特許第6871461号(P6871461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871461くくりわなの補助具、補助キット、くくりわな、取付け板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6871461
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】くくりわなの補助具、補助キット、くくりわな、取付け板
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/34 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A01M23/34
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-102747(P2020-102747)
(22)【出願日】2020年6月14日
【審査請求日】2020年6月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518230094
【氏名又は名称】加藤 寛樹
(74)【代理人】
【識別番号】100135585
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 務
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛樹
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−055286(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3200950(JP,U)
【文献】 特開2020−036556(JP,A)
【文献】 特開2017−070245(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0180377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面のみに開口し、その開口側の一対の対面端部の両内側に支持部11を設けた収容箱1と、前記支持部11に回転可能に支持された可動式アーム2と、前記収容箱1内に収容され、前記収容箱1に対して相対的に前記開口側に平行移動する内枠3とから構成された、くくりわなの補助具40であって、
前記可動式アーム2は前記収容箱1の前記支持部11の設けられていない開口端に接触する位置から、一対の相手と近づく位置まで回転Rし、その外側には捕縛輪61aを収縮させる力を生む押しバネ64を備えた捕獲ワイヤーを巻きかける凹部21が設けられ、
前記支持部11は、前記可動式アーム2の外側に前記捕獲ワイヤーを巻きかけた状態でバネ力が与えられると前記可動式アーム2が前記収容箱1側に回転するような力となるように、前記対面端部の上端より反収容側に設けられ、
前記内枠3の深さは捕獲する動物の前足首までが入り込む程度とされ、その奥底に固定された餌を前記動物が取ろうとすると、前記内枠3が平行移動し、その上端部が前記可動式アーム2の反支持側部22に押しあたることで、前記可動式アーム2同士が近づくように回転し、前記バネ力を与えられた捕獲ワイヤーが前記可動式アーム2から外れて前記動物の前足を捕縛するように構成された、くくりわなの補助具40。
【請求項2】
請求項1記載のくくりわなの補助具40と、前記収容箱1を着脱可能に設置できる平板状の取付け板50とを備えた補助キット60であって、
前記取付け板50は、前記収容箱1を着脱可能に設置する設置穴42と、前記取付け板50を地面にペグなどで設置するためのペグ穴44、前記取付け板50をベルトによって樹木などに設置するためのベルト穴43の少なくともいずれか一つを備えた、補助キット60。
【請求項3】
請求項1記載のくくりわなの補助具40と、市販の捕獲ワイヤー80とで構成された、または、請求項2記載の補助キット60と、市販の捕獲ワイヤー80とで構成された、くくりわな81、82。
【請求項4】
請求項1記載のくくりわなの補助具40の前記収容箱1を着脱可能に設置できる平板状の取付け板50であって、前記収容箱1を着脱可能に設置する設置穴42と、前記取付け板50を地面にペグなどで設置するためのペグ穴44、前記取付け板50をベルトによって樹木などに設置するためのベルト穴43の少なくともいずれか一つを備えた取付け板50。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サルやアライグマ等の餌を前足で把持する特性をもった野生動物の前足にワイヤーをくくりつけて捕獲するのに好適な、くくりわなの補助具、この補助具と取付け板とを組み合わせた補助キット、くくりわな、取付け板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から餌を使用して動物を捕獲する方法として檻を用いたいわゆる箱わながよく用いられてきた。餌を使用するため条件によっては有効で、一度に複数匹捕獲することも可能であった。しかし欠点もあり、箱わな自体が大型であり移動や保管に大きな負担がかかるとともに、目立つため、わなであると認識されてしまうとそれ以降捕獲できなくなるなどという問題があった。
【0003】
檻以外の方法としてはワイヤーで動物の脚をくくって捕らえるくくりわなが使用されており、このわなは多くの場合で獲物がわなを踏むとワイヤーが締まり捕獲するものであり、獲物に気づかれにくかったり、小型であるため移動や保管が容易であるというメリットがあった。
【0004】
しかし、いずれのくくりわなにおいても動物が踏んだり通過したりすることで作動するものが一般的であり、餌を取る動作に起因して作動するものは少なかった。また、設置場所も地面のみであり、樹上や壁面など場所を問わずに設置できるものは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3127832号公報
【特許文献2】実用新案登録第3200950号公報
【特許文献3】特許第6498828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のくくりわなは、踏み板が踏まれることが条件であり、体重が軽い動物や通り道が定まっていない動物の捕獲が困難であり、たまたま通りかかっただけの捕獲対象でない野生動物がわなを踏むことで意図せず捕獲してしまうなどの問題があった。
【0007】
特許文献2に記載のくくりわなでは、多くの面で改善がなされたが、 構造上、捕獲用の開口部に比べて全体の大きさが大きく警戒されたり、わな自体がよく目立ち危険なものとして記憶されたりする可能性があった。
【0008】
特許文献3に記載のくくりわなは、餌によって対象の動物をある程度選ぶことが出来、故意に餌を取ろうとしない限り作動しないなどの長所はあるものの、構造上、内部の餌が野生動物に見づらかったり、わな全体が大きく目立つことから群れで行動する野生動物に他の個体が捕獲されたことを見られることで危険性を記憶されてしまい、しばらく警戒されてしまう可能性があった。
【0009】
くくりわな以外にも野生動物を捕獲するために檻を使用する方法も従来からあるが、檻の大きさや重さによって設置場所に制約を受けたり、保管に多くのスペースを必要としたり、非常に目立つため、ある個体が捕まったのを目撃した他の個体に警戒されてしまい、次に掛かるまで相当な時間がかかる場合もあった。
【0010】
ここで本出願では、くくりわなは、動物の前足などを捕縛する捕獲ワイヤー(特許文献2の7)、この捕獲ワイヤーをセットするための補助具(特許文献2の1)、本発明で新たに提案する取付け板と、この取付け板と前記補助具とをセットにした補助キットなどを構成要素とし、前記補助具または前記補助キットと捕獲ワイヤーで構成されるものとする。
【0011】
このような問題を解決するべく、本発明は、前足で餌を保持する動物を対象として、前足の高い位置にワイヤーをくくることが出来、コンパクトで地上に置くだけでなく大部分を埋めての設置や樹上での設置も可能な、くくりわなの補助具、この補助具を用いた補助キット、及び、くくりわな、さらにこの補助具をわな設置位置に固定するのを容易にする取付け板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が提案する解決手段は、一面のみに開口し、その開口側の一対の対面端部の両内側に支持部11を設けた収容箱1と、前記支持部11に回転可能に支持された可動式アーム2と、前記収容箱1内に収容され、前記収容箱1に対して相対的に前記開口側に平行移動する内枠3とから構成された、くくりわなの補助具40であって、
前記可動式アーム2は前記収容箱1の前記支持部11の設けられていない開口端に接触する位置から、一対の相手と近づく位置まで回転Rし、その外側には捕獲ワイヤーを巻きかける凹部21が設けられ、
前記支持部11は、前記可動式アーム2の外側に前記捕獲ワイヤーを巻きかけた状態でバネ力が与えられると前記可動式アーム2が前記収容箱1側に回転するような力となるように、前記対面端部の上端より反収容側に設けられ、
前記内枠3の深さは捕獲する動物の前足首までが入り込む程度とされ、その奥底に固定された餌を前記動物が取ろうとすると、前記内枠3が平行移動し、その上端部が前記可動式アーム2の反支持側部22に押しあたることで、前記可動式アーム2同士が近づくように回転Rし、前記バネ力を与えられた捕獲ワイヤーが前記可動式アーム2から外れて前記動物の前足を捕縛するように構成された、くくりわなの補助具40である。
【0013】
一般に本発明で用いる捕獲ワイヤーについては、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則(平成十四年環境省令第二十八号)第十条第3項第九号には、「くくりわな(輪の直径が十二センチメートルを超えるもの、締付け防止金具が装着されていないもの、よりもどしが装着されていないもの又はワイヤーの直径が四ミリメートル未満であるものに限る。)」という記載がある。
【0014】
捕獲ワイヤーについて、上述の法令により輪の直径は12cmを超えないように規制されているので、その外側に捕獲ワイヤーを巻きかける可動式アーム2の外周長さは原則12cm*π以下となる。ただし、捕獲対象とする動物より大きいものや、人が掛からないようにとの趣旨で、ワイヤーの捕獲部分の最小間隔の最大値として12cmや、15cmを採用する措置がとられている区域では、矩形・長方形の場合で、短手方向が12cm以下、15cm以下とすればよい。また、それ以外の規制がある地域についてはその規制に従えばよい。どの場合であっても、この可動式アーム2を内側に収容する収容箱1は、この可動式アーム2より素材の板厚程度に大きくなる程で、収容箱1の外周が巻きかけられた捕獲ワイヤーの外側と同じ程度の平面的広がりを持つ程度となる。よって、この補助具40によれば、種々の規制に対応しつつ、大きさが最小限のコンパクトさに設計でき、地上に置くだけでなく大部分を埋めての設置や樹上や壁面での設置も可能となる。また、開口方向も上向きだけでなく、例えば樹木に取り付けて下向きにしてもよい。横向きでもよい。開口方向が下向きの場合は、これまでのわなにない方向なので、捕獲動物の警戒感も薄くなると予想される。
【0015】
また、この補助具40によれば、収容箱1の中に中枠3が収容され、この中枠3の中には餌が固定され、かつ、動物の前足の足首が入り込む程度の深さとされているので、捕獲ワイヤーで確実に動物の前足首を捕縛することができる。
【0016】
本発明が提案する解決手段は、前記くくりわなの補助具40と、前記収容箱1を着脱可能に設置できる平板状の取付け板50とを備えた補助キット60であって、前記取付け板50は、前記収容箱1を着脱可能に設置する設置穴42と、前記取付け板50を地面にペグなどで設置するためのペグ穴44、前記取付け板50をベルトによって樹木などに設置するためのベルト穴43の少なくともいずれか一つを備えた補助キット60である。
【0017】
この補助キット60によれば、その取付け板50により、地面にペグなどで確実に設置でき、樹木などにベルトによって確実に設置できる。
【0018】
また、取付け板50は、平板状なので、たとえ頑強な素材を用いても重量はそれほど大きくならず、持ち運びし易い。また、収容箱1つまり補助具40は、取付け板50を介して固定されるので、それ自身は重量による餌を取られるときの移動抑制を考えなくともよく、収容箱1つまり補助具40の軽量化を図ることができる。
【0019】
この補助キット60によれば、その収容箱1つまり補助具40は、取付け板50に着脱可能で軽量なので、複数の取付け板50を複数の設置位置に固定しておき、容易に必要な捕獲位置にある取付け板50に取り付けることができる。
【0020】
本発明が提案する解決手段は、前記くくりわなの補助具40と、一般的な捕獲ワイヤー80とで構成された、または、前記補助キット60と、一般的な捕獲ワイヤー80とで構成された、くくりわな81、82である。
よって、これらのくくりわな81、82によれば、補助具40、または、補助キット60の効果を、くくりわな、として発揮する。
【0021】
本発明が提案する解決手段は、前記くくりわなの補助具40の前記収容箱1を着脱可能に設置できる平板状の取付け板50であって、前記収容箱1を着脱可能に設置する設置穴42と、前記取付け板50を地面にペグなどで設置するためのペグ穴44、前記取付け板50をベルトによって樹木などに設置するためのベルト穴43の少なくともいずれか一つを備えた取付け板50である。よって、この取付け板50によれば、補助キット60の効果を取付け板50として発揮する。
【発明の効果】
【0022】
上記課題を解決するための手段で記載した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のくくりわなの補助具を示す全体斜視図
図2】本発明のくくりわなの補助具の収容箱と可動式アームとを示す全体斜視図
図3】本発明のくくりわなの補助具の中枠を示す全体斜視図
図4】本発明のくくりわなの補助具を上から見た平面図
図5図5のくくりわなの補助具のA-A断面図
図6】本発明の取付け板を示す平面図
図7】本発明の補助キットを示す全体斜視図
図8】本発明のくくりわなの補助具と共に用いる捕獲ワイヤーを示す概要図
図9】本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図
図10】本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記課題を解決するための手段で記載した通りである。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明のくくりわなの補助具を示す全体斜視図である。これより発明の同じ部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。
このくくりわなの補助具40は、一面のみに開口し、その開口側の一対の対面端部の両内側に支持部11を設けた収容箱1と、支持部11に回転可能に支持された可動式アーム2と、収容箱1内に収容され、収容箱1に対して相対的に前記開口側に平行移動する内枠3とから構成されている。
【0026】
可動式アーム2は収容箱1の支持部11の設けられていない開口端に接触する位置(図示)から、一対の相手と近づく位置まで回転Rし、その外側には捕獲ワイヤーを巻きかける凹部21が設けられている。
【0027】
支持部11は、可動式アーム2の外側に前記捕獲ワイヤーを巻きかけた状態でバネ力が与えられると可動式アーム2が収容箱1側に回転するような力となるように、対面端部の上端より反収容側に設けられている(図5のB参照)。
【0028】
内枠3の深さは捕獲する動物の前足首までが入り込む程度(図9参照)とされ、その奥底に固定された餌を前記動物が取ろうとすると、内枠3が平行移動し(この図では上方移動。図9、10参照)、その上端部が前記可動式アーム2の反支持側部22に押しあたることで、可動式アーム2同士が近づくように回転Rし、前記バネ力を与えられた捕獲ワイヤーが可動式アーム2から外れて前記動物の前足を強力に捕縛するように構成されている(図9、10参照)。
なお、この補助具40と図8の捕獲ワイヤー80とが、くくりわな81を構成する。
【0029】
図2は、本発明のくくりわなの補助具の収容箱と可動式アームとを示す全体斜視図である。
収容箱1は、板状の素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)を加工して形成してもよい。この図のものでは、板状の素材を長手方向と直角に両端をそれぞれ2回折り曲げて、底部と縦壁と接触上縁を形成している。可動式アーム2は、断面が長方形のフラットバーなどの素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)を2回屈曲させて、コの字状として、その屈曲部の外側に凹部21が設けられている。
【0030】
収容箱1の側壁には、長孔形状のベルト穴15が設けられている。これによりベルトを用いて、補助具40を樹上や、地面の穴底に打ち込まれたペグの輪環部分に容易に取り付けることができる。
【0031】
調節ネジ14は、収容箱1の可動式アーム2の反支持側部22が接触する接触上縁に設けられ、この調節ネジ14を右回し、左回しすることで、その頭部をこの図で上下させることで、支持部11に対する高さ・位置B(図5参照)を調節することができる。
【0032】
この位置Bの調節は非常に微妙なもので、小さくすればより軽い力で可動式アーム2が回転Rをし始め動物の捕獲には都合がよいが、図8の捕獲ワイヤー80をセットする際には、注意が必要である。大きくすれば可動式アーム2が回転Rをするのに大きな力が必要となり、動物の捕獲に支障となる可能性がある。
【0033】
よって、この調節ネジ14に用いるネジをJIS B 0205-2の並目ではなく、細目としてもよい。その場合、より微妙な調節が可能となる。
また、調節ネジ14は、収容箱1の接触上縁に2カ所設けられているが、中央付近に一カ所でもよい。その場合、部品と加工のコストが低減される。
【0034】
安全金具12は、収容箱1の可動式アーム2が接触する接触上縁の中央付近に、調節ネジ14の邪魔にならない位置に設けられている。より詳しくは図5において説明する。
スリット13は、その中で内枠3の上端凸部31がスムーズに平行移動するように形成されている。その詳細は図3を併せ用いて後述する。
【0035】
図3は、本発明のくくりわなの補助具の中枠を示す全体斜視図である。この中枠3は、板状の素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)をコの字状に90度折り曲げて構成されている。コの字状の端部には、幅方向への上端凸部31が設けられている。
【0036】
中枠3を収容箱1の中に入れると、上端凸部31がスリット13の中に入り、スムーズにこの図で上下に平行移動する。つまり、スリット13と上端凸部31とが相互にガイドとなって、中枠3が収容箱1の中でスムーズに平行移動する。
【0037】
中枠3の図上での底部分の中央には、餌を固定するための餌固定金具32が設けられている。これには、市販のヒートンやフックを用いることができる。この餌固定金具32に餌を固定すると、餌は中枠3のほぼ中央に位置することとなり、動物が餌をつかんで引き上げようとした際に中枠3は、余り偏ることなく平行移動する。
【0038】
一方、動物が意図せずに偏った方向に餌を引き上げたとしても、スリット13と上端凸部31とが相互にガイドになって、図上上方向に中枠3は収容箱1に対して、スムーズに平行移動する。このスリット13と上端凸部31とは必須の構成要素ではなく、設けなくともよい。
【0039】
図4は、本発明のくくりわなの補助具を上から見た平面図である。この図では可動式アーム2(2R、2L)は、左右同じものが組み合わされてそれぞれの支持部11で回転可能に支持されている。符号16は、この支持部11を具体的に構成するボルト、ナットである。なお、支持部11は2カ所ではなく、中央に一カ所設け、それに可動式アーム2(2R、2L)を軸方向にずらせて設けるようにしてもよい。
【0040】
この図4では、収容箱1と可動式アーム2(2R、2L)の平面形状がほぼ長方形の例を示しているが、特許文献1のように円と直線を組み合わせた形状でもよく、楕円でもよい。また、ほぼ円形に近い形状でもよい。また、凹部21を設ける代わりに、特許文献1から3にあるようにアームの長さに渡って連続した凹部分となるようにしてもよい。
【0041】
図5は、図4のくくりわなの補助具のA-A断面図である。この図では、調節ネジ14の頭部に接触した可動式アーム2(2R、2L)の幅中心(捕獲ワイヤーの中心が位置する部分)の支持部11に対する高さ・位置Bが示されている。この高さ・位置Bは既述の通り調節ネジ14を右・左回りに回転させることで調節できる。
【0042】
安全金具12は、棒材を折り曲げて形成されたもので、この図で下方端は、押しバネ16が棒材の外周に嵌められ、端部はその後押しバネ16が外れないように折り曲げられている。この端部処理は、この折り曲げ式には限定されない。この押しバネ16は収容箱1の接触上縁の仮面と折り曲げ端部との間に圧縮された状態で収容されている。よって安全金具12は、図の下方へ向うような力が与えられている。
【0043】
安全金具12の他端はL字状に折り曲げられ、図の下方へ抜け落ちない。この抜け落ち止めの処理は、折り曲げ式には限定されない。また、収容箱1の接触上縁に設けられた孔の中で回転可能となっている。この安全金具12は可動式アーム2(2R、2L)の反支持部側の内側になる位置にあり、この図でL字状の横向き方向への伸び部分が、可動式アーム2(2R、2L)の反支持部側が接触上縁から離れて相互に近づこうと回転するのを規制する位置と、規制しない位置とに指先で簡単に動かすことができる。
【0044】
安全金具12が規制状態にある場合は、可動式アーム2(2R、2L)の外側に捕獲ワイヤー80をセットした後も、可動式アーム2(2R、2L)の回転を規制するので、安心してワイヤーセット作業ができる。捕獲ワイヤー80のセットが済んだ状態(調節ネジ14による調節も済んだ後)では安全金具12を非規制状態として、くくりわな81での捕獲準備が整うことになる。
【0045】
水抜き穴17は収容箱1内に水が溜まった場合に排水するためのものである。水は補助具40などの腐食の原因になるし、冬季など寒冷の場合に凍って、補助具40、くくりわな81の作動の障害と成り得る。
【0046】
底上げネジ18は、水抜き穴17と同様に、中枠3と収容箱1との間に隙間を設けて、凍結回避を図るものである。水抜き穴17と上げネジ18とは、どちらか一方だけ設けてもよく、また、両方設けなくとも良い。また、図6の取付け板50を取り付ける場合には、そのための結合穴(不図示)を設けるようにすると良い。
【0047】
図6は、本発明の取付け板を示す平面図である。この取付け板50は平面状で、その厚さ方向には変化がないので、断面図は示していない。取付け板50は、収容箱1の水抜き穴17と同じ位置と大きさの水抜き穴41と、収容箱1への結合に用いる結合用ネジ穴42と、樹木などに取り付けるためのベルトを通すベルト穴43、地面に打ち込むためのペグを打ち込むためのペグ打ち込み穴44とを備えている。
【0048】
二点鎖線の想像線Cで示したのは、収容箱1の取付け部分である。その外側は、収容箱1からははみ出す部分となる。取付け板50は平面状なので、頑強な素材(鉄、ステンレス鋼など)としてもあまり重さが重くなることがなく安価でもある。また、収容箱1に着脱可能なので、複数枚を使って色々な捕獲位置に設置しておいて、収容箱1は、その都度毎に選択した取付け板50に結合させて使うことができる。その他、既述の効果を発揮する。
【実施例2】
【0049】
図7は、本発明の補助キットを示す全体斜視図である。この補助キット60は、既述の補助具40と取付け板50とを組み合わせたものである。この補助キット60と図8の捕獲ワイヤー80とを組み合わせたものが、くくりわな82であり、既述の効果を発揮する。
なお、この補助具40においては、取付け板50にベルト穴43があるので、本来のベルト穴15を設けていないが、設けるようにしてもよい。
【0050】
図8は、本発明のくくりわなの補助具と共に用いる捕獲ワイヤーを示す概要図である。この捕獲ワイヤー80は、スイベル65を介して相互に回転可能に連結された長い鋼線のワイヤー61で補助具40の可動式アーム2の外側に巻きかけられる強力な捕縛輪61aと、他方端であって捕獲ワイヤー80を樹木などに取り付ける取付け輪61bとを備えたもの、バネカバー62と、バネキャップ63と、捕縛輪61aを強力に収縮させる力を生む押しバネ64を備えている。
【0051】
捕獲ワイヤー80は、さらに、捕縛輪61aの最終端を固定し、その他端を留めるワイヤー止め69、ワイヤーストッパー67、スイベル65にワイヤーを止めるワイヤー止め68、ワイヤーの他の最終端を止めるワイヤー止め66、くくり金具70、捕縛輪61aが収縮しすぎないように規制する締め付け防止金具71を備えている。
【0052】
このような構成で、この捕獲ワイヤー80は広く一般に市販され、くくりわなの重要な構成要素となり、捕獲を確実に行うという効果を発揮する。
【0053】
図9は、本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図である。くくりわな81の補助具40は、半分ほど草地の中に埋設されている。この図では、捕獲動物の前足の足首Dから先の部分が示され、今まさに、くくりわな81(捕獲ワイヤー80+補助具40)の中に固定された餌Eを掴まんとしている。この状態では、捕獲ワイヤー80は、補助具40に正常にセットされ、誤作動もしていない。安全金具12は非規制状態である。
【0054】
図10は、図9に続き、本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図である。この図では、捕獲動物が餌Eを掴んで、少し図の上方へ引っ張り上げた状態である。中枠3が平行移動し可動式アーム2の反支持側部22を押し上げ、可動式アーム2が回転し、捕獲ワイヤー80の捕縛輪61aが外れて急速に収縮し、捕獲動物の前足首Dがしっかり捕縛されている。
【0055】
こうして、このくくりわな81(捕獲ワイヤー80+補助具40)は、捕獲動物の前足首Dを捕縛するので、その先はより大きく捕獲動物は必死になっても捕縛から逃げ出すことができず、捕獲の効果を確実に発揮する。
このような作用と効果は、くくりわな82(捕獲ワイヤー80+補助キット60)の場合でも同様に実現できる。
なお本発明の形態、実施例と作用効果は、上記の例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のくくりわなの補助具、この補助具と取付け板とを組み合わせた補助キット、くくりわな、取付け板は、サルやアライグマ等の餌を前足で把持する特性をもった野生動物であって、獣害対策の対象となっているものの捕獲に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 収容箱
2 可動式アーム
3 中枠
40 くくりわなの補助具
50 取付け板
60 補助キット
80 捕獲ワイヤー
81 くくりわな
82 くくりわな
【要約】
【課題】前足で餌を保持する動物を対象として、前足の高い位置にワイヤーをくくることが出来、コンパクトで地上に置くだけでなく大部分を埋めての設置や樹上での設置も可能な、くくりわなの補助具を提供する。
【解決手段】内枠3の深さは捕獲する動物の前足首までが入り込む程度とされ、その奥底に固定された餌を捕獲動物が取ろうとすると、内枠3が平行移動し、その上端部が可動式アーム2の反支持側部22に押しあたることで、可動式アーム2同士が近づくように回転Rし、バネ力を与えられた捕獲ワイヤーが可動式アーム2から外れて捕獲動物の前足を捕縛するように構成されたくくりわなの補助具40
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10