【実施例1】
【0025】
図1は、本発明のくくりわなの補助具を示す全体斜視図である。これより発明の同じ部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。
このくくりわなの補助具40は、一面のみに開口し、その開口側の一対の対面端部の両内側に支持部11を設けた収容箱1と、支持部11に回転可能に支持された可動式アーム2と、収容箱1内に収容され、収容箱1に対して相対的に前記開口側に平行移動する内枠3とから構成されている。
【0026】
可動式アーム2は収容箱1の支持部11の設けられていない開口端に接触する位置(図示)から、一対の相手と近づく位置まで回転Rし、その外側には捕獲ワイヤーを巻きかける凹部21が設けられている。
【0027】
支持部11は、可動式アーム2の外側に前記捕獲ワイヤーを巻きかけた状態でバネ力が与えられると可動式アーム2が収容箱1側に回転するような力となるように、対面端部の上端より反収容側に設けられている(
図5のB参照)。
【0028】
内枠3の深さは捕獲する動物の前足首までが入り込む程度(
図9参照)とされ、その奥底に固定された餌を前記動物が取ろうとすると、内枠3が平行移動し(この図では上方移動。
図9、10参照)、その上端部が前記可動式アーム2の反支持側部22に押しあたることで、可動式アーム2同士が近づくように回転Rし、前記バネ力を与えられた捕獲ワイヤーが可動式アーム2から外れて前記動物の前足を強力に捕縛するように構成されている(
図9、10参照)。
なお、この補助具40と
図8の捕獲ワイヤー80とが、くくりわな81を構成する。
【0029】
図2は、本発明のくくりわなの補助具の収容箱と可動式アームとを示す全体斜視図である。
収容箱1は、板状の素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)を加工して形成してもよい。この図のものでは、板状の素材を長手方向と直角に両端をそれぞれ2回折り曲げて、底部と縦壁と接触上縁を形成している。可動式アーム2は、断面が長方形のフラットバーなどの素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)を2回屈曲させて、コの字状として、その屈曲部の外側に凹部21が設けられている。
【0030】
収容箱1の側壁には、長孔形状のベルト穴15が設けられている。これによりベルトを用いて、補助具40を樹上や、地面の穴底に打ち込まれたペグの輪環部分に容易に取り付けることができる。
【0031】
調節ネジ14は、収容箱1の可動式アーム2の反支持側部22が接触する接触上縁に設けられ、この調節ネジ14を右回し、左回しすることで、その頭部をこの図で上下させることで、支持部11に対する高さ・位置B(
図5参照)を調節することができる。
【0032】
この位置Bの調節は非常に微妙なもので、小さくすればより軽い力で可動式アーム2が回転Rをし始め動物の捕獲には都合がよいが、
図8の捕獲ワイヤー80をセットする際には、注意が必要である。大きくすれば可動式アーム2が回転Rをするのに大きな力が必要となり、動物の捕獲に支障となる可能性がある。
【0033】
よって、この調節ネジ14に用いるネジをJIS B 0205-2の並目ではなく、細目としてもよい。その場合、より微妙な調節が可能となる。
また、調節ネジ14は、収容箱1の接触上縁に2カ所設けられているが、中央付近に一カ所でもよい。その場合、部品と加工のコストが低減される。
【0034】
安全金具12は、収容箱1の可動式アーム2が接触する接触上縁の中央付近に、調節ネジ14の邪魔にならない位置に設けられている。より詳しくは
図5において説明する。
スリット13は、その中で内枠3の上端凸部31がスムーズに平行移動するように形成されている。その詳細は
図3を併せ用いて後述する。
【0035】
図3は、本発明のくくりわなの補助具の中枠を示す全体斜視図である。この中枠3は、板状の素材(鉄、ステンレス鋼、アルミ、合成樹脂など対候性、防錆性のあるものが良いが、これらに限定されない。)をコの字状に90度折り曲げて構成されている。コの字状の端部には、幅方向への上端凸部31が設けられている。
【0036】
中枠3を収容箱1の中に入れると、上端凸部31がスリット13の中に入り、スムーズにこの図で上下に平行移動する。つまり、スリット13と上端凸部31とが相互にガイドとなって、中枠3が収容箱1の中でスムーズに平行移動する。
【0037】
中枠3の図上での底部分の中央には、餌を固定するための餌固定金具32が設けられている。これには、市販のヒートンやフックを用いることができる。この餌固定金具32に餌を固定すると、餌は中枠3のほぼ中央に位置することとなり、動物が餌をつかんで引き上げようとした際に中枠3は、余り偏ることなく平行移動する。
【0038】
一方、動物が意図せずに偏った方向に餌を引き上げたとしても、スリット13と上端凸部31とが相互にガイドになって、図上上方向に中枠3は収容箱1に対して、スムーズに平行移動する。このスリット13と上端凸部31とは必須の構成要素ではなく、設けなくともよい。
【0039】
図4は、本発明のくくりわなの補助具を上から見た平面図である。この図では可動式アーム2(2R、2L)は、左右同じものが組み合わされてそれぞれの支持部11で回転可能に支持されている。符号16は、この支持部11を具体的に構成するボルト、ナットである。なお、支持部11は2カ所ではなく、中央に一カ所設け、それに可動式アーム2(2R、2L)を軸方向にずらせて設けるようにしてもよい。
【0040】
この
図4では、収容箱1と可動式アーム2(2R、2L)の平面形状がほぼ長方形の例を示しているが、特許文献1のように円と直線を組み合わせた形状でもよく、楕円でもよい。また、ほぼ円形に近い形状でもよい。また、凹部21を設ける代わりに、特許文献1から3にあるようにアームの長さに渡って連続した凹部分となるようにしてもよい。
【0041】
図5は、
図4のくくりわなの補助具のA-A断面図である。この図では、調節ネジ14の頭部に接触した可動式アーム2(2R、2L)の幅中心(捕獲ワイヤーの中心が位置する部分)の支持部11に対する高さ・位置Bが示されている。この高さ・位置Bは既述の通り調節ネジ14を右・左回りに回転させることで調節できる。
【0042】
安全金具12は、棒材を折り曲げて形成されたもので、この図で下方端は、押しバネ16が棒材の外周に嵌められ、端部はその後押しバネ16が外れないように折り曲げられている。この端部処理は、この折り曲げ式には限定されない。この押しバネ16は収容箱1の接触上縁の仮面と折り曲げ端部との間に圧縮された状態で収容されている。よって安全金具12は、図の下方へ向うような力が与えられている。
【0043】
安全金具12の他端はL字状に折り曲げられ、図の下方へ抜け落ちない。この抜け落ち止めの処理は、折り曲げ式には限定されない。また、収容箱1の接触上縁に設けられた孔の中で回転可能となっている。この安全金具12は可動式アーム2(2R、2L)の反支持部側の内側になる位置にあり、この図でL字状の横向き方向への伸び部分が、可動式アーム2(2R、2L)の反支持部側が接触上縁から離れて相互に近づこうと回転するのを規制する位置と、規制しない位置とに指先で簡単に動かすことができる。
【0044】
安全金具12が規制状態にある場合は、可動式アーム2(2R、2L)の外側に捕獲ワイヤー80をセットした後も、可動式アーム2(2R、2L)の回転を規制するので、安心してワイヤーセット作業ができる。捕獲ワイヤー80のセットが済んだ状態(調節ネジ14による調節も済んだ後)では安全金具12を非規制状態として、くくりわな81での捕獲準備が整うことになる。
【0045】
水抜き穴17は収容箱1内に水が溜まった場合に排水するためのものである。水は補助具40などの腐食の原因になるし、冬季など寒冷の場合に凍って、補助具40、くくりわな81の作動の障害と成り得る。
【0046】
底上げネジ18は、水抜き穴17と同様に、中枠3と収容箱1との間に隙間を設けて、凍結回避を図るものである。水抜き穴17と上げネジ18とは、どちらか一方だけ設けてもよく、また、両方設けなくとも良い。また、
図6の取付け板50を取り付ける場合には、そのための結合穴(不図示)を設けるようにすると良い。
【0047】
図6は、本発明の取付け板を示す平面図である。この取付け板50は平面状で、その厚さ方向には変化がないので、断面図は示していない。取付け板50は、収容箱1の水抜き穴17と同じ位置と大きさの水抜き穴41と、収容箱1への結合に用いる結合用ネジ穴42と、樹木などに取り付けるためのベルトを通すベルト穴43、地面に打ち込むためのペグを打ち込むためのペグ打ち込み穴44とを備えている。
【0048】
二点鎖線の想像線Cで示したのは、収容箱1の取付け部分である。その外側は、収容箱1からははみ出す部分となる。取付け板50は平面状なので、頑強な素材(鉄、ステンレス鋼など)としてもあまり重さが重くなることがなく安価でもある。また、収容箱1に着脱可能なので、複数枚を使って色々な捕獲位置に設置しておいて、収容箱1は、その都度毎に選択した取付け板50に結合させて使うことができる。その他、既述の効果を発揮する。
【実施例2】
【0049】
図7は、本発明の補助キットを示す全体斜視図である。この補助キット60は、既述の補助具40と取付け板50とを組み合わせたものである。この補助キット60と
図8の捕獲ワイヤー80とを組み合わせたものが、くくりわな82であり、既述の効果を発揮する。
なお、この補助具40においては、取付け板50にベルト穴43があるので、本来のベルト穴15を設けていないが、設けるようにしてもよい。
【0050】
図8は、本発明のくくりわなの補助具と共に用いる捕獲ワイヤーを示す概要図である。この捕獲ワイヤー80は、スイベル65を介して相互に回転可能に連結された長い鋼線のワイヤー61で補助具40の可動式アーム2の外側に巻きかけられる強力な捕縛輪61aと、他方端であって捕獲ワイヤー80を樹木などに取り付ける取付け輪61bとを備えたもの、バネカバー62と、バネキャップ63と、捕縛輪61aを強力に収縮させる力を生む押しバネ64を備えている。
【0051】
捕獲ワイヤー80は、さらに、捕縛輪61aの最終端を固定し、その他端を留めるワイヤー止め69、ワイヤーストッパー67、スイベル65にワイヤーを止めるワイヤー止め68、ワイヤーの他の最終端を止めるワイヤー止め66、くくり金具70、捕縛輪61aが収縮しすぎないように規制する締め付け防止金具71を備えている。
【0052】
このような構成で、この捕獲ワイヤー80は広く一般に市販され、くくりわなの重要な構成要素となり、捕獲を確実に行うという効果を発揮する。
【0053】
図9は、本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図である。くくりわな81の補助具40は、半分ほど草地の中に埋設されている。この図では、捕獲動物の前足の足首Dから先の部分が示され、今まさに、くくりわな81(捕獲ワイヤー80+補助具40)の中に固定された餌Eを掴まんとしている。この状態では、捕獲ワイヤー80は、補助具40に正常にセットされ、誤作動もしていない。安全金具12は非規制状態である。
【0054】
図10は、
図9に続き、本発明のくくりわなの一例の作動状態を示す斜視図である。この図では、捕獲動物が餌Eを掴んで、少し図の上方へ引っ張り上げた状態である。中枠3が平行移動し可動式アーム2の反支持側部22を押し上げ、可動式アーム2が回転し、捕獲ワイヤー80の捕縛輪61aが外れて急速に収縮し、捕獲動物の前足首Dがしっかり捕縛されている。
【0055】
こうして、このくくりわな81(捕獲ワイヤー80+補助具40)は、捕獲動物の前足首Dを捕縛するので、その先はより大きく捕獲動物は必死になっても捕縛から逃げ出すことができず、捕獲の効果を確実に発揮する。
このような作用と効果は、くくりわな82(捕獲ワイヤー80+補助キット60)の場合でも同様に実現できる。
なお本発明の形態、実施例と作用効果は、上記の例に限定されるものではない。