する。販売装置105は、資産管理部127と、商品管理部129と、商品入力部131と、支払請求部133と、支払確認部135と、アクセス部136を備える。
【0064】
事業化部門装置107は、商品等117の事業化部門が使用する。事業化部門装置107は、資産管理部137と、アクセス部139を備える。
【0065】
許諾権者装置109は、許諾権者が使用する。許諾権者装置109は、資産管理部141と、アクセス部143を備える。
【0066】
販売管理サーバ111は、購入者と売主の間の商品等117の売買を支援する。販売管理サーバ111は、支払処理部145(本願発明の「支払処理部」の一例)と、支払情報管理部147と、アクセス制御部149と、支払情報記憶部151を備える。支払情報記憶部151は、共通支払情報群153と、ファン支払情報群155を記憶する。
【0067】
共通通貨管理サーバ113は、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の資産に関する帳簿を管理する。共通通貨管理サーバ113は、帳簿管理部157と、帳簿処理部159を備える。帳簿管理部157は、購入者帳簿161と、売主帳簿163と、事業化部門帳簿165と、許諾権者帳簿167を管理する。購入者帳簿161、売主帳簿163、事業化部門帳簿165及び許諾権者帳簿167は、それぞれ、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の資産に関する帳簿である。
【0068】
購入装置103において、資産管理部121は、共通通貨管理サーバ113に指示して、購入者帳簿161に管理される資産のチャージや払い出し、代金の支払いなどをすることができる。
【0069】
また、資産管理部121は、ファン通貨管理サーバ115に指示して、購入者帳簿173に管理されるファン通貨のチャージや払い出し、代金の支払いなどをすることができる。購入者帳簿173が管理するファン通貨は、事業化部門装置107の資産管理部137及び/又は許諾権者装置109の資産管理部141の指示によって増減が可能である。
【0070】
支払指示部125は、購入者の操作に応じて、販売管理サーバ111に対して商品等117の代金の支払いの許可を指示する。支払確認部126は、代金の支払いがなされたことを確認する。
【0071】
販売装置105において、資産管理部127は、共通通貨管理サーバ113に指示して、売主帳簿163に管理される共通通貨の払い出し、事業化部門への共通通貨の譲渡などをすることができる。
【0072】
また、資産管理部127は、ファン通貨管理サーバ115に指示して、売主帳簿175に管理されるファン通貨のチャージや払い出し、事業化部門へのファン通貨の譲渡などをすることができる。
【0073】
商品管理部129は、商品等117の代金を特定する情報と、商品等117がファン商品等であるか否かを管理する。
【0074】
商品入力部131は、購入者が購入を希望する商品等117に関する情報を入力する。支払請求部133は、販売管理サーバ111に対して、入力された商品等117の代金を特定する情報及び商品等117がファン商品等であるか否かを送信して、購入者に対して支払いを請求する。支払確認部135は、代金の支払いがなされたことを確認する。
【0075】
アクセス部136は、販売管理サーバ111に記憶された情報にアクセスする。
【0076】
事業化部門装置107において、資産管理部137は、共通通貨管理サーバ113に指示して、事業化部門帳簿165に管理される共通通貨の払い出し、許諾権者への共通通貨の譲渡などをすることができる。また、資産管理部137は、ファン通貨管理サーバ115に指示して、事業化部門帳簿177に管理されるファン通貨の払い出し、許諾権者へのファン通貨の譲渡などをすることができる。アクセス部139は、販売管理サーバ111に記憶された情報にアクセスする。
【0077】
許諾権者装置109において、資産管理部141は、共通通貨管理サーバ113に指示して、許諾権者帳簿167に管理される共通通貨の払い出しなどをすることができる。また、資産管理部141は、ファン通貨管理サーバ115に指示して、許諾権者帳簿179に管理されるファン通貨の払い出しなどをすることができる。アクセス部143は、販売管理サーバ111に記憶された情報にアクセスする。
【0078】
販売管理サーバ111において、支払処理部145は、販売装置105の支払請求部133による代金の請求と、購入装置103の支払指示部125による支払いの許可とにより、購入者から売主への代金の支払いの処理を行う。支払情報管理部147は、代金の支払いに関する情報を管理する。アクセス制御部149は、販売装置105のアクセス部136、事業化部門装置107のアクセス部139及び許諾権者装置109のアクセス部143による支払情報記憶部151に記憶された情報へのアクセスを制御する。
【0079】
共通通貨管理サーバ113の帳簿処理部159は、帳簿管理部157が管理する帳簿に対する処理を行う。
【0080】
ファン通貨管理サーバ115の帳簿処理部171は、帳簿管理部169が管理する帳簿に対する処理を行う。
【0081】
図3(b)を参照して、支払情報管理システム101の動作の一例を説明する。
【0082】
販売管理サーバ111において、支払処理部145は、販売装置105の支払請求部133による代金請求と、購入装置103の支払指示部125による代金支払いの許可がなされたか否かを判定する(ステップSTB1)。代金請求及び支払許可がなされるまで待ち、代金請求及び支払許可がなされると、支払処理部145は、ファン商品等であってファン通貨による支払いが可能か否かを判定する(ステップSTB2)。ファン商品等でないならば、ステップSTB4に進む。ファン商品等であるならば、ファン通貨管理サーバ115の購入者帳簿173において購入者が支払額に対応するファン通貨を保有しているか否かを判定する(ステップSTB3)。購入者が支払額に対応するファン通貨を保有していないならば、ステップSTB4に進む。支払額に対応するファン通貨を保有しているならば、ステップSTB6に進む。
【0083】
ステップSTB4において、支払処理部145は、共通通貨管理サーバ113の帳簿処理部159に指示して、購入者帳簿161で管理されている共通通貨から代金を減少させ、売主帳簿163で管理されている共通通貨に代金を増加させて、代金を支払う処理を行い、購入装置103の支払確認部126及び販売装置105の支払確認部135に通知する。支払いに関する共通支払情報を生成して、支払情報記憶部151の共通支払情報群153に含めて(ステップSTB5)、ステップSTB1に戻る。
【0084】
ステップSTB6において、支払処理部145は、ファン通貨管理サーバ115の帳簿処理部171に指示して、購入者帳簿173で管理されているファン通貨から代金を減少させ、売主帳簿175で管理されているファン通貨に代金を増加させて、代金を支払う処理を行い、購入装置103の支払確認部126及び販売装置105の支払確認部135に通知する。支払いに関するファン支払情報を生成して、支払情報記憶部151のファン支払情報群155に含めて(ステップSTB7)、ステップSTB1に戻る。
【0085】
なお、通知管理部23を、通知の許可に加えてメッセージ情報を管理できるようにし、ステップSTB7で生成するファン支払情報に、代金などの支払いに関する情報に加えてメッセージ情報を含めるようにしてもよい。
【0086】
アクセス制御部149は、許諾権者装置109のアクセス部143から支払情報記憶部151に記憶された情報へのアクセス要求があったときに、共通支払情報群153へのアクセスは許可せず、ファン支払情報群155へのアクセスを許可する。販売装置105のアクセス部136から支払情報記憶部151に記憶された情報へのアクセス要求があったときに、共通支払情報群153へのアクセスも、ファン支払情報群155へのアクセスも許可する。事業化部門装置107のアクセス部139から支払情報記憶部151に記憶された情報へのアクセス要求があったときには、事業化部門と売主との取引関係によって許可の範囲が予め設定されている。例えば売主が事業化部門の直営店などのように密接な関係である場合には、共通支払情報群153にもファン支払情報群155にもアクセスも許可する。例えば売主と事業化部門が対等な別会社であるように密接でない場合には、共通支払情報群153にはアクセスを認めず、ファン支払情報群155へのアクセスを許可する。
【0087】
販売装置105の資産管理部127は、共通通貨管理サーバ113及びファン通貨管理サーバ115に指示して、それぞれ、売主帳簿163及び175から事業化部門帳簿65及び177に、商品等117について共通通貨及びファン通貨による支払いを行う。事業化部門装置107の資産管理部137は、共通通貨管理サーバ113及びファン通貨管理サーバ115に指示して、それぞれ、事業化部門帳簿165及び177から許諾権者帳簿167及び179に、商品等117のライセンス料などの対価について共通通貨及びファン通貨による支払いを行う。これは、従来と同様のものであり、ライセンス契約等に応じて支払いは変更される。
【0088】
図4は、本願の発明の実施の形態に係る支払情報管理システムの(a)他の構成の一例を示すブロック図と、(b)動作の一例を示すフロー図である。
図4を参照して、支払情報管理システム1の構成及び動作の一例を説明する。商品等217は、例えば、許諾権者の許可のもとに提供されたファン商品等である。
【0089】
支払情報管理システム201は、購入装置203と、販売装置205と、事業化部門装置207と、許諾権者装置209と、販売管理サーバ211と、資産管理サーバ213を備える。これらは、インターネットや専用回線などにより通信が可能である。
【0090】
購入装置203は、商品等217の購入者が使用する。購入装置203は、資産管理部221と、通知管理部223と、支払指示部225と、支払確認部226を備える。
【0091】
販売装置205は、商品等217の売主が使用する。販売装置205は、資産管理部227と、商品管理部229と、商品入力部231と、支払請求部233と、支払確認部235と、アクセス部236を備える。
【0092】
事業化部門装置207は、商品等217の事業化部門が使用する。事業化部門装置207は、資産管理部237と、アクセス部239を備える。
【0093】
許諾権者装置209は、許諾権者が使用する。許諾権者装置209は、資産管理部241と、アクセス部243を備える。
【0094】
販売管理サーバ211は、購入者と売主の間での商品等17の売買を支援する。販売管理サーバ211は、支払処理部245(本願発明の「支払処理部」の一例)と、支払情報管理部247と、アクセス制御部249と、支払情報記憶部251を備える。支払情報記憶部251は、共通支払情報群253と、ファン支払情報群255を記憶する。
【0095】
資産管理サーバ213は、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の資産に関する帳簿を管理する。資産管理サーバ213は、帳簿管理部257と、帳簿処理部259を備える。帳簿管理部257は、購入者帳簿261と、売主帳簿263と、事業化部門帳簿265と、許諾権者帳簿267を管理する。購入者帳簿261、売主帳簿263、事業化部門帳簿265及び許諾権者帳簿267は、それぞれ、購入者、売主、事業化部門及び許諾権者の資産に関する帳簿である。
【0096】
購入装置203において、資産管理部221は、資産管理サーバ213に指示して、購入者帳簿261に管理される資産に、予め指定された銀行口座などからチャージしたり、予め指定された銀行口座などに払い出したり、代金を支払ったりすることができる。
【0097】
通知管理部223は、購入者の操作に応じて、ファン商品等の支払いに対して、少なくとも許諾権者による直接のアクセスを認めるか否かを指示する。
【0098】
支払指示部225は、購入者の操作に応じて、販売管理サーバ211に対して商品等217の代金の支払いの許可を指示する。支払確認部226は、代金の支払いがなされたことを確認する。
【0099】
販売装置205において、資産管理部227は、資産管理サーバ213に指示して、売主帳簿263に管理される資産の払い出し、事業化部門への譲渡などをすることができる。商品管理部229は、商品等217の代金を特定する情報や、商品等217がファン商品等であるか否かに関する情報などを管理する。商品入力部231は、購入者が購入を希望する商品等217に関する情報を入力する。支払請求部233は、販売管理サーバ211に対して入力された商品等217の代金を特定する情報及びファン商品等であるか否かに関する情報を送信して、購入者に対して支払いを請求する。支払確認部235は、代金の支払いがなされたことを確認する。アクセス部236は、販売管理サーバ211に記憶された情報にアクセスする。
【0100】
事業化部門装置207において、資産管理部237は、資産管理サーバ213に指示して、事業化部門帳簿265に管理される資産の払い出し、許諾権者への譲渡などをすることができる。アクセス部239は、販売管理サーバ211に記憶された情報にアクセスする。
【0101】
許諾権者装置209において、資産管理部241は、資産管理サーバ213に指示して、許諾権者帳簿267に管理される資産の払い出しなどをすることができる。アクセス部243は、販売管理サーバ211に記憶された情報にアクセスする。
【0102】
販売管理サーバ211において、支払処理部245は、販売装置205の支払請求部235による代金の請求と、購入装置203の支払指示部225による支払いの許可とにより、購入者から売主への代金の支払いの処理を行う。支払情報管理部247は、代金の支払いに関する支払情報を管理する。アクセス制御部249は、販売装置205のアクセス部236、事業化部門装置207のアクセス部239及び許諾権者装置209のアクセス部243による支払情報記憶部251に記憶された情報へのアクセスを制御する。
【0103】
資産管理サーバ213の帳簿処理部259は、帳簿管理部257が管理する帳簿に対する処理を行う。
【0104】
図4(b)を参照して、支払情報管理システム201の動作の一例を説明する。
【0105】
販売管理サーバ211において、支払処理部245は、販売装置205の支払請求部233による代金請求と、購入装置203の支払指示部225による代金支払いの許可がなされたか否かを判定する(ステップSTB1)。代金請求及び支払許可がなされるまで待ち、代金請求及び支払許可がなされると、商品等217がファン商品等であるか否かを判断する(ステップSTB2)。ファン商品等でないならば、ステップSTC4に進む。ファン商品等であるならば、許諾権者への支払情報のアクセスが許可されているか否かを判定する(ステップSTB3)。許可されていないならば、ステップSTC4に進む。許可されているならば、ステップSTC6に進む。
【0106】
ステップSTC4において、支払処理部245は、帳簿処理部259に指示して、購入者帳簿261で管理されている資産から代金を減少させ、売主帳簿263で管理されている資産に代金を増加させて、代金を支払う処理を行い、購入装置203の支払確認部226及び販売装置205の支払確認部235に通知する。支払処理部245は、支払いに関する共通支払情報を生成して、支払情報記憶部251の共通支払情報群253に含めて(ステップSTC5)、ステップSTC1に戻る。
【0107】
ステップSTC6において、支払処理部245は、帳簿処理部259に指示して、購入者帳簿261で管理されている資産から代金を減少させ、売主帳簿263で管理されている資産に代金を増加させて、代金を支払う処理を行い、購入装置203の支払確認部226及び販売装置205の支払確認部235に通知する。支払処理部245は、支払いに関するファン支払情報を生成して、支払情報記憶部251のファン支払情報群255に含めて(ステップSTC7)、ステップSTC1に戻る。
【0108】
なお、通知管理部223において通知の許否に加えてメッセージ情報を管理できるようにし、ステップSTC7で生成するファン支払情報に、支払いに関する情報に加えてメッセージ情報を含めるようにしてもよい。
【0109】
アクセス制御部249は、許諾権者装置209のアクセス部243から支払情報記憶部251に記憶された情報へのアクセス要求があったときに、共通支払情報群253へのアクセスは許可せず、ファン支払情報群255へのアクセスを許可する。販売装置205のアクセス部236から支払情報記憶部251に記憶された情報へのアクセス要求があったときに、共通支払情報群253へのアクセスも、ファン支払情報群255へのアクセスも許可する。事業化部門装置207のアクセス部239から支払情報記憶部251に記憶された情報へのアクセス要求があったときには、事業化部門と売主との取引関係によるアクセス設定により、共通支払情報群253にもファン支払情報群55にもアクセスも許可したり、共通支払情報群253にはアクセスを認めずファン支払情報群255へのアクセスを許可したりする。
【0110】
販売装置205の資産管理部227は、資産管理サーバ213に指示して、売主帳簿263から事業化部門帳簿265に、商品等217について資産による支払いを行う。事業化部門装置207の資産管理部237は、資産管理サーバ213に指示して、事業化部門帳簿265から許諾権者帳簿267に、商品等217のライセンス料などの対価について支払いを行う。これは、従来と同様のものであり、ライセンス契約等に応じて支払いは変更される。